説明

自動車用物品収納部構造

【課題】 自動車用の物品収納部に種々の寸法のティッシュボックスを安定した姿勢で保持できるようにする。
【解決手段】 グローブボックス12が、ティッシュボックス22の第1側面22aに面接触する第1支持面13cと、ティッシュボックス22の第2側面22bの下側のエッジ22cに線接触する第2支持面14aとを備えており、第1側面22aおよび第2側面22bは上方に向かって相互に間隔が増加するので、第1側面22aの面接触によってティッシュボックス22の回転を防止しながら、第2側面22bの下側のエッジ22cの線接触によってティッシュボックス22の上下位置を規定し、ティッシュボックス22を安定した姿勢で保持することができる。ティッシュボックス22の寸法が変化しても、前記エッジ22cが第2支持面14aに線接触する位置が変化するだけあり、ティッシュボックス22の寸法の大小に関わらずに安定した保持が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室内に設けた物品収納部に異なる寸法のティッシュボックスを収納可能にした自動車用物品収納部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のグローブボックスにティッシュボックスを保持するために、グローブボックスの内部に、ティッシュボックスの相互に対向する一対の側面を支持する一対の面状の支持部と、ティッシュボックスの一対の側面に連なる底面の一部を支持する一対の段状の支持部とを設けたものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−27438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ティッシュボックスの大きさには種々の種類があるが、上記従来のものはティッシュボックスの相互に対向する一対の側面を支持する一対の面状の支持部の間隔が一定であるため、小さいティッシュボックスに合わせて寸法を決めると、大きいティッシュボックスを保持できなくなり、逆に大きいティッシュボックスに合わせて寸法を決めると、小さいティッシュボックス位置が定まらずにガタツクだけでなく、場合によっては小さいティッシュボックスがグローブボックスの底部に落下してしまう問題がある。小さいティッシュボックスの落下を防止するために一対の段状の支持部の幅を広げると、ティッシュボックスの下方に形成された他の物品を収納する空間の容積が減少してしまう問題がある。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、自動車用の物品収納部に種々の寸法のティッシュボックスを安定した姿勢で保持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、自動車の車室内に設けた物品収納部に異なる寸法のティッシュボックスを収納可能にした自動車用物品収納部構造において、前記物品収納部は、前記ティッシュボックスの相互に対向する第1側面および第2側面のうち、前記第1側面に面接触する第1支持面と、前記第2側面の下側のエッジに線接触する第2支持面とを備え、前記第1支持面および前記第2支持面は上方に向かって相互の間隔が増加するように配置されることを特徴とする自動車用物品収納部構造が提案される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記第1支持面に、カードを保持するカードホルダを設けたことを特徴とする自動車用物品収納部構造が提案される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の構成によれば、自動車の車室内に設けた物品収納部が、ティッシュボックスの相互に対向する第1側面および第2側面のうち、第1側面に面接触する第1支持面と、第2側面の下側のエッジに線接触する第2支持面とを備えており、第1支持面および第2支持面は上方に向かって相互の間隔が増加するので、第1側面の面接触によってティッシュボックスの回転を防止しながら、第2側面の下側のエッジの線接触によってティッシュボックスの上下位置を規定し、ティッシュボックスを安定した姿勢で保持することができる。ティッシュボックスの寸法が変化しても、第2側面の下側のエッジが第2支持面に線接触する位置が変化するだけあり、ティッシュボックスの寸法の大小に関わらずに安定した保持が可能になる。しかも第1、第2支持面に段部を設ける必要がないため、物品収納部のティッシュボックスよりも下方の容積を圧迫することがない。
【0009】
また請求項2の構成によれば、第1支持面にカードを保持するカードホルダを設けたので、第1支持面を利用してカードを支持することが可能になって利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】自動車のインストルメントパネルの斜視図。
【図2】図1の2−2線断面図。
【図3】図2の3部拡大図。
【図4】グローブボックスの斜視図。
【図5】図4の5方向矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図5に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1に示すように、自動車のインストルメントパネル11の車幅方向中央部には車室側に張り出すセンターコンソール11aが設けられており、センターコンソール11aの左側の助手席前方に形成した開口部11bに、小物物品およびティッシュボックスを収納可能なグローブボックス12が開閉自在に設けられる。
【0013】
図2〜図5に示すように、グローブボックス12は、車室側に位置する概ね平坦な前壁13と、前壁13に対向する概ね弧状に湾曲する後壁14と、前壁13および後壁14を接続左右の側壁15,16と、それらの下端を接続する底壁17とを備え、全体として上面が開放した容器状に形成される。前壁13の下端の左右両側部に形成したヒンジ部13a,13aがインストルメントパネル11の開口部11bの下端に設けたヒンジピン11c(図2参照)に係合することで、グローブボックス12はヒンジ部13a,13aを支点にして車室側に回動可能である。
【0014】
グローブボックス12の前壁13の上部にはレバー収納部13bが内向きに張り出しており、このレバー収納部13bの内部にL字状のレバー18がピン18aを介して枢支される。レバー18の一端側の操作部18bを引くと、他端側のフック部18cがインストルメントパネル11の開口部11bの上縁に設けたストライカ19から離脱することで、グローブボックス12はロックが解除されて車室側に回動可能になる。
【0015】
グローブボックス12の前壁13のレバー収納部13bの下方には車幅方向に延びる平坦な第1支持面13cが形成されるとともに、前壁13に対向する後壁14には、第1支持面13cに対向して車幅方向に延びる平坦な第2支持面14aが形成される。第1支持面13cは前壁13の車幅方向中央部だけに形成されているが、第2支持面14aは後壁14の車幅方向全域に亙って形成される。第1支持面13cおよび第2支持面14aは、相互の前後方向の間隔が上側で広がるように傾斜している(図2参照)。
【0016】
第1支持面13cには、U字状の壁面よりなるカードホルダ20が形成されており、第1支持面13cとカードホルダ20との間に形成された薄い空間にクレジットカード等のカード22を上方から挿入して保持することができる。またグローブボックス12の第1支持面13cおよび第2支持面14aよりも下方位置には、小物を収納可能な空間12aが形成される(図2参照)。
【0017】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0018】
図2に示すように、車室側に開いたグローブボックス12の上面開口から中程度の大きさのティッシュボックス22(中)を挿入するときに、乗員から見て手前側の第1側面22aをグローブボックス22の第1支持面13cに沿わせて下側に滑らせると、向こう側の第2側面22bの下側のエッジ22cがグローブボックス12の向こう側の第2支持面14aに当接して停止する。このとき、ティッシュボックス22は第1側面22aが第1支持面13cに面接触することで前後方向に傾くことが防止され、かつエッジ22cが第2側面22bに当接することで下方への移動が阻止され、安定した姿勢でグローブボックス12の内部に保持される。
【0019】
小さめのティッシュボックス22(小)を同様にして挿入すると、その第2側面22bのエッジ22cが第2支持面14aの低い位置に当接してティッシュボックス22を安定した姿勢で保持することができ、大きめのティッシュボックス22(大)を同様にして挿入すると、その第2側面22bのエッジ22cが第2支持面14aの高い位置に当接してティッシュボックス22を安定した姿勢で保持することができる。
【0020】
グローブボックス12からティッシュボックス22を取り出せば、その下方の空間12aに物品を出し入れすることができる。このとき、グローブボックス12の内面には段差や突起が存在しないため、段差や突起に引っ掛かることなく物品の出し入れをスムーズに行うことができ、しかも段差や突起によって空間12aの容積が減少することがない。第1支持面13cはグローブボックス12の車幅方向の中間部だけに形成されているため(図5参照)、第1支持面13cの左右に形成された空間に手を入れてティッシュボックス22の出し入れを容易に行うことができる。
【0021】
またグローブボックス12からティッシュボックス22を取り出した状態では、第1支持面13cに設けたカードホルダ20にカード21を挿入したり取り出したりすることができる(図5参照)。またカードホルダ20はU字状に形成されていて挿入したカード21の一部が露出するため、その露出した部分に指の腹を当ててカード21を簡単に取り出すことができる。
【0022】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0023】
例えば、実施の形態ではグローブボックス12の第1支持面13cを手前側に設け、第2支持面14aを向こう側に設けているが、その位置関係は逆であっても良い。
【0024】
また本発明の物品収納部は実施の形態のインストルメントパネル11に設けたグローブボックス12に限定されるものではない。
【0025】
またティッシュボックス22の第1側面22aとグローブボックス12の第1支持面13cとは隙間なく面接触する必要はなく、面状に広がる所定面積の範囲で面接触すれば良い。
【符号の説明】
【0026】
12 グローブボックス(物品収納部)
13c 第1支持面
14a 第2支持面
20 カードホルダ
21 カード
22 ティッシュボックス
22a 第1側面
22b 第2側面
22c エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車室内に設けた物品収納部(12)に異なる寸法のティッシュボックス(22)を収納可能にした自動車用物品収納部構造において、
前記物品収納部(12)は、前記ティッシュボックス(22)の相互に対向する第1側面(22a)および第2側面(22b)のうち、前記第1側面(22a)に面接触する第1支持面(13c)と、前記第2側面(22b)の下側のエッジ(22c)に線接触する第2支持面(14a)とを備え、前記第1支持面(13c)および第2支持面(14a)は上方に向かって相互の間隔が増加するように配置されることを特徴とする自動車用物品収納部構造。
【請求項2】
前記第1支持面(13c)に、カード(21)を保持するカードホルダ(20)を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の自動車用物品収納部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−107567(P2013−107567A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255814(P2011−255814)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】