説明

自己免疫疾患の予測方法

本発明は、対照における自己免疫疾患を検出する方法を提供し、これは、生物学的試料を対象から採取すること;該生物学的試料における少なくとも2個の遺伝子の発現レベルを決定すること;およびそれぞれの遺伝子の発現レベルをスタンダードと比較すること(ここで、該比較により、対象における自己免疫疾患の存在を検出する)による。本発明の方法を行うための組成物およびキットも提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連特許出願
本出願は、2002年3月16日に出願された米国仮特許出願番号60/381,055(全体として、引用により本明細書に取り込まれる)に基づく優先権を主張する。
【0002】
研究費記述
本研究は、米国国立衛生研究所の研究費AI44924、AR02027、AR41943、およびDK58765により支援された。従って、米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本発明は一般に、自己免疫疾患の診断に関する。より具体的には、本発明は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性硬化症、または1型糖尿病の様な自己免疫疾患を有する減少された確率の同定に関する。
【0004】
省略形の表
【表1】

【0005】
【表2】

【0006】
アミノ酸の省略形および対応するmRNAコドン
【表3】

【0007】
背景技術
自己免疫疾患は、米国において何百万もの人々に影響を及ぼす(集団の約3〜5%が影響を受けている)。Jacobson et al., 1997; Marrack et al., 2001を参照されたい。自己免疫疾患の病因は、一般的には、1型(インシュリン依存性)糖尿病(膵β細胞;Kukreja & Maclaren 2000を参照)、多発性硬化症(ミエリン塩基性タンパク質;Ufret-Vincenty et al., 1998を参照)、および甲状腺炎(サイログロブリンまたは甲状腺ペルオキシダーゼ;Martin et al., 1999を参照)の場合で見られる様な、患者の免疫系による器官または組織に対する攻撃を含む。ある種の自己免疫疾患は、関節リウマチにおける滑膜表層、肺、および心臓(Quayle et al., 1992を参照)、および全身性エリテマトーデス(Kotzin 1996を参照)における皮膚、腎臓、および心臓に対する免疫応答を含む、全身性攻撃も特徴とする。
【0008】
疾患症候群の分類、疾患経過の予測、および疾患原因を理解することは、自己免疫の研究の3つの根本的な目標である。自己免疫疾患の診断は、大抵、何度も患者が医師を受診し、そして臨床検査を繰り返し受けることを必要とする。このことは、現在、自己免疫疾患の絶対的予測として有効な単独検査、または臨床検査の組合せがないという事実に主に起因する。例えば、既存の基準を用いて、関節リウマチ(RA)の診断を確実に確立するには、少なくとも3ヶ月間の症状の既往歴を必要とする。
【0009】
自己免疫疾患の迅速かつ正確な診断検査の必要性の重要さは、該疾患の処置へのアプローチの変更により、強調される。最近まで、リウマチ専門医は、新たに診断した患者に対して、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および低用量のコルチコステロイドでの治療を開始していた。疾患が進行すると、さらに、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)が加えられた。現在、リウマチ専門医は、メトトレキセート、レフルノミド、または新規腫瘍壊死因子α(TNF−α)阻害剤(例えば、エタネルセプトおよびインフリキシマブ)の様な新たな薬剤での初期、かつ攻撃的治療が、改善結果をもたらし、そして実際に機能を保護し、かつクオリティー・オブ・ライフを改善し得ることを理解している。Jacobson et al., 1997を参照されたい。しかしながら、該新たな薬剤は高価であり、そして深刻な副作用を生じ得る。従って、それは明確なRA患者で有効に用いられる。
【0010】
それゆえ、個体を自己免疫疾患を有する分類から直ちに除外し得る、改善された診断検査が必要とされる。当該技術分野における該および他の必要性は、本発明の開示により満たされる。
【0011】
要約
本発明は、対象の自己免疫疾患を検出するための方法および組成物を提供する。1つの実施態様において、方法は、(a)生物学的試料を対象から採取すること;(b)該生物学的試料における少なくとも2個の遺伝子の発現レベルを決定すること;および(c)段階(b)で決定されたそれぞれの遺伝子の発現レベルをスタンダードと比較すること(ここで、該比較により、対象の自己免疫疾患の存在を検出する)を含む。1つの実施態様において、自己免疫疾患は、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、1型(すなわち、インシュリン依存性)糖尿病(IDDM)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。1つの実施態様において、生物学的試料は細胞である。1つの実施態様において、細胞は末梢血単核細胞である。1つの実施態様において、対象は動物である。1つの実施態様において、動物は哺乳類である。1つの実施態様において、哺乳類はヒトである。本方法の1つの実施態様において、段階(b)での決定は、ノーザンブロット法、核酸マイクロアレイとのハイブリダイゼーション法、および逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)からなる群から選択される技術を含む。1つの実施態様において、RT−PCR法は定量的RT−PCR法である。
【0012】
本発明の代わりの実施態様において、段階(b)での決定は、配列番号:1〜70で同定される遺伝子の少なくとも2個の遺伝子、少なくとも5個の遺伝子、少なくとも10個の遺伝子、少なくとも20個の遺伝子、少なくとも25個の遺伝子、または全遺伝子の発現レベルの決定である。
【0013】
本発明の方法に従い、1つの実施態様において、比較は、(a)集団におけるそれぞれの遺伝子の平均発現レベルを確立すること(ここで、該集団は、統計学上有意な数の正常対象、および1以上の異なる自己免疫疾患を有する対象を含む);(b)第1の値を、対象での発現レベルが該集団での平均発現レベルより高い、それぞれの遺伝子に対して、そして第2の値を、対象での発現レベルが該集団での平均発現レベルより低い、それぞれの遺伝子に対して指定すること;および(c)段階(b)で指定された値を足し、合計を得ること(ここで、該合計が、対象の自己免疫疾患の存在または非存在の指標となる)を含む。
【0014】
本発明は、対象の自己免疫疾患を診断する方法も提供し、これは、(a)多数の核酸配列を含むアレイを用意すること(ここで、それぞれの核酸配列が、既知の遺伝子に対応する);(b)対象由来の生物学的試料を用意すること(ここで、該生物学的試料は、核酸を含む);(c)該生物学的試料をアレイとハイブリダイズさせること;(d)該生物学的試料がハイブリダイズする該アレイ上の全核酸を検出すること;(e)検出されたそれぞれの核酸についての相対的発現レベルを決定すること;(f)検出された核酸についての相対的発現レベルの特性(profile)を創成すること;および(g)創成された特性をスタンダード特性と比較すること(ここで、該比較により、対象の自己免疫疾患を診断する)を含む。1つの実施態様において、自己免疫疾患は、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、1型(インシュリン依存性)糖尿病(IDDM)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。1つの実施態様において、アレイは、マイクロアレイチップおよびメンブレンベースフィルターアレイからなる群から選択される。代わりの実施態様において、アレイは、配列番号:1〜70で同定される遺伝子の少なくとも2個の遺伝子、少なくとも5個の遺伝子、少なくとも10個の遺伝子、少なくとも20個の遺伝子、少なくとも25個の遺伝子、または全遺伝子を含む。別の実施態様において、アレイは、少なくとも1個の内部対照遺伝子をさらに含む。1つの実施態様において、生物学的試料は細胞である。1つの実施態様において、細胞は末梢血単核細胞である。1つの実施態様において、対象は動物である。1つの実施態様において、動物は哺乳類である。1つの実施態様において、哺乳類はヒトである。
【0015】
本方法の1つの実施態様において、決定は、ノーザンブロット法、核酸マイクロアレイとのハイブリダイゼーション法、および逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)からなる群から選択される技術を含む。1つの実施態様において、RT−PCR法は定量的RT−PCR法である。代わりの実施態様において、決定は、配列番号:1〜70で同定される遺伝子の少なくとも2個の遺伝子、少なくとも5個の遺伝子、少なくとも10個の遺伝子、少なくとも20個の遺伝子、少なくとも25個の遺伝子、または全遺伝子の発現レベルの決定である。
【0016】
本方法の1つの実施態様において、比較は、(a)集団におけるそれぞれの遺伝子についての平均発現レベルを確立すること(ここで、該集団は、統計学上有意な数の正常対象、および1以上の異なる自己免疫疾患を有する対象を含む);(b)第1の値を、対象での発現レベルが該集団での平均発現レベルより高い、それぞれの遺伝子に対して、そして第2の値を、対象での発現レベルが該集団での平均発現レベルより低い、それぞれの遺伝子に対して指定すること;および(c)段階(b)で指定された値を足し、合計を得ること(ここで、該合計が、対象の自己免疫疾患の存在または非存在の指標となる)を含む。
【0017】
本発明は、多数のオリゴヌクレオチドプライマー、および代わりの実施態様において、配列番号:1〜70により表される遺伝子の少なくとも1個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、または全遺伝子の発現レベルを決定するための多数のオリゴヌクレオチドプライマーを利用するための指示書を含むキットも提供する。1つの実施態様において、キットは、対照遺伝子の発現レベルを決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーをさらに含む。
【0018】
図面の簡単な説明
図1Aおよび1Bは、免疫前および免疫後のデータのクラスター分析を表す。
図1Aは、免疫前(対照)またはインフルエンザ抗原による免疫後(IMM、免疫後6〜9日)の個体を比較する非監視下自己組織化マップを表す。図1Aの上段パネルでは、全遺伝子の分析由来の特性が表される。図1Aの下段パネルでは、不変遺伝子を除去した後の特性が表される。個体(11ないし18と呼ばれる)は、ひとくくりにされている。
【0019】
図1Bは、データセットのK平均分析を表す。図1Bにおいて、データは、X軸に示された実験群の対照群に対する比の自然対数として表される。プロットの個々の線は、時間経過での個々の遺伝子の発現比を表す。
【0020】
図2Aおよび2Bは、クラスター分析による免疫および自己免疫疾患分類群の比較を表す。
図2Aにおいて、免疫(免疫後6〜8日)、RA、およびSLE群は、階層的クラスター分析アルゴリズムを用いて分析された(上段パネル)。免疫、MS、および1型糖尿病群は、同様のクラスター分析の対象とされた(下段パネル)。
【0021】
図2Bにおいて、K平均を用いて、全4つの自己免疫疾患群において、一様に過剰発現された遺伝子(左パネル)または低発現された遺伝子(右パネル)の2つの別々のクラスターが同定された。データは、免疫群またはそれぞれの自己免疫疾患群(1型糖尿病、MS、RA、またはSLE)の対照群に対する比の自然対数として表される。
【0022】
図3Aおよび3Bは、自己免疫疾患集団における最も低発現遺伝子および過剰発現遺伝子の個体ベースの分析を表す。個々の遺伝子の発現レベルは、10の対照個体(黒で塗りつぶされた棒)および25の自己免疫疾患の個体(グレーの破線の棒)の間で比較された。
図3Aは、10個の最も過剰発現遺伝子の発現レベルを表す。
図3Bは、10個の最も低発現遺伝子の発現レベルを表す。
【0023】
図4は、自己免疫疾患の分類および予測を表す。スコア(Y軸)は、異なる集団から分析されたそれぞれの個体試料(X軸)に対して、示される。P値は、次の、免疫=0.9;SLE=1E−08;RA=4E−07;IDDM=1E−06;MS=1E−06;SLE(2)=8E−07;RA(2)=5E−07;およびファミリー=1E−06として表される、レジェンドで表される。該スコアをもたらすために利用された35の遺伝子は次のものであった。TGM2、SSP29、TAF2I、LLGL2、TNFAIP2、SIP1、BPHL、TP53、DIPA、ASL、GNB5、MAN1A1、R09503、LOC51643、BMP8、ORC1L、W04674、R94175、CDH1、SUDD、EPB72、CDKN1B、CASP6、TXK、MYO1C、LIF、HSJ2、BRCA1、GUCY1B3、AP3S2、N68565、SC65、UB32G2、SLC16A4、およびMMP17。
【0024】
配列表の簡単な説明
配列番号:1および2は、それぞれ、ヒトトランスグルタミナーゼ2(TGM2)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA156324およびNM_004613)。
【0025】
配列番号:3および4は、それぞれ、ヒト酸性(ロイシンリッチ)核リンタンパク質32ファミリー、メンバーB(ANP32B、銀染色性タンパク質29とも呼ばれる;SSP29)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA489201およびNM_006401)。
【0026】
配列番号:5および6は、それぞれ、ヒトTATAボックス結合タンパク質(TBP)関連因子11(TAF11)RNAポリメラーゼII、28キロダルトン(kDa)遺伝子(TAF2I)に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号N92711およびNM_005643)。
【0027】
配列番号:7および8は、それぞれ、ヒト致死性巨大幼虫相同体2(LLGL2)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号T40541およびNM_004524)。
【0028】
配列番号:9および10は、それぞれ、ヒト腫瘍壊死因子、α誘導性タンパク質2(TNFAIP2)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA457114およびNM_006291)。
【0029】
配列番号:11および12は、それぞれ、運動ニューロンタンパク質生存相互作用タンパク質1(SIP1)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号N26026およびNM_003616)。
【0030】
配列番号:13および14は、それぞれ、ヒトビフェニル加水分解酵素様(BPHL;セリン加水分解酵素;乳房上皮ムチン関連抗原)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA171449およびNM_004332)。
【0031】
配列番号:15および16は、それぞれ、ヒト腫瘍タンパク質p53(TP53;リー・フラウメニ症候群)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号R39356およびNM_000546)。
【0032】
配列番号:17および18は、それぞれ、ヒト肝炎δ抗原相互作用タンパク質A(DIPA)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号N94820およびNM_006848)。
【0033】
配列番号:19および20は、それぞれ、ヒトアルギノコハク酸分解酵素(ASL)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA486741およびNM_000048)。
【0034】
配列番号:21および22は、それぞれ、DKFZp586O1922として同定されたヒト遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号H08753およびAL117471)。
【0035】
配列番号:23および24は、それぞれ、ヒトマンノシダーゼ、α、クラス1A、メンバー1(MAN1A1)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号T91261およびNM_005907)。
【0036】
配列番号:25は、GenBankデータベースにおいてR09503と呼ばれる、発現配列タグ(EST)の核酸配列である。該遺伝子は、ヒト染色体2由来のライブラリーCITB_978_SKBの2p21〜2p22 BAC 41M14のSPG4候補領域由来のBAC配列の塩基106283から106592に対して、実質的相同性を示す(配列番号:26;GenBank受託番号AL121657.4)。
【0037】
配列番号:27は、GenBank受託番号AA130874の部分cDNAの核酸配列である。該遺伝子は、ヒトCGI−119遺伝子に対して実質的相同性を示す(配列番号:28;GenBank受託番号NM_016056)。
【0038】
配列番号:29および30は、それぞれ、ヒト骨形成タンパク質8(骨原性タンパク質2;BMP8)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA779480およびNM_001720)。
【0039】
配列番号:31および32は、それぞれ、ミトコンドリアの膜前駆体外側のヒトシトクロムb5に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号W04674およびNM_030579)。
【0040】
配列番号:33および34は、それぞれ、ヒト複製開始点認識複合体、サブユニット1様(ORC1L)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号R83277およびNM_004153)。
【0041】
配列番号:35は、GenBankデータベースにおいてR94175と呼ばれるESTの核酸配列である。該ESTは、ヒト染色体14由来のライブラリーRPCI−11のBACクローンR−431H16の塩基68656から68886に対して、実質的相同性を示す(配列番号:36;GenBank受託番号AL161665.5)。
【0042】
配列番号:37および38は、それぞれ、ヒトカドヘリン1、タイプ1、E−カドヘリン(上皮;CDH1)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号H97778およびNM_004360)。
【0043】
配列番号:39および40は、それぞれ、Aspergillus nidulans由来のbimD6相同体のヒトsudDサプレッサー(SUDD)、転写物変異体1遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号T54144およびNM_003831)。
【0044】
配列番号:41および42は、それぞれ、ヒトストマチンに対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号R62817およびNM_004099)。
【0045】
配列番号:43および44は、それぞれ、ヒトサイクリン依存性キナーゼインヒビター1B(CDKN1B)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA630082およびNM_004064)。
【0046】
配列番号:45および46は、それぞれ、ヒトカスパーゼ6(CASP6)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号W45688およびNM_001226)。
【0047】
配列番号:47および48は、それぞれ、ヒトTXKチロシンキナーゼ(TXK)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号H12312およびNM_003328)。
【0048】
配列番号:49および50は、それぞれ、ヒトミオシンIC(MYO1C)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA485871およびNM_033375)。
【0049】
配列番号:51および52は、それぞれ、ヒト白血病抑制因子(LIF)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA026609およびNM_002309)。
【0050】
配列番号:53および54は、それぞれ、ヒトDnaJ相同体、スーパーファミリーA、メンバー1(DNAJA1)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号R45428およびNM_001539)。
【0051】
配列番号:55および56は、それぞれ、ヒト乳癌1、初期(BRCA1)、転写物変異体BRCA1a遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号H90415およびNM_007294)。
【0052】
配列番号:57および58は、それぞれ、ヒトグアニル酸シクラーゼ1、可溶性、β3(GUCY1B3)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA458785およびNM_000857)。
【0053】
配列番号:59および60は、それぞれ、ヒトアダプター関連タンパク質複合体3、σ2サブユニット(AP3S2)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号R33031およびNM_005829)。
【0054】
配列番号:61および62は、それぞれ、GenBankデータベースの受託番号N68565に挙げられる、ヒトレチキュロン4(RTN4)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号N68565およびNM_007008)。
【0055】
配列番号:63および64は、それぞれ、ラットシナプトネマ複合タンパク質(SC65)遺伝子に類似のヒト55kDa核小体自己抗原に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号W81191およびNM_006455)。
【0056】
配列番号:65および66は、それぞれ、ヒトユビキチン結合酵素E2G 2(UBC7相同体、酵母;UBE2G2)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号AA443634およびNM_003343)。
【0057】
配列番号:67および68は、それぞれ、ヒト溶質キャリアーファミリー16、メンバー4(SLC16A4)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号R73608およびNM_004696)。
【0058】
配列番号:69および70は、それぞれ、ヒト基質メタロプロテイナーゼ17(MMP17)遺伝子に対応する、部分cDNAおよび全長cDNAの核酸配列である(GeneBank受託番号R42600およびNM_016155)。
【0059】
詳細な説明
本発明は、対象の自己免疫疾患を検出する方法に関し、これは、対象から単離された生物学的試料において選択された遺伝子について遺伝子発現特性を分析すること、および該遺伝子発現特性をスタンダードと比較することによる。1つの実施態様において、方法は、自己免疫疾患を有することが疑われている対象から単離された末梢血単核細胞における、発現された遺伝子セットの発現レベルを決定すること、および該遺伝子の該発現レベルを、正常対象および自己免疫疾患の確定した対象での該遺伝子の発現レベルと比較することを含む。本発明の方法を用いて、対象が自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、および/または1型(インシュリン依存性)糖尿症)を有するか否か、または対象が自己免疫疾患を有さないか否かを決定することが可能である。
【0060】
対象が自己免疫疾患を有するか否かの決定において、多くの遺伝子の発現レベルが、マイクロアレイまたはメンブレンベースフィルターアレイを用いて、同時に分析され得る。代表的なフィルターアレイは、GF211 Human 哲amed Genes GENEFILTERS[登録商標]Microarrays Release 1(RESGEN[商標]、Invitrogen Corporation事業部、Carlsbad, California, United States of Americaより市販)であるが、他のアレイも用いられ得る。GF211アレイを用いて、生物学的試料の4000を超える遺伝子の発現レベルを同時に決定することが可能である。さらに、ある種の「ハウスキーピング」遺伝子がGF211フィルター上に存在することにより、実験間のデータが比較可能となる。これにより、新たに得られたデータのスタンダード(例えば、事前に作られたスタンダード)との比較が容易となる。
【0061】
I.定義
次の用語は、当該技術分野の通常の技術者により、よく理解されると思うが、次の定義は、本発明の説明を容易にするために説明される。
長年の特許実務に従い、名詞は、本出願(請求項を含む)で用いられる場合、単数または複数を意味する。
【0062】
本明細書で用いられる用語「約」は、質量、重量、時間、量、濃度、またはパーセンテージの値または量に言及される場合、開示の方法を行うのに適当であるように、特定された量から±20%または±10%、別の例では、±5%、別の例では、±1%、そしてなお別の例では、±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0063】
本明細書で用いられる「有意」または「有意な」は、2以上の実体間のランダムでない関係が存在する確率の統計的分析に関する。関係が「有意」であるか、あるいはデータの「有意な」統計上の操作を有するか否かを決定することは、「p値」として表される確率を計算するために行われ得る。使用者により定義されたカットオフポイント以下となるp値が有意であるとみなされる。1つの例では、p値は0.05未満または同等、別の例では、0.01未満、別の例では、0.005未満、そしてなお別の例では、0.001未満が有意であるとみなされる。
【0064】
I.A.核酸
本発明に従い利用される核酸分子は、発現が自己免疫疾患の存在または非存在を評価する際に決定されることが望まれる、任意の核酸分子を含む。代表的な核酸分子は、配列番号:1〜70の任意の1つである単離核酸分子、相補的DNA分子、配列番号:1〜70の任意の1つと本明細書に開示される80%の同一性を有する配列、本明細書で開示される条件下で配列番号:1〜70の任意の1つとハイブリダイズ可能な配列、および対応するRNA分子を含むが、これらに制限されない。
【0065】
本明細書で用いられる「核酸」および「核酸分子」は、任意のデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により生成されたフラグメント、および任意のライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用、およびエキソヌクレアーゼ作用により生成されたフラグメントを意味する。核酸は、天然に存在するヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド、およびリボヌクレオチド)、または天然に存在するヌクレオチドの類似体(例えば、天然に存在するヌクレオチドのα鏡像異性体形)であるモノマー、または両者の組合せを含み得る。修飾ヌクレオチドは、糖部分、および/またはピリミジンまたはプリン塩基部分での修飾を有し得る。糖修飾は、例えば、1以上のヒドロキシル基のハロゲン、アルキル基、アミン、およびアジド基での置換を含む。糖は、エーテルまたはエステルとしても機能化され得る。さらに、糖部分全体は、アザ糖および炭素環式糖類似体の様な立体的かつ電子的に類似の構造体で置換され得る。塩基部分の修飾の例は、アルキル化プリンおよびピリミジン、アシル化プリンまたはピリミジン、または他のよく知られた複素環式置換基を含む。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合、またはホスホジエステル結合の類似のものにより結合され得る。ホスホジエステル結合の類似のものは、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホアニリデート)、ホスホルイミデート等を含む。
【0066】
別段に示されていなければ、特定のヌクレオチド配列は、相補的配列、部分配列、伸長配列、ならびに明確に示された配列も暗に包含する。用語「核酸分子」または「ヌクレオチド配列」は、「遺伝子」、「cDNA」、または「mRNA」の代わりにも用いられ得る。核酸は、任意の生物を含む任意の供給源からもたらされ得る。1つの実施態様において、核酸は、対象から単離された生物学的試料からもたらされる。
【0067】
用語「部分配列」は、より長い核酸配列の部分を含む核酸の配列を意味する。例示的部分配列は、プローブ、またはプライマーである。本明細書で用いられる用語「プライマー」は、1つの例では、選択された核酸分子の約8以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、別の例では、10〜20のヌクレオチド、そしてなお別の例では、20〜30のヌクレオチドを含む連続配列を意味する。本明細書で開示されるプライマーは、標的核酸分子への重合を開始させるのに十分な長さかつ適当な配列のオリゴヌクレオチドを包含する。
【0068】
用語「伸長配列」は、核酸に取り込まれたヌクレオチド(または、他の類似分子)の付加を意味する。例えば、ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)は、核酸分子の3’末端に配列を付加し得る。さらに、ヌクレオチド配列は、プロモーター、プロモーター領域、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、イントロン配列、さらなる制限酵素部位、マルチクローニングサイト、および他のコードセグメントの様な他のDNA配列と組み合わされ得る。
【0069】
本明細書で用いられる用語「オープンリーディングフレーム」および「ORF」は、共通する意味を与えられ、そしてポリペプチドまたはポリペプチドのフラグメントをコード化する、連続するデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを意味する。mRNAを形成するためにRNA前駆体をスプライスする生物においては、ORFはゲノム中で不連続であろう。スプライシングは、ポリペプチドを産生するために翻訳され得る、連続ORFを産生する。全長cDNAにおいて、完全ORFは、開始コドンで始まり、そして停止コドンで終結する該核酸配列を含む。全長でないcDNA分子においては、ORFは、対応する全長cDNAの完全ORFに含まれる非全長cDNAに存在する該核酸配列を含む。
【0070】
本明細書で用いられる用語「コード配列」は、「オープンリーディングフレーム」および「ORF」と共に互換使用され、そしてmRNA、rRNA、tRNA、snRNA、センスRNA、またはアンチセンスRNA(これらに制限されない)を含むRNAに転写される核酸配列を意味する。次に、該RNAは試験管内または生体内で翻訳され、タンパク質が産生され得る。
【0071】
本明細書で用いられる用語「相補的」および「相補的配列」は、塩基対間での水素結合の形成の際に互いに対形成可能な逆向きのヌクレオチドを含む、2つのヌクレオチド配列を意味する。本明細書で用いられる用語「相補的配列」は、本明細書で説明される同一ヌクレオチド比較により決定され得る、実質的に相補的なヌクレオチド配列を意味するか、あるいは本明細書で記載されるものの様な比較的ストリンジェントな条件下で、対象の核酸セグメントとハイブリダイス可能であると同定される。1つの実施態様において、相補的配列は、対形成能を有するヌクレオチド配列と少なくとも80%相補的である。別の実施態様において、相補的配列は、対形成能を有するヌクレオチド配列と少なくとも85%相補的である。別の実施態様において、相補的配列は、対形成能を有するヌクレオチド配列と少なくとも90%相補的である。別の実施態様において、相補的配列は、対形成能を有するヌクレオチド配列と少なくとも95%相補的である。別の実施態様において、相補的配列は、対形成能を有するヌクレオチド配列と少なくとも98%相補的である。別の実施態様において、相補的配列は、対形成能を有するヌクレオチド配列と少なくとも99%相補的である。なお別の実施態様において、相補的配列は、対形成能を有するヌクレオチド配列と100%相補的である。相補的核酸セグメントの具体的な例は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0072】
用語「遺伝子」は、生物学的機能と関係するDNAの任意のセグメントを広範に意味する。遺伝子は、コード配列、プロモーター領域、転写制御配列、制御タンパク質に特異的な認識配列である非発現DNAセグメント、所望のパラメーターを有するように設計されたDNAセグメント、またはそれらの組合せを含むが、これらに制限されない。遺伝子は、生物学的試料からの単離またはクローニング、既知または予測配列情報に基づく合成、および現在の配列の組換え誘導を含む、様々な方法により得られ得る。
【0073】
本明細書で用いられる用語「既知遺伝子」および「参考遺伝子」は、互換使用され、そして、特定の発現配列タグ(EST)、部分cDNA、全長cDNA、または遺伝子に対応するとして同定され得る核酸配列を意味する。1つの実施態様において、参考遺伝子は、遺伝子、cDNA、または核酸配列が決定された(すなわち、既知の)ESTである。別の実施態様において、参考遺伝子は、配列番号:1〜70で開示される核酸配列の1つにより表される。別の実施態様において、参考遺伝子は、配列番号:1〜70で開示される核酸配列の1つと相補的な核酸配列により表される。別の実施態様において、参考遺伝子は、配列番号:1〜70の任意の1つと80%の同一性を有する核酸配列により表される。別の実施態様において、参考遺伝子は、本明細書に開示された条件下で配列番号:1〜70の任意の1つとハイブリダイズ可能な核酸配列により表される。別の実施態様において、参考遺伝子は、配列番号:1〜70の任意の1つに対応するRNA分子により表される。別の実施態様において、参考遺伝子は、アレイ上に存在する核酸配列により表される。
【0074】
本明細書で用いられる用語「対応する」、および「表す」、「より表される」、およびそれらの文法上の派生語は、遺伝子に対応するかまたは表す核酸配列との関係で用いられる場合、特定の遺伝子座、遺伝子、または遺伝子産物(例えば、mRNA)由来の転写、逆転写、または複製から生じる核酸配列を意味する。言い換えると、特定の参考遺伝子に対応するEST、部分cDNA、または全長cDNAは、当該技術分野の通常の技術者が、該参考遺伝子の転写または複製産物(例えば、参考遺伝子の転写により産生された産物)であるとして認識する核酸配列である。当該技術分野の通常の技術者は、EST、部分cDNA、または全長cDNAが、mRNAをESTまたはcDNAに転換させるための試験管内操作により(例えば、参考遺伝子から転写された単離RNA分子の逆転写により)、産生されることを理解するだろう。当該技術分野の通常の技術者は、逆転写産物が2本鎖DNA分子であること、および該2本鎖分子の所定の鎖が、遺伝子のコード鎖または非コード鎖のいずれかを与え得ることも理解するであろう。配列表に示される配列は1本鎖であるが、本発明が、説明される特定の配列セット、ならびに該配列それぞれの逆/相補鎖を含む、配列番号:1〜70で示される配列により表される遺伝子を包含することが意図されていることは、理解されるべきことである。
【0075】
既知遺伝子および/または参考遺伝子は、表1で説明されるもの(これらに制限されない)の様な、自己免疫疾患の患者対正常患者で差次的に発現されるとして同定された該遺伝子も含むが、これらに制限されない。参考遺伝子は、配列番号:1〜70で開示される核酸配列の1つ(これに制限されない)を含む該遺伝子の1つと実質的にハイブリダイズする核酸配列を含むことも意図されている。または、参考遺伝子は、特定の核酸配列が、配列番号:1〜70で開示されるもの(これらに限定されない)の1つを含む該遺伝子の1つと若干異なるが、これにも関わらず、当該技術分野の通常の技術者が、該特定の核酸配列を、配列番号:1〜70で開示される配列の1つ(これらに限定されない)を含む該遺伝子の1つにより表される遺伝子に対応するとして認識するような、1以上の多型性を有する核酸配列を含む。例えば、GenBankデータベースは、ヒト乳癌1、初期(BRCA1)mRNAに対応するとして同定される、少なくとも3つの受託番号を有する。これら3つは、転写物変異体a、a’、およびbを表し、それぞれ、受託番号NM_007294、NM_007296、およびNM_007295を有する。NM_007294を配列番号:56として同定する本発明は、他の転写物変異体も包含することは理解される。
【0076】
本発明に照らして、参考遺伝子は、配列番号:1〜70で開示される核酸配列の1つにより表される遺伝子に対応する核酸と、実質的にハイブリダイズする核酸配列を含むことも意図されている。または、参考遺伝子は、特定の核酸配列が、配列番号:1〜70で開示されるものと若干異なるが、これにも関わらず、当該技術分野の通常の技術者が、該特定の核酸配列を、配列番号:1〜70で開示される配列の1つにより表される遺伝子に対応すると認識するような、1以上の多型性を有する核酸配列を含む。
【0077】
用語「遺伝子発現」は、一般に、生物学的に活性なポリペプチドがDNA配列から生成されることによる、細胞過程を意味する。一般に、遺伝子発現は、転写および翻訳過程を、新たに翻訳されたタンパク質を活性形に修飾し、そしてそれに適当な細胞下または細胞外位置を割り当てるために細胞で正常に生じる該修飾と共に含む。
【0078】
本明細書で用いられる用語「遺伝子発現レベル」および「発現レベル」は、生物学的試料に存在する遺伝子特異的RNAまたはポリペプチドの量を意味する。RNA分子と関連して用いられる場合、用語「存在量」は、用語「遺伝子発現レベル」および「発現レベル」と共に互換使用され得る。発現レベルは、RNAについての「転写物/細胞」、またはRNAまたはポリペプチドについての「ng/組織1μg」の様な標準的単位で表され得るが、発現レベルがこのように定義される必要はない。または、関連の単位を利用して、発現レベルが記載され得る。例えば、アッセイが内部対照(本明細書で「対照遺伝子」として言及される)を有する場合、それは、例えば、発現レベルが既知であるか、あるいは実際に決定され得る遺伝子由来の既知量の核酸であり、他の遺伝子の未知の発現レベルが、該既知の内部対照と比較され得る。より具体的には、アッセイが、標識全RNAを、既知遺伝子由来の既知量の核酸を含む固体支持体とハイブリダイズさせることを含む場合、適当な内部対照は、全細胞種類において、および全条件下で発現レベルが同じである遺伝子として同定される理想的なハウスキーピング遺伝子であるハウスキーピング遺伝子(例えば、グルコース−6−リン酸脱水素酵素または伸長因子1)であり得る。該内部対照の使用により、相対的発現レベルが、固体支持体または同一固体支持体を用いた異なる実験間でも存在する核酸について決定されること(例えば、ハウスキーピング遺伝子の発現と相対して)が可能となる。該別々の発現レベルは次に、対照遺伝子(例えば、ハウスキーピング遺伝子)の発現レベルに相対的な値に標準化され得る。
【0079】
本明細書で用いられる用語「標準化」およびその文法上の派生語は、参考遺伝子の発現レベルが、対照遺伝子の発現レベルと相対的に発現される、別々の発現レベルのデータの操作を意味する。例えば、対照遺伝子の発現レベルが1と設定され、そして全参考遺伝子の発現レベルが、該対照遺伝子の発現に相対的な単位で表され得る。
【0080】
本明細書で用いられる用語「平均発現レベル」は、どの単位が選択されようとも、集団の特定の生物学的試料における遺伝子の平均発現レベルを意味する。平均発現レベルを決定するために、集団が定義され、そして該集団のそれぞれのメンバー由来の同一生物学的試料を分析することにより、該集団の遺伝子の発現レベルが該集団のそれぞれのメンバーについて決定される。該決定された発現レベルは、次に足され、そして合計が集団のメンバー数で割られる。
【0081】
用語「平均発現レベル」は、2集団を比較するために用いられ得る計算値を意味するためにも用いられる。例えば、自己免疫疾患の状態に関わらず、全患者からなる集団での平均発現レベルが、上記の方法を用いて、統計学上有意な数の自己免疫疾患を有する患者または有さない患者(後者は、「影響されない部分集団」としても言及され得る)からなる集団について計算され得る。しかしながら、集団が、不十分な数の自己免疫疾患を有る患者、および有さない患者からなる場合、該2つの部分集団で差次的に発現された全遺伝子についての計算値は、より多数のメンバーを有する部分集団について決定された発現レベルに対して、偏っているようである。該偏り作用を取り除くために、記載の集団での平均発現レベルは、(a)自己免疫疾患の患者部分集団における遺伝子の平均発現レベルを決定すること;(b)影響を受けない部分集団における同一遺伝子の平均発現レベルを決定すること;(c)2つの決定された値を足すこと;および(d)2つの決定された値の合計を2で割り、値を得ること(この値も本明細書において「平均発現レベル」として定義されている)によっても計算され得る。
【0082】
発現レベルが遺伝子について決定されると、特性が創成され得る。本明細書で用いられる用語「特性」は、様々な対象間の異なる遺伝子の発現レベルを比較するために用いられ得る発現レベルのデータの集積(repository)を意味する。例えば、所定の対象について、用語「特性」は、どんな単位(上で記載)が選択されても、検出された全遺伝子の発現レベルを包含し得る。
【0083】
用語「特性」は、対象由来の発現レベルのデータの操作を包含することも意図されている。例えば、相対的発現レベルが対象における遺伝子の所定のセットについて決定されると、該対象についての相対的発現レベルがスタンダードと比較され、該対象の発現レベルが、スタンダードでの同一遺伝子についてのものより高いかまたは低いかが決定され得る。スタンダードは、比較のために相関すると思われる任意のデータを含み得る。1つの実施態様において、スタンダードは、正常集団(正常集団は、自己免疫疾患を有さない対象として定義されている)における遺伝子の平均発現レベルを決定することにより、調製される。別の実施態様において、スタンダードは、自己免疫疾患(例えば、RA、MS、IDDM、および/またはSLE)を有する対象の集団における遺伝子の平均発現レベルを決定することにより、調製される。第3の実施態様において、スタンダードは、全体(すなわち、対象が、自己免疫疾患の状態に関わらず、一群とされている)としての集団における遺伝子の平均発現レベルを決定することにより、調製される。なお別の実施態様において、スタンダードは、正常集団における遺伝子の平均発現レベル、自己免疫疾患の集団での遺伝子の平均発現レベルを決定すること、該2つの値を足すこと、そして合計を2で割り、該集団における平均発現レベルの中間点を決定することにより、調製される。該後者の実施態様において、「新たな」対象についての特性は、スタンダードと比較され、そして該特性は、それぞれの遺伝子について、新たな対象の発現レベルがスタンダードにおける該遺伝子の発現レベルより高いかまたは低いかどうかを示すデータをさらに含み得る。例えば、新たな対象の特性は、対象での発現がスタンダードでのものより高い、それぞれの遺伝子についてのスコア「1」を、そして対象での発現がスタンダードでのものより低い、それぞれの遺伝子についてのスコア「0」を含み得る。この方法では、特性は、総合「スコア」(該スコアは、特性に存在する全ての1および0の合計として定義されている)を含み得る。次に、該スコアを用いて、新たな対象での自己免疫疾患の存在または非存在が予測され得る。1および0の使用はただ例示であり、任意の好都合な値が、本発明の方法の実施で指定され得る。
【0084】
核酸分子と関連して用いられる用語「単離された」は、該核酸分子が、その天然環境と離れて存在し、かつ天然産物でないことを示す。単離DNA分子は、精製形で存在し得るか、または例えば、DNA分子を含むベクターで形質転換された宿主細胞の様な非天然環境に存在し得る。
【0085】
2つの核酸またはタンパク質配列と関連して、用語「パーセント同一性」および「パーセント同一」は、次の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、または目視検査により測定された一致が最大となるよう比較され、そしてアラインメントされた場合、1つの実施態様において、少なくとも60%、別の実施態様において、少なくとも70%、別の実施態様において、少なくとも80%、別の実施態様において、少なくとも85%、別の実施態様において、少なくとも90%、別の実施態様において、少なくとも95%、別の実施態様において、少なくとも98%、そしてなお別の実施態様において、少なくとも99%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有する、2以上の配列または部分配列を意味する。パーセント同一性は、1つの実施態様において、少なくとも約50残基長である配列を覆い、別の実施態様において、少なくとも約100残基の領域を覆い存在し、そしてなお別の実施態様において、配列同一性は、少なくとも約150残基を覆い存在する。なお別の実施態様において、配列同一性は、コード領域の様な所定の領域全長を覆い存在する。1つの実施態様において、核酸は、配列番号:1〜70の1つと少なくとも80%同一である。
【0086】
典型的には1配列が、配列比較のため、試験配列が比較される参考配列となる。配列比較のアルゴリズムを用いる場合、試験および参考配列がコンピューターに入力され、必要なら、配列整合性(coordinate)が指定され、そして配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。次に、該配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づき、参考配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0087】
比較のための最適な配列アラインメントは、例えば、Smith & Waterman 1981に記載される局所相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch 1970に記載される相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman 1988により記載される類似方法の検索により、該アルゴリズムのコンピューター制御の実施(GCG Wisconsin PackageのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Accelrys, Inc., San Diego, California, United States of Americaより市販)により、または目視検査により、行われ得る。概論として、Ausubel et al., 1994を参照されたい。
【0088】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの1つの例は、Altschul et al., 1990に記載される、BLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実行するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)より公的に入手可能である。該アルゴリズムはまず、クエリー配列中の長さWの短い単語を同定することにより、高スコア配列対(HSP)を同定することを含み、そしてそれは、データベース配列中の同じ長さの単語でアラインメントした場合の同一ポジティブ閾値スコアと一致するか、またはこれに見合う。Tは閾値スコア隣接単語としても言及される(Altschul et al., 1990)。該最初の隣接単語ヒットは、それを含有するより長いHSPを見出すために検索を開始するためのシードとなる。該単語ヒットは、次に、累積アラインメントスコアが増加され得る限り、それぞれの配列に沿って、両方向に拡大される。累積スコアは、ヌクレオチド配列についてパラメーターM(一致残基の対の報酬スコア;いつも>0)、およびN(不一致残基のペナルティー値スコア)を用いて計算される。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを用いて、累積スコアが計算される。それぞれの方向での単語ヒットの拡大は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量X低下したとき、累積スコアが0となるかまたは1以上のネガティブスコアリング残基アラインメントの累積により低くなるか、あるいはいずれかの配列末端に至るときに中止される。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、該アラインメントの感度およびスピードを決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとして、単語長(W)11、予測(E)10、カットオフ100、M=5、N=4、および両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、単語長(W)3、予測(E)10、およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いる。Henikoff & Henikoff 1989を参照されたい。
【0089】
パーセント配列同一性の計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、2配列間の類似性の統計的分析も実行する。例えば、Karlin & Altschul 1993を参照。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの測定は、2ヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然生じる確率の指標となる、最小合計確率(P(N))である。例えば、試験核酸配列は、参考核酸配列との試験核酸配列の比較での最小合計確率が、1つの実施態様において、約0.1未満、別の実施態様において、約0.01未満、そしてなお別の実施態様において、約0.001未満であると、参考配列に類似するとみなされる。
【0090】
2ヌクレオチド配列と関連して、用語「実質的に同一」は、次の配列比較アルゴリズの1つを用いて、または目視検査により測定された一致が最大となるように比較され、そしてアラインメントされた場合、1つの実施態様において、少なくとも約80%のヌクレオチド同一性、別の実施態様において、少なくとも約85%のヌクレオチド同一性、別の実施態様において、少なくとも約90%のヌクレオチド同一性、別の実施態様において、少なくとも約95%のヌクレオチド同一性、別の実施態様において、少なくとも約98%のヌクレオチド同一性、そしてなお別の実施態様において、少なくとも約99%のヌクレオチド同一性を有する2以上の配列または部分配列を意味する。1つの例では、実質的同一性は、少なくとも50残基のヌクレオチド配列、別の例では、少なくとも約100のヌクレオチド配列、別の例では、少なくとも約150残基のヌクレオチド配列、そしてなお別の例では、完全コード配列を含むヌクレオチド配列に存在する。1つの態様において、多型配列は、実質的同一の配列であり得る。用語「多型」は、集団における2以上の一般的に決定された代替配列または対立遺伝子の発生を意味する。対立遺伝子の差は1塩基対と同じ位小さいものであり得る。にもかかわらず、当該技術分野の通常の技術者は、多型配列が同一遺伝子に対応することを理解する。例えば、配列番号:1〜70は、ヒトTP53遺伝子由来のESTである。ヒトTP53完全cDNA配列(配列番号:16)は、GenBankデータベースにおいて、受託番号NM_000546で存在し、そしてそこでの記載に従い、該TP53遺伝子は、ヌクレオチド位置390、466、1470、1927、1950、1976、1977、2075、2076、2497、および2498での多型性を特徴とする。任意または全ての該多型性を含む核酸配列は、配列番号:1〜70と実質的に同一であり、従って、本発明に包含されることが意図されている。
【0091】
2ヌクレオチド配列が実質的に同一であることの別の指標は、該2分子が、ストリンジェントな条件下で互いに特異的または実質的にハイブリダイズすることである。核酸ハイブリダイゼーションと関連して、比較された2核酸配列は、「プローブ配列」および「標的配列」と呼ばれ得る。「プローブ配列」は参考核酸分子であり、そして「標的配列」は、しばしば異種性集団の核酸分子で見出される、試験核酸分子である。「標的配列」は「試験配列」と同義である。
【0092】
ハイブリダイゼーション研究またはアッセイに利用される例示的ヌクレオチド配列は、1つの実施態様において、本発明の核酸分子の少なくとも約14から40ヌクレオチド配列と相補的または模倣的であるプローブ配列を含む。1つの例では、プローブは、14から20ヌクレオチド、または所望により、配列番号:1〜70により表される任意の遺伝子の30、40、50、60、100、200、300、または500ヌクレオチドまたは最大、全長の様な長さも含む。該フラグメントは、例えば、化学合成によるフラグメントの直接合成、核酸増幅技術の適用、または組換え生成のため、選択配列の組換えベクターへの導入により、すぐに調製され得る。用語「特異的にハイブリダイズする」は、該配列が複合体核酸混合物(例えば、全細胞DNAまたはRNA)に存在する場合、ストリンジェントな条件下での分子の特定のヌクレオチド配列のみとの結合、2本鎖形成、またはハイブリダイゼーションを意味する。
【0093】
用語「実質的にハイブリダイズする」は、プローブ核酸分子と標的核酸分子間の相補的ハイブリダイゼーションを意味し、所望のハイブリダイゼーションを達成するためにハイブリダイゼーション媒体のストリンジェンシーを低減させることにより、適応され得るマイナーミスマッチを包含する。
【0094】
サザンおよびノーザンブロット分析のような、核酸ハイブリダイゼーション実験と関連して、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列および環境依存性である。長い配列ほど、高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの詳細な案内は、Tijssen, 1993で見出される。一般に、高ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび洗浄条件が選択され、これは、確定したイオン強度およびpHでの特定配列の融解温度(Tm)より約5℃低い。典型的には、「ストリンジェントな条件」下で、プローブは、その標的配列と特異的にハイブリダイズするが、他の配列とハイブリダイズしない。
【0095】
Tmは、標的配列の50%が、完全一致プローブとハイブリダイズする、温度(確定したイオン強度およびpH)である。非常にストリンジェントな条件が選択され、これは、特定のプローブについてのTm値と等しい。約100以上の相補的残基を有する相補的核酸のサザンまたはノーザンブロット分析のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、ヘパリン1mgを含む50%ホルムアミド中、42℃での一晩のハイブリダイゼーションである。高ストリンジェントな洗浄条件の例は、0.1×SSC、SM NaCl中、65℃、15分間である。ストリンジェントな洗浄条件の例は、0.2×SSCバッファー中、65℃、15分間である(SSCバッファーの記載については、Sambrook and Russell, 2001を参照されたい)。大抵、高ストリンジェントな洗浄は、バックグランドのプローブシグナルを取り除くために、低ストリンジェントな洗浄条件により置き換えられる。約100以上のヌクレオチドの2本鎖のための中程度ストリンジェントな洗浄条件の例は、1×SSC中、45℃、15分間である。約100以上のヌクレオチドの2本鎖のための低ストリンジェントな洗浄条件の例は、4〜6×SSC中、40℃、15分間である。短いプローブ(例えば、約10から50ヌクレオチド)のための、ストリンジェントな条件は、典型的には、pH7.0〜8.3で約1M Naイオン未満の塩濃度、典型的には、約0.01から1M Naイオン濃度(または、他の塩)を含み、そして温度は、典型的には少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドの様な不安定化剤の添加によっても達成され得る。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイでの非関連プローブについて観察されるものより2倍のノイズに対するシグナルの比は、特異的ハイブリダイゼーションの検出を示す。
【0096】
次は、本発明の参考ヌクレオチド配列と実質的に同一である、相同ヌクレオチド配列をクローン化するために用いられ得るハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の例である。プローブヌクレオチド配列は、1つの例では、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA中、50℃での標的ヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、次に2×SSC、0.1% SDS中、50℃での洗浄、別の例では、プローブと標的配列は、7% SDS、0.5M NaPO、1mM EDTA中、50℃でハイブリダイズし、次に、1×SSC、0.1% SDS中、50℃で洗浄され、別の例では、プローブと標的配列は、7% SDS、0.5M NaPO、1mM EDTA中、50℃でハイブリダイズし、次に0.5×SSC、0.1% SDS中、50℃で洗浄され、別の例では、プローブと標的配列は、7% SDS、0.5M NaPO、1mM EDTA中、50℃でハイブリダイズされ、次に0.1×SSC、0.1% SDS中、50℃で洗浄され、なお別の実施例において、プローブと標的配列は、7% SDS、0.5M NaPO、1mM EDTA中、50℃でハイブリダイズし、次に、0.1×SSC、0.1% SDS中、65℃で洗浄される。1つの実施態様において、ハイブリダイゼーション条件は、回転チューブ中、42℃での少なくとも12時間のハイブリダイゼーションを含む。
【0097】
あらかじめ作られたハイブリダイゼーション溶液はまた、様々な供給源より市販されている。1つの実施態様において、ハイブリダイゼーション溶液は、MICROHYB[商標](RESGEN[商標])を含み、そして別の実施態様において、ハイブリダイゼーション溶液は、COT-1[登録商標]DNA(Invitrogen Corporation, Carlsbad, California, United States of America)5.0μg、およびポリdA 5μgをさらに含むMICROHYB[商標]を含む。1つの実施態様において、ハイブリダイゼーション後の洗浄条件は、2×SSC/1% SDS中、50℃での20分間、2回の洗浄、次に、0.5×SSC/1% SDS中、55℃、15分間、3回目の洗浄を含む。
【0098】
本明細書で用いられる用語「精製された」は、核酸またはタンパク質に適用される場合、該核酸またはタンパク質が、それと天然状態で関係する他の細胞成分を本質的に含まないことを示す。それは均一な状態であり得るが、それはまた、乾燥または水溶液中に存在し得る。純度および均一性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法または高速処理液体クロマトグラフィーの様な分析的化学技術を用いて決定される。集団に存在する優勢種であるタンパク質は、実質的に精製されている。用語「精製された」は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じることを示す。具体的には、それは、核酸またはタンパク質が、1つの実施態様において、少なくとも約50%純粋、別の実施態様において、少なくとも約85%純粋、そしてなお別の実施態様において、少なくとも約99%純粋であることを意味する。
【0099】
I.B.生物学的試料
本発明は、生物学的試料での遺伝子の発現レベルを決定するために用いられ得る方法を提供する。本明細書で用いられる用語「生物学的試料」は、遺伝子の発現レベルが決定されることを可能とする生体分子を含む試料を意味する。代表的な生体分子は、全RNA、mRNA、およびポリペプチドを含むが、これらに限定されない。または、生物学的試料は、細胞または細胞群を含み得る。任意の細胞または細胞群が、本発明の方法で用いられ得るが、自己免疫疾患を有する対象対正常対象において差次的遺伝子発現を示すことが予測される細胞種および器官が最も適している。1つの実施態様において、生物学的試料がPBMCを含むと、遺伝子発現レベルが決定される。1つの実施態様において、生物学的試料は、T細胞、B細胞、単球、およびNK/NKT細胞(これらに限定されない)を含む、PBMC調製物を構成する1以上の成分の細胞種を含む。代表的なPMBC調製物は、約75%のT細胞、約5%から約10%のB細胞、約5%から約10%の単球、および数%のNK/NKT細胞を含み得る。別の実施態様において、生物学的試料は、頬上皮細胞の様な上皮細胞を含む。用語「生物学的試料」には、遺伝子発現レベルが決定されることを可能とする細胞または細胞群からもたらされる生体分子、例えば、核酸およびポリペプチドも包含される。
【0100】
遺伝子の発現レベルは、当該技術分野でよく知られている分子生物学的技術を用いて、決定され得る。例えば、発現レベルが、生物学的試料から単離されたRNAを分析することにより決定される場合、該発現レベルを決定するための技術は、ノーザンブロット法、定量的PCR法、および核酸アレイおよびマイクロアレイの使用を含むが、これらに限定されない。
【0101】
1つの実施態様において、遺伝子の発現レベルは、生物学的試料から単離された全RNAから生成された33P標識cDNAを、固体支持体、例えば、メンブレンに固定された1以上の遺伝子を表す1以上のDNA配列とハイブリダイズさせることにより、決定される。メンブレンが、多くの遺伝子(内部対照を含む)を表す核酸を含む場合、多くの遺伝子の相対的発現レベルが決定され得る。メンブレン上での内部対照配列の存在により、実験間の変動が検出されることが可能となり、それぞれの実験からもたらされる未処理の発現データが、実験間で比較され得るストラテジーを生じる。
【0102】
または、遺伝子発現は、生物学的試料におけるタンパク質レベルを抗体を用いて分析することにより、決定され得る。代表的な抗体に基づいた技術は、免疫沈殿法、ウェスタンブロット法、および免疫親和性カラムの使用を含むが、これらに限定されない。
【0103】
本明細書で用いられる用語「対象」は、任意の脊椎動物種を意味する。本発明の方法は、温血脊椎動物の診断で特に有効である。従って、本発明は哺乳類に関係する。より具体的には、ヒトの様な哺乳類、ならびに絶滅の危機に瀕しているため重要な該哺乳類(例えば、シベリアトラ)、ヒトにとって経済的に重要な哺乳類(ヒトによる消費のため、農場で飼育される動物)、および/またはヒトにとって社会的に重要な動物(ペットとしてまたは動物園で飼われてる動物)、例えば、ヒト以外の肉食動物(例えば、ネコおよびイヌ)、ブタ(swine)(ブタ、ブタ(hog)、およびイノシシ)、反芻動物(例えば、ウシ、メウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、ヤギュウ、およびラクダ)、およびウマの診断が意図されている。飼い慣らされたブタ(ブタ、およびウマ)、反芻動物、ウマ、家禽などを含む家畜での自己免疫疾患の診断も意図されている。
【0104】
II.核酸の単離および分析
II.A.核酸の濃縮
本発明は、試料に少量で存在する核酸の広範囲に渡る調査を可能とするために、十分な大きさの生物学的試料の使用を包含する。従って、試料は、必要に応じて濃縮されてから、核酸が単離される。スライド支持体(Kohsaka & Carson 1994; Millar et al., 1995)、濾過カラム(Bej et al., 1991)、または免疫磁気ビーズ(Albert et al., 1992; Chiodi et al., 1992)を代替的に使用する、いくつかの濃縮プロトコールが開発されてきた。該アプローチは、連続する検出方法の感度を有意に増加させ得る。
【0105】
1例として、SEPHADEX[登録商標]マトリックス(Sigma, St. Louis, Missouri, United States of America)は、カオトロピック剤溶液に懸濁された珪藻土およびガラスマトリックスであり、核酸物質を結合するために用いらている(Boom et al., 1990; Buffone et al., 1991)。核酸を固体支持体物質と結合させた後、不純物および阻害物が、洗浄および遠心により取り除かれ、そして次に核酸が標準的バッファーに溶出される。標的の捕獲により、標的試料が最小量に濃縮されることが可能となり、これにより、部分配列分析の自動化および再現が容易となる(Lanciotti et al., 1992)。
【0106】
II.B.核酸単離
核酸単離方法は、全核酸の同時単離、または個々の核酸種(例えば、ゲノムDNA、cDNA、細胞小器官DNA、ゲノムRNA、mRNA、ポリARNA、rRNA、tRNA)の別々および/または連続単離、必要に応じて、次に1試料への多数の核酸種の組合せを含み得る。
【0107】
全RNAまたは精製mRNAが生物学的試料として選択される場合、開示の方法は、遺伝子発現レベルの決定を可能とする。例えば、生物学的試料における遺伝子発現レベルの検出は、生物学的試料における所定のmRNA種の存在量の決定を含み得る。
【0108】
RNA単離方法は、当該技術分野の技術者に知られている。Albert et al., 1992;Busch et al., 1992;Hamel et al., 1995;Herrewegh et al., 1995;Izraeli et al., 1991;McCaustland et al., 1991;Natarajan et al., 1994;Rupp et al., 1988;Tanaka et al., 1994;Vankerckhoven et al., 1994を参照。生物学的試料からのRNA単離の代表的方法は、実施例2で説明される。
【0109】
例えば、SPLIT SECOND[商標]システム(Boehringer Mannheim, Indianapolis, Indiana, United States of America)、TRIZOL[商標]試薬システム(Life Technologies, Gaithersburg, Maryland, United States of America)、およびFASTPREP[商標]システム(Bio 101, La Jolla, California, United States of America)を含む、単純かつ半自動化抽出方法も核酸の単離のために用いられ得る。Paladichuk 1999も参照されたい。
【0110】
連続的増幅および標識のために用いられる核酸は、分光光学的測定により、または電気泳動分解の後目視検査により決定され、分析的に純粋であり得る。核酸試料は、多糖体、タンパク質、および酵素反応の阻害物の様な混入物を含んでいてはならない。RNA試料がプローブとして用いることを意図されている場合、それは、ヌクレアーゼの混入を含んでいてはならない。混入物および阻害物は、取り除かれるか、またはDNA抽出のための樹脂(例えば、CHELEX[商標]100、BioRad Laboratories, Hercules, California, United States of Americaより)を用いて、または標準的フェノール抽出およびエタノール沈殿により、実質的に低減され得る。単離核酸は、必要に応じて、制限酵素切断または剪断により、フラグメント化され、増幅され得る。
【0111】
II.C.核酸のPCR増幅
本明細書で用いられる用語「鋳型核酸」および「標的核酸」は、それぞれ上記の生物学的試料から単離された核酸を意味する。用語「鋳型核酸プール」、「鋳型プール」、「標的核酸プール」、および「標的プール」は、それぞれ「鋳型核酸」の増幅試料を意味する。従って、標的プールは、鋳型核酸を用いて増幅反応を行うことにより生成される単位複製配列を含む。1つの実施態様において、標的プールは、上記のランダム増幅方法を用いて増幅される。
【0112】
用語「標的特異的プライマー」は、標的核酸試料における、標的配列、例えば、正常患者と比較して自己免疫疾患の患者で差次的発現を示す配列と選択的かつ予測通りにハイブリダイズするプライマーを意味する。標的特異的プライマーは、標的核酸の既知のヌクレオチド配列と相補的であるように選択されるか、または合成され得る。
【0113】
用語「ランダムプライマー」は、任意の配列を有するプライマーを意味する。ランダムプライマーのヌクレオチド配列は既知であり得るが、該配列は、それが標的特異的プローブのヌクレオチド配列に相補的であるように設計されていないとう点で任意であると見なされる。用語「ランダムプライマー」は、増加確率を有する任意の配列の選択を包含し、これにより、増幅反応で有効に利用される。例えば、ランダムオリゴヌクレオチド構築キット(ROCK;http://www.sru.edu/depts/artsci/bio/ROCK.htmより市販)は、ランダムオリゴヌクレオチドプライマーの生成および分析を容易にするマクロに基づくプログラムである(Strain & Chmielewski 2001)。代表的なプライマーは、ランダムな6量体、およびWilliams et al., 1990に記載される、多型DNAの迅速増幅(RAPD)形プライマーを含むが、これらに限定されない。
【0114】
ランダムプライマーはまた、縮重または部分的縮重であり得る(Telenius et al., 1992に記載)。概略、縮重は、同一アミノ酸配列をコード化し得る、代替オリゴヌクレオチド配列の選択により導入され得る。
【0115】
1つの実施態様において、ランダムプライマーは、鋳型核酸試料の一部を剪断または切断することにより、調製され得る。このように構築されたランダムプライマーは、試料特異的なランダムプライマーのセットを含む。
【0116】
用語「異種性プライマー」は、鋳型核酸プールに導入された配列と相補的なプライマーを意味する。例えば、リンカーまたはアダプターと相補的なプライマーは、異種性プライマーである。代表的な異種性プライマーは、必要に応じて、ポリ(dT)プライマー、ポリ(T)プライマー、または適切なら、ポリ(dA)プライマーまたはポリ(A)プライマーを含み得る。
【0117】
本明細書で用いられる用語「プライマー」は、1つの実施態様において、約6以上のヌクレオチド、別の実施態様において、約10〜20ヌクレオチド(例えば、15mer)、そしてなお別の実施態様において、約20〜30ヌクレオチド(例えば、22mer)を含む連続配列を意味する。本発明の方法を行うために用いられるプライマーは、核酸分子上への重合を開始させるのに十分な長さかつ適切な配列のオリゴヌクレオチドを包含する。
【0118】
II.C.1.定量的RT−PCR
本発明の1つの実施態様において、生物学的試料に存在する特定のmRNA種(例えば、末梢血単核細胞から抽出されたmRNA)の存在量は、定量的RT−PCRにより決定される。該実施態様において、標準的分子生物学的技術は、対象の遺伝子に対応する該mRNA分子を定量的に増幅するために、特異的PCRプライマーと組み合わせて用いられる。特異的PCRプライマーを設計する方法、およびmRNAを含む核酸の定量的増幅を行う方法は、当該技術分野でよく知られている。例えば、Sambrook & Russell, 2001;Vandesompele et al., 2002;Joyce 2002を参照されたい。
【0119】
II.C.2.増幅アンチセンスRNA(aaRNA)
いくつかの方法が、増幅アンチセンスRNA(aaRNA)および包括的RNA増幅(Global RNA Amplification)を含むRNAのランダム増幅のため、特異的に開発されてきた(以下でもさらに詳細に説明)。RNA集団は、増幅アンチセンスRNA(aaRNA)として言及される技術を用いて増幅され得る。Van Gelder et al., 1990;Wang et al., 2000を参照されたい。概略、オリゴ(dT)プライマーは、該プライマーの5’末端がT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むように、合成される。該オリゴヌクレオチドは、cDNAを生成するためにポリ(A)mRNA集団を用意するために用いられ得る。ファーストストランドcDNA合成に続き、セカンドストランドcDNAが、RNAニッキングおよびプライミングを用いて生成される(Sambrook & Russell 200)。生じたcDNAは、S1ヌクレアーゼで簡単に処理され、そしてT4 DNAポリメラーゼで平滑末端化される。次に、cDNAは、RNA合成を指揮するためのT7 RNAポリメラーゼプロモーターを用いた転写に基づく増幅の鋳型として用いられる。
【0120】
Eberwine等は、RNAのインサイツランダム増幅、続いて、標的特異的増幅にaaRNA方法を適用した。代表的な転写物の十分な増幅は、aaRNAにより増幅された転写物プールが、最初のmRNA集団を表すことを示す(Eberwine et al., 1992)。
【0121】
II.C.3.包括的RNA増幅
米国特許番号6,066,457(Hampson et al.)は、RNAの様な1本鎖核酸分子の収集物の実質的に同じ増幅方法を記載している。概略、核酸出発物質を固定し、そして処理し、試料の増幅に適した方向の短いランダムサイズのDNA分子の混合物が産生される。
【0122】
本発明の方法に従い、上記PCR技術または関連技術のいずれか1つを利用し、核酸試料の増幅段階が行われ得る。さらに、該方法は、核酸の特定サブセット(例えば、特異的なmRNA分子対全mRNA)の増幅に最適化され、そして代表的な最適化基準および関連する指示書が当該技術分野において見出され得る。Cha & Thilly 1993;Linz et al., 1990;Robertson & Walsh-Weller 1998;Roux 1995;Williams 1989;McPherson et al., 1995を参照されたい。
【0123】
II.C.4.遺伝子発現分析のためのキット
本発明は、対象遺伝子の遺伝子発現レベルを決定するために本発明の方法で用いられ得る、多数のオリゴヌクレオチドプライマーを含むキットも提供する。非限定的実施態様において、キットは、配列番号:1〜70で説明される1以上(例えば、1、5、10、20、30、または全て)の遺伝子の発現レベルを決定するために用いられるように設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを含み得る。さらに、キットは、適当な反応条件、および予測増幅フラグメントのサイズに関する情報(これらに限定されない)を含む、プライマーを用いるための指示書を含み得る。
【0124】
III.核酸標識
1つの実施態様において、生物学的試料での遺伝子の発現レベルは、生物学的試料から単離された全RNAを、既知遺伝子に対応する既知量の核酸配列を含有するアレイとハイブリダイズさせることにより、決定される。例えば、アレイは、特定の遺伝子に対する既知量の1本鎖核酸(本明細書において「プローブ」および/または「プローブセット」としても言及される)を含み、そしてそれは次に、生物学的試料から単離された核酸とハイブリダイズされ得る。核酸が、全RNAがハイブリダイズするアレイ上での該遺伝子の同定を可能とする該方法において、固体支持体上に存在するように、アレイは設定され得る。該実施態様において、全RNAは該アレイとハイブリダイズし、全RNAがハイブリダイズする遺伝子が、標準的技術を用いて検出される。本発明の1つの実施態様において、増幅核酸は、放射性ヌクレオチドで標識され、アレイとハイブリダイズさせられ、そしてRNAがハイブリダイズする該アレイ上の遺伝子が、オートラジオグラフィーまたはホスホイメージャー分析により検出される。
【0125】
または、生物学的試料から単離された核酸は、事前に核酸を標識することなく、プローブセットとハイブリダイズされる。例えば、生物学的試料から単離された非標識全RNAは、1以上の標識プローブ(標識プローブは、本発明の方法で有効であると見出された該遺伝子に特異的である(例えば、配列番号:1〜70により表される該遺伝子))とのハイブリダイゼーションにより検出され得る。別の実施態様において、核酸および1以上のプローブ1以上のプローブが標識を含み、ここで、ハイブリダイゼーション後に該標識の近接部が検出可能となる。検出可能な光子構造を生成するために、発色団およびフルオロフォアで標識された核酸を用いる例示的方法が、米国特許番号6,162,603に記載されている。
【0126】
核酸、またはプローブ/プローブセットは、任意の検出可能な標識を用いて標識され得る。任意の標識に適した方法が用いられ、そして具体的な検出可能な標識または標識技術が、開示の方法の制限として構成されるべきでないことは、当該技術分野の技術者により、理解されるだろう。
【0127】
直接標識技術は、標識ヌクレオチドまたは標識PCRプライマーの存在下での酵素合成による、放射性同位元素(例えば、32P、33P、または35S)または蛍光ヌクレオチド類似体の核酸への取り込みを含む。放射性同位元素標識は、オートラジオグラフィーまたはホスホイメージングを用いて検出され得る。蛍光標識は、用いられた特定の標識に適した放出および吸光度スペクトルを用いて、直接検出され得る。フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)、FLUOR X[商標]、ALEXA FLUOR[登録商標]488、OREGON GREEN[登録商標]488、6−JOE(6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレッセイン、スクシンイミジルエステル)、ALEXA FLUOR[登録商標]532、Cy3、ALEXA FLUOR[登録商標]546、TMR(テトラメチルローダミン)、ALEXA FLUOR[登録商標]568、ROX(X−ローダミン)、ALEXA FLUOR[登録商標]594、TEXAS RED[登録商標]、BODIPY[登録商標]630/650、およびCy5(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, New Jersey, United States of America、またはMolecular Probes Inc., Eugene, Oregon, United States of Americaから市販)を含む(これらに限定されない)、任意の検出可能な蛍光色素が用いられ得る。蛍光タグは、赤外線イメージングを用いて検出され得るスルホン化シアニンダイ(Li-Cor, Inc., Lincoln, Nebraska, United States of Americaより市販)も含む。異種性核酸試料の直接標識方法は、当該技術分野で知られており、そして代表的なプロトコールは、例えば、DeRisi et al., 1996;Sapolsky & Lipshutz 1996;Schena et al., 1995;Schena et al., 1996;Shalon et al., 1996;Shoemaker et al., 1996;Wang et al., 1998で見出され得る。代表的な方法は、本明細書の実施例6で説明される。
【0128】
間接的標識技術も本発明の方法に従い用いられ、そしてある場合では、検出段階で標識を増幅することにより、希少な標的配列の検出を容易にし得る。間接的標識は、増幅核酸への制限酵素認識部位を含むエピトープの取り込みを含み、その後、プローブセットとハイブリダイゼーションされる。ハイブリダイゼーションに続いて、エピトープと結合するタンパク質を用いて、該エピトープタグが検出される。
【0129】
1つの実施態様において、ビオチン化ヌクレオチドが、増幅反応で含まれ、ビオチン標識核酸試料が産生され得る。本明細書に記載のプローブとの該ビオチン標識試料のハイブリダイゼーションに続き、該標識が、アビジン接合フルオロフォア(例えば、ストレプトアビジン・フィコエリトリン)のビオチン標識との結合により、検出され得る。または、標識は、アビジン・西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)ストレプトアビジン接合体の結合後、HRP酵素産物の比色分析的検出により、検出され得る。
【0130】
プローブまたは核酸試料標識の質は、標識取り込みの特異的活性の決定により見積もられ得る。例えば、蛍光標識の場合、取り込みの特異的活性は、公開された消衰係数(Randolph & Waggoner 1995)を用いて、260nmおよび550nm(Cy3のため)、または650nm(Cy5のため)での吸光度により決定され得る。非常に多い標識取り込み(特異的活性>1蛍光分子/20ヌクレオチド)は、少量の標識を取り込んだプローブと比較して、ハイブリダイゼーションシグナルを減少させ得る。非常に低い特異的活性(<1蛍光分子/100ヌクレオチド)は、低ハイブリダイゼーションシグナルを容認し難いレベルで生じ得る。Worley et al., 2000を参照。従って、標識方法が様々なハイブリダイゼーションアッセイでの実施に最適化されなければならないこと、かつ該最適化標識がそれぞれの標識種に固有でなければならないことは、当該技術分野の技術者に理解されるだろう。
【0131】
IV.マイクロアレイ
本発明の1つの実施態様において、生物学的試料から単離された核酸は、マイクロアレイ(マイクロアレイは、検査されるべき遺伝子、ならびに内部対照遺伝子に対応する核酸を含む)とハイブリダイズされる。支持体上のそれぞれの位置が特定遺伝子を同定するように、遺伝子は固体支持体に固定される。固体支持体は、ニトロセルロースメンブレンおよびナイロンメンブレンを含むが、これらに制限されない。固体支持体はまた、ガラスまたはシリコンベース(すなわち、遺伝子「チップ」)であり得る。任意の固体支持体は、該支持体が、ハイブリダイゼーション段階および検出段階に続いて同定され得る特定の位置における既知量の核酸の局在化のための基材(substrate)を提供する限り、本発明の方法で用いられ得る。1つの実施態様において、マイクロアレイは、ナイロンメンブレン(例えば、GF211 Human 哲amed Genes GENEFILTERS[登録商標]Microarrays Release 1、RESGEN[商標]より市販)を含む。
【0132】
マイクロアレイは、当該技術分野の技術者に既知の任意の適した方法を用いて集められ、かつ任意の1つのマイクロアレイ構造または構築方法は、本発明を制限することを意図していない。本発明の方法に従い用いられ得る、代表的なマイクロアレイフォーマットは以下に記載される。
【0133】
IV.A.アレイ基材および構造
アレイをプリントする基材は、実質的に堅く、かつDNA固定および検出方法(例えば、蛍光検出の場合、基材は、蛍光色素励起波長領域でのバックグランドの蛍光が低くなければならない)を行うことができるものでなければならない。基材は、特定の適用に最も適していると決定された、無孔または多孔であり得る。代表的な基材は、ガラス顕微鏡用スライド、ガラスカバースリップ、シリコン、プラスチック、ポリマーマトリックス、寒天ゲル、ポリアクリルアミドゲル、およびナイロンメンブレン、ニトロセルロースメンブレン、またはANAPORE[商標](Whatman, Maidstone, United Kingdom)メンブレンの様なメンブレンを含むが、これらに限定されない。
【0134】
多孔基材(メンブレンおよびポリマーマトリックス)は、比較的多量のプローブ分子の固定を可能とし、そして生体分子相互作用が生じる3次元親水性環境を提供する点で好ましい(Dubiley et al., 1997; Yershov et al., 1996)。BIOCHIP ARRAYER[商標]ディスペンサー(Packard Instrument Company, Meriden, Connecticut, United States of America)は、スポットサイズがスポット間で一定となる(1、2、または4滴がスポット毎に分配されても)ように、プローブをメンブレンに効果的に分配できる(Englert 2000)。アレイは、ドットブロットまたはスロットブロットも含み得る。
【0135】
本発明の方法に従い用いられるマイクロアレイ基材は、2次元(平面)または3次元(非平面)構造のいずれかを有し得る。例示的な3次元マイクロアレイは、FLOW-THRU[商標]チップ(Gene Logic, Inc., Gaithersburg, Maryland, United States of America)であり、そしてそれは3次元を生じるためのゲルパッドを導入されている。該3次元マイクロアレイは、ガラスキャピラリー、シリコン、金属酸化物フィルター、または多孔ポリマーを含む任意の適当な基材で構築され得る。Yang et al., 1998;Steel et al., 2000を参照されたい。
【0136】
概略、FLOW-THRU[商標]チップ(Gene Logic, Inc.)は、該チップの上部および下部表面と接続する孔またはマイクロチャンネルを有する有孔基材を一様に含む。プローブは、マイクロチャンネルの壁に固定され、そして核酸試料を含むハイブリダイゼーション溶液はマイクロチャンネルを通って流され得る。該構造は、2次元アレイと比べて、さらなる表面を提供することにより、プローブと標的との結合キャパシティーを増加させる。米国特許番号5,843,767を参照。
【0137】
IV.B.表面の化学的性質
利用される特定の表面の化学的性質は、マイクロアレイ基材および基材調製に固有である。合成後の核酸プローブの固定は、吸着、取り込み、および共有結合を含む様々なアプローチにより行われ得る。好ましくは、結合技術はプローブの活性を破壊しない。
【0138】
実質上永久的な固定のため、共有結合が好ましい。活性化シリカ表面と反応する有機官能基はほとんどないので、中間層が実質上永久的なプローブ固定に望ましい。機能化オルガノシランは、ガラスおよびシリコン基材上の中間層として用いられ得る(Liu & Hlady 1996;Shriver-Lake 1998)。異なる2機能のクロスリンカーは、プローブが表面と異なる化学的性質を有することを必要とし、そして同一種類の反応基との結合を回避することが好ましい。代表的な異なる2機能のクロスリンカーは、マレイミドをプローブの1級アミンと結合させ得るγ−マレイミドブチリルオキシ−スクシンイミド(GMBS)を含む。該リンカーを用いる方法は、当該技術分野の技術者に知られており、Hermanson 1990に要約されている。シリコンウエハーとのDNAの共有結合の代表的なプロトコールは、O'Donnell et al., 1997に記載されている。
【0139】
ガラス基材を用いる場合、該ガラスは、破片および他の沈殿物を実質的に含まず、かつ実質的に不変の被覆を有しているべきである。その製造中に沈殿され得る有機化合物を除去するためのスライドの事前処理は、例えば、熱硝酸中での洗浄により成され得る。次に清浄されたスライドは、蒸気層技術を用いて、3−アミノプロピルトリメトキシシランにより被覆され得る。シランの沈着後、スライドを脱イオン水で洗浄し、ガラスに接着していないシランが取り除かれ、そして無反応のメトキシ基が該スライド上の隣接シラン部分と架橋結合するのを触媒する。被覆の均一性は、既知の方法、例えば、化学分析のための電子分光法(ESCA)または偏光解析法により、決定され得る(Ratner & Castner 1997;Schena et al., 1995)。Worley et al., 2000も参照。
【0140】
約300塩基対以上のプローブの接着には、非共有結合が適している。非共有結合の代表的な技術は、スポッティング溶液でのイソチオシアン酸ナトリウム(NaSCN)の使用を含む(実施例7に記載)。該方法を用いる場合、アミノシラン化スライドは、該被覆がそのままのガラスと比較して核酸結合を改善するため、用いられ得る。該方法は、約100ng/μlを用いるスポッティング方法に対して上手く機能する(Worley et al., 2000)。
【0141】
ニトロセルロースまたはナイロンメンブレンの場合、該メンブレンと結合する核酸の化学的性質は、よく特徴付けられている(Southern 1975; Sambrook & Russell 2001)。ナイロンフィルターアレイの1つは、GF211 Human 哲amed Genes GENEFILTERS[登録商標] Microarrays Release 1(RESGEN[商標]、Invitrogen Corporation事業部、Calsbad, California, United States of America)であるが、他のアレイも用いられ得る。
【0142】
IV.C.アレイ技術
生物学的試料において遺伝子発現レベルを検出するためのマイクロアレイは、さらに以下で詳細に記載されるホトリングラフィー方法およびマイクロフルイディクス方法(これらに限られない)を含む、当該技術分野で利用可能ないくつかの方法の任意の1つを用いて構築され得る。1つの実施態様において、マイクロアレイが特定の目的に合わせられ得るように、構築方法はフレキシブルである。
【0143】
当該技術分野で標準的な、マイクロアレイを生成する技術は、一定かつ再現可能なスポットを作成すべきである。それぞれのスポットは一様であり、構造内の他のスポットから適度に離れていなければならない。本発明において使用される固体支持体は、1つの実施態様において、約10以上のスポット、別の実施態様において、約100以上のスポット、別の実施態様において、約1,000以上のスポット、そしてなお別の実施態様において、約10,000以上のスポットを含む。1つの実施態様において、スポット毎の沈着量は、約10plから約10nlであり、そして別の実施態様において、約50plから約500plである。スポットの直径は、1つの実施態様において、約50μmから約1000μmであり、そして、別の実施態様において、約100μmから約250μmである。
【0144】
光指揮合成(Light-directed synthesis)
該技術は、Fodor等(Fodor et al., 1991;Fodor et al., 1993;米国特許番号5,445,934)により開発され、そしてAffymetrix, Inc. of Santa Clara, California, United States of Americaにより市販されている。概略、該技術は、1つの特定のヌクレオチドが生成1本鎖核酸に加えられる位置を定義するために、正確な写真平板を用いる。所定のヌクレオチド添加および光指揮合成の一連の段階により、所定のオリゴヌクレオチドの高感度アレイが固体基材上に合成される。Digital Optical Chemistryと呼ばれる該方法の変法は、写真平板マスクの代わりに光合成を指揮するための鏡を利用する(国際公開番号WO99/63385)。該アプローチは、一般に、約25ヌクレオチド長またはそれ未満のプローブに限られる。Warrington et al., 2000も参照。
【0145】
接触プリンティング
いくつかの方法およびツールが、固定ピンツールを用いてマイクロアレイをプリントするために開発されてきた。表面の接触プリンティングにおいて、該ピンツールは試料溶液に浸漬され、少量の流動体がチップのピン上に移される。ピンまたはピン試料をマイクロアレイ表面に接触させることにより、スポットを残し、そしてその直径は、ピン、流動体、およびマイクロアレイ表面の表面エネルギーにより決定される。典型的には、移された流動体は、nlまたはplの範囲の量を含む。
【0146】
ある共通する接触プリンティング技術は、固体ピン複製装置を用いる。複製装置のピンは、ある静止位置から試料をピックアップし、そしてそれを固体支持体の所定の位置に移すためのツールである。複製ヘッドの典型的な構造は、一般的には、96および384ウェルプレートに適した中心が9mm離れた8×12フォーマットの固体ピンのアレイである。該ピンをウェルに浸漬し、持ち上げ、マイクロアレイ基材の位置に移動し、固体支持体に接触させるために下げられ、これにより試料が移される。該過程が全試料が完全に移されるまで繰り返される。Maier et al., 1994を参照されたい。固体ピンの最近の変法は、凹底の固体ピンチップの使用を含み、これはある状況下で、平らなピンより有効にプリントする。Rose 2000を参照されたい。
【0147】
幅広いチップ長のマイクロアレイプリンティングのための固体ピンは、例えば、TeleChem International, Inc. of Sunnyvale, Californiaから市販されている。TeleChemのCHIPMAKER[商標]およびSTEALTH[商標]ピンは、精密なステンレススチールシャフトを含有する。試料の添加およびスポッティングのための供給所となるように、ナローギャップは精密に作られる。該ピンは、添加量0.2μlから0.6μlを有し、直径75μmから360μmのスポットサイズを生じる。
【0148】
1試料の添加により、多アレイのプリンティングを可能とするために、プリンティングキャピラリー、ピンセット、およびスプリットピンを含む、クイル(quill)ベースのツールが開発されてきた。該プリンティングツールは、固体ピンより多量の試料をとどめ、従って1試料添加に続いて多アレイのプリンティングが可能となる。クイルベースアレイは、キャピラリー作用により、少量の流動体をマイクロウエルプレートから沈着装置へ吸い上げる。Schena et al., 1995を参照。該キャピラリーの直径は、典型的には約10μmから約100μmの範囲にある。次に、ロボットがクイルを有するヘッドを所望の文注位置に動かす。該クイルは、試料を全スポッティング位置に運び、そして、ここで試料分画が沈着される。該クイルにとどまった流動体へ作用する力は、該流動体が放出されるのに十分でなければならない。加速、そして次に、該クイルをマイクロアレイ基材に激突させることによる原則は流動体放出を成し遂げる。該クイルのチップが固体支持体に当たると、メニスカス(meniscus)は、チップの向こうに広がり、そして基材に移される。多量の試料流動体を運ぶことにより、アレイ間のスポッティング変動を最小とする。表面をたたくことが流動体の移送に必要であるため、比較的堅い支持体、例えば、ガラススライドが、この方法の試料送達に適している。
【0149】
ピンプリンティング過程の変法は、Genetic MicroSystems Inc. of Woburn, Massachusetts, United States of Americaにより開発されたPIN-AND-RING[商標]技術である。この技術は、小さなリングを試料ウェルに浸漬すること、およびそれを取り出し、該リング中の液体をとらえることを含む。次に、固体ピンがリング中の試料により押され、該ピンの平らな端にとらえられた試料が、表面に沈着される。Mace et al., 2000を参照されたい。PIN-AND-RING[商標]技術は、堅い支持体、または寒天、ゲル、ニトロセルロース、およびナイロンの様な軟基材に適している。PIN-AND-RING[商標]を利用する代表的な装置は、417[商標]Arrayer(Affymetrix, Inc. of Santa Clara, California, United States of Americaより市販)である。
【0150】
アレイレイアウトオプション、プリントエリア、プリントヘッド構造、試料添加、プレプリンティング、マイクロアレイ表面特性、試料溶液特性、ピン速度、ピン洗浄、プリンティング時間、再現性、およびプリンティング処理量を含む、接触プリンティング方法と関連するさらなる手続的考慮は、当該技術分野において知られており、Rose 2000に要約されている。
【0151】
非接触インクジェットプリンティング
非接触インクジェットプリンティングの代表的な方法は、流動体貯蔵場所と密接に並んだ圧電性結晶を用いる。1つの構造は、圧電性結晶を、試料流動体を取り込んだガラスキャピラリーと共に配置する。該試料は貯蔵場所に吸い上げられ、そして結晶は電圧をかけられ、これにより該結晶は変形され、キャピラリーが圧迫され、そして少量の流動体がチップから押し出される。圧電性ポンプは、コントロール可能な高速ジェット速度および一定量の沈着をもたらす。大抵の圧電性ポンプは、例えば、フレキシブルなキャピラリーの取り付けにより、試料供給源または洗浄溶液と直接つなげられることを必要とする一方向性のポンプである。該キャピラリーおよびジェット口は、分子が取られないように、十分な内部径でなければならない。該キャピラリーに含有される流動体の空隙用量は、典型的には、約100μlから約500μlの範囲であり、一般的に回収不可能である。米国特許番号5,965,352を参照。
【0152】
液体の流れまたは表面に熱圧力、音圧力、または振動圧力をかける装置が、インクジェットプリンティングにも用いられ得る。Theriault et al., 1999を参照されたい。
【0153】
シリンジ電磁的プリンティング
シリンジ電磁的技術は、シリンジポンプを極小電磁弁と組合せ、nlの試料用量を定量的に分注する。高分解性シリンジポンプは、開閉弁により、高速極小電磁弁および貯蔵場所とつなげられる。マイクロアレイをプリンティングするため、システムはシステム流動体、典型的には、水で満たされ、そしてシリンジは電磁弁につなげられる。シリンジを引くと、試料がチップ内の上方に移動する。次に、極小電磁弁を開けることで、小滴が表面に排出されるように、該シリンジはシステムに圧力をかける。該構造により、最小分注量は、4nlから8nlのオーダーとなる。容積式特性の分配機序により、実質的に信頼できるシステムを生じる。米国特許番号5,743,960および5,916,524を参照。
【0154】
電気的アドレス指定
この方法は、帯電分子をブランクマイクロアレイ基材、例えば、NANOCHIP[商標]基材(Nanogen Inc., San Diego, California, United States of America)の特定の位置に配置することを含む。核酸プローブは該マイクロチップに導入され、負に帯電したプローブは選択された帯電位置(ここでそれは濃縮され、そして結合される)に移動する。異なるプローブの一連の方法は、プローブのアレイを別の位置にアセンブルするために行われ得る。米国特許番号6,225,059および国際公開公報番号WO01/23082を参照。
【0155】
ナノ電極合成
本発明の方法に従い用いられ得る代わりのアレイは、シリコンの様な半導体表面で合成された1、または2、3の原子層からなる極小さな構造(ナノ構造)を提供する。該ナノ構造は、分子の3次元形態および電気化学特性に正確に対応するように設計され、それゆえ、特定のヌクレオチド配列の核酸を認識するために用いられ得る。米国特許番号6,123,819を参照。
【0156】
V.ハイブリダイゼーション
V.A.一般的考慮事項
用語「特異的にハイブリダイズする」および「選択的にハイブリダイズする」はそれぞれ、配列が、複合体核酸混合物(例えば、全細胞DNAまたはRNA)に存在する場合、ストリンジェントな条件下で特定のヌクレオチド配列のみと結合、2本差形成、またはハイブリダイズすることを意味する。
【0157】
用語「実質的にハイブリダイズする」は、プローブ核酸分子と、本明細書で定義される実質的に同一の標的核酸配列との間の相補的ハイブリダイゼーションを意味する。実質的なハイブリダイゼーションは、一般的に、当該技術分野で認識される技術を用いて、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを低減させることにより、可能とされる。
【0158】
核酸ハイブリダイゼーション実験と関連して、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列かつ環境依存性である。長い配列ほど、高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般的に、高ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、定義されたイオン強度およびpHでの特定の配列の融点(Tm)より約5℃低いものが選択される。Tmは、標的配列の50%が、完全一致プローブとハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度およびpHの下)である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブのTmと等しいものが選択される。典型的には、「ストリンジェントな条件」下で、プローブは、その標的配列と特異的にハイブリダイズするが、他の配列とハイブリダイズしない。
【0159】
核酸ハイブリダイゼーションの詳細な案内は、Tijssen 1993で見出される。一般的に、同一のハイブリダイゼーションアッセイにおいて、負の対照プローブについて観察されうものより、2倍(または、高い)のノイズに対するシグナルの比は、特異的または実質的ハイブリダイゼーションの検出を示す。
【0160】
ハイブリダイゼーションにより、遺伝子発現レベルを決定するために、全長cDNAが利用される必要がなくなることが理解される。配列番号:1〜70の1つにより表される遺伝子の発現レベルを決定するために、配列番号:1〜70で説明される配列の任意の代表的フラグメントまたは部分配列が、本明細書で開示されるハイブリダイゼーション条件と組み合わせて、利用され得る。結果的に、遺伝子発現レベルをアッセイするために用いられる核酸配列は、オープンリーディングフレーム(または、その部分)、5’非翻訳領域、および/または3’非翻訳領域に対応する配列を含み得る。参考遺伝子の発現レベルが特異的に決定されることを可能とする任意の核酸配列が、本発明の方法および組成物と共に利用され得ることは、理解される。
【0161】
V.B.固体支持体へのハイブリダイゼーション
本発明の別の実施態様において、増幅および標識核酸試料は、多数の同定位置を含む連続的固体支持体に固定化されているプローブまたはプローブセットにハイブリダイズされる。
【0162】
代表的なハイブリダイゼーション条件が、本明細書で説明される。高感度のガラスベースのマイクロアレイ実験のため、少なくとも一部分、蛍光標識の存在により核酸2本鎖が不安定となるので、65℃でのハイブリダイゼーションは、典型的な使用にはあまりにストリンジェントである(Randolph & Waggoner 1997)。または、ハイブリダイゼーションは、Pieutu et al., 1996に記載のホルムアミドベースのハイブリダイゼーションバッファー中で行われ得る。
【0163】
マイクロアレイフォーマットは、電気化学的増強ハイブリダイゼーションに対する適性に基づく使用のために選択され得る。マイクロアレイ、またはマイクロアレイの1以上の異なる位置への電流供給は、マイクロアレイ表面に固定化されたプローブに近接する標的核酸試料の局在化を容易にする。アレイプローブに隣接する標的核酸の濃縮は、試料中の核酸のプローブとのハイブリダイゼーションを促進する。さらに、電気的なストリンジェンシーコントロールは、ハイブリダイゼーション後の非結合および非特異的結合DNAの除去を可能とする。米国特許番号6,017,696および6,245,508を参照。
【0164】
V.C.溶液中でのハイブリダイゼーション
本発明の別の実施態様において、増幅および標識核酸試料は、溶液中の1以上のプローブとハイブリダイズされる。約100以上の相補的残基を有する相補的核酸の代表的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、ヘパリン1mgを含む50% ホルムアミド中、42℃、一晩のハイブリダイゼーションである。高ストリンジェントな洗浄条件の例は、0.1×SSC、5M NaCl中、65℃、15分間である。ストリンジェントな洗浄条件の例は、0.2×SSCバッファー中、65℃、15分間である(SSCバッファーの記載については、Sambrook & Russell 2001を参照されたい)。高ストリンジェントな洗浄は、バックグランドのプローブシグナルを取り除くために低ストリンジェントな洗浄がまず行われ得る。約100以上のヌクレオチドからなる2本鎖のための中程度にストリンジェントな洗浄条件の例は、1×SSC中、45℃、15分間である。約100以上のヌクレオチドからなる2本鎖のための低ストリンジェントな洗浄の例は、4〜6×SSC中、40℃、15分間である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドの様な不安定化剤の添加によっても成し遂げられ得る。
【0165】
短いプローブ(例えば、約10から50ヌクレオチド)のため、ストリンジェントな条件は、典型的には、約1M Naイオン未満の塩濃度、典型的には、約0.01Mから1M Naイオン濃度(または他の塩)(pH7.0〜8.3)を含み、そして温度は典型的には少なくとも約30℃である。
【0166】
必要に応じて、核酸2本鎖またはハイブリッドは、検出アッセイを含む連続分析のための溶液から取り出され得る。例えば、単純アッセイにおいて、1プローブセットは、標的核酸試料からもたらされた増幅かつ標識RNA試料とハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーションに続き、DNA:RNAハイブリッドを認識する抗体を用いて、連続的分析のため該ハイブリッドが沈殿される。該遺伝子の発現レベルは、沈殿物中の標識を検出することにより、決定される。
【0167】
代わりの取り込み技術は、当該技術分野の技術者に理解されるであろう、例えば、ヒスチジンタグを含むプローブを用いる場合、金属親和性カラムにより精製として用いられ得る。別の例として、ハイブリダイズされた試料は、アルカリ処理(ここで、2本鎖ハイブリッドは保護され、一方非ハイブリダイズ1本鎖鋳型および過剰のプローブは加水分解される)により、加水分解され得る。次に、ハイブリッドは、さらなる分析のため、任意の核酸精製技術を用いて集められる。
【0168】
多数の遺伝子の発現レベルを同時に決定するために、プローブまたはプローブセットは、異なる標識のプローブまたはプローブセットにより、区別され得る。または、プローブまたはプローブセットは、異なるハイブリダイゼーション容器に空間的に分けられ得る。それぞのアプローチの代表的な実施態様が、以下に記載される。
【0169】
1つの実施態様において、固有の標識を有するプローブまたはプローブセットが、分析されるべきそれぞれの遺伝子について調製される。例えば、第1のプローブまたはプローブセットは、第1の蛍光標識で標識され、そして第2のプローブまたはプローブセットは、第2の蛍光標識で標識され得る。多標識の実験は、それぞれの標識の検出を最適化するために標識特徴および検出技術を考慮すべきである。代表的な第1および第2の蛍光標識は、良好な対比および最小のシグナル漏出で分析され得る、Cy3およびCy5(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, New Jersey, United States of America)である。
【0170】
それぞれのプローブまたはプローブセットに固有の標識は、プローブまたはプローブセットが接着される標識ミクロスフェアをさらに含み得る。代表的なシステムは、LabMAP(Luminex Corporation, Austin, Texas, United States of America)である。概略、LabMAP(Laboratory Multiple Analyte Profiling)技術は、ミクロスフェアと呼ばれる、色分けされた微小ビーズの表面上でのハイブリダイゼーション反応を含む分子反応を行うことを含む。本発明の方法に従い用いられる場合、個々のプローブまたはプローブセットは、それらがアッセイにより同定され得るように、1つの色分けされたビーズと接着される。十分なハイブリダイゼーションは、増幅核酸試料の検出可能な標識(検出可能な標識は、個々のミクロスフェアを同定するために用いられたそれぞれの色分けから区別され得る)を用いて、測定される。増幅、標識核酸試料のプローブセットを含むミクロスフェアとのハイブリダイゼーションに続いて、ハイブリダイゼーション混合物を分析し、色コード、ならびにミクロスフェアと結合した核酸試料の標識が検出される。Vignali 2000;Smith et al., 1998;国際公開公報番号WO01/13120、WO01/14589、WO99/19515、およびWO97/14028を参照されたい。
【0171】
VI.検出
ハイブリダイゼーション2本鎖または3本鎖を検出する方法は、利用された標識に従い、選択される。
放射性標識(例えば、32P−、33P−、または35S−dNTP)の場合、検出は、オートラジオグラフィーにより、または当該技術分野の技術者に既知のホスホイメージャーを用いることにより、成され得る。1つの実施態様において、検出方法は自動化され、そして多数の試料の同時検出に適合される。
【0172】
共通研究設備は、GSI Lumonics(Watertown, Massachusetts, United States of America)、Amersham Pharmacia Biotech/Molecular Dynamics(Sunnyvale, California, United States of America)、Applied Precision Inc. (Issauah, Washington, United States of America)、Genomic Solutions Inc.(Ann Arbor, Michigan, United States of America)、Genetic MicroSystems Inc.(Woburn, Massachusetts, United States of America)、Axon(Foster City, California, United States of America)、Hewlett Packard(Palo Alto, California, United States of America)、およびVirtek(Woburn, Massachusetts, United States of America)の機械を含む高処理蛍光検出を行うために開発された。市販のシステムの多くは、光電子増倍管検出を伴う、いくつかの形態のスキャニング技術を用いる。蛍光試料を分析する場合に考慮する基準は、Alexay et al., 1996により要約されている。
【0173】
別の実施態様において、核酸試料またはプローブは、赤外線、近赤外線、または赤外線蛍光ダイで標識される。ハイブリダイゼーションに続き、増幅核酸およびプローブの混合物が、レーザーダイオードおよびセンサー(ここで、レーザーが、蛍光標識の吸収スペクトル内の波長でのスキャニング光によりスキャンし、そして光が標識の放出波長で送られる)により光電子的にスキャンされる。米国特許番号6,086,737;5,571,388;5,346,603;5,534,125;5,360,523;5,230,781;5,207,880;および4,729,947を参照されたい。ODYSSEY[商標]赤外線イメージングシステム(Li-Cor, Inc., Lincoln, Nebraska, United States of America)が、データ収集および分析のために用いられ得る。
【0174】
エピトープ標識が用いられると、エピトープと結合するタンパク質または化合物を用いて、該エピトープが検出される。例えば、酵素結合タンパク質は、それぞれ分光高度計または照度計を用いて測定可能な比色分析または蛍光反応産物の発生により、連続的に検出され得る。
【0175】
1つの実施態様において、INVADER[商標]技術(Third Wave Technologies, Madison, Wisconsin, United States of America)を用いて、標的核酸/プローブ複合体が検出される。概略、核酸切断部位(例えば、5’ヌクレアーゼ活性を有する様々な酵素により認識されるもの)が、標的配列上に生成され、そして該標的配列が部位特異的方法で切断され、これにより、特異的核酸配列またはその特異的バリエーションの存在を示す。米国特許番号5,846,717;5,985,557;5,994,069;6,001,567;および6,090,543を参照。
【0176】
別の実施態様において、標的核酸/プローブ複合体は、増幅分子、例えば、Lisle et al., 2001に記載のポリdAオリゴヌクレオチドを用いて検出される。概略、テザープローブが、相補的ヌクレオチド配列を有する標的核酸に対して利用される。当該技術分野の技術者に既知の方法を用いて、任意の核酸配列に付加され得る、ポリdT配列を有する標的核酸は、ポリdAオリゴヌクレオチドを含む増幅分子とハイブリダイズする。短いオリゴdT40シグナル伝達部分は、任意の適当な標識(例えば、蛍光、化学発光、放射性同位体標識)で標識される。短いオリゴdT40シグナル伝達部分は、分子に続いてハイブリダイズされ、そして該標識が検出される。
【0177】
表面プラスモン共鳴分光学は、本明細書で記載のランダムに増幅された核酸とプローブとの間で形成されたハイブリダイゼーション2本鎖を検出するためにも用いられ得る。例えば、Heaton et al., 2001;Nelson et al., 2001;Guedon et al., 2000を参照されたい。
【0178】
VII.自己免疫疾患遺伝子発現方程式
VII.A.方程式の一般的記載
統計上最も有意な対照集団と比較して、SLE患者で最も低発現している遺伝子が選択され、それらを用いて、自己免疫疾患の個体が分類されるかが決定され、そして新たな試料が自己免疫疾患または対象個体からもたらされたか否かが予測された。
【0179】
表1
方程式で用いられる遺伝子
【表4】

【0180】
表1の続き
【表5】

【0181】
VII.B.自己免疫疾患の存在を予測するための方程式の使用
表1で挙げられる遺伝子それぞれの発現レベルが、上記のように決定された。それぞれの遺伝子について、対照集団およびSLE集団の平均発現レベルが合計され、そして2で割られる(すなわち、(対照平均+SLE平均/2))。該値の決定後、35の遺伝子それぞれの発現レベルが、それぞれの対象について調べられた。それぞれの遺伝子について、値0は、該遺伝子についての発現レベルが、上で決定された平均発現レベルより低い対象の遺伝子に対して指定された。個々の対象の発現レベルが平均発現レベルより高いと、該遺伝子は値1と指定された。次に指定された値を加え、合計を得た(最小値=0;最大値=35)。
【0182】
対照個体のスコア範囲は、18〜35であり、11の対照個体のうち8でスコア35となった。該分析が正常免疫対象に適用されると、該スコアは26〜35の範囲となった。しかしながら対照的に、自己免疫疾患の対象のスコア範囲は、次の:SLEについて0〜5;RAについて0〜6、1型糖尿病について0〜1;およびMSについて0であった(p<0.000001)。
【0183】
最初の分析に含まれなかったSLEおよびRA患者群が次に検査され、上で開示のストラテジーの予測値が調べられた。該患者で得られたスコア範囲は、SLEについて0〜5、そしてRAについて0〜6であった。従って、本明細書で開示の方法を用いて、疾患状態が未知の対象における自己免疫疾患の存在または非存在が、対象から単離された全RNAを上記分析の対象とし、そして既に記載のスコアを得ることにより、検出され得る。該実施態様において、スコア8またはそれ未満は、自己免疫疾患の存在を示唆し、一方スコア15またはそれ以上は、自己免疫疾患の非存在を示唆する。
【0184】
実施例
次の実施例は、本発明の方法を説明するために含められている。次の実施例のある種の態様は、本発明の実施において上手く機能することが本発明者により見出されるか、または考慮された技術および方法に関して記載される。該実施例は、本発目者の標準的な実験室での実施を説明する。本発明の開示および当該技術分野の技術者の一般的レベルに照らし、当該技術者は、次の実施例が説明のみを意図されていること、および多くの変化、修飾、および変更が、本発明の範囲から逸脱することなく利用され得ることを理解するであろう。
【0185】
実施例1
患者集団
9人の対照対象(年齢27〜58歳)を、インフルエンザワクチン前および後に検査した。RA患者(n=20;年齢46〜68歳)、SLE患者(n=24;年齢22〜73歳)、1型糖尿病患者(n=5;年齢20〜46歳)、およびMS(n=4;年齢37〜54歳)も、該検査に登録した。それぞれの自己免疫疾患の臨床的診断が、登録の唯一の基準であった。影響を受けていないファミリーメンバーも、該検査に含み(n=4、33〜54歳)、うち3人がSLE患者個体であり、1人がRA小児個体であった。検査群における男性対女性の比は、約3:1であった。
【0186】
実施例2
試料調製
フィコール・ハイパック(Sigma-Aldrich, St. Louis, Missouri, United States of America)勾配での遠心により、実施例1の集団から採取したヘパリン添加血液から、末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。PBMC中の白血球分布をフローサイトメトリーにより決定した。全RNAを、製造元(Molecular Research Center, Cincinnati, Ohio, United States of America)のプロトコールに従い、TRI REAGENT[登録商標]により単離した。
【0187】
RNA標識
RNA標識は3段階;プライミング、伸長、およびプローブ精製を必要とした。プライミングのため、全RNA1〜10μg(ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水8.0μl未満の用量中)、およびオリゴdT2.0μg(10〜20mer混合物;1μg/ml)を、1.5mlの微量遠心チューブに全量10μlで混合した(バランス;DEPC処理水)。該チューブを70℃に10分間置き、次に短時間、軽く氷冷した。伸長のため、5×ファーストストランドバッファー(Invitrogenカタログ番号Y00146)6.0μl、0.1M DTT 1.0μl、dNTP混合物 1.5μl(20mM 各dNTP)、およびSUPERSCRIPT[商標]II逆転写酵素(Invitrogen)1.5μlを、該微量遠心チューブに添加した。33P−dCTP(10mCi/ml;特異的活性3000Ci/mmol;ICN Biomedicals Inc., Irvine, California, United States of America)を該微量遠心チューブに添加し、内容物を完全に混合し、そして該チューブを37℃で90分間インキュベーションした。プローブ精製を、伸長反応混合物をBio-Spin 6クロマトグラフィーカラム(Bio-Rad Laboratories, Hercules, California, United States of America)を通すことで行った。
【0188】
標識RNAのメンブレンへのハイブリダイゼーション
PBMCから単離した33P標識全RNA5μgをGF211 GENEFILTERS[登録商標]メンブレン(RESGEN[商標]、Invitrogen Corporation事業部、Carlsbad, California, United States of America;GF211メンブレンに存在する遺伝子を、RESGEN[商標]のftpサイト:ftp://ftp.resgen.com/pub/GENEFILTERSで見出し得る)とハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションに先立ち、フィルターを0.5% SDSで前処理した。該SDS溶液を沸騰するまで加熱し、メンブレンに加え、そして次にそれを、SDS溶液中で軽く攪拌しながら5分間インキュベーションした。
【0189】
前処理後、フィルターをハイブリダイゼーションローラーチューブ(35×150mm;DNA側は該チューブの内側に面している)に置いてプレハイブリダイズし、そしてMICROHYB[商標]溶液(RESGEN[商標])5mlを該チューブに添加する。さらなるブロッキング剤(COT-1[登録商標]DNA 5μg、Invitrogen Corporation, Carlsbad, California, United States of America;ポリdA 5μg)を添加し、該チューブをボルテックスして完全に混合した。メンブレンとチューブの間の泡を取り除き、該メンブレンをプレハイブリダイゼーション溶液中、42℃で少なくとも2時間インキュベートした。ハイブリダイゼーションのため、プローブを沸騰により変性し、冷却し、そしてGENEFILTERS[登録商標]メンブレンおよびプレハイブリダイゼーション溶液含有ローラーチューブへピペットで移した。ここで、変性プローブ含有溶液をボルテックスにより混合した。ハイブリダイゼーションを、一晩または少なくとも12〜18時間、42℃で行った。
【0190】
ハイブリダイゼーション後の洗浄およびイメージング
ハイブリダイゼーション後、該フィルターをローラーチューブ内で洗浄した。次の洗浄条件を用いた。第1および第2の洗浄は、2×SSC/1% SDS/50℃、20分間であり、第3の洗浄は、0.5×SSC/1% SDS/55℃、15分間であった。洗浄後、メンブレンをプラスチックラップで覆い、ホスホイメージングカセットに置いた。フィルターをイメージングスクリーンに2〜4時間(短時間曝露)、次にさらに24時間(長時間曝露)曝露し、スクリーンをPHOSPHORIMAGER[商標]装置(Molecular Dynamics, Piscataway, New Jersey, United States of America)を用いてスキャンした。データを標準化し、マイクロアレイに表れたそれぞれのクローン(計4329クローン)について、平均感度1.0を生じた。該方法の再現性を、マイクロアレイを分けるために再現ハイブリダイゼーションを行うことにより、確立した。線形回帰分析は、個々のハイブリダイゼーションが0.87から0.96の範囲のR値を生じることを示した。同一フィルターの異なる曝露時間も、高R値(0.99)を生じた。
【0191】
実施例3
データ分析
ホスホイメージングに続き、データをデジタルフォーマットを集め、Pathways 3.0ソフトウエアプログラム(Invitrogenより市販)を用いて、共通対照フィルターに対して標準化した。Eisen's ClusterおよびTreeviewソフトウエア(Stanford University, Palo Alto, California, United States of America;(Eisen et al., 1998)を用いて、個々の試料間の類似性を比較した。データセットを、階層的K平均および自己複製マップアルゴリズム(Sherlock 2000)を用いて分析した。PATHWAYS[商標]3.0プログラム(RESGEN[商標])を用いて、免疫および自己免疫疾患分類において差次的に発現した遺伝子を同定した。いずれの状態でも有意(99%信頼性、チェン検査(Chen test))に変化しない遺伝子の発現レベルをデータベースから取り除いた(Kim et al., 2000)。データセットに残る遺伝子を、10のセントロイドでの非監視K平均クラスターアルゴリズムを用いて、クラスター化した(Eisen et al., 1998;Sherlock 2000)。
【0192】
実施例4
正常免疫応答中の遺伝子の発現特性
単核細胞集団が遺伝子発現における変化を測定するための適当な供給源を表すという仮説を判断するために、健常対照対象(n=9)由来のPBMCでの遺伝子発現における変化を、免疫前およびインフルエンザワクチンでの免疫後に測定した。該対象からもたらされた遺伝子発現特性は、全対象が多数のインフルエンザ抗原(Ag)に既に曝露していたため、2次免疫応答を含むようであった。試料を対象から3つの時間点:免疫3、6〜9、および19〜21日後に集めた。自己複製マップアルゴリズムを用いて、既に免疫されていた群を免疫群と比較した。該方法は、免疫状態よりむしろ同一性に基づき個体を分類し、これを個々の試料の相対的近似値により示した(図1A、上段パネルを参照)。従って、残りの全遺伝子発現パターンは、免疫後、比較的無変化のままであった。最も差次的に発現した遺伝子から生じた特徴に焦点をあてるため、発現レベルがそのそれぞれの平均より3標準偏差(SD)以上変動していない遺伝子を除去した。除去後、免疫前および免疫後状態により、1次的に発現特性を分けた(図1A、上段パネルを参照)。これは、より小さな群の遺伝子の発現レベルにおける一様な変化が、免疫前および免疫後の群を区別することを示唆する。該遺伝子を同定するため、K平均クラスタリングを用いて、発現パターンにおける同一性に基づき遺伝子を群に分けた。
【0193】
正常免疫応答と関係する、3つの異なるクラスターを見出した(図1B参照)。第1のクラスターは、免疫後3日で過剰発現した304の遺伝子からなる。該クラスターは、鍵となるシグナル導入経路で含まれるタンパク質(例えば、タンパク質キナーゼC、ホスホリパーゼC、1,2−ジアシルグリセロールキナーゼ、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ、STATおよびSTATインヒビター、AP−1転写因子、インターフェロン制御因子、および増殖に必要なタンパク質)をコード化する遺伝子を主に含有する。該クラスターの遺伝子は、対照群と比較して3〜21倍の発現増加を現した。
【0194】
88の遅い(19〜21日)応答性の遺伝子である第2のクラスターは、シグナル伝達および増殖経路から機能的活性の増加へのシフトを現した。遅い免疫応答性の遺伝子クラスターにおいて、ケモカイン(SCYA3、SCYA13、SCYA14)、補体成分(C1S)、インターフェロン(IFN)誘導性タンパク質(IFI35)、および白血球ホーミング/接着(ICAM2)遺伝子が過剰発現した。セロトニン、グルタミン酸、エストロゲン、およびレチノイン酸の受容体も過剰発現した。該群の遺伝子の発現レベルの増加は、2〜11倍変動した。
【0195】
最後の免疫応答性のクラスターは、全時間的経過に渡り発現レベルの低減を示した78の遺伝子を含有していた。該遺伝子の15%以上が、リボソームタンパク質をコード化する。これは、マイクロアレイに存在する全リボソームタンパク質コード化遺伝子のうち3分の1の発現において増加した。リボソームタンパク質の遺伝子発現における同等の変化は、真核細胞での差と関係し(Krichevsky et al., 1999)、そして観察した変化は、免疫への応答におけるエフェクター状態に対するリンパ球の差を反映可能であった。出願人は、任意の特定の理論の操作により結びつけることを望まないが、総合すると該データは、生体内での免疫応答に不随するmRNA発現における、動的な同等の変化を説明する。第1に、シグナル導入および細胞増殖である、初期免疫応答の2つの鍵となるエレメントに必要な遺伝子が含まれるようであった。第2に、該遺伝子から、リンパ球の免疫機能を請け負うのに必要な他の分類へのシフトが生じた。
【0196】
実施例5
免疫対象対自己免疫疾患患者の発現特性
上記の知見が、正常応答をとなる対象(すなわち、インフルエンザワクチンで免疫した対象)および自己免疫性の応答となる対象間の差であるかを決定するために、試料を4つの通常の自己免疫疾患患者:RA、MS、1型糖尿症、およびSLEの1つと診断した患者から採取した。自己免疫疾患と関係する全遺伝子発現特性の関連を、階層的クラスタリングアルゴリズムを用いて、正常免疫応答群と比較して調べた(図2A参照)。他のクラスタリングアルゴリズムは、類似の結果となった。RA/SLE分類と正常免疫応答分類の間の比較は、クラスタリング分析から4つの主要な分岐を生じた。1つの主要な分岐は、全正常免疫応答試料を含有するが、自己免疫疾患の試料を全く含有しない。自己免疫疾患の試料を3つの主要な分岐に分けた。この分析は、RA試料のいくつか(例えば、RA2およびRA5、あるいはRA1、RA6、およびRA4)、およびSLE試料のいくつか(例えば、SLE2、SLE3、およびSLE4、あるいはSLE6、SLE8、およびSLE9)が、高度に関係することを示した。しかしながら、RA/SLEと正常免疫応答との違いとは異なり、大部分のRA試料を大部分のSLE試料から区別することはできなかった。このことは、RAおよびSLEが、免疫分類とは異なり、共通する自己免疫疾患分類を現すかもしれないことを示唆する。類似の結果を、MS/1型糖尿病試料との正常免疫応答試料のクラスタリングから得た。再度、正常免疫応答群をMS/1型糖尿病群から良好に区別したが、MSおよび1型糖尿病の特性は互いに区別し合わなかった。不変の遺伝子をデータセットから除去した場合でさえ、自己免疫疾患分類で区別できなかった。
【0197】
該データセットをさらに分析し、正常免疫応答と比較して、自己免疫疾患において最も差次的に発現する遺伝子を同定した。非自己免疫疾患群を、対照(無処置)および免疫(免疫後6〜9日)とに分けた。自己免疫疾患群由来の個々の試料を、疾患の種類に基づいて分け、そして免疫応答遺伝子特性と比較した。異なる群での遺伝子発現の差を、実験条件と対照群間の比の自然対数としてプロットした。
【0198】
差次的に発現した遺伝子の2つのクラスターを(1)自己免疫疾患の患者、および(2)対照および免疫個体とに区別した(図2B参照)。第1の主要なクラスターは、全4つの自己免疫疾患(1型糖尿病、MS、RA、およびSLE)で過剰発現した、95の遺伝子を含んでいた。該自己免疫疾患のクラスターで過剰発現した遺伝子は、いくつかの異なる機能的カテゴリー:受容体(CSF3R、HLA−DMB、HLALS、TGFBR2、およびBMPR2)、炎症メディエーター(MSTP9、BDNF、CES1、ELA3、およびCYR61)、シグナル伝達/2次メッセンジャー分子(FASTK、DGKA、およびDGKD)、および自己抗原(GARSおよびGAD2)を現し、比較的異種性であった。第2の主要なクラスターは、全免疫疾患群で非常に低発現した117の遺伝子を含有していた。該遺伝子の発現レベルは、免疫応答群で変化しなかった。ダウンレギュレートした遺伝子の多くが、アポトーシス(TRADD、TRAP1、TRIP、TRAF2、CASP6、CASP8、TP53、およびSIVA)、およびユビキチン/プロテアソーム機能(UBE2M、UBE2G2、およびPOH1)において鍵となる働きをする。様々な細胞機能のインヒビターも、該クラスターで広範に出現した。これは、細胞サイクルプログレッションの直接的インヒビター(CDKN1B、CDKN2A、およびBRCA1)、ならびに細胞分化のインデューサー(LIF、およびCD24)を含む。ある種の酵素インヒビター(APOC3およびKAL1)も該分類で見出した。
【0199】
K平均クラスタリングは、免疫分類と自己免疫分類の間でオーバーラップする遺伝子のクラスターを同定することが不可能であることを示し、これは、正常免疫応答を特徴とする遺伝子発現パターンが、自己免疫疾患で見出すものと相当異なることを示唆している。さらに、異なる自己免疫疾患で区別される遺伝子のクラスターを見出し、これは、検査した自己免疫疾患が、正常免疫応答に対してより、互いに類似することを示唆している。
【0200】
免疫前対照と4種類の自己免疫疾患それぞれを有する個体間の1遺伝子の発現レベルをさらに調べた。集団レベルにおいて非常に高いレベルの過剰発現および低発現を現し(図3Aおよび図3B参照)、かつ自己免疫疾患のそれぞれの個体と高度に一致する遺伝子を選択した。自己免疫疾患の集団における過剰発現遺伝子は、より大きな個々の変動を示した(図3A参照)。過剰発現遺伝子において、全対照個体と比較して、全自己免疫疾患の個体で過剰発現した個々の遺伝子は存在しない。しかしながら、該過剰発現遺伝子それぞれは、全体として取り上げた対照集団と比較した場合、一体と見なした自己免疫疾患の集団において、有意に過剰発現した(p<0.05)。対照的に、低発現遺伝子の発現レベル(図3B)は、任意の対照個体においてより、それぞれの自己免疫疾患の個体において低かった。
【0201】
対照と自己免疫疾患の集団の間の遺伝子発現の差は、PBMCを成す細胞の分布または活性化状態における変化に起因するかもしれない。2度の分析を行い、該確率を調べた。第1に、フローサイトメトリーにより、CD3(T細胞)、CD14(単球)、CD19(B細胞)、および白血球アルカリホスファターゼ(好中球)についてPBMC調製物を分析した。両対象由来の全PBMC調製物は、75〜80%のT細胞、約10%の単球、約5%のB細胞、および1%未満の好中球を含んでいた。第2に、所定の部分集団に限られるか、または活性化状態を反映する遺伝子の発現レベルが、自己免疫疾患の集団と比較して、対照において差次的に発現するか否かを決定した(表2)。該遺伝子の発現レベルは、対照群と自己免疫疾患群の間で2倍未満変動し、この差は、統計上有意ではなかった。総合すると、該データは、PBMCの組成または活性化状態の変化は、対照集団と自己免疫疾患集団の間で見られる差の原因ではないことを示唆している。
【0202】
表2
リンパ球サブセットまたは活性化状態を区別するタンパク質コード化遺伝子の発現レベル
【表6】

【0203】
実施例6
核酸の蛍光標識
核酸試料を、ポリメラーゼ反応による蛍光ヌクレオチド類似体(例えば、Cy3−dUTPおよびCy5−dUTP、Amersham Pharmacia Biotech of Piscataway, New Jersey, United States of Americaより市販)の直接的取り込みの鋳型として用い得る。概略、標識反応液50μlは、鋳型DNA 2μg、10×バッファー 5μl、蛍光dUTP 1.5μl、dATP、dCTP、およびdGTPそれぞれ0.5μl、6量体および10量体(すなわち、ランダムまたは対象の遺伝子由来、いずれかのプライマー)、およびクレノー(E. coliDNAポリメラーゼ3’から5’、New England Biolabs of Beverly, Massachusetts, United States of America)2μlを含有し得る。
【0204】
実施例7
核酸プローブのガラスへの非共有結合
PCRフラグメントを、3から5M NaSCN溶液に懸濁し、Santa Clara, California, United States of AmericaのGMS 417[商標]アレイを用いて、アミノシラン処理したスライドにスポットする。スポット後、該スライドを80℃で2時間加熱し、該スポットを脱水する。ハイブリダイゼーションに先立ち、該スライドを、イソプロパノール中で10分間洗浄し、次に、沸騰水中で5分間洗浄する。該洗浄段階により、ガラスに強固に結合していない任意の核酸を取り除き、そしてハイブリダイゼーション中に弱く接着したDNAの再分配により生じるバックグランドを低減する。洗浄剤および炭水化物の様な混入物は、スポッティング溶液中に最小としなければならない。Maitra & Thakur 1992;Maitra & Thakur 1994も参照されたい。
【0205】
実施例8
遺伝子特異的プローブを含むマイクロアレイとのハイブリダイゼーション
試料由来の標識核酸を、4×SSCバッファー、0.7μg/μl tRNA、および0.3% SDS溶液中で調製し、全容量14.75μlとする。ハイブリダイゼーション混合物を98℃で2分間変性し、65℃まで冷却し、マイクロアレイにアプライし、そして22mmのカバースリップで覆う。該スライドを、ハイブリダイゼーション用防水加工ハイブリダイゼーションチャンバー内、65℃のウオーターバスに3時間置いた。ハイブリダイゼーションに続いて、スライドを0.06% SDSを含む1×SSCバッファー中、次に0.06×SSCバッファー中で2分間洗浄する。
【0206】
参考文献
以下に列挙される参考文献、ならびに本明細書で記載の全参考文献は、それらが、本明細書で利用された方法論、技術、および/または組成物を捕捉し、説明し、その背景をもたらし、または教える範囲で、引用により明細書に取り込まれる。
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【0234】
米国特許番号4,729,947
米国特許番号5,346,603
米国特許番号5,445,934
米国特許番号5,207,880
米国特許番号5,230,781
米国特許番号5,360,523
米国特許番号5,534,125
米国特許番号5,571,388
米国特許番号5,743,960
米国特許番号5,843,767
米国特許番号5,846,717
米国特許番号5,916,524
米国特許番号5,965,352
米国特許番号5,985,557
米国特許番号5,994,069
米国特許番号6,001,567
米国特許番号6,066,457
米国特許番号6,090,543
米国特許番号6,017,696
米国特許番号6,086,737
米国特許番号6,123,819
米国特許番号6,162,603
米国特許番号6,225,059
米国特許番号6,245,508
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【0239】
本発明の様々な細部が、本発明の範囲から離れることなく変更され得ることが理解されるだろう。さらに、上述の記載は、説明の目的のみであり、制限することを目的としていない。
【図面の簡単な説明】
【0240】
【図1】図1Aおよび1Bは、免疫前および免疫後のデータのクラスター分析を表す。
【図2】図2Aおよび2Bは、クラスター分析による免疫および自己免疫疾患分類群の比較を表す。
【図3】図3Aおよび3Bは、自己免疫疾患集団における最も低発現遺伝子および過剰発現遺伝子の個体ベースの分析を表す。
【図4】図4は、自己免疫疾患の分類および予測を表す。
【配列表】








































































【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における自己免疫疾患を検出する方法であって、
(a)生物学的試料を対象から採取すること;
(b)該生物学的試料における少なくとも2個の遺伝子の発現レベルを決定すること;および
(c)段階(b)で決定されたそれぞれの遺伝子の発現レベルをスタンダードと比較すること(ここで、該比較により、該対象の自己免疫疾患の存在を検出する)、
を含む、方法。
【請求項2】
自己免疫疾患が、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、1型(すなわち、インシュリン依存性)糖尿病(IDDM)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生物学的試料が細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
細胞が末梢血単核細胞である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
対象が動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
動物が哺乳類である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
哺乳類がヒトである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
決定が、ノーザンブロット法、核酸マイクロアレイとのハイブリダイゼーション法、および逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)からなる群から選択される技術を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
RT−PCR法が定量的RT−PCR法である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも2個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも5個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも10個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも20個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも25個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
決定が、配列番号:1〜70により表される全遺伝子の発現レベルの決定である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
比較が、
(a)集団におけるそれぞれの遺伝子についての平均発現レベルを確立すること(ここで、該集団は、統計学上有意な数の正常対象および1以上の異なる自己免疫疾患を有する対象を含む)、
(b)第1の値を、対象での発現レベルが該集団での平均発現レベルより高い、それぞれの遺伝子に対して、そして第2の値を、対象での発現レベルが該集団での平均発現レベルより低い、それぞれの遺伝子に対して指定すること;および
(c)段階(b)で指定された値を足し、合計を得ること(ここで、該合計が、対象における自己免疫疾患の存在または非存在の指標である)、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
対象における自己免疫疾患を診断する方法であって、
(a)多数の核酸配列を含むアレイを用意すること(ここで、それぞれの核酸配列が、既知遺伝子に対応する)、
(b)対象由来の生物学的試料を用意すること(ここで、該生物学的試料は核酸を含む)、
(c)該生物学的試料をアレイとハイブリダイズさせること、
(d)該生物学的試料がハイブリダイズするアレイ上の全核酸を検出すること、
(e)検出されたそれぞれの核酸についての相対的発現レベルを決定すること、
(f)検出された核酸について相対的発現レベルの特性を創成すること、
(g)創成された特性をスタンダードの特性と比較すること(ここで、該比較により、対象における自己免疫疾患を診断する)、
を含む、方法。
【請求項18】
自己免疫疾患が、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、1型(インシュリン依存性)糖尿病(IDDM)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アレイが、マイクロアレイチップおよびメンブレンベースフィルターアレイからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
アレイが、配列番号:1〜70により表される少なくとも2個の遺伝子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
アレイが、配列番号:1〜70により表される少なくとも5個の遺伝子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
アレイが、配列番号:1〜70により表される少なくとも10個の遺伝子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
アレイが、配列番号:1〜70により表される少なくとも20個の遺伝子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
アレイが、配列番号:1〜70により表される少なくとも25個の遺伝子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
アレイが、配列番号:1〜70により表される全遺伝子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
アレイが、少なくとも1個の内部対照遺伝子をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
生物学的試料が細胞である、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
細胞が末梢血単核細胞である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
対象が動物である、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
動物が哺乳類である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
哺乳類がヒトである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
決定が、ノーザンブロット法、核酸マイクロアレイとのハイブリダイゼーション法、および逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)からなる群から選択される技術を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
RT−PCR法が定量的RT−PCR法である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも2個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項17に記載の方法。
【請求項35】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも5個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも10個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも20個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
決定が、配列番号:1〜70により表される少なくとも25個の遺伝子の発現レベルの決定である、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
決定が、配列番号:1〜70により表される全遺伝子の発現レベルの決定である、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
比較が、
(a)集団におけるそれぞれの遺伝子の平均発現レベルを確立すること(ここで、該集団は、統計学上有意な数の正常対象および1以上の異なる自己免疫疾患を有する対象を含む)、
(b)第1の値を、対象での発現レベルが該集団での平均発現レベルより高い、それぞれの遺伝子に対して、そして第2の値を、対象での発現レベルが該集団での平均発現レベルより低い、それぞれの遺伝子に対して指定すること;および
(c)段階(b)で指定された値を足し、合計を得ること(ここで、該合計が、対象における自己免疫疾患の存在または非存在の指標である)、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項41】
多数のオリゴヌクレオチドプライマー、および配列番号:1〜70により表される少なくとも1個の遺伝子の発現レベルを決定するための多数のオリゴヌクレオチドプライマーを利用するための指示書を含む、キット。
【請求項42】
配列番号:1〜70により表される少なくとも5個の遺伝子の発現レベルを決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
配列番号:1〜70により表される少なくとも10個の遺伝子の発現レベルを決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項41に記載のキット。
【請求項44】
配列番号:1〜70により表される少なくとも20個の遺伝子の発現レベルを決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項41に記載のキット。
【請求項45】
配列番号:1〜70により表される少なくとも30個の遺伝子の発現レベルを決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項41に記載のキット。
【請求項46】
配列番号:1〜70により表され全遺伝子の発現レベルを決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項41に記載のキット。
【請求項47】
対照遺伝子の発現レベルを決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーをさらに含む、請求項41に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−503587(P2006−503587A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553404(P2004−553404)
【出願日】平成15年5月16日(2003.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/015449
【国際公開番号】WO2004/046098
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(501271033)バンダービルト・ユニバーシティ (9)
【氏名又は名称原語表記】VANDERBILT UNIVERSITY
【Fターム(参考)】