説明

自動貸金庫装置

【課題】省スペース化時においても、制御ボックスのメンテナンスが支障なく可能な自動貸金庫装置を得る。
【解決手段】制御ボックス1を格納棚12の側面上にスライド移動方向MHに移動可能にすることにより、メンテナンス時設置状態への可変移動を可能にしている。この移動用に、仕切扉9の開状態時における開口領域のうち、制御ボックス1の上面領域の露出面積は通常時設置状態の上面領域の露出面積に比べ増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金庫ボックス等の内箱を自動で出し入れする自動貸金庫装置に関し、当該自動貸金庫装置の金庫室内に設けられる制御ボックスの設置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動貸金庫装置として、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
特許文献1は、収納棚間で昇降自在なキャリッジと、このキャリッジに搭載されて、対面配置された一対の収納棚に対して内函を移載する移載ユニットとを内部に有する金庫室を開示している。移載ユニットは、ベースフレームの前後両端に、互いに平行な棒状の係合部材が水平に付設された構成とされている。この移載ユニットの下端部にある一対の支持プレートがタイミングベルトに連結されている。そして、モータの駆動により前記タイミングベルトを回転させることで、一方の係合部材をキャリッジから一方の収納棚に延出させる位置と他方の係合部材をキャリッジから他方の収納棚に延出させる位置との間で移載ユニットを移動させて、収納棚に対する内函の移載を行う構成とされている。
【0004】
特許文献1において、金庫室には、ブースが付設されている。ブースには、電子錠付きの扉を介して認証済みの顧客が入室することができる。ブース内には、顧客が認証して操作する操作パネル、外部と連絡するインターホン、金庫室から搬出される内函を確認して利用するためのスライド蓋付きの開口部、照明器具などが配置されている。
【0005】
また、金庫室とブースとの間は外壁部を介して隣接配置されている。外壁部はブースとの境界を含み金庫室外周に設けられる。すなわち、金庫室は、必要十分な耐火性能、防盗性能を備えた外壁部がその外周に構築されている。この外壁部における金庫室,ブースとの間に仕切扉が設けられる。この仕切扉を開状態にすることにより、ブースから金庫室内に金庫利用者等が入ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−328753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、移載ユニット等を駆動制御する駆動制御部を有する制御ボックスは金庫室内の所定箇所に設置され、必要に応じて上記仕切扉を開状態にして、作業員がブースから金庫室内に入り制御ボックス内の駆動制御部の良否検査等のメンテナンス作業を行うのが一般的であった。
【0008】
一方、金庫利用者の要請等に応えるべく、自動貸金庫装置の省スペース化を図る場合、収納棚(格納棚)の縮小、金庫室の小面積化を図る必要がある。
【0009】
したがって、自動貸金庫装置の省スペース化を優先する場合、比較的頻度の低い制御ボックスのメンテナンス時において十分な作業空間を金庫室内に確保すること困難になるため、制御ボックスのメンテナンスに支障を来してしまうという問題点があった。
【0010】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、自動貸金庫装置の省スペース化時においても、制御ボックスのメンテナンスが支障なく可能な自動貸金庫装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る自動貸金庫装置は、金庫室とブースとが互いに、仕切扉を有する外壁部を介して隣接して構成される自動貸金庫装置であって、金庫ボックスを前記金庫室と前記ブースとの間で移動させる移動機構部と、前記金庫室内の所定箇所に設けられ、前記搬送機構部における少なくとも一部の駆動制御を行う駆動制御部を格納した制御ボックスとを備え、前記外壁部の前記仕切扉は、開状態時に前記制御ボックスの一部が露出する開口領域を提供し、前記制御ボックスは、第1の設置状態と、前記制御ボックスの前記開口領域における露出面積が前記第1の設置状態より大きい第2の設置状態との間を、可変移動可能に設けられている。
【0012】
第2の態様に係る自動貸金庫装置は、第1の態様の自動貸金庫装置であって、金庫ボックスを載置支持面上に格納可能な格納部を複数有する第1の格納棚と、前記各格納部との間で金庫ボックスを移載可能な移載ユニットと、金庫利用者が前記金庫ボックスに対して物品を出し入れするためのブース台とをさらに有し、前記第1の格納棚、前記移載ユニットは前記金庫室内に設けられ、前記ブース台は前記ブース内に設けられ、前記搬送機構部は、前記移載ユニットを前記各格納部に対向する第1の搬送位置と前記ブース台に対して金庫ボックスを搬出入可能な第2の搬送位置との間で移動させ、前記制御ボックスが設けられる前記所定箇所は前記第1の格納棚の側面を含み、前記制御ボックスは上面領域に内部の前記駆動制御部をメンテナンス可能に開放可能な上面蓋部を有し、前記仕切扉の開状態時に前記制御ボックスが露出する開口領域は前記上面領域を含み、前記第1及び第2の設置状態における前記制御ボックスの前記開口領域における露出面積は、前記上面領域の露出面積を含む。
【0013】
第3の態様に係る自動貸金庫装置は、第2の態様の自動貸金庫装置であって、金庫ボックスを載置支持面上に格納可能な格納部を複数有し、所定の間隔を有して前記第1の格納棚と対向配置される第2の格納棚をさらに備え、前記第2の格納棚は前記金庫室内に設けられ、前記所定の間隔は、金庫利用者が第1及び第2の格納棚間を通行可能な間隔を含み、前記第1の設置状態は前記第2の設置状態に比べ、前記第1及び第2の格納棚間の通行を妨げない設置状態を含む。
【0014】
第4の態様に係る自動貸金庫装置は、第2あるいは第3の態様の自動貸金庫装置であって、前記制御ボックスは押圧操作により前記駆動制御部を電源停止させる停止用ボタンを前記上面領域に有し、前記停止用ボタンは、前記第1及び第2の設置状態双方において、前記開口領域に露出している。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様に係る自動貸金庫装置によると、制御ボックスは、第1の設置状態と、開口領域における露出面積が上記第1の設置状態より大きい第2の設置状態との間を、可変移動可能に設けられることを特徴としている。
【0016】
したがって、仕切扉を開状態にした後、必要に応じて制御ボックスを第1の設置状態あるいは第2の設置状態にして、制御ボックスに関連した作業を行うことができる効果を奏する。
【0017】
第2の態様に係る自動貸金庫装置において、制御ボックスが設けられる所定箇所は第1の格納棚の側面を含み、制御ボックスは上面領域に内部の駆動制御部をメンテナンス可能に開放可能な上面蓋部を有し、仕切扉の開状態時に前記制御ボックスが露出する開口領域は前記上面領域を含んでいる。
【0018】
したがって、制御ボックス内の駆動制御部のメンテナンス時は、制御ボックスを第2の設置状態に設定して、上面蓋部の開放操作、内部の駆動制御部のメンテナンス操作についての操作性を、第1の設置状態と比較して大きく向上させることができる効果を奏する。
【0019】
この効果は、金庫室内の領域の縮小化、第1の格納棚自体の縮小化等の面積制約により、仕切扉による開口領域の自由度が狭くなる場合において顕著に発揮することができる。その結果、省スペース化時においても、制御ボックスのメンテナンスが支障なく可能な自動貸金庫装置を得ることができる。
【0020】
第3の態様に係る自動貸金庫装置において、通常時は、制御ボックスを第1の設置状態に設定することにより、金庫利用者は金庫室内において第1及び第2の格納棚間を通行することができる。
【0021】
第4の態様に係る自動貸金庫装置において、制御ボックスは、第1及び第2の設置状態双方において、開口領域に露出する停止用ボタンを有していることを特徴とする。
【0022】
したがって、第1の設置状態とする通常時及び第2の設置状態とするメンテナンス時のいずれにおいても、支障なく停止用ボタンを押圧することにより、駆動制御部を比較的簡単に電源停止させることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る自動貸金庫装置を示す概略斜視図である。
【図2】同貸金庫装置を示す概略側面図である。
【図3】同貸金庫装置を示す概略平面図である。
【図4】金庫室内における制御ボックスの配置状態(通常時設置状態)を示す平面図である。
【図5】金庫室内における制御ボックスの配置状態(メンテナンス時設置状態)を示す平面図である。
【図6】仕切扉の開状態における制御ボックスの露出状態を模式的に示す正面図である。
【図7】制御ボックスの上部の設置状態の詳細を示す斜視図である。
【図8】制御ボックスの全体の設置状態を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<発明の原理>
前述したように、自動貸金庫装置の省スペース化を優先する場合、比較的頻度の低い制御ボックスのメンテナンス時において十分な作業空間を金庫室内に確保することは困難となっている。その点を補うべく、金庫室,ブース間の仕切扉を開状態にした時、制御ボックスが露出する開口領域を提供するように、制御ボックス及び仕切扉それぞれを設ける対応が考えられる。
【0025】
この場合、制御ボックスのメンテナンス作業を作業者自身はブース内の空間を利用して行うことができるため、金庫室内に制御ボックスのメンテナンス時における作業空間を確保する必要がなくなるという利点がある。
【0026】
しかしながら、外壁部は必要十分な耐火性能、防盗性能を備えるべく、比較的厚みを有するボールトウォール(耐火・耐破壊壁体ユニット)と呼ばれる態様で設けることが一般的であるため、上記仕切扉の設置箇所にも制約を受ける結果、開状態時において制御ボックスの大部分が露出する、すなわちメンテナンス可能に、開口領域を提供する仕切扉を設けることは困難である。この困難性は、自動貸金庫装置の省スペース化を重視する場合、より顕著となる。
【0027】
そこで、従来は固定して設けることが一般的であった制御ボックスを、メンテナンス時においては仕切扉の開口領域における露出面積が増大する方向に可変移動可能にしたのが本発明である。
【0028】
<実施の形態>
以下、実施形態に係る自動貸金庫装置及び金庫ボックスの搬送方法について説明する。
【0029】
<全体構成>
まず、自動貸金庫装置の全体構成について説明する。図1は自動貸金庫装置10を示す概略斜視図であり、図2は同貸金庫装置10を示す概略側面図であり、図3は同貸金庫装置10を示す概略平面図である。
【0030】
この自動貸金庫装置10は、一対の格納棚12(第1及び第2の格納棚)と、ブース台20と、ブース側搬送機構部30と、棚側搬送機構部40と、移載ユニット60とを備えている。一対の格納棚12、棚側搬送機構部40及び昇降機構部50は金庫室18内に存在し、ブース台20及びブース側搬送機構部30は利用ブース28内に存在する。
【0031】
そして、一対の格納棚12のうち一方の格納棚12(第1の格納棚)における利用ブース28側の側面において、内部に駆動制御部(図示せず)を有する制御ボックス1が設置され、制御ボックス1はその上面上部に停止ボタン2を有している。なお、以下では、格納棚12の長手方向における長辺部分の面を前後面、短手方向の短辺部分の面を側面として説明する。
【0032】
また、外壁部15における金庫室18,利用ブース28間の仕切壁部分に制御ボックス1に対向するように左開きの仕切扉9が設けられる。なお、制御ボックス1は棚側搬送機構部40,昇降機構部50等の電気配線の配線効率等を考慮すると、格納棚12の側面に設けることが望ましい。
【0033】
この自動貸金庫装置10では、上記一対の格納棚12に格納された金庫ボックス90が、移載ユニット60及び棚側搬送機構部40、さらに、ブース側搬送機構部30を介してブース台20に搬送される。これにより、利用者は、当該ブース台20において金庫ボックス90に対する物品(通常は、貴重品)等の出し入れを行う。また、利用者による金庫ボックス90の利用終了後、ブース台20に位置する金庫ボックス90が、ブース側搬送機構部30、さらに棚側搬送機構部40及び移載ユニット60を介して一対の格納棚12に格納される。
【0034】
格納棚12は、金庫ボックス90を格納可能な格納部13を複数有している。ここでは、格納棚12は、適宜間隔を有して立設された複数の棚支柱に、複数の棚板が略水平面に沿った姿勢で鉛直方向に間隔をあけて多段に配設固定された構成とされている。これにより、棚支柱及び棚段によって画される略直方体空間が、金庫ボックス90を格納可能な格納部13として、縦横に並ぶようにして複数構成されている。もっとも、格納棚は、上記構成に限られず、複数の棒状部材を組合わせた骨組状のフレーム構造によって構成されていてもよい。要するに、格納棚は、金庫ボックスを格納可能な格納部を複数有していればよい。かかる格納棚12は、平面視において所定方向に長い長尺状、より具体的には、所定方向に長い長方形状を呈している。
【0035】
一対の格納棚12は、その長手方向を一方向に揃えた姿勢で、所定の間隔を有して対向配置されている。換言すれば、一対の格納棚12は、所定の間隔を有して並列状に配設されている。一対の格納棚12間には、棚側搬送機構部40及び移載ユニット60を配設可能な幅の隙間が形成されている。また、一対の格納棚12(第1及び第2の格納棚)間の所定の間隔は金庫利用者が通行可能な間隔でもある。
【0036】
この一対の格納棚12は、通常、立入りを管理された管理エリア、より具体的には、周囲が外壁部15によって取囲まれた金庫室18内に設置される。
【0037】
また、金庫室18に隣接して利用ブース28が設けられており、この利用ブース28内にブース台20が設けられている。ここで、利用ブース28は、通常、立入りを管理された管理エリアであり、より具体的には、周囲がブース壁によって囲まれると共に施錠可能な扉29を通じて入退室可能なエリアである。この利用ブース28と金庫室18との間も、外壁部15による仕切壁部分によって仕切られている。
【0038】
ブース台20は、上部に天板22を有する略筺状に形成されている。天板22には、略方形状の天板開口23が形成されており、ブース台20内部の金庫ボックス90が、当該天板開口23を通じて天板22に突出するように配設される。このように、ブース台20の天板22に突出するように金庫ボックス90が配設されることで、金庫の利用者は金庫ボックス90に対して物品の出し入れを行えるようになる。なお、上記天板開口23は、その内部に金庫ボックス90が配設されていない状態では、開閉自在な蓋によって塞がれていることが好ましい。
【0039】
また、ブース台20の内部空間は、外壁部15の上記仕切壁部分を貫通して金庫室18内に連通しており、金庫室18内の金庫ボックス90はその連通部分を経由してブース台20内に搬送される。
【0040】
また、移載ユニット60は、一対の格納棚12の双方に対して金庫ボックス90を移載可能に構成されている。そして、移載ユニット60が各格納棚12のいずれかの格納部13と対向する位置に配設された状態で、当該対向する格納部13に格納された金庫ボックス90を自己に取込むように移載して載置状に支持し、或は、自己に載置状に支持した金庫ボックス90を対向する格納部13に送込むように移載して当該格納部13に載置状に格納する。
【0041】
棚側搬送機構部40は、上記移載ユニット60を、一対の格納棚12の任意の格納部13に対向させる位置(第1の搬送位置)と、ブース側搬送機構部30に対向させる位置(第2の搬送値)との間で移動させるように構成されている。
【0042】
より具体的には、棚側搬送機構部40は、走行機構部42と、昇降機構部50とを備えている。
【0043】
走行機構部42は、一対の格納棚12間の隙間の延在方向に沿って、当該一対の格納棚12の各格納部13に対向する位置とブース側搬送機構部30に対向する位置との間で往復移動可能に構成されている。このような走行機構部42としては、モータ等の回転駆動によって車輪を回転させることで走行する機構等、周知構造を含む種々の移動機構を採用することができる。
【0044】
昇降機構部50は、移載ユニット60を、格納棚12の最下段の格納部13と最上段の格納部13との間で昇降移動させ、当該移載ユニット60を、各段の格納部13及びブース側搬送機構部30に対向する各位置に昇降移動させるように構成されている。このような昇降機構部50としては、例えば、移載ユニット60を一対の支柱52によって昇降移動可能に支持し、一方の支柱52の上下端部に設けられた一対の歯車に環状ベルト(環状チェーン等)を巻掛け、移載ユニット60を一対の歯車体間で環状ベルトに連結し、一方の歯車体をモータ等の駆動部で回転させることで、環状ベルトを回転させて、移載ユニット60を昇降移動させる構成を採用することができる。昇降機構部50としては、上記の他、リニアモータを用いた構成であってもよいし、つり合いおもりを用いたトラクション式の機構において滑車部分をモータで駆動して移載ユニット60を昇降させる構成であってもよい。
【0045】
ブース側搬送機構部30は、上記棚側搬送機構部40との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されると共に、金庫ボックス90をブース台20に対して搬出入可能に構成されている。より具体的には、ブース側搬送機構部30は、ブース側水平移動部32と、ブース側昇降移動部36とを有している。ブース側水平移動部32は、一方の格納部13の一側部とブース台20内のブース側昇降移動部36との間に配設されている。ブース側水平移動部32は、一方の格納棚12の外側方位置で移載ユニット60との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されると共に、一方の格納棚12の外側方位置とブース側昇降移動部36と隣接する位置との間で金庫ボックス90を往復移動させるように構成されている。このようなブース側水平移動部32としては、複数のローラが所定方向に沿って適宜間隔をあけて略並列姿勢で回転可能に支持されると共に、当該ローラがモータ等の駆動により搬送方向に沿って回転駆動されるようにしたコンベア等、周知の水平移動機構を含む種々構成を採用することができる。ブース側昇降移動部36は、ブース台20内部であって天板開口23の下方に設けられており、上記ブース側水平移動部32から金庫ボックス90が移載されると、当該金庫ボックス90を天板開口23から突出させるように上昇させると共に、天板開口23から突出する金庫ボックス90をブース側水平移動部32に移載可能な位置に下降させるように構成されている。このようなブース側昇降移動部36としては、上記昇降機構部50と同様に、モータと環状ベルト等を利用した構成、リニアモータを用いた構成等、周知技術を含む種々の昇降機構を採用することができる。
【0046】
なお、ブース側水平移動部32とブース側昇降移動部36と間における金庫ボックス90の移載は、別途、モータ等の駆動により金庫ボックス90を押圧移動させるプッシャー機構を設け、当該プッシャー機構の駆動によって行ってもよいし、或は、ブース側昇降移動部36にブース側水平移動部32と同様のコンベアを設け、当該コンベアとブース側水平移動部32との協動的な搬送動作により行われるものであってもよい。ここでは、後者の例で説明する。
【0047】
この自動貸金庫装置では、ブース側搬送機構部30及び棚側搬送機構部40によって、移載ユニット60を各格納部13に対向する位置とブース台20に対して金庫ボックス90を搬出入可能な位置との間で移動させる搬送機構部が構成されている。
【0048】
もっとも、ブース側昇降移動部36を省略し、ブース側水平移動部32による金庫ボックス90の移動動作によって金庫ボックス90が天板開口23の下方位置に配設され、当該位置で利用者が金庫ボックス90を利用可能な構成であってもよい。また、ブース側水平移動部32が省略され、棚側搬送機構部40とブース側昇降移動部36との間で直接的に金庫ボックス90が移載される構成であってもよい。また、ブース側搬送機構部30が省略され、棚側搬送機構部40によって直接的にブース台20に対して金庫ボックス90が搬出入される構成であってもよい。
【0049】
また、この自動貸金庫装置10は、制御ユニット96と入力部98とを備えている。入力部98は、キーボード、タッチパネル等、本自動貸金庫装置10に対する諸指示を受付け可能に構成されており、受付けた諸指示を制御ユニット96に入力可能なように当該制御ユニット96に接続されている。入力部98は、利用ブース28内に設けられていてもよいし、別箇所に設けられていてもよい。制御ユニット96は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、上記ブース側搬送機構部30と棚側搬送機構部40と移載ユニット60とのそれぞれに対して諸動作指令を付与可能に接続されている。そして、この制御ユニット96は、予め格納されたソフトウエアプログラム及び入力部98を通じて入力された諸指示に従って、次述するように、本自動貸金庫装置10の全体動作を制御する。
【0050】
この自動貸金庫装置10による金庫ボックス90の出し入れ動作について説明する。
【0051】
まず、一対の格納棚12の各格納部13にそれぞれ金庫ボックス90が格納されている。なお、金庫ボックス90を各格納棚12に格納するに際して、各格納部13の位置と金庫ボックス90の特定情報とを対応づけた格納位置情報が作成され、当該格納位置情報が制御ユニット96の記憶部又は当該制御ユニット96からアクセス可能な記憶部に記憶されている。
【0052】
この状態で、入力部98に対して所定の金庫ボックス90の特定情報及び当該金庫ボックス90を利用したい旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。すると、制御ユニット96は、格納位置情報を参照して特定された金庫ボックス90が存在する格納部13の位置を特定し、当該特定された格納部13に対向する位置に移載ユニット60を移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット60は当該特定された格納部13に対向する位置に移動する。この状態で、制御ユニット96から移載ユニット60に金庫ボックス90の取込み指令が与えられ、移載ユニット60は特定された格納部13から金庫ボックス90を取込むようにして移載動作を行う(図3の矢符P1参照)。
【0053】
上記動作が終了すると、制御ユニット96は、移載ユニット60をブース側水平移動部32と対向する位置に移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット60は、一方の格納棚12の外側方位置で、ブース側水平移動部32と対向する位置に配設される(図3の矢符P2参照)。この状態で、制御ユニット96から移載ユニット60に金庫ボックス90の送出し指令が与えられ、移載ユニット60は、自己に載置された金庫ボックス90をブース側水平移動部32に送込むようにして移載動作を行う(図3の矢符P3参照)。
【0054】
上記移載動作が完了すると、制御ユニット96からブース側水平移動部32及びブース側昇降移動部36に金庫ボックス90をブース台20側へ搬送する指令が与えられ、ブース側水平移動部32及びブース側昇降移動部36は金庫ボックス90を搬送してブース側昇降移動部36に送込む(図2及び図3の矢符P4参照)。金庫ボックス90がブース側昇降移動部36に移載されると、制御ユニット96からブース側昇降移動部36に金庫ボックス90を上昇させる旨の指令が与えられ、ブース側昇降移動部36は金庫ボックス90を上昇させる(図2の矢符P5参照)。これにより、金庫ボックス90は略方形の天板開口23から突出するようにしてブース台20に配設される。そして、利用者は、当該金庫ボックス90を、自己に貸与された鍵等を用いて解錠し、蓋を開いて利用することができる。
【0055】
金庫ボックス90を格納部13に格納する場合には、上記とは逆の動作が行われる。
【0056】
すなわち、利用者が金庫ボックス90の利用終了後、蓋を閉じて施錠した後、入力部98に対して金庫ボックス90を格納する旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。
【0057】
格納指示入力後、制御ユニット96による制御下、ブース側昇降移動部36が金庫ボックス90を下降移動させ、その後、ブース側昇降移動部36及びブース側水平移動部32は金庫ボックス90をブース側昇降移動部36から一方の格納棚12の外側方位置に搬送する。
【0058】
この後、制御ユニット96による制御下、棚側搬送機構部40は、移載ユニット60をブース側水平移動部32と対向する位置に移動させ、続いて、移載ユニット60はブース側水平移動部32上の金庫ボックス90を取込むように移載する。続いて、棚側搬送機構部40は、移載ユニット60を、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動させる。金庫ボックス90を格納すべき格納部13の位置は、取出し前に格納されていた位置であってもよいし、他の空き位置であってもよい。後者の場合、格納位置情報を当該格納位置に合わせて更新するとよい。そして、移載ユニット60は、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動した状態で、自己に載置された金庫ボックス90を当該格納部13に送込むようにして移載する。これにより、金庫ボックス90が格納部13に格納され、動作を終了する。
【0059】
<金庫室内における制御ボックスの配置>
図4及び図5は金庫室18内における制御ボックス1の配置状態を示す平面図である。図6は仕切扉9の開状態における制御ボックス1の露出状態を模式的に示す正面図である。図4及び図6(a) は制御ボックス1の通常時設置状態(第1の設置状態)を示しており、図5及び図6(b) は制御ボックス1のメンテナンス時設置状態(第2の設置状態)を示している。
【0060】
これらの図に示すように、金庫室18は外壁部15によって1対の格納棚12を取り囲むようにして構成される。この際、金庫室18の省面積化を図るべく、従来の金庫室で確保されていた従来外壁想定領域16から長さ方向縮小寸法LA(例:仕切扉9側100mm程度、他方20mm程度)及び幅方向縮小寸法LB(例:双方20mm程度)を狭めた結果、1対の格納棚12及び制御ボックス1と外壁部15との間の空間が必要最小限の寸法に狭められている。
【0061】
このため、制御ボックス1は内部の駆動制御部86の動作の良否検査等のメンテナンス作業は、外壁部15の仕切壁部分に設けられた仕切扉9を閉状態にした後、金庫室18内で行うことは大変困難となっている。
【0062】
なお、駆動制御部86は前述した制御ユニット96に相当する部分であり、制御ユニット96そのものであっても、制御ユニット96のうち棚側搬送機構部40及び昇降機構部50等の金庫室18内の駆動制御部分であっても良い。すなわち、駆動制御部86は棚側搬送機構部40、昇降機構部50、ブース側搬送機構部30、移載ユニット60等の搬送機構の少なくとも一部の駆動制御を行う機能を有している。
【0063】
制御ボックス1は上面の上部に駆動制御部86の動作を停止させる停止ボタン2が設けられている。また、制御ボックス1の上面における停止ボタン2の下方に上面蓋部1udを有しており、この上面蓋部1udを固定する蝶ネジ(図示せず)等を取り外すことにより、制御ボックス1の上面から内部の駆動制御部86を開放し、当該駆動制御部86に対する作業者によるメンテナンス動作等の操作が可能となる。
【0064】
前述したように、一対の格納棚12は外壁部15内において、外壁部15から必要最小限の空間のみを隔てて設けられおり、必然的に外壁部15の近傍に格納棚12の側面が配置することになる。すなわち、格納棚12の側面は金庫室18内の角部18eの近傍に設けられることになる。
【0065】
このような制約下における一方の格納棚12の側面に制御ボックス1が設けられる。制御ボックス1は停止ボタン2の下方の上面領域に内部の駆動制御部86のメンテナンスができる状態で開放可能な上面蓋部1udを有している。
【0066】
一方、仕切扉9は外壁部15の上述した制約により、そのヒンジ部分が角部18eから中心方向(図4及び図5の方向D1参照)にズレ込む結果、金庫室18内の角部18eの近傍にヒンジ部分を設けることができない。
【0067】
したがって、図4の制御ボックス1の通常時設置状態で仕切扉9を開状態にしても、図6の(a) に示すように、仕切扉9の開状態時における開口領域(扉エッジライン9Lより右側の領域)のうち、制御ボックス1の露出幅はAP1に制限される。
【0068】
このように、制御ボックス1が通常設置状態の場合、仕切扉9を開状態にしても、制御ボックス1の露出幅AP1に制限されるため、上面蓋部1udを取り外す作業、及び上面蓋部1ud取り外し後の内部の駆動制御部86のメンテナンス作業を行うことは困難である。
【0069】
そこで、本実施の形態では、制御ボックス1をスライド移動方向MHに移動可能にすることにより、図4及び図6(a) で示す通常設置状態から、図5及び図6の(b) で示すメンテナンス時設置状態への可変移動を可能にしている。
【0070】
その結果、図6の(b) に示すように、仕切扉9の開状態時における開口領域(扉エッジライン9Lより右側の領域)のうち、制御ボックス1の露出幅はAP2となり、通常時設置状態の露出幅AP1より制御ボックス1の上面領域の露出面積は増大する。
【0071】
このように、本実施の形態の制御ボックス1は、図4及び図6(a) で示す通常設置状態に加えて、図5及び図6(b) で示すメンテナンス時設置状態に可変移動可能に、格納棚12の側面に設けられている。
【0072】
このため、仕切扉9の開状態時において、メンテナンス時設置状態の制御ボックス1の上面領域の開口領域における露出面積(露出幅AP2による露出面積)を、通常設置状態の露出面積(露出幅AP1による露出面積)比べ増大させることができる。
【0073】
したがって、通常時は、制御ボックス1を通常設置状態に設定して、一対の格納棚12間に設けられる所定の間隔DPをほぼ確保することにより、一対の格納棚12,12間の金庫利用者の通行を支障なく可能にしている。
【0074】
さらに、制御ボックス1内の駆動制御部86のメンテナンス時は、制御ボックス1をメンテナンス時設置状態に設定して、上面蓋部1udの取り外し操作、内部の駆動制御部86のメンテナンス操作についての操作性を、通常設置状態と比較して大きく向上させることができる効果を奏する。
【0075】
この効果は、金庫室18内の領域の縮小化、一対の格納棚12自体の縮小化等の面積制約により、仕切扉9による開口領域の自由度が狭くなる場合により顕著に発揮することができる。その結果、省スペース化時においても、制御ボックス1のメンテナンスが支障なく可能な自動貸金庫装置を得ることができる。
【0076】
<制御ボックス1の設置機構>
図7は制御ボックス1の上部の設置状態の詳細を示す斜視図である。図8は制御ボックス1の全体の設置状態を模式的に示す正面図である。
【0077】
図7に示すように、格納棚12の側面と制御ボックス1の制御ボックス上面部1uとをL字留め具3を用いて設置している。L字留め具3の側面止め部3sは格納棚12の側面上に設けられ、側面止め部3sの開口部5内にネジ7を通して格納棚12内にネジどめすることにより、格納棚12の側面にL字留め具3の側面止め部3sを固定している。
【0078】
一方、図7及び図8に示すように、L字留め具3のL字の上面止め部3uにおいて開口部4を通してボルト6の軸部を制御ボックス上面部1uから制御ボックス1内に貫通させ、ボルト6の軸部にナット8をねじ締めして締結することにより、制御ボックス上面部1uに上面止め部3uを設置する。
【0079】
この際、ナット8とL字留め具3の上面止め部3uとの間に僅かに余裕を持たせ、制御ボックス1が開口部4内をスライド移動方向MHに移動可能にしている。
【0080】
なお、制御ボックス1の下部においても上部と同様にスライド移動方向MH方向に移動可能にL字留め具3による制御ボックス1の格納棚12の側面への設置を実現している。 このように、制御ボックス1の上面及び下面それぞれにL字留め具3を用いることにより、制御ボックス1をスライド移動方向MHに移動可能に格納棚12の側面に設置している。
【0081】
したがって、作業者等は制御ボックス1の一側面から、スライド移動方向MHに力を加え、格納棚12の側面上で制御ボックス1をスライド移動方向MHにスライド移動させることにより、制御ボックス1の通常設置状態〜メンテナンス時設置状態間の可変移動が可能となる。
【0082】
<制御ボックス1の停止ボタン2>
図6,図7等に示すように、制御ボックス1の停止ボタン2は制御ボックス1の上部中心部に配置されており、押圧処理により制御ボックス1内の駆動制御部86を電源停止状態にすることができる。駆動制御部86を電源停止状態にすることにより、金庫室18内を金庫利用者等が安全に移動することができる。
【0083】
また、図6に示すように、制御ボックス1の通常時設置状態及びメンテナンス時設置状態双方において、開口領域に露出する停止用ボタン2を有している。
【0084】
したがって、通常時及びメンテナンス時のいずれにおいても、仕切扉9の開状態にして停止用ボタン2を押圧することにより、駆動制御部86を比較的簡単に停止させることができる効果を奏する。また、仕切扉9の開状態時において正面に停止ボタン2が露出するため、金庫利用者等が停止ボタン2の押圧処理を怠ることを確実に回避することができる。
【0085】
また、停止ボタン2を制御ボックス1の上面中央部に設けているため、制御ボックス1と仕切扉9との関係が本実施の形態と異なる態様となる場合(例えば、仕切扉9が右開きとなり、制御ボックス1の左側が露出領域となる場合)においても、制御ボックス1の通常時設置状態及びメンテナンス時設置状態双方において、開口領域に停止用ボタン2は露出する。このように、停止ボタン2の配置を変更する必要がない分、停止ボタン2に関し汎用性の高い制御ボックス1とすることができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、金庫室18内に一対の格納棚12(第1及び第2の格納棚)が設けられる構成を示したが、この構成に限定されず、1つの格納棚や複数対の格納棚等多様な構成の格納棚に対して発明の原理で述べた特徴をゆする本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 制御ボックス
2 停止ボタン
3 L字留め具
4 開口部
5 開口部
6 ボルト
7 ネジ
8 ナット
9 仕切扉
12 格納棚
15 外壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金庫室とブースとが互いに、仕切扉を有する外壁部を介して隣接して構成される自動貸金庫装置であって、
金庫ボックスを前記金庫室と前記ブースとの間で移動させる移動機構部と、
前記金庫室内の所定箇所に設けられ、前記搬送機構部における少なくとも一部の駆動制御を行う駆動制御部を格納した制御ボックスとを備え、
前記外壁部の前記仕切扉は、開状態時に前記制御ボックスの一部が露出する開口領域を提供し、
前記制御ボックスは、第1の設置状態と、前記制御ボックスの前記開口領域における露出面積が前記第1の設置状態より大きい第2の設置状態との間を、可変移動可能に設けられることを特徴とする、
自動貸金庫装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動貸金庫装置であって、
金庫ボックスを載置支持面上に格納可能な格納部を複数有する第1の格納棚と、
前記各格納部との間で金庫ボックスを移載可能な移載ユニットと、
金庫利用者が前記金庫ボックスに対して物品を出し入れするためのブース台とをさらに有し、
前記第1の格納棚、前記移載ユニットは前記金庫室内に設けられ、前記ブース台は前記ブース内に設けられ、
前記搬送機構部は、前記移載ユニットを前記各格納部に対向する第1の搬送位置と前記ブース台に対して金庫ボックスを搬出入可能な第2の搬送位置との間で移動させ、
前記制御ボックスが設けられる前記所定箇所は前記第1の格納棚の側面を含み、前記制御ボックスは上面領域に内部の前記駆動制御部をメンテナンス可能に開放可能な上面蓋部を有し、
前記仕切扉の開状態時に前記制御ボックスが露出する開口領域は前記上面領域を含み、
前記第1及び第2の設置状態における前記制御ボックスの前記開口領域における露出面積は、前記上面領域の露出面積を含む、
自動貸金庫装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動貸金庫装置であって、
金庫ボックスを載置支持面上に格納可能な格納部を複数有し、所定の間隔を有して前記第1の格納棚と対向配置される第2の格納棚をさらに備え、前記第2の格納棚は前記金庫室内に設けられ、
前記所定の間隔は、金庫利用者が第1及び第2の格納棚間を通行可能な間隔を含み、
前記第1の設置状態は前記第2の設置状態に比べ、前記第1及び第2の格納棚間の通行を妨げない設置状態を含む、
自動貸金庫装置。
【請求項4】
請求項2あるいは請求項3記載の自動貸金庫装置であって、
前記制御ボックスは押圧操作により前記駆動制御部を電源停止させる停止用ボタンを前記上面領域に有し、前記停止用ボタンは、前記第1及び第2の設置状態双方において、前記開口領域に露出していることを特徴とする、
自動貸金庫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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