説明

自動注入システムのパワーヘッドの改良

【課題】改良されたパワーヘッドを提供すること。
【解決手段】造影剤注入システムは、非接触センサを使用してシリンジラムの絶対位置を検出することを含む。一連の磁石とホール効果センサを使用してもよいし、光学反射システムを使用してもよい。シリンジラム用の駆動機構に接続された照明ノブが駆動機構とともに回転し、その照明により動作に関する視覚的フィードバックを与える。アナログホール効果センサは、磁石の存在又は不存在を決定するのに使用され、使用されているフェースプレートのタイプを確認する。フェースプレートはコネクタを介してパワーヘッド22に接続され制御電子機器を有し、これは2つのフェースプレートにより交互に使用してもよい。フェースプレート電子機器は予め充填されたシリンジの容量を自動的に検出するための検出器を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は同時出願で同時係属の自動注入システムのパワーヘッド制御器の改良という名称の米国特許出願第10/964002号と関連し、それは参照することでその全体をここに組み入れる。
【0002】
本発明は造影剤注入システム、詳しくはその改良に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医療環境では、診断又は治療中に医療流体が患者に注入される。一つの例は、動力自動注入器を使用して、CT、血管造影、磁気共鳴、又は超音波画像を改良する造影剤を患者に注入することである。
【0004】
これらの又はこれらに類似する分野に適した注入器は、典型的には、比較的大きな容量のシリンジを使用し、比較的大きな流量と注入圧力を生み出さなければならない。このため、このような分野の注入器は電動であり、大型で大重量の注入器モータ及び駆動系を有する。使用を容易にするために、モータ及び駆動系は典型的には注入ヘッドに収容され、該注入ヘッドは床、壁、天井に装着されたアームによって支持されている。
【0005】
注入ヘッドは典型的にはアームに回動するように装着されている。ヘッドは、シリンジに液体を満たすのを促進するために上方に傾斜し(シリンジの先端をその残りよりも上方にする)、また注入するために下方に傾斜する(シリンジの先端をその残りよりも下方にする)。このようにヘッドを傾斜することにより、注入中にシリンジから空気を除去するのが促進され、注入工程中に対象に空気が注入されるのが低減される。これにもかかわらず、患者に空気が偶発的に注入される潜在性により安全性に対する著しい懸念が残る。
【0006】
前述した注入ヘッドに加え、多くの注入器は注入器を制御する分離したコンソールを含む。コンソールは典型的には注入器を自動的にプログラム制御するのに使用することができるプログラム可能な回路を含み、これにより注入器の動作を予測可能にするとともに、スキャナや画像形成装置のような他の機器の操作と潜在的に同期させることができる。
【0007】
このように、注入工程の少なくとも一部は典型的には自動的に制御される。しかし、充填手順及び典型的には注入手順の一部は、注入ヘッドの手動移動制御を使用して通常はオペレータによって行われる。典型的には、手動移動制御は、シリンジを充填し排出する注入器駆動ラムの前進及び後退移動用のボタンを有する。ある場合には、ボタンの組み合わせがラムの移動を起動し、又はラム移動速度を制御するのに使用される。注入ヘッドはまた典型的には注入ヘッドを制御するときにオペレータが使用するシリンジ残量のような注入パラメータをオペレータに指示するためのゲージ又はディスプレイを含む。残念ながら、オペレータは、手動移動ボタンを使用し、注入ヘッドのゲージとディスプレイを読むことは幾つかの理由で面倒であることが分かっている。オペレータに対する手動移動ボタンの位置を変更して、上方充填位置と下方注入位置の間で注入ヘッド傾斜する必要があり、ある傾斜角度ではゲージ又はディスプレイの読みが困難である。
【0008】
多くの利用分野では、多数の異なるシリンジサイズを備えた注入器を使用することが望ましい。例えば、小児科では大人よりも小さなシリンジを使用することが望ましいし、小容量の流体を必要とする特殊な手順でもそうである。異なるサイズのシリンジの使用を容易にするために、注入器は取り外し可能なフェースプレートを備えるように構成され、各フェースプレートは特定のサイズのシリンジ用に構成されている。典型的には、注入器は、例えば注入器ハウジングの前面に装着された磁気検出器を使用してフェースプレートの磁石の有無を検出し、どのフェースプレートが注入器に装着されているかを決定することで、注入パラメータを調整することができる。残念ながら、磁気検出器を注入ヘッドの外部ハウジングに組み込む必要性は、注入ヘッドの製造の複雑性と費用を増加する。
【0009】
近年、自動注入器の発展は、二重ヘッド注入器、すなわち、2つのシリンジ用に2つの駆動システムと取付台を備えた注入器の導入である。注入器用のソフトウェアは、手動制御と記憶されたシーケンスに応じたプログラム注入ルーチンと両方を使用するこれらの駆動システムの独立制御を備えている。このような二重ヘッド注入器は、シリンジ又は他の機器を変更することなく、あるシーケンス中に複数の流体を注入することができる。
【0010】
現在の自動注入システムの利点にも拘わらず、また単ヘッド又は二重ヘッドであるか否かに拘わらず、この分野は望ましい目標に向けて改良と発展が継続し、使用が容易になり、機能が増加し、操作の信頼性と効率が増加することを保証するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の実施形態は、造影剤及びその他の液体を患者又は動物に注入するのに使用される自動注入器の改良に関する。
【0012】
本発明の一つの局面は、位置センサとシリンジラムの駆動機構との間の接触を必要とすることなく、シリンジラムの絶対位置を決定することに関する。特に、シリンジラムが移動する経路に沿って一連のホール効果センサが配置され、磁石がシリンジラムの一部に結合されている。シリンジラムの任意の位置で、センサは磁石を検出することができる。どのセンサが磁石を検出しているかに基づいて、シリンジラムの位置を決定することができる。
【0013】
この局面の特別な実施形態では、アナログホール効果センサが使用され、センサに対する磁石の位置を決定する精度を増加することができる。
【0014】
本発明の第2の局面は、光学センサを使用することを除いて、第1の局面と同様である。この局面によると、固定光センサは、シリンジラムの移動部分に取り付けられた反射面に放射線を送信する。光学センサにおける反射信号の強度はセンサから反射面への距離を示す。したがって、シリンジの位置は反射信号に基づいて決定することができる。
【0015】
本発明の他の局面は、シリンジラムを移動させる機構と動作可能に結合されている手動制御ノブに関する。この動作可能な結合のために、シリンジラムがプログラム制御により移動するとノブは回転する。また、ノブはシリンジラムの相対速度を直接示す速度で回転する。ノブはその回転と回転速度が容易に認識できるように有利に照明される。したがって、制御ノブの移動はシリンジラムの動作について直接フィードバックを与える。開示された実施形態では、このフィードバックは、注入器の動作モードを反映するノブの照明の色を変更することにより強化することができる。
【0016】
本発明のさらなる局面は、どのタイプのフェースプレートが注入器のパワーヘッドに取り付けられるかを決定するためにアナログホール効果センサを使用することに関する。固定閾値デジタルホール効果センサに依存する代わりに、各異なるフェースプレートの閾値を較正するのにアナログセンサが使用される。したがって、較正された閾値は製造交差及び磁石強度の変化に適応することができる。各センサに対して、信号レベルは取り付けられたフェースプレートと取り外されたフェースプレートについて決定される。閾値はこれらの2つの信号レベルの間に設定される。開示された実施形態では、磁石の広範囲の組み合わせを許容し、多くのフェースプレートに対応するために、ホール効果センサは磁石の極性に感応するものであってもよい。これにより、フェースプレートの磁石のN−Sの方位は、フェースプレートを確認するホール効果センサにより検出される特性に含めることができる。
【0017】
本発明のさらに他の局面は、過剰圧力が生じるのを防止するプロトコルの圧力制限値を安全に設定することに関する。この局面によると、履歴データはプロトコルが実行されるときに取得される。履歴データは、このプロトコルで遭遇する最高圧力又はこのプロトコルで遭遇する平均圧力を示すことができる。注入器システムインターフェース画面は、この履歴データに基づいてオペレータが入力する圧力制限値を提案することができる。さらに、あるプロトコルに対する履歴データの統計分析は、オペレータ警告信号を発生するために、異常又は範囲外の状態を確認するのに使用してもよい。
【0018】
本発明の一つの追加の局面は、シリンジの充填レベルを決定する検出回路に関する。センサのアレイはシリンジの長手軸に沿って配置され、これにより各々は信号を送信し、反射信号を受信する。どのセンサが反射信号を検出するかに基づいて、シリンジ内のプランジャーディスクの位置を見つけてもよい。この位置に基づいて、シリンジの充填レベルを決定することができる。本発明のさらなる局面では、注入器形態情報と注入器利用統計のような注入器情報のダウンロード及びアップロードするためのリムーバブルメモリ装置を有する注入器に関する。メモリ装置に記憶された注入器形態情報は、オペレータにより構成された注入シーケンス又はプロトコルを含めることができ、これによりこれらのプロトコルをある注入器から他の注入器に容易に転送することができ、及び/又は、注入器の残
りが修理(service)される際に保存することができる。
【0019】
メモリ装置に記憶された注入器利用統計は、注入器に対するソフトウェアの更新はもちろん、運転時間、注入器の数、達成した圧力及び流量、利用したプロトコルを含めてもよい。メモリソケットをパワーヘッドに含めてもよいし、又は注入器システムの他の接続部分例えばコンソール又は電源パックに含めてもよい。関連する局面では、記憶されたプロトコルは使用前に注入器により検索され修正されてもよいが、パスワードは記憶されたプロトコルの上書きを許容する前に要求されてもよい。
【0020】
本発明のさらなる局面は、第1と第2のシリンジから注入する注入器パワーヘッドに関するもので、多重シリンジアクセサリコネクタと、該コネクタの一つに結合されたアクセサリが第1又は第2シリンジと関係しているか否かを確認する回路とを有し、これにより、シリンジアクセサリを適切なシリンジコネクタに接続する義務からオペレータを解放する。
【0021】
本発明の原理は、造影剤の患者への注入に適用可能であり、CT、血管造影法、磁気共鳴又は超音波画像形成、又はその他の動力自動注入器を使用して流体を注入することを伴う分野を改良することは、明らかである。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
造影剤注入システムにおいて、
シリンジラム;
上記シリンジラムに結合され、該シリンジラムを移動するように構成された駆動機構;
上記駆動機構に結合された磁石;及び
上記磁石の存在を検出するように構成され、上記磁石が移動する経路に沿って配置された複数の磁気センサからなる造影剤注入システム。
(項目2)
上記センサは2つの隣接するセンサが上記磁石を検出するように配置されている項目1に記載のシステム。
(項目3)
上記磁石は上記複数のセンサを通過する経路に沿って移動する項目1に記載のシステム。
(項目4)
上記センサの少なくとも1つは上記センサにより検出されたアナログ磁界強度を示す信号を発生し、検出されたアナログ磁界強度は上記磁石の相対位置を決定するのに使用される項目1に記載のシステム。
(項目5)
上記センサの状態と関連した上記駆動機構の位置を記憶するように構成されたメモリをさらに有する項目1に記載のシステム。
(項目6)
上記センサの検出状態を決定し、
上記検出状態と関連する位置を上記メモリで探査し、
上記各位置に基づいて上記シリンジラムの位置を決定するように構成された位置検出器をさらに有する項目5に記載のシステム。
(項目7)
上記センサはアナログホール効果センサであり、上記メモリはあるセンサでの磁束レベルをセンサ状態の一部として記憶し、上記位置検出器はセンサからの磁束レベルを上記メモリに記憶された磁束レベルと比較し、上記メモリ内の状態の間で補間を使用して、上記シリンジラムの位置を決定する項目6に記載のシステム。
(項目8)
各センサは重複した長さYを有し、
上記磁石は長さLを有し、
上記シリンジラムの行程は距離Dまで延び、
センサの数はD/(L−Y)にほぼ等しい項目1に記載のシステム。
(項目9)
隣接するセンサの間の距離は(L−Y)にほぼ等しい項目7に記載のシステム。
(項目10)
造影剤注入システム内で、
シリンジラムを複数の異なる位置に配置し、
各位置で、
a)エンコーダからのシリンジラム位置の第1値と、
b)上記シリンジラムとともに移動するように配置された磁石を検出するように構成された複数のセンサからの磁石の第2値とを取得し、
各異なる位置に対して上記第1値と第2値を関連づけるステップからなる方法。
(項目11)
上記センサにより検出された磁束のアナログ量を示すセンサの状態を検出し、
この状態に実質的に類似する第2値を見つけて関連する第1値を確認し、
上記第1値に基づいて上記シリンジラムの位置を決定するステップをさらに有する項目10に記載の方法。
(項目12)
上記センサは2つの隣接するセンサが上記磁石を検出するように配置されている項目10に記載の方法。
(項目13)
上記磁石は上記複数のセンサに隣接する経路に沿って移動する項目10に記載の方法。(項目14)
造影剤注入システムにおいて、
シリンジラム;
上記シリンジラムに結合され、該シリンジラムを移動するように構成された駆動機構;
上記駆動機構に結合された反射面;及び
上記反射面に向かって放射線を放射するように構成され、上記反射面からの反射を検出する光学センサからなる造影剤注入システム。
(項目15)
上記検出された反射に基づいて上記反射面までの距離を推測するように構成された演算回路をさらに有する項目14に記載のシステム。
(項目16)
上記光学センサはほぼ1cmから30cmの間の範囲を有する項目14に記載のシステム。
(項目17)
上記駆動ラムの位置を決定するように構成されたエンコーダ;
上記光学センサの検出された反射と関連する上記駆動機構の位置を記憶するように構成されたメモリをさらに有する項目14に記載のシステム。
(項目18)
上記光学センサの検出反射を決定し、
上記検出反射と関連する位置を上記メモリで探査し、
上記各位置に基づいて上記シリンジラムの位置を決定するように構成された位置検出器をさらに有する項目17に記載のシステム。
(項目19)
造影剤注入システム内で、
シリンジラムを複数の異なる位置に配置し、
各位置で、
a)エンコーダからのシリンジラム位置の第1値と、
b)上記シリンジラムとともに移動する反射面に放射線を放射し、該反射面から戻る反射放射線の量を決定するように構成された光学センサでの反射信号のレベルの第2値とを取得し、
各異なる位置に対して上記第1値と第2値を関連づけるステップからなる方法。
(項目20)
上記反射面から反射した放射線のレベルを検出し、
この放射線のレベルに実質的に類似する第2値を見つけて関連する第1値を確認し、
上記第1値に基づいて上記シリンジラムの位置を決定するステップをさらに有する項目19に記載の方法。
(項目21)
造影剤注入システムのパワーヘッドにおいて、
シリンジラム;
該シリンジラムを移動するように構成された駆動機構;
上記シリンジラムの移動により、該シリンジラムが移動する速度に応じて回転するように、上記動機構に動作可能に結合された手動ノブ;及び
上記手動ノブの一部を照明する照明源からなるパワーヘッド。
(項目22)
上記照明源は1又は複数のLEDからなる項目21に記載のパワーヘッド。
(項目23)
上記照明源は上記パワーヘッドの動作モードに応じて異なる色で上記制御ノブを照明する項目21に記載のパワーヘッド。
(項目24)
上記制御ノブはさらに、
上記照明源に結合された導光領域;
上記導光領域に結合された実質的に透明又は半透明部;及び
上記透明又は半透明部を包囲し、上記透明又は半透明部を見ることができる1又は複数の開口を有する実質的に不透明領域をさらに有する項目21に記載のパワーヘッド。
(項目25)
上記可視透明又は半透明部及び上記不透明領域は上記制御ノブの外面に沿った長手方向のストライプからなり、上記不透明領域は上記透明又は半透明部よりも大きな表面摩擦と軟質な表面を備えた材料で形成されている項目22に記載のパワーヘッド。
(項目26)
上記パワーヘッドは二重ヘッド注入器システムであり、上記第1制御ノブにほぼ類似する第2制御ノブを有し、上記制御ノブはお互いに独立して作動する項目21に記載のパワーヘッド。
(項目27)
造影剤注入システムにおいて、
フェースプレートの磁気源が配置されるフェースプレート装着領域;
上記フェースプレートの磁気源が配置されるフェースプレート装着領の位置と関連するホール効果センサ;及び
上記ホール効果センサに当たる磁束を示すアナログ信号を測定するアナログ回路からなる造影剤注入システム。
(項目28)
上記フェースプレート装着領域は、上記フェースプレートの少なくとも一つの磁石の存在、不存在及び/又は極性がそれぞれのホール効果センサに検出されるように、上記磁性
胴体の一つと関連する一つ又は複数の磁石を有するフェースプレートに取り付けるように構成されている項目27に記載のシステム。
(項目29)
複数のフェースプレートに対して上記ホール効果センサに当たる磁束を示すアナログ信号を示すそれぞれの状態を記憶するように構成されたメモリをさらに有する項目27に記載のシステム。
(項目30)
造影剤注入システム内で、
造影剤注入システムのパワーヘッドに、1又は複数の磁石を有するフェースプレートを取り付け、
ホール効果センサを用いて、上記フェースプレートが取り付けられた該ホール効果センサに当たる磁束を示す第1アナログ信号を取得し、
ホール効果センサを用いて、上記フェースプレートが取り外された該ホール効果センサに当たる磁束を示す第2アナログ信号を取得し、
上記複数の第1と第2の信号に基づいて上記フェースプレートに対する符号を記憶するステップからなる方法。
(項目31)
上記符号は、上記センサに対する第1と第2の信号の間に各センサに対するアナログ閾値を有する項目30に記載の方法。
(項目32)
複数のフェースプレートに対するそれぞれの符号を記憶するステップをさらに有する項目31に記載の方法。
(項目33)
未知のフェースプレートを上記パワーヘッドに取り付け、
上記ホール効果センサに対する検出されたアナログ信号レベル及び/又は極性を決定し

検出された信号レベルと記憶された符号に基づいて未知のフェースプレートを確認するステップをさらに有する項目31に記載の方法。
(項目34)
造影剤注入システム内で、
注入プロトコルを選択し、
上記選択されたプロトコルの従前の実行中に達成された圧力に基づいて、上記選択されたプロトコルに関連する圧力制限値を決定し、
上記選択されたプロトコルを実行中に、上記圧力制限値を使用するステップからなる方法。
(項目35)
特定の注入プロトコルを実行し、
上記特定の注入プロトコルと関連する履歴圧力情報を記憶するステップをさらに有する項目34に記載の方法。
(項目36)
上記履歴圧力情報は上記特定のプロトコル中に経験した最高の圧力を含む項目35に記載の方法。
(項目37)
上記履歴圧力情報は上記特定のプロトコル中に経験した平均圧力を含む項目35に記載の方法。
(項目38)
上記特定のプロトコルに対する履歴圧力情報の統計的分析に基づいて、圧力制限値を決定する項目35に記載の方法。
(項目39)
上記圧力制限値をオペレータに提示し、
上記圧力制限値に対する変更があれば受け入れ、
上記変更した圧力制限値により上記選択されたプロトコルを実行するステップをさらに有する項目34に記載の方法。
(項目40)
造影剤注入システムにおいて、
プロセッサ;
上記プロセッサに結合された非揮発性記憶装置;及び
上記非揮発性記憶装置内に記憶され、上記プロセッサ上で実行して、
注入プロトコルを選択し;
上記選択されたプロトコルの従前の実行に基づいて上記選択されたプロトコルと関連する圧力制限値を決定し;
上記選択されたプロトコルを実行する間に上記圧力制限値を使用するように構成されたアプリケーションから成る造影剤注入システム。
(項目41)
上記アプリケーションは、
特定の注入プロトコルを実行し、
上記特定の注入プロトコルと関連する履歴圧力情報を記憶するようにさらに構成されている項目40に記載のシステム。
(項目42)
上記履歴圧力情報は上記特定のプロトコル中に経験した最高の圧力を含む項目41に記載のシステム。
(項目43)
上記履歴圧力情報は上記特定のプロトコル中に経験した平均圧力を含む項目41に記載のシステム。
(項目44)
造影剤注入システムにおいて、
シリンジを保持するように構成されたシリンジクレードル;
複数のセンサを有し、上記センサの各々に隣接する上記シリンジの機構の相対位置を検出し、上記シリンジの充填された容量を決定するように構成されたシリンジ検出回路;及び
シリンジに対して固定位置に上記センサを保持し、上記センサを使用して上記シリンジの機構の相対位置を検出するように構成されたセンサ支持構造からなる造影剤注入システム。
(項目45)
上記シリンジ検出回路は複数のセンサを有し、各センサは長手方向に沿って配置され、予め充填されたシリンジと整列している項目44に記載のシステム。
(項目46)
各センサはそれぞれの信号を送信してその反射を検出し、
該反射に基づいて各センサは上記センサに隣接するシリンジの機構の相対位置を決定する項目45に記載のシステム。
(項目47)
予め充填されたシリンジの容量は上記センサに基づいて決定される項目46に記載のシステム。
(項目48)
上記シリンジ検出回路はさらに、
上記シリンジのプランジャーディスクの存在を検出するように構成された複数のセンサからなり、どのセンサが上記プランジャーディスクを検出したかに基づいて、上記予め充填されたシリンジの容量が決定される項目44に記載のシステム。
(項目49)
上記シリンジ検出回路を覆い、周辺光を遮断するシリンジクレードルをさらに有する項目44に記載のシステム。
(項目50)
各センサは、出力放射信号を変調し、変調されていない反射信号を無視するように構成されている項目44に記載のシステム。
(項目51)
上記シリンジの前の近傍に配置され、上記シリンジに向かって信号を送信するように構成された送信器;及び
上記シリンジの上記送信器と反対側に配置され、上記シリンジが空のときに信号を検出するように構成された受信機をさらに有する項目44に記載のシステム。
(項目52)
造影剤注入システム内で、
予め充填されたシリンジを複数のセンサの近傍に配置し、
上記複数のセンサを使用して、上記シリンジのプランジャーディスクの位置を検出し、
上記位置に基づいて上記シリンジの容量を確認するステップからなる方法。
(項目53)
上記センサは、一つのセンサだけが各異なる容量のシリンジの対するプランジャーディスクを検出するように配置されている項目52に記載の方法。
(項目54)
上記検出ステップはさらに、
各センサからそれぞれの信号を送信し、
各センサでそれぞれ反射した信号を検出し、
上記それぞれの反射信号に基づいて、上記プランジャーディスクが特定のセンサに近接しているか否かを決定するステップを有する項目52に記載の方法。
(項目55)
造影剤注入システムにおいて、
1又は複数のハウジング;
ハウジング内に、一つのハウジング内で移動可能で複数のシリンジと係合可能なシリンジラムと、上記シリンジラムを移動するように構成された駆動機構とを有し;
ハウジング内に、上記駆動機構をプログラムされた方法で制御する回路と、上記回路に接続され、上記ハウジングの内部に配置され、リムーバブルメモリソケットが上記ハウジングの外側から挿入できるリムーバブルメモリ装置ソケットとを有し、上記回路は上記リムーバブルメモリ装置と相互作用し、上記リムーバブルメモリ装置に情報を記憶し、及び/又は上記リムーバブルメモリ装置から情報を検索する造影剤注入システム。
(項目56)
上記リムーバブルメモリ装置はメモリスティック及び安全デジタルマルチメディアメモリカード(SD/MMC)から選択されたメモリ記憶技術を利用する項目55に記載の注
入器。
(項目57)
上記回路は上記リムーバブルメモリ装置と相互作用し、注入器形態情報、注入器使用統計、注入器ソフトウェア更新の一つ又は複数を記憶及び/又は検索する項目55に記載の
注入器。
(項目58)
上記回路は上記リムーバブルメモリ装置と相互作用し、上記注入器の動作に構成された注入シーケンスを記憶及び/又は検索する項目57に記載の注入器。
(項目59)
上記注入器使用統計は、動作時間、注入器の数、達成された圧力及び流量、使用したプロトコルの一つ又は複数を有する項目57に記載の注入器。
(項目60)
造影剤注入システム内で、上記注入器システムの制御回路から注入シーケンス情報を送信する方法において、
リムーバブルメモリ装置を上記制御回路に接続するステップからなり、
上記制御回路は上記リムーバブルメモリ装置と相互作用し、注入シーケンス情報を上記リムーバブルメモリ装置に記憶する方法。
(項目61)
注入シーケンス情報を第2注入システムの制御回路に送信するステップをさらに有し、
上記リムーバブルメモリ装置を上記第2注入システムの制御回路に接続するステップを有し、
上記第2注入システムの制御回路は上記リムーバブルメモリ装置と相互作用し、上記リムーバブルメモリ装置からの注入シーケンス情報を上記第2注入器システムの制御回路に記憶する項目60に記載の方法。
(項目62)
造影剤注入システムにおいて、
移動可能であって流体容器に係合可能で、流体を充填し又は排出するドライブ;
上記ドライブをプログラムされた方法で制御し、患者への注入を有効にする回路;及び
メモリ;
からなり、上記回路は、上記メモリと相互作用し、上記ドライブにより実行される注入シーケンスに関する情報を上記メモリに記憶し及び/又は上記メモリから検索し、上記メモ
リは所定の注入シーケンスを認証データと関連させ、上記回路はオペレータに認証を要求することなく、上記メモリから上記所定の注入シーケンスのオペレータの検索及び修正を許容し、上記回路は、上記メモリ内の所定の注入シーケンスの変化を許容する前に、上記認証データを参照することにより、オペレータに認証を要求する造影剤注入装置。
(項目63)
造影剤注入システムのパワーヘッドにおいて、
ハウジング;
上記ハウジング内で移動可能で、第1及び第2シリンジのプランジャーに係合可能な第1及び第2シリンジラム;
上記シリンジ内で上記シリンジラムを移動するように構成された駆動機構;
上記シリンジと相互作用する電気部品と、上記電気部品を上記パワーヘッドに接続するコネクタを含む上記シリンジと関連するシリンジアクセサリ;及び
上記ハウジング内で上記駆動機構をプログラムされた方法で制御し患者への注入を有効にする回路とからなり、
上記回路は上記シリンジアクセサリに接続するための少なくとも第1及び第2コネクタを有し、上記回路は上記第1及び第2コネクタの一つに接続されたシリンジが上記第1又は第2シリンジと関連するか否かを確認する回路を含むパワーヘッド。
(項目64)
上記シリンジアクセサリは、シリンジ装着台と関連する磁石を検出する磁気センサを含み、上記磁気センサは、上記シリンジアクセサリの電気部品と相互作用し、上記シリンジアクセサリが検出された磁石の有無に基づいて上記第1又は第2シリンジと関連するか否かを確認する項目63に記載のパワーヘッド。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の原理による自動注入器システムを示す。
【図1B】本システムのパワーヘッドの部品を示す。
【図2】図1Bのパワーヘッドの主要な副部品の電気ブロック図を示す。
【図3】図1Bの注入器パワーヘッドの部分分解図であり、本発明の原理によるシリンジラム位置検出器を示す。
【図4】図3の検出器の動作の例示的なアルゴリズムのフローチャートを示す。
【図5】シリンジラム位置検出器の他の実施例を概略的に示す。
【図6】図1Bの注入器パワーヘッドの部分分解図であり、本発明の原理による照明制御ノブを示す。
【図7】図1Bの注入器パワーヘッドの部分分解図であり、フェースプレートを検出するために本発明の原理によるシリンジフェースプレート検出におけるアナログホール効果センサの使用を示す。
【図8】本発明の原理による異なるフェースプレートを検出する例示的方法のフローチャートを示す。
【図9】注入プロトコル用の圧力限界値を提案する例示的方法のフローチャートを示す。
【図10】図1Bの注入器パワーヘッド用のフェースプレートの部分分解図であり、本発明の原理によるシリンジの属性を検出するセンサ配置を含む電気部品を示す。
【図11A】本発明の原理によるシリンジの属性を検出するセンサ配置の異なる図を示す。
【図11B】本発明の原理によるシリンジの属性を検出するセンサ配置の異なる図を示す。
【図11C】本発明の原理によるシリンジの属性を検出するセンサ配置の異なる図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1Aを参照すると、本発明による注入器20は、パワーヘッド22、コンソール24、電源パック26のような種々の機能部品を含む。シリンジ36aと36bは、パワーヘッド22のフェースプレート28aと28bにある注入器20に装着されている。シリンジに例えばCT、血管造影、又は他の手順用の造影剤を充填するのに、種々の注入制御が使用され、この造影剤はオペレータ又は予めプログラムされた制御により対象に注入される。
【0024】
注入器パワーヘッド22は、シリンジ36aと36bに連結された内部駆動モータの駆動を制御するのに使用する手動ノブ29aと29bと、オペレータに注入器の現状と運転パラメータを表示するディスプレイ30とを有する。コンソール24はタッチスクリーンディスプレイ32を有し、該タッチスクリーンディスプレイ32は、注入器20の動作を遠隔制御するためにオペレータにより使用され、注入器20による自動注入用のプログラムを指定し記憶するのに使用される。プログラムはオペレータが開始すると自動的に実行される。
【0025】
パワーヘッド22とコンソール24はケーブル(不図示)により電源パックに接続されている。電源パック26は、注入器用の電源、コンソール24とパワーヘッド22の間の通信用のインターフェース回路、遠隔コンソール、遠隔ハンド又はフットコントロールスイッチ、又は例えば注入器20の動作を画像形成システムのX線露出と同期させる相手先商標製品製造者(OEM)の遠隔制御接続を有する。
【0026】
パワーヘッド22は車輪付スタンド35に搭載され、該スタンド35は、診察対象の近傍にパワーヘッド22を容易に位置決めするためにパワーヘッド22を支持するサポートアームを有している。コンソール24と電源パック26は診察室のテーブルに設置してもよいし、電子ラックに搭載してもよい。しかしながら、他の設置方法も意図されている。例えば、パワーヘッド22は天井、床、又は壁に装着されたサポートアームに支持してもよい。
【0027】
図1Bを参照すると、パワーヘッド22の詳細を見ることができる。図1Bには、フェースプレート28aと28bが取り外され、フェースプレート用の取付台40aと40bの詳細が示されている。2つの異なるフェースプレートが図1Bに示されている。フェースプレート28aは、125mlのシリンジを装着するように設計され、米国特許出願第10/211,726号に開示されたものに類似する機械的構造を使用する。米国特許出願第10/211,726号に開示されたものは参照することでここに組み入れる。これらの構造は、シリンジの円筒本体と係合し又はその係合を解除するように回動する可動アーム32を有する。シリンジは、その軸と垂直に装着して、前述の特許出願に示すように、シリンジの後方面のボタンを駆動ラムの端部の顎部と係合する。フェースプレート28bは、200mlのフロントローディングシリンジを装着するように設計され、米国特許出願第5,300,031号に図示されているものと類似の機械的構造を使用する。米国特許出願第5,300,031号に開示されたものは参照することでここに組み入れる。これらの構造は、外方に延びるアーム34を介して回転可能で、装着台40bに対してフェースプレート28bを平行移動させる回転カムを有する。回転カムはさらに、シリンジ36bの後方端のスロットと対になる係合キーを有する。これにより、シリンジの回転がカムの回転とフェースプレートの平行移動に結び付く。装着台40bに対するフェースプレート28bの平行移動により、シリンジ36bのプランジャーの後方面のボタンが、米国特許第5,300,031号に示すように、駆動ラムの端部の顎部と係合し又はその係合を解除する。
【0028】
パワーヘッド22の内部の回路は、装着台40aと40bの領域に、対応するフェースプレートの磁石を検出するホール効果センサを有する。詳しくは、位置70a/70b,
71a/71b,72a/72bに注入器パワーヘッド22の内部の回路基板にホール効果センサがある。これらのセンサは位置70a/70b,71a/71b,72a/72bに
隣接するフェースプレートに磁石の有無を検出する。位置71a/71b,72a/72bのセンサは、パワーヘッド22に装着されたフェースプレートを識別するのに使用される。すなわち、これらの位置に対応するフェースプレートにおける磁石の有無は、フェースプレートのタイプと注入器のその側で使用されるシリンジのサイズを識別する。位置70a/70bにおけるセンサは、フェースプレートが閉じているか開いているかを識別する
他の目的を有する。装着台40aと40bは、位置70aと70bに、図7を参照して以下にさらに説明するように、磁束を内部基板上のセンサに運ぶ磁性導体を有する。フェースプレート28aと28bはそれぞれ、可動装着構造に磁石を有する。すなわち、フェースプレート28aは可動アーム32の一つに磁石を有し、フェースプレート28bはアーム34に連結された内部回転カム内に磁石を有する。この磁石は、シリンジとフェースプレートが注入のために係合したときに、磁石が位置70aと70bの磁性導体と一致し、パワーヘッド22の内部のセンサを起動させるように、配置されている。なぜなら、フェースプレートの可動構造は、位置71a/71b,72a/72bにある磁石ほど、装着台40aと40bに接近していないからである。このために、磁性導体は位置70aと70bに含まれ、磁束がパワーヘッド22の内部のセンサに運ばれるのを保証している。
【0029】
装着台40aと40bはさらに、以下に詳しく説明するように、フェースプレートが注入器パワーヘッドのA側又はB側に接続されたか否かを確認するのに使用可能な磁性導体78aと78bを有する。磁性導体78aと78bはフェースプレートの内部の磁石からの磁束を運ぶ。これらの磁石は反対の極性を有し、及び/又は1つの導体78a/78bのみが磁石を有する。これにより、注入器のA又はB側のフェースプレートの位置決めは、以下に説明する125mlのフェースプレート28aのような適切な検出電子機器を備えたフェースプレートのセンサにより識別することができる。
【0030】
特にフェースプレート28aは、クレードルハウジング76を有し、このクレードルハウジング76の中にシリンジ36aが設置されている。クレードルハウジング76は、シリンジ36aの機械的支持を提供し、図10,11Aから11Cを参照して以下に詳細に説明するようなセンサをさらに収容してもよい。
【0031】
ここで説明するパワーヘッド22は二重ヘッド注入器であるが、本発明の実施形態は単ヘッド注入器も明らかに意図している。
【0032】
図2を参照すると、パワーヘッドは電源パック26(図1)との通信を実行するマイクロプロセッサを含む回路基板160を有する。適切なマイクロプロセッサは、埋め込みアプリケーションに適した「コールドファイア」家庭用マイクロプロセッサであるモトローラ/フリースケールMCF5282である。回路基板はディスプレイ30に表示を生成し
、インターフェースディスプレイ30からのタッチ情報を受け取って転送し、モータ駆動を制御し、該モータ駆動に関するフィードバック情報を受信し、パワーヘッドの後部に装着された手動ノブ29aと29bの照明を制御する。
【0033】
モータ98aと98bはギヤボックス164aと164bに連結され、モータの回転運動をプランジャーの線形平行移動に変換する。適切なモータは、米国ペンシルバニア州ハーレイスビレ、ゴッドシャルドライブ343のピットマンにより製造された品番N2341のブラシレスDCモータである。各モータの回転は光学エンコーダ166aと166bにより検出される(エンコーダ166aと166bは本質的に光源と光検出器の間で回転して電気パルスを生成するピンホィールからなる)。エンコーダ166aと166bは、電気パルスを回路基板160に送信し、該回路基板160はその電気パルスを電源パック26に中継することにより、電源パック上のCPU52はモータの移動を監視することができる。モータ98a/98bはさらに、ステータの励起の相を示す3つの位相信号を提
供し、該3つの位相信号はモータの動作を照明するために回路基板160により受信され監視され、エンコーダ166aと166bにより検出されるようなモータの回転の確認を提供する。
【0034】
図2は、注入器パワーヘッド22に接続されたフェースプレートで利用される制御電子回路を示す。詳しくは、各フェースプレートは電気要素を有し、4つのライン170a/
170b、172a/172b、181a/181b及び182a/182bを含む4つの
ワイヤコネクタジャック167a/167bを介して回路基板160に接続可能である。
【0035】
現在意図されているように、種々のタイプのフェースプレートは、ヒータブランケット又は加熱要素を有する。図1Bの28bで示す200mlシリンジ用のフェースプレートのような比較的簡単なフェースプレートでは、フェースプレート電子部品はヒータブランケット176b(ライン170bと172bの間に接続されたフィルム抵抗要素又は他の電気加熱装置)と、シリンジ温度を検出するためにライン181bと182bに熱的に連結され接続されたサーミスタ178bのような温度センサとからなる。図1Bの28aで示す125mlシリンジ用のフェースプレートのような比較的複雑なフェースプレートでは、フェースプレート電子部品は、ヒータ要素176a(フェースプレート28aの内側の回路基板1102に実装された高温抵抗であってもよい)と、温度センサ集積回路179aと、以下に説明する追加のセンサ電子機器とからなる。
【0036】
回路基板160は、パルス幅変調生成回路168a/168bを有し、これはライン1
72a/172bのグランドに対して、パルス幅変調信号をライン170a/170bに生成して、フェースプレート加熱要素176a/176bを制御温度に加熱する。ヒータ1
76a/176bの温度は温度検出回路により検出され、回路168a/168bからのパルス幅変調の制御フィードバックを与える。
【0037】
現在意図されている200mlフェースプレートでは、温度検出は温度検出回路179a/179bにより与えられる。温度検出回路179a/179bはライン181bと182bに接続され、ライン172bのグランドに対して200mlフェースプレートのサーミスタ178bを通る電流又はサーミスタ178bを横切る電圧降下を測定し、シリンジの温度を検出する。検出温度は回路基板160の回路179a/179b内でデジタル値
に変換され、その結果はライン170bのパルス幅変調を制御するのに使用される。
【0038】
現在意図されている125mlフェースプレートでは、温度検出は、回路基板1102に含まれフェースプレートのシリンジに熱的に接続された温度検出電子機器178aにより与えられる。検出温度情報は、ライン181aと182bの2ワイヤICインターフェースを使用して、回路基板1102から主回路基板160に搬送される。回路基板160内では、IC信号はICインターフェース回路184に接続され、ICインターフェース回路184は温度読取値のデジタル通信を受信し、これらを回路基板160のマイクロプロセッサに引き渡し、接続回路168のパルス幅変調出力を制御する。
【0039】
回路基板1102は、電力整流回路180から電力を引き出す。電力整流回路180はライン170a/172bのパルス幅変調信号に接続され、抵抗ヒータ176aを駆動す
る。この電力を使用して、回路基板1102は前述したように温度を検出する。さらに、機能は以下に説明するが、センサ1110と1112を使用し、シリンジのプランジャー位置とシリンジの充填状態を検出し、その情報をICインターフェースを介して主回路基板160のマイクロプロセッサに与える。
【0040】
主回路基板160の回路は、125ml又は200mlフェースプレートのいずれか、あるいは他の制御電子機器を備えた潜在的な他のタイプのフェースプレートが、インターフェースジャック167a/167bのいずれか又は両方に選択的に接続されるように適
合されていることに注意すべきである。特に、スイッチ183a/183bはライン18
1a/181bと182a/183bの間、ICインターフェース184a/184bと
温度回路179a/179bの間に介在されている。これにより、ジャック167aと1
67bに接続されたフェースプレートのタイプに基づいて、ライン181a/181bと
182a/182bに対する適切な接続の回路基板160による選択が可能である。
【0041】
ジャック167aに接続されたタイプのフェースプレートを検出し制御するために回路基板160のマイクロプロセッサにより使用される方法論は、定期的にスイッチ183aを設定してライン181aと182aを対応するICインターフェース184aに接続し、IC接続を行うことができるか否かを決定することを必要とする。そうであれば、125mlフェースプレートと同様に、IC接続として181aと182aを使用して操作を進める。接続を行うことができなければ、ライン181ato182aをスイッチ183aを介して対応する温度回路179aに接続し、これらのラインに接続されたサーミスタを示すこれらのラインを通る帰還電流があるか否かを決定することにより操作を進める。そうであれば、200mlフェースプレートと同様に、温度検出用のライン181aと182aを使用して操作を進める。帰還電流がなければ、注入器のA側のフェースプレートに接続されていないことを決定し、適切なエラー信号を発生することができる。同様の方法論をライン181b,182b、スイッチ183b、ICインターフェース184b及び温度回路179bに使用し、ジャック167bに接続されたフェースプレートのタイプを決定し制御することができる。
【0042】
制御回路160とフェースプレートはさらに、オペレータが注入器の動作を妨げることなくA側又はB側のフェースプレートをコネクタージャック167aと167bのいずれにも接続することができるように適合されている。特に、前述したように、注入器22装着領域40aと40bは磁気インジケータ78aと78bを有する。この磁気インジケータ78aと78bは、注入器のA側とB側に区別可能な磁気信号を生成し、一方の側に磁石が有って他方の側に磁石が無いように、あるいはA側とB側のそれぞれに反対のN−S方位の磁石があるようにする。125mlフェースプレート28aの回路基板のホール効果センサ174は、フェースプレートが注入器に装着されると磁気インジケータ78aからの磁束を検出し、フェースプレート電子機器1102に信号を引き渡す。この信号は、これらの電子機器1102がライン181aと182a上で通信しているICアドレスを決定するのに使用される。結果として、ICインターフェース回路184a/184
bがライン181a/181bと182a/182b上でIC接続を確立しようと試みると、接続が確立されているアドレスは、フェースプレートが注入器のA側又はB側にあるか否かを決定し、回路基板160のマイクロプロセッサにフェースプレートがどこに位置しているかを知らせる。これにより、マイクロプロセッサは注入器の識別された側で注入を制御することを適切に進める。これは、同じタイプ(例えば125mlタイプ)の2つのフェースプレートが注入器のA側とB側に設置されたときに、マイクロプロセッサが注入器パワーヘッド22を適切に制御することを許容し、注入器を使用する技術者を、フェースプレートの接続コードがコネクタージャック167aと167bの一つに接続されたことを保証する如何なる要求からも解放する。
【0043】
ある実施形態では、回路基板160は取り外し可能なメモリカード206に接続するためのリムーバブルメモリカードソケット204を有し、又はそれを接続してもよい。ソケット204及びカード206には、デジタルカメラやポータブルコンピュータ、携帯情報端末などで従来から使用されているメモリスティック(登録商標)、セキュアデジタルマルチメディアメモリカード(SD/MMC)のような種々の入手可能なメモリカード技術を使用してもよい。取り外し可能なメモリデバイスは、注入器形態情報や注入器使用統計のような種々の注入情報をダウンロード及びアップロードするのに使用してもよい。
【0044】
メモリデバイスに記憶する注入器形態情報は、オペレータによって設定される注入シーケンス又はプロトコルを含めてもよく、これによりこれらのプロトコルをある注入器から他の注入器に容易に転送することができる。典型的には、注入プロトコルのプログラミングは多重ステップの形態を含み、各ステップは、潜在的に種々の注入又はスキャン遅延時間、圧力限界、プロトコル名、その他のパラメータはもちろん、流量及び時間又は容量を含む。従来公知の注入器注入器の問題は、第2の注入器をマニュアルで再プログラミングすることなく、そのようなデータをある注入器から他の注入器に簡単に移動させることができないことである。注入器がサービスの一部として取り換えられたとき、記憶したプロトコルが失われ、潜在的にフラストレーションの実質的根源となる。さらに、多様な注入器を有する病院の環境では、多様な注入器にわたるプロトコルを使用することを望む技術者は各注入器をマニュアルで再プログラミングすることなく使用したいであろう。このようなプロトコル情報のアップロード及びダウンロードを許容するリムーバブルメモリはいずれの状況でも使用することができ、ある注入器から他の注入器へのプロトコルの移動の工程を劇的に単純化することができる。
【0045】
記憶したプロトコルを備える公知の注入器のさらなる問題は、これらのプロトコルが技術者によって変更されることがあるために有効に管理することが困難なことである。例えば、前述の病院環境では、ある注入器又は多様な注入器でプロトコルを繰り返し使用したい技術者は、プロトコルを創設するだけでなく、記憶されたプロトコルを監視し、他の技術者により変更されていないかを保証する必要がある。この問題は、ある技術者が他の技術者により創設されたプロトコルを僅かに異なるパラメータを有する注入器の「開始点(startingpoint)」として使用する場合に特に深刻である。このような状況では、第1の技術者によって入力された以前の記憶プロトコルを第2の技術者は修正し、以前の記憶プロトコルを上書きする誘惑にかられる。
【0046】
例えば米国特許公報2004/0064041号第31頁には、プロトコルの編集を防止するために、パスワード基づく「プロトコルロック」を設けることが提案されている。この公報に記載されているように、プロトコルロックはプロトコルに変更を加える前に解除しなければならない。しかしながら、プロトコルの編集の完全なロックは、技術者が他人によって創設されたプロトコルを注入器の特別な使用のためであっても「開始点」として使用するのを妨げる欠点を有している
【0047】
本発明の原理によると、改良された方法で以下のように管理される。記憶プロトコルはパスワードと関連させ、記憶プロトコルの無許諾修正を防止する。しかし、パスワードの結合は変更の記憶を阻止するだけであり、使用又は修正は一般に阻止されない。パスワードを入力することなく、特別な注入のためにプロトコルのパラメータを検索し修正することが依然として可能である。しかし変更はパスワードを与えることなく記憶プロトコルを上書きしてセーブすることはできない。しかしパスワードが無い場合、注入器は利用できるメモリ空間があれば変更プロトコルを新しい名前で記憶する便宜を与えてもよい。
【0048】
さらに、注入器統計は、例えば残りの注入器がサービスされていると同時に、リムーバブルメモリからアップロードされ、又はリムーバブルメモリにダウンロードされてもよい。注入器に記憶しメモリデバイスに移動することができる注入器使用統計は、運転時間、注入数、達成圧力及び流量、及び利用プロトコルを含めてもよい。ある注入器からのこのような統計の収集は、サービスを向上し、将来市場での注入需要の評価を助け、これらの統計をリムーバブルメモリに移動することができることによりこれらの目的を早く達成できる。
【0049】
回路基板160は、フェースプレート装着台に隣接する回路基板に装着された図2に56a/56bと58a/58bで示すホール効果センサの出力を検出する。これらのセンサの使用については図7−8を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0050】
シリンジラムが移動する際に当該シリンジラムの位置を監視する光学エンコーダ166aと166bに加えて、例えばパワーヘッドが電力をオンオフされるときにラムの絶対位置を知ることも有益である。以前のアプローチは、シリンジラムの位置を監視するのに線形ポテンシオメータを使用した。注入器が動作すると、ラムが移動するにつれてポテンシオメータが移動する。例えば、線形移動ポテンシオメータはラムの一部とともに移動する。一方、回転ポテンシオメータはボールスクリュとともに回転する。いずれのタイプのポテンシオメータでも、ラムとポテンシオメータの間の物理的連動が必要であった。
【0051】
図2と図3は、シリンジラム308の絶対位置を検出するためにラムとの接触を必要とせず、また「ホーム」位置に復帰することなく電源を入れた時にこの位置を検出する代案の改良されたアプローチを示す。
【0052】
この機構は、各ラムに2極磁石306a/306bと、各フェースプレート用の一連の
アナログ(又は線形)ホール効果センサ312−1a/312−1b,312−2a/312−2b,312−3a/312−3bと、回路基板160の制御電子機器とを有する。
各ラムの磁石306a/306bは、長軸に磁極を備え、出来るだけ小さいことが有利で
ある。動作中、磁石306a/306bは、ボールねじナットとラム取付領域に設置され
る。ホール効果センサ312−1a/312−1b,312−2a/312−2b,312−3a/312−3bは、図3(ナット304b、磁石306b、センサ312−1b,
312−2b,312−3bを示す)に最もよく示すように、ナット304a/304b
が移動する経路に沿って回路基板160上に設置される。各磁石306とセンサ312の間の隙間距離は良好な磁気検出を保証するために比較的小さくされ、例えば約0.125インチである。使用するホール効果センサの数は、ラム308a/308bが移動する全
距離、磁石306a/306bの長さL、絶対位置検出が望まれる位置の望ましい数に依
存する。本実施例は各ラムに3つのセンサ312−1a/312−1b,312−2a/312−2b,312−3a/312−3bを使用しているが、本発明の実施形態は僅か1
つのセンサ、3つ以上のセンサを使用することも企図している。
【0053】
マイクロコントローラやマイクロプロセッサのような制御電子機器は、センサ312−1a/312−1b,312−2a/312−2b,312−3a/312−3bと通信し
、センサからの信号を分析する。このような制御回路は好ましくは、主制御回路160で見られるように(図2)、非揮発性及び揮発性メモリ、アナログデジタルコンバータ(ADC)、種々の入出力回路を含む。
【0054】
図4は、磁石位置センサと関連する図2のエンコーダ166を利用するアルゴリズムの一例のフローチャートを示す。この方法によると、ステップ402で、ラム308aの「ホーム」位置は、その位置のセンサ312−1a/312−1b,312−2a/312−2b,312−3a/312−3bから受信した信号とともに、マイクロプロセッサのメ
モリに記憶される。好ましくは、ホール効果センサからのアナログ信号は、アナログデジタルコンバータ(ADC)を使用して、マイクロプロセッサ用の適切な信号に変換される。センサのキャリブレーションは、ステップ404で、特定セットのセンサ読取値をラムの端位置を含む既知の位置と関連させる多数の異なる入力を記憶することで継続される。シーケンスの間の注入器の動作中、マイクロプロセッサはステップ406でホール効果センサの指示を受信し、ステップ408で検索操作を使用し、シリンジラムの絶対位置を決定する。この動作は、受信したセンサ信号からラム位置を近似するために、2つの既知のセンサ状態と対応するラム位置との間の補間を実行することを含めてもよい。これにより、マイクロプロセッサのメモリに記憶された情報は、電力が回復した後にラムが「ホーム」位置に帰還していなくとも、シリンジラムのストローク限界位置と基本位置情報を確認することを可能にする。
【0055】
図3に示す実施形態では、センサ312−2bと312−3bは広く離れて配置され、ラム磁石306aがこれらのセンサの間にあるときの絶対位置情報の収集を制限していることに注意すべきである。これは問題の原因であると分からなかったが、典型的な注入器の使用はラムをかなり定期的にストロークの一端または他端にもってゆくことが必要であると分かっており、そのときに絶対値が最小補間誤差で決定される。このような事象の間、エンコーダ166a/166bとモータ98a/98bからのモータ位相信号を使用する付加的な位置追跡が十分に正確であると分かっている。
【0056】
有利な代案の実施形態では、図3の実施形態の潜在的な限定が取り除かれ、磁石306が常に2つのセンサの検出距離内にあるようにセンサが配置されている(センサ間の距離が必然的に限定される)。磁石306の中心が無磁石の同一の検出可能な磁束密度を有しているため、一つのセンサだけが磁石を検出するのに使用され、該センサの中心上に磁石が停止すると、絶対位置を決定することができない。したがって、ある特殊な配置では、磁石の中心が一方のセンサの上を通過した際に磁石306は少なくとも2つのセンサにより検出される。磁石が信頼性をもって正確に検出されるのを保証するために、センサの検出領域が重複していることが好ましい。このような実施形態では、磁石304は長さLを有し、各センサは重複長さYを有している。2つの隣接するセンサ間の距離はL−Yに選択される。この確率された間隔基準内で、注入器の全ストローク長さDはセンサの数nを決定するのに使用することができる。特に、D=n(L−Y)。磁石306とホールセンサ312−1a/312−1b,312−2a/312−2b,312−3a/312−
3bの間の垂直距離Hは、センサ312の感度はもちろん磁石306の強度に依存する。容易に入手可能な磁石とセンサを使用すると、この高さは典型的には約0.125インチである。しかし、他の距離も同様に本発明により企図されている。
【0057】
図5は、以前の位置監視回路で使用されていたような接触式ポテンシオメータを必要とすることなく、シリンジラム308の絶対位置を決定する代案の装置を示す。反射面502がラム308のナット304に取り付けられ、発光源504が放射光を反射面502に放射し、そこからの反射を検出できるようになっている。図の発光/検出装置504ha「光学」の名称がつけられているが、可視スペクトルの外側の放射エネルギーは本発明の範囲内であると明示的に企図されている。回路基板510に装着することができる光学距離測定装置504の一つの例は、品番GP2D120としてシャープエレクトロニクスにより製造されている。この特殊な光学装置は、LEDから赤外線を放射し、反射器で反射した後に戻る光量を検出する。戻った光量は装置と反射器の間の距離に比例する。これにより、装置504内で、戻り光は反射面の距離を示すアナログ電圧に変換される。主回路基板160(図2)に見られるようなADCは、このアナログ電圧をデジタル信号に変換するのに使用することができ、該デジタル信号はマイクロプロセッサによりシリンジラム308の絶対位置を算出するのに使用される。図4のアルゴリズムに示す方法と同様に、関連する電圧レベルと符号化位置の組みを記憶するのに参照テーブル(lookup table)
を使用することができる。この結果、装置504からの検出電圧レベルを使用して参照テーブルを介して検索することで、ラム308の絶対位置が決定される。
【0058】
従来の自動注入器は、約1cmから30cmの範囲の距離を検出することができる光学装置504を使用することが好ましい。しかし、当業者は、検出可能な距離の範囲をカスタマイズするのに、前述した装置以外の装置または特別に設計したディスクリート回路を使用してもよいことを認識するであろう。
【0059】
ここに説明した自動または動力注入器は、造影剤又は他の液体がシリンジを充填し又はシリンジから排出されるように、ラムシリンジを自動的に移動する。このような動作はオペレータの多数の仕事を単純化するが、オペレータがシリンジラムの移動を手動で制御することを望むいくつかの状況がある。ある注入器のコンソールとパワーヘッドはシリンジラムを一方に又は他方に移動させるプッシュボタン又は類似の機構を備えているが、他のコンソールとパワーヘッドは、オペレータが回転してシリンジラムの移動を有効にするノブを付加的に備えている。コントロールバー/レバーも使用されている。
【0060】
自動注入器設備を操作するオペレータは、たびたびスキャナ室を出て、スキャナ室内のX線及びその他の潜在的に有害な状態に曝されるのを避けている。このような状態で、典型的には、オペレータは遠く離れた制御室から患者と注入器を監視している。注入器が注入プロトコルを実行する際に、注入器のLEDデバイス又はディスプレイは、プロトコルのステップにより変更されるであろう。またコンソールは、典型的にはプロトコルが進行するにつれて更新される視覚ディスプレイを有する。しかしながら、注入器のインジケータは注入器の作動機構と直接接続されていないし、さらに遠隔からは容易に見ることができない。これは公知の注入器の制限であり、ここに記載する注入器が直面していることでもある。
【0061】
図6は、前図の二重ヘッド注入器パワーヘッド22の内部構造と、2つの別個の手動制御ノブ29aと29bを示す。本発明の原理によると、注入器パワーヘッド22の手動操作ノブ29aと29bは、シリンジラムの動作特性を直接示す可視的フィードバックをオペレータに提供するように使用される。手動ノブは駆動ネジに直接又はギアを介して連結され、通常はシステムから空気を手動で取り除くのに使用される。多重ヘッド注入器の場合、各駆動システムはそれ自身の別個の手動ノブ29aと29bを有し、これらのノブは流体を正確に患者に吐出し、または患者から引き抜くのに使用することができる。ノブ29aと29bはラムに接続され、ラムが流体を患者に注入するのと同時に回転するため、自動注入中のノブ29aと29bの回転は、オペレータにラムの動作についての直接フィードバックを与える。例えば、ノブの回転はその相対速度はもちろんラムの移動を示す。ある例示的な実施形態では、ノブ29aと29bは、微光状態で回転が遠くから容易に観察できるように照明される。
【0062】
ノブの内側を照明する光源として1又はそれ以上のLED607が使用されている。これらのLEDは、図2に示すように回路基板160に電気的に接続されているが、ノブ29aと29bに隣接する離れた回路基板604に存在している。図6に詳細に示すように、ノブ29aと29bは、不透明領域702と透明又は半透明領域704を有する。不透明領域は好ましくは比較的高摩擦で軟質感のある材料で形成され、魅力的で機能的に有効な触感の面を提供している。一つの適切な材料はサントプレン(Santoprene)の品名で商業的に入手可能である。不透明領域及び透明又は半透明領域はノブのある部分から光りを放射させるが他の部分からは放射させない。シリンジラムが移動すると、オペレータは遠くの位置からノブの相対速度とともに回転を直接観察することができる。ある例示的な実施形態では、ノブの内部構造は、LED607から放射された光をノブ29aと29bの透明領域704に導くライトパイプ605として挙動するのが好ましい。
【0063】
従来、ある色を注入器の状態と関連させる自動注入器が開発されている。例えば、過去において、注入器が注入、停止、圧力制限等が可能か可能でないかを示すのにある特定の色のLEDが照明されていた。図6に示すLEDデバイス607はこれらの従来技術も同様に維持するように使用してもよい。したがって、ノブ29a/29bを単純には照明し
ないが注入器の状態に対応する色で照明するように、マルチカラーLED607を使用してもよい。
【0064】
図7は、フェースプレート28bが装着されているパワーヘッド22の一部40bの破断図を示し、装着台40bの近傍のホール効果センサ56bと58bを示す。前述したように、パワーヘッドは取り外し可能なフェースプレート28aと28b(図1)を有し、異なる大きさの孔を有する異なるフェースプレートがパワーヘッド20が異なる大きさのシリンジを受容できるように使用されている。例えばあるフェースプレートは小容量シリンジとともに使用するようなサイズにされ、他のフェースプレートは大容量シリンジとともに使用するようなサイズにされている。予め充填されたシリンジは空で購入したシリンジと異なるサイズと寸法を有していてもよい。これらの異なるシリンジサイズを収容するために、異なるフェースプレート28が必要である。フェースプレートはシリンジを交換するのに取り外す必要はないが、異なるサイズのシリンジを使用するには取り外してもよい。回路基板160上の制御回路はどのフェースプレートがパワーヘッド22に装着されているかを検出できることが必要である。異なるタイプのシリンジは異なる長さを有していてもよい。この場合、パワーヘッド22は、プランジャー駆動ラムの行程端位置を決定するとき、及びシリンジ内の容積を算出するときに、長さの変化に対して補償することができなければならない。同様に、異なる径のシリンジはプランジャー駆動ラムの行程の同一割合に対して異なる流量を生じる。必要流量をプランジャー駆動ラムの移動量に変換するときに、制御回路はこれに対して補償しなければならない。さらに、予め充填されたシリンジは、空で販売されているシリンジよりも異なる充填シーケンスを必要とする。注入器は、予め充填されたシリンジとともに使用されるフェースプレートが搭載されるときに、そのような異なるシーケンスをフ実行してもよい。
【0065】
識別のために、各異なるフェースプレート28は、例えば駆動ハウジングの前面の位置71a/71bにある注入器の内側のセンサと一致するように、及び/又は、例えば位置70a/70bにあるセンサに導かれる磁気導体と一致するように、そこに装着された永久
磁石の独特な組合せを有する。本発明の異なる実施形態は、異なる数のフェースプレート磁石と、異なる数の対応するセンサ56と58とを企図している。
【0066】
フェースプレートの永久磁石の数及び位置を検出するために、パワーヘッド22の回路基板160は、フェースプレートに存在する各磁石に対して関連するホール効果センサ56a/56bを有する。これらのセンサ56/58は、回路基板160の縁の近傍に配置
されている。典型的には、パワーヘッド22のハウジング69はアルミニウムのような非磁性材料で製造されている。したがって、永久磁石によって生成される磁界はホール効果センサに進入し、これによりフェースプレート28に永久磁石の有無をフェースプレート28から回路基板160上の検出器により遠隔的に検出することができる。
【0067】
デジタルホール効果センサは過去の自動注入器システムにおいて注入器フェースプレートの存在を検出するのに使用されてきた。しかしながら、このような磁気センサは、製造時に設定され変更不可である切り換え閾値(switchingthreshold)を有している。した
がって、磁石を検出するために、予め決定された最小量の磁束が磁石からセンサに伝送されなければならない。パワーヘッド注入器の製造工程では、ユニット毎にかなりばらつきがあり、異なるフェースプレート上の磁石の有無を信頼性をもって正確に検出するデジタルホール効果センサについて問題がある。この問題に対する一つ解決手段は、位置70a/70bで行われているように、磁束をセンサに引き渡す磁性導体を使用することである
。この磁性導体の使用は、米国特許第5,868,710号に開示されている。同特許は本出願とともに同一人に譲渡され、その内容はその全体をここに組み入れる。しかしながら、本発明の原理によると、図7の磁気センサ56/58は伝統的なデジタルホール効果
センサに代えて、アナログホール効果センサが選択されている。
【0068】
センサ56aと56bは、フェースプレートが開いているか否かを(図1Bの位置70a/70bに隣接する磁石を検出することで)検出する。開いていれば、回路基板160
はそのメッセージをパワーパック26に送信する。これにより、フェースプレートが閉じられるまで、いかなる注入手順も防止することができる。フェースプレートの可動部分により支持された磁石がフェースプレート28の最も後方の面に直ちに接近しないように、位置70a/70bで磁性導体が使用されている。
【0069】
センサ58a/58bは、位置71a/71bと72a/72bと反対側で回路基板16
0に配置されているが、使用中のフェースプレートのサイズを決定する。例えば、あるフースプレートは、装着したときに、位置71に磁石を有し、位置72には磁石を有しない。これに対し、異なるフェースプレートは位置71に磁石を省略し、位置72に磁石を有していてもよい。さらに、フェースプレートをさらに区別するために、センサ56aと56bは磁石のNS極性を検出してもよい。これにより、位置71に注入器と対向するN極を有するフェースプレートは、位置71に注入器と対向するS極を有するフェースプレートと区別することができる。磁石の不存在だけでなく磁石のN又はSの方位を検出することにより、位置71と72のそれぞれにおける3つの状態を確認してもよい、これによりフェースプレートを確認する磁石の8つの可能な組み合わせが可能である(フェースプレートが装着されていないときを注入器が確認できるように各フェースプレートは少なくとも1つの磁石を有する)。さらに、センサ58a/58bが、フェースプレートが開いて
いるか否かを確認するだけでなく、フェースプレートを確認するのに使用される位置70a/70bの磁石の極性を決定するように、位置70a/70bの磁石に反対の極性を使用することを潜在的に許容することは本発明の範囲である。センサ58a/58bにより検
出されたN−S極がフェースプレートを確認する変数に含まれているのであれば、磁石の可能な組み合わせの数は16に増加する。
【0070】
潜在的にセンサ56a又は56bにより検出される極性から、センサ58a又はセンサ58bのいずれが起動したかを決定することによりどのフェースプレートが注入器のA側とB側に装着されたかを決定することができる。この情報はさらにパワーパックのCPUに回送され、これによりCPUはモータ98aと98bを制御するときに異なるシリンジサイズに対して補償することができる。
【0071】
フェースプレートの確認にアナログホール効果センサを使用する有利なアルゴリズムは図8に提供されている。このアルゴリズムによると、ステップ902でフェースプレートが取り付けられ、ステップ904でアナログホール効果センサが信号レベルが取得される。ある有利な実施形態では、センサレベル読取値は、取り付けられたフェースプレートに対して取得され、他のレベル読取値は取り外されたフェースプレートに対して取得される。次に、2つのレベルの読取値の間の約中間であるように閾値が各センサに対して決定される。ステップ906では、この閾値はフェースプレート識別名とともに記憶される。したがって、注入器システムの運転中、アナログホール効果センサは制御回路によって読み取られ、読取値は記憶した閾値と比較される。この比較に基づき、フェースプレートはさらに正確に確認することができる。換言すれば、アナログホール効果センサは、各フェースプレートに対して、センサ製造業者、磁石強度及びその他の変動要因の変換を考慮して較正される。ある実施形態では、センサからの信号は、フェースプレートがパワーヘッドに配置されている間の過渡的な信号を無視するようにして取得される。
【0072】
前に詳細に説明したように、自動注入システムはたいていメニュー画面から選択することができる自動プロトコルを含む。オペレータはプロトコルについての情報を選択し、必要であればあるパラメータを修正し、各状況に対してプロトコルをカスタマイズする。次に、パワーヘッドはプロトコルを実質的に自動的に実行することができる自動運転モードに設定することができる。
【0073】
多くの自動注入システムは、適正プロトコルセットアップと流量制限セットアップに対して安全機能として作用する圧力制限機能を有する。オペレータが特定の流路セットアップに対して流量をなにげなく高めにプログラムした場合、流体圧力は容認できないレベルに増加する。換言すれば、プログラムされた流量は適切に設定してもよいが、流路閉塞により流体圧力が容認できないレベルに増加する。いずれの場合にも、ソフトウェアの圧力制限機能が起動し、流量を制御して流路圧力を低下するので、所定量を超えないことが保証される。
【0074】
本発明の実施形態は、図9の例示的なアルゴリズムを実行し、オペレータによる圧力制限設定入力の精度を増加する。適切な圧力制限値がオペレータにより入力されることを保証することにより、多くの利点がある。圧力制限が低すぎると、プロトコルが不必要に妨害され、オペレータは多数の機能を手動で実行し、又は種々の警報や警告を手動で対応することが必要になる。圧力制限が低すぎると、注入器は、圧力が増加し過剰に高い圧力を通過するまで問題に反応しない。
【0075】
図9のアルゴリズムによると、自動注入器はステップ1002で様々な記憶されたプロトコルを実行する。これらのプロトコルの実行中、ステップ1004でプロトコル中に達成された流体圧力に関する履歴データが収集され、記憶される。収集されるデータは、平均圧力、最高到達圧力、統計的に有意な圧力変化、達成圧力の標準変化などを決定するために、統計的に分析することができる。
【0076】
オペレータがメモリから実行するプロトコルを検索すると、パワーヘッドのソフトウェアは、ステップ1006で、オペレータに圧力制限値を入力させる。しかしなから、単にオペレータの知識又は経験に頼るよりも、メモリに記憶された統計的情報を使用し、ステップ1008で、適正流体制限値がいくらであるかに対するユーザへの提案を表示する。この提案値は、そのプロトコルに対する平均流体圧力、そのプロトコルに対して達成された最高圧力、又はこれらの値についても固定百分率であってもよい。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、履歴データに基づいて、多くの異なる提案値をオペレータに与えることができることを理解するであろう。
【0077】
提案に基づいて、ステップ1010で、オペレータはあるプロトコルに対する圧力制限値を入力する。代案として、提案値は、オペレータが単に選択値を確認するだけのデフォールト値として自動的に作成してもよい。さらに、オペレータの選択した圧力制限値にかかわらず、注入器はあるプロトコルの従前の実行で達成された圧力を利用して、圧力超過の警告を発する閾値を決定し、又は注入を中止してもよい。例えば、この主のあるアプローチは、現在のプロトコルに対して以前に経験した平均圧力からの標準偏差のある数値よりも大きな圧力、例えば、平均値の標準偏差の1.5倍以上を検出すると、オペレータに警告し、以前に経験した平均圧力からの標準偏差の大きな数値より大きい圧力、例えば平均値の標準偏差の3倍以上を検出すると、注入を中止する。
【0078】
このような圧力制限計算に対する統計的アプローチを容易にするために、注入器は所定のプロトコルの成功した通常の実行のみから平均値及び標準偏差の図を構築する必要がある。これにより、例えば、注入器により圧力過剰状態が検出された場合、注入器は。屈曲チューブのような異常状態が過剰圧力状態を引き起こしたか否かをオペレータに問い合わせる。異常状態が過剰状態を引き起こしたのであれば、その結果生じた圧力データは将来の統計計算から除外し、注入器より収集された平均及び標準偏差データが異常データにより歪曲されないようにしている。
【0079】
多くのプロトコルや該プロトコルが実行されている方法に影響を与える一つの有益なパラメータは、シリンジ容量である。ある状況では、オペレータは、予め充填されたシリンジ用のインターフェーススクリーンを介してシリンジ容量を入力することを要求される。シリンジの外部の物理的寸法が同じであったとしても、シリンジの容量は異なるかもしれない。この情報を手動で入力すると意図しないエラーが生じることがある。したがって、予め充填されたシリンジとその容量の自動検出は、自動注入器システムにおける自動プロトコルの精度と信頼性を有利に向上する。
【0080】
図10は、前述した125mlシリンジのフェースプレート電子機器を含む回路基板1102を示す。この回路基板は例示的な検出システムにおけるセンサを利用し、その動作は図11A−Cに詳細に記載されている。これらの図では、制御基板1102は一連のセンサ1110と1112を収容している。図2を参照して説明したように、この回路1102はパワーヘッドの動作を制御する主回路基板160(図2)と通信している。この通信チャンネルを通して、センサ1110と1112により検出された情報は、さらなる解析のため、又はプロトコル性能を制御するときに使用する情報として主回路160に伝送される。
【0081】
回路基板1102は、該回路基板1102とシリンジ1104を少なくとも部分的に囲むハウジング又はその他の支持構造内に収容されてもよい。一つのそのようなハウジングは図1Bのパワーヘッドに示すハウジング76である。ハウジング76は、クレードル領域1120(図11C)を含み、該クレードル領域は、シリンジ1104を物理的に支持する一方、パワーヘッドアセンブリに取り付けられ、シリンジ1104に対して固定位置に回路基板1102を保持する。
【0082】
センサ1110は、特定波長の放射線を放射し、その放射線の反射を検出する。特に、赤外線レベルは有効である。なぜなら、シリンジ1104はその波長で実質的に透明であり、プランジャ1106は無反射であるからである。しかし、プランジャ支持ディスクは反射するので、一つのセンサ1110により検出される。プランジャ支持ディスク1108は図11Bに比較して図11Aでは異なる位置に配置されている。これにより、異なる検出器1110が各状態においてディスク1108の存在を検出する。例えば、最も右側のセンサ1110が図11Aの125mlシリンジ用のディスク1108を検出する一方、最も左側のセンサ1110は図11Bno50mlシリンジ用のディスク1108を検出する。これらの図の例示的なセンサ基板1102は3つのセンサ1110を含む。なぜなら、従来の大きさのシリンジは典型的にはこれらのセンサの位置の範囲を包囲するからである。しかしながら、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなくこれより少ない又は多いセンサ1110を使用することができることを理解するであろう。
【0083】
一対のセンサ1112が図11A−Cに記載されている。この一対のセンサは、一方が送信機として動作し、他方が受信機として動作する。2つのセンサ1112の間の光路が閉塞されれば、解放している場合よりも異なる信号が生じる。例えば、シリンジ1104に流体が存在すると、シリンジ1104が空であるときに比べて、2つのセンサ1112の間の信号が減衰する。したがって、センサ1112はシリンジが空であるときを検出するのに使用することができる。
【0084】
周辺光はセンサ1110に当たると、それらの読取値の精度に影響を及ぼす。したがって、本発明の一つの実施形態は、未変調の帰還信号の受信は望まないノイズとして廃棄されるようにその出力を変調するセンサ1110を企図している。追加又は代案として、クレードル1120は周辺光を反射し、センサ110を過剰な周辺光から保護する材料で構成してもよい。さらに、シリンジヒータのような従来のシリンジ及び自動注入器の機能を含めて、それらがセンサ1110と1112の動作と干渉しないようにしてもよい。
【0085】
本発明は種々の実施形態を記載することで例証し、これらの実施形態は非常に詳細に説明したが、クレームの範囲をこれらの詳細な記載に制限することは出願人の意図することではない。さらなる利点や修正は当業者に明らかである。本発明は広い意味においてこの特定の詳細な記載、代表的な装置及び方法、図示され記載された例示的実施例に限定されるものではない。したがって、出願人の一般的発明概念の精神及び範囲から逸脱することなく、このような詳細から離脱してもよい。
【符号の説明】
【0086】
36a,36b シリンジ
174 ホール効果センサ
308 シリンジラム
306a,306b 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1A】
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【図1B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公開番号】特開2013−46796(P2013−46796A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−237959(P2012−237959)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2007−536788(P2007−536788)の分割
【原出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(595181003)マリンクロッド インコーポレイテッド (203)
【Fターム(参考)】