説明

自己凝集性の連続フィラメントの不織ウェブ

【課題】ウェブによる、物理的接点で連続繊維間の自然発生的結合の提供。
【解決手段】1種以上の半結晶性又はアモルファスポリマー成分と、線状ブロンクコポリマーとして共有結合した少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分からなる続フィラメントが入り混じって形成した多孔質ウェブを含む物品。フィラメントは、多孔質ウェブを形成し、ウェブ内で互いに多数の接点を有する。フィラメントは、付加的な接着バインダー、添加剤、又は押出後の溶融加工の必要なしに、接点で結合する。ウェブは生体吸収性であることができる。フィラメントのポリマー成分は、少なくとも一時的に、均一な実質的に相混和性の未結晶状態にある。均一な実質的に相混和性の未結晶状態が保持されると、その物質は、別な望ましい成形体に加工することができ、次いで硬化又は結晶化して、特定の使用や用途にとりわけ適切な所望形状を保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半結晶性ポリマー材料から作成された連続フィラメントの不織構造体に関する。より詳しくは、本発明は、外科用インプラントとして有用であることが見出されている生体吸収性ポリマー材料から作成された自己密着性ウェブである構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、周りの哺乳類組織と統合して次いで結合するために提供することを目的とした、医療用途に有用な複合材料に関する。周りの宿主組織と十分に結合するに至る医療デバイスの要件は、細胞が容易に浸透するのに十分に大きいインプラントの表面上の開口構造である。コラーゲン質でかつ環状の組織の内部成長を可能にするように、開口構造が十分に大きければ、インプラントと周りの組織の間の首尾よく調和した結合が可能である。
【0003】
組織への内部成長と結合を可能にするのに十分大きいインプラント用デバイスの多孔質構造は、いろいろな手段によって得ることができる。特定の細胞の内部成長用途に適合する種々の気孔サイズを有する調整された連続気孔構造を形成するのに、種々の技術が可能である。延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のような延伸膨張されたポリマー膜材料の使用は、こうした技術の1つである。これは、最適な組織統合を提供するために調整可能である。これは、化学的に不活性であると考えられ、したがって、高い生体適合性を有する。
【0004】
押出繊維又はフィラメントの使用、及びそれらを以降で種々の構成の構造にすることは公知である。これらの構造は、既存技術の織物又は編物の範疇にある。このような織物又は編物技術は、商品名Vicryl(商標)、Dexon(商標)、Proline(商標)メッシュとして種々の「メッシュ」に見ることができる。得られる構造的一体性は、主として、構成成分の繊維を束に配列し、次いで特定の所望構造に織る又は編むことに由来する。編物又は織物装置の高コストと複雑性に加え、こうした構造の特定の付加的欠点として、インプラントが汚染された場合の、配列された繊維束の隙間内にバクテリアが生息又は吸引される高い可能性が挙げられる。
【0005】
繊維アセンブリのもう1つの方法は、不織布構造である。この構造は、織物又は編物に代表される編成した繊維構造ではなく、繊維又はフィラメントのランダムな配列からなる。不織構造のランダム性は、織物又は編物よりも繊維の製造を容易にさせる。しかしながら、こうしたウェブの繊維間の機械的結合は一般に弱いため、不織構造を使用した繊維インプラントはそれ程ない。機械的結合性のための繊維絡みのため、不織インプラントには、フェルトや綿撒糸のような限られた用途しかなく、これらは、割合に乏しい密着性又は引張強度しか有しない。不織布の強度は、ランダムに堆積した繊維をそれらの接点で結合させる以降の結合プロセスを加えることで付加することができる。市販のいくつかの不織インプラントの1つは、Resolut(商標)再生材料であり、これは国際特許出願WO92/10218に記載されており、その生体吸収性の不織構造を形成する接着剤とステープル繊維からなる。
【0006】
生体吸収性材料は、多くの医療用途、とりわけインプラント用途、コントロールされた剥離、及び細胞成長指向用途に使用するのに特に望ましい。殆どのインプラント用の生体吸収性材料は、縫合糸の形態、又は医薬その他の生体活性剤のコントロールされた搬送に使用される。移植の際の少なくとも一部の期間で機械的負荷を課される縫合糸その他の構造体の場合、半結晶性ポリマー系が使用される。これに対して、機械的負荷を要しないコントロールされた剥離用途は、一定の拡散特性のために、一般に、アモルファスポリマー系を使用する。
【0007】
また、哺乳類組織再生のバリヤ材料として有用な不織構造に有用なインプラント用途は、誘導組織再生(GTR)として知られている。このような1つのGTR用途において、競合するより速い歯肉組織が存在し得る隣接領域から、骨成長が望ましい領域を分離するため、非吸収性又は生体吸収性膜が採用されることができる。移植されたGTR膜は、保護カバーとして使用され、骨成長が望まれるスペースに別な組織が侵入するバリヤとして作用する。同時に、このバリヤは、上側組織の圧力下で傷害の中に潰れ込むのに抵抗しなければならない。生体吸収性材料の利益は、一旦その主目的が達成されると吸収され、外科的にそれを除去する必要がないことである。
【0008】
傷害表面と後で再生する望まれる外形表面の間のスペースの保持は、組織のそのスペースに再生するのを可能にするために必要である。この仕方で再生可能な歯周構造は、歯周の膜、骨、セメント質である。バリヤ材料は、上皮細胞と歯肉接続組織が保護スペースに侵入するのを妨げることにより、骨と歯周膜の成長を可能にする。
【0009】
歯肉の誘導組織再生のための細胞バリヤを提供する1つの市販の材料はGORE−TEX(商標)歯周材料である。これは、延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)材料であり、歯肉と歯周傷害の間の細胞バリヤとして作用し、傷害表面と後に再生する表面の望まれる外形の間に、必要なスペースを保持することを目的とする。この材料は、フィブリルによって相互に接続された結節の微細構造を有する多孔質延伸膨張PTFEからなる。GORE−TEX歯周材料の全表面の一部は、血塊に浸透されて繊維状接続組織で内部成長される多孔質構造の表面を有し、それによって上皮移動を抑制する。表面領域の残りの部分は、下側傷害から上側歯肉接続組織を隔てるため、低気孔率の細胞バリヤ構造を有する。しかしながら、生体吸収性ではなく、以降の外科手術で除去される必要がある。
【0010】
誘導組織再生を目的としたもう1つの市販の細胞バリヤシート材料は、やはりW.L.Gore & Associstaes社から入手可能な前述のResolut(商標)再生材料である。国際特許出願WO92/10218は、この材料を、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマーである細胞バリヤシート材料にラミネート状に固定されたポリグリコール酸繊維の不織繊維マトリックスからなる生体吸収性材料と記載している。全体的材料は、再生するときに傷害の上にスペースを確保するように、生体内で十分な剛性を提供することが意図されている。
【0011】
この他、適切な外科的バリヤ生体吸収性材料から保護する検討がされている。固有の気孔又は組織の細胞透過性を有しない、厚さ70μmの溶媒注型の生体吸収性材料ポリ乳酸膜が、治癒の際に上皮と歯肉の接続組織を排除する細胞バリヤ材料として、歯周用途にテストされている(文献「I. Magnusson, et al., ¨New Attachment Formations Following Controlled Tissue Regeneration Using Biodegradable Membranes¨, J. Periodontal, January 1988, pp.1-6」参照)。このテストは、セメント質と骨の新たな生成を示した。この物質の再現性は、その薄くて脆い構造に由来する乏しい外科的ハンドリング性を示し、また、その脆性のため、縫合が困難であることを実証した。この材料は、その表面上のいずれにも組織の内部成長を呈しなかった。
【0012】
誘導される又はコントロールされる組織再生に使用されるもう1つの市販の材料は、ジョンソンアンドジョンソン社から入手可能なVicryl(商標)歯周メッシュである。Vicryl歯周メッシュは、約90%のグリコライドと10%のラクチドの生体吸収性材料コポリマーからなる織物繊維によって形成される。調査からは、Vicryl歯周メッシュが組織再生を与えるバリヤ材料としてある程度の成功を収めたことを示した(文献「Fleisher, et al., ¨Regeneration of Lost Attachment Apparatus in the Dog Using Vicryl Absorbable Mesh¨, International Journal of Periodontics and Restorative Dentistry, 2/1988, pp.45-55」参照)。この材料は、組織の内部成長と同時に組織バリヤとして機能する目的の織物構造の単層材料である。ある程度の固有気孔を有する織物構造の単層材料についての若干両立しない目的が存在するため、内部成長は、バリヤ作用を犠牲にしてのみ生じさせることができる。この材料の効果は、したがって、組織内部成長を可能にする材料性能と、同時に組織バリヤとして機能する要件の折衷である。この先行技術の織物構造に伴う付加的な困難性は、十分な剛性に欠け、傷害付近にスペースを保持する能力が劣ることである。
【0013】
上述の殆どの誘導組織再生の生体吸収性材料は、グリコール酸や乳酸から誘導された容易に入手可能なポリマーを利用するが、傷害に潰れ込むのに抵抗する十分な生体内の剛性と寿命の双方を提供する特定のポリマーが、米国特許第4243775号(Rosensaftら)と米国特許第4300565号に記載されている。開示の材料は、ラクチド(PLA)又はトリメチレンカーボネート(TMC)のブロックコポリマーであり、縫合糸のような生体吸収性材料として有用であると記載されている。PGAとTMCを組み合わせた特定のブロックコポリマーは、広範囲に使用され、商標Maxon(登録)としてデビスアンドゲック社より製造・販売されている。この同じポリマー系が、米国特許第5080655号(Jarret ら)に記載のように、骨の修復と再生のための非多孔質構造を形成するのに利用されている。この開示内容は、米国特許第4243775号(Rosensaft)と米国特許第4429080号(Casey) の記載と同じPGAとTMCのコポリマーから作成された、吸収性で変形可能な外科デバイスを記載している。これらの文献は、いずれも不織繊維構造として利用できる態様に言及していない。本発明に関与することがあり得る別な生体吸収性ブロックコポリマー系が、米国特許第4916193号、同4920203号に記載されている。
【0014】
平面的多孔質材料に加え、あるインプラント用途においては、前述のようにカバーするのではなく、特定のスペースを満たす作用をする多孔質の三次元物を提供することがさらに望まれる。傷害を多孔質生体材料で満たすことは、骨傷害を治療するための共通のアプローチである。これらの用途において、連続気孔の生体吸収性フォームが一般的であるが、しかしながら、これらの材料は、一般に、分子配列(又は分子配向)をこうした構造に導入するのが割合に困難であるため、限られた引張強度を有する。これに対して、多くの方法は、分子配向を引き起こすことに立脚し、それによって繊維構造又は延伸膨張された結節とフィブリルの構造の強度を高める。しかしながら、三次元の繊維ウェブは、接着剤、接着剤付加物、又は圧縮を使用せずには容易に作成できず、これらはウェブの弾性を本質的に低下させるプロセスであり、より高いウェブ密度をもたらし、その結果、組織一体化の可能性を低下させる。非類似の分解挙動の継続的危険性を導入する他に、ウェブのフィラメント間を結合する付加的接着剤の使用は、ウェブ内により多くの材料を存在させ、低下した空隙スペースと増加した質量をもたらし、これらは、生体吸収して比例的により反応性の組織応答の予期を惹起する。
【0015】
バインダーを使用しない単成分の不織ウェブの構造は、一般に、熱と圧力を直接適用し、繊維の重なり箇所でウェブフィラメントを局所的に溶融又は融合させることによって得られる。しかしながら、固体状態で繊維を加熱することは、全体的な繊維の完全性を損なうことなく結合界面に限られた溶融粘度を与えることができるに過ぎないため、こうしたアプローチは、一般に、接着剤バインダーを使用したウェブに比較して、割合に弱い繊維間結合をもたらす。また、得られる繊維間結合の品質にかかわらず、こうした加熱下の圧縮は、本質的にウェブの弾性を低下させ、したがって、ウェブの見掛けの又は全体的密度を高め、組織内部成長のためのウェブ内の利用可能な開放スペースの相対量を限定する。
【0016】
このように、インプラント材が分解しながら一定の構造的仕方で生体吸収を提供する、十分に均一な下側構成からなる構造で形成された、不織インプラントの生体吸収性材料に対してニーズが存在している。しかしながら、現状の不織布は、特に生体吸収性ポリマーからなるものは、このニーズに適合しない。ウェブ状の繊維は、一般に、種々の公知のバインダー又は結合技術を用い、それらの接点で一緒に結合され、やはり、その多くは圧力の適用を含み、ひいては有用な弾性を低下させる。また、高濃度のバインダーを含むため、繊維がより剛直になり易い。
【0017】
また、外的バインダーの使用は、ウェブの全体に分布する組織の均一性を導入する。また、全体的ウェブの特性は、ウェブにその結合性(凝集とも称される)を与えるバインダー特性によって限定される。したがって、例えば、割合に低い融点を有するバインダーが結合剤として使用されると、ウェブが供される温度条件が、バインダーの融点によって限定される。また、水分、溶媒、又は種々の生体流体のような別な因子によって弱化又は軟化されると、ウェブの全体的完全性が影響され得る。これらの問題は、本発明の自己密着性によって解決される。
【0018】
液体又は気体の溶媒によって強化繊維を膨潤させ、ウェブの結合を与える溶媒結合は、容易にコントロールされず、多くはウェブの繊維を弱くする。また、フィラメントが結合される交差箇所は、多くは膨潤した外観を有し、ポリマー構造又は結晶構造を変化させ、強度の低下をもたらす。
【0019】
溶媒紡糸又は「ドライスピニング」は、ポリマー材料が適当な溶媒中に溶解して粘性溶液を生成し、次いで紡糸口金を通して押出しされるプロセスである。このプロセスは、フィラメントで不織ウェブを形成するために使用され、このフィラメントは、粘着剤として溶媒を使用するため、接点で自己接着性である。存在する流体が回転マンドレルに導かれると、不織チューブ状構造が可能であり、B.Braun Melsungen AG (Melsungen 、ドイツ)により製造されるVascugraft(商標)ポリエステルウレタン環状プロテーゼのような人工血管として使用される。不織医療インプラントを形成するために使用されるこのプロセス又は類似の溶媒紡糸プロセスの記載は、米国特許第4323525号、同4474630号に見ることができる。
【0020】
使用される溶媒は、本質的に、ポリマー鎖を溶解点まで可塑化又は潤滑するため、その存在がもはやポリマーの物理的特性に有意に影響しない濃度レベルまでそれを除去することが基本になる。このような除去プロセスは(一般に、熱による蒸発)、付加的な処理工程を構成し、受諾又は許容可能な残存溶媒レベルがより低くなると、この工程を完結することがより困難になる。この溶媒の残存レベルは、いずれの場合もあるレベルで検出可能であり、インプラント用途には特別な重要性を有し、含まれる溶媒によっては、その存在が、インプラントから拡散したときに有害な生体反応を引き起こすことがある。このことは、製造されたインプラントが完全に分解し、多くの場合、ポリマーを溶解させる溶媒のみが特に毒性の場合、特に問題である。このことは、PGAホモポリマー又はPGAブロックコポリマーを溶解させるのに必要なヘキサフルオロイソプロパノールその他の同様な毒性のあるフッ素化物質の場合に特にあてはまる。
【0021】
ウェブは、メルトブロー又はスパンボンドによって製造可能である。メルトブローされたウェブは、加熱空気の収束的流れにより、溶融したスパン繊維を強制的に搬送し、極めて細いフィラメントにすることによって製造される。メルトブロープロセスは、一般に、不連続のサブデニールの繊維で、直径が一般に1μm以下の割合に短いフィラメントと記載されている。メルトブローされた繊維は、半溶融状態で最終的直径を獲得するため、収集スクリーン上でウェブとして互いに密着して接合する前に、繊維内の分子配向をさらに高めるのに利用可能な方法はない。最終的な結果は、他の繊維の不織構造に比較して、強度を調整することがない短繊維のウェブである。
【0022】
スパンボンドの不織繊維の製造は、溶融したスパン繊維を捕獲し、次いで空気又は機械的方法を用いて冷却と細化を行い、分子を配向又は配列させ、結果として連続フィラメントとする。得られた繊維は、一般に、直径が15μm〜25μmである。このため、スパンボンドウェブは、平均直径が一般に10μmを上回る連続した繊維又はフィラメントからなる。ここで、スパンボンドプロセスは、一般に、未だ結合していない繊維を絡ませる別個の結合工程を必要とすると認識されている(このため、スパンボンドと称される)。スパンボンドの絡ませ方は、一般に、熱融合、機械的絡み合い、化学的バインダー、又は接着剤、あるいはこれらの組み合わせを使用する。ここで、互いの上で引張られたスパンボンド繊維を連続層にすることは、繊維の表面層と下側層との限られた結合をもたらし、繊維間の接着が解決されなければ、ウェブが繊維を損失する又は擦りきらす可能性を高める。断続的箇所でウェブ繊維を熱融合させることにより、この低いウェブ結合強度を補償するのが一般的である。しかしながら、この熱圧プロセスは、点結合又は熱融合として知られているように、融合領域内のウェブの気孔を実質的に除去する。
【0023】
圧縮を確保する必要なしに得られる自然発生的自己結合が、米国特許第4163819号に記載されている。得られたウェブの繊維の自己結合性は、ブロックターポリマーに含まれる多価アルコール(ポリオール)シーケンスの存在に依存し、低結晶性に依存すると記載されている。このようなポリオールは、容易に水和することが知られており、その開示内容は、結晶化の防止と、ポリマー系が水に曝されたときの繊維粘着性の向上を記載している。ポリオールに分類されることができないポリマー系から自然発生的自己結合又は自己凝集が得られることについては、何ら記載がない。使用されるポリマーや得られる物品が、インプラント用途に有用との記載は全くなく、使用されるポリマー系が生体吸収性であると考えられるとの記載も全くない。また、得られるウェブ内の高い凝集強度又は剥離強度についての記載も全く見られない。
【0024】
フレウデンベルグ社の米国特許第5466517号(Eschewy) は、生体分解性ポリカプロラクトンホモポリマーと配合物からなる自己結合性ウェブを記載している。この特許の生体分解性は、土壌中のバクテリアや微生物によって分解可能なことを意味する。記載のウェブは、自己凝集性であり、120g/m を下回る面積密度を有する。この特定のポリマーのこのような低いウェブ密度は、割合に低い引張強度と凝集強度を有するウェブになると考えられるが、開示内容の中にはそれらの値は報告されていない。また、記載された自己凝集性ウェブを製造するのに使用される40〜50℃の加熱空気は、溶融条件にある繊維間接合又は結合が起こり得るポリカプロラクトンホモポリマーの60℃の融点に十分に近く維持される。さらに、Eschewyがポリカプロラクトンホモポリマーの自己結合ウェブについて記載している開示内容は、類似していない区分的組成の間のミクロ相分離がホモポリマー系内では可能でないといった事象であり、このため、本発明の特徴は存在しない。
本発明が解決しようとすることは、溶融物が凝固する前に、繊維間結合を必要とする均一な半結晶性ポリマー系のこの固有の制約である。このようなホモポリマー系においては、連続フィラメントのウェブ繊維が接触してそれ自体で自己凝集する能力が、溶融物からフィラメントが凝固する前に得られなければならない。ポリマーの凝固は、温度の関数であるため、繊維の外側境界が先ず冷え、このため先ず凝固する。この繊維の外側境界が迅速に凝固することは、以降で接触する繊維に繊維間で結合が形成し得ることを、機能的に減じる。本発明の目的は、凝固の前に繊維間接触を必要とするこの制約を克服し、繊維間の結合がポリマー成分が凝固した後に形成されるといった、自己凝集性の連続フィラメントを提供する目標を機能的に得ることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
前述のように、ウェブに対して次のようなニーズが存在していることが理解され、即ち、
物理的接触箇所で成分繊維間で自己凝集を提供し、
自然発生的(autogenous)凝集のおかげで、さらに機械的に絡ませる、熱処理をする、ポリマー又はコポリマーの接着バインダーを添加する、又は有効なウェブ凝集をもたらす又は得るために繊維間結合を促進することを付加する、といった以降の要求を全て排除し、
十分に類似した実質的にアモルファスのポリマー又はコポリマー組成物の得られたウェブその他の物品の間の自然発生的結合を提供し、物理的接点で物体間の結晶化と自然発生的結合を提供し、
その単一成分又は均一組成物の結果として、異なる組成の別な構造的特徴を有するインプラントについて予想されるよりも、より一定した均一な生体吸収性を与えるインプラント用医療デバイスとして使用可能な生体吸収性ウェブを提供する、といったことである。
【0026】
上述の問題に照らし、本発明の目的は、溶融紡糸技術と半結晶性ポリマー材料を利用することにより、結晶化の実質的ににアモルファスな不完全レベルにその成分繊維の結晶化を一時的に保持することで、ウェブが、物理的接点で連続繊維間の自然発生的結合を提供することである。
【0027】
本発明のもう1つの目的は、結合化の抑制によって与えられる自然発生的結合性能のおかげで、半結晶ポリマー材料から作成されたウェブが、有効なウェブ凝集をもたらす又は得られる繊維間結合を容易するための、機械的絡み合い、熱処理、又はポリマー又はコポリマーの接着バインダー又は接着剤を以降でさらに必要とすることないウェブを提供することである。
【0028】
本発明のもう1つの目的は、結合化を実質的にアモルファスの不完全レベルに結合性を速度論的又は熱力学的に一時的に保持するおかげで、得られたウェブと十分に同様な実質的にアモルファスのポリマー又はコポリマー組成の別な物体の間の自然発生的結合を提供するウェブを提供することである。
本発明のもう1つの目的は、溶融物からウェブ成分を、ポリマーガラス転移点を下回る温度まで、あるいは、一時的混和ポリマー系の場合、ポリマー結晶化を防ぐために無秩序転移温度まで十分に急冷することにより、溶融物内に得られるアモルファスで均一な無秩序相混和条件を保持するウェブを提供することである。
【0029】
本発明のもう1つの目的は、結晶化の抑制によって与えられる自然発生的結合能力のおかげで、有効なウェブ凝集をもたらす又は得るためにさらなる機械的絡み合いや接着バインダー又は添加剤を添加することを以降で必要としない、半結晶性ポリマー又はブロックコポリマー材料から少なくとも部分的に作成された、自己凝集性で連続フィラメントの不織インプラント医療デバイスのウェブを提供することである。
【0030】
本発明のもう1つの目的は、少なくとも部分的に相不混和性のブロック組成の少なくとも部分的に半結晶性のブロックコポリマー材料から、溶融紡糸技術を用いて作成される自己凝集性で連続フィラメントの不織インプラント医療デバイスのウェブを提供することであって、ここで、初期ブロックセグメントの非適合性によって起こり得るミクロ相分離が、結晶化の割合の初期抑制を提供し、それによって、以降の結晶化の前に未結晶の繊維その他の物体間に物理的接点が生じ得る特定温度で有用時間を引き延ばすことによる。
【0031】
本発明のもう1つの目的は、少なくとも部分的に相不混和性のブロック組成の少なくとも部分的に半結晶性のブロックコポリマー材料から、溶融紡糸技術を用いて作成される自己凝集性で連続フィラメントの不織インプラント医療デバイスを提供することであって、ここで、固体の均一に混合された条件的ポテンシャルに非適合性ブロックを提供することが、同じ条件の物体と接触して配置されたとき、少なくとも部分的な相分離を確保し、それが、ポリマー鎖に、接触物体間の混合と物体間の区別の関連する低下を提供し、物体間の接着の向上をもたらす。
【0032】
本発明のもう1つの目的は、あるプロセス条件下で、少なくとも部分的に相不混和性の組成の少なくとも部分的に半結晶性のポリマー又はブロックコポリマー材料から、溶融紡糸技術を用いて作成される自己凝集性で連続フィラメントの不織インプラント医療デバイスを提供することであって、そのプロセス条件は、アセンブリに凝集ウェブその他の構造を与えるのに十分な寿命でポリマー混合の均一な無秩序状態を与え、ここで、構造間の接点は、以降の均一状態の少なくとも部分的な相秩序とポリマー又はコポリマーセグメントの結晶化の前に形成される。
【0033】
本発明のもう1つの目的は、少なくとも部分的に相不混和性の組成の少なくとも部分的に半結晶性のポリマー又はブロックコポリマー材料から、溶融紡糸技術を用いて作成される自己凝集性で連続フィラメントの不織インプラント医療デバイスを提供することであって、溶融物の中であり得るアモルファスの均一な無秩序相混合条件が、混合物の秩序と無秩序の転移を下回る温度まで十分に急冷されることによって維持され、コポリマーの半結晶セグメントの以降の秩序化又は結晶化を防止する。
【課題を解決するための手段】
【0034】
これらの目的は、線状ブロックコポリマーとして、1種以上の半結晶性又はアモルファスポリマー成分と共有結合したあるいは配合された少なくとも1つの半結晶性ポリマー成分からなる連続フィラメントのウェブによって達成される。フィラメントは、相互に絡み合ってフィラメントの多孔質ウェブを形成し、フィラメントはウェブ内で互いに多数の接点を有する。フィラメントは、付加的な接着バインダー、添加剤、又は以降の押出溶融プロセスを必要とせず、接点で結合される。本ウェブは生体吸収性である。本ウェブは、割合に高い凝集剪断強度を有する形態で提供されることができる。フィラメントのポリマー成分は、少なくとも一時的に、均一で実質的に相混和性の未結晶状態の中に存在する。均一で実質的に相混和性の未結晶状態の中に保持されると、本物体は、明確な望まれる成形体にされることができ、次いで、特定の使用又は用途に特に適する所望の形態を保持するように、その後に硬化(set) 又は結晶化されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】ウェブ製造用の押出装置の配置の概略図を示す。
【図2】代表的なウェブと断面のある角度からの50倍の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図3】均一な無秩序状態における得られたウェブの典型的な示差走査型熱量計(DSC)の走査特性を示す。
【図4】得られたウェブを評価するのに使用した引張試験試料の寸法を示す(例2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0036】
用語の定義
「繊維」とは、その長さが、500μm未満のその直径又は幅よりもかなり大きい円筒状又はチューブ状構造体を意味する。
「連続フィラメント」とは、実質的に果てし無い長さの繊維を意味する。
「不織」とは、織物又は編物に必要な予備的な糸調製をせずに繊維、フィラメント、又は繊維ウェブから作成されたタイプの布帛を意味する。
【0037】
「シート」とは、その幅又は長さに対して厚さが非常に薄い柔軟な又は硬質の層を意味する。この意義において、堆積フィラメント、又はシートの厚さ又は最小寸法は5mm(0.2インチ)を上回らない。
「ウェブ」とは、繊維を堆積する又はアセンブリすることによって得られるシートを意味する。
【0038】
「多孔質」とは、生理的液体及び/又は生体細胞の通過を可能にするのに十分な連続した構造を有する材料を意味する。
「凝集する」とは、加熱又は溶融プロセス、又は接着バインダー又は添加剤を必要とすることなしに、繊維ウェブ内で効果的に粘着する又は結合するフィラメントの能力を意味する。
「凝集」とは、材料がそれ自身を1つのまとまりとして保持する能力を意味する。
「自己凝集性」、「自己結合性」、又は「自然発生的結合」とは、溶融される必要なく、あるいは溶融した構造体が形成する前後を問わず、補助的接着剤、バインダー、又は接着剤の添加を必要とすることなく、溶融して形成された構造体又はその成分が、効果的に自ら自己結合を発生する能力を意味する。
【0039】
「三次元ウェブ」とは、1つのシート(先に定義)より厚い構造体を形成するために繊維を載置する又はアセンブリすることを意味する。
「成形可能」とは、構造体を特定の外形、形態、パターン、又は形状に一致させる又は適合させる性能を意味する。
「クエンチ」とは、ポリマー系のガラス転移点(T )又は秩序/無秩序温度(Todt )を下回る温度まで急冷することによって、半結晶性ポリマー片の中で結晶化を実質的に抑制することを意味する。
【0040】
「硬化できる(setable) 」とは、結晶化可能なポリマー又はコポリマーのウェブ又は三次元ウェブを、限られた結晶度を有する熱力学的に不安定(準安定)な状態から、別な実質的に熱力学的に安定なレベル又は結晶度に転化させる能力を保持することを意味する。この転化は、ウェブ状構造体の完全な再溶融と再生なしに、効果的に逆転することができない。この転化は、鎖の移動性を促進する溶媒、潤滑剤、又は可塑剤にウェブを曝すこと、熱を加えること、又はこれらの組み合わせにより助長される。
【0041】
「インプラント用」とは、哺乳類の中にうまく外科的に配置できる可能性を有する生体適合性デバイスを意味する。
「インプラント用デバイス」とは、主な機能がその物理的存在又は機械的特性によって得られる、外科、挿入、又は他の適当な手段で移植される物体を意味する。
「生体吸収性」とは、生体内に配置されたとき、酵素、加水分解、又は他の化学反応によって分解し、生体に取り込まれる又は排出される副生物になる合成物又は天然物を意味する。本願において、「吸収可能」、「吸収性」、「生体吸収性」を、この意味において互換的に使用する。
【0042】
「交互性コポリマー」とは、結晶化が生じることを実質的に防ぐセグメント順序により、結晶化の可能性が実質的に低下した規則的又は交互の繰り返し単位の繋がりを有するコポリマーを意味する。
「熱可塑性エラストマー」とは、結晶性「硬質」セグメントとアモルファス「軟質」セグメントが、その使用温度よりも低いT を有する結果、ゴム弾性の機械的特性を有する溶融加工性コポリマーを意味する。
【0043】
「配合物」とは、互いに共有結合しない2種以上の異なるポリマー組成物を溶融混合することによって配合したポリマー材料を意味する。本願において、溶融混和性配合物は、その押出物をフィラメントにするため、溶融物において十分な混和性を有するポリマー混合物である。
「添加剤」とは、1種以上の特性を改質するポリマーためにポリマー又はポリマー系に添加される物質を意味する。
【0044】
「半結晶性ポリマー」とは、凝固させることにより、ホモポリマー系でT を上回る温度、又は多成分ポリマー系で成分の最高T を上回る温度でアニールすることにより、実質的に結晶化性能を維持するポリマー又はコポリマーを意味する。ポリマーの未結晶セグメントは、殆どの高結晶質ポリマーの中でも存在するため、結晶化するポリマーは、一般に、半結晶性と考えられる。
【0045】
「相混和性」とは、類似していないポリマーの繰り返し序列の均一な混合が、実質的に繰り返しのない序列の濃度勾配を有する安定又は不安定な状態を形成することを意味する。
「相不混和性」とは、類似していないポリマーの繰り返し序列が、高い濃度の類似又は同様なポリマーの繰り返し序列を有する巨視的又は微視的領域に分離することを意味する。この用語は、同様なポリマー序列が、同じポリマー序列組成の結晶相とアモルファス相の領域に分離することを指称すると解釈すべきでない。
「ミクロ相不混和性」とは、肉眼で観察できない微視的スケールの寸法の相不混和性領域を意味する。
【0046】
「接着バインダー」とは、ウェブの繊維又はフィラメント成分の間に接点界面で結合を提供する、ウェブの独立成分を意味する。結合成分は、ウェブの構造的支持フィラメントの特性を実質的に保持する溶液、熱、又は他の処理によって施され、結合させることができる。
「接着添加剤」とは、接着剤以外の材料に接着性又は結合性を付与する独立した別の添加剤を意味する。例えば、溶融加工性ポリマーを配合した溶媒、粘着剤、又はポリマー軟化剤を使用し、明確な自己凝集をもたらすことができる一時的又は継続的粘着又は付着を形成する。この意義において、粘着剤は、5000未満の重量平均分子量を有する有機材料である。
【0047】
−発明の概説−
本発明は、平衡状態に達すると、ポリマー系を構成するポリマー成分の相不混和のある事象を有する、半結晶の多成分ポリマー系から形成される連続フィラメントから構成される自己凝集性の不織ウェブに関する。それ自体又は他の同様に調製された物体に自己凝集する本発明のウェブの繊維成分の特定の能力は、溶融プロセス繊維に一般的な速度に比較した、ウェブ繊維内の低下した結晶化速度の結果であると考えられる。この結晶化速度の低下は、限られた結晶化の同様なアモルファス条件に保持された他の繊維又は物体に物理的に接触するまで、溶融物の実質的に均一なアモルファス非結晶相の混合条件を凝固したクエンチ後のフィラメントウェブの中に保持することで、有益であると考えられる。本発明において生じるこの得られるフィラメント間又は繊維間の結合は、したがって、接着バインダー又は添加剤を必要とせずに得ることができ、さらに、付加的で二次的な機械的絡み合い、熱又は圧縮処理を必要とすることもない。
【0048】
本発明のフィラメント間で生じる自然発生的自己凝集は、半結晶性ポリマー配合物又はコポリマーから得られることができ、ここで、実質的なミクロ相分離や溶融生成物の少なくとも表面結晶化の前に、凝固アモルファス物体間の保持された物理的接点を与えるのに十分なように、結晶化速度が遅い。より詳しくは、観察される結晶化速度の低下は、2つの少なくとも部分的な相不混和ポリマー系間に存在する均一な溶融混和条件の凝固によって提供されると考えられる。相不混和性のこの割合に粘着性の凝固した準安定性均一状態に存在する繊維その他の物体間の物理的接触は、物体間の初期物理的接着の基礎を提供する。このような初期接着接点が形成され得ると、初期に不混和性のポリマー成分の相分離を確保することが、接合した物体の物理的接触又は結合境界の全体にわたって混合するポリマー鎖のさらなる増加の可能性を提供する。より詳しくは、本発明は、溶融物から実質的にアモルファスの固体条件が誘引され、それが別な同様に生成した物体との接触と結合を提供するのに十分な長時間にわたって維持される仕方で処理された、熱可塑性の半結晶ポリマー配合物及び/又はブロックコポリマー系を利用する。このような一時的にアモルファスの実質的に半結晶物体を接合するのに必要な時間間隔は、得られる物体のサイズ、利用される特定ポリマー系の結晶化速度、溶融物の温度、冷却する空気又はガスの温度と体積、及び最終的なウェブの回復・貯蔵温度によって決まる。
【0049】
また、本発明は、半結晶性ポリマー配合物及び/又はコポリマー材料の優先的選択と使用により、ポリマー生成の遅くした結晶化速度と以降の自然発生的結合を得る方法に関する。少なくとも部分的な相不混和性配合物又はブロックコポリマーを使用することによって得られる長時間のアモルファス状態は、溶融又は流動加工性条件にあるとき、ポリマー材料に期待される均一で無秩序の十分な不混和性の微細相の未分離状態の保持からもたらされる。この条件は、高い粘度と低下した鎖移動により、全部又は部分のミクロ相分離を実質的に抑制し、その結果、冷却と溶融凝固の後に溶融物の実質的に無秩序状態を保持する十分に迅速な冷却速度によって保持されると考えられる。こうした混和性の無秩序状態に保持することは、より相秩序のある構造に次第に移行すると考えられる以降の結晶化を抑制し、したがって、不安定な融通性のあるアモルファス条件の継続を提供し、これが、得られるウェブを、以降の結晶化の後に保持されることができる実質的に任意の形状に成形することを可能にすると考えられる。
【0050】
本発明の自己凝集性フィラメントは、溶融物から凝固させた後に繊維間又はフィラメント間で結合を形成する点で、本発明はメルトブローウェブに共通な自己凝集繊維とは相違する。この凝集後に結合させる特長は、本発明の繊維の連続フィラメント性を提供し、溶融状態から直接堆積させるメルトブロー繊維の不連続性と対比される。これらの相違は、メルトブローされたウェブに典型的な小さめの直径(1μm未満)の繊維に比較した本発明に見られる一定性と大きめの繊維直径(10μmを上回る)に代表される。さらに、本発明の不織ウェブの連続フィラメントは、メルトブローに比較して、割合に高いレベルの分子配向を有することができる。
【0051】
本発明は、好ましくは、熱力学的に安定な状態にあるときに少なくとも部分的に相不混和性セグメント成分を有する、ジブロック、トリブロック、マルチブロックと表現され得るブロックコポリマーを利用する。ブロックコポリマーは、一般に、ABのジブロック、ABAのトリブロック、又はこれらの組み合わせのマルチブロックのコポリマーと指称される。また、ABCターポリマーの場合のように3種以上の成分がブロックコポリマーを作成するために使用されることができ(トリポリマー又は三元コポリマーとしても知られる)、例えば、Biosyn(商標)構造体(米国コネクティカット州のノルウォークにあるUSサージカルコーポレーション社から入手可能)に利用される生体吸収性PGA/TMC/PDSコポリマーがあり、これは1つのアモルファスと2つの結晶性セグメントを含む。使用温度で軟質又はゴム状のセグメントを組成内に有するブロックコポリマーは、潜在的にエラストマー特性を有し、したがって、ブロックコポリマーの熱可塑性エラストマーと称することができる(BC−TPE)。セグメント成分と称すべきブロックコポリマーの概念における相不混和性は、関連ホモポリマーの配合物の一部であれば、溶融物内で相分離すると期待されよう。
【0052】
より詳しくは、本発明は、好ましくは、ポリ(グリコリド)からなるABAトリブロックコポリマー系(PGAとしても知られる)とポリ(トリメチレンカーボネート)(TMCとしても知られる)を使用し、生体吸収性のインプラント用不織ウェブを作成し、ここで、Aは全重量の50〜85重量%を構成し、Aはグリコリドの繰り返し単位からなり、Bは全重量の残りを構成し、トリメチレンカーボネートの繰り返し単位からなり、この材料は生体吸収性でインプラント可能である。このコポリマーの合成に関する詳細は、米国特許第4429080号に見ることができ、この特許は本願でも参考にして取り入れられている。同じPGA:TMCのセグメント成分のジブロック構造が、米国特許第4243775号と同4300565号に詳述されており、これらは本願でも参考にして取り入れられている。TMC/PGAの重量比の33重量%を構成するトリブロックコポリマーが、Sherwood/Davis & Geck (ダンバリー、コネクティカット州)から入手可能である。
【0053】
あるいは、意図するインプラント用途に必要な所望の物理的、機械的、生体吸収速度特性に応じて、別な生体吸収性成分を重合に使用することもできる。ここで、重合は、系に少なくとも1種以上の結晶性成分を形成するのに十分な長さのブロックセグメントをもたらす必要がある。アモルファスのセグメント成分を利用する、インプラントとして使用される系は、好ましくは、−50℃より高くて70℃よりも低いセグメントT を有する。
【0054】
溶融物の中で相混和性を有するが平衡では少なくとも部分的に相分離する別な半結晶性の多成分ポリマー系は、フィラメント間の接触と関連の繊維間結合が、相分離する平衡の前にもたらされ得る条件が維持されるならば、自己凝集性ウェブを形成するために利用されることができる。こうした自己凝集性ウェブを形成する条件は、結晶性のポリ−β−ヒドロキシブチレート−ヒドロキシバレレート(PHB:PHV)コポリマーを利用するときに観察されている。また、自己凝集性ウェブは、生体吸収性ポリ(p- ジオキサノン)とPGAホモポリマーを配合物を利用して得られている。これらの双方の系において、少なくとも部分的な相分離の証拠が、多機能DSC発熱溶融ピークの存在によって観察できる。
【0055】
自己凝集性連続フィラメントウェブのアセンブリを与える均一なアモルファス相の相混和性準安定条件内に相不混和性ポリマー系を一時的に保持することは、別な結晶性ブロックコポリマー系とともに得ることができる。このようなポリマー系は、ポリエステルの例えばポリ(ブチレンテレフタレート)やポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテート)とその部分加水分解物、ヒドロゲル型ポリマーの例えばポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)等、ポリスルホンの例えばポリ(フェニレン−スルホン)、ポリウレタン、セグメント化ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリカーボネートウレタン、ポリ(ウレタンユリア)ポリイミド、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、及びポリ(カーボネート)からなる群より選択されたセグメントを含むと考えられる。生体吸収性構造が望まれる場合、このようなポリマー系は、ポリ(グリコリド)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ラクチド)、ポリ(d-ラクチド)、ポリ(l-ラクチド)、ポリ(d,l-ラクチド)、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、及びポリ(ヒドロキシブチレート−コ−バレレート)から選択されたポリマーセグメントを含むと考えられる。
【0056】
−ポリマーと加工の要件−
−相混和性とミクロ相分離−
ブロックコポリマー、配合物、及び/又は他のポリマー系に基づく相混和性状態を得るための2種以上の成分のポリマー系の可能性は、近隣ポリマー鎖間の相互作用に影響する各種要因に依存して残っている。フローリー−ヒギンス溶解性パラメーターのような要因の議論は、特に生体吸収性ポリエステル配合物系の混和性に関して、次の文献、「G. Rocha and McCarthy. Polymer in Biodegradable Durgical Device: Blending (Poly(glycolic acid) with other Biodegradable Plastics. Medical Plastics and Biomaterials, May/June 1996, 44-48 」、「Y. Cha and C.G. Pitt. The biodegradability of Polyester blends. Biomaterials, 11 (March 1990), 108-112」に見ることができる。
【0057】
駆動メカニズムによらず、こうした多成分ポリマー系における十分な相混和性の存在は、フォックス式を実質的に踏襲するT の存在を介して観察することができる。通常、相溶性のランダム又は交互のコポリマーに適用されるこの式において、観察されるガラス転移点は、均一混合物の構成成分を平均する組成依存の関数である。特定のフォックスの関係は次の通りであり、
1/T =W1/Tg1+W2/Tg2+・・・
ここで、Wは、コポリマー成分の各質量分であり、各々のTg1とTg2はホモポリマー形態の各成分のガラス転移点である(ケルビン温度)。無秩序又は均一混合の実質的に単相状態を反映する配合物又はブロックコポリマーの一時的混和性の場合、特定成分のクエンチ混合物がより無秩序又は分離した相状態になり始める温度より高い秩序/無秩序転移温度(ODT)は、場合により、秩序/無秩序転移温度(ODTodt )又はミクロ相分離転移温度(Tmst )と称される。この温度は、ランダム又は交互のコポリマー系と同様に、やはり組成に従属し、ポリマー成分の部分的混和性によって影響されることがある。この転移温度に関する優れた熱力学的議論は、文献「Block Copolymer Thermodynamics: Theory and Equipment, Annu. Rev. Phys. Chem. 1990, 41, 525-57 by F.S. Bates and G.H. Fredrickson」に見ることができる。
【0058】
本発明の技術的思想において、永続的又は一時的混和性の条件は、フォックス式の予測を実質的に踏襲するT 又はTodt の一方の存在によって特定することができる。T 又はTodt の一方の存在は、種々の多成分ポリマー系で観察されており、次の文献「P. Xing, et al. Miscibility and Crystallization of Poly(β-hydroxybutyrate) and Poly(p-vinylphenol) Blend. Macromolecules, 30 (1997), 2726-2733 」、「M.C. Luyten, et al. Morphology in binary blends of poly(vinylmethylether) and E-caprolactone-trimethylene carbonate diblock copolymer. Polymer 3 (1997), 38, 509-519」、「G.O. Shonaike. Studies on miscibility of glass fibre reinforced blends of polyethylene terephthalate with polybuthylene terephthalate. needs reference revision; European Polymer Journal, 28 (1992), 777-781 」で議論されている。上記の文献の他に、次の文献「J.N. Clark et al. Reexamination of poly(methylmethacrylate)/poly(epichlorohydrin) blends by small angle neutron scattering and differential scanning calorimetry. Polymer, 33 (1992), 3137-3145 」、「M. Song, et al. Modulated differential scanning calorimetry: 4. Miscibility and glass transition behavior in poly(methylmethacrylate) and poly(epichlorohydrin) blends. Polymer, 37 (1996), 25, 5561-5565 」は、T 温度と混和性及び部分混和性の系の性質の変化を議論している。
【0059】
何らかの得られた相混和性は、ポリマー系に依存して、安定を維持する条件に存在することができ、あるいは、ポリマー鎖の移動と再組織ポテンシャルが許容されると、不混和性を増加する条件に向かう転移の準安定な混和的状態に存在する。鎖間のこれらの分子相互作用の性質と安定性についてのある証拠は、十分に混和性の系の予想される熱特性と、十分に混和性ではないと思われるポリマー系について行われた実際のDSC熱分析データを比較することによって引き出すことができる。このような熱的比較において、準安定又は平衡状態にあって、アモルファス相内の十分な成分混和性の状態に存在する配合物とコポリマー系は、フォックス式を用いて実質的に予測可能で系組成の関数である温度で生じる1つのT 又はTodt を呈することが予測される。これに対し、十分に混和性の多相アモルファス系は、各分離した不混和相に似たホモポリマーに関連する別なT を呈すると考えられる。
【0060】
上記の十分に均一な相混和性と完全な相分離が辿る筋道の間で、部分的なポリマー相混和性の条件が存在する。部分的混和性の条件が存在すると、DSC走査は、類似の関連ホモポリマーの温度とフォックス式から予測される十分な成分混和性の温度の間で生じるT を呈すると考えられる。こうした部分的混和性の系において、ホモポリマーのT の方にT がシフトすることは、ホモポリマーと同様なポリマー成分を含む系のアモルファス相に富むことを証明する。任意の系において、特定のポリマー成分で相が富化することは、別な領域内で同じ成分が関連して低下することを明らかに示唆する。完全にアモルファスの相分離系において、この成分富化は、ポリマー系のアモルファスドメインの別な領域内の関連する貧化をもたらすはずである。ここで、半結晶性ポリマー系において、こうした成分富化は、アモルファスドメインから結晶性成分を以降で除去することになる結晶化をもたらすことができる。この結晶化による成分除去は、非結晶性成分を含むアモルファス相のさらなる富化と、非結晶性成分のホモポリマーに似たT の方に実験的T が移行することをもたらす。
【0061】
半結晶系で完全な結晶化が得られると、ポリマー系の結晶化していない残りが、必要により、系の非結晶化アモルファス相の中に存在しなければならない。アモルファス相が非結晶性モノマー成分のみからなる場合、得られるT は、関連する非結晶性ホモポリマーのそれと同様であろう。これに対し、結晶化領域内の成分は、より高い鎖易動度を有するアモルファス領域にのみ帰する特性のT の存在によっては、もはや検出することができない。ここで、立体的束縛やセグメント混入のような理由により存在するアモルファス相内のある結晶性又は他の成分が混和性を維持すると、得られるT はそれらの存在によって影響されるであろう。その結果、このような部分的相混和性の系のT は、その非結晶性ホモポリマーでの温度から、アモルファス相内に存在する成分比を反映する温度の方に、フォックス式を用いて予測可能な値でシフトするであろう。
【0062】
ポリマー結晶の生成は、一般に、非類似成分の間で生じるとは認識されていないため、別なポリマー成分の混入は、結晶化するポリマーセグメントによって生じる格子の中に見ることができる。このような非結晶性又はアモルファスの導入は、十分な濃度で存在すると、希釈又は束一作用を生じ、結晶化ホモポリマーで予想されるものから溶融温度を低下させることが予想される。この観察される溶融温度低下の証拠は、結晶の不完全性と層厚さの低下にも起因することがある。あるいは、非混和性の半結晶ポリマー系は、熱力学的な平衡相がより希薄な結晶の生成をもたらすより高純度の領域に分離して入ると、それにより関連するより高いDSC融点を生じるであろう。また、結晶性サンプル内に存在する混入量に影響するかサンプル相分離のレベルを変動させるようにサンプル内に不均一性が存在すると、生成した結晶の種々の希釈作用を反映して、多数のDSC溶融ピークが生じることがある。
【0063】
−秩序/無秩序の転移の測定(DSCによる)−
アモルファス又は半結晶性のウェブ系のいずれかのみの相不混和性は、ポリマー成分のサンプルの確立した比についてのフォックス式から予測されるポリマー系のT からの実質的な偏差によって確認することができる。多数のアモルファス成分を含む系について、関連する付加的T の存在は、異なるポリマー組成の付加的な分離アモルファス相の証拠を提供するであろう。これに対し、アモルファス成分を有する半結晶系について、DSC結晶性溶融ピークの存在に関連してフォックス式から予測されるアモルファスT からの偏差は、混和性アモルファス相条件からの特定のポリマー成分の有効な分離と結晶化の証拠を提供する。このような半結晶系において、部分的に混和性の系は、観察されるT の低下をもたらす一方で、十分に分離した系は、ホモポリマーに類似のT を保持するであろう。
【0064】
ブロックコポリマーは、共有結合によって互いに接続した異なるホモポリマーのセグメントからなるため、類似のセグメントが互いに引きつけられて相不混和性を生じたとき、各ホモポリマーの特徴を有する領域が形成される。双方のセグメントが結晶化し得る秩序のある2成分のブロックコポリマー系において、この結果的なミクロ相分離は、2つの結晶化可能なセグメントを表す2つの融点をもたらすであろう。このようなポリマーについてのガラス転移は、T を提供するのに十分な分子運動を十分に排除する束縛鎖を強固にした結晶化によって不明確さらには解消されることがある。あるいは、2つの成分系が相不混和性のアモルファスセグメントからなる場合、2つの異なるT が、得られる秩序のあるアモルファスのブロックコポリマーセグメントの各々について期待されるであろう。PGA:TMCを利用する本発明は、アモルファスブロックのT と結晶性ブロックの溶融ピークをもたらす結晶性とアモルファスの双方のセグメントを有する。
【0065】
前述のように、秩序のあるブロックコポリマー系は、ホモポリマーに固有なT を提供するはっきりしたセグメントを有する。これに対し、無秩序の同じブロックコポリマーは、2つの混合したポリマー成分を複合した特徴を有する。押出プロセス又はDSCの冷却能力によって十分に迅速な冷却を介してクエンチされた無秩序の均一条件を生じさせると、この混合物が分離したセグメントに再組織化することがそれ以上になると可能になる温度が、秩序/無秩序の転移温度(Todt )と考えられる。均一無秩序条件の特性は、2つのポリマー成分の組成比に依存するため、これが生じる温度は、ポリマー配合物に一般に適用され、場合によりランダムコポリマーに適用されるフォックス又は Gordon-Taylor-Wood 式を用いて予測可能である。
【0066】
−好ましい態様−
前述のポリマー選択基準とプロセス条件を用いたときの本発明のアモルファス成分の自己凝集する特定の性能は、凝集した不織ウェブを得るために接着バインダー又は二次的熱処理を使用する強制的な要請なしに、ウェブ繊維の自然発生的繊維間結合う与える連続フィラメントの不織ウェブの作成に使用可能である。本発明の要件を用いたときに得られるウェブは、スパンボンドの不織布に一般的な連続した直径20〜50μmのフィラメントを生成する。ここで、本発明は、スパンボンドプロセスに典型的な以降の結合プロセスを必要としない。
【0067】
本発明の1つの態様は、少なくとも2つのホモポリマーの少なくとも部分的に相分離可能な溶融混和性の配合物からなる自己凝集性ウェブを提供し、ホモポリマーの少なくとも1種は半結晶性であり、ポリマーの結晶速度は、反応速度的又は熱力学的に制御可能である。
本発明のもう1つの態様は、少なくとも1種が半結晶性のホモポリマーとブロックコポリマーの少なくとも部分的に相分離可能で制御される結晶性の配合物からなる自己凝集性ウェブを提供する。
本発明のもう1つの態様は、少なくとも部分的に相分離可能で制御された結晶性の半結晶性ブロックコポリマー系からなる自己結合性又は自己凝集性のウェブである。
【0068】
本発明の好ましい態様は、次式:
【化1】

を有するグリコリドの繰り返しの順次単位と、次式:
【化2】

を有するトリメチレンカーボネートの繰り返しの順次単位が支配的なABAブロックコポリマーからなる自己結合性又は自己凝集性の多孔質不織布である。
【0069】
このブロックコポリマーの末端基はよく知られており、−OH、−COOH、又はこれらの誘導体であることができる。ABAブロックコポリマー中のAの量は、50〜85重量%であることができる。ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中の30℃における固有粘度は、0.5dl/gの平均から1.5dl/gを上回ることができ、好ましくは、骨再生に使用されるには0.8dl/g〜1.2dl/gである。DSC溶融ピークによって測定されるコポリマー組成物のこの特定範囲に許容できる融点は、約170〜220℃であることができる。
【0070】
PGA:TMCの共重合は、環状トリメチレンカーボネートとグリコリドダイマーモノマーの順次の付加的な開環重合によって得られる。合成されたブロックコポリマーは、Davis & Geck(ダンバリー、CN、米国)から直接入手するか、前述の米国特許第4243775号と同4429080号に詳述された合成方法によって調製することができる。両方のモノマーは、BIケミカルズ(ピーターズブルグ、VA、米国)から入手可能である。その他の望ましいポリマー組成と構造は、異なる重合条件及び/又は方法の使用を必要とすることがある。
【0071】
ウェブは、先ずスピンボンディングに類似の操作によってブロックコポリマーから製造される。この操作は、先ず、顆粒又は造粒したブロックコポリマーを乾燥させ、揮発性成分又は残存水分を全て除去する。次いで、このコポリマーを、多数オリフィスの繊維スピンパック又は紡糸口金を備えた押出機の中で溶融させ、連続フィラメントを生成させる。次いで、この連続フィラメントを、好ましくは室温空気に接続したトランスベクター(Transvector) 内で加速し、ほぼ垂直な下方に導く。トランスベクターの空気流は、相分離又は結晶化の速度を早める又は遅くするために温度を変えることができ、得られる繊維を減速又は吸引する作用をし、繊維の流速を制御する。好ましい態様の得られた繊維は、室温の空気に捕獲され、一般に分子配向を有して直径20〜50μmの繊維を生成する。
【0072】
次いで、得られた繊維は、連続的にランダムに配置したフィラメントのまとまりでこねる(puddling)ことによって堆積され、このフィラメントは、物理的に接触して接着しているように見え、重なり合った箇所で物理的に結合するに至り、接着バインダーや添加剤、又は付加的な熱結合プロセスなしに多孔質凝集ウェブを形成する。紡糸時のフィラメントは、見掛けとして固体であり、接触された殆どの物体には付着しないように見えるが、その重なった箇所で互いに容易に接着する。通常のスパンボンド繊維と異なり、本願で用いられるコポリマーの繊維は、紡糸口金の下に配置された表面上に集められたとき、自己凝集性である。言い換えると、紡糸条件が、発生する繊維に粘着性を与えるように調節され、それが、収集用表面上で密着したランダムなパイル又はウェブとして集められたとき、自己凝集性であることを可能にする。言い換えると、繊維は収集用表面に衝突したときは固体であるが、依然として互いに結合するのに十分な粘着性である。これに対し、類似の仕方で押出されたPGAホモポリマーは、粘着性ではなく、結合性又は凝集性ウェブを形成しない。
【0073】
好ましい態様を実施するため、繊維は、可動ベルト上でランダムに堆積され、その上で重なり箇所で接点を形成し、自己凝集性ウェブを形成する。平面通路にそって収集用表面を移動させることにより、作成されたウェブはシート形状であることができ、その密度と気孔サイズは、収集機の線速度によっで直接調節することができる。この結果、高速の収集機では、非常に低い面積と体積密度、及び繊維の重なり高さまで論理的に減じることができる厚さを有するマクロ多孔質ウェブが可能である。これに対し、低速は、所定の面積の上により多くの繊維を堆積させ、それにより、所与の繊維直径について気孔サイズを低下させ、より高い体積密度を形成する。紡糸口金を固定位置にすることにより、紡糸口金は中央により多くてサイドにそってより少ないオリフィスを有するため、堆積されるシートは、中央にそって厚めでそのサイドに傾斜することができる。サイドからサイドに紡糸口金を動かすことにより、実質的に平坦なシートを得ることができる。収集用表面を動かさない場合、中間厚さである三次元繊維ブロックとして表されるものが、適用される空気速度、得られる繊維直径、ウェブの堆積高さ(即ち、圧縮重量)の少なくとも部分的関数としての、得られるウェブの気孔率と密度を有して堆積させることができる。
【0074】
最初に、室温の冷却と収集条件から凝集ウェブを回収すると、ウェブは弾性があり、そのクエンチされたTodt より高い温度で成形することができ、このTodt は−5〜30℃であり、特定のPGA:TMCのコポリマー比に依存する。したがって、この実質的にアモルファスの未結晶化ウェブは、以降のマクロ相秩序化の前に、任意の形状に成形することができ、そのウェブは、1つの例として、骨の再生が生じ得る傷害にフィットさせて覆うように処理することができる。このような生体内での使用の際、このコポリマーは、加水分解と酵素活性の組み合わせによって徐々に生体分解され、次第にその分子量を低下し、結果として、構成ポリマーセグメントがもとの繰り返し単位に戻り、次いで排出されるか生体に吸収される。このように、生体中のウェブの寿命は、少なくとも部分的に、ブロックコポリマーのセグメントサイズとコポリマーの分子量に依存する。
【0075】
このことは、構造的支持が必要とされる又は特定細胞の種類の分離が望ましい別な用途にも有用である。このような用途の例は、軟質組成の修復を目的とした外科メッシュ、神経修復、神経案内用途、接着防止、及び骨や硬質組織の再生が挙げられる。
【0076】
−押出条件−
押出条件下のブロックコポリマーの場合、僅かなレベルの混合が、ポリマー鎖の無秩序をもたらすと考えられ、繊維が紡糸口金から繊維として出るとき、溶融したコポリマー系のブロックは、実質的に均一な無秩序状態にあると考えられる。経時的なコポリマーの累積した加熱は、コポリマーのブロックの分解と関連する相不混和性をもたらすことがあるエステル交換反応を十分に防ぐように、最少限である必要がある。溶融状態から冷却したとき、平衡状態の殆どのブロックコポリマーのポリマー鎖は、相不混和性セグメントを有し、このセグメントは、自己アセンブリプロセスを介して、溶融した均一の無秩序状態から、BC−TPEsの支配的な特性である秩序のあるミクロ相の分離状態への再配列を受けることが知られている。この成分ポリマー鎖がより秩序のある状態に再配列することは、溶融温度と秩序/無秩序転移温度Todt の間に存在するゴム状態において現れる鎖易動度によって提供され、Todt より高い温度では、この無秩序から秩序への転移が進行することができる。結晶化可能なセグメントが秩序のあるミクロ相分離領域内に存在すると、同様なホモポリマー系に似た結晶化プロセスがその後で進行することができる。
【0077】
本発明において、紡糸口金から紡糸繊維が出るとき、未だ溶融しているフィラメントが、繊維をも加速するトランスベクターによって与えられる加速された空気流の中に取り込まれ、それによって、分子配向の可能性を提供する一方で、溶融温度から繊維温度を低下させる。紡糸繊維が収集され、アモルファスの自己凝集性条件をその得られる繊維に付与する能力を示す又はそれに欠けるのは、この捕獲空気の温度と外界条件の温度である。
【0078】
多成分ポリマー系のTodt は、物体間の接着が得られる前に自然発生的なマクロ秩序化と結晶化が生じないのに十分高温でなければならない。こうしたマクロ秩序化と結晶化の速度は、ウェブが回収される温度条件によって顕著に影響される。PGA:TMCの場合、Todt は、コポリマー比に依存するが、0〜25℃であり、鎖易動度は、マクロ相秩序化を有効に抑制しながらウェブを室温で回収するのに十分遅い。これに対し、−25℃のTodt を有する結晶性ポリエステルエーテル熱可塑性エラストマーは、同じ室温のウェブ回収条件でより高い鎖易動度を提供すると考えられ、このため、繊維間結合が生じ得る前に、より迅速なマクロ秩序と以降の結晶化が生じると考えられる。
【0079】
また、同様な室温条件下で繊維間結合を得る目的で、Todt は、接触すると自然発生的な繊維間接着が生じるTodt より室温冷却繊維が適切に高いように、十分に低い必要がある。ウェブが回収される熱的環境が、アモルファス無秩序混合物がガラス状態となるTodt よりも実質的に低いと、鎖易動度が十分に抑えられ、フィラメント接触によって繊維間結合が生じるのを防ぐと考えられる。
【0080】
−フィラメント凝集−
溶融状態から直接冷却したときに予測される均一混合条件からの結合化は、結晶性セグメントの凝集を可能にするのに十分なマクロ相再組織化が実現する場合のみ生じると考えられる。この鎖移動が熱力学的に安定なミクロ相分離状態を得る物理的要件は、繊維構造の中だけではなく、物理的接触と表面接着が生じた領域の繊維でも生じると考えられる。アモルファスの均一な無秩序境界が結合する程度までこうした物体間の接触が得られた後は、Todt より高い温度にさらに維持することは、継続した結晶化とミクロ相分離の秩序化を可能にするであろう。この秩序化プロセスは、適当に接合したが先に分離した物体の間にも及ぶと考えられ、ミクロ相分離すると、2つの接合表面間の混合作用をもたらす架橋を与え、これが、成分ポリマー鎖の促進された絡みあいを提供すると考えられる。こうした秩序化と以降の結晶化は、エラストマー軟質セグメントと結晶性硬質セグメントの双方の領域が、2つの物体が接合した領域を架橋する可能性をもたらす。繊維と本質的に同じ化学的物理的組成の物体又は繊維間で相統合を有効に生じさせ、その結果、得られるウェブに観察される高いフィラメント間結合強度を与えると考えられるのは、このミクロ相再組織化である。
【0081】
このミクロ相混合によって形成された結果としての表面統合は、接着の通常の意味を踏襲するとは考えられず、というのは、結合が、基材材料によってのみなされ、このため、2つの交差表面の間に特定できる組成上の境界が存在しないからである。この結果は、同じレベルの交差領域を覆う統合性の低い接着剤で予想されるよりも概して強い、成分ブロックコポリマーに匹敵する強度を有すると考えられる結合である。また、生じた結合は、通常のポリマー結合化を介して得られた接着よりも可能性として優れると考えられ、というのは、鎖混合が、僅かな分子運動を伴って結晶化する単相系よりも本発明のほうがより統合するであろうためである。ここで、この特定の繊維間結合は、分子配向が高まるにつれて低下し、その利点は、こうした高い配向に固有な高い繊維強度によって相殺されることがある。
【0082】
このようなミクロ相分離又はマクロ秩序化は、コポリマーの組成比によるサイズによって変化することがあり、種々の形状に自ら配置することがある。溶融して得られたが接合した物体の先の表面に平行又は垂直な層状の交互の配置又はから球状の混入までの相成分の各種形状が可能である。2つの接合物体の接触表面におけるこうした各種の秩序形状は、秩序のある相統合を与える通常の表面/表面接着とは異なる結合メカニズムを与え、接合表面に垂直に形成されると、同様に調製された物体の先の表面間に、殆ど共有結合の強度レベルの結合を付与する可能性がある。
【0083】
結合を駆動する接着メカニズムは、別な同様に調製された物体に依存するため、無秩序状態で得られた材料は、優先的に自身に結合し、別な物体との親和性は殆ど観察されない。このことは、Transvector 、収集スクリーン、又は加工物体のような物体に繊維が結合又は付着する危険性を最少限にする加工上の利益を与える。このことは、別な物体ではなく自身に明確な親和性を有する好ましい態様のPGA:TMCウェブに特にあてはまる。
【0084】
同様な条件の均一な無秩序構造体の結合において、実際の成分アセンブリは、ポリマー系の融点より低く、アモルファスクエンチ系の秩序/無秩序転移より高い温度条件下で生じる。この成分アセンブリは、溶融物から冷却されたときのTodt より低い温度となる前に、衝突その他の繊維間接触を生じさせることによって直接引き起こすことができる。所望により、Todt より低い温度まで十分迅速に冷却されると、Todt より高い温度で存在するゴム状態の鎖移動性に得られた材料を供することが、ミクロ相分離と結晶化が効果的に避けられる点を抑える又は解消することができる。うまく行けれ、繊維その他の溶融生成物が、この迅速なクエンチの仕方で、ガラス状態が維持されて鎖移動性と鎖絡みあいが抑制されるTodt より低い温度に継続して維持することにより、均一な無秩序状態を保持させることができる。これらの熱条件下において、ミクロ相分離の秩序化は、温度が十分に高められて鎖移動性が再誘発される温度まで生じない。Todt より高く以降で温度を上げることは、同様なブロックコポリマー表面間の相互作用を再形成して出来るだけ最も安定な秩序構造に再度配列を継続する鎖移動性を伴って与える。
【0085】
前述に概説したように、本発明の配合物又はブロックコポリマー系は、溶融物から凝固した同様なアモルファス状態の別な構造体に、自然発生的に結合することができる。この目的を達成するため、溶融物から得られたアモルファス物体は、半結晶性材料の融点より低い温度の、熱力学的に不安定な均一相混和性条件を表す1つのガラス転移点(ブロックコポリマー系の秩序/無秩序の転移温度としても知られる)より高い温度で、物理的接触を得る必要がある。この範囲内の温度に均一物体を供することは、相平衡を実質的に得る前に完了するならば、アモルファスクエンチ物体の自己粘着性と自己凝集性を提供することができる。これに対し、この範囲内の温度は、半結晶性ポリマー配合物とブロックコポリマーの双方の秩序化と相分離の双方を付加的かつ競合的に促進し、自身と同様な条件の物体に接着する繊維の能力と粘着性の双方の低下をもたらす。その結果、特定の配合物又はコポリマー系について、十分なレベルの結晶化が自己凝集が生じることを有効に抑制する前にアモルファス状態の結晶が生じることが可能な、限られた時間間隔が存在する。
【0086】
アモルファス成分間の結合は、実質的な結晶化が生じる前の溶融物から、凝固の後の物理的接触によって得られる。結合が生じ得る実質的な結晶化前の時間間隔は、選択されるポリマーの結晶化速度、得られる物体のサイズ、及び得られる物体が供される後処理温度により、数秒間から数年間までの範囲があり得る。
【0087】
あるいは、鎖移動性、及び確定的ミクロ相分離と結晶化は、凝固したポリマー内の鎖移動を効果的に潤滑する又は容易にする可塑剤の使用によって高めることができる。このような薬剤は、溶融する前、途中、後の任意の時点でポリマー系に導入可能な可塑剤その他の同様な活性剤であることができる。また、このようなポリマー可塑化は、アセトンやクロロホルムのような揮発性溶媒を適用して得ることもでき、こうした溶媒は、凝固ポリマーの隙間に浸透し、分子運動やより安定な結晶化又は秩序化状態への以降を促進するポリマー鎖の一時的潤滑を提供する。
【0088】
−得られたウェブの特徴−
一般に、本発明の実施によって得られた不織ウェブは、反対面を有し、その反対面の間の全体にわたって多孔質であり、各種の用途に有意な価値を与える特徴を有する。ここで、本発明の不織ウェブの構成は、別な不織ウェブ製造技術では、個々に又は組み合わせても得ることが困難又は不可能な特定の物理的特徴と長所を与える。これらの長所は、結晶化速度を効果的に遅延させ、堆積繊維の中に結果としてアモルファス状態を形成するといった本発明の目的に由来するものと考えられる。
【0089】
前述のように、本発明は、単一の溶融組成物から、接着剤、バインダー、溶媒、その他の添加剤を加える必要なしに、繊維間の自己凝集を呈する一体の不織ウェブを提供する。また、この特徴は、繊維間結合を得るために、機械的に引き起こす内部固定、又は圧延その他の圧縮に基づく変形(加熱する又はしない)を必要とする全ての処理を排除する。また、多成分熱融合ウェブに繊維間結合を提供する軟化被覆繊維、芯鞘繊維、又は低融点繊維の混入を必要とする二次的熱圧縮処理を排除する。結合される一次繊維構造体よりも低い融点又は軟化点を有することに加え、これらの成分は、一般に、いろいろな物理的機械的特性を有する材料であり、それがひいてはウェブの最終特性に影響を及ぼす。
【0090】
−低いウェブ密度−
自己凝集の結果、本発明のウェブは、同じ材料ではあるが自然発生的繊維間結合をもたらす仕方で処理されていない材料から作成された同じウェブ構造体で予測されるよりも、低い見掛けウェブ密度又は全重量を有する。また、自然発生的結合が生じないことで必要とされる接着剤又はバインダーは、得られるウェブの外側境界に付加的スペースを本質的に占めるため、自然発生的結合の結果は、添加バインダーが必要な場合よりも密度が低く、より開口構造である。この特徴は、組織内部成長のために最大レベルのウェブ弾性が望まれる場合は欠点である。
【0091】
−一定した分解特性−
単成分から得られる構造体の全体的安定性は、多成分組成から作成される同様な構造体で予想されるよりも一般に単純であるため、本発明の自然発生的に結合した単成分ウェブは、付加的成分を組み合わされた同じ組成物よりも、種々の条件にわたってより予測可能な形態的安定性を有すると考えられる。また、哺乳類に埋設したとき又は移植後に分解することが望まれる場合、単成分ウェブは、付加的成分を含む同様なウェブよりも、予測可能な全体的分解様式を呈することが当然予想される。生体吸収性材料の場合、より一定した分解又は生体吸収速度は、生体内のより一定した予測可能なインプラント完全性をもたらすものと考えられる。この結果、この単組成は、均一な生体吸収の利益を与え、これは、多成分材料間の弾性率の本質的相違による、及び2種の材料の組み合わせに固有な一定しない生体吸収による繊維の緩みを最少限にする。
【0092】
−繊維内の分子配向−
本発明のウェブは、溶融条件以外では期待されないレベルの自然発生的に生じる繊維間結合を提供するにもかかわらず、得られる自己凝集繊維は、得られるフィラメント内に分子配向を保持することが観察されている。別な自己結合性又は自己凝集性の連続フィラメントウェブは、医療インプラントではない用途について、米国特許第4163819号、米国特許第5575874号に記載されているが、自己凝集性の不織構造体が形成された後に分子配向を保持することについては、特別な言及はなされていない。分子配向を引き起こすことは、押出プロセスの各種条件によるが、接着バインダー、添加剤、又は熱圧縮法を必要とすることなく自然発生的に繊維間の自己凝集を形成可能ウェブの中で、割合に一定の分子配向を呈する能力は、ユニークであると考えられる。
【0093】
−繊維配列/ウェブ統合−
通常のスパンボンドウェブは、割合に真っ直ぐで繊維軸内には特に曲がりのない連続フィラメントからなる。このことは、スパンボンド引張プロセスと関連する凝固、及び収集マット上にそれらを堆積させる前の繊維の冷却に起因すると考えられる。凝固したスパンボンド繊維は、収集機上に堆積したとき、僅かな自由曲がりと曲率しか有しないため、それらは自身の上に層を形成しやすく、繊維直径より大きいオーダーの大きさの広い間隙を有して、繊維堆積の前に架橋する。この直線的な堆積パターンは、一般に、見た目に観察できる連続気孔を形成する。
【0094】
堆積後の繊維冷却と結晶化を経た本発明の材料は、収集マット上で堆積したときにより直線的でより硬質の繊維から得られる通常のスパンボンドプロセスで予想されるよりも、より高いウェブ密度を得ることができると考えられる。本発明によると、アモルファス状態で堆積した繊維は、より結晶性の比較材料よりも延性があり、このため、より変化のある仕方で堆積し、何らかの特定繊維内でひだ又は波をより多く形成し、それにより、より硬質な繊維で予想されるよりも緻密な堆積をもたらす。この結果、この大きい繊維の曲率は、非基部層の限られた相互作用から予想されるよりも高いレベルの成分間の混ざりあい又は絡みあいを与え、より剛直で真っ直ぐな繊維の通常のスパンボンド堆積で見られるよりも広い間隔を与える。このため、本発明は、従来のスパンボンドプロセスに固有なレベルに比較して、高いレベルの繊維絡みあいを有するウェブを提供すると考えられる。
【0095】
繊維接点での自然発生的結合による繊維の高い絡みあいと統合のこの組み合わせの実際の効果は、ウェブの堆積面に加えられた剪断力によって測定したとき、ウェブがほつれる可能性の低下とその凝集強度の改良である。この結果は、接点における各繊維の一体的自己凝集と、膜の横断面の中により深く堆積した別な繊維とのウェブの全体的絡みあいとの相乗作用である。これらの特徴は、繊維がウェブの隙間の中に堆積した別な繊維と多くの絡みあいを含まないため、スパンボンドウェブの表面の曲がりのない層から繊維を除去しようとすることが割合に容易な極めて一般なスパンボンド構造と対照的である。その結果、従来のスパンボンドプロセスで表面の繊維を除去する抵抗は、表面に露出した繊維をその直ぐ下の繊維と結合する繊維/繊維間の結合を壊すことを必要とするに過ぎない。これに対し、本発明のように、表面の繊維が真っ直ぐではないが波形又は起伏を有すると、これらの特徴は、繊維間の絡みあいの機会を高め、このため、ウェブ表面から繊維を除去するのにかなりのエネルギーを必要とする。本発明において、繊維絡みあいによるこのウェブ凝集は、接着バインダー、添加剤、又は熱圧縮プロセスを使用せずに付与される繊維間結合によってさらに増大される。
【0096】
−繊維配列/ウェブ平滑性−
本発明にしたがって製造されたウェブは、連続繊維又はフィラメントがウェブの隙間の中により高い可能性と頻度で統合されるため、別なスパンボンド材料に比較して、より平滑なウェブを与える。このため、この最上表面層内に存在する比較的低い空隙を有してより統合された繊維材料は、通常のスパンボンド比較品よりも、表面からのほつれ又は繊維分離を呈しにくい、より平滑な表面組織を与える。
【0097】
本発明と通常スパンボンドのウェブの連続フィラメント性は、繊維端部の数を減らし、得られるウェブの外形又は境界の上に繊維突起が存在することを低下させる。この繊維端部が存在しないこと又は数が少ないことは、特に、ステープル繊維を基礎にしたウェブや、かなりの数の繊維端部を有してそれにより粗い組織をウェブ表面に与えるフェルトに比較して、ウェブに改良された平滑性を与える。
【0098】
−改良された一般的ウェブ強度−
上記のウェブの自然発生的結合とフィラメント絡みあい性の組み合わせによって与えられる改良された凝集強度は、ウェブ凝集のために単に機械的統合や絡みあいに依存して直接繊維間結合を有しないフェルトのような別な単一組成の繊維ウェブに比較すると、最も的確に観察される。ここで、接着バインダーを利用したものを含む各種の別なスパンボンド構造を評価すると、本願に含まれる1つの例において、本発明のウェブが、ラップ剪断下で測定して、最大強度のウェブの凝集強度値のほぼ2倍であることが予想外に見出された。また、自然発生的繊維結合が、既に凝固した結晶化ポリマー材料に熱と圧力を与えることによる乏しい凝集の熱圧縮されたウェブからは、繊維を分離することが割合に容易であると認識されるさらなる知見を得ることができる。また、本発明のウェブは、その繊維構造のおかげで、当業者に公知なスポンジその他の同様な非フィルム系の非繊維多孔質構造のような他の非繊維系の多孔質不織構造に比較して、顕著に高いウェブ凝集強度を提供する。さらに、本発明の繊維間結合の頻度と強度は、三次元に統合された構造を与え、この構造は、同じ繊維直径、体積密度、及び組成を有する別な自己凝集性の不織ウェブ形態に比較して、高い曲げ強度を有する凝集ウェブを提供すると考えられる。
【0099】
−ウェブと他の材料の組み合わせ−
上記の自己凝集性と不織ウェブの構造によって与えられる凝集強度と一定した生体分解性から得られる特長は、所望により、その後に、安定化又は未安定化ウェブに添加される適切な添加剤、コーティング、又は他の成分と組み合わせることができる。このような処理は、いろいろな理由により有益なことがあり、例えば、接着性又は表面特性の改質、製造時の気孔率の低下、医薬その他の望ましい化学物質、生体薬剤、生体活性剤の搬送である。ウェブの単一成分構成のおかげで、このような添加剤を加えることは、添加剤のキャリヤー溶媒に曝されたときにバインダーが溶解又は分解を受けるような、多成分組成に固有な問題が生じることはない。
【0100】
実質的に任意の十分に多孔質の構造を有するため、種々の生体活性剤とキャリヤー物質が、ウェブの繊維間の隙間に導入又は充填されることができる。本願における生体活性剤とは、骨搬送物質、骨誘導物質、成長因子、走化性因子、型、薬剤又は医薬、触媒、プロテイン、又は意図する生体反応を含む自然発生的、異質因子的、外因的、再結合のペプチドその他の生体活性分子又は遺伝子変換又は生体活性細胞等を指称する。このような物質には、限定されるものではないが、形質導入ベータ成長因子(TGF−ベータ)、骨形態発生プロテイン(BMP)、骨形成プロテイン、殺菌剤、有機又は無機抗菌剤、血管内皮成長因子(VEGF)、基本線維芽細胞成長因子(bFGF)、血小板誘導成長因子(PDFG)、内部的成長因子(IGF)、インシュリン、免疫グロブリンG型抗体等が挙げられる。このような適用は、例えば、米国特許第5019096号に記載のような銀系薬剤のような生体活性抗菌剤を、インプラント内で微生物増殖を抑制することを目的とする生体用物質を繊維ウェブの中に導入することでよい。
【0101】
ウェブの繊維間の隙間に生体活性物質を導入することは、ある用途において、多孔質の隙間に容易に浸透するキャリヤー溶媒の中にその物質を単に溶かす又は懸濁させ、次いで蒸発又は抽出して生体活性物質を多孔質基材の中に堆積させることで行うことができる。ここで、多くの適用において、このような簡単な堆積技術は、多孔質構造体からの過度に速い拡散速度をもたらすことがある。この簡単な堆積の高い拡散速度は、生体活性物質にコントロールされた遊離ポリマー成分を含ませ、周りの生体液に生体活性物質が溶媒和、溶解、又は拡散するのを抑制する不動化構造を提供することで緩和することができる。また、遺伝子変換された又は生きた状態の細胞を、生体活性物質の搬送のためにウェブの中に植えつけることもできる。
【0102】
このような生体活性物質とコントロール用遊離基材の共堆積は、ポリマーと生体活性物質の混合物である、機械的手段によって多孔質構造の中に保持し得る粉末、微小球、マイクロスフェアー、マイクロカプセルのような固体混和物の形態で行うことができる。生体活性物質は、混和粒子の形態で基材の中に懸濁されることができ、又は可溶な均一混合された可塑剤として有効に作用するポリマーの中に分子的に分散させることもできる。いずれの仕方も、共堆積ポリマーの存在のおかげで、生体活性物質の隣接又は内部成長組織への拡散速度を効果的に抑える。拡散の他に、生体吸収性ポリマーは、それ自身の分解プロセスの結果として、生体活性物質の遊離を調節することができる。
【0103】
また、生体活性物質の遊離をコントロールするポリマー層が繊維構造体に吸着され、生体活性物質がそこから拡散するのを有効に抑えるように接着コーティングを適用することにより、共堆積を行うこともできる。あるいは、このような適用されたコーティング層は、その場所でポリマー分子の共有結合又は架橋を与え、次いでそのコーティングを繊維の周りで不動化する化学反応基を有する化学的配合物であることもできる。あるいは、不動化ポリマーと生体活性物質の間で結合を生じさせ、それによって生体活性物質の遊離をコントロールする化学的メカニズムを形成するように設計することもできる。この結果、選択された結合の組成は、生体内でのその分解速度を定め、生体活性物質が遊離又は離脱して周りの組織に入る速度を定めることができる。
【0104】
コントロールされたポリマー構造体のアモルファス間隙の中に生体活性物質を単に浸透させることは、当業者によく知られている。ここで、本発明によって得られるウェブ押出後に存在する拡張された準安定状態は、溶融技術又は通常の溶媒溶解技術で可能なよりも著しく厳しくない条件下で、可溶性生体活性物質がウェブ繊維の中に浸透する又は結合するユニークな特性を与える。アセトンや水のような割合に生体適合性があって以降の結晶化を促進する溶媒を吸収する準安定なアモルファスウェブの性能は、ポリマー隙間の中に生体活性物質溶媒を溶媒とともに導入し、結晶化構造体の中で不動化可能なユニークな性能を提供する。浸透性は、生体活性物質の分子サイズとポリマー中の溶解性によって決まる。結晶化ポリマー中の完全な溶解と捕獲は、ステロイドのような割合に低分子量の化学種で可能であろう。あるいは、プロテインのようなポリマー不溶性の割合に大きい生体活性分子の側鎖の捕獲が、連続的であるが物理的に不動化された生体活性が生じることができる不動化を隣接ポリマー表面に提供することができる。次いで、最終的なポリマー特性は、生体活性物質の濃度とポリマー鎖相互作用へのその累積作用の関数となろう。
【0105】
また、ウェブフィラメントが自己凝集する割合に低い温度は、ウェブの隙間の中に固体が生成しながら均一な分布で混入付加するユニークな能力の機会を提供する。さらにユニークなことは、より高い温度のフィラメント堆積又は結合条件下で潜在的に厳しい変形をもたらす溶融又は変形温度を有し、ドライスピニングの溶媒ベースのウェブ形成プロセスで利用される溶媒に溶解可能な、ウェブの気孔よりも大きい固体を容易に添加できることである。このような固体の混入は、1種以上の生体活性物質を含むマイクロスフェアー、又はコーティングされた若しくはコーティングされていない粒子の形態であることができる。こうした仕方は、充実して形成されたウェブ、とりわけ目的とする用途が限られた又は制限された気孔サイズを呈するウェブの中に導入されるとき、粒子の不均一分布についての共通的問題を解決する。
したがって、本発明の物質は、ウェブ外側表面のコーティング中に、ウェブ空隙の内側表面のコーティングの中に、ウェブ内の固体混和物又はフィラメント材料の成分として、上記の任意の生体活性物質を含むことができる。
【0106】
−制限のない(三次元)ウェブの厚さ−
圧縮処理の要請を解消する自己凝集性と繊維統合性に由来し、本発明のウェブは、通常のメルトブロープロセス又は紡糸ボンディング不織プロセスを用いるときに現状で達成可能なものを上回るウェブ厚さが可能と考えられる。製造されるときにウェブが自己凝集することは、瞬間的な繊維間結合を提供し、付加的な同等に結合した繊維層が施され、接着剤、バインダー、又は加熱圧縮プロセスを適用する必要なしに、その場で凝集ウェブを製造することができる。このため、アモルファス均一相に容易にクエンチするポリマー系を用いると、装置に基づく寸法上の制約のみが、下層の上に連続的に堆積・結合する制限のない厚さのウェブの生成を妨げる。
このような能力は、圧縮に基づく不織法を利用すると得ることが困難な緻密に充填された三次元の多孔質繊維ウェブ構造体の簡単な製造を提供する。
【0107】
−成形可能なウェブ−
ウェブ作成後の相分離と結晶化の前に生じる延性があって成形可能で非結晶質の均一な無秩序状態の保持は、Todt 未満の温度又は混和系T に生成ウェブを急冷することによって得ることができる。溶融物とウェブが十分迅速に冷却されると、低い温度が鎖易動性を抑え、それによりブロックコポリマー系の秩序化と相分離のさらなる進行を阻止し、半結晶性ポリマー成分からなる場合、それらの成分の以降の結晶化を阻止する。こうしたブロックコポリマー相の秩序化は、ホモポリマー成分のガラス転移点を下回るガラス状態にポリマー系を特に制限するものと考えられる。このような抑えられた温度条件は、温度が上昇して鎖易動性が鎖再組織化と結晶化を与えるのに充分に高められるまで、こうしたアモルファス均一状態を明確に維持すると期待することができる。
【0108】
こうした条件が維持され、結晶化が僅か又は全く存在しないと、得られた延性のある成形・付形が可能な実質的にアモルファスのウェブは、そのTodt より高い温度で、それが使用可能な実質的に任意の所望形状に成形することができる。これは、使用されるポリマー系のミクロ相分離と結晶化を防ぐ配慮がされるならば、ウェブ生成の直後の製造プロセスから最終消費者まで、種々の回数と箇所で行うことができる。
【0109】
また、同様にクエンチされて実質的にアモルファスに保持された物体の結合は、結合されるべき物体の温度を、均一な単一であるが分離可能な相の系の秩序/無秩序転移温度より高くすることで、再度得ることができる。Todt より高くすると、同様な条件の同様なアモルファス物体の間を混合する界面を形成するのに充分な物理的接触が、それらの物体間の自然発生的結合をもたらすことができる。こうした物体間の結合は、ウェブ内で既に得られた繊維間結合に付加することができる。
【0110】
成形可能な物体の所望の形態が得られると、直接加熱以外の方法が、ウェブのミクロ相分離と以降の結晶化を誘引するのに利用可能である。あるいは、こうした構造体のミクロ秩序化は、凝固したアモルファスポリマー内の鎖移動を促進する可塑剤の使用による鎖移動性の増加によって得ることもできる。こうした薬剤は、溶融する前、途中、後の任意の時点でポリマーに含めることができる。また、こうした可塑化又はポリマー潤滑は、凝固ポリマーの隙間に浸透し、ポリマー鎖の一時的潤滑を与え、分子運動とより安定な結晶化又は秩序化状態への転移を促進する、アセトンのような充分に浸透性のある揮発性溶媒を利用することで行うことができる。また、鎖運動は、水分の添加によっても促進することができ、これは、ウェブが生体内で血液に曝されたとき又は37℃に維持された生理的食塩水に曝されたときの場合のように、熱を組み合わせることもできる。
【0111】
−自己凝集ウェブの医療用途−
本発明のウェブから作成可能な種々の形態は、当業者に公知の適切なコントロール下で既知の生体適合性ポリマー成分から作成されると、歯周疾患のない組織再生を案内するのに使用される膜のようなインプラント用途に使用することができる。連続的フィラメントの自己凝集性不織ウェブ成分の上記の構造的物理的利益のいくつかは、非生体吸収性ポリマー系から作成されたインプラント用デバイスに使用されると認識できるが、単一溶融組成物から作成された自己凝集性ウェブの利点は、生体吸収過程の全体にわたって期待されるその一定した機械的特性の低下により、生体吸収性インプラント用ポリマー系において特に有益である。
【0112】
生体吸収性材料の場合、ウェブに凝集強度を付与するためであるが、付加的な材料の結果的な生体分解とそれによる分解時の生体反応が必須な添加バインダー又は接着剤を排除することに伴う、付加的な利益が獲得される。インプラント用デバイスを単一にまでの構造的組成にすることは、生体吸収性の挙動を与える利益を設計することを提供し、異なる組成を有してそれにより生体吸収パターンが異なる構造的特徴において、機械的特性の生体内の低下を調整する態様とは相違する。
【0113】
このように、組成の内部成長と結合を提供するのに充分な気孔率を与え、組織タイプの分離を維持するのに充分な細胞バリヤ特性を有し、治療した障害内で骨再生を可能にするのに必要なスペースを与えるのに充分な剛性を維持する、哺乳類用途に使用される生体吸収性膜材料に対して、ニーズが依然として存在する。とりわけ、障害のまわりの骨の外形を形作るのに充分な融通性を与える膜に対するニーズである。即ち、治療した障害を囲む骨外形の固有形状に必要なように材料が成形可能又は付形可能で、その場所に配置すると、傷害付近に所望のスペースの保持を確保することが、特に有益である。成形適性は、再生骨の所望の外形に材料を成形するのに望ましい。剛性は、骨成長が望まれるスペースを保持するために望ましい。
【0114】
本発明の多孔質ウェブは、製造時において、ミクロ相分離と結晶化の前の製造時又は任意の時点で、種々の形状に成形可能である。このことは、本発明の1つの局面を構成する。本発明のもう1つの局面において、本発明は、硬質又はミクロ相分離した溶剤硬化又は熱硬化材料に関する。また、本発明は、種々の用途の種々の寸法のインプラント用医療デバイスに、こうしたウェブを使用することに関する。この本願の材料は、骨傷害を骨組織以外の組織内部成長から保護する、哺乳類の骨傷害を網羅する。この材料は、薄切り又はトリミングし、次いで「硬化」、又は「硬化」して切断し、薄切りにし又はトリミングし、個々の所望形状にすることができる。
【0115】
さらに、本発明の自己凝集性ウェブは、国際特許出願WO92/10218に記載のようなResolut(商標)再生材料に類似の構造のように、多成分構造内の成分の1成分として利用可能である。この構成において、別な成分の2つの多孔質繊維層の間に1つの成分の1つの細胞閉塞層が存在し、膜の面を細胞が浸透することを許容せずに、組織の内部成長と結合を提供する。本発明の自己凝集性ウェブは、多孔質の組織統合用成分を提供するために使用され、次いでそれは別な成分によって与えられる細胞閉塞層のいずれかの側にラミネートされることができる。
本発明のさらに別な関連局面には、上記の本材料の製造方法、及び本材料の使用方法が挙げられる。
【0116】
−例1.ウェブの調製−
67重量%のポリ(グリコリド)と33重量%のポリ(トリメチレンカーボネート)のトリブロックコポリマーを、デビスアンドゲック社(ダンバリー、コネクティカット州)からロット番号10−CV−9433として入手した。この生体吸収性コポリマーは、デビスアンドゲック社によるとポリグリコネートと通称される。
【0117】
入手ポリマーの約25mgを、25mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の中に溶かした。得られた希釈溶液は、30℃±0.05℃の水槽に浸した Cannon-Ubelodde粘度計を用いて測定して、1.53dl/gの固有粘度(IV)を有していた。
【0118】
入手したコポリマーの約10mgを、アルミニウムのDSCサンプル皿の中に入れ、覆いを施し、−40℃もの低温までサンプルを冷却可能な Intracooler II 冷却ユニットを備えた Perkin-Elmer DSC 7 を用いて分析した。サンプルを180℃で2分間慣らした後、サンプルを、その装置によって与えられる最高速度で冷却し(−500℃/分に設定)、10℃/分の走査速度で−40℃から250℃まで走査した。この初期走査を完了した後、サンプルを直ちにその装置によって与えられる最高速度で冷却した(−500℃/分に設定)。第2の同様な走査を、同じ温度範囲にわたって同じサンプルについて行った。走査を完了して250℃で5分間にわたって温度保持した後、サンプルをその装置によって与えられる最高速度で再度冷却し、第3の走査を行った。
【0119】
各走査から、観察されたT とTodt 、結晶化発熱、溶融吸熱について分析した。結果を下記の表にまとめて示す。
【0120】
【表1】

【0121】
入手したペレット化コポリマーの約100gを、130℃の減圧下で終夜にわたって加熱した。その後、減圧乾燥したポリマーを、附帯の J.J. Jenkins 繊維紡糸パックを備えた半インチのランドキャッスルスクリュー押出機の中に入れた。最後に、ダイ又はスピンパック101 を225℃の温度に加熱し、次いで、直径約2.16cm(0.85インチ)の円形に配置した直径0.381cm(0.015インチ)のダイ開口部からなる7つのオリフィススピナー102 の底部を通してその装置から吐出させた。
【0122】
図1に見られるように、Vortec Model 902 Transvector(商標) 103(ボルテック社、シンシナチ、オハイオ州、米国)を支持する調節可能なアームは、約3.8cm(1.5インチ)の距離104 でダイ開口部の下に、 Transvector入口の上部を中央に位置させて、スピナー102 の底部の下に配置した。Transvector は、室温(20〜25℃)の約207kPa(30psi)に調節した加圧空気源に接続した。運転時、Transvector のスロート内に導入して加速した加圧空気は、多数オリフィスダイの領域から付加的な空気を入口内に吸引する。
【0123】
ポリマーをスクリュー押出機の中に供給し、スピンパック101 とスピナー102 を通し、最後に、7本の個別フィラメント105 の形態でダイを通して溶融物として出した。フィラメント105 が、Transvector 入口に入る空気流によって影響され始めると、空気取り込みがないよりも顕著に高速で Transvectorの中を通って加速された。次いで、加速されたフィラメント105 を、Transvector 出口から56cm(22インチ)の距離107 に位置し、約23cm/分(0.75フィート/分)の速度で移動するスクリーン布帛収集ベルト106 の上に蓄積させた。収集ベルト106 の上に集められた得られた繊維ウェブ108 は、ベルトの移動方向にそって割合に一定した弾性を有する一方、ベルトの移動方向のラインから観察すると、中心線の両側で蓄積フィラメントの量は高さが低下した。
【0124】
外界温度で10秒間より長く冷却した後、ウェブを布帛ベルトから取り出し、評価した。回収した物体は、触感として柔軟性のある凝集性繊維ウェブであることが分かり、個々の成分繊維は、若干のハンドリングに供したとき、ウェブからほつれる又は分離するようには観察されなかった。フィラメントは混ぜあわされ、接点で結合していた。
【0125】
−例2.例1のウェブの評価−
例1で作成した凝集性ウェブのサンプルを、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)の双方を用いて20倍〜1000倍の倍率で観察した(例、図2を参照)。評価したウェブは、約20〜100μmの直径の繊維からなることが分かった。
【0126】
−ウェブの結合特性−
光学顕微鏡と1000倍のSEMの双方を用いた繊維間の接点のさらなる評価は、接触する繊維の円筒形又は有姿の限られた歪み又は変形を有して、ウェブ繊維が、互いに物理的に交差することを示した。この観察された物理的交差と繊維間接触は、例1に記載した押出プロセスの前、途中又は後に、接着バインダー又は添加剤を全く加えていないため、自然発生的な自己凝集であると考えられた。
【0127】
−認識できないほつれ−
また、目視検査は、得られたウェブには、平面境界の外側に個々の繊維がほつれ又は突き出すのは僅かに過ぎないことを示した。この状態は、75℃に温度調整してウェブを穏やかにハンドリングした後も維持された。
【0128】
−固有粘度−
得られた凝集ウェブの約29mgを、25mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の中に溶かした。得られた希釈溶液は、30℃±0.05℃の水槽に浸した Cannon-Ubelodde粘度計を用いて測定して、0.97dl/gの固有粘度(IV)を有していた。
したがって、IVは、ペレット化ポリマーの1.53dl/gの初期値から得られたウェブの0.97dl/gの値にプロセス中で低下したことが分かった。
【0129】
−熱特性−
例1で作成したウェブから適当量のサンプルを採取し、Perkin Elmer DSC7 示差走査型熱量計を用いた熱分析に供した。走査を10℃/分で行い、装置の温度を Intracooler II 冷却ユニットを用いて調整した。−20℃と250℃の間の単一走査を行い、得られた結果を下記に示す。
【0130】
【表2】

【0131】
記載のTodt 111 は、走査のベースラインにおいて0.1ジュール/グラム×摂氏度(J/g・℃)を上回る偏差(deflection)によって現れる異なるレベルの熱容量間の変曲点で生じる。このTodt 111 は、各ホモポリマーのT 間の温度で生じ、フックス式によって粗く近似される。この特定の例において、ウェブサンプルは、約16℃の秩序/無秩序転移と約70℃で開始する結晶化発熱112 を呈した。全試料の結晶度は、ジュール/グラム(J/g)の単位のエンタルピーで定量される溶融発熱113 の下の面積に比例すると考えられる。このウェブの熱走査の全体的特性は、図3に見ることができる。
【0132】
−引張強度−
試料のミクロ相分離と結晶化を確保する目的で、例1で作成したウェブの適当なサイズの断片を、75℃で30分間慣らした後、慣らしたウェブの部分を、図4に示した試験寸法に切断した。この切断後の試験片は0.150インチ(13.2mm)の長さ121 を有し、試料の長手中心線の両側に中心0.45インチ(11.4mm)の点から0.375インチ(9.5mm)の半径122 でトリミングした。この結果、0.150インチ(3.81mm)の試料幅123 となり、その各厚さについて測定し、次いで5.0mmのグリップ間隔を有する引張試験装置に取り付けた。この試験片のゲージ長さは、5.0mmのグリップ間隔と同じであると考えられる。この試験片を50mm/分の一定クロスヘッド速度で引張試験すると、37℃の緩衝生理食塩水中で1時間慣らした後に試験したときの最大荷重引張応力0.5kg/mm (4.9MPa)を有することが分かった。同じサンプルのヤング率は1.17kg/mm (11.5MPa)であり、0.5kg/mm (4.9MPa)から1.6kg/mm (15.7MPa)までの範囲であった。
【0133】
−ガーレイ剛性−
例1で得られたウェブを、約3〜5℃の低温状態下に約9か月置いた。そのウェブを冷蔵庫から取り出して、一連の2.54cm×1.27cm(1.0×0.5インチ)のサンプルを切り出した。これらの先に冷蔵下に置いた慣らしていないサンプルの剛性を、Gurley Precision Instruments社(トロイ、ニューヨーク州、米国)から入手のガーレイ剛性試験器を用い、INDA標準試験法 #IST 90.2-86 内に記載のガーレイ剛性試験法によって評価した。試験を完了した後、同じサンプルを、37℃のフォスフェート緩衝生理食塩水中に浸して慣らした。ガーレイ剛性と調節したガーレイ剛性(ガーレイ剛性÷サンプルウェブ重量)の双方の値を、慣らした後と慣らす前の双方について下記の表に示す。
【0134】
【表3】

【0135】
各サンプルについて、37℃に慣らすことは、慣らしていないウェブのそれの少なくとも4倍の剛性増加をもたらした。このことは、無秩序アモルファス状態と固体秩序状態の間の転移において生じるウェブ剛性の変化を実証している。
【0136】
−密度−
ウェブの3つの1.27cm(0.5インチ)のサンプルを入手し、見掛け又は全厚さ、及び重量を測定した。3つのサンプルの得られたサンプル密度は、それぞれ0.28、0.27、0.32g/cm であり、一方同じ3つのサンプルの面密度は26.1、29.3、28.8g/cm であることが分かった。
【0137】
−無秩序状態の長期間の保持−
約2年間の冷蔵保存の後(温度を0〜5℃に維持)、ウェブサンプルを回収し、約10mgのウェブをアルミニウムのDSCサンプル皿の中に入れ、覆いを施し、−40℃もの低温までサンプルを冷却可能な Intracooler II 冷却ユニットを備えた Perkin-Elmer DSC 7 を用いて分析した。配置した後、サンプルを直ちに10℃/分の走査速度で−40℃〜250℃まで走査した。得られた結果を下記の表にまとめて示す。
【0138】
【表4】

【0139】
記載の13℃のTodt は、PGAホモポリマーで予想される37〜39℃のT 値とTMCホモポリマーで予想される−15℃のT からの偏差を示し、したがって、この特定のサンプル内で少なくとも部分的な相混和状態が得られ、保持された証拠を提供する。
【0140】
−例3.37℃の水の中のウェブ付形(成形)−
例1に記載して例2で評価したウェブから、冷蔵条件下で24か月にわたって連続貯蔵した後、2.5cm×2.5cmの片を採取した。このウェブの断片をアーチ形にし、アーチの外側エッジが約0.7cmの距離で隔てるように保持した。この距離は、下顎尾根の幅を近似する意図である。次いで、その拘束されたアーチ形を保持しながら、ウェブを37℃の水槽の中に浸した。37℃で10分間浸した後、この断片を水槽とその拘束から取り外し、室温に戻した。このウェブは、取り外しの後にもその構造を保持することが分かった。
【0141】
次いで、このプレフォームしたアーチ形ウェブを、外側の相対するエッジが約2.0cm離れるように、拘束した。次いでその拘束したウェブを37℃の水槽に再度浸した。10分間の浸漬後に回収し、その拘束を除去すると、ウェブは、外側の相対するエッジが約0.7cmの距離で離れた元のアーチ形の幅に戻ることが分かった。
次いで、このプレフォームしたアーチ形ウェブを、平坦な平面形状にし、その位置で約30秒間保持した。ウェブはその元のアーチ形構造に戻ることが分かった。
【0142】
−チューブ形−
例1で記載したのと同じ冷蔵条件下で24か月連続して貯蔵した後のウェブから、約2.5cm×2.5cmの断片を採取した。この断片を、膜の1つの端が約0.25cmほどチューブを軽く覆うように、直径0.7cmのマンドレルの周りに巻いた。次いで、重なった領域に充分な圧力を加え、ウェブの2つの重なったエッジ間に見た目に観察できる自己結合を形成した。
【0143】
次いで、チューブ状となったウェブ構造体とマンドレルを37℃の水槽に10分間浸した。取り出した後、ウェブをマンドレルから外し、そのチューブ形を保持していることを観察した。凝固した軽く重なった領域をチューブから切り出した。得られたチューブ状構造体は、軽度から中程度の指圧を加えたとき、潰れるのに抵抗することが分かった。ここで、充分な指圧を加えてチューブを潰し、その圧力を除去すると、実質的に元のチューブ状形状に戻った。
【0144】
−熱分析−
この37℃に慣らした膜の重なり領域の熱特性を、例2に記載したのと同様な仕方で評価した。16℃で観察されたTodt と70℃付近で特定できた検出可能な発熱は全く認められなかった。約−15℃でのTMCのT が、走査において認められた。数値の結果を下記の表にまとめており、サンプルが充分に結晶化したことを示す。
【0145】
【表5】

【0146】
−例4.PGA:TMCトリブロックの合成と押出−
a)PGA:TMCトリブロックコポリマーを合成した。予備洗浄、後洗浄、出発物質の取り出し、再充填、ポリマーの充填を含む全ての合成作業は、等級10000のクリーンルーム内で行った。周囲の設備を含む全ての材料に接触する装置は、無粒子ワイパースポンジを用いてイソプロパノールで完全に洗浄した。全ての洗浄は、充分な乾燥を可能にするように、反応の2時間前に行った。
【0147】
1リットルの反応容器は、高トルクの速度調節可能な機械的攪拌機、温度調節式加熱装置(反応容器内に熱電対を配置)、及び乾燥窒素の入口と出口を備えた。無水窒素を、実験の全体を通して僅かな流量で反応容器の中に供給した。反応容器は、窒素雰囲気下で165℃に予備加熱した。ビーカー中でトリメチレンカーボネート(BIケミカルズ社、有姿、150.0g)、グリコリド(BIケミカルズ社、有姿、6.00g)をジエチレングリコール(アルドリッチ社、有姿、0.051ml)とともに充填した。この混合物を加温して溶融させ、次いで容器に移した。Sn ・2H O(アルドリッチケミカルズ社、ミルウォーキー、WI、米国、有姿、0.017g)もまた容器に添加した。溶融した混合物を、中程度の攪拌速度の窒素雰囲気下で185℃で攪拌した。粘度の増加を観察して、重合が20分間以内に生じたことが分かった。この粘性のあるポリマーを、同じ条件下でさらに40分間攪拌した。クリコリド(BIケミカルズ社、有姿、344.0g)を添加し、温度を230℃に設定した。重合が20分間で生じたことが観察された。次いで、溶融ポリマーを230℃の窒素雰囲気下でさらに40分間攪拌した。ポリマーを取り出した。これは、室温まで冷却すると凝固した。明るい茶色のポリマーが得られ、微小ペレットに粉砕し、無菌プラスチックバッグに包装した。
【0148】
b)トリブロック押出
この実験で使用した押出装置は、ラム式又は自製のポット装置とした。このタイプの装置は、一般に、割合に少量のポリマーを使用した実験・分析のために、繊維紡糸業で採用されている。このタイプの押出機の最も広範囲に使用される市販の例は、Alex James & Associates, Greenville, S.G. 製の押出機である。このジェームス押出機は、自製のものとは主として駆動メカニズムにおいて相違する。自製の装置は、油圧駆動を使用するが、ジェームス装置は、DC駆動を用いたギヤ駆動である。いずれの装置も、主としてポリマー供給法による一般的な合成繊維紡糸装置とは相違する。ラム装置において、ポリマーは、所定温度で予め溶融され、プランジャーを用いてオリフィスの中を強制的に通される。性質上、温度コントロール又は混合が殆どなく、プロセスは不連続である。スクリュー押出装置において、ポリマーは、スクリューの中に供給され、スクリューの長さの全体にわたって圧縮され混合される。温度は、主として、バレルにそった抵抗による摩擦から生じ、バレルの加熱・冷却装置を使用してコントロールされる。
【0149】
この押出物の製造に使用される油圧駆動ラム押出機は、直径1インチのバレルとプランジャーを有する。それぞれフィラメント直径0.381mm(0.015インチ)の7つのフィラメント紡糸口金を使用した。熱は、バレルと紡糸口金でコントロールした。直径32mmの出口寸法と長さ1cmを有するTransvector を、エンドレス収集ベルト上に繊維を吹きつけるために使用した。
【0150】
A部分として合成したPGA:TMCを顆粒にし、132℃で15時間乾燥した。バレルと紡糸口金を225℃に加熱し、39gのポリマーを押出機に入れた。押出プロセスを開始する前に、ポリマーを30分間にわたって溶融させた。Transvector 入口の上面から1.91cm(0.75インチ)の距離で、ダイ面の直ぐ下にTransvector を配置した。圧縮空気を0.24MPa(35psig)の圧力でTransvector の空気入口に供給した。1.38MPa(200psig)の油圧を加え、紡糸口金の中をポリマーを強制的に通し、収集ベルトを作動させた。これにより、Transvector 空気速度の作用で繊維の希薄化が生じ、幅約5.08cm(2インチ)の連続ウェブがランダムに生成した。ここの繊維は、接点で凝集結合を形成し、自己凝集ウェブを生成した。5つのサンプルについての平均繊維直径は29.2μmと測定された。
【0151】
−例5.例4bのトリブロックの評価−
次いで、例4bで作成したウェブを評価し、次の結果を得た。採取したウェブについて、前述の例2に記載したのと同様な仕方で引張試験を行った。作成したウェブの測定された引張応力は0.27〜0.62kg/mm (2.6〜6.1MPa)であることが分かった。
【0152】
−例6.犬歯に付形可能な配置−
苦痛が生じないように予め準備した犬に、適当量の麻酔薬を施し、左下顎四半分の全ての歯を抜いた。次いで、外科正中線切開法を用い、歯肉フラップを載置した。歯冠から歯根尖の4.5mmと近心から遠位の11.5mmのサドル形下顎傷害を与えた。一定の冷蔵下に保存し、重さ110mg〜140mgの例4のアモルファスクエンチ2cm×2cmのPGA:TMCウェブの5片を用い、その採取したウェブ試料を外科ハサミを用いてトリミングし、形成した傷害のエッジから約3〜5mmほどはみ出る覆いを与えるサイズにした。ウェブのトリミング屑は、後のDSCを用いる熱分析のために保存した。約1リットルの無菌水を入れたマイクロ波を照射することができるプラスチック容器を、マイクロ波オーブン中で約60℃の温度まで加熱した。次いでトリミングした試験片を、治療すべき傷害領域の骨外形に似せたアーチ形に成形した。ピンセットでアーチ形に拘束しながら、付形されたウェブとピペットを58.5℃にした水の中に2.5分間浸した。取り出した後、ウェブは付形形状を保持し、浸漬の間にそれを維持していたことが認められた。次いで、この材料を形成した傷害の上に配置し、傷害の骨外形に実質的に適合することが見られた。
【0153】
別な2cm×2cmの試験片を採取し、トリミングし、ラテックス手袋を付けた手を用いて、指を被せるアーチ形に成形した。スポイド付ビンの中のアセトンを用い、成形したウェブが見た目にアセトンで完全に濡れるまでアセトンを、成形したウェブに滴下させた。溶媒に約10秒間曝した後、成形して凝固したウェブを、温かい滅菌水(約50℃の温度)に約1分間浸した。水浸漬から取り出すと、ウェブがアセトンを滴下するときの形状を実質的に保持していることが認められた。次いで、この材料を形成した傷害の上に置き、傷害の骨外形に実質的に適合することが分かった。
【0154】
別な2cm×2cmの試験片を採取し、トリミングし、傷害の上に直接置いた。傷害の外形に適するアーチ形を維持させながら、30ゲージの皮下注入針を有して約55℃の水を入れた30ccのプラスチック注射器を用い、熱水を配置ウェブのアーチ領域に直接適用した。ウェブのその場での飽和を終えた後、ウェブは熱水を加えてときのその形状を実質的に保持し、傷害のある骨外形に実質的に一致していることが認められた。
【0155】
別な2cm×2cmの試験片を採取し、トリミングし、ラテックス手袋を付けた手を用いてアーチ形に拘束した。次いで、無針の30ccプラスチック注射器を用いて充分な熱水を施し、アーチ形ウェブの頂部を見た目に濡らした。冷却すると、ウェブはそのアーチ形を保持していることが観察され、傷害領域の上に配置したとき、傷害のある骨の外形に実質的に適合することが見られた。
【0156】
別な2cm×2cmの試験片を採取し、トリミングし、傷害を覆って配置して適合させ、傷害箇所の付近に存在する血液で充分に濡らした。濡らし終えて約1.5分間の後、歯肉皮膚を縫合し、配置した膜と傷害箇所の双方を覆った。約15分間の後、皮膚を再度開き、膜をその形状保持について評価した。観察によると、この材料は、その元の配置位置からずれていたが、この材料は、セットした骨外形を踏襲して凝固していた。
【0157】
次いで、処置をしている犬を、バルビツル酸ナトリウムフェノバルビタールの過剰投与によって安楽死させた。処理サンプルと未処理比較サンプルの双方を、例2のDSC走査法を用いて評価し、但し、30℃〜250℃の走査範囲とする槽冷却を行い、次の熱特性を得た。
【0158】
【表6】

【表7】

【表8】

【0159】
【表9】

【表10】

【0160】
処理ウェブサンプルについての結晶化発熱のエンタルピーの一貫した低下のおかげで、各処理流体の処置より、実質的な結晶化が観察できる。
【0161】
−例7.PGA50%:TMC50%のジブロック合成−
反応容器を入手し、例4に記載したように準備した。反応容器は、窒素雰囲気下で175℃まで予備加熱した。この容器の中に、トリメチレンカーボネート(BIケミカルズ社、有姿、120.5g)を、ドデシルアルコール(コダック社、有姿、0.580g)とSnCl ・2H O(アルドリッチ社、有姿、0.020g)とともに充填した。溶融混合物を中程度の攪拌速度で窒素雰囲気下に175℃で攪拌した。これらの条件は、攪拌するのに充分に低い溶融粘度を保証するに足りる熱を与えた。重合は、粘度増加で観察して15分間以内で生じた。30分間の全反応時間の後、グリコリド(BIケミカルズ社、有姿、100.0g)を添加し、210℃に設定した。溶融粘度の観察可能な増加で判断して、重合が、15分間以上にわたって実質的に進行かたことが認められた。さらにグリコリド(BIケミカルズ社、有姿、114.15g)を添加した。15分間以上にわたり、溶融粘度が再度増加することが観察された。温度を220℃に設定し、高粘度の溶融ポリマーを窒素雰囲気下でさらに45分間攪拌した。この45分間の期間で、温度は220℃〜235℃の間を変動した。
ポリマーを取り出し、室温まで冷却した。次いで、明茶色のポリマーを医療用プラスチックバッグの中に包装した。
【0162】
−例8.例7のコポリマーのウェブ押出−
例4で記載したのと同じ押出装置を用い、例7で合成したPGA:TMCを顆粒にし、130℃で13時間減圧乾燥した。このポリマーを、210℃に予備加熱した紡糸口金とバレルを備えた押出機の中に入れた。次いで、押出プロセスの開始前に、このポリマーをバレル内で30分間にわたって溶融させた。Transvector(商標)を、Transvector 入口の上面から2.54cm(1インチ)の距離でダイ面の下に直接配置した。圧縮空気を0.24MPa(35psig)の圧力でTransvector の空気入口に供給した。1.38MPa(200psig)の油圧をラムに加え、ポリマーを強制的に紡糸口金の中を通し、収集ベルトを作動させた。これにより、Transvector 空気速度の作用で繊維の希薄化が生じ、幅約5.08cm(2インチ)の連続ウェブがランダムに生成した。個々の繊維は接点で凝集結合を形成し、自己凝集性ウェブを形成した。
10サンプルの平均フィラメント直径は33.25μmと測定された。このウェブからの2cm×3cmの長方形の切断片は33.57mg/cm (335.7g/m )の平均面密度を有し、標準偏差は3.11であった。
【0163】
−例9.50%PGA:TMCの入手と評価−
50%PGA:50%TMCのジブロックコポリマーを、バーミンガムポリマー社(バーミンガム、アラバマ州、米国)から入手した。NMR分析による組成値は、このコポリマーは50.2%PGA:49.8%TMCの重量比を有することを示した。このコポリマーの固有粘度は、約0.5g/dlの濃度の30℃のHFIP中で0.84dl/gと示されている。
この入手したポリマーを、例2で記載したのと同様な仕方でDSCによって熱分析した。得られた結果を下記に示す。
【0164】
【表11】

【0165】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られる)を、40℃のHFIP溶媒中のコポリマー樹脂について行い、ポリメチルメタクリレートを参照基準として使用した。このコポリマーは、37100ダルトンの数平均分子量(M )と74600ダルトンの重量平均分子量(M )を有し、2.01の多分散性指標(M /M )となることが分かった。
【0166】
−例10.例9のコポリマーのウェブ押出−
例10で記載した50重量%PGAと50重量%TMCのジブロックコポリマーのロットを用い、例1に記載したのと同様なパラメーターを用いて押出を行い、但し、押出機の温度をスピンパック又は215℃のダイ温度を形成するように設定し、異なるベルト速度を用いて2グループのウェブを作成した。両方のグループとも、中心厚さ約0.15cm(0.06インチ)を有する触感で柔軟な凝集性ウェブを形成し、次いで、ミクロ相分離と結晶化を誘引する目的で、プレスし、75℃のオーブンに2時間入れた。
【0167】
2つの作成したウェブは、56μmの平均繊維直径と約5μmの標準偏差を有し、0.86mm(0.034インチ)と0.99mm(0.039インチ)の平均厚さを有した。被覆率又は面密度は平均で、薄めのサンプルについては56mg/cm (560g/m )、厚めのサンプルについては75.4mg/cm (754g/m )であり、一方、得られたサンプルの平均見掛け密度は0.65g/cc〜0.76g/ccであった。これらのウェブを、37℃の生理食塩水に1時間入れた後、引張試験に供し、0.56kg/mm (5.5MPa)の最大引張応力う有することが分かり、ウェブのIVは双方のサンプルで約0.8dl/gであることが分かった。
【0168】
−例11.例10のコポリマーをラットの下顎骨に配置−
例10で得られた材料を12枚の2cm×2.5cmの試験片に切断し、異なる平均厚さの2グループに分けた。採取データに基づいて、薄めの片は約976mgの代表的ガーレイ剛性を有し、一方、厚めの片は推定で1850mgのガーレイ剛性を有した。各片を防水包装の中に個々にシールし、15kGyでγ線滅菌をした。
【0169】
次いで、上記の材料を、ラット下顎モデル内で骨を再生すのその性能を評価した。この特に厳しい動物モデルの充分な議論は、下記の文献、「Zellin E, Gritli-Linde A, Linde A. Healing of mandibular defects with different biodegradable and non-biodegradable membrans: as experimmental study in rats. Biomaterials 1995; 16:601-609 」、「Sandberg E, Dahlin C, Linde A. Bone regeneration by osteopromotion technique using bioabsorbable membrane: An experimental study in rats. Journal of Oral & Maxillofacial Surgery 1993; 51(10): 1106-1114 」でなされており、これらの文献は、生体材料その他のインプラント構造体の方法論、評価、相対性能を詳細に記載している。
【0170】
実際にインプラントされたウェブの寸法は、箇所と外科医決定に依存して異なる。
治療後の治癒は一定ではなかった。生体内で4週間経過後の回収と組織区分から、両ウェブの厚さが傷害の中に潰れ込むことは全く見られなかった。しかし、軟質組織の内部成長が、下顎骨の舌前方に頻繁に観察され、傷害の外形にウェブを適用するのに劣る過剰の剛性を示唆した。全ての試験後の膜は、新たな骨を提供するのに充分なスペースを維持し、潰れる兆候は全く示さなかった。
材料の表面と隙間は、繊維組織にそったある炎症性細胞と多核巨大細胞、及びある間欠的な骨内部成長が居住していた。
【0171】
−例12.チューブ形に成形されたウェブ−
例9で記載したのと同様な50%PGA:50%TMCより、例1で記載したのと同様な処理をしてウェブを作成した。得られたウェブは、それ自身に接着するのに充分な粘着性であることが観察された。このウェブを0.14MPa(20psi)の圧力下で圧縮し、気孔率を下げ、2.25cm×1.75cmの長方形に切断した。次いで、これらの柔軟な試料を4mmステンレス鋼マンドレルの周りに巻き、重なり合ったシームを有するチューブを作成した。次いで、このシームを中程度の指圧を用いて一緒にプレスし、その箇所で膜を結合させた。次いで、この膜とマンドレルを予め70℃に加熱しておいたオーブンの中に1時間入れ、オーブンから取り出した後、チューブをマンドレルから取り出し、包装して貯蔵した。選択サンプルの得られたシーム結合をピンセットで力を加えたところ、最初のウェブと同様な強度を有するように見えた。残りのチューブは、シールの前に、ホイル/ポリマーのパウチの内側に65℃で17〜24時間保管した。次いで、この包装を15kGyの照射量でγ線照射した。
【0172】
−例13.例12のチューブ状ウェブを兎の脛骨に使用−
兎の前足モデルを用い、例12で作成したPGA:TMCチューブの、部分的な長い骨欠陥の骨再生に及ぼす硬化を評価する研究を行った。PGA:TMCチューブは、長い骨傷害の周りに一時的な機械的バリヤを与え、欠陥領域に接続組織と未分化線維芽細胞で満たされるのを防ぐ一方で、新たな骨の足場(新たに生成する骨の外形を定めて付形する1種の型材)を提供すると考えられる。思索的ではあるが、チューブは、治癒に必要な細胞・分子的因子を濃縮することができよう(即ち、細胞誘導抑制因子を排除し、局所的成長因子を濃厚にする)。
【0173】
この検討に、成体の11kg(5ポンド)〜22kg(10ポンド)のニュージランド産の白雌兎を用いた。10mmの傷害(充分な厚さの骨切)を、骨幹のとう骨部分に形成し、このサイズの欠陥は、治療しなければ兎に癒着不能を与えることが知られている。とう骨の長さにそって背面切開を行い、伸筋手根骨の筋肉組織をとう骨方向に広げ、側方向に返し、とう骨の中央軸を露出させた。2つの充分な切断を10mm離して、回内筋の腱挿入の直ぐ近くのとう骨の骨幹部分に行った(冷却した生理食塩水を使用してその領域に注ぎ、切断中の熱壊死を防ぐ)。とう骨と尺骨の間の不必要な骨間膜を妨げないように注意しながら(膜は、傷害のために安定性を与え、1種の生来の内部副子)、切断した骨ブロックを除去し、切断骨端部から骨膜を除去し、10mmの欠陥を残した。
【0174】
PGA:TMCチューブを10mmの欠陥を覆って配置した。チューブを先ずとう骨の近位端部に滑り込ませ、必要によりトリミングし、遠位端部を覆って配置した。チューブは、2〜3mmで骨と重なって骨端部の上にぴったりとフィットさせ、チューブはその場所で保持するのに縫合を必要としなかった。
その動物は約6か月生息した。ジーメンス社の Heliodent 70 X線装置(デンタルコーン付属品を備える)を用い、手術後の2、3、4、5、6か月でレントゲン写真を撮影した。レントゲン写真は、露出時間0.20ミリ秒としてコダック社の超高感度フィルムを使用して撮影した。レントゲン写真は、治療効果の割合に簡単で非侵襲の評価を与えた。明らかに新しい骨の写真上濃い領域が、PGA:TMCチューブで処理した一連の治療後2か月のものについて認められた。比較例は(10mmの欠陥を未治療)、6か月の研究の中で殆ど骨が生成せず、繊維状骨の癒着不能をもたらした。6か月の処理期間の中で見た目に皮質性の骨が緻密化し、場合により、新たな骨が欠陥間隙を橋かけし、いずれの場合も、新たに生成した量の骨が、欠陥の隙間を低下させた。
【0175】
観察から、PGA:TMCチューブで処置した欠陥は、6か月の期間にわたってかなりの程度の骨治癒を実証し、場合により、骨が欠陥間隙の充分に橋かけした。
【0176】
−例14.三次元のウェブ構造−
例1で記載したのと同じポリマーと押出条件を用い、25.4cm〜30.5cm/分で直線的にウェブセグメントを堆積させた後採取ベルトの方向を逆にして、かなり厚めの自己凝集ウェブを作成した。この作成の仕方は、Transvector の底部から120.7cmのベルト距離で行い、先に堆積した1層以上のウェブの上に新たなウェブ槽を順次に堆積させた。この層振動の数多く繰り返す結果、中央で厚さ約5.2cmを有する自己凝集性ウェブが得られた。次いで、得られた凝集ウェブを、単一ユニットとしてベルトから取り出し、厚さ1.91cmの2つのスペーサーの間隔のプレートの重量で厚さ1.9cmまで圧縮した。このアセンブリとウェブを70℃の温度に2時間供した。得られた厚さ1.8cmの凝集ウェブは、直径27〜55μm、平均直径44.5μm、及び固有粘度0.85dl/gの繊維を有することが分かった。圧縮したウェブの中央領域から採取した部分は、約0.3g/cm の見掛け密度を有することがわかった。得られた自己凝集ウェブは、凝集性繊維間結合を得るのに圧延の必要はなく、中程度のハンドリングにより、バインダー添加なしに繊維分離に抵抗し、標準的又は曲がりハサミを用い、ウェブより小さい任意の寸法に容易にトリミング又は形作りされた。
【0177】
−例15.等重量部のPGAホモポリマーと50:50トリブロックPGA:TMCコポリマーの配合物
等級10000クリーンルームの中に配置され、230℃までの温度に維持可能なスターリング社の高温オイル装置(Model #S9016, Sterling Inc., Milwaukee, WI, USA) に接続した4CVヘリコーンミキサー(Dedign Integrated Technologies, Warrenton, VA, USA)を予めクリーン化し、全てのポリマーその他の残存物を除去し、次いでミキサー容器を取り付ける前に2時間にわたって完全に通風乾燥した。次いで、乾燥ミキサーを140℃まで予備加熱し、次いで無水窒素でパージして再度満たし、実験の全過程で僅かな流量う流した。740.7gのトリメチレンカーボネートを含むホイル包装を開け、その内容物を入れ、6.5の速度設定で混合した。10分間後に攪拌を止め、0.228gのSnCl ・2H O触媒と15.71gのジエチレングリコール開始剤の組み合わせの2.73gを溶融TMCに直接加えた。混合を再開し、10分間後に温度を160℃まで高め、次いで30分間後に180℃まで高めた。さらに30分間の後、75gのグリコリドモノマーを添加し、次いで温度を200℃まで高めた。次いで、15分間の後、グリコリドを添加して直ちに温度を220℃に高く設定した。40分間の後、重合生成物を220℃のクリーン剥離面上に排出し、室温まで冷却させながらそこで凝固させた。得られた明茶色のポリマーを、次いで滅菌プラスチックバッグの中に入れ、次の分析と処理の前に4.0mmのスクリーンを通して機械的に顆粒にした。
固有粘度0.99dl/gを有する50%PGA:50%TMCトリブロックコポリマーとPGAホモポリマー(固有粘度1.75dl/g、Birmingham Polymers Lot #D-96156)の各々の約500gを130℃に加熱された真空オーブンの中に1時間入れ、約736トルの減圧下に置き、継続して熱を加えながらこの減圧を少なくとも15分間維持した。
【0178】
ローラーブレードと Brabender Plast-Corter PL2000とMixer Measuring Head(C.W. Brabender Instruments Inc. 社より入手可能、South Hackensaak, New Jersey, USA)を具備した Brabender Prep Mixer を235℃に予め加熱し、混合ブレードを50rpmの所望の速度で作動させた。次いで、128gのPGAホモポリマーと128gのPGA:TMCトリブロックコポリマーを添加し、ポリマーによる水分捕獲を防ぐため、ミキサーの供給開口部に窒素ラインを配置した。溶融物の温度とミキサーのトルクをグラフ式画面上で監視した。5分間での配合物の目視検査は、ポリマーが首尾よく溶融しており、再度タフィーの外観を有し始めたことを示した。合計で13分間の混合時間の後、トルクは落ちつき、ポリマーを取り出し、機械を洗浄した。トルクが事実上安定化したことを示すグラフ画面を印刷した。凝固した配合ポリマーは、次いで分析と処理の前に、4mmのスクリーンを通して機械的に顆粒にした。
【0179】
−樹脂の評価−
得られた配合物の顆粒は、例1に記載と同様の仕方で評価したとき、1.06dl/gの固有粘度を有していた。DSC分析は、非常に弱いT の検出を示し、下記に結果をまとめて示す。
【0180】
【表12】

【0181】
−ウェブの処理と評価−
得られた配合物は、上記の例1に記載したのと同様な押出条件と組み合わせて238℃のダイパック温度を用いると、自己凝集ウェブを形成することができた。
配合ポリマーから得られたウェブは、例1に記載したのと同様な仕方で評価すると、1.06dl/gのIVを有していた。例2に記載したパラメーターを用いたウェブのDSCは、下記の熱特性を示した。
【0182】
【表13】

【0183】
−例16.PHB:PHV樹脂からのウェブ−
Biopol(商標)のポリ−B−ヒドロキシブチレート−ヒトロキシバレレート(PHB:PHV)の「低」バレレート含有率のD310Gと「高」バレレートD610G可塑化コポリマーを Zeneca Pharmaceuticals(ウィルミントン、デラウェア州)から入手した。メーカーは、特定のコポリマー比や使用可塑剤の仕様は提供しなかった。
【0184】
D310Gコポリマーの約10mgをアルミニウムDSCサンプル皿に入れ、カバーを施し、−40℃のように低い温度までサンプルを冷却することができる Intracooler II 冷却ユニットを備えた Perkin-Elmer DSC 7 を用いて分析した。サンプルを10℃/分の走査速度で−40℃〜180℃の間を走査した。この初期の走査を終えた後、サンプルを装置で得られる最大速度(−500℃/分に設定)で直ちに冷却した。第2の同様な走査を、同じ温度範囲で同じサンプルについて行った。走査を終えた後、温度を180℃に5分保持し、サンプルを装置で得られる最大速度で再度冷却し、第3の走査を行った。
各走査から、観察された変曲点T とTodt、結晶化発熱、溶融吸熱について分析した。結果を下記の表にまとめている。
【0185】
【表14】

【0186】
同様に、D610Gバレレート高濃度ポリマーをDSC走査に供し、T とTodt 、結晶化発熱、溶融吸熱について分析した。結果は、第2と第3の走査についての二重溶融ピークを与える約145℃で付加的なピークを含み、下記の表にまとめて示す。
【0187】
【表15】

【0188】
有姿のペレット化D310Gコポリマーの約100gを105℃の減圧下で2.5時間加熱した。その後、この減圧乾燥したポリマーを例1に記載の押出装置の中に入れ、次いで184℃に加熱し、0.17MPa(25psi)の付随のTransvector 圧力を用いて押出した。
【0189】
外界温度で20秒間より長く冷却した後、布帛ベルトから得られたウェブを取り出し、評価した。この回収した物品は、触感として柔軟な凝集繊維ウェブであることが分かり、個々の成分繊維は、中程度のハンドリングに供したときにウェブからほぐれ又は分離がないように観察された。
同様に、より高いPHV含有率のD610Gポリマーを190℃と32psi(221kPa)のTransvector 圧力で押出した。また、このポリマーの押出は、自己凝集性繊維ウェブをもたらし、このウェブは、触感として柔軟であり、個々の成分繊維は、中程度のハンドリングに供したときにウェブからほぐれ又は分離がないように観察された。得られた双方のウェブは、室温で数分間の後、顕著により剛直になった。
【0190】
−例17.PDSホモポリマーからの自己凝集性ウェブの試み−
−取得/評価−
ポリジオキサノンポリマー(ロット番号76013)は、米国バージニア州のペルツブルグにあるBIケミカルズ社より入手した。入手した樹脂の評価は、例1で記載したのと同じ仕方でDSCを用いて行った。3通りのDSC走査の結果は以下の通りであった。
【0191】
【表16】

【0192】
得られたDSCサーモグラムは、第2と第3の加熱の双方におけるT とT の間で生じる低温結晶化発熱によって証明されるように、クエンチがこのポリマー系で得られることが可能なことを示した。クエンチT についての−13.3℃の観察変曲点は、米国特許第4052988号のポリ-p- ジオキサノンについて報告された−16℃のT と妥当な一致を示すことが分かった。この試験したポリ-p- ジオキサノン材料は、ホモポリマーであるため、別なポリマー系との混合を反映する秩序/無秩序転移の方へのT のシフトは期待されず、観察できなかった。
【0193】
−押出−
例1で記載した装置と一般的条件を用いてポリマーを加工し、但し、未乾燥ポリマーを20〜25のスクリュー速度と156℃の溶融温度で押出し、次いで温度を161℃に高めた。先の例と同様に、ベルト上に堆積した得られた繊維は、ベルト運動の方向にそって割合に一定した弾性を有し、一方、堆積繊維の量は、ベルト運動の方向にそって観察すると、両側に高さが減少していた。
【0194】
外界温度で10秒間より長く冷却した後、ウェブを布帛ベルトから取り出し、評価した。比較的低い押出温度で収集スクリーン上に堆積したウェブの個々の繊維は、それ自身に接着していないことが分かった。何らかの繊維間接着が認められても、これらの繊維に加えられる僅かな引張負荷が、形成された繊維間結合の破壊と、ウェブのバルクからのそれぞれの分離をもたらした。同様な乏しい繊維間接着が、室温のTransvector 空気をこの系に適用したときも観察された。押出機ダイ温度を161℃まで高めたにもかかわらず、凝集繊維ウェブの生成に殆ど影響が見られなかった。
【0195】
個々の繊維の結合と何らかの観察できるウェブ凝集を可能にすることが見られた唯一の観察条件は、Transvector の空気流を止め、繊維をベルト上に蓄積させて外界条件下で放冷する場合に生じた。これらの遅い冷却条件の、比較的大きい直径の繊維によって与えられる割合に遅い冷却速度と組み合わされたポリマー融点より高い約50℃の加工温度の結果は、直径236μm〜330μmの大きい繊維直径の凝集性ウェブを生成するのに充分な溶融期間をもたらした。このことは、本願で記載の種々のコポリマーとポリマーの配合物で得られた直径15〜50μmの繊維と対照的である。これらの大きい繊維直径で得られた比較的弱い結合は、この例で観察された凝集性繊維間結合が、溶融状態の延長に由来するものであり、本願の別な例で報告した優れた繊維間結合を形成すると考えられる無秩序アモルファス状態での繊維接触によるものではないことを示唆すると考えられる。
【0196】
−例18.ポリ-p- ジオキサノンとPGAホモポリマーの60重量%と40重量%の配合物−
上記の例15で記載した方法と235℃に予備加熱したブラベンダープレップミキサーを用い、100gのPGAホモポリマー(固有粘度1.59dl/g、バーミンガムポリマー社、ロット番号D97069)と150gのポリ(p-ジオキサノン)ホモポリマー(固有粘度2.31dl/g、Boehringer Ingelheim社、ロット番号76013)を、ミキサーのトルクが定常になる時点より長く16.5分混合することにより、60重量%のポリ(p-ジオキサノン)ホモポリマーと40重量%のポリ(グリコリド)を調製した。次いで、ポリマーを取り出し、凝固させ、次の分析と加工の前に、4mmのスクリーンを通して機械的に顆粒にした。
得られた配合物の顆粒のDSC評価はT の検出を示し、結果を下記にまとめて示す。
【0197】
【表17】

【0198】
調製した配合物は、193℃のダイパック温度を、前記の例1に記載と同様な一般的押出条件を用い、ウェブを作成するのに使用した。
配合したポリマーから作成可能な自己凝集性ウェブは、例1に記載した仕方で評価して、0.63dl/gのIVを有した。例2に記載したパラメーターを用いたこのウェブのDSCは、下記の熱特性を示した。
【0199】
【表18】

【0200】
各ホモポリマーを反映する温度での結晶性吸熱溶融ピークの観察された存在は、得られた自己凝集性ウェブの中に2つの別個な相分離した結晶相の証拠を与える。
【0201】
−例19.不織ウェブのラップ剪断評価−
ラップ剪断試験は、「ASTM Method D3164-92A, Standard Test Method for Strength Properties of Adhesively Bonded Plastic Lap-Shear Sandwich Joints in Shear by Tensile Loading」に記載の一般的方法を用い、押出ベースのウェブサンプルプロセスからサンプルした一連の不織ウェブサンプルについて、「INDA, Association of the Non-woven Fabrics Industry (Cary, North Carolina, USA) 」の編集による「Non-woven Fabrics Sampler (1992)」を第3版を参考にして行った。また、同じ試験法を用い、スチーム滅菌パッケージ用の多孔質蓋として利用可能なデュポン社のTyvek(商標)1073Bスパホンドオレフィンウェブ(米国のミシガン州グランドラピッズにあるオリバーフプダクツ社より各種の寸法で入手可能)を評価した。さらに、W.L. Gore & Associates社(フラグスタッフ、アリゾナ州、米国)から入手可能なインプラント用生体吸収性不織製品Resolut(商標)再生材料を評価した。
【0202】
インプラント用生体吸収性Resolut(商標)不織材料で利用可能な小サンプルサイズ内でウェブ凝集を与えるため、約12.5mm(0.5インチ)×12.5mm(0.5インチ)のサイズの試料を受け入れるように、ASTM試験寸法を選択して改変した。各試料を二重面の屋内/屋外ガラス繊維強化カーペットテープ(米国オハイオ州のアボンにあるマンコ社より入手可能な品名#10−2)の大きめの断片の接着剤側に装着し、次いでこれをハサミを用いて正確にトリミングし、装着試料の平面境界の接着剤側の露出を最少限にした。各ウェブ試料の反対側を、同様なテープ断片の接着剤側に取付け、次いでこれもウェブサンプルの境界までトリミングした。取り外し可能なテープ裏地を、接着剤/ウェブ/接着剤ラミネートの1つの面から取り外し、露出した接着剤表面を利用して約幅1.75cm×長さ15cmの木製舌圧子に取り付けた。試料を1つの端から約2cmの箇所で舌圧子の幅の中央に配置した後、充分な指圧を加えた。次いで、残りの裏地を除去し、ウェブ構造体とのみ結合する重なり領域の引張剪断負荷を与えるため、第1舌圧子から面内の180°の向きで、別な木製舌圧子の表面上の同様な位置で接着剤表面を取り付けた。
【0203】
2つの接着剤表面の直接接触がウェブ試料の面で生じないように注意しながら、充分な弾性又は密度を有するウェブを評価した。一般に、0.1mm(0.004インチ)以下の厚さと0.2g/cm を下回る体積密度を有するサンプルは、相対する表面付近、繊維間距離の割合に大きいサイズ、及び接着剤/接着剤接触の関連する危険性のため、評価しなかった。縁のサンプルにおいて、試験サンプル内の凝集を損なわせるのに必要な指圧のみを加え、それにより、接着剤層の接触の恐れを最少限にした。
【0204】
殆どの試験サンプルについてウェブ試料内で凝集を壊すのに、特別な接着剤調製上の注意は必要ではなかった。ここで、ウェブ又は木製表面との接着破壊の高い可能性を引き起こす有意に高いウェブ凝集強度を有する本発明の比較的高強度のサンプルは、ウェブ試料内の凝集破壊モードを引き起こすために当業者に公知の付加的な接着表面調製を必要とした。このような調製は、ウェブ自身の軽度な磨耗の使用、木の接着表面の磨耗、及び結合材料に圧力を加えることを伴うことがあった。全ての許容された試験結果において、このような調製は、ウェブ試料内に確かな凝集破壊を引き起こすのに必要なときに用いた。ウェブ又は舌圧子界面で接着破壊を引き起こした結果は、接着剤自身の境界内で生じることが観察された凝集破壊とともに、価値のないものとした。
250mm/分の歪み速度における上記の試料の引張強度の結果を、各サンプルの簡単な説明とともに下記の表に示した。
【0205】
【表19】

【0206】
即ち、本発明の物品は、付加的な接着バインダーや添加剤、又は押出後の溶融加工を必要とせずに、ラップ剪断サンドイッチ接合で引張負荷を与えたとき(前述のように試験)、0.8MPaを上回る凝集剪断強度を有する連続フィラメントの不織ウェブである。また、1.0、1.2、1.4MPaを上回る剪断強度値を有する形態で提供することもできる。また、本物品は、0.6MPaを上回る剪断強度を有する生体吸収性の形態で(同様に、付加的な接着バインダーや添加剤、又は押出後の溶融加工を必要としない)、さらにこの値を超えた生体吸収性ではない上記物品として、提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融を介して作成した連続フィラメントが入り混じって形成した多孔質ウェブを含む物品であって、
そのフィラメントは、多数の接触箇所で互いに凝集し、
そのウェブは、実質的にアモルファスの無秩序状態にあり、
そのフィラメントは、少なくとも1種のアモルファスポリマー成分と共有結合した又はそのポリマーと配合された少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分を含む、
多孔質ウェブを含む物品。
【請求項2】
少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分が、少なくとも1種のアモルファスポリマー成分と共有結合した請求項1に記載の物品。
【請求項3】
その成分がブロックコポリマーを含む請求項2に記載の物品。
【請求項4】
少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分がポリ(グリコリド)であり、少なくとも1種のアモルファスポリマー成分がポリ(トリメチレンカーボネート)である請求項3に記載の物品。
【請求項5】
少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分が少なくとも1種のアモルファスポリマー成分と配合された請求項1に記載の物品。
【請求項6】
少なくとも1種の成分がブロックコポリマーである請求項5に記載の物品。
【請求項7】
インプラント用物品である請求項1に記載の物品。
【請求項8】
誘導された組織再生のために配置された請求項7に記載の物品。
【請求項9】
少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分が80℃を上回る融点を有する請求項1に記載の物品。
【請求項10】
ウェブが120g/m を上回る密度を有する請求項1に記載の物品。
【請求項11】
ウェブが生体吸収性である請求項1に記載の物品。
【請求項12】
ウェブが単一の生体吸収時間を有する請求項11に記載の物品。
【請求項13】
ウェブが付形された形状である請求項1に記載の物品。
【請求項14】
その物品が少なくとも1種の生体活性剤をウェブフィラメントとともに含む請求項1に記載の物品。
【請求項15】
その少なくとも1種の生体活性剤が、骨誘導性物質、骨誘発性物質、成長因子、走化性因子、モルフォゲン、調合薬剤、プロテイン、ペプチド、及び自然発生的、同種異系、外因性、又は組換えに由来する生体活性分子からなる群より選択された請求項14に記載の物品。
【請求項16】
その少なくとも1種の生体活性剤が、変態成長因子ベータ、骨形態プロテイン、骨形成プロテイン、骨発生プロテイン、抗生物質、抗菌物質、管内皮成長因子、基礎線維芽細胞成長因子、小板誘導成長因子、インシュリン様成長因子、インシュリン、及び免疫グロブリンG型抗体からなる群より選択された請求項14に記載の物品。
【請求項17】
その少なくとも1種の生体活性剤が抗生物質を含む請求項14に記載の物品。
【請求項18】
その少なくとも1種の生体活性剤が抗菌物質を含む請求項14に記載の物品。
【請求項19】
連続フィラメントの不織ウェブを含んでなる物品であって、充分に秩序のある結晶化されたウェブが、付加的な接着バインダー、添加剤、又は押出後の溶融加工をする必要なしに、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、0.8MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項1に記載の物品。
【請求項20】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.0MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項19に記載の物品。
【請求項21】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.2MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項19に記載の物品。
【請求項22】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.4MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項19に記載の物品。
【請求項23】
a)請求項1に記載の物品を所望の成形体にし、
b)その成形体を哺乳類の中に移植し、そして
c)その移植した成形体を硬化させる、
各工程を含む方法。
【請求項24】
a)請求項1に記載の物品を所望の成形体にし、
b)その成形体を硬化させ、そして
c)その硬化した成形体を哺乳類の中に移植する、
各工程を含む方法。
【請求項25】
溶融を介して作成した連続フィラメントが入り混じって形成した多孔質ウェブを含む物品であって、
そのフィラメントは、多数の接触箇所で互いに凝集し、
そのフィラメントは、少なくとも1種のアモルファスポリマー成分と共有結合した又はそのポリマーと配合された少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分を含み、
そのフィラメントは、結晶状態にあるとき、部分的から完全なポリマー成分相不混和性を有する、
多孔質ウェブを含む物品。
【請求項26】
少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分が、少なくとも1種のアモルファスポリマー成分と共有結合した請求項25に記載の物品。
【請求項27】
その成分がブロックコポリマーを含む請求項26に記載の物品。
【請求項28】
少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分が少なくとも1種のアモルファスポリマー成分と配合された請求項25に記載の物品。
【請求項29】
少なくとも1種の成分がブロックコポリマーである請求項28に記載の物品。
【請求項30】
インプラント用物品である請求項25に記載の物品。
【請求項31】
誘導された組織再生のために配置された請求項30に記載の物品。
【請求項32】
少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分が80℃を上回る融点を有する請求項25に記載の物品。
【請求項33】
ウェブが120g/m を上回る密度を有する請求項25に記載の物品。
【請求項34】
ウェブが生体吸収性である請求項25に記載の物品。
【請求項35】
ウェブが単一の生体吸収時間を有する請求項34に記載の物品。
【請求項36】
ウェブが付形された形状である請求項25に記載の物品。
【請求項37】
その物品が少なくとも1種の生体活性剤をウェブフィラメントとともに含む請求項25に記載の物品。
【請求項38】
その少なくとも1種の生体活性剤が、骨誘導性物質、骨誘発性物質、成長因子、走化性因子、モルフォゲン、調合薬剤、プロテイン、ペプチド、及び自然発生的、同種異系、外因性、又は組換えに由来する生体活性分子からなる群より選択された請求項37に記載の物品。
【請求項39】
その少なくとも1種の生体活性剤が、変態成長因子ベータ、骨形態プロテイン、骨形成プロテイン、骨発生プロテイン、抗生物質、抗菌物質、管内皮成長因子、基礎線維芽細胞成長因子、小板誘導成長因子、インシュリン様成長因子、インシュリン、及び免疫グロブリンG型抗体からなる群より選択された請求項37に記載の物品。
【請求項40】
その少なくとも1種の生体活性剤が抗生物質を含む請求項37に記載の物品。
【請求項41】
その少なくとも1種の生体活性剤が抗菌物質を含む請求項37に記載の物品。
【請求項42】
連続フィラメントの不織ウェブを含んでなる物品であって、充分に秩序のある結晶化されたウェブが、付加的な接着バインダー、添加剤、又は押出後の溶融加工をする必要なしに、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、0.8MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項25に記載の物品。
【請求項43】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.0MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項42に記載の物品。
【請求項44】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.2MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項42に記載の物品。
【請求項45】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.4MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項42に記載の物品。
【請求項46】
溶融を介して作成した連続フィラメントが入り混じって形成した多孔質ウェブを含む物品であって、
そのフィラメントは、多数の接触箇所で互いに凝集し、
そのウェブは実質的にアモルファスの無秩序状態にあり、
そのフィラメントは、少なくとも1種の付加的な半結晶性ポリマー成分と共有結合した又はそのポリマーと配合された第1の半結晶性ポリマー成分を含む、
多孔質ウェブを含む物品。
【請求項47】
第1の半結晶性ポリマー成分が、少なくとも1種の付加的な半結晶性成分と共有結合した請求項46に記載の物品。
【請求項48】
その成分がブロックコポリマーを含む請求項47に記載の物品。
【請求項49】
第1の半結晶性ポリマー成分が少なくとも1種の付加的な半結晶性成分と配合された請求項46に記載の物品。
【請求項50】
少なくとも1種の成分がブロックコポリマーである請求項49に記載の物品。
【請求項51】
インプラント用物品である請求項46に記載の物品。
【請求項52】
誘導された組織再生のために配置された請求項51に記載の物品。
【請求項53】
少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分が80℃を上回る融点を有する請求項46に記載の物品。
【請求項54】
ウェブが120g/m を上回る密度を有する請求項46に記載の物品。
【請求項55】
ウェブが生体吸収性である請求項46に記載の物品。
【請求項56】
ウェブが単一の生体吸収時間を有する請求項55に記載の物品。
【請求項57】
ウェブが付形された形状である請求項46に記載の物品。
【請求項58】
その物品が少なくとも1種の生体活性剤をウェブフィラメントとともに含む請求項46に記載の物品。
【請求項59】
その少なくとも1種の生体活性剤が、骨誘導性物質、骨誘発性物質、成長因子、走化性因子、モルフォゲン、調合薬剤、プロテイン、ペプチド、及び自然発生的、同種異系、外因性、又は組換えに由来する生体活性分子からなる群より選択された請求項58に記載の物品。
【請求項60】
その少なくとも1種の生体活性剤が、変態成長因子ベータ、骨形態プロテイン、骨形成プロテイン、骨発生プロテイン、抗生物質、抗菌物質、管内皮成長因子、基礎線維芽細胞成長因子、小板誘導成長因子、インシュリン様成長因子、インシュリン、及び免疫グロブリンG型抗体からなる群より選択された請求項58に記載の物品。
【請求項61】
その少なくとも1種の生体活性剤が抗生物質を含む請求項58に記載の物品。
【請求項62】
その少なくとも1種の生体活性剤が抗菌物質を含む請求項58に記載の物品。
【請求項63】
連続フィラメントの不織ウェブを含んでなる物品であって、充分に秩序のある結晶化されたウェブが、付加的な接着バインダー、添加剤、又は押出後の溶融加工をする必要なしに、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、0.8MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項46に記載の物品。
【請求項64】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.0MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項63に記載の物品。
【請求項65】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.2MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項63に記載の物品。
【請求項66】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.4MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項63に記載の物品。
【請求項67】
a)請求項46に記載の物品を所望の成形体にし、
b)その成形体を哺乳類の中に移植し、そして
c)その移植した成形体を硬化させる、
各工程を含む方法。
【請求項68】
a)請求項46に記載の物品を所望の成形体にし、
b)その成形体を硬化させ、そして
c)その硬化した成形体を哺乳類の中に移植する、
各工程を含む方法。
【請求項69】
溶融を介して作成した連続フィラメントが入り混じって形成した多孔質ウェブを含む物品であって、
そのフィラメントは、多数の接触箇所で互いに凝集し、
そのフィラメントは、少なくとも1種の付加的な半結晶性ポリマー成分と共有結合した又はそのポリマーと配合された第1の半結晶性ポリマー成分を含み、
そのフィラメントは、結晶状態にあるとき、部分的から完全なポリマー成分相不混和性を有する、
多孔質ウェブを含む物品。
【請求項70】
第1の半結晶性ポリマー成分が、少なくとも1種の付加的な半結晶成分と共有結合した請求項69に記載の物品。
【請求項71】
その成分がブロックコポリマーを含む請求項70に記載の物品。
【請求項72】
第1の半結晶性ポリマー成分が、少なくとも1種の付加的な半結晶成分と配合された請求項69に記載の物品。
【請求項73】
少なくとも1種の成分がブロックコポリマーである請求項72に記載の物品。
【請求項74】
インプラント用物品である請求項69に記載の物品。
【請求項75】
誘導された組織再生のために配置された請求項74に記載の物品。
【請求項76】
少なくとも1種の半結晶性ポリマー成分が80℃を上回る融点を有する請求項69に記載の物品。
【請求項77】
ウェブが120g/m を上回る密度を有する請求項69に記載の物品。
【請求項78】
ウェブが生体吸収性である請求項69に記載の物品。
【請求項79】
ウェブが単一の生体吸収時間を有する請求項78に記載の物品。
【請求項80】
ウェブが付形された形状である請求項69に記載の物品。
【請求項81】
その物品が少なくとも1種の生体活性剤をウェブフィラメントとともに含む請求項69に記載の物品。
【請求項82】
その少なくとも1種の生体活性剤が、骨誘導性物質、骨誘発性物質、成長因子、走化性因子、生体細胞、モルフォゲン、調合薬剤、プロテイン、ペプチド、及び自然発生的、同種異系、外因性、又は組換えに由来する生体活性分子からなる群より選択された請求項81に記載の物品。
【請求項83】
その少なくとも1種の生体活性剤が、変態成長因子ベータ、骨形態プロテイン、骨形成プロテイン、骨発生プロテイン、抗生物質、抗菌物質、管内皮成長因子、基礎線維芽細胞成長因子、小板誘導成長因子、インシュリン様成長因子、インシュリン、及び免疫グロブリンG型抗体からなる群より選択された請求項81に記載の物品。
【請求項84】
その少なくとも1種の生体活性剤が抗生物質を含む請求項81に記載の物品。
【請求項85】
その少なくとも1種の生体活性剤が抗菌物質を含む請求項81に記載の物品。
【請求項86】
連続フィラメントの不織ウェブを含んでなる物品であって、充分に秩序のある結晶化されたウェブが、付加的な接着バインダー、添加剤、又は押出後の溶融加工をする必要なしに、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、0.8MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項69に記載の物品。
【請求項87】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.0MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項86に記載の物品。
【請求項88】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.2MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項86に記載の物品。
【請求項89】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.4MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項86に記載の物品。
【請求項90】
溶融を介して作成した連続フィラメントの不織ウェブを含んでなる物品であって、そのウェブが、付加的な接着バインダー、添加剤、又は押出後の溶融加工をする必要なしに、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、0.8MPaを上回る凝集剪断強度を有する物品。
【請求項91】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.0MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項90に記載の物品。
【請求項92】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.2MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項90に記載の物品。
【請求項93】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.4MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項90に記載の物品。
【請求項94】
溶融を介して作成した連続フィラメントの不織ウェブを含んでなる生体吸収性物品であって、そのウェブが、付加的な接着バインダー、添加剤、又は押出後の溶融加工をする必要なしに、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、0.6MPaを上回る凝集剪断強度を有する生体吸収性物品。
【請求項95】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、0.8MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項94に記載の物品。
【請求項96】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.0MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項95に記載の物品。
【請求項97】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.2MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項94に記載の物品。
【請求項98】
ウェブが、ラップ剪断サンドイッチ接合で剪断負荷を与えたとき、1.4MPaを上回る凝集剪断強度を有する請求項94に記載の物品。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−136181(P2011−136181A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−23100(P2011−23100)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【分割の表示】特願2000−514685(P2000−514685)の分割
【原出願日】平成10年9月29日(1998.9.29)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】