説明

自律型検出器とイメージング・サブシステムとの間の連係を示すシステム及び方法

【課題】検出器のイメージング・サブシステムとの連係を容易にする。
【解決手段】X線イメージング・サブシステム(30)をX線撮像検出器(32)と共に動作させる方法及びシステムを開示する。各々のサブシステム(30、32)が、X線画像を形成するように互いと共に動作し得る多くのサブシステムの一つであってよい。連係がイメージング・サブシステム(30)と撮像検出器(32)との間に確立されて、連係の利用者知覚可能な指標(32、34)が生成される。連係を確認するように利用者を促すことができる。この後に、上述の二つのサブシステム(30、32)を共に用いてX線撮像を行なうことができる。イメージング・サブシステムのX線源(12)は、連係が確立されるまで又は確認が受け取られるまで不能にされ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的には、ディジタル・イメージング・システムに関し、具体的には、モジュール型イメージング・システムの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な設計の多数の放射線イメージング・システムが公知であり、現在用いられている。かかるシステムは、着目する被検体に向けられるX線の発生に基づく。X線は被検体を横断してフィルム又はディジタル検出器に衝突する。例えば医療診断の状況では、かかるシステムを用いて、体内組織を視覚化し、患者の病気を診断することができる。他の状況では、部品、手荷物、小包及び他の被検体を、内容を評価するために及び他の目的のために撮像することができる。一般的には、本開示によって参照される形式のX線システムとしては、投影X線システム、フルオロスコピィ・システム、X線トモシンセシス・システム、計算機式断層写真法システム、並びに超音波、陽電子放出断層写真法及び磁気共鳴撮像等のような他の撮像物理構成と共にX線撮像を用いる様々な混成型又は結合型モダリティ・システム等がある。
【0003】
X線イメージング・システムは可搬型であっても静止型であってもよく、一般的には、イメージャ構成要素と検出構成要素とを含み得る。イメージャ構成要素は、Cアーム・ガントリ又は配置アームに設けられたX線撮影室に見受けられるもののような実質的に静止型のX線源を含んでいてもよいし、患者の寝台又は同様の区域に隣接して配置され得る車輪に載せた可動式X線源のような可動式X線源を含んでいてもよい。検出構成要素は、静止型の線源構成要素又は可動式の線源構成要素の何れかに適合し得る有線又は無線の検出器を含み得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7664222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる検出器は、可搬型であっても一つの特定のX線イメージング・システムの内部でしか用いることができない。すなわち、単一の検出器は典型的には、特定のイメージング・システムに永続的に一体化され得るため異なるイメージング・システムと共に用いることができない。従って、単一の検出器サブシステムを多数のイメージング・サブシステムと共に用いることができれば、病院は自施設のリソースをさらに最適に強化することが可能になり得る。かかるシステムでは、利用者、例えば放射線科医又は技師が不注意で、特定のイメージャ・サブシステムと殆ど乃至全く共用可能性のない検出器を用いようとして患者に不必要な放射線を曝射する可能性が存在する。一方、利用者が適合した検出器サブシステム及びイメージング・サブシステムを有していても、利用者は患者に適当な放射線レベルを曝射する前に両サブシステムが互いに連係していることを確認しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、X線イメージング・システムの動作の方法が提供される。この方法は、自律型イメージング・サブシステムと自律型検出器サブシステムとの間の連係を生成するステップを含んでいる。利用者視認可能な連係の指標が、自律型イメージング・サブシステム、自律型検出器サブシステム、又は両方に設けられる。
【0007】
もう一つの実施形態では、X線イメージング・システムの動作の方法が提供される。この方法は、X線イメージング・サブシステムとX線検出器サブシステムとを連係させるステップと、連係の利用者知覚可能な指標を発生するステップと、連係の利用者確認を受け取るステップと、X線イメージング・サブシステム及びX線検出器サブシステムによって被検体を撮像するステップとを含んでいる。
【0008】
さらにもう一つの実施形態では、X線イメージング・システムが提供される。このシステムは、1又は複数の自律型検出器サブシステムと共に動作することが可能な自律型イメージング・サブシステムと、この自律型イメージング・サブシステムと共に動作することが可能な複数の自律型検出器サブシステムとを含んでおり、自律型イメージング・サブシステム及び自律型検出器サブシステムの少なくとも一方が、自律型X線イメージング・サブシステムと、自律型検出器サブシステムの一つとの間で撮像データの無線式交換を可能にする動作連係を生成して、連係の利用者知覚可能な指標を発生するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のこれらの特徴、観点及び利点、並びに他の特徴、観点及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むとさらに十分に理解されよう。図面全体にわたり、類似の参照符号は類似の部材を表わす。
【図1】本実施形態が具現化され得る一実施形態のディジタルX線イメージング・システムの全体図である。
【図2】一実施形態による図1のディジタルX線イメージング・システムの遠近図である。
【図3】本開示の一実施形態による多数の可動式イメージング・ユニット及び連係した検出器の概略図である。
【図4】本開示による図1〜図3のイメージング・サブシステム及び検出器サブシステムの内部に収容されている構成要素の回路図である。
【図5】本開示による図1〜図4のワークステーション、イメージング・サブシステム、及び検出器サブシステムの間の無線通信の一実施形態の全体図である。
【図6】本開示による図1〜図4の検出器の表面又は内部の連係インジケータ及び/又は連係ボタンの配置の概略図である。
【図7】本開示による二つの検出器を用いて撮像面積を拡大する撮像手順を受けている患者の概略図である。
【図8】自律型サブシステムを有するイメージング・システムを動作させるときに利用者によって実行されるワークフロー系列の工程流れ図である。
【図9】図1〜図4及び図8のシステムによって実行される連係系列の工程流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1又は複数の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を掲げる試みにおいて、本明細書では実際の具現化形態の全ての特徴を記載する訳ではない。任意のかかる実際の具現化形態の開発時には、あらゆる工学プロジェクト又は設計プロジェクトと同様に、具現化形態毎に異なり得るシステム関連の制約及び業務関連の制約の遵守のような開発者の特定の目標を達成するために多数の特定具現化形態向け決定を下さなければならないことを認められたい。また、かかる開発の試みは複雑であり時間も掛かるが、それでも本開示の利益を享受する当業者にとっては設計、製造及び製品化の通常業務的な作業であることを認められたい。
【0011】
本発明の様々な実施形態の要素を提示するときに、単数不定冠詞、定冠詞、「該」、「前記」等の用語は、1又は複数の当該要素が存在することを意味するものとする。また「備えている」、「含んでいる」及び「有している」等の用語は内包的であるものとし、また所載の要素以外に付加的な要素が存在し得ることを意味するものとする。さらに、「例示的」及び「一例」等の用語が、ここに開示されている手法の各観点又は各実施形態の幾つかの例に関連して本書で用いられている場合があるが、これらの例は本質的に例を示すものであって、開示される一観点又は一実施形態に関する如何なる優先性も要件も示さないように本書で用いられていることを認められよう。さらに、「上部」、「下部」、「上」、「下」との用語、他の位置用語、及びこれらの用語の変形のあらゆる利用は便宜的に行なわれているのであって、所載の構成要素の如何なる特定の配向も要求しない。
【0012】
本実施形態は、自律型検出器及びイメージャのようなX線撮像応用に用いられる自律型サブシステムを提供する。本実施形態は、本出願と同日に出願された米国特許出願第12/776,207号“WIRELESS X-RAY DETECTOR OPERATION COORDINATION SYSTEM AND METHOD”、2009年7月20日に出願された米国特許出願第12/506067号“APPLICATION SERVER FOR USE WITH A MODULAR IMAGING SYSTEM”、及び2007年11月2日に出願された米国特許出願公開第20090118606号“MEDICAL IMAGING SYSTEM”に記載されているようなシステムに関するものであり、これらの米国特許出願の全てを参照によりその全体として本開示に援用する。
【0013】
複数の自律型検出器を一つの撮像環境に導入すると、これらの検出器を1よりも多いイメージング・サブシステム(例えばX線源、制御器、記憶媒体)と共に用いることができる。自律型検出器は、多様なイメージング・サブシステムと動的に連係する能力を有し得る。しかしながら、医療撮像検査を実行するためには一つのイメージング・サブシステム及び一つの検出器が典型的には適しているので、任意の一時点においてこの連係は一意であり得る。しかしながら、自律型検出器及びイメージング・サブシステムが動的に連係され得る状況であっても、操作者又は技師が誤った検出器(イメージング・サブシステムと利用連係されていないもの)を用いようとする危険性が存在し得る。すなわち、検出器が、イメージング・サブシステムからの放射線を受光するように物理的にも作用的にも構成されていなかったり、撮像曝射時に検出器によって発生される撮像データの送信を可能にする適正なソフトウェア及び/又はファームウェアを有するように構成されていなかったりする場合がある。
【0014】
従って、検出器のイメージング・サブシステムとの連係を容易にする方法及びシステムが望ましいことが認められよう。加えて、かかる方法及びシステムはまた、所与の検査工程に用いようとするイメージング・サブシステムと現在連係している検出器の識別を容易にすると共に、所与の検査工程に用いようとする検出器と現在連係しているイメージング・サブシステムの識別を容易にすると望ましい場合がある。これらの方法及びシステムはまた、利用者が両者の間の確立された連係を確認する又は修正することを可能にし得る。
【0015】
本実施形態は、連係の方法、及び連係系列を実行することが可能なそれぞれの構成要素を有するシステムを提供することを目的としている。これらの系列は、利用者及びシステム(例えば1又は複数の自律型サブシステムと通信結合しているイメージング・システム)の両方が実行し得る行動を含み得る。これらの行動は、検出器とイメージャ・サブシステムとの間に一意の連係を生成すること、及びこの一意の連係を利用者に対して示すことを含み得る。利用者(又は制御器)は、例えば連係が望まれる撮像構成要素に接続されて動作するワークステーションを用いて、適宜連係を確認し且つ/又は修正することができる。
【0016】
ここで図面に移ると、図1は、画像データを取得して処理するイメージング・システム10を線図で示す。図示の実施形態では、イメージング・システム10は、自律型構成要素を含むディジタルX線システムである。図1に示す実施形態では、イメージング・システム10は、コリメータ14に隣接して配置されているX線放射線の線源12を含んでいる。コリメータ14は、放射線流16を、患者18のような対象又は被検体が配置されている領域に流入させる。放射線の一部20が被検体を又は被検体の周りを通過して、可搬型ディジタルX線検出器22に入射する。検出器22は、当該検出器22の表面で受光されたX線フォトンを電気信号へ変換することができ、これらの電気信号は取得され処理されて、被検体の内部の特徴の画像を再構成する。
【0017】
放射線源12は、検査系列に電力及び制御信号の両方を供給する電源/制御回路24によって制御される。検出器22は、当該検出器22に発生される信号の取得を指令する検出器制御器26に通信結合されている。図示の実施形態では、検出器22は、任意の適当な有線又は無線の通信規格を介して検出器制御器26と通信することができる。幾つかの実施形態では、検出器制御器26の作用の幾つか又は全てを、検出器22を共に収容している構造の内部に一体化することができ、すなわち検出器制御器26及び検出器22が単体の装置として設けられ得る。検出器制御器26は他の作用の中でも特に、ダイナミック・レンジの調節、及びディジタル画像データのインタリーブ処理等のような様々な信号処理作用及びフィルタ処理作用を実行することができる。
【0018】
図示の実施形態では、電源/制御回路24及び検出器制御器26は、システム制御器28と通信することができ、またシステム制御器28からの信号に応答することができる。一般的には、システム制御器28は、検査プロトコルを実行して取得された画像データを処理するようにイメージング・システムの動作を指令する。ここでの状況では、システム制御器28はまた、信号処理回路(典型的には、プログラム済みの汎用又は特定応用向けディジタル・コンピュータに基づくもの)や、様々な作用内容を果たすためにコンピュータのプロセッサによって実行されるプログラム及びルーチンを記憶すると共に、構成パラメータ及び画像データを記憶する付設の製造品(光記憶素子、磁気記憶素子、又は固体記憶素子等)等を含む。
【0019】
本書に記載されるアプローチによれば、イメージング・システム10の様々な構成要素を自律型で分離可能なサブシステムとして設けることができる。例えば、線源12、コリメータ14、及び/又は電源/制御回路24の幾つか又は全てを一つのイメージャ・サブシステム30として設けることができる。同様に、検出器22を自律型で分離可能な検出器サブシステム32として設けることができる。図示の実施形態では、自律型検出器サブシステム32は検出器制御器26を含んでおり、検出器制御器26は上述のように、検出器22と一体で設けられ得る。他の実施形態では、検出器制御器26が検出器22とは別個に設けられていてもよい(下流のワークステーション若しくはサーバに設けられる、又は後述するシステム制御器28の一部として設けられる等)し、検出器制御器26の各側面が検出器22に設けられて他の各側面が下流に設けられるように分散されてもよい。この態様で、自律型イメージャ・サブシステム30又は自律型検出器サブシステム32の何れかを、動的撮像環境において同じ能力又は異なる能力を有する異なる線源サブシステム又は検出器サブシステムと交換することができる。
【0020】
図示の実施形態では、イメージャ・サブシステム30がシステム制御器28を含んでいる。しかしながら、他の実施形態では、システム制御器28は、独立した構成要素又はサブシステムであってもよいし、検出器サブシステム32の一部であってもよい。他の実施形態では、システム制御器28の各作用、ハードウェア、及び/又はソフトウェアを分散させて、システム制御器28のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの様々な側面を、イメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32、及び/又は独立した別個の制御サブシステムの間で適当に分散させてもよい。この態様で、イメージング・システム10の線源作用、検出作用、及び/又は制御作用は、モジュール型構成要素として扱われ得る完全に又は部分的に自律したサブシステムによって提供されることができ、すなわち一つの検出器サブシステム32又はイメージャ・サブシステム30が他のものと交換されて、異なるそれぞれの検出作用又はX線源作用を提供することができる。
【0021】
本書で用いられる「自律型」との用語は、イメージング・システム10の相補的なサブシステムと接続されても連係してもいないときでも通信能力を有するシステム又はサブシステムを記述する。例えば、「自律型検出器サブシステム」との表現は、イメージャ・サブシステム10と接続されても連係してもいないときでもサーバのような網との通信能力を有する検出システムを記述する。さらに、一実施形態では、自律型検出器サブシステム32は、自律型イメージャ・サブシステム30と連係しているときでも通信能力(第二の自律型イメージャ・サブシステム30又は第二の網等との通信)を提供することができる。
【0022】
換言すると、自律型システム構成要素は、システム設計、システム具現化形態、アプリケーションの配置、及び/又はサービスに関して独立に動作可能であり得る。かかる自律型構成要素は、1よりも多い他の相補的な又は相手の自律型構成要素と共に用いるように構成され、また用いることが可能であり得る。従って、一実施形態では、主構成要素(例えば自律型イメージャ・サブシステム30及び自律型検出器サブシステム32)の各々が、網環境の自律型実体として動作する網ノードと看做され得る。かかる環境では、異なる形式の自律型イメージャ及び/又は検出器サブシステム(同じ又は異なる販売者からのものや、同じ又は異なる能力及び/又はサイズを有するもの等)を、イメージング・システム10を形成するときに様々な組み合わせで用いることができる。
【0023】
図示の実施形態では、イメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32は無線通信し、これにより例えば検出器22をもう一つの無線検出器と適宜交換することを可能にし得る。このようなものとして、自律型検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30の1又は複数の構成要素が、両者の間の連係を示す特徴を含み得る。本書で用いられる「連係(association)」との用語は、2以上の構成要素が撮像を可能にするように互いに結び付けられていることを指すものと看做され得る。連係は有線であっても無線であってもよく、図5に関して後述するように、例えば撮像ルーチンをX線源と検出器と制御器との間で協働させるように上述のような各々の構成要素の間での通信を可能にし得る。連係は、2以上のサブシステムを近接して配置する、一方のサブシステムをもう一つのサブシステムによって走査する、及び2以上のサブシステムを(例えば各々のバーコードを)別個の装置によって走査すること等により実行され得る。このことについては後にあらためて詳述する。実際に、検出器サブシステム32とイメージング・サブシステム30との間の連係を実行することにより、検出器サブシステム32の検出器22を、米国特許第7,298,825号“PORTABLE DIGITAL DETECTOR SYSTEM”に記載されているようにイメージング・サブシステム30と共に用いるように自動的に構成設定することができる。尚、この特許を参照によりその全体として本開示に援用する。
【0024】
連係指標が、利用者に対し、各自律型構成要素が互いに連係され又は結び付けられていることを認識する能力を提供することができる。この指標は聴覚型、視覚型、触覚型、又はこれらの任意の組み合わせであってよく、各々の連係したサブシステム/装置に同時に生じてもよいし同時には生じなくてもよい。図示の実施形態では、視覚型インジケータ34が検出器22に設けられており、インジケータ34は、点滅灯又は着色灯であってもよいし、コード又は他の番号若しくは識別子の表示装置(readout)であってもよいし、類似の特徴であってもよく、検出器22の筐体に固着されていてもよいし組み込まれていてもよい。同様に、イメージャ・サブシステム30は視覚型インジケータ36を有し得る。図示の実施形態では、視覚型インジケータ36はシステム制御器28に配設されている。但し、視覚型インジケータ36は、イメージャ・サブシステムのそれぞれの構成要素の全てを含む筐体のようにイメージャ・サブシステム30の任意の部分に設けられていてよいことを特記しておく。一般的には、視覚型インジケータ34及び36は、利用者に見易いように各々のそれぞれの構成要素の表面の一画に設けられ、実質的に同じであって、実質的に同時の態様で挙動する(すなわち同じ色/色相及び色/色相の変化を有する、並びに同様に点滅する等)。さらに、インジケータ34及び36は、サブシステム30及び/又は32の何れかの変化によって実質的に同時に影響され得ることを特記しておく。実際に、本実施形態は、制御器、イメージャ、及び検出器等を含む2、3、4、5以上のサブシステムのように2以上のサブシステムの間のかかる連係を思量している。
【0025】
イメージャ・サブシステム30及び/又は検出器サブシステム32は、操作者ワークステーション38を介して操作者によって提供される命令及び走査パラメータに応答して走査動作及びデータ取得のような様々な作用を果たし得る。ワークステーション38から、操作者は、システム制御器28に提供されている様々な撮像ルーチンを開始することが可能である。ワークステーション38は、連係を確認する又は連係系列を完了するためのプロンプト(イメージャ・サブシステム30及び/又は検出器サブシステム32によって与えられる一意のコードを入力すること等による)を、例えばワークステーション38が接続されている表示器40に提供することができる。実際に、ワークステーション38は、利用者が様々なサブシステムの間の連係を調整するための中央位置を提供し得る。
【0026】
表示器40はまた、関連のシステム・データ、撮像パラメータ、未処理撮像データ、及び再構成済みデータ等を操作者が視認することを可能にする。加えて、システム10は、操作者ワークステーション38に結合されているプリンタ42を含み得る。さらに、操作者ワークステーション38は、画像保管及び通信システム(PACS)44を含み、又はPACS44に結合され得る。PACS44は、遠隔システム46、放射線部門情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)、又は内部網若しくは外部網に結合されることができ、異なる位置の第三者が画像データを入手し得るようにしている。
【0027】
図2にイメージング・システム10の一例として遠近図を掲げる。図1に関して上に記載された各特徴に加えて、イメージング・システム10は、放射線源12を配置する頭上管支持アーム50の形態にある配置構成要素を含んでいる。他の実施形態では、放射線源12は、Cアーム又は他の回転構造に設けられて、様々な角度位置からの撮像を可能にすることができる。さらに、図示の実施形態では、自律型イメージャ・サブシステム30は、線源12を含んでいてよく、また配置サブシステム(アーム50若しくはCアーム等)、電源/制御回路、及び/又はシステム制御回路(線源12の一部として設けられてもよいし、線源12と通信するワークステーション38若しくはサーバの一部等として設けられてもよい)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0028】
上述のように、幾つかの実施形態では、線源12及び/又はイメージャ・サブシステム30は、命令(ワークステーション38からのもの等)を有線接続(イーサネット(商標)・ケーブル等)を介して又は無線接続(無線送受信器等)を介して受け取ることができる。各々のサブシステム(例えばイメージング・サブシステム30及び検出器サブシステム32)と共に又はかかるサブシステムの内部に含まれるかかる無線送受信器は、超広帯域(UWB)通信規格、Bluetooth通信規格、又は任意の802.11通信規格のような任意の適当な無線通信プロトコルを利用し得ることを特記しておく。
【0029】
ディジタル検出器22はまた、1若しくは複数のプロセッサ構成要素、並びに/又は取得された画像データ、及び/若しくはプログラム、ルーチンや、連係プロトコルのような1若しくは複数の処理構成要素によって実行されるべきプロトコルを記憶することが可能な記憶素子を含み得る。例えば、様々な実施形態において、記憶素子は、連係工程を実行することが可能なアルゴリズム、並びに様々な撮像設備との互換性、能力、及び設計等のように他のサブシステムに通信され得る検出器に関する情報を収めた光記憶素子、磁気記憶素子、又は固体記憶素子を含み得る。
【0030】
図示の実施形態では、検出器22に設けられた視覚型指標34及びイメージング・サブシステム30に設けられた視覚型指標36を介して、イメージング・サブシステム30と検出器22との間の連係が示される。視覚型指標34及び36は例えば、連係の前には一つの色(例えば赤)、連係中にはもう一つの色(例えば黄)、及び連係したときにはもう一つの色(例えば緑)であってよい。もう一つの実施形態では、利用者は、例えばワークステーション38のプロンプトに指示することにより、連係系列が完了する前のサブシステム同士の間の暫定的な連係を確認することができる。一例として、利用者は、イメージング・サブシステム30又はシステム制御器28が、例えば認識回路を介して検出範囲内にある任意の可搬型検出器22を無線検出するような連係系列を開始することができる。次いで、ワークステーション38は、イメージング・サブシステム30によって認識された検出器22を表示することができる。加えて、利用者は、サブシステム30及び32の一方若しくは両方に設けられたバーコードを走査する、又は1若しくは複数の検出器22をイメージング・サブシステム30の近くに通す(例えばRFID認識用)等の連係動作を行なって、撮像ルーチンを実行するのに望まれる検出器22及びイメージング・サブシステム30を指定することができる。次いで、連係指標34及び36は、点滅してもよいし、何らかの色になってもよいし、又は特定の検出器22及びイメージング・サブシステム30が暫定的に連係して利用者による確認を待っているとの任意の類似の指標を示すことができる。例えばワークステーション38での利用者による確認の後に、視覚型指標34及び36は他の色で点滅してもよいし、安定光(すなわち点滅しない)を有してもよいし、異なる色等になってもよい。指標の選択は、イメージング・システム10が配置される環境、及びサブシステムの各構成要素からの他の視覚型指標若しくは聴覚型指標、又は放出を含めた多数の要因に依存し得る。
【0031】
連係指標及び利用者による確認は、イメージング・サブシステム30による認識及び連係に利用可能な多数の検出器が存在する状況で望ましい場合がある。実際に、多数の無線検出器22がイメージング・サブシステム30の無線能力の作用範囲内に位置している実施形態では、利用者は、確認が行なわれないと特定の可搬型検出器22を直ちに連係させるのが困難である場合がある。例えば、システム10はまた、様々な形状及び寸法の複数の無線X線検出器54を保管し、また幾つかの実施形態では充電するために設けられた保管ステーション52を含んでいる。壁装着可能な台56が、面に複数の無線X線検出器保管場所58を含んでいる。従って、保管ステーション52は、多様な異なる検出器54を収容して保管するように構成されている。
【0032】
保管ステーション52の内部に保管されている検出器54の幾つか又は全てが無線連係能力を有し得る。従って、保管ステーション52がイメージング・サブシステム30の無線範囲内にある状況では、保管されている検出器54の幾つか又は全てが、当該検出器54と連係する能力を有するイメージング・サブシステム30によって認識され得る。利用者が不測の連係を直ちに識別し得るように、又は利用者が保管されている検出器54を画像取得のために利用することを望む場合に、それぞれの連係インジケータ60が、保管されている検出器54の各々に設けられ得る。利用者が連係インジケータ60を介して、意図しない連係が生じたことを識別した状況では、利用者は、例えばワークステーション38を介して、又は連係ボタン62を用いて可搬型検出器22において直接、連係を再開始することができる。連係ボタン62は、イメージング・サブシステム30との連係を開始し、再開始し、且つ/又は確認することができる。例えば、一実施形態では、利用者は、イメージング・サブシステム30のような一つのサブシステムに設けられた指標を観察することができ、また連係ボタン62を介して検出器22に設けられた指標を確認することができる。
【0033】
同様の実施形態において、検出器22及び/又はイメージング・サブシステム30は、連係を実行するためのユーザ・インタフェイスを有し得る。例えば、番号又はコードを用いて各々のサブシステムを識別する(例えば識別信号)実施形態のような一実施形態では、それぞれのユーザ・インタフェイスによって、利用者が他のサブシステムの識別コード若しくは識別番号を入力し又は承認して連係を確認することを可能にし得る。イメージング・サブシステムの識別コード又は識別番号が検出器において視認されるような状況では、利用者は、連係ボタン62を押すことにより、コードが正しい又は誤っていることを承認する(すなわち確認する)ことができる。イメージング・サブシステム30が検出器22の識別コード又は識別番号を表示するときのような他の実施形態では、利用者は、同様の連係ボタン(又は他のユーザ・インタフェイス)を押すことにより確認することができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、連係工程を調整するために掌中型装置64が設けられ得る。掌中型装置64は携帯情報端末(PDA)又は同様の装置であってよく、イメージング・サブシステム30及び/又は検出器サブシステム32に設けられたそれぞれのバーコードを走査して一意の連係を生成する等のように走査装置として動作し得る。例えば、利用者は、イメージング・サブシステム30及び検出器サブシステム30に設けられたバーコードを走査することができ、装置64は、連係のために相補的なサブシステムに識別バーコードを伝達することができる(すなわち検出器バーコードがイメージング・サブシステムに提供され、又はこの反対が行なわれる)。掌中型装置64はまた、情報がワークステーション38、並びにサブシステム30及び/又は32の何れかへ、また何れかから提供され得るように、無線通信回路を有し得る。装置64は、連係指標及び確認のような連係プロトコルを含めてワークステーション38に記憶されている様々なアプリケーションを通じて遠隔ナビゲーションを可能にすることができる。従って、装置64は、ワークステーション38のアプリケーションを通じてナビゲーションを可能にすると共に当該装置64が可搬型サブシステム調整装置として動作することを可能にするスクリーン66を有し得る。この装置はまた、利用者が自律型サブシステムによって一意に示されるコードのような値や様々な命令を入力すること、及び利用者定義の名称を作成すること等を可能にするキー68を含んでいる。実際に、掌中型装置64は、各々のサブシステムを走査して連係させるスキャナのような他の特徴を含み得る。装置64はまた、連係能力を有する多数の無線検出器が存在するときに1又は複数の特定の検出器22のような特定のサブシステムとの連係を容易にすることができる。さらに、利用者は、バッテリ充電レベル、現在の連係、能力、及び互換性等のような検出器22についての様々な情報を視認することができる。また、制御方式、X線出力のような線源情報、及び撮像プロトコル等のようなイメージング・サブシステム30についての情報も表示され得る。
【0035】
1又は複数の連係した検出器22を患者テーブル70及びスタンド72の一方又は両方と共に用いて、撮像プロトコル時の画像取得を容易にすることができる。具体的には、テーブル70及びスタンド72は、1又は複数のディジタル検出器22を収容するように構成され得る。例えば、ディジタル検出器22がテーブル70の上面に載置され、患者18(さらに明確に述べると患者18の着目解剖学的構造)をテーブル70の上で検出器22と放射線源12との間に配置することができる。他の幾つかの例では、1又は複数の検出器22は、テーブル70の上面及び患者18の下方のスロット74に配置されてもよいし、放射線源12及び検出器22はテーブル横断撮像のために患者18の周りで水平に配置されてもよい。さらに、スタンド72は、ディジタル検出器22を収容するように構成されている収容構造76を含むことができ、患者18は、画像データがディジタル検出器22を介して取得されることを可能にするようにスタンド72に隣接して配置され得る。
【0036】
一実施形態では、イメージング・システム10は、図2に全体的に示されており同図に関して上で説明したもののような固定されたX線撮影室に配設される静止型システムであってよい。しかしながら、ここに開示される実施形態はまた、可動式X線ユニット及びシステムを含めた他のイメージング・システムと共に用いられ得ることが認められよう。例えば、他の実施形態では、可動式X線ユニットは患者回復室、救急室、又は手術室等に移動されて、専用の(すなわち固定された)X線撮影室への患者の搬送を必要とせずに患者の撮像を可能にし得る。
【0037】
可動式X線ユニットの一つのかかる実施形態を図3に示す。図示の実施形態では、可動式無線X線システム90が第一の可動式X線ベース・ステーション92を含んでおり、第一の可動式X線ベース・ステーション92は、当該第一の可動式X線ベース・ステーション92の作用範囲内に位置する多数のディジタルX線検出器94、96、98、及び100を認識することができる。すなわち、第一の可動式X線ステーション92は、イメージング・サブシステム30を含むものと看做され得る。第一の可動式X線ベース・ステーション92は、利用者が可動式X線ユニットを各所へ移動させる、例えば一つの部屋からもう一つの部屋へ又は一つの患者寝台からもう一つの患者寝台へ移動させることを可能にする台車102を含み得る。第一の可動式X線ベース・ステーション92は、ディジタルX線検出器94〜100の1又は複数と共に用いられるX線源104を有する。幾つかの実施形態では、第一の可動式X線ベース・ステーション92は、参照により本開示に援用される2007年11月2日に出願された米国特許出願第11/934,338号に以前に記載されているように、多数のX線検出器94、96、98、及び100と通信することができる。
【0038】
第一の可動式X線ステーション92は、上述した工程に加えて連係のために検出器94、96、98及び100を認識する(検出する)システム電子回路106を収納している。加えて、このシステム電子回路106は、X線源104及び台車102に電力を与えると共にこの電力を制御し、また第一の可動式X線ステーション92の表面に配設された連係インジケータ108に電力を与えると共にこの電力を制御する(照明回路等を介して)。図示の実施形態では、連係インジケータ108は可視指標を提供している。
【0039】
第一の可動式X線ベース・ステーション92はまた、表示器112に結合された操作者ワークステーション110を有する。例えば、認識された検出器94、96、98、及び100が表示器112に表示される。利用者は、連係系列の開始(利用者によって、又は様々な検出器が認識された後に自動的にシステム90によっての何れかで行なわれる)の後に、検出器94、96、98及び100の1又は複数を第一の可動式X線ステーション92と連係させる上述のような認識手順を実行することができる。
【0040】
表示器112は、検出器「A」94、検出器「B」96、検出器「C」98、及び検出器「D」100の表示装置を有し、第一の可動式X線ベース・ステーション92と連係した各検出器が、連係したとして示され得る(例えば高輝度にする)。さらに、検出器94、96、98、及び100の各々がそれぞれの連係インジケータ114、116、118、及び120を有し得る。尚、連係インジケータ114、116、118、及び120は、第一の可動式X線ベース・ステーション92の連係インジケータ108の任務と略同等の任務を果たし得ることを特記しておく。図示の実施形態では、検出器「A」114は、第一の可動式X線ステーション92との連係の視覚型指標を提供するものとして図示されている。
【0041】
第一の可動式X線ステーション92と同様の態様で、第二の可動式X線ステーション122は無線検出器114、116、118、及び120を認識することができる。第二の可動式X線ステーション122は、第一の可動式X線ステーション92に関して上で説明したものと同様の又は同じ特徴を含み得る。このようなものとして、両方の可動式X線ステーションが類似して見えたり同じに見えたりする場合があり、何らかの連係指標がないと識別することが困難な場合がある。従って、利用者にとって、何れの検出器が各々の可動式X線ステーションと連係しているかを決定することが困難な場合がある。従って、各々の検出器及びX線ステーションに連係指標を設ける、例えば視覚型指標118を検出器「C」98に設け、連係指標124を第二の可動式X線ステーション122に設けることにより、検出器とステーションとの間の連係を迅速に決定し且つ/又は再構成することが可能になり得る。例えば、図3に示す指標によれば、利用者は、検出器「A」が第一の可動式X線ステーション92と連係しており、検出器「C」98が第二の可動式X線検出器と連係していることを直ちに確認することができる。
【0042】
上述の無線可動式X線ユニットの回路及び無線検出器を図4に線図で示しており、この回路は図1において説明したものと全体的に同じ態様で動作する。上述の各任務に加えて、電源130は、台車106の可動式駆動ユニット132(可動式ユニットの実施形態におけるもの)に電力を供給している。上と同様に、システム制御器134は、検査プロトコルを実行して取得された画像データを処理するようにイメージング・システムの動作を指令し、システム制御器134は、プロセッサ136を含んでいてもよいしプロセッサ136に応答するものであってもよい。プロセッサ136はまた、検出器94から画像データを受け取って、被検体の画像を再構成するようにデータを処理する。
【0043】
プロセッサ136はまた、第一の可動式X線ベース・ステーション92の作用範囲内で検出器の存在を検出する検出器認識回路138に結び付けられている。検出器が連係しない、又は第一の可動式X線ステーション92の作用範囲内に認識されない場合には、プロセッサ136は、X線源104からのX線の放出を不能にし又は阻止するようにシステム制御器134に信号を送ることができる。検出器認識回路138はまた、システム制御器134に結び付けられる。検出器認識回路138は、第一の可動式X線ステーション92の作用範囲内の検出器との無線通信及びかかる検出器の認識を可能にする無線通信インタフェイス140に結び付けられる。第一の可動式X線ステーション92(すなわちイメージャ・サブシステム)が検出器と暫定的に又は他の仕方で連係する実施形態では、プロセッサ136は、連係インジケータ108(図3)のような連係インジケータを作動させるように照明回路142に信号を送ることができる。加えて又は代替的には、第一の可動式X線ステーション92はまた、サーバと通信することができる。プロセッサ136はまた、表示器、ユーザ・インタフェイス、及びメモリ等を含み得る周辺機器144に結び付けられ得る。
【0044】
検出器94は、第一の可動式X線ステーション92との無線通信のための無線通信インタフェイス146を含む。検出器94はまた、サーバと通信することができる。無線通信インタフェイス146は、図1に関して上で述べたもののような任意の適当な無線通信プロトコルを利用し得ることを特記しておく。また、検出器94は、様々な検出器作用の制御を調整する検出器制御器148に結合されている。システム制御器134は検出回路検出器認識回路138と共に、制御信号を検出器制御器148に無線で提供することができる。制御信号を様々な検出器構成要素に提供するプロセッサ150、検出器制御器148、及び図示の回路の全てが電源152から電力を受ける。電源152はバッテリを含み得る。
【0045】
画像を表わす電気信号は検出器インタフェイス回路156によってディジタル値へ変換され、検出器インタフェイス回路156はこれらの値をプロセッサ150に提供して画像構築を行なう。代替的には、撮像データは検出器94から、当該撮像データを処理するためにサーバへ送られ得る。プロセッサ150はまた、照明回路158に結び付けられる。検出器制御器148は、第一の可動式X線ステーション92から受け取った信号に応答して、検出器94の第一の可動式X線ステーション92との連係を示すライトを点灯することを照明回路158に知らせるために信号をプロセッサ150に送ることができる。プロセッサ150と連絡しているメモリ160が、様々な構成パラメータ、較正ファイル、及び検出器識別データを記憶しておくことができる。加えて、メモリ160は、検出器94が共に動作するように構成されている全てのX線システム10の一覧、並びに検出器94のX線システム10の特定のバージョン及び/又はソフトウェア・バージョンとの互換性を定義したテーブルを記憶しておくことができる。
【0046】
撮像構成要素集合のかかる可動性によって、自律型イメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32、及び/又はワークステーション38の1又は複数が、上述のHIS、RIS、及び/又はPACSのような網に位置するノードとして提供されることを可能にし得る。さらに、各々の構成要素は、各々のサブシステム及び/又はワークステーションが、図5に示すように任意の数の他のサブシステムと通信するように構成され得るように、可動式及び無線式等であり得る。この態様で、検出器サブシステム32は、取得された画像データを無線網接続を介してイメージャ・サブシステム30及びワークステーション38の何れか又は両方に伝達することができる。同様に、ワークステーション38は、無線網接続を介してイメージャ・サブシステム30又は検出器サブシステム32の一方又は両方と通信したり、これらの一方又は両方を制御したりすることができる。同様に、イメージャ・サブシステム30は、無線網接続を介してワークステーション38又は検出器サブシステム32と通信することができる。かかる網型の実施形態では、自律型構成要素(例えばイメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32、及びワークステーション38)は独立に動作することができ、従って互いに独立に各システムの間で又は網の他装置と通信することができる。本書に記載される各アプローチによれば、イメージング・システム30は、1又は複数の検出器が無線式で連係しているとの標識を利用者に提供する連係インジケータ36を含んでいる。同様に、検出器サブシステム32は、検出器22がイメージング・サブシステム30と連係しているとの標識を提供する連係インジケータ34を含んでいる。上述のように、ワークステーション38は、表示器を介してローカルの網に関する情報(例えば連係した各サブシステム)を提供することができる。
【0047】
本実施形態は、無線検出器22の様々な位置での連係インジケータ及び選択随意で連係ボタン(例えば、連係を開始する、確認する、又は再開始する等)の配置を思量している。図6は、連係インジケータ及び幾つかの実施形態では連係ボタン170の様々な配置を有する検出器22A〜22Eの幾つかの例を示す。尚、連係インジケータ34及び/又は連係ボタン170は、検出器の組み込み型特徴として設けられてもよいし、代替的には、後付け可能な付加装置として設けられてもよいことを特記しておく。従って、連係インジケータ34及び連係ボタン170は、多様な検出器と適合し得る。さらに、無線能力を備えていない検出器のような幾つかの検出器に、上述したような無線通信インタフェイスを後付けすることができる。検出器22Aは、連係インジケータ34のみを有する検出器22の一実施形態である。連係インジケータ34は、検出器22Aの把手部分172又は検出器22Aの本体174において、例えば検出器22Aの本体174の四隅の任意の位置に配置され得る。検出器22Bは、連係インジケータ34を連係ボタン170と組み合わせて有する検出器22の一実施形態である。すなわち、連係ボタンは、指標作用及び開始作用の両方を果たす照明付きボタンであってよい。検出器22Bでは、組み合わせボタンは把手172に位置している。検出器22Cは、把手172に連係ボタン170を配置し、検出器本体174の表面に又は内部に連係インジケータ34を配置した検出器22の一実施形態である。検出器22Dは、把手172の表面に又は内部に配設された連係インジケータ34及び連係ボタン170の両方を分離型特徴として有する検出器22の一実施形態である。検出器22Eは、連係インジケータ34が把手172の表面に又は内部に配設され、連係ボタン170が本体174の表面に又は内部に配置されている検出器22の一実施形態である。検出器22Fは、当該検出器22Fの本体174の表面に又は内部に配設されている連係インジケータ34及び連係ボタン170を組み合わせ型特徴として有する検出器22の一実施形態である。尚、上の記載は、連係インジケータ34及び/又は連係ボタンが検出器22の表面の何処に配置され得るかの例を掲げているが、他の多くの構成が可能であり、本開示の範囲にあるものと看做されることを特記しておく。
【0048】
X線システム10が無線サブシステムと連係する能力は、一つの検出器22がイメージング・サブシステム30と連係することに限定されていてもよいしいなくてもよい。例えば、外傷の状況のような幾つかの状況では、2以上の検出器22を連係させることが望ましい場合がある。かかる状況では、医療従事者が負傷者を可能な限り動かさないことを好む場合がある。曝射面積を拡大して形成するために、例えば多数の検出器22によって提供される画像データを結合する能力によって、負傷者を移動させる必要性を小さくすることができる。図7は、かかる状況での1よりも多い検出器22の利用を示す。かかる撮像を行なうために、患者18はX線源26の下方でテーブル70の上に載置される。二つの連係した検出器180及び182が患者18の下方に配置される。かかる設定での上述のようなイメージング・サブシステム30の利用によって、利用者が、単一の検出器22の利用に比較して患者18のさらに拡大された面積(例えば約2倍の広さ)を撮像することを可能にする。
【0049】
上述のように、これらの実施形態は、連係の方法、及び連係系列を実行することが可能なそれぞれの構成要素を有するシステムを提供することを目的としている。これらの系列は、利用者及びシステム(例えば制御器)の両方が実行し得る行動を含み得る。かかる行動について、利用者によって実行される行動を示す工程流れ図である図8、及びシステム10によって実行される行動を示す工程流れ図である図9に関して以下に説明する。
【0050】
利用者(例えば技師)は、患者18を撮像するときには、撮像設備を準備することから開始して、患者18の曝射を行なって画像を形成することにより完了するまでの一組の系列を実行することができる。利用者についてのワークフローの一例を図8に示す。撮像ワークフロー190は、利用者が自律型検出器及びイメージング・サブシステムを準備することから開始する(ブロック192)。利用者は、可動式イメージング・ユニットを部屋まで又は患者の寝台の近くまで運転することにより、又は図2において説明したように患者18を撮像域に向かわせることにより、サブシステムを準備することができる。利用者は、撮像ルーチンに用いる特定の検出器(1又は複数)を選択して、連係系列を開始することができる(ブロック194)。連係系列の開始は、ワークステーションにおける開始、及び連係ボタン等を介した何れかのサブシステムでの開始等を含み得る。利用者は、何れの構成要素が連係に望まれているかを示すために、撮像サブシステム及び/若しくは検出器サブシステムの何れか若しくは両方に設けられているバーコードを走査すること、又はイメージング・サブシステム30の短距離無線送受信器の近くに検出器22の短距離無線送受信器を通すこと等により行動を実行することができる。一旦、システムによって暫定的な連係が行なわれたら、利用者は、連係、及び特定の撮像系列のための曝射パラメータを確認することができる(ブロック196)。連係確認は、前述のようにワークステーションにおいて行なわれてもよいし、何れか又は両方のサブシステムにおいて行なわれてもよいし、別個の掌中型装置において行なわれてもよい。一例として、連係した検出器22及びイメージャ・サブシステム30の名称又は連番を列挙したポップ・アップ・ウィンドウ又は同様の指標をワークステーション38の表示器40に設けることができる。利用者は、アラートを受け入れることにより確認することもできるし、所望の構成要素が示されるまで連係を再開始することにより連係を修正することもできる。利用者による確認の後に、システムは、利用者の裁量で曝射を許可することができる。従って、システムはかかる確認の前には曝射を許可することができないことを特記しておく。次いで、利用者は、連係したイメージング・サブシステム及び検出器サブシステムを用いて患者18の撮像を行なう(ブロック198)。
【0051】
システム(例えば図1及び図2のシステム10)によって実行され利用者によって開始される(図8のブロック194)もののような連係系列200を図9の工程流れ図に示す。利用者が連係系列200を開始した後に、システム10は、イメージング・サブシステム30の作用範囲内の1又は複数のX線検出器22を検出する(ブロック202)。次いで、システム10は、各々の検出器22の状態(例えば充電状態、現在の連係)及び/又は能力(例えば記憶されているプロトコル、互換性)を決定することができる(ブロック204)。利用者が何れの検出器22(1又は複数)が連係に望まれているかを示すと、システム10は、イメージング・サブシステム30と認識されて識別された検出器22の1又は複数との間に一意の連係を生成する(ブロック206)。次いで、連係が、例えば1又は複数の検出器22、及びイメージング・サブシステム30等に示される(ブロック208)。さらに、連係はまた、ワークステーション38(図2)に接続される表示器40のような表示器にも示され得ることを特記しておく。次いで、システム10は、正しい連係が示されているか否かを決定するための入力を利用者に促すことができる(ブロック210)。暫定的な連係が誤って示されている実施形態では、系列は、一意の連係を再生成するようにシステム10を準備することができる(ブロック206)。反対に、連係が正しく示されている実施形態では、連係が確認されて(ブロック212)、X線放出が可能になる(ブロック214)。
【0052】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本発明を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0053】
10:イメージング・システム
12:X線放射線
14:コリメータ
16:放射線
18:患者
20:放射線
22:X線検出器
24:電源/制御回路
26:検出器制御器
28:システム制御器
30:イメージャ・サブシステム
32:分離可能な検出器サブシステム
34、36:視覚型インジケータ
38:操作者ワークステーション
40:表示器
42:プリンタ
44:PACS
46:遠隔システム
50:頭上管支持アーム
52:保管ステーション
54:X線検出器
56:壁装着可能な台
58:検出器保管場所
60:それぞれの連係インジケータ
62:連係ボタン
64:掌中型装置
66:スクリーン
68:キー
70:患者テーブル
72:スタンド
74:スロット
76:収容構造
90:X線システム
92:X線ベース・ステーション
94、96、98、100:X線検出器
102:台車
104:X線源
106:システム電子回路
108:連係インジケータ
110:操作者ワークステーション
112:表示器
114、116、118、120:それぞれの連係インジケータ
122:X線ステーション
124:連係指標
130:電源
132:可動式駆動ユニット
134:システム制御器
136:プロセッサ
138:検出器認識回路
140:無線通信インタフェイス
142:照明回路
144:周辺機器
146:無線通信インタフェイス
148:検出器制御器
150:プロセッサ
152:電源
154:検出器アレイ
156:検出器インタフェイス回路
158:照明回路
160:メモリ
170:連係ボタン
172:把手部分
174:本体
180、182:二つの連係した検出器
190:撮像ワークフロー
200:連係系列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線イメージング・システム(10)の動作の方法であって、
自律型イメージング・サブシステム(30)と自律型検出器サブシステム(32)との間の連係を生成するステップ(206)と、
前記自律型イメージング・サブシステム(30)、前記自律型検出器サブシステム(32)、又は両方に前記連係の利用者知覚可能な指標(34、36、108、114、116、118、120、124)を設けるステップ(208)と
を備えた方法。
【請求項2】
前記自律型イメージング・サブシステム(30)と前記自律型検出器サブシステム(32)との間の前記連係の利用者確認を受け取るステップ(212)を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記連係が生成されるまで又は前記利用者確認が受け取られるまで前記自律型イメージング・サブシステム(30)の1又は複数のX線源(12)によるX線放出を不能にするステップを含んでいる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記確認を可能にするために、前記自律型イメージング・サブシステム(30)に、前記自律型検出器サブシステム(32)の指標(34、114、116、118、120)と同種の利用者知覚可能な指標(36、108、124)を設けるステップを含んでいる請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記連係を生成するステップは、前記自律型イメージング・サブシステム(30)の識別信号を前記自律型検出器サブシステム(32)に伝達し、前記自律型検出器サブシステム(32)の識別信号を前記自律型イメージング・サブシステム(30)に伝達するステップと、前記それぞれの識別信号を認識するステップと、前記それぞれの識別信号に基づいて無線インタフェイス(140)を介して前記自律型イメージング・サブシステム(30)及び前記自律型検出器サブシステム(32)を結び付けるステップとを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記それぞれの識別信号は、前記自律型イメージング・サブシステム(30)及び前記自律型検出器(32)に設けられた標識を走査することにより発生される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記標識は1又は複数のバーコードを含んでいる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
走査装置から前記自律型イメージング・サブシステム(30)及び前記自律型検出器サブシステム(32)の一方又は両方に前記識別信号を伝達するステップを含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記連係の利用者知覚可能な指標(34、36、108、114、116、118、120、124)を設けるステップは、両方のサブシステムに、視覚型指標、聴覚型指標若しくは触覚型指標、又はこれらの任意の組み合わせを設けるステップを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記連係の利用者知覚可能な指標(34、36、108、114、116、118、120、124)を設けるステップは、前記検出器サブシステム(32)のみに視覚型指標、聴覚型指標若しくは触覚型指標、又はこれらの任意の組み合わせを設けるステップを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記自律型検出器サブシステム(32)は、前記自律型イメージング・サブシステム(30)と共に動作する範囲内に位置して共に動作することが可能である複数の自律型検出器サブシステム(32)の一つである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
X線イメージング・システム(10)の動作の方法であって、
X線イメージング・サブシステム(30)及びX線検出器サブシステム(32)を連係させるステップ(206)と、
前記連係の利用者知覚可能な指標(34、36、108、114、116、118、120、124)を生成するステップ(208)と、
前記連係の利用者確認を受け取るステップ(210)と、
前記X線イメージング・サブシステム(30)及び前記X線検出器サブシステム(32)により被検体を撮像するステップと
を備えた方法。
【請求項13】
前記X線イメージング・サブシステム(30)及び前記X線検出器サブシステム(32)を連係させるステップは、
前記X線イメージング・サブシステム(30)の識別信号を前記X線検出器サブシステム(32)に無線式で提供するステップと、
前記X線検出器サブシステム(32)の識別信号を前記X線イメージング・サブシステム(30)に無線式で提供するステップと
を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記連係が確立されるまで又は前記利用者確認が受け取られるまで前記イメージング・サブシステム(30)の1又は複数のX線源(12)によるX線放出を不能にするステップを含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記確認を可能にするために、前記イメージング・サブシステム(30)に、前記検出器サブシステム(32)の指標(34、114、116、118、120)と同種の利用者知覚可能な指標(34、124)を設けるステップを含んでいる請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−235091(P2011−235091A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−95572(P2011−95572)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】