説明

自動車用信号灯の光源取付構造

【課題】 電球バルブを取り付けるための車体側のランプハウジングを用いてLEDランプ組立体を取り付ける。
【解決手段】 電球ソケット7が取り付けられるランプハウジング6の取付穴8にLEDランプ組立体3の連結部材25を挿入し、挿入位置を規制するフランジ部24と取付穴8に係止する係止フック27とでLEDランプ組立体3をランプハウジング6に仮止めし、仮止め状態の連結部材25に押え固定部材31を嵌合して固定することで、押え固定部材31とフランジ部24とでランプハウジング6を挟持してLEDランプ組立体3を予め設定された姿勢が維持された状態でランプハウジング6に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用信号灯の光源取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のテールランプ、ストップランプ、ターンシグナルランプ等の自動車用信号灯において、発光素子である発光ダイオード(LED)を光源として用いた灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。LEDは電気エネルギーの消費が少なく寿命が長いこともあり、特に近年、自動車の車格の差別化や商品性向上のために、電球に代えてLEDを光源とした自動車用信号灯が採用されるようになってきている。
【0003】
LEDは従来の電球とは配光特性が異なるため、光源を交換するだけでは配光に関する法規規定を満たすことができない。即ち、LEDは限られた範囲に対して高い指光性を有しているため、電球の場合のように光をリフレクタで反射させることで効率よく配光させることが難しく、複数のLEDを設けることで配光の法規規定を満たすよう対応している。具体的には、特許文献1に記載されているように、基盤に複数のLEDを配列させたLEDランプ組立体をランプハウジングのほぼ全面に渡って配置する構造が一般的となっている。
【0004】
一方、従来の電球を光源とするテールランプやストップランプの場合、ランプハウジング自体にリフレクタの機能を設け、ランプハウジングの内面で電球からの光を反射して配光するよう構成されている。そして、光源の取付け構造は、ランプハウジングに形成した光源取付け用の挿通穴に電球を装着した電球用ソケットをランプハウジングの外側から挿通するとともに、同電球用ソケットを回動させることで電球用ソケットの係止部分を挿通穴に係止させて固定するようになっており、電球の取付け作業が容易に行えるよう考えられている。
【0005】
しかしながら、LEDランプを光源とする場合には、特許文献1の構造のように複数のLEDを設ける必要があるため、電球タイプのような従来のランプハウジングや取付け構造をそのまま流用することはできず、専用のランプハウジングや取付け構造が必要となっていた。このため、電球タイプのように光源を簡単に取り付けることができなかった。
【0006】
従って、自動車の車格の差別化等のために、電球に代えてLEDを自動車用信号灯として使用する場合、部品コストが嵩む上、組立時の作業性も悪くなり作業工数が増加する傾向にあった。特に、同一車種でグレードによって光源を使い分ける場合などは、2種類のランプハウジングを製造しなければならず、よりコストがかかるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−71512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、簡易な構造でLEDランプ組立体を所定の姿勢に維持してランプハウジングに簡単かつ確実に取り付けることができる自動車用信号灯の光源取付構造を提供することを目的とする。
【0009】
特に、電球バルブを光源として取り付けるよう構成されたランプハウジングを流用して容易にLEDランプ組立体を取り付けることができるようにした自動車用信号灯の光源取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の自動車用信号灯の光源取付構造は、ランプハウジングに形成された取付穴に挿入されて係止される連結部材を有し、前記連結部材を前記ランプハウジングの内側から前記取付穴に挿入することで前記ランプハウジングに取付けられるLEDランプ組立体と、前記取付穴に係止された状態の前記連結部材に、前記ランプハウジングの外側から嵌め込まれて係合され、前記連結部材との間に前記ランプハウジングを挟持することで前記LEDランプ組立体を前記ランプハウジングに固定する押え固定部材とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項1に係る本発明では、LEDランプ組立体の連結部材をランプハウジングの取付穴に挿入して固定するという簡易な構造でLEDランプ組立体をランプハウジングに確実に取り付けることが可能となり、光源取付け時の作業性が向上する。さらに、光源を電球からLEDに変更する場合に、LEDランプ組立体に合わせてランプハウジングの形状や取付構造を大幅に改良する必要が無くなり、電球用のランプハウジングを流用してLEDランプ組立体を取付けることが容易となる。
【0012】
従って、簡易な構造でLEDランプ組立体を所定の姿勢に維持してランプハウジングに簡単かつ確実に取り付けることができ、作業性の向上だけでなく、製品コストを抑制することが可能となる。
【0013】
そして、請求項2に係る本発明の自動車用信号灯の光源取付構造は、請求項1に記載の自動車用信号灯の光源取付構造において、前記連結部材には、前記連結部材が前記取付穴に挿入された際に、所定の挿入位置で前記取付穴の周縁部に当接して挿入位置を規制するフランジ部と、前記所定の挿入位置で前記取付穴に係止して前記連結部材の前記取付穴からの抜け外れを阻止する係止連結部と、前記連結部材の外周に突出形成されて前記押え固定部材が係合される連結突起とが備えられ、前記押え固定部材は、前記係止連結部が前記取付穴に係止された状態で前記連結部材に嵌め込まれて前記連結突起と係合し、前記フランジ部との間で前記取付穴の周縁部を挟持するよう構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る本発明では、フランジ部と係止連結部とにより、LEDランプ組立体をランプハウジングに仮止めすることができ、仮止めした状態で押え固定部材を係合させることで、押え固定部材とフランジ部とでランプハウジングの取付穴周縁部を挟持することができるので、容易にかつ確実にLEDランプ組立体をランプハウジングに固定することができる。
【0015】
また、請求項3に係る本発明の自動車用信号灯の光源取付構造は、請求項2に記載の自動車用信号灯の光源取付構造において、前記押え固定部材には、前記連結部材を挿通して嵌合する嵌合穴と、前記嵌合穴の周方向に連続して形成され前記連結部材を挿通させる際に前記連結突起を通過させる押え通過穴と、前記連結部材に嵌合した状態の前記押え固定部材を回動させることで、前記押え通過穴を通過した前記連結突起と係合する係合部とが備えられていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る本発明では、押え固定部材を連結部材に嵌め込んで回動するだけの簡単な操作で押え固定部材と連結部材との係合を確実に行うことが可能となる。すなわち、LEDランプ組立体のランプハウジングへの固定作業がより一層容易となる。
【0017】
また、請求項4に係る本発明の自動車用信号灯の光源取付構造は、請求項3に記載の自動車信号灯の光源取付構造において、前記連結部材の前記係止連結部は、前記挿通穴の縮径方向に撓み動自在に形成され、前記押え固定部材には、前記嵌合穴の内周面に形成され、前記押え固定部材を前記連結部材に嵌合した際に前記係止連結部を保持する凹状の保持面部と、前記保持面部と前記押え通過穴との間に前記保持面部から連続して形成され、前記押え通過穴に向かうに従って前記嵌合穴の内側に傾斜される小径面とが設けられ、前記押え固定部材を前記連結突起と係合すべく回動させた際に、前記係止連結部が前記押え固定部材の回動に応じて前記小径面に押されて縮径方向に撓み変形し、前記押え固定部材の係合が完了した時点で前記小径面を乗り越えて前記押え通過穴内に位置され、前記係止連結部と前記押え通過穴とが係止されることで前記押え固定部材の係合解除方向への回動が規制されることを特徴とする。
【0018】
請求項4に係る本発明では、仮止め用の係止連結部を利用して押え固定部材の係合解除方向への回動を規制することができる。押え固定部材が嵌め殺し状態となるので、LEDランプ組立体の固定がより確実かつ強固とされる。これにより、ユーザー等に誤って外される虞もなく、LEDランプ組立体がランプハウジング内で脱落するような事態を防ぐことができる。
【0019】
また、請求項5に係る本発明の自動車用信号灯の光源取付構造は、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の自動車用信号灯の光源取付構造において、前記ランプハウジングの前記取付穴には、前記連結突起が通過する通過穴が前記挿通穴の周方向に連続して形成されており、前記連結突起と前記通過穴との位置を合致させた状態で前記連結部材を前記取付穴に挿入係止することで、前記LEDランプ組立体が前記ランプハウジングに所定の姿勢状態で取り付けられることを特徴とする。
【0020】
請求項5に係る本発明では、LEDランプ組立体を取り付ける際に、連結部材の連結突起の位置を通過穴に合わせた状態で取付穴に挿入するだけで、容易にLEDランプ組立体を所定の姿勢状態に設定することができる。
【0021】
また、請求項6に係る本発明の自動車用信号灯の光源取付構造は、請求項5に記載の自動車信号灯の光源取付構造において、前記ランプハウジングの前記取付穴は、電球用ソケットが取付られる穴であり、前記通過穴は、前記電球用ソケットの外周に形成された係合用の突起が通過されるよう構成されており、前記突起を前記通過穴に合致させて前記電球用ソケットを前記取付穴に挿入し、挿入後に前記電球用ソケットを回動して前記突起を前記取付穴に係合させることで、前記電球用ソケットが前記ランプハウジングに固定可能とされていることを特徴とする。
【0022】
請求項6に係る本発明では、電球用のランプハウジングをそのままLED用に適用することができるので、より一層製品コストを抑制することができる。特に、同一車種で光源を電球とLEDとで使い分けるような場合に効果が顕著である。
【0023】
また、請求項7に係る本発明の自動車用信号灯の光源取付構造は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の自動車信号灯の光源取付構造において、前記LEDランプ組立体は、前記連結部材が一方面に一体的に設けられ他方面に複数のLEDが取り付けられる基盤と、前記基盤の他方面を覆うように設けられて前記LEDの光を拡散して配光するレンズ部とから構成されることを特徴とする。
【0024】
請求項7に係る本発明では、連結部材が一方面に一体的に設けられ他方面に複数のLEDが取り付けられる基盤と、基盤の他方面を覆うように設けられてLEDの光を拡散して配光するレンズ部とから構成されるLEDランプ組立体の取付けを好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の自動車用信号灯の光源取付構造は、簡易な構造でLEDランプ組立体を所定の姿勢に維持してランプハウジングに簡単かつ確実に取り付けることが可能になる。
【0026】
特に、本発明の自動車用信号灯の光源取付構造は、電球バルブを光源として取り付けるよう構成されたランプハウジングを流用して容易にLEDランプ組立体を取り付けることができ、電球バルブとの互換性を有する自動車用信号灯の光源取付構造となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態例に係る自動車用信号灯の光源取付構造により取り付けられたテールランプの外観図である。
【図2】テールランプの断面図である。
【図3】LEDランプ組立体の取付き部の外観図である。
【図4】LEDランプ組立体の取付き部の分解図である。
【図5】自動車用信号灯の光源取付構造の詳細図である。
【図6】自動車用信号灯の光源取付構造の外観説明図である。
【図7】自動車用信号灯の光源取付構造の取付け過程のテールランプの断面図である。
【図8】自動車用信号灯の光源取付構造の取付け過程の詳細図である。
【図9】自動車用信号灯の光源取付構造の取付け過程の外観図である。
【図10】自動車用信号灯の光源取付構造の取付構造の取付け過程のテールランプの断面図である。
【図11】自動車用信号灯の光源取付構造の取付け過程の詳細図である。
【図12】自動車用信号灯の光源取付構造の取付け過程の外観図である。
【図13】電球バルブが適用された際のテールランプの断面図である。
【図14】電球バルブの取付け過程の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には本発明の一実施形態例に係る自動車用信号灯の光源取付構造を採用したテールランプを備えた自動車の要部の外観状態、図2にはLEDランプ組立体が取り付けられた状態のテールランプの断面を示してある。
【0029】
図1、図2に示すように、自動車1のテールランプ2は、LEDランプ組立体3がランプハウジング6に取り付けられ、アウタレンズ4がLEDランプ組立体3を覆うようにランプハウジング6に組付けられて構成されている。本実施形態例におけるランプハウジング6は、電球バルブ(電球ソケット)が取り付けられるためのものがそのまま適用されている。
【0030】
図13、図14に基づいて電球バルブが適用されたテールランプについて説明する。図13には電球バルブを用いたテールランプの断面、図14(a)には電球バルブの取付け過程を説明する分解状態の外観、図14(b)には電球バルブを取り付けた状態の外観を示してある。
【0031】
図13に示すように、車体側には車両の後方側に開放した凹状のランプハウジング6が設けられ、ランプハウジング6には電球ソケット7が挿通される取付穴8が形成されている。電球ソケット7には電球バルブ9が固定され、電球バルブ9が固定された電球ソケット7は、電球バルブ9を車両の後方にして車両の前方側(ランプハウジング6の外側)からランプハウジング6の取付穴8に通されて取付けられる。
【0032】
ランプハウジング6には、取付穴8の周囲に円筒部6aが形成されており、電球ソケット7が取付穴8に挿入された状態で電球ソケット7の後方側(車両の前方側)の部位が円筒部6a内に嵌まり込む構成となっている。なお、ランプハウジング6は、その内面(車両の後方側の面)にメッキが施され、電球バルブ9の光を反射して配光するリフレクタの機能を有している。
【0033】
図14(a)に示すように、ランプハウジング6の取付穴8の周方向の4箇所には取付穴8に連続して径が大きくされた通過穴11が形成されている。図14(b)に示すように、電球ソケット7には通過穴11に対応した形状の突起12が形成されている。
【0034】
電球ソケット7をランプハウジング6に取り付ける手順を次に説明する。
【0035】
突起12と通過穴11の位置を合致させ、電球バルブ9を車両の後方にして車両の前方側(ランプハウジング6の外側)からランプハウジング6の取付穴8に電球ソケット7を挿入する。突起12が通過穴11を通過して前記電球バルブ9および電球ソケット7の突起12がランプハウジング6の取付穴8からランプハウジング6内まで挿入されると電球ソケット7(車両前方側の部位)がランプハウジング6に当接してそれ以上の挿入が規制される。
【0036】
この状態で、図14(b)に示すように、電球ソケット7(電球バルブ9)を矢印方向(図中反時計周り方向)に回動させることで、突起12が通過穴11と合致された位置から取付穴8の周方向に移動されてランプハウジング6の内面(車両の後方側の面)、つまり取付穴8の周縁の内側の面に係合する。これにより、電球ソケット7は突起12により抜け外れが阻止された状態でランプハウジング6の取付穴8に取り付けられる。
【0037】
電球バルブ9を交換する場合、上述とは逆に動作させることで電球ソケット7を車両の後方側に抜き外せばよい。
【0038】
本実施形態例の自動車用信号灯の光源取付構造は、電球ソケット7が取り付けられるランプハウジング6にそのままLEDランプ組立体3を取り付ける構造となっている。LEDランプ組立体3は予め設定された姿勢が維持された状態でランプハウジング6の取付穴8に取り付けられる。
【0039】
図2から図6に基づいてランプハウジング6にLEDランプ組立体3が取り付けられた状態を説明する。
【0040】
図3にはLEDランプ組立体3がランプハウジングに取り付けられた状態をランプハウジングの外側(車両の前方側)から見た外観、図4(a)には車両の前方側から見た取り付き部の分解状態、図4(b)には車両の後方側から見た取り付き部の分解状態を示してある。
【0041】
また、図5(a)には連結部材の固定部位の詳細状態、図5(b)には図5(a)中のV−V線矢視の状態、図6(a)には押え固定部材が嵌合している状態の外観をランプハウジングの外側(車両の前側)から見た状態、図6(b)には図5(b)中のVI−VI線の部位に相当する押え固定部材の概念を示してある。
【0042】
主に図2から図4に示すように、ランプハウジング6内にLEDランプ組立体3が取付穴8を貫通するように配置され、ランプハウジング6の外側(車両前方側:図2中左側)から固定用の押え固定部材31を嵌合させることで、押え固定部材31とLEDランプ組立体3とでランプハウジング6を挟持した状態で固定されている。
【0043】
LEDランプ組立体3には基盤21が備えられ、基盤21の他方面である後面側(車両後方側:図2中右側)には複数のLED22が所定の配置状態で設けられている。また、LED22の光を拡散して配光するレンズ部22aが基盤21の他方面を覆うように設けられている。
【0044】
基盤21の一方面である前面側(車両前方側:図2中左側)には基盤21を支えると共に配線等の構成部材が収容される本体部23が設けられ、本体部23の前方側(車両前方側:図2中左側)にはランプハウジング6の取付穴8にランプハウジング6の内側(車両後方側:図2中右側)から挿入される筒状の連結部材25が一体に形成されている。
【0045】
連結部材25には、その外周から突出する連結突起26(図4(a))が形成されている。連結突起26はランプハウジング6の取付穴8の通過穴11に対応して4箇所に形成され、連結突起26が通過穴11を通過自在となっている。そして、連結部材25を連結突起26が通過穴11に合致する状態で取付穴8に挿入することで、LEDランプ組立体3の複数のLED22が所定の姿勢状態(法規規定に沿った姿勢状態)とされる。
【0046】
連結突起26は、連結部材25がランプハウジング6の取付穴8に挿入された状態で押え固定部材31と係合され、この係合により連結部材25がランプハウジング6に固定される。また、連結部材25の外周には、ランプハウジング6の取付穴8に係止する係止連結部としての係止フック27が設けられている。係止フック27は連結部材の外周における連結突起26と連結突起26の間に配置され、取付穴8の縮径方向に撓み動自在に形成されている。さらに、連結部材25には、本体部23との間に設けられてランプハウジング6内側の取付穴8の周縁の面(車両の後側の面)に当接するフランジ部24が形成されている。
【0047】
係止フック27は、連結部材25がランプハウジング6の取付穴8の所定挿入位置に挿入された際に取付穴8に係止し、連結部材25の取付穴8からの抜け外れを阻止する。連結部材25が挿入される所定挿入位置は、フランジ部24がランプハウジング6内側の取付穴8の周縁の面(車両の後側の面)にシール材を介在させて当接する位置である。
【0048】
そして、連結突起26の位置を通過穴11に合致させ、LEDランプ組立体3の連結部材25をランプハウジング6の内側(車両の後側:図2中右側)からランプハウジング6の取付穴8に挿入し、連結部材25が所定挿入位置に挿入された時点で係止フック27の先端部位が取付穴8に係止するよう構成されている。
【0049】
つまり、連結部材25が所定の挿入位置まで挿入されるとフランジ部24がランプハウジング6内側の取付穴8の周縁の面に当接することで、連結部材25のそれ以上の挿入が規制され、それと同時に係止フック27が取付穴8に係止される。そして、連結部材25のフランジ部24と係止フック27により、連結部材25が取付穴8に保持され(フランジ部24と係止フック27で取付穴8の周縁を保持)、LEDランプ組立体3(連結部材25)がランプハウジング6に仮止め状態で取り付けられる。
【0050】
押え固定部材31は、連結部材25がランプハウジング6に仮止めされた状態で、ランプハウジング6の外側(車両の前方側:図2中左側)から連結部材25に嵌め込まれて回動することで連結突起26と係合される仕組みとなっている。押え固定部材31は、連結部材25との係合により、連結部材25のフランジ部24との間にランプハウジング6を挟持することで連結部材25をランプハウジング6に固定し、LEDランプ組立体3をランプハウジング6に取り付けている。
【0051】
主に図3から図6に示すように、押え固定部材31はランプハウジング6の外側(車両の前側)の取付穴8の周囲に形成される円筒部6a内に嵌り込んでランプハウジング6外側の取付穴8の周縁の面(車両の前側の面)に当接する嵌合リング体32が備えられ、嵌合リング体32には連結部材25をランプハウジング6の外側(車両の前側)から覆うように連結部材に嵌め込まれる筒体33が一体に設けられている。押え固定部材31はランプハウジング6および連結部材25に対して回動可能とされている。
【0052】
嵌合リング体32には連結部材25を挿通して嵌合する嵌合穴34が形成され、嵌合リング体32は、嵌合穴34を連結部材25に嵌合した状態でランプハウジング6外側の取付穴8の周縁の面(車両の前側の面)に当接される。
【0053】
押え固定部材31の嵌合リング体32には、連結部材25の連結突起26(図4(a))を通過させる押え通過穴35が設けられ、押え通過穴35は嵌合穴34の周方向に連続して形成されている。筒体33には、押え通過穴35を通過した連結突起26が臨む周溝36(図6(b))が嵌合リング体32との境界で筒体33の円周方向に沿って形成されている。周溝36は押え通過穴35の周方向の長さよりも長く延びて形成されており、押え固定部材31を回動した際に(図5(b)の矢印方向)、連結突起26が周溝36内を相対的に移動できるようになっている。
【0054】
つまり、押え固定部材31の回動により、連結突起26が押え通過穴35を通過して周溝36内に位置された状態から周方向に相対移動されることで、連結突起26を押え通過穴35に隣接する嵌合リング体32の面32a(係合部:(図6(b)中網掛けで示す)に係合させる仕組みとなっている。
【0055】
押え固定部材31の嵌合リング体32と連結部材25の連結突起26とが係合された状態で、嵌合リング体32が車両の前側(ランプハウジング外側)でランプハウジング6の取付穴8の周縁の面に当接し、連結部材25のフランジ部24が車両の後側(ランプハウジング内側)でシール部材を介してランプハウジング6の取付穴8の周縁の面に当接される。即ち、押え固定部材は、係合状態で嵌合リング体32と連結部材25のフランジ部24との間にランプハウジング6(取付穴8の周縁部分)を挟持するよう構成されている。
【0056】
また、押え固定部材31の嵌合穴34の内周面には凹状に形成された保持面部37(図5(b))が設けられている。保持面部37にはランプハウジング6の取付穴8に係止された状態の連結部材25の係止フック27が保持される(後述する図11(b))。即ち、連結部材25の連結突起26が押え通過穴35を通過して連結突起26が所定の嵌合位置である周溝36の位置になるように押え固定部材31が連結部材25に嵌合された際に、連結部材25の係止フック27が保持面部37に保持される。
【0057】
押え固定部材31の保持面部37と押え通過穴35との間には小径面38(図5(b))が保持面部37と連続して形成されている。小径面38は保持面部37から押え通過穴35に向かうに従って次第に嵌合穴34の内側に傾斜するよう形成されている。そして、押え固定部材31の回動操作により、連結部材25の係止フック27は、保持面部37に保持された状態から小径面38により押されて縮径方向に撓み変形するよう構成されている。
【0058】
また、押え通過穴35は、押え固定部材31の回動により回動移動して嵌合リング体32が連結突起26に係合された状態で係止フック27の位置に一致するよう構成されている((図5(b)の状態))。押え通過穴35と係止フック27の位置が一致すると、係止フック27の撓み変形が解放されて(係止フック27が小径面38を乗り越えて)係止フック27が押え通過穴35内に位置されるとともに押え通過穴35に係止され、押え固定部材の係合解除方向(図5(b)の矢印と反対方向)への回動を規制している。
【0059】
つまり、押え固定部材31は、連結突起26が嵌合リング体32の面32aに係合する位置まで回動された時点(係合が完了した時点)で、押え通過穴35が係止フック27の位置に一致するように構成されている。このため、係止フック27は小径面に押されて撓み変形した後、係合が完了された時点で小径面38を乗り越えることで撓み変形が解放されて押え通過穴35内に位置し、係止フック27が押え通過穴35と係止することで、押え固定部材31の係合解除方向への回動が規制される。これにより、押え固定部材31が嵌め殺しとなる。
【0060】
図7から図12及び図5、図6に基づいてランプハウジング6にLEDランプ組立体3を取り付ける状態の手順を具体的に説明する。
【0061】
図7にはLEDランプ組立体が挿入された状態の断面、図8(a)には連結部材の位置の詳細状態、図8(b)には図8(a)中の矢印B方向から見た状態、図9(a)にはLEDランプ組立体が挿入される前のランプハウジングの外観を車両の前側から見た状態、図9(b)にはLEDランプ組立体が挿入された際のランプハウジングの外観を車両の前側から見た状態(図8(b)の斜視状態)を示してある。
【0062】
また、図10には押え固定部材が挿入された状態の断面、図11(a)には連結部材の位置の詳細状態、図11(b)には図11(a)中のXI−XI線矢視の状態、図12(a)には押え固定部材が挿入された際の外観を車両の前側から見た状態、図12(b)には図11(b)中のXII−XII線の部位に相当する押え固定部材の概念を示してある。
【0063】
図7から図9に示すように、LEDランプ組立体3の連結部材25の連結突起26の位置をランプハウジング6の取付穴8の通過穴11の位置に合致させ、LEDランプ組立体3の連結部材25をランプハウジング6の内側(車両の後側)からランプハウジング6の取付穴8に挿入する。連結部材25の連結突起26が取付穴8の通過穴11を通過した後、フランジ部24がランプハウジング6内側の取付穴8の周縁の面に当接して所定の挿入位置に規制され、係止フック27の先端部位が取付穴8に係止する。
【0064】
この状態で、LEDランプ組立体3は、所定の姿勢状態(法規規定に沿った姿勢状態)でランプハウジング6に仮止めされる。
【0065】
図10から図12に示すように、係止フック27の先端部位が取付穴8に係止している状態で、押え固定部材31の嵌合リング体32の押え通過穴35の位置を連結部材25の連結突起26の位置に合致させ、嵌合穴34をランプハウジング6の外側(車両の前側)から連結部材25に嵌合する。嵌合リング体32は、ランプハウジング6の円筒部6a内に嵌まり込んでランプハウジング6外側(車両の前側)の取付穴8の周縁の面に当接され、連結部材25が筒体33で覆われた状態となる。
【0066】
この時、連結部材25の連結突起26が嵌合リング体32の押え通過穴35を通過し、連結突起26が押え通過穴35の位置と合致した状態で周溝36内に配される。また、連結部材25の係止フック27が押え固定部材31の嵌合穴34の内周面の保持面部37に保持される。この状態で、押え固定部材31を図12に矢印で示した方向に回動させる。
【0067】
押え固定部材31を回動させる過程で、係止フック27が小径面38により押されて縮径方向に撓み変形される。この時、連結突起26は周溝36内を相対移動し、押え通過穴35は連結突起26から遠ざかるように回動移動する。
【0068】
更に、押え固定部材31の回動が進むと、図5、図6に示すように、押え通過穴35の回動移動により、連結突起26が嵌合リング体32の裏側の周溝36の位置に配されて面32a(係合部:(図6(b)中網掛けで示す)に係合される。そして、押え固定部材31と連結突起26との係合が完了された時点で、押え通過穴35と係止フック27の位置とが一致した状態となる。押え通過穴35と係止フック27の位置が一致すると、係止フック27の撓み変形が解放されて係止フック27が押え通過穴35内に配置され、係止フック27が押え通過穴35に係止される。
【0069】
押え固定部材31の回動が完了すると、連結突起26が嵌合リング体32の面32aに係合され、フランジ部24と嵌合リング体32の間にランプハウジング6(取付穴8の周縁部分)が挟み込まれた状態となる。これにより、LEDランプ組立体3がランプハウジング6に取り付けられ、押え固定部材31によりLEDランプ組立体3の連結部材25が覆われた状態になる(図2、図3の状態)。
【0070】
そして、仮止め用の係止フック27が押え通過穴35に係止されることにより押え固定部材31の係合解除方向への回動が規制され、押え固定部材31が嵌め殺し状態とされる。
【0071】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、LEDランプ組立体3の連結部材25をランプハウジング6の取付穴8に挿入して押え固定部材31を係合して固定するという簡易な構造でLEDランプ組立体3を所定の姿勢に維持してランプハウジング6に簡単かつ確実に取り付けることが可能となり、LEDランプ組立体3を取り付ける際の作業性が向上する。
【0072】
さらに、自動車の車格の差別化等のために、電球に代えてLEDを自動車信号灯として使用する場合に、電球バルブを光源として取り付けるよう構成されたランプハウジング6を流用して容易にLEDランプ組立体3を取付けることが可能となり、LEDランプ組立体3に合わせてランプハウジング6の形状や取付構造を大幅に改良する必要が無くなる。そのため、一つのランプハウジング6で、例えば、車格に応じて2種類の光源を設定することができ、製品コストを抑制することができる。
【0073】
また、LEDランプ組立体3の連結部材25が押え固定部材31に覆われ、押え固定部材31が嵌め殺し状態とされるので、押え固定部材31を簡単に外すことができないため、例えば、ユーザー等によって誤って外される虞がない。このため、LEDランプ組立体3がランプハウジング6内で脱落してしまったり、ユーザーが光源を独自で他のものに交換する等して、配光の法規規定が満たせなくなるといった事態が起こるのを防止することができる(尚、LEDは、今までの電球と違い寿命が非常に永いため、ほとんど交換を必要としない)。
【0074】
尚、上述した実施例では、電球バルブ9を取り付けるための車体側のランプハウジング6にLEDランプ組立体3を取り付ける構造を例に挙げて説明したが、専用のハウジングに簡易な構造で取り付ける場合に適用することも可能である。また、LEDランプ組立体3をテールランプに用いた例を挙げて説明したが、ストップランプ、ターンシグナルランプ等他の自動車用信号灯の光源の取り付けに適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、自動車用信号灯の光源取付構造の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 自動車
2 テールランプ
3 LEDランプ組立体
4 アウタレンズ
6 ランプハウジング
7 電球ソケット
8 取付穴
9 電球バルブ
11 通過穴
12 突起
21 基盤
22 LED
23 本体部
24 フランジ部
25 連結部材
26 連結突起
27 係止フック
31 押え固定部材
32 嵌合リング体
33 筒体
34 嵌合穴
35 押え通過穴
36 周溝
37 保持面部
38 小径面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプハウジングに形成された取付穴に挿入されて係止される連結部材を有し、前記連結部材を前記ランプハウジングの内側から前記取付穴に挿入することで前記ランプハウジングに取付けられるLEDランプ組立体と、
前記取付穴に係止された状態の前記連結部材に、前記ランプハウジングの外側から嵌め込まれて係合され、前記連結部材との間に前記ランプハウジングを挟持することで前記LEDランプ組立体を前記ランプハウジングに固定する押え固定部材とを備えた
ことを特徴とする自動車用信号灯の光源取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用信号灯の光源取付構造において、
前記連結部材には、
前記連結部材が前記取付穴に挿入された際に、所定の挿入位置で前記取付穴の周縁部に当接して挿入位置を規制するフランジ部と、
前記所定の挿入位置で前記取付穴に係止して前記連結部材の前記取付穴からの抜け外れを阻止する係止連結部と、
前記連結部材の外周に突出形成されて前記押え固定部材が係合される連結突起と
が備えられ、
前記押え固定部材は、前記係止連結部が前記取付穴に係止された状態で前記連結部材に嵌め込まれて前記連結突起と係合し、前記フランジ部との間で前記取付穴の周縁部を挟持するよう構成されている
ことを特徴とする自動車用信号灯の光源取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の自動車用信号灯の光源取付構造において、
前記押え固定部材には、
前記連結部材を挿通して嵌合する嵌合穴と、
前記嵌合穴の周方向に連続して形成され前記連結部材を挿通させる際に前記連結突起を通過させる押え通過穴と、
前記連結部材に嵌合した状態の前記押え固定部材を回動させることで、前記押え通過穴を通過した前記連結突起と係合する係合部とが備えられている
ことを特徴とする自動車用信号灯の光源取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の自動車信号灯の光源取付構造において、
前記連結部材の前記係止連結部は、前記挿通穴の縮径方向に撓み動自在に形成され、
前記押え固定部材には、
前記嵌合穴の内周面に形成され、前記押え固定部材を前記連結部材に嵌合した際に前記係止連結部を保持する凹状の保持面部と、
前記保持面部と前記押え通過穴との間に前記保持面部から連続して形成され、前記押え通過穴に向かうに従って前記嵌合穴の内側に傾斜される小径面とが設けられ、
前記押え固定部材を前記連結突起と係合すべく回動させた際に、前記係止連結部が前記押え固定部材の回動に応じて前記小径面に押されて縮径方向に撓み変形し、前記押え固定部材の係合が完了した時点で前記小径面を乗り越えて前記押え通過穴内に位置され、前記係止連結部と前記押え通過穴とが係止されることで前記押え固定部材の係合解除方向への回動が規制される
ことを特徴とする自動車用信号灯の光源取付構造。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の自動車用信号灯の光源取付構造において、
前記ランプハウジングの前記取付穴には、前記連結突起が通過する通過穴が前記挿通穴の周方向に連続して形成されており、
前記連結突起と前記通過穴との位置を合致させた状態で前記連結部材を前記取付穴に挿入係止することで、前記LEDランプ組立体が前記ランプハウジングに所定の姿勢状態で取り付けられる
ことを特徴とする自動車用信号灯の光源取付構造。
【請求項6】
請求項5に記載の自動車信号灯の光源取付構造において、
前記ランプハウジングの前記取付穴は、電球用ソケットが取付られる穴であり、前記通過穴は、前記電球用ソケットの外周に形成された係合用の突起が通過されるよう構成されており、
前記突起を前記通過穴に合致させて前記電球用ソケットを前記取付穴に挿入し、挿入後に前記電球用ソケットを回動して前記突起を前記取付穴に係合させることで、前記電球用ソケットが前記ランプハウジングに固定可能とされている
ことを特徴とする自動車用信号灯の光源取付構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の自動車信号灯の光源取付構造において、
前記LEDランプ組立体は、
前記連結部材が一方面に一体的に設けられ他方面に複数のLEDが取り付けられる基盤と、
前記基盤の他方面を覆うように設けられて前記LEDの光を拡散して配光するレンズ部とから構成される
ことを特徴とする自動車用信号灯の光源取付構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−96391(P2011−96391A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246608(P2009−246608)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000176811)三菱自動車エンジニアリング株式会社 (402)
【出願人】(000143639)株式会社今仙電機製作所 (258)
【Fターム(参考)】