説明

自己分散性顔料分散物およびそれらを含有するインクジェットインク

本開示は、インク中に使用するための自己分散性顔料分散物であって、顔料表面に共有結合した安定化基を有しかつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有する自己分散性顔料分散物を提供する。これらの自己分散性顔料を含有するインクジェットインクも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自己分散性顔料分散物に関し、特にそれらのインクジェットインク中での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料の水性分散物は当技術分野において周知であり、印刷用(特にインクジェット印刷用)のインク;乗り物、建造物、路面標示などのための水性塗料およびその他のコーティング配合物;化粧品;医薬品などの種々の用途で使用されている。典型的には顔料は水性ビヒクルに対して可溶性ではないので、ビヒクル中の顔料の安定な分散物を得るために、ポリマー分散剤または界面活性剤などの分散剤を使用する必要がある場合が多い。
【0003】
しかし、分散剤を使用すると、分散剤を使用しない場合よりも分散物の粘度が増加する。粘度の増加は、一部の使用では特に問題とならないが、他の使用では大きな欠点となる。たとえば、最終製品の性質を改善するためにバインダーが加えられる場合に、分散物の最終用途(たとえば、インクジェットインク)に関する粘度の制限を超える場合がある。したがって、分散物自体の粘度によって、最終製品用の配合物の許容範囲が狭められる。
【0004】
さらに、顔料は典型的には不溶性粒子であるので、長期間静置して保管した場合に沈降する傾向を有する。沈降すると、これらの粒子によって、ノズルの目詰まりが生じ、印刷品質が低下することがある。これらのノズルおよび印刷品質の回復は、プリンタを駆動させるクリーニング手順を使用することによって行うことができる。あるいは、これらの回復には、プリントカートリッジをプリンタから取り外し、真空を使用してプリントカートリッジを再プライミングすることによる人の介入が必要となる場合がある。保管後の印刷品質を回復させるためのこのような保守作業は、不便であり、プリントカートリッジからインクが減少するため運転費が増加する。目詰まりのひどさ、およびその後の印刷品質の回復の容易さは、分散物中の顔料の互いに近くでの充填しやすさと相関があることが分かった。印刷を行っていない期間中、プリンタ中の通常の配置のようにノズルが下方に向かってペンが保管されるので、顔料の充填が容易になるほど、ノズルオリフィスにおいて顔料密度が増加する速度が速くなる。したがって、顔料緻密化速度が速いほど、ノズルオリフィスの目詰まりがひどくなり、印刷品質の回復が困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ペンの中で長期間保管された後で、容易に確実に吐出されるインクジェットインクが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様においては、本開示は、インク、典型的にはインクジェットインク中に使用されるための自己分散性顔料分散物であって、顔料表面に共有結合した安定化基を有しかつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有する自己分散性顔料分散物を提供する。「安定化基」とは、本発明者らは、顔料表面に共有結合して、水を含む水性系中の顔料の分散を補助するアニオン性基を意味している。より典型的には、本発明の顔料は吸油量が少なくとも約160〜約170mL/100gであり、最も典型的には約160〜約165mL/100gである。典型的には、本発明の顔料は酸含有量が約0.98〜約3.0マイクロ当量/m2であり、より典型的には0.98〜約2.0マイクロ当量/m2であり、最も典型的には約0.98〜約1.5マイクロ当量/m2である。安定化基、より典型的にはカルボン酸基が、顔料、より典型的にはカーボンブラック顔料の顔料表面に共有結合した本発明の自己分散性顔料分散物は、顔料をオゾンで酸化させることによって得られる。
【0007】
第2の態様においては、本開示は、水性キャリア媒体と自己分散性顔料分散物とを含むインクであって、自己分散性顔料分散物は、顔料表面に共有結合した安定化基を有しかつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、顔料分散物が約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有するインクを提供する。典型的には、このインクは水性インクジェットインクである。
【0008】
第3の態様においては、本開示は、基材上へのインクジェット印刷方法であって、実行可能な任意の順序で:
(a)デジタルデータ信号に応答するインクジェットプリンタを提供するステップと;
(b)印刷すべき基材をプリンタに装填するステップと;
(c)水性キャリア媒体および自己分散性顔料分散物を含む水性インクジェットインクをプリンタに装填するステップであって、自己分散性顔料分散物が、顔料表面に共有結合した安定化基を有しかつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、顔料分散物が約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有するステップと;
(d)デジタルデータ信号に応答し、水性インクジェットインクを使用して基材上に印刷して、基材上に印刷画像を形成するステップと
を含む方法を提供する。
【0009】
第4の態様においては、本開示は、インクジェットインクを含むプリンタであって、インクジェットインクが水性キャリア媒体および自己分散性顔料分散物を含み、自己分散性顔料分散物が、顔料表面に共有結合した安定化基を有しかつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、顔料分散物が約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有するプリンタを提供する。
【0010】
これらのインクジェットインクは、ペンの中で長期間保管された後で、容易に確実に吐出される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、ペンの中で長期間保管された後でさえもノズル発射の回復が良好となるために低い顔料緻密化速度を有する自己分散性顔料分散物を提供する。当技術分野において一般に理解されており本明細書において使用される用語「自己分散性」は、追加の分散剤が全く存在しなくても顔料が安定な水性分散物を形成するように、顔料粒子の表面に共有結合した安定化基、より典型的にはカルボン酸基を有する顔料を意味する。本発明の自己分散性顔料分散物は、顔料表面に共有結合した安定化基を有しかつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、この顔料分散物は約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有する。「安定化基」とは、本発明者らは、顔料表面に共有結合して、水を含む水性系中の顔料の分散を補助するアニオン性基を意味している。安定化基の一部の例としては、−COOM、−SO3M、−PO32、−SO2NH2が挙げられ、式中、Mは、H、Na、K、Caなどのアルカリ金属、アンモニウム、あるいはモノ−、ジ−、およびトリ−メチル、−エチル、または−メタノールアンモニウムなどの有機アンモニウムである。より典型的には安定化基は、−COOMであり、式中、Mは、H、Na、K、Caなどのアルカリ金属、アンモニウム、あるいはモノ−、ジ−、およびトリ−メチル、−エチル、または−メタノールアンモニウムなどの有機アンモニウムである。最も典型的には、安定化基は−COOMであり、式中、Mはアルカリ金属である。
【0012】
自己分散性顔料分散物
本発明の自己分散性顔料分散物は、水と、酸化表面を有する顔料、典型的にはカーボンブラック顔料と、任意選択により添加剤とを含む。顔料表面を酸化させるために、以下の方法を使用することができる:(a)空気との接触を使用する酸化方法;
(b)酸化窒素またはオゾンとの反応を使用する気相酸化方法;および
(c)硝酸、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、亜塩素酸、過塩素酸、次亜ハロゲン酸塩、過酸化水素、臭素水溶液、またはオゾン水溶液などの酸化剤を使用する液相酸化方法など。表面は、プラズマ処理などによって改質することもできる。
【0013】
一実施形態においては、自己分散性顔料の調製に使用される方法は、水性環境中、典型的には脱イオン水中で顔料をオゾンで酸化しながら、同時に顔料の少なくとも1回の分散混合操作を行うことによる方法である。この方法は米国特許第6,852,156号明細書に記載されている。顔料表面が少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量、および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有することが分かるまで、酸化が行われる。所望の性質を有する顔料を得るために酸化ステップに必要な時間の長さは、使用される装置の種類、および顔料の酸化に使用される方法に依存する。所望の量の酸部分を得るための時間の長さは、ある時間間隔でサンプルを採取し、本明細書に記載の手順によって酸含有量を求めるための滴定を行うことによって決定することができる。この酸化プロセス中、オゾン発生器が、供給タンク中に供給された圧縮酸素または空気からオゾンを発生し、そのオゾンを予備混合タンクに送出する。水および顔料も、水供給源および顔料供給源によって予備混合タンクに送出される。オゾンの前に水が加えられるのであれば、顔料、水、オゾンが予備混合タンク中に導入される順序は特に重要ではない。
【0014】
高速分散機(本明細書においては「HSD」と記載する)によって反応物が予備混合タンク中で撹拌される。予備混合タンクは、オゾン破壊装置を有する大気への排気口を有する。撹拌を促進しプロセス効率を増加させるために、数が少なく大きな気泡ではなく数が多く小さい気泡が発生するようにオゾンが導入されることが一般に好ましい。
【0015】
顔料の物理的性質および組成は、インクジェットインクおよびコーティングの高品質性能を達成するための重要な要因となる。本開示において、使用される顔料の種類は、一次粒度および表面積の性質において特に限定される。インクジェットインク用途の場合、典型的には、一次粒度が30nm未満である顔料が使用される。BET方法によって測定される表面積は、自己分散性顔料を得るための操作条件に大きな影響を与える。顔料表面積が大きいほど、長いサイクル時間が通常は必要となる。
【0016】
自己分散性顔料を形成するための本開示の方法に使用することができる典型的な着色顔料は青色顔料、赤色顔料、緑色顔料、および黄色顔料である。
【0017】
前述したように、実施形態に依存して、水、オゾン、および顔料の混合物に対して少なくとも1回の分散混合を行うことが典型的または必要となる。ほとんどの混合または撹拌の使用では、ポンピング、ならびに液体、液体−固体、または液体−気体の質量流を伴う。混合強度は、エネルギー入力または有効剪断速度によって特徴付けることができる。混合の場合の有効剪断速度は通常50〜200sec-1の範囲であり(James Y.Oldshue,”Fluid Mixing Technology,”p.29,1983)、分散混合または分散の場合で200〜20,000sec-1の範囲である(Temple C.Patton,”Paint Flow and Pigment Dispersion,”p.356,1979)。したがって、本明細書において用語「分散混合」は、少なくとも200sec-1の有効剪断速度が得られる混合操作を示すために使用される。媒体ミル、磨砕機、ハンマーミル、Microfluidizer(登録商標)(Microfluidics Corpより市販される)、ホモジナイザー、ジェットミル、流体ミル、および類似の高エネルギー分散装置などの周知の装置を本開示において好都合に使用することができる。
【0018】
反応物は、ポンプによって予備混合タンクから分散混合装置中に移される。分散混合ステップに使用される装置の種類は、ある程度は、酸化される顔料の種類、および顔料のあらゆる特性に依存する。一般に、着色顔料は、カーボンブラック顔料よりも高エネルギーの混合が必要となる。上記説明は、適切な混合装置が選択されなければプロセスを行えないことを意味するのではなく、選択した装置で十分なエネルギーが得られない場合には2回以上の分散混合ステップが必要となり得ることを意味する。一般に、媒体ミル粉砕、およびMicrofluidizer(登録商標)中などで生じるような少なくとも1000psiの液体圧での液体ジェット相互作用チャンバー中での複数ノズルの通過によって、プロセスがうまく進行し、これらが最も代表的となることが分かった。
【0019】
酸化および分散混合のステップの後、顔料混合物は典型的には精製される。精製手順においては、顔料混合物から塩が除去され(本明細書においては「脱塩」と呼ばれる)、混合物は濾過される。脱塩プロセスは、典型的には限外濾過によって行われる。
【0020】
このプロセス中に使用できる顔料の濃度は、特に重要ではなく、プロセス自体の制限よりも、顔料の種類およびプロセス中に使用される装置の種類によって左右される。しかし、一般的に言えば、顔料の最大量は50重量%を超えるべきではない。5〜20重量%、特に約10重量%の顔料濃度がプロセス効率のためには好ましい。
【0021】
本開示の顔料分散物は、実施例に記載されるように測定して、約8.40E−04mL/秒未満、より典型的には約7.80E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有する。
【0022】
顔料の酸含有量の測定方法:
顔料の酸含有量は、以下の手順によって測定することができる:約0.5000グラムの顔料固形分を含む既知の重量の顔料分散物を60gの脱イオン水で希釈した。水酸化カリウム水溶液を加えてpHを12に調整した。次に、pHセンサーおよびコンピュータプログラムを備えた自動滴定装置(ABU52ユニットおよびTitramaster 85ソフトウェアを有するTIM 860 Autotitrator)を使用して、分析グレードの0.5N塩酸でサンプルを滴定した。コンピュータで得られた2つの変曲点の間で消費された酸のモル量が、顔料分散物サンプル中の酸のモル数に等しい。
【0023】
吸油量測定:
DBP吸油量は、典型的にはASTM D3493に記載されるようにフタル酸ジブチルを使用した給油量である。
【0024】
インクジェットインク
本開示の自己分散性顔料分散物は、インク中、典型的にはインクジェットインク中、より典型的には水性インクジェットインク中への使用に特に適している。したがって、一実施形態においては、本開示はこのようなインクを提供する。典型的には、水性インクジェットインクは、水性キャリア媒体と通常は呼ばれる水性ビヒクルと、着色剤と、種々の添加剤とを含む。添加剤は、所望の性質または効果をインクに付与するために選択され、たとえば、特定のインクジェットプリンタの要求にインクを適合させるため、あるいは、たとえば光安定性、耐スミア性、粘度、表面張力、光学濃度、接着性、または耐クラスト性のバランスを得るために必要となり得る。
【0025】
水性キャリア媒体
水性キャリア媒体は、水、あるいは水と少なくとも1種類の水溶性または水混和性(一括して「水溶性」と呼ぶ)の有機溶媒との混合物である。好適な混合物の選択は、所望の表面張力および粘度、インクの乾燥時間、ならびにインクが印刷される基材の種類などの具体的な用途の要求に依存する。選択することができる代表的な水溶性有機溶媒は米国特許第5,085,698号明細書に開示されている。水と、ジエチレングリコールなどの多価アルコールとの混合物が水性キャリア媒体として典型的である。
【0026】
水と水溶性溶媒との混合物が使用される場合、その水性キャリア媒体は、通常約30%〜約95%の水を含有し、残分(すなわち70〜5%)が水溶性溶媒である。典型的には、水性キャリア媒体は60〜95重量%、最も典型的には85〜95重量%が水である。水性キャリア媒体は、全インク組成物の70〜99.8重量%、最も典型的には90〜99重量%で含まれる。
【0027】
添加剤
本発明のインクは、インクジェットインク中に一般に使用される他の添加剤を含有することができる。たとえば、表面張力を変化させ、印刷媒体中へのインクの浸透を最大化するために界面活性剤を使用することができる。しかし、界面活性剤は、インク中の顔料の安定性に悪影響を与えることがあるので、適切な界面活性剤の選択に注意すべきである。さらに、具体的な界面活性剤の選択は、印刷されるべき媒体基材の種類に大きく依存する。水性インク中、界面活性剤は、インクの全重量を基準として0.01〜5%、好ましくは0.2〜2%の量で存在することができる。
【0028】
Dowicide(登録商標)(Dow Chemical,Midland,MIより市販される)、Nuosept(登録商標)(Huls America,Inc.,Piscataway,NJより市販される)、Omidine(登録商標)(Olin Corp.,Cheshire,CTより市販される)、Nopcocide(登録商標)(Henkel Corp.,Ambler,PAより市販される)、Troysan(登録商標)(Troy Chemical Corp.,Newark,NJより市販される)、および安息香酸ナトリウムなどの殺生物剤を、微生物の増殖を阻害するためにインク組成物中に使用することができる。重金属不純物による悪影響を解消するために、EDTAなどの金属イオン封鎖剤を含めることもできる。インク組成物の種々の性質を改善するために、湿潤剤、粘度調整剤などのその他の周知の添加剤を加えることもできる。
【0029】
自己分散性顔料を使用することの主な利点の1つは、インクが非常に低粘度となり、そのため、印刷画像に所望の性質を付与するため、ならびに安定性および液滴形成などの改善されたインク特性のために、種々の添加剤を加えることが可能なことである。たとえば、特許文献から知られていることは、ある種のポリマーバインダーは、インクジェットインクに加えると、たとえば印刷された文章に事務用蛍光ペンが当たる場合にインクがにじむ傾向を低下させることができ;洗濯中にインクが洗い流される傾向を低下させることができ;事務用透明シートおよびビニル基材などの疎水性表面へのインクの付着性を増加させることができ;印刷されたインクの耐摩耗性を改善するために使用することができることである。たとえば、欧州特許第0 974 607号明細書;米国特許第6,040,358号明細書;欧州特許第0 851 014号明細書;米国特許第5,912,280号明細書、および米国特許第6,005,023号明細書を参照されたい。したがって、最も典型的には、本開示のインクは、このような有用な性質を付与する1種類以上のポリマーバインダーを含有する。
【0030】
インクの調製および性質
本発明のインクは、本開示の自己分散性顔料または顔料分散物と、水性ビヒクルと、任意の追加の着色剤と、任意の添加剤とを互いに混合することによって調製される。従来の顔料が追加の着色剤として使用される場合、顔料と選択された分散剤との分散物を調製する必要がある。分散物の調製は当業者には周知である。
【0031】
これらのインクジェットインクは濃縮形態で製造することが一般に望ましい。濃縮されたインクジェットインクは、後にインクジェット印刷システム中での使用に適切な濃度まで希釈される。この技術によって、より高品質のインクを設備から調製することができる。次に、使用前に、濃縮物は適切な溶媒で所望の濃度まで希釈される。希釈することによって、特定の用途の所望の粘度、色、色相、飽和密度、および印刷領域被覆率(print area coverage)にインクが調整される。
【0032】
吐出速度、液滴の分離長さ、液滴径、および流れ安定性は、インクの表面張力および粘度の影響を大きく受ける。インクジェット印刷システムへの使用に適したインクジェットインクは、約20ダイン/cm〜約70ダイン/cmの範囲内、より好ましくは30ダイン/cm〜約70ダイン/cmの範囲内の表面張力を有するべきである。許容される粘度は20cP以下であり、好ましくは約1.0cP〜約10.0cPの範囲内である。本発明のインクは、広範囲の吐出条件、すなわち、サーマルインクジェット印刷装置の場合の駆動電圧およびパルス幅、ドロップオンデマンド型装置または連続型装置のいずれかの場合のピエゾ素子の駆動周波数、ならびにノズルの形状およびサイズに適合した物理的性質を有する。本発明のインクおよびインクセットは、連続型、圧電ドロップオンデマンド型、およびサーマルまたはバブルジェットドロップオンデマンド型などの種々のインクジェットプリンタに使用することができる。本開示のインクは、長期間の保存安定性に優れており、インクジェット装置中で目詰まりが生じない。インクジェットプリンタの通常の配置では、ノズルが最も低い位置にあるようにペンが保管される。したがって、インクが充填されたインクジェットカートリッジが長期間プリンタ中で保管されても、本開示に記載の顔料粒子は沈降しない。したがって、これらのカートリッジのノズルは目詰まりが生じず、ペンのプライミングまたは保守などの労力をほとんど費やすことなく容易に発射を再開することができる。
【0033】
本開示のインクは、ピエゾプリントヘッドまたはサーマルプリントヘッドが取り付けられたプリンタなどの任意の好適なインクジェットプリンタを使用して印刷することができる。サーマルインクジェットプリントヘッドの一部の例は、Hewlett Packard Deskjet(登録商標)、Officejet(登録商標)、Photosmart(登録商標)およびDesignjet(登録商標)およびCM8060(登録商標)プリンタ、Lexmark All−in−Oneプリンタ、およびCanon PIXMA(登録商標)プリンタである。ピエゾプリントヘッドの一部の例は、Brother MFC3360C(登録商標)、およびEpson Stylus C120(登録商標)である。一部の好適なプリントヘッドが米国特許第4,490,728号明細書、および米国特許第6.648.463号明細書に開示されている。基材は、通常の電子写真複写紙などの普通紙、および写真品質インクジェット紙などの処理された紙などの任意の好適な基材であってよい。本開示は、普通紙上の印刷に特に好都合である。
【0034】
紙、布、フィルムなどの画像材料上へのインクの定着は、迅速で正確に行うことができる。印刷されたインク画像は、明瞭な色調、高濃度、優れた耐水性、および耐光性を有する。
【実施例】
【0035】
限定するものではないが以下の実施例によってこれより本開示をさらに説明するが、特に明記しない限り、部数およびパーセント値は重量を基準としている。特に明記しない限り、PCI−WEDECO製造のオゾン発生器モデルGL−1を使用し、空気または工業グレードの酸素のいずれかを供給ガスとして使用して、オゾンを発生させた。粒度は、Honeywell製造のNanotrac(登録商標)150モデル分析器を使用して測定した。酸含有量および吸油量は前述のように測定される。
【0036】
顔料分散物1
DBP吸油量が154ml/100グラムであるEvonik Degussa Corporation(Chester,PA)のFW−200顔料720グラムを、5280グラムの脱イオン水が入ったHSD容器中に投入した。オゾン処理中のHSD速度を1000rpmに設定した。オゾンは、6.8〜7.5重量%の濃度に維持し、HSD容器の底部に4リットル/分の流量で供給した。5時間の処理後にpHを7まで増加させるために、水酸化リチウムを混合物に加えた。pHを調整した後、次に混合物をMicrofluidizer(登録商標)M110Fに6時間再循環させた。pHを6.5〜7.5の間に維持するために、定期的に水酸化リチウムを混合物に加えた。Microfluidizationプロセスの完了後、700rpmにおけるHSD容器中でのオゾン処理を2時間続けた。混合物を限外濾過によってさらに精製した。この結果得られた顔料は4.90マイクロ当量/平方メートルの表面酸含有量を有した。
【0037】
顔料分散物2
DBP吸油量が67ml/100グラムであるColumbia Chemicals(Marietta,Georgia)のRaven(登録商標)2500 Ultra顔料508グラムを、3725グラムの脱イオン水が入ったHSD容器中に投入した。オゾン処理中のHSD速度を750rpmに設定した。オゾンを6〜6.5重量%の濃度に維持し、HSD容器の底部に4リットル/分の流量で供給した。5時間の処理後にpHを7まで増加させるために、水酸化リチウムを混合物に加えた。pHを調整した後、次に混合物をMicrofluidizer(登録商標)M110Fに4時間再循環させた。pHを6.5〜7.5の間に維持するために、定期的に水酸化リチウムを混合物に加えた。Microfluidizationプロセスの完了後、700rpmにおけるHSD容器中でのオゾン処理を1時間続けた。混合物を限外濾過によってさらに精製した。この結果得られた顔料は1.26マイクロ当量/平方メートルの表面酸含有量を有した。
【0038】
顔料分散物3
DBP吸油量が150ml/100グラムであるEvonik Degussa Corporation(Chester,PA)のNipex(登録商標)160IQ顔料750グラムを、4250グラムの脱イオン水が入ったHSD容器中に投入した。オゾン処理中のHSD速度を1000rpmに設定した。オゾンを6〜6.5重量%の濃度に維持し、HSD容器の底部に4リットル/分の流量で供給した。5時間の処理後にpHを7まで増加させるために、水酸化カリウムを混合物に加えた。pHを調整した後、次に混合物をMicrofluidizer(登録商標)M110Fに8時間再循環させた。pHを6.5〜7.5の間に維持するために、定期的に水酸化カリウムを混合物に加えた。Microfluidizationプロセスの完了後、700rpmにおけるHSD容器中でのオゾン処理を1時間続けた。混合物を限外濾過によってさらに精製した。この結果得られた顔料は0.75マイクロ当量/平方メートルの表面酸含有量を有した。
【0039】
顔料分散物4
DBP吸油量が150ml/100グラムであるEvonik Degussa Corporation(Chester,PA)のNipex(登録商標)160IQ顔料750グラムを、4250グラムの脱イオン水が入ったHSD容器中に投入した。オゾン処理中のHSD速度を1000rpmに設定した。オゾンを6.〜6.5重量%の濃度に維持し、HSD容器の底部に4リットル/分の流量で供給した。5時間の処理後にpHを7まで増加させるために、水酸化リチウムを混合物に加えた。pHを調整した後、次に、混合物をMicrofluidizer(登録商標)M110Fに4時間再循環させた。pHを6.5〜7.5の間に維持するために、定期的に水酸化リチウムを混合物に加えた。Microfluidizationプロセスの完了後、700rpmにおけるHSD容器中でのオゾン処理を1時間続けた。混合物を限外濾過によってさらに精製した。この結果得られた顔料は0.87マイクロ当量/平方メートルの表面酸含有量を有した。
【0040】
顔料分散物5
DBP吸油量が160ml/100グラムであるEvonik Degussa Corporation(Chester,PA)のNipex(登録商標)180IQ顔料600グラムを、4400グラムの脱イオン水が入ったHSD容器中に投入した。オゾン処理中のHSD速度を1000rpmに設定した。オゾンを6.〜6.5重量%の濃度に維持し、HSD容器の底部に4リットル/分の流量で供給した。5時間の処理後にpHを7まで増加させるために、水酸化カリウムを混合物に加えた。pHを調整した後、次に混合物をMicrofluidizer(登録商標)M110Fに2時間再循環させた。pHを6.5〜7.5の間に維持するために、定期的に水酸化カリウムを混合物に加えた。Microfluidizationプロセスの完了後、700rpmにおけるHSD容器中でのオゾン処理を1時間続けた。混合物を限外濾過によってさらに精製した。この結果得られた顔料は0.82マイクロ当量/平方メートルの表面酸含有量を有した。
【0041】
顔料分散物6
DBP吸油量が160ml/100グラムであるEvonik Degussa Corporation(Chester,PA)のNipex(登録商標)180IQ顔料600グラムを、4400グラムの脱イオン水が入ったHSD容器中に投入した。オゾン処理中のHSD速度を1000rpmに設定した。オゾンを6〜6.5重量%の濃度に維持し、HSD容器の底部に4リットル/分の流量で供給した。5時間の処理後にpHを7まで増加させるために、水酸化カリウムを混合物に加えた。pHを調整した後、次に混合物をMicrofluidizer(登録商標)M110Fに6時間再循環させた。pHを6.5〜7.5の間に維持するために、定期的に水酸化カリウムを混合物に加えた。Microfluidizationプロセスの完了後、700rpmにおけるHSD容器中でのオゾン処理を1時間続けた。混合物を限外濾過によってさらに精製した。この結果得られた顔料は0.95マイクロ当量/平方メートルの表面酸含有量を有した。
【0042】
顔料分散物7
DBP吸油量が160ml/100グラムであるEvonik Degussa Corporation(Chester,PA)のNipex(登録商標)180IQ顔料600グラムを、4400グラムの脱イオン水が入ったHSD容器中に投入した。オゾン処理中のHSD速度を1000rpmに設定した。オゾンを6〜6.5重量%の濃度に維持し、HSD容器の底部に4リットル/分の流量で供給した。5時間の処理後にpHを7まで増加させるために、水酸化カリウムを混合物に加えた。pHを調整した後、次に混合物をMicrofluidizer(登録商標)M110Fに8時間再循環させた。pHを6.5〜7.5の間に維持するために、定期的に水酸化カリウムを混合物に加えた。Microfluidizationプロセスの完了後、700rpmにおけるHSD容器中でのオゾン処理を1時間続けた。混合物を限外濾過によってさらに精製した。この結果得られた顔料は1.05マイクロ当量/平方メートルの表面酸含有量を有した。
【0043】
顔料分散物8
DBP吸油量が160ml/100グラムであるEvonik Degussa Corporation(Chester,PA)のNipex(登録商標)180IQ顔料600グラムを、4400グラムの脱イオン水が入ったHSD容器中に投入した。オゾン処理中のHSD速度を1000rpmに設定した。オゾンを6〜6.5重量%の濃度に維持し、HSD容器の底部に4リットル/分の流量で供給した。5時間の処理後にpHを7まで増加させるために、水酸化カリウムを混合物に加えた。pHを調整した後、次に混合物をMicrofluidizer(登録商標)M110Fに12時間再循環させた。pHを6.5〜7.5の間に維持するために、定期的に水酸化カリウムを混合物に加えた。Microfluidizationプロセスの完了後、700rpmにおけるHSD容器中でのオゾン処理を1時間続けた。混合物を限外濾過によってさらに精製した。この結果得られた顔料は1.26マイクロ当量/平方メートルの表面酸含有量を有した。
【0044】
顔料分散物9
DBP吸油量が160ml/100グラムであるEvonik Degussa Corporation(Chester,PA)のNipex(登録商標)180IQ顔料720グラムを、5280グラムの脱イオン水が入ったHSD容器中に投入した。オゾン処理中のHSD速度を1000rpmに設定した。オゾンを6〜6.5重量%の濃度に維持し、HSD容器の底部に4リットル/分の流量で供給した。5時間の処理後にpHを7まで増加させるために、水酸化リチウムを混合物に加えた。pHを調整した後、次に混合物をMicrofluidizer(登録商標)M110Fに8時間再循環させた。pHを6.5〜7.5の間に維持するために、定期的に水酸化リチウムを混合物に加えた。Microfluidizationプロセスの完了後、700rpmにおけるHSD容器中でのオゾン処理を1時間続けた。混合物を限外濾過によってさらに精製した。この結果得られた顔料は1.42マイクロ当量/平方メートルの表面酸含有量を有した。
【0045】
【表1】

【0046】
実施例1
分散物7を脱イオン水で希釈して、8%の顔料固形分と残分の水とを含有するサンプルを得た。
【0047】
実施例2
分散物8を脱イオン水で希釈して、8%の顔料固形分と残分の水とを含有するサンプルを得た。
【0048】
実施例3
分散物9を脱イオン水で希釈して、8%の顔料固形分と残分の水とを含有するサンプルを得た。
【0049】
比較例1
分散物1を脱イオン水で希釈して、8%の顔料固形分と残分の水とを含有するサンプルを得た。
【0050】
比較例2
分散物2を脱イオン水で希釈して、8%の顔料固形分と残分の水とを含有するサンプルを得た。
【0051】
比較例3
分散物3を脱イオン水で希釈して、8%の顔料固形分と残分の水とを含有するサンプルを得た。
【0052】
比較例4
分散物4を脱イオン水で希釈して、8%の顔料固形分と残分の水とを含有するサンプルを得た。
【0053】
比較例5
分散物5を脱イオン水で希釈して、8%の顔料固形分と残分の水とを含有するサンプルを得た。
【0054】
比較例6
分散物6を脱イオン水で希釈して、8%の顔料固形分と残分の水とを含有するサンプルを得た。
【0055】
顔料分散物の顔料緻密化速度の測定手順
正確に等しく8%の顔料を含有し残分がほぼ水であるサンプル溶液を試験用に調製した。各サンプルの体積10mLを、Miniplus Static Concentrator,Part No.9061(Millipore Corporation,Billerica,MA製)中に入れた。時間がたつと、膜を通過して水が除去されるため、サンプルの体積が減少した。膜を通過して失われた顔料の量は最小限である。顔料濃度は、重量測定またはUV−Vis吸収によってさらに確認することができる。減少した体積のほとんどは、サンプルの水および共溶媒である。したがって、パーセント顔料濃度は、元の顔料重量を残留した体積で割ることによって求めることができる。体積が半分に減少することは、顔料濃度が2倍に増加することに等しい。液体の体積が半分の5mLの標線まで減少するのに要する時間を記録した。緻密化速度は、体積減少(5mL)を時間で割ることによって計算した。
【0056】
実施例1〜3および比較例1〜6で調製したサンプルの顔料緻密化速度を測定し、結果を表2中に示している。
【0057】
【表2】

【0058】
実施例インクA
62.5部の実施例1を、6部の2−ピロリドン(pyrollidone)、5部のLiponic(登録商標)−EG、7部の1,5−ペンタンジオール、および合計100部となるまでの水と混合することによってインクを製造した。
【0059】
比較例インクB
62.5部の比較例4を、6部の2−ピロリドン(pyrollidone)、5部のLiponic(登録商標)−EG、7部の1,5−ペンタンジオール、および合計100部となるまでの水と混合することによってインクを製造した。
【0060】
比較例インクC
62.5部の比較例5を、6部の2−ピロリドン(pyrollidone)、5部のLiponic(登録商標)−EG、7部の1,5−ペンタンジオール、および合計100部となるまでの水と混合することによってインクを製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク中に使用するための自己分散性顔料分散物であって、顔料表面に共有結合した安定化基を有し、かつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有する、自己分散性顔料分散物。
【請求項2】
前記安定化基が、−COOM、−SO3M、−PO32、および−SO2NH2からなる群から選択され、式中、MがH、アルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウムである、請求項1に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項3】
前記安定化基が−COOMであり、式中、MがH、アルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウムである、請求項2に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項4】
前記安定化基が−COOMであり、式中、Mがアルカリ金属である、請求項3に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項5】
前記顔料が少なくとも約160〜約170mL/100gの吸油量を有する、請求項1に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項6】
前記顔料が少なくとも約160〜約165mL/100gの吸油量を有する、請求項5に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項7】
前記顔料が約0.98〜約3.0マイクロ当量/m2の酸含有量を有する、請求項1に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項8】
前記顔料が約0.98〜約2.0マイクロ当量/m2の酸含有量を有する、請求項7に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項9】
前記顔料が約0.98〜約1.5マイクロ当量/m2の酸含有量を有する、請求項8に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項10】
前記顔料の前記顔料表面に共有結合した前記安定化基が、前記顔料を酸化することによって得られる、請求項1に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項11】
前記顔料表面がオゾンで酸化される、請求項10に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項12】
前記顔料表面が、同時に前記顔料を少なくとも1回の分散混合操作にかけながら、水性環境中でオゾンで酸化される、請求項10に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項13】
前記顔料がカーボンブラック顔料である、請求項1に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項14】
7.80E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有する、請求項1に記載の自己分散性顔料分散物。
【請求項15】
水性キャリア媒体、自己分散性顔料分散物を含むインクであって、前記自己分散性顔料分散物が、前記顔料表面に共有結合した安定化基を有し、かつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、前記顔料分散物が約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有する、インク。
【請求項16】
水性インクジェットインクである、請求項15に記載のインク。
【請求項17】
前記安定化基が、−COOM、−SO3M、−PO32、および−SO2NH2からなる群から選択され、式中、MがH、アルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウムである、請求項16に記載のインクジェットインク。
【請求項18】
前記安定化基が−COOMであり、式中、MがH、アルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウムである、請求項17に記載のインクジェットインク。
【請求項19】
前記安定化基が−COOMであり、式中、Mがアルカリ金属である、請求項18に記載のインクジェットインク。
【請求項20】
前記水性キャリア媒体が、水、または水と少なくとも1種類の水溶性有機溶媒との混合物を含む、請求項16に記載のインクジェットインク。
【請求項21】
前記水溶性有機溶媒が多価アルコールである、請求項20に記載のインクジェットインク。
【請求項22】
前記顔料が少なくとも約160〜約170mL/100gの吸油量を有する、請求項16に記載のインクジェットインク。
【請求項23】
前記顔料が少なくとも約160〜約165mL/100gの吸油量を有する、請求項22に記載のインクジェットインク。
【請求項24】
前記顔料が約0.98〜約3.0マイクロ当量/m2の酸含有量を有する、請求項16に記載のインクジェットインク。
【請求項25】
前記顔料が約0.98〜約1.5マイクロ当量/m2の酸含有量を有する、請求項24に記載のインクジェットインク。
【請求項26】
前記顔料の前記顔料表面に共有結合した前記安定化基が、前記顔料を酸化することによって得られる、請求項16に記載のインクジェットインク。
【請求項27】
前記顔料表面がオゾンで酸化される、請求項26に記載のインクジェットインク。
【請求項28】
前記顔料表面が、同時に前記顔料を少なくとも1回の分散混合操作にかけながら、水性環境中でオゾンで酸化される、請求項27に記載のインクジェットインク。
【請求項29】
前記顔料がカーボンブラック顔料である、請求項16に記載のインクジェットインク。
【請求項30】
前記顔料分散物が約7.80E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有する、請求項16に記載のインクジェットインク。
【請求項31】
界面活性剤、湿潤剤、殺生物剤、金属イオン封鎖剤、粘度調整剤、およびポリマーバインダーからなる群から選択される少なくとも1種類の添加剤をさらに含む、請求項16に記載のインクジェットインク。
【請求項32】
基材上へのインクジェット印刷方法であって、実行可能な任意の順序で:
(a)デジタルデータ信号に応答するインクジェットプリンタを提供するステップと;
(b)印刷されるべき基材を前記プリンタに装填するステップと;
(c)水性キャリア媒体と自己分散性顔料分散物とを含む水性インクジェットインクを前記プリンタに装填するステップであって、前記自己分散性顔料分散物が、前記顔料表面に共有結合した安定化基を有し、かつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、前記顔料分散物が約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有するステップと;
(d)前記デジタルデータ信号に応答し、前記水性インクジェットインクを使用して前記基材上に印刷して、前記基材上に印刷画像を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項33】
前記基材が普通紙である、請求項32に記載のインクジェット印刷方法。
【請求項34】
前記顔料がカーボンブラック顔料である、請求項32に記載のインクジット印刷方法。
【請求項35】
インクジェットインクを含むプリンタであって、前記インクジェットインクが水性キャリア媒体と自己分散性顔料分散物とを含み、前記自己分散性顔料分散物が、前記顔料表面に共有結合した安定化基を有し、かつ少なくとも約155〜約179mL/100gの油吸着量および少なくとも約0.98マイクロ当量/m2の酸含有量を有する顔料を含み、前記顔料分散物が約8.40E−04mL/秒未満の顔料緻密化速度を有する、プリンタ。
【請求項36】
前記インクジェットインク中の前記自己分散性顔料分散物が、−COOM、−SO3M、−PO32、および−SO2NH2(式中、MはH、アルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウムである)からなる群から選択される安定基を有する顔料を含む、請求項35に記載のプリンタ。
【請求項37】
前記インクジェットインク中の前記自己分散性顔料分散物が、−COOM安定化基(式中、MはH、アルカリ金属、アンモニウム、または有機アンモニウムである)を有する顔料を含む、請求項36に記載のプリンタ。

【公表番号】特表2013−500354(P2013−500354A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521675(P2012−521675)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/041925
【国際公開番号】WO2011/011233
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】