説明

自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含むポリペプチドを用いて炎症状態を治療するための方法及び材料

本発明は、炎症状態を治療するための方法及び材料を提供する。特に、本発明は、C5またはC5aのような哺乳動物抗原における抗体応答を誘導するために使用可能なポリペプチド、単離核酸、宿主細胞、および方法を提供する。例えば、本明細書に記載の方法および材料を、哺乳動物における全てのおよびC5aに結合する受容体の総量を減少させることによって、哺乳動物内のC5aの効果を減少させるために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、炎症状態の治療に関連する方法及び材料に関する。なお、本出願は、2002年12月2日に出願された米国特許仮出願第60/430,278号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
リウマチ性関節炎(RA)は、末梢関節に影響する自己免疫性の炎症状態である。コラーゲン誘導性感染炎の動物モデルは、RA状態に関連する遺伝子の定義に役立っている。RA状態の開始および維持に重要な主要組織適合複合体(major histocompatibility complex:MHC)クラスII遺伝子(マウスにおけるAq)が単離されている。この遺伝子は、ヒトにおけるHLA-DR遺伝子、DR*0401と機能的に対応しており、関節特異的抗原の自己免疫認識を媒介するT細胞がこの疾患に関連することを示唆している。
【0003】
MHCの外側領域の遺伝子は、RA状態を開始および維持するために重要であることが見出されている。これらの遺伝子領域の1つは、マウスの第2染色体に位置し、補体因子C5をコードする遺伝子を含む。C5の活性構成要素の1つはC5aであり、これは、免疫複合体に結合する補体の間で放出される。C5aの放出は、リウマチ様炎症に至る幾つかの異なる経路の引き金を引く。炎症性関節において局所的に産生されるC5aは、マクロファージおよび好中球顆粒上の受容体に結合することができる。C5はまた、敗血症、心筋虚血/再潅流障害、成人呼吸促進症候群、腎炎、および移植片拒絶などの補体を媒介する段階、ならびにリウマチ性関節炎、喘息、炎症性腸疾患、多発性硬化症、動脈硬化症、および脈管炎などの補体を媒介する炎症状態において中心的な役割を担っている。
【発明の開示】
【0004】
概要
本発明は、哺乳動物における敗血症、心筋虚血/再潅流障害、成人呼吸促進症候群、腎炎、移植片拒絶、リウマチ性関節炎、喘息、炎症性腸疾患、多発性硬化症、動脈硬化症、および脈管炎などの炎症状態を治療するための方法および材料を提供する。具体的には、本発明は、炎症状態を治療するためのポリペプチド、単離核酸、宿主細胞、および方法を提供する。本発明のポリペプチドは、免疫原性であってよい。1つの局面において、本発明は、自己および非自己アミノ酸セグメントの両方を含む免疫原性ポリペプチドを提供する。例えば、本発明は、自己C5aアミノ酸セグメントおよび1つまたは複数の非自己T細胞エピトープを含むポリペプチドを提供する。別の局面において、本発明は、炎症状態を有する哺乳動物を治療するために適した免疫原性ポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。さらに、本発明は、本明細書に提供されたポリペプチドをコードする単離核酸を含む宿主細胞を提供する。 そのような宿主細胞を使用して、例えば、大量のコードポリペプチドを産生させることができる。
【0005】
1つの局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含むポリペプチドを含む組成物を特徴とし、この非自己アミノ酸セグメントの長さは、350個未満のアミノ酸(例えば、300個未満のアミノ酸、250個未満のアミノ酸、または200個未満のアミノ酸)である。哺乳動物へのポリペプチド投与によって、この哺乳動物に抗C5応答が誘導され得、哺乳動物のゲノムは、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含み得る。非自己アミノ酸セグメントは、細菌性アミノ酸セグメント(例えば、MBPアミノ酸セグメント)であってよい。非自己アミノ酸セグメントは、C5アミノ酸セグメントであってよい。非自己C5アミノ酸セグメントは、天然には生じないものであってもよい。非自己C5アミノ酸セグメントは、少なくとも2つのT細胞エピトープを含んでよい。非自己アミノ酸セグメントは、脊椎動物(例えば、哺乳動物)C5アミノ酸セグメントであってよい。非自己脊椎動物C5アミノ酸セグメントは、少なくとも2つのT細胞エピトープであってよい。非自己アミノ酸セグメントは、ウイルス性のアミノ酸セグメントまたは真菌性のアミノ酸セグメントであってよい。
【0006】
本発明は、また、炎症状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を治療する方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物に抗C5応答を誘導するように、この哺乳動物に自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含むポリペプチドを投与する段階を含んでもよく、哺乳動物のゲノムは、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含んでもよい。炎症状態は、敗血症、心筋虚血/再潅流障害、成人呼吸促進症候群、腎炎、移植片拒絶、リウマチ性関節炎、喘息、炎症性腸疾患、多発性硬化症、動脈硬化症、および/または脈管炎であってよい。ポリペプチドは、MBP-C5aであってよい。自己C5アミノ酸セグメントは、C5a配列の一部を含んでよい。非自己アミノ酸セグメントは、C5配列の一部を含んでよい。非自己アミノ酸セグメントは、ウイルス性、細菌性、真菌性、哺乳動物由来であってもよく、および/または天然には生じないものであってもよい。非自己アミノ酸セグメントは、少なくとも2つのT細胞エピトープを含んでよい。
【0007】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントと非自己C5アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドを含む組成物を特徴とする。哺乳動物へのポリペプチド投与によって、哺乳動物に抗C5応答が誘導され得、この哺乳動物のゲノムは、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含み得る。非自己C5アミノ酸セグメントは、天然には生じないものであってもよい。非自己C5アミノ酸セグメントは、少なくとも2つのT細胞エピトープを含んでよい。
【0008】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントと非自己脊椎動物アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドを含む組成物を特徴とする。哺乳動物へのポリペプチド投与によって、この哺乳動物に抗C5応答が誘導され得、哺乳動物のゲノムは、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含み得る。非自己脊椎動物アミノ酸セグメントは、哺乳動物アミノ酸セグメントであってよい。非自己脊椎動物アミノ酸セグメントは、少なくとも2つのT細胞エピトープを含んでよい。
【0009】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントと非自己アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドを含む組成物を特徴とし、この非自己アミノ酸セグメントの長さは、350個未満(例えば、300個未満、250個未満、または200個未満)のアミノ酸残基である。哺乳動物へのポリペプチド投与によって、哺乳動物に抗C5応答が誘導され得、この哺乳動物のゲノムは、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含み得る。非自己アミノ酸セグメントは、ウイルス性、細菌性、真菌性、哺乳動物由来であってもよく、および/または天然には生じないものであってもよい。非自己哺乳動物アミノ酸セグメントは、少なくとも2つのT細胞エピトープを含んでよい。
【0010】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントおよび細菌性アミノ酸セグメントを含むポリペプチドとアジュバントとを含む組成物を特徴とする。細菌性アミノ酸セグメントはMBPであってよい。
【0011】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントと真菌性アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドを含む組成物を特徴とする。
【0012】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントとウイルス性アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドを含む組成物を特徴とする。
【0013】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントと非自己C5アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とする。
【0014】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントと非自己脊椎動物アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とする。
【0015】
さらに別の局面において、 本発明は、自己C5アミノ酸セグメントと非自己アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とし、この非自己アミノ酸セグメントの長さは、360個未満(例えば、300個未満、250個未満、または200個未満)のアミノ酸残基である。
【0016】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントと細菌性アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とし、このポリペプチドは、C5アミノ酸セグメントと細菌性アミノ酸セグメントとの間のXa因子切断部位を欠損している。非自己細菌性アミノ酸セグメントは、MBPであってよい。
【0017】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントと真菌性アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とする。
【0018】
他の局面において、本発明は、自己C5アミノ酸セグメントとウイルス性アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とする。
【0019】
本発明の別の局面において、本発明は、以下を含む宿主細胞を特徴とする:(1) 自己C5アミノ酸セグメントと非自己C5アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドをコードする単離核酸;(2)自己C5アミノ酸セグメントと非自己脊椎動物アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドをコードする単離核酸;(3)自己C5アミノ酸セグメントと非自己アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドをコードする単離核酸であって、この非自己アミノ酸セグメントの長さが、350個未満(例えば、300個未満、250個未満、または200個未満)のアミノ酸残基である単離核酸;(4)自己C5アミノ酸セグメントと非自己細菌性アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドをコードする単離核酸;(5)自己C5アミノ酸セグメントと非自己真菌性アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドをコードする単離核酸;および/または(6)自己C5アミノ酸セグメントと非自己ウイルス性アミノ酸セグメントとを有するポリペプチドをコードする単離核酸。宿主細胞は、ポリペプチドを発現することができる。
【0020】
他の局面において、本発明は、哺乳動物に投与するための組成物を特徴とする。この組成物は、哺乳動物に関して、自己C5アミノ酸セグメントと非自己C5アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドを含んでよい。哺乳動物へのポリペプチド投与によって、この哺乳動物に抗C5応答が誘導され得、哺乳動物のゲノムは、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含み得る。非自己C5アミノ酸セグメントは、天然には生じないものであってもよい。非自己C5アミノ酸セグメントは、少なくとも2つのT細胞エピトープを含んでよい。
【0021】
他の局面において、本発明は、哺乳動物に投与するための組成物を特徴とし、哺乳動物に関して、この組成物は、自己C5アミノ酸セグメントと非自己脊椎動物アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドを含む。哺乳動物へのポリペプチド投与によって、この哺乳動物に抗C5応答が誘導され得、哺乳動物のゲノムは、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含み得る。非自己脊椎動物アミノ酸セグメントは、哺乳動物アミノ酸セグメントであってよい。非自己脊椎動物アミノ酸セグメントは、少なくとも2つのT細胞エピトープを含んでよい。
【0022】
さらに別の局面において、 本発明は、哺乳動物に投与するための組成物を特徴とする。本組成物は、哺乳動物に関して、自己C5アミノ酸セグメントと非自己アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドを含んでよく、この非自己アミノ酸セグメントの長さは、350個未満(例えば、300個未満、250個未満、または200個未満)のアミノ酸残基であってよい。哺乳動物へのポリペプチド投与によって、この哺乳動物に抗C5応答が誘導され得、哺乳動物のゲノムは、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含み得る。非自己アミノ酸セグメントは、ウイルス性、細菌性、真菌性、または哺乳動物由来であってよい。非自己アミノ酸セグメントは、天然には生じないものであってもよい。非自己哺乳動物アミノ酸セグメントは、少なくとも2つのT細胞エピトープを含んでよい。
【0023】
他の局面において、本発明は、ポリペプチドとアジュバントとを含む哺乳動物に投与するための組成物を特徴とし、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよび細菌性アミノ酸セグメント(例えば、MBP)を含む。
【0024】
他の局面において、本発明は、哺乳動物に投与するためのポリペプチドを含む組成物を特徴とし、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよび真菌性アミノ酸セグメントを含む。
【0025】
本発明はさらに、哺乳動物に投与するためのポリペプチドを含む組成物を特徴とし、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよびウイルス性アミノ酸セグメントを含む。
【0026】
他の局面において、本発明は、哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とし、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己C5アミノ酸セグメントを含む。
【0027】
本発明はまた、哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とし、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己脊椎動物アミノ酸セグメントを含む。
【0028】
他の局面において、本発明は、哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とし、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含み、かつこの非自己アミノ酸セグメントの長さは、350個未満(例えば、300個未満、250個未満、または200個未満)のアミノ酸残基である。
【0029】
さらに別の局面において、本発明は、哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とし、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよび細菌性アミノ酸セグメントを含み、かつこのポリペプチドは、C5アミノ酸セグメントと細菌性アミノ酸セグメントとの間のXa因子切断部位を欠損する。細菌性アミノ酸セグメントはMBPであってよい。
【0030】
他の局面において、本発明は、哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とし、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよび真菌性アミノ酸セグメントを含む。
【0031】
本発明はまた、哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸を特徴とし、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよびウイルス性アミノ酸セグメントを含む。
【0032】
本発明はまた、以下を含む宿主細胞を特徴とする:(1)哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、C5アミノ酸セグメントおよび非自己C5アミノ酸セグメントを含む単離核酸;(2)哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己脊椎動物アミノ酸セグメントを含む単離核酸;(3)哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含み、該非自己アミノ酸セグメントの長さが350個未満(例えば、300個未満、250個未満、または200個未満)のアミノ酸残基である単離核酸;(4)哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己細菌性アミノ酸セグメントを含む単離核酸;(5)哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己真菌性アミノ酸セグメントを含む単離核酸;ならびに/または(6)哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己ウイルス性アミノ酸セグメントを含む単離核酸。宿主細胞は、ポリペプチドを発現することができる。
【0033】
さらに別の局面において、本発明は、哺乳動物に投与するための組成物を特徴とする。組成物はポリペプチドを含んでよく、哺乳動物に関して、このポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含み、かつ自己C5アミノ酸セグメントは、哺乳動物由来のC5配列と少なくとも90%の同一性を有してよい。
【0034】
別に定義されていない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および特定の用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同様の意味を有する。本明細書に記載されるのと類似または同等の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料が以下に示される。本明細書に引用される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照として完全に本明細書に組み入れられる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が制御する。さらに、材料、方法および実施例は、例示のみを目的とするものであり、制限を意図するものではない。
【0035】
本発明の他の特徴および利点は、図面および詳細な説明、ならびに特許請求の範囲から明らかであると思われる。
【0036】
詳細な説明
本発明は、炎症状態を治療するための方法及び材料を提供する。本明細書に使用される「炎症状態」という用語は、疾患、疾患状態、症状、または炎症により生じる他の状態を意味する。例えば、リウマチ性関節炎および喘息は炎症状態である。炎症状態の他の例には、敗血症、心筋虚血/再潅流障害、成人呼吸促進症候群、腎炎、移植片拒絶、炎症性腸疾患、多発性硬化症、動脈硬化症、および脈管炎が含まれるが、これらに限定されることはない。本発明は、C5またはC5aなどの抗原に対して、哺乳動物における抗体応答を誘導するためのポリペプチド、単離核酸、宿主細胞、および方法を提供する。例えば、本明細書に記載の方法および材料を、全てのおよび/またはC5aに結合する受容体の総量を減少させることによって、哺乳動物内のC5aの効果を減少させるために使用することができる。
【0037】
ポリペプチド
本発明は、炎症状態を治療するために使用可能なポリペプチドを提供する。このようなポリペプチドは免疫原性であることができる。「免疫原性」ポリペプチドは、哺乳動物内の抗体応答を効果的に誘導する任意のポリペプチドである。例えば、免疫原性ポリペプチドは、哺乳動物において抗自己C5抗体の産生を効果的に誘導するポリペプチドであってよい。
【0038】
本発明のポリペプチドは、ポリペプチドを受容する特定の哺乳動物に対して非自己と考えられる少なくとも1つのアミノ酸セグメントを含むことができる。例えば、抗C5抗体の産生を誘導するポリペプチドは、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメント(例えば、非自己C5アミノ酸セグメント)を含んでよい。自己C5アミノ酸セグメントは、抗自己C5抗体応答の特異性を与えることができ、および非自己アミノ酸セグメントは、ポリペプチドの免疫原性を増強することができる。非自己アミノ酸セグメント(例えば、非自己C5アミノ酸セグメント)は、少なくとも2つのT細胞エピトープを含んでよい。あるいは、非自己アミノ酸セグメントは、特異的抗自己C5抗体応答を誘導するように、免疫原性ポリペプチドを安定化させることができる。ポリペプチドの自己C5アミノ酸セグメントは、C5a受容体と直接的に相互作用するC5の一部であってよい。そのような自己C5アミノ酸セグメントの例には、C5aまたはC5a断片が含まれるが、これらに限定されることはない。さらに、ポリペプチドの自己C5アミノ酸セグメントは、C5aとC5a受容体との相互作用に間接的に影響するC5の一部であってよい。例えば、C5のC5コンバターゼ認識配列を含むポリペプチドは、C5のC5コンバターゼ認識配列に結合する抗体の産生を誘導することができ、それによって、C5コンバターゼによるC5からC5aへの変換を阻害することができる。
【0039】
本明細書に記載される「アミノ酸セグメント」という用語は、ポリペプチド内の、アミノ酸の連続するストレッチを意味する。例えば、100アミノ酸のポリペプチド内の30〜40個のアミノ酸残基は、アミノ酸セグメントと考えられる。アミノ酸セグメントは、8個のアミノ酸残基より長い任意の長さ(例えば、約9個、約10個、約15個、約20個、約25個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約150個、約200個、約500個、約1000個、またはそれ以上のアミノ酸残基)であってよい。したがって、アミノ酸セグメントは、C5、C5の全長C5a領域、またはC5aの一部であってよい。いくつかの態様において、アミノ酸セグメントは、1000個未満のアミノ酸残基(例えば、500個未満、400個未満、300個未満、200個未満、または100個未満のアミノ酸残基)の長さを有してよい。他の態様において、アミノ酸セグメントは、約20〜約200個のアミノ酸残基(例えば、約30個〜約180個のアミノ酸残基、または約40個〜約150個のアミノ酸残基)の長さを有してよい。
【0040】
アミノ酸セグメントおよび特定の哺乳動物に関して、本明細書に使用される「自己」という用語は、一般的に、特定の哺乳動物が内因性に有する任意のアミノ酸セグメントを意味する。アミノ酸セグメントが、ある1つの種のメンバーに由来し、アミノ酸セグメントを内因性に有する同じ種の他のメンバーに導入される場合、その特定のアミノ酸セグメントは、自己アミノ酸セグメントであると考えられる。例えば、マウスに由来するC5アミノ酸セグメントは、遺伝学的に同一のマウスである同一マウスに導入された場合、または同一のアミノ酸セグメントを内因性に有する遺伝学的に同一ではないマウスに導入された場合、自己C5アミノ酸セグメントである。
【0041】
アミノ酸セグメントおよび特定の哺乳動物に関して、本明細書に使用される「非自己」という用語は、一般的に、特定の哺乳動物が内因性に有しない任意のアミノ酸セグメントを意味する。アミノ酸セグメントが、第1の種のメンバーに由来し、アミノ酸セグメントを内因性に有しない第2の種のメンバーに導入される場合、その特定のアミノ酸セグメントは、非自己アミノ酸セグメントであると考えることができる。例えば、マウスに由来するC5アミノ酸セグメントは、ヒトに導入された場合、非自己C5アミノ酸セグメントであると考えてよい。別の例において、ポリペプチドが、マウス由来のC5aアミノ酸セグメントおよびヒト由来のC5bアミノ酸セグメントを含み、そのポリペプチドがマウスに導入された場合、C5aアミノ酸セグメントは、自己C5aアミノ酸セグメントと考えてよく、およびC5bアミノ酸セグメントは、非自己C5bアミノ酸セグメントと考えてよい。あるいは、同一のポリペプチドがヒトに導入された場合、C5aアミノ酸セグメントは、非自己C5aアミノ酸セグメントと考えてよく、およびC5bアミノ酸セグメントは、自己C5bアミノ酸セグメントと考えてよい。ある1つの種のメンバーに由来するアミノ酸セグメントが、同一の種の他のメンバーに対して多型であると考えられる場合、そのアミノ酸セグメントは、多型を有していない種のメンバーに対する非自己アミノ酸セグメントと考えてよい。例えば、アミノ酸セグメントにおいて、多型の1つの型を有するヒト由来のC5アミノ酸セグメントは、多型の特定の型を有さない第2のヒトに導入された場合、C5アミノ酸セグメントは、第2のヒトに対して非自己アミノ酸セグメントであると考えてよい。潜在性のT細胞エピトープ(即ち、正常状態下の自己ペプチドが、T細胞による認識のために必要とされるレベルまでMHC分子上で発現されない)が非自己と考えてよいことも理解されると思われる。
【0042】
非自己アミノ酸セグメントおよび自己アミノ酸セグメントは、同一または異なる天然に生じるポリペプチドのいずれかに由来してもよい。例えば、ポリペプチドが、ヒトC5由来の自己アミノ酸セグメントを含む場合、非自己アミノ酸セグメントは、同一型のポリペプチド(例えば、ラットC5)または異なる型のポリペプチド(例えばラットアルブミン)のいずれかに由来してもよい。他の例において、ポリペプチドは、自己C5aアミノ酸セグメント、およびMBPによって提供される1つまたは複数の非自己T細胞エピトープを含んでよい。さらに、アミノ酸セグメントは、細菌ポリペプチド(例えば、MBP)、真菌ポリペプチド、ウイルスポリペプチド、または哺乳動物ポリペプチドを含む、任意の型のポリペプチドであり得るが、これらに限定されることはない。
【0043】
本明細書に提供されるポリペプチドの1つまたは複数の自己セグメントは、典型的に、ポリペプチドを投与する哺乳動物に見出されたポリペプチド由来の配列と、少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性)を有する。いくつかの態様において、自己セグメントは、ポリペプチドを投与する哺乳動物に見出されたポリペプチド由来の配列と、100%の同一性を有してもよい。したがって、本発明は、(1)長さと、(2)参照アミノ酸配列(例えば、特定の哺乳動物由来のアミノ酸配列)の長さにわたる同一性%とを有するアミノ酸セグメントを含むポリペプチドを提供する。本発明はまた、(1)長さと、(2)哺乳動物のアミノ酸配列の長さにわたる同一性%を有するアミノ酸セグメントを含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離核酸分子を提供する。典型的には、哺乳動物のアミノ酸配列または核酸配列は、参照配列と言われ、哺乳動物の配列と比較されるアミノ酸配列または核酸配列は、標的配列と言われる。例えば、哺乳動物配列は、配列番号:2に記載の配列を有する参照配列であってよい。
【0044】
任意のアミノ酸配列または核酸配列の長さ、および任意のアミノ酸配列または核酸配列の長さにわたる同一性%は、以下のように決定される。第一に、BLASTNバージョン2.0.14およびBLASTPバージョン2.0.14を含むBLASTZのスタンドアローンバージョンからの、BLAST 2シークエンス(B12seq)プログラムを用いて、アミノ酸配列または核酸配列をそれを投与する哺乳動物に由来するアミノ酸配列または核酸配列と比較する。このBLASTZのスタンドアローンバージョンは、Fish & Richardsonのウェブサイト(World Wide Web、"fr" ドット "com" スラッシュ "blast")、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)ウェブサイト(World Wide Web、"ncbi" ドット "nhn" ドット "nih" ドット "gov")、またはニューヨーク州立大学オールドウェストベリーライブラリー(the State University of New York at Old Westbury Library)(QH 497.m6714)から得ることができる。B12seqプログラムの使用方法を説明する取扱説明書は、BLASTZに付属するリードミー・ファイル(readme file)に見出すことができる。
【0045】
B12seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを用いて、2つの配列間で比較を行う。BLASTNは核酸配列を比較するために使用され、一方、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。 2つの核酸配列を比較するために、以下のようなオプションが設定される:-iを比較すべき第1の核酸配列を含むファイル(例えば、C: \seq1.txt)に設定する;jを比較すべき第2の核酸配列を含むファイル(例えば、C: \seq2.txt)に設定する;-pをblastnに設定する;-oを任意の所望のファイル名(例えば、C:\output.txt)に設定する;-qを-1に設定する;-rを2に設定する;および他の全てのオプションを初期設定のままにする。例えば、以下のコマンドを、2つの配列間の比較を含むアウトプットファイルを生成するために使用することができる:C:\B12seq-i c:\seq1.txt-j c:\seq2.txt-p blastn-o c:\output.txt-q-1-r 2。2つのアミノ酸配列を比較するために、以下のようなB12seqのオプションが設定される:-iを比較すべき第1のアミノ酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq1.txt)に設定する;jを比較すべき第2のアミノ酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq2.txt)に設定する;-pをblastpに設定する;-oを任意の所望のファイル名(例えば、C:\output.txt)に設定する;および他の全てのオプションを初期設定のままにする。例えば、以下のコマンドを、2つのアミノ酸配列間の比較を含むアウトプットファイルを生成するために使用することができる:C:\B12seq-i c: \seq1.txt-j c:\seq2.txt-p blastp-o c:\output.txt。標的配列が、哺乳動物配列の任意の部分と相同性を示す場合、指定されたアウトプットファイルは、整列化された配列として相同領域を与えると考えられる。標的配列が、哺乳動物配列の任意の部分と相同性を示さない場合、指定されたアウトプットファイルは、整列化された配列を与えないと考えられる。
【0046】
整列化された場合、長さは、哺乳動物配列に由来する配列とのアライメントにおいて与えられる標的配列に由来する、多数の連続するヌクレオチドまたはアミノ酸残基をカウントすることによって決定される。一致する部位は、同一ヌクレオチドまたはアミノ酸残基が、標的および哺乳動物配列の両方において与えられる任意の部分である。標的配列において与えられるギャップは、ギャップがヌクレオチドまたはアミノ酸残基ではないために、カウントされない。同様に、哺乳動物配列において与えられるギャップは、標的配列ヌクレオチドまたはアミノ酸残基が哺乳動物配列に由来するヌクレオチドまたはアミノ酸残基ではなくカウントされるため、カウントされない。
【0047】
決定された長さにわたる同一性%は、長さにわたる一致部位の数をカウントし、長さの数で割った後、得られた値に100を掛けることによって、決定される。例えば、(1)300アミノ酸標的配列を参照配列と比較し、(2)B12seqプログラムによって、参照配列領域と整列化された標的配列から、200個の連続したアミノ酸が提供され、および(3)この200個の整列化されたアミノ酸にわたる一致数が180である場合、300アミノ酸標的配列が、長さ200を有しかつ長さにわたる同一性%が90であるアミノ酸セグメントを含む(即ち、180÷200*100=90)。
【0048】
配列同一性%の値は、小数第2位で四捨五入することに注意すること。例えば、75.11、75.12、75.13および75.14は、75.1に四捨五入し、75.15、75.16、75.17、75.18、および75.19は、75.2に四捨五入する。長さの値は常に整数であると考えられることにも注意すること。
【0049】
本明細書に提供されるポリペプチドの1つまたは複数の非自己セグメントは、典型的に、ポリペプチドを投与する哺乳動物に見出されたポリペプチド由来の配列と、少なくとも95%未満の同一性(例えば、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、または50%未満の同一性)を有する。
【0050】
任意の方法を、例えば、原核生物系による発現、真核生物系による発現、および化学合成技術を含むポリペプチドを作製するために使用することができる。ポリペプチドを精製するために、分画、遠心分離、およびクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されることはない任意の方法を使用することができる。例えば、マルトース結合タンパク質(MBP)を含むポリペプチドを、アミロースアフィニティクロマトグラフィーを使用して、精製することができる。
【0051】
核酸
本発明は、本明細書に記載されるようなポリペプチド(例えば、自己アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含むポリペプチド)をコードする単離核酸を提供する。例えば、本発明の核酸は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしてもよい。あるいは、本発明の核酸は、配列番号:2に記載の配列の一部を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしてもよい。他の態様において、本明細書に提供される核酸は、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしてもよい。単離核酸分子は、また、自己C5アミノ酸セグメントと非自己アミノ酸セグメント(例えば、非自己C5アミノ酸セグメント、非自己脊椎動物アミノ酸セグメント、非自己細菌性アミノ酸セグメント、非自己真菌性アミノ酸セグメント、または非自己ウイルス性アミノ酸セグメント)とを含むポリペプチドをコードしてもよい。単離核酸によってコードされる自己セグメントは、ポリペプチドを投与する哺乳動物に見出されたポリペプチド由来のアミノ酸配列と、少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性、または100%の同一性)を有するアミノ酸セグメント(例えば、C5アミノ酸セグメント)を含んでよい。単離核酸によってコードされる非自己セグメントは、ポリペプチドを投与する哺乳動物に見出されたポリペプチド由来のアミノ酸配列と、95%未満の同一性(例えば、少なくとも94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、または50%未満の同一性)を有するアミノ酸セグメントを含んでよい。
【0052】
本明細書に使用される「核酸」という用語は、cDNA、ゲノムDNA、及び合成(例えば、化学合成)DNAを含む、RNAおよびDNAの両方を包含する。核酸は二本鎖であっても、または一本鎖であってもよい。一本鎖の場合、核酸はセンス鎖であっても、またはアンチセンス鎖であってもよい。さらに、核酸は環状であっても、または直鎖状であってもよい。
【0053】
核酸に関して本明細書に使用される「単離」という用語は、由来となる生物の天然に生じるゲノムにおいて、直接連続する配列の1つまたは両方(5'末端の一方、および3'末端の一方)に直接連続しない、天然に生じる核酸を意味する。例えば、単離核酸には、天然に生じるゲノムにおける組換えDNAが除去されるかまたは欠失するような、直接隣接するように通常見出される核酸配列の1つを提供する任意の長さの組換えDNAであってよいが、これらに限定されることはない。したがって、単離核酸には、他の配列から非依存的な組換えDNA(例えば、cDNA、またはPCRもしくは制限エンドヌクレアーゼ処理により産生されたゲノムDNA断片)、およびベクター、自律複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれる組換えDNAが含まれるが、これらに限定されることはない。さらに、単離核酸は、ハイブリッドまたは融合核酸配列の一部である組換えDNAを含んでもよい。
【0054】
また、本明細書において、核酸に関して使用される「単離」という用語は、天然には生じない核酸配列が、天然に見出されず、かつ天然に生じるゲノム中の直接連続した配列でないため、任意の天然には生じない核酸を含む。例えば、操作された核酸のような天然には生じない核酸は、単離核酸であると考えられる。操作された核酸は、通常の分子クローニング技術または化学的核酸合成技術により作製され得る。単離された天然には生じない核酸は、他の配列と非依存的であってもよく、またはベクター、自律複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれてもよい。さらに、天然には生じない核酸は、ハイブリッドまたは融合核酸配列の一部である核酸を含んでもよい。
【0055】
例えば、cDNAもしくはゲノムライブラリー、またはゲノムDNA制限酵素切断を含むゲル片内の数百から数百万のその他の核酸に存在する核酸を、単離核酸とは考えない。
【0056】
本明細書において、核酸および特定の細胞に関して使用される「外因性」という用語は、天然で見出されるような特定の細胞に由来していない、任意の核酸を意味する。したがって、任意の天然には生じない核酸は、細胞に導入した場合、細胞に対して外因性であると考えられる。天然には生じない核酸が、天然に見出される核酸配列の核酸配列または断片を含んでよいことに注意することは重要である。例えば、発現ベクター内のゲノムDNA配列を含む核酸は、天然には生じない核酸であり、したがって、細胞に導入された場合、全体(ゲノムDNA+ベクターDNA)としての核酸が天然には存在しないために、細胞に対して外因性である。したがって、全体としては天然には存在しない任意のベクター、自律複製プラスミド、またはウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)は、天然には存在しない核酸と考えられる。したがって、PCRまたは制限エンドヌクレアーゼ処理により産生されたゲノムDNA断片、およびcDNAは、天然に見出されない分離された分子として存在するため、天然には生じない核酸であると考えられるということになる。また、天然に見出されない配列内で、プロモーター配列およびポリペプチドコード配列(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)を含む任意の核酸が、天然には生じない核酸であるということになる。
【0057】
天然に生じる核酸が、特定の細胞に対して外因性であってもよい。例えば、ヒトXの細胞から単離された完全染色体は、染色体がヒトYの細胞に導入された場合、ヒトYの細胞に関する外因性核酸であってよい。
【0058】
通常の分子クローニング技術および化学核酸合成技術を含むが、これらに限定されることはない任意の方法を用いて、単離核酸を得ることができる。例えば、配列番号:1に記載の配列に類似性を有する核酸配列を含む単離核酸を得るために、PCRを使用することができる。PCRは、米国特許第4,683,195号に記載されるのと同様の方法において、標的核酸を増幅する処理および技術、ならびに本明細書に記載される処理の後の改変を意味する。一般的に、関心対象領域の末端または近傍からの配列情報は、増幅される潜在的鋳型の反対の鎖に対する配列と同一または類似であるオリゴヌクレオチドプライマーを設計するために使用される。PCRを使用する場合、核酸配列は、RNAまたはDNAから増幅することができる。例えば、核酸配列を、総細胞内RNA、総ゲノムDNAもしくはcDNAから、およびバクテリオファージ配列、プラスミド配列、ウイルス配列などから、PCR増幅によって単離することができる。鋳型の起源としてRNAを使用する場合、逆転写酵素を使用して、相補DNA鎖を合成することができる。
【0059】
また、単離核酸を突然変異誘発法によって得てもよい。例えば、配列番号:1に記載の配列を含む単離核酸を、通常の分子クローニング技術(例えば、部位特異的突然変異誘発法)を用いて、変異させてもよい。可能な突然変異には、欠失、挿入および置換、ならびに欠失、挿入および置換の組み合わせが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0060】
加えて、核酸およびアミノ酸データベース(例えば、GenBank(登録商標))を使用して、単離核酸を得てもよい。例えば、配列番号:1に記載の配列といくらかの相同性を有する任意の核酸配列、または配列番号:2に記載の配列といくらかの相同性を有する任意のアミノ酸配列をクエリーとして使用し、GenBank(登録商標)を検索してもよい。
【0061】
さらに、核酸ハイブリダイゼーション技術を使用して、単離核酸を得てもよい。簡単に述べると、配列番号:1に記載の配列といくらかの相同性を有する任意の核酸配列をプローブとして使用し、中度から高度のストリンジェンシー条件下で、ハイブリダイゼーションによって類似の核酸を同定してもよい。同定された場合、その後、核酸を精製し、配列決定し、および本明細書に記載されるような発明の範囲内であるかどうかを決定するために分析してもよい。
【0062】
サザン解析またはノーザン解析によってハイブリダイゼーションを行い、プローブにハイブリダイズするDNAまたはRNA配列をそれぞれ同定してもよい。プローブをビオチン、ジゴキシゲニン、酵素、または32Pのような放射性同位元素で標識してもよい。解析されるDNAまたはRNAをアガロースゲルまたはポリアクリルアミドゲル上で電気泳動により分離し、ニトロセルロース、ナイロンまたは他の適切な膜に転写し、Sambrookら(1989)の「Molecular Cloning, second edition」のセクション7.39-7.52(Cold Spring harbor Laboratory、Plainview、NY)に記載されるような当技術分野に周知の標準的な技術を用いて、プローブと共にハイブリダイズしてもよい。
【0063】
さらに、ポリペプチドをコードする特定の単離核酸の転写または翻訳を誘導するために、任意の方法を用いてもよい。そのような方法には、調節要素がポリペプチドをコードする核酸配列の発現を促進するような、核酸を構築する段階が含まれるが、これに限定されることはない。典型的には、調節要素は、転写レベルで他のDNA配列の発現を調節するDNA配列である。したがって、調節配列には、プロモーター、エンハンサーなどが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0064】
宿主細胞
本発明は、本明細書に記載される少なくとも1つの単離核酸を含む宿主細胞を提供する。そのような細胞は、原核細胞または真核細胞であってよい。本発明の範囲内の単離核酸を含む細胞は、ポリペプチドを発現するために必要ではないことに注意すること。さらに、単離核酸を細胞のゲノムに導入して、エピソームの状態に維持することができる。したがって、宿主細胞を本発明の単離核酸を含む構築物で、安定的または一過的にトランスフェクションしてもよい。
【0065】
本明細書に提供される宿主細胞は、ポリペプチドをコードする外因性核酸を含んでよい。例えば、細胞は、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントをコードする核酸を含んでよい。さらに、宿主細胞は、コードされたポリペプチドを発現してよい。
【0066】
インビボまたはインビトロで細胞に単離核酸を導入するために、任意の方法を使用することができる。例えば、リン酸カルシウム沈殿法、エレクトロポレーション、熱ショック、リポフェクション、マイクロインジェクション、およびウイルス媒介性核酸転移は、細胞に単離核酸を導入するために使用可能な通常の方法である。さらに、裸のDNAを、以下のいずれかに記載されるように(例えば、米国特許第5,580,859号および同第5,589,466号、ならびにそれらの継続出願を参照のこと)、インビボで細胞を直接的に送達することができる。さらに、トランスジェニック動物を作製することによって、単離核酸を細胞中に導入することができる。
【0067】
トランスジェニック動物は、水性動物(例えば、魚類、サメ、イルカなど);家畜動物(例えば、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ウサギなど);齧歯類(例えば、マウス、モルモット、およびラット);非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、サル、およびチンパンジー);ならびにペット動物(例えば、イヌおよびネコ)であってよい。動物に単離核酸を導入して、トランスジェニック動物の創始となる系を作製するために、当技術分野において既知のいくつかの技術を使用することができる。このような技術には、前核マイクロインジェクション(米国特許第4,873,191号);胚細胞へのレトロウイルス媒介遺伝子転移(Van der Putten et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 6148(1985));胚性幹細胞への遺伝子トランスフェクション(Gossler et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83 : 9065-9069(1986));胚性幹細胞への遺伝子ターゲッティング(Thompson et al.、Cell 56: 313(1989));体細胞核の核移入(Schnieke et al.、Science 278: 2130-2133(1997));および胚のエレクトロポレーション(Lo Mol. Cell. Biol. 3: 1803-1814(1983))が含まれるが、これらに限定されることはない。トランスジェニック動物を得た場合には、従来の交配または動物クローニング法を使用して、トランスジェニック動物を複製することができる。
【0068】
本発明の単離核酸を含む細胞を単離するために、任意の方法を使用することができる。このような方法には、ノーザン解析およびサザン解析のような、PCRおよび核酸ハイブリダイゼーション技術が含まれるが、これらに限定されることはない。いくつかの場合において、特定の核酸によってコードされるポリペプチドの発現を検出することによって、細胞が特定の単離核酸を含むかどうかを決定するために、免疫組織化学および生化学的技術を使用することができる。
【0069】
炎症状態を治療する方法
本明細書に提供されるポリペプチドを、炎症状態を治療するための薬剤または組成物の製造において、使用することができる。したがって、本発明は、炎症状態を治療するための方法を提供する。このような方法は、哺乳動物に組成物を投与する段階を含むが、これに限定されることはない。組成物は、免疫応答が望まれる抗原として作用するポリペプチドを含んでもよい。さらに、組成物は、1つより多くのポリペプチドを含んでもよく、または異なるポリペプチドの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、組成物は、ウイルスポリペプチドおよび哺乳動物ポリペプチドの両方を含んでもよい。組成物中の各ポリペプチドは、同一のアミノ酸配列を有してよいことに注意すること。さらに、組成物中のポリペプチドは、免疫応答が望まれる定義された抗原性単位として各々が作用できる、異なるアミノ酸セグメントを含んでよい。したがって、組成物中のポリペプチドは、受容体結合領域、リガンド結合領域、酵素活性化部位、ポリペプチド基質の酵素切断部位、抗体の抗原結合領域、および抗体によって認識されるエピトープを含むがこれらに限定されることはないポリペプチド由来の任意の領域に対応する、異なるアミノ酸セグメントを含んでよい。例えば、組成物中のポリペプチドは、C5のC5コンバターゼ認識配列に各々が対応する、異なる3つのアミノ酸セグメントを含んでよい。さらに、異なるまたは同一のアミノ酸セグメントは、同一のポリペプチドにわたって、タンデムまたは分散していてよい。典型的には、ポリペプチドの投与によって、組成物中の1つもしくは複数のポリペプチド内のアミノ酸セグメントによって形成されるエピトープ、またはエピトープの組み合わせのために特異性を有する抗体が形成される。
【0070】
組成物は、宿主細胞に導入される場合、特定のポリペプチドを発現するように設計された単離核酸を含んでよい。例えば、単離核酸は、自己C5aアミノ酸セグメントと1つもしくは複数の非自己T細胞エピトープとを有するポリペプチドをコードするように設計されてよい。構築された場合、単離核酸は、コードポリペプチドを発現するように、宿主細胞に導入されてもよい。原核細胞(例えば、細菌)および真核細胞(例えば、ヒト細胞)を含む任意の宿主細胞を使用することができるが、これらに限定されることはない。産生された場合、ポリペプチドを精製して、哺乳動物にワクチン接種するために使用することができる。あるいは、特定のポリペプチドを発現するように設計された単離核酸を含む組成物を、このポリペプチドをインビボで発現するような哺乳動物に投与することができる。
【0071】
組成物を、本明細書に提供されるポリペプチド(例えば、免疫原性ポリペプチド)または単離核酸(例えば、免疫原性ポリペプチドをコードする核酸)の任意のものと薬学的に許容される担体とを組み合わせることによって、製造することができる。そのような担体には、滅菌水性もしくは滅菌非水性の溶液、懸濁液、および乳液が含まれるが、それらに限定されることはない。非水性溶液の例には、鉱油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、および注射可能な有機エステルなどが含まれる。水性担体には、水、アルコール、塩水、および緩衝溶液が含まれるが、これらに限定されることはない。保存剤、風味剤、およびその他の、例えば、抗細菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどの添加物が存在してもよい。本明細書に記載の哺乳動物に投与すべき任意の物質は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含んでよいことが認識されると思われる。
【0072】
組成物はまた、アジュバントを含んでよい。「アジュバント」とは、ポリペプチドのような特定の抗原に対する免疫応答を増強することができる、免疫学的化合物である。例えば、ミョウバンおよびその他のアルミニウムをベースとする化合物(例えば、Al2O3)などのアジュバントを自己アミノ酸セグメント(例えば、自己C5アミノ酸セグメント)を含むポリペプチドと組み合わせて、哺乳動物に投与する場合に抗自己応答を誘発する組成物を形成することができる。アルブミンをベースとする化合物を様々な業者から得ることができる。例えば、リハイドロゲル(REHYDRAGEL)(登録商標)アジュバントをReheis Inc.(Berkeley Heights、NJ)から得ることができる。リハイドロゲル(登録商標)アジュバントは、アルミニウムオキシヒドロキシド結晶をベースとし、大きな表面面積(約525 m2/g)を有する結晶粒子を含む水和ゲルである。Al2O3含量は、典型的に約2%〜約10%の範囲である。例えば、リハイドロゲルLG(Rehydragel LG)は、約6%のAl2O3含量を有し、わずかな攪拌で容易に流出する。リハイドロゲルLGは、また、タンパク質結合能 1.58(即ち、1 mgのAl2O3当たり1.58 mgのウシ血清アルブミン)、ナトリウム含量 0.02%、塩化物含量 0.28%、検出不能な硫酸塩、ヒ素レベル 3 ppm未満、重金属含量 15 ppm未満、pH 6.5、および粘度 1090 cpを有する。リハイドロゲルLG(Rehydragel LG)をポリペプチド溶液(例えば、PBS中のポリペプチド)に組み合わせて、Al(OH)3 を産生することができる。さらに、Brenntag Stinnes Logisticsから得られるアルハイドロゲル(ALHYDROGEL)(商標)、アルミニウムヒドロキシゲルアジュバント(アルハイドロゲル 1.3%、アルハイドロゲル 2.0%、またはアルハイドロゲル "85")を使用してもよい。
【0073】
さらに、MN51を本明細書において提供されるポリペプチドと組み合わせて、哺乳動物に投与する場合に抗自己応答を誘発する組成物を形成することができる。MN51(モンタナイド(MONTANIDE)(登録商標)不完全セピックアジュバント(Incomplete SEPPIC Adjuvant)(ISA)51)およびMN720は、Seppic(Paris、France)から市販されている。MN51は、鉱油溶液(ドラケオール6VR(Drakeol 6 VR))中に、マンニドオレエート(mannide oleate)(モンタナイド(MONTANIDE)(登録商標)80、アンハイドロマンニトールオクタデセノエート(anhydro mannitol octadecenoate)としても知られる)を含む。モンタナイド(登録商標)80は、最大酸価 1、けん化価 164〜172、ヒドロキシル価 89〜100、ヨウ素価 67〜75、最大過酸化物価 2、重金属価 20 ppm未満、最大含水量 0.35%、最大色価 9、および25℃での粘度 約300 mPasを有する透明な液体である。油に関係するモンタナイド(例えば、鉱油、植物油、スクアラン、またはエステル)は、モンタナイド(登録商標)ISAとして知られている。ドラケオール6VRは、薬学的等級の鉱油である。ドラケオール6VRは、不飽和または芳香族炭化水素を含まず、A.P.I.比重 36.2〜36.8、25℃での比重 0.834〜0.838、100°Fでの粘度 59〜61 SSUまたは10.0〜10.6センチストーク、25℃での屈折率 1.458〜1.463であり、ベターザンミニマムアシッドテスト(better than minimum acid test)が、360 nmでの蛍光に対して陰性であり、可視懸濁物(visible suspended matter)に対して陰性であり、ASTM流動試験の値 0〜15°Fであり、最少ASTM引火点 295°Fであり、ならびに軽油および紫外線吸収に対する全てのRN要件に適合する。MN51は、約8%〜約12%のアンハイドロマンニトールオクタデセノエートおよび約88%〜約92%の鉱油を含む。MN51は、最大酸価 0.5、けん化価 16〜20、ヒドロキシル価 9〜13、最大酸化物価 2、ヨウ素価 5〜9、最大含水量 0.5%、25℃での屈折率 1.455〜1.465、20℃での密度 約0.85、および20℃での粘度 約50 mPasを有する透明な黄色液体である。MN51と塩水の50:50混合物の伝導率は、10 μScm-1未満である。
【0074】
他のアジュバントには、コレステロールおよびサポニンとしてそのような組成物を得ることができる免疫刺激複合体(immuno-stimulating complexes(ISCOM))が含まれる。ISCOMマトリックスを調製し、本明細書に記載されるような方法を用いてCu2+を結合させることができる。FCA、FIA、MN51、MN720およびAl(OH)3のようなアジュバントは、Seppic、Difco Laboratories(Detroit、MI)およびSuperfos Biosector A/S(Vedbeak、Demark)などの企業から市販されている。
【0075】
いくつかの態様において、組成物はまた、1つまたは複数の付加的な免疫促進組成物を含んでもよい。これらには、ムラミルジペプチド(例えば、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン:MDP)、モノホスホリル-リピドA(MPL)、およびN-ホルミル-Met-Leu-Pheのようなトリペプチドを含むホルミル-メチオニンが含まれるが、それらに限定されることはない。そのような化合物は、例えば、Sigma Chemical Co.(St. Louis、MO)およびRIBI ImmunoChem Research、Inc.(Hamilton、MT)から市販されている。
【0076】
本明細書に提供される組成物は、任意の割合のアジュバントとポリペプチドを含むことができる。アジュバント対抗原の割合は、例えば、50: 50(体積:体積)であってもよい。または、アジュバント対抗原の割合は、90:10、80:20、70:30、64:36、60:40、55:45、40:60、30:70、20:80、または90:10であり得るが、これらに限定されることはない。
【0077】
本明細書に提供される有効量の任意の組成物を、宿主に投与してもよい。本明細書に使用される「有効」という用語は、所望の免疫応答を誘導するが、宿主における顕著な毒性を誘導することはない任意の量を意味する。既知の量の特定の組成物を投与した後、宿主の免疫応答を評価することによって、そのような量を決定することができる。さらに、いくらかでも毒性レベルがあれば、既知の量の特定の組成物を投与する前後で、宿主の臨床症状を評価することにより、決定することができる。宿主に投与される有効量の特定の組成物は、所望の結果、ならびに宿主の応答および毒性レベルに関して、調整され得ることに注意すること。顕著な毒性は、各特定の宿主により様々であり得、宿主の疾患状態、年齢、および痛みに対する耐性を含むがこれらに限定されない複数の因子に依存する。
【0078】
さらに、本明細書に記載される任意の組成物を、宿主の体の任意の部分に投与することができる。組成物を、哺乳動物の関節、鼻粘膜、血液、肺、胃腸、筋肉組織、皮膚、または腹腔に送達してもよいが、これらに限定されることはない。さらに、組成物を、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、くも膜下もしくは髄腔内注射、経口もしくは経鼻投与、吸入、または経時的な段階的灌流(gradual perfusion over time)によって投与してもよい。さらなる例において、宿主に組成物のエアロゾル調製物を吸入によって与えてもよい。本明細書に提供される任意の組成物で処理する期間は、1日などの短い期間から、宿主の寿命などの長い期間(例えば、幾年も)まで、任意の期間であってよい。例えば、ポリペプチドを3ヵ月間、1ヵ月に一度投与してもよく、または十年間、一年に一度投与してもよい。処理の頻度は様々であり得ることにも注意すること。例えば、ポリペプチドを、毎日、毎週、毎月または毎年に1回(または2回、3回など)投与してもよい。
【0079】
特定の免疫応答が誘発されたかどうかを決定するために、任意の方法を使用することができる。例えば、特定の抗原に対する抗体応答は、免疫学的アッセイ法(例えば、ELISA)により決定される。そのようなアッセイ法では、マイクロタイタープレートのウェルをC5でコーティングして、哺乳動物で抗C5抗体を産生するように設計された組成物で処理された哺乳動物に由来する血清とインキュベートし、抗C5抗体の存在および非存在について、標識した抗ラットIgGを用いて決定してもよい。さらに、特定の疾患状態の程度を評価可能な臨床的方法を使用して、所望の免疫応答が誘発されたか否かを決定してもよい。例えば、炎症の減少は、抗C5抗体を産生するために設計された組成物で処理された患者において、所望の免疫応答を示すことができる。所望の免疫応答の指標を支持するために、そのような患者の血液試料における抗C5抗体レベルを、上記のELISA技術を用いて測定してもよい。
【0080】
製造物
本明細書に提供されるポリペプチドおよび組成物を薬剤の製造に使用することができる(例えば、炎症状態を治療するための薬剤)。さらに、本発明は、本明細書に提供されるポリペプチドおよび組成物を含み得る製造物を提供する。製造物を提供するための構成要素および方法は周知である。製造物には、例えば、抗自己C5抗体の産生を誘発する1つまたは複数のポリペプチド(例えば、自己C5アミノ酸セグメント、および非自己C5アミノ酸セグメントのような非自己アミノ酸セグメントを含む1つまたは複数のポリペプチド)が含まれてもよい。さらに、製造物は、例えば、緩衝液または炎症状態を治療もしくは監視するための他の制御試薬をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、そのような製造物は、中に含まれるポリペプチドが炎症状態の治療に有効であることを示すラベルまたは指示書を含んでもよい。
【0081】
本発明は以下の実施例においてより詳細に説明されるが、これは特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0082】
実施例
実施例1:マウスC5aポリペプチドの産生および精製
マウスpro-C5 DNA配列(配列番号:1)を図1に示し、シグナルペプチドを含むマウスpro-C5のアミノ酸配列(配列番号:2)を図2に示す。マウスC5aのコード領域を、全マウス肝臓cDNAライブラリーからのPCR増幅によって単離した。PCR断片を、細菌発現ベクターpMAL-p2x(図3; New England Biolabs、Beverly、MA)にライゲーションし、マルトース結合タンパク質(MBP)をコードする配列に結合させた。PCRによってこのベクターから、MBP-C5a融合ポリペプチドのコード領域を増幅した。融合ポリペプチドの最終精製を促進するため、5'PCRプライマーは、6つのヒスチジン残基もコードしていた。さらに、クローニングのために、5'プライマーはEcoRI部位を含み、3'プライマーはSalI部位を含んでいた。PCR産物(図4に示される配列)をエピソーム性に維持される哺乳動物発現ベクター、pCEP-Pu2に導入した。これは、免疫グロブリン可変領域に由来するシグナル配列を含む。PCR産物のSalI部位をpCEP-Pu2ベクターのXhoI部位にライゲーションして、両部位を破壊した。融合ポリペプチドをコードするPCR産物のヌクレオチド配列は、配列番号:3に示され、融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号:4に示される。
【0083】
実施例2:哺乳類細胞由来のMBP-C5aの産生および精製
分泌融合ポリペプチドを過剰発現および精製するために、6His-MBP-C5a融合ポリペプチドを含むpCEP-Pu2構築物を293-EBNA細胞にトランスフェクトした。リポフェクションにより、哺乳動物EBNA-293細胞をトランスフェクションし、5%のウシ胎仔血清、0.5 μg/mlのピューロマイシン、50 μg/mlのゲンタマイシン、および10 μg/mlのジェネティシンを添加したダルベッコの改変イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM))中で培養した。成長細胞を増殖させ、4〜5日毎に馴化培地を回収した。遠心分離によって、細胞と破砕物を除去した。
【0084】
融合ポリペプチドは、Ni-NTAアガロースによる精製が可能なように、6つのヒスチジン残基を含んだ。20%エタノール中に〜0.35 mlのビーズを含むNi-NTAアガローススラリーの0.75 mlのアリコート(QIAGEN GmbH、Germany)を500 mlの馴化培地に対して添加した。振盪機上で4℃にて一晩インキュベーションした後、Ni-NTAアガロースを、約2000 gで10分間遠心分離することによってペレット化し、カラムに移した。ビーズを、1 M NaClおよび0.1% ツイーン-20の存在下、PBS(pH 7.4)で洗浄し、製造業者の指示に従い、0.1 M NaClを含む20 mM Tris(pH 8.0)中の100 mMイミダゾール(Merck, Germany)で溶出した。ポリペプチドを含む画分をプールし、その画分を、分子量カットオフ値、12,000〜14,000 Da(Spectra/Por Membranes、Spectrum Laboratories、Inc.、Rancho Dominguez、CA)の膜を用いて、PBS(pH 7.4)に対して透析した。必要な場合には、マクロセプ10K遠心装置(Macrosep 10K centrifugal device)(PALL Gelman Laboratory)を用いて、試料を濃縮した。最終ポリペプチド濃度をブラッドフォード(Bradford)アッセイ法(BIO-RAD Protein Assay、Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)により推定した。細胞は、6His-MBP-C5a融合ポリペプチドを約2 mg/lのレベルで産生した。レインボープロテイン分子量マーカー(Rainbow protein molecular weight marker)(Amersham International、Buckinghamshire、England)を用いて、サイズを推定した。ポリペプチドは、予想サイズ53 kDのところに移動した。融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、図5に示される。
【0085】
実施例3:マウスコラーゲン誘導関節炎におけるMBP-C5aの効果
使用直前に、PBS中の精製6His-MBP-C5aポリペプチドを、完全フロイントアジュバント(Complete Freund's Adjuvant:CFA)または不完全フロイントアジュバント(Incomplete Freund's Adjuvant:IFA)と1:1の割合で組み合わせた。溶液を繰り返し作製して、18G針を装着したハミルトン注射器(Hamilton Corp.、Reno、NE)に入れ、軟膏と類似する流動特性を有する白色乳液が形成されるまで混合した。混合物を投与するための注射器に23G針を配置した。等量のPBSおよびCFAまたはIFAを含む対照混合物も調製した。
【0086】
12週齢の雄QB(Balb/c X B10.Q)F1マウスを各々14匹または16匹の2つの群に分け、CFA中に乳化させた100 μgのMBP-C5aまたは対照混合物のいずれかを、-21日目に肩甲骨に皮下注射した。血液試料を-21日目に採取して、血清を-20℃で保存した。-3日目および28日目に、動物にIFA中の50 μgのMBP-C5aまたは対照混合物のいずれかを追加注射した。典型的には、注射では100〜200 μLの容量を投与した。
【0087】
関節炎を誘導するため、0日目にマウスの尾根部に、CFA中に1:1で乳化させた100 μgのペプシン切断CIIを皮内注射した。関節炎は、28〜56日目に発症すると予測された。35日目に、動物にIFA中の乳化させたCIIを追加注射して、35日目に血液試料を採取した。動物は、14日目から実験が終了する時点である90日目まで、毎週少なくとも3回検査を行った。動物の各足の炎症性の関節の数に基づくスコア化システムを使用して、動物を盲検的にスコア化した。炎症を、膨潤および発赤により定義した。このスコア化システムにおいて、各炎症性の足指または指関節を1点とし、炎症性手根または足根を5点とした。これにより、各足に対してスコア 0〜15(足指 5 + 指関節 5 + 手根/足根 1)であり、各マウスに対してスコア 0〜60となった。実験は、90日目または関節炎の発症に基づいて適切であると判断される場合に、終了した。異常な毛皮の状態、常同的態度または行動の変化、感染、または予想される関節炎疾患に関連して通常生じる症状とは異なる顕著もしくは予測不能なその他の副作用は、いずれのマウスにも生じなかった。動物をエンフルラン(Forene(登録商標))/酸素で麻酔し、リオービタル(reorbital)穿刺によって血液を得た。血液を採取し、-20℃で保存した。-21日目、35日目の血清を採取し、検査の終了時にELISA法を用いて、抗CII抗体および抗C5a抗体のレベルを評価した。
【0088】
マン・ホイットニー試験(Mann-Whitney test)を使用して、スコア化データを解析し、曲線下部領域(area under the curve)およびカイ二乗値を使用して、関節炎の発症の有意性を解析した。一回目のコラーゲン処理から28日目に、対照群では14匹のうち7匹のマウス(50%)が炎症を示し、一方、MBP-C5aを前処理した群では16匹のうち2匹のみ(12.5%)が炎症を示した(図6)。これらのデータは、カイ二乗P値 0.025であった。炎症の累積発症(67日目として)は、対照群では14匹のうち14匹のマウス、およびMBP-C5aを前処理した群では16匹のうち11匹であった(P = 0.022)。したがって、コラーゲン誘導関節炎の発症は、2つの群の間で有意に異なった。
【0089】
炎症量に基づく平均関節炎スコアを1〜90日の間、各群に対してプロットした(図7)。各群の最大1マウススコアは60であった。検査の終了時に、最大生存率は、対照群において平均値 38.6、MBP-C5aで前処理した群において19.0であった(P = 0.0085 ; 図8)。曲線下部領域は、対照群の平均値 485.9、およびMBP-C5aで前処理した群の平均値 168.9であった(P = 0.0012 ; 図9)。これらの結果は、MBP-C5a融合ポリペプチドの処理がこれらの動物にコラーゲン誘導関節炎の発症および重篤度を減少させることを示した。
【0090】
実施例4:QB-BCマウスの慢性コラーゲン誘導関節炎におけるMBP-C5aの効果
PBS中の精製MBP-C5aポリペプチドを上記のように、CFAまたはIFAと組み合わせた。等量のPBSおよびCFAまたはIFAを含む対照混合物も調製した。
【0091】
8〜10週齢の雄および雌のQB-BC(B10.Q(Balb/c X B10.Q))マウスの尾根部に、IFA中に1:1で乳化させた100 μgのペプシン切断CIIを皮内注射した。35日後、マウスにIFA中の50 μgのペプシン切断CIIの二回目の注射を行った。その後、マウスを慢性関節炎の発症に関して、1週間に少なくとも3回スコア化した。多数の(ただし全てではない)マウスが、活性化した関節炎(active arthritis)の再発期によって特徴付けられる慢性再発性疾患過程を発症した。これらの再発は予測無しに出現し、1回で2〜3週間継続して、一生涯起こるように思われた。コホートにおける関節炎効果の変動は、主に、遺伝的な不均一性のためであった(マウスは、ヒトにおける遺伝的状況を模倣することを目的とした実験設計により、N2動物であった)。
【0092】
再発の反復を調整するために、慢性再発期の間にマウスをCIIで再免疫化した。マウスが12〜14ヶ月齢の時に、慢性再発性疾患を有するが、活性化した疾患再発は現在有していない動物を無作為に混合し、4つの同じサイズの群に分けた。制御された関節炎再発を誘導するために、PBS中の100 μgの MBP-C5a(n=24)またはPBSのみ(n=12)を各々CFA中に1:1で乳化させたものを、-21日目(一回目のCII免疫化から259日目)にマウスの肩甲骨に皮下注射した。-3日目に、動物にPBS中の50 μgのMBP-C5aまたはPBSのみ(各々CFA中)のいずれかを追加注射した。0日目(一回目のCII免疫化から280日目)に、両方の群の動物の尾根部に、IFA中に1:1で乳化させた50 μgのペプシン切断CIIを皮内注射した。21日目(一回目のCII免疫化から301日目)に、PBS中の50 μgのMBP-C5aまたはPBSのみを、二回目の追加注射によって投与した。さらに、-21日目および0日目に、リオービタル穿刺によって血液試料を得た。
【0093】
前記のスコア化システムを使用して、動物を盲検的にスコア化したところ、各マウスで関節炎スコア0〜60を得た。実験は一回目のCII免疫化から358日目で終了した。これらの試験により、全ての対照マウスが、特に40日目周辺で関節炎症状を示したが、MBP-C5aで免疫化したマウスの50%のみが、慢性関節炎を示した(p<0.05 ; 図10)。さらに、試験の開始(即ち、CIIの一回目の注射)から358日以降、再発または反復の後78日目の試験終了まで、平均関節炎スコアを2つの群に対して決定した(図11)。平均関節炎スコアは、MBP-C5aの免疫化までは、2つの群の間で有意な差はなかったが、免疫化後に、平均関節炎スコアは、対照群よりも有意に低下した(P<0.05 ; 図11)。これらの結果により、MBP-C5a融合ポリペプチドが、処理された動物における慢性再発性関節炎の発症を減少させることが可能なことが示された。
【0094】
他の態様
本発明は、その詳細な説明と共に記載されるものであり、先の記載は本発明を例示することを意図するものであって、本発明を限定することを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲によって、本発明が定義されることが理解されると思われる。
【0095】
その他の局面、利点および改変は、特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】マウスpro-C5 DNA配列(配列番号:1)を示す図である。
【図2】シグナルペプチドを含むマウスpro-C5のアミノ酸配列(配列番号:2)を示す図である。
【図3】マルトース結合タンパク質(MBP)およびマウスC5aを含む融合ポリペプチドを発現させるために設計された核酸ベクターを示す図である。
【図4】MBP-C5a PCR産物の核酸配列(配列番号:3)である。
【図5】MBP-C5a融合ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:4)である。
【図6】対照マウス(白菱形)およびMBP-C5a融合ポリペプチドをワクチン接種したマウス(黒丸)における、コラーゲン誘導関節炎の発症率をプロットしたグラフである。 *、p<0.05 ; **、p<0.01 ; ***、p<0.005。
【図7】対照マウス(白丸)およびMBP-C5a融合ポリペプチドをワクチン接種したマウス(黒丸)における、コラーゲン誘導関節炎の平均関節炎スコアをプロットしたグラフである。*、p<0.05 ; **、p<0.01 ; ***、p<0.005。
【図8】対照マウスおよびMBP-C5a融合ポリペプチドをワクチン接種したマウスにおける、コラーゲン誘導関節炎の平均最大関節炎スコアをプロットしたグラフである。**、p<0.01。
【図9】コラーゲンを注射した後、PBC(対照)またはMBP-C5a融合ポリペプチドを処理したマウスから得られた関節炎スコアデータのために、曲線下部領域をプロットしたグラフである。***、p<0.005。
【図10】対照マウス(黒丸)およびMBP-C5a融合ポリペプチドをワクチン接種したマウス(白菱形)における、慢性コラーゲン誘導関節炎の発症率(%)をプロットしたグラフである。*、p<0.05 ; **、p<0.01。
【図11】対照マウス(黒丸)およびMBP-C5a融合ポリペプチドをワクチン接種したマウス(白丸)における、慢性コラーゲン誘導関節炎の平均スコアをプロットしたグラフである。*、p<0.05。
【図1−1】

【図1−2】

【図2−1】

【図2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物に抗C5応答を誘導するように、該哺乳動物に自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含むポリペプチドを投与する段階を含む、炎症状態を有する哺乳動物を治療する方法であって、該哺乳動物のゲノムが、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含む方法。
【請求項2】
哺乳動物がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
炎症状態が、敗血症、心筋虚血/再潅流障害、成人呼吸促進症候群、腎炎、移植片拒絶、リウマチ性関節炎、喘息、炎症性腸疾患、多発性硬化症、動脈硬化症、および脈管炎からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ポリペプチドがMBP-C5aである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
自己C5アミノ酸セグメントがC5a配列の一部を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
非自己アミノ酸セグメントがC5配列の一部を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
非自己アミノ酸セグメントがウイルス性である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
非自己アミノ酸セグメントが細菌性である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
非自己アミノ酸セグメントが真菌性である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
非自己アミノ酸セグメントが哺乳動物由来である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
非自己アミノ酸セグメントが天然には生じないものである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
非自己アミノ酸セグメントが、少なくとも2つのT細胞エピトープを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己C5アミノ酸セグメントを含むポリペプチドを含む組成物。
【請求項14】
哺乳動物へのポリペプチド投与によって該哺乳動物に抗C5応答が誘導され、該哺乳動物のゲノムが、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
非自己C5アミノ酸セグメントが天然には生じないものである、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
非自己C5アミノ酸セグメントが少なくとも2つのT細胞エピトープを含む、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己脊椎動物アミノ酸セグメントを含むポリペプチドを含む組成物。
【請求項18】
哺乳動物へのポリペプチド投与によって該哺乳動物に抗C5応答が誘導され、該哺乳動物のゲノムが、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含む、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
非自己脊椎動物アミノ酸セグメントが哺乳動物アミノ酸セグメントである、請求項17記載の組成物。
【請求項20】
非自己脊椎動物アミノ酸セグメントが少なくとも2つのT細胞エピトープを含む、請求項17記載の組成物。
【請求項21】
自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含むポリペプチドを含む組成物であって、該非自己アミノ酸セグメントの長さが350個未満のアミノ酸残基である組成物。
【請求項22】
哺乳動物へのポリペプチド投与によって該哺乳動物に抗C5応答が誘導され、該哺乳動物のゲノムが、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含む、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
非自己アミノ酸セグメントがウイルス性である、請求項21記載の組成物。
【請求項24】
非自己アミノ酸セグメントが細菌性である、請求項21記載の組成物。
【請求項25】
非自己アミノ酸セグメントが真菌性である、請求項21記載の組成物。
【請求項26】
非自己アミノ酸セグメントが哺乳動物由来である、請求項21記載の組成物。
【請求項27】
非自己アミノ酸セグメントが天然には生じないものである、請求項21記載の組成物。
【請求項28】
非自己哺乳動物アミノ酸セグメントが、少なくとも2つのT細胞エピトープを含む、請求項21記載の組成物。
【請求項29】
非自己アミノ酸セグメントの長さが300個未満のアミノ酸残基である、請求項21記載の組成物。
【請求項30】
非自己アミノ酸セグメントの長さが250個未満のアミノ酸残基である、請求項21記載の組成物。
【請求項31】
非自己アミノ酸セグメントの長さが200個未満のアミノ酸残基である、請求項21記載の組成物。
【請求項32】
自己C5アミノ酸セグメントおよび細菌性アミノ酸セグメントを含むポリペプチドとアジュバントとを含む、組成物。
【請求項33】
細菌性アミノ酸セグメントがMBPである、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
自己C5アミノ酸セグメントと真菌性アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドを含む組成物。
【請求項35】
自己C5アミノ酸セグメントとウイルス性アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドを含む組成物。
【請求項36】
自己C5アミノ酸セグメントと非自己C5アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸。
【請求項37】
自己C5アミノ酸セグメントと非自己脊椎動物アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸。
【請求項38】
自己C5アミノ酸セグメントと非自己アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸であって、該非自己アミノ酸セグメントの長さが350個未満のアミノ酸残基である単離核酸。
【請求項39】
非自己アミノ酸セグメントの長さが300個未満のアミノ酸残基である、請求項38記載の単離核酸。
【請求項40】
非自己アミノ酸セグメントの長さが250個未満のアミノ酸残基である、請求項38記載の単離核酸。
【請求項41】
非自己アミノ酸セグメントの長さが200個未満のアミノ酸残基である、請求項38記載の単離核酸。
【請求項42】
自己C5アミノ酸セグメントと細菌性アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸であって、該ポリペプチドが、該C5アミノ酸セグメントと該細菌性アミノ酸セグメントとの間のXa因子切断部位を欠損する、単離核酸。
【請求項43】
非自己細菌性アミノ酸セグメントがMBPである、請求項42記載の単離核酸。
【請求項44】
自己C5アミノ酸セグメントと真菌性アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸。
【請求項45】
自己C5アミノ酸セグメントとウイルス性アミノ酸セグメントとを含むポリペプチドをコードする単離核酸。
【請求項46】
請求項36、37、38、42、44または45のいずれか一項記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項47】
ポリペプチドを発現する、請求項46記載の宿主細胞。
【請求項48】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドを含む組成物であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己C5アミノ酸セグメントを含む、組成物。
【請求項49】
哺乳動物へのポリペプチド投与によって該哺乳動物に抗C5応答が誘導され、該哺乳動物のゲノムが、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含む、請求項48記載の組成物。
【請求項50】
非自己C5アミノ酸セグメントが天然には生じないものである、請求項48記載の組成物。
【請求項51】
非自己C5アミノ酸セグメントが少なくとも2つのT細胞エピトープを含む、請求項48記載の組成物。
【請求項52】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドを含む組成物であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己脊椎動物アミノ酸セグメントを含む、組成物。
【請求項53】
哺乳動物へのポリペプチド投与によって該哺乳動物に抗C5応答が誘導され、該哺乳動物のゲノムが、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含む、請求項52記載の組成物。
【請求項54】
非自己脊椎動物アミノ酸セグメントが哺乳動物アミノ酸セグメントである、請求項52記載の組成物。
【請求項55】
非自己脊椎動物アミノ酸セグメントが少なくとも2つのT細胞エピトープを含む、請求項52記載の組成物。
【請求項56】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドを含む組成物であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含み、該非自己アミノ酸セグメントの長さが350個未満のアミノ酸残基である、組成物。
【請求項57】
哺乳動物へのポリペプチド投与によって該哺乳動物に抗C5応答が誘導され、該哺乳動物のゲノムが、自己C5アミノ酸セグメントをコードする核酸を含む、請求項56記載の組成物。
【請求項58】
非自己アミノ酸セグメントがウイルス性である、請求項56記載の組成物。
【請求項59】
非自己アミノ酸セグメントが細菌性である、請求項56記載の組成物。
【請求項60】
非自己アミノ酸セグメントが真菌性である、請求項56記載の組成物。
【請求項61】
非自己アミノ酸セグメントが哺乳動物由来である、請求項56記載の組成物。
【請求項62】
非自己アミノ酸セグメントが天然には生じないものである、請求項56記載の組成物。
【請求項63】
非自己哺乳動物アミノ酸セグメントが少なくとも2つのT細胞エピトープを含む、請求項56記載の組成物。
【請求項64】
非自己アミノ酸セグメントの長さが300個未満のアミノ酸残基である、請求項56記載の組成物。
【請求項65】
非自己アミノ酸セグメントの長さが250個未満のアミノ酸残基である、請求項56記載の組成物。
【請求項66】
非自己アミノ酸セグメントの長さが200個未満のアミノ酸残基である、請求項56記載の組成物。
【請求項67】
ポリペプチドとアジュバントとを含む哺乳動物に投与するための組成物であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが自己C5アミノ酸セグメントおよび細菌性アミノ酸セグメントを含む、組成物。
【請求項68】
細菌性アミノ酸セグメントがMBPである、請求項67記載の組成物。
【請求項69】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドを含む組成物であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが自己C5アミノ酸セグメントおよび真菌性アミノ酸セグメントを含む、組成物。
【請求項70】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドを含む組成物であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが自己C5アミノ酸セグメントおよびウイルス性アミノ酸セグメントを含む、組成物。
【請求項71】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己C5アミノ酸セグメントを含む、単離核酸。
【請求項72】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己脊椎動物アミノ酸セグメントを含む、単離核酸。
【請求項73】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含み、該非自己アミノ酸セグメントの長さが350個未満のアミノ酸残基である、単離核酸。
【請求項74】
非自己アミノ酸セグメントの長さが300個未満のアミノ酸残基である、請求項73記載の単離核酸。
【請求項75】
非自己アミノ酸セグメントの長さが250個未満のアミノ酸残基である、請求項73記載の単離核酸。
【請求項76】
非自己アミノ酸セグメントの長さが200個未満のアミノ酸残基である、請求項73記載の単離核酸。
【請求項77】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが自己C5アミノ酸セグメントおよび細菌性アミノ酸セグメントを含み、該ポリペプチドが、該C5アミノ酸セグメントと該細菌性アミノ酸セグメントとの間のXa因子切断部位を欠損する、単離核酸。
【請求項78】
非自己細菌性アミノ酸セグメントがMBPである、請求項77記載の単離核酸。
【請求項79】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、自己C5アミノ酸セグメントおよび真菌性アミノ酸セグメントを含む、単離核酸。
【請求項80】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドをコードする単離核酸であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが、自己C5アミノ酸セグメントおよびウイルス性アミノ酸セグメントを含む、単離核酸。
【請求項81】
請求項71、72、73、77、79または80のいずれか一項記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項82】
ポリペプチドを発現する、請求項81記載の宿主細胞。
【請求項83】
哺乳動物に投与するためのポリペプチドを含む組成物であって、哺乳動物に関して、該ポリペプチドが自己C5アミノ酸セグメントおよび非自己アミノ酸セグメントを含み、該自己C5アミノ酸セグメントが、該哺乳動物由来のC5配列と少なくとも90%の同一性を有する、組成物。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−507834(P2006−507834A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556708(P2004−556708)
【出願日】平成15年12月1日(2003.12.1)
【国際出願番号】PCT/IB2003/006344
【国際公開番号】WO2004/050111
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(505207838)レジステンティア ファーマシューティカルズ アーベー (1)
【Fターム(参考)】