自動調圧弁
【課題】簡単な構成で二段階放水を実現することができる自動調圧弁を得る。
【解決手段】圧力設定ばね21の縮設長さにより設定圧力が設定される調圧パイロット弁200と、主弁10の開度が調圧パイロット弁200により設定された設定圧力に基づいて制御されて、二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁100とを有する。調圧パイロット弁200は、圧力設定ばね21が第1縮設長さと該第1縮設長さより短い第2縮設長さとの間で変化可能に配設された設定圧変更手段20と、自動弁100二次圧が導入されると圧力設定ばね21の縮設長さを第1縮設長さから第2縮設長さに変更するための駆動力を発生する駆動部40と、を備える。
【解決手段】圧力設定ばね21の縮設長さにより設定圧力が設定される調圧パイロット弁200と、主弁10の開度が調圧パイロット弁200により設定された設定圧力に基づいて制御されて、二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁100とを有する。調圧パイロット弁200は、圧力設定ばね21が第1縮設長さと該第1縮設長さより短い第2縮設長さとの間で変化可能に配設された設定圧変更手段20と、自動弁100二次圧が導入されると圧力設定ばね21の縮設長さを第1縮設長さから第2縮設長さに変更するための駆動力を発生する駆動部40と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧力設定弾性体により設定圧力が設定される調圧パイロット弁と、この調圧パイロット弁により二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁とを有する自動調圧弁に関するものであり、例えば、トンネル内消火において、本格放水(高圧放水)の前に小流量の予告放水(低圧放水)を行う二段階放水式消火設備に最適な自動調圧弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消火水放水設備のあるトンネルでは、トンネル内で火災が発生した場合、当該設備を起動して火災の消火や抑制をする。しかし、当該設備を予告なしに起動し放水を開始すると、その放水により当該区画の視界が確保できなくなるため、トンネル内の通行車両が事故(単独または追突事故)を起こしたり、避難者が迅速に避難できなくなったりする等の恐れがある。このため、当該設備を作動する場合は、トンネル内通行車両の停止や避難者の避難完了等を確認する必要がある。
【0003】
上述の課題を解決するために、従来、運転者を惑わせないという予告目的で、本格放水よりも前に小流量の予告放水をして、安全かつ短時間のうちに消火水放水設備を作動させることができる二段階放水式消火設備が提案されている。
【0004】
また、予告放水の開始の時点では、空の二次側配管に充水されることとなるが、この充水中は、二次圧は殆どないため、通常自動弁は全開になり空配管に流れる消火水は鉄砲水となる。そして、充水完了の瞬間、急にノズルで絞られるため水撃が発生する可能性がある。従来、このような、起動直後に空配管に流れる鉄砲水の勢いを緩和する方法として、空配管に充水中は自動弁を半開の状態に維持する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−13663号公報(第4−5頁、第1,2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような二段階放水式消火設備に用いられる従来の自動調圧弁においては、二段階放水を実現するために、複数の調圧パイロット弁が必要であり、また複雑な水路構成が必要であったので、構造が複雑で価格も高価なものであった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で二段階放水を実現することができ、それによりコストダウンを図ることができるとともに、二次圧の変動に起因する予告放水から本格放水への切り換え時間の変動をなくし、設定切り換え時間で確実に予告放水から本格放水への切り換えを完了できる自動調圧弁を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による自動調圧弁は、圧力設定弾性体の縮設長さにより設定圧力が設定される調圧パイロット弁と、主弁の開度が上記調圧パイロット弁により設定された上記設定圧力に基づいて制御されて、二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁とを有する。そして、上記調圧パイロット弁は、上記圧力設定弾性体が第1縮設長さと該第1縮設長さより短い第2縮設長さとの間で変化可能に配設された設定圧変更手段と、上記自動弁の一次圧若しくは二次圧が導入されると上記圧力設定弾性体の縮設長さを上記第1縮設長さから上記第2縮設長さに変更するための所定の駆動力を発生する駆動手段と、上記駆動力を所定時間経過後に上記圧力設定弾性体に伝達して、該圧力設定弾性体の縮設長さを変更させるタイマー手段と、上記設定圧力に応じて、上記自動弁の主弁の開度を制御する調圧手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、1つの調圧パイロット弁を用いて二段階放水を実現することができるので、多数の調圧パイロット弁が必要なくなり、水路構成が簡略化され、コストダウンを図ることができる。また、自動弁の一次圧若しくは二次圧が導入されると、駆動手段は、圧力設定弾性体の縮設長さを第1縮設長さから第2縮設長さに変更するための所定の駆動力を発生する。そこで、一次圧あるいは二次圧が変動しても、圧力設定弾性体の縮設長さを変更するための所定の駆動力は変動しないので、予告放水から本格放水への切り換えは、予め設定された切り換え時間で確実に完了される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施例は、この発明の自動調圧弁をトンネル内消火において本格放水(高圧放水)の前に小流量の予告放水(低圧放水)を行う二段階放水式消火設備に使用した場合について述べる。しかしながら、この発明の自動調圧弁は、トンネル内消火設備に限らず、二次側配管を二段階に調圧することが必要な設備に対して最適な自動調圧弁である。
【実施例】
【0011】
図1はこの発明による自動調圧弁における通常時の状態を示す系統図である。図2はこの発明による自動調圧弁における調圧パイロット弁を調圧部側から見た正面図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は図2のIV−IV矢視断面図である。図5はこの発明による自動調圧弁を用いたトンネル内二段階放水式消火設備の配置状態を説明する図である。図6は二次側配管の圧力の変化を説明する圧力変化図である。図7はこの発明による自動調圧弁における起動開始時の状態を示す系統図、図8はこの発明による自動調圧弁における二次側配管充水中の状態を示す系統図、図9はこの発明による自動調圧弁における二次側配管充水完了の状態を示す系統図である。図10はこの発明による自動調圧弁における予告放水開始の状態を示す系統図、図11はこの発明による自動調圧弁における予告放水から本格放水への移行の状態を示す系統図、図12はこの発明による自動調圧弁における本格放水の状態を示す系統図である。
【0012】
図1において、自動調圧弁400は、一次側配管2と二次側配管3が接続されており、主弁10の開度を変化させて、一次側配管2から二次側配管3に流れる消火水1の量を調節する自動弁100と、二次側配管3の圧力、すなわち二次圧(以降、単に「二次圧」と呼ぶ)を監視しながら、自動弁100の主弁10の開度を二段階に変化させ、二次側配管3に流れ出す消火水1の量を変化させて、二次圧を例えば二段階の制御圧力に調圧する調圧パイロット弁200と、二次側配管3の充水圧を感知して作動する充水圧感知開閉弁300と、を有している。
【0013】
まず、自動弁100の構成について説明する。
自動弁100は、主弁箱11が設けられ、さらにこの主弁箱11の上部に弁箱16が設けられている。主弁箱11は、内部がシリンダとなっており、主弁10に連結するピストンPが液密状態を維持しつつ主弁10の開閉方向に移動可能に装着されている。この主弁箱11内は、ピストンPにより2つの部屋、即ち下部側のピストン室12および上部側のばね室13が形成されている。そして、ばね室13にはピストンPを主弁10側に付勢するピストンばね14が装着されている。また、自動弁100は、過流防止開度維持手段である貫入弁15を有している。この貫入弁15は、弁箱16と、弁箱16内を2つの弁室に仕切る仕切板17と、弁箱16内に先端部18aを配置させ後端が主弁10に固着されたロッド18とを有している。
弁箱16は、仕切板17によって、主弁10に近い側の第1弁室15Aと主弁10から遠い側の第2弁室15Bとに分割されている。仕切板17の中央には、開口17aが穿設されている。
【0014】
ロッド18は、開口17aの穴径と概略同じ太さの直径を有する柱状に作製されている。このロッド18は、その先端部18aを弁箱16内に延出するように、主弁10の開閉方向、すなわち、図1の上下方向に弁箱16の下面を貫通して摺動可能に、かつ、液密に設けられている。そして、ロッド18は、図1の上方向に移動して、開口17aに貫入されて、第1弁室15Aと第2弁室15Bとを隔離し、図1の下方向に移動して、開口17aから外れて、第1弁室15Aと第2弁室15Bとを連通させる。
第2弁室15Bには、調圧パイロット弁200の二次室33から延びる制御配管5aが接続されている。また、制御配管6aが第1弁室15Aとピストン室12との間を連通するように設けられている。すなわち、調圧パイロット弁200から供給される制御圧が、制御配管5a、第2弁室15B、開口17a、第1弁室15A、制御配管6a、ピストン室12の順に伝達され、ピストン室12に導入される。そして、ロッド18は、このピストン室12に導入される制御圧によって図1の上下方向に移動し、この制御圧とピストンばね14によって、主弁10の開度を変化させる。後で詳しく述べるが、主弁10の開度は、過流防止開度、予告放水開度、本格放水開度の順で大きくなる3つの開度に制御される。
【0015】
つぎに、調圧パイロット弁200の構成について図1乃至図4に基づいて説明する。
調圧パイロット弁200は、圧力設定弾性体である圧力設定ばね21の縮設長さを、例えば二段階に変化させて調圧パイロット弁200の設定圧力を変更させる設定圧変更手段20と、設定圧力に応じて、二次圧の監視を介して自動弁100の主弁10の開度を変化させる調圧手段としての調圧部30と、圧力設定ばね21の縮設長さを例えば二段階に変化させる駆動手段としての駆動部40と、予告放水(低圧放水)をする時間を作り出すためのタイマー手段50と、を有している。
【0016】
設定圧変更手段20は、圧力設定ばね21を収納するための筒状のスプリングケース22を備えている。そして、一対の長穴23が、穴の長手方向をスプリングケース22の軸方向に一致させて、スプリングケース22の壁面に相対するように穿設されている。また、ばね押さえ板24が、その軸部25を各長穴23に挿通されて、長穴23に案内されて移動可能にスプリングケース22内に配設されている。さらに、低圧設定用および高圧設定用リング26,27が、スプリングケース22の軸方向に離間して、それぞれスプリングケース22に外嵌状態に取り付けられ、長穴23に案内されて移動する軸部25に当接して、軸部25のそれ以上の移動を阻止する。そして、圧力設定ばね21が、一端をばね押さえ板24に固着され、他端を後述するフラム28に固着されて、ばね押さえ板24とフラム28との間に縮設されている。これにより、圧力設定ばね21は、軸部25が低圧設定リング26に当接する第1縮設長さと、軸部25が高圧設定用リング27に当接する第2縮設長さとの間で変化できる。
【0017】
調圧部30は、一般の常時開の調圧パイロット弁のものと概略同様な構造をなしている。つまり、調圧部30は、スプリングケース22に隣接して設けられ、自動弁100の二次圧を導入するフラム室31、主面に加わる圧力によって容易に撓むように薄板金属やゴムシートなどで作製され当該フラム室31の一面を構成するフラム28、一次側配管2の圧力、すなわち一次圧の消火水1が流通する一次室32と二次室33との間の流通開口部に設けられた弁座34、当該弁座34を開閉する調圧弁体35、調圧弁体35とフラム28とを接続する軸棒36から構成されている。そして、一次室32は、導入ポート37aを介して一次側配管2に接続され、二次室33は排出ポート37bを介して二次側配管3に接続される。また、フラム室31は二次圧導入ポート37cを介して二次側配管3に接続される。
【0018】
なお、二次室33とフラム室31との間に形成された軸棒36が貫通する孔(復旧用通水孔)には、自動調圧弁400の復旧時に、自動弁100の主弁10のピストン室12内の消火水1を逃がす為に所定の大きさの隙間が存在している(この逃がし用の隙間は、起動時の給水流量より充分に少ない排水流量となるようにされている)。
【0019】
ここで、ばね押さえ板24の軸部25が低圧設定用リング26に押し当てられているとき、圧力設定ばね21は第1縮設長さに縮められている。本実施例においては、圧力設定ばね21がこの第1縮設長さにあるとき、調圧パイロット弁200の設定圧力は予告放水のための第1設定圧力PL(本実施例では、0.13MPa)になる。そして、二次圧がこの第1設定圧力PLになるよう二次圧が監視されながら、自動弁100の主弁10の開度が制御される。これにより、主弁10は、予告放水(低圧放水)のための予告放水開度(第1開度)に維持される。
【0020】
一方、ばね押さえ板24の軸部25が高圧設定用リング27に押し当てられているとき、圧力設定ばね21は第1縮設長さよりさらに縮んだ第2縮設長さに縮められる。圧力設定ばね21がこの第2縮設長さにあるとき、調圧パイロット弁200の設定圧力は本格放水のための第2設定圧力PH(本実施例では、0.48MPa)になり、二次圧がこの第2設定圧力PHになるよう二次圧が監視されながら、自動弁100の主弁10の開度が制御される。これにより、主弁10は、本格放水(高圧放水)のための本格放水開度(第2開度)に維持される。なお、これら第1、第2開度は、一次側配管2の圧力条件により異なるものである。しかし、同じ設備では、第2開度は第1開度より大きい。
【0021】
予告放水開度(第1開度)は、運転者の視界が確保できる放水ノズル圧(本実施例では、0.06MPa)により決定されるもので、このノズル圧にノズルと主弁との落差水頭(例えば、落差5mなら0.05MPa)と配管ロスとを加えて算出した圧力に主弁の二次圧がなるよう、調圧パイロット弁で設定したときの放水開度である。
【0022】
本格放水開度(第2開度)は、本格放水ノズル圧(本実施例では、0.34MPa)に落差水頭と配管ロスを加えて算出した圧力に主弁の二次圧がなるよう、調圧パイロット弁で設定したときの放水開度である。
【0023】
二段階放水式消火設備が設置されるトンネル内の配管の状態に応じて、第1設定圧力及び第2設定圧力を調整可能とするために、低圧設定用リング26および高圧設定用リング27は、それぞれ圧力設定ばね21の伸縮方向に位置調整可能とされている。
【0024】
駆動部40は、有底円筒状のシリンダ41と、シリンダ41内に摺動可能に配置されてシリンダ41と協働して加圧室42を形成するばね押さえ43と、シリンダ41内に設置されて、下降するばね押さえ43に当接してばね押さえ43の下端位置(作動位置)を規定するストッパ44と、一端をばね押さえ43に固着され、他端を後述するシャフト46の一端に固着されたばね受け47に固着されて、ばね押さえ43とばね受け47との間に縮設された駆動用ばね45と、を備えている。そして、シリンダ41の加圧室42には、二次側配管3から延びる制御配管7bが連結される導入口42aが設けられており、加圧室42に二次側配管3の二次圧が導入されていないときには、ばね押さえ43はストッパから離反する定常位置に位置している。そして、この導入口42aから加圧室42に二次側配管3の二次圧が導入されると、この圧力がばね押さえ43を下降するように作用する。この時、ばね受け47は、後述するタイマー手段50のオイルの抵抗の存在により瞬時には下降しないので、ばね押さえ43がストッパ44に当接する作動位置に速やかに移動する。そこで、駆動用ばね45は、このばね押さえ43の移動量に相当する量だけ収縮され、その反発力(蓄圧力)が駆動力としてばね受け47を介してシャフト46に作用する。そして、ばね押さえ43の定常位置から作動位置への移動量は、二次圧の変動に拘わらず一定であり、駆動用ばね45に発生する駆動力は常に一定となる。なお、シリンダ41の駆動用ばね45が収納されている空間は、外部と連通している。
【0025】
タイマー手段50は、粘性流体であるオイルが充填されるオイル室51(粘性流体室)と、シャフト46の移動に伴いオイル室51内を移動する抵抗体である制動用間仕切52とを有している。オイル室51は、シリンダ41に隣接して設けられた有底円筒状の筒体53の内部に配設されたセパレータ54により形成された密閉空間であり、内部には粘性の高いオイルが充填されている。シャフト46は、このオイル室51を貫通し、液密状態を維持しつつ摺動移動するように配置されており、反圧力設定用ばね21側の端部にはばね受け47が固着され、圧力設定用ばね21側の端部にはばね押さえ48が固着されている。このシャフト46は、ばね受け47がストッパ44に当接、あるいはばね押さえ48が筒体53の底部外面に当接して、駆動部40側への移動が阻止される。この状態で、シャフト46とばね押さえ板24との間に空走間隔Dが確保されている。また、制動用間仕切52は、このシャフト46に遊貫された円板状の部材であって、オイル室51の内周壁面に摺動可能に接触している。さらに、戻し弾性体であるピストンばね49がばね押さえ48とスプリング押さえ24と間に縮設されている。つまり、シャフト46と圧力設定用ばね21とは、ピストンばね49を介して弾性的に連結されている。このピストンばね49は、充水監視用に設けられており、充水感知圧PA前後で縮み始めこれにより、シャフト46を移動させる。
なお、オイル室51に充填される粘性液体は、オイルの他、温度変化に対して粘度変化の少ない例えば水および他の液体を選んでもよい。
【0026】
制動用間仕切52は、オイル室51を、圧力設定ばね21側の第1オイル室(第1粘性流体室)51aと圧力設定ばね21から遠い側の第2オイル室(第2粘性流体室)51bとに分けている。第1オイル室51aと第2オイル室51bとの間には、シャフト46が空走間隔Dを移動する間の移動速度(第1速度)を規定する第1連通路55と、シャフト46が圧力設定ばね21を押し縮めながら移動する間の移動速度(第1速度より速い第2速度)を規定する第2連通路56が形成されている。尚、この時、オイルは第1オイル室51aから第2オイル室51bに移動する。
【0027】
第1連通路55は、オイル室51を構成する筒体53の側壁内部に軸方向に延びて形成された細径の流通路でオイル室51の前端部と後端部とを連通している。第2連通路56は、筒体53の前端側(圧力設定ばね21側)の一部が他の部分よりも大径とされて形成された空間である。この第1連通路55と第2連通路56は、上述したように、シャフト46が空走間隔Dを移動する間の移動速度を第1速度とし、シャフト46が圧力設定ばね21を押し縮めながら移動する間の移動速度を第1速度より速い第2速度とすることが目的であり、第2連通路56の軸方向の長さは、シャフト46が圧力設定ばね21を低圧設定用リング26から高圧設定用リング27までの間で押し縮めながら移動する間隔に合わせて設けられることが望ましい。
【0028】
なお、第1連通路55と第2連通路56の目的は上述の通りなので、その構成に関しては、本実施例のものは一例であり、これに限定されるものではない。例えば、第1連通路をオイル室51の後端側のみに設けて、その分第2連通路をさらに大径としてもよく、他の構成部材との関係により種々の形状が考えられる。
【0029】
第2連通路56は、調圧パイロット弁200の設定圧力を第1設定圧力PLから第2設定圧力PHに速やかに変更する為のものである。予告放水(低圧放水)は、トンネル内で放水しても運転者が視界を失わない程度の低圧のノズル圧による放水であり、所定時間予告放水をして、運転者を惑わせないという予告目的を達した後、もし、所定の消火効果の得られる本格放水(高圧放水)までにゆっくりと昇圧するならば、その間の放水が、視界も得られず所定の消火効果も得られないという中途半端な無駄な放水となってしまうので、変更を速やかにしたものである。
【0030】
第1連通路55には、第1連通路55の流路断面積を大小変化させて、シャフト46の第1速度を調整する速度調整手段としてのニードル弁57が設けられている。このニードル弁57を調整することにより、消火設備が設置される実際の場所にて、予告放水(低圧放水)のされる時間(本実施例では、10秒)を微調整することができる。
【0031】
また、制動用間仕切52には、第1オイル室51aと第2オイル室51bとを連通する貫通穴58が穿設されている。そして、制動用間仕切52は、シャフト46に固着されたストッパ59と閉塞板60との間に遊嵌状態に配設され、ストッパ59と閉塞板60との間を移動可能となっている。そして、閉塞板60は制動用間仕切52の反圧力設定ばね21側に位置し、制動用間仕切52と密接して貫通穴58を塞口する。一方、ストッパ59は、制動用間仕切52の圧力設定ばね21側に位置し、制動用間仕切52に当接して、圧力設定ばね21側への移動を規制するもので、貫通穴58は塞口されない。そこで、制動用間仕切52は、シャフト46が前進(圧力設定ばね21側に進む)する際には、閉塞板60側に移動し、このとき貫通穴58は閉塞板60で塞がれるので、オイルは貫通穴58を通って第1オイル室51aから第2オイル室51bに流れない。一方、シャフト46が後退する際には、制動用間仕切52はストッパ59側に移動するが、貫通穴58は塞がれないので、オイルは貫通穴58を通って第2オイル室51bから第1オイル室51aへ流れる。
このように、貫通穴58、ストッパ59および閉塞板60が、第2オイル室51bから第1オイル室51aに向かう一方向にのみオイルを流通させる逆止弁を構成している。
【0032】
ついで、充水圧感知開閉弁300について説明する。
充水圧感知開閉弁300は、所定の設定圧力を感知して作動する常時閉の通常のパイロット弁であり、本実施例においては、二次側配管3が充水したと推定(二段階放水式消火設備が設置されるトンネル内の配管の状態で異なる)される充水感知圧PAである例えば0.09MPAで作動するよう設定されている。すなわち、充水圧感知開閉弁300は、二次圧が充水感知圧PA以下であるうちは調圧弁体63を開放しない。充水圧感知開閉弁300の一次室67には、制御配管5aから分岐する制御配管5bが接続されている。また、二次室66には、制御配管6aから分岐する制御配管6bが接続されている。すなわち、充水圧感知開閉弁300は、調圧パイロット弁200を通過した一次圧を自動弁100の主弁10をリフトするピストン室12に導入する制御配管5a,6aの途中に、充水圧感知開閉弁300が作動するまでの間、主弁10の開度を過流防止開度に維持する過流防止開度維持手段を構成する貫入弁15と並列に配設されている。充水圧感知開閉弁300には、さらに感知室65に二次圧を導入するための二次側配管3から延びる配管7aが接続されている。二次圧が充水感知圧PAに達し、充水圧感知開閉弁300が開弁すると、一次側からの圧力水は既に閉止している貫入弁15を迂回して、この充水圧感知開閉弁300を含むバイパス経路を介して、制御配管5a、制御配管5b、一次室67、二次室66、制御配管6b、制御配管6aの順に進み、自動弁100のピストン室12に給水され、自動弁100を調圧可能な状態にする。
【0033】
このように構成された自動調圧弁400は、例えば図5に示されるように、トンネル内二段階放水式消火設備に適用される。なお、図5では、一つの散水区画における配置状態を示している。
図5において、水平配管73がトンネル(図示せず)内に、トンネルの長手方向に水平に設置されている。この水平配管73には、水噴霧ノズル74が所定の間隔で複数取り付けられている。そして、水槽70に貯水されている消火水1が、ポンプ71、自動調圧弁400および垂直配管72を介して水平配管73に供給されるようになっている。
【0034】
ここで、垂直配管72による立ち上がりが5m、水平配管73の長さが45m、水噴霧ノズル74の配設ピッチが5m、そして垂直配管72が水平配管73の長さ方向の中央位置に接続されている場合、二次側配管3が充水したと推定される充水感知圧PAは、水噴霧ノズル74と自動弁100との落差(5m)の水頭(0.05MPa)よりも高く、この落差水頭(0.05MPa)と視界を確保できるノズル放水圧(例えば0.07MPa)に配管ロス(管内流速などに依存)を加えた圧力よりも低い圧力が選ばれる。
【0035】
つぎに、自動調圧弁400の動作について説明する。
図1に示される通常時:
まず、通常時においては、起動弁81が閉止されており、自動弁100も閉じている。そして、二次側配管3は空の状態である。
【0036】
図7に示される起動開始時:
ついで、火災が発生して起動弁81が開かれると、一次側配管2の消火水1は、図7に示されるように、配管4a、起動弁81、配管4b、調圧パイロット弁200の一次室32及び二次室33、制御配管5a、自動弁100の第2弁室15B、第1弁室15A、制御配管6aを通って、自動弁100のピストン室12に充填される。ピストン室12の圧力はピストンばね14の付勢力に打ち勝ってロッド18を徐々に上昇させる。これにより、主弁10が開き、一次側配管2の消火水1が徐々に二次側配管3に流れ始める。
【0037】
図8に示される二次側配管充水中の状態(図6のアの区間):
ロッド18が徐々に上昇し、ロッド18が開口17aを閉止すると、一次側配管2からピストン室12への圧力水の供給が止まり、ロッド18の上昇が停止する。そこで、主弁10が一定の開度で停止し、消火水1が一次側配管2から自動弁100を介して二次側配管3内を流れ込む。このときの主弁10の開度は、ロッド18のリフト量によって決まるが、仕切板17の位置は上述のようにロッド18の移動方向に位置調整可能とされており、自動調圧弁400が使用される環境(配管の状態)に合わせて、水撃防止および、水噴霧ノズル74における放水開始時に突然瞬間的な過剰な水噴霧、すなわち過流を防止することで通行車両の運転者を惑わすことを回避するための適切な開度となるように設定されている。
また、制御配管7aおよび制御配管7bを経由して、駆動部40の加圧室42に二次圧が導入され始める。これにより、ばね押さえ43が下降する。
【0038】
図9に示される二次側配管充水完了の状態:
そして、二次側配管3が消火水1で充水されると、二次側配管3に一定の圧力が発生し、加圧室42が加圧されはじめ、ばね押さえ43がストッパ44に押し当てられる。これにより、駆動用ばね45が所定量収縮され、駆動力が発生する。この駆動用ばね45の駆動力により、シャフト46が徐々に下降を開始する。そこで、ピストンばね49が収縮しつつ、シャフト46がばね押さえ板24に接近する。この時、シャフト46は、第1連通路56により規定される第1速度で、移動する。
【0039】
ここで、二次圧は、消火水1が垂直配管72の立ち上がり(5m)を上昇する間徐々に高くなる(図6の0〜点Aの区間に相当)。その後、水平配管73に充水中は、圧力は上がらない(図6の点A〜点Bの区間に相当)。そして、水平配管73にも全て充水されると、再び圧力が上昇し始める(図6の点B〜点Cの区間に相当)。
【0040】
この自動調圧弁400においては、自動弁100に過流防止開度維持手段である貫入弁15を設けたので、主弁10の充水中の開度が、予告放水開度より小さい開度の過流防止開度に維持される。そのため、図6に示すように充水完了の時点で水撃が発生しない(従来のものでは、図6に点線で示すように水撃が発生していた)。さらには、予告放水の開始の時点で予告放水流量以上の放水がされないため、放水開始時の鉄砲水で過剰な噴出(過流)がなく、運転者を不意に驚かすことが避けられ、二次災害を防止することができる。
【0041】
図10に示される予告放水中の状態(図6のウの区間):
二次側配管3内への消火水1の充水が完了し、充水感知圧PAに達すると、充水圧感知開閉弁300が作動し(図6の点C)、充水圧感知開閉弁300の調圧弁体63が開く。そこで、圧力水は、制御配管4a、起動弁81、制御配管4b、調圧パイロット弁200の一次室及び二次室32,33、制御配管5a、制御配管5b、充水圧感知開閉弁300の一次室及び二次室67,66、制御配管6b、制御配管6aを介して、自動弁100のピストン室12に充填される。これにより、ピストン室12の圧力が上昇され、ロッド18が押し上げられて、主弁10がさらに開く。このときの開度は、圧力設定ばね21の第1縮設長さにて設定された第1設定圧力による予告放水開度となる。そして、水噴霧ノズル74からの予告放水(低圧放水)が開始される。
【0042】
そして、シャフト46は、ピストンばね49を押し縮めながら第1連通路55により規定される第1速度で空走間隔Dを移動する。シャフト46が空走間隔Dを移動している間(本実施例では、約10秒)、予告放水が行われる(図6のシャフト46の移動開始点から点Eの区間)。なお、シャフト46の移動開始は、二次圧が充水感知圧PAに達する時点にほぼ一致する。
【0043】
図11に示される予告放水から本格放水への移行の状態(図6のエの区間):
シャフト46が空走空間Dを移動してばね押さえ板24に達すると、シャフト46の速度は第2連通路56の効果により第1速度から第2速度に上がり、瞬時に圧力設定ばね21を第1縮設長さから第2縮設長さへ変化させる(図6の点E〜点Fの区間)。
【0044】
図12に示される本格放水の状態(図6のオの区間):
軸部25が高圧設定用リング27に当接し、シャフト46の下降が停止される。これにより、圧力設定ばね21の縮設長さが第2縮設長さに設定される。そこで、圧力設定ばね21の蓄圧力がフラム28を伝わって調圧弁体35に伝達され、調圧弁体35は非常に絞り込まれた状態から大きく開かれた開放状態となる。すなわち、調圧パイロット弁200の設定圧力は第1設定圧力から第2設定圧力に速やかに切り替わる。これより、自動弁100のピストン室12に再び一次側配管2の圧力が導入され、ロッド18は再び上昇する。そして、主弁10は、第2設定圧力による本格放水開度まで速やかに開く。これ以降、本格放水(高圧放水)が行われる(図6の点F以降の区間)。
【0045】
復旧動作:
本格放水が終わり、自動調圧弁400を復旧する際には、起動弁81を閉じると、自動弁100のピストン室12に圧力水が供給されなくなる。そこで、主弁10に接続するロッド18を閉止方向に付勢するピストンばね14の力により、ロッド18が閉止方向へ動き始める。この時点では、主弁10の開度はまだ予告放水開度と本格放水開度の間の開度となっているので、充水圧感知開閉弁300は開弁状態であり、ピストン室12内の圧力水が押し出されると、充水圧感知開閉弁300を経由して調圧パイロット弁200の調圧部30の二次室33に入り、軸棒36が貫通する孔の逃がし用の隙間を通りフラム室31から制御配管7c,7aを介して二次側配管3に排水される。
【0046】
主弁10が絞られて、二次側配管3の圧力が充水圧感知開閉弁300の充水感知圧PAを下回るようになると、充水圧感知開閉弁300は閉止するが、その前に第1設定圧力PLよりも低い圧力で充水感知圧PAより高い圧力を通過しているとき、貫入弁15が開くので、排水流路は貫入弁15経由で確保され、主弁10は閉止されるに至る。主弁10の閉止後、二次側配管3の圧力は、二次側配管3に充水されている残留水による落差水頭が残り、その後図示しない自動排水弁で全て排水される。
【0047】
二次圧の減圧にともない、調圧パイロット弁200の加圧室42は減圧し、ピストンばね49の蓄圧力でシャフト46が押し上げられる。シャフト46に遊嵌されている制動用間仕切52の貫通穴58が開くので、第1連通路56とともに開口が広い貫通穴58をオイルが通過して速やかにシャフト46がもとの位置に戻る。シャフト46が元の位置に戻るので、ばね押さえ板24は圧力設定ばね21の復元力で伸長し、低圧設定用リング26の位置に戻り、調圧部30も復旧する。さらに、シャフト46が元の位置に戻るので、ばね押さえ板43は駆動用ばね45の復元力で初期位置に戻り、加圧室42内の圧力水が制御配管7b,7aを介して二次配管3に排出され、駆動部40も復旧する。
【0048】
なお、上記実施例では、設定圧変更手段20において、貫通穴58、ストッパ59および閉塞板60からなる逆止弁を制動用間仕切14に設けるものとしているが、例えば第1オイル室51aと第2オイル室51bとの間に配管を別途設ける等して、移動体としてのシャフト46が後退するときにのみにオイルを流通させる逆止弁構造をこの配管に別に設けるようにしてもよい。
また、上記実施例では、調圧パイロット弁の調圧部として常時開の弁構造のものを用いるものとしているが、調圧部として常時閉の弁構造のものを用いてもよい。
また、上記実施例では、駆動部40の加圧室42に二次側配管3の二次圧を導入して、駆動用ばね45に駆動力を発生させるものとしているが、駆動部40の加圧室42に一次側配管2の一次圧を導入して、駆動用ばね45に駆動力を発生させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、設定圧力を二段階としたが、それ以上の複数段階に圧力を設定できるようにしてもよい。その場合、例えば、高圧設定用リング27を設け、さらに低圧設定用リング26の代わりに、放水圧力が視界の確保できる範囲の圧力設定位置に何箇所かのラッチを設けるようにしてもよい。この何箇所かのラッチは、圧力設定ばね21の長くなる方向にばね押さえ板24が通過するように設けられるもので、圧力設定ばね21の短くなる方向では押さえ板24が掛合するが、所定の力以上で越えられるものである。このようにすると、予告放水時に、視界の確保できる範囲において、より低圧(小水量)から段階的に順次放水圧力が増すように散水されるので、走行車両に対してより安全に予告をすることができる。
【0050】
また、上記実施例では、設定圧力を複数段階としたが、設定圧力を任意に設定できるようにしてもよい。その場合、例えば高圧設定用リング27のみを設け、初めからばね押さえ板24をシャフト46に当接するようにする。このようにすると、予告放水時には視界のきく範囲において、低圧から無段階に放水圧力が増すように散水されるので、走行車両に対してより安全に予告をなすことができ、構成も簡単である。なお、視界の確保できる放水圧力を超える頃、すなわち予告放水後、第2連絡路56が通るようにすると速やかに本格放水に入れるので、消火が効果的にされる。
以上の記載では、ラッチなどの位置を放水圧力が視界の確保できる範囲の位置より長くしたが、その位置より短い位置にラッチなどを設けてもかまわない。
【0051】
また、上記実施例では図5のようにトンネル内二段階放水式消火設備のひとつの散水区画の例を示したが、この散水区画が複数トンネル内に長手方向に連ねられて設備され、いずれかの区画内の図示しない火災感知器の発報信号に基づいて図示しない遠隔の制御盤で発報した区画の消火設備を動作させるようにしてもよい。
【0052】
その場合、発報した火災感知器の区画のみを二段階放水で散水するようにしてもよいが、発報した区画と車両の進行方向手前側の区画とで同時に一斉に二段階放水で散水するようにしてもよい。この場合、進行方向手前側の区画の方は予告放水だけで終えるように所定時間内に放水停止制御するようにしてもよい。
【0053】
あるいは、発報した区画において、一番初めに二段階放水を開始し、進行方向手前側の複数区画のうち一番発報区画に近い奥の区画から一番手前の区画まで順次遅らせて二段階放水を起動して散水するようにしてもよい。この場合、車両の進行方向手前側の複数区画の散水は、本格放水に入る前に散水停止するようにしてもよい。
【0054】
もしくは、進行方向手前側の複数区画の散水は、図示しない制御盤によって起動弁を所定時間内にオン・オフを繰り返し、予告放水を繰り返すようにしてもよい。こうすると、予告放水をいつまでもすることができる。この場合、オン・オフのタイミングまたは周期を各区画で異なるようにすると、一斉に予告放水が停止することを少なく、又は無くすることができ、予告の機能が失われることなく散水できる。
【0055】
このように本発明では、圧力設定弾性体の縮設長さにより設定圧力が設定される調圧パイロット弁と、主弁の開度が調圧パイロット弁により設定された設定圧力に基づいて制御されて、二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁とを有する自動調圧弁において、調圧パイロット弁は、圧力設定弾性体が第1縮設長さと該第1縮設長さより短い第2縮設長さとの間で変化可能に配設された設定圧変更手段と、自動弁の一次圧若しくは二次圧が導入されると圧力設定弾性体の縮設長さを第1縮設長さから第2縮設長さに変更するための所定の駆動力を発生する駆動手段と、駆動力を所定時間経過後に圧力設定弾性体に伝達して、該圧力設定弾性体の縮設長さを変更させるタイマー手段と、設定圧力に応じて、自動弁の主弁の開度を制御する調圧手段と、を備えている。そこで、一台の調圧パイロット弁によって、自動弁の二次圧を変化させて調圧することができ、簡単な構成で安価なものとすることができる。また、駆動手段に発生する駆動力は、導入される一次圧あるいは二次圧の変動の影響を受けず、常に一定となり、予告放水から本格放水への切り換えが、予め設定された切り換え時間で確実に完了される。さらには、この自動調圧弁をトンネル内消火設備に適用すれば、簡単な構成でコストダウンを図ることができるトンネル内二段階放水式消火設備を得ることができる。
【0056】
駆動手段は、自動弁の一次圧若しくは二次圧の導入口が設けられたシリンダと、シリンダ内に導入口と接離する方向に液密状態を維持しつつ摺動自在に配設されたばね押さえと、シリンダに上記ばね押さえを挟んで導入口の反対側に設けられ、該導入口から離反する方向における該ばね押さえの移動量を規定するストッパと、ばね押さえの導入口の反対側に設けられ、該導入口が臨むシリンダ内の空間に一次圧若しくは二次圧が導入されていないときは、ばね押さえがストッパから離反する定常位置に位置するように伸長し、該空間に一次圧若しくは二次圧が導入された時に、ばね押さえが定常位置からストッパに当接する作動位置に移動するように収縮して駆動力を発生する駆動用ばねと、を備えている。そこで、導入される一次圧あるいは二次圧の変動の影響を受けず、常に一定の駆動力を発生できる駆動手段が簡易な構成で実現される。
【0057】
また、タイマー手段は、設定圧変更手段と駆動手段との間に配設されて、粘性流体が充填された粘性流体室と、粘性流体室を液密状態に貫通して圧力設定弾性体の伸縮方向に移動可能に配設されたシャフトと、シャフトの移動に連動して粘性流体室内を移動する抵抗体と、シャフトの一端に固着されて駆動用ばねの駆動力が伝達されるばね受けと、シャフトの他端と圧力設定弾性体とを弾性的に連結する戻し弾性体と、を備え、シャフトは、駆動力がばね受けを介して伝達されると、抵抗体が粘性流体中を移動する際に受ける抵抗に抗して戻し弾性体を収縮させつつ移動して、所定時間経過後に圧力設定弾性体に当接し、その後該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動するようになっている。そこで、この自動調圧弁をトンネル内二段階放水式消火設備に適用した場合に、予告放水が行われる時間を容易な構成によりつくり出すことができる。
【0058】
また、タイマー手段は、シャフトが、第1速度で戻し弾性体を収縮させつつ圧力設定弾性体に当接するまで移動し、圧力設定弾性体に当接した後、第1速度より速い第2速度で、該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動するように構成されている。そこで、この自動調圧弁をトンネル内二段階放水式消火設備に適用した場合に、予告放水から本格放水への切り替わりを速やかに行うことができ、切り替わりの間の放水が、視界も得られず所定の消火効果も得られないという中途半端な無駄な放水となることがなく、さらに効果的なトンネル内二段階放水式消火設備とすることができる。
【0059】
また、抵抗体が、粘性流体室内を設定圧変更手段側の第1粘性流体室と駆動手段側の第2粘性流体室とに分離するように配設されている。そして、抵抗体が戻し弾性体を収縮させつつ圧力設定弾性体に当接するまでのシャフトの移動に連動して移動する際に、粘性流体を第1粘性流体室から第2粘性流体室に還流させて、該シャフトの移動速度を第1速度に規定する第1連通路と、第1連通路より大きな通路断面積に形成され、抵抗体が圧力設定弾性体に当接した後の該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動するシャフトの移動に連動して移動する際に、粘性流体を第1粘性流体室から第2粘性流体室に還流させて、該シャフトの移動速度を上記第2速度に規定する第2連通路と、を備えている。そこで、この自動調圧弁をトンネル内二段階放水式消火設備に適用した場合に、予告放水から本格放水への切り換えを速やかに行うことができる自動調圧弁をコンパクトな構成により実現することができる。
【0060】
また、自動弁は、主弁の開度が、予告放水開度と、該予告放水開度より大きな本格放水開度との少なくとも2段階の開度に制御される。そこで、この自動調圧弁をトンネル内二段階放水式消火設備に容易に適用することができる。
【0061】
また、自動弁に接続された二次側配管の充水圧を感知して作動する充水感知開閉弁をさらに備え、自動弁は、充水感知開閉弁が作動するまでの間、主弁の開度を、予告放水開度より小さな過流防止開度に維持する過流防止開度維持手段を備えている。そこで、水撃を防止することができるとともに、放水開始時の過流を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明の自動調圧弁は、トンネル内消火において、本格放水(高圧放水)の前に小流量の予告放水(低圧放水)を行う二段階放水式消火設備に好適な自動調圧弁である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明による自動調圧弁における通常時の状態を示す系統図である。
【図2】この発明による自動調圧弁における調圧パイロット弁を調圧部側から見た正面図である。
【図3】図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】図2のIV−IV矢視断面図である。
【図5】この発明による自動調圧弁を用いたトンネル内二段階放水式消火設備の配置状態を説明する図である。
【図6】二次側配管の圧力の変化を説明する圧力変化図である。
【図7】この発明による自動調圧弁における起動開始時の状態を示す系統図である。
【図8】この発明による自動調圧弁における二次側配管充水中の状態を示す系統図である。
【図9】この発明による自動調圧弁における二次側配管充水完了の状態を示す系統図である。
【図10】この発明による自動調圧弁における予告放水開始の状態を示す系統図である。
【図11】この発明による自動調圧弁における予告放水から本格放水への移行の状態を示す系統図である。
【図12】この発明による自動調圧弁における本格放水の状態を示す系統図である。
【符号の説明】
【0064】
10 主弁、15 貫入弁(過流防止開度維持手段)、20 設定圧変更手段、21 圧力設定ばね(圧力設定弾性体)、30 調圧部(調圧手段)、40 駆動部(駆動手段)、41 シリンダ、42a 導入口、43 ばね押さえ、44 ストッパ、45 駆動用ばね、46 シャフト、47 ばね受け、49 ピストンばね(戻し弾性体)、50 タイマー手段、51 オイル室(粘性流体室)、51a 第1オイル室(第1粘性流体室)、51b 第2オイル室(第2粘性流体室)、52 制動用間仕切(抵抗体)、55 第1連通路、56 第2連通路、58 貫通穴(逆止弁)、59 ストッパ(逆止弁)、60 閉塞板(逆止弁)、100 自動弁、200 調圧パイロット弁、300 充水圧感知開閉弁、400 自動調圧弁。
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧力設定弾性体により設定圧力が設定される調圧パイロット弁と、この調圧パイロット弁により二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁とを有する自動調圧弁に関するものであり、例えば、トンネル内消火において、本格放水(高圧放水)の前に小流量の予告放水(低圧放水)を行う二段階放水式消火設備に最適な自動調圧弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消火水放水設備のあるトンネルでは、トンネル内で火災が発生した場合、当該設備を起動して火災の消火や抑制をする。しかし、当該設備を予告なしに起動し放水を開始すると、その放水により当該区画の視界が確保できなくなるため、トンネル内の通行車両が事故(単独または追突事故)を起こしたり、避難者が迅速に避難できなくなったりする等の恐れがある。このため、当該設備を作動する場合は、トンネル内通行車両の停止や避難者の避難完了等を確認する必要がある。
【0003】
上述の課題を解決するために、従来、運転者を惑わせないという予告目的で、本格放水よりも前に小流量の予告放水をして、安全かつ短時間のうちに消火水放水設備を作動させることができる二段階放水式消火設備が提案されている。
【0004】
また、予告放水の開始の時点では、空の二次側配管に充水されることとなるが、この充水中は、二次圧は殆どないため、通常自動弁は全開になり空配管に流れる消火水は鉄砲水となる。そして、充水完了の瞬間、急にノズルで絞られるため水撃が発生する可能性がある。従来、このような、起動直後に空配管に流れる鉄砲水の勢いを緩和する方法として、空配管に充水中は自動弁を半開の状態に維持する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−13663号公報(第4−5頁、第1,2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような二段階放水式消火設備に用いられる従来の自動調圧弁においては、二段階放水を実現するために、複数の調圧パイロット弁が必要であり、また複雑な水路構成が必要であったので、構造が複雑で価格も高価なものであった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で二段階放水を実現することができ、それによりコストダウンを図ることができるとともに、二次圧の変動に起因する予告放水から本格放水への切り換え時間の変動をなくし、設定切り換え時間で確実に予告放水から本格放水への切り換えを完了できる自動調圧弁を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による自動調圧弁は、圧力設定弾性体の縮設長さにより設定圧力が設定される調圧パイロット弁と、主弁の開度が上記調圧パイロット弁により設定された上記設定圧力に基づいて制御されて、二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁とを有する。そして、上記調圧パイロット弁は、上記圧力設定弾性体が第1縮設長さと該第1縮設長さより短い第2縮設長さとの間で変化可能に配設された設定圧変更手段と、上記自動弁の一次圧若しくは二次圧が導入されると上記圧力設定弾性体の縮設長さを上記第1縮設長さから上記第2縮設長さに変更するための所定の駆動力を発生する駆動手段と、上記駆動力を所定時間経過後に上記圧力設定弾性体に伝達して、該圧力設定弾性体の縮設長さを変更させるタイマー手段と、上記設定圧力に応じて、上記自動弁の主弁の開度を制御する調圧手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、1つの調圧パイロット弁を用いて二段階放水を実現することができるので、多数の調圧パイロット弁が必要なくなり、水路構成が簡略化され、コストダウンを図ることができる。また、自動弁の一次圧若しくは二次圧が導入されると、駆動手段は、圧力設定弾性体の縮設長さを第1縮設長さから第2縮設長さに変更するための所定の駆動力を発生する。そこで、一次圧あるいは二次圧が変動しても、圧力設定弾性体の縮設長さを変更するための所定の駆動力は変動しないので、予告放水から本格放水への切り換えは、予め設定された切り換え時間で確実に完了される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施例は、この発明の自動調圧弁をトンネル内消火において本格放水(高圧放水)の前に小流量の予告放水(低圧放水)を行う二段階放水式消火設備に使用した場合について述べる。しかしながら、この発明の自動調圧弁は、トンネル内消火設備に限らず、二次側配管を二段階に調圧することが必要な設備に対して最適な自動調圧弁である。
【実施例】
【0011】
図1はこの発明による自動調圧弁における通常時の状態を示す系統図である。図2はこの発明による自動調圧弁における調圧パイロット弁を調圧部側から見た正面図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は図2のIV−IV矢視断面図である。図5はこの発明による自動調圧弁を用いたトンネル内二段階放水式消火設備の配置状態を説明する図である。図6は二次側配管の圧力の変化を説明する圧力変化図である。図7はこの発明による自動調圧弁における起動開始時の状態を示す系統図、図8はこの発明による自動調圧弁における二次側配管充水中の状態を示す系統図、図9はこの発明による自動調圧弁における二次側配管充水完了の状態を示す系統図である。図10はこの発明による自動調圧弁における予告放水開始の状態を示す系統図、図11はこの発明による自動調圧弁における予告放水から本格放水への移行の状態を示す系統図、図12はこの発明による自動調圧弁における本格放水の状態を示す系統図である。
【0012】
図1において、自動調圧弁400は、一次側配管2と二次側配管3が接続されており、主弁10の開度を変化させて、一次側配管2から二次側配管3に流れる消火水1の量を調節する自動弁100と、二次側配管3の圧力、すなわち二次圧(以降、単に「二次圧」と呼ぶ)を監視しながら、自動弁100の主弁10の開度を二段階に変化させ、二次側配管3に流れ出す消火水1の量を変化させて、二次圧を例えば二段階の制御圧力に調圧する調圧パイロット弁200と、二次側配管3の充水圧を感知して作動する充水圧感知開閉弁300と、を有している。
【0013】
まず、自動弁100の構成について説明する。
自動弁100は、主弁箱11が設けられ、さらにこの主弁箱11の上部に弁箱16が設けられている。主弁箱11は、内部がシリンダとなっており、主弁10に連結するピストンPが液密状態を維持しつつ主弁10の開閉方向に移動可能に装着されている。この主弁箱11内は、ピストンPにより2つの部屋、即ち下部側のピストン室12および上部側のばね室13が形成されている。そして、ばね室13にはピストンPを主弁10側に付勢するピストンばね14が装着されている。また、自動弁100は、過流防止開度維持手段である貫入弁15を有している。この貫入弁15は、弁箱16と、弁箱16内を2つの弁室に仕切る仕切板17と、弁箱16内に先端部18aを配置させ後端が主弁10に固着されたロッド18とを有している。
弁箱16は、仕切板17によって、主弁10に近い側の第1弁室15Aと主弁10から遠い側の第2弁室15Bとに分割されている。仕切板17の中央には、開口17aが穿設されている。
【0014】
ロッド18は、開口17aの穴径と概略同じ太さの直径を有する柱状に作製されている。このロッド18は、その先端部18aを弁箱16内に延出するように、主弁10の開閉方向、すなわち、図1の上下方向に弁箱16の下面を貫通して摺動可能に、かつ、液密に設けられている。そして、ロッド18は、図1の上方向に移動して、開口17aに貫入されて、第1弁室15Aと第2弁室15Bとを隔離し、図1の下方向に移動して、開口17aから外れて、第1弁室15Aと第2弁室15Bとを連通させる。
第2弁室15Bには、調圧パイロット弁200の二次室33から延びる制御配管5aが接続されている。また、制御配管6aが第1弁室15Aとピストン室12との間を連通するように設けられている。すなわち、調圧パイロット弁200から供給される制御圧が、制御配管5a、第2弁室15B、開口17a、第1弁室15A、制御配管6a、ピストン室12の順に伝達され、ピストン室12に導入される。そして、ロッド18は、このピストン室12に導入される制御圧によって図1の上下方向に移動し、この制御圧とピストンばね14によって、主弁10の開度を変化させる。後で詳しく述べるが、主弁10の開度は、過流防止開度、予告放水開度、本格放水開度の順で大きくなる3つの開度に制御される。
【0015】
つぎに、調圧パイロット弁200の構成について図1乃至図4に基づいて説明する。
調圧パイロット弁200は、圧力設定弾性体である圧力設定ばね21の縮設長さを、例えば二段階に変化させて調圧パイロット弁200の設定圧力を変更させる設定圧変更手段20と、設定圧力に応じて、二次圧の監視を介して自動弁100の主弁10の開度を変化させる調圧手段としての調圧部30と、圧力設定ばね21の縮設長さを例えば二段階に変化させる駆動手段としての駆動部40と、予告放水(低圧放水)をする時間を作り出すためのタイマー手段50と、を有している。
【0016】
設定圧変更手段20は、圧力設定ばね21を収納するための筒状のスプリングケース22を備えている。そして、一対の長穴23が、穴の長手方向をスプリングケース22の軸方向に一致させて、スプリングケース22の壁面に相対するように穿設されている。また、ばね押さえ板24が、その軸部25を各長穴23に挿通されて、長穴23に案内されて移動可能にスプリングケース22内に配設されている。さらに、低圧設定用および高圧設定用リング26,27が、スプリングケース22の軸方向に離間して、それぞれスプリングケース22に外嵌状態に取り付けられ、長穴23に案内されて移動する軸部25に当接して、軸部25のそれ以上の移動を阻止する。そして、圧力設定ばね21が、一端をばね押さえ板24に固着され、他端を後述するフラム28に固着されて、ばね押さえ板24とフラム28との間に縮設されている。これにより、圧力設定ばね21は、軸部25が低圧設定リング26に当接する第1縮設長さと、軸部25が高圧設定用リング27に当接する第2縮設長さとの間で変化できる。
【0017】
調圧部30は、一般の常時開の調圧パイロット弁のものと概略同様な構造をなしている。つまり、調圧部30は、スプリングケース22に隣接して設けられ、自動弁100の二次圧を導入するフラム室31、主面に加わる圧力によって容易に撓むように薄板金属やゴムシートなどで作製され当該フラム室31の一面を構成するフラム28、一次側配管2の圧力、すなわち一次圧の消火水1が流通する一次室32と二次室33との間の流通開口部に設けられた弁座34、当該弁座34を開閉する調圧弁体35、調圧弁体35とフラム28とを接続する軸棒36から構成されている。そして、一次室32は、導入ポート37aを介して一次側配管2に接続され、二次室33は排出ポート37bを介して二次側配管3に接続される。また、フラム室31は二次圧導入ポート37cを介して二次側配管3に接続される。
【0018】
なお、二次室33とフラム室31との間に形成された軸棒36が貫通する孔(復旧用通水孔)には、自動調圧弁400の復旧時に、自動弁100の主弁10のピストン室12内の消火水1を逃がす為に所定の大きさの隙間が存在している(この逃がし用の隙間は、起動時の給水流量より充分に少ない排水流量となるようにされている)。
【0019】
ここで、ばね押さえ板24の軸部25が低圧設定用リング26に押し当てられているとき、圧力設定ばね21は第1縮設長さに縮められている。本実施例においては、圧力設定ばね21がこの第1縮設長さにあるとき、調圧パイロット弁200の設定圧力は予告放水のための第1設定圧力PL(本実施例では、0.13MPa)になる。そして、二次圧がこの第1設定圧力PLになるよう二次圧が監視されながら、自動弁100の主弁10の開度が制御される。これにより、主弁10は、予告放水(低圧放水)のための予告放水開度(第1開度)に維持される。
【0020】
一方、ばね押さえ板24の軸部25が高圧設定用リング27に押し当てられているとき、圧力設定ばね21は第1縮設長さよりさらに縮んだ第2縮設長さに縮められる。圧力設定ばね21がこの第2縮設長さにあるとき、調圧パイロット弁200の設定圧力は本格放水のための第2設定圧力PH(本実施例では、0.48MPa)になり、二次圧がこの第2設定圧力PHになるよう二次圧が監視されながら、自動弁100の主弁10の開度が制御される。これにより、主弁10は、本格放水(高圧放水)のための本格放水開度(第2開度)に維持される。なお、これら第1、第2開度は、一次側配管2の圧力条件により異なるものである。しかし、同じ設備では、第2開度は第1開度より大きい。
【0021】
予告放水開度(第1開度)は、運転者の視界が確保できる放水ノズル圧(本実施例では、0.06MPa)により決定されるもので、このノズル圧にノズルと主弁との落差水頭(例えば、落差5mなら0.05MPa)と配管ロスとを加えて算出した圧力に主弁の二次圧がなるよう、調圧パイロット弁で設定したときの放水開度である。
【0022】
本格放水開度(第2開度)は、本格放水ノズル圧(本実施例では、0.34MPa)に落差水頭と配管ロスを加えて算出した圧力に主弁の二次圧がなるよう、調圧パイロット弁で設定したときの放水開度である。
【0023】
二段階放水式消火設備が設置されるトンネル内の配管の状態に応じて、第1設定圧力及び第2設定圧力を調整可能とするために、低圧設定用リング26および高圧設定用リング27は、それぞれ圧力設定ばね21の伸縮方向に位置調整可能とされている。
【0024】
駆動部40は、有底円筒状のシリンダ41と、シリンダ41内に摺動可能に配置されてシリンダ41と協働して加圧室42を形成するばね押さえ43と、シリンダ41内に設置されて、下降するばね押さえ43に当接してばね押さえ43の下端位置(作動位置)を規定するストッパ44と、一端をばね押さえ43に固着され、他端を後述するシャフト46の一端に固着されたばね受け47に固着されて、ばね押さえ43とばね受け47との間に縮設された駆動用ばね45と、を備えている。そして、シリンダ41の加圧室42には、二次側配管3から延びる制御配管7bが連結される導入口42aが設けられており、加圧室42に二次側配管3の二次圧が導入されていないときには、ばね押さえ43はストッパから離反する定常位置に位置している。そして、この導入口42aから加圧室42に二次側配管3の二次圧が導入されると、この圧力がばね押さえ43を下降するように作用する。この時、ばね受け47は、後述するタイマー手段50のオイルの抵抗の存在により瞬時には下降しないので、ばね押さえ43がストッパ44に当接する作動位置に速やかに移動する。そこで、駆動用ばね45は、このばね押さえ43の移動量に相当する量だけ収縮され、その反発力(蓄圧力)が駆動力としてばね受け47を介してシャフト46に作用する。そして、ばね押さえ43の定常位置から作動位置への移動量は、二次圧の変動に拘わらず一定であり、駆動用ばね45に発生する駆動力は常に一定となる。なお、シリンダ41の駆動用ばね45が収納されている空間は、外部と連通している。
【0025】
タイマー手段50は、粘性流体であるオイルが充填されるオイル室51(粘性流体室)と、シャフト46の移動に伴いオイル室51内を移動する抵抗体である制動用間仕切52とを有している。オイル室51は、シリンダ41に隣接して設けられた有底円筒状の筒体53の内部に配設されたセパレータ54により形成された密閉空間であり、内部には粘性の高いオイルが充填されている。シャフト46は、このオイル室51を貫通し、液密状態を維持しつつ摺動移動するように配置されており、反圧力設定用ばね21側の端部にはばね受け47が固着され、圧力設定用ばね21側の端部にはばね押さえ48が固着されている。このシャフト46は、ばね受け47がストッパ44に当接、あるいはばね押さえ48が筒体53の底部外面に当接して、駆動部40側への移動が阻止される。この状態で、シャフト46とばね押さえ板24との間に空走間隔Dが確保されている。また、制動用間仕切52は、このシャフト46に遊貫された円板状の部材であって、オイル室51の内周壁面に摺動可能に接触している。さらに、戻し弾性体であるピストンばね49がばね押さえ48とスプリング押さえ24と間に縮設されている。つまり、シャフト46と圧力設定用ばね21とは、ピストンばね49を介して弾性的に連結されている。このピストンばね49は、充水監視用に設けられており、充水感知圧PA前後で縮み始めこれにより、シャフト46を移動させる。
なお、オイル室51に充填される粘性液体は、オイルの他、温度変化に対して粘度変化の少ない例えば水および他の液体を選んでもよい。
【0026】
制動用間仕切52は、オイル室51を、圧力設定ばね21側の第1オイル室(第1粘性流体室)51aと圧力設定ばね21から遠い側の第2オイル室(第2粘性流体室)51bとに分けている。第1オイル室51aと第2オイル室51bとの間には、シャフト46が空走間隔Dを移動する間の移動速度(第1速度)を規定する第1連通路55と、シャフト46が圧力設定ばね21を押し縮めながら移動する間の移動速度(第1速度より速い第2速度)を規定する第2連通路56が形成されている。尚、この時、オイルは第1オイル室51aから第2オイル室51bに移動する。
【0027】
第1連通路55は、オイル室51を構成する筒体53の側壁内部に軸方向に延びて形成された細径の流通路でオイル室51の前端部と後端部とを連通している。第2連通路56は、筒体53の前端側(圧力設定ばね21側)の一部が他の部分よりも大径とされて形成された空間である。この第1連通路55と第2連通路56は、上述したように、シャフト46が空走間隔Dを移動する間の移動速度を第1速度とし、シャフト46が圧力設定ばね21を押し縮めながら移動する間の移動速度を第1速度より速い第2速度とすることが目的であり、第2連通路56の軸方向の長さは、シャフト46が圧力設定ばね21を低圧設定用リング26から高圧設定用リング27までの間で押し縮めながら移動する間隔に合わせて設けられることが望ましい。
【0028】
なお、第1連通路55と第2連通路56の目的は上述の通りなので、その構成に関しては、本実施例のものは一例であり、これに限定されるものではない。例えば、第1連通路をオイル室51の後端側のみに設けて、その分第2連通路をさらに大径としてもよく、他の構成部材との関係により種々の形状が考えられる。
【0029】
第2連通路56は、調圧パイロット弁200の設定圧力を第1設定圧力PLから第2設定圧力PHに速やかに変更する為のものである。予告放水(低圧放水)は、トンネル内で放水しても運転者が視界を失わない程度の低圧のノズル圧による放水であり、所定時間予告放水をして、運転者を惑わせないという予告目的を達した後、もし、所定の消火効果の得られる本格放水(高圧放水)までにゆっくりと昇圧するならば、その間の放水が、視界も得られず所定の消火効果も得られないという中途半端な無駄な放水となってしまうので、変更を速やかにしたものである。
【0030】
第1連通路55には、第1連通路55の流路断面積を大小変化させて、シャフト46の第1速度を調整する速度調整手段としてのニードル弁57が設けられている。このニードル弁57を調整することにより、消火設備が設置される実際の場所にて、予告放水(低圧放水)のされる時間(本実施例では、10秒)を微調整することができる。
【0031】
また、制動用間仕切52には、第1オイル室51aと第2オイル室51bとを連通する貫通穴58が穿設されている。そして、制動用間仕切52は、シャフト46に固着されたストッパ59と閉塞板60との間に遊嵌状態に配設され、ストッパ59と閉塞板60との間を移動可能となっている。そして、閉塞板60は制動用間仕切52の反圧力設定ばね21側に位置し、制動用間仕切52と密接して貫通穴58を塞口する。一方、ストッパ59は、制動用間仕切52の圧力設定ばね21側に位置し、制動用間仕切52に当接して、圧力設定ばね21側への移動を規制するもので、貫通穴58は塞口されない。そこで、制動用間仕切52は、シャフト46が前進(圧力設定ばね21側に進む)する際には、閉塞板60側に移動し、このとき貫通穴58は閉塞板60で塞がれるので、オイルは貫通穴58を通って第1オイル室51aから第2オイル室51bに流れない。一方、シャフト46が後退する際には、制動用間仕切52はストッパ59側に移動するが、貫通穴58は塞がれないので、オイルは貫通穴58を通って第2オイル室51bから第1オイル室51aへ流れる。
このように、貫通穴58、ストッパ59および閉塞板60が、第2オイル室51bから第1オイル室51aに向かう一方向にのみオイルを流通させる逆止弁を構成している。
【0032】
ついで、充水圧感知開閉弁300について説明する。
充水圧感知開閉弁300は、所定の設定圧力を感知して作動する常時閉の通常のパイロット弁であり、本実施例においては、二次側配管3が充水したと推定(二段階放水式消火設備が設置されるトンネル内の配管の状態で異なる)される充水感知圧PAである例えば0.09MPAで作動するよう設定されている。すなわち、充水圧感知開閉弁300は、二次圧が充水感知圧PA以下であるうちは調圧弁体63を開放しない。充水圧感知開閉弁300の一次室67には、制御配管5aから分岐する制御配管5bが接続されている。また、二次室66には、制御配管6aから分岐する制御配管6bが接続されている。すなわち、充水圧感知開閉弁300は、調圧パイロット弁200を通過した一次圧を自動弁100の主弁10をリフトするピストン室12に導入する制御配管5a,6aの途中に、充水圧感知開閉弁300が作動するまでの間、主弁10の開度を過流防止開度に維持する過流防止開度維持手段を構成する貫入弁15と並列に配設されている。充水圧感知開閉弁300には、さらに感知室65に二次圧を導入するための二次側配管3から延びる配管7aが接続されている。二次圧が充水感知圧PAに達し、充水圧感知開閉弁300が開弁すると、一次側からの圧力水は既に閉止している貫入弁15を迂回して、この充水圧感知開閉弁300を含むバイパス経路を介して、制御配管5a、制御配管5b、一次室67、二次室66、制御配管6b、制御配管6aの順に進み、自動弁100のピストン室12に給水され、自動弁100を調圧可能な状態にする。
【0033】
このように構成された自動調圧弁400は、例えば図5に示されるように、トンネル内二段階放水式消火設備に適用される。なお、図5では、一つの散水区画における配置状態を示している。
図5において、水平配管73がトンネル(図示せず)内に、トンネルの長手方向に水平に設置されている。この水平配管73には、水噴霧ノズル74が所定の間隔で複数取り付けられている。そして、水槽70に貯水されている消火水1が、ポンプ71、自動調圧弁400および垂直配管72を介して水平配管73に供給されるようになっている。
【0034】
ここで、垂直配管72による立ち上がりが5m、水平配管73の長さが45m、水噴霧ノズル74の配設ピッチが5m、そして垂直配管72が水平配管73の長さ方向の中央位置に接続されている場合、二次側配管3が充水したと推定される充水感知圧PAは、水噴霧ノズル74と自動弁100との落差(5m)の水頭(0.05MPa)よりも高く、この落差水頭(0.05MPa)と視界を確保できるノズル放水圧(例えば0.07MPa)に配管ロス(管内流速などに依存)を加えた圧力よりも低い圧力が選ばれる。
【0035】
つぎに、自動調圧弁400の動作について説明する。
図1に示される通常時:
まず、通常時においては、起動弁81が閉止されており、自動弁100も閉じている。そして、二次側配管3は空の状態である。
【0036】
図7に示される起動開始時:
ついで、火災が発生して起動弁81が開かれると、一次側配管2の消火水1は、図7に示されるように、配管4a、起動弁81、配管4b、調圧パイロット弁200の一次室32及び二次室33、制御配管5a、自動弁100の第2弁室15B、第1弁室15A、制御配管6aを通って、自動弁100のピストン室12に充填される。ピストン室12の圧力はピストンばね14の付勢力に打ち勝ってロッド18を徐々に上昇させる。これにより、主弁10が開き、一次側配管2の消火水1が徐々に二次側配管3に流れ始める。
【0037】
図8に示される二次側配管充水中の状態(図6のアの区間):
ロッド18が徐々に上昇し、ロッド18が開口17aを閉止すると、一次側配管2からピストン室12への圧力水の供給が止まり、ロッド18の上昇が停止する。そこで、主弁10が一定の開度で停止し、消火水1が一次側配管2から自動弁100を介して二次側配管3内を流れ込む。このときの主弁10の開度は、ロッド18のリフト量によって決まるが、仕切板17の位置は上述のようにロッド18の移動方向に位置調整可能とされており、自動調圧弁400が使用される環境(配管の状態)に合わせて、水撃防止および、水噴霧ノズル74における放水開始時に突然瞬間的な過剰な水噴霧、すなわち過流を防止することで通行車両の運転者を惑わすことを回避するための適切な開度となるように設定されている。
また、制御配管7aおよび制御配管7bを経由して、駆動部40の加圧室42に二次圧が導入され始める。これにより、ばね押さえ43が下降する。
【0038】
図9に示される二次側配管充水完了の状態:
そして、二次側配管3が消火水1で充水されると、二次側配管3に一定の圧力が発生し、加圧室42が加圧されはじめ、ばね押さえ43がストッパ44に押し当てられる。これにより、駆動用ばね45が所定量収縮され、駆動力が発生する。この駆動用ばね45の駆動力により、シャフト46が徐々に下降を開始する。そこで、ピストンばね49が収縮しつつ、シャフト46がばね押さえ板24に接近する。この時、シャフト46は、第1連通路56により規定される第1速度で、移動する。
【0039】
ここで、二次圧は、消火水1が垂直配管72の立ち上がり(5m)を上昇する間徐々に高くなる(図6の0〜点Aの区間に相当)。その後、水平配管73に充水中は、圧力は上がらない(図6の点A〜点Bの区間に相当)。そして、水平配管73にも全て充水されると、再び圧力が上昇し始める(図6の点B〜点Cの区間に相当)。
【0040】
この自動調圧弁400においては、自動弁100に過流防止開度維持手段である貫入弁15を設けたので、主弁10の充水中の開度が、予告放水開度より小さい開度の過流防止開度に維持される。そのため、図6に示すように充水完了の時点で水撃が発生しない(従来のものでは、図6に点線で示すように水撃が発生していた)。さらには、予告放水の開始の時点で予告放水流量以上の放水がされないため、放水開始時の鉄砲水で過剰な噴出(過流)がなく、運転者を不意に驚かすことが避けられ、二次災害を防止することができる。
【0041】
図10に示される予告放水中の状態(図6のウの区間):
二次側配管3内への消火水1の充水が完了し、充水感知圧PAに達すると、充水圧感知開閉弁300が作動し(図6の点C)、充水圧感知開閉弁300の調圧弁体63が開く。そこで、圧力水は、制御配管4a、起動弁81、制御配管4b、調圧パイロット弁200の一次室及び二次室32,33、制御配管5a、制御配管5b、充水圧感知開閉弁300の一次室及び二次室67,66、制御配管6b、制御配管6aを介して、自動弁100のピストン室12に充填される。これにより、ピストン室12の圧力が上昇され、ロッド18が押し上げられて、主弁10がさらに開く。このときの開度は、圧力設定ばね21の第1縮設長さにて設定された第1設定圧力による予告放水開度となる。そして、水噴霧ノズル74からの予告放水(低圧放水)が開始される。
【0042】
そして、シャフト46は、ピストンばね49を押し縮めながら第1連通路55により規定される第1速度で空走間隔Dを移動する。シャフト46が空走間隔Dを移動している間(本実施例では、約10秒)、予告放水が行われる(図6のシャフト46の移動開始点から点Eの区間)。なお、シャフト46の移動開始は、二次圧が充水感知圧PAに達する時点にほぼ一致する。
【0043】
図11に示される予告放水から本格放水への移行の状態(図6のエの区間):
シャフト46が空走空間Dを移動してばね押さえ板24に達すると、シャフト46の速度は第2連通路56の効果により第1速度から第2速度に上がり、瞬時に圧力設定ばね21を第1縮設長さから第2縮設長さへ変化させる(図6の点E〜点Fの区間)。
【0044】
図12に示される本格放水の状態(図6のオの区間):
軸部25が高圧設定用リング27に当接し、シャフト46の下降が停止される。これにより、圧力設定ばね21の縮設長さが第2縮設長さに設定される。そこで、圧力設定ばね21の蓄圧力がフラム28を伝わって調圧弁体35に伝達され、調圧弁体35は非常に絞り込まれた状態から大きく開かれた開放状態となる。すなわち、調圧パイロット弁200の設定圧力は第1設定圧力から第2設定圧力に速やかに切り替わる。これより、自動弁100のピストン室12に再び一次側配管2の圧力が導入され、ロッド18は再び上昇する。そして、主弁10は、第2設定圧力による本格放水開度まで速やかに開く。これ以降、本格放水(高圧放水)が行われる(図6の点F以降の区間)。
【0045】
復旧動作:
本格放水が終わり、自動調圧弁400を復旧する際には、起動弁81を閉じると、自動弁100のピストン室12に圧力水が供給されなくなる。そこで、主弁10に接続するロッド18を閉止方向に付勢するピストンばね14の力により、ロッド18が閉止方向へ動き始める。この時点では、主弁10の開度はまだ予告放水開度と本格放水開度の間の開度となっているので、充水圧感知開閉弁300は開弁状態であり、ピストン室12内の圧力水が押し出されると、充水圧感知開閉弁300を経由して調圧パイロット弁200の調圧部30の二次室33に入り、軸棒36が貫通する孔の逃がし用の隙間を通りフラム室31から制御配管7c,7aを介して二次側配管3に排水される。
【0046】
主弁10が絞られて、二次側配管3の圧力が充水圧感知開閉弁300の充水感知圧PAを下回るようになると、充水圧感知開閉弁300は閉止するが、その前に第1設定圧力PLよりも低い圧力で充水感知圧PAより高い圧力を通過しているとき、貫入弁15が開くので、排水流路は貫入弁15経由で確保され、主弁10は閉止されるに至る。主弁10の閉止後、二次側配管3の圧力は、二次側配管3に充水されている残留水による落差水頭が残り、その後図示しない自動排水弁で全て排水される。
【0047】
二次圧の減圧にともない、調圧パイロット弁200の加圧室42は減圧し、ピストンばね49の蓄圧力でシャフト46が押し上げられる。シャフト46に遊嵌されている制動用間仕切52の貫通穴58が開くので、第1連通路56とともに開口が広い貫通穴58をオイルが通過して速やかにシャフト46がもとの位置に戻る。シャフト46が元の位置に戻るので、ばね押さえ板24は圧力設定ばね21の復元力で伸長し、低圧設定用リング26の位置に戻り、調圧部30も復旧する。さらに、シャフト46が元の位置に戻るので、ばね押さえ板43は駆動用ばね45の復元力で初期位置に戻り、加圧室42内の圧力水が制御配管7b,7aを介して二次配管3に排出され、駆動部40も復旧する。
【0048】
なお、上記実施例では、設定圧変更手段20において、貫通穴58、ストッパ59および閉塞板60からなる逆止弁を制動用間仕切14に設けるものとしているが、例えば第1オイル室51aと第2オイル室51bとの間に配管を別途設ける等して、移動体としてのシャフト46が後退するときにのみにオイルを流通させる逆止弁構造をこの配管に別に設けるようにしてもよい。
また、上記実施例では、調圧パイロット弁の調圧部として常時開の弁構造のものを用いるものとしているが、調圧部として常時閉の弁構造のものを用いてもよい。
また、上記実施例では、駆動部40の加圧室42に二次側配管3の二次圧を導入して、駆動用ばね45に駆動力を発生させるものとしているが、駆動部40の加圧室42に一次側配管2の一次圧を導入して、駆動用ばね45に駆動力を発生させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、設定圧力を二段階としたが、それ以上の複数段階に圧力を設定できるようにしてもよい。その場合、例えば、高圧設定用リング27を設け、さらに低圧設定用リング26の代わりに、放水圧力が視界の確保できる範囲の圧力設定位置に何箇所かのラッチを設けるようにしてもよい。この何箇所かのラッチは、圧力設定ばね21の長くなる方向にばね押さえ板24が通過するように設けられるもので、圧力設定ばね21の短くなる方向では押さえ板24が掛合するが、所定の力以上で越えられるものである。このようにすると、予告放水時に、視界の確保できる範囲において、より低圧(小水量)から段階的に順次放水圧力が増すように散水されるので、走行車両に対してより安全に予告をすることができる。
【0050】
また、上記実施例では、設定圧力を複数段階としたが、設定圧力を任意に設定できるようにしてもよい。その場合、例えば高圧設定用リング27のみを設け、初めからばね押さえ板24をシャフト46に当接するようにする。このようにすると、予告放水時には視界のきく範囲において、低圧から無段階に放水圧力が増すように散水されるので、走行車両に対してより安全に予告をなすことができ、構成も簡単である。なお、視界の確保できる放水圧力を超える頃、すなわち予告放水後、第2連絡路56が通るようにすると速やかに本格放水に入れるので、消火が効果的にされる。
以上の記載では、ラッチなどの位置を放水圧力が視界の確保できる範囲の位置より長くしたが、その位置より短い位置にラッチなどを設けてもかまわない。
【0051】
また、上記実施例では図5のようにトンネル内二段階放水式消火設備のひとつの散水区画の例を示したが、この散水区画が複数トンネル内に長手方向に連ねられて設備され、いずれかの区画内の図示しない火災感知器の発報信号に基づいて図示しない遠隔の制御盤で発報した区画の消火設備を動作させるようにしてもよい。
【0052】
その場合、発報した火災感知器の区画のみを二段階放水で散水するようにしてもよいが、発報した区画と車両の進行方向手前側の区画とで同時に一斉に二段階放水で散水するようにしてもよい。この場合、進行方向手前側の区画の方は予告放水だけで終えるように所定時間内に放水停止制御するようにしてもよい。
【0053】
あるいは、発報した区画において、一番初めに二段階放水を開始し、進行方向手前側の複数区画のうち一番発報区画に近い奥の区画から一番手前の区画まで順次遅らせて二段階放水を起動して散水するようにしてもよい。この場合、車両の進行方向手前側の複数区画の散水は、本格放水に入る前に散水停止するようにしてもよい。
【0054】
もしくは、進行方向手前側の複数区画の散水は、図示しない制御盤によって起動弁を所定時間内にオン・オフを繰り返し、予告放水を繰り返すようにしてもよい。こうすると、予告放水をいつまでもすることができる。この場合、オン・オフのタイミングまたは周期を各区画で異なるようにすると、一斉に予告放水が停止することを少なく、又は無くすることができ、予告の機能が失われることなく散水できる。
【0055】
このように本発明では、圧力設定弾性体の縮設長さにより設定圧力が設定される調圧パイロット弁と、主弁の開度が調圧パイロット弁により設定された設定圧力に基づいて制御されて、二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁とを有する自動調圧弁において、調圧パイロット弁は、圧力設定弾性体が第1縮設長さと該第1縮設長さより短い第2縮設長さとの間で変化可能に配設された設定圧変更手段と、自動弁の一次圧若しくは二次圧が導入されると圧力設定弾性体の縮設長さを第1縮設長さから第2縮設長さに変更するための所定の駆動力を発生する駆動手段と、駆動力を所定時間経過後に圧力設定弾性体に伝達して、該圧力設定弾性体の縮設長さを変更させるタイマー手段と、設定圧力に応じて、自動弁の主弁の開度を制御する調圧手段と、を備えている。そこで、一台の調圧パイロット弁によって、自動弁の二次圧を変化させて調圧することができ、簡単な構成で安価なものとすることができる。また、駆動手段に発生する駆動力は、導入される一次圧あるいは二次圧の変動の影響を受けず、常に一定となり、予告放水から本格放水への切り換えが、予め設定された切り換え時間で確実に完了される。さらには、この自動調圧弁をトンネル内消火設備に適用すれば、簡単な構成でコストダウンを図ることができるトンネル内二段階放水式消火設備を得ることができる。
【0056】
駆動手段は、自動弁の一次圧若しくは二次圧の導入口が設けられたシリンダと、シリンダ内に導入口と接離する方向に液密状態を維持しつつ摺動自在に配設されたばね押さえと、シリンダに上記ばね押さえを挟んで導入口の反対側に設けられ、該導入口から離反する方向における該ばね押さえの移動量を規定するストッパと、ばね押さえの導入口の反対側に設けられ、該導入口が臨むシリンダ内の空間に一次圧若しくは二次圧が導入されていないときは、ばね押さえがストッパから離反する定常位置に位置するように伸長し、該空間に一次圧若しくは二次圧が導入された時に、ばね押さえが定常位置からストッパに当接する作動位置に移動するように収縮して駆動力を発生する駆動用ばねと、を備えている。そこで、導入される一次圧あるいは二次圧の変動の影響を受けず、常に一定の駆動力を発生できる駆動手段が簡易な構成で実現される。
【0057】
また、タイマー手段は、設定圧変更手段と駆動手段との間に配設されて、粘性流体が充填された粘性流体室と、粘性流体室を液密状態に貫通して圧力設定弾性体の伸縮方向に移動可能に配設されたシャフトと、シャフトの移動に連動して粘性流体室内を移動する抵抗体と、シャフトの一端に固着されて駆動用ばねの駆動力が伝達されるばね受けと、シャフトの他端と圧力設定弾性体とを弾性的に連結する戻し弾性体と、を備え、シャフトは、駆動力がばね受けを介して伝達されると、抵抗体が粘性流体中を移動する際に受ける抵抗に抗して戻し弾性体を収縮させつつ移動して、所定時間経過後に圧力設定弾性体に当接し、その後該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動するようになっている。そこで、この自動調圧弁をトンネル内二段階放水式消火設備に適用した場合に、予告放水が行われる時間を容易な構成によりつくり出すことができる。
【0058】
また、タイマー手段は、シャフトが、第1速度で戻し弾性体を収縮させつつ圧力設定弾性体に当接するまで移動し、圧力設定弾性体に当接した後、第1速度より速い第2速度で、該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動するように構成されている。そこで、この自動調圧弁をトンネル内二段階放水式消火設備に適用した場合に、予告放水から本格放水への切り替わりを速やかに行うことができ、切り替わりの間の放水が、視界も得られず所定の消火効果も得られないという中途半端な無駄な放水となることがなく、さらに効果的なトンネル内二段階放水式消火設備とすることができる。
【0059】
また、抵抗体が、粘性流体室内を設定圧変更手段側の第1粘性流体室と駆動手段側の第2粘性流体室とに分離するように配設されている。そして、抵抗体が戻し弾性体を収縮させつつ圧力設定弾性体に当接するまでのシャフトの移動に連動して移動する際に、粘性流体を第1粘性流体室から第2粘性流体室に還流させて、該シャフトの移動速度を第1速度に規定する第1連通路と、第1連通路より大きな通路断面積に形成され、抵抗体が圧力設定弾性体に当接した後の該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動するシャフトの移動に連動して移動する際に、粘性流体を第1粘性流体室から第2粘性流体室に還流させて、該シャフトの移動速度を上記第2速度に規定する第2連通路と、を備えている。そこで、この自動調圧弁をトンネル内二段階放水式消火設備に適用した場合に、予告放水から本格放水への切り換えを速やかに行うことができる自動調圧弁をコンパクトな構成により実現することができる。
【0060】
また、自動弁は、主弁の開度が、予告放水開度と、該予告放水開度より大きな本格放水開度との少なくとも2段階の開度に制御される。そこで、この自動調圧弁をトンネル内二段階放水式消火設備に容易に適用することができる。
【0061】
また、自動弁に接続された二次側配管の充水圧を感知して作動する充水感知開閉弁をさらに備え、自動弁は、充水感知開閉弁が作動するまでの間、主弁の開度を、予告放水開度より小さな過流防止開度に維持する過流防止開度維持手段を備えている。そこで、水撃を防止することができるとともに、放水開始時の過流を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明の自動調圧弁は、トンネル内消火において、本格放水(高圧放水)の前に小流量の予告放水(低圧放水)を行う二段階放水式消火設備に好適な自動調圧弁である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明による自動調圧弁における通常時の状態を示す系統図である。
【図2】この発明による自動調圧弁における調圧パイロット弁を調圧部側から見た正面図である。
【図3】図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】図2のIV−IV矢視断面図である。
【図5】この発明による自動調圧弁を用いたトンネル内二段階放水式消火設備の配置状態を説明する図である。
【図6】二次側配管の圧力の変化を説明する圧力変化図である。
【図7】この発明による自動調圧弁における起動開始時の状態を示す系統図である。
【図8】この発明による自動調圧弁における二次側配管充水中の状態を示す系統図である。
【図9】この発明による自動調圧弁における二次側配管充水完了の状態を示す系統図である。
【図10】この発明による自動調圧弁における予告放水開始の状態を示す系統図である。
【図11】この発明による自動調圧弁における予告放水から本格放水への移行の状態を示す系統図である。
【図12】この発明による自動調圧弁における本格放水の状態を示す系統図である。
【符号の説明】
【0064】
10 主弁、15 貫入弁(過流防止開度維持手段)、20 設定圧変更手段、21 圧力設定ばね(圧力設定弾性体)、30 調圧部(調圧手段)、40 駆動部(駆動手段)、41 シリンダ、42a 導入口、43 ばね押さえ、44 ストッパ、45 駆動用ばね、46 シャフト、47 ばね受け、49 ピストンばね(戻し弾性体)、50 タイマー手段、51 オイル室(粘性流体室)、51a 第1オイル室(第1粘性流体室)、51b 第2オイル室(第2粘性流体室)、52 制動用間仕切(抵抗体)、55 第1連通路、56 第2連通路、58 貫通穴(逆止弁)、59 ストッパ(逆止弁)、60 閉塞板(逆止弁)、100 自動弁、200 調圧パイロット弁、300 充水圧感知開閉弁、400 自動調圧弁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力設定弾性体の縮設長さにより設定圧力が設定される調圧パイロット弁と、主弁の開度が上記調圧パイロット弁により設定された上記設定圧力に基づいて制御されて、二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁とを有する自動調圧弁において、
上記調圧パイロット弁は、
上記圧力設定弾性体が第1縮設長さと該第1縮設長さより短い第2縮設長さとの間で変化可能に配設された設定圧変更手段と、
上記自動弁の一次圧若しくは二次圧が導入されると上記圧力設定弾性体の縮設長さを上記第1縮設長さから上記第2縮設長さに変更するための所定の駆動力を発生する駆動手段と、
上記駆動力を所定時間経過後に上記圧力設定弾性体に伝達して、該圧力設定弾性体の縮設長さを変更させるタイマー手段と、
上記設定圧力に応じて、上記自動弁の主弁の開度を制御する調圧手段と、
を備えていることを特徴とする自動調圧弁。
【請求項2】
上記駆動手段は、上記自動弁の一次圧若しくは二次圧の導入口に設けられたシリンダと、上記シリンダ内に上記導入口と接離する方向に液密状態を維持しつつ摺動自在に配設されたばね押さえと、上記シリンダに上記ばね押さえを挟んで上記導入口の反対側に設けられ、該導入口から離反する方向における該ばね押さえの移動量を規定するストッパと、上記ばね押さえの上記導入口の反対側に設けられ、該導入口が臨む上記シリンダ内の空間に上記一次圧若しくは二次圧が導入されていないときは、上記ばね押さえが上記ストッパから離反する定常位置に位置するように伸長し、該空間に上記一次圧若しくは二次圧が導入された時に、上記ばね押さえが上記定常位置から上記ストッパに当接する作動位置に移動するように収縮して上記駆動力を発生する駆動用ばねと、を備えていることを特徴とする請求項1記載の自動調圧弁。
【請求項3】
上記タイマー手段は、上記設定圧変更手段と上記駆動手段との間に配設されて、粘性流体が充填された粘性流体室と、上記粘性流体室を液密状態に貫通して上記圧力設定弾性体の伸縮方向に移動可能に配設されたシャフトと、上記シャフトの移動に連動して上記粘性流体室内を移動する抵抗体と、上記シャフトの一端に固着されて上記駆動用ばねの上記駆動力が伝達されるばね受けと、上記シャフトの他端と上記圧力設定弾性体とを弾性的に連結する戻し弾性体と、を備え、
上記シャフトは、上記駆動力が上記ばね受けを介して伝達されると、上記抵抗体が上記粘性流体中を移動する際に受ける抵抗に抗して上記戻し弾性体を収縮させつつ移動して、上記所定時間経過後に上記圧力設定弾性体に当接し、その後該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動することを特徴とする請求項2記載の自動調圧弁。
【請求項4】
上記タイマー手段は、上記シャフトが、第1速度で上記戻し弾性体を収縮させつつ上記圧力設定弾性体に当接するまで移動し、上記圧力設定弾性体に当接した後、上記第1速度より速い第2速度で、該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の自動調圧弁。
【請求項5】
上記抵抗体が、上記粘性流体室内を上記設定圧変更手段側の第1粘性流体室と上記駆動手段側の第2粘性流体室とに分離するように配設されており、
上記抵抗体が上記戻し弾性体を収縮させつつ上記圧力設定弾性体に当接するまでの上記シャフトの移動に連動して移動する際に、上記粘性流体を上記第1粘性流体室から上記第2粘性流体室に還流させて、該シャフトの移動速度を上記第1速度に規定する第1連通路と、
上記第1連通路より大きな通路断面積に形成され、上記抵抗体が上記圧力設定弾性体に当接した後の該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動する上記シャフトの移動に連動して移動する際に、上記粘性流体を上記第1粘性流体室から上記第2粘性流体室に還流させて、該シャフトの移動速度を上記第2速度に規定する第2連通路と、
を備えていることを特徴とする請求項4記載の自動調圧弁。
【請求項1】
圧力設定弾性体の縮設長さにより設定圧力が設定される調圧パイロット弁と、主弁の開度が上記調圧パイロット弁により設定された上記設定圧力に基づいて制御されて、二次圧が所定の制御圧力に調圧される自動弁とを有する自動調圧弁において、
上記調圧パイロット弁は、
上記圧力設定弾性体が第1縮設長さと該第1縮設長さより短い第2縮設長さとの間で変化可能に配設された設定圧変更手段と、
上記自動弁の一次圧若しくは二次圧が導入されると上記圧力設定弾性体の縮設長さを上記第1縮設長さから上記第2縮設長さに変更するための所定の駆動力を発生する駆動手段と、
上記駆動力を所定時間経過後に上記圧力設定弾性体に伝達して、該圧力設定弾性体の縮設長さを変更させるタイマー手段と、
上記設定圧力に応じて、上記自動弁の主弁の開度を制御する調圧手段と、
を備えていることを特徴とする自動調圧弁。
【請求項2】
上記駆動手段は、上記自動弁の一次圧若しくは二次圧の導入口に設けられたシリンダと、上記シリンダ内に上記導入口と接離する方向に液密状態を維持しつつ摺動自在に配設されたばね押さえと、上記シリンダに上記ばね押さえを挟んで上記導入口の反対側に設けられ、該導入口から離反する方向における該ばね押さえの移動量を規定するストッパと、上記ばね押さえの上記導入口の反対側に設けられ、該導入口が臨む上記シリンダ内の空間に上記一次圧若しくは二次圧が導入されていないときは、上記ばね押さえが上記ストッパから離反する定常位置に位置するように伸長し、該空間に上記一次圧若しくは二次圧が導入された時に、上記ばね押さえが上記定常位置から上記ストッパに当接する作動位置に移動するように収縮して上記駆動力を発生する駆動用ばねと、を備えていることを特徴とする請求項1記載の自動調圧弁。
【請求項3】
上記タイマー手段は、上記設定圧変更手段と上記駆動手段との間に配設されて、粘性流体が充填された粘性流体室と、上記粘性流体室を液密状態に貫通して上記圧力設定弾性体の伸縮方向に移動可能に配設されたシャフトと、上記シャフトの移動に連動して上記粘性流体室内を移動する抵抗体と、上記シャフトの一端に固着されて上記駆動用ばねの上記駆動力が伝達されるばね受けと、上記シャフトの他端と上記圧力設定弾性体とを弾性的に連結する戻し弾性体と、を備え、
上記シャフトは、上記駆動力が上記ばね受けを介して伝達されると、上記抵抗体が上記粘性流体中を移動する際に受ける抵抗に抗して上記戻し弾性体を収縮させつつ移動して、上記所定時間経過後に上記圧力設定弾性体に当接し、その後該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動することを特徴とする請求項2記載の自動調圧弁。
【請求項4】
上記タイマー手段は、上記シャフトが、第1速度で上記戻し弾性体を収縮させつつ上記圧力設定弾性体に当接するまで移動し、上記圧力設定弾性体に当接した後、上記第1速度より速い第2速度で、該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の自動調圧弁。
【請求項5】
上記抵抗体が、上記粘性流体室内を上記設定圧変更手段側の第1粘性流体室と上記駆動手段側の第2粘性流体室とに分離するように配設されており、
上記抵抗体が上記戻し弾性体を収縮させつつ上記圧力設定弾性体に当接するまでの上記シャフトの移動に連動して移動する際に、上記粘性流体を上記第1粘性流体室から上記第2粘性流体室に還流させて、該シャフトの移動速度を上記第1速度に規定する第1連通路と、
上記第1連通路より大きな通路断面積に形成され、上記抵抗体が上記圧力設定弾性体に当接した後の該圧力設定弾性体の縮設長さを変えつつ移動する上記シャフトの移動に連動して移動する際に、上記粘性流体を上記第1粘性流体室から上記第2粘性流体室に還流させて、該シャフトの移動速度を上記第2速度に規定する第2連通路と、
を備えていることを特徴とする請求項4記載の自動調圧弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−201855(P2006−201855A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10468(P2005−10468)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
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