自動車用照明装置並びに導光体及びその製造方法
【課題】照らす照射部位の見た目を向上させることが可能な自動車用照明装置並びに導光体及びその製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】自動車用照明装置10に、長尺な導光体40と、該導光体40の長手方向D1の端面43に光を入射させる光源32と設け、導光体40の側面45に、長手方向D1に沿って間隔を空けて、該導光体40の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部50を設ける。また、成形型110を、キャビティCA1の内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた凸部135を有する複数の着脱ピン130をキャビティCA1の長手方向D11に沿って間隔を空けて型本体120に着脱可能に取り付けて形成し、導光体40を成形するための樹脂成形材料を成形型のキャビティCA1に充填して導光体40を成形する。
【解決手段】自動車用照明装置10に、長尺な導光体40と、該導光体40の長手方向D1の端面43に光を入射させる光源32と設け、導光体40の側面45に、長手方向D1に沿って間隔を空けて、該導光体40の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部50を設ける。また、成形型110を、キャビティCA1の内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた凸部135を有する複数の着脱ピン130をキャビティCA1の長手方向D11に沿って間隔を空けて型本体120に着脱可能に取り付けて形成し、導光体40を成形するための樹脂成形材料を成形型のキャビティCA1に充填して導光体40を成形する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺な導光体と光源とを備える自動車用照明装置並びに導光体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車輌室内の天井部の左右側部にほぼ前後方向に沿って線状に延び天井面を照明する照明器を備えた車輌用室内照明装置が開示されている。この照明装置の照明器は、線状に延びる導光体と、該導光体の端部から導光体内に光を導入する発光ダイオードと、から成っている。同文献には、導光体の後面に対して間隔を空けずに微細な反射手段を形成しても良いことが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、棒状の導光体の長さ方向の端面に光源を接続し、導光体の一側面に、入射した光を別の側面方向に反射散乱する面を有するV字状の溝を複数個、導光体長さ方向に間隔をあけて列状に配置してなる線状照明装置が開示されている。各V字状の溝は、前記導光体の長さ方向に進む光を前記側面方向に反射させるため、前記長さ方向と直交する幅方向に向けて線状に形成されている。
【特許文献1】特開2005−306233号公報
【特許文献2】特開2008−32759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の照明装置は、微細な反射手段が間隔を空けずに導光体の後面に形成されているため、線状の導光体の両端部のうち片方しか発光ダイオードを設けない場合、発光ダイオードに近い部分で多くの光が導光体の後面で反射して前面から出てしまう。従って、同照明装置は発光ダイオードから遠くなるほど暗くなってしまい、この照明装置で照らされる天井面の明るさにむらが生じることがある。
【0005】
特許文献2に記載の線状照明装置は、各V字状の溝が棒状の導光体の幅方向に向けて線状に形成されて導光体の長さ方向へ列状に配置されているため、照らされる照射部位に筋むらが生じることがある。
【0006】
以上を鑑み、本発明は、照らす照射部位の見た目を向上させることが可能な自動車用照明装置並びに導光体及びその製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の自動車用照明装置は、長尺な導光体と、該導光体の長手方向の端面に光を入射させる光源とを備え、前記導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、自動車用照明装置に用いられ、長手方向の端面から光を入射する長尺な導光体であって、該導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられていることを特徴とする。
【0008】
すなわち、光源から導光体の長手方向の端面に入射した光は、複数の凹部の錐面で反射する。各凹部は、導光体の内部に向かって先細りとなっているので、反射させた光を導光体から放出させる。また、各凹部が導光体の長手方向に沿って間隔を空けて設けられているので、間隔を空けずに各凹部が設けられる場合と比べて、光源に近い部分で導光体から出る光が少なくなり、光源から遠い部分で導光体から出る光が多くなる。さらに、各凹部が錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされているので、照射部位に筋むらが生じ難い。従って、照射部位の見た目が向上する。
【0009】
さらに、本発明は、自動車用照明装置に用いられる長尺な導光体の製造方法であって、前記長尺な導光体を成形するキャビティを有する成形型を、該キャビティの内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた凸部を有する複数の着脱ピンを前記キャビティの長手方向に沿って間隔を空けて型本体に着脱可能に取り付けて形成し、前記導光体を成形するための樹脂成形材料を前記成形型のキャビティに充填して、前記複数の着脱ピンによる複数の凹部を側面に有する導光体を成形することを特徴とする。
【0010】
すなわち、長尺な導光体を成形するキャビティは、導光体の側面となる部分に、内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされる複数の凹部を前記長手方向に沿って間隔を空けて有する。従って、導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられる。従って、製造される導光体の長手方向の端面に光を入射させる光源を設けた照明装置は、照射部位の見た目を向上させることができる。
また、複数の着脱ピンが型本体に対して着脱可能に取り付けられるので、形状を調整した着脱ピンを型本体に取り付けることにより、型本体を調整しなくても導光体から出る光の量を部分的に調整することができる。
【0011】
ここで、本発明にいう錐体状には、楕円錐状、角錐状、が含まれる。該楕円錐状には、円錐状が含まれる。また、本発明にいう錐台状には、楕円錐台状、角錐台状、が含まれる。該楕円錐台状には、円錐台状が含まれる。
また、樹脂成形材料をキャビティに充填することには、樹脂成形材料をキャビティに射出することが含まれる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項3〜請求項5に係る発明によれば、照らす照射部位の見た目を向上させることが可能な自動車用照明装置並びに導光体及びその製造方法を提供することができる。
請求項2に係る発明では、凹部を粗面化しない場合と比べて導光体から出る光の強さをより均質にすることができる。
請求項6に係る発明では、着脱ピンの凸部を粗面化しない場合と比べて導光体から出る光の強さをより均質にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(1)自動車用照明装置の構成:
図1は本発明の一実施形態に係る自動車用照明装置10を採用した自動車1の内装を示す要部側面図、図2は照明装置10を設けたルーフライナ2の底面図、図3と図4はルーフライナ2の要部を断面視して示す垂直断面図、図5は照明装置10の外観を示す斜視図、図6は導光体40の背面図、図7は照明装置10を図5のA1−A1の位置から見て示す水平断面図、図8は導光体40の要部を示す斜視図、図9(a)は導光体を図5のA2−A2の位置から見て示す断面図、図9(b)は導光体を図5のA2−A2の位置から見て示す断面図である。図9は、凹部50を下側にして導光体40の断面を示している。
【0014】
図1に示す自動車1は、道路上で使用されるように設計及び装備されたワンボックスタイプの乗用自動車1とされている。むろん、本発明は、セダンタイプの乗用自動車等にも適用可能である。
本自動車1には、フロントシート1aの前にフロントウインドやインストルメントパネルが設けられるとともに、フロントドア1bの前、前後ドア1b,1cの間、リヤドア1cの後、その後のはめこみの窓の後にそれぞれピラーがルーフパネルを支えるために設けられている。また、ドア1b,1cには車室SP1側に内装材としてドアトリムが取り付けられ、ピラーには車室SP1側に内装材としてピラートリム(ピラーガーニッシュ)が取り付けられ、自動車1の天井部を構成するルーフパネルには車室SP1側に内装材としてルーフライナ(ヘッドライナ)2が取り付けられ、荷室SP2のサイドパネルには内装材としてラゲージサイドトリムが取り付けられている。
【0015】
図1と図2に示すように、本自動車用照明装置10は、ルーフライナ2に組み込まれ、該ルーフライナ2の下面、すなわち、車室SP1の天井面を照らす間接照明とされている。むろん、自動車用照明装置10は、ドアトリム、ピラートリム、ラゲージサイドトリム、等の内装材に設けられてもよいし、ドアパネル等の車体パネルに直接設けられてもよい。また、自動車用照明装置10は、直接目に入る直接照明とされてもよい。本照明装置10は、長尺な領域に設けられ、自動車室内の長尺な範囲を照らす。また、長尺な導光体40は、細いため、自動車の限られたスペースに設置可能である。
本実施形態のルーフライナ2には、車幅方向の縁部近傍に、互いに端面44を突き合わせた照明装置10A,10Bと、互いに端面44を突き合わせた照明装置10C,10Dとが左右対称に設置されている。なお、照明装置10A,10Bの光源ユニット30A,30Bは互いに離れ、照明装置10C,10Dの光源ユニット30C,30Dは互いに離れて配置される。むろん、前後の照明装置10A,10Bを一体化したり、前後の照明装置10C,10Dを一体化したりしてもよいし、三以上の照明装置が前後に直列するように配置されてもよい。
【0016】
ルーフライナ2は、鋼板製のルーフパネルを覆って乗員室内を装飾し、乗員の安全性を向上させる。また、ルーフライナ2は、走行中の風切り音や雨音などの騒音が車室内に到達するのを抑制したり、車室内に侵入した騒音を吸音したりする等、防音材としても機能する。ルーフライナ2には、通常、アシストグリップやサンバイザなど各種アクセサリーが組み込まれる。
【0017】
ルーフライナ2は、通常、形状保持性及び成形性を有する基材と、該基材の車室側を被覆する表皮材とを有している。基材は、自動車1のルーフパネルに沿って配置されるのに適した形状に成形される。同基材には、繊維を集合させてプレス成形等により成形したもの、熱可塑性樹脂等の樹脂成形材料を発泡させて射出成形等により成形したもの、等を用いることができ、熱可塑性樹脂繊維等のバインダ繊維を含む繊維を成形した基材、さらに寸法を安定させるためガラス繊維や炭素繊維を添加して成形した基材、天然繊維を用いた基材、樹脂発泡体からなる基材、ウレタン樹脂を用いた基材、ダンボール基材、等を用いることができる。表皮材は、車室SP1を装飾し手触り感を良好にするためにルーフライナ2の車室側の面に設けられる表層であり、不織布や織布やニットを用いることができる。表皮材は、基材の成形と同時に該基材に積層されたり、基材の成形前や成形後に該基材に貼り付けられたりする。
【0018】
本ルーフライナ2の車幅方向の両縁部近傍には、図3と図4に示すように、斜め上方へ凹んだ溝2a,2aが形成されている。これらの溝2a,2aは、前後に並行して延びた長尺な空間を形成し、照明装置10を収容する。溝2a,2aは、別部品の追加を不要とするため、ルーフライナ2と一体的に形成される。ルーフライナ2は形状を保持するための剛性を有するので、溝2aの深さが制限され、限られた狭いスペースしか確保することができない。また、ルーフライナ2は、前部から後部にかけてルーフパネルの形状に合わせて上側へ膨らむように湾曲した形状とされるのが一般的である。従って、溝2aも湾曲するようにルーフライナ2に形成される。照明装置10は、溝2aの長尺な空間に収容され、溝2aの下側に配置されるモール3の上から車幅方向内側へ光を照射する。
【0019】
本照明装置10の基本部分は、長尺な導光体40と光源32とから構成される。本実施形態の照明装置10は、光源32が光源ユニット30に設けられ、導光体40が長尺なハウジング20に収容され、このハウジング20にモール3が取り付けられている。モール3は、照明装置10の車室側に配置され、車室SP1内の乗員から照明装置10を直に見えないようにして車室SP1の意匠を向上させている。
ここで、長尺な導光体は、棒状の導光体、細長い板状の導光体、筒状の導光体、直線状の導光体、曲線状の導光体、等を含み、凹部や凸部を有する形状を含む。
【0020】
本実施形態の導光体40は、長尺な棒状とされ、長手方向D1を自動車1の前後に向けてルーフライナ2に設置されている。
図7に示すように、導光体40の長手方向D1の端面(光源側端面43)は、光源32から照射される光の受光面とされている。また、導光体40の側面45には、該導光体40の内部に向かって先細りとなる形状とされた凹部50が長手方向D1に沿って間隔を空けて複数設けられている。これらの凹部50を有する側面45を裏面(第一の側面)とし、この裏面45とは反対側の側面46を発光面(第二の側面)として、導光体40は、光源側端面43から入射した光を長手方向D1に沿って端面44の方へ案内しながら裏面45の各凹部50で少しずつ反射させて発光面46から外部へ放出させる。ここで、裏面45から発光面46へ向かう方向を発光方向D2とし、該発光方向D2及び長手方向D1と直交する方向をD3(上下方向)とする。図7には、光源側端面43からの入射光の進行方向の中心がD4で示され、発光面46から出る出射光の進行方向の例がD5で示されている。むろん、入射光の進行方向の中心D4は長手方向D1に沿った方向となり、反射光の進行方向D5は発光方向D2に沿った方向となる。各凹部50は、導光体40の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされる。導光体の強度の観点からは、凹部の形状を楕円錐状(円錐状を含む)又は楕円錐台状(円錐台状を含む)とすることが好ましい。図5〜図9に示す凹部50は、裏面45から発光方向D2へ凹んだ円錐状とされている。
【0021】
光源32は、導光体の光源側端面43の近傍に配置され、該光源側端面43に光を入射させる。ここで、導光体の各凹部50は、導光体40の内部に向かって先細りとなっているので、錐面51で反射させた光を導光体40から出射させる。また、各凹部50が導光体40の長手方向D1に沿って間隔を空けて設けられているので、光源32に近い部分で導光体40から出る光が少なくなり、光源32から遠い部分で導光体40から出る光が多くなる。さらに、各凹部50が円錐状とされているので、照射部位に筋むらが生じ難い。
【0022】
ハウジング20は、図3等に示すように断面H字状に形成され、ルーフライナの溝2aに沿った長尺な外形を有している。ハウジング20は、略水平に配置される上壁部21及び下壁部22、これら上壁部21及び下壁部22をほぼ真ん中で上下に繋ぐ仕切部23、を備え、仕切部23から車室側に第一の溝24、仕切部23から車外側に第二の溝25が形成されている。ハウジングの上壁部21には、ハウジング取り付け用のクリップ29を通す開口21aが長手方向(D1)に間隔を空けて複数形成されている。ハウジングの下壁部22には、モール3を取り付けるための係合突起22aが長手方向(D1)に間隔を空けて複数形成されている。ハウジング20の断面形状は、長手方向全体にわたってほぼ同じとされている。第一の溝24には導光体40が収容され、第二の溝25には給電用のワイヤハーネス5が収容される。導光体40は、発光面46を露出させ、裏面45と上面(第三の側面)47と下面(第四の側面)48とが壁部21,22及び仕切部23に囲まれて、ハウジング20に保持される。
【0023】
図3に示すように、ハウジング20は、長手方向(D1)に間隔を空けて配置される複数のクリップ29によってルーフライナ2に固定される。各クリップ29には、弾性を有する係合部位を先端29aに有する公知の樹脂クリップ等を用いることができる。一方、ルーフライナ2には、各クリップ29を嵌合させる開口2bが形成されている。該開口2bの近傍におけるルーフライナ2の車外側には、開口を有する補強用の板金4が配置される。ハウジング上壁部の開口21a、ルーフライナの開口2b及び板金4の開口にクリップの先端29aを通すと、該クリップ29によりハウジング20がルーフライナ2に取り付けられる。
【0024】
ハウジング20には、熱可塑性樹脂等の樹脂成形材料を射出成形や押出成形やプレス成形等により成形した成形品、アルミニウムやステンレス等の金属をプレス成形等により成形した成形品、等を用いることができる。前記樹脂成形材料を構成する樹脂には、光反射性及び寸法安定性の観点からポリカーボネート等を好適に用いることができ、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ABSとポリカーボネートとのポリマーアロイ、等も用いることができる。ハウジング20が樹脂成形品の場合、ハウジング20の色には、光を良く反射させる観点から、白色、白色に近い淡色、等が好適に用いられる。また、図15に示す照明装置11のように、第一の溝24に光反射材26a,26bを設けてもよい。同図の例では仕切部23及び壁部21,22にそれぞれ光反射材26a,26b,26bが貼り付けられているが、これらの光反射材26a,26b,26bの一部のみ第一の溝24に設けられてもよい。光反射材には、熱可塑性樹脂等の樹脂フィルムに金属の薄膜を蒸着したフィルム等を用いることができる。ハウジングに光反射材が設けられるとハウジングの光反射率が高められるので、導光体から車室へ出る光の量が多くなり、照射部位が明るくなる。
【0025】
ハウジング20に取り付けられるモール3には、図4に示すように、ハウジング下壁部22から下方へ突出した係合突起22aと嵌合する開口3cが長手方向(D1)に間隔を空けて形成されている。モール3には、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)等の樹脂成形材料を押出成形や射出成形やプレス成形等により成形した成形品等を用いることができる。また、不織布、織物、編物、等の表皮材を積層した樹脂成形品をモールに用いてもよい。図示のモール3は、表面側(車室側)に軟質でクッション性を有する樹脂成形材料の層3a、裏面側に硬質な形状保持性を有する樹脂成形材料の層3b、が配置されるように2色(二層)押出成形によって2層に形成されている。
【0026】
光源ユニット30は、光源32、該光源を点灯駆動する回路を形成したプリント基板、等から構成されている。光源ユニット30は、図示しない制御回路に対して電気的に接続され、例えば、インストルメントパネルに設けたスイッチがオンにされる操作を受け付けると光源32が点灯し、該スイッチがオフにされる操作を受け付けると光源32が消灯するようにされる。むろん、光源32は、ドア1b,1cが開いたときに点灯し、ドア1b,1cが閉じたときに消灯するようにされてもよい。
【0027】
光源32には、軽量かつコンパクトで、照射方向に指向性を有し、長寿命であるLED(発光ダイオード)を好適に用いることができる。図7に示す光源32は、砲弾型LEDではなく、基板上にLEDチップを接合した表面実装型LEDとされている。表面実装型LEDは、砲弾型LEDと比べて狭い空間に配置できるため、好ましい。
むろん、光源32に、白熱電球、ハロゲン電球、蛍光ランプ、放電ランプ、等を用いることも可能である。また、光源の発光色には白、赤、緑、青、等、種々の色を採用することができ、同じ照明装置10に異なる発光色の光源を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
LED32は、ワイヤハーネス5のコネクタ等と共に基板に搭載されている。この基板は、光源ユニット30のケース31に取り付けられている。ケース31の内部には、導光体40の係止用凸部40a,40aを挿入させる係止用凹部34,34が形成されている。導光体の係止用凸部40a,40aを光源ユニットの係止用凹部34,34に挿入させて係合させることにより、光源ユニット30と導光体40とが結合され、LED32の発光面が導光体の光源側端面43と対向して配置される。LED32の発光面と光源側端面43との距離C1(図7参照)は、光源側端面43に対して光源32の光が十分入射する距離であればよいが、LED32から照射された光をほぼ導光体40内に導入する観点から、0.5mm以下が好ましい。距離C1を0.5mm以下とすると、LED32から照射される光の利用効率を十分高くすることができる。
【0029】
本実施形態の導光体40は、略四角柱状に形成されている。図9に示すように、導光体40における発光方向D2の長さ(厚み)T1と上下方向D3の長さ(幅)W1とは、ほぼ同じとされている。一方、図6と図7に示すように、導光体40における長手方向D1の長さL1は、長さT1,W1よりも90〜200倍とされている。すなわち、導光体40の側面45,46における短辺W1と長辺L1との比率W1:L1が1:90〜1:200とされ、導光体40の側面47,48における短辺T1と長辺L1との比率T1:L1が1:90〜1:200とされている。このように、導光体40は、極めて細長い棒状部材とされている。むろん、長さT1,W1と長さL1との比率がこれらの範囲から外れた導光体も、本発明の自動車用照明装置に使用可能である。
本導光体40は、側面45,46,47,48が略平面の棒状部材とされている。むろん、導光体は、側面の一部又は全部が曲面とされた形状とされてもよい。また、導光体は、直線状に延びた形状でもよいし、全体に曲がった形状でもよい。
【0030】
本導光体40の全長L1は、ハウジング20の全長よりも若干長くなるように設計され、光源側端面43をハウジング20から突出させてハウジングの第一の溝24に収容される。本実施形態の光源ユニット30は、ハウジング20から出た光源側端面43を覆うように導光体40に取り付けられる。
【0031】
導光体40には、透明ないし略透明の樹脂成形材料を射出成形やプレス成形や押出成形等により成形した透明ないし略透明の成形品等を用いることができる。前記樹脂成形材料を構成する樹脂には、透光性を有するアクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、等の透明性を有する透明材料を用いることができる。本実施形態では、前記樹脂成形材料に光散乱性を有する微粒子等を添加していない。これにより、長尺な導光体の端面に光を入射させたときに光散乱性微粒子が分散した導光体で顕著に見られる光の減衰を可及的に抑制することができ、長尺な導光体の全長にわたってほぼ均一な発光が容易となる。
むろん、光散乱性微粒子は、長尺な導光体の端面から入射した光の多くを散乱させない限り、すなわち、入射光が本質的に凹部で反射して発光面から出射する限り、透明性を有する導光体に含まれていてもよい。
【0032】
導光体40に設けられた各凹部50は、裏面45に円形の開口52を有し、導光体40の途中まで先細りとなるように発光方向D2へ凹んでいる。該発光方向D2から複数の凹部50を見ると、発光面46に対してドット状に配列されているように見える。
裏面45に配列された各凹部50の中心間距離(隣り合う凹部50同士の間隔)L2(図5参照)は、例えば、5〜19mm、導光体の幅W1の1〜3.8倍、厚みT1の1〜3.8倍とされる。距離L2を前記下限以上にすると、導光体の成形が容易となり、導光体の加工費が抑えられる。距離L2を前記上限以下にすると、照射部位の明るさにむらが生じ難い。
【0033】
凹部50の深さH1,H2(図9参照)は、導光体の厚みT1の0.02〜0.6倍(2〜60%)が好ましく、厚みT1の0.05〜0.5倍がより好ましい。また、凹部50の開口部分52の直径DI1,DI2(図5参照)は、導光体の幅W1の0.8倍(80%)以下が好ましく、幅W1の0.7倍以下がより好ましい。凹部の深さH1,H2や直径DI1,DI2を前記範囲とすることにより、導光体40の成形時にヒケが発生したり樹脂成形材料の流れの阻害による成形不良が発生したりするようなことが起こり難くなり、また、導光体40を十分な強度として割れや変形等を生じさせないようにすることができる。
【0034】
導光体の裏面45と凹部50の円錐面51とのなす角度θ1(図9参照)は、30〜50°が好ましく、35〜45°がより好ましく、45°が特に好ましい。なお、円錐状の凹部50の頂角θ2は、θ1=30〜50°のとき80〜120°、θ1=35〜45°のとき90〜110°となる。角度θ1を前記下限以上にすると、発光面46から出る光の出射効率が十分に大きくなるので好ましい。角度θ1を前記上限以下にすると、凹部を有する導光体を射出成形したときに型から導光体を抜きやすくなるので好ましい。特に、角度θ1を約45°とすると、導光体40内を長手方向D1に沿って進む光が凹部の円錐面51で反射するときの反射角が約90°となるので、発光面46に対してほぼ直交して出射する光の量が多くなる。これにより、指向性を有する光を導光体から発し、照明装置の照射距離を長くすることができる。
【0035】
本実施形態の凹部の錐面51は、粗面化されている。なお、導光体の裏面45のうち凹部50を除く部分は粗面化されておらず、導光体40における端面43,44及び側面46,47,48も粗面化されていない。凹部50を粗面化すると、錐面51を反射した光が散乱して暈かされ、錐面を粗面化しない場合と比べて導光体40から出る光の強さをより均質にすることができる。これにより、照射部位に照度むらが生じ難くなり、意匠性の高い照明が実現される。
本実施形態では、導光体40を成形するための成形型の凹部50に対応する箇所を粗面化することにより、導光体40の成形と同時に凹部50を粗面化している。むろん、導光体の凹部の粗面化は、凹部に砂、粒状ガラス、粒状アルミナ、粒状金属、粒状プラスチック、等のブラスト材を吹き付けるブラスト処理、シボ加工、エッチング、等、後加工による荒らし加工でもよい。
【0036】
凹部50の算術平均粗さRaは、Ra=2〜20μmが好ましく、Ra=3〜10μmがより好ましい。ここで、Raは、JIS B0601-1994(製品の幾何特性仕様 (GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ1994年改正版)に規定されていた算術平均粗さである。Raを前記下限以上にすると、所望の粗さとなるように加工するのが容易になるので好ましい。Raを前記上限以下にすると、樹脂成形材料が凹部の粗面に残り難くなって形状の転写性が良好になり、また、離型性も良好になるので好ましい。
【0037】
また、図7や図9に示すように、光源32に比較的近い凹部50aの深さをH1、光源32から比較的遠い凹部50bの深さをH2とすると、H2≧H1の関係となるように各凹部50が導光体40に形成されている。光源側端面43に入射した光は、光源32から遠くなるほど凹部50で反射して外部へ放出される。各凹部50の深さをH2≧H1とすることにより、光源32に近い各凹部50で反射される光の量と光源32から遠い各凹部50で反射される光の量との差が少なくなり、導光体40全体でより均一な発光が可能となる。
むろん、光源に比較的近い部分で隣り合う凹部同士の間隔を光源から比較的遠い部分で隣り合う凹部同士の間隔よりも広くしても、光源に近い部分の発光面から出射する光の量と光源から遠い部分の発光面から出射する光の量との差を少なくすることができる。
【0038】
本実施形態の導光体40は、図6に示すように、複数の凹部50が設けられた部分(符号41及び42で表される部分)において長手方向D1の中間位置40mから光源32側を第一の部位41、中間位置40mから光源32とは反対側を第二の部位42として、光源32の発光時に第二の部位42の平均輝度B2aを第一の部位41の平均輝度B1aよりも大きくするように複数の凹部50が設けられている。ここで、導光体の各凹部50の通し番号を光源32側から順にi=1、2、…、n(nは2以上の整数)とし、第一の部位41に含まれる凹部50の通し番号を1、2、…、m(mはn未満の正の整数)とし、第二の部位42に含まれる凹部50の通し番号をm+1、m+2、…、nとして、各凹部iの輝度測定値をBi(cd/m2)とする。各凹部iの輝度は、凹部iから発光方向D2へ所定の距離(例えば350mm)離れた位置の輝度を測定することにより得ることができる。第一の部位の平均輝度B1a(cd/m2)は、B1、B2、…、Bmの和で表される。第二の部位の平均輝度B2a(cd/m2)は、Bm+1、Bm+2、…、Bnの和で表される。図6の例では、発光面46に対してn=40の凹部50の中心が等間隔に設けられているため、m=20であり、平均輝度B1aはB1〜B20の総和となり、平均輝度B2aはB21〜B40の総和となる。
【0039】
光源側端面43から入射した光が反対側の端面44に到達するまでに色度(特に色相)が変化しなければ、第一の部位41と第二の部位42とで平均輝度を同じにすれば、人には導光体40が全体にわたって均一に発光していると感じられる。しかし、透明性を有する樹脂成形材料から得られる導光体40は、光が光源側端面43から反対側の端面44へ進むうちに色度(特に色相)が変化し、平均輝度が同じでも人には第二の部位42が第一の部位41よりも暗く感じられる。例えば、導光体40がアクリル樹脂の成形品である場合、光が光源側端面43から反対側の端面44へ進むうちに青色成分の割合が少なくなり、第二の部位42が第一の部位41よりも黄色く見え、暗く見えてしまう。導光体40がポリカーボネートの成形品である場合には、もっと顕著に第二の部位42が黄色く見え、暗く見えてしまう。
第二の部位の平均輝度B2aを第一の部位の平均輝度B1aよりも高くすると、人には両部位41,42の明るさが同じに感じられるようになる。そこで、視覚的に均一な明るさとするため、B2a>B1aとなるように複数の凹部50を導光体40に設けている。
【0040】
なお、第二の部位の平均輝度B2aは、第一の部位の平均輝度B1aの1.1〜2倍が好ましく、1.2〜1.8倍がより好ましい。
【0041】
上述した自動車用照明装置10は、図2等で示したように端面44同士を突き合わせて自動車1に複数配置されてもよいし、互いに接触しないように自動車1に配置されてもよい。複数の照明装置10の端面44同士が突き合わされると、一方の導光体の端面44から他方の導光体の端面44に光が入射するので、両導光体から放出される光の量を全体にわたってより均一にすることができる。むろん、照明装置10が単独で使用されても、長尺な導光体40に錐体状又は錐台状の凹部が長手方向D1に沿って間隔を空けて複数設けられているので、導光体40から放出される光の量が実用上十分に均一とすることができる。
【0042】
(2)自動車用照明装置の製造方法:
次に、本実施形態に係る導光体40を有する自動車用照明装置10の製造方法を説明する。
図10は導光体製造装置100の垂直断面図、図11は導光体製造装置100を示す分解図、図12(a)は下型122の要部を上から見て示す平面図、図12(b)は下型122の要部を下から見て示す底面図、図13は着脱ピン130A,130Bの外観を示す斜視図である。
【0043】
本導光体製造装置100は、自動車用照明装置10に用いられる長尺な導光体40を射出成形により製造する射出成形機とされている。同装置100は、長尺な導光体40を成形するキャビティCA1を有する成形型110、導光体40を成形するための樹脂成形材料を成形型110のキャビティCA1に射出(充填)する射出機140、を備えている。
成形型110は、型本体120、この型本体120に対して着脱可能に取り付けられる複数の着脱ピン130、を備え、通常、金型とされる。むろん、成形型110は、金属製以外の材質で形成されてもよい。
【0044】
本実施形態の型本体120は、互いに上下方向へ近接および離反可能な一対の型121,122を有している。上型121は、射出機140から樹脂成形材料をキャビティCA1内に射出するためのゲート121bが複数設けられ、射出機140に連結されている。下型122には、各着脱ピン130を嵌めるための穴123がキャビティCA1の長手方向D11に沿って間隔を空けて形成され、穴123に挿入した着脱ピン130を固定するためのピン固定部材124が設けられている。型121,122は、両方が上下方向へ往復移動可能とされてもよいし、一方のみ上下方向へ往復移動可能とされてもよい。また、ゲートは下型に設けられてもよく、射出機に下型が連結されてもよい。
【0045】
着脱ピン130は、キャビティCA1の内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた凸部135を有している。本実施形態の着脱ピン130は、下型122に装着されるときに下部となる基部132、この基部132から上方へ突出した棒状部134、を有し、この棒状部134の先端部に凸部135が形成された金属ピンとされている。各着脱ピン130が穴123に挿入されて固定されると、各着脱ピンの凸部135のみがキャビティCA1内へ突出するようにされている。従って、型121,122の型面121a,122aと各凸部135とがキャビティCA1を形成して導光体40の外形を作る。図10、図11、図13に示す凸部135は、下型の型面122aから上型の型面121aに向かって突出した円錐状とされている。
【0046】
本実施形態の凸部135の錐面は、粗面化されている。なお、着脱ピン130のうち凸部135を除く部分は粗面化されておらず、型面121a,122aも粗面化されていない。凸部135の粗面化は、例えば、凸部135の錐面にやすりをかける荒らし加工により行うことができる。むろん、着脱ピンの凸部の粗面化は、凸部にブラスト材を吹き付けるブラスト処理、シボ加工、エッチング、等による粗面化でもよい。凸部135を粗面化することによって、凸部135の微細な凹凸形状が透明ないし略透明の樹脂成形材料に転写される。これにより、導光体40の成形後に微小な凹部の錐面51を荒らし加工する比較的困難な表面処理を行う必要がなくなる。また、凸部135を粗面化すると、成形された導光体40の凹部50を反射した光が散乱して暈かされ、凸部135を粗面化しない場合と比べて導光体40から出る光の強さをより均質にすることができる。
凸部135の算術平均粗さRaは、Ra=2〜20μmが好ましく、Ra=3〜10μmがより好ましい。
【0047】
また、図13に示すように、光源32に比較的近い凹部50aを形成するための着脱ピン130Aの凸部135Aは、光源32から比較的遠い凹部50bを形成するための着脱ピン130Bの凸部135Bよりも小さくされている。凸部135Aの高さH11及び直径DI11は凹部50aの深さ及び直径に合わせられ、凸部135Bの高さH12及び直径DI12は凹部50bの深さ及び直径に合わせられている。各凸部135の高さをH12≧H11とすることにより、光源32に近い凹部50で反射される光の量と光源32から遠い凹部50で反射される光の量との差が少なくなり、導光体40全体でより均一な発光が可能となる。
むろん、隣り合う凸部同士の間隔を調整しても、光源に近い部分の発光面から出射する光の量と光源から遠い部分の発光面から出射する光の量との差を少なくすることができる。
【0048】
図11に示すように、下型の各穴123に着脱ピン130を嵌め込み、ピン固定部材124で各着脱ピン130を下型122に固定すると、型本体120に対して複数の着脱ピン130が長手方向D11に沿って間隔を空けて着脱可能に取り付けられる。そして、型121,122を近接させて型締めすると、図10に示すキャビティCA1が形成される。射出機140が液状(溶融状を含む)の樹脂成形材料をゲート121bからキャビティCA1内へ射出すると、キャビティCA1に液状の樹脂成形材料が充填される。その後、成形型110が冷却される等してキャビティCA1内の樹脂成形材料が固化又は硬化すると、導光体40が射出成形される。このとき、導光体の裏面45には、各着脱ピンの凸部135の形状が転写されて、複数の着脱ピン130による複数の凹部50を裏面45に有する導光体40が形成される。そして、型121,122を開いて導光体40を取り出すと、自動車用照明装置10の製造に用いることができる。
【0049】
上述した導光体製造方法によれば、型本体120に間隔を空けて複数の穴123を形成しておけば、各着脱ピンの凸部135の形状を変えるだけで、所望の形状の凹部50を有する導光体40を製造することができる。また、凸部135の無い着脱ピンを併用すれば、所望の間隔の凹部50を有する導光体40を製造することができる。従って、長尺な導光体に微小な凹部を容易に形成することができるとともに、型本体を作り直すことなく導光体の凹部の形状及び間隔を自在に設計することが可能となる。
【0050】
そして、図7に示すように、導光体の係止用凸部40aを光源ユニットの係止用凹部34に挿入させて係合させることにより、光源ユニット30と導光体40とが結合され、自動車用照明装置10が形成される。
従って、上述した製造方法によると、照らす照射部位の見た目を向上させることが可能な導光体の製造方法及び自動車用照明装置の製造方法を提供することができる。
【0051】
(3)自動車用照明装置の作用、効果:
以下、本自動車用照明装置10の作用、効果を説明する。
光源32から導光体の光源側端面43に入射した光は、反対側の端面44に向かって進みながら、少しずつ各凹部50で反射していく。ここで、各凹部50が導光体40の内部に向かって先細りとなっているので、凹部50で反射した光が発光面46から放射される。図3と図4に示すように、発光面46からの出射光は、ルーフライナ2とモール3との隙間から車幅方向内側へ照射され、照射部位であるルーフライナ2の下面を照らし、該下面で反射する。これにより、照明装置10は、車室SP1の間接照明として機能する。
【0052】
また、各凹部50が導光体の長手方向D1に沿って間隔を空けて設けられているので、間隔を空けずに各凹部が設けられる場合と比べて、光源32に近い部分で導光体40から出る光が少なくなり、光源32から遠い部分で導光体40から出る光が多くなる。これにより、導光体の発光面46を直接見たとき、図14に示すように、明るさの揃った擬似的な点光源39が導光体40に長手方向D1へ間隔を空けて複数設けられているように見える。
【0053】
ここで、特開2008−32759号公報に記載されるように各V字状の溝が棒状の導光体の幅方向に向けて線状に形成されて導光体の長さ方向へ列状に配置されていると、各V字状の溝で反射した光が幅方向に向いた線状の光となってしまう。このような複数の線状の光で照射部位が照らされると、該照射部位に筋むらが生じることがある。
【0054】
本実施形態の照明装置10では、導光体の各凹部50が円錐状とされているので、各凹部50で反射した光が線状とならない。導光体の各凹部が円錐状でなくても錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされると、各凹部50で反射した光が線状とならない。これにより、照射部位に筋むらが生じ難く、照射部位の見た目が向上する。また、導光体の各凹部が錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされると、導光体40内を光源側端面43から反対側の端面44へ向かう方向D4に進む光のみならず全方位からの光が反射して発光面46から出射するので、光の利用効率が高くなる。
以上より、本自動車用照明装置10は、照らす照射部位の見た目を向上させることが可能となる。
【0055】
なお、本自動車用照明装置を直接照明として使用する場合、擬似的な点光源が導光体に長手方向へ間隔を空けて複数設けられているように見えるので、自動車の内装やボデーに本照明装置を使用すると車室や車外にイルミネーションのような意匠を付与することができる。
【0056】
(4)変形例:
長尺な導光体の端面に光を入射させる光源は、一つのみならず、複数でもよい。同光源は、長尺な導光体の端面の一方にのみ設けられる以外にも、長尺な導光体の両端面のそれぞれに設けられてもよい。
長尺な導光体の配置は、長手方向が略水平となる配置以外にも、長手方向が鉛直など水平とは異なる向きとなる配置でもよい。また、導光体からの発光方向も、略水平とされる以外にも、鉛直など水平とは異なる向きでもよい。
導光体の凹部の形状は、円錐状を除く楕円錐状としてもよいし、楕円錐状を除く錐体状としてもよいし、錐台状としてもよい。
【0057】
図16(a)は円錐台状の凹部251を有する導光体241の要部を示す斜視図であり、図16(b)は導光体241の垂直断面図である。該凹部251も導光体241の内部に向かって先細りとなっているので、各凹部251で反射した光が擬似的な点光源となって発光面46から放射される。凹部251は、円錐台状を除く楕円錐台状とされてもよいし、楕円錐台状を除く錐台状とされてもよい。
図16(c)は角錐状の凹部252を有する導光体242の要部を示す斜視図であり、図16(d)は導光体242の要部を示す背面図である。該凹部252も導光体242の内部に向かって先細りとなっているので、各凹部252で反射した光が擬似的な点光源となって発光面46から放射される。凹部252は、六角錐以外の角錐状とされてもよいし、角錐状を除く錐体状とされてもよい。特に、凹部をN角錐(Nは5以上の整数)以上の多角錐状とすると、凹部により擬似的な点光源が良好に形成される。
図16(e)は角錐台状の凹部253を有する導光体243の要部を示す斜視図であり、図16(f)は導光体243の要部を示す背面図である。該凹部253も導光体243の内部に向かって先細りとなっているので、各凹部253で反射した光が擬似的な点光源となって発光面46から放射される。凹部253は、六角錐台以外の角錐台状とされてもよいし、角錐台状を除く錐台状とされてもよい。特に、凹部をN角錐台(Nは5以上の整数)以上の多角錐台状とすると、凹部により擬似的な点光源が良好に形成される。
【0058】
また、長尺な導光体は、三角柱状等、四角柱状以外の角柱状とされてもよいし、円柱状等の楕円柱状とされてもよいし、角柱状と楕円柱状に含まれない柱体状とされてもよい。
図17(a)は、四角柱状の導光体244の垂直断面図である。導光体244は、裏面45に凹部50が形成され、裏面45とは反対側の側面46が発光面とされている。本導光体244の断面形状は、裏面45及び発光面46を上底及び下底とする台形状とされている。すなわち、第三の側面47及び第四の側面48は、発光面46側が広くなるように発光方向D2から傾斜している。これにより、側面47,48で反射した光も発光面46から出射するため、光源側端面から入射した光を効率良く発光面46へ導くことができる。
【0059】
図17(b)は、円柱状の導光体245の垂直断面図である。導光体245は、円柱面に凹部50が形成されている。光源から導光体245の長手方向の端面に入射した光は、反対側の端面に向かって進みながら少しずつ各凹部50で反射し、円柱面から外部へ出射する。ここで、円柱状の導光体245がレンズの機能を発揮するので、出射光の指向性が向上し、より遠くまで光を届かせることができる。
【0060】
さらに、導光体に設ける複数の凹部は、全て同じ形状とされなくてもよく、例えば、楕円錐状、楕円錐台状、角錐状、角錐台状の中から選ばれる二種以上の形状の凹部が混在してもよい。
図18は、種々の形状の凹部を有する導光体246の背面図である。本導光体246は、円錐状の凹部50、円錐台状の凹部251、角錐状の凹部252、角錐台状の凹部253が混在している。これにより、各凹部で反射する光が凹部の形状に応じた擬似的なイルミネーションを形成するので、自動車の内装やボデーに本照明装置を使用すると車室や車外に所望のイルミネーション効果を付与することができる。
【0061】
なお、自動車用照明装置にハウジング等が設けられず、自動車用照明装置の基本部分である長尺な導光体及び光源のみでも、照らす照射部位の見た目を向上させる効果が得られる。
【0062】
(5)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0063】
[実施例1]
導光体サンプルは、垂直断面を5×5mmの正方形、長手方向の長さL1を750mmとし、裏面に光源側端面から22mm離れた位置から中心間距離L2が8mmとなるように粗面化した円錐状の凹部を90箇所、等間隔に設けたアクリル樹脂の射出成形品とした。各凹部の錐面の算術平均粗さは、Ra=5μmとした。各凹部の通し番号を光源側から順にi=1、2、…、90として、各凹部iの頂角θ2を全て90°とし、深さを表1のようにし、開口部の直径を深さに応じた直径とした。すなわち、金属ピンの各凸部の高さを各凹部iの深さとし、該凸部をやすりで粗面化する荒らし加工を行い、荒らし加工後の各金属ピンを用いて成形型を形成し、キャビティに溶融状態のアクリル樹脂を射出して充填し、成形型を冷却して導光体サンプルを射出成形した。
【表1】
また、光源には、順電流値52mAにて、照度12.5〜20.0lxのLED(豊田合成株式会社製)を用いた。このLEDを上記導光体サンプルの端部の一方のみに配置し、照明装置サンプルを組み立てた。
【0064】
凹部の輝度の測定機器には、株式会社トプコン製色彩輝度計BM−7を用いた。上記照明装置サンプルのLEDを発光させ、各凹部iから発光方向D2へ350mm離れた位置の輝度Bi(cd/m2)を色彩輝度計で測定した。
【0065】
[実施例2]
金属ピンの各凸部を粗面化しなかった以外は、実施例1と同様にして、粗面化していない凹部を複数有する導光体サンプルを形成した。
【0066】
[測定結果]
図19は、各導光体サンプルのi=5,25,45,65,85における各凹部iの輝度測定値Bi(cd/m2)をグラフにより示している。図中、実施例1−1〜1−3は実施例1の導光体サンプルを用いて各凹部iの輝度を3回測定した試験区1〜3の結果を示し、実施例2−1〜2−3は実施例2の導光体サンプルを用いて各凹部iの輝度を3回測定した試験区1〜3の結果を示している。同じ実施例でも、測定ばらつきにより試験区毎に輝度測定値が異なっている。図に示すように、導光体の内部に向かって先細りとなるように円錐状とされた複数の凹部を長手方向に沿って間隔を空けて導光体の側面に設けると、長手方向の端面の一方のみにLEDを配置するだけで、導光体の全長にわたって発光面から240〜360cd/m2と輝度の揃った光が照射されたことが分かる。
【0067】
なお、凹部の錐面を粗面化していない実施例2は、光源から遠い凹部(i=65〜90)で輝度が下がっている。これは、光源に近い凹部(i=1〜64)で反射した光が実施例2よりも多く発光面から外部へでたためと推察される。一方、凹部の錐面を粗面化した実施例1は、光源から遠い凹部(i=65〜90)で輝度が下がらなかった。実際に導光体サンプルの発光面を見たとき、実施例2よりも実施例1の方がより均一に発光しているように見えた。
【0068】
また、図20は、実施例1試験区4の導光体サンプルの各凹部iの輝度測定値Bi(cd/m2)をグラフにより示している。本試験区4の第一の部位の平均輝度B1a(B1〜B45の総和)、第二の部位の平均輝度B2a(B46〜B90の総和)、第一の部位の色度x,y、第二の部位の色度x,yは、下記表2に示す値となった。
【表2】
上記表2に示すように、平均輝度はB2a>B1aとなったが、導光体全体にわたって均一に発光しているように見えた。これは、光が導光体サンプル内で光源側端面から反対側の端面へ進むうちに青色成分の割合が少なくなり、第二の部位の平均輝度を第一の部位の平均輝度よりも高くすることによって両部位が視覚的に同じ明るさと感じられるためと推察される。
【0069】
さらに、実施例1,2の照明装置サンプルで照らされる照射部位は、筋むらが見られず、均一な明るさに見え、見た目が良好であった。従って、本実施例の自動車用照明装置は、照らす照射部位の見た目を向上させることが確認された。
なお、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】照明装置を採用した自動車の内装の一例を示す要部側面図。
【図2】自動車用照明装置を設けたルーフライナの一例を下から見て示す底面図。
【図3】図2に示すルーフライナの要部を断面視して示す垂直断面図。
【図4】図2に示すルーフライナの要部を断面視して示す垂直断面図。
【図5】自動車用照明装置の外観の例を示す斜視図。
【図6】導光体の一例を裏面側から見て示す背面図。
【図7】図5に示す照明装置を同図のA1−A1の位置から見て示す水平断面図。
【図8】図5に示す導光体の要部を示す斜視図。
【図9】図5に示す導光体を同図のA2−A2及びA3−A3の位置から見て示す断面図。
【図10】導光体製造装置の一例を示す垂直断面図。
【図11】図10に示す導光体製造装置を示す分解図。
【図12】図10に示す下型の要部を示す図。
【図13】図10に示す着脱ピンの外観を示す斜視図。
【図14】光源を点灯させた状態における導光体の様子の一例を示す正面図。
【図15】変形例においてヘッドライナの要部を断面視して示す垂直断面図。
【図16】導光体の凹部の各種変形例を示す図。
【図17】導光体の各種変形例を示す図。
【図18】導光体の変形例を示す図。
【図19】実施例において各凹部の輝度の測定結果を示す図。
【図20】実施例において各凹部の輝度の測定結果を示す図。
【符号の説明】
【0071】
1…自動車、2…ルーフライナ、3…モール、
10…自動車用照明装置、
20…ハウジング、
30…光源ユニット、32…光源、39…擬似的な光源、
40,241,242,243,244,245,246…長尺な導光体、
40a…係止用凸部、40m…中間位置、
41…第一の部位、42…第二の部位、
43…光源側端面、44…端面、
45…裏面(第一の側面)、46…発光面(第二の側面)、
47…第三の側面、48…第四の側面、
50,251,252,253…凹部、51…錐面、
100…導光体製造装置、
110…成形型、
120…型本体、121…上型、122…下型、
130…着脱ピン、135…凸部、
140…射出機、
CA1…キャビティ、
D1…長手方向、D2…発光方向、
D3…長手方向及び発光方向と直交する方向、
D4…入射光の進行方向の中心、D5…反射光の進行方向の例、
D11…キャビティの長手方向、
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺な導光体と光源とを備える自動車用照明装置並びに導光体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車輌室内の天井部の左右側部にほぼ前後方向に沿って線状に延び天井面を照明する照明器を備えた車輌用室内照明装置が開示されている。この照明装置の照明器は、線状に延びる導光体と、該導光体の端部から導光体内に光を導入する発光ダイオードと、から成っている。同文献には、導光体の後面に対して間隔を空けずに微細な反射手段を形成しても良いことが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、棒状の導光体の長さ方向の端面に光源を接続し、導光体の一側面に、入射した光を別の側面方向に反射散乱する面を有するV字状の溝を複数個、導光体長さ方向に間隔をあけて列状に配置してなる線状照明装置が開示されている。各V字状の溝は、前記導光体の長さ方向に進む光を前記側面方向に反射させるため、前記長さ方向と直交する幅方向に向けて線状に形成されている。
【特許文献1】特開2005−306233号公報
【特許文献2】特開2008−32759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の照明装置は、微細な反射手段が間隔を空けずに導光体の後面に形成されているため、線状の導光体の両端部のうち片方しか発光ダイオードを設けない場合、発光ダイオードに近い部分で多くの光が導光体の後面で反射して前面から出てしまう。従って、同照明装置は発光ダイオードから遠くなるほど暗くなってしまい、この照明装置で照らされる天井面の明るさにむらが生じることがある。
【0005】
特許文献2に記載の線状照明装置は、各V字状の溝が棒状の導光体の幅方向に向けて線状に形成されて導光体の長さ方向へ列状に配置されているため、照らされる照射部位に筋むらが生じることがある。
【0006】
以上を鑑み、本発明は、照らす照射部位の見た目を向上させることが可能な自動車用照明装置並びに導光体及びその製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の自動車用照明装置は、長尺な導光体と、該導光体の長手方向の端面に光を入射させる光源とを備え、前記導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、自動車用照明装置に用いられ、長手方向の端面から光を入射する長尺な導光体であって、該導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられていることを特徴とする。
【0008】
すなわち、光源から導光体の長手方向の端面に入射した光は、複数の凹部の錐面で反射する。各凹部は、導光体の内部に向かって先細りとなっているので、反射させた光を導光体から放出させる。また、各凹部が導光体の長手方向に沿って間隔を空けて設けられているので、間隔を空けずに各凹部が設けられる場合と比べて、光源に近い部分で導光体から出る光が少なくなり、光源から遠い部分で導光体から出る光が多くなる。さらに、各凹部が錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされているので、照射部位に筋むらが生じ難い。従って、照射部位の見た目が向上する。
【0009】
さらに、本発明は、自動車用照明装置に用いられる長尺な導光体の製造方法であって、前記長尺な導光体を成形するキャビティを有する成形型を、該キャビティの内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた凸部を有する複数の着脱ピンを前記キャビティの長手方向に沿って間隔を空けて型本体に着脱可能に取り付けて形成し、前記導光体を成形するための樹脂成形材料を前記成形型のキャビティに充填して、前記複数の着脱ピンによる複数の凹部を側面に有する導光体を成形することを特徴とする。
【0010】
すなわち、長尺な導光体を成形するキャビティは、導光体の側面となる部分に、内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされる複数の凹部を前記長手方向に沿って間隔を空けて有する。従って、導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられる。従って、製造される導光体の長手方向の端面に光を入射させる光源を設けた照明装置は、照射部位の見た目を向上させることができる。
また、複数の着脱ピンが型本体に対して着脱可能に取り付けられるので、形状を調整した着脱ピンを型本体に取り付けることにより、型本体を調整しなくても導光体から出る光の量を部分的に調整することができる。
【0011】
ここで、本発明にいう錐体状には、楕円錐状、角錐状、が含まれる。該楕円錐状には、円錐状が含まれる。また、本発明にいう錐台状には、楕円錐台状、角錐台状、が含まれる。該楕円錐台状には、円錐台状が含まれる。
また、樹脂成形材料をキャビティに充填することには、樹脂成形材料をキャビティに射出することが含まれる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項3〜請求項5に係る発明によれば、照らす照射部位の見た目を向上させることが可能な自動車用照明装置並びに導光体及びその製造方法を提供することができる。
請求項2に係る発明では、凹部を粗面化しない場合と比べて導光体から出る光の強さをより均質にすることができる。
請求項6に係る発明では、着脱ピンの凸部を粗面化しない場合と比べて導光体から出る光の強さをより均質にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(1)自動車用照明装置の構成:
図1は本発明の一実施形態に係る自動車用照明装置10を採用した自動車1の内装を示す要部側面図、図2は照明装置10を設けたルーフライナ2の底面図、図3と図4はルーフライナ2の要部を断面視して示す垂直断面図、図5は照明装置10の外観を示す斜視図、図6は導光体40の背面図、図7は照明装置10を図5のA1−A1の位置から見て示す水平断面図、図8は導光体40の要部を示す斜視図、図9(a)は導光体を図5のA2−A2の位置から見て示す断面図、図9(b)は導光体を図5のA2−A2の位置から見て示す断面図である。図9は、凹部50を下側にして導光体40の断面を示している。
【0014】
図1に示す自動車1は、道路上で使用されるように設計及び装備されたワンボックスタイプの乗用自動車1とされている。むろん、本発明は、セダンタイプの乗用自動車等にも適用可能である。
本自動車1には、フロントシート1aの前にフロントウインドやインストルメントパネルが設けられるとともに、フロントドア1bの前、前後ドア1b,1cの間、リヤドア1cの後、その後のはめこみの窓の後にそれぞれピラーがルーフパネルを支えるために設けられている。また、ドア1b,1cには車室SP1側に内装材としてドアトリムが取り付けられ、ピラーには車室SP1側に内装材としてピラートリム(ピラーガーニッシュ)が取り付けられ、自動車1の天井部を構成するルーフパネルには車室SP1側に内装材としてルーフライナ(ヘッドライナ)2が取り付けられ、荷室SP2のサイドパネルには内装材としてラゲージサイドトリムが取り付けられている。
【0015】
図1と図2に示すように、本自動車用照明装置10は、ルーフライナ2に組み込まれ、該ルーフライナ2の下面、すなわち、車室SP1の天井面を照らす間接照明とされている。むろん、自動車用照明装置10は、ドアトリム、ピラートリム、ラゲージサイドトリム、等の内装材に設けられてもよいし、ドアパネル等の車体パネルに直接設けられてもよい。また、自動車用照明装置10は、直接目に入る直接照明とされてもよい。本照明装置10は、長尺な領域に設けられ、自動車室内の長尺な範囲を照らす。また、長尺な導光体40は、細いため、自動車の限られたスペースに設置可能である。
本実施形態のルーフライナ2には、車幅方向の縁部近傍に、互いに端面44を突き合わせた照明装置10A,10Bと、互いに端面44を突き合わせた照明装置10C,10Dとが左右対称に設置されている。なお、照明装置10A,10Bの光源ユニット30A,30Bは互いに離れ、照明装置10C,10Dの光源ユニット30C,30Dは互いに離れて配置される。むろん、前後の照明装置10A,10Bを一体化したり、前後の照明装置10C,10Dを一体化したりしてもよいし、三以上の照明装置が前後に直列するように配置されてもよい。
【0016】
ルーフライナ2は、鋼板製のルーフパネルを覆って乗員室内を装飾し、乗員の安全性を向上させる。また、ルーフライナ2は、走行中の風切り音や雨音などの騒音が車室内に到達するのを抑制したり、車室内に侵入した騒音を吸音したりする等、防音材としても機能する。ルーフライナ2には、通常、アシストグリップやサンバイザなど各種アクセサリーが組み込まれる。
【0017】
ルーフライナ2は、通常、形状保持性及び成形性を有する基材と、該基材の車室側を被覆する表皮材とを有している。基材は、自動車1のルーフパネルに沿って配置されるのに適した形状に成形される。同基材には、繊維を集合させてプレス成形等により成形したもの、熱可塑性樹脂等の樹脂成形材料を発泡させて射出成形等により成形したもの、等を用いることができ、熱可塑性樹脂繊維等のバインダ繊維を含む繊維を成形した基材、さらに寸法を安定させるためガラス繊維や炭素繊維を添加して成形した基材、天然繊維を用いた基材、樹脂発泡体からなる基材、ウレタン樹脂を用いた基材、ダンボール基材、等を用いることができる。表皮材は、車室SP1を装飾し手触り感を良好にするためにルーフライナ2の車室側の面に設けられる表層であり、不織布や織布やニットを用いることができる。表皮材は、基材の成形と同時に該基材に積層されたり、基材の成形前や成形後に該基材に貼り付けられたりする。
【0018】
本ルーフライナ2の車幅方向の両縁部近傍には、図3と図4に示すように、斜め上方へ凹んだ溝2a,2aが形成されている。これらの溝2a,2aは、前後に並行して延びた長尺な空間を形成し、照明装置10を収容する。溝2a,2aは、別部品の追加を不要とするため、ルーフライナ2と一体的に形成される。ルーフライナ2は形状を保持するための剛性を有するので、溝2aの深さが制限され、限られた狭いスペースしか確保することができない。また、ルーフライナ2は、前部から後部にかけてルーフパネルの形状に合わせて上側へ膨らむように湾曲した形状とされるのが一般的である。従って、溝2aも湾曲するようにルーフライナ2に形成される。照明装置10は、溝2aの長尺な空間に収容され、溝2aの下側に配置されるモール3の上から車幅方向内側へ光を照射する。
【0019】
本照明装置10の基本部分は、長尺な導光体40と光源32とから構成される。本実施形態の照明装置10は、光源32が光源ユニット30に設けられ、導光体40が長尺なハウジング20に収容され、このハウジング20にモール3が取り付けられている。モール3は、照明装置10の車室側に配置され、車室SP1内の乗員から照明装置10を直に見えないようにして車室SP1の意匠を向上させている。
ここで、長尺な導光体は、棒状の導光体、細長い板状の導光体、筒状の導光体、直線状の導光体、曲線状の導光体、等を含み、凹部や凸部を有する形状を含む。
【0020】
本実施形態の導光体40は、長尺な棒状とされ、長手方向D1を自動車1の前後に向けてルーフライナ2に設置されている。
図7に示すように、導光体40の長手方向D1の端面(光源側端面43)は、光源32から照射される光の受光面とされている。また、導光体40の側面45には、該導光体40の内部に向かって先細りとなる形状とされた凹部50が長手方向D1に沿って間隔を空けて複数設けられている。これらの凹部50を有する側面45を裏面(第一の側面)とし、この裏面45とは反対側の側面46を発光面(第二の側面)として、導光体40は、光源側端面43から入射した光を長手方向D1に沿って端面44の方へ案内しながら裏面45の各凹部50で少しずつ反射させて発光面46から外部へ放出させる。ここで、裏面45から発光面46へ向かう方向を発光方向D2とし、該発光方向D2及び長手方向D1と直交する方向をD3(上下方向)とする。図7には、光源側端面43からの入射光の進行方向の中心がD4で示され、発光面46から出る出射光の進行方向の例がD5で示されている。むろん、入射光の進行方向の中心D4は長手方向D1に沿った方向となり、反射光の進行方向D5は発光方向D2に沿った方向となる。各凹部50は、導光体40の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされる。導光体の強度の観点からは、凹部の形状を楕円錐状(円錐状を含む)又は楕円錐台状(円錐台状を含む)とすることが好ましい。図5〜図9に示す凹部50は、裏面45から発光方向D2へ凹んだ円錐状とされている。
【0021】
光源32は、導光体の光源側端面43の近傍に配置され、該光源側端面43に光を入射させる。ここで、導光体の各凹部50は、導光体40の内部に向かって先細りとなっているので、錐面51で反射させた光を導光体40から出射させる。また、各凹部50が導光体40の長手方向D1に沿って間隔を空けて設けられているので、光源32に近い部分で導光体40から出る光が少なくなり、光源32から遠い部分で導光体40から出る光が多くなる。さらに、各凹部50が円錐状とされているので、照射部位に筋むらが生じ難い。
【0022】
ハウジング20は、図3等に示すように断面H字状に形成され、ルーフライナの溝2aに沿った長尺な外形を有している。ハウジング20は、略水平に配置される上壁部21及び下壁部22、これら上壁部21及び下壁部22をほぼ真ん中で上下に繋ぐ仕切部23、を備え、仕切部23から車室側に第一の溝24、仕切部23から車外側に第二の溝25が形成されている。ハウジングの上壁部21には、ハウジング取り付け用のクリップ29を通す開口21aが長手方向(D1)に間隔を空けて複数形成されている。ハウジングの下壁部22には、モール3を取り付けるための係合突起22aが長手方向(D1)に間隔を空けて複数形成されている。ハウジング20の断面形状は、長手方向全体にわたってほぼ同じとされている。第一の溝24には導光体40が収容され、第二の溝25には給電用のワイヤハーネス5が収容される。導光体40は、発光面46を露出させ、裏面45と上面(第三の側面)47と下面(第四の側面)48とが壁部21,22及び仕切部23に囲まれて、ハウジング20に保持される。
【0023】
図3に示すように、ハウジング20は、長手方向(D1)に間隔を空けて配置される複数のクリップ29によってルーフライナ2に固定される。各クリップ29には、弾性を有する係合部位を先端29aに有する公知の樹脂クリップ等を用いることができる。一方、ルーフライナ2には、各クリップ29を嵌合させる開口2bが形成されている。該開口2bの近傍におけるルーフライナ2の車外側には、開口を有する補強用の板金4が配置される。ハウジング上壁部の開口21a、ルーフライナの開口2b及び板金4の開口にクリップの先端29aを通すと、該クリップ29によりハウジング20がルーフライナ2に取り付けられる。
【0024】
ハウジング20には、熱可塑性樹脂等の樹脂成形材料を射出成形や押出成形やプレス成形等により成形した成形品、アルミニウムやステンレス等の金属をプレス成形等により成形した成形品、等を用いることができる。前記樹脂成形材料を構成する樹脂には、光反射性及び寸法安定性の観点からポリカーボネート等を好適に用いることができ、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ABSとポリカーボネートとのポリマーアロイ、等も用いることができる。ハウジング20が樹脂成形品の場合、ハウジング20の色には、光を良く反射させる観点から、白色、白色に近い淡色、等が好適に用いられる。また、図15に示す照明装置11のように、第一の溝24に光反射材26a,26bを設けてもよい。同図の例では仕切部23及び壁部21,22にそれぞれ光反射材26a,26b,26bが貼り付けられているが、これらの光反射材26a,26b,26bの一部のみ第一の溝24に設けられてもよい。光反射材には、熱可塑性樹脂等の樹脂フィルムに金属の薄膜を蒸着したフィルム等を用いることができる。ハウジングに光反射材が設けられるとハウジングの光反射率が高められるので、導光体から車室へ出る光の量が多くなり、照射部位が明るくなる。
【0025】
ハウジング20に取り付けられるモール3には、図4に示すように、ハウジング下壁部22から下方へ突出した係合突起22aと嵌合する開口3cが長手方向(D1)に間隔を空けて形成されている。モール3には、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)等の樹脂成形材料を押出成形や射出成形やプレス成形等により成形した成形品等を用いることができる。また、不織布、織物、編物、等の表皮材を積層した樹脂成形品をモールに用いてもよい。図示のモール3は、表面側(車室側)に軟質でクッション性を有する樹脂成形材料の層3a、裏面側に硬質な形状保持性を有する樹脂成形材料の層3b、が配置されるように2色(二層)押出成形によって2層に形成されている。
【0026】
光源ユニット30は、光源32、該光源を点灯駆動する回路を形成したプリント基板、等から構成されている。光源ユニット30は、図示しない制御回路に対して電気的に接続され、例えば、インストルメントパネルに設けたスイッチがオンにされる操作を受け付けると光源32が点灯し、該スイッチがオフにされる操作を受け付けると光源32が消灯するようにされる。むろん、光源32は、ドア1b,1cが開いたときに点灯し、ドア1b,1cが閉じたときに消灯するようにされてもよい。
【0027】
光源32には、軽量かつコンパクトで、照射方向に指向性を有し、長寿命であるLED(発光ダイオード)を好適に用いることができる。図7に示す光源32は、砲弾型LEDではなく、基板上にLEDチップを接合した表面実装型LEDとされている。表面実装型LEDは、砲弾型LEDと比べて狭い空間に配置できるため、好ましい。
むろん、光源32に、白熱電球、ハロゲン電球、蛍光ランプ、放電ランプ、等を用いることも可能である。また、光源の発光色には白、赤、緑、青、等、種々の色を採用することができ、同じ照明装置10に異なる発光色の光源を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
LED32は、ワイヤハーネス5のコネクタ等と共に基板に搭載されている。この基板は、光源ユニット30のケース31に取り付けられている。ケース31の内部には、導光体40の係止用凸部40a,40aを挿入させる係止用凹部34,34が形成されている。導光体の係止用凸部40a,40aを光源ユニットの係止用凹部34,34に挿入させて係合させることにより、光源ユニット30と導光体40とが結合され、LED32の発光面が導光体の光源側端面43と対向して配置される。LED32の発光面と光源側端面43との距離C1(図7参照)は、光源側端面43に対して光源32の光が十分入射する距離であればよいが、LED32から照射された光をほぼ導光体40内に導入する観点から、0.5mm以下が好ましい。距離C1を0.5mm以下とすると、LED32から照射される光の利用効率を十分高くすることができる。
【0029】
本実施形態の導光体40は、略四角柱状に形成されている。図9に示すように、導光体40における発光方向D2の長さ(厚み)T1と上下方向D3の長さ(幅)W1とは、ほぼ同じとされている。一方、図6と図7に示すように、導光体40における長手方向D1の長さL1は、長さT1,W1よりも90〜200倍とされている。すなわち、導光体40の側面45,46における短辺W1と長辺L1との比率W1:L1が1:90〜1:200とされ、導光体40の側面47,48における短辺T1と長辺L1との比率T1:L1が1:90〜1:200とされている。このように、導光体40は、極めて細長い棒状部材とされている。むろん、長さT1,W1と長さL1との比率がこれらの範囲から外れた導光体も、本発明の自動車用照明装置に使用可能である。
本導光体40は、側面45,46,47,48が略平面の棒状部材とされている。むろん、導光体は、側面の一部又は全部が曲面とされた形状とされてもよい。また、導光体は、直線状に延びた形状でもよいし、全体に曲がった形状でもよい。
【0030】
本導光体40の全長L1は、ハウジング20の全長よりも若干長くなるように設計され、光源側端面43をハウジング20から突出させてハウジングの第一の溝24に収容される。本実施形態の光源ユニット30は、ハウジング20から出た光源側端面43を覆うように導光体40に取り付けられる。
【0031】
導光体40には、透明ないし略透明の樹脂成形材料を射出成形やプレス成形や押出成形等により成形した透明ないし略透明の成形品等を用いることができる。前記樹脂成形材料を構成する樹脂には、透光性を有するアクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、等の透明性を有する透明材料を用いることができる。本実施形態では、前記樹脂成形材料に光散乱性を有する微粒子等を添加していない。これにより、長尺な導光体の端面に光を入射させたときに光散乱性微粒子が分散した導光体で顕著に見られる光の減衰を可及的に抑制することができ、長尺な導光体の全長にわたってほぼ均一な発光が容易となる。
むろん、光散乱性微粒子は、長尺な導光体の端面から入射した光の多くを散乱させない限り、すなわち、入射光が本質的に凹部で反射して発光面から出射する限り、透明性を有する導光体に含まれていてもよい。
【0032】
導光体40に設けられた各凹部50は、裏面45に円形の開口52を有し、導光体40の途中まで先細りとなるように発光方向D2へ凹んでいる。該発光方向D2から複数の凹部50を見ると、発光面46に対してドット状に配列されているように見える。
裏面45に配列された各凹部50の中心間距離(隣り合う凹部50同士の間隔)L2(図5参照)は、例えば、5〜19mm、導光体の幅W1の1〜3.8倍、厚みT1の1〜3.8倍とされる。距離L2を前記下限以上にすると、導光体の成形が容易となり、導光体の加工費が抑えられる。距離L2を前記上限以下にすると、照射部位の明るさにむらが生じ難い。
【0033】
凹部50の深さH1,H2(図9参照)は、導光体の厚みT1の0.02〜0.6倍(2〜60%)が好ましく、厚みT1の0.05〜0.5倍がより好ましい。また、凹部50の開口部分52の直径DI1,DI2(図5参照)は、導光体の幅W1の0.8倍(80%)以下が好ましく、幅W1の0.7倍以下がより好ましい。凹部の深さH1,H2や直径DI1,DI2を前記範囲とすることにより、導光体40の成形時にヒケが発生したり樹脂成形材料の流れの阻害による成形不良が発生したりするようなことが起こり難くなり、また、導光体40を十分な強度として割れや変形等を生じさせないようにすることができる。
【0034】
導光体の裏面45と凹部50の円錐面51とのなす角度θ1(図9参照)は、30〜50°が好ましく、35〜45°がより好ましく、45°が特に好ましい。なお、円錐状の凹部50の頂角θ2は、θ1=30〜50°のとき80〜120°、θ1=35〜45°のとき90〜110°となる。角度θ1を前記下限以上にすると、発光面46から出る光の出射効率が十分に大きくなるので好ましい。角度θ1を前記上限以下にすると、凹部を有する導光体を射出成形したときに型から導光体を抜きやすくなるので好ましい。特に、角度θ1を約45°とすると、導光体40内を長手方向D1に沿って進む光が凹部の円錐面51で反射するときの反射角が約90°となるので、発光面46に対してほぼ直交して出射する光の量が多くなる。これにより、指向性を有する光を導光体から発し、照明装置の照射距離を長くすることができる。
【0035】
本実施形態の凹部の錐面51は、粗面化されている。なお、導光体の裏面45のうち凹部50を除く部分は粗面化されておらず、導光体40における端面43,44及び側面46,47,48も粗面化されていない。凹部50を粗面化すると、錐面51を反射した光が散乱して暈かされ、錐面を粗面化しない場合と比べて導光体40から出る光の強さをより均質にすることができる。これにより、照射部位に照度むらが生じ難くなり、意匠性の高い照明が実現される。
本実施形態では、導光体40を成形するための成形型の凹部50に対応する箇所を粗面化することにより、導光体40の成形と同時に凹部50を粗面化している。むろん、導光体の凹部の粗面化は、凹部に砂、粒状ガラス、粒状アルミナ、粒状金属、粒状プラスチック、等のブラスト材を吹き付けるブラスト処理、シボ加工、エッチング、等、後加工による荒らし加工でもよい。
【0036】
凹部50の算術平均粗さRaは、Ra=2〜20μmが好ましく、Ra=3〜10μmがより好ましい。ここで、Raは、JIS B0601-1994(製品の幾何特性仕様 (GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ1994年改正版)に規定されていた算術平均粗さである。Raを前記下限以上にすると、所望の粗さとなるように加工するのが容易になるので好ましい。Raを前記上限以下にすると、樹脂成形材料が凹部の粗面に残り難くなって形状の転写性が良好になり、また、離型性も良好になるので好ましい。
【0037】
また、図7や図9に示すように、光源32に比較的近い凹部50aの深さをH1、光源32から比較的遠い凹部50bの深さをH2とすると、H2≧H1の関係となるように各凹部50が導光体40に形成されている。光源側端面43に入射した光は、光源32から遠くなるほど凹部50で反射して外部へ放出される。各凹部50の深さをH2≧H1とすることにより、光源32に近い各凹部50で反射される光の量と光源32から遠い各凹部50で反射される光の量との差が少なくなり、導光体40全体でより均一な発光が可能となる。
むろん、光源に比較的近い部分で隣り合う凹部同士の間隔を光源から比較的遠い部分で隣り合う凹部同士の間隔よりも広くしても、光源に近い部分の発光面から出射する光の量と光源から遠い部分の発光面から出射する光の量との差を少なくすることができる。
【0038】
本実施形態の導光体40は、図6に示すように、複数の凹部50が設けられた部分(符号41及び42で表される部分)において長手方向D1の中間位置40mから光源32側を第一の部位41、中間位置40mから光源32とは反対側を第二の部位42として、光源32の発光時に第二の部位42の平均輝度B2aを第一の部位41の平均輝度B1aよりも大きくするように複数の凹部50が設けられている。ここで、導光体の各凹部50の通し番号を光源32側から順にi=1、2、…、n(nは2以上の整数)とし、第一の部位41に含まれる凹部50の通し番号を1、2、…、m(mはn未満の正の整数)とし、第二の部位42に含まれる凹部50の通し番号をm+1、m+2、…、nとして、各凹部iの輝度測定値をBi(cd/m2)とする。各凹部iの輝度は、凹部iから発光方向D2へ所定の距離(例えば350mm)離れた位置の輝度を測定することにより得ることができる。第一の部位の平均輝度B1a(cd/m2)は、B1、B2、…、Bmの和で表される。第二の部位の平均輝度B2a(cd/m2)は、Bm+1、Bm+2、…、Bnの和で表される。図6の例では、発光面46に対してn=40の凹部50の中心が等間隔に設けられているため、m=20であり、平均輝度B1aはB1〜B20の総和となり、平均輝度B2aはB21〜B40の総和となる。
【0039】
光源側端面43から入射した光が反対側の端面44に到達するまでに色度(特に色相)が変化しなければ、第一の部位41と第二の部位42とで平均輝度を同じにすれば、人には導光体40が全体にわたって均一に発光していると感じられる。しかし、透明性を有する樹脂成形材料から得られる導光体40は、光が光源側端面43から反対側の端面44へ進むうちに色度(特に色相)が変化し、平均輝度が同じでも人には第二の部位42が第一の部位41よりも暗く感じられる。例えば、導光体40がアクリル樹脂の成形品である場合、光が光源側端面43から反対側の端面44へ進むうちに青色成分の割合が少なくなり、第二の部位42が第一の部位41よりも黄色く見え、暗く見えてしまう。導光体40がポリカーボネートの成形品である場合には、もっと顕著に第二の部位42が黄色く見え、暗く見えてしまう。
第二の部位の平均輝度B2aを第一の部位の平均輝度B1aよりも高くすると、人には両部位41,42の明るさが同じに感じられるようになる。そこで、視覚的に均一な明るさとするため、B2a>B1aとなるように複数の凹部50を導光体40に設けている。
【0040】
なお、第二の部位の平均輝度B2aは、第一の部位の平均輝度B1aの1.1〜2倍が好ましく、1.2〜1.8倍がより好ましい。
【0041】
上述した自動車用照明装置10は、図2等で示したように端面44同士を突き合わせて自動車1に複数配置されてもよいし、互いに接触しないように自動車1に配置されてもよい。複数の照明装置10の端面44同士が突き合わされると、一方の導光体の端面44から他方の導光体の端面44に光が入射するので、両導光体から放出される光の量を全体にわたってより均一にすることができる。むろん、照明装置10が単独で使用されても、長尺な導光体40に錐体状又は錐台状の凹部が長手方向D1に沿って間隔を空けて複数設けられているので、導光体40から放出される光の量が実用上十分に均一とすることができる。
【0042】
(2)自動車用照明装置の製造方法:
次に、本実施形態に係る導光体40を有する自動車用照明装置10の製造方法を説明する。
図10は導光体製造装置100の垂直断面図、図11は導光体製造装置100を示す分解図、図12(a)は下型122の要部を上から見て示す平面図、図12(b)は下型122の要部を下から見て示す底面図、図13は着脱ピン130A,130Bの外観を示す斜視図である。
【0043】
本導光体製造装置100は、自動車用照明装置10に用いられる長尺な導光体40を射出成形により製造する射出成形機とされている。同装置100は、長尺な導光体40を成形するキャビティCA1を有する成形型110、導光体40を成形するための樹脂成形材料を成形型110のキャビティCA1に射出(充填)する射出機140、を備えている。
成形型110は、型本体120、この型本体120に対して着脱可能に取り付けられる複数の着脱ピン130、を備え、通常、金型とされる。むろん、成形型110は、金属製以外の材質で形成されてもよい。
【0044】
本実施形態の型本体120は、互いに上下方向へ近接および離反可能な一対の型121,122を有している。上型121は、射出機140から樹脂成形材料をキャビティCA1内に射出するためのゲート121bが複数設けられ、射出機140に連結されている。下型122には、各着脱ピン130を嵌めるための穴123がキャビティCA1の長手方向D11に沿って間隔を空けて形成され、穴123に挿入した着脱ピン130を固定するためのピン固定部材124が設けられている。型121,122は、両方が上下方向へ往復移動可能とされてもよいし、一方のみ上下方向へ往復移動可能とされてもよい。また、ゲートは下型に設けられてもよく、射出機に下型が連結されてもよい。
【0045】
着脱ピン130は、キャビティCA1の内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた凸部135を有している。本実施形態の着脱ピン130は、下型122に装着されるときに下部となる基部132、この基部132から上方へ突出した棒状部134、を有し、この棒状部134の先端部に凸部135が形成された金属ピンとされている。各着脱ピン130が穴123に挿入されて固定されると、各着脱ピンの凸部135のみがキャビティCA1内へ突出するようにされている。従って、型121,122の型面121a,122aと各凸部135とがキャビティCA1を形成して導光体40の外形を作る。図10、図11、図13に示す凸部135は、下型の型面122aから上型の型面121aに向かって突出した円錐状とされている。
【0046】
本実施形態の凸部135の錐面は、粗面化されている。なお、着脱ピン130のうち凸部135を除く部分は粗面化されておらず、型面121a,122aも粗面化されていない。凸部135の粗面化は、例えば、凸部135の錐面にやすりをかける荒らし加工により行うことができる。むろん、着脱ピンの凸部の粗面化は、凸部にブラスト材を吹き付けるブラスト処理、シボ加工、エッチング、等による粗面化でもよい。凸部135を粗面化することによって、凸部135の微細な凹凸形状が透明ないし略透明の樹脂成形材料に転写される。これにより、導光体40の成形後に微小な凹部の錐面51を荒らし加工する比較的困難な表面処理を行う必要がなくなる。また、凸部135を粗面化すると、成形された導光体40の凹部50を反射した光が散乱して暈かされ、凸部135を粗面化しない場合と比べて導光体40から出る光の強さをより均質にすることができる。
凸部135の算術平均粗さRaは、Ra=2〜20μmが好ましく、Ra=3〜10μmがより好ましい。
【0047】
また、図13に示すように、光源32に比較的近い凹部50aを形成するための着脱ピン130Aの凸部135Aは、光源32から比較的遠い凹部50bを形成するための着脱ピン130Bの凸部135Bよりも小さくされている。凸部135Aの高さH11及び直径DI11は凹部50aの深さ及び直径に合わせられ、凸部135Bの高さH12及び直径DI12は凹部50bの深さ及び直径に合わせられている。各凸部135の高さをH12≧H11とすることにより、光源32に近い凹部50で反射される光の量と光源32から遠い凹部50で反射される光の量との差が少なくなり、導光体40全体でより均一な発光が可能となる。
むろん、隣り合う凸部同士の間隔を調整しても、光源に近い部分の発光面から出射する光の量と光源から遠い部分の発光面から出射する光の量との差を少なくすることができる。
【0048】
図11に示すように、下型の各穴123に着脱ピン130を嵌め込み、ピン固定部材124で各着脱ピン130を下型122に固定すると、型本体120に対して複数の着脱ピン130が長手方向D11に沿って間隔を空けて着脱可能に取り付けられる。そして、型121,122を近接させて型締めすると、図10に示すキャビティCA1が形成される。射出機140が液状(溶融状を含む)の樹脂成形材料をゲート121bからキャビティCA1内へ射出すると、キャビティCA1に液状の樹脂成形材料が充填される。その後、成形型110が冷却される等してキャビティCA1内の樹脂成形材料が固化又は硬化すると、導光体40が射出成形される。このとき、導光体の裏面45には、各着脱ピンの凸部135の形状が転写されて、複数の着脱ピン130による複数の凹部50を裏面45に有する導光体40が形成される。そして、型121,122を開いて導光体40を取り出すと、自動車用照明装置10の製造に用いることができる。
【0049】
上述した導光体製造方法によれば、型本体120に間隔を空けて複数の穴123を形成しておけば、各着脱ピンの凸部135の形状を変えるだけで、所望の形状の凹部50を有する導光体40を製造することができる。また、凸部135の無い着脱ピンを併用すれば、所望の間隔の凹部50を有する導光体40を製造することができる。従って、長尺な導光体に微小な凹部を容易に形成することができるとともに、型本体を作り直すことなく導光体の凹部の形状及び間隔を自在に設計することが可能となる。
【0050】
そして、図7に示すように、導光体の係止用凸部40aを光源ユニットの係止用凹部34に挿入させて係合させることにより、光源ユニット30と導光体40とが結合され、自動車用照明装置10が形成される。
従って、上述した製造方法によると、照らす照射部位の見た目を向上させることが可能な導光体の製造方法及び自動車用照明装置の製造方法を提供することができる。
【0051】
(3)自動車用照明装置の作用、効果:
以下、本自動車用照明装置10の作用、効果を説明する。
光源32から導光体の光源側端面43に入射した光は、反対側の端面44に向かって進みながら、少しずつ各凹部50で反射していく。ここで、各凹部50が導光体40の内部に向かって先細りとなっているので、凹部50で反射した光が発光面46から放射される。図3と図4に示すように、発光面46からの出射光は、ルーフライナ2とモール3との隙間から車幅方向内側へ照射され、照射部位であるルーフライナ2の下面を照らし、該下面で反射する。これにより、照明装置10は、車室SP1の間接照明として機能する。
【0052】
また、各凹部50が導光体の長手方向D1に沿って間隔を空けて設けられているので、間隔を空けずに各凹部が設けられる場合と比べて、光源32に近い部分で導光体40から出る光が少なくなり、光源32から遠い部分で導光体40から出る光が多くなる。これにより、導光体の発光面46を直接見たとき、図14に示すように、明るさの揃った擬似的な点光源39が導光体40に長手方向D1へ間隔を空けて複数設けられているように見える。
【0053】
ここで、特開2008−32759号公報に記載されるように各V字状の溝が棒状の導光体の幅方向に向けて線状に形成されて導光体の長さ方向へ列状に配置されていると、各V字状の溝で反射した光が幅方向に向いた線状の光となってしまう。このような複数の線状の光で照射部位が照らされると、該照射部位に筋むらが生じることがある。
【0054】
本実施形態の照明装置10では、導光体の各凹部50が円錐状とされているので、各凹部50で反射した光が線状とならない。導光体の各凹部が円錐状でなくても錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされると、各凹部50で反射した光が線状とならない。これにより、照射部位に筋むらが生じ難く、照射部位の見た目が向上する。また、導光体の各凹部が錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされると、導光体40内を光源側端面43から反対側の端面44へ向かう方向D4に進む光のみならず全方位からの光が反射して発光面46から出射するので、光の利用効率が高くなる。
以上より、本自動車用照明装置10は、照らす照射部位の見た目を向上させることが可能となる。
【0055】
なお、本自動車用照明装置を直接照明として使用する場合、擬似的な点光源が導光体に長手方向へ間隔を空けて複数設けられているように見えるので、自動車の内装やボデーに本照明装置を使用すると車室や車外にイルミネーションのような意匠を付与することができる。
【0056】
(4)変形例:
長尺な導光体の端面に光を入射させる光源は、一つのみならず、複数でもよい。同光源は、長尺な導光体の端面の一方にのみ設けられる以外にも、長尺な導光体の両端面のそれぞれに設けられてもよい。
長尺な導光体の配置は、長手方向が略水平となる配置以外にも、長手方向が鉛直など水平とは異なる向きとなる配置でもよい。また、導光体からの発光方向も、略水平とされる以外にも、鉛直など水平とは異なる向きでもよい。
導光体の凹部の形状は、円錐状を除く楕円錐状としてもよいし、楕円錐状を除く錐体状としてもよいし、錐台状としてもよい。
【0057】
図16(a)は円錐台状の凹部251を有する導光体241の要部を示す斜視図であり、図16(b)は導光体241の垂直断面図である。該凹部251も導光体241の内部に向かって先細りとなっているので、各凹部251で反射した光が擬似的な点光源となって発光面46から放射される。凹部251は、円錐台状を除く楕円錐台状とされてもよいし、楕円錐台状を除く錐台状とされてもよい。
図16(c)は角錐状の凹部252を有する導光体242の要部を示す斜視図であり、図16(d)は導光体242の要部を示す背面図である。該凹部252も導光体242の内部に向かって先細りとなっているので、各凹部252で反射した光が擬似的な点光源となって発光面46から放射される。凹部252は、六角錐以外の角錐状とされてもよいし、角錐状を除く錐体状とされてもよい。特に、凹部をN角錐(Nは5以上の整数)以上の多角錐状とすると、凹部により擬似的な点光源が良好に形成される。
図16(e)は角錐台状の凹部253を有する導光体243の要部を示す斜視図であり、図16(f)は導光体243の要部を示す背面図である。該凹部253も導光体243の内部に向かって先細りとなっているので、各凹部253で反射した光が擬似的な点光源となって発光面46から放射される。凹部253は、六角錐台以外の角錐台状とされてもよいし、角錐台状を除く錐台状とされてもよい。特に、凹部をN角錐台(Nは5以上の整数)以上の多角錐台状とすると、凹部により擬似的な点光源が良好に形成される。
【0058】
また、長尺な導光体は、三角柱状等、四角柱状以外の角柱状とされてもよいし、円柱状等の楕円柱状とされてもよいし、角柱状と楕円柱状に含まれない柱体状とされてもよい。
図17(a)は、四角柱状の導光体244の垂直断面図である。導光体244は、裏面45に凹部50が形成され、裏面45とは反対側の側面46が発光面とされている。本導光体244の断面形状は、裏面45及び発光面46を上底及び下底とする台形状とされている。すなわち、第三の側面47及び第四の側面48は、発光面46側が広くなるように発光方向D2から傾斜している。これにより、側面47,48で反射した光も発光面46から出射するため、光源側端面から入射した光を効率良く発光面46へ導くことができる。
【0059】
図17(b)は、円柱状の導光体245の垂直断面図である。導光体245は、円柱面に凹部50が形成されている。光源から導光体245の長手方向の端面に入射した光は、反対側の端面に向かって進みながら少しずつ各凹部50で反射し、円柱面から外部へ出射する。ここで、円柱状の導光体245がレンズの機能を発揮するので、出射光の指向性が向上し、より遠くまで光を届かせることができる。
【0060】
さらに、導光体に設ける複数の凹部は、全て同じ形状とされなくてもよく、例えば、楕円錐状、楕円錐台状、角錐状、角錐台状の中から選ばれる二種以上の形状の凹部が混在してもよい。
図18は、種々の形状の凹部を有する導光体246の背面図である。本導光体246は、円錐状の凹部50、円錐台状の凹部251、角錐状の凹部252、角錐台状の凹部253が混在している。これにより、各凹部で反射する光が凹部の形状に応じた擬似的なイルミネーションを形成するので、自動車の内装やボデーに本照明装置を使用すると車室や車外に所望のイルミネーション効果を付与することができる。
【0061】
なお、自動車用照明装置にハウジング等が設けられず、自動車用照明装置の基本部分である長尺な導光体及び光源のみでも、照らす照射部位の見た目を向上させる効果が得られる。
【0062】
(5)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0063】
[実施例1]
導光体サンプルは、垂直断面を5×5mmの正方形、長手方向の長さL1を750mmとし、裏面に光源側端面から22mm離れた位置から中心間距離L2が8mmとなるように粗面化した円錐状の凹部を90箇所、等間隔に設けたアクリル樹脂の射出成形品とした。各凹部の錐面の算術平均粗さは、Ra=5μmとした。各凹部の通し番号を光源側から順にi=1、2、…、90として、各凹部iの頂角θ2を全て90°とし、深さを表1のようにし、開口部の直径を深さに応じた直径とした。すなわち、金属ピンの各凸部の高さを各凹部iの深さとし、該凸部をやすりで粗面化する荒らし加工を行い、荒らし加工後の各金属ピンを用いて成形型を形成し、キャビティに溶融状態のアクリル樹脂を射出して充填し、成形型を冷却して導光体サンプルを射出成形した。
【表1】
また、光源には、順電流値52mAにて、照度12.5〜20.0lxのLED(豊田合成株式会社製)を用いた。このLEDを上記導光体サンプルの端部の一方のみに配置し、照明装置サンプルを組み立てた。
【0064】
凹部の輝度の測定機器には、株式会社トプコン製色彩輝度計BM−7を用いた。上記照明装置サンプルのLEDを発光させ、各凹部iから発光方向D2へ350mm離れた位置の輝度Bi(cd/m2)を色彩輝度計で測定した。
【0065】
[実施例2]
金属ピンの各凸部を粗面化しなかった以外は、実施例1と同様にして、粗面化していない凹部を複数有する導光体サンプルを形成した。
【0066】
[測定結果]
図19は、各導光体サンプルのi=5,25,45,65,85における各凹部iの輝度測定値Bi(cd/m2)をグラフにより示している。図中、実施例1−1〜1−3は実施例1の導光体サンプルを用いて各凹部iの輝度を3回測定した試験区1〜3の結果を示し、実施例2−1〜2−3は実施例2の導光体サンプルを用いて各凹部iの輝度を3回測定した試験区1〜3の結果を示している。同じ実施例でも、測定ばらつきにより試験区毎に輝度測定値が異なっている。図に示すように、導光体の内部に向かって先細りとなるように円錐状とされた複数の凹部を長手方向に沿って間隔を空けて導光体の側面に設けると、長手方向の端面の一方のみにLEDを配置するだけで、導光体の全長にわたって発光面から240〜360cd/m2と輝度の揃った光が照射されたことが分かる。
【0067】
なお、凹部の錐面を粗面化していない実施例2は、光源から遠い凹部(i=65〜90)で輝度が下がっている。これは、光源に近い凹部(i=1〜64)で反射した光が実施例2よりも多く発光面から外部へでたためと推察される。一方、凹部の錐面を粗面化した実施例1は、光源から遠い凹部(i=65〜90)で輝度が下がらなかった。実際に導光体サンプルの発光面を見たとき、実施例2よりも実施例1の方がより均一に発光しているように見えた。
【0068】
また、図20は、実施例1試験区4の導光体サンプルの各凹部iの輝度測定値Bi(cd/m2)をグラフにより示している。本試験区4の第一の部位の平均輝度B1a(B1〜B45の総和)、第二の部位の平均輝度B2a(B46〜B90の総和)、第一の部位の色度x,y、第二の部位の色度x,yは、下記表2に示す値となった。
【表2】
上記表2に示すように、平均輝度はB2a>B1aとなったが、導光体全体にわたって均一に発光しているように見えた。これは、光が導光体サンプル内で光源側端面から反対側の端面へ進むうちに青色成分の割合が少なくなり、第二の部位の平均輝度を第一の部位の平均輝度よりも高くすることによって両部位が視覚的に同じ明るさと感じられるためと推察される。
【0069】
さらに、実施例1,2の照明装置サンプルで照らされる照射部位は、筋むらが見られず、均一な明るさに見え、見た目が良好であった。従って、本実施例の自動車用照明装置は、照らす照射部位の見た目を向上させることが確認された。
なお、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】照明装置を採用した自動車の内装の一例を示す要部側面図。
【図2】自動車用照明装置を設けたルーフライナの一例を下から見て示す底面図。
【図3】図2に示すルーフライナの要部を断面視して示す垂直断面図。
【図4】図2に示すルーフライナの要部を断面視して示す垂直断面図。
【図5】自動車用照明装置の外観の例を示す斜視図。
【図6】導光体の一例を裏面側から見て示す背面図。
【図7】図5に示す照明装置を同図のA1−A1の位置から見て示す水平断面図。
【図8】図5に示す導光体の要部を示す斜視図。
【図9】図5に示す導光体を同図のA2−A2及びA3−A3の位置から見て示す断面図。
【図10】導光体製造装置の一例を示す垂直断面図。
【図11】図10に示す導光体製造装置を示す分解図。
【図12】図10に示す下型の要部を示す図。
【図13】図10に示す着脱ピンの外観を示す斜視図。
【図14】光源を点灯させた状態における導光体の様子の一例を示す正面図。
【図15】変形例においてヘッドライナの要部を断面視して示す垂直断面図。
【図16】導光体の凹部の各種変形例を示す図。
【図17】導光体の各種変形例を示す図。
【図18】導光体の変形例を示す図。
【図19】実施例において各凹部の輝度の測定結果を示す図。
【図20】実施例において各凹部の輝度の測定結果を示す図。
【符号の説明】
【0071】
1…自動車、2…ルーフライナ、3…モール、
10…自動車用照明装置、
20…ハウジング、
30…光源ユニット、32…光源、39…擬似的な光源、
40,241,242,243,244,245,246…長尺な導光体、
40a…係止用凸部、40m…中間位置、
41…第一の部位、42…第二の部位、
43…光源側端面、44…端面、
45…裏面(第一の側面)、46…発光面(第二の側面)、
47…第三の側面、48…第四の側面、
50,251,252,253…凹部、51…錐面、
100…導光体製造装置、
110…成形型、
120…型本体、121…上型、122…下型、
130…着脱ピン、135…凸部、
140…射出機、
CA1…キャビティ、
D1…長手方向、D2…発光方向、
D3…長手方向及び発光方向と直交する方向、
D4…入射光の進行方向の中心、D5…反射光の進行方向の例、
D11…キャビティの長手方向、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な導光体と、
該導光体の長手方向の端面に光を入射させる光源とを備え、
前記導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられていることを特徴とする自動車用照明装置。
【請求項2】
前記凹部が粗面化されている、請求項1に記載の自動車用照明装置。
【請求項3】
前記導光体は、前記複数の凹部が設けられた部分において前記長手方向の中間位置から前記光源側を第一の部位、該中間位置から前記光源とは反対側を第二の部位として、前記光源の発光時に前記第二の部位の平均輝度を前記第一の部位の平均輝度よりも大きくするように前記複数の凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用照明装置。
【請求項4】
自動車用照明装置に用いられ、長手方向の端面から光を入射する長尺な導光体であって、
該導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられていることを特徴とする導光体。
【請求項5】
自動車用照明装置に用いられる長尺な導光体の製造方法であって、
前記長尺な導光体を成形するキャビティを有する成形型を、該キャビティの内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた凸部を有する複数の着脱ピンを前記キャビティの長手方向に沿って間隔を空けて型本体に着脱可能に取り付けて形成し、
前記導光体を成形するための樹脂成形材料を前記成形型のキャビティに充填して、前記複数の着脱ピンによる複数の凹部を側面に有する導光体を成形することを特徴とする導光体の製造方法。
【請求項6】
前記着脱ピンの凸部が粗面化されている、請求項5に記載の導光体の製造方法。
【請求項1】
長尺な導光体と、
該導光体の長手方向の端面に光を入射させる光源とを備え、
前記導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられていることを特徴とする自動車用照明装置。
【請求項2】
前記凹部が粗面化されている、請求項1に記載の自動車用照明装置。
【請求項3】
前記導光体は、前記複数の凹部が設けられた部分において前記長手方向の中間位置から前記光源側を第一の部位、該中間位置から前記光源とは反対側を第二の部位として、前記光源の発光時に前記第二の部位の平均輝度を前記第一の部位の平均輝度よりも大きくするように前記複数の凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用照明装置。
【請求項4】
自動車用照明装置に用いられ、長手方向の端面から光を入射する長尺な導光体であって、
該導光体の側面に、該導光体の内部に向かって先細りとなるように、錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた複数の凹部が前記長手方向に沿って間隔を空けて設けられていることを特徴とする導光体。
【請求項5】
自動車用照明装置に用いられる長尺な導光体の製造方法であって、
前記長尺な導光体を成形するキャビティを有する成形型を、該キャビティの内部に向かって先細りとなるように錐体状と錐台状の中から選ばれる一種以上の形状とされた凸部を有する複数の着脱ピンを前記キャビティの長手方向に沿って間隔を空けて型本体に着脱可能に取り付けて形成し、
前記導光体を成形するための樹脂成形材料を前記成形型のキャビティに充填して、前記複数の着脱ピンによる複数の凹部を側面に有する導光体を成形することを特徴とする導光体の製造方法。
【請求項6】
前記着脱ピンの凸部が粗面化されている、請求項5に記載の導光体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−269492(P2009−269492A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122290(P2008−122290)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000251060)林テレンプ株式会社 (134)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000251060)林テレンプ株式会社 (134)
【Fターム(参考)】
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