説明

自己免疫疾患を治療するための新規組成物

本発明は、炎症を低減させることおよび組織修復または組織再生を促進することを必要とするヒトおよび他の哺乳動物において、全身投与または局所投与されたT−ChOSならびにグルコサミンおよび/またはN−アセチルグルコサミンの相乗効果を通して炎症を低減させるため、および組織修復または組織再生を促進するための組成物、使用および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的使用のための新しいキトオリゴマー(chitooligomer)組成物に関する。より特定すれば、本発明は、インビボおよびインビトロにおいて再生効果および抗炎症効果を相乗的に促進する、キチンから作製された生体材料および医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
第一世代の生体材料の開発は、許容できる機械的強度を有するが、組織治癒に対して受動的な寄与に終わった。これは、それらの機能が組織置換を支持することに限定されていたからである。これらの第一世代の生体材料は、分解の残骸を放出し、次いでこれが慢性の炎症、疼痛、および浸出の発症につながった。第二世代の生分解性の生体材料の開発の主目的は、第一世代の材料に由来する残骸粒子の連続的な放出から生じる慢性的な、長期の問題を解消することであった。これは、所望の時間の長さ(数ヶ月)の間組織支持性を提供する埋め込み型の生分解性材料をもたらし、そしてその後、それらの材料は周囲の組織による局所的な分解を受け、その後尿および/または糞便を介して体外に排泄される。この技術の一例は、今日使用されている生分解性の血管縫合糸である。
【0003】
第二世代の生体材料の良好な生体適合性にもかかわらず、組織治癒の促進に対するそれらの寄与は、組織治癒および再生に関与する生物学的プロセスにおけるそれらの受動的な役割に起因して、限定的である。より最新の群の第3世代の生体材料を開発するという必要性は、組織治癒および再生のプロセスに能動的に寄与するであろう化合物を開発するという要望の中に存在する。
【0004】
出願人の先行出願(特許文献1)は、治療への応用のための高度に精製された部分的に脱アセチル化されたキチン生体材料を作製するための方法を開示する。この方法により製造されるオリゴマー組成物は、本願明細書中で「治療用のキトオリゴ糖」(T−ChOS)と呼ばれる。この治療用のキトオリゴ糖は、4〜20モノマー残基というその鎖長およびD−グルコサミン(D)およびN−アセチル−D−グルコサミン(A)のその特定の配列を特徴とし、この特定の配列では、そのオリゴマーの内側部分は、N−アセチルグルコサミン残基(A)が別のN−アセチルグルコサミン残基に隣接している(AAなど)ことを回避するために、少なくとも十分なグルコサミン(D)残基を有する。
【0005】
損傷したまたは疾患に罹った組織が修復または治癒するために、基本的に2つの方法がある。1つは、瘢痕形成を導く線維症を介することである。線維性組織の形成に関与する線維芽細胞はもとの組織細胞の機能を有しないので、この修復経路は組織機能の機能不全につながる。炎症性サイトカインは、通常、線維症に関与する。YKL−40は、線維芽細胞の成長の走化性および刺激を介して線維症において一定の役割を果たすと考えられている。
【0006】
組織修復の別の経路は、組織再生または機能的組織修復である。この経路では、この特定の組織の機能細胞は、恐らく組織特異的な前駆細胞から再生され、健康な機能組織の再生をもたらす。
【0007】
骨組織において、造骨性および骨誘導性(osteoinductive)の生体材料または装置は、軟骨および/または骨組織へと分化することができる前駆細胞の増殖を誘導することにより骨成長を促し、そして、空隙を満たすだけでなく、身体がこの生体材料組成物によってもたらされる足場(scaffold)内で新しい骨を産生することを引き起こすまたは誘導する内因性の特性をも呈する材料として特徴付けられる。これらの材料は、足場として作用するだけでなく、新しい骨の形成を誘導するタンパク質または他の物質をも含有する。自家移植片は、整形外科手術で長い年数使用されてきており、身体の再生能力を支援する最も一般的な方法である。真の骨誘導性を示す市販品は、ヒトの骨形成タンパク質(BMP)の組換え版を組み込む、InFUSE(登録商標)と呼ばれるメドトロニック(Medtronic)製の最近導入された装置ただ1つである。さらには、グルコサミンは変形性関節症を治療するために広く使用されてきた。
【0008】
全身投与(経口投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与など)を介して組織再生を促進することができる薬剤は、今のところは発見されていない。
【0009】
以前の特許出願(特許文献2)において、本発明者らは、骨欠陥の中へと埋め込まれた、部分的に脱アセチル化されたキチン誘導体が内軟骨性骨化を誘導することができるということを実証した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2006/134614号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/057011号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、全身投与を介する特定のアミノ糖の効果を実証するインビトロモデルおよびインビボモデルにおいてT−ChOSおよびT−ChOS+グルコサミンの再生効果を実証する。加えて、グルコサミンおよびN−アセチルグルコサミンの二量体および三量体(DP2およびDP3)が阻害効果を呈するということが実証される。本発明はまた、リウマチ性関節炎(RA)における抗炎症および組織再生を促進する生理活性組成物としての、T−ChOSおよびグルコサミンの驚くべき相乗効果を開示する。実施例において、T−ChOSおよびグルコサミンの組み合わせ(併用)が、見かけ上はCLPタンパク質ファミリーの1つのメンバーであるYKL−40との相互作用を通して、軟骨外植片におけるII型コラーゲン形成を促進および増進するための活性薬剤を構成するということがさらに実証される。炎症を低減させるおよび組織修復または組織再生を促進する必要があるヒトおよび他の哺乳動物において、全身投与または局所投与されたT−ChOSならびにグルコサミンおよび/またはN−アセチルグルコサミンの相乗効果を介して炎症を低減させるためおよび組織修復または組織再生を促進するための組成物、使用および方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様では、組成物が提供される。この組成物はN−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)の治療上活性なキトオリゴマー(T−ChOS)を含み、当該キトオリゴマーは、以下の基準を満たす必要があるヘテロキトオリゴマーを含む:当該オリゴマーは4〜20モノマー残基の範囲の重要な鎖長分布を有し、かつ各オリゴマー鎖は当該オリゴマー鎖の片末端または両末端に2つのN−アセチルグルコサミン残基(AA)を有することができる。内部鎖(各端の末端の2つの残基の内側の部分)の配列は、N−アセチルグルコサミン残基(A)が別のN−アセチルグルコサミン残基に隣接(AAなど)していないような配列である。この組成物はさらに、グルコサミンモノマーおよび/またはN−アセチルグルコサミンを含む。本発明の第1の態様に係る組成物は、生体材料の主要な基準、つまり生体適合性、生分解性、および生理活性を呈する生体材料である。
【0013】
当該治療上活性なキトオリゴマー(T−ChOS)および上記モノマーの適切な比は、特定の適応、応用例、装置および剤形に応じて変わりうる。概して、上記モノマーとオリゴマーとの間の比(重量/重量)は、約1:10〜約10:1の範囲、より好ましくは約1:5〜約5:1の範囲(約1:1〜約5:1の範囲を含む)であってもよい。ある実施形態では、モノマーの重量による量はさらに高く、この範囲は、約1:1〜約10:1の範囲、例えばより好ましくは約1:1〜約5:1の範囲内、(約1:1〜約4:1の範囲、例えば約2:1、約4:1、より好ましくは約3:1の比を含む)にあってもよい。他の実施形態では、より多くのT−ChOSオリゴマーが使用され、モノマー:オリゴマーの比は約1:1〜約1:4の範囲(約1:1、約1:2、および約1:3の比を含む)である。
【0014】
本発明の第2の態様では、加えられたグルコサミンおよび/またはN−アセチルグルコサミンモノマーと相乗的な、N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)の治療上活性なキトオリゴマー(T−ChOS)を含む医薬組成物が提供される。このキトオリゴマー成分は、4〜20モノマー残基の範囲の重要な鎖長分布を有する上で定義されたとおりのヘテロキトオリゴマーを含み、かつ各オリゴマー鎖は当該オリゴマー鎖の片末端または両末端に2つのN−アセチルグルコサミン残基(AA)を有することができる。内部鎖の配列は、N−アセチルグルコサミン残基(A)が別のN−アセチルグルコサミン残基に隣接(AAなど)していないような配列である。当該組成物はさらに、好ましくは上記のとおりの重量比で、グルコサミンモノマーおよび/またはN−アセチルグルコサミンを含む。この医薬組成物は散剤、懸濁剤、ゲル、ゾル、エアロゾル、ペースト、フィルム、泡沫、丸剤、およびカプセル剤の形態にあってもよい。当該医薬組成物はさらに、薬学的に許容できる賦形剤を含むことができる。
【0015】
本発明の第3の態様では、抗炎症および組織再生のための生体材料/医薬の製造のための、本発明の組成物の使用が提供される。
【0016】
本発明の第4の態様では、組織修復において瘢痕形成を予防するためにコラーゲン合成を制御するための生体材料/医薬の製造のための、当該組成物の使用が提供される。この組成物は、本発明の第1の態様に係るN−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)の治療上活性なキトオリゴマー(T−ChOS)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】OligominおよびT−ChOSのHPLC分析(TSK−Oligoカラム;トーソーハース(TosoHaas)、日本)。
【図2】10日目〜23日目についての累積されたコンドロイチン硫酸の放出に対する種々のアミノ糖の効果。Oligomin 200および400μg/ml(Ol 200およびOl 400)ならびに400μg/mlのグルコサミン(D400)は、コンドロイチン硫酸の分解の有意な減少を示す。平均値およびSEM(測定の標準誤差);N(群)=24。
【図3】20日目〜22日目の間に培地に放出されたII型コラーゲンのN末端プロペプチド(PIINP)に対するT−ChOSの効果。T−ChOS 50、100、200および400μg/mlを除いて効果なしであった。平均およびSEM;N(群)=4。
【図4】20日目〜24日目の間に培地に放出された(プールした(pooled))累積的なII型コラーゲンのN末端プロペプチド(PIINP)に対するT−ChOS+グルコサミン(D)の効果。平均値およびSEM;N(群)=8。
【図5】17日目〜24日目の累積的なコンドロイチン硫酸の放出に対するT−ChOS+グルコサミン(D)、グルコサミンおよびIGF−1の効果。平均およびSEM;n 群=16。IGF−1およびT−ChOS+Dは、累積的なコンドロイチン硫酸の放出の有意な増加を示す。図9に示されるデータに基づく。
【図6】ヒトのOA軟骨外植片における、18日目〜25日目での培地の中のII型コラーゲンのN末端プロペプチド(PIINP)のレベルに対するT−ChOSの用量に関連する誘導。T−ChOSだけが誘導を示した。星印は、t−検定によるT−ChOS 0μg/mlに対するT−ChOS 400μg/mlの有意性(=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001)を示す。平均値およびSEM;N(群)=4。
【図7】当該期間の間のYKL−40発現に対する3つのアミノ糖の効果(N=4;平均値およびSEM)。
【図8】15日目〜25日目での対照、グルコサミン、OligominおよびT−ChOS群についてのPIINP発現に関連するYKL−40の発現。T−ChOS群だけがPIINPの有意に高い発現を示している(N=20)。
【図9】9日目〜17日目の累積の足首直径(Acc AD)に対するグルコサミン、T−ChOSおよびT−ChOS+グルコサミンの組み合わせの効果。それぞれ、0:治療なし、D21:21mg/kg/ラット グルコサミン、T:7.1mg/kg/ラット T−ChOS、T+D14、21および28:T:7.1mg/kg/ラット T−ChOS+14、21、および28mg/kg/ラット グルコサミン。
【図10】足首軟骨損傷スコアに対するグルコサミン、T−ChOS(T)およびT−ChOS+グルコサミンの組み合わせ(T+D21)の効果。数字は、毎日の用量(mg/kgラット)を示す。星印は、t−検定による0からの有意差を示す。
【図11】足首骨吸収スコアに対するグルコサミン、T−ChOS(T)およびT−ChOS+グルコサミンの組み合わせ(T+D21)の効果。数字は、毎日の用量(mg/kgラット)を示す。星印は、t−検定による0からの有意差を示す。
【図12】足首パンヌススコアに対するグルコサミン、T−ChOS(T)およびT−ChOS+グルコサミンの組み合わせ(T+D21)の効果。数字は、毎日の用量(mg/kgラット)を示す。星印は、t−検定による0からの有意差を示す。
【図13】足首の全組織病理学的スコアに対するグルコサミン、T−ChOS(T)およびT−ChOS+グルコサミンの組み合わせ(T+D21)の効果。数字は、毎日の用量(mg/kgラット)を示す。星印は、t−検定による0からの有意差を示す。
【図14】膝のパンヌス形成に対するグルコサミン(D21)、T−ChOS(T)およびT−ChOS+グルコサミンの組み合わせ(T+D)の効果。数字は、毎日の用量(mg/kgラット)を示す。星印は、t−検定による0からの有意差を示す。
【図15】膝の骨吸収に対するグルコサミン(D21)、T−ChOS(T)およびT−ChOS+グルコサミンの組み合わせ(T+D)の効果。数字は、毎日の用量(mg/kgラット)を示す。星印は、t−検定による0からの有意差を示す。
【図16】膝の全組織病理学的スコアに対するグルコサミン(D21)、T−ChOS(T)およびT−ChOS+グルコサミンの組み合わせ(T+D)の効果。数字は、毎日の用量(mg/kgラット)を示す。星印は、t−検定による0からの有意差を示す。
【図17】リウマチ性関節炎(RA)患者における疼痛および炎症に対する、Oligomin、T−ChOS単独およびN−アセチルグルコサミン(A)またはグルコサミン(D)と組み合わせたT−ChOSの効果。評点付けは0(軽減なし)〜10(完全に軽減)である。毎日の用量は、Oligomin:2200mg、T−ChOS:700mg、N−アセチルグルコサミン(A)またはグルコサミン(D):1500mg、であった。矢印は、モノマーがいつT−ChOSに加えられたかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の組成物は、組織再生において相乗効果を示す2つのキチン材料の組み合わせである。治療上活性なキトオリゴマー(T−ChOS)が身体内でキチナーゼ様タンパク質(CLP)に結合することは実証されており、本出願人らのデータは、CLPが身体内でコラーゲンの合成において一定の役割を果たすことができ、そしてCLPとT−ChOSとの間の相互作用の結果として、コラーゲン合成は上方制御されるということを示す。関節軟骨におけるII型コラーゲンの合成は、プロコラーゲンの形成により開始される。このプロコラーゲンは2つの選択的スプライスによる形態PIIANPおよびPIIBNPの中で合成され、PIIANPはTGF−β スーパーファミリーのTGF−β1、BMP−2およびBMP−4を固定化する。これは、分化のあいだ成長因子シグナル伝達を制御する可能性があり、そして軟骨内骨形成、すなわち骨形成の自然の経路(内軟骨性骨化)(軟骨組織形成、軟骨組織の血管新生、石灰化の増進および層板骨を形成するその後の誘導された軟骨組織の骨形成を伴う)の制御にとって重要な要素である。骨形成タンパク質(BMP)は、関節コラーゲンの形成および骨形成の第1段階の間は必要とはされないが、組織が軟骨内骨形成の経路へと誘導されたときに特定的に放出される。
【0019】
DP2〜3が存在すると当該組成物の所望の生物学的作用がブロックされるということを本発明は示すので、本発明の組成物のT−ChOS成分は、モノマー、二量体および三量体(DP1、DP2およびDP3)の量が大きく減少しているということをさらに特徴とする。
【0020】
本発明のオリゴマー組成物は、当該オリゴマー組成物の治療活性(バイオアベイラビリティー、生体内安定性(biostability)、および生理活性が挙げられる)の最適化を表す。本願明細書において「治療用のキトオリゴ糖」(T−ChOS)と呼ばれるオリゴマー組成物は、高度に純粋なかつ完全に可溶性の部分的に脱アセチル化されたキチンポリマーを回収するための国際公開第2006/134614号パンフレットに開示される方法によって製造された。部分的に脱アセチル化されたキチンポリマー組成物は、ファミリー18 エンドキチナーゼで処理され、その後濾過されて4〜20モノマー残基の範囲の鎖長の所望の組成物を与え、各オリゴマー鎖は、当該オリゴマー鎖の片末端または両末端に2つのN−アセチルグルコサミン残基(AA)を有することができる。当該内部鎖の配列は、N−アセチルグルコサミン残基(A)が別のN−アセチルグルコサミン残基に隣接していないような配列である(すなわち、AAであってもよい2残基末端を有する鎖の内部部分には「AA」対は形成されない)。この構築の結果として、4〜20モノマー残基の範囲の鎖長の組成物は、身体内でキチナーゼによっては開裂され得ない。
【0021】
当該オリゴマーの脱アセチル化度は、好ましくは約30〜60%の範囲内(例えば約30%、約40%、約50%または約60%)である。
【0022】
当該治療用のキトオリゴマーの配列パターンは、その生物活性、すなわちそれらがどのようにして生体膜を越えて輸送されるか(バイオアベイラビリティー)、それらが生体系の中でどれほど迅速に分解するか(生体内安定性)、およびそれらがどのようにしてキチナーゼ様タンパク質およびキチン質の配列に結合する他の特異的受容体と相互作用するか(生理活性)に直接影響を及ぼす。
【0023】
バイオアベイラビリティー、すなわち所定の物質が生体膜を通過する能力、はその分子の疎水性に関連する。すべての生体膜は大部分は疎水性であるので、物質がより疎水性であるほど、それはより良好にそのような生体膜を透過できるという一般的な法則が当てはまる。N−アセチル−グルコサミンおよび完全アセチル化キチンオリゴマーは、対応するグルコサミンモノマーまたは高度に脱アセチル化されたキトサンオリゴマーよりも疎水性であり、これは、キチン質のヘテロオリゴマーは増大するアセチル化に伴って増大するバイオアベイラビリティーを有するであろうということを示唆する。従って、当該T−ChOS処方物は、その生体内安定性を損なうことなくそのバイオアベイラビリティーを最大にするために、その分子構造の中に最大量のN−アセチル−グルコサミンを含有するように最適化された。
【0024】
有機化合物の生体内安定性は、生命体の中の内因性の酵素に対するその有機化合物の感受性、およびその生命体の中でのその有機化合物の半減期(t1/2)を指す。感受性が高いほど、その化合物の生体内安定性は低い。ヒトでは、キチン分解酵素は2つの群に分けることができる;高特異的活性を有するファミリー18 キチナーゼ(ヒト酸性キチナーゼ(AMCase)、キトトリオシダーゼ)のような高レベルのキチン分解特異性を有する酵素、またはキチンおよびキトサンを分解することはするが特異的活性はより低いリゾチームおよび恐らくはいくつかのプロテアーゼなどのより低いキチン分解特異性を有する酵素。部分的な脱アセチル化により、当該T−ChOS組成物は、ファミリー18 キチナーゼによる加水分解に対する最大の安定性に向けて最適化された。これらの酵素は、切断のための認識として、2以上の連続するN−アセチル−グルコサミン残基の配列を必要とするので、当該T−ChOS組成物は、当該分子の内部部分でこのような配列を排除するように特に最適化されている。
【0025】
有機物質またはリガンドの生理活性は、生物学的応答を誘発する標的受容体に対するリガンドの親和性に直接関連する。人体におけるキチン質化合物の生物学的役割についてはまだほとんど知られていないが、胚発生においてキチンオリゴマーが極めて重要な役割を果たすという指摘がある。これは、ヒトゲノムが、キチンオリゴマーに結合するときに特異的に活性化される特異的な受容体を発現することができるということを示唆する。人体の中の唯一の公知のキチン結合タンパク質は、遺伝学的にはファミリー18 キチナーゼに属するキチナーゼ様タンパク質(CLP)である。それらの大多数はその酵素活性を失っているが、いまだそのキチン結合ドメインを保存している。
【0026】
用語「内軟骨性骨化」は、軟骨が最初に分化して最終的な骨の骨格を与える骨形成プロセスを指す。軟骨組織は、その分化および維持のために成熟した骨組織ほど多くは局所的な酸素圧を必要とせず、それゆえ、血液供給系が分化のその最終段階を達成していないところではどこでも、軟骨が骨に取って代わるであろう。血管新生がその進行した段階に到達した後に、軟骨が新しい骨に置き換わられるに過ぎず、これによって、分化している組織への酸素の必須の供給が保証される。骨形成のこのプロセスは、特に椎骨、長管骨、胸骨などにおいて、胎生期の間にも典型的である。
【0027】
本発明に関しては、用語「医療機器」は一般に、器具装置、道具、機械、考案物、インプラント、インビトロ試薬、または他の類似のまたは関連する物品(ヒトもしくは他の動物において疾患もしくは他の状態の診断で、または疾患の療養、軽減、治療、もしくは予防で使用することが意図されている構成部品、または付属品、あるいはヒトまたは他の動物の身体の構造もしくはいずれかの機能に影響を及ぼすことが意図されている構成部品、または付属品を含む)を指す。本発明に関しては、用語「生体材料製品」は、用語「医療機器」とほとんど同義で使用される。
【0028】
本願明細書に記載される医薬組成物は、グルコサミンおよび/またはN−アセチル−グルコサミンと相乗的な、治療用のキトオリゴマー(T−ChOS)を含む。それらは、全身投与されることができ、そして内因性のCLPに結合することができ、この内因性のCLPの多くは、いくつかの疾患および状態において一定の役割を果たすとして示され、または暗示されてきた。CLPの発現の高まりと関連付けられている疾患および状態の中には、変性疾患(例えば、関節リウマチ)および他の疾患(変形性関節症を含む)がある。本発明のT−ChOS組成物は、これらの疾患ならびに骨組織形成に関連する状態および外科的処置または外傷後の骨再生などの状態を治療および/または改善(remedying)するために有用であることが見出される。しかしながら、グルコサミンと一緒であれば、この効果は高められる。当該T−ChOSオリゴマーおよびモノマーの適切な比は、上記のとおりであることが好ましい。
【0029】
当該組成物はさらに、加工助剤または安定剤、希釈剤、香料、栄養素、または着色料または適切なさらなる生物活性成分または非活性成分などの薬学的に許容できる賦形剤を含んでもよい。
【0030】
当該医薬組成物は、例えばコップ1杯の水に容易に溶解することができる乾燥形態などの、経口投与に適した形態にあることが好ましいことになる。このような形態としては、乾燥粉末、懸濁液、ゲル、フィルム、泡沫、ゾル、エアロゾル、顆粒、フレーク、線維およびペーストの形態が挙げられる。しかしながら、当該組成物は、丸剤またはカプセル剤の中に含有されてもよい。当該医薬組成物はさらに、薬学的に許容できる賦形剤を含むことができる。
【0031】
本発明のさらなる実施形態では、当該組成物は、哺乳動物における折れた(fractured)または切断された(severed)骨の治癒の際の骨再生を増進することなどの、組織再生のための生体材料/医薬の製造のために使用される。このような医薬は、例えば、組織特異的な前駆細胞の活性化による内軟骨性骨化を通した骨形成を増進する。
【0032】
本発明の1つの実施形態では、当該生体材料は、リン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイトを含む)、硫酸カルシウム、トリポリリン酸ナトリウム、アルギン酸塩、コラーゲン、ヒアルロン酸およびキトサンポリマーからなる群から選択される1以上のさらなる成分を含む。
【0033】
他の有用な実施形態では、本発明の組成物は、筋肉内投与、皮下投与、または静脈内投与などの全身投与の他の形態に適した形態にある。このような適切な形態は、標準的な薬務に従った薬学的に許容できる担体または賦形剤を用いた溶液形態である。当該溶液形態は滅菌されており、pHは適切に調整され、緩衝化されている。静脈内での使用については、溶質の総濃度は、当該調剤が等張性であるように制御されるべきである。
【0034】
本発明の1つの実施形態では、当該T−ChOSは単独で、損傷したまたは疾患に罹った組織の組織修復を、瘢痕形成を導く線維症を避けて、むしろ組織再生または機能的組織修復を誘導して健康な機能組織の再生をもたらすように導くための医薬として使用される。組織修復の経路のこの制御は、傷ついたまたは炎症を起こした組織におけるコラーゲン合成を制御することを通してなされる。本発明の1つの実施形態では、T−ChOS+グルコサミンが、閉経後の女性の体重増加を低下させるための医薬として使用される。
【0035】
本発明に関しては、用語「医療機器」は一般に器具を指す。本発明の治療用のキトオリゴマーは、種々の目的で生体材料において特に有用である。従来のキトサンのすべての有利な特徴(生体適合性、医療機器にとって適切な混合物(メカニカルインプラント(mechanical implant)、薬物送達デバイスなど)を製造するための他の成分と混合できる能力)を呈することに加えて、それらは、上記のとおり、身体内でのCLPに対するその高親和性に起因して著しく増加した溶解性および生物活性または治療活性を有する。
【0036】
当該生体材料の配合物は、種々のバイオポリマー(アルギン酸塩またはアルギン酸エステルおよび他の多糖など)、コラーゲン、リン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイトを含む)、硫酸カルシウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、グリセロリン酸ナトリウム(sodium glycerol phosphate)、酸化カルシウム、水酸化カルシウムおよび種々の有機酸またはカルボン酸などの他の有機および無機の成分を適切に含むことができる。
【0037】
本発明は、これより、請求項に係る発明を実施可能とするための実施例および図面を使用して、より詳細に開示される。
【実施例】
【0038】
(実施例1:同化作用条件下および異化作用条件下でのウシおよびヒトの軟骨外植片における特定のアミノ糖の再生効果)
これらの実験の目的は、刺激なしの条件下で関節軟骨における軟骨形成に対する、アミノ糖の効果を評価することであった。これらの実験は、可能性のある変形性関節症用薬物としての、これらのアミノ糖の軟骨異化効果(chondroanabolic effect)の可能性を同定することができた。インスリン様成長因子−1(IGF−1)、100ng/mlは、軟骨外植片の正の異化作用刺激の対照としての役割を果たした。
【0039】
物質および方法
使用したすべての試薬は分析用等級のものであった。培地は、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するダルベッコ変法イーグル培地(D−MEM)(ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)、米国)を含んでいた。ヒト組換えオンコスタチンM(OSM)はシグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)(英国)から入手し、一方、ヒト組換え腫瘍壊死因子α(TNF−α)はアール・アンド・ディー・システムズ(R&D Systems)、英国から入手した。
【0040】
アミノ糖:製造および分析
Oligomin。キトオリゴ糖は、ジェニス(Genis)によりパイロットスケールで製造された(ロット G061023)。手短に言えば、部分的に脱アセチル化されたキチン(DDA 45%)は、キチナーゼによりほぼ完全に加水分解された。キチナーゼおよび不溶物を取り除くためにこの溶液は限外濾過され(10kDa)、噴霧乾燥された。
【0041】
T−ChOS。大きく減少したDP1〜4量を有するキトオリゴマー組成物は、ジェニス(Genis)によりパイロットスケールで、Oligominから製造された(ロット G051128)。モノマー(DP1またはN−アセチルグルコサミン)は取り除かれ、および短いオリゴマーは、限外濾過によって減らされた。この生成物は噴霧乾燥された。N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)はYSK、日本から購入した。使用したすべてのアミノ糖の分析のために、Beckman Goldシステムを使用してHPLCを適用した。TSK−oligoカラム(トーソーハース(TosoHaas)、日本)を使用し、当該ChOSを分子量(DP1、DP2など)によって分離した。溶媒は5mM 水酸化アンモニウム、pH 10.0であり、流量は0.5ml/分であり、光の吸収は205nmであり、注入量は20μlであり、アミノ糖の濃度は10mg/mlであった。
【0042】
軟骨外植片の実験のために、試験したアミノ糖の濃度は以下のとおりであった。OligominおよびT−ChOS、培地中で50、100、200および400μg/ml。N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)、培地中200および400μg/ml。A+Dの組み合わせは、培地中で各々200μg/mlであった。
【0043】
軟骨外植片
同化条件
堅牢かつ簡単な試験モデル/アッセイで実験を可能にする、軟骨変性疾患についてのモデルとしてウシ関節軟骨外植片培養物を使用する。このモデルでは、軟骨代謝に対する成長因子および薬物の効果を検討することができる。[Olsen、A.K.ら、Anabolic and catabolic function of chondrocyte exo vivo is reflected by the metabolic processing of type II collagen. Osteoarthritis and Cartilage、2007.15(3):335−342頁]。
【0044】
関節軟骨外植片の調製
LAFベンチで、半滅菌(semi−sterile)条件下で膝を開いた。表面関節軟骨の切片を一回の動きの操作(one−movement−maneuver)で除去し、最外層のみを除去した。あまりに深い切片は下にある軟骨下骨/軟骨質(chondrosteous)物質を含むであろう。均一な外植片を大腿骨および脛骨の両方から回収した。関節丘に位置していた軟骨由来の外植片は避けた。この外植片を、PBS+pen/strep(ペニシリン/ストレプトマイシン)を含有するペトリ皿に移した。
【0045】
調製および培養
この外植片を個々に秤量し、フローベンチ(flow−bench)の中で、半滅菌条件下で滅菌した96穴プレートに移した。秤量後外植片を湿った状態に保つため、予めそのウェルに、200μL PBS+pen/strepを満たしておいた。次いでPBSを除去し、設定に従って異なる種類および濃度のアミノ糖を含有する培地をこれらのウェルに加えた(200μL/ウェル)。4つの外植片の複製物を各試験に対して使用した。これらのプレートを、振盪しながら(50rpm)37℃および5% COでインキュベーションした。胞子からの汚染を制限/回避するために、これらのプレートをCO透過性のプラスチックのバッグで覆った。この馴化培地を2日目〜3日目ごとに交換し、上清を新しい96穴プレートに移し、実験の最後まで−20℃で保存した。設定に従って、2日目〜3日目ごとに、異なる種類および濃度のアミノ糖の新しい培地をこれらのウェルに加えた(交換した)(200μL/ウェル)。
【0046】
実験の最終日に(22〜24日間)、上清を除去し、細胞数および生存率を調べるためのアラマーブルー(Alamar Blue)によって細胞生存率を測定した。また実験の最終日に、種々のアッセイにおいて軟骨からタンパク質を抽出するために、軟骨を処理した。
【0047】
アグリカナーゼが媒介するアグリカン分解について、II型コラーゲン形成(PIINP)について上清を測定した。ノルディック・バイオサイエンス(Nordic Bioscience)製のELISAキットを使用した。
【0048】
細胞生存率および細胞数の測定
アミノ糖の特異的かつ無毒な作用を保証するために、細胞数および細胞生存率に相関することがこれまでに示されているアラマーブルーによって、軟骨細胞の代謝活性を測定した。
【0049】
軟骨の代謝回転の評価
アグリカナーゼが媒介するアグリカン分解:アグリカン断片374ARGSの検出:N末端の374ARGSのアグリカナーゼ由来の断片を検出するELISAは2つのモノクローナル抗体をサンドイッチELISAシステムで併用する。従った方法は、Karsdalら、Arthritis & Rheumatism、2007、56(5):1549−1558頁に記載されている。
【0050】
全プロテオグリカン含有量 − SGAGの測定
硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)、すなわちコンドロイチン硫酸放出の検出のために、GAG放出のインビトロ分析のための定量的色素結合アッセイを製造業者の説明書(Wieslab,S)に従って使用した。
【0051】
II型コラーゲン形成:PIINP ELISA
II型コラーゲン形成は、エクソン2の外側のPIINP分子(PIIANP)上のエピトープを認識する抗体に基づく特異的ELISAアッセイによって測定される。それゆえ、このELISAは、IIAまたはIIB体に対しては特異的ではないが、両方の形態とも反応する。
【0052】
軟骨の抽出:
培地に分泌されたものと比較して、種々のタンパク質の軟骨含有量を測定するために、軟骨を抽出した。軟骨外植片を液体窒素中で凍結させた。凍結した外植片を、製造業者が供給する説明書に従ってBessman Tissue Pulverizerを使用して粉砕した。凍結させたメスを使用してこの粉末を14mlのチューブの中に入れた。氷冷した消化用緩衝液(Digestive Buffer)(0.1M NaClおよび0.1% Triton X−100を含有する50mM Tris−HCl緩衝液、pH 7.4)を加え、Polytron PT−MR 3000ホモジナイザー(ブリンクマン(Brinkmann)、スイス、リッタウ(Littau))を使用してこの溶液を30秒間均質化した。次いでこのホモジネートを15,000rpmで20分間遠心分離し、上清を集めてさらなる分析まで−80℃で保存した。
【0053】
全コラーゲン含有量:ヒドロキシプロリンの測定
Podenphant(Podenphant,J.、N.Larsen、およびC.Christiansen、An easy and reliable method for determination of urinary hydroxyproline. Clinica Chimica Acta 1984、142:145−148頁)によって記載された方法の改変版を使用して外植片中のヒドロキシプロリンの含有量を測定することにより、全コラーゲンは評価される。
【0054】
結果
アミノ糖分析
図1は、OligominおよびT−ChOSキトオリゴ糖の比較を示す。Oligominについては、モノマー〜三量体(DP1〜DP3)が主成分(58.4%)であり、DP4およびより高次のものは41.6%であった。
【0055】
T−ChOSについては、モノマー(DP1)は検出されず、DP1〜DP3画分は6.1%に過ぎなかった。八量体(DP8)が、T−ChOSにおける主要なオリゴマーであった。DP4およびより長いオリゴマーが主画分、すなわち93.9%であった。
【0056】
N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)のHPLC分析から、モノマー(DP1)が主成分であり、オリゴマーは検出されないことが明らかになった(結果は示さず)。
【0057】
ウシの軟骨外植片での研究
異なるアミノ糖の効果
同化条件
軟骨外植片での生存率はアミノ糖によっては影響を受けず、処置の最後でアラマーブルーアッセイにより判断したところ、種々のアミノ糖と対照群との間には有意差は観察されなかった。
【0058】
当該外植片培地中でのコンドロイチン硫酸(ChS)放出は、3日目から23日目まで2〜3日間隔で測定した。後期についてはOligomin用量に関連する減少効果があった(10日目〜23日目;線形回帰)。10日目〜23日目の間の累積されたChS放出を分析したところ(図2)、その期間について、ChS放出の明らかなOligominによって誘導された減少があった(Oligomin 200および400μg/mlについてp<0.05;51%低下)。グルコサミン(D 400μg/ml)は同じ効果を有していた(p<0.05)。T−ChOSおよびN−アセチルグルコサミン(A)は、その期間について累積されたコンドロイチン硫酸放出の有意な効果は有しなかった(図2)。
【0059】
II型コラーゲンのN末端プロペプチド(PIINP)
試験したすべてのバイオマーカーのうちで、II型コラーゲン形成(PIINP濃度)は当該アミノ糖によって最も明確に影響を受けた。これは、2〜3日間の期間にわたって軟骨外植片から培地へと放出されたとして測定された。T−ChOSだけが、強い、用量に関連する効果を有していた。この効果は、アミノ糖インキュベーションの後期においてのみ観察された。20日目のエキソビボでは、異なるアミノ糖によって観察された効果はなかった。PIINP濃度は0.1〜0.2のng/ml mg軟骨であった。22日目に、PIINPの明確な用量に関連する増加があったが、これはT−ChOSによるものだけであった(図3)。この効果はすべての濃度(50、100、200および400μg/ml)で有意にゼロ(M)とは異なり、最大の効果は0.62ng/ml mg軟骨、すなわち対照の17倍であった。同じ濃度範囲のOligominによっては、効果は見出されなかった。単糖グルコサミン(D)およびN−アセチルグルコサミン(A)は効果がなかった(図3)。それゆえ、試験したすべてのアミノ糖のうちでT−ChOSだけが、PIINP発現に対して強い用量に関連する効果を有していた。
【0060】
抽出された軟骨のタンパク質含有量について、種々のアミノ糖(またはその濃度)と対照との間で有意差は見出されなかった。しかしながら、Oligominの濃度の増加に伴う軟骨のタンパク質含有量の有意な線形的な減少があった(p=0.027;N=20)。Oligominについては、累積されたコンドロイチン硫酸(ChS)放出の増加に伴って、軟骨のタンパク質含有量の線形的な増加があった(p=0.019;N=20)。
【0061】
T−ChOSおよびグルコサミンの組み合わせ(T−ChOS+D)
ウシ外植片実験のこの集団(set)では、グルコサミン(200μg/ml)をT−ChOS(50および400μg/ml)と組み合わせて試験した。対照は、T−ChOSのみ(50および400μg/ml)、Oligominのみ(50および400μg/ml)またはグルコサミンのみであった。インスリン様成長因子−1(IGF−1)、100ng/mlが陽性の同化作用刺激の対照としての役割を果たした。
【0062】
II型コラーゲンのN末端プロペプチド(PIINP)
PIINP放出に対して強いT−ChOS誘導があり、T−ChOS+グルコサミン(400μg/ml+200μg/ml)はPIINPをさらに誘導した。累積的な効果を見るとこれは明白である(図4)。スチューデントのt−検定から、累積されたPIINP放出についての、T−ChOSとT−ChOS+Dとの間の有意差が明らかとなった(図4)。グルコサミン単独では効果がなかった。200μg/ml グルコサミン(D)を伴っても伴わなくても、Oligomin 50〜400μg/mlは、20日目および24日目では、PIINP放出に対してまったく効果がなかった。
【0063】
累積的なコンドロイチン硫酸の放出に対するT−ChOS、T−ChOS+DおよびIGF−1の効果(17日目〜24日目)を図5に示す。IGF−1およびT−ChOS+Dはともに、累積的なコンドロイチン硫酸の放出(17日目〜24日目)の有意な増加を有したが、T−ChOSもグルコサミンも単独では有意な効果を有しなかった(図5)。
【0064】
24日目の抽出された軟骨タンパク質のアッセイは、T−ChOS、T−ChOS+DまたはIGF−1の有意な効果をまったく明らかにしなかった。
【0065】
ヒトの軟骨外植片の研究
軟骨外植片を、変形性関節症を患っている40歳の女性の膝から得た。外植片を、同化条件下で25日間、増殖培地の中に保った。新しい培地に2〜3日ごとに交換した。アミノ糖(Oligomin、T−ChOS、AおよびD;異なる濃度)を、0日目から25日目まで培地の中に保った。
【0066】
アグリカナーゼが媒介するアグリカン分解(アグリカン断片374ARGS−ELISA)は、9日目では異なるアミノ糖によっては影響されなかった。
【0067】
II型コラーゲン形成(PIINP濃度)は、上記アミノ糖によってもっとも明らかに影響を受けた。これは、2〜3日間の期間にわたって軟骨外植片から培地の中へと放出されたとして測定された(18日目〜25日目)。T−ChOSだけが強い、用量に関連する効果を有していた。この効果は、アミノ糖インキュベーションの後期(18日目、20日目、22日目および25日目;図6)にのみ観察された。最大の効果は、22日目の1.37ng/ml mg軟骨、すなわち対照の3.9倍であった。同じ濃度範囲のOligominによっては、効果は見出されなかった。グルコサミン(D)は効果がなかった。それゆえ、試験したすべてのアミノ糖のうちでT−ChOSだけが、PIINP発現に対して強い、用量に関連する効果を有していた。
【0068】
YKL−40はT−ChOSに対する受容体として提案されているので、細胞外のYKL−40放出を、400μg/mlのT−ChOS、Oligominおよびグルコサミン(D)で処置した外植片において、4日目、11日目、15日目、20日目および25日目に培地中で分析した。図7は、その期間についての異なるアミノ糖の効果を示す。対照に対しては、10日目と20日目との間でYKL−40発現の著しい低下があった。T−ChOS、およびより小さい程度ではあるがOligominは、後期(15日目〜25日目)の間、高いYKL−40発現を維持した。T−ChOSが高YKL−40発現を維持していた15日目に有意差が検出された。グルコサミンは効果がなかった(図7)。図8は、試験したすべての群についての、15日目〜25日目の期間の間のYKL−40とPIINP発現との間の関係を示す。T−ChOSだけがPIINP放出を誘導し、高YKL−40発現を維持した(明確な線形回帰)。この関係は、T−ChOS群がこのデータから排除されると消失した(線形回帰なし)。
【0069】
25日目における全コンドロイチン硫酸含有量(コンドロイチン硫酸の抽出)は、種々のアミノ糖によって影響を受けなかった。25日目の、この外植片における全タンパク質レベル(BioRadタンパク質アッセイ)も全ヒドロキシプロリンレベルも影響を受けなかった。
【0070】
25日目のヒトOA関節軟骨外植片の細胞生存率(アラマーブルーアッセイ)は当該アミノ糖によって誘導された。試験したすべての3つのアミノ糖の用量に関連する効果があった(線形回帰;p<0.05)。この効果は、Oligominが最も強く、次いでT−ChOSであり、グルコサミンが最小であった。
【0071】
(実施例2:II型コラーゲンによって誘導される関節リウマチラットモデルを使用する、関節リウマチに対するグルコサミンと組み合わせたT−ChOSの効果)
緒言
この実施例は、RAラットモデルを使用する、キトオリゴ糖の可能性のある効果の動物実験を記載する。試験したChOS混合物は、当該T−ChOS組成物である。この研究の目的は、グルコサミンおよびT−ChOSの組み合わせがT−ChOS単独よりも強い効果を有するであろうかどうかを検討することであった。
【0072】
物質および方法
使用した動物は、関節炎を誘導された群については1つの群あたり10匹、誘導されていない対照群については4匹/群であり、4〜5匹/ケージで飼育した。関節炎の誘導のために、0日目および6日目に、これらの動物をイソフルランで麻酔し、2mg/mlのウシII型コラーゲン(エラスチン・プロダクツ(Elastin Products)、ミズーリ州、オーエンズビル(Owensville))を含む300μlのフロイント不完全アジュバント(ディフコ(Difco)、ミシガン州、デトロイト)の皮下/皮内(SC/ID)注射を尻尾の付け根および背中の2つの部位に与えた。経口経路による種々のオリゴマーおよび/またはモノマー組成物の投薬(24時間間隔で1日1回)をこの研究の0日目に開始し、16日目まで継続した。実験群は表1に示すとおりである。
【0073】
【表1】

【0074】
動物は、研究の17日目に終わりにした。有効性の評価は足首のカリパス測定値に基づき,曲線下面積(AUC)、最終の後肢の重量、および足首および膝の組織病理学評価として表した。統計解析のために、種々の炎症算出を足首直径データについて実施し、Anovaおよびt−検定(パラメトリック検定またはノンパラメトリック検定)をソフトウェア指針(SigmaStat)に従って適用した。すべての動物は研究の最後まで生存した。
【0075】
結果
溶媒で処置した疾患対照のラットは、14グラムの平均の体重増加を有していた。処置群についての体重増加は、疾患対照と有意には異ならなかった。
【0076】
T−ChOS+21mg/kg Dで処置したラット(群5)(12〜13日目に有意)、T−ChOS+14mg Dで処置したラット(群6)(12日目)、またはT−ChOS+28mg/kg Dで処置したラット(群7)(12日目、15日目)で、疾患対照と比べて、足首直径の有意な減少が見られた。累積的な足首直径(9日目〜17日目)に対するT−ChOSおよびグルコサミンの効果を図9に示す。T−ChOSは、単独で、およびすべての3つのグルコサミン濃度の組み合わせで有効であった。グルコサミン単独では効果がなかった。T−ChOS+21mg/kg(群5)は最も強い効果を有していた。
【0077】
足首軟骨損傷スコアは、群5のラットにおいては、疾患対照と比べて、正常値に向かって有意に低下した(27%低下)(図10)。群5のラットだけが有意な低下を示した。
【0078】
足首骨吸収スコアは、群5のラットにおいては、疾患対照と比べて、正常値に向かって有意に低下した(22%低下)、(図11)。群5だけが有意な低下を示した。
【0079】
足首パンヌススコアは、群5のラットにおいては、疾患対照と比べて、正常値に向かって有意に低下した(24%低下)、(図12)。群5だけが有意な低下を示した。
【0080】
合わせた(summed)足首の組織病理学パラメータの阻害は、すべてのアミノ糖群で処置した動物について有意であった(図13)。群5のラットは、最も強い効果を示し(21%;p<0.01)、次いでT−ChOS単独(群3)(14%;p<0.05)、次いで群4(12%;p<0.05)、次いで群6(11%)および群7(10%)であった。図13を参照。
【0081】
膝のパンヌススコアは、T−ChOS+21mg/kg Dで処置したラットにおいては、疾患対照と比べて、正常値に向かって有意に低下した(42%低下)、(図14)。T−ChOS+21mg/kg Dだけが有意な低下を示した。
【0082】
膝の骨吸収スコアは、T−ChOS+D21で処置したラットにおいては、疾患対照と比べて、正常値に向かって有意に低下した(41%低下)。T−ChOS+21mg/kg 21だけが有意な低下を示した(図15)。
【0083】
合わせた(summed)膝の組織病理学パラメータの阻害は、疾患対照と比べて、T−ChOSで処置した動物について有意であり(26%;p<0.05)、そしてT−ChOS+21mg/kg Dで処置した動物について有意であった(32%;p<0.01)(図16)。
【0084】
合わせた膝スコアは、21mg/kg D(14%増加)、T−ChOS+14mg/kg D(10%)、またはT−ChOS+28mg/kg D(13%)での処置によって、疾患対照と比べて、増加したが有意ではなかった。T−ChOS+21mg/kg Dは最も強い効果を有していた(図16)。
【0085】
まとめると、この研究の結果は、T−ChOS(7.1mg/kg)+D(21.4mg/kg)を用いた経口による毎日の処置によって、足首軟骨の損傷、骨吸収およびパンヌス形成が効果的に阻害されるということを示した。T−ChOS(7.1mg/kg)+D(21.4mg/kg)も、ラットにおいてII型コラーゲン関節炎の発症に関連する膝のパンヌス形成および骨吸収を阻害した。D−グルコサミンと組み合わせた他の用量のT−ChOSは、足首カリパス測定に対して散発的な有意な効果を有し、T−ChOS単独では、わずかな有意ではない恩恵を示した。しかしながら、D−グルコサミン単独では有益な効果を有しなかった。
【0086】
結論として、グルコサミンと組み合わせたT−ChOSは、コラーゲンIIによって誘導されたラットRAモデルにおいて、RAに対するT−ChOSの効果を改善した。当該T−ChOSの組み合わせにおけるグルコサミンの最も有効な濃度は21mg/kgラットであった。
【0087】
実施例3
(ヒトのリウマチ性関節炎患者に対するOligomin、T−ChOS、T−ChOS+N−アセチルグルコサミンおよびT−ChOS+グルコサミンの効果)
リウマチ性関節炎と診断された一人の女性は、その患者の疼痛を和らげるために、ジェニス・イーエイチエフ」(Genis ehf)によって製造されたキトオリゴマー(「Oligomin」)を数年間使用してきた。この患者は、その患者の疼痛および運動性軽減スコアを、0は軽減なしでありおよび10は完全に軽減であるようにして評点付けした。Oligomin(2200mg/日)についてのこの患者の軽減スコアは7である。
【0088】
この患者に、T−ChOS(700mg/日)に切り替えるように依頼した。徐々にこの患者の状態は悪化した。20日目に、この患者の軽減スコアは5にまで落ちた。T−ChOS摂取の32日目に、N−アセチルグルコサミン(1500mg/日)をこのT−ChOSに加えた(図17)。結果として、この患者の状態は良くなった。N−アセチルグルコサミンをT−ChOSに加えた12日間において、この患者の軽減スコアは、5から7へと上昇した(図17)。13日後、この患者の状態は変わらなかった(スコア=7)。次いでこの患者は、N−アセチルグルコサミンから、まだT−ChOSと組み合わせてグルコサミン(1500mg/日)へと切り替えた(図17)。16日間において、この患者の状態は、わずかに改善し、7から8への増加をもたらした。この患者は、今、1年を超えてこの組み合わせを使用し続けており、いまだこの患者の状態は同じであり、軽減スコアはいまだ8である。
【0089】
結論
上記の実施例は、T−ChOSは、キチナーゼ様タンパク質に対する結合親和性を増加させるために、モノマーが組み合わせから除去されており、かつ二量体および三量体が10%未満まで減少されている、部分的に脱アセチル化されたキトオリゴ糖組成物の特定の組み合わせであるということを示す。これは実施例1、アミノ糖分析(図1)に示されている。
【0090】
ChOSと大量のモノマー、二量体および三量体との粗製混合物であるOligominは、T−ChOSが示す生理活性を有しない。この組成物は実施例1、図1に示される。Oligominは軟骨外植片においてII型コラーゲン合成を誘導しないのに対し、T−ChOSはPIINP放出の15〜20倍の増加を示すということが実施例1で実証されている。
【0091】
当該オリゴ糖組成物は、他のアミノ糖およびキトオリゴ糖組成物に勝って、優れた組織保護/再生活性を有する。実施例1において、軟骨外植片からのPIINP放出が示される(図3)。
【0092】
T−ChOS活性は、F18哺乳類キチナーゼ(キチナーゼ様タンパク質)との相互作用を通して媒介される。これは実施例1に示され、T−ChOSは、YKL−40との相互作用を通してそのコラーゲン形成活性を媒介する(図7および8)。Oligominは、試験した濃度範囲ではそのような効果をまったく示さなかった(図8)。
【0093】
T−ChOS活性は、グルコサミンモノマーと組み合わせて増強されうる。これは、軟骨外植片からのPIINP放出がT−ChOSによって増進される実施例1に示される。ChOSおよびグルコサミンの組み合わせはまた、T−ChOS単独よりも、有意に効率的である(図4)。実施例1では、軟骨外植片からのコンドロイチン硫酸(ChS)放出、T−ChOS+グルコサミンの効果は、インスリン様成長因子−I(IGF−I)の効果に近い(図5)。さらには実施例2、図19〜26において、関節リウマチラットモデルにおけるT−ChOSおよびグルコサミンを合わせた経口投与は、T−ChOSまたはグルコサミン単独に勝っている。
【0094】
T−ChOSおよびグルコサミンは、経口投与後にインビボでその活性をもたらすであろう。これは、T−ChOSおよびグルコサミンを合わせた経口投与が、ラットの関節リウマチモデルにおいて有意な組織保護効果を有する実施例3、図4〜8に示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)の治療上活性なキトオリゴマーであって、前記キトオリゴマーは、以下の基準:
前記オリゴマーは、5〜20モノマー残基の範囲の鎖長を有し、
各オリゴマー鎖は、前記オリゴマー鎖の片末端または両末端に2つのN−アセチルグルコサミン残基(AA)を有することができ、
前記オリゴマーの残りの内部部分は、前記内部鎖の配列が別のN−アセチルグルコサミン残基(A)に隣接したN−アセチルグルコサミン残基(AAなど)を含むということを回避するのに少なくとも十分な量のD残基を有する、
を満たすヘテロキトオリゴマーを含む、N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)の治療上活性なキトオリゴマーを、
グルコサミンおよび/またはN−アセチルグルコサミンと組み合わせて含む、
組成物。
【請求項2】
前記治療上活性なキトオリゴマーの脱アセチル化度(DD)は30〜60%の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
グルコサミンおよび/またはN−アセチルグルコサミンのモノマー:前記治療上活性なキトオリゴマーの比は約1:10〜約10:1の範囲内である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記モノマーとオリゴマーとの間の比は約1:5〜約5:1の範囲にある、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記モノマーとオリゴマーとの間の比は約1:2〜約4:1の範囲にある、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
生体材料/医薬の製造のための、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
炎症を抑制するためおよび/または組織再生を増進するための生体材料/医薬の製造のための、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記生体材料/医薬は、哺乳類のキチナーゼ/キチナーゼ様タンパク質が治療標的として対処されうるいずれかの疾患または状態の治療のために使用される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記生体材料/医薬は、哺乳動物における折れた、切断されたもしくは疾患に罹った軟骨または骨の治癒の際の組織再生を増進する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記生体材料はまた、リン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイトを含む)、硫酸カルシウム、トリポリリン酸ナトリウム、アルギン酸塩またはアルギン酸エステル、コラーゲン、ヒアルロン酸およびキトサンポリマーのいずれかから選択される成分を含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の治療上活性なキトオリゴマーとグルコサミンおよび/またはN−アセチルグルコサミンとを含む、医薬組成物。
【請求項12】
散剤、懸濁剤、ゲル、ゾル、エアロゾル、ペースト、フィルム、泡沫、丸剤、およびカプセル剤からなる群から選択される形態にある、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
薬学的に許容できる賦形剤を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
組織再生および/または抗炎症のための生体材料/医薬の製造のための、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
組織修復において瘢痕形成を予防するためにコラーゲン合成を制御するための、
N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)の治療上活性なキトオリゴマーであって、前記キトオリゴマーは、以下の基準:
前記オリゴマーは、4〜20モノマー残基の範囲の鎖長を有し、
各オリゴマー鎖は、前記オリゴマー鎖の片末端または両末端に2つのN−アセチルグルコサミン残基(AA)を有することができ、
前記オリゴマーの残りの内部部分は、前記内部鎖の配列が別のN−アセチルグルコサミン残基(A)に隣接したN−アセチルグルコサミン残基(AAなど)を含むということを回避するのに少なくとも十分な量のD残基スペーサーを有する、
を満たすヘテロキトオリゴマーを含む、N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)の治療上活性なキトオリゴマーと、
グルコサミンおよび/またはN−アセチルグルコサミンと
を含む組成物の使用。
【請求項16】
リウマチ性関節炎および変形性関節症から選択される疾患の治療のための、
N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)の治療上活性なキトオリゴマーであって、前記キトオリゴマーは、以下の基準:
前記オリゴマーは、4〜20モノマー残基の範囲の鎖長を有し、
各オリゴマー鎖は、前記オリゴマー鎖の片末端または両末端に2つのN−アセチルグルコサミン残基(AA)を有することができ、
前記オリゴマーの残りの内部部分は、前記内部鎖の配列が別のN−アセチルグルコサミン残基(A)に隣接したN−アセチルグルコサミン残基(AAなど)を含むということを回避するのに少なくとも十分な量のD残基スペーサーを有する、
を満たすべきであるヘテロキトオリゴマーを含む、N−アセチルグルコサミン(A)およびグルコサミン(D)の治療上活性なキトオリゴマーと、
グルコサミンおよび/またはN−アセチルグルコサミンと
を含む組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−528348(P2011−528348A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518061(P2011−518061)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/IS2009/000009
【国際公開番号】WO2010/007631
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(505432555)
【氏名又は名称原語表記】Genis ehf.
【Fターム(参考)】