説明

自動販売機の制御装置

【課題】セキュリティレベルの向上を図ることができる自動販売機の制御装置を提供すること。
【解決手段】施錠指令が与えられて施錠状態となる場合には本体キャビネットの前面開口を閉成する外扉が開移動することを規制する一方、解錠指令が与えられて解錠状態となる場合には外扉が開閉移動することを許容する電子錠装置24に対し、予め決められたタイムスケジュールに従って電子錠装置24に施錠指令又は解錠指令を与える自動販売機の制御装置において、電子錠装置24を施錠状態にしている場合に、オペレータが保有するハンディターミナル40よりその固有の情報とともに解錠手順の発行が依頼されると、予め設定された期間のみ有効となる解錠手順を生成してハンディターミナル40に送出し、設定された期間内に解錠手順が行われると電子錠装置24に解錠指令を与えて解錠状態にする制御手段30を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の制御装置に関し、より詳細には、施錠指令が与えられて施錠状態となる場合には、自動販売機本体に形成された開口を閉成する扉体が開移動することを規制する一方、解錠指令が与えられて解錠状態となる場合には扉体が開閉移動することを許容する電子錠装置に対し、予め決められたタイムスケジュールに従って電子錠装置に施錠指令又は解錠指令を与える自動販売機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機本体の前面開口を閉成する外扉が開移動することを規制する機械式の錠装置が自動販売機に設置されているのが一般的である。そして、防犯性能の更なる向上を図るべく、機械式の錠装置とともに電子錠装置を備えたものが知られている。この電子錠装置は、施錠指令が与えられて施錠状態となる場合には自動販売機本体の前面開口を閉成する外扉が開移動することを規制する一方、解錠指令が与えられて解錠状態となる場合には外扉が開閉移動することを許容するものである。
【0003】
このような自動販売機においては、オペレータの巡回時間や設置ロケーションの要請等に応じて予め決められた時間(所定時間)だけ電子錠装置を解錠状態にし、それ以外の時間は電子錠装置を施錠状態にしておくことで、上記所定時間以外は機械式の錠装置が解錠状態にされても前面開口の閉成を維持している。
【0004】
ところで、道路事情の影響等によりオペレータが巡回時間を過ぎて到着してしまい、上記所定時間の経過後に補充作業等を行う必要が生ずることがある。しかしながら、所定時間以外には電子錠装置が施錠状態となっていることから、外扉を開移動させることができず、補充作業等が行えないという不都合が生じてしまう。
【0005】
そこで、電子錠装置が施錠状態となっている時間帯においても、オペレータが外扉の前面に設けられている商品選択ボタンを予め決められたパターンに従って押下操作することにより電子錠装置を強制的に解錠状態にする自動販売機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−212443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した特許文献1に提案されている自動販売機では、電子錠装置を強制的に解錠状態にするパターンが固定されているため、かかるパターンを悪意のある者が取得すると、電子錠装置を強制的に解錠状態にし、機械式の錠装置を破損等させることで外扉を開移動させることができ、セキュリティレベルが必ずしも高いとはいえなかった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、セキュリティレベルの向上を図ることができる自動販売機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機の制御装置は、施錠指令が与えられて施錠状態となる場合には、自動販売機本体に形成された開口を閉成する扉体が開移動することを規制する一方、解錠指令が与えられて解錠状態となる場合には前記扉体が開閉移動することを許容する電子錠装置に対し、予め決められたタイムスケジュールに従って前記電子錠装置に施錠指令又は解錠指令を与える自動販売機の制御装置において、前記電子錠装置を施錠状態にしている場合に、オペレータが保有する端末機器より該端末機器の固有の情報とともに解錠手順の発行が依頼されると、予め設定された期間のみ有効となる解錠手順を生成して前記端末機器に送出し、設定された期間内に前記解錠手順が行われると前記電子錠装置に解錠指令を与えて解錠状態にする制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子錠装置を施錠状態にしている場合にオペレータが保有する端末機器より該端末機器の固有の情報とともに解錠手順の発行が依頼されると、制御手段は、予め設定された期間のみ有効となる解錠手順を生成して端末機器に送出し、設定された期間内に解錠手順が行われると電子錠装置に解錠指令を与えて解錠状態にするので、かかる発行する解錠手順は一度だけの使い捨てのものとすることができ、しかも端末機器の固有の情報を得ているので、オペレータを特定することができる。従って、セキュリティレベルの向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である制御装置を適用した自動販売機を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示した制御手段が施錠開始時刻から施錠終了時刻までの施錠時間帯に実施する施錠時解錠処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の制御装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態である制御装置を適用した自動販売機を示すブロック図である。ここで例示する制御装置は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の容器入り飲料を商品として販売する自動販売機に適用されるものである。図には明示していないが、自動販売機の本体キャビネットには、複数の商品収納ラックが設けてあり、これらの商品収納ラックにコラムが設定してある。コラムは、同一種類の商品が収容される収容単位であり、販売する商品に応じて1、もしくは複数の商品収納ラックが対応している。商品収納ラックには、それぞれに収容した商品の搬出制御を行うためのベンドメック10が設けてあるとともに、個々のベンドメック10に商品の売り切れを検出する売切センサ12が設けてある。
【0014】
図1に示すように、上記自動販売機には、コラムに対応した選択ボタン14及び売切ランプ16が設けてあるとともに、貨幣処理装置18及び一体表示器20が設けてある。選択ボタン14は、利用者が購入商品を選択するためのもので、図には明示していないが、本体キャビネットの前面開口を開閉する外扉の前面に商品見本とともに配設してある。個々の選択ボタン14は、利用者によって押圧操作された場合にそれぞれの出力信号を後述の制御手段30に対して出力する。売切ランプ16は、利用者に対して商品が販売可能であるか否かを表示するためのもので、個々の選択ボタン14に対応して設けてある。貨幣処理装置18は、コインメカニズムやビルバリデータと称されるものであり、利用者によって貨幣が投入された場合にこれを鑑別し、その鑑別結果を後述の制御手段30に出力するものである。一体表示器20は、投入金額や釣銭金額等、商品を購入する場合に必要となるデータを表示するためのもので、例えば液晶表示器によって構成してある。
【0015】
また、上記自動販売機には、扉スイッチ22や電子錠装置24が設けられている。扉スイッチ22は、本体キャビネットの前面開口の開閉を検知するものであり、本体キャビネットの前面開口が開成する場合にはオン状態となってその旨を制御手段30に与える一方、本体キャビネットの前面開口が外扉により閉成される場合にはオフ状態となってその旨を制御手段30に与えるものである。
【0016】
電子錠装置24は、施錠状態となる場合には本体キャビネットの前面開口を閉成する外扉が開移動することを規制する一方、解錠状態となる場合には外扉が開閉移動することを許容するものである。
【0017】
自動販売機の制御手段30は、図1に示すように、売切センサ12、貨幣処理装置18、選択ボタン14、扉スイッチ22から出力信号が与えられた場合、予めメモリ30Mに格納したプログラムや初期データに従ってベンドメック10、売切ランプ16、一体表示器20、電子錠装置24の動作を制御するものである。
【0018】
また、制御手段30は、ハンディターミナル40との間で通信を行うものである。ハンディターミナル40は、自動販売機の商品補充等を行うオペレータが保有する端末機器であり、各種機能キーやカーソルキー等の入力部41を備えるとともに、液晶表示器等の表示部42を備えて構成してある。
【0019】
このような制御手段30は、入力制御部31、出力制御部32、生成部33を有している。入力制御部31は、各機器から与えられる指令や信号を入力して処理するものである。出力制御部32は、各機器に対して指令や信号等を出力して処理するものである。生成部33は、入力制御部31を通じてハンディターミナル40より解錠手順の発行依頼が与えられた場合に、予め設定された期間(設定期間:例えば30秒間)のみ有効となる解錠手順(ワンタイムパスワード)を生成するものである。
【0020】
上述した自動販売機においては、ハンディターミナル40やそれ以外の図示せぬ入力手段により施錠開始時刻及び施錠終了時刻が入力されると、制御手段30は次のように動作する。
【0021】
すなわち、制御手段30は、内蔵する時計から読み出した現在時刻が施錠開始時刻に達する場合に、出力制御部32を通じて電子錠装置24に施錠指令を与える。これにより電子錠装置24は、施錠状態となり、本体キャビネットの前面開口を閉成する外扉が開移動することを規制する。従って、オペレータ等が機械式の錠装置を解錠させたとしても外扉を開移動させることはできない。
【0022】
ところで、制御手段30は、内蔵する時計から読み出した現在時刻が施錠終了時刻に達する場合に、出力制御部32を通じて電子錠装置24に解錠指令を与える。これにより電子錠装置24は、解錠状態となる。これにより、オペレータ等が機械式の錠装置を解錠することで外扉が開閉移動することが可能になり、本体キャビネットの前面開口を開成させることができる。
【0023】
図2は、上述した制御手段30が施錠開始時刻から施錠終了時刻までの施錠時間帯に実施する施錠時解錠処理の処理内容を示すフローチャートである。以下、図2を適宜参照しながら制御手段30が実行する処理の内容について説明する。尚、前提として、現在時刻は施錠時間帯内にあり、電子錠装置24は施錠状態にあるものとする。
【0024】
ハンディターミナル40から通信開始信号が与えられて該ハンディターミナル40との間で相互認証を行うことでハンディターミナル40との通信が可能となる場合(ステップS101:Yes)、制御手段30は、ハンディターミナル40より解錠手順の発行依頼が該ハンディターミナル40の固有の識別情報ととともに送出されたか否かを確認する(ステップS102)。
【0025】
制御手段30は、入力制御部31を通じて解錠手順の発行依頼及びハンディターミナル40の識別情報を入力した場合(ステップS102:Yes)、生成部33を通じて予め設定された期間のみ有効となる解錠手順(例えばコラム1の選択ボタン14の押圧操作等)を生成する(ステップS103)。解錠手順を生成した制御手段30は、かかる解錠手順をメモリ30Mに記憶した後、解錠手順をハンディターミナル40に送出する(ステップS104,ステップS105)。
【0026】
設定時間内に解錠手順が実行されない場合(ステップS106:No,ステップS107:Yes)、制御手段30は、後述する処理を実施することなく手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これにより、電子錠装置24の施錠状態が維持される。
【0027】
一方、設定時間内に解錠手順が実行された場合(ステップS106:Yes,ステップS107:No)、制御手段30は、出力制御部32を通じて電子錠装置24に解錠指令を送出する(ステップS108)。これにより、電子錠装置24は解錠状態となる。
【0028】
その後、所定時間(例えば10秒間)内に扉スイッチ22がオン状態となる場合(ステップS109:Yes,ステップS110:No)、制御手段30は、機械式の錠装置が解錠されて本体キャビネットの前面開口が開成されたことを認識し(ステップS111)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0029】
これによれば、オペレータは、施錠時間帯であっても商品の補充作業等を行うことができる。しかもハンディターミナル40より固有の識別情報を得ているので、オペレータの氏名等を後日確認することも可能である。
【0030】
ところで、所定時間内に扉スイッチ22がオン状態とならない場合(ステップS109:No,ステップS110:Yes)、制御手段30は出力制御部32を通じて電子錠装置24に施錠指令を送出し(ステップS112)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0031】
これによれば、一旦解錠状態にされた電子錠装置24を再び施錠状態にすることができ、外扉が開移動させられて本体キャビネットの前面開口が開成されることを抑制することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態である自動販売機の制御装置によれば、電子錠装置24を施錠状態にしている場合にオペレータが保有するハンディターミナル40より該ハンディターミナル40の固有の情報とともに解錠手順の発行が依頼されると、制御手段30が予め設定された期間のみ有効となる解錠手順(ワンタイムパスワード)を生成してハンディターミナル40に送出し、設定期間内に解錠手順が行われると電子錠装置24に解錠指令を与えて解錠状態にするので、かかる発行する解錠手順は一度だけの使い捨てのものとすることができ、しかもハンディターミナル40の固有の情報を得ているので、オペレータを特定することができる。従って、セキュリティレベルの向上を図ることができる。
【0033】
また、オペレータのみに解錠手順を発行するため、簡単な解錠手順で発行することができ、複雑な解錠操作を設定する必要がない。更に、ハンディターミナル40の固有の情報を得ているので、解錠履歴を残すこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明に係る自動販売機の制御装置は、電子錠装置を備える自動販売機に有用である。
【符号の説明】
【0035】
10 ベンドメック
12 売切センサ
14 選択ボタン
16 売切ランプ
18 貨幣処理装置
20 一体表示器
22 扉スイッチ
24 電子錠装置
30 制御手段
30M メモリ
31 入力制御部
32 出力制御部
33 生成部
40 ハンディターミナル
41 入力部
42 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠指令が与えられて施錠状態となる場合には、自動販売機本体に形成された開口を閉成する扉体が開移動することを規制する一方、解錠指令が与えられて解錠状態となる場合には前記扉体が開閉移動することを許容する電子錠装置に対し、予め決められたタイムスケジュールに従って前記電子錠装置に施錠指令又は解錠指令を与える自動販売機の制御装置において、
前記電子錠装置を施錠状態にしている場合に、オペレータが保有する端末機器より該端末機器の固有の情報とともに解錠手順の発行が依頼されると、予め設定された期間のみ有効となる解錠手順を生成して前記端末機器に送出し、設定された期間内に前記解錠手順が行われると前記電子錠装置に解錠指令を与えて解錠状態にする制御手段を備えたことを特徴とする自動販売機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−194885(P2012−194885A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59397(P2011−59397)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】