説明

自動消火装置

【課題】狙い定めた部位において、炎の発生判定を瞬時に行い、炎が燃え広がってしまう前に消火剤を噴射して消火を行う自動消火装置を提供する。
【解決手段】紫外線センサー5b、消火剤噴射ノズル5cおよびレーザーポインター5dを内蔵し、自在に方向調節可能に取付けられたヘッドユニット5を有し、あらかじめ狙い定めた部位の紫外線発生を監視する。紫外線センサーが炎による紫外線発生を感知すると、その信号をコントロールユニット1bが受けて噴射ユニット1eを動作させ、ヘッドユニットから消火剤を狙い定めた部位に噴射する。消火剤を充填したカートリッジ1fを複数個有し、コントロールユニットにて消火するまで1個ずつ連続して噴射するモードや複数個を同時に噴射するモードを状況に応じて切換えて設定できる。また、消火剤噴射ノズルには微小径の複数の穴が開いており、消火剤の噴流速度、拡散範囲などを消火する上で最適な状態に整流する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炎の発生を感知して、自動的に消化剤を噴射し消火を行う自動消火装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動消火装置は、火元を特定せずに一定の範囲全域の火災監視および消火を行うものが殆どで、火災の判定には、誤判定を防ぐために感熱センサーや赤外線センサー、紫外線センサーなどを組合せて利用するものや、火炎の熱で装置の一部が変形・溶融する現象を利用して消火剤を散布するものが殆どである。いずれの場合も温度上昇が火災判定の決め手である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのために、次のような問題点があった。
(イ)火災の判定に一定の時間を要し、その間に炎が燃え広がってしまう。
(ロ)そのため、延焼範囲が広くなり多量の消火剤を必要とする。
(ハ)多量の消火剤を必要とすることから装置自体が大きく、嵩張る。
(ニ)従ってコストが高い。
本発明は以上の問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
紫外線センサー、消火剤噴射ノズルおよびレーザーポインターを内蔵し、自在に方向調節可能に取付けられたヘッドユニットを有し、このヘッドユニットがレーザーポインターを目安にしてあらかじめ狙い定めた部位の紫外線発生を監視する。紫外線センサーが炎による紫外線発生を感知すると、その信号をコントロールユニットが受けて噴射ユニットを動作させ、ヘッドユニットの消化剤噴射ノズルから狙い定めた部位に消化剤を噴射する。このとき、火災判定を紫外線センサー信号のみで行うので発火とほぼ同時に消火剤噴射を行う。また、消火剤を充填したカートリッジを複数個有し、コントロールユニットのプログラムにて消火するまで1個ずつ連続して噴射するモードと複数個を同時に噴射するモードを状況に応じて切換えて設定できる。また、消火剤噴射ノズルには微小径の複数の孔が開いており、消火剤の噴流速度、拡散範囲などを消火上適度な噴流に整流する。以上を特徴とした自動消火装置である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、工作機械の切削工具先端や家庭のIHクッキングヒータなど、発火場所が特定できる場合において、発火とほぼ同時に消火するので、延焼を極めて狭い範囲にとどめることが可能である。従って、消火剤の量も極めて少なくて済み、非常に経済的であると共に装置の大きさも小型化でき、設置の容易性が極めて高く、価格も安価に提供することが可能である。また、消火剤に二酸化炭素を使えば、消火後の清掃処理も不要であるので大変有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(イ)本発明の全体構成として本体1、フレキシブルホース2、中継箱3、フレキシブルメタルホース4、ヘッドユニット5よりなる。
(ロ)本体1は箱1a、コントロールユニット1b、電源ユニット1c、リレー1d、噴射ユニット1e、消火剤カートリッジ1f、電源スイッチ1g、電源プラグ1hなどにて構成する。
(ハ)フレキシブルホース2は中に電気配線2aおよび消火剤チューブ2bを内包する。
(ニ)中継箱3はフレキシブルメタルホース4およびヘッドユニット5を支持し、火元特定部位付近に固定するためのものであり、電気配線2aおよび消火剤チューブ2bを通過させる。
(ホ)フレキシブルメタルホース4はヘッドユニット5を支えると共に電気配線2aおよび消火剤チューブ2bを中に通過させる。
(ヘ)ヘッドユニット5は筐体5aの中に紫外線センサー5b、消火剤噴射ノズル5c、レーザーポインター5d、レーザーポインタースイッチ5eおよび紫外線センサー5bのコントロール基板5fなどを内蔵し、先端部をガラス板5gで塞いでいる。
本発明は、以上の構成よりなっている。
【0007】
本発明の使用するときは、以下の手順で監視体制に入る。
(ト)消火剤カートリッジ1fを噴射ユニット1eに取付ける。
(チ)電源プラグ1hをACコンセントに差し込み電源スイッチ1gを投入する。
(リ)ヘッドユニット5を発火する恐れがある部位に向ける。このとき、レーザーポインター5cを照射して監視および消火剤噴射部位決定の目安とする。
【0008】
炎が発生すると、ヘッドユニット5に内蔵された紫外線センサー5bが紫外線を感知し、その信号をコントロールユニット1bに送る。コントロールユニット(1b)は内部プログラムに従いリレー1dに信号を送り、電源ユニット1cから駆動電源を噴射ユニット1eに導通して、噴射ユニット1eを動作させる。噴射ユニット1eは消火剤カートリッジ1fを開封し、消火剤を噴射する。このとき、消火剤噴射ノズル5cの先端に設けた複数の微小径孔5caにより、消火剤の噴流速度、拡散範囲などを消火する上で最適な状態に整流する。
【0009】
また、本発明では複数個の消火剤カートリッジ1fを有し、噴射するモードを切換えられるプログラムをコントロールユニット1bに持つ。例えば、一本目の消火剤カートリッジ1fで一定時間内に消火できなかったときには、二本目、三本目と連続して開封してゆく連続開封モードや、最初から複数の消火剤カートリッジ1fを同時に開封する同時開封モードである。前者は紫外線センサー5bが消火活動中も含めて常に紫外線の有無を監視していることを利用し、消火剤カートリッジ1fが全て開封するまで連続的に消火を行う。途中で消火し、紫外線が消滅すればその時点で紫外線センサー5bが信号を送らなくなるので、次の消火剤カートリッジ1fは開封しない。一方、炎が瞬時に広がることが懸念されるような場合には、複数個の消火剤カートリッジ1fを同時に開封することにより高い噴射圧を長時間維持する同時噴射モードを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の全体構成図
【図2】本発明の詳細構成図
【図3】消火剤噴射ノズルの断面図
【符号の説明】
【0011】
1 本体
1a 箱
1b コントロールユニット
1c 電源ユニット
1d リレー
1e 噴射ユニット
1f 消火剤カートリッジ
1g 電源スイッチ
1h 電源コード
2 フレキシブルホース
2a 電気配線
2b 消火剤チューブ
3 中継箱
4 フレキシブルメタルホース
5 ヘッドユニット
5a 筐体
5b 紫外線センサー
5c 消火剤噴射ノズル
5ca 微小径孔
5d レーザーポインター
5e レーザーポインタースイッチ
5f 紫外線センサーコントロール基板
5g ガラス板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を感知するセンサーを有し、火災発生時に自動的に消火活動を行う自動消火装置において、消火する部位をあらかじめ特定して監視および消火を行うことを特徴とした自動消火装置。
【請求項2】
紫外線センサー、消火剤噴射ノズルおよびレーザーポインターを内蔵したヘッドユニットを形成することを特徴とした請求項1の自動消火装置。
【請求項3】
火災の判定を紫外線センサーの信号のみで行うことを特徴とした請求項1の自動消火装置。
【請求項4】
消化剤を充填した容器を複数個有し、コントロールユニットのプログラムで、それらを1本ずつ連続して噴射するモードと複数個を同時に噴射するモードに切換える機能を有することを特徴とした請求項1の自動消火装置。
【請求項5】
消火剤噴射ノズルに複数個の微小径孔を有することを特徴とした請求項1の自動消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−240745(P2009−240745A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114518(P2008−114518)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(508126136)株式会社OHISO (1)
【出願人】(508126147)株式会社シンクトゥギャザー (2)
【Fターム(参考)】