自発光表示パネルの駆動装置、駆動方法及びその駆動装置を備えた電子機器
【課題】 自発光素子をマトリクス状に配列した自発光表示パネルにおいて、動画擬似輪郭ノイズや階調異常の発生を抑制すると共に多階調表示することのできる自発光表示パネルの駆動装置、及びその駆動装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】 複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子14を備えた自発光表示パネルの駆動装置であって、1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、aを0<a<Nを満足する整数として、輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくても2つ以上のサブフレーム期間を点灯させる第1の階調制御手段(21、24、25、26、30)を備える。
【解決手段】 複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子14を備えた自発光表示パネルの駆動装置であって、1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、aを0<a<Nを満足する整数として、輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくても2つ以上のサブフレーム期間を点灯させる第1の階調制御手段(21、24、25、26、30)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つのフレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、各サブフレーム期間を点灯制御することにより階調表現を行なう自発光表示パネルの駆動装置、駆動方法及びその駆動装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子をマトリクス状に配列して構成される表示パネルを用いたディスプレイの開発が広く進められている。このような表示パネルに用いられる発光素子として、例えば有機材料を発光層に用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子が注目されている。
【0003】
かかる有機EL素子を用いた表示パネルとして、マトリクス状に配列したEL素子の各々に、例えばTFT(Thin Film Transistor)からなる能動素子を加えたアクティブマトリクス型表示パネルがある。このアクティブマトリクス型表示パネルは、低消費電力を実現でき、また画素間のクロストークが少ない等の特質を備えており、特に大画面を構成する高精細度のディスプレイに適している。
【0004】
図1は、従来のアクティブマトリクス型表示パネルにおける1つの画素10に対応する回路構成の一例を示している。図1において、制御用トランジスタであるTFT11のゲートGは走査線(走査ラインA1)に接続され、ソースSはデータ線(データラインB1)に接続されている。また、この制御用TFT11のドレインDは、駆動用トランジスタであるTFT12のゲートGに接続されると共に、電荷保持用キャパシタ13の一方の端子に接続されている。
【0005】
また、駆動用TFT12のドレインDは前記キャパシタ13の他方の端子に接続されると共に、パネル内に形成された共通陽極16に接続されている。また、駆動用TFT12のソースSは、有機EL素子14の陽極に接続され、この有機EL素子14の陰極は、パネル内に形成された例えば基準電位点(アース)を構成する共通陰極17に接続されている。
【0006】
図2は、図1に示した各画素10を担う回路構成を、表示パネル20に配列した状態を模式的に示したものであり、各走査ラインA1〜Anと、各データラインB1〜Bmとの交差位置の各々において、図1に示した回路構成の各画素10が夫々形成されている。そして、前記した構成においては、駆動用TFT12の各ドレインDが図2に示された共通陽極16に夫々接続され、各EL素子14の陰極が同じく図2に示された共通陰極17に夫々接続された構成とされている。そして、この回路において、発光制御を実行する場合においては、スイッチ18が図に示すようにグランドに接続される状態になされ、これにより共通陽極16に対して電圧源+VDが供給される。
【0007】
この状態において、図1における制御用TFT11のゲートGに走査ラインを介してオン電圧が供給されると、TFT11はソースSに供給されるデータラインからの電圧に対応した電流をソースSからドレインDに流す。従って、TFT11のゲートGがオン電圧の期間に、前記キャパシタ13が充電され、その電圧が駆動用TFT12のゲートGに供給されて、TFT12にはそのゲート電圧とドレイン電圧に基づいた電流を、ソースSからEL素子14を通じて共通陰極17に流し、EL素子14を発光させる。
【0008】
また、TFT11のゲートGがオフ電圧になると、TFT11はいわゆるカットオフとなり、TFT11のドレインDが開放状態となるものの、駆動用TFT12はキャパシタ13に蓄積された電荷によりゲートGの電圧が保持され、次の走査まで駆動電流を維持し、EL素子14の発光も維持される。なお、前記した駆動用TFT12には、ゲート入力容量が存在するので、前記したキャパシタ13を格別に設けなくても、前記と同様な動作を行わせることが可能である。
【0009】
ところで前記したような回路構成を用い、画像データの階調表示を行なう方式として、時間階調方式がある。この時間階調方式とは、例えば1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、1フレーム期間あたりに有機EL素子が発光したサブフレーム期間の累計によって中間調表示を行なう方式である。
【0010】
さらに、この時間階調方式には、図3に示すように、サブフレーム単位でEL素子を発光させ、発光するサブフレーム期間の単純な累計により階調表現する方法(便宜的に単純サブフレーム法と呼ぶ)と、図4に示すように、1つまたは複数のサブフレーム期間を組として、組に対して階調ビットを割り付けて重み付けを行ない、その組み合わせにより階調表現する方法(便宜的に重み付けサブフレーム法と呼ぶ)とがある。尚、図3、図4においては、階調0〜7の8階調を表示する場合の例を示している。
【0011】
このうち、重み付けサブフレーム法では、例えばサブフレーム期間内における点灯期間にも階調表示のための重み付け制御を行なうことにより、単純サブフレーム法よりも少ないサブフレーム数で多階調表示を実現できるという利点がある。しかしながら、この重み付けサブフレーム法にあっては、1フレームの画像に対し、時間方向に離散的な発光の組み合わせで階調を表現しているため、動画擬似輪郭ノイズ(以下、単に擬似輪郭ノイズとも呼ぶ)と呼ばれる等高線状のノイズが発生することがあり、これが画質劣化の一原因となっていた。この擬似輪郭ノイズについて、図5に基づき説明する。図5は、擬似輪郭ノイズの発生メカニズムを説明するための図である。図5において、2のべき乗の輝度に重み付け(重み1、2、4、8)されたサブフレームの組4つ(組1〜組4)を、輝度の小さい順に配置した場合を例として説明する。
【0012】
表示画面下に行くほど1画素単位で輝度が一段階ずつ高くなる画像、すなわち輝度が滑らかに変化する画像を考え、この画像が1フレーム経過後に1画素分、上方向に移動するものとする。図示するようにフレーム1とフレーム2とは、画面上の表示位置が1画素分ずれているが、人間の目には、この画像移動の切れ目が認識できない。
【0013】
しかしながら、人間の目は、移動する輝度に対して追従する特性があるため、例えば桁上がりにより発光パターンが大きく変化する輝度7と輝度8の間において、発光していないサブフレームの組を追従してしまい、人間の目には輝度0の黒い画素が移動していくように見える。したがって、人間の目は、本来存在しない輝度を認識し、これが等高線状ノイズとして知覚される。このように、連続するフレームにおいて同一画素で同じ階調データを表示するとき、各フレームでの発光パターンが同じ場合には、擬似輪郭ノイズが発生しやすい。
【0014】
このような課題に対する対策方法の一つとして、重み付けされたサブフレームの組の表示順をフレーム毎に入れ替える方法がある。図6に示す例では、連続する2つのフレーム(第1フレーム、第2フレームとする)のそれぞれにおいて、重み付けされた組の表示順が異なるようになされる。即ち、第1フレームでは、重み4、重み2、重み1の組の順で表示され、第2フレームでは、重み1、重み4、重み2の組の順で表示される。これにより、連続するフレームにおいて同じ階調データでも発光パターンが異なるようになり、擬似輪郭ノイズの発生をある程度抑制するようになされている。
【0015】
なお、動画擬似輪郭ノイズの発生を抑制するため1フレームデータの発光パターンに工夫を施した階調表示については、例えば特許文献1にも開示されている。
【特許文献1】特開2001−125529号公報(第3頁右欄第45行乃至第4頁左欄第9行、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図6に示した方法によれば、同一画素において連続するフレーム間での発光パターンが異なるように制御するため、人間の視覚における擬似輪郭ノイズの知覚をある程度低減することができる。しかしながら、どのような工夫を行なっても、重み付けサブフレーム法にあっては、時間方向に離散的な発光の組み合わせで階調表現する原理に変わりなく、完全にその発生を抑制することはできなかった。
【0017】
一方、単純サブフレーム法では、1フレーム期間での発光において、複数のサブフレーム期間における発光が大きく離散することがないため、擬似輪郭ノイズの発生を抑えることができる。しかしながら、単純サブフレーム法にあっては、1つまたは複数連続するサブフレーム期間を単純に発光させて階調表示するものであるため、多階調表示のためには1フレーム期間を数多くのサブフレーム期間に分割する必要があり、その場合には、クロック周波数を高く設定しなければならず、駆動系周辺回路に加わる負荷が大きくなるという課題があった。
【0018】
また、有機EL素子は、電流注入型発光素子であるため、素子にかかる配線抵抗を流れる電流は、発光表示パネルの点灯率に大きく依存する。すなわち、点灯率が大きく増加するよう変化すれば、配線抵抗の電圧降下量が増加し、その結果、素子の駆動電圧が低下し、発光輝度が低下する現象が生じる。この現象は、点灯率が急激に変化しやすい重み付けサブフレーム法において発生する虞が高く、その場合、階調表示が崩れ、正常な階調表現ができない(階調異常の発生)という問題があった。
【0019】
この発明は、前記した技術的な問題点に着目してなされたものであり、自発光素子をマトリクス状に配列した自発光表示パネルにおいて、動画擬似輪郭ノイズや階調異常の発生を抑制すると共に多階調表示することのできる自発光表示パネルの駆動装置、及びその駆動装置を備えた電子機器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するためになされた本発明にかかる自発光表示パネルの駆動装置は、請求項1に記載のとおり、複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子を備えた自発光表示パネルの駆動装置であって、1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、aを0<a<Nを満足する整数として、輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくとも2つ以上のサブフレーム期間を点灯させる第1の階調制御手段を備えることに特徴を有する。
【0021】
また、前記課題を解決するためになされた本発明にかかる自発光表示パネルの駆動方法は、請求項12に記載のとおり、複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子を備えた自発光表示パネルの駆動方法であって、1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、aを0<a<Nを満足する整数として、輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくとも2つ以上のサブフレーム期間を点灯させることに特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明にかかる自発光表示パネルの駆動装置及び駆動方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。尚、以下の説明においてはすでに説明した図1および図2に示された各部に相当する部分を同一符号で示しており、したがって個々の機能および動作については適宜説明を省略する。
【0023】
また、図1および図2に示した従来例においては、画素を構成する駆動用TFT12とEL素子14との直列回路が、すべて共通陽極16と共通陰極17との間に接続されたいわゆる単色発光の表示パネルの例を示している。しかしながら、以下に説明するこの発明にかかる自発光表示パネルの駆動装置においては、単色発光の表示パネルは勿論のこと、むしろR(赤)、G(緑)、B(青)の各発光画素(サブピクセル)を備えたカラー表示パネルに好適に採用されるものである。
【0024】
図7はこの発明にかかる駆動装置における第一の実施の形態をブロック図によって示したものである。図7において、駆動制御回路21がデータドライバ24と、走査ドライバ25と、消去ドライバ26と、マトリクス状に夫々配列された画素30とからなる発光表示パネル40の動作を制御するようになされている。
【0025】
先ず、入力されたアナログ映像信号は、駆動制御回路21およびアナログ/デジタル(A/D)変換器22に供給される。前記駆動制御回路21はアナログ映像信号中における水平同期信号および垂直同期信号に基づいて、前記A/D変換器22に対するクロック信号CK、およびフレームメモリ23に対する書き込み信号W、および読み出し信号Rを生成する。
【0026】
前記A/D変換器22は、駆動制御回路21から供給されるクロック信号CKに基づいて、入力されたアナログ映像信号をサンプリングし、これを1画素毎に対応した画素データに変換して、フレームメモリ23に供給するように作用する。前記フレームメモリ23は、駆動制御回路21からの書き込み信号Wによって、A/D変換器22から供給される各画素データをフレームメモリ23に順次書き込むように動作する。
【0027】
かかる書き込み動作により自発光表示パネル40における一画面(n行、m列)分のデータの書き込みが終了すると、フレームメモリ23は駆動制御回路21から供給される読み出し信号Rによって、1画素毎に例えば6ビットの画素データとして、順次データ変換手段28に供給するようになされる。
【0028】
前記データ変換手段28では、後述する多階調化処理を施すと共に、かかる6ビットの画素データを、4ビットの画素データに変換し、これを1行目から第n行目まで1行分毎にデータドライバ24に供給する。
一方、駆動制御回路21より走査ドライバ25に対してタイミング信号が送出され、これに基づいて走査ドライバ25は、各走査ラインに対して順次ゲートオン電圧を送出する。したがって、前記のようにしてフレームメモリ23から読み出され、データ変換手段28によってデータ変換された1行分毎の駆動画素データは、走査ドライバ25の走査によって、1行毎にアドレッシングされる。
【0029】
また、この実施の形態においては、前記駆動制御回路21より消去ドライバ26に対して制御信号が送出されるように構成されている。
前記消去ドライバ26は、駆動制御回路21から制御信号を受けて、後述するように走査ライン毎に電気的に分離して配列された電極ライン(この実施の形態においては制御ラインC1 〜Cn と称する)に対して、選択的に所定の電圧レベルを印加し、後述の消去用TFT15のオン・オフ動作を制御する。
【0030】
さらに、前記駆動制御回路21は、逆バイアス電圧印加手段27に制御信号を送出する。この逆バイアス電圧印加手段27は、前記制御信号を受けて、陰極32に対して、選択的に所定の電圧レベルを印加し、有機EL素子に対して順方向または逆バイアス電圧を供給するように動作する。この逆バイアス電圧とは、発光時に電流が流れる方向(順方向)とは逆方向の電圧であって、画像データ表示のための発光期間とは関係のない期間に各有機EL素子に印加される。なお、このように逆バイアス電圧を印加することによって、時間経過に対して素子の発光寿命が延命されることが知られている。
【0031】
図8は、自発光表示パネル40にマトリクス状に夫々配列された画素30のうち、1つの画素の回路構成例を示した図である。この図8に示す1つの画素30に対応する回路構成例は、アクティブマトリクス型表示パネルに適用されるものである。そして、この回路は図1に示した画素10の回路構成に、キャパシタ13に蓄積された電荷を消去する消去用トランジスタである点灯期間制御手段としてのTFT15を加え、さらに前記点灯駆動用TFT12のソースSとドレインDとの間に、これをバイパスするようにして接続されたダイオード19を加えたものとして構成される。
【0032】
先ず、前記消去用TFT15はキャパシタ13に並列に接続されており、有機EL素子14が点灯動作中に、前記駆動制御回路21からの制御信号に従ってオン動作することにより、キャパシタ13の電荷を瞬時に放電させることができる。これにより、次のアドレッシング時まで、画素を消灯させることができる。
【0033】
一方、前記ダイオード19は、その陽極(アノード)が、前記したEL素子14の陽極に接続されており、ダイオード19の陰極(カソード)は、陽極31に接続されている。したがって、前記ダイオード19は、ダイオード特性を有するEL素子14の順方向に対して、逆方向となるように駆動用TFT12のソースSとドレインDとの間に並列接続されている。
【0034】
また、図8に示した回路構成においては、EL素子14の陰極(カソード)は、走査ラインA1〜Anに対して共通に形成された陰極32に接続されており、図7に示す逆バイアス電圧印加手段27によって、当該陰極に対し、選択的に所定の電圧レベルが印加されるようになされている。すなわち、ここでは共通陽極31に加わる電圧レベルを“Va”とした場合、陰極32には、例えば“Vh”または“Vl”の電圧レベルが選択的に印加されるようになされる。前記“Va”に対する“Vl”のレベル差、すなわちVa−Vlは、EL素子14において順方向(例えば10V程度)となるように設定されており、したがって、陰極32に選択的に“Vl”が設定された場合には、各画素30を構成するEL素子14は、発光可能な状態となる。
【0035】
また、前記“Va”に対する“Vh”のレベル差、すなわちVa−Vhは、EL素子14において逆バイアス電圧(例えば−8V程度)となるように設定されており、したがって、陰極32に選択的に“Vh”が印加された場合には、各画素30を構成するEL素子14は非発光状態になされ、このとき、図8に示したダイオード19は、前記逆バイアス電圧によって導通状態になされる。
【0036】
ところで、前記した回路構成は、発光素子であるEL素子に加える駆動電流の供給時間(点灯時間)を変更することができるので、有機EL素子14の実質的な発光輝度を制御することができる。したがって、本発明に係る自発光表示パネルの駆動装置における階調表現にあっては、時間階調方式が基本となる。そして、この時間階調方式として、前記した動画擬似輪郭ノイズの発生を完全に抑制するため、また、階調異常の発生を抑制するために、単純サブフレーム法が適用される。なお、本実施の形態において本回路構成での階調表現は、前記駆動制御回路21、前記データドライバ24、前記走査ドライバ25、消去ドライバ26(点灯期間制御手段)、各画素30により構成される第1の階調制御手段、及びデータ変換手段28による第2の階調制御手段により実現される。
【0037】
また、本発明に係る駆動装置及び駆動方法においては、1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示がなされる。そして、aが0<a<Nを満足する整数とすれば、輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくとも2つ以上のサブフレーム期間を点灯させるようになされる。
【0038】
例えば図9に示す一例では、1フレーム期間を32個(N個)のサブフレーム(SF1〜32)に分割し16階調(階調0〜階調15)の表示を行うとすれば、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示が設定される。この場合、例えば単純サブフレーム法で階調14(輝度レベルa)を表示する際は、階調13(輝度レベルa−1)で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の2個のサブフレーム期間を加えて点灯させるようになされる。また、この例では、階調15(輝度レベルa)を表示する際は、階調14(輝度レベルa−1)で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の4個のサブフレーム期間を加えて点灯させるようになされる。
【0039】
即ち、この図9の例では、階調0を除く階調1から階調15までは、1つ下の階調レベル(輝度レベル)で点灯したサブフレームの数に加え、他の2つ以上のサブフレームを加えて点灯するようになされる。このように階調を1つ上げるごとに、2つ以上のサブフレーム期間を点灯することにより、発光デューティを大きく確保することができ、輝度をより向上させることができる。
【0040】
また、図9に示した例においては、点灯するサブフレームは、そのサブフレームの期間中は常に点灯する場合を示したが、より自然な階調表現を行ないたい場合には、例えば図10に示すように、各サブフレーム期間における点灯期間の比がすべて異なるようになされる。そして、各サブフレーム期間における点灯期間の長さは、単純サブフレーム法により表示される各階調間の輝度曲線が図11に示すように非線形(例えば、ガンマ値2.2)となるように設定される。したがって、単純サブフレーム法による階調表示に非線形特性(以下、ガンマ特性とする)を持たせることができ、より自然な階調表示が実現される。
【0041】
尚、図10においては、階調1〜階調15の表示では、図9と同様に1つ下の階調レベル(輝度レベル)で点灯したサブフレーム期間に加えて他の2つ以上のサブフレーム期間を点灯するようになされる。また、各サブフレーム期間における点灯期間の生成は、消去ドライバ26からの消去スタートパルスに従い、消去用TFT15が駆動し、キャパシタ13の電荷を瞬時に放電することにより行なわれる。
【0042】
また、本発明に係る駆動装置及び駆動方法においては、単純サブフレーム法により多階調表示を実現するために、ディザ処理を軸としたデータ変換処理が行なわれる。図12は、その多階調表示のためのデータ変換処理を行なうデータ変換手段28を説明するためのブロック図である。図12に示すように、データ変換手段28には、フレームメモリ23から6ビット、1画素分のデータが順次入力される。そして、入力された画素データは、第一データ変換手段28aにおいてデータ変換処理が施される。
【0043】
第一データ変換手段28aにおけるデータ変換処理は、後段に施されるディザ処理の前段処理として、ディザ処理におけるオーバーフロー対策及び、ディザパターンによるノイズ対策等のために行なわれる。具体的には、例えば画素データに対して、データ変換手段28aにおいて、入力される6ビットデータとしての0〜63の値のうち、値0〜58についてはそのままの値で出力し、値57については1を加算し値58に変換して出力し、値58〜63についてはオーバーフロー防止のため強制的に値60に変換して出力する。
尚、このような変換特性は、入力データのビット数、表示階調数、多階調化による圧縮ビット数に応じて設定される。
【0044】
第一データ変換手段28aにおいて変換処理が施された6ビットの画素データは、次いで、ディザ処理手段28bにおいてそれぞれディザ係数が加算され、多階調処理が施される。このディザ処理手段28bにおいては、画素の輝度データにディザ係数を加算後、6ビットの画素データのうち、下位2ビットは切り捨てられる。すなわち、上位4ビットで実階調を表現し、ディザ処理により2ビット相当の擬似階調表示が実現される。
【0045】
詳しくは、図13(a)に示すように上下、左右に互いに隣接する4つの画素p、q、r、sを組とし、この1組の各画素に対応した画素データ各々に、互いに異なるディザ係数0〜3をそれぞれ割り当てて加算する。図13(a)において、それぞれの画素に示す数字(0、1、2、3)は、それぞれの画素データに加算されるディザ係数(値)の配列を表す。図9、図10に示した例においては、階調(輝度レベル)a−1から階調(輝度レベル)aになったときに新たに2つのサブフレームが点灯されるため、その新たに点灯されるサブフレーム数に合わせ、2種類(ディザマスクA、B)のディザ係数の配列パターンが設定される。そして、図13(b)に示すように、サブフレーム毎に、同一画素において加算されるディザ係数が異なるようになされる。
【0046】
また、そのとき、同一画素におけるディザマスクAとディザマスクBのディザ係数の和(累計)は、4つの画素p、q、r、sにおいて全て等しくなるようにディザ係数の配列が設定される。このようなディザ係数の配列は、ディザパターンによるノイズ低減のために行われる。すなわち、ディザ係数0〜3からなるディザパターンが各画素に対して一定に加算されていると、このディザパターンによるノイズが視覚的に確認される場合があり画質を損なう。そこで、前記のようにサブフレーム毎にディザ係数を変更することにより、ディザパターンによるノイズを低減することができる。尚、図13の例では、同一画素におけるディザマスクAとディザマスクBのディザ係数の和は値3となる。
【0047】
このディザ処理によれば、4画素で4つの中間表示レベルの組み合わせが発生することになる。よって、例えば画素データのビット数が4ビットであっても、表現できる輝度階調レベルは4倍、すなわち、6ビット相当(64階調)の中間調表示が可能となる。例えば図13(b)に示すように、実階調2の表示において、第3サブフレーム点灯時には、図13(a)のディザマスクAによってディザ処理される。その結果、4画素における表示可能な階調と平均階調は、図14(a)に示す通りであり、4段階の階調表示が可能となる。また、実階調3の表示において、第6サブフレーム点灯時には、図13(a)のディザマスクBによってディザ処理される。その結果、4画素における表示可能な階調と平均階調は、図14(b)に示すようになる。
【0048】
また、組となる4画素に対し異なるディザマスクによってサブフレーム毎に交互にディザ処理されることで、同一画素での階調が、連続するサブフレーム間で異なるようになる。例えば、実階調3の表示において、第5サブフレーム点灯時には、図13(a)のディザマスクAによってディザ処理され、4画素における表示可能な階調と平均階調は、図14(c)に示すようになる。すなわち、図14(b)と図14(c)とでは、ディザ処理されるディザマスクが異なるため、同じ平均階調における同一画素の階調が異なる値となる。これにより、連続するサブフレーム期間において、異なるディザマスクで処理された同一画素における累積階調が4画素間で平均化される。その結果、ディザパターン特有のノイズ(ざらざら感)がさらに低減される。
【0049】
尚、図9、図10に示した階調1〜階調14の表示では、前記したように1つ下の階調レベル(輝度レベル)で点灯したサブフレーム期間に加えて他の2つのサブフレーム期間を点灯するようになされる。しかしながら、本発明にあってはそれに限定されず1つ下の階調レベルで点灯したサブフレーム期間に加えて他の2つ以上のサブフレーム期間を点灯する構成であればよい。
【0050】
例えば、図15に示すように階調1から階調14において、1つ下の階調レベルで点灯したサブフレーム期間に加え、他の4つのサブフレーム期間を点灯するようにしてもよい。なお、その場合、階調数を維持するために、1フレーム期間を構成するサブフレーム数が、図9、図10の例に対し例えば2倍の64のサブフレーム期間で形成され、階調15は階調14で点灯したサブフレーム期間に加え、他の8つのサブフレーム期間を点灯するようになされる。このようにすることで、発光デューティをより大きく確保することができ、輝度をさらに向上させることができる。
【0051】
また、その場合のディザ処理は、1階調の増加で新たに点灯されるサブフレーム数に合わせ、図15(a)に示すように4種類のディザパターン(ディザマスクA,B,C,D)が設定される。すなわちこれは、階調aから階調a−1になったときに、新たに点灯される複数のサブフレーム期間においてディザパターンを分散させ、ディザパターンによるノイズを軽減させるためである。そして、図15(b)に示すように、サブフレーム毎に、同一画素において加算されるディザ係数が異なるようになされる。また、そのとき、同一画素におけるディザマスクA〜Dのディザ係数の和は、4つの画素p、q、r、sにおいて全て等しくなるようにディザ係数の配列が設定される。尚、図15の例では、同一画素におけるディザマスクA〜Dのディザ係数の和は値6となる。
【0052】
尚また、発光表示パネル40がカラー表示パネルである場合には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各発光画素について、加算するディザ係数を異なるように設定してもよい。例えば、発光すべき同じ輝度データであっても、赤及び青の画素における実際の発光輝度は、緑の画素における実際の発光輝度よりも低い。したがって、例えば図16に示すように、赤と青の画素は同じディザ係数の組み合わせで、緑の画素については、前記赤、青の画素の場合と異なるディザ係数となるようにすることで、よりディザパターンによるノイズを低減することができる。
【0053】
また、図12に示すデータ変換手段28において、ディザ処理手段28bにより多階調化処理が施された4ビットの画素データは、第二データ変換手段28cに出力される。第二データ変換手段28cにおいては、0〜15のいずれかの値である4ビットの画素データを図17に示す変換テーブル29に従ってサブフレームSF1〜32(図9、図10のタイミング図の場合)に対応した第1〜第15ビットからなる表示用画素データHDに変換される。尚、図17において、表示用画素データHDにおける論理レベル“1”のビットは、そのビットに対応したサブフレームSFでの画素発光の実施を示すものである。例えばHD1、2が論理1の場合、サブフレームSF1〜4での画素発光を実行する。
【0054】
かかる変換がなされた表示用画素データHDは、データドライバ24に供給される。この際、表示用画素データHDの形態は、図17に示される16パターンのうち、いずれか1つとなる。データドライバ24は、前記表示用画素データHD中の第1〜第15ビットの各々をサブフレームSF1〜32に割り当てる。したがって、そのビット論理が1である場合に、走査ドライバ25の走査によって、対応する画素にアドレッシングされ、そのサブフレーム期間に発光動作が行なわれる。
【0055】
以上のように本発明に係る第一の実施の形態によれば、階調表現に重み付けサブフレーム法ではなく、単純サブフレーム法を採用したことにより、動画擬似輪郭ノイズ及び階調異常の発生を完全に抑制することができる。また、単純サブフレーム法を用いた場合の課題であった多階調表示については、ディザ法を用いることにより解決することができる。また、時間階調方式による実階調データの表示において、1つ下の階調レベル(輝度レベル)で点灯するサブフレーム期間に加え、他の2つ以上のサブフレーム期間を点灯することにより、発光デューティを大きく確保することができ、輝度をより向上させることができる。このような制御は、特に、各サブフレーム期間における点灯時間の比に非線形特性(ガンマ特性)を持たせる場合に有効である。さらには、ディザ係数の配列の工夫等により、ディザ法を用いることによるディザパターンのノイズを軽減し、S/N感を向上させることができる。
【0056】
尚、前記した第一の実施の形態において、いずれの階調の表示であっても、フレーム期間中の最後に必ず非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、その期間に逆バイアス電圧印加手段27により、有機EL素子14に対し逆バイアス電圧を印加することが望ましい。それにより、素子の寿命を延命する等の効果を得ることができる。
【0057】
続いて、本発明にかかる駆動装置の第二の実施の形態について説明する。尚、この第二の実施の形態においては、第一の実施の形態において図7に示した駆動装置の全体構成と同一の構成を採用する。したがって、以下の説明においては、すでに説明した図1、図7に示された各部に相当する部分を同一符号で示しており、したがって個々の機能および動作については適宜説明を省略する。
【0058】
図18は、第二の実施形態での駆動装置による階調表示のサブフレーム点灯パターン(図18(b))と、それに対応したディザマスクの例(図18(a))を示した図である(16個のサブフレームで16階調表示)。図18(b)に示すように本実施形態では、奇数、偶数の各フレームにおいて、階調ごとの点灯制御単位がそれぞれ別々に設定される。例えば、奇数フレームでは、階調5の表示で4サブフレーム期間が点灯されるが、偶数フレームでは、6サブフレーム期間が点灯される。
【0059】
すなわち、aが0<a<Nを満足する整数とすれば、階調(輝度レベル)a−1または階調(輝度レベル)aのときに、奇数フレームと偶数フレームとでは点灯するサブフレーム数が異なるように制御される。このような制御は、第二データ変換手段28c(第三の階調制御手段)において、奇数フレームと偶数フレームとで異なる変換テーブルが用いられることにより実現される。
【0060】
例えば、奇数フレームでは、図19に示す変換テーブル33が用いられ、偶数フレームでは、図20に示す変換テーブル35が用いられる。そして、奇数フレームの表示用画素データHDと偶数フレームの表示用画素データHDとが交互にデータドライバ24に出力される。データドライバ24は、駆動制御回路21の制御により奇数フレームの表示用画素データHDと偶数フレームの表示用画素データHDとをフレーム毎に交互に処理し、その第1〜第15ビットの各々を変換テーブル33、35に従ってサブフレームSF1〜16に割り当てる。そして、そのビット論理が1である場合に、走査ドライバ25の走査によって、対応する画素にアドレッシングされ、そのサブフレーム期間に発光動作が行なわれる。
【0061】
また、この場合、階調によっては奇数フレームと偶数フレームとで実施すべき発光期間が互いに異なるため、2種類の16階調(実階調)の発光駆動がフレーム毎に交互に実施されることになる。かかる駆動によれば、視覚上における表示階調数は、時間方向に積分すると16階調よりも増加する。したがって、多階調処理(ディザ処理)によるディザパターンのノイズが目立ちにくくなり、S/N感が向上する。
【0062】
但し、このように偶数フレームと奇数フレームで、互いに発光期間の異なる2種類の発光駆動を交互に実施すると、1フレーム期間内での発光重心が互いにずれているため、フリッカが生じる場合がある。そこで、本発明に係る駆動装置においては、各フレームの発光重心を一致させるために、一方のフレーム(図18においては偶数フレームの最後)にダミーサブフレームである発光重心調整サブフレームを設け、この期間は非点灯期間となされる。
【0063】
さらには、この発光重心調整サブフレームにおける非点灯期間に、逆バイアス電圧印加手段27により、すべての有機EL素子に対して逆バイアス電圧が印加される。すなわち、有機EL素子を用いた発光表示パネルの駆動において必要となる逆バイアス電圧印加のための期間を特別に設けることなく、逆バイアス電圧を印加することができる。
【0064】
以上のように本発明にかかる第二の実施の形態によれば、第一の実施の形態での効果と同様に、単純サブフレーム法を用いたことによる動画擬似輪郭ノイズ及び階調以上の抑制、ディザ法を用いたことによる表示可能階調数の向上を得ることができる。加えて、ディザ係数の配列の工夫や、連続するフレーム間で点灯時間が異なるよう制御することによりディザパターンのノイズをより低減し、S/N感を向上させることができる。
【0065】
なお、前記した第一、第二の実施の形態では、4画素を組としてディザ処理を行う例を示したが、それに限らず、例えば図21(a)に示すように隣接する9画素を組として、あるいは図21(b)に示すように隣接する16画素を組としてディザ処理を行ってもよい。尚、図21において、それぞれ線で仕切られた各升は画素を表し、数字はディザ係数を示している。
【0066】
また、図7に示した構成例において、A/D変換器22から出力された映像信号(画素データ)は、一旦、一画面毎にフレームメモリ23に記憶され、その後、データ変換手段28において処理がなされる。このような構成は、必ずしもフレーム毎に映像データが切り替わらない携帯電話等の表示パネルの駆動装置において有効である。しかしながら、ビデオ信号がA/D変換器22に入力される場合においては、フレーム毎に映像信号が入力されるため、A/D変換器22から出力された映像信号(画素データ)をデータ変換手段28において順次データ変換し、それを一画面毎にフレームメモリ23に一時記憶する構成としてもよい。
【0067】
また、図7に示したように、逆バイアス電圧印加手段27を設け、有機EL素子14に対し逆バイアス電圧を印加するように構成した。しかしながら、この構成に限定せず、逆バイアス電圧印加手段27に置き換え、同電位印加手段を設け、有機EL素子14の両極を同電位とする処理(同電位リセットと呼ぶ)を行なってもよい。この同電位リセットによれば、その処理の際に素子の放電等が行われ、逆バイアス電圧印加による効果と同様に、素子の寿命を延命する等の効果を得ることができる。
【0068】
その場合、同電位印加手段により、例えば、全ての画素の回路構成において駆動用TFT12をオン状態とし、陽極31及び陰極32を同電位(例えばグランドに接続)とすることにより全画素に対して同電位リセットが行なわれる。あるいは、図22に示すように、各画素の有機EL素子14の両極間に同電位リセット用TFT34を設け、同電位印加手段によりTFT34をオン状態とし、素子の両極を同電位とする処理を行ってもよい。この場合には、画素ごとに同電位リセットを行なうことができる。
【0069】
また、前記した実施の形態においては、便宜上、画素データ6ビット、階調表現を64の場合としたが、これに限定されず、より多階調表示或いは低階調においても本発明にかかる駆動装置及び駆動方法を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】従来のアクティブマトリクス型表示パネルにおける1つの画素に対応する回路構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示した各画素を担う回路構成を、表示パネルに配列した状態を模式的に示す図である。
【図3】時間階調方式において、単純サブフレーム法を説明するためのタイミング図である。
【図4】時間階調方式において、重み付けサブフレーム法を説明するためのタイミング図である。
【図5】動画擬似輪郭ノイズの発生メカニズムを説明するための図である。
【図6】重み付けサブフレーム法において、動画擬似輪郭ノイズを低減する点灯駆動を説明するためのタイミング図である。
【図7】本発明の駆動装置にかかる実施の形態を示すブロック図である。
【図8】図7の表示パネルにマトリクス状に夫々配列された画素のうち、1つの画素の回路構成の一例を示した図である。
【図9】図7の駆動装置における各フレームのサブフレーム発光期間(ガンマ補正なし)の一例を示すタイミング図である。
【図10】図7の駆動装置における各フレームのサブフレーム発光期間(ガンマ補正あり)の一例を示すタイミング図である。
【図11】非線形の階調特性を示すグラフである。
【図12】図7のデータ変換手段の内部処理を説明するためのブロック図である。
【図13】本発明にかかる第一の実施の形態において、連続する2つのサブフレームに対するディザ係数の配列の一例及びそれに対応するサブフレームの点灯パターンの例を示す図である。
【図14】4画素を組としディザ処理を行う場合に各画素における階調と4画素での平均階調の例を示した図である。
【図15】本発明にかかる第一の実施の形態において、連続する4つのサブフレームに対するディザ係数の配列の一例及びそれに対応するサブフレームの点灯パターンの例を示す図である。
【図16】異なる色の画素におけるディザ係数の配列パターンの一例を示す図である。
【図17】図7のデータ変換手段において用いられるデータ変換テーブルの一例である。
【図18】本発明にかかる第二の実施の形態において、連続する2つのサブフレームに対するディザ係数の配列の一例及びそれに対応する奇数フレーム及び偶数フレームにおけるサブフレームの点灯パターンの例を示す図である。
【図19】本発明にかかる第二の実施の形態において、図7のデータ変換手段において用いられる奇数フレーム用のデータ変換テーブルの一例である。
【図20】本発明にかかる第二の実施の形態において、図7のデータ変換手段において用いられる偶数フレーム用のデータ変換テーブルの一例である。
【図21】本発明の実施の形態に適用可能なディザマスクの他の例を示す図である。
【図22】図7の表示パネルにマトリクス状に夫々配列された画素のうち、1つの画素の回路構成の他の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0071】
11 制御用TFT
12 駆動用TFT
13 キャパシタ
14 有機EL素子
15 消去用TFT
19 ダイオード
21 駆動制御回路(第1〜第3の階調制御手段)
22 A/D変換器
23 フレームメモリ
24 データドライバ(第1の階調制御手段)
25 走査ドライバ(第1の階調制御手段)
26 消去ドライバ(第1の階調制御手段)
27 逆バイアス電圧印加手段
28 データ変換手段
28a 第一データ変換手段
28b ディザ処理手段(第2の階調制御手段)
28c 第二データ変換手段(第3の階調制御手段)
30 画素(第1の階調制御手段)
31 陽極
32 陰極
34 同電位リセット用TFT
40 表示パネル
A 走査線
B データ線
C 制御線
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つのフレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、各サブフレーム期間を点灯制御することにより階調表現を行なう自発光表示パネルの駆動装置、駆動方法及びその駆動装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子をマトリクス状に配列して構成される表示パネルを用いたディスプレイの開発が広く進められている。このような表示パネルに用いられる発光素子として、例えば有機材料を発光層に用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子が注目されている。
【0003】
かかる有機EL素子を用いた表示パネルとして、マトリクス状に配列したEL素子の各々に、例えばTFT(Thin Film Transistor)からなる能動素子を加えたアクティブマトリクス型表示パネルがある。このアクティブマトリクス型表示パネルは、低消費電力を実現でき、また画素間のクロストークが少ない等の特質を備えており、特に大画面を構成する高精細度のディスプレイに適している。
【0004】
図1は、従来のアクティブマトリクス型表示パネルにおける1つの画素10に対応する回路構成の一例を示している。図1において、制御用トランジスタであるTFT11のゲートGは走査線(走査ラインA1)に接続され、ソースSはデータ線(データラインB1)に接続されている。また、この制御用TFT11のドレインDは、駆動用トランジスタであるTFT12のゲートGに接続されると共に、電荷保持用キャパシタ13の一方の端子に接続されている。
【0005】
また、駆動用TFT12のドレインDは前記キャパシタ13の他方の端子に接続されると共に、パネル内に形成された共通陽極16に接続されている。また、駆動用TFT12のソースSは、有機EL素子14の陽極に接続され、この有機EL素子14の陰極は、パネル内に形成された例えば基準電位点(アース)を構成する共通陰極17に接続されている。
【0006】
図2は、図1に示した各画素10を担う回路構成を、表示パネル20に配列した状態を模式的に示したものであり、各走査ラインA1〜Anと、各データラインB1〜Bmとの交差位置の各々において、図1に示した回路構成の各画素10が夫々形成されている。そして、前記した構成においては、駆動用TFT12の各ドレインDが図2に示された共通陽極16に夫々接続され、各EL素子14の陰極が同じく図2に示された共通陰極17に夫々接続された構成とされている。そして、この回路において、発光制御を実行する場合においては、スイッチ18が図に示すようにグランドに接続される状態になされ、これにより共通陽極16に対して電圧源+VDが供給される。
【0007】
この状態において、図1における制御用TFT11のゲートGに走査ラインを介してオン電圧が供給されると、TFT11はソースSに供給されるデータラインからの電圧に対応した電流をソースSからドレインDに流す。従って、TFT11のゲートGがオン電圧の期間に、前記キャパシタ13が充電され、その電圧が駆動用TFT12のゲートGに供給されて、TFT12にはそのゲート電圧とドレイン電圧に基づいた電流を、ソースSからEL素子14を通じて共通陰極17に流し、EL素子14を発光させる。
【0008】
また、TFT11のゲートGがオフ電圧になると、TFT11はいわゆるカットオフとなり、TFT11のドレインDが開放状態となるものの、駆動用TFT12はキャパシタ13に蓄積された電荷によりゲートGの電圧が保持され、次の走査まで駆動電流を維持し、EL素子14の発光も維持される。なお、前記した駆動用TFT12には、ゲート入力容量が存在するので、前記したキャパシタ13を格別に設けなくても、前記と同様な動作を行わせることが可能である。
【0009】
ところで前記したような回路構成を用い、画像データの階調表示を行なう方式として、時間階調方式がある。この時間階調方式とは、例えば1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、1フレーム期間あたりに有機EL素子が発光したサブフレーム期間の累計によって中間調表示を行なう方式である。
【0010】
さらに、この時間階調方式には、図3に示すように、サブフレーム単位でEL素子を発光させ、発光するサブフレーム期間の単純な累計により階調表現する方法(便宜的に単純サブフレーム法と呼ぶ)と、図4に示すように、1つまたは複数のサブフレーム期間を組として、組に対して階調ビットを割り付けて重み付けを行ない、その組み合わせにより階調表現する方法(便宜的に重み付けサブフレーム法と呼ぶ)とがある。尚、図3、図4においては、階調0〜7の8階調を表示する場合の例を示している。
【0011】
このうち、重み付けサブフレーム法では、例えばサブフレーム期間内における点灯期間にも階調表示のための重み付け制御を行なうことにより、単純サブフレーム法よりも少ないサブフレーム数で多階調表示を実現できるという利点がある。しかしながら、この重み付けサブフレーム法にあっては、1フレームの画像に対し、時間方向に離散的な発光の組み合わせで階調を表現しているため、動画擬似輪郭ノイズ(以下、単に擬似輪郭ノイズとも呼ぶ)と呼ばれる等高線状のノイズが発生することがあり、これが画質劣化の一原因となっていた。この擬似輪郭ノイズについて、図5に基づき説明する。図5は、擬似輪郭ノイズの発生メカニズムを説明するための図である。図5において、2のべき乗の輝度に重み付け(重み1、2、4、8)されたサブフレームの組4つ(組1〜組4)を、輝度の小さい順に配置した場合を例として説明する。
【0012】
表示画面下に行くほど1画素単位で輝度が一段階ずつ高くなる画像、すなわち輝度が滑らかに変化する画像を考え、この画像が1フレーム経過後に1画素分、上方向に移動するものとする。図示するようにフレーム1とフレーム2とは、画面上の表示位置が1画素分ずれているが、人間の目には、この画像移動の切れ目が認識できない。
【0013】
しかしながら、人間の目は、移動する輝度に対して追従する特性があるため、例えば桁上がりにより発光パターンが大きく変化する輝度7と輝度8の間において、発光していないサブフレームの組を追従してしまい、人間の目には輝度0の黒い画素が移動していくように見える。したがって、人間の目は、本来存在しない輝度を認識し、これが等高線状ノイズとして知覚される。このように、連続するフレームにおいて同一画素で同じ階調データを表示するとき、各フレームでの発光パターンが同じ場合には、擬似輪郭ノイズが発生しやすい。
【0014】
このような課題に対する対策方法の一つとして、重み付けされたサブフレームの組の表示順をフレーム毎に入れ替える方法がある。図6に示す例では、連続する2つのフレーム(第1フレーム、第2フレームとする)のそれぞれにおいて、重み付けされた組の表示順が異なるようになされる。即ち、第1フレームでは、重み4、重み2、重み1の組の順で表示され、第2フレームでは、重み1、重み4、重み2の組の順で表示される。これにより、連続するフレームにおいて同じ階調データでも発光パターンが異なるようになり、擬似輪郭ノイズの発生をある程度抑制するようになされている。
【0015】
なお、動画擬似輪郭ノイズの発生を抑制するため1フレームデータの発光パターンに工夫を施した階調表示については、例えば特許文献1にも開示されている。
【特許文献1】特開2001−125529号公報(第3頁右欄第45行乃至第4頁左欄第9行、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図6に示した方法によれば、同一画素において連続するフレーム間での発光パターンが異なるように制御するため、人間の視覚における擬似輪郭ノイズの知覚をある程度低減することができる。しかしながら、どのような工夫を行なっても、重み付けサブフレーム法にあっては、時間方向に離散的な発光の組み合わせで階調表現する原理に変わりなく、完全にその発生を抑制することはできなかった。
【0017】
一方、単純サブフレーム法では、1フレーム期間での発光において、複数のサブフレーム期間における発光が大きく離散することがないため、擬似輪郭ノイズの発生を抑えることができる。しかしながら、単純サブフレーム法にあっては、1つまたは複数連続するサブフレーム期間を単純に発光させて階調表示するものであるため、多階調表示のためには1フレーム期間を数多くのサブフレーム期間に分割する必要があり、その場合には、クロック周波数を高く設定しなければならず、駆動系周辺回路に加わる負荷が大きくなるという課題があった。
【0018】
また、有機EL素子は、電流注入型発光素子であるため、素子にかかる配線抵抗を流れる電流は、発光表示パネルの点灯率に大きく依存する。すなわち、点灯率が大きく増加するよう変化すれば、配線抵抗の電圧降下量が増加し、その結果、素子の駆動電圧が低下し、発光輝度が低下する現象が生じる。この現象は、点灯率が急激に変化しやすい重み付けサブフレーム法において発生する虞が高く、その場合、階調表示が崩れ、正常な階調表現ができない(階調異常の発生)という問題があった。
【0019】
この発明は、前記した技術的な問題点に着目してなされたものであり、自発光素子をマトリクス状に配列した自発光表示パネルにおいて、動画擬似輪郭ノイズや階調異常の発生を抑制すると共に多階調表示することのできる自発光表示パネルの駆動装置、及びその駆動装置を備えた電子機器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するためになされた本発明にかかる自発光表示パネルの駆動装置は、請求項1に記載のとおり、複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子を備えた自発光表示パネルの駆動装置であって、1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、aを0<a<Nを満足する整数として、輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくとも2つ以上のサブフレーム期間を点灯させる第1の階調制御手段を備えることに特徴を有する。
【0021】
また、前記課題を解決するためになされた本発明にかかる自発光表示パネルの駆動方法は、請求項12に記載のとおり、複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子を備えた自発光表示パネルの駆動方法であって、1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、aを0<a<Nを満足する整数として、輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくとも2つ以上のサブフレーム期間を点灯させることに特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明にかかる自発光表示パネルの駆動装置及び駆動方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。尚、以下の説明においてはすでに説明した図1および図2に示された各部に相当する部分を同一符号で示しており、したがって個々の機能および動作については適宜説明を省略する。
【0023】
また、図1および図2に示した従来例においては、画素を構成する駆動用TFT12とEL素子14との直列回路が、すべて共通陽極16と共通陰極17との間に接続されたいわゆる単色発光の表示パネルの例を示している。しかしながら、以下に説明するこの発明にかかる自発光表示パネルの駆動装置においては、単色発光の表示パネルは勿論のこと、むしろR(赤)、G(緑)、B(青)の各発光画素(サブピクセル)を備えたカラー表示パネルに好適に採用されるものである。
【0024】
図7はこの発明にかかる駆動装置における第一の実施の形態をブロック図によって示したものである。図7において、駆動制御回路21がデータドライバ24と、走査ドライバ25と、消去ドライバ26と、マトリクス状に夫々配列された画素30とからなる発光表示パネル40の動作を制御するようになされている。
【0025】
先ず、入力されたアナログ映像信号は、駆動制御回路21およびアナログ/デジタル(A/D)変換器22に供給される。前記駆動制御回路21はアナログ映像信号中における水平同期信号および垂直同期信号に基づいて、前記A/D変換器22に対するクロック信号CK、およびフレームメモリ23に対する書き込み信号W、および読み出し信号Rを生成する。
【0026】
前記A/D変換器22は、駆動制御回路21から供給されるクロック信号CKに基づいて、入力されたアナログ映像信号をサンプリングし、これを1画素毎に対応した画素データに変換して、フレームメモリ23に供給するように作用する。前記フレームメモリ23は、駆動制御回路21からの書き込み信号Wによって、A/D変換器22から供給される各画素データをフレームメモリ23に順次書き込むように動作する。
【0027】
かかる書き込み動作により自発光表示パネル40における一画面(n行、m列)分のデータの書き込みが終了すると、フレームメモリ23は駆動制御回路21から供給される読み出し信号Rによって、1画素毎に例えば6ビットの画素データとして、順次データ変換手段28に供給するようになされる。
【0028】
前記データ変換手段28では、後述する多階調化処理を施すと共に、かかる6ビットの画素データを、4ビットの画素データに変換し、これを1行目から第n行目まで1行分毎にデータドライバ24に供給する。
一方、駆動制御回路21より走査ドライバ25に対してタイミング信号が送出され、これに基づいて走査ドライバ25は、各走査ラインに対して順次ゲートオン電圧を送出する。したがって、前記のようにしてフレームメモリ23から読み出され、データ変換手段28によってデータ変換された1行分毎の駆動画素データは、走査ドライバ25の走査によって、1行毎にアドレッシングされる。
【0029】
また、この実施の形態においては、前記駆動制御回路21より消去ドライバ26に対して制御信号が送出されるように構成されている。
前記消去ドライバ26は、駆動制御回路21から制御信号を受けて、後述するように走査ライン毎に電気的に分離して配列された電極ライン(この実施の形態においては制御ラインC1 〜Cn と称する)に対して、選択的に所定の電圧レベルを印加し、後述の消去用TFT15のオン・オフ動作を制御する。
【0030】
さらに、前記駆動制御回路21は、逆バイアス電圧印加手段27に制御信号を送出する。この逆バイアス電圧印加手段27は、前記制御信号を受けて、陰極32に対して、選択的に所定の電圧レベルを印加し、有機EL素子に対して順方向または逆バイアス電圧を供給するように動作する。この逆バイアス電圧とは、発光時に電流が流れる方向(順方向)とは逆方向の電圧であって、画像データ表示のための発光期間とは関係のない期間に各有機EL素子に印加される。なお、このように逆バイアス電圧を印加することによって、時間経過に対して素子の発光寿命が延命されることが知られている。
【0031】
図8は、自発光表示パネル40にマトリクス状に夫々配列された画素30のうち、1つの画素の回路構成例を示した図である。この図8に示す1つの画素30に対応する回路構成例は、アクティブマトリクス型表示パネルに適用されるものである。そして、この回路は図1に示した画素10の回路構成に、キャパシタ13に蓄積された電荷を消去する消去用トランジスタである点灯期間制御手段としてのTFT15を加え、さらに前記点灯駆動用TFT12のソースSとドレインDとの間に、これをバイパスするようにして接続されたダイオード19を加えたものとして構成される。
【0032】
先ず、前記消去用TFT15はキャパシタ13に並列に接続されており、有機EL素子14が点灯動作中に、前記駆動制御回路21からの制御信号に従ってオン動作することにより、キャパシタ13の電荷を瞬時に放電させることができる。これにより、次のアドレッシング時まで、画素を消灯させることができる。
【0033】
一方、前記ダイオード19は、その陽極(アノード)が、前記したEL素子14の陽極に接続されており、ダイオード19の陰極(カソード)は、陽極31に接続されている。したがって、前記ダイオード19は、ダイオード特性を有するEL素子14の順方向に対して、逆方向となるように駆動用TFT12のソースSとドレインDとの間に並列接続されている。
【0034】
また、図8に示した回路構成においては、EL素子14の陰極(カソード)は、走査ラインA1〜Anに対して共通に形成された陰極32に接続されており、図7に示す逆バイアス電圧印加手段27によって、当該陰極に対し、選択的に所定の電圧レベルが印加されるようになされている。すなわち、ここでは共通陽極31に加わる電圧レベルを“Va”とした場合、陰極32には、例えば“Vh”または“Vl”の電圧レベルが選択的に印加されるようになされる。前記“Va”に対する“Vl”のレベル差、すなわちVa−Vlは、EL素子14において順方向(例えば10V程度)となるように設定されており、したがって、陰極32に選択的に“Vl”が設定された場合には、各画素30を構成するEL素子14は、発光可能な状態となる。
【0035】
また、前記“Va”に対する“Vh”のレベル差、すなわちVa−Vhは、EL素子14において逆バイアス電圧(例えば−8V程度)となるように設定されており、したがって、陰極32に選択的に“Vh”が印加された場合には、各画素30を構成するEL素子14は非発光状態になされ、このとき、図8に示したダイオード19は、前記逆バイアス電圧によって導通状態になされる。
【0036】
ところで、前記した回路構成は、発光素子であるEL素子に加える駆動電流の供給時間(点灯時間)を変更することができるので、有機EL素子14の実質的な発光輝度を制御することができる。したがって、本発明に係る自発光表示パネルの駆動装置における階調表現にあっては、時間階調方式が基本となる。そして、この時間階調方式として、前記した動画擬似輪郭ノイズの発生を完全に抑制するため、また、階調異常の発生を抑制するために、単純サブフレーム法が適用される。なお、本実施の形態において本回路構成での階調表現は、前記駆動制御回路21、前記データドライバ24、前記走査ドライバ25、消去ドライバ26(点灯期間制御手段)、各画素30により構成される第1の階調制御手段、及びデータ変換手段28による第2の階調制御手段により実現される。
【0037】
また、本発明に係る駆動装置及び駆動方法においては、1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示がなされる。そして、aが0<a<Nを満足する整数とすれば、輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくとも2つ以上のサブフレーム期間を点灯させるようになされる。
【0038】
例えば図9に示す一例では、1フレーム期間を32個(N個)のサブフレーム(SF1〜32)に分割し16階調(階調0〜階調15)の表示を行うとすれば、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示が設定される。この場合、例えば単純サブフレーム法で階調14(輝度レベルa)を表示する際は、階調13(輝度レベルa−1)で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の2個のサブフレーム期間を加えて点灯させるようになされる。また、この例では、階調15(輝度レベルa)を表示する際は、階調14(輝度レベルa−1)で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の4個のサブフレーム期間を加えて点灯させるようになされる。
【0039】
即ち、この図9の例では、階調0を除く階調1から階調15までは、1つ下の階調レベル(輝度レベル)で点灯したサブフレームの数に加え、他の2つ以上のサブフレームを加えて点灯するようになされる。このように階調を1つ上げるごとに、2つ以上のサブフレーム期間を点灯することにより、発光デューティを大きく確保することができ、輝度をより向上させることができる。
【0040】
また、図9に示した例においては、点灯するサブフレームは、そのサブフレームの期間中は常に点灯する場合を示したが、より自然な階調表現を行ないたい場合には、例えば図10に示すように、各サブフレーム期間における点灯期間の比がすべて異なるようになされる。そして、各サブフレーム期間における点灯期間の長さは、単純サブフレーム法により表示される各階調間の輝度曲線が図11に示すように非線形(例えば、ガンマ値2.2)となるように設定される。したがって、単純サブフレーム法による階調表示に非線形特性(以下、ガンマ特性とする)を持たせることができ、より自然な階調表示が実現される。
【0041】
尚、図10においては、階調1〜階調15の表示では、図9と同様に1つ下の階調レベル(輝度レベル)で点灯したサブフレーム期間に加えて他の2つ以上のサブフレーム期間を点灯するようになされる。また、各サブフレーム期間における点灯期間の生成は、消去ドライバ26からの消去スタートパルスに従い、消去用TFT15が駆動し、キャパシタ13の電荷を瞬時に放電することにより行なわれる。
【0042】
また、本発明に係る駆動装置及び駆動方法においては、単純サブフレーム法により多階調表示を実現するために、ディザ処理を軸としたデータ変換処理が行なわれる。図12は、その多階調表示のためのデータ変換処理を行なうデータ変換手段28を説明するためのブロック図である。図12に示すように、データ変換手段28には、フレームメモリ23から6ビット、1画素分のデータが順次入力される。そして、入力された画素データは、第一データ変換手段28aにおいてデータ変換処理が施される。
【0043】
第一データ変換手段28aにおけるデータ変換処理は、後段に施されるディザ処理の前段処理として、ディザ処理におけるオーバーフロー対策及び、ディザパターンによるノイズ対策等のために行なわれる。具体的には、例えば画素データに対して、データ変換手段28aにおいて、入力される6ビットデータとしての0〜63の値のうち、値0〜58についてはそのままの値で出力し、値57については1を加算し値58に変換して出力し、値58〜63についてはオーバーフロー防止のため強制的に値60に変換して出力する。
尚、このような変換特性は、入力データのビット数、表示階調数、多階調化による圧縮ビット数に応じて設定される。
【0044】
第一データ変換手段28aにおいて変換処理が施された6ビットの画素データは、次いで、ディザ処理手段28bにおいてそれぞれディザ係数が加算され、多階調処理が施される。このディザ処理手段28bにおいては、画素の輝度データにディザ係数を加算後、6ビットの画素データのうち、下位2ビットは切り捨てられる。すなわち、上位4ビットで実階調を表現し、ディザ処理により2ビット相当の擬似階調表示が実現される。
【0045】
詳しくは、図13(a)に示すように上下、左右に互いに隣接する4つの画素p、q、r、sを組とし、この1組の各画素に対応した画素データ各々に、互いに異なるディザ係数0〜3をそれぞれ割り当てて加算する。図13(a)において、それぞれの画素に示す数字(0、1、2、3)は、それぞれの画素データに加算されるディザ係数(値)の配列を表す。図9、図10に示した例においては、階調(輝度レベル)a−1から階調(輝度レベル)aになったときに新たに2つのサブフレームが点灯されるため、その新たに点灯されるサブフレーム数に合わせ、2種類(ディザマスクA、B)のディザ係数の配列パターンが設定される。そして、図13(b)に示すように、サブフレーム毎に、同一画素において加算されるディザ係数が異なるようになされる。
【0046】
また、そのとき、同一画素におけるディザマスクAとディザマスクBのディザ係数の和(累計)は、4つの画素p、q、r、sにおいて全て等しくなるようにディザ係数の配列が設定される。このようなディザ係数の配列は、ディザパターンによるノイズ低減のために行われる。すなわち、ディザ係数0〜3からなるディザパターンが各画素に対して一定に加算されていると、このディザパターンによるノイズが視覚的に確認される場合があり画質を損なう。そこで、前記のようにサブフレーム毎にディザ係数を変更することにより、ディザパターンによるノイズを低減することができる。尚、図13の例では、同一画素におけるディザマスクAとディザマスクBのディザ係数の和は値3となる。
【0047】
このディザ処理によれば、4画素で4つの中間表示レベルの組み合わせが発生することになる。よって、例えば画素データのビット数が4ビットであっても、表現できる輝度階調レベルは4倍、すなわち、6ビット相当(64階調)の中間調表示が可能となる。例えば図13(b)に示すように、実階調2の表示において、第3サブフレーム点灯時には、図13(a)のディザマスクAによってディザ処理される。その結果、4画素における表示可能な階調と平均階調は、図14(a)に示す通りであり、4段階の階調表示が可能となる。また、実階調3の表示において、第6サブフレーム点灯時には、図13(a)のディザマスクBによってディザ処理される。その結果、4画素における表示可能な階調と平均階調は、図14(b)に示すようになる。
【0048】
また、組となる4画素に対し異なるディザマスクによってサブフレーム毎に交互にディザ処理されることで、同一画素での階調が、連続するサブフレーム間で異なるようになる。例えば、実階調3の表示において、第5サブフレーム点灯時には、図13(a)のディザマスクAによってディザ処理され、4画素における表示可能な階調と平均階調は、図14(c)に示すようになる。すなわち、図14(b)と図14(c)とでは、ディザ処理されるディザマスクが異なるため、同じ平均階調における同一画素の階調が異なる値となる。これにより、連続するサブフレーム期間において、異なるディザマスクで処理された同一画素における累積階調が4画素間で平均化される。その結果、ディザパターン特有のノイズ(ざらざら感)がさらに低減される。
【0049】
尚、図9、図10に示した階調1〜階調14の表示では、前記したように1つ下の階調レベル(輝度レベル)で点灯したサブフレーム期間に加えて他の2つのサブフレーム期間を点灯するようになされる。しかしながら、本発明にあってはそれに限定されず1つ下の階調レベルで点灯したサブフレーム期間に加えて他の2つ以上のサブフレーム期間を点灯する構成であればよい。
【0050】
例えば、図15に示すように階調1から階調14において、1つ下の階調レベルで点灯したサブフレーム期間に加え、他の4つのサブフレーム期間を点灯するようにしてもよい。なお、その場合、階調数を維持するために、1フレーム期間を構成するサブフレーム数が、図9、図10の例に対し例えば2倍の64のサブフレーム期間で形成され、階調15は階調14で点灯したサブフレーム期間に加え、他の8つのサブフレーム期間を点灯するようになされる。このようにすることで、発光デューティをより大きく確保することができ、輝度をさらに向上させることができる。
【0051】
また、その場合のディザ処理は、1階調の増加で新たに点灯されるサブフレーム数に合わせ、図15(a)に示すように4種類のディザパターン(ディザマスクA,B,C,D)が設定される。すなわちこれは、階調aから階調a−1になったときに、新たに点灯される複数のサブフレーム期間においてディザパターンを分散させ、ディザパターンによるノイズを軽減させるためである。そして、図15(b)に示すように、サブフレーム毎に、同一画素において加算されるディザ係数が異なるようになされる。また、そのとき、同一画素におけるディザマスクA〜Dのディザ係数の和は、4つの画素p、q、r、sにおいて全て等しくなるようにディザ係数の配列が設定される。尚、図15の例では、同一画素におけるディザマスクA〜Dのディザ係数の和は値6となる。
【0052】
尚また、発光表示パネル40がカラー表示パネルである場合には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各発光画素について、加算するディザ係数を異なるように設定してもよい。例えば、発光すべき同じ輝度データであっても、赤及び青の画素における実際の発光輝度は、緑の画素における実際の発光輝度よりも低い。したがって、例えば図16に示すように、赤と青の画素は同じディザ係数の組み合わせで、緑の画素については、前記赤、青の画素の場合と異なるディザ係数となるようにすることで、よりディザパターンによるノイズを低減することができる。
【0053】
また、図12に示すデータ変換手段28において、ディザ処理手段28bにより多階調化処理が施された4ビットの画素データは、第二データ変換手段28cに出力される。第二データ変換手段28cにおいては、0〜15のいずれかの値である4ビットの画素データを図17に示す変換テーブル29に従ってサブフレームSF1〜32(図9、図10のタイミング図の場合)に対応した第1〜第15ビットからなる表示用画素データHDに変換される。尚、図17において、表示用画素データHDにおける論理レベル“1”のビットは、そのビットに対応したサブフレームSFでの画素発光の実施を示すものである。例えばHD1、2が論理1の場合、サブフレームSF1〜4での画素発光を実行する。
【0054】
かかる変換がなされた表示用画素データHDは、データドライバ24に供給される。この際、表示用画素データHDの形態は、図17に示される16パターンのうち、いずれか1つとなる。データドライバ24は、前記表示用画素データHD中の第1〜第15ビットの各々をサブフレームSF1〜32に割り当てる。したがって、そのビット論理が1である場合に、走査ドライバ25の走査によって、対応する画素にアドレッシングされ、そのサブフレーム期間に発光動作が行なわれる。
【0055】
以上のように本発明に係る第一の実施の形態によれば、階調表現に重み付けサブフレーム法ではなく、単純サブフレーム法を採用したことにより、動画擬似輪郭ノイズ及び階調異常の発生を完全に抑制することができる。また、単純サブフレーム法を用いた場合の課題であった多階調表示については、ディザ法を用いることにより解決することができる。また、時間階調方式による実階調データの表示において、1つ下の階調レベル(輝度レベル)で点灯するサブフレーム期間に加え、他の2つ以上のサブフレーム期間を点灯することにより、発光デューティを大きく確保することができ、輝度をより向上させることができる。このような制御は、特に、各サブフレーム期間における点灯時間の比に非線形特性(ガンマ特性)を持たせる場合に有効である。さらには、ディザ係数の配列の工夫等により、ディザ法を用いることによるディザパターンのノイズを軽減し、S/N感を向上させることができる。
【0056】
尚、前記した第一の実施の形態において、いずれの階調の表示であっても、フレーム期間中の最後に必ず非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、その期間に逆バイアス電圧印加手段27により、有機EL素子14に対し逆バイアス電圧を印加することが望ましい。それにより、素子の寿命を延命する等の効果を得ることができる。
【0057】
続いて、本発明にかかる駆動装置の第二の実施の形態について説明する。尚、この第二の実施の形態においては、第一の実施の形態において図7に示した駆動装置の全体構成と同一の構成を採用する。したがって、以下の説明においては、すでに説明した図1、図7に示された各部に相当する部分を同一符号で示しており、したがって個々の機能および動作については適宜説明を省略する。
【0058】
図18は、第二の実施形態での駆動装置による階調表示のサブフレーム点灯パターン(図18(b))と、それに対応したディザマスクの例(図18(a))を示した図である(16個のサブフレームで16階調表示)。図18(b)に示すように本実施形態では、奇数、偶数の各フレームにおいて、階調ごとの点灯制御単位がそれぞれ別々に設定される。例えば、奇数フレームでは、階調5の表示で4サブフレーム期間が点灯されるが、偶数フレームでは、6サブフレーム期間が点灯される。
【0059】
すなわち、aが0<a<Nを満足する整数とすれば、階調(輝度レベル)a−1または階調(輝度レベル)aのときに、奇数フレームと偶数フレームとでは点灯するサブフレーム数が異なるように制御される。このような制御は、第二データ変換手段28c(第三の階調制御手段)において、奇数フレームと偶数フレームとで異なる変換テーブルが用いられることにより実現される。
【0060】
例えば、奇数フレームでは、図19に示す変換テーブル33が用いられ、偶数フレームでは、図20に示す変換テーブル35が用いられる。そして、奇数フレームの表示用画素データHDと偶数フレームの表示用画素データHDとが交互にデータドライバ24に出力される。データドライバ24は、駆動制御回路21の制御により奇数フレームの表示用画素データHDと偶数フレームの表示用画素データHDとをフレーム毎に交互に処理し、その第1〜第15ビットの各々を変換テーブル33、35に従ってサブフレームSF1〜16に割り当てる。そして、そのビット論理が1である場合に、走査ドライバ25の走査によって、対応する画素にアドレッシングされ、そのサブフレーム期間に発光動作が行なわれる。
【0061】
また、この場合、階調によっては奇数フレームと偶数フレームとで実施すべき発光期間が互いに異なるため、2種類の16階調(実階調)の発光駆動がフレーム毎に交互に実施されることになる。かかる駆動によれば、視覚上における表示階調数は、時間方向に積分すると16階調よりも増加する。したがって、多階調処理(ディザ処理)によるディザパターンのノイズが目立ちにくくなり、S/N感が向上する。
【0062】
但し、このように偶数フレームと奇数フレームで、互いに発光期間の異なる2種類の発光駆動を交互に実施すると、1フレーム期間内での発光重心が互いにずれているため、フリッカが生じる場合がある。そこで、本発明に係る駆動装置においては、各フレームの発光重心を一致させるために、一方のフレーム(図18においては偶数フレームの最後)にダミーサブフレームである発光重心調整サブフレームを設け、この期間は非点灯期間となされる。
【0063】
さらには、この発光重心調整サブフレームにおける非点灯期間に、逆バイアス電圧印加手段27により、すべての有機EL素子に対して逆バイアス電圧が印加される。すなわち、有機EL素子を用いた発光表示パネルの駆動において必要となる逆バイアス電圧印加のための期間を特別に設けることなく、逆バイアス電圧を印加することができる。
【0064】
以上のように本発明にかかる第二の実施の形態によれば、第一の実施の形態での効果と同様に、単純サブフレーム法を用いたことによる動画擬似輪郭ノイズ及び階調以上の抑制、ディザ法を用いたことによる表示可能階調数の向上を得ることができる。加えて、ディザ係数の配列の工夫や、連続するフレーム間で点灯時間が異なるよう制御することによりディザパターンのノイズをより低減し、S/N感を向上させることができる。
【0065】
なお、前記した第一、第二の実施の形態では、4画素を組としてディザ処理を行う例を示したが、それに限らず、例えば図21(a)に示すように隣接する9画素を組として、あるいは図21(b)に示すように隣接する16画素を組としてディザ処理を行ってもよい。尚、図21において、それぞれ線で仕切られた各升は画素を表し、数字はディザ係数を示している。
【0066】
また、図7に示した構成例において、A/D変換器22から出力された映像信号(画素データ)は、一旦、一画面毎にフレームメモリ23に記憶され、その後、データ変換手段28において処理がなされる。このような構成は、必ずしもフレーム毎に映像データが切り替わらない携帯電話等の表示パネルの駆動装置において有効である。しかしながら、ビデオ信号がA/D変換器22に入力される場合においては、フレーム毎に映像信号が入力されるため、A/D変換器22から出力された映像信号(画素データ)をデータ変換手段28において順次データ変換し、それを一画面毎にフレームメモリ23に一時記憶する構成としてもよい。
【0067】
また、図7に示したように、逆バイアス電圧印加手段27を設け、有機EL素子14に対し逆バイアス電圧を印加するように構成した。しかしながら、この構成に限定せず、逆バイアス電圧印加手段27に置き換え、同電位印加手段を設け、有機EL素子14の両極を同電位とする処理(同電位リセットと呼ぶ)を行なってもよい。この同電位リセットによれば、その処理の際に素子の放電等が行われ、逆バイアス電圧印加による効果と同様に、素子の寿命を延命する等の効果を得ることができる。
【0068】
その場合、同電位印加手段により、例えば、全ての画素の回路構成において駆動用TFT12をオン状態とし、陽極31及び陰極32を同電位(例えばグランドに接続)とすることにより全画素に対して同電位リセットが行なわれる。あるいは、図22に示すように、各画素の有機EL素子14の両極間に同電位リセット用TFT34を設け、同電位印加手段によりTFT34をオン状態とし、素子の両極を同電位とする処理を行ってもよい。この場合には、画素ごとに同電位リセットを行なうことができる。
【0069】
また、前記した実施の形態においては、便宜上、画素データ6ビット、階調表現を64の場合としたが、これに限定されず、より多階調表示或いは低階調においても本発明にかかる駆動装置及び駆動方法を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】従来のアクティブマトリクス型表示パネルにおける1つの画素に対応する回路構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示した各画素を担う回路構成を、表示パネルに配列した状態を模式的に示す図である。
【図3】時間階調方式において、単純サブフレーム法を説明するためのタイミング図である。
【図4】時間階調方式において、重み付けサブフレーム法を説明するためのタイミング図である。
【図5】動画擬似輪郭ノイズの発生メカニズムを説明するための図である。
【図6】重み付けサブフレーム法において、動画擬似輪郭ノイズを低減する点灯駆動を説明するためのタイミング図である。
【図7】本発明の駆動装置にかかる実施の形態を示すブロック図である。
【図8】図7の表示パネルにマトリクス状に夫々配列された画素のうち、1つの画素の回路構成の一例を示した図である。
【図9】図7の駆動装置における各フレームのサブフレーム発光期間(ガンマ補正なし)の一例を示すタイミング図である。
【図10】図7の駆動装置における各フレームのサブフレーム発光期間(ガンマ補正あり)の一例を示すタイミング図である。
【図11】非線形の階調特性を示すグラフである。
【図12】図7のデータ変換手段の内部処理を説明するためのブロック図である。
【図13】本発明にかかる第一の実施の形態において、連続する2つのサブフレームに対するディザ係数の配列の一例及びそれに対応するサブフレームの点灯パターンの例を示す図である。
【図14】4画素を組としディザ処理を行う場合に各画素における階調と4画素での平均階調の例を示した図である。
【図15】本発明にかかる第一の実施の形態において、連続する4つのサブフレームに対するディザ係数の配列の一例及びそれに対応するサブフレームの点灯パターンの例を示す図である。
【図16】異なる色の画素におけるディザ係数の配列パターンの一例を示す図である。
【図17】図7のデータ変換手段において用いられるデータ変換テーブルの一例である。
【図18】本発明にかかる第二の実施の形態において、連続する2つのサブフレームに対するディザ係数の配列の一例及びそれに対応する奇数フレーム及び偶数フレームにおけるサブフレームの点灯パターンの例を示す図である。
【図19】本発明にかかる第二の実施の形態において、図7のデータ変換手段において用いられる奇数フレーム用のデータ変換テーブルの一例である。
【図20】本発明にかかる第二の実施の形態において、図7のデータ変換手段において用いられる偶数フレーム用のデータ変換テーブルの一例である。
【図21】本発明の実施の形態に適用可能なディザマスクの他の例を示す図である。
【図22】図7の表示パネルにマトリクス状に夫々配列された画素のうち、1つの画素の回路構成の他の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0071】
11 制御用TFT
12 駆動用TFT
13 キャパシタ
14 有機EL素子
15 消去用TFT
19 ダイオード
21 駆動制御回路(第1〜第3の階調制御手段)
22 A/D変換器
23 フレームメモリ
24 データドライバ(第1の階調制御手段)
25 走査ドライバ(第1の階調制御手段)
26 消去ドライバ(第1の階調制御手段)
27 逆バイアス電圧印加手段
28 データ変換手段
28a 第一データ変換手段
28b ディザ処理手段(第2の階調制御手段)
28c 第二データ変換手段(第3の階調制御手段)
30 画素(第1の階調制御手段)
31 陽極
32 陰極
34 同電位リセット用TFT
40 表示パネル
A 走査線
B データ線
C 制御線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子を備えた自発光表示パネルの駆動装置であって、
1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、
aを0<a<Nを満足する整数として、
輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくても2つ以上のサブフレーム期間を点灯させる第1の階調制御手段を備えることを特徴とする自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項2】
前記第1の階調制御手段は、発光しているサブフレームを任意の時間に消灯させる点灯期間制御手段を具備し、
前記点灯期間制御手段により、各サブフレーム期間における点灯期間の比に、非線形特性を持たせることを特徴とする請求項1に記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項3】
前記非線形特性は、ガンマ特性であることを特徴とする請求項2に記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項4】
前記発光素子に逆バイアス電圧を印加する逆バイアス電圧印加手段を備え、
前記複数のサブフレーム期間のうち、非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、当該期間に前記逆バイアス電圧印加手段により発光素子の少なくとも1部に逆バイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項5】
前記発光素子の両極を同電位とすることにより発光素子の同電位リセットを行なう同電位印加手段を備え、
前記複数のサブフレーム期間のうち、非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、当該期間に前記同電位印加手段により発光素子の少なくとも1部に同電位リセットを行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項6】
互いに隣接する複数の画素を組として、該組単位でサブフレーム毎にディザ処理を行なう第2の階調制御手段を備え、
前記組を構成する複数の画素において、同一画素に対し加算されるディザ係数値がサブフレーム毎に前記複数の画素間で互いに異なることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項7】
前記ディザ処理がなされる組を構成する複数の画素において、輝度レベルa−1から輝度レベルaになったときに新たに点灯される複数のサブフレーム単位で、同一画素に対し各サブフレームで加算されるディザ係数値の累計が、前記複数の画素間で互いに等しくなることを特徴とする請求項6に記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項8】
前記自発光表示パネルは、複数の色の発光素子を備え、
少なくとも一色の画素におけるディザ係数値の配列は、同じフレームにおいて、他色の画素に対するディザ係数値の配列と異なることを特徴とする請求項6または請求項7に記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項9】
aが0<a<Nを満足する整数とすれば、輝度レベルa−1または輝度レベルaのときに、奇数フレームと偶数フレームとでは点灯するサブフレーム数が異なるように制御する第三の階調制御手段を備え、
前記第三の階調制御手段の制御により生じた、奇数フレームと偶数フレームにおける発光重心のずれを調整する発光重心調整サブフレームを設けることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項10】
前記発光素子は、少なくとも一層からなる発光機能層を有する有機EL素子によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項11】
前記請求項1乃至請求項10のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子を備えた自発光表示パネルの駆動方法であって、
1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、
aを0<a<Nを満足する整数として、
輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくとも2つ以上のサブフレーム期間を点灯させることを特徴とする自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項13】
発光しているサブフレームを任意の時間に消灯させ、各サブフレーム期間における点灯期間の比に、非線形特性を持たせることを特徴とする請求項12に記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項14】
前記非線形特性は、ガンマ特性であることを特徴とする請求項13に記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項15】
前記複数のサブフレーム期間のうち、非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、当該期間に発光素子の少なくとも1部に逆バイアス電圧を印加することを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項16】
前記複数のサブフレーム期間のうち、非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、当該期間に発光素子の少なくとも1部に、発光素子の両極を同電位とする同電位リセットを行なうことを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項17】
互いに隣接する複数の画素を組として、該組単位でサブフレーム毎にディザ処理を行なうと共に、
前記組を構成する複数の画素において、同一画素に対し加算されるディザ係数値がサブフレーム毎に前記複数の画素間で互いに異なるよう制御することを特徴とする請求項12乃至請求項16のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項18】
前記ディザ処理がなされる組を構成する複数の画素において、輝度レベルa−1から輝度レベルaになったときに新たに点灯される複数のサブフレーム単位で、同一画素に対し各サブフレームで加算されるディザ係数値の累計が、前記複数の画素間で互いに等しくなるよう制御することを特徴とする請求項17に記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項19】
複数の色の発光素子を備えた前記自発光パネルにおいて、少なくとも一色の画素におけるディザ係数値の配列は、同じフレームにおいて、他色の画素に対するディザ係数値の配列と異なるよう制御することを特徴とする請求項17または請求項18に記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項20】
aが0<a<Nを満足する整数とすれば、輝度レベルa−1または輝度レベルaのときに、奇数フレームと偶数フレームとでは点灯するサブフレーム数が異なるように制御し、
前記制御により生じた、奇数フレームと偶数フレームにおける発光重心のずれを調整する発光重心調整サブフレームを設けることを特徴とする請求項12乃至請求項19のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項1】
複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子を備えた自発光表示パネルの駆動装置であって、
1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、
aを0<a<Nを満足する整数として、
輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくても2つ以上のサブフレーム期間を点灯させる第1の階調制御手段を備えることを特徴とする自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項2】
前記第1の階調制御手段は、発光しているサブフレームを任意の時間に消灯させる点灯期間制御手段を具備し、
前記点灯期間制御手段により、各サブフレーム期間における点灯期間の比に、非線形特性を持たせることを特徴とする請求項1に記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項3】
前記非線形特性は、ガンマ特性であることを特徴とする請求項2に記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項4】
前記発光素子に逆バイアス電圧を印加する逆バイアス電圧印加手段を備え、
前記複数のサブフレーム期間のうち、非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、当該期間に前記逆バイアス電圧印加手段により発光素子の少なくとも1部に逆バイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項5】
前記発光素子の両極を同電位とすることにより発光素子の同電位リセットを行なう同電位印加手段を備え、
前記複数のサブフレーム期間のうち、非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、当該期間に前記同電位印加手段により発光素子の少なくとも1部に同電位リセットを行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項6】
互いに隣接する複数の画素を組として、該組単位でサブフレーム毎にディザ処理を行なう第2の階調制御手段を備え、
前記組を構成する複数の画素において、同一画素に対し加算されるディザ係数値がサブフレーム毎に前記複数の画素間で互いに異なることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項7】
前記ディザ処理がなされる組を構成する複数の画素において、輝度レベルa−1から輝度レベルaになったときに新たに点灯される複数のサブフレーム単位で、同一画素に対し各サブフレームで加算されるディザ係数値の累計が、前記複数の画素間で互いに等しくなることを特徴とする請求項6に記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項8】
前記自発光表示パネルは、複数の色の発光素子を備え、
少なくとも一色の画素におけるディザ係数値の配列は、同じフレームにおいて、他色の画素に対するディザ係数値の配列と異なることを特徴とする請求項6または請求項7に記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項9】
aが0<a<Nを満足する整数とすれば、輝度レベルa−1または輝度レベルaのときに、奇数フレームと偶数フレームとでは点灯するサブフレーム数が異なるように制御する第三の階調制御手段を備え、
前記第三の階調制御手段の制御により生じた、奇数フレームと偶数フレームにおける発光重心のずれを調整する発光重心調整サブフレームを設けることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項10】
前記発光素子は、少なくとも一層からなる発光機能層を有する有機EL素子によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置。
【請求項11】
前記請求項1乃至請求項10のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
複数のデータ線および複数の走査線の交差位置に配された複数の発光素子を備えた自発光表示パネルの駆動方法であって、
1フレーム期間をN個(Nは正の整数)のサブフレーム期間に時分割して、1個または複数個の点灯制御期間の累計により階調表示を設定し、
aを0<a<Nを満足する整数として、
輝度レベルaでは、輝度レベルa−1で点灯したサブフレーム期間に加えて、他の少なくとも2つ以上のサブフレーム期間を点灯させることを特徴とする自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項13】
発光しているサブフレームを任意の時間に消灯させ、各サブフレーム期間における点灯期間の比に、非線形特性を持たせることを特徴とする請求項12に記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項14】
前記非線形特性は、ガンマ特性であることを特徴とする請求項13に記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項15】
前記複数のサブフレーム期間のうち、非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、当該期間に発光素子の少なくとも1部に逆バイアス電圧を印加することを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項16】
前記複数のサブフレーム期間のうち、非点灯期間とするサブフレーム期間を設け、当該期間に発光素子の少なくとも1部に、発光素子の両極を同電位とする同電位リセットを行なうことを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項17】
互いに隣接する複数の画素を組として、該組単位でサブフレーム毎にディザ処理を行なうと共に、
前記組を構成する複数の画素において、同一画素に対し加算されるディザ係数値がサブフレーム毎に前記複数の画素間で互いに異なるよう制御することを特徴とする請求項12乃至請求項16のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項18】
前記ディザ処理がなされる組を構成する複数の画素において、輝度レベルa−1から輝度レベルaになったときに新たに点灯される複数のサブフレーム単位で、同一画素に対し各サブフレームで加算されるディザ係数値の累計が、前記複数の画素間で互いに等しくなるよう制御することを特徴とする請求項17に記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項19】
複数の色の発光素子を備えた前記自発光パネルにおいて、少なくとも一色の画素におけるディザ係数値の配列は、同じフレームにおいて、他色の画素に対するディザ係数値の配列と異なるよう制御することを特徴とする請求項17または請求項18に記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【請求項20】
aが0<a<Nを満足する整数とすれば、輝度レベルa−1または輝度レベルaのときに、奇数フレームと偶数フレームとでは点灯するサブフレーム数が異なるように制御し、
前記制御により生じた、奇数フレームと偶数フレームにおける発光重心のずれを調整する発光重心調整サブフレームを設けることを特徴とする請求項12乃至請求項19のいずれかに記載された自発光表示パネルの駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−284682(P2006−284682A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101341(P2005−101341)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000221926)東北パイオニア株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000221926)東北パイオニア株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
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