説明

自動車運転補助ペダル

【課題】運転席の足下の形状や広さが異なる種々の自動車に取り付けてもアクセル操作を容易なものにできる自動車運転補助ペダル1を提供する。
【解決手段】自動車の運転席の足元に固定されるベース2と、長手方向が自動車の左右方向に向けられ、前記ベース2に回転自在なトルク伝達軸3と、自動車のアクセルペダルの踏付け面Afに密接して配置され、その下端が前記トルク伝達軸3の右端に固着されるアクセルペダル押圧部(5、6)と、自動車のブレーキペダルBの左側に配置され、その下端が前記トルク伝達軸3の左端に固着される補助操作ペダル4と、を備える自動車運転補助ペダル1において、前記補助操作ペダル4は、前記トルク伝達軸3に直角に固着されるペダル支持材42と、前記ペダル支持材42に回動可能に任意の角度で係止する角度調節部43と、該角度調節部43に固着される操作板41と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートマチック自動車を運転する際に左足でアクセルペダルの操作を行うことができるようにする自動車運転補助ペダルに関する。
【背景技術】
【0002】
オートマチック自動車の運転席の足下には、アクセルペダルとブレーキペダルの2個のペダルが設置されている。アクセルペダルは右足で操作することを前提としているため、運転席の床部の中央前方に設置されているブレーキペダルの右側に配置されている。従って、右足に障害がある場合等にこのようなオートマチック自動車を運転するには、右側に配置されているアクセルペダルを左足で操作しなければならず、運転をすることが困難であった。
【0003】
このような問題を解消するために、本願発明者は、特許文献1に開示されている自動車運転補助ペダルを開発した。この自動車運転補助ペダルは、ブレーキペダルの左側に配置された補助操作ペダルと、アクセルペダルの踏付面に沿って転動する円筒形のローラが先端部に設けられたアクセルペダル押圧部と、その長手方向が自動車の左右方向に向けられ、且つ運転席の床面に沿った状態で床面上に回転自在に支持されたトルク伝達軸とから主に構成されている。前記補助操作ペダルは、トルク伝達軸の左側端部においてトルク伝達軸に対して略直角に固定されており、また、前記アクセルペダルは、トルク伝達軸の右側においてトルク伝達軸に対して略直角に設けられている。
【0004】
運転手が補助操作ペダルを左足で踏み付けると、その踏付け力は、トルク伝達軸を伝達して、その右側に設けられたアクセルペダル押圧部の回転力として作用し、これによりアクセルペダル押圧部の先端部に設けられたローラがアクセルペダルを押圧するようになっている。したがって、この自動車運転補助ペダルによれば、右足の不自由な障害者であっても、左足で楽にアクセルペダルの操作をすることができる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−353046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のような自動車運転補助ペダルは、補助操作ペダルがトルク回転軸の左端に固定されており、補助操作ペダルのトルク回転軸に対する角度を調節することはできなかった。一方、自動車の運転席の足下の広さや形状は車種によって多様であり、特許文献1のような自動車運転補助ペダルでは、車種によっては足首の屈曲に無理があったり、不自然な状態でアクセルペダルを押圧しなければならない場合があるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、運転席の足下の形状や広さが異なる種々の自動車に取り付けてもアクセル操作を容易なものにできる自動車運転補助ペダルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1記載の自動車運転補助ペダルは、自動車の運転席の足元に固定されるベースと、長手方向が自動車の左右方向に向けられ、前記ベースに回転自在に取り付けられるトルク伝達軸と、自動車のアクセルペダルの踏付け面に密接して配置され、その下端が前記トルク伝達軸の右端に固着されるアクセルペダル押圧部と、自動車のブレーキペダルの左側に配置され、その下端が前記トルク伝達軸の左端に固着される補助操作ペダルと、を備える自動車運転補助ペダルにおいて、前記補助操作ペダルは、前記トルク伝達軸に直角に固着されるペダル支持材と、前記ペダル支持材に回動可能に軸着するとともに任意の角度で係止する角度調節部と、該角度調節部に固着される操作板と、を有すること特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る自動車運転補助ペダルによれば、補助操作ペダルは運転者が踏みつけて操作する踏付け板とトルク伝達軸との角度を調節可能であるので、自動車の運転席の足下の広さや形状によって当該角度を調節することで、運転者は無理のない姿勢で自動車運転補助ペダルを操作することができる。したがって、運転席の足下の広さや形状が異なる種々の自動車に取り付けてもアクセルの操作が容易なものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のに係る自動車運転補助ペダル1の実施形態について説明する。自動車運転補助ペダル1は、図1に示すように、右足の不自由な障害者がオートマチック自動車を運転する際に、運転席の右側に配置されたアクセルペダルAを左足で操作可能とするものであって、自動車の運転席の床面に自動車運転補助ペダル1を自動車の運転席の床面に固定するベース2と、自動車の左右方向に長尺な丸棒上であって、長手方向を軸としてベース2に回転自在に支持されるトルク伝達軸3と、ブレーキペダルBの左側に配置されるように、その根元がトルク伝達軸3に溶接固定された補助操作ペダル4と、アクセルペダルAの踏付け面Af付近に配置されるように、その根元がトルク伝達軸3に固定されたアクセルペダル押圧レバー5と、アクセルペダル押圧レバー5の先端部に設けられアクセルペダルAの踏付け面Afを押圧するアクセルペダル押圧部材6と、アクセルペダルAのアクセルペダル押圧部材6を挟んで反対側に配置されるように、ベース2に固定されるストッパ7と、を備えてなるものである。
【0011】
自動車の運転者が補助操作ペダル4を踏みつけると、補助操作ペダル4に前向きの力が加わる。補助操作ペダル4に伝わった前向きの力は、トルク伝達軸3に左側から見て反時計回りとなる回転力として伝わる。トルク伝達軸3に回転力が加わるとアクセルペダル押圧レバー5にアクセルペダルA方向への力として伝達され、アクセルペダル押圧部材6によって、アクセルペダルAが押下される。すなわち、補助操作ペダル4を踏みつけた力は、トルク伝達軸3、アクセルペダル押圧レバー5およびアクセルペダル押圧部材6を介してアクセルペダルAに伝わる。
【0012】
一方、アクセルペダルAは押下されると、元に戻ろうとする力が働くので、アクセルペダル押圧部材6を介して、アクセルペダル押圧レバー5に後ろ向きの力が加わる。アクセルペダル押圧レバー5に加わった後ろ向きの力は、トルク伝達軸3に右側から見て反時計回りの回転力として伝わる。そして、トルク伝達軸3に加わった回転力は補助操作ペダル4に後ろ向きの力として伝わる。すなわち、アクセルペダルAが元に戻ろうとする力は、アクセルペダル押圧部材6、アクセルペダル押圧レバー5およびトルク伝達軸3を介して、補助操作ペダル4に後ろ向きの力として伝わる。
【0013】
なお、本実施例において左および右とは、自動車を直進させたときの進行方向から見て左および右方向をいう。また、本実施例において前および後ろは、自動車の前進方向を前、自動車の後退方向を後ろという。
【0014】
次に、補助操作ペダル4について図2および図3を参照しつつ説明する。運転者が左足で操作することができる補助操作ペダル4は、運転者が踏みつける操作板41をペダル支持材42で支持する構成となっている。操作板41はステンレス等からなる略矩形の平板であって、運転者が踏みつける面の反対側の面には、平板状の一対の挟持部43が溶接固定されている。また、一対の挟持部43には、それぞれ円形の軸穴43aと円弧状の角度調節穴43bが設けられている。ペダル支持材42は、側面に2個の螺子穴42a、42bが貫通しており、この螺子穴42a、42bは挟持部43の軸穴43aおよび角度調節穴43bにそれぞれ整合する。そして、軸穴43aおよび螺子穴42aにボルト44aを挿入し、角度調節穴43bおよび螺子穴42bにボルト44bを挿入し、ボルト44a、44bをそれぞれナット45a、45bで螺合することで、ペダル支持材42と挟持部43を固定する。これにより、挟持部43に固定された操作板41はペダル支持材42に固定されて、支持される。
【0015】
上記のボルト44a、44bおよびナット45a、45bを緩めると、操作板41は、一対の挟持部43の軸穴43aを軸にしてペダル支持部材42に対して30度の角度で揺動可能となる。すなわち、挟持部43の軸穴43aおよびペダル支持部材42の螺子穴42aに挿入されたボルト44aが軸となり、挟持部43の角度調節穴43bがボルト44bに対して円弧状にスライドすることで、挟持部43および操作板41が揺動できる。そして、ボルト44a、44bおよびナット45a、45bを締めることで、操作板41をペダル支持部材42に任意の角度で固定することができる。このように、操作板41が任意の角度で固定できることで、運転席の足元の形状が異なる様々な自動車に自動車運転補助ペダル1を取り付けても運転し易い角度に調節することができるので、無理のない姿勢で運転できる。
【0016】
なお、本発明における「角度調節部」は本実施形態においては挟持部43がこれに相当する。
【0017】
次に、アクセルペダル押圧レバー5およびアクセルペダル押圧部材6について図4から図9を参照しつつ説明する。アクセルペダル押圧レバー5はステンレス等からなる角形パイプ51と、角形パイプ51の内側にスライド自在に嵌挿され所定位置でネジ固定された角形バー52と、を備えるものである。このアクセルペダル押圧レバー5は、トルク伝達軸3とほぼ直交するように、その下端がトルク伝達軸3の右端付近に溶接固定され、その先端がアクセルペダルAの踏付け面Af付近に配置されている。また、図4および図5に示すように角形バー52を角形パイプ51に沿ってスライドさせてアクセルペダル押圧レバー5の全長を伸張しまたは短縮することにより、自動車のメーカーや車種によってアクセルペダルAの踏付け面Afの高さ位置が異なる場合でも、これに応じてアクセルペダル押圧レバー5の先端部をアクセルペダルAの踏付け面Af付近に配置することができる。
【0018】
アクセルペダル押圧部材6は、図6に示すように、アクセルペダルAの踏付け面Afの縦方向に列設された4個のローラー61と、4個のローラー61を回転自在に支持するとともにアクセルペダル押圧レバー5の先端付近に回動自在に取り付けられたローラー支持部材62と、を備えてなるものである。ローラー支持部材62はステンレス等からなり、ローラー61を支持するための支持部62aと、支持部62aの長手方向中央部から突設されアクセルペダル押圧レバー5の先端付近に取り付けるための取付部62bと、を具備するものであり、支持部62aと取付部62bとを貫通して支軸挿通孔62cが形成されている。そして、アクセルペダル押圧レバー5の角形バー52の先端付近に設けられたおよびローラー支持部材62の支軸挿通孔62cに支軸ボルト63を差し込み、支軸ナット64を締着することで、ローラー支持部材62をアクセルペダル押圧レバー5に回動自在に設置する。一方、ローラ61は、樹脂等からなる略円筒形状のローラー本体61aが、ベアリング61bの周囲に回転自在に設けられてなるものである。このローラー61はそのベアリング61bが、ローラー支持部材62にネジ等により固定されている。
【0019】
アクセルペダル押圧部材6は、アクセルペダルAの位置に応じて自動車運転補助ペダル1の取付位置やアクセルペダル押圧レバー5の長さなどを調整することにより、図7に示すように、4個のローラー61の全てがアクセルペダルAの踏付け面Afと当接するように設置される。なお、このときローラー61が転動して踏付け面Af上から脱落しにくくするために、ローラー61はなるべく踏付け面Afの上部側に配置することが好ましい。この状態から、運転者が補助操作ペダル4を左足で踏み込むと、各ローラー61が踏付け面Afを略直交する方向に押圧することによりアクセルペダルAが回動し、これに伴って踏付け面Afの傾斜角度が変化する。ここで、前述したように、ローラー支持部材62はアクセルペダル押圧レバー5に対して回動自在に取り付けられているため、踏付け面Afの傾斜角度が変化するのに追従してローラー支持部材62が支軸挿通孔62cを軸として回動することにより、図8に示すように、各ローラー61が踏付け面Afに当接された状態で維持される。これにより、踏付け面Afをローラー61で常に略直角方向に押圧することが可能となり、運転手の踏付け力を効率的にアクセルペダルAに伝達することが可能となっている。また、アクセルペダルAの回動に伴って、各ローラー61は踏付け面Afに沿って下方に転動する。本実施例においては踏付け面Afの縦方向に沿ってローラー61を4個設置しているので、例え最も下側に位置するローラー61が踏付け面Afから脱落した場合でも、他のローラー61により踏付け面Afを押圧することができ、踏付け力をより確実に伝達可能である。
【0020】
なお、本実施例では、アクセルペダル押圧レバー5の角形バー52は長尺な略四角柱形状に形成されているが、図9に示すように、この角形バー52を中間部で所定の角度まで屈曲した形状のものに変更することもできる。このように変更することで、自動車の車種等によってアクセルペダルAが斜め向きに形成されているときにも、本発明を適用することができる。
【0021】
また、本発明における「アクセルペダル押圧部」は本実施形態においては、アクセルペダル押圧レバー5およびアクセルペダル押圧部材6を含む概念である。
【0022】
次に、トルク伝達軸3について、図10から図12を参照しつつ説明する。トルク伝達軸3は、ステンレス等からなる長尺な丸棒である。このトルク伝達軸3はベース2の右端付近に溶接固定される支持板201とベース2の左端付近に溶接固定される伝達軸支持部材202とに挿通されることにより、ベース2上に回転自在に支持される。また、トルク伝達部材3は、支持板201と伝達軸支持部材202との間に配置されトルク伝達部材3の長さを調節して固定する調節ナット8とトルク伝達軸の脱落を防止する脱落防止スプリング9とに挿入される。
【0023】
このトルク伝達軸3は、図11に示すように中央のジョイントで左右に分離でき、左側に配置され補助操作ペダル4の根元と固定される伝達軸左部31と、右側に配置されアクセルペダル押圧レバー5の根元と固定される伝達軸右部32と、からなる。そして、伝達軸左部31の右側端部は左螺子の雄螺子33を形成しており、伝達軸右部32の左側端部は上記の雄螺子33に螺合する雌螺子34を形成している。伝達軸左部材31は、伝達軸支持部材202、脱落防止スプリング9、調節ナット8の順に挿入され、伝達軸右部材32と締着する。なお、伝達軸左部材31の雄螺子33は伝達軸右部材32の雌螺子34に所定の範囲で締め入れることが可能であり、雄螺子33に螺合している調節ナット8を所定位置で伝達軸右部材32に圧接させることで、トルク伝達軸3を所望の長さに固定することができる。トルク伝達軸3の長さを伸縮させると、その左端に固定されている補助操作ペダル4を左右方向に移動させることができる。したがって、運転者が運転し易い任意の位置に補助操作ペダル4の位置を調整することができる。
【0024】
また、脱落防止スプリング9は、調節ナット8に対して右方向の力を加えることとなる。そして、伝達軸支持部材202から伝達軸右部材32までの間の長さは変化しないので、伝達軸右部材32に圧接されている調整ナット8が緩むことを防ぐことができる。
【0025】
補助操作ペダル4が踏付けられると伝達軸左部材31には、左側から見て反時計回りの回転力が加わる。伝達軸左部材31の雄螺子33は左螺子であるので、この反時計回りの回転力は雄螺子33と雌螺子34とを締める方向に働く。一方、アクセルペダルAが押下されたときに戻ろうとする力は、アクセルペダル押圧部材6およびアクセルペダル押圧レバー5を介して、伝達軸右部材32に、右側から見て反時計回りの回転力が伝わる。上記のように、雄螺子33と雌螺子34とは左螺子であるので、右側から見て反時計回りの回転力は雄螺子33と雌螺子34とを締める方向に働く。したがって、自動車運転補助ペダル1を用いて自動車を運転する時に雄螺子33と雌螺子34が緩むことを防止することができ、より安全に操作することができる。
【0026】
次に、ストッパ7について、図13および図14を参照しつつ説明する。ストッパ7は、アクセルペダルAおよびアクセルペダル押圧部材6よりも運転席寄りに配置されることにより、運転者が誤って右足でアクセルペダルを踏むのを防止する役割と、運転者が右足を置いて休めるフットレストとしての役割とを果たすものである。
【0027】
ストッパ7は、ステンレス等により略矩形の平板状に形成された本体板71と、本体板71に略垂直に溶接され支持板201を挟みこむ一対の挟持板72と、本体板71の角度調節を可能にする角度調節孔73aを有する円形部材73と、挟持板72および円形部材73を係止するボルト74およびナット75と、挟持板72を支持板201に軸着するボルト76およびナット77と、を具備する。
【0028】
一対の挟持板72は、それぞれにボルトを挿入できる上部貫通孔72a、下部貫通孔72bを備えている。円形部材73は、支持板201の上面に設置され、角度調節孔73aと上部貫通孔72aをボルト74とナット75とで締着することで、挟持部72に係止される。一方、挟持部72は、支持板201に備わる小軸孔21aと下部貫通孔72bとをボルト76およびナット77で締着することで、支持板201に軸着される。ストッパ7の本体板71は垂直方向からややアクセルペダル押圧部材6の方向に傾いて設置されており、円形部材73の曲面の一部に密接することで支持されている。
【0029】
円形部材73の角度調節孔73aは上下方向に長手形状に形成されており、その内部をボルト74およびナット75を緩めることで、ボルト74を上下にスライドすることができる。そして、ボルト74が上下に移動すると、挟持部72に設けられてた上部貫通孔72aも上下に移動することとなる。貫通孔72aの上下運動は、下部貫通孔72bに差し込まれたボルト76を軸として本体板71および挟持部72を所定の角度で揺動させる。そして、円形部材73は本体板71に密接するように、本体板71の揺動に応じて左右に移動する。
【0030】
上記の構成によりストッパ7の本体板71は角度調節が可能であるとともに、本体板71を常に円形部材73が支える構成により本体板71を確実に固定できる。
【0031】
次に、ベース2について、図15を参照しつつ説明する。ベース2は、トルク伝達軸3やストッパ7等の各部材を取り付けるための上台座20と、運転席の足元に固定するための固定板22と、上台座20と固定板22とを連結するとともに上台座20を着脱可能なものにする下台座21と、を備える構成である。上台座20は、ステンレス等の略矩形の平板状に形成され、左端付近にトルク伝達軸3を支持する伝達軸支持部材202が、右端付近にトルク伝達軸およびストッパを支持する支持板201が備わる。そして、上台座の略左右対称の所定位置にはそれぞれ突起受入孔203、203が、左右方向に略中央部には螺子穴の大径係止孔204が備わる。上記の大径係止孔204には大径係止螺子205が螺着される。
【0032】
また、下台座21は、上台座20と重合するステンレス等の略矩形の平板状に形成され、左右方向直列にほぼ等間隔で固定螺子穴210が5箇所設けられている。また、固定螺子穴210のうち2箇所には、固定螺子211、211が螺着している。さらに、上台座20の大径係止孔204と重合する部分には係止孔212が設けられ、上台座20の突起受入孔203、203と重合する部分にはそれぞれ係止突起213、213が設けられている。そして、固定板22は、左右方向に長手形状のスライド孔221が設けられた平板上に形成され、上記のスライド孔221には略角形で固定螺子211を螺着できる螺子穴が設けられた2個の固定部材222、222がスライド可能に取り付けられている。
【0033】
上記のように構成されるベース2は、運転席の足元にまず固定板22が固定される。この固定板22は運転席の足元の形状に応じて運転席床面に螺子止等で固定される。なお、固定板22は直接運転席床面に固定されなくともよい。運転席の足元の形状に嵌合する形状の金属板などを運転席の足元に固定して、固定板22を当該金属板などにさらに固定してもよい。
【0034】
そして、運転席の足元に固定された固定板22の上には、図示しないカーペットが設置される。このカーペットは従来からある運転席のフロアカーペット等でよく、固定板22のスライド孔221と重なり合う部分に切れ目を設け、そのカーペットを挟んで固定板22の上には、下台座21が設けられる。この下台座21の固定螺子穴210と、固定板22に設けられた固定部材222の螺子穴と、を固定螺子211で螺着して、下台座21を固定する。
【0035】
さらに、下台座21の上には、上台座20が設置される。上台座20の突起受入孔203、203に下台座21の係止突起213、213を嵌合し、上台座20の大径係止孔204と下台座21の係止孔212とを大径係止螺子205で螺着することで、上台座を固定する。なお、大径係止螺子205の螺子頭は直径が2〜3cmと通常の螺子の螺子頭よりも大きく、螺子頭の側面には滑り止めの凹凸が設けられており、レンチやドライバー等の器具を用いなくても比較的容易に着脱できるものである。
【0036】
上記の構成により、自動車運転補助ペダル1は、様々な形状の自動車の足元に固定することができる。また、上台座20が容易に着脱できるので、右足でアクセルペダルを操作する場合には、上台座20を取り外すことで容易に通常の自動車と同じ状態にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、右足の不自由な障害者がオートマチック自動車を運転する際に、左足でアクセルペダルの操作を行うことができるようにするための自動車運転補助ペダルにおいて、安全性を高めるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態の自動車運転補助ペダル1の構成を示す概略斜視図。
【図2】本実施形態の補助操作ペダル4を右側面および自動車前方から見た平面図。
【図3】本実施形態の補助操作ペダル4を右側面から見た角度調節説明図。
【図4】本実施形態のアクセルペダル押圧部材6およびアクセルペダル押圧レバー5を示す概略斜視図。
【図5】アクセル押圧レバー5が伸長した状態を示す概略斜視図。
【図6】アクセルペダル押圧部材6の構成を示す概略平面図。
【図7】アクセルペダル押圧部材6の使用状態を示す側面図
【図8】アクセルペダルが押下されたときのアクセルペダル押圧部材6の状態を示す側面図。
【図9】屈曲したアクセルペダル押圧レバー5を示す斜視図。
【図10】トルク伝達軸3を上方および後方から見た平面図。
【図11】トルク伝達軸3の分解状態を示す斜視図。
【図12】トルク伝達軸3の使用状態を示す斜視図。
【図13】ストッパ7の構成を示す側面図。
【図14】ストッパ7の角度調節を示す側面図。
【図15】ベース2の分解状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0039】
1 自動車運転補助ペダル
2 ベース
3 トルク伝達軸
4 補助操作ペダル
5 アクセルペダル押圧レバー
6 アクセルペダル押圧部材
7 ストッパ
41 操作板
42 ペダル支持部材
43 挟持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の運転席の足元に固定されるベースと、
長手方向が自動車の左右方向に向けられ、前記ベースに回転自在に取り付けられるトルク伝達軸と、
自動車のアクセルペダルの踏付け面に密接して配置され、その下端が前記トルク伝達軸の右端に固着されるアクセルペダル押圧部と、
自動車のブレーキペダルの左側に配置され、その下端が前記トルク伝達軸の左端に固着される補助操作ペダルと、を備える自動車運転補助ペダルにおいて、
前記補助操作ペダルは、前記トルク伝達軸に直角に固着されるペダル支持材と、前記ペダル支持材に回動可能に軸着するとともに任意の角度で係止する角度調節部と、該角度調節部に固着される操作板と、を有することを特徴とする自動車運転補助ペダル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−13091(P2008−13091A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187490(P2006−187490)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(503473895)日本エスタ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】