説明

自動車ボディの膨出外装部品のプロテクター

【課題】 自動車ボディの外面に配置する膨出外装部品に固着されるプロテクターであって、耐油性に優れ且つ塗装容易なプロテクターを提供する。
【解決手段】 自動車ボディ14の外面に配置された膨出外装部品15の端縁部に固定手段18を介して固定され、且つボディの外面に外縁を弾接するプロテクター11であり、プロテクター11の露出外面にアクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3を配置すると共に、必要に応じアクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3の露出外面に塗装層13が設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車ボディの外面に取付けられる膨れた形状の外装部品の外周端縁部に取付けられ、ボディ外面に弾接する合成樹脂製プロテクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1〜図5を参考にして説明する。従来の自動車のスプラッシュガード等の合成樹脂製膨出外装部品15の端縁部に固着され、且つ、ボディ外面に弾接するプロテクター11は材質として塩化ビニル樹脂製であるため、環境保全の観点から脱塩化ビニル樹脂が望まれている。脱塩化ビニル樹脂の方策として、他の自動車用部品で比較的多く使用されているオレフィン系熱可塑性エラストマーの適用が考えられるが、一般のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、合成樹脂製プロテクターに要求される耐油性(燃料タンクの給油口の直近傍に配置される場合、自動車用燃料油、すなわち軽油やガソリンに対する耐性が必要である)を満足することができない。従来技術の問題点は、脱塩化ビニル樹脂と耐油性の両立が困難なことである。また、自動車外観の意匠性向上の観点から合成樹脂製プロテクターへの塗装(メラミン系やウレタン系の塗料)が別の要求としてあるが、オレフィン系熱可塑性エラストマーは非極性であるため、塗装が極めて困難であることも問題点としてある。
【特許文献1】特開平8−150883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、プロテクターを構成する材料をアクリル系熱可塑性エラストマーに限定することによって、脱塩化ビニル樹脂と耐油性の両立可能な手段を見いだした。加えて、本アクリル系熱可塑性エラストマーを用いれば、塗装も可能なことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
図1〜図3,図5〜図8を参考にして説明する。
【0005】
請求項1の発明に係る自動車ボディの膨出外装部品のプロテクターは、自動車のボディ14の外面に配置された膨出外装部品15の端縁部に固定手段により固定され、且つボディ外面に外縁を弾接するプロテクター11であり、プロテクター11の少なくとも露出外面にアクリル系熱可塑性エラストマー3を配置したことを特徴とするものである。
【0006】
ここでアクリルとは、メタアクリル樹脂、メタアクリルエラストマーが挙げられる。
【0007】
請求項2の発明に係る自動車ボディの膨出外装部品のプロテクターは、自動車のボディ14の外面に配置された膨出外装部品15の端縁部に固定手段により固定され、且つボディ外面に外縁を弾接するプロテクター11であり、プロテクター11の少なくとも露出外面にアクリルと、オレフィン又は/及びスチレン系熱可塑性エラストマーとの混合物からなる熱可塑性エラストマー3を配置したことを特徴とするものである。
【0008】
ここでオレフィンとは、オレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0009】
また、スチレン系熱可塑性エラストマーとは、(SEP ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、SEPS ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、SEBS ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、SEEPS ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体が挙げられる。
【0010】
請求項3の発明に係る自動車ボディの膨出外装部品のプロテクターは、自動車のボディ14の外面に配置された膨出外装部品15の端縁部に固定手段により固定され、且つボディ外面に外縁を弾接するプロテクター11であり、プロテクター11の少なくとも露出外面にアクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3を配置したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の発明に係る自動車ボディの膨出外装部品のプロテクターは、請求項1〜3のいずれかの一項に記載の発明において、前記熱可塑性エラストマー3の露出外面に塗装層13が設けてあることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の発明に係る自動車ボディ膨出外装部品のプロテクターは、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、プロテクター全体が前記熱可塑性エラストマー3であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6の発明に係る自動車ボディの膨出外装部品のプロテクターは、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、プロテクター本体がオレフィン系熱可塑性エラストマー2又はスチレン系熱可塑性エラストマー製で、そのプロテクター本体の外部露出面に前記熱塑性エラストマー3被覆層を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項7の発明に係る自動車ボディの膨出外装部品のプロテクターは、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、前記アクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマーが、非極性α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体セグメントまたはオレフィン系共重合体セグメントと、ビニル系共重合体セグメントとからなり、一方のセグメントの粒子が他方のセグメント中に分散され、前記粒子の直径が0.01〜1μmであるグラフト共重合体と、10〜90重量%のメトキシエチルアクリレートと4〜85重量%のアクリル酸アルキルエステルと4〜15重量%のアクリロニトリルと0.1〜10重量%のアリルメタクリレートとを主成分として含む単量体混合物から形成されるアクリル系ゴムと、前記グラフト共重合体と前記アクリル系ゴムとの合計量に対し0.01〜10重量%の架橋剤と、前記グラフト共重合体と前記アクリル系ゴムとの合計量に対し0.01〜10重量%の共架橋剤とを溶融混練して得られることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、脱塩化ビニル樹脂と耐油性の両立ならびに塗装層を設けた自動車ボディの膨出外装部品15のプロテクターを提供できる。アクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3が対油性に優れる理由は、アクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3はアクリル鎖でグラフト変性されているので油分子との相溶性が減じられていることによる。アクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3が塗装性に優れる理由は、アクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3はアクリル鎖でグラフト変性されているので、表面エネルギーが向上していることによる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図3,図6〜図8において、14は自動車ボディ、15はボディ外面に配置するエアロパーツやスプラッシュガード或いはルーフモール又はサイドモール等の膨れた形状の合成樹脂製膨出外装部品である。
【0017】
膨出外装部品15は、裏面側をビス16やクリップ17によってボディ14に取付けられるもので、膨出外装部品15の外周端縁部には、固定手段18例えば両面テープを介して合成樹脂製プロテクター11が取付けられており、外装部品15をボディ14に取付た際に、プロテクター11の外縁12がボディ14に圧接するようになっている。
【0018】
従って、プロテクター11の外周部は外部に露出しており、プロテクター外周部がボディ11の塗装面に隣接連続し、また、注油口19の近くになることがある。
【0019】
また、プロテクターを外装部品に取付ける手段としては、両面テープに限定されない。接着剤により接着してもよいし、クリップ等により固定してもよいし、直接、外装部品に嵌込み等により固定してもよい。
【0020】
図6の合成樹脂製プロテクター11においては、プロテクター11全体がアクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3である。
【0021】
図7の合成樹脂製プロテクター11においては、プロテクター本体が一般のオレフィン系熱可塑性エラストマー2であり、その露出外面にアクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3の被覆層を設けたものである。
【0022】
図8の合成樹脂製プロテクター11においては、プロテクター本体がアクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー3であり、その露出外面に塗装層13を設けたものである。
【0023】
次にアクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマーについて説明する。
【0024】
非極性α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体セグメントまたはオレフィン系共重合体セグメント(以下オレフィン系(共)重合体セグメントと略記する。)とビニル系共重合体セグメントとからなるグラフト共重合体について詳細に説明する。
【0025】
本発明のグラフト共重合体は、非極性α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系(共)重合体セグメントとビニル系共重合体セグメントとからなり、前記二つのセグメントのうち一方が他方に0.01〜1μm、更に好ましくは0.1〜1μmの微細な粒子として分散相を形成している。分散樹脂の粒子径が0.01μm未満の場合あるいは1μmを超える場合、アクリル系ゴムにブレンドしたときの相溶性が不十分となり、外観の悪化あるいは機械的物性が低下するため好ましくない。
【0026】
オレフィン系(共)重合体とは、高圧ラジカル重合、中低圧イオン重合などで得られる非極性α-オレフィン単量体の単独重合体または2種類以上の非極性α-オレフィン単量体の共重合体である。
【0027】
上記非極性α-オレフィン単量体としてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。その中でもエチレン、プロピレンが好ましい。
【0028】
オレフィン系(共)重合体の具体例としては、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超超低密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などを挙げることができる。
【0029】
これらの中で、耐油性、機械的物性の点で好ましいのは、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体である。
【0030】
特に好ましいのは、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体の中でも耐油性エチレン−プロピレン共重合体である。耐油性エチレン−プロピレン共重合体とは、ホモポリプロピレン、エチレンの含有量が10重量%以下のエチレン-プロピレンブロック共重合体またはエチレンの含有量が5重量%以下のエチレン-プロピレンランダム共重合体である。
【0031】
次にビニル系共重合体セグメントについて説明する。ビニル系共重合体セグメントに形成される主原料としてのビニル系単量体とは、アクリル系ゴムとの相溶性が良好なものが好ましい。
【0032】
具体的には、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン等のビニル芳香族;α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換スチレン;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート等のアクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体;アクリロニトリルもしくはメタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体であり、これらの単独、または2種以上が用いられる。
【0033】
これらの中で特に好ましいのは、スチレン、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである。
【0034】
また、ビニル系共重合体中に前記ビニル系単量体などと一緒に、多官能性モノマーや架橋性官能基を有する単量体を共重合しても良い。
【0035】
本発明のグラフト共重合体中に含まれる非極性α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系(共)重合体セグメントの割合は通常5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%、最も好ましくは30〜80重量%からなるものである。したがって、ビニル系共重合体の割合は通常95〜5重量%、好ましくは80〜10重量%、最も好ましくは70〜20重量%である。
【0036】
非極性α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系(共)重合体の割合が5重量%未満であると、成形性改良効果が不十分となり、また、非極性α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系(共)重合体の割合が95重量%を超えると、成形性改良効果は得られるが、アクリル系ゴムとの相溶性が悪化し、機械的物性が低下する傾向にある。
【0037】
本発明で使用するアクリル系ゴムとは、10〜90重量%のメトキシエチルアクリレートと4〜85重量%のアクリル酸アルキルエステルと4〜15重量%のアクリロニトリルと0.1〜10重量%のアリルメタクリレートとを主成分とする単量体混合物を共重合することにより得られるゴムである。
【0038】
前記アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、1種または2種以上が適宜使用される。これらの中で特に好ましいのは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレートである。
【0039】
ここで、ビニル系共重合体と同様に、多官能性モノマーや架橋性官能基を有する単量体を共重合しても良い。
【0040】
本発明において、グラフト共重合体とアクリル系ゴムとの混合比(グラフト共重合体/アクリル系ゴム)は、重量基準で好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90、特に好ましくは85/15〜15/85である。アクリル系ゴムが95重量%を越えると成形加工性が低下したり、得られる成形品の機械的強度が低下し、また5重量%未満では成形品の圧縮永久歪みが悪く、硬度も高くなる傾向にある。
【0041】
次に本発明の架橋剤は、グラフト共重合体およびアクリル系ゴムに含有される架橋性官能基と反応しうるものであり、導入されている官能基によって使い分けられる。
【0042】
従って、架橋部位が活性塩素、エポキシ基、カルボキシル基、不飽和基である場合の架橋剤の具体例としては、これらの官能基と反応しうる官能基、例えば硫黄、含硫黄有機化合物、アミノ基含有化合物、酸無水物基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基含有化合物、樹脂架橋剤、有機過酸化物等が挙げられる。これらの架橋剤には公知の架橋促進剤を併用することが好ましい。
【0043】
本発明の架橋剤の添加量は、グラフト共重合体とアクリル系ゴムとの合計量に対し、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。この添加量は、架橋点の濃度および架橋剤の種類によって適宜変更される。0.01重量%未満では、得られるアクリル系熱可塑性エラストマーの圧縮永久歪みが悪くなり、また10重量%を越えると成形加工性が低下する傾向にある。
【0044】
次に本発明において使用される共架橋剤とは、得られる熱可塑性エラストマーの耐油性、機械的強度、圧縮永久歪みを向上させるために添加するものである。
例えばp−ベンゾキノンジオキシム、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシエチレン変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリオキシエチレン変性ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルフォスフェート、ジビニルベンゼンである。
【0045】
これら共架橋剤の使用される量は、グラフト共重合体とアクリル系ゴムとの合計量に対し0.01〜10重量%である。0.01重量%未満では、得られるアクリル系熱可塑性エラストマーの機械的強度または耐油性が悪くなり、また10重量%を越えると成形性が著しく低下する傾向にある。
【0046】
アクリル系熱可塑性エラストマー中には、添加剤として可塑剤、伸展剤、滑剤、老化防止剤から選ばれる少なくとも1種を配合することができる。これらの添加剤により、オレフィン系熱可塑性エラストマーの性能を目的に応じて向上させることができる。さらに充填剤、難燃化剤、着色剤、スコーチ防止剤、カップリング剤、発泡剤等の添加剤を必要に応じて使用することができる。
【実施例】
【0047】
アプコ株式会社製塩化ビニル樹脂(PVC),商品名ビニカCA75MA(比較例1)と、AES株式会社製一般の熱可塑性エラストマー(一般TPO),商品名サントプレーン201−64(比較例2)と、アクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー(日本油脂株式会社製,商品名ノフアロイTZ330-L)(実施例)の厚み2mmの試料シートについて比較し、表1の結果を得た。
【0048】
表1中、耐軽油性は、試料シート23℃の軽油に70時間浸漬後の物性変化の測定値である。
【0049】
表1中、耐ガソリン性は、試料シートを23℃のJIS規格FuelC(トルエン/イソオクタン=50/50の混合溶媒)に71時間浸漬後の物性変化の測定値である。
【0050】
表1中、塗装性は、試料シートにプライマーを塗布後に、エアースプレー方式で塗料を塗布し、厚さ10μmの膜厚を形成した。次いで40°Cの温水に240時間、又はガソリンに72時間浸漬後、20×20の基盤目剥離試験を実施して、剥離面積率を測定した。
【0051】
【表1】











【0052】
表1より、アクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマーは、耐油性と塗装性の物性が、従来品である塩化ビニル樹脂と同等であることから、プロテクターの材質として十分使用可能であることが言える。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】自動車の側面図である。
【図2】図1のZ−Z範囲のY−Y視断面図である。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】従来の第1例における図2の一部拡大図である。
【図5】従来の第2例における図2の一部拡大図である。
【図6】本発明の第1例における図2の一部拡大図である。
【図7】本発明の第2例における図2の一部拡大図である。
【図8】本発明の第3例における図2の一部拡大図である。
【符号の説明】
【0054】
1 塩化ビニル樹脂
2 一般のオレフィン系熱可塑性エラストマー
3 アクリル系熱可塑性エラストマー
11 合成樹脂製プロテクター
12 外縁
13 塗装層
14 ボディ
15 膨出外装部品
16 ビス
17 クリップ
18 固定手段
19 注油口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のボディ(14)の外面に配置された膨出外装部品(15)の端縁部に固定手段により固定され、且つボディ外面に外縁を弾接するプロテクター(11)であり、プロテクター(11)の少なくとも露出外面にアクリル系熱可塑性エラストマー(3)を配置したことを特徴とする自動車ボディの膨出外装部品のプロテクター。
【請求項2】
自動車のボディ(14)の外面に配置された膨出外装部品(15)の端縁部に固定手段により固定され、且つボディ外面に外縁を弾接するプロテクター(11)であり、プロテクター(11)の少なくとも露出外面にアクリルと、オレフィン又は/及びスチレン系熱可塑性エラストマーとの混合物からなる熱可塑性エラストマー(3)を配置したことを特徴とする自動車ボディの膨出外装部品のプロテクター。
【請求項3】
自動車のボディ(14)の外面に配置された膨出外装部品(15)の端縁部に固定手段により固定され、且つボディ外面に外縁を弾接するプロテクター(11)であり、プロテクター(11)の少なくとも露出外面にアクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマー(3)を配置したことを特徴とする自動車ボディの膨出外装部品のプロテクター。
【請求項4】
前記熱可塑性エラストマー(3)の露出外面に塗装層(13)が設けてあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動車ボディの膨出外装部品のプロテクター。
【請求項5】
プロテクター全体が前記熱可塑性エラストマー(3)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動車ボディ膨出外装部品のプロテクター。
【請求項6】
プロテクター本体がオレフィン系熱可塑性エラストマー(2)又はスチレン系熱可塑性エラストマー製で、そのプロテクター本体の外部露出面に前記熱塑性エラストマー(3)被覆層を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動車ボディの膨出外装部品のプロテクター。
【請求項7】
前記アクリルとオレフィンからなるグラフト共重合体を含むアクリル系熱可塑性エラストマーが、非極性α-オレフィン単量体より形成されるオレフィン系重合体セグメントまたはオレフィン系共重合体セグメントと、ビニル系共重合体セグメントとからなり、一方のセグメントの粒子が他方のセグメント中に分散され、前記粒子の直径が0.01〜1μmであるグラフト共重合体と、
10〜90重量%のメトキシエチルアクリレートと4〜85重量%のアクリル酸アルキルエステルと4〜15重量%のアクリロニトリルと0.1〜10重量%のアリルメタクリレートとを主成分として含む単量体混合物から形成されるアクリル系ゴムと、
前記グラフト共重合体と前記アクリル系ゴムとの合計量に対し0.01〜10重量%の架橋剤と、
前記グラフト共重合体と前記アクリル系ゴムとの合計量に対し0.01〜10重量%の共架橋剤とを溶融混練して得られる請求項1〜6のいずれか一項に記載の自動車ボディの膨出外装部品のプロテクター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−160048(P2006−160048A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353568(P2004−353568)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】