説明

自己組織化生分解性ポリマーソーム

【解決手段】 本発明は、ポリエチレンオキシド及びポリカプロラクトンのブロックコポリマーに関するものであり、前記ポリエチレンオキシドは、約2.0〜約3.8kDaの数平均分子量を有しており、前記ブロックコポリマーは、約11.8〜約8.8重量パーセントの割合のポリエチレンオキシドを有しているものである。本発明はさらに、そのようなコポリマーから製造されるポリマーソーム、及び前記ポリマーソームを製造する方法にも関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年1月23日に出願された米国仮出願第60/761,322号、及び2005年9月28日に出願された米国仮出願第60/721,163号に対して権利を主張するものである。
【0002】
技術分野
本発明は、生分解性ポリマーソームに関するものであり、より詳細には、ポリ(エチレンオキシド)−b−ポリカプロラクトンジブロックコポリマーからなるポリマーソームに関するものである。
【背景技術】
【0003】
両親媒性ブロックコポリマーから形成された50nm〜50μm直径の小胞である、ポリマーソームは、従来の脂質ベース小胞(リポソーム)及びミセルと比較した場合、それらの優れた機械安定性及び独自の化学的特性によって注目されていた。一般的に、Discher,D.E.;Eisenberg,A.Science,2002,297,967−973;Discher,B.M.;Won,Y.Y.;Ege,D.S.;Lee,J.C.M.;Bates,F.S.;Discher,D.E.;Hammer,D.A.Science 1999,284,1143−1146;Lee,J.C.M.;Bermudez,H.;Discher,B.M.;Sheehan,M.A.;Won,Y.Y.;Bates,F.S.;Discher,D.E.Biotechnol.Bioeng.2001,73,135−145,Bermudez,H.;Brannan,A.K.;Hammer,D.A.;Bates,F.S.;Discher,D.E.,Macromolecules 2002,35,8203−8208,and Ghoroghchian,P.P.;Frail,P.R.;Susumu,K.;Blessington,D.;Brannan,A.K.;Bates,F.S.;Chance,B.;Hammer,D.A.;Therien,M.J.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS),2005,102,2922−2927を参照のこと。ポリマー小胞はさらに、水溶性親水性化合物(薬剤、ビタミン、フルオロフォアなど)をそれらの水性空洞の内部に封入するだけでなく、疎水性分子をそれらの厚いラメラ膜の中に封入する能力を有すると証明された。さらに、サイズ、膜の厚さ、及びそれらの合成小胞の安定性は、ブロックコポリマー化学的構造、数平均分子量、親水性から疎水性体積分率、及び様々な調合方法を介するかを選択することによって合理的に調整され得る。従って、ポリマーソームは、医療画像、ドラッグデリバリー及び美容装置におけるそれらの潜在的な適用に役立つ多くの魅力ある特徴を有している。Discher,D.E.;Eisenberg,A.Science,2002,297,967−973,Frail,P.R.;Susumu,K.;Blessington,D.;Brannan,A.K.;Bates,F.S.;Chance,B.;Hammer,D.A.;Therien,M.J.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS),2005,102,2922−2927.及びMeng F.;Engbers,G.H.M.;Feijen J.Journal of Controlled Release,2005,101,187−198.を参照のこと。
【0004】
現在までに、ポリマーソームは、ポリ(エチレンオキシド)−b−ポリブタジエン(PEO−b−PBD)、ポリ(エチレンオキシド)−b−ポリエチルエチレン(PEO−b−PEE)、ポリスチレン−b−ポリ(エチレンオキシド)(PS−b−PEO)、ポリ(エチレンオキシド)−b−ポリ(プロピレンオキシド)−b−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−b−PRO−b−PEO)トリブロックコポリマー、ポリスチレン−b−ポリ(アクリル酸)(PS−b−PAA)、ポリ(2−メチルオキサゾリン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)−b−ポリ(2−メチルオキサゾリン)(PMOXA−b−PDMS−b−PMOXA)などを含む、多くの異なる両親媒性ブロックコポリマーから形成されていた。しかしながら、これらの処方は、ヒトin vivo適用に必要な自己組織化で且つ完全に生分解性であるポリマーソームを産出しない。Feijinらは、生分解可能なポリマーソームは有機共溶媒/水注入/抽出システムを用いることによって、PEO及び脂肪族ポリエステル/ポリカーボネートの両親媒性生分解可能ジブロックコポリマーから調合され得ると報告した。Meng F.;Hiemstra,C.;Engbers,G.H.M.;Feijen J.Macromolecules,2003,36,3004−3006.を参照のこと。自己組織化(すなわちフィルム水和、バルク水和或いは電気形成)に基づいた他のポリマーソーム調合方法と比較して、このシステムの主な欠点は、有機共溶媒が組織化後の水性ポリマーソーム懸濁液から完全に除去されなくてはならないということである。そのような工程に関連する余計な時間と費用に加えて、あらゆる残存有機溶媒はヒト体内で極めて毒性である。
【0005】
容易に組織化し、有機/水共溶媒/抽出システムを使用するシステムの欠点を持たない、完全に生分解可能なポリマーソームに対する本分野のニーズが存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態において、本発明は、ポリエチレンオキシド及びポリカプロラクトンのブロックコポリマーから製造された小胞或いはポリマーソームに関するものである。前記ポリエチレンオキシドは、約2.0〜約3.8kDaの数平均分子量を有するものである。前記ブロックコポリマーは約11〜20重量パーセントの割合のポリエチレンオキシドを有する。いくつかの実施形態において、前記ポリエチレンオキシドの割合は、約12〜19重量パーセントである。他の実施形態において、前記割合は約11.8〜18.8重量パーセントである。
【0007】
いくつかの観点において、本発明は、前述のポリマーソームを調合するための方法に関するものである。特定の好ましい実施形態において、前記ポリマーソームは自己組織化する能力を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
いくつかの実施形態において、本発明は、部分的に或いは完全にポリエチレンオキシド及びポリカプロラクトンのブロックコポリマーで構成された小胞に関するものである。前記ポリエチレンオキシドは、約2.0〜約3.8kDの平均分子量を有するものである。前記ブロックコポリマーは、わずか約11〜約20重量パーセントのポリエチレンオキシドを有するものである。特定の実施形態において、前記ブロックコポリマーは、付加的単量体ユニット或いはブロックを有するものである。これらのブロックは、付加的ポリエチレンオキシド或いはポリカプロラクトンブロックである、若しくは異なる物質である。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記ポリマーソームは、対応するポリエチレンオキシドポリマーブロックとの組み合わせで使用される、疎水性ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコライド(polyglycolide)、或いはポリメチレンカーボネートポリマーブロックを含む。特定の実施形態において、前記ポリマーソームは、オリゴカプロラクトン成分が存在する分離ポリエチレンオキシドブロック及びランダム疎水性ポリマーブロックから成る両親媒性ランダムコポリマー、及び疎水性ポリ乳酸、ポリグリコライド或いはポリメチレンカーボネートオリゴマーに基づいている。
【0010】
両親媒性コポリマーは、フリーラジカル開始、アニオン性重合、ペプチド合成、或いは転移RNAを用いたリボソーム合成によって製造されたポリマーから成る。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記小胞は、わずか約12〜約19重量パーセントのポリエチレンオキシドを有する。他の実施形態において、前記小胞は、わずか約11.8〜18.8重量パーセントのポリエチレンオキシドを有する。
【0012】
本明細書で記載された組成物において、親水性ブロックとしてポリ(エチレングリコール)(PEG)を用いることができることは注意すべきである。PEGは、ポリエチレンオキシド(PEO)と同様な特性を有することが知られている。そのようなものとして、ポリ(エチレングリコール)−ポリカプロラクトンジブロックは、ポリエチレンオキシド−ポリカプロラクトン組成物として同様な方法で機能すべきである。本発明の観点内である付加的な組成物は、2若しくはそれ以上のPEO、ポリプロピレンオキシド(PPO)、及びPEGの混合物である。
【0013】
ポリカプロラクトンの平均分子量は、約9〜約23kDである。いくつかの実施形態において、前記ポリカプロラクトンの平均分子量は、約9.5〜約22.2kDである。Mnは本発明者らの研究ではGPC及びNMRによって決定した。そのような技術は、本分野の当業者には既知の標準法である。例えば、Polymer Handbook,Volumes 1−2,Fourth Edition,J.Brandrup (Editor),Edmund H.Immergut(Editor),Eric A.Grulke,Akihiro Abe,Daniel R.Bloch;ISBN:0−471−47936−5;及びBlock Copolymers:Synthetic Strategies,Physical Properties,and Applications,Nikos Hadjichristidis,Stergios Pispas,George Floudas,ISBN:0−471−39436−X.を参照のこと。
【0014】
1つの好ましい実施形態において、前記ポリエチレンオキシドの分子量は約2kDであり、前記ポリカプロラクトンの分子量は約12kDである。
【0015】
特定の好ましい実施形態において、前記小胞は生体吸収性である。「生体吸収性」という用語は、化学反応によって分解された場合、他の化学種の合成に対する構成ブロックとして生体細胞によって使用され得る、若しくは老廃物として排出され得る置換成分を導く分子を意味する。
【0016】
ポリエチレンオキシドは、前記小胞の表面に生体適合性を与え、血液循環時間を延長させる疎水性ブロックである。ポリカプロラクトン(PCL)は小胞の疎水性膜部分を構成する。PCLは、生理学的条件下(ヒト体内など)でそのエステル結合の加水分解によって分解されるため、薬物送達装置、生体吸収性縫合、接着バリアにおける移植可能な生体物質として、及び組織工学を介した創傷治癒に対する足場として使用するための大きな注目を浴びている。他の生分解性脂肪族ポリエステルと比較して、PCLはいくつかの優れた特性を有しており、これには:1)小薬剤分子に対する高い透過性;2)分解に対する中性pHの維持;3)他のポリマーとの混合形成時の能力;及び4)ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコライド(PGA)、及びポリ乳酸−同時−グリコール酸(PLGA)と比較した場合の、遅浸食動態学によって生じる長期送達に対する適合性が含まれる。本発明者らの処方における疎水性ブロックとしてのPCLの利用は、結果生じるポリマーソームは安全で完全なin vivo分解をするということを確実にする。
【0017】
両親媒性ポリエチレンオキシド−b−ポリカプロラクトンは、スズ(II)オクテート(SnOct)及びモノシアノ−或いはモノメトキシ−ポリ(エチレンオキシド)(PEO、0.75k、1.1k、1.5k、2k、5k、5.5k;Polymer Source、Dorval、カナダ)の存在下で、サイクリックε−カプロラクトン(CL)の開環重合を介して製造され得る。Bogdanov,B.;Vidts,A.;Van Den Bulcke,A.;Verbeeck,R.;Schacht,E.Polymer 1998,39,(8−9),1631−1636.を参照のこと。
【0018】
本発明の組成物は、自己組織化小胞の製造を可能にし、これは、2つの事前FDA−承認ポリマーであるポリエチレンオキシド(PEO)及びポリカプロラクトン(PCL)の完全な両親媒性ジブロックコポリマーから成る。「生体不活性」及び加水分解性構成成分の混合によって形成された分解性ポリマーとは異なり、PEO−b−PCL−ベース小胞は完全な生体吸収性であるべきであり、それらの分解に際して部分的な毒性副産物を残さない。さらに、他の分解可能な(例えば、ペプチド、ポリエステル、或いはポリアンヒドライド−ベース)小胞の公開された報告とは異なり、これら生体吸収性ポリマーソームは、純PEO−b−PCLジブロックコポリマーの自己組織化を通じて自発的に形成されるものである。
【0019】
前記ポリマーソームのサイズ分布は、超音波処理、凍結/解凍抽出、及びTm=60℃以上での押出などの標準技術によって調節され、in vivo適用に有用な、数十ミクロン(共焦点顕微鏡像、図2及び3)〜数百ナノメーターサイズ構造(クリオ−TEM顕微鏡像、図4)の範囲のモノ−分散小胞直径を得ることができる。Moghimi,S.M.;Hunter,A.C.;Murray,J.C.Pharmacol.Rev.2001,53,(2),283−318 and Ghoroghchian,P.P.;Frail,P.R.;Susumu,K.;Blessington,D.;Brannan,A.K.;Bates,F.S.;Chance,B.;Hammer,D.A.;Therien,M.J.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2005,102,(8),2922−2927.を参照のこと。
【0020】
特に好ましいのは、PEO(2k−3.8k)−b−PCL(9.5k−22.2k)ジブロックコポリマー(wt、11.8−18.8%の範囲のfPEO)であり、これは自己分解性へと自己組織化することができる。これらポリマーの分子量分布は、重要ではないように見られる(すなわちPDIは1.2以下は必要でない)。
【0021】
以前知られていた全ての小胞製造、自己組織化、両親媒性ジブロックポリマーは、0.3〜0.4の親水性容量率を有していると考えられていた(Discher,D.E.;Eisenberg,A.Science 2002,297,(5583),967−973 and Bermudez,H.;Brannan,A.K.;Hammer,D.A.;Bates,F.S.;Discher,D.E.Macromolecules 2002,35,(21),8203−8208を参照のこと)一方、注目すべきPEO(2k)−b−PCL(12k)は、有意に低い(0.15以下)算出された率(Brandrup,J.;Immergut,E.H.;Grulke,Z.A.,Polymer Handbook;John Wiley&Sons:New York,1999;Vol.6,p53を参照)を有している。
【0022】
本発明のPEO(2k)−b−PCL(12k)−ベースポリマーソーム及び他のポリマーソームは、リザーバー及び一体化拡散−調節送達装置の両者の要素を組み合わせた独特の生分解性送達小胞を構成する。PEO(2k)−b−PCL(12k)−ベースポリマーソーム大きな膜コアの厚さ(22.5+/−2.3nm)は、単一複合小胞鋳型内に疎水性(隔絶膜)及び親水性(内部水性コア)化合物の両者を取り込むための機会を提供する。これらの生体吸収性ポリマーソームからの放出は、膜を通じた水性コアからの内因性薬剤透過性と同様に、PCLマトリックス浸食に依存するものであろう。最終的に、前記自己組織化小胞構造は、容易で経済的なメゾスコピック(ナノメーター〜マイクロン)コロイド装置の製造を可能にし、それは組織化後に有機共溶媒除去の必要性を除去する一方、大量産生を可能にするものである。
【0023】
前記ブロックコポリマーソームの表面は修飾され得る。いくつかの実施形態において、水溶性ポリエチレンオキシドの末端は、化学修飾に対する位置の特異性、及び表面との物理的相互作用のための置換リガンドの有効性のおかげで、置換に対して最も誘引性のある位置である。たくさんの化学変換は末端アルコール(例えばStreitweiser A,Heathcock CH,Kosower EM.Introduction to Organic Chemistry,New York:Macmillan Publishing Co.(1992)を参照のこと)で開始することも可能である。例えば、アクリロニトリルとのPEO−OHの反応及びその後のプロトン化は、前記末端基を一級アミンへと変換する。反応条件は、全てのポリマー化学に対して一般的に適合可能であり、いくつかのそのような反応は、以下に記載したブロックコポリマーへの適用に最適化されるであろう。広範囲の化学機能基へ生体分子を接着する技術は、Hermanson,et al.,Immobilized Affinity Ligand Techniques,New York,NY:Academic Press,Inc.(1992)によってカタログ化された。
【0024】
いくつかの小胞は、生物学的位置で特異的な結合に対する標的部位として使用される末端に結合された化合物を有している。いくつかの実施形態において、前記標的部位は、生理学的条件下で生物学的位置と特異的に結合する。標的部位としては、抗体、抗体断片、及び所定の受容体結合部位に特異的な物質を含む。前記受容体結合部位、或いは標的部位は、受容体特異的ペプチド、糖、脂質、ヌクレオシド、ペプチド核酸、或いはそれらの組み合わせから成る。
【0025】
前記標的部位は、連結基によって前記小胞或いはポリマーソームへ任意に結合されるものである。適切な連結基は、前記ポリマーソーム/画像化剤システムへの有害な効果なしで、望ましい程度の可動性を提供するものである。
【0026】
いくつかの実施形態において、前記小胞は付加的に、前記ブロックコポリマーの親水性末端に共役結合したタンパク質、ペプチド、糖類、ヌクレオシド、無機化合物、或いは有機化合物を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記小胞は付加的に、前記水性ポリマーソーム内部に区分されたタンパク質、ペプチド、糖類、ヌクレオシド、無機化合物、或いは有機化合物を有する。他の実施形態において、前記小胞は付加的に、前記疎水性小胞膜内に区分されたタンパク質、ペプチド、糖類、ヌクレオシド、無機化合物、或いは有機化合物を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、前記区分された因子は、ヒト体内で治療上価値のあるものである。いくつかの実施形態において、前記小胞は、in vivoでの使用に対して米国食品医薬品局(FDA)によって承認された、区分された或いは共役結合した成分を含む。
【0029】
いくつかの小胞は付加的に、前記疎水性小胞膜内へ区分された、放射性因子、細胞毒性因子、磁気共鳴画像法(MRI)因子、ポジトロン放出断層撮影(PET)因子、放射線画像法因子或いは光線力学的治療(PDT)因子の少なくとも1つを有する。いくつかの実施形態において、前記放射性因子は、前記疎水性小胞膜内に区分されるものである。他の実施形態において、前記区分されたMRI因子は、前記疎水性小胞膜内に存在するものである。特定の実施形態において、前記PET因子は、前記疎水性小胞膜内に区分されるものである。いくつかの組成物は、少なくとも1つの、前記疎水性小胞膜内に区分された放射線画像法因子を有するものである。いくつかの組成物は、少なくとも1つの前記疎水性小胞膜内に区分されたPDT因子を有するものである。他の実施形態において、前記因子は、前記水性ポリマーソーム内部に区分されているものである。
【0030】
前記小胞は付加的に、前記疎水性小胞膜内へ区分された、二次放射性因子、細胞毒性因子、磁気共鳴画像法(MRI)因子、ポジトロン放出断層撮影(PET)因子、放射線画像法因子或いは光線力学的治療(PDT)因子の少なくとも1つを有する。いくつかの実施形態において、前記二次放射性因子は、前記水性ポリマーソーム内部に区分されているものである。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明のポリマーソームは、前記ポリマーソーム膜内で分散された、少なくとも1つの可視或いは近赤外線放射性因子を含むものである。いくつかの放射性因子は、700〜1100nmスペクトル型の光を発する。
【0032】
特定の放射性因子は、ポルフィリン部位を有している。いくつかの実施形態において、前記放射性因子は、少なくとも2つのポルフィリン部位を有しており、ここは、前記ポルフィリン部位が少なくとも1つの不飽和部位を有する炭化水素架橋によって結合されている場所である。
【0033】
本発明に有用ないくつかの放射性因子は、ポルフィセン、ルビリン、ロサリン(rosarin)、ヘキサフィリン、サッフィリン(sapphyrin)、クロロフィル、塩素(chlorin)、フタロシアニン、ポルフィラジン(porphyrazine)、バクテリオクロロフィル、フェオフィチン、テキサフィリン大環状ベース化合物、或いはそれらのメタル化(metalated)誘導体である。
【0034】
有用な放射性因子は、レーザー色素、フルオロフォア、ルモフォア(lumophore)或いは蛍光体である放射性因子を含む。
【0035】
適切なレーザー色素は、p−テルフェニル、スルホローダミンB、p−クアテルフィニル、ローダミン101、カルボスチニル124、クレシルバイオレット過塩素酸塩、popop、DODCイオジン、クマリン120、スルホローダミン101、クマリン2、オキソジン4過塩素酸塩、クマリン339、PCM、クマリン1、オキサジン170過塩素酸塩、クマリン138、ナイルブルーA過塩素酸塩、クマリン106、オキサチン1過塩素酸塩、クマリン102、ピリジン1、クマリン314T、スチリル7、クマリン338、ヨウ化HIDC、クマリン151、ヨウ化PTPC、クマリン500、HITC過塩素酸塩、クマリン307、ヨウ化PTTC、クマリン334、DTTC過塩素酸塩、クマリン7、IR−144、クマリン343、HDITC過塩素酸塩、クマリン337、IR−NO、クマリン6、IR−132、クマリン152、IR−125、クマリン153、ホウ素−ジピロメゼア(dipyrromethere)、HPTS、フルオレセイン、ローダミン110、2、7−ジクロロフルオレセイン、ローダミン65及びローダミン18過塩素酸塩、ローダミンbを含み、前記レーザー色素は疎水性置換基の付加によって修飾され、前記レーザー色素は実質的に前記ポリマーソーム膜内に存在するものである。
【0036】
いくつかの組成物は、少なくとも1つの放射性因子を有しており、これは、ジ−及びトリカルボシアニン色素、クロコニウム色素、少なくとも1つの電子求引性置換基で置換されたチエニレンフェニレンビニレン種である近赤外線(NIR)放射性種であり、前記レーザー色素は実質的に前記ポリマーソーム膜内に存在するものである。
【0037】
特定の放射性因子は、少なくとも2つの共有結合部位を有している放射性共役化合物であり;それによって前記化合物をエネルギー源に一定時間、前記化合物が波長700〜1100nmの間で光を発するようにするのに有効な条件下で曝露した場合、個々に共有結合部位のどちらかによって発された光の合計以上の強度を有するものである。
【0038】
前記放射性因子は、少なくとも2つの共有結合部位を有する放射性共役化合物であり;それによって前記化合物をエネルギー源に一定時間、前記化合物が波長700〜1100nmの間で光を発するようにするのに有効な条件下で曝露した場合、個々の前記部位のどちらかによって示された放射オシレーター強度以上の総放射オシレーター強度を示すものである。
【0039】
いくつかの放射性因子は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、若しくはそれらの組み合わせによって結合されている放射性種を定義する共有結合部位を有している。放射性種を定義する前記共有結合部位は、エチニル、エセニル、アレニル、ブタジニル、ポリビニル、チオフェニル、フラニル、ピロリル或いはp−ジエチリルアレニルリンカーによって結合される、若しくはジエチニル、ジ(ポリビニニル)、ジニビニル、ジ(ポリビニル)或いはジ(チオフェニル)置換基を有する共役複素環によって結合され得る。特定の実施形態において、放射性種を定義する前記共役結合部位は、少なくとも1つのイミン、フェニレン、チオフェン、或いはアミド、エーテル、チオエーテル、エステル、ケトン、スルホン、若しくはカルボジイミド基によって結合されている。
【0040】
いくつかの小胞は、ホルフィネート(phorphinato)画像剤を含んでおり、これは、600〜110nmスペクトル型において放射可能なβ−β、メソ−β、或いはメソ−メソ結合形態画像剤を特徴付けるエチニル−或いはブタジニル−架橋マルチ(ホルフィリン)化合物である。いくつかの適切なホルフィリン−ベース画像剤は、以下の構造式を有しており:
【化1】

【0041】
ここにおいて、Mは金属或いはHであり、Hは大環状分子の遊離リガンド型を表示し;R及びRはそれぞれ独立してH、C−C20アルキル或いはC−C20ヘテロアルキル、C−C20アリール或いはヘテロアリール、C(R)=C(R)(R)、C=C(R)、若しくは、ペプチド、ヌクレオシド或いは糖類を有する化学機能基であり、ここにおいてR、R及びRはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、C−C20アルキル、C−C20ヘテロアルキル、アリール或いはヘテロアリール、C−C20アルケニル或いはへテロアルケニル、アルケニル或いはC−C20 ヘテロアルキニル、トリアルキルシリル或いはホルフィリネートであり;nは1〜10の整数である。いくつかの実施形態において、nは1〜8の整数である。
【0042】
ホルフィリン−ベース画像剤のMは、亜鉛、マグネシウム、白金、パラジウム、或いはHであり、Hは大環状分子の遊離リガンド型を表示している。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記ポリマーソームホルフィリン−ベース画像剤は放射性である。いくつかの薬剤は、マルチ(ホルフィリン)画像剤であり、これはメソ−メソエチン−或いはブタジエン−架橋結合形態を有しており、前記画像剤は600〜1100nmスペクトル型において放射することができる。
【0044】
本分野の当業者は、ホルフィリン−含有化合物から調合され得る広範囲のダイマー、トリマー、オリゴマー或いはポリマーを認識するであろう。そのような化合物は、例えば米国特許第10/777,552号に見いだされ、この参照によって本明細書にその全体が組み込まれるものである。
【0045】
本発明は、以下の実施例によって説明されるが限定されることを意図しているものではない。
【0046】
実験
材料
ε−カプロラクトン(ε−CL)は、Aldrichより購入し、室温で48時間水素化カルシウム(CaH)で乾燥させ、減圧下で蒸留した。1末端−OH基を有し、5000、2000、1100及び750のMnを有するモノメトキシルポリ(エチレンオキシド)(MePEO)ホモポリマーは、Flukaから購入した。大きなMePEOブロック(Mn=1100、2000及び5000)は、テトラヒドロフラン(THF)中への溶解し、その後エーテルへ沈殿させ、その後40℃、10mmHgで24時間乾燥させることによって精製した。他のMePEOブロック(Mw=750)は、レシーブ(received)として使用した。スズ(II)オクトネート(StOct)はSigmaから購入し、レシーブとして使用した。エチレンオキシド(EO)はAldrichから購入し、水酸化カリウムを通過させることによって精製し、2時間混ぜてCaHへ濃縮し、最終的に蒸留によって回収した。ナフタレンは使用前にエーテルから再結晶化し、THFはNaマイナーを蒸留した。他の化学薬品は商業的に利用可能であり、レシーブとして使用した。
【0047】
重合化反応
開環重合:モノメトキシルポリ(エチレンオキシド)(MePEO)をアルゴン下で火炎フラスコへ満たした。カプロラクトンモノマー(MePEOに対して様々な算出重量率を有する)を次にシリンジを介して前記フラスコへ注入し、SnOctの少量2滴を反応混合物へ添加した。前記フラスコはバキュームラインへ連結し、気体を抜き、密閉し、130℃のオイル槽へ浸した。大量の同種混合物の粘性が進行的に増加し、これは重合化の間いつも観察された。コポリマーは、前記反応混合物を室温まで冷却することによって24時間後に回収された。その結果生じたブロックコポリマーは、塩化メチレンへ溶解し、過剰冷却メタノール/ヘキサン(4℃)へ沈殿させた。白色粉末産物が得られ、真空条件下で2日以上、40℃で乾燥させた。
【0048】
アニオン性リビング(living)重合化:火炎乾燥及びアルゴン浄化フラスコにおいて、30mLの無水THF、0.55mL(10mmol)アセトニトリル、及び5mLカリウムナフタレン/THF溶液(1mmol/mL)をアルゴン流下で添加した。勢いよく混ぜ(70分、20℃)、その混合物は氷−水槽において冷却し、蒸留されたEOを冷却シリンジによって添加した。室温での48時間重合後、反応産物のサンプル(約5mL CN−PEO)を除去し、酢酸含有のアセトン溶液で処理し、過剰ジエチルエーテルで沈殿させ、室温の真空下で乾燥させた。次に、算出モル率のCL/EOでTHFに溶解されたε−カプロラクトンをCN−PEOの残存反応混合物へ添加した。0℃で5〜10分後、酢酸を含有した過剰なアセトン溶液を添加することによって重合化をクエンチし;最終コポリマーはジエチルエーテルにおいて沈殿することによって除去し、40℃で2日間、真空下で乾燥させた。
【0049】
コポリマー特徴化
PEOポリマー及びコポリマーは、Bruker 300MHz或いは500MHz装置を用いたNMRH−NMR(電子核磁気共鳴)分光法によって特徴付けされた。重水素化クロロホルム(CDCl)を溶液として使用し、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として使用した。各コポリマー処方に対する重量平均分子量(Mw)値及び多分散指標(Mw/Mn)は、動的レーザー錯乱及び屈折指標検出器を介して、2つの分離カラム(PLゲル5μ混合、300X7.5mm)を用いて、室温(25℃)で、GPC(RAININ HPXL)によって決定した。THFは溶出溶液として利用した。PEO標準は、屈折指標データから前記コポリマーの分子量を較正するために使用した。
【0050】
ポリマーソームの調合
2つの調合方法である、薄膜水和を介した自己組織化及び有機共溶媒/水性抽出物を介した小胞形成を使用し、PEO−b−PCLコポリマーを様々な水性形態へ組織化した。膜水和は、PEO−b−PBD及びPEO−b−PEEジブロックコポリマーを有する非分解性ポリマーソームを調合するために広範囲で利用されていた。Discher,D.E.;Eisenberg,A.Science,2002,297,967−973 and Ghoroghchian,P.P.;Frail,P.R.;Susumu,K.;Blessington,D.;Brannan,A.K.;Bates,F.S.;Chance,B.;Hammer,D.A.;Therien,M.J.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS),2005,102,2922−2927.を参照のこと。簡潔には、クロロホルム(1mol%ナイルレッド有無)において200マイクロリットルの5〜10mg/mL PEO−b−PCLコポリマー溶液を粗面Teflon(登録商標)プレートの表面へ均一にコーティングし、その後12時間以上真空下で前記溶液を蒸発させた。水溶液(例えば250−300ミリオスモルスクロール或いはPBS)の添加、及び60℃での48時間加熱によって、巨大な(5〜20μm)生分解性ポリマーソームの自発性突出(budding)を導き、Teflon(登録商標)堆積薄膜を前記水溶液へはがした。PBSは、pH7.2の50mM NaHPO及び140mM NaClである水性緩衝液である。ナイルレッドは、自己組織化の間に前記ポリマーソーム膜へ取り込まれ、結果生じるコポリマー水性形態の共焦点蛍光顕微鏡を介した容易な可視化を可能にした。
【0051】
適切な狭いサイズ分布を有する小さな(300nm直径以下)単層ポリマーソームは、小さな脂質小胞を処方するために使用される手順(超音波処理、凍結解凍抽出及び押出)に類似した手順を介して調合した。Ghoroghchian,P.P.;Frail,P.R.;Susumu,K.;Blessington,D.;Brannan,A.K.;Bates,F.S.;Chance,B.;Hammer,D.A.;Therien,M.J.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS),2005,102,2922−2927.を参照のこと。超音波処理手順では、水性−ベース溶液及び乾燥させた(Teflon(登録商標)膜などのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜上に均一に堆積させたポリマーの)薄膜処方を含むサンプルバイアルを槽ソニケーター(Fischer Scientific;Model FS20)へ置き、30分間撹拌する工程が含まれる。凍結−解凍抽出の複数サイクルを行い、その後前記サンプルバイアル(300nm〜500nm直径ポリマーソームの溶液を含有)を液体Nへ置く工程が続いた。鎮静した液体Nから泡立ったら、前記バイアルを次に60℃の水槽へ移した。小さい(例えば、100nm直径)小胞のモノ−分散懸濁液への抽出は、ポリマーソーム溶液を加圧窒素ガスへ連結した温度調節ステンレススチールシリンダーへ導入することによって進行した。PEO−b−PCL懸濁液のサイズ分布は、動的光錯乱によって各ケースにおいて決定した。
【0052】
共溶媒/水抽出方法に対して、前記ジブロックコポリマーは、クロロホルム或いはテトラヒドロフラン(THF)(10mg/mL)に溶解し、1:100重量%で水溶液(スクロース、PBS、或いはベンゼン/アルコール水溶液)へ有機共溶媒注入を介して添加した。これらジブロックコポリマーから形成された様々な構造は、室温で24時間、水性透析(有機共溶媒除去のため)によって前記溶媒混合液から抽出した。
【0053】
PEO−b−PCL−ベース小胞内への疎水性及び親水性化合物の取り込み
水性不溶性化合物(例えばナイルレッド色素)を、まず同じ有機溶液(一般的にはクロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール或いはそれらの組み合わせ)においてそれらを大量のポリマーと共溶解することによって、PEO−b−PCL−ベース小胞の疎水性膜内へ取り込ませた。前記有機溶液(疎水性分子及びポリマー含有)は次に、Teflon(登録商標)上で薄膜として乾燥させた。前記薄膜の水性水和及び前記ポリマーの溶解温度(52℃以上)での加熱を行うと、小胞はそれらの薄い層状膜内に前記水性不溶性化合物を含有する水溶液において形成される(例えば、図2及び3のPEO(2k)−b−PCL(12k)−ベースポリマーソーム内のナイルレッド取り込みを参照のこと)。
【0054】
PEO−b−PCL−ベースポリマーソームの水性環境内の親水性化合物(例えばカルセイン色素)の封入は、Teflon(登録商標)上での前記ジブロックコポリマーの乾燥薄膜処方を水和するのに使用される水溶液へのそれらの導入に際して生じる。小胞自己組織化後、前記因子の取り込まれなかった部分は、水性透析によって前記小胞を取り囲んでいる外部溶液から除去され得る(図2は、PEO(2k)−b−PCL(12k)−ベースポリマーソームの内部環境内の水性可溶性カルセイン色素を示している)。
【0055】
小胞サイズの縮小
適切に狭小なサイズ分布(100〜200μm直径範囲内)を有する小さな小胞は、小さい単層リポソームを処方するために使用される手順(超音波処理、凍結解凍抽出及び押出)と類似した手順を介して調合され得る。
【0056】
超音波処理手順は、水性ベース溶液及び(Teflon上に均一に堆積されたポリマー及びNIRF種の)乾燥薄膜処方サンプルバイアルを30分間、一定に撹拌しながらバスソニケーター(Fischer Scientific、Fair Lawn、ニュージャージー州;Model FS20)へ置く方法を含む。いくつかの(x3〜5)サイクルの凍結解凍抽出の後、続いて前記サンプルバイアル(中サイズ、300nmのNIR−放射性ポリマーソームの溶液含有)を液体Nに置いた。鎮静した液体Nから泡立ったら、前記バイアルを次に56℃の水槽へ移した。
【0057】
小さい(100nm直径)小胞のモノ分散懸濁液への押出は、圧縮窒素ガスに連結された温度調節性ステンレススチールシリンダーへの水溶液の導入によって開始した。前記小胞溶液は、前記シリンダーの底で丸いスチールふるいによって、支持された0.1μmポリカーボネートフィルター(Osmonics、Livermore、カリフォルニア州)を通して押し出し、ここにおいて前記小胞溶液は押出後に回収した。この手順は複数回繰り返し、前記小胞のサイズ分布は動的光錯乱(DynaPro、Protein Solutions、Charlottesville、バージニア州)によって測定した。
【0058】
大量で、水性小胞懸濁液内のPEO−b−PCLの熱転移の特徴付け
示差走査熱量測定法(DSC;TA instruments Q100,New Castle、デラウェア州)を利用し、大量で、水性小胞溶液内のPEO(2k)−b−PCL(12k)の熱転移を明らかにした(図5)。図5Aは、2つの結晶化可能ホモポリマーから成るジブロックコポリマーと一致している、大量PEO(2k)−b−PCL(12k)における2つの異なる一次転移を示したものである(溶解開始=52.6℃;総熱転移=90.2J/g)。Bogdanov,B.;Vidts,A.;Van Den Bulcke,A.;Verbeeck,R.;Schacht,E.Polymer 1998,39,(8−9),1631−1636.及びGan,Z.H.;Jiang,B.Z.;Zhang,J.J.Appl.Poly.Sci.1996,59,(6),961−967.を参照のこと。水中での前記乾燥ポリマー(30mg/mLでの)の溶解後すぐに、二重溶解ピークは、二次加熱において52.3℃のピーク溶解温度の単一一次転移へ移った(溶解開始=48.8℃;熱転移=32.2J/g;図5B)。前記ポリマーは、水性溶解でのその熱転移及び60℃で48時間での等温加熱において更なる変化を生じなかった。その構造を低温貯蔵透過型電子顕微鏡(クリオ(cryo)−TEM)によって観察し、そのサイズ分布を動的光錯乱によって決定した、PEO(2k)−b−PCL(12k)−ベースポリマーソームのDSCは、加熱時に小胞サイズに無関係な、同様な一次転移を示した(溶解開始=48℃;ピーク=52℃;熱転移=43J/g)。大量なPEO−b−PCLの等温結晶化及び溶解挙動は、以前WAXD、SAXS及びDSCにおって研究されており、これはPEOホモポリマーにおける強度な結晶化能にも関わらず、PEO重量比が20%以下の場合、PEO−b−PCLコポリマーにおけるPCLブロックのみ結晶可能であった。Gan,Z.H.;Jiang,B.Z.;Zhang,J.J.Appl.Poly.Sci.1996,59,(6),961−967.を参照のこと。そのように、PEO(2k)−b−PCL(12k)−ベース小胞において、前記膜は、外部溶液及び内部水性環境へ向けたPEOコロナを有する完全なPCL薄層から成るということが強く示唆された。
【0059】
希釈水溶液におけるPEO−b−PCL形態の特徴付け
共焦点レーザー走査顕微鏡(BioRad Radiance 2000)及び落射蛍光顕微鏡(Zeiss Axiovert 200)を用い、蛍光ナイルレッド(ポリマーに対して1mol%色素)を取り込んだPEO−b−PCLの自己組織化水性形態を特徴付けした。前記顕微鏡は、前記色素に対して適切な励起及び放射フィルターを取り付けた。
【0060】
生分解性PEO−b−PCLジブロックコポリマーの合成及び特徴付け
一連のPEO−b−PCLジブロックコポリマーは、ε−カプロラクトン及び商業的に利用可能なMePEO(Mn=5000、2000、1100及び750)の開環重合を介して合成した。1つのヒドロキシル末端基を有するMePEOは、スズ(II)オクテート(octoate)(SnOct)触媒下でのε−CLモノマーの重合(130℃で24時間)を活性化するためのマクロイニシエーターとして使用した(スキーム1)。PEO−b−PCLジブロックコポリマーは以前、無触媒スキームでの方法(Jeong,Y.;Kang,M.;Sun,H.;Kang,S.;Kim,H.;Moon,K.;Lee,K.;Kim,S.;Jung,S.International Journal of Pharmaceutics,2004,273,95−107.及びCerri,P.;Tricoli,M.;Andruzzi,F.;Paci,M.Polymer,1989,30,338−343を参照のこと)と同様に、多くの異なる触媒システムを用いることによって合成されていた(Meng F.;Hiemstra,C.;Engbers,G.H.M.;Feijen J.Macromolecules,2003,36,3004−3006,Zastre,J.;Jackson,J.;Bajwa,M.;Liggins,R.;Iqbal,F.;Burt,H.European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics,2002,54,299−309,20,Bogdanov,B.;Vidts,A.;Van Den Bucke,A.;Verbeeck,R.;Schacht,E.Polymer,1998,39,1631−1636,及びHsu,S.;Tang,C.;Lin,C.Biomaterials,2004,25,5593−5601.を参照のこと)。SnOctは、商業的に利用可能である、取り扱いが容易である、共通有機溶媒及び環状エステルモノマーに可溶性であるという理由より、生分解性ポリエステルの産生に対して最も広く使用された触媒であり、多くの国で食品添加物として許可されている(Dong,C.;Qiu,K.;Gu,Z.;Feng,X.Macromolecules,2001,34,4691−4696を参照のこと)。さらに、CLの非触媒開環重合は、高温(180℃以上)で数日実行されなくてはならない。そのように、SnOctは本発明者らのシステムでも、穏やかな反応下でのPEO−b−PCLコポリマーの合成に対する触媒として使用した。この開環重合によって合成された全てのPEO−b−PCLジブロックコポリマーは、表1〜3にまとめた。
【0061】
【化2】

【0062】
ε−カプロラクトンの開環重合MePEOからのPEO−b−PCLコポリマーの合成は容易であるけれども、MePEOホモポリマーの商業的利用可能性が制限されているため、高度に制御可能なPEOブロック分子量を有するコポリマーを得るのは難しい。代替戦略として、本発明者らは、アニオン性リビング重合化:その手順としては酸化エチレンモノマーから開始し、カプロラクトン重合化が続く、を利用し、PEO−b−PCLコポリマーの合成に対する他の経路を提供し、これによって広範囲な利用可能PEOブロック分子量を得ることができる。さらに、前記コポリマーの末端基(PEOブロック上)は目的に合わせて作られており、この合成戦略によって簡単に変換する事ができる。N−末端基を有し、アニオン生リビング重合化を介したPEO−b−PCLジブロックコポリマーの合成に使用された戦略は、スキーム2に示されるものである。
【0063】
【化3】

【0064】
カリウムナフタレニドは以下の以前確立された方法論で合成した(Hillmyer,M.A.;Bates,F.S.Macromolecules,1996,29,6994−7002.及びCammas,S.;Nagasaki,Y.;Kataoka,K.Bioconjugate Chem.,1995,6,226−230を参照のこと)。シノメチル(cynomethyl)カリウムは次に、THFにおけるナフタレニドカリウムでのアセトニロリルのメタル化(Nagasaki,Y.;Iijima,M.; Kato,M.;Kataoka,K.Bioconjugate Chem.,1995,6,702−704.及びDeng,M.;Wang,R.;Rong,G.;Sun,J.;Zhang,X.;Chen X.;Jing,X.Biomaterials,2004,25,3553−3558を参照のこと)によって調合し、エチレンオキシド重合化に対するマクロイニシエーターとして利用した。以前に、低分子量(高PEO重量比)PEO(2.2k)−b−PCL(1.2k)はこのアニオン性リビング重合化戦略によって合成された(Deng,M.;Wang,R.;Rong,G.;Sun,J.;Zhang,X.;Chen X.;Jing,X.Biomaterials,2004,25,3553−3558を参照のこと)。本発明者らは、修正した反応条件(スキームII参照)を使用し、一連のPEOブロック分子量(すなわち1.5k、2.2k、2.6k、3k、3.8k及び5.8k)、低PEO重量比(9.9〜24.3%),及び広範囲のコポリマーMn(7.8〜47k)を有するPEO−b−PCLを合成するのに成功した。
【0065】
H−NMR分光法は、異なる末端基を有するPEOホモポリマー及びPEO−b−PCLジブロックコポリマーの化学構造及び平均分子量の特徴付けに対して実績がありとても有用な技術であった(Meng F.;Hiemstra,C.;Engbers,G.H.M.;Feijen J.Macromolecules,2003,36,3004−3006,Zastre,J.;Jackson,J.;Bajwa,M.;Liggins,R.;Iqbal,F.;Burt,H.European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics,2002,54,299−309,Jeong,Y.;Kang,M.;Sun,H.;Kang,S.;Kim,H.;Moon,K.;Lee,K.;Kim,S.;Jung,S.International Journal of Pharmaceutics,2004,273,95−107,Cerri,P.;Tricoli,M.;Andruzzi,F.;Paci,M.Polymer,1989,30,338−343,Bogdanov,B.;Vidts,A.;Van Den Bucke,A.;Verbeeck,R.;Schacht,E.Polymer,1998,39,1631−1636,Hsu,S.;Tang,C.;Lin,C.Biomaterials,2004,25,5593−5601,及びNagasaki,Y.;Iijima,M.;Kato,M.;Kataoka,K.Bioconjugate Chem.,1995,6,702−704を参照のこと)。MePEO−b−PCLに対する典型的なNMRスペクトルは図1に示した。H−NMRスペクトルにおけるPEOブロックの末端メチレン基と一致する4.20ppm(b’)周辺の小さなピークの出現は、最終反応産物がPEO及びPCLのジブロックコポリマーのみに限定されたことを意味している。3.38ppmでの小さく鋭いピーク及び3.65ppmでの非常に強いピークは、それぞれ、メチル(a、CHO−末端PEO)及びメチレン基(b、MePEOの繰り返しユニット)によるものであると考えられた。2.23ppm、1.63ppm、1.38ppm及び4.06ppmでのピークは、PCL繰り返しユニットにおけるプロトンであると割り当てられた(c、d、e及びfメチレン)。PEOブロックのメチレンプロトンからの3.65ppmでのピーク、及びPCLブロックにおけるカプロラクトン繰り返しユニット(b、COCHCHCHCHCHO)のメチレンプロトンからの2.23ppmでの三重線(トリプレット)は、ある程度のPCLブロック重合化及びM(NMR)を達成するために使用した。H−NMR分光法はさらに、末端基(すなわちCHO−或いはCNCHCH−)のプロトンピークと比較することによって、算出エチレンオキシド繰り返しユニット数からPEOの平均分子量を特徴付けするために使用した。CN−PEO−b−PCL及びMePEO−b−PCLジブロックコポリマーの間のH−NMRスペクトルにおけるたった1つの違いは、3.38ppm(CHO−)(MePEO−b−PCLに見られるPEOブロック末端基)での弱いピークと置き換わった、CN−PEO−b−PCLのPEO末端基に対する2.25ppm(CN、CN−CH−CHへ結合した第一のメチレン)及び1.90ppm(CN−CH−CHに対する第二のメチレン)周辺の25つの弱いピークと一致する。CN−PEO−b−PCLジブロックコポリマーの平均分子量値はさらにNMRスペクトルから計算した。
【0066】
【化4】

【0067】
GPCは、各PEO−b−PCLジブロックコポリマー処方の分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)(PDI)を特徴付けするために使用した。2タイプの平均分子量はそれぞれ、PEO標準サンプルを用いることによって、及び動的光錯乱データを利用することによって、反応性指標データから計算した(表1参照のこと)。PEO(5.8k)−b−PCL(24.0k)、PEO(5k)−b−PCL(22k)、PEO(2k)−b−PCL(12k)及びPEO(2k)−b−PCL(15k)などのいくつかのコポリマーは、H−NMRから決定された値と比較した場合、GPCから得られたように同様な分子量値を示した。とりわけ、合成された最も大きいコポリマーであるPEO(5.8k)−b−PCL(33.6k)及び最も小さいコポリマーであるPEO(2k)−b−PCL(9.5k)はしかしながら、H−NMRデータ対GPCデータから決定したMwにおいて著しい差異が見られた。PEO−b−PCLジブロックコポリマー標準サンプルがRIデータ(GPC)の検定に商業的に利用可能できないため、前記コポリマーのdn/dc値は、PS標準サンプルから得て、DLSデータを検定するために使用し、従って2つの方法(GPC及びH−NMR)によって得られた分子量値決定における差異を説明するように思われる。
【0068】
GPCデータから、アニオン性リビング重合化によって合成した、様々なPEO分子量(2.2k、2.6k、3k、3.8k及び5.8k)を有するPEO−b−PCLジブロックコポリマーは、全体で最も狭い分子量分布(PDI:1.2−1.27)を示した。開環重合を介してPEO(2k)から合成されたPEO−PCLジブロックコポリマーは、狭い分子量分布(1.1−1.2)を示した一方、PEO(5k)由来のコポリマーはわずかに広い分子量分布(PDI:1.32−1.37)を示した。従って、アニオン性リビング重合化は、調節されたPEOブロック分子量、様々なPEO/PCLブロック比及び狭い分子量分布を有するPEO−b−PCLジブロックコポリマーの合成に対して最高の経路を提供する。
【0069】
【表1】

【0070】
PEO−b−PCLジブロックコポリマーの水性組織化
膜水和及び有機共溶媒注入/抽出という2つの調合方法は、様々な水性形態(ポリマーソームを含む)へと両親媒性PEO−b−PCLジブロックコポリマーを組織化するために選択した。膜水和はコポリマーの水性自己組織化を促進し、組織化後処理の必要性を取り除く一方、容易な大量産生を可能にするので、優先的に利用した。表2及び3は、様々なPEO−b−PCLジブロックコポリマー処方の観察された(1mol%ナイルレッドの取り込みによって決定され、蛍光共焦点及び光学顕微鏡によって可視化したように)水性形態をまとめたものである。
【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
ポリマーソームはPEO(2k)−b−PCL(12k)ジブロックコポリマー(FPEO=14.3%)(共焦点蛍光顕微鏡像、図2)の水性水和及び自己組織化から独自にほぼ定量的比率で得られた。いくつかのポリマーソームは、11.8〜18.8%の範囲のwt−FPEOを有するPEO(2k−3.8k)−b−PCL(9.5k−22.2k)ジブロックコポリマーの水性調合において不規則な粒子と共に存在することが見いだされた。従来の小胞産生PEO−b−PBDコポリマーとは異なり、FPEO(11.8〜18.8%)の範囲、PEOブロックサイズ(2k−3.8k)及びポリマーソーム形成PEO−b−PCLジブロックコポリマーにおける総ジブロックMn(1.5k〜26k)は、非常に狭い。より高い(5k或いは5.8k)或いはより低い(750−1.5k)分子量PEOブロック由来のPEO−b−PCLジブロックコポリマーの水性懸濁液において、PEO/PCL比に関係なくポリマーソームは観察されなかった。
【0074】
PEO−b−PCLポリマーソームは、単層(図2d)或いは多層(図2c)膜構造を所有する膜水和から産生した。PEO(2k)−b−PCL(12k)(PDI:1.2)と比較した際、PEO(2k)−b−PCL(9.5k)は非常に狭い分子量分布(PDI:1.1)を有するにも関わらず、このジブロックコポリマー処方から得られたポリマーソームの州立は僅かに低いものであった。さらに、前記コポリマーの多分散指標は、ポリマーソーム処方に対してほとんど影響を与えないように見えた。小さなポリマーソーム(直径100nm)は、Teflon(登録商標)上でのPEO−b−PCLの乾燥薄膜処方の水性超音波処理によって製造し、その後複数(x3)サイクルの凍結/解凍抽出及び膜押出を行った。これらの小さい単層ポリマーソームは、クリオ(cryo)−TEMによって特徴付けを行い、PEO(2k)−b−PCL(12k)ジブロックコポリマー由来のそれらの膜の厚さは、22.5+/−2.3nmであると見いだした。
【0075】
小胞処方に対するジブロックコポリマー分子量分布の影響を明らかにするために、様々なPEOブロックサイズ(2.6k、3k或いは3.8k)及び非常に狭い分子量分布(PDI=1.1)を有するPEO−b−PCLジブロックコポリマーは、GPCによって分離し、ポリマーソームを製造するために使用した。しかしながら、これらのサンプルからの小胞の収率における改善は観察されなかった。さらにPEO(5.8k)−b−PCL(24k)は溶媒注入技術を介して小胞を形成すると以前示された一方、ポリマーソームは、薄膜水和を介して形成されたこのジブロック(PDI=1.2)の水性懸濁液においては観察されなかった。さらに、多くのポリマーソーム(図4)は、より広い分子量分布を有するPEO−b−PCLジブロックコポリマーの混合物から得られた。そのように、分子量分布はPEO−b−PCLジブロックコポリマーから形成された生分解性ポリマーソームに対してほとんど影響を与えないということが決定した。
【0076】
低いPEO重量比(12%以下)を有するPEO−b−PCLジブロックコポリマーが(水性水和後に)Teflon(登録商標)膜に対して強固な粘着性を有するので、有機共溶媒水注入/抽出法は、これらのコポリマーの小さなサブセットからポリマーソームを調合するための試みにおいて使用した。この抽出法によってポリマーソームは得られなかった一方、いくつかの完璧な微粒子(マイクロスフェア)(球状粒子で満たされている)は、透析を介した有機共溶媒除去によって見られた;これらの粒子の典型的な形態は蛍光顕微像において示された(図4)。前記球状粒子は多孔性表面(図4a)及び効果的に封入されたナイルレッド(図4b)を有するように見えた。
【0077】
【表4】

【0078】
これらの実施例は、PEOブロックサイズ(Mn:750、1100、2000及び5000)、wt−fPEO(7.7%−33.3%)及びMn(3.7k−57k)を変える一連のPEO−b−PCLジブロックコポリマーを示し、これらは商業的に利用可能なMePEOをマクロイニシエーターとして使用するε−カプロラクトンモノマーの開環重合によって合成した。アニオン性リビング重合化もまた、広範囲の調節されたPEOブロックサイズ(Mn:1500、2200、2600、3000、3800及び5800)、PEOブロック末端基としてのCN、wt−fPEO=9.9−23.4%、及び7.8k〜47kの範囲のMnを有するPEO−b−PCLを合成するために使用した。全てのコポリマーはGPCによって単離し、適切な狭い分子量分布(1.14〜1.37のPDI)を有していた。前記PEO−b−PCLジブロックコポリマーは次に、2つの異なる調合方法:膜水和及び有機共溶媒/水注入/抽出を介して、様々な水性形態へ組織化する能力をスクリーニングした。ポリマーソームは、Teflon(登録商標)上に堆積した乾燥薄膜の水和による自己組織化を介して、PEO(2k)−b−PCL(12k)ジブロックコポリマー(PDI:1.21)から独自にほぼ定量的比率で得られた。2k〜3.8kのPEOブロックサイズ及び11.8〜18.8%の範囲のwt−fPEOを有するPEO−b−PCLジブロックコポリマーのみが生分解性ポリマーソームへ組織化すると見いだされた一方、これらコポリマーの分子量分布は小胞形成に対して影響を与えなかった。最終的に、有機共溶媒/水注入/抽出によって小胞形成に対して確立された方法と比較した場合、膜水和を介した自己組織化は、PEO−b−PCL−ベース生分解性ポリマーソームの調合に対してより容易で有効な方法であると証明された。そのように、これは、化粧品、画像化及び薬物送達適用などの適用に対するこれらのメソ構造生体物質の費用効率が高い大量産生を可能にするものとなるであろう。
【0079】
PEO−b−PCLジブロックコポリマーへの治療化合物の取り込み
この実施例は、PEO−b−PCL−ベースポリマーソームにおける治療化合物であるドキソルビシン(DOX)の添加及び押出を示したものである。薄膜水和を介した自己組織化は、PEO(2k)−b−PCL(12k)−ベース小胞を形成するために使用した。膜水和はPEO−b−PBD及びPEO−b−PEEジブロックコポリマーを有する非分解性ポリマーソームを調合するために広く利用されていた。Discher,B.M.;Won,Y.Y.;Ege,D.S.;Lee,J.C.M.;Bates,F.S.;Discher,D.E.;Hammer,D.A.Science 1999,284,(5417),1143−1146.及びGhoroghchian,P.P.;Frail,P.R.;Susumu,K.;Blessington,D.;Brannan,A.K.;Bates,F.S.;Chance,B.;Hammer,D.A.;Therien,M.J.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2005,102,(8),2922−2927.を参照のこと。簡潔には、塩化メチレン中の200マイクロリットルの7mg/mL PEO(2k)−b−PCL(12k)コポリマー溶液を、粗いTeflon(登録商標)プレートの表面へ均一に堆積させ、12時間以上溶媒を蒸発させた。水溶液(290ミリオスモル硫酸アンモニウム、pH5.5)の添加及び超音波処理によって、生分解性ポリマーソームの自発性突出を導き、Teflon−堆積薄膜を前記水溶液へはがした。超音波処理手順では、水性ベース溶液及び乾燥させた(Teflon(登録商標)上に均一に堆積させたポリマーの)薄膜処方を含有したサンプルバイアルをソニケーター槽(Branson;Model 3510)へ置き、65℃で60分間撹拌する工程が含まれる。5サイクルの凍結−解凍抽出を行い、その後前記サンプルバイアルを液体Nに置く工程、及び次に65℃水槽でそれらを解凍させる工程が続いた。65℃で圧力駆動Lipex thermobarrel Extruder(1.5mL容量)を用いた押出は、適切に狭いサイズ分布を揺する小さな(直径200nm以下)単層ポリマーソームを産生するために実行した。小胞のサイズ分布は動的光錯乱によって決定した(図9参照)。
【0080】
押出サンプルは、等張酢酸ナトリウム溶液(50mM酢酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、pH7.4以下)において透析した。透析溶液は、約30時間で3回交換した。透析後ドキソルビシンを、硫酸アンモニウム勾配を介して前記ポリマーソームへ添加した。Haran,G.;Cohen,R.;Bar,L.K.;Barenholz,Y.Biochim.Biophys.Acta 1993,1151,(2),201−215;Bolotin,E.M.;Cohen,R.;Bar,L.K.;N.,E.;Ninio,S.;Lasic,D.D.;Barenholz,Y.J.Liposome Res.1994,4,455−479;及びde Menezes,D.E.L.;Pilarski,L.M.;Allen,T.M.Cancer Res.1998,58,(15),3320−3330.を参照のこと。前記ポリマーソームは、7時間、メインゲルが液体−結晶相移行温度(65℃)以上になる温度で、1:0.2のポリマー:薬剤(w/w)の割合でドキソルビシンとインキュベーションした。前記ポリマーソームコア内でのDOXの凝集によって、その蛍光放射はクエンチングした。非封入DOXは、Frac 950を有するActa Basic 10 HPLCを用いて除去した:前記溶液はSephacryl S500−HRメディアを有するC−1640カラムを通過した。回収したDOX−添加ポリマーソーム懸濁液を遠心分離し、約1mL容量まで濃縮した。次に前記小胞を、各バッファーに対してN=4サンプルで、pHを7.4以下に緩衝した様々な(290mOsm)溶液へ分注した。前記添加ポリマーソームからのDOXの放出実験は分注後すぐに開始し:DOX蛍光は、14日間までの様々な間隔で蛍光定量的に(SPEX Fluorolog−3蛍光光度計:λex=480nm、λem=590nmを用いて)測定した。DOXが前記ポリマーソームコアから放出され、周囲溶液へ希釈されるので、その蛍光放射は時間につれて増加した。この実験の最高点で、前記サンプルはTriton X−100を用いて可溶化させた。長期に亘るパーセント放出は、この実験の完了時にTritonX−100での残存無処理ポリマーソームの可溶化で決定したように、最終DOX蛍光に対する各時点での測定蛍光を比較することによって計算した。
【0081】
図8Aは、14日間蛍光定量的(λex=480nm、λem=590nm)にモニタリングした様々な生理学条件(pH5.5及び7.4;T=37℃)におけるDOXのin situ放出を示したものである。DOXの放出はpH5.5及び7.4の2つのpHで、及び37℃で測定した。
【0082】
両条件下で、本発明者らは徐放後、即時バースト放出相(0〜8時間の20%以下の初期小胞添加)を観察した。放出の動態は2つのpHで異なるものであった。pH7.4での放出では、αとβと示された2つの異なる相が観察でき、これは指数関数回帰解析(R=0.99)とよく一致していた。α相(1−5日、点線、図8)は、DOX放出がPCL膜を介した薬剤透過の割合に主に依存している状態(レジメ)と一致し、これはより遅い割合のマトリックス浸食(模式的な図8Cを参照のこと)を支配していることを示す。β相(5−14日、実線、図8B)は、著しい加水分解性膜分解によって主に容易にされたDOX放出と一致した。pH5.4で、単一相(β’)が観察された。この相における放出に対する割合定数は、pH=7.4のベータ相の間に観察された定数と類似しており、これは放出のメカニズムが類似していることを示している。しかしながら、PCL膜の酸触媒性加水分解が短時間での優性メカニズムであるので、pH=5.4でのDOX放出はより素早い。
【0083】
そのように、これら生体吸収性ポリマーソームからのin vivo薬剤放出は、PCLマトリックス浸食及び膜を通じた水性コアからの薬剤の本質的な透過性の両方に依存しているようである。とりわけ、混合「生体−不活性」で加水分解可能な成分(τ1/2放出=τ1/2循環を数十時間)(Ahmed,F.;Hategan,A.;Discher,D.E.;Discher,B.M.Langmuir 2003,19,(16),6505−6511;Ahmed,F.;Discher,D.E.J.Controlled Release 2004,96,(1),37−53;及びPhotos,P.J.;Bacakova,L.;Discher,B.;Bates,F.S.;Discher,D.E.J.Controlled Release 2003,90,(3),323−334.を参照のこと)から形成した分解可能なポリマーソームと比較した場合、PEO(2k)−b−PCL(12k)−ベース小胞はより低い放出動態(τ1/2放出を数日)を有し、これは将来の血管内薬剤送達適用に対する潜在的な利点を提供するものである。さらに、それらの大きな膜コアの厚さ(22.5+/−2.3nm)は、疎水性(膜隔絶)及び親水性(内部水性コア)化合物両者の単一複合送達小胞内の容易な取り込みに対する機会を与える。最終的に、自己組織化小胞構造は、メゾスコピック(ナノメートル〜ミクロン)コロイド状装置の容易で経済的な製造を可能にし、これにより、費用のかかる、組織化後の有機共溶媒の除去の必要性を取り除く一方、大量生産が可能になる。
【0084】
本明細書で参照された全ての特許及び刊行物は、その全体が組み込まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、PEO−b−PCLジブロックコポリマーの代表的なH−NMRスペクトルを示したものである。
【図2】図2は、膜被包ナイルレッド及び水性−内部移行カルセイン色素を含有するPEO(2k)−b−PCL(12k)−ベースポリマーソームの共焦点レーザー蛍光顕微鏡像(λex = 488nm)を示したものである。
【図3】図3は、テフロン(Teflon)(登録商標)上に1:1:1モルの割合で沈着させたポリマーの薄膜の水性水和によって形成された、PEO(2k)−b−(9.5k)/PEO(2k)−b−(12k)/PEO(2k)−b−PCL(15k)の混合物から成るポリマーソームの共焦点レーザー蛍光顕微鏡像を示したものである。
【図4】図4は、DI水におけるPEO(2k)−b−PCL(12k)−ベース小胞(5mg/mL)の低温貯蔵伝達電子顕微鏡像を示したものである。前記小胞の膜コアの厚さは22.5+/−nmである。
【図5】図5は、水溶液におけるPEO(5k)−b−PCL(52k)の有機共溶媒抽出に由来する微粒子((a)光学顕微鏡像及び(b)共焦点蛍光顕微鏡像)を示したものである。
【図6】図6は、PEO(2k)−b−PCL(12k)の熱転移を明らかにするための示差走査熱量測定を示したものである。
【図7】図7は、ポリマーソームの調合方法を示したものである。
【図8】図8は、様々な生理学的条件(pH5.5及び7.4;T=37℃)におけるin situ DOX押出を示したものである。
【図9】図9は、25℃での動的光錯乱(DLS)を介して得られたようなPEO(2k)−PCL(12k)−ベースポリマーソームのサイズ分布の累積ヒストグラムを示したものである。
【図10】図10は、薄膜自己組織化(65℃で1時間)を介した200nm直径ポリマーソームを産生し、その後の凍結解凍抽出及び押出の5サイクルを介したサイジングの(A)以前及び(B)以後のPEO(2K)−B−PCL(12K)ジブロックコポリマーのH−NMRスペクトルを示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンオキシド及びポリカプロラクトンのブロックコポリマーを有する小胞であって、
前記ポリエチレンオキシドは約2.0〜約3.8kDの平均分子量を有し、前記ブロックコポリマーは約11〜約20重量パーセントのポリエチレンオキシド比を有するものである、小胞。
【請求項2】
実質的に、ポリエチレンオキシド及びポリカプロラクトンのブロックコポリマーを有する小胞であって、
前記ポリエチレンオキシドは約2.0〜約3.8kDの平均分子量を有し、前記ブロックコポリマーは約11〜約20重量パーセントのポリエチレンオキシド比を有するものである、小胞。
【請求項3】
少なくとも1ブロックはポリエチレンオキシドであり、且つ1ブロックはポリカプロラクトンであるブロックコポリマーを有する小胞であって、
前記ポリエチレンオキシドは約2.0〜約3.8kDの平均分子量を有し、前記ブロックコポリマーは約11〜約20重量パーセントのポリエチレンオキシド比を有するものである、小胞。
【請求項4】
実質的に、少なくとも1ブロックはポリエチレンオキシドであり、且つ1ブロックはポリカプロラクトンであるブロックコポリマーを有する小胞であって、
前記ポリエチレンオキシドは約2.0〜約3.8kDの平均分子量を有し、前記ブロックコポリマーは約11〜約20重量パーセントのポリエチレンオキシド比を有するものである、小胞。
【請求項5】
請求項1記載の小胞において、前記ポリエチレンオキシド比は、約12〜約19重量パーセントである。
【請求項6】
請求項1記載の小胞において、前記ポリエチレンオキシド比は、約11.8〜約18.8重量パーセントである。
【請求項7】
請求項1記載の小胞において、前記ポリカプロラクトンの平均分子量は、約9〜約23kDである。
【請求項8】
請求項7記載の小胞において、前記ポリカプロラクトンの平均分子量は、約9.5〜約22.2kDである。
【請求項9】
請求項7記載の小胞において、前記ポリエチレンオキシドの平均分子量は約2kDであり、前記ポリカプロラクトンの平均分子量は約12kDである。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか1つ記載の小胞において、この小胞は、更に、
水性ポリマーソーム内部内に区分されたタンパク質、ペプチド、糖類、ヌクレオシド、無機化合物、或いは有機化合物を有するものである。
【請求項11】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
疎水性小胞膜内に区分されたタンパク質、ペプチド、糖類、ヌクレオシド、無機化合物、或いは有機化合物を有するものである。
【請求項12】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記ブロックコポリマーの親水性末端に共有結合したタンパク質、ペプチド、糖類、ヌクレオシド、無機化合物、或いは有機化合物を有するものである。
【請求項13】
請求項10記載の小胞において、前記区分された因子は、ヒト体内において治療的価値を有するものである。
【請求項14】
請求項11記載の小胞において、前記区分された因子は、ヒト体内において治療的価値を有するものである。
【請求項15】
請求項12記載の小胞において、前記区分された因子は、ヒト体内において治療的価値を有するものである。
【請求項16】
請求項12記載の小胞において、前記末端に結合した化合物は、生物学的位置で特異的に結合する標的部位として使用されるものである。
【請求項17】
請求項16記載の小胞において、前記標的部位は、生理学条件下において生物学的位置で特異的に結合するものである。
【請求項18】
請求項16記載の小胞において、前記標的部位は、抗体、抗体断片、或いは所定の受容体結合部位特異的な物質を有するものである。
【請求項19】
請求項16記載の小胞において、前記受容体結合部位或いは標的部位は、受容体特異的ペプチド、糖質、タンパク質、脂質、ヌクレオシド、ペプチド核酸、或いはそれらの組み合わせを有するものである。
【請求項20】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記疎水性小胞膜内に区分された、放射性因子、細胞毒性因子、磁気共鳴画像法(MRI)因子、ポジトロン放出断層撮影(PET)因子、放射線画像法因子、或いは光線力学的治療(PDT)因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項21】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記疎水性小胞膜内に区分された放射性因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項22】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記疎水性小胞膜内に区分されたMRI因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項23】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記疎水性小胞膜内に区分されたPET因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項24】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記疎水性小胞膜内に区分された放射線画像法因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項25】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記疎水性小胞膜内に区分されたPDT因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項26】
請求項10記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記疎水性小胞膜内に区分された、二次放射性因子、細胞毒性因子、磁気共鳴画像法(MRI)因子、ポジトロン放出断層撮影(PET)因子、放射線画像法因子、或いは光線力学的治療(PDT)因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項27】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
放射性因子、細胞毒性因子、磁気共鳴画像法(MRI)因子、ポジトロン放出断層撮影(PET)因子、光線力学的治療(PDT)因子、放射線画像法因子、強磁性因子、或いはフェリ磁性因子の少なくとも1つを有するものであり、前記放射体或いは因子は水性ポリマーソーム内部内に区分されるものである。
【請求項28】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記水性ポリマーソーム内部内に区分された放射性因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項29】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記水性ポリマーソーム内部内に区分されたMRI因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項30】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記水性ポリマーソーム内部内に区分されたPET因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項31】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記水性ポリマーソーム内部内に区分された放射線画像法因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項32】
請求項1記載の小胞において、この小胞は、更に、
前記水性ポリマーソーム内部内に区分されたPDT因子の少なくとも1つを有するものである。
【請求項33】
請求項11記載の小胞において、この小胞は、更に、
放射性因子、細胞毒性因子、磁気共鳴画像法(MRI)因子、ポジトロン放出断層撮影(PET)因子、光線力学的治療(PDT)因子、放射線画像法因子、強磁性因子、或いはフェリ磁性因子の少なくとも1つを有するものであり、前記放射体或いは因子は水性ポリマーソーム内部内に区分されるものである。
【請求項34】
生体吸収性ポリマーソームを製造する方法であって、
溶媒へ溶解された、ポリエチレンオキシド及びポリカプロラクトンから成るブロックコポリマーの溶液を表面上に薄膜でコーティングする工程と、
前記溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程と、
前記ブロックコポリマーでコーティングされた前記膜を水溶液と接触させる工程と、
少なくとも約50℃の温度で前記水溶液を加熱する工程と
を有する、方法。
【請求項35】
請求項34記載の方法において、前記ブロックコポリマーは、分離ポリエチレンオキシド及びポリカプロラクトンブロックから成る両親媒性マルチブロックコポリマーである。
【請求項36】
請求項34記載の方法において、前記ブロックコポリマーは、分離ポリエチレンオキシドブロックとオリゴカプロラクトン成分が存在するランダム疎水性ポリマーブロックとから成る両親媒性ランダムコポリマーである。
【請求項37】
請求項34記載の方法において、前記ポリエチレンオキシドは約2.0〜約3.8kDの平均分子量を有し、前記ブロックコポリマーは約11〜約20重量パーセントのポリエチレンオキシド比を有するものである。
【請求項38】
請求項34記載の方法において、前記ポリエチレンオキシド比は約11.8〜18.8重量パーセントである。
【請求項39】
請求項34記載の方法において、前記ポリカプロラクトンの平均分子量は約9.5〜約22.2kDである。
【請求項40】
請求項34記載の方法において、前記ポリエチレンオキシドの分子量は約2kDであり、前記ポリカプロラクトンの分子量は約12kDである。
【請求項41】
請求項34記載の方法において、溶媒除去は減圧下で行われるものである。
【請求項42】
請求項34記載の方法において、前記水溶液は、200〜300ミリオスモルのスクロース、0.9wt%のNaCl(水中)或いはPBSである。
【請求項43】
請求項34記載の方法において、前記溶媒は、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、ジオキサン、或いはそれらの混合物である。
【請求項44】
請求項34記載の方法において、前記表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)或いはガラスである。
【請求項45】
請求項34記載の方法において、前記ブロックコポリマーの薄膜でコーティングされる前記表面は、前記水溶液と接触する間、超音波処理、物理的撹拌、及び/若しくは電場にさらされるものである。
【請求項46】
請求項45記載の方法において、前記超音波処理は少なくとも20分間実行されるものである。
【請求項47】
請求項45記載の方法において、この方法は、更に、
少なくとも一度、前記水溶液の凍結工程及び解凍工程を有するものである。
【請求項48】
請求項45記載の方法において、前記水溶液は圧力を掛けられ、支持膜を通過するものである。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2009−510109(P2009−510109A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533700(P2008−533700)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/038189
【国際公開番号】WO2007/038763
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】