説明

自動車の吸放熱システムおよびその制御方法

【課題】エンジンの動作如何に関わらず、エンジン系、HV系、車室に対して熱の授受を実施できる多様な動作モードを提供すること。
【解決手段】圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、冷却水と冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器33と、第2の四方弁41と、第2の膨張弁43を設置し、第1の四方弁40は圧縮機30と外気熱交換器31との間に冷媒流路を形成し、第2の四方弁41は外気熱交換器31と車室内熱交換器34との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、外気熱交換器31と第2の四方弁41の間に配置された第1の膨張弁42は開度制御され、水/冷媒熱交換器33と車室内熱交換器34の間に配置された第2の膨張弁43は全開制御されることによって、車室冷房・機器冷却(冷房優先)の動作モードを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機と熱交換器を有するヒートポンプサイクルを備えた自動車のの吸放熱システムに係わり、特に、吸放熱サイクルの組み合わせのバリエーションに多様性をもたせた吸放熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年における傾向として一般的に、自動車は省燃費が求められ、さらに、排出ガスの規制強化がなされているため、駆動源としてハイブリッド電気自動車(HEV)が本格的に普及するようになってきている。
【0003】
HEVでは家庭用電源によって夜間充電するプラグイン方式が採用されると、充電電力を自動車動力として利用することになるので、エンジン(内燃機関)の使用頻度を低下させることに繋がることとなる。また、HEVにおけるモータの制御に用いられるインバータについて、素子からの放熱のためにハイブリッド冷却系統が設けられているが、このハイブリッド冷却系統はエンジン冷却系統と別に設けられてきたが、SiCに代表される耐高温インバータ素子の開発によって冷却系統の一元化を図る動きがある。
【0004】
自動車用のカーエアコンにおける従来技術としては、HEVやエンジンの排熱を利用したヒートポンプシステムが、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1によれば、エンジンが駆動されるとエンジンで加熱された冷却水を循環ポンプによってラジエータに循環させ、車室外送風機でラジエータに空気を送り、冷却水に蓄えられた熱を廃熱してエンジンに循環することで、エンジンを所定温度に維持するとともに、冷却水によって加熱された冷媒を室内熱交換器に循環する、あるいは、冷却水を室内熱交換器に循環させ、室内送風機で送風することにより、車室内を暖房することが開示されている。冷媒回路中を流れる冷媒と、ラジエータ水と、冷却風とを相互に熱交換可能とすることが特許文献1における主要な特徴となっている。
【特許文献1】特開2004−278948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的なカーエアコンでは、車室内暖房にエンジンの排熱を利用しているが、車室の暖房を行うためにエンジンを起動することとなり燃費が悪化するという課題が生じる。この対策としてヒートポンプによる暖房が考えられるが、この場合には空気が熱源となって熱交換器に着霜現象が生じてしまい、除霜のための特別なエネルギーを必要とすることとなる。
【0006】
また、エンジンが冷間で起動するとそのときにNOxが排出され、排ガスクリーン化の観点で課題が生じる。さらに、HEVにおいて、プラグイン方式での外部電源を用いた充電時に、バッテリの性能、寿命を維持するためにバッテリの温度管理を行うことが求められる。さらに、エンジンの冷却にはエンジン駆動で動作するポンプが用いられているが、このエンジン冷却水系にはフェールセーフを設けることが必要である。
【0007】
また、上記特許文献1に示すような開示技術では、冷房時の蒸発器と暖房時の凝縮器という2つの熱交換器を設置する必要があり、これらの熱交換器への配管の敷設が複雑となっており、さらに、引用文献1ではラジエータ水からの廃熱エネルギーを利用しているとは云え、吸放熱サイクルの組み合わせ手法が限定的にしか開示されておらず、吸放熱サイクルを種々組み合わせることのできるようなバリエーション豊富な吸放熱システムを提供する配慮に欠けている。
【0008】
本発明は、車室内部、HEVの電気系統、エンジン系統における温度レベルの異なる各構成要素間の熱の授受や、外気との熱の授受を、エンジンの動作如何に関わらず任意に可能とし、多機能で高信頼性のある吸放熱システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器を有するヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系を有するエンジン系統と、を備えた自動車の吸放熱システムにおいて、
エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置し、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記外気熱交換器をつなぐ管路上に配置し、前記第2の四方弁は前記外気熱交換器と前記水/冷媒熱交換器つなぐ管路上に配置し、
前記第1の膨張弁は前記外気熱交換器と第2の四方弁つなぐ管路上に配置し、前記第2の膨張弁は前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器つなぐ管路上に配置し、
前記第1の四方弁と前記第2の四方弁により冷媒流路を切り替え、さらに、前記第1の膨張弁と前記第2の膨張弁を全開または開度制御することによって、車室内の冷房又は暖房と、エンジン又はモータを含む機器の冷却又は加熱と、を組み合わせた動作モードを選択可能とする構成とする。
【0010】
また、前記自動車の吸放熱システムにおいて、前記動作モードは、車室冷房・機器冷却(冷房優先)サイクル、車室冷房・機器冷却(冷却優先)サイクル、車室暖房・機器冷却サイクル、車室冷房・機器加熱サイクル、車室暖房・機器加熱(暖房優先)サイクル、車室暖房・機器加熱(加熱優先)サイクルのいずれかを形成する構成とする。
【0011】
また、圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記外気熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記外気熱交換器と前記車室内熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は開度制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は全開制御されることによって、車室冷房・機器冷却(冷房優先)の動作モードを選択すること。
【0012】
また、圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記外気熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記外気熱交換器と前記水/冷媒熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は開度制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は全開制御されることによって、車室冷房・機器冷却(冷却優先)の動作モードを選択すること。
【0013】
また、圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記第2の四方弁との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記第1の四方弁と前記車室内熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は全開制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は開度制御されることによって、車室暖房・機器冷却の動作モードを選択すること。
【0014】
また、圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記外気熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記外気熱交換器と前記水/冷媒熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は全開制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は開度制御されることによって、車室冷房・機器加熱の動作モードを選択すること。
【0015】
また、圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記第2の四方弁との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記第1の四方弁と前記車室内熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は開度制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は全開制御されることによって、車室暖房・機器加熱(暖房優先)の動作モードを選択すること。
【0016】
また、圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記第2の四方弁との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記第1の四方弁と前記水/冷媒熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は開度制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は全開制御されることによって、車室暖房・機器加熱(加熱優先)の動作モードを選択すること。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヒートポンプサイクルの冷媒とエンジン等の機器の冷却水との熱交換を行う水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁とを設置して、冷媒系統を適宜に切り替え制御し、膨張弁を開度制御することによって、エンジンの動作如何に関わらず、エンジン系、モータなどの電気駆動系(HV系)、車室に対して熱の授受を実施できる多様な動作モードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る自動車の吸放熱システムについて、図1〜図12を用いて以下説明する。
【0019】
図面において、1は自動車、2は車室、3はエンジン、4はスロットルボディ、5はバッテリ、6はラジエータ、7はインバータ、8はモータ、9はジェネレータ、10はエンジン駆動ポンプ、11は動力伝達手段、12は逆止弁1、13は電動ポンプ、14は逆止弁2、15はファン、17はヒータコア、18は電動ポンプ2(図10、図12)、30は圧縮機、31は外気熱交換器、33は水/冷媒熱交換器、34は室内熱交換器、35はバッテリ室熱交換器、36は圧縮機インバータ(図7)、40は第1の四方弁、41は第2の四方弁、42は第1の膨張弁、43は第2の膨張弁、44〜49は二方弁、50,55,60,62,63はダクト、51,61はファン、52,53,54,64,65はダンパ、101〜107は冷媒配管、200,202,204,210,212,220は冷却水配管、215,216,217は三方弁、300はサイクル制御装置、301は外気温度センサ、302は冷却水温度センサ、303はバッテリ温度センサ、304はバッテリ温度上限値、305はバッテリ温度下限値、306は車室温度センサ、307はハイブリッドシステムコントローラ、308はエンジンコントローラ、309はバッテリコントローラ、310は空調設定入力手段、311は暖気設定入力手段、312はタイマ、をそれぞれ表す。
【0020】
本発明の実施形態に係る吸放熱システムについて、図1〜図9を参照しながら以下説明する。図1は本発明の実施形態に係る吸放熱システムにおける車室冷房・機器冷却サイクル(冷房優先)を説明する図である。図2は本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室冷房・機器冷却サイクル(冷却優先)を説明する図である。図3は本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室暖房・機器冷却サイクルを説明する図である。図4は本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室冷房・機器加熱サイクルを説明する図である。図5は本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室暖房・機器加熱サイクル(暖房優先)を説明する図である。図6は本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室暖房・機器加熱サイクル(加熱優先)を説明する図である。
【0021】
また、図7は本実施形態に係る吸放熱システムにおけるヒートポンプサイクルで用いられる構成要素を表す図である。図8は本実施形態に係る吸放熱システムの各動作モードにおける熱交換器の役割とバルブの状態を表す図である。図9は本実施形態に係る吸放熱システムにおける電動ポンプとエンジン駆動ポンプの動作状態を表す図である。
【0022】
また、図10は本発明の実施形態に係る吸放熱システムにおけるエンジン冷却水系統とハイブリッド冷却水系統を別系統とする一の構成例を示す図である。図11は本発明の実施形態に係る吸放熱システムにおけるエンジン冷却水系統とハイブリッド冷却水系統を別系統とする他の構成例を示す図である。図12は本発明の実施形態に係る吸放熱システムでエンジン冷却水系統のみの構成例を示す図である。
【0023】
まず、本発明の実施形態について概略的に説明すると、エンジン系とHV系を有し、車室内の冷房と暖房のモードを実施でき、さらにエンジン(又はエンジン冷却水)、バッテリ、モータやインバータ、などの機器を冷却または加熱するモードを実施でき、これらの冷房、暖房、冷却、加熱の各モードを組み合わせた各種動作モード(具体的には、図1〜図6にそれぞれ示す動作モード、図8に示す6つの動作モード)を切り替え可能とするために、エンジン冷却水系統とHV冷却水系とを備え、その冷却水系統のラジエータと、ヒートポンプシステムの圧縮機と、車室熱交換器と、外気熱交換器と、膨張弁と、四方弁と、を基本的構成として備え、さらに、電動ヒートポンプサイクルに冷媒と冷却水の熱交換を行う水/冷媒熱交換器を設け、この水/冷媒熱交換器の機能を蒸発器または凝縮器に変更(放熱または吸熱に変更)できるように、四方弁と膨張弁について第1と第2の2つの弁をそれぞれ設けて冷媒流路を切り替え、膨張弁の開度を制御しようとするものである。
【0024】
また、冷却水系において、電動ポンプとエンジン駆動ポンプを並列に設置し、エンジンが動作しているか否かに関わらず冷却水を通水可能とすることで冷却水系のフェールセーフを確保するものである。
【0025】
次に、図1に示す車室冷房・機器冷却サイクル(冷房優先)の吸放熱システムについて説明すると、図1の吸放熱システムにおいては、圧縮機30、第1四方弁40、外気熱交換器31、第1膨張弁42、第2四方弁41、車室熱交換器34(及び/又はバッテリ熱交換器35)、第2膨張弁43、水/冷媒熱交換器33、第2四方弁41、第1四方弁40、圧縮機30の系統で冷房・冷却サイクルが形成されており、外気熱交換器31で放熱、車室熱交換器34で吸熱(第1膨張弁42後の蒸発作用で車室冷房)、水/冷媒熱交換器33で吸熱(第2膨張弁43後の蒸発作用で水冷却)されるのである。さらに、エンジン3、インバータ7の冷却水が水/冷媒熱交換器33で冷却され、さらに、バッテリ熱交換器35でバッテリ5が冷却されるシステムを構成している。
【0026】
そして、このシステムの構成として、第1膨張弁42の直後の第2四方弁41の流路切り替えによって、第1膨張弁42を通る冷媒は、まず、車室熱交換器34で熱交換されて車室2を冷房することとなる。すなわち、車室の冷房が優先されるのである。次いで、冷媒は第2膨張弁43で絞られた後に水/冷媒熱交換器33で熱交換されてエンジン及び/又はインバータ(モータ)冷却水を冷却することとなる。
【0027】
また、バッテリ5の冷却について説明すると(バッテリ温度が上限値を超える場合)、車外からダンパ65を介して空気を取り入れ、又は車室からの冷房された空気を取り入れて、バイパス弁49を開き、バッテリ熱交換器35を稼動させて熱交換し、熱交換されて冷却された空気をファン61を通してバッテリ5に供給し、バッテリを冷却する。さらに、バッテリ熱交換器35で冷却された空気通路中に車室内と連通するダンパ64を図示の位置に設け、ダンパ64を適宜に開くことによって車室内を冷房することもできる(バッテリの温度を検知し、バッテリ冷却の必要性と関連させて車室冷房を制御することができる)。
【0028】
また、ヒータコア17は、エンジン及び/又はインバータ(モータ)循環水をフィン付き配管に流して空気を加熱するものであり、車室熱交換器34で熱交換されて冷却された空気とミックスされて最適温度を作り出す。ヒータコア17の入出口側にそれぞれダンパ52,53が設けられていてその開度が制御されるようになっている。また、図1に示された、三方弁、二方弁、冷媒配管、冷却水配管などの各構成要素は、図示されたように配置されていて、それぞれの機能を果たすものである。
【0029】
繰り返して、図1に示す車室冷房・機器冷却サイクル(冷房優先)の吸放熱システムについて説明すると、車室2内を冷房する必要があり、且つエンジン3等駆動系が高負荷(高出力)時において、冷却水温度が上昇した場合に、ヒートポンプで冷却水の冷却を行うものである。また、バッテリ5の温度が管理上限を超える、あるいは超えると予想される場合には、バイパス弁49を開きバッテリ5への供給空気を冷却する。
【0030】
エンジン3の駆動系の負荷に応じてバイパス弁47(水/冷媒熱交換器33をバイパスする弁であるが、必ずしも必須の構成要素ではない)、三方弁216(ラジエータ6と水/冷媒熱交換器33とを結ぶ弁)の開度を調整し、水と冷媒間の熱交換量を制御する。
【0031】
バイパス弁47の開度調整は、エアコンなどで行われる圧縮機吸込のスーパーヒート制御に対しても用いることが可能である。また、バイパス弁44(第1膨張弁42をバイバスする弁)、バイパス弁45(第2膨張弁43をバイバスする弁)は無くても良いが、膨張弁42,43の抵抗が大きい場合には、抵抗係数の小さいバルブ44,45を並列に置くことで膨張弁を用いない場合にも流量を確保できる。なお、図面で黒塗りの弁44は閉状態を表す。
【0032】
ヒータコア17(例、車室内への送風路中に配されたフィン付き配管)は、車室2内の温度をあまり下げず、除湿を行いたい場合に車室熱交換器34で冷却除湿された空気を再加熱するのに用いる。その際の再加熱量は前後のダンパ52,53で制御される。
【0033】
次に、図2に示す車室冷房・機器冷却サイクル(冷却優先)の吸放熱システムについて説明すると、図2の吸放熱システムにおいては、圧縮機30、第1四方弁40、外気熱交換器31、第1膨張弁42、第2四方弁41、水/冷媒熱交換器33、第2膨張弁43、車室熱交換器34(及び/又はバッテリ熱交換器35)、第2四方弁41、第1四方弁40、圧縮機30の系統で冷房・冷却サイクルが形成されており、外気熱交換器31で放熱、水/冷媒熱交換器33で吸熱(第1膨張弁42後の蒸発作用で水冷却)、車室熱交換器34で吸熱(第2膨張弁43後の蒸発作用で車室冷房)されるのである。その他の各構成要素の構成ならびに配置は、図1と同様である。
【0034】
そして、図2に示すシステムの構成として、第1膨張弁42の直後の第2四方弁41の流路切り替えによって、第1膨張弁42を通る冷媒は、まず、水/冷媒熱交換器33で熱交換されてエンジン及び/又はインバータ(モータ)冷却水を冷却することとなる。すなわち、水/冷媒熱交換器33での冷却が優先される。次いで、冷媒は第2膨張弁43で絞られた後に車室熱交換器34で熱交換されて車室2を冷房することとなる。
【0035】
図2に示す吸放熱システムは、車室内を冷房する必要があり、且つエンジン駆動系が高負荷(高出力)時で、冷房負荷が小さいなどの際に、より冷却水冷却を優先する場合に用いる。また、バッテリ温度が管理上限を超える、あるいは超えると予想される場合には、バイパス弁6を開きバッテリへの供給空気を冷却する。
【0036】
駆動系の負荷に応じてバイパス弁47(水/冷媒熱交換器33をバイパスする弁)、三方弁216の開度を調整し、水と冷媒間の熱交換量を制御する。この場合、圧縮機吸込スーパーヒートはバイパス弁48の開度でも制御可能である。バイパス弁44,45は無くても良いが、膨張弁42,43の抵抗が大きい場合には、抵抗係数の小さいバルブを並列に置くことで効果がある。
【0037】
また、ヒータコア17は、車室内の温度をあまり下げず、除湿を行いたい場合に車室熱交で冷却除湿された空気を再加熱するのに用いる。再加熱量は前後のダンパ52,53で制御される。
【0038】
次に、図3に示す車室暖房・機器冷却サイクルの吸放熱システムについて説明すると、図3に示す吸放熱システムにおいては、圧縮機30、第1四方弁40、第2四方弁41、車室熱交換器34(及び/又はバッテリ熱交換器35)、第2膨張弁43、水/冷媒熱交換器33、第1膨張弁42、外気熱交換器31、第1四方弁40、圧縮機30の系統で車室暖房・機器冷却サイクルが形成されており、車室熱交換器34で放熱(車室暖房)、第2膨張弁43により水/冷媒熱交換器33で吸熱(冷却水冷却)、外気熱交換器31で吸熱されるのである。その他の各構成要素の構成ならびに配置は、図1と同様である。
【0039】
そして、図3に示すシステムの構成として、ダンパ54、ファン51、車室熱交換器34によって車室を暖房するとともに、ダンパ52,53を通る空気でヒータコア17によって車室暖房することができる。また、第2膨張弁43を通る冷媒は、水/冷媒熱交換器33で熱交換されてエンジン及び/又はインバータ(モータ)冷却水を冷却することとなる(三方弁216で冷却水を水/冷媒熱交換器33に流入させて冷却水を冷却する)。すなわち、車室暖房・機器冷却サイクルを形成している。
【0040】
図3に示す吸放熱システムは、車室内を暖房する必要があり、且つエンジン等駆動系を冷却したい場合に、冷却水を熱源としたヒートポンプ運転を行い、車室内を暖房する。暖房運転サイクルにおいて、外気熱交換器31の着霜の防止にはバイパス弁46を制御し、冷却水温度制御はバイパス弁47を制御して行う。バイパス弁46は圧縮機吸込のスーパーヒートの制御にも利用可能である。
【0041】
次に、図4に示す車室冷房・機器加熱サイクルの吸放熱システムについて説明すると、図4に示す吸放熱システムにおいては、圧縮機30、第1四方弁40、外気熱交換器31、第1膨張弁42、第2四方弁41、水/冷媒熱交換器33、第2膨張弁43、車室熱交換器34(及び/又はバッテリ熱交換器35)、第2四方弁41、第1四方弁40、圧縮機30の系統で車室冷房・機器加熱サイクルが形成されており、外気熱交換器31で放熱、水/冷媒熱交換器33で放熱(冷却水を加熱)、第2膨張弁43(バイパス弁45は閉)により車室熱交換器34で吸熱(車室冷房)されるのである。その他の各構成要素の構成ならびに配置は、図1と同様である。
【0042】
そして、図4に示すシステムの構成は、車室内を冷房する必要があり、且つエンジンを加熱したい場合に採用される。加熱された冷却水は電動ポンプ13で循環し、エンジン3の保温を行う。加熱量、冷却水温度の制御はバイパス弁46、三方弁216で制御される。また、三方弁215により冷却水はラジエータ6をバイパスさせるのが良い。
【0043】
図4のシステムは、プラグイン方式における充電中のバッテリ5の冷却や、車室内冷房、暖機を想定したものである。充電時にバッテリ冷却のため、車室と外気の内で温度が低い方から吸い込むようにダンパ65を開閉する。吸い込んだ空気をバッテリ熱交換器35で冷却する場合で、サイクルに余裕があればダンパ64を用いて冷却空気を車室内に提供して予冷房することが可能である。また、車室内の温度あまり下げず、除湿を行いたい場合に、車室熱交換器34で冷却・除湿された空気をヒータコア17で再加熱することも可能である。
【0044】
次に、図5に示す車室暖房・機器加熱サイクル(暖房優先)の吸放熱システムについて説明すると、図5の吸放熱システムにおいては、圧縮機30、第1四方弁40、第2四方弁41、車室熱交換器34(及び/又はバッテリ熱交換器35)、第2膨張弁43、水/冷媒熱交換器33、第1膨張弁42、外気熱交換器31、第1四方弁40、圧縮機30の系統で車室暖房・機器加熱サイクル(暖房優先)が形成されており、車室熱交換器34で放熱(車室暖房)、水/冷媒熱交換器33で放熱(冷却水を加熱)、外気熱交換器31で吸熱される。ここで、車室熱交換器34が水/冷媒熱交換器33より圧縮機30側に設置されているので、車室熱交換器34の放熱(暖房)が優先される。
【0045】
そして、このシステムの構成は、車室内を暖房する必要があり、且つエンジンを加熱するサイクルを形成する場合に採用される。水/冷媒熱交換器33によって加熱された冷却水は電動ポンプ13で循環し、エンジン3の保温を行う。また、プラグイン方式における充電中のバッテリの加熱(低温時等)や、車室内暖房と暖機を想定したもので、冷却水温度がある程度上昇し、車室内の暖房を優先するような場合の運転方法である。また、バッテリ5の検知温度によりダンパ65を開閉することで、取り入れ空気を外気か車室かを選択する。さらに、バッテリ温度が基準以下まで冷えている場合には、入口空気をバッテリ熱交換器35で加熱してもよい。
【0046】
次に、図6に示す車室暖房・機器加熱サイクル(加熱優先)の吸放熱システムについて説明すると、図6の吸放熱システムにおいては、圧縮機30、第1四方弁40、第2四方弁41、水/冷媒熱交換器33、第2膨張弁43、車室熱交換器34(及び/又はバッテリ熱交換器35)、第2四方弁41、第1膨張弁42、外気熱交換器31、第1四方弁40、圧縮機30の系統で車室暖房・機器加熱サイクル(加熱優先)が形成されており、水/冷媒熱交換器33で放熱(冷却水を加熱)、車室熱交換器34で放熱(車室暖房)、外気熱交換器31で吸熱される。ここで、水/冷媒熱交換器33が車室熱交換器34より圧縮機30側に設置されているので、水/冷媒熱交換器33の放熱(加熱)が優先している。
【0047】
そして、このシステムの構成は、車室内を暖房する必要があり、且つエンジンを加熱するサイクルを形成する場合に採用される。水/冷媒熱交換器33によって加熱された冷却水は電動ポンプ13で循環し、エンジン3の保温を行う(エンジン冷間起動時における排ガスのクリーン化を図ることができる)。また、図6に示すシステムは、プラグイン方式における充電中のバッテリ5の冷却や、車室内暖房、暖機を想定したものであり、車室内温度がある程度上昇し、エンジンを加熱するために冷却水の加熱を優先するような場合の運転方法である。
【0048】
次に、図7には、本発明の実施形態に係る吸放熱システムにおける各構成要素とこれらの検知量をもとに制御するためのサイクル制御装置とを示している。
【0049】
本実施形態に係る吸放熱システムの制御態様について、図7を参照しながらその概略を説明する。図7に示す、例えば、四方弁1(40)、四方弁2(41)、膨張弁1(42)、膨張弁2(43)、切替ダンパ1(52)は、図1に示す第1四方弁40、第2四方弁41、第1膨張弁42、第2膨張弁43、ダンパ52にそれぞれ該当する。
【0050】
図7において、空調設定入力手段310、暖機設定入力手段311で空調設定、暖機設定を入力として行われ、外気温度センサ301、冷却水温度センサ302、バッテリ温度センサ303、バッテリ温度上下限設定値304,305、車室温度センサ306の温度や、ハイブリッドシステムコントローラ307、エンジンコントローラ308のシステム出力や、タイマ312、圧縮機30の出力や、各種弁の弁開度を参照しながら、冷房・冷却、暖房・冷却、冷房・加熱、暖房・加熱のヒートポンプサイクルの動作モードを決定し、圧縮機30の回転数や室外ファン15の回転数を決定する。
【0051】
決定されたいずれか1つのヒートポンプサイクルの動作状態を実現するために、圧縮機回転数(インバータ周波数)、各種の四方弁、膨張弁、二方弁(バイパス弁)、冷却水電動ポンプ、三方弁の開度を調整する。また、バッテリ5の通風路、ヒートポンプサイクルの運転切替えは、各種センサで検出された車室温度、外気温度、車室設定温度、バッテリ温度、バッテリ温度の上限値及び下限値を用いて行う。
【0052】
外部電源を用いた充電(プラグイン方式充電)が開始されたことを検出した(図7の例では、バッテリコントローラ309にて充電検出、ハイブリッドシステムコントローラ307のモータ・ジェネレータ動作なしで外部電源からの充電を判定)場合、ヒートポンプを運転、制御し、冷却水またはエンジン、車室内を所定の温度に調整する。
【0053】
ここで、外部電源を用いた充電の場合、前日の最初の始動時刻を記憶、あるいは過去の始動時刻の履歴を記憶しておき、その履歴から次の日の始動時刻を推定する、あるいはユーザーによる始動時間の設定を可能とし、このよう設定された始動時刻に対して、所定時間前の時刻に冷却水の暖気あるいは車室内の予冷暖房を開始する。暖気あるいは予冷暖房を開始する時刻を決める所定の時間を、車室温度、冷却水温度、外気温度、車室目標温度により決める。以上説明した図7に示すサイクル制御装置における具体的な制御態様は、従来公知の制御手法を採用すればよい。
【0054】
次に、図1〜図6に示した本実施形態に係る吸放熱システムの各動作モードにおける各熱交換器の役割とバルブ(各種弁)の状態について、図8を参照しながら取り纏めて説明する。
【0055】
図1に示す車室冷房・機器冷却(冷房優先)の動作モードにおいては、外気熱交換器31は凝縮器として、水/冷媒熱交換器33は蒸発器として、車室熱交換器34は蒸発器として機能し、第1四方弁40は圧縮機30と外気熱交換器31の間に、第2四方弁41は外気熱交換器31と車室熱交換器34の間に設置され、第1膨張弁42はその弁開度が制御され、第2膨張弁43は全開される。なお、バイパス弁44は全閉、バイパス弁45は全開される(バイパス弁は必須でなくてもよい)。また、図2に示す車室冷房・機器冷却(冷却優先)の動作モードにおいては、第2四方弁41が外気熱交換器31と水/冷媒熱交換器33との間に設置されることを除いて、図1の動作モードと同様である。
【0056】
次に、図3に示す車室暖房・機器冷却の動作モードにおいては、車室熱交換器34が凝縮器、水/冷媒熱交換器33が蒸発器、外気熱交換器31が蒸発器として機能し、第1四方弁40は圧縮機30と第2四方弁41の間に、第2四方弁41は第1四方弁40と車室熱交換器34の間に設置され、第1膨張弁42は全開、第2膨張弁43は開度が制御される。なお、バイパス弁44は全開、バイパス弁45は全閉される(バイパス弁は必須でなくてもよい)。
【0057】
また、図4に示す車室冷房・機器加熱の動作モードにおいては、外気熱交換器31が凝縮器、水/冷媒熱交換器33が凝縮器、車室熱交換器34が蒸発器として機能し、第1四方弁40は圧縮機30と外気熱交換器31の間に、第2四方弁41は外気熱交換器31と水/冷媒熱交換器33の間に設置され、第1膨張弁42は全開、第2膨張弁43は開度が制御される。なお、バイパス弁44は全開、バイパス弁45は全閉される(バイパス弁は必須でなくてもよい)。
【0058】
また、図5に示す車室暖房・機器加熱(暖房優先)の動作モードにおいては、車室熱交換器34は凝縮器、水/冷媒熱交換器33(兼用熱交換器)は凝縮器、外気熱交換器31は蒸発器として機能し、第1四方弁40は圧縮機30と車室熱交換器34の間に、第2四方弁41は水/冷媒熱交換器33と外気熱交換器31の間に設置され、第1膨張弁42はその弁開度が制御され、第2膨張弁43は全開される。なお、バイパス弁44は全閉、バイパス弁45は全開される(バイパス弁は必須でなくてもよい)。また、図6に示す車室冷房・機器冷却(加熱優先)の動作モードにおいては、第2四方弁41が車室熱交換器34と外気熱交換器31との間に設置されることを除いて、図5の動作モードと同様である。
【0059】
次に、本実施形態に係る吸放熱システムにおける電動ポンプ13とエンジン駆動ポンプ10の動作について、図9を参照しながら車両状態並びにエンジン状態を条件として説明する。
【0060】
まず、車両が走行状態のときに、エンジン3が停止している場合、当然にエンジン駆動ポンプ10は停止しており電動ポンプ13が動作している。エンジン3が動作している場合、エンジン駆動ポンプ10が動作し電動ポンプ13は停止する。エンジン3が動作している場合にエンジン駆動ポンプ10が故障で停止すれば電動ポンプ13を動作させて冷却水が循環するように稼動させる。ただし、この故障停止の場合にはエンジン冷却水系統に電動ポンプが存在することが前提になる。
【0061】
次に、車両が停止状態のときに、エンジン3が停止している場合、当然にエンジン駆動ポンプ10は停止しており電動ポンプ13が動作している。エンジン3が動作している場合、エンジン駆動ポンプ10が動作し電動ポンプ13は停止する。エンジン3が動作している場合にエンジン駆動ポンプ10が故障で停止すれば電動ポンプ13を動作させて冷却水が循環するように稼動させる。
【0062】
図10は、本発明の実施形態に係る吸放熱システムにおける一の構成例を示しており、動作モードとしては、図5に示す車室暖房・機器加熱サイクル(暖房優先)と同一であり、エンジン冷却水系統とハイブリッド冷却水系統を別系統とする例である。
【0063】
図10に示す基本的な動作(車室暖房・機器加熱サイクル(暖房優先))は、図5における吸放熱システムと同一であるのでその説明を援用する。異なる点は、エンジン冷却水系統とハイブリッド冷却水系統を別系統とし、さらに、エンジン冷却水系統に電動ポンプ18を追加することである。エンジン駆動ポンプが故障しても通水可能としてフェールセーフを確保できる。
【0064】
図11は、本発明の実施形態に係る吸放熱システムにおける他の構成例を示しており、動作モードとしては、図3に示す車室暖房・機器冷却サイクルと同一であり、エンジン冷却水系統とハイブリッド冷却水系統を別系統とする例である。図11に示す基本的な動作(車室暖房・機器冷却サイクル)は、図3における吸放熱システムと同一であるのでその説明を援用する。異なる点は、エンジン冷却水系統とハイブリッド冷却水系統を別系統とする例であり、エンジン冷却水系統が水/冷媒熱交換器33と連結されている。
【0065】
図12は、本発明の実施形態に係る吸放熱システムでエンジン冷却水系統のみの構成例を示しており、動作モードとしては、図6に示す車室暖房・機器加熱サイクル(加熱優先)と同一であり、エンジンのみで駆動する構成例である。図11に示す基本的な動作(車室暖房・機器加熱サイクル(加熱優先))は、図6における吸放熱システムと同一であるのでその説明を援用する。異なる点は、エンジンのみで自動車を駆動し、さらに、エンジン冷却水系統に電動ポンプ18を設けることである。エンジンの暖機の場合、三方弁217でヒータコア17をバイパスさせるのも効果的である。図12は、HVシステムを有していない通常のエンジンのみの自動車に対しても、本実施形態に係る吸放熱システムが適用可能であることを示している。同様に、エンジンを有しない電気自動車、燃料電池自動車についても図12のエンジンを別の駆動方式に置き換えて適用可能である。
【0066】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る吸放熱システムについて取り纏めると、次のような構成上の特徴を備えるものである。すなわち、本実施形態に係る自動車用吸放熱システムの構成として、圧縮機の吐出側と外気熱交換器の間に第1の四方弁を配置し、動力機器(エンジンやモータ(インバータ))の冷却媒体(冷却水)とヒートポンプの冷媒とを熱交換可能とする熱交換器(水/冷媒熱交換器)と外気熱交換器の間に第2の四方弁を配置し、さらに、外気熱交換器と第2の四方弁の間に第1の膨張弁を配置し、水/冷媒熱交換器と車室熱交換器の間に第2の膨張弁を配置し、第1の四方弁と第2の四方弁により冷媒流路を切り替え、第1の膨張弁と第2の膨張弁の開度制御することにより、車室内の冷房、暖房、動力機器の冷却、加熱を組み合わせた動作モード(車室冷房・機器冷却(冷房優先)、車室冷房・機器冷却(冷却優先)、車室暖房・機器冷却、車室冷房・機器加熱、車室暖房・機器加熱(暖房優先)、車室暖房・機器加熱(加熱優先))を切り替えるものである。
【0067】
また、前記吸放熱システムにおいて、水/冷却熱交換器を含む冷却水系統に電動ポンプを配置する構成とする。この構成によって、エンジン停止時、外部電源による充電(プラグイン方式)の際に、冷却水系統を加熱しエンジンの暖気を可能とする。
【0068】
また、車内外を連通するダクト内にバッテリを配置し、バッテリの上流側にダクトと車内およびダクトと車外をつなぐバイパス路と、流路を選択する開閉装置(ダンパ)を設け、バッテリと車外をつなぐダクト内にヒートポンプサイクルに接続されたバッテリ熱交換器を設置する構成とする。この構成によって、外部電源を用いた充電の際に、バッテリの温度制御を行うと同時に、車室内を予め冷暖房可能とする。
【0069】
上述した本実施形態に係る自動車用吸放熱システムの構成を備えることによって、次のような制御方法を実施することができ、これらの制御方法も本実施形態に含まれるものである。すなわち、図1及び図8を参照して説明すると、車室冷房・機器冷却(冷房優先)がドライバの要求並びに諸条件(例えば、エンジン温度)を元にして設定されると、第1の四方弁40を圧縮機と外気熱交換器をつなぐように切り替え、第2の四方弁41を外気熱交換器と車室熱交換器をつなぐように切り替え、第1の膨張弁42を開度制御し、第2の膨張弁43を全開とするように制御される。同様にして、車室冷房・機器冷却(冷却優先)が設定されると(一例としてエンジン温度やバッテリ温度が高い場合)、図2及び図8を参照して説明すると、第1の四方弁40を圧縮機と外気熱交換器をつなぐように切り替え、第2の四方弁41を外気熱交換器と水/冷媒熱交換器をつなぐように切り替え、第1の膨張弁42を開度制御し、第2の膨張弁43を全開とするように制御される。
【0070】
また、車室暖房・機器冷却が設定されると、図3及び図8を参照して説明すると、第1の四方弁40を圧縮機と第2の四方弁41をつなぐように切り替え、第2の四方弁41を第1の四方弁40と車室熱交換器をつなぐように切り替え、第1の膨張弁42を全開とし、第2の膨張弁43を開度制御するように制御される。さらに、車室冷房・機器加熱が設定されると、図4及び図8を参照して説明すると、第1の四方弁40を圧縮機と外気熱交換器をつなぐように切り替え、第2の四方弁41を外気熱交換器と水/冷媒熱交換器をつなぐように切り替え、第1の膨張弁42を全開とし、第2の膨張弁43を開度制御するように制御される。
【0071】
また、車室暖房・機器加熱(暖房優先)が設定されると、図5及び図8を参照して説明すると、第1の四方弁40を圧縮機と第2の四方弁をつなぐように切り替え、第2の四方弁41を第1の四方弁と車室熱交換器をつなぐように切り替え、第1の膨張弁42を開度制御し、第2の膨張弁43を全開とするように制御される。同様にして、車室暖房・機器加熱(加熱優先)が設定されると、図6及び図8を参照して説明すると、第1の四方弁40を圧縮機と第2の四方弁をつなぐように切り替え、第2の四方弁41を第1の四方弁と水/冷媒熱交換器をつなぐように切り替え、第1の膨張弁42を開度制御し、第2の膨張弁43を全開とするように制御される。このような制御方法はHEVが存在する場合に限らないことは図12の説明で述べたとおりである。
【0072】
次に、上述した6つの動作モードは、ドライバからの冷房又は暖房要求と、車室、冷却水、外気の温度と、ハイブリッドシステムコントローラあるいはエンジンコントローラからのエンジン、モータ、ジェネレータの出力要求値を用いて、ヒートポンプサイクルの動作モードを切り替えるように制御されるのである。また、バッテリを設置したダクトを設け、ダクトに対して車外と車室に連通するダンパを設けるとともにバッテリ熱交換器を設け、車室温度、外気温度、車室設定温度、バッテリ温度、バッテリ温度の上限値及び下限値を用いて、ダクトに設置されたダンパの開閉を切り替えるように制御することができる。さらに、車室温度、外気温度、車室設定温度、バッテリ温度、バッテリ温度の上限値及び下限値、冷却水温度を用いて、バッテリを設置したダクトに設置されたダンパの開閉を切替えるとともに、ヒートポンプサイクルの動作モードを切替えるように制御することができる(例えば、バッテリ温度が高いときにはバッテリの冷却優先に切り替え制御する)。
【0073】
また、電動モータが使用でき、エンジンを使用する以前に車の環境条件を整えておくように制御することもできる。すなわち、外部電源によりバッテリへ充電(プラグイン方式)が開始されたことを検出する検出手段を有し、充電が開始されたことを検出した場合に、ヒートポンプサイクルを運転制御することや、エンジンまたはエンジン冷却水温度、車室内温度を予め設定された所定の温度に制御することができる。
【0074】
具体的には、前日の最初の車始動時刻を記憶、あるいは過去の始動時刻の履歴を記憶しておき、記憶した履歴から推定した次の日の始動時刻、あるいはユーザーにより設定された始動時刻に対して、所定時間前の時刻に冷却水の暖気あるいは車室内の予冷暖房を開始するように制御する。この際、暖気あるいは予冷暖房を開始する時刻を決める所定の時間は、車室温度、冷却水温度、車室目標温度により決めることができる。
【0075】
以上のように、本実施形態では、ヒートポンプサイクルに対して、冷媒と冷却水との熱交換を行う水/冷媒熱交換器と、四方弁と、膨張弁を追加して設置し、水/冷媒熱交換器の機能を蒸発器または凝縮器に変更することを可能とし、種々の動作モードを実施できるように制御するものである。さらに、冷却水系を電動ポンプとエンジン駆動ポンプの並列設置とし、エンジンの動作に関わらず冷却水を通水可能とすると同時にフェールセーフを確保するものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る吸放熱システムにおける車室冷房・機器冷却サイクル(冷房優先)を説明する図である。
【図2】本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室冷房・機器冷却サイクル(冷却優先)を説明する図である。
【図3】本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室暖房・機器冷却サイクルを説明する図である。
【図4】本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室冷房・機器加熱サイクルを説明する図である。
【図5】本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室暖房・機器加熱サイクル(暖房優先)を説明する図である。
【図6】本実施形態に係る吸放熱システムにおける車室暖房・機器加熱サイクル(加熱優先)を説明する図である。
【図7】本実施形態に係る吸放熱システムにおけるヒートポンプサイクルで用いられる構成要素を表す図である。
【図8】本実施形態に係る吸放熱システムの各動作モードにおける熱交換器の役割とバルブ(各種弁)の状態を表す図である。
【図9】本実施形態に係る吸放熱システムにおける電動ポンプとエンジン駆動ポンプの動作状態を表す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る吸放熱システムにおけるエンジン冷却水系統とハイブリッド冷却水系統を別系統とする一の構成例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る吸放熱システムにおけるエンジン冷却水系統とハイブリッド冷却水系統を別系統とする他の構成例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る吸放熱システムでエンジン冷却水系統のみの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1:自動車、2:車室、3:エンジン、4:スロットルボディ、5:バッテリ、6:ラジエータ、7:インバータ、8:モータ、9:ジェネレータ、10:エンジン駆動ポンプ、11:動力伝達手段、12:逆止弁1、13:電動ポンプ、14:逆止弁2、15:ファン、17:ヒータコア、18:電動ポンプ2、30:圧縮機、31:外気熱交換器、33:水/冷媒熱交換器、34:室内熱交換器、35:バッテリ室熱交換器、36:圧縮機インバータ、40:第1の四方弁、41:第2の四方弁、42:第1の膨張弁、43:第2の膨張弁、44〜49:二方弁、50,55,60,62,63:ダクト、51,61:ファン、52,53,54,64,65:ダンパ、101〜107:冷媒配管、
200,202,204,210,212,220:冷却水配管、215,216,217:三方弁、300:サイクル制御装置、301:外気温度センサ、302:冷却水温度センサ、303:バッテリ温度センサ、304:バッテリ温度上限値、305:バッテリ温度下限値、306:車室温度センサ、307:エンジンコントローラ、308:ハイブリッドシステムコントローラ、309:バッテリコントローラ、310:空調設定入力手段、311:暖気設定入力手段、312:タイマ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器を有するヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系を有するエンジン系統と、を備えた自動車の吸放熱システムにおいて、
エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置し、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記外気熱交換器をつなぐ管路上に配置し、前記第2の四方弁は前記外気熱交換器と前記水/冷媒熱交換器をつなぐ管路上に配置し、
前記第1の膨張弁は前記外気熱交換器と第2の四方弁をつなぐ管路上に配置し、前記第2の膨張弁は前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器をつなぐ管路上に配置し、
前記第1の四方弁と前記第2の四方弁により冷媒流路を切り替え、さらに、前記第1の膨張弁と前記第2の膨張弁を全開または開度制御することによって、車室内の冷房又は暖房と、エンジン又はモータを含む機器の冷却又は加熱と、を組み合わせた動作モードを選択可能とする
ことを特徴とする自動車の吸放熱システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記動作モードは、車室冷房・機器冷却(冷房優先)サイクル、車室冷房・機器冷却(冷却優先)サイクル、車室暖房・機器冷却サイクル、車室冷房・機器加熱サイクル、車室暖房・機器加熱(暖房優先)サイクル、車室暖房・機器加熱(加熱優先)サイクルのいずれかを形成する
ことを特徴とする自動車の吸放熱システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記水/冷媒熱交換器を含む冷却水系に電動ポンプを介在させ、外部電源によるバッテリの充電の際に前記バッテリによる前記電動ポンプの稼動で前記冷却水を循環させる
ことを特徴とする自動車の吸放熱システム。
【請求項4】
請求項1または2において、
車内外を連通するダクト内にバッテリを設置し、前記バッテリの上流側に、前記ダクトと車内をつなぐ第1の通路と前記ダクトと車外をつなぐ第2の通路を設け、前記第1と第2の通路にそれぞれダンパを設け、
前記第1と第2の通路の間のダクト内に前記ヒートポンプサイクルに接続された熱交換器を設置する
ことを特徴とする自動車の吸放熱システム。
【請求項5】
圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記外気熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記外気熱交換器と前記車室内熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は開度制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は全開制御されることによって、車室冷房・機器冷却(冷房優先)の動作モードを選択する
ことを特徴とする自動車の吸放熱システムの制御方法。
【請求項6】
圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記外気熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記外気熱交換器と前記水/冷媒熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は開度制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は全開制御されることによって、車室冷房・機器冷却(冷却優先)の動作モードを選択する
ことを特徴とする自動車の吸放熱システムの制御方法。
【請求項7】
圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記第2の四方弁との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記第1の四方弁と前記車室内熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は全開制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は開度制御されることによって、車室暖房・機器冷却の動作モードを選択する
ことを特徴とする自動車の吸放熱システムの制御方法。
【請求項8】
圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記外気熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記外気熱交換器と前記水/冷媒熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は全開制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は開度制御されることによって、車室冷房・機器加熱の動作モードを選択する
ことを特徴とする自動車の吸放熱システムの制御方法。
【請求項9】
圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記第2の四方弁との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記第1の四方弁と前記車室内熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は開度制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は全開制御されることによって、車室暖房・機器加熱(暖房優先)の動作モードを選択する
ことを特徴とする自動車の吸放熱システムの制御方法。
【請求項10】
圧縮機、第1の四方弁、外気熱交換器、第1の膨張弁、車室内熱交換器をもつヒートポンプサイクルと、エンジン、エンジン冷却水系をもつエンジン系統と、を有し、エンジン冷却水とヒートポンプサイクル冷媒とが熱交換可能な水/冷媒熱交換器と、第2の四方弁と、第2の膨張弁を設置した自動車の吸放熱システムの制御方法において、
前記第1の四方弁は前記圧縮機と前記第2の四方弁との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記第2の四方弁は前記第1の四方弁と前記水/冷媒熱交換器との間に冷媒流路を形成するように切り替え制御され、前記外気熱交換器と前記第2の四方弁の間に配置された前記第1の膨張弁は開度制御され、前記水/冷媒熱交換器と前記車室内熱交換器の間に配置された前記第2の膨張弁は全開制御されることによって、車室暖房・機器加熱(加熱優先)の動作モードを選択する
ことを特徴とする自動車の吸放熱システムの制御方法。
【請求項11】
請求項5ないし10のいずれか1つの請求項において、
前記動作モードは、ドライバからの冷房又は暖房要求と、車室、冷却水、外気の温度と、ハイブリッドシステムコントローラあるいはエンジンコントローラからのモータ、エンジンの出力要求値と、に基づいて選択される
ことを特徴とする自動車の吸放熱システムの制御方法。
【請求項12】
請求項5ないし10のいずれか1つの請求項において、
車内外を連通するダクト内にバッテリを設置し、前記バッテリの上流側に、前記ダクトと車内をつなぐ第1の通路と前記ダクトと車外をつなぐ第2の通路を設け、前記第1と第2の通路にダンパを設け、さらに、前記第1と第2の通路の間のダクト内に前記車室内熱交換器と並列接続された熱交換器を設け、
車室温度、外気温度、車室設定温度、バッテリ温度、バッテリ温度の上限値及び下限値に基づいて、前記ダクトに設置された前記第1と第2の通路のダンパの開閉を切り替えるように制御する
ことを特徴とする自動車の吸放熱システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−308080(P2008−308080A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158977(P2007−158977)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】