説明

自動車外板用塗料及びその塗装方法

【課題】金属部材と、それに付属するプラスチック製部材とを一体的に組み合わせた自動車外板の表面を塗装する方法に関する。本発明の方法では、金属部材とプラスチック製部材の両方の表面に、同一の上塗り塗料を用いて、しかも同時に一体塗装及び焼付乾燥を行うことができ、また、外観や硬度、耐溶剤性、層間付着性などに優れる塗膜を有する自動車外板の塗装方法を提供する。
【解決手段】電着塗料等の防錆処理を施し、望ましくは更に中塗り塗装を施した自動車車体鋼板部と付属するプラスチック製部材とを一体的に有する自動車外板の表面に、ポリエステル樹脂20〜50質量%、イミノ基型メラミン樹脂5〜25質量%、及び、酸触媒0.01〜2質量%を含む上塗り塗料を塗装し、前記プラスチック製部材が加熱による熱変形しない温度で焼付乾燥する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部材とそれに付属するプラスチック製部材とからなる自動車外板の表面に、上塗り塗料を両部材上に同時に塗装し、該プラスチック製部材が熱変形しない温度で焼付乾燥することを特徴とする自動車外板の塗装方法及びそれに使用される塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体の外板部には、鋼板などの金属部材と、プラスチックバンパーなどのプラスチック製部材とが併存して使用されることが多くなっている。又、車体の計量化を図るために、鋼板全体又はその一部を、プラスチックに置き換えることが試みられている。
そのような金属部材と、プラスチック製部材とが一体的に組み合わされた複合部材を塗装し、焼付けする場合、プラスチック製部材の種類によっては耐熱性が不十分な為、熱変形を起こしたり、塗膜の発泡等で外観品質が低下したりするため、目的とする複合部材を調製することができない問題がある。
そのため、金属部材とプラスチック製部材とは別々に塗料を塗装し、塗膜を焼付硬化することが一般に行われる。自動車車体鋼板部の上塗り塗料は、通常140℃前後で、20〜30分焼付けることで硬化する塗料が使用されている。FRPなどのプラスチック製部材は、常温乾燥もしくは100℃以下の低温で乾燥できる2液型ウレタン塗料が一般的に使われる。
従来、例えば、金属部材及びプラスチック部材が併存する自動車車体に、金属部材には水酸基含有樹脂、メラミン樹脂及び着色顔料を含有する着色塗料(A)を塗装し、プラスチック部材には、この着色塗料(A)にポリイソシアネート化合物を配合した着色塗料(B)を塗装する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−334207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来の塗装法では、金属部材と、プラスチック部材とを別々に塗装する必要があるため、工程が煩雑化し、余計な工程がかかるなど問題となっている。
プラスチック部材用塗料は、硬化剤としてイソシアネート化合物を使用しており、その分低温で硬化できるものの、メラミン樹脂を用いたものと比べると、仕上がり品質がやや劣り、2液型塗料のため取り扱いも煩雑となる。また、金属部材とプラスチック部材とを別々に塗装し、焼付乾燥するため、各々部材を組み合わせた場合、塗膜の色彩に差が生じることもある。そのため自動車車体の塗装においては、金属部材とプラスチック部材との一体塗装の要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するため、金属部材と、それに付属するプラスチック製部材とからなる自動車外板の表面に、低温で硬化する上塗り塗料などの塗料組成物を塗装し、該プラスチック製部材が熱変形しない低温で順次焼付乾燥することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、自動車車体の外板部であるボディーなどの金属部材と、それに付属するバンパーなどのプラスチック製部材とが一体的に組み合わされた自動車外板に好適に適用されるものである。例えば、大型バスなどの重量のある商用車の外板鋼板部と、鋼板部の一部をプラスチック化して、鋼板部とプラスチック部とが一体的に取り付けられた自動車外板に適用する場合に、大変に有利である。
なお、ボディーなどの自動車車体の金属部材には、予め、防錆性を付与するために、電着塗膜等のプライマー塗装を施こすことが好適である。
【0007】
金属部材としては、自動車用等の通常の鋼板、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属、及び合金などを加工したものである。
プラスチック製部材としては、ボディー構体の一部をプラスチック化した部位、バンパー、エンジンフード、リッド、フェンダー、ドアー、リアーゲートなどがある。プラスチック製部材の素材としては、一般に、ポリエステル系樹脂や、エポキシ樹脂、を主体としたFRPや、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ABS、及びこれらのポリマーアロイなどがあるが、そのコストや強度などが優れるポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂、あるいは不飽和ポリエステル樹脂の何れでもよく、また併用してもよい。
これらプラスチック製部材は、塗料の焼付け温度(110℃以下)で熱変形しない素材であることが好ましい。
【0008】
本発明の塗料は、自動車外板に適用されるものであり、自動車としては、例えば、乗用車や、バス、トラックなどであるが、中でもバスや、トラックなどの商用車が好ましい。
本発明で使用される上塗り塗料は、ポリエステル樹脂20〜50質量%、イミノ基型メラミン樹脂5〜25質量%、及び酸触媒0.01〜2質量%を含み、かつ110℃以下、好ましくは、110〜100℃(通常は、120℃以上でないと、優れた硬化塗膜とはなり難い)で焼付け硬化する塗料である。
【0009】
上塗り塗料で使用されるポリエステル樹脂としては、各種のポリエステル樹脂を特に制限なく使用することができる。このようなポリエステル樹脂は、例えば、無水フタル酸や、イソフタル酸及びその水素化物、コハク酸、トリメリット酸等の多塩基酸成分と、エチレングリコールや、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等のポリオール成分とを縮合重合させて得られる。天然由来の脂肪酸又は合成脂肪酸で変性したものも含む。ポリエステル樹脂の酸価としては、例えば、5〜20KOHmg/g、好ましくは6〜12KOHmg/gが望ましい。
ここで言うポリエステル樹脂とは、一般的であるオイルフリーアルキド樹脂以外にも、少量の脂肪酸類で変性したオイルレスアルキド樹脂、合成脂肪酸類で変性したアルキド樹脂なども含まれる。ここで言うオイルレスアルキド樹脂は、油長15以下のアルキド樹脂をいい、ポリエステル樹脂の一種である。また、ロジンや、エポキシ、アクリル、シリコン、フッ素等で変性されたポリエステル樹脂も使用できる。
【0010】
上塗り塗料で使用されるイミノ基型メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとを縮合して得られる生成物を更にアルキルエーテル化して得られる樹脂であり、一部にイミノ基を含有する縮合生成物である。イミノ基型メラミン樹脂は、塗膜の仕上がり品質(つや、肌など)に優れているとともに、酸触媒と組み合わせた時に低温での反応性に優れている。
本発明の上塗り塗料で使用される酸触媒は、低温焼付けに適した上塗り塗料を構成するために配合される触媒である。この酸触媒は、上塗り塗料を焼付けた時に、塗膜の硬化反応を促進する。
【0011】
本発明で使用される酸触媒としては、例えば、p−トルエンスルホン酸や、ドデシルベンゼンスルホン酸、キュメンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などのスルホン酸化合物、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチルなどのリン酸アルキル類、リン酸、ギ酸、酢酸、塩酸などが好適に挙げられる。本発明においては、特に、110℃以下の低温で焼付け硬化できるように、p−トルエンスルホン酸、キュメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、及びアルキルリン酸からなる群から選択される化合物を3種類以上含む酸触媒の混合物であることが好ましい。ただし、これらの酸触媒は、アミン類などの塩基性化合物で、一部あるいは完全に中和されたものであってもよい。
【0012】
本発明に用いる上塗り塗料は、ポリエステル樹脂20〜50質量%、好ましくは、22〜40質量%、イミノ基型メラミン樹脂5〜25質量%、好ましくは、8〜16質量%、及び酸触媒0.01〜2質量%、好ましくは、0.3〜1.2質量%を含む。
ポリエステル樹脂が、上塗り塗料の質量に対して、20質量%より少ないと、塗膜外観が悪くなり易い。一方、ポリエステル樹脂が、50質量%を越えると、塗膜の隠蔽性や、硬度が出にくい等の問題が生じ易くなり、好ましくない。
イミノ基型メラミン樹脂が、上塗り塗料の質量に対して、5質量%より少ないと、塗膜が十分に硬化し難い。一方、イミノ基型メラミン樹脂が、25質量%を越えると、塗膜の硬度が高すぎて十分な柔軟性が得られ難いなど、好ましくない。
【0013】
酸触媒が、上塗り塗料の重量に対して、0.01質量%より少ないと、塗膜が十分に硬化し難い。一方、酸触媒が2質量%を越えると、塗料の貯蔵安定性が低下したり、塗膜の硬化反応が進み過ぎ塗膜の光沢の低下、耐水性の低下等が起こり、好ましくない。
【0014】
本発明の上塗り塗料には、上記で説明した樹脂成分や触媒以外に、溶剤や、必要に応じて、着色顔料、体質顔料等の顔料類、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、表面調整剤、光安定剤、紫外線吸収剤、静電助剤等の各種添加剤などを配合することができる。
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類や、トルエン、キシレン、芳香族炭化水素混合溶剤等の各種塗料用有機溶剤又はその混合物が使用可能である。その配合量は、塗料中0〜80質量%、好ましくは、20〜60質量%が適当である。
顔料としては、二酸化チタン、カーボンブラック、オーカ、ベンガラ、ビスマスバナデート、黄鉛、モリブデートオレンジ、群青、複合酸化物焼成顔料等の無機系着色顔料。また、有機系着色顔料には、フタロシアニン類、アゾ系化合物、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、アンスラキノン、キノフタロン、ジケトピロロピロール、各種金属錯体等の化合物がある。塗料用体質顔料には、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ベントナイト、シリカ、リトポン等が使用可能である。その配合量は、上塗り塗料中に塗色により、1.5〜50質量%が適当である。
更に、必要に応じて、顔料分散剤や、紫外線吸収剤、光安定剤、レオロジーコントロール剤、静電助剤、表面調整剤、などの各種添加剤を加えても良い。
【0015】
本発明は、上記の上塗り塗料を、自動車用金属部材の一部にプラスチック製部材が一体的に組み合わされた自動車外板に塗装するのに好適である。金属製の車体部分には、予め、防錆性を付与するために、電着塗装等のプライマー塗装及び中塗り塗装を施こすことが望ましい。また、プラスチック製部材の表面には、塗料との密着性を付与するために、エッチングやプライマー塗装などの表面処理が施されていてもよい。
本発明は、上塗り塗料を自動車外板の表面に塗装し、該プラスチック製部材が物性強度低下や、熱変形、発泡等の不具合を起こさない温度で焼付乾燥する。その焼付温度は、基材表面温度で、好ましくは、110〜100℃、また、その焼付時間は、例えば、10〜40分間、好ましくは、20〜30分間であることが好ましい。
塗膜の焼付温度が、例えば、100℃より低いと、塗膜が十分に硬化し難い。一方、110℃を越えると、塗膜は硬化するものの、プラスチック製部材の物性強度低下や、熱変形、発泡等の不具合が起こり易くなり好ましくない。
本発明の塗料の塗装方法は、エアスプレーや、エアレススプレー、静電塗装など、自動車車体に適用される塗装方法であれば、特に限定されず、各種の塗装方法が適用できる。
上塗り塗料の膜厚は、乾燥膜厚で、例えば、15〜60μm、好ましくは、25〜50μmであることが好ましい。
以下、本発明について、実施例により更に詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
なお、実施例中の「部」や「%」は、特に断らない限り、質量基準で示す。
【実施例】
【0016】
<上塗り塗料の調製>
表1に示す配合で、樹脂、酸触媒、顔料、添加剤等の各成分を混合し、攪拌・練合を行い、最後に酸触媒を添加混合して調製例1〜5及び参考調製例1〜2の上塗り塗料の調製を行った。なお、液状のものは、固形分として記載した。


































【0017】
表1














【0018】
表1(続き)

【0019】
(注1:合成脂肪酸アルキド樹脂(大日本塗料製、IN−45K−70、不揮発分70%、油長45、酸価8.5KOHmg/g)
(注2:オイルレスアルキド樹脂(大日本塗料製、CIH11−65、不揮発分65%、油長11、酸価10.2KOHmg/g)
(注3:ポリエステル樹脂(大日本塗料製、HI33E−65、不揮発分65%、酸価7.5KOHmg/g)
(注4:メラミン樹脂A(三井東圧製、ユーバン225、不揮発分60%、低温硬化タイプ、ノルマルブチル化メラミン樹脂)
(注5:イミノ基型メラミン樹脂B(三井サイテック製、サイメル207、不揮発分75%、低温硬化タイプ、イミノ基型アルキル化メラミン樹脂)
(注6:メラミン樹脂C(三井東圧製、ユーバン128、不揮発分60%、中温硬化タイプ、ノルマルブチル化メラミン樹脂)
【0020】
(注7:酸化チタン顔料(ルチル型酸化チタン顔料)
(注8:分散剤(酸基を含む共重合物)
(注9:表面調整剤(ビニル系重合物、変性シリコン化合物の混合物)
(注10:レオロジーコントロール剤(尿素系重合物)
(注11:紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系/ヒンダードアミン系=2/1混合物)
(注12:酸触媒A(テイカ(株)製、リン酸モノブチル)
(注13:酸触媒B(テイカ(株)製、p−トルエンスルホン酸)
【0021】
(注14:酸触媒C(テイカ(株)製、キュメンスルホン酸)
(注15:酸触媒D(テイカ(株)製、ドデシルベンゼンスルホン酸)
(注16:アクリタンスーパー3000 ホワイト(大日本塗料製、アクリルポリイソシアネート2液型エナメル塗料)
【0022】
<試験板>
ダル鋼板(0.8mm×70mm×150mm)に、所定の工程でカチオン電着塗装を施した試験板(日本テストパネル社製)を、金属部材とした。以下、電着鋼板と言う。
ビニルエステル系ゲルコートを施した不飽和ポリエステルFRP板(中部工業製)を、1mm×70mm×150mmに切断し、プラスチック部材とした。以下、FRP板と言う。
【0023】
<試験板の作製>
上記電着鋼板とFRP板の表面を、石油ベンジンを含ませたガーゼで拭き脱脂処理とした。この電着鋼板とFRP板を、それぞれ一体的に組み合わせ、外板用試験板とした。
これに塗装に適した粘度に希釈した中塗り塗料(大日本塗料製、デリコン中塗SF110ホワイト:ポリエステル/メラミン系塗料)を30〜35μm(乾燥膜厚)になるようにスプレー塗装し、温度110℃で20分間焼付乾燥した後、室温まで冷却した。
次いで、上記のように調製した上塗り塗料を塗装に適した粘度に希釈し、各々35〜40μm(乾燥膜厚)スプレー塗装し、実施例1〜5の塗料は温度110℃で20分間、比較例1の塗料は120℃で20分間、比較例2の塗料は140℃で20分間、比較例3の塗料は80℃で30分間、それぞれ焼付乾燥した後、室温に冷却し、試験板を作製した。
上記で作製した塗料の塗膜の評価は、以下のように行った。
【0024】
<塗膜外観>
上記で作製した塗板の塗膜外観を、光沢計を用いて60°光沢値を測定し、以下のように評価した。
○…92以上
△…92未満〜88以上
×…88未満
【0025】
<ペーパー目試験>
中塗り塗料を塗装後、乾燥させ、回転サンダー#320番で塗膜表面を研磨した後、上塗り塗料で塗装後、乾燥させて塗膜の表面を、以下のように目視評価した。
〇…研ぎ跡が見られない
△…わずかに見られる
×…はっきりと見られる
【0026】
<ダスト抵抗性>
上塗り塗料を塗装10分後に、塗料ダストを表面から掛けて、塗膜表面の荒れ具合を、以下のように目視評価した。
〇…良好
△…わずかに肌荒れが見られる
×…明らかな肌荒れが見られる
【0027】
<塗膜硬度>
上記で作製した塗板を用いて、JIS K5600−5−4に従い、三菱ハイユニ鉛筆を用いて塗膜表面を引っかき、塗膜に傷が生じなかった最も堅い鉛筆硬度で、以下のように評価した。
〇…F以上
△…HB
×…B以下
【0028】
<耐溶剤性>
上記で作製した塗板を用いて、室温において、塗膜表面をキシレンで湿らせたガーゼで往復10回ラビングテストを繰り返した後、塗膜表面の状態を、以下のように目視評価した。
〇…異常なし
△…わずかに艶引け
×…完全に艶引け
<層間付着性>
同一上塗り塗料で1回目の塗装し、前記試験板作製条件の規定温度/時間の焼付を4回繰り返し行った後、その上に同一塗料で2回目の上塗り塗装し、前記規定温度/時間で1回焼付け乾燥して試験板を作製した。その試験板にJIS K5600−5−6に従い、2mm巾ゴバン目付着テストを行い、その塗膜表面をセロテープ(登録商標)ではがした際に、はがれなかったゴバン目の数に応じて、以下のように評価した。
〇…100/100
×…99/100以下
【0029】
上記の塗膜評価方法に従い、塗膜を評価した結果を、以下の表2に示す。
【0030】
表2



【0031】
表2(続き)

【0032】
本発明により、鋼板部とプラスチック製部材とを一体的に有する自動車車体の塗装において、鋼板部とプラスチック製部材との両方の表面に、上塗り塗料の塗装及び焼付乾燥を一体的に同時に行うことができ、また、その塗膜は、仕上がり外観や硬度、耐溶剤性、層間付着性などに優れていた。このように、メラミン樹脂タイプの焼付塗料においても、低温焼付が可能となり、ウレタン樹脂系タイプの塗装より優れた仕上がり感の塗膜が得られる。同時に、鋼板やプラスチックなどの素材の異なる一体化した部材にも、塗装・焼付乾燥が同時にできるため、工程短縮が可能になり、更に部材間の微妙な色違いなども無くなる。今後多色デザイン塗装なども可能になり、意匠性に優れた自動車車体の塗装への応用が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材とプラスチック製部材とが一体的に組み合わされた自動車外板の表面の塗装方法であって、
ポリエステル樹脂20〜50質量%、イミノ基型メラミン樹脂5〜25質量%、及び酸触媒0.01〜2質量%を含み、かつ110℃以下で焼付け硬化する上塗り塗料を塗装し、該温度で焼付乾燥することを特徴とする自動車外板の塗装方法。
【請求項2】
前記上塗り塗料中の酸触媒が、p−トルエンスルホン酸、キュメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、及びリン酸アルキルからなる群から選択される化合物を3種類以上含む混合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラスチック製部材が、該塗料の焼付け温度で熱変形しない素材である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記プラスチック製部材が、ポリエステル系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記自動車外板が、商用車用の自動車外板である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
金属部材とプラスチック製部材とが一体的に組み合わされた自動車外板表面用塗料組成物であって、
ポリエステル樹脂20〜50質量%、イミノ基型メラミン樹脂5〜25質量%、及び酸触媒0.01〜2質量%を含み、かつ110℃以下で焼付け硬化することを特徴とする塗料組成物。
【請求項7】
前記酸触媒が、p−トルエンスルホン酸、キュメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、及びリン酸アルキルからなる群から選択される化合物を3種類以上含む混合物である請求項6に記載の塗料組成物。

【公開番号】特開2007−319767(P2007−319767A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151945(P2006−151945)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】