説明

自動車のドア開放時の衝突事故防止装置

【技術課題】 ドア開放時の衝突事故の防止と、自動車に対して後付け可能な衝突事故防止装置を提供する。
【解決手段】 自動車100のドア101に取り付けられたケース本体1と、前記ケース本体1に対し、後方から視認できるように取り付けられたLED5と、前記ケース本体1の表面に取り付けられたソーラーパネル6及びリチュウム電池7と、前記LED5を結ぶ電源回路8と、前記電源回路8に取り付けられ、かつ前記LED5と同様に後方に向けて取り付けられたリードスイッチ9と、前記ドア101を開いた時に、前記リードスイッチ9と対向する位置の車体104に取り付けられたマグネットスイッチ12とから成り、夜間、ドア101を開くと、電源回路8が成立してLED5が点灯することにより、後続車等が開いたドア101に衝突するのを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドア開放時の衝突事故を防止する装置に関し、更に詳しくは、自動車のドアを開放したときに、後方から走行して来た車、オートバイ、自転車等がこの開放したドアに衝突するのを防止するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアを開放する時に、後方確認は必須であるが、この後方確認を怠ったり、十分でない状態でドアを開放すると、後続の車やオートバイ、自転車がこの開放したドアに衝突する事故が多い。
例えば、宅配便のトラックやタクシーは、一日中路上で頻繁にドアを開閉するため、この種事故を引き起こす機会が特に夜間に多い。一般に、宅配便用のトラックやタクシーの場合、ドアを開放しても、車内灯は点灯するが、ドアが開放したこと、及びドアの開放位置を後続車に知らせる手段はない。タクシーの場合は、通常は運転手が客の降車に際してドアを開放するようになっているが、急いでいたり、気の短い客は、自らドアを無理に押し開けて出ようとすることがある。このような時の客は、特に後方確認が疎かになりがちである。
【0003】
乗用車等の場合は、ドアの内側であって、下の方に、足元を照らすライトは取り付けてある。しかし、このライトは、足元を照らすだけのため、路面側に向いており、光量が少ないことから、後続車には判りにくい。
勿論、車製造時に、ドアが開くと点灯するランプをドアの一部であって、後向きに取り付けることにより、上記したドアの開放時の衝突事故を防止する案は容易に考えつくが、このような装置は、新車に対してのみ適用が可能で、既に製造された車には適用できない。また、適用しようとした場合、コストが非常に高くつく。
現在、自動車用ドアの開放時の衝突事故防止装置として、次のものが公知である。
【0004】
【特許文献1】特開2003−182365号公報 この発明は、車の搭乗者がドアを開けるという行為を後方から接近してくる第三者に効果的に知らせることができるようにし、開いたドアに後方からの車両が衝突するといった事故を有効に防止できるようにするために、自動車の後方から点灯が確認できる位置(例えばドアミラー1の上部)に警告ライト3を設け、搭乗者がドア4を開けるべくドアノブに接触したことを検知して警告ライト3を点灯させるようにすることにより、ドア4を実際に開けていなくても警告ライト3が点灯するため、ドア4が開く前に後方から確認することができるようにしたものである。
【0005】
しかし、この発明は、新車製造時に取り付けることは可能であるが、既に製造され、現在走行中の車に取り付けることは不可能である。
また、ドアを全開にした場合、ドアミラーは横方向を向き、後方を向かないので、ドアを全開したときには役立たない。
また、警告ライト3の光で、ドアミラーの映像は見にくくなり、逆に後方確認がしにくくなる。
また、ドアノブに手を触れただけで警告ライト3が点灯するため、後続車からは急にドアが開くように見えて急ブレーキを踏むことが考えられ、返って追突の危険がある。
また、この発明は、運転席側のドアミラーだけでなく、助手席側にも取り付けた場合、助手席に座った人が走行中に不用意にドアノブに触れることも考えられ、実用的には問題点が多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、既存の自動車に後付けできる自動車のドア開放時の衝突事故防止装置を提供することである。
更に、第2の目的は、安い経費で、手軽に取り付け可能な自動車のドア開放時の衝突事故防止装置を提供することである。
更に、第3の目的は、ランプ及び電池交換の必要がなく、夜間のみ作動する自動車のドア開放時の衝突事故防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、自動車のドア開放時の衝突事故防止装置において、自動車のドアの表面に取り付けられるケース本体と、
前記ケース本体に対し、後方から視認できるように取り付けられたLEDと、
前記ケース本体に取り付けられた太陽光電池と、
前記太陽光電池と前記LEDを結ぶ電源回路と、
前記電源回路に取り付けられ、かつ前記LEDと同様に後方に向けて取り付けられたリードスイッチと、
前記ドアを閉じた時に、前記リードスイッチと対向するように車体側に取り付けられるマグネットスイッチと、
から成ることを特徴とするものである。
【0008】
更に、請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載のケース本体及びマグネットスイッチの裏面には、接着剤層が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
更に、請求項3に記載の発明においては、請求項2に記載の接着剤を用いた接着手段として、表面に保護紙を貼り合わせた接着剤層をケース本体及びリードスイッチの裏面に形成するか、両面接着テープが用いられていることを特徴とするものである。
【0010】
更に、請求項4に記載の発明においては、請求項1に記載の電源回路には、昼夜検出センサが取り付けられていて、リードスイッチON、昼夜検出センサONの条件でLEDが発光するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
[作用]
ケース本体は、その裏面の接着剤から保護紙を剥がすか、両面接着テープを用いてLED及びリードスイッチ側を後方に向けてドアの後端の表面に貼り付ける。一方、マグネットスイッチ側も、同じようにその接着剤で、又は両面接着テープを用いてマグネット側が前記リードスイッチと対向するようにして車体側に貼り付ける。
このようにして取り付けを終えた自動車のドア開放時衝突事故防止装置の場合、太陽光電池には、昼間、太陽光で発電された電力が蓄電されている。また、昼夜検出センサは、周囲が設定された暗さになると電源回路をON状態に制御し、明るくなると電源回路をOFF状態に制御する。したがって、夜間ばかりでなく、昼間であっても、一定の暗さ以上のトンネルの中等においても電源回路をONに制御する。
【0012】
上記の状態において、ドアが少し開き始め、リードスイッチとマグネットスイッチ側にずれが生じ、リードスイッチが作動すると、電源回路がON状態となる。そして、前記昼夜検出センサとリードスイッチが共にONの条件のとき、LEDの電源回路が成立し、LEDが発光する。この光は、後方に向けて照射されるため、後方の車からはドアが開き始めたこと、又は開いていることを視認できる。
ドアが閉じられると、先程のリードスイッチがOFFとなり、電源回路が開放されて、LEDの発光が止まる。また、昼夜検出センサが一定の暗さ以上を感知していないとき、または感知しなくなると、仮にリードスイッチがONの状態であっても、電源回路は開放されていて、または開放されて、この時もLEDは発光せず、または発光が止まる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のように、夜間、自動車のドアが開き始めた時又は開いた時に、自動的にLEDが発光するため、後続の車あるいはオートバイや自転車から、ドアが開いて危険であることを認識できる。
よって、夜間における自動車のドア開放時の衝突事故防止に有効である。
但し、本発明は、夜間ばかりでなく、トンネル内においては、昼間でも有効であると共に、必要に応じて、昼夜検出センサを常時ONに切換えておくことにより、昼間でも事故防止に役立てることができる。
【0014】
また、LEDの光は、後方ばかりでなく、前方からも視認できるようにしておくことにより、すれ違う前方からの車やオートバイあるいは自転車の衝突事故防止にも有効である。
また、コンテナトラック等の場合、後部の両開きドアを左右に開いて荷物の積み降ろしを行っているような場合、どうしてもドアは車体から横に突き出るため、このようなドアに取り付けておくこともできる。
【0015】
次に本発明は、衝突事故防止装置を取り付ける時に、接着剤を用いてドア及び車体に貼り付け可能としたことにより、既存の自動車において、どこもいじらずに、素人でも簡単に後付けができるので、取付工事費が一切かからない。
また、後付けが可能なために、既存の自動車に対する衝突事故防止装置の取り付けが促進される。よって、広く衝突事故防止装置の普及を図ることができる。
次に、本発明は、太陽光電池を用いているため、自動車からの配線がいらないばかりか、電池交換の必要もなく、大変便利である。
【実施例1】
【0016】
図1〜4に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
図1(A)はトラック100の助手席側のドア101に本発明に係る衝突事故防止装置を取り付けた例を示すもので、(B)はドアを開くことによってLEDが発光した状態を示すものである。勿論、運転席側のドアにも同様に衝突事故防止装置は取り付けられている。
このようにしてドア101を開くとLED5が発光する衝突事故防止装置の詳細を図2〜図4を基に説明する。1はケース本体であって、この裏面2には接着剤層3が形成され、この接着剤層3の表面には保護紙4を張り合わせてあり、保管や流通段階において接着剤層3が妄りに接着するのを防止するようになっており、自動車100のドア101に取り付ける時に、保護紙4を剥す。
【0017】
5は上記ケース本体1において、後向きに取り付けられたLED、6は太陽光電池としてのソーラーパネル、7はリチュウム電池であって、ソーラーパネル6で発生した電力は、このリチュウム電池7に蓄電される。
なお、このリチュウム電池7に替えて、コンデンサでも良く、本願発明において、電池の種類は、ソーラーパネル6と組み合わせて利用できるものである限り、限定されない。
8はリチュウム電池7とLED5を結ぶ電源回路(回路基盤)、9は電源回路8に直列に挿入されたリードスイッチ、10は電源回路8に直列に挿入された昼夜検出センサである。
12は車体103側において、上記リードスイッチ9に対向するマグネット16を内蔵させたマグネットスイッチであって、このマグネットスイッチ12の裏面にも、ケース本体1側と同様に、接着剤層14と保護紙15が取り付けてあり、接着剤層14で車体103に取り付けることができる。
【0018】
次に、上記構成の衝突防止装置について、その取り付け例と作用を再び図1(A)(B)において、符号を用いて説明する。
ケース本体1は、その裏面2の保護紙4を剥がし、LED5及びリードスイッチ9側を後方に向けてドア101の後端の表面に貼り付ける。一方、マグネットスイッチ12側も、同じようにその裏面13の保護紙15を剥がし、マグネット16側が前記リードスイッチ9と対向するように位置を定めて車体103側の表面にその接着剤層14を用いて貼り付ける。
この取り付けを終えた自動車のドア開放時の衝突事故防止装置の場合、太陽光電池には、昼間、ソーラーパネル6で発電された電力がリチュウム電池7に蓄電されている。また、昼夜検出センサ10は、周囲が設定された暗さになると電源回路8をON状態に制御し、明るくなると電源回路8をOFF状態に制御する。したがって、夜間ばかりでなく、昼間であっても、一定の暗さ以上のトンネルの内等においても電源回路8をONに制御する。
【0019】
上記の状態において、ドア101が少し開き始め、リードスイッチ9とマグネットスイッチ12のマグネット16側との間にずれが生じ、リードスイッチ9が作動すると、電源回路8がON状態となる。そして、前記昼夜検出センサ10とリードスイッチ9が共にONの条件のとき、LED5の電源回路8が成立し、LED5が発光する。この光は、後方に向けて照射されるため、後方の車からはドア101が開き始めたこと、又は開いていることを視認できる。
ドア101が閉じられると、先程のリードスイッチ9がOFFとなり、電源回路8が開放されて、LED5の発光が止まる。また、昼夜検出センサ10が一定の暗さ以上を感知していないとき、または感知しなくなると、仮にリードスイッチ9がONの状態であっても、電源回路8は開放されていて、または開放されて、この時もLED5は発光せず、または発光が止まる。
【実施例2】
【0020】
本実施例は、コンテナトラックの後部荷物室の両開き式ドア105、106の上下に本発明に係る衝突事故防止装置を取り付けた例を示すもので、この実施例においては、ドア105、106を開くとLED5が点灯する。
なお、図4において、17は、ドアプロテクタを示すもので、装置の機能を阻害しない範囲で、ケース本体1と一体に、あるいはこのケース本体1に後付けした例である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る衝突事故防止装置をトラックのサイドドアのところに取り付けた状態であって、(A)は取り付けた状態、(B)はドアが開き、LEDが発光している状態の説明図
【図2】ケース本体及びマグネットスイッチ部分の断面図
【図3】ケース本体及びマグネットスイッチ部分の内部構造の説明図
【図4】LED部分を正面側から見た説明図
【図5】コンテナトラックに本発明に係る衝突事故防止装置を取り付けた実施例2の説明図
【符号の説明】
【0022】
1 ケース本体
5 LED
6 ソーラーパネル
9 リチュウム電池
8 電源回路
9 リードスイッチ
10 昼夜検出センサ
12 マグネットスイッチ
16 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアの表面に取り付けられるケース本体と、
前記ケース本体に対し、後方から視認できるように取り付けられたLEDと、
前記ケース本体に取り付けられた太陽光電池と、
前記太陽光電池と前記LEDを結ぶ電源回路と、
前記電源回路に取り付けられ、かつ前記LEDと同様に後方に向けて取り付けられたリードスイッチと、
前記ドアを閉じた時に、前記リードスイッチと対向するように車体側に取り付けられるマグネットスイッチと、
から成る自動車のドア開放時の衝突事故防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載のケース本体及びマグネットスイッチの裏面には、接着剤層が形成されていることを特徴とする自動車のドア開放時の衝突事故防止装置。
【請求項3】
請求項2に記載の接着剤を用いた接着手段として、表面に保護紙を貼り合わせた接着剤層をケース本体及びリードスイッチの裏面に形成するか、両面接着テープが用いられていることを特徴とする自動車のドア開放時の衝突事故防止装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電源回路には、昼夜検出センサが取り付けられていて、リードスイッチON、昼夜検出センサONの条件でLEDが発光するように構成されていることを特徴とする自動車のドア開放時の衝突事故防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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