説明

自立包装袋及びその製造方法

【課題】口具の配置に関する自由度を与えることができ、天面シートと側面シートとの接着強度を向上した自立包装袋及びその製造方法を提供する。
【解決手段】二つ折りされた天面シート12と前面シート13の上領域及び後面シート14の上領域とが熱溶着で接着されて上接着部22、25が形成されている。上接着部22、25には、本体部10の幅方向中央の領域に位置するように中央接着部23、26が形成されているとともに、本体部10の幅方向側方の領域に位置するように脇接着部24、27が形成されている。脇接着部24、27の中央側の部分と中央接着部23、26の側方側の部分とは互いに重なり合うように配置されていて、この部分では、天面シート12と前面シート13及び後面シート14が二重に接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の材料を接着して筒状に形成される自立包装袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンなどの合成樹脂フィルムを筒型の袋状に形成された包装袋が知られている。この包装袋は、たとえば、清涼飲料水や洗剤等の液体、ゼリー飲料等のゲル状物質、及び味噌等のペースト状物質を収容する包装容器として使用される。この種の包装袋としては、特許文献1に開示されるものが知られている。特許文献1の包装袋は、該文献の図1に示されるとおり、前面シートと後面シートとからなる側面シートに二つ折りされた天面シートと底面シートとが挟み込まれ、それら各シート同士が互いに接着されて筒状をなしている。前面シートはその高さが後面シートよりも低く、それに合わせて天面シートは折り目から前側の長さが後側の長さより短くなるように形成されている。口具は、前面シートの上端縁と天面シートの端縁との間で包装袋の幅方向中央に固着されている。
【0003】
こうした包装袋を製造するには、特許文献1の図4に示すように、第1に、前面シート及び天面シートの側縁と、後面シート及び天面シートの側縁と、後面シート及び天面シートの上端縁とを熱板によって同時に熱接着する。第2に、天面シートの二つ折りされた折込部に断熱プレートを挿入しつつ、前面シート及び天面シートの上端縁を中央に非接着域を有するように熱板によって熱接着する。第3に、前面シート及び天面シートの上端縁の非接着域に口具を嵌挿しつつ、該非接着域を熱板によって熱接着して封止する。その後、特許文献1の図2に示されるように、傾斜シール部を熱板によって熱接着して形成するとともに、その傾斜シール部よりも外方の三角状の領域が断ち落とされる。
【特許文献1】特開2000−153852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された包装袋では、前面シート及び天面シートよりなる前側の上端縁に口具を介在させるように構成されているが、後面シート及び天面シートよりなる後側の上端縁に口具を介在させるようには構成されていない。これは、前側の上端縁が後側の上端縁に比べて低く、後側の上端縁に口具を介在させないことで集積効率が向上するからである。しかし、口具の配置に関しての自由度は低下する。
【0005】
また、この種の包装袋に数リットルの内容物を充填することもあって、内容物を口具から注ぎ出す場合には、前側の上端縁にしても後側の上端縁にしても内容物による相当の押圧力が作用することになる。こうした押圧力が過度に大きくなると、その上端縁の熱接着部が剥がれて破袋することもあり得る。この不都合に対処するためには、たとえば、前側及び後側の上端縁の熱接着部の幅を大きくすることが考えられるが、この対処方法では、包装袋に対する内容物の充填量が減って充填効率の向上は望めない。
【0006】
本願の自立包装袋及びその製造方法に係る発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、その技術課題は、口具の配置に関する自由度の確保と、天面シートと側面シートとの接着強度の向上にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術課題に鑑みて、請求項1に記載の発明は、底面シートと該底面シートを挟み込む第一側面シート及び第二側面シートの少なくとも2枚の側面シートの下領域とが接着されて下接着部が形成され、天面シートと該天面シートを挟み込む前記側面シートの上領域とが接着されて上接着部が形成され、前記側面シートの側縁領域が互いに接着されて側接着部が形成されることによって筒状に形成されているとともに、内容物の流通を許容する口具が設けられている自立包装袋において、前記上接着部は、前記側面シートの幅方向中央の領域を含んで設けられる中央接着部と前記側面シートの幅方向側方の領域に設けられる脇接着部とを備え、前記中央接着部と前記脇接着部とは重なるように形成され、前記口具は、前記第一側面シートと前記天面シートとが接着される前記中央接着部、及び前記第二側面シートと前記天面シートとが接着される前記中央接着部の少なくとも一方に介在されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第一側面シートと天面シートとが接着される中央接着部においても、第二側面シートと前記天面シートとが接着される中央接着部においても、いずれも口具を介在させることが可能であり、口具の配置に自由度を与えることができる。また、上接着部の中央接着部と脇接着部とは重なるように形成されているため、その重なる部位の接着はより一層強固になっている。したがって、口具の有無に関係なく、上接着部の接着強度が向上しているため、内容物による過度の押圧力が上接着部に作用しても破袋することが抑制される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自立包装袋において、前記側面シートの側縁領域のうち、前記天面シートが挟み込まれた部位の前記側接着部は、少なくとも3回の接着によってなる三重接着構造をなすことを特徴とする。この構成によれば、側接着部の上端側が三重接着構造をなして強固に接着されているため、当該部位での破袋が抑制されて包装袋の筒形状を好適に保持する。
【0010】
上記の技術課題に鑑みて、請求項3に記載の発明は、底面シートと天面シートと第一側面シート及び第二側面シートの少なくとも2枚の側面シートとを筒状に形成するとともに内容物の流通を許容する口具を設けた自立包装袋の製造方法において、前記底面シートと該底面シートを挟み込む前記側面シートの下領域とを接着して下接着部を形成する下接着工程と、前記天面シートと前記第一側面シートの上領域との間、及び前記天面シートと前記第二側面シートの上領域との間を、前記側面シートの幅方向中央に非接着域を有するように前記側面シートの幅方向側方の領域を接着して上接着部の脇接着部を形成しつつ前記天面シート同士を互いに接着しないようにする脇接着工程と、前記側面シートの側縁領域のうち、前記天面シートが挟み込まれた部位で前記天面シートと前記第一側面シートとの間、及び前記天面シートと前記第二側面シートとの間を接着しつつ当該部位では前記天面シート同士を互いに接着しないようにするとともに、他の部位では前記第一側面シート及び第二側面シートの側縁領域を互いに接着して側接着部を形成する側接着第一工程と、前記天面シートと前記第一側面シートとからなる上接着部の、前記側面シートの幅方向中央を含む領域を接着して上接着部の中央接着部を形成する開口封止工程と、前記天面シートと前記第二側面シートとからなる上接着部の前記非接着域に口具を嵌挿しつつ該非接着域を接着して上接着部の中央接着部を形成する口具接着工程と、前記側面シートの側縁領域のうち、前記天面シートを挟み込んだ部位で前記側面シート同士を互いに接着して側接着部を形成する側接着第二工程と、を備え、前記脇接着工程で形成される脇接着部と前記開口封止工程及び口具接着工程で形成される中央接着部とを重なるように形成することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、脇接着工程と開口封止工程とは別の工程であって、それら工程によって得られる脇接着部と中央接着部とは互いに重なるように製造される。また同様に脇接着工程と口具接着工程とは別の工程であって、それら工程によって得られる脇接着部と中央接着部とは互いに重なるように製造される。それら脇接着部と中央接着部とが重なる部位は自立包装袋の強度向上に貢献するのであり、そうした構成を脇接着工程と開口封止工程及び口具接着工程とを別にすることで容易に形成することができる。なお、とくに、脇接着工程、開口封止工程及び口具接着工程の製造順序はいずれが先行してもよい。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の自立包装袋の製造方法において、前記口具接着工程では、前記天面シートと前記第一側面シートとからなる上接着部及び前記天面シートと前記第二側面シートとからなる上接着部を互いに離間させるように、少なくともいずれか一方の上接着部を折り曲げることを特徴とする。
【0013】
たとえば、上接着部を熱板による熱溶着によって形成する場合がある。この場合、上接着部同士は互いに離間された状態で口具接着工程が実行されるため、各シートは断熱プレート等を介することなく熱板に接触して挟持されることになる。この構成によれば、熱板の熱が直接的に各シートに作用することから上接着部の形成が確実になるとともに、熱溶着の効率性が低減されることを抑制する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の自立包装袋の製造方法において、前記側面シートの側縁領域のうち、前記天面シートが挟み込まれた部位の前記側接着部は、前記脇接着工程、側接着第一工程、及び側接着第二工程の少なくとも3回にわたって接着に供されることを特徴とする。この構成によれば、側接着部の上端側が少なくとも3つの工程で接着に供されるため、当該部位での接着状態が強固になる。したがって、当該部位での破袋を抑制しつつ、包装袋の筒形状を好適に保持する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の自立包装袋及びその製造方法によれば、口具の配置に自由度を与えることができ、天面シートと側面シートとの接着強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の自立包装袋に関する実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。図1に示すように、本実施形態の自立包装袋は内容物を収納する筒型の本体部10と、本体部10に取り付けられるとともに内容物の流通を許容する口具30とで構成されている。
【0017】
自立包装袋の本体部10は、図2に示すように、折り目が上方(図2において上側)を向くように二つ折りにされた底面シート11と、折り目が下方(図2において下側)を向くように二つ折りにされた天面シート12と、これら底面シート11及び天面シート12を挟み込む第一側面シートとしての前面シート13及び第二側面シートとしての後面シート14とで構成されている。
【0018】
図2に示すように、二つ折りされた状態の底面シート11は四角形状に形成されているとともにその側縁に長孔状の下部接着孔11aが前後を貫通するように形成されている。底面シート11は二つ折りされた状態で、前面シート13及び後面シート14と向かい合う側の面(外側の面)が熱溶着性を有するとともに内側の面が非熱溶着性を有するように形成されている。底面シート11は二つ折りされた状態でその下端が前面シート13及び後面シート14の下端と揃うように配置される。図2に示すように、前面シート13及び後面シート14は同一サイズの縦長の長方形状に形成されているとともに互いに向かい合う対向面同士が熱溶着性を有するように形成されている。
【0019】
図2に示すように、二つ折りされた状態の天面シート12は四角形状に形成されているとともにその側縁に長孔状の上部接着孔12aが前後を貫通するように形成されている。天面シート12は二つ折りされた状態で、前面シート13及び後面シート14と向かい合う側の面(外側の面)が熱溶着性を有するとともに内側の面が非熱溶着性を有するように形成されている。そして、天面シート12は二つ折りされた状態でその上端が前面シート13及び後面シート14の上端と揃うように配置される。
【0020】
図1及び図3に示すように、二つ折りされた底面シート11と前面シート13の下領域及び後面シート14の下領域とが熱溶着で接着されて下接着部21が形成されている。図3に示すように、下接着部21は、正面視すると本体部10の高さ方向において円弧状に凹んだ曲線と本体部10の側縁及び底縁によって囲まれた領域となるように形成されている。
【0021】
図1及び図3に示すように、本体部10の前面シート13と後面シート14とは、その側縁領域が互いに熱溶着で接着されて側接着部28が形成されている。図3に示すように、側接着部28は、本体部10の両側縁の下端から上端まで本体部10の幅方向(図3において左右方向)において等幅に形成されている。本体部10の側縁のうち、前面シート13及び後面シート14の下領域においては、底面シート11と前面シート13との側縁が接着されているとともに、底面シート11と後面シート14との側縁とが接着されている。また、底面シート11に形成されている下部接着孔11aを介して前面シート13と後面シート14とが接着されている。本体部10の側縁のうち、前面シート13及び後面シート14の上領域においては、天面シート12と前面シート13との側縁が接着されているとともに、天面シート12と後面シート14との側縁とが接着されている。また、天面シート12の上部接着孔12aを介して前面シート13と後面シート14とが接着されている。
【0022】
図1及び図3に示すように、二つ折りされた天面シート12と前面シート13の上領域とが熱溶着で接着されて上接着部としての前上接着部22が形成されている。図3に示すように、前上接着部22は、正面視すると本体部10の高さ方向において円弧状に凹んだ曲線と本体部10の側縁及び上縁によって囲まれた領域となるように形成されている。同様に、二つ折りされた天面シート12と後面シート14の上領域とは熱溶着で接着されて上接着部としての後上接着部25が形成されている。なお、本実施形態では、前上接着部22と後上接着部25とが同形同大に形成されている。
【0023】
図3に示すように、前上接着部22には、本体部10の幅方向中央の領域に位置するように前中央接着部23が形成されているとともに、本体部10の幅方向側方の領域に位置するように前脇接着部24が形成されている。前脇接着部24は、本体部10の中央から側縁に向かうほど本体部10の高さ方向の長さが大きくなるように形成され、円弧状の斜辺を有する略直角三角形状に形成されている。そして、前脇接着部24は、その内縁と側接着部28の内縁との交点Nが二つ折り状態の天面シート12の折り目上に位置し、本体部10の側縁において二つ折り状態の天面シート12の高さと同じ高さとなるように形成されている。また、前脇接着部24の中央側の部分と前中央接着部23の側縁側の部分とは互いに重なり合うように配置されていて、この部分では、前面シート13と天面シート12とが二重に接着されている。
【0024】
図3に示すように、後上接着部25には、本体部10の幅方向中央の領域に位置するように後中央接着部26が形成されているとともに、本体部10の幅方向側方の領域に位置するように後脇接着部27が形成されている。そして、後中央接着部26の本体部10の高さ方向の長さは、後述する口具30の基部32の幅と同じ長さとなるように形成されており、後面シート14と天面シート12との間に後述する口具30の基部32が介在された状態で接着されている。
【0025】
図3に示すように、後脇接着部27は、本体部10の中央から側縁に向かうほど本体部10の高さ方向の長さが大きくなるように形成され、円弧状の斜辺を有する略直角三角形状に形成されている。そして、後脇接着部27は、その内縁と側接着部28の内縁との交点Nが二つ折り状態の天面シート12の折り目上に位置し、本体部10の側縁において二つ折り状態の天面シート12の高さと同じ高さとなるように形成されている。また、後脇接着部27の中央側の部分と後中央接着部26の側縁側の部分とは互いに重なり合うように配置されていて、この部分では、後面シート14と天面シート12とが二重に接着されている。
【0026】
なお、本実施形態では、前中央接着部23は、口具30が介在することなく前面シート13と天面シート12とが接着されている。
また、本実施形態では、側接着部28の上端側は、該側接着部28を形成する側接着第一工程S3及び側接着第二工程S6、及び前脇接着部24と後脇接着部27とを形成する脇接着工程S2の三度の接着工程を経て形成された三重接着構造をなしている(詳細は後述する。)。
【0027】
図1及び図3に示すように、後面シート14と天面シート12とが接着される後中央接着部26には、口具30が介在されている。図2に示すように、口具30は、所定の開口を有する筒状体31と該筒状体31の開口に対して着脱可能なキャップ33とからなる。図2に示すように、筒状体31の下方には、後面シート14と天面シート12とによって挟まれる基部32が形成されている。筒状体31の基部32は、下方(図2において下方)から見た際に滑らかな曲線で構成される略ひし形状に形成されている。基部32の高さ方向(図2において上下方向)の幅は、後面シート14及び天面シート12に接着された際に、十分な接着強度を得られるように(たとえば5mm以上)形成されている。そして、キャップ33は回転されることで筒状体31上方の開口に対して着脱される。
【0028】
次に、上記の自立包装袋を製造する方法について、図4〜図6にしたがって説明する。
本実施形態においては、自立包装袋は、帯状の各シートを図4のフローチャートに示す手順で接着、裁断することで製造される。図5に示すように、帯状の底面シート11をその長手方向に沿って二つ折りにし、その間(内側)に低摩擦係数で熱伝導率の低い材料からなる帯状の下断熱シート41を挿入する。また、帯状の天面シート12をその長手方向に沿って二つ折りにし、その間(内側)に帯状の上断熱シート42を挿入する。なお、底面シート11には予めその長手方向において所定間隔ごとに下部接着孔11aが形成されており、天面シート12には予めその長手方向において所定間隔ごとに上部接着孔12aが形成されている(図5では、下部接着孔11a及び上部接着孔12aの図示を省略している。)。そして、二つ折り状態の底面シート11及び天面シート12を互いに折り目が向かい合うように配置し、帯状の前面シート13及び帯状の後面シート14で底面シート11及び天面シート12を挟み込むようにして、各シートを重ね合わせる。このとき、底面シート11の下端と、前面シート13の下端及び後面シート14の下端とが揃うように重ね合わせるとともに、天面シート12の上端と前面シート13の上端及び後面シート14の上端とが揃うように重ね合わせる。
【0029】
重ね合わせた各シートは、次いで、下接着工程S1に供される。下接着工程S1では、帯状の各シートの短手方向(本体部10の高さ方向)において円弧状に凹んだ形状の当接面を有する下熱溶着手段(図示しない。)によって前面シート13と後面シート14とを挟む。この状態で下熱溶着手段を加熱することで前面シート13の下領域と底面シート11とを熱溶着して下接着部21を形成するとともに後面シート14と底面シート11とを熱溶着して下接着部21を形成する。下接着部21の形成終了後、底面シート11の間から下断熱シート41を取り除く。
【0030】
脇接着工程S2では、帯状の各シートの短手方向(本体部10の高さ方向)において円弧状に凹んだ形状の当接面を有する脇熱溶着手段(図示しない。)を使用する。この脇熱溶着手段の当接面には帯状の各シートの長手方向における中央に凹みがあって、その凹みによって当接面は二分されている。脇熱溶着手段が前面シート13及び後面シート14を挟むと、その当接面が各シートに当接するものの、中央の凹みは各シートに当接することはなく、こうした状態で脇熱溶着手段を加熱することで前面シート13の上領域と天面シート12とを熱溶着して帯状のシートの長手方向(本体部10の幅方向)の中央に非接着域を有する前上接着部22、すなわち前脇接着部24を形成する。また、後面シート14と天面シート12とを熱溶着して帯状のシートの長手方向(本体部10の幅方向)の中央に非接着域を有する後上接着部25、すなわち後脇接着部27を形成する。これら前脇接着部24と後脇接着部27とは脇接着工程S2において同時に形成される。
【0031】
次に、各シートは側接着第一工程S3に供される。側接着第一工程S3では、帯状の各シートの長手方向において所定の間隔をおいて一対の当接面が形成された第一側熱溶着手段(図示しない。)によって前面シート13及び後面シート14を挟む。この状態で側熱溶着手段を加熱することで前面シート13と後面シート14とを熱溶着して側接着部28を形成する。この側接着第一工程S3では、底面シート11に形成された下部接着孔11aを介して底面シート11が挟み込まれた部位における前面シート13の側縁領域と後面シート14の側縁領域とを接着する。一方、二つ折りされた状態の天面シート12の間には未だ上断熱シート42が挿入されているため、天面シート12が挟み込まれた部位における前面シート13の側縁領域と後面シート14の側縁領域とは接着されていない。
【0032】
側接着部28の形成終了後、天面シート12の間から上断熱シート42を取り除く。その後、各接着部によって接着された帯状の各シートを裁断手段(図示しない。)によって裁断して、本体部10が製造される。
【0033】
本体部10は、次いで、開口封止工程S4及び口具接着工程S5に供される。本実施形態では、前面シート13と後面シート14とが上下関係をなすようにセットして開口封止工程S4及び口具接着工程S5を行う。なお、図6では、前面シート13が下、後面シート14が上となるようにセットされた状態を示している。開口封止工程S4では、先ず、図6(a)に示すように、起立動作装置(たとえば、シートを吸引ノズル44で吸引し、その吸引ノズル44を駆動手段で回動させることで起立動作させるような機構を備えた装置)を用いて、二つ折りされた天面シート12の折れ線を基準として後面シート14及び該後面シート14側の天面シート12部分、すなわち後上接着部25を折り曲げて起立させる。このとき、前上接着部22の非接着域が真上を指向するように折り曲げられて起立する一方、前面シート13と該前面シート13側の天面シート12部分とはセットされた状態のまま水平に保持されているため、前上接着部22と後上接着部25とは互いに離間することになる。
【0034】
図6(b)に示すように、前面シート13と該前面シート13側の天面シート12部分とは前脇接着部24及び側接着部28で接着されている一方、その幅方向中央に前脇接着部24を二分することになる非接着域が形成されている。この非接着域と前脇接着部24の非接着域側における端部とを対象として開口熱溶着手段45で挟み、その開口熱溶着手段45を加熱することで前中央接着部23を形成する。このとき、前中央接着部23と前脇接着部24とはそれらの端部が互いに重なるように形成される。
【0035】
図6(c)に示すように、起立状態にある後面シート14と該後面シート14側の天面シート12部分とは後脇接着部27及び側接着部28で接着されている一方、その幅方向中央に後脇接着部27を二分することになる非接着域が形成されている。この非接着域には口具供給装置(図示せず)によって口具30が供給され、口具30の基部32が後面シート14及び天面シート12によって挟まれることになる。この状態で、非接着域と後脇接着部27の非接着域側における端部とを対象として、口具30の基部32の形状に合致する当接面を有する口具熱溶着手段46で挟み、その口具熱溶着手段46を加熱することで後中央接着部26を形成する。このとき、後中央接着部26と後脇接着部27とはそれらの端部が互いに重なるように形成される。
【0036】
開口封止工程S4及び口具接着工程S5の後、本体部10は、側接着第二工程S6に供される。側接着第二工程S6では、図6(d)に示すように、起立していた後上接着部25を水平な状態に戻して、前上接着部22と後上接着部25とが接するようにする。第二側熱溶着手段47は、本体部10の幅方向において所定の間隔をおいて一対の当接面が形成されていて、この第二側熱溶着手段47によって、前面シート13及び後面シート14の側縁領域のうち、天面シート12が挟み込まれた部位を挟む。このとき、第二側熱溶着手段47の当接面の下端は、天面シート12が介在されていない部位に位置される。この状態で、第二側熱溶着手段47を加熱することで前面シート13と後面シート14とを熱溶着して側接着部28を形成する。この側接着第二工程S6では、天面シート12に形成された上部接着孔12aを介して天面シート12が挟み込まれた部位における前面シート13の側縁領域と後面シート14の側縁領域とを接着する。天面シート12が挟み込まれた部位における前面シート13の側縁領域と後面シート14の側縁領域とは、脇接着工程S2、側接着第一工程S3、及び側接着第二工程S6のそれぞれで熱溶着の作用を受けるため、結果として三重接着構造が形成されることになる。
【0037】
上記の実施形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、後中央接着部26に口具30を介在させている。しかし、後中央接着部26と同様の構成を有する前中央接着部23が形成されているため、口具30を前中央接着部23に介在させたり、前中央接着部23及び後中央接着部26の両方に介在させたりするように変更することが容易で、口具30の配置に自由度を与えることができる。
【0038】
(2)本実施形態では、後中央接着部26と後脇接着部27とが重なり合うように形成されている。一方、口具30が介在されていない前中央接着部23と前脇接着部24とも重なり合うように形成されている。したがって、口具30の有無に拘わらず、前上接着部22及び後上接着部25の接着強度が向上しており、内容物による過度の押圧力が前後の上接着部22、25に作用しても破袋することが抑制される。
【0039】
(3)本実施形態では、前面シート13の側縁領域のうち、天面シート12が挟み込まれた部位は、三度の接着工程を経て三重接着構造をなしている。また、後面シート14の側縁領域のうち、天面シート12が挟み込まれた部位は、三度の接着工程を経て三重接着構造をなしている。三重接着構造をなす部分では、各シート同士が強固に接着されているため、当該部位での破袋が抑制されて自立包装袋の筒形状を好適に保持することができる。
【0040】
(4)本実施形態では、後脇接着部27が脇接着工程S2で形成され、後中央接着部26が口具接着工程S5で形成され、それぞれ別の工程で形成されている。同様に、前脇接着部24及び前中央接着部23は、それぞれ脇接着工程S2及び開口封止工程S4の別工程で形成されている。これらの工程を別の工程とすることで、後脇接着部27と後中央接着部26とが重なる部分、及び前脇接着部24と前中央接着部23とが重なる部分を容易に形成することができる。
【0041】
(5)本実施形態では、開口封止工程S4及び口具接着工程S5を行う前の本体部10の状態において、前面シート13及び後面シート14の側縁領域のうち、天面シート12が挟み込まれた部位では天面シート12の内側面同士が接着されておらず、本体部10の上領域を天面シート12の折り目に沿って折り曲げることができる。とくに、本実施形態では、後上接着部25を折り曲げて前上接着部22と後上接着部25とが離間した状態で開口封止工程S4及び口具接着工程S5を行っている。そのため、開口熱溶着手段45のそれぞれを前面シート13及び天面シート12に直接接触させて挟むことができ、非接着域を開口熱溶着手段45のそれぞれからの熱によって接着することができる。同様に、口具熱溶着手段46のそれぞれを後面シート14及び天面シート12に直接接触させて挟むことができ、非接着域を口具熱溶着手段46のそれぞれからの熱によって接着することができる。したがって、各熱溶着手段の熱が直接的に各シートに作用して前中央接着部23及び後中央接着部26を確実に形成することが可能になる。また、前中央接着部23及び後中央接着部26は前後方向から作用される熱によって形成されるため熱溶着の効率性が低減されることを抑制し、それに伴って各熱溶着手段の構成をコンパクト化することが可能になる。
【0042】
(6)特許文献1に開示されている包装袋では、前面シートの高さが後面シートの高さよりも低く形成され、口具が前面シートの上端縁と天面シートの端縁との間に固着されている。このような構成の場合、包装袋に内容物をほぼ満杯となるように充填すると、口具の位置は、内容物の最上面よりも低くなる。すると、口具を開けたとたんに内容物が飛び出ることになるため、内容物の注ぎ出し作業が煩雑になる。また、内容物の充填空間が包装袋の後側(後面シート側)により大きく存在することになるため、包装袋の重心が後側に偏りがちで安定した自立性を得にくい。これらの不都合を解消するために内容物の最上面が口具の位置よりも低くなるように充填量を調節することも考えられるが、とくに、後面シートの上方と天面シートとで構成される空間が無駄になって体積効率が低下する。
【0043】
本実施形態では、前面シート13及び後面シート14が同形状となっており、前後の上接着部22、25が同形同大に形成されている。そのため、自立包装袋に内容物を充填した際に、内容物の上面が口具30よりも高い位置に存在することはなく、口具30のキャップ33を開けたとたんに内容物が飛び出るといった事態は生じにくい。また、自立包装袋の前後方向における内容物の充填空間は均等であり、自立包装袋の重心が前側あるいは後側に偏る可能性が低く、自立安定性が高い。また、自立包装袋の見栄えもよい。
【0044】
(7)たとえば、同一箇所に複数回の熱溶着処理を行うことで、各シートの接着をより強固なものとすることは可能である。しかし、熱溶着工程が増加すると自立包装袋の生産効率が低下することは否めない。本実施形態では、脇接着工程S2及び側接着第一工程S3及び側接着第二工程S6の各工程を経て、本体部10の側縁領域のうちの天面シート12が挟み込まれた部位に三重接着構成が形成される。これら三つの工程は、いずれも各シートを筒状に形成するために必要な工程であって、三重接着構成を形成するためのみに採用された工程ではない。したがって、本実施形態では、自立包装袋の生産効率を大きく低下させることなく、本体部10の側縁領域のうちの天面シート12が挟み込まれた部位に三重接着構成を形成することができる。
【0045】
(8)開口封止工程S4及び口具接着工程S5に供される前の自立包装袋には、前上接着部22においても後上接着部25においてもいずれも、その幅方向中央に非接着域が存在している。これら非接着域は、前脇接着部24及び後脇接着部27、側接着部28の形成工程において熱溶着手段の当接面によって挟まれることはない。熱溶着手段の熱にそれら非接着域が晒されることはないため、所定の非接着域が存在しないことに伴う口具30の挿入失敗を未然に防ぐことができる。
【0046】
なお、上記の実施形態は以下のように変更してもよく、また、以下の各変更例を互いに組み合わせて実施することも可能である。
・ 上記実施形態では、前上接着部22と後上接着部25とが互いに同じ高さ位置となるように形成したが、この位置関係をいずれか一方がより高くなるように形成してもよい。たとえば、図7に示すように、後面シート14の高さを前面シート13の高さよりも高くなるように形成し、天面シート12をそれに合わせて折り目からの長さを後面シート14側が長くなるようにする。各シートは、後面シート14の上端と天面シート12の後面シート14側部分の上端とが揃うように配置するとともに、前面シート13の上端と天面シート12の前面シート13側部分の上端とが揃うように配置する。この構成によれば、自立包装袋を前面シート13側から正面視したとき、後上接着部25の上側の部分が前上接着部22から上方にはみ出したような形状となる。
【0047】
また、このような構成において、後上接着部25の上側の部分を切除してもよい。たとえば、図8に示すように、後脇接着部27の角部を切除し、自立包装袋を前面シート13側から正面視したとき、後上接着部25の後脇接着部27のうち、前上接着部22の前脇接着部24よりも上方にはみ出している部分が略直角三角形状をなすようにしてもよい。後脇接着部27を切除することによって、自立包装袋をすっきりとした美観のよい形状とすることができる。なお、切除する形状、大きさは、任意に設定することができる。
【0048】
・ 図7に示すような、後上接着部25の高さ位置が前上接着部22の高さ位置よりも高い構成の場合、開口封止工程S4及び口具接着工程S5における後上接着部25を折り曲げる操作を行わなくともよい。たとえば、開口封止工程S4を実行するにあたっては、二つ折り状態の天面シート12の間に上断熱シート42を挿入した後、前面シート13と該前面シート13側の天面シート12部分との間の非接着域等に対して前面シート13側のみから熱溶着手段を加熱させて前中央接着部23を形成する。また、口具接着工程S5を実行するにあたっては、水平方向を指向している、後面シート14と該後面シート14側の天面シート12部分との間の非接着域に対して口具30を挿入した後、その非接着域等に対して前面シート13及び後面シート14の両側から口具熱溶着手段46を加熱させて後中央接着部26を形成する。このように開口封止工程S4及び口具接着工程S5を実行するのであれば、両工程前に、前上接着部22及び後上接着部25の少なくとも一方を折り曲げるというような操作は必要なくなる。
【0049】
・ 上記実施形態の前中央接着部23及び後中央接着部26のうち、口具30が介在されていない中央接着部について、口具30以外のものを介在させてもよい。たとえば、所定長さの帯体の両端を中央接着部に介在させ、該帯体を取手として使用できるようにしてもよい。
【0050】
・ 上記実施形態の前上接着部22及び後上接着部25のうち、口具30が介在されていない上接着部について、把持孔49を形成するように構成を付加してもよい。たとえば、図12に示す自立包装袋の場合、本体部10の高さ方向における後上接着部25の長さを前上接着部22の長さよりも長く形成し、その後上接着部25について前後方向に貫通する把持孔49を設けることが可能である。こうした把持孔49は、自立包装袋の持ち運びや内容物の注ぎ出しを容易にする。
【0051】
・ 上記実施形態では、図3に示すように、本体部10の高さ方向に延びる中心線L上に口具30を設けたが、この口具30の配置は変更可能である。口具30は、一対の側接着部28の間のいずれかに配置させることができる。たとえば口具30を側接着部28に接するように配置させることも可能で、こうした口具30の配置変更も本体部10の幅方向中央に設ける構成の一形態ということができる。なお、こうした口具30の配置変更に伴って、中央接着部23、26及び脇接着部24、27の構成も変更を要する。
【0052】
・ 上記実施形態では、後中央接着部26に口具30を介在させたが、これを前中央接着部23に介在させるように変更してもよい。あるいは、図9に示すように、後中央接着部26にも前中央接着部23にも口具30を介在させるようにしてもよい。双方の中央接着部23、26に口具を介在させる場合には、それら口具の開口径に変化を与えれば内容物の注出量が異なることになるため、利便性が高まる。なお、このような構成の自立包装袋を製造するにあたっては、開口封止工程S4を第二の口具接着工程に変更すればよい。
【0053】
・ 長孔状に形成した下部接着孔11a及び上部接着孔12aの形状を変更してもよい。たとえば、円形状や四角形状に形成してもよい。また、四角形状に形成されている底面シート11及び天面シート12の側縁に切り欠きを形成し、この切り欠きを介して前面シート13と後面シート14とを接着できるようにしてもよい。さらに、底面シート11の内側面及び天面シート12の内側面を熱溶着性を有するように形成すれば、底面シート11の内側面同士、天面シート12の内側面同士を接着させることができるので、下部接着孔11a及び上部接着孔12aを省略することができる。
【0054】
・ 前上接着部22及び後上接着部25の形状は、上記実施形態のものに限らない。たとえば、上接着部22、25の円弧状部分を、曲線ではなく直線で形成して、上方に向かうほど左右の幅が狭くなる台形状や逆V字状に形成してもよい。あるいは、円弧状部分をなくして、本体部10の上縁を縁取りしたような直線状の上接着部22、25としてもよい。下接着部21の形状も同様に変更可能である。
【0055】
・ 上記実施形態では、図3に示すように、上接着部22、25の内縁と側接着部28の内縁との交点Nが天面シート12の折れ目上に位置するように上接着部22、25の形状が設定されていた。この上接着部22、25の形状について、図10に示すように、交点Nが天面シート12の折り目よりも下側に位置するように変更してもよい。この場合、上接着部22、25の内縁と天面シート12の折り目との交点Mは、側接着部の内縁よりも内側に位置することになって、上接着部22、25に前面シート13と後面シート14が直接接着される突出部48が含まれることになる。前面シート13、後面シート14及び二つ折り状態の天面シート12からなる四層の部分と、前面シート13及び後面シート14からなる二層の部分との境界近傍では、本体部10の厚みに差が生じるため、熱溶着による接着力が弱くなりがちである。突出部48は、この四層部分と二層部分との境界近傍に位置しており、この境界近傍における接着補強効果を発揮し、自立包装袋の破袋を好適に抑制する。なお、下接着部21についても同様に突出部48を設けることが可能である。
【0056】
・ 図3に示す実施形態の場合、上接着部22、25の円弧状部分から側方、すなわち、上接着部22、25の内縁と側接着部28の内縁との交点Nから側方へは、上接着部22、25の形状は天面シート12の折り目上に沿って延びるように形成されているが、この高さ位置を上側及び下側に位置するように変更することは可能である。こうした変更は、図10に示す実施形態でも同様で、交点Nから側方へ延びるように上接着部22、25の形状を設定してもよい。なお、上接着部22、25の内縁と側接着部28の内縁との交点Nから側方へ延びる上接着部22、25の形状は、本体部10の上下方向に対して傾斜するようにしてもよいし、曲線状をなすようにしてもよい。
【0057】
・ 上記実施形態では、側面シートとして前面シート13及び後面シート14の2枚のシートを採用したが、側面シートの数は2枚に限らない。たとえば、図11に示すように、側面シートとして4枚の側面シート52を採用することも可能である。具体的には、四角形状の底面シート51の周縁と4枚の四角形状の側面シート52の下縁とを接着して下接着部55を形成する。また、隣り合う側面シート52の側縁同士を接着して側接着部56を形成する。そして、4枚の側面シート52の上縁と天面シート53の周縁とを接着して上接着部57を形成する。上接着部57の中央接着部58及び脇接着部59のうち中央接着部58に口具30を介在させることで、四角筒状の自立包装袋を得ることができる。なお、3枚の側面シートを採用するときは、三角形状の底面シート及び天面シートを採用すればよい。
【0058】
・ 上記実施形態では、起立動作装置として吸引ノズル44を備えた機構を例示したが、上接着部を起立させることができる種々の機構も採用され得る。たとえば、前上接着部22と後上接着部25との間、すなわち、二つ折りされた天面シート12間にプレートを挿入し、そのプレートを回動させることで起立させるようにしてもよい。こうしたプレート挿入機構を起立動作装置として採用する場合、図7に示すような前上接着部22と後上接着部25との高さ位置が異なる構成では、プレート挿入が円滑化する。
【0059】
・ 上記実施形態では、開口封止工程S4及び口具接着工程S5において後上接着部25を起立させる際に天面シート12の折り目を基準としていたが、この基準を変更することは可能である。たとえば、上部接着孔12aが形成されている位置を基準として、それよりも上側の後上接着部25を起立させるようにしてもよい。
【0060】
・ 上記実施形態では、前後の上接着部22、25において、脇接着部24、27と中央接着部23、26とが互いの端部が重なり合うように設定されていたが、この重なり度合の変更は可能である。たとえば、中央接着部23、26の幅方向の長さを前面シート13及び後面シート14の幅と同様となるようにしてもよいし、中央接着部23、26が脇接着部24、27を完全に覆うようにしてもよい。
【0061】
・ 上記実施形態では、下接着工程S1を行った後に脇接着工程S2を行ったが、脇接着工程S2を行った後に下接着工程S1を行ってもよい。あるいは、これら下接着工程S1及び脇接着工程S2を同時に行ってもよい。たとえば、下接着工程S1で使用される下熱溶着手段の当接面及び脇接着工程S2で使用される脇熱溶着手段の当接面の両方の当接面を有するような一体型の熱溶着手段を使用することで下接着工程S1及び脇接着工程S2を同時に行うことができる。また、上記実施形態では、下接着工程S1及び脇接着工程S2の後に、側接着第一工程S3を行っていたが、側接着第一工程S3の後に下接着工程S1及び脇接着工程S2を行ってもよい。このように、下接着工程S1及び脇接着工程S2及び側接着第一工程S3は、自由にその順序を入れ替えてよい。
【0062】
・ 開口封止工程S4と口具接着工程S5の順序を入れ替えて、口具接着工程S5を行った後に、開口封止工程S4を行ってもよい。開口熱溶着手段45による動作と口具熱溶着手段46による動作とが互いに干渉しないように前上接着部22と後上接着部25との間の離間長が確保されていれば、開口封止工程S4と口具接着工程S5を同時に実行することも可能である。
【0063】
・上記実施形態では、開口封止工程S4及び口具接着工程S5において前面シート13と後面シート14とが上下関係をなすようにセットされたが、このセット状態は変更可能である。たとえば、前面シート13と後面シート14が共に起立した状態にしておき、その上で、両工程を実行することも可能である。
【0064】
・ 上記実施形態の側接着第二工程S6では、前面シート13及び後面シート14の側縁領域のうち、天面シート12が挟み込まれた部位等を挟むようにした。これを前面シート13及び後面シート14の側縁領域全体を挟むように変更してもよい。この場合、前面シート13及び後面シート14の側縁領域のうち、底面シート11が挟み込まれた部位も、下接着工程S1、側接着第一工程S3、及び側接着第二工程S6のそれぞれで熱溶着の作用を受け、三重接着構造が形成される。側接着第二工程S6で用いる第二側熱溶着手段47の当接面は、少なくとも上部接着孔12aを被覆できるような大きさであれば、どのように変更することも可能である。
【0065】
・ それぞれのシートの接着は熱溶着に限らず、たとえば、接着剤による接着、超音波接合、高周波接合等に変更してもよい。
・ 上記実施形態では、開口封止工程S4及び口具接着工程S5において後上接着部25を上向きに折り曲げて起立させて前上接着部22と後上接着部25とを互いに離間させたが、この離間構成を変更してもよい。たとえば、前上接着部22を下向きに折り曲げるように変更してもよいし、後上接着部25を上向きに折り曲げかつ前上接着部22を下向きに折り曲げるように変更してもよい。また、上記実施形態では、折り曲げられて起立した天面シート12の後上接着部25側の内面と、水平の状態のままにある天面シート12の前上接着部22側の内面とのなす角度がほぼ90度となるようにしたが、この角度を変更することは可能で、たとえば、90度より小さい角度(たとえば、45度)をなすようにしてもよい。後上接着部25を上向きに折り曲げかつ前上接着部22を下向きに折り曲げるようにすれば、90度よりも大きく(たとえば、180度)することもできる。
【0066】
・ 開口封止工程S4の実行段階を変更してもよい。たとえば、下接着工程S1の前後、脇接着工程S2の後、又は側接着第一工程S3の後に実行することも可能である。こうした段階での各シートは帯状に形成されたままで、二つ折りされた天面シート12の間には上断熱シート42が挿入されている。この状態において、熱溶着手段で前面シート13及び後面シート14を挟みつつ前面シート13側のみから加熱して前中央接着部23を形成する。この場合、前中央接着部23は、帯状の各シートの長手方向(本体部10の幅方向)の長さを適宜変更してもよく、たとえば、帯状のシートについて一直線状に延びるように天面シート12と前面シート13とを接着して前中央接着部23を形成してもよい。また、脇接着工程S2の後に開口封止工程S4を実行するのであれば、少なくとも前面シート13と該前面シート13側の天面シート12部分との間の非接着域等を対象(口具30が介在されることのない非接着域等を対象)として天面シート12と前面シート13とを接着して前中央接着部23を形成すればよい。このような製造工程によれば、口具接着工程S5を実行する上での動作、たとえば、前上接着部22と後上接着部25との離間動作、非接着域を開口させつつ口具30を供給する口具供給動作等を行う装置構成を余裕をもって配置させることができる。
【0067】
・ 下接着工程S1、脇接着工程S2、側接着第一工程S3、開口封止工程S4、口具接着工程S5、側接着第二工程S6の各工程は、当業者の技術常識に応じて、順序を適宜組み替えることが可能である。この点、上でも例示しているがそれだけに限らないため、ここで付言しておく。
【0068】
次に、上記の実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・ 底面シートと該底面シートを挟み込む第一側面シート及び第二側面シートの少なくとも2枚の側面シートの下領域とが接着されて下接着部が形成され、天面シートと該天面シートを挟み込む前記側面シートの上領域とが接着されて上接着部が形成され、前記側面シートの側縁領域が互いに接着されて側接着部が形成されることによって筒状に形成される自立包装袋において、前記第一側面シートと前記天面シートとが接着される第一上接着部はその中央に非接着域を備え、前記第二側面シートと前記天面シートとが接着される第二上接着部はその中央に非接着域を備えることを特徴とする自立包装袋。
【0069】
・ 底面シートと該底面シートを挟み込む第一側面シート及び第二側面シートの少なくとも2枚の側面シートの下領域とが接着されて下接着部が形成され、天面シートと該天面シートを挟み込む前記側面シートの上領域とが接着されて上接着部が形成され、前記側面シートの側縁領域が互いに接着されて側接着部が形成されることによって筒状に形成されている自立包装袋において、前記第一側面シートと前記天面シートとが接着される第一上接着部は前記第一側面シートの幅方向中央の領域を含んで設けられる中央接着部と前記第一側面シートの幅方向側方の領域に設けられる脇接着部とを備え、前記第二側面シートと前記天面シートとが接着される第二上接着部は前記第二側面シートの幅方向中央に非接着域を備えることを特徴とする自立包装袋。
【0070】
・ 二つ折りにされた底面シートと該底面シートを挟み込む一対の側面シートとが接着されて下接着部が形成され、前記側面シートの側縁領域が互いに接着されて側接着部が形成されることによって袋状に形成されている自立包装袋において、下接着部の内縁と側接着部の内縁との交点が底面シートの折り目よりも上側に位置され、下接着部に一対の側面シートが接着される突出部が形成されていることを特徴とする自立包装袋。
【0071】
・ 底面シートと該底面シートを挟み込む第一側面シート及び第二側面シートの少なくとも2枚の側面シートの下領域とが接着されて下接着部が形成され、天面シートと該天面シートを挟み込む前記側面シートの上領域とが接着されて上接着部が形成され、前記側面シートの側縁領域が互いに接着されて側接着部が形成されることによって筒状に形成され、前記上接着部は、前記側面シートの幅方向中央の領域を含んで設けられる中央接着部と前記側面シートの幅方向側方の領域に設けられる脇接着部とを備え、内容物の流通を許容する口具を設けている自立包装袋の製造方法であって、前記天面シートと前記第一側面シートとからなる上接着部の、前記側面シートの幅方向中央を含む領域を接着して上接着部の中央接着部を形成する開口封止工程と、前記天面シートと前記第二側面シートとからなる上接着部に前記口具が介在された中央接着部を形成する口具接着工程とを備え、前記口具接着工程では、前記天面シートと前記第一側面シートとからなる上接着部及び前記天面シートと前記第二側面シートとからなる上接着部を互いに離間させるように、少なくともいずれか一方の上接着部を折り曲げることを特徴とする自立包装袋の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施形態における自立包装袋の斜視図。
【図2】実施形態における自立包装袋の分解斜視図。
【図3】実施形態における自立包装袋の前面シート側から見た正面図。
【図4】実施形態における製造方法のフローチャート。
【図5】実施形態における製造方法の各シートを合流させる際の模式図。
【図6】(a)、(b)、(c)、(d)は、実施形態における製造方法の開口封止工程及び口具接着工程を示す模式図。
【図7】変更例における自立包装袋の斜視図。
【図8】変更例における自立包装袋の前面シート側から見た正面図。
【図9】変更例における自立包装袋の斜視図。
【図10】変更例における自立包装袋の部分正面図。
【図11】変更例における自立包装袋の斜視図。
【図12】変更例における自立包装袋の斜視図。
【符号の説明】
【0073】
10…本体部、11…底面シート、12…天面シート、13…第一側面シートとしての前面シート、14…第二側面シートとしての後面シート、21…下接着部、22…上接着部としての前上接着部、23…前中央接着部、24…前脇中央接着部、25…上接着部としての後上接着部、26…後中央接着部、27…後脇接着部、28…側接着部、30…口具、S1…下接着工程、S2…脇接着工程、S3…側接着第一工程、S4…開口封止工程S5…口具接着工程、S6…側接着第二工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面シートと該底面シートを挟み込む第一側面シート及び第二側面シートの少なくとも2枚の側面シートの下領域とが接着されて下接着部が形成され、天面シートと該天面シートを挟み込む前記側面シートの上領域とが接着されて上接着部が形成され、前記側面シートの側縁領域が互いに接着されて側接着部が形成されることによって筒状に形成されているとともに、内容物の流通を許容する口具が設けられている自立包装袋において、
前記上接着部は、前記側面シートの幅方向中央の領域を含んで設けられる中央接着部と前記側面シートの幅方向側方の領域に設けられる脇接着部とを備え、前記中央接着部と前記脇接着部とは重なるように形成され、前記口具は、前記第一側面シートと前記天面シートとが接着される前記中央接着部、及び前記第二側面シートと前記天面シートとが接着される前記中央接着部の少なくとも一方に介在されていることを特徴とする自立包装袋。
【請求項2】
前記側面シートの側縁領域のうち、前記天面シートが挟み込まれた部位の前記側接着部は、少なくとも3回の接着によってなる三重接着構造をなす請求項1に記載の自立包装袋。
【請求項3】
底面シートと天面シートと第一側面シート及び第二側面シートの少なくとも2枚の側面シートとを筒状に形成するとともに内容物の流通を許容する口具を設けた自立包装袋の製造方法において、
前記底面シートと該底面シートを挟み込む前記側面シートの下領域とを接着して下接着部を形成する下接着工程と、
前記天面シートと前記第一側面シートの上領域との間、及び前記天面シートと前記第二側面シートの上領域との間を、前記側面シートの幅方向中央に非接着域を有するように前記側面シートの幅方向側方の領域を接着して上接着部の脇接着部を形成しつつ前記天面シート同士を互いに接着しないようにする脇接着工程と、
前記側面シートの側縁領域のうち、前記天面シートが挟み込まれた部位で前記天面シートと前記第一側面シートとの間、及び前記天面シートと前記第二側面シートとの間を接着しつつ当該部位では前記天面シート同士を互いに接着しないようにするとともに、他の部位では前記第一側面シート及び第二側面シートの側縁領域を互いに接着して側接着部を形成する側接着第一工程と、
前記天面シートと前記第一側面シートとからなる上接着部の、前記側面シートの幅方向中央を含む領域を接着して上接着部の中央接着部を形成する開口封止工程と、
前記天面シートと前記第二側面シートとからなる上接着部の前記非接着域に口具を嵌挿しつつ該非接着域を接着して上接着部の中央接着部を形成する口具接着工程と、
前記側面シートの側縁領域のうち、前記天面シートを挟み込んだ部位で前記側面シート同士を互いに接着して側接着部を形成する側接着第二工程と、
を備え、前記脇接着工程で形成される脇接着部と前記開口封止工程及び口具接着工程で形成される中央接着部とを重なるように形成することを特徴とする自立包装袋の製造方法。
【請求項4】
前記口具接着工程では、前記天面シートと前記第一側面シートとからなる上接着部及び前記天面シートと前記第二側面シートとからなる上接着部を互いに離間させるように、少なくともいずれか一方の上接着部を折り曲げることを特徴とする請求項3に記載の自立包装袋の製造方法。
【請求項5】
前記側面シートの側縁領域のうち、前記天面シートが挟み込まれた部位の前記側接着部は、前記脇接着工程、側接着第一工程、及び側接着第二工程の少なくとも3回にわたって接着に供されることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれか一項に記載の自立包装袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−208836(P2009−208836A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56584(P2008−56584)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(391003794)押尾産業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】