説明

自己位置取得装置、及び自己位置取得プログラム

【課題】省電力を図りつつ自己位置の測位・更新を行うことを可能にする。
【解決手段】GPS信号処理部により位置情報が取得できたか否かを判断する(ステップS9)。ステップS10での比較結果に基づき、今回取得した位置情報と直近の位置情報との差が所定の距離以上あるか否かを判断する(ステップS11)。差が所定以上ある場合には、GPS信号処理部の操作開始間隔を短くなるよう設定する(ステップS12)。今回取得した位置情報と直近の位置情報との差が所定の距離以上ではない場合は、GPS信号処理部の操作開始間隔をそのままで維持する(ステップS14)。ステップS9の判断がNOであって、GPS信号処理部により位置情報が取得できなかった場合には、GPS信号処理部を頻繁に動作させても無意味であることから、GPS信号処理部の動作開始間隔を長くするよう設定する(ステップS15)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己位置を測位・更新する自己位置取得装置、及び自己位置取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、GPSと加速度センサとを併用して自己位置を案内するナビゲーション技術が知られている。この技術は、GPS信号の受信を一定の受信タイミングで定期的に行って、自己位置を取得するとともに、次のGPS受信タイミングとなるまでは、加速度センサからの出力値に基づき移動方向、移動距離を算出して自己位置を更新する。次のGPS受信タイミングになると、新たなGPS信号を受信して、受信した位置情報に基づき前記更新した自己位置を補正する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−98127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の従来技術においては、加速度センサが動作に要する消費電力よりも大きな消費電力を必要とするGPSによる位置情報の取得を、常時一定の受信タイミングで定期的に行う。したがって、電池を電源として動作する装置に、前記従来技術を採用することは、装置に適切な使用時間を確保する上で不適である。このため、電池を電源として動作する装置においても、適切な使用時間を確保しつつ自己位置の測位・更新を行うこのできる技術の出現が期待されていた。
【0005】
本発明は係る従来の期待に応ずべくなされたものであり、省電力を図りつつ自己位置の測位・更新を行うことのできる自己位置取得装置、及び自己位置取得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、一定の時間間隔で自己位置を取得する自己位置取得手段と、周期的に与えられた振動に基づいて、前記自己位置取得手段によって取得された自己位置からの移動距離を算出する移動距離算出手段と、与えられた振動の方向又は地磁気の方向の少なくとも一方の変化に基づいて、自己の移動方向を算出する移動方向算出手段と、前記移動距離算出手段による算出結果と前記移動方向算出手段による算出結果とに基づいて、前記自己位置を更新する更新手段と、この更新手段によって更新される自己位置と、当該更新手段による更新の際に前記自己位置取得手段によって取得された自己位置とを比較する比較手段と、この比較手段による比較結果に基づいて、前記自己位置取得手段が自己位置を取得する前記一定の時間間隔を調整する調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明において、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記移動距離又は移動方向の少なくとも一方を修正する修正手段を更に備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2記載の発明において、当該装置は携行可能であり、当該装置を動作させるための内部電源を更に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記請求項1、2又3記載の発明において、前記自己位置取得手段によって取得された、又は、前記更新手段によって更新された自己位置を逐次記憶する自己位置記憶手段と、外部からの操作に基づき処置のデータ処理を行うデータ処理手段と、外部からの操作を検出する操作検出手段と、この操作検出手段による操作検出時に前記データ処理手段が処理しているデータと、前記自己位置記憶手段に記憶された直近の自己位置とを関連付ける手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記請求項4記載の発明において、撮像手段を備え、前記データ処理手段が行う処理とは、前記撮像手段によって撮像された画像データを圧縮符号化する処理であることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記請求項1乃至5記載の発明において、前記比較手段による比較の結果、更新手段によって更新される自己位置と、当該更新手段による更新の際に前記自己位置取得手段によって取得された自己位置との差が所定以上であるか否かを判断する第1の判断手段を備え、この第1の判断手段により前記差が所定以上でないと判断された場合、前記調整手段は、前記一定の時間間隔を維持することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記請求項1乃至6記載の発明において、前記自己位置取得手段が前記自己位置を取得できたか否かを判断する第2判断手段を更に備え、前記調整手段は、更に前記第2の判断手段の判断結果に基づいて前記一定の時間間隔を調整することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、前記請求項7記載の発明において、前記調整手段は、前記判断手段により前記自己位置取得手段が自己位置を取得できないと判断された場合、前記間隔が長くなるよう調整することを特徴とする。
【0014】
また、前記の課題を解決するために、請求項9記載の発明は、位置取得部と振動検出部とを備えた電子機器が有するコンピュータを、前記位置取得部に対し、一定の時間間隔で自己位置を取得させる自己位置取得手段、前記振動検出部に対し周期的に与えられた振動に基づいて、前記自己位置取得手段によって取得された自己位置からの移動距離を算出する移動距離算出手段、前記振動検出部に与えられた振動の方向又は地磁気の方向の少なくとも一方の変化に基づいて、自己の移動方向を算出する移動方向算出手段、前記移動方向算出手段による算出結果と前記移動方向算出手段による算出結果とに基づいて、前記自己位置を更新する更新手段、この更新手段によって更新される自己位置と、当該更新手段による更新の際に前記自己位置取得手段によって取得された自己位置とを比較する比較手段、この比較手段による比較結果に基づいて、前記自己位置取得手段が自己位置を取得させる前記一定の時間間隔を調整する調整手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、省電力を図りつつ自己位置の測位・更新を行うことができる。したがって、電池を電源として動作する装置であっても、省電力により適切な使用時間を確保しつつ自己位置の測位・更新を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデジタルカメラの回路構成図である。
【図2】同実施の形態における全体処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】ログデータ記憶更新処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、自己位置取得装置としてのデジタルカメラ1の概略構成を示すブロック図である。このデジタルカメラ1は、バスライン2を介して各部に接続された制御部3を備えている。制御部3は、デジタルカメラ1の各部を制御するワンチップマイコンであり、CPU及びその周辺回路で構成されている。
【0018】
同図において撮像レンズ4は、詳細には光学系部材を実装するレンズユニットである。
撮像部5は、CMOS等のイメージセンサからなり前述の撮像レンズ4の光軸上に配置されている。信号処理部6は、撮像部5から出力される被写体の光学像に応じたアナログの撮像信号が入力される回路であって、入力した撮像信号を保持するCDSと、その撮像信号を増幅するゲイン調整アンプ(AGC)、増幅された撮像信号をデジタルの撮像信号に変換するA/D変換器(A/D)等から構成されている。
【0019】
撮像部5の出力信号は信号処理部6を経て各々デジタル信号として制御部3に送られて、各種画像処理が施されるとともに、縮小加工されて、表示部7に供給される。そして、供給されたデジタル信号(撮像信号)とこの表示部7が内蔵するドライバを駆動する駆動制御信号とが表示部7に入力されると、表示部7はこのデジタル信号(撮像信号)に基づく画像をスルー画像として表示する。
【0020】
また、画像記録時において、制御部3で処理された信号は、さらに圧縮符号化され、所定のファイル形式でファイル化されて、記録媒体であるデータメモリ8に記録され、画像再生時において、データメモリ8から読み出された画像ファイルに含まれる画像データは制御部3で復号化されて表示部7に表示される。操作部9は、シャッターキー91、電源キー92、及び図示しないその他のキー等で構成されている。ワークメモリ10は、随時書き込み可能なRAMであって、作業用のデータや中間ファイルを一時的に記憶する。プログラムメモリ11は、後述するフローチャートに示す処理を実行するプログラム等を記憶する。
【0021】
さらに、バスライン2には、電源制御部12及び位置情報回路部17が接続されている。位置情報回路部17は、GPS信号処理部14、3軸加速度センサ15、及びログデータ記憶部16で構成されている。電源制御部12は、制御部3よる指示に従って、各部に必要な電源を供給する充電池13を制御し、GPS信号処理部14やこのGPS信号処理部14を含む位置情報回路部17等への電源供給を制御する。GPS信号処理部14は、GPS処理用のアプリケーションが格納され、このアプリケーションに沿ってGPS衛星からの信号受信により、現在位置の位置情報(緯度・経度情報)を取得する。ログデータ記憶部16は、この取得した位置情報等を記憶する。
【0022】
3軸加速度センサ15は、当該デジタルカメラ1自身の姿勢に関わらず常に重力加速度の方向を検知しており、制御部3は、この重力加速度の方向に略垂直方向に周期的に振動している場合には、歩行若しくは走行しているものと判断し、また、加速度の周期変動で歩幅を推測する。つまり、制御部3は、振動周期を歩数と見なして推測し、この推測した歩数に基づく移動距離をログデータ記憶部16に記憶する。また、進行方向の変更は、3軸加速度センサ15が取得する地磁気の変化で判断し、ログデータ記憶部16は前記移動方向とともに、移動方向を逐次更新記録する。
【0023】
次に、本実施の形態に係るデジタルカメラ1の動作について、図2及び図3に示すフローチャートに従って説明する。図2は、全体処理を示すフローチャートあり、待機電源状態である測位モードでスタートする。ここで待機電源状態(測位モード)とは、GPS信号処理部14、3軸加速度センサ15、及びログデータ記憶部16で構成される位置情報回路部17に、間欠的に電源が供給されて、位置情報回路部17が間欠動作している状態である。
【0024】
この状態において、制御部3は前記プログラムメモリ11に記憶されたプログラムに従って処理の実行を開始する。そして、まず3軸加速度センサ15からの出力信号に基づき、当該デジタルカメラ1が持ち出されたことを検出したか否かを判断する(ステップS1)。持ち出されたことを検出しない場合には、エンドに進み待機電源状態を継続する。
【0025】
つまり、当該デジタルカメラ1が持ち出されたことが検出されない場合は、ユーザがデジタルカメラ1を携行することなく、例えば机上に放置している場合等が想定されることから、待機電源状態を継続する。この待機電源状態においては、撮像部5や表示部7等には電源が供給されず、前記位置情報回路部17に、間欠的に電源が供給されるのみであることから、充電池13の電力消費を極力抑制することができる。
【0026】
他方、当該デジタルカメラ1が持ち出されたことを検出した場合には、GPS信号処理部14を起動させ、位置情報取得を開始させる(ステップS2)。引き続き、このステップS2での処理により、位置情報が取得できたか否かを判断する(ステップS3)。位置情報が取得できた場合には、即時にGPS信号処理部14を停止させ、取得した位置情報(緯度・経度情報)をログデータ記憶部16に書き込む(ステップS4)。したがって、位置情報が取得できた場合には、即時にGPS信号処理部14を停止させて電源の供給を停止させることから、このステップS4の処理によっても、充電池13の電力消費を抑制することができる。
【0027】
また、ステップS3での判断の結果、位置情報が取得できなかった場合には、ログデータ記憶部16より直近に記録された位置情報を読み出す(ステップS5)。このとき、デジタルカメラ1は、持ち出された直後であることから、直近に記録されている位置情報とデジタルカメラ1の現在位置との誤差は微小である。したがって、GPS信号処理部14により位置情報を取得できなかった場合であっても、ステップS5での読み出し処理により、誤差が微小な現在位置情報を取得することができる。
【0028】
そして、前記ステップS4又はステップS5に続くステップS6では、3軸加速度センサ15からのデータ入力によるログデータ記憶更新処理を実行する。このログデータ記憶更新処理(ステップS6)については、図3のフローチャートに基づき後述するように、当該デジタルカメラ1の移動方向と移動距離とがログデータ記憶部16に更新記憶されていく。
【0029】
引き続き、GPS信号処理部14に対する位置情報取得タイミングとなったか否かを判断する(ステップS7)。この位置情報取得タイミングは、予め規定されている動作間隔でGPS信号処理部14がGPS信号を受信する周期である。したがって、位置情報取得タイミングとなるまでは、GPS信号処理部14に電源を供給させることなくこれを停止させ、その間S6→S7→S6→S7のループを繰り返す。よって、このループが繰り返されることにより、ステップS6の3軸加速度センサ15からのデータ入力によるログデータ記憶更新処理が繰り返し実行される。これにより、3軸加速度センサ15からのデータに基づき、後述するように、ログデータ記憶部16において、デジタルカメラ1(ユーザ)の移動方向と移動距離と更新され、GPS信号処理部14が停止している間においても、逐次現在位置を記録することができる。
【0030】
そして、GPS信号処理部14に対する位置情報取得タイミングとなると(ステップS7→YES)、GPS信号処理部14を起動させ、位置情報取得を開始させる(ステップS8)。引き続き、このステップS8での処理により、位置情報が取得できたか否かを判断する(ステップS9)。位置情報が取得できた場合には、即時にGPS信号処理部14を停止させて、今回取得した位置情報と、直近のログデータ、つまり前述のようにステップS6で更新されている距離及び方向に基づく直近の位置情報とを比較する(ステップS10)。
【0031】
さらに、このステップS10での比較結果に基づき、今回取得した位置情報と直近の位置情報との差が所定の距離以上あるか否かを判断する(ステップS11)。差が所定以上ある場合には、当該デジタルカメラ1を携行したユーザが徒歩等ではなく、自動車や電車等の交通移動手段により高速で移動しているため、加速度センサ15からのデータの信頼性が低いことが想定される。この場合、精度よく現在位置をログデータとして記憶するためには、3軸加速度センサ15によるデータをより頻繁にGPSデータで修正する必要があり、GPS信号処理部14がGPS信号を受信する周期を短くする必要がある。したがって、取得した位置情報であるログデータをログデータ記憶部16に上書きして更新するのみならず、GPS信号処理部14の操作開始間隔を短くなるよう設定する(ステップS12)。
【0032】
しかる後に、操作部9での所定の操作による撮影モード起動指示が検出されたか否かを判断し(ステップS16)、検出されない場合には、前記ステップS6に戻る。したがって、前述のように、位置情報取得タイミングとなるまでは、S6→S7→S6→S7のループを繰り返すことになるが、前記ステップS12でGPS信号処理部14の動作開始間隔を短くするよう設定されているので、従前よりも早期にループを抜けて、GPS信号処理部14による位置情報の取得がなされる(ステップS8)。これにより、自動車や電車等の交通移動手段により高速で移動することによる加速度センサ15からのデータの信頼性が低下しても、精度よく現在位置を更新記憶することができる。
【0033】
また、ステップS11での判断の結果、差が所定の距離以上でない場合には、ステップS1がYESとなった時点におけるログデータと今回取得した位置情報とが差のない範囲であるか否かを判断することにより、持ち出された時からは移動しているか否かを判断する(ステップS13)。持ち出された時からは移動していない場合には、デジタルカメラ1が再び机上などに転置された可能性が高いため、エンドに進んで待機電源状態に戻る。
【0034】
また、持ち出された時からは移動している場合、つまり、今回取得した位置情報と直近の位置情報との差が所定の距離以上ではないが(ステップS11→NO)、持ち出された時からは移動している場合(ステップS13→YES)は、当該デジタルカメラ1を携行したユーザが自動車や電車等の移動手段ではなく、徒歩等により低速で移動していることが想定される。この場合、3軸加速度センサ15によるデータを頻繁にGPSデータで修正する必要はなく、GPS信号処理部14がGPS信号を受信する周期を短くせずとも、精度に影響なく現在位置を更新記憶することができる。
【0035】
したがって、この場合には、取得した位置情報であるログデータをログデータ記憶部16に上書きして更新するとともに、GPS信号処理部14の操作開始間隔をそのままで維持する(ステップS14)。しかし、このステップS14の処理が実行されて動作間隔がそのまま維持されても、前記ステップS12の処理が実行されてGPS信号処理部14の動作間隔が短くされた場合と比較すれば、GPS信号処理部14の動作間隔は長いということができる。よって、充電池13を電源として動作するデジタルカメラ1において、充電池13の電力消費を抑制して適切な使用時間を確保しつつ、自己位置の測位・更新を行うことができる。
【0036】
一方、ステップS9の判断がNOであって、GPS信号処理部14により位置情報が取得できなかった場合には、デジタルカメラ1を携行したユーザが地下街等のGPS信号処理部14がGPS信号を受信できない箇所にいる場合が想定される。したがって、この場合、GPS信号処理部14がGPS信号を受信可能な箇所にユーザが移動するまで、GPS信号処理部14を頻繁に動作させても無意味である。よって、GPS信号処理部14の動作開始間隔を長くするよう設定する(ステップS15)。
【0037】
しかる後に、操作部9での所定の操作による撮影モード起動指示が検出されたか否かを判断し(ステップS16)、検出されない場合には、前記ステップS6に戻る。したがって、前述のように、位置情報取得タイミングとなるまでは、S6→S7→S6→S7のループを繰り返すことになるが、前記ステップS15でGPS信号処理部14の動作開始間隔を長くするよう設定されているので、従前よりもループが多数回繰り返された後、GPS信号処理部14による位置情報の取得がなされる(ステップS8)。
【0038】
したがって、この場合には、GPS信号処理部14の動作間隔が短くされた場合(ステップS12)や、GPS信号処理部14の操作開始間隔をそのままで維持された場合(ステップS14)よりも、GPS信号処理部14の動作間隔は長いものとなる。よって、充電池13を電源として動作するデジタルカメラ1において、充電池13の電力消費を抑制して適切な使用時間を確保しつつ、自己位置の測位・更新を行うことができる。
【0039】
以上に説明したステップS1〜ステップS16で処理により、撮影モードが起動指示が検出されるまでは、測位モードが実行されて、前述のように、GPS信号処理部14、3軸加速度センサ15、及びログデータ記憶部16で構成される位置情報回路部17に、間欠的に電源が供給されて、位置情報回路部17が間欠動作することになる。そして、撮影モードが起動指示が検出されると(ステップS16→YES)、ステップS16からステップS17に進んで、測位モードから撮影モードに移行する。この測位モードから撮影モードへの移行に伴って、撮像部5や表示部7等へも充電池13からの電源供給が開始される。
【0040】
この撮影モードにおいては、シャッターキー91の操作よる記録指示が検出されたか否かを判断する(ステップS18)。記録指示が検出されたならば、撮像部5から信号処理部6を経て制御部3に送られた記録指示時点の画像をデータメモリ8に記録するとともに、直近のログデータ(位置情報)をログデータ記憶部16から読み出し、記録した前記画像のExif(エグジフ)データとして記憶させる(ステップS19)。
【0041】
したがって、本実施の形態に係るデジタルカメラ1によれば、充電池13の電力消費を抑制して適切な使用時間を確保しつつ、撮影画像に撮影位置を付加して記録することができる。これにより、当該撮影画像がどこで撮影されたものであるかを後日確認することができる。
【0042】
また、記録指示が検出されない場合には(ステップS18→NO)、一定時間が経過したか否かを判断する(ステップS20)。そして、記録指示が検出されずに一定時間が経過した場合には(ステップS20→YES)、撮影モードから測位モードに移行した後、ステップS6に戻る。したがって、記録指示が検出されずに一定時間が経過した場合のように、ユーザにおいて撮影意思がないと判断される場合には、撮影モードから測位モードに移行することにより、撮像部5や表示部7等への電源供給が遮断される。これにより、GPS信号処理部14、3軸加速度センサ15、及びログデータ記憶部16で構成される位置情報回路部17に、間欠的に電源が供給されて、位置情報回路部17が再び間欠動作する状態となる。
【0043】
よって、記録指示が検出されずに一定時間が経過した場合のように、ユーザにおいて撮影意思がないと判断される場合には、ユーザの操作を伴うことなく自動的に測位モードに移行することから、これによっても、充電池13の電力消費を抑制することができる。
【0044】
図3は、前記ステップS4又はステップS5に続くステップS6の処理手順を示すフローチャートである。まず、制御部3は、3軸加速度センサ15が検出する三次元方向のうち、常に重力加速度が働いている方向を特定する(ステップS601)。次に、このステップS601で特定された方向に平行して、周期的に加速度がかかる方向や大きさが変動しているか否かを判断する(ステップS602)。前記特定された方向に平行して、周期的に加速度がかかる方向や大きさが変動している場合には、デジタルカメラ1は上下運動をしているものと判断する(ステップS603)。
【0045】
また、制御部3は、上下方向に運動しているものと判断したならば、更に前記特定された方向の垂直平面において、周期的に加速度にかかる方向の大きさが変動しているか否かを判断する(ステップS604)。このように、前記特定された方向の垂直平面において、周期的に加速度にかかる方向の大きさが変動している場合には、デジタルカメラ1を携行したユーザが歩行、若しくは、走行していると判断する(ステップS605)。また、歩行、若しくは、走行していると判断した場合には、前記特定された方向の垂直方面の一周期当たりの加速度成分から、一歩当たりの歩幅を演算する(ステップS606)。そして、前記特定された方向での一周期分の加速度の変化を歩数としてカウントする(ステップS607)。さらに、ステップS606で演算した歩幅と、ステップS607でカウントした歩数とに基づく今回の距離を、ログデータ記憶部16に記憶した直近のデータに加算して移動距離を算出する(ステップS608)。
【0046】
次に、制御部3は、ログデータ記憶部16の直近のデータに移動方向が記録されていないか否かを判断する(ステップS609)。直近のデータに移動方向が記録されていない場合には、前記ステップS608で算出した移動距離のデータを移動方向とともに、直近のデータとしてログデータ記憶部16に記録する(ステップS610)。したがって、次にGPS信号処理部14による位置取得が実行されるまでの間におけるユーザの移動方向と移動距離とを、ログデータ記憶部16に記録することができる。
【0047】
なお、直近のデータに移動方向が記録されている場合には、ログデータ記憶部16に前記ステップS608で算出した移動距離のデータを直近のデータとして記録するとともに、移動方向についてはコピーして記録する(ステップS611)。
【0048】
しかる後に、制御部3は、3軸加速度センサ15からのデータ入力が検出されているか否かを判断し(ステップS612)、3軸加速度センサ15からのデータ入力が検出されなくなるまで、ステップS601からの処理を繰り返す。
【0049】
このように、ステップS601からの処理を繰り返し実行している状態において、前記特定された方向の垂直平面における加速度がかかる方向や大きさの変動が、周期的ではないものとなると、ステップS604の判断がNOとなる。したがって、ステップS604からステップS613に進み、特定された方向の垂直平面において、加速度がかかる方向は大きさが変動したか、又は地磁気の方向が変化したか否かを判断する。そして、前記特定された方向の垂直平面における加速度がかかる方向や大きさの変動が周期的ではなく(ステップS604→NO)、また、その加速度がかかる方向や大きさが変動しない、若しくは、地磁気の方向が変化しない場合(ステップS613→NO)には、ユーザがユーザが歩行、若しくは、走行を停止したものと推定される。よって、この場合には、ステップS618に進んで、ログデータ記憶部16の記憶更新を停止する。
【0050】
しかし、前記特定された方向の垂直平面における加速度がかかる方向や大きさの変動が周期的ではなく(ステップS604→NO)、かつ、加速度がかかる方向は大きさが変動した、若しくは地磁気の方向が変化した場合(ステップS613→YES)には、ユーザがユーザが歩行、若しくは、走行の方向(移動する方向)を変えたと判断する(ステップS614)。したがって、ログデータ記憶部16に直近のデータの移動距離は変えずに、移動する方向を変えたことを直近のデータとして記録する(ステップS615)。
【0051】
また、ステップS602の判断がNOであって、前記特定された方向の垂直平面における加速度がかかる方向や大きさの変動が、周期的ではない場合には、ステップS616に進み、特定された方向の垂直平面において、加速度がかかる方向は大きさが変動したか、又は地磁気の方向が変化したか否かを判断する。そして、前記特定された方向の垂直平面における加速度がかかる方向や大きさの変動が、周期的ではなく(ステップS602→NO)、加速度がかかる方向は大きさが変動せず、又は地磁気の方向が変化しない場合(ステップS616→NO)には、ユーザがユーザが歩行、若しくは、走行を停止したものと推定される。よって、この場合には、ステップS618に進んで、ログデータ記憶部16の記憶更新を停止する。
【0052】
また、前記特定された方向の垂直平面における加速度がかかる方向や大きさの変動が、周期的ではなく(ステップS602→NO)、かつ、加速度がかかる方向は大きさが変動し、又は地磁気の方向が変化した場合(ステップS613→YES)には、ユーザが自動車や電車等の移動手段で移動していると判断する(ステップS617)。この場合にも、ログデータ記憶部16の記憶更新を停止する(ステップS618)。
【0053】
そして、以上に説明したステップS610、S611、S615、S618のいずれかに続くステップS612においては、前述のように、制御部3は、3軸加速度センサ15からのデータ入力が検出されているか否かを判断し、3軸加速度センサ15からのデータ入力が検出されなったならば、前述した図2のフローチャートにおけるステップS7以降の処理を実行することとなる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を示したが、これに限ることなく、携帯型のナビゲーション装置等の電池を電源として動作して自己位置の測位・更新を行う他の電子機器に適用することができる。
【0055】
また、実施の形態においては、ステップS19で撮像された画像データとログデータ記憶部16に記憶された直近のログデータ(位置情報)とを関連付けるようにしたが、ログデータ記憶部16に記憶された直近のログデータと関連付けられるデータは、画像データに限らず、当該装置が処理した文書データ等の他の処理データであってもよい。この場合であっても、関連付けられたログデータに基づき、当該装置がどこにあるときに、データ処理がなされたかを後日確認することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 デジタルカメラ
3 制御部
4 撮像レンズ
5 撮像部
6 信号処理部
7 表示部
8 データメモリ
9 操作部
10 ワークメモリ
11 プログラムメモリ
12 電源制御部
13 充電池
14 GPS信号処理部
16 ログデータ記憶部
17 位置情報回路部
91 シャッターキー
92 電源キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の時間間隔で自己位置を取得する自己位置取得手段と、
周期的に与えられた振動に基づいて、前記自己位置取得手段によって取得された自己位置からの移動距離を算出する移動距離算出手段と、
与えられた振動の方向又は地磁気の方向の少なくとも一方の変化に基づいて、自己の移動方向を算出する移動方向算出手段と、
前記移動距離算出手段による算出結果と前記移動方向算出手段による算出結果とに基づいて、前記自己位置を更新する更新手段と、
この更新手段によって更新される自己位置と、当該更新手段による更新の際に前記自己位置取得手段によって取得された自己位置とを比較する比較手段と、
この比較手段による比較結果に基づいて、前記自己位置取得手段が自己位置を取得する前記一定の時間間隔を調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とする自己位置取得装置。
【請求項2】
前記比較手段による比較結果に基づいて、前記移動距離又は移動方向の少なくとも一方を修正する修正手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の自己位置取得装置。
【請求項3】
当該装置は携行可能であり、当該装置を動作させるための内部電源を更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載の自己位置取得装置。
【請求項4】
前記自己位置取得手段によって取得された、又は、前記更新手段によって更新された自己位置を逐次記憶する自己位置記憶手段と、
外部からの操作に基づき処置のデータ処理を行うデータ処理手段と、
外部からの操作を検出する操作検出手段と、
この操作検出手段による操作検出時に前記データ処理手段が処理しているデータと、前記自己位置記憶手段に記憶された直近の自己位置とを関連付ける手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1、2又は3記載の自己位置取得装置。
【請求項5】
撮像手段を備え、
前記データ処理手段が行う処理とは、前記撮像手段によって撮像された画像データを圧縮符号化する処理であることを特徴とする請求項4記載の自己位置取得装置。
【請求項6】
前記比較手段による比較の結果、更新手段によって更新される自己位置と、当該更新手段による更新の際に前記自己位置取得手段によって取得された自己位置との差が所定以上であるか否かを判断する第1の判断手段を備え、
この第1の判断手段により前記差が所定以上でないと判断された場合、前記調整手段は、前記一定の時間間隔を維持することを特徴とする請求項1乃至5にいずれか記載の自己位置取得装置。
【請求項7】
前記自己位置取得手段が前記自己位置を取得できたか否かを判断する第2判断手段を更に備え、
前記調整手段は、更に前記第2の判断手段の判断結果に基づいて前記一定の時間間隔を調整することを特徴とする請求項1乃至6にいずれか記載の自己位置取得装置。
【請求項8】
前記調整手段は、前記判断手段により前記自己位置取得手段が自己位置を取得できないと判断された場合、前記一定の時間間隔が長くなるよう調整することを特徴とする請求項7記載の自己位置取得装置。
【請求項9】
位置取得部と振動検出部とを備えた電子機器が有するコンピュータを、
前記位置取得部に対し、一定の時間間隔で自己位置を取得させる自己位置取得手段、
前記振動検出部に対し周期的に与えられた振動に基づいて、前記自己位置取得手段によって取得された自己位置からの移動距離を算出する移動距離算出手段、
前記振動検出部に与えられた振動の方向又は地磁気の方向の少なくとも一方の変化に基づいて、自己の移動方向を算出する移動方向算出手段、
前記移動方向算出手段による算出結果と前記移動方向算出手段による算出結果とに基づいて、前記自己位置を更新する更新手段、
この更新手段によって更新される自己位置と、当該更新手段による更新の際に前記自己位置取得手段によって取得された自己位置とを比較する比較手段、
この比較手段による比較結果に基づいて、前記自己位置取得手段が自己位置を取得させる前記一定の時間間隔を調整する調整手段、
として機能させることを特徴とする自己位置取得プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−75343(P2011−75343A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225679(P2009−225679)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】