説明

自走式破砕機の管理システム

【課題】 ジョークラッシャ等の破砕装置に過負荷状態の回避動作が生じたときに、迅速に外部に報知して、過負荷状態の回避動作の発生頻度をオペレータを含む第三者に認識させ、破砕装置の損傷を防止でき、かつ復帰作業に要する時間を短縮することのできる自走式破砕機の管理システムを提供すること。
【解決手段】 自走式破砕機の管理システムは、自走式破砕機と通信可能に接続されるサーバとを含んで構成されるものであって、制御装置は、回避動作判定手段と、回避動作判定手段により回避動作したと判定されると、回避動作情報を外部に送信出力する稼働情報送受信ユニット94とを備え、サーバは、この稼働情報送受信ユニット94から送信出力された回避動作情報を受信する送受信手段131と、送受信手段131で受信された回避動作情報を、当該回避動作情報が送信出力された自走式破砕機に応じて蓄積する回避動作情報データベース137とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式破砕機の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設現場、土木工事現場等で生じた廃材を再利用するために、建設現場等に自走式破砕機を設置し、工事中に生じた廃材を破砕して工事用の原料にリサイクルすることが行われている。
例えば、自走式破砕機としては、走行装置上にジョークラッシャを搭載したものが知られており、ジョークラッシャは、固定歯及び可動歯により形成されるV字状空間内にコンクリート塊等の被破砕物を供給し、可動歯を固定歯に対して揺動運動させることにより、圧縮力及びせん断力を利用して被破砕物を一定の粒径の骨材を生産するものである。
【0003】
ところで、このようなジョークラッシャは、圧縮力、せん断力を利用して被破砕物の破砕を行っているため、オペレータの運転状況や供給される被破砕物の性状によっては、固定歯や可動歯を含むジョークラッシャの装置本体側に過大な負荷が生じることがある。
このため、従来、このようなジョークラッシャには、揺動運動する可動歯と固定歯が設けられる装置本体との間をトグルプレートで接続し、可動歯に一定の過負荷が生じたときに、トグルプレートが座屈して可動歯に作用する負荷が開放される過負荷状態を回避する手段が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
また、他の過負荷状態を回避する手段としては、トグルプレートに代えて、可動歯に過負荷が生じると、油圧によってストロークが変化する締り嵌め機構付油圧シリンダを採用したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−23287号公報(図1、図4)
【特許文献2】特開2003−53203号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1や特許文献2の過負荷状態を回避する手段では、トグルプレートの座屈や、締り嵌め機構付油圧シリンダのストロークの変化は、破砕装置内部で生じるため、外部からオペレータが視認することができない。従って、発生頻度によっては破砕装置の重大な損傷を招く可能性があり、さらに、復帰させる作業に時間を要するため、生産性を大きく阻害することとなる。
【0006】
本発明の目的は、ジョークラッシャ等の破砕装置に過負荷状態の回避動作が生じたときに、迅速に外部に報知して、過負荷状態の回避動作の発生頻度をオペレータを含む第三者に認識させ、破砕装置の損傷を防止でき、かつ復帰作業に要する時間を短縮することのできる自走式破砕機の管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自走式破砕機の管理システムは、走行装置と、この走行装置上に設けられ、供給される被破砕物を破砕する破砕装置と、前記破砕装置の過負荷状態を回避する過負荷状態回避手段と、前記破砕装置を制御する制御装置とを備えた自走式破砕機と、この自走式破砕機と通信可能に接続されるサーバとを含んで構成される自走式破砕機の管理システムであって、前記破砕装置は、固定歯及び可動歯により形成されるV字状空間内に被破砕物が供給され、前記可動歯が前記固定歯に対して揺動運動することで前記被破砕物が破砕されるジョークラッシャであり、前記過負荷状態回避手段は、前記固定歯が固定される破砕装置本体と一端が接続され、他端が前記可動歯と接続され、前記可動歯に過負荷が生じるとストロークが変化する締り嵌め機構付油圧シリンダであり、前記制御装置は、前記締り嵌め機構付油圧シリンダのストローク変化に基づいて、前記締り嵌め機構付油圧シリンダが回避動作したか否かを判定する回避動作判定手段と、前記回避動作判定手段により回避動作したと判定されると、回避動作情報を外部に送信出力する情報出力手段とを備え、前記サーバは、この情報出力手段から送信出力された回避動作情報を受信する情報受信手段と、前記情報受信手段で受信された回避動作情報を、当該回避動作情報が送信出力された自走式破砕機に応じて蓄積する回避動作情報蓄積手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、自走式破砕機の過負荷状態回避手段の回避動作情報がサーバ側の回避動作情報蓄積手段で蓄積されるように構成されているので、自走式破砕機に応じた回避動作の発生頻度等をサーバ側で把握することができ、自走式破砕機の管理の容易化を図ることができるうえ、サービスセンタ等からのメンテナンスもタイムリに行うことができる。
【0009】
本発明では、前記締り嵌め機構付油圧シリンダは、前記破砕装置本体とリンクを介して接続され、前記締り嵌め機構付油圧シリンダのストローク変化は、前記リンクの角度変化を検出する角度センサからの検出信号に基づいて検出されるのが好ましい。
【0010】
本発明では、前記サーバは、前記回避動作情報蓄積手段に蓄積された回避動作情報の回数が、予め設定された一定の閾値以上となっているか否かを判定する回避動作回数判定手段と、この回避動作回数判定手段により、一定の閾値以上となったと判定されたら、その旨を報知する報知手段とを備えているのが好ましい。
本発明によれば、回避動作回数判定手段及び報知手段を備えていることにより、建設現場に設置された自走式破砕機の破砕負荷に応じた管理を行うことができる。
【0011】
本発明では、前記報知手段は、報知対象となる自走式破砕機に対して、警報情報を送信出力する警報情報送信出力部を備え、前記自走式破砕機の制御装置は、この警報情報が受信されると、警報を発呼する警報発呼手段を備えているのが好ましい。
ここで、警報発呼手段による警報の発呼は、自走式破砕機に付設されるモニタ画面上に画像情報として警報を発呼したり、ブザー等の音声を用いて発呼することができる。
【0012】
本発明によれば、報知手段が警報情報送信出力部を備え、自走式破砕機が警報発呼手段を備えていることにより、サーバ側で破砕負荷が大きいと判断された自走式破砕機のオペレータに対して、音声や画像情報によりその旨を伝達できるので、自走式破砕機に対する負荷軽減を図る意味で一層好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自走式破砕機の側面図。
【図2】本実施形態における油圧回路及び制御構造を表すブロック図。
【図3】本実施形態における破砕機の構造を表す側面図。
【図4】本実施形態における締り嵌め機構付油圧シリンダの構造を表す断面図。
【図5】本実施形態における制御構造を表すブロック図。
【図6】本実施形態における締り嵌め機構付油圧シリンダのストロークと破砕機の出口隙間の対応関係が格納されたテーブル構造を表す模式図。
【図7】本実施形態における過負荷状態の判定方法を説明するためのグラフ。
【図8】本実施形態における管理システムの構成を表す模式図。
【図9】本実施形態における管理サーバの構造を表すブロック図。
【図10】本実施形態における回避動作情報データベースの構造を表す模式図。
【図11】本実施形態における管理システムの作用を示すフローチャート。
【図12】本実施形態における破砕機の変形を表す側面図。
【図13】本発明の第2実施形態に係る自走式破砕機を構成する破砕機の構造を表す側面図。
【図14】本実施形態におけるトグルプレートの構造を表す平面図及び側面図。
【図15】本実施形態におけるトグルプレートに作用する応力と過負荷状態の判定との関係を表すグラフ。
【図16】本実施形態におけるトグルプレートに作用する応力と過負荷状態の判定との関係を表すグラフ。
【図17】本発明の第3実施形態に係る自走式破砕機を構成する破砕機の構造を表す側面図。
【図18】本実施形態における破砕機の変形を表す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
1.全体構成
図1には、本発明の第1実施形態に係る自走式破砕機1が示されており、この自走式破砕機1は、油圧ショベル等の積込機2により投入された原材料を破砕し、一定粒度の製品を製造するものである。
この自走式破砕機1は、一対の下部走行体11を備えた本体部10と、本体部10の前後方向(図1の紙面左右方向)の後部側に搭載された供給部20と、この供給部20の前方に搭載された破砕機30と、破砕機30のさらに前方側に搭載されたパワーライン40と、本体部10の下方から前方斜め上方に向けて延びる排出コンベア50とを備えている。
【0015】
本体部10において、下部走行体11はクローラ式であり、油圧モータ12によって駆動される。下部走行体11としては、同様な油圧モータ駆動の車輪式であってもよく、クローラ式と車輪式とを併用したタイプであってもよい。そして、このような下部走行体11を駆動することで、自走式破砕機1を最適な位置に移動させることが可能である。
供給部20は、ホッパ21と、グリズリフィーダ22と、サイドコンベア23とを備えている。ホッパ21は、上方に拡がる逆円錐台状に形成され、開口された上面に原材料が投入される。グリズリフィーダ22は、ホッパ21から投入された原材料を振動を利用して破砕機30に送る。サイドコンベア23は、グリズリフィーダ22の隙間から落下した未破砕の原材料を、自走式破砕機1の側方に排出する。グリズリフィーダ22は、振動装置25の油圧モータ26で駆動され、サイドコンベア23は、図1では図示を略したが、後述する油圧モータ27(図2参照)によって駆動される。
【0016】
破砕機30は、詳しくは後述するが、固定歯及び可動歯を備えたジョークラッシャであり、このような破砕機30のスイングジョー30Aは油圧モータ31(図2)で駆動される。
パワーライン40は、図2に示されるように、エンジン41と、このエンジン41によって駆動される油圧ポンプ42とを備えている。
油圧ポンプ42からの油圧は、コントロールバルブ101〜108を介して下部走行体11の油圧モータ12、グリズリフィーダ22に設けられた振動装置25の油圧モータ26、破砕機30の油圧モータ31、後述する排出コンベア50の油圧モータ51、後述する磁選機60の油圧モータ61、篩70の油圧モータ71、および二次コンベア80の油圧モータ81に供給される。
【0017】
排出コンベア50は、図1に示されるように、破砕機30で破砕された破砕物を車両前方側に搬送して排出し、地上に堆積させるものであり、前述したように、前端の油圧モータ51(図2参照)で駆動される。
なお、原材料として鉄筋等を含んだコンクリート塊が投入される場合には、排出コンベア50上から鉄筋を取り除くために、図1中に二点鎖線で示すように、磁選機60が後付けされる場合がある。また、排出コンベア50から排出される破砕物をそのまま地上に堆積させるのではなく、破砕物をさらに篩70にかけて粒度の異なる大小の破砕物に選別する場合がある。
この場合、篩70の隙間から落下した粒度の小さい破砕物はさらに、二次コンベア80で離れた位置に搬出され、篩70上に残った粒度の大きい破砕物は、篩70から滑り落ちて堆積されるか、図示しない三次コンベアで別な場所に搬出される。
【0018】
2.破砕機30の詳細構成
破砕機30は、図3に示されるように、固定歯32及び可動歯33を備えたジョークラッシャである。固定歯32は、図3の紙面直交方向に対向配置される一対のフレーム34上に取り付けられている。可動歯33は、この固定歯32と対向する位置に配置され、フレーム34間に設けられた偏心駆動軸35に揺動自在に吊り下げられている。そして、固定歯32及び可動歯33間に形成されるV字状の空間が破砕室を形成している。
図3では図示を略したが、偏心駆動軸35の一端にはプーリが設けられ、このプーリにはVベルトが巻かれ、Vベルトの他端に設けられる油圧モータによって偏心駆動軸35は回転する。
【0019】
可動歯33は、この偏心駆動軸35の回転により、固定歯32に対して接近、離間するように揺動し、V字状の破砕室内にグリズリフィーダ22から被破砕物が供給されると、可動歯33の揺動によって、被破砕物が固定歯32及び可動歯33によって挟まれて破砕される。
被破砕物が所定粒度以下まで破砕されると、破砕粒は、固定歯32及び可動歯33の下端間の出口隙間Sから排出コンベア50に排出される。
この可動歯33の背面側には、一対のフレーム34を連結する部材上にブラケット36が設けられ、このブラケット36及び可動歯33間には、リンク機構からなる可動歯負荷受部37が設けられている。
なお、本実施形態の破砕機30では、可動歯33が固定歯32の破砕面に対して上方から下方に削ぎ取るようにスイングするように、可動歯負荷受部37がいわゆるアップスラストタイプになっているが、下方から上方に押し上げるいわゆるダウンスラストタイプであってもよい。
【0020】
可動歯負荷受部37は、中間部分でブラケット36に対してピン371によって揺動自在に取り付けられるレバー372と、このレバー372の一端部にピン373により回動自在に設けられるリンク374とを備えている。リンク374の端部は、ピン375によって可動歯33の背面下部に回動自在に連結されている。
また、レバー372の他端部は、締り嵌め機構付油圧シリンダ38のピストンロッド381の先端部とピン376により回動自在に連結されている。
そして、破砕室で被破砕物を破砕する場合の反力は、リンク374、レバー372を経て締り嵌め機構付油圧シリンダ38に伝えられるようになっている。
【0021】
過負荷状態回避手段としての締り嵌め機構付き油圧シリンダ(ロックシリンダ)38は、そのシリンダ軸をほぼ上下方向に向けて配置されており、その基端部はフレーム34の上部にピン341により回転自在に取り付けられている。
この締り嵌め機構付き油圧シリンダ38は、図4に示されるように、シリンダ382と、先端にピストンロッド381が設けられるピストン383とを備え、シリンダ382には、ピストン383が圧入され、このピストン383によってシリンダ382内部の空間は、シリンダヘッド室38A及びシリンダボトム室38Bに区画されている。
また、ピストンロッド381には、軸方向に沿って油孔384が形成され、この油孔384は、ピストン383まで延び、ピストン383の外周側面でシリンダ382内部に通じている。
【0022】
このような締り嵌め機構付油圧シリンダ38では、通常状態ではシリンダ382の締め付けによりピストン383はシリンダ382内の一定の位置で固定されている。
しかし、油孔384に圧油を供給すると、圧油はピストン383の外周面及びシリンダ382の内周面の間に供給され、シリンダ382には、シリンダ382を径方向外側に膨らませる力が作用する。
この状態で、シリンダヘッド室38A又はシリンダボトム室38Bに圧油を供給すると、この圧油により、拡大したシリンダ382内でピストン383を移動させることが可能となる。
【0023】
このような締り嵌め機構付き油圧シリンダ38では、可動歯33に過大な負荷が作用した場合、シリンダ382の締め付けにより固定されたピストン383が負荷に負けて滑り、ピストン383の位置が変化することにより、可動歯33に作用した負荷を除いて回避動作が実施される。
その後、油孔384に圧油を供給すると、ピストン383をシリンダ382内で移動させることが可能となり、元の状態に復帰させることができる。
過負荷状態回避手段としてこのような締り嵌め機構付油圧シリンダ38を採用することにより、過負荷状態の回避後、復帰させるに際しては、シリンダ382内に圧油を供給してピストン383の位置を簡単に戻すことができるため、復帰作業を簡単に行えるという利点がある。
【0024】
また、この締り嵌め機構付油圧シリンダ38には、図3に示されるように、ストロークセンサ39が設けられている。このストロークセンサ39は、検出器本体391及び測定子392を備えて構成されている。
検出器本体391は、締り嵌め機構付油圧シリンダ38のシリンダ382の外面に固定されている。測定子392の先端は、締り嵌め機構付き油圧シリンダ38のピストンロッド381の先端に固定されている。
そして、過負荷状態の回避により締り嵌め機構付油圧シリンダ38のピストンロッド381がシリンダ382側に後退すると、ストロークセンサ39の測定子392がこれに応じて検出器本体391側に後退する。検出器本体391では、この後退量を電気信号に変換して、コントローラ91に出力する。尚、このストロークセンサ39としては、例えば、リニアポテンショメータを採用することができる。
【0025】
3.油圧回路の制御構造
(3-1)コントロールユニット90の全体構成
このような自走式破砕機1は、図2に示されるコントロールユニット90によって制御される。
このコントロールユニット90には、前述の各作業機のON−OFFスイッチ(SW)、具体的にはグリズリフィーダ22、サイドコンベア23、破砕機30、排出コンベア50、磁選機60、篩70、および二次コンベア80の各ON−OFFスイッチが設けられ、各スイッチからの信号がコントローラ91に出力される。ただし、図2では、左右の下部走行体11用のスイッチを省略してある。
【0026】
コントローラ91は、各スイッチからの信号を入力して各作業機11,22,23,30,50,60,70,80用のコントロールバルブ101〜108に制御信号を出力し、それらの駆動状態を切り換える。
一方、グリズリフィーダ22の油圧モータ26を除き、各油圧モータ12,27,31,51,61,71,81への入口側の油圧回路上には、圧力センサ等の検出手段110が設けられ、油圧回路中の圧力値がこの検出手段110から圧力信号としてコントローラ91に出力される。
ここで、破砕機30の油圧モータ31および左右の下部走行体11の油圧モータ12においては、入口側および戻り側の油圧回路上に検出手段110が設けられており、油圧モータ12,31での正逆両方の駆動中の圧力値を検出できるようになっている。
【0027】
コントローラ91は、演算処理装置及び記憶装置を備えたコンピュータとして構成され、各検出手段110からの圧力信号に基づいて、各作業機11,22,23,30,50,60,70,80に異常が生じているか否かを判定する。コントローラ91は、異常と判定した場合、コントロールユニット90に設けられたブザー等の警報装置92に信号を出力し、異常であることを作業者に知らせるとともに、コントロールバルブ102〜108に信号を出力して、作業機22,23,30,50,60,70,80を適宜停止させる。
【0028】
また、コントローラ91は、付設される車両モニタ93上にどの部分に異常が生じているのかを表示させ、稼働情報送受信ユニット94に対して、異常が生じた箇所を表す識別番号及び異常状態である旨の信号を出力する。
情報出力手段としての稼働情報送受信ユニット94は、コントローラ91からの指令に基づいて、コントローラ91によって行われた動作判定の結果となる稼働情報を外部に無線出力する。尚、図2では図示を略したが、この自走式破砕機1は、GPSを搭載しており、稼働情報の出力に際しては、自走式破砕機1の現在位置を与える緯度、経度情報を付帯して無線出力するようになっている。
【0029】
(3-2)コントロールユニット90による破砕機30の制御構造
次に、破砕機30における前記のコントロールユニット90による制御の構造をより詳細に説明する。
コントローラ91は、図5に示されるように、プログラムとして実行される、動作判定手段911、動作指令手段912、回避動作判定手段913、及び警報情報受信手段914を備えて構成される。
動作判定手段911は、破砕機30の油圧モータ31の入口側及び戻り側に設けられた圧力センサ等の検出手段110からの電気信号に基づいて油圧モータ31の動作状態を判定する。この動作判定手段911は、異常であると判定されたら、その旨の信号を動作指令手段912に出力するとともに、稼働情報送受信ユニット94にも送信する。
動作指令手段912は、動作判定手段911の結果に基づいて、コントロールバルブ104への制御指令を生成し、出力する部分である。具体的には、動作指令手段912は、コントロールバルブ104のソレノイドを制御指令により動作させてポジションを変更し、油圧モータ31への圧油供給状態を変更して動作異常を回避させる。
【0030】
回避動作判定手段913は、図3に示されるストロークセンサ39から出力された検出信号に基づいて、破砕機30が過負荷状態にあるかどうかを判定する。この回避動作判定手段913は、過負荷状態にあると判定された場合、締り嵌め機構付油圧シリンダ38による回避動作が実施されたと判定する。回避動作判定手段913による判定は、コントローラ91に設けられるメモリ95内に記録された情報に基づいて行う。
具体的には、メモリ95内には、図6に示されるように、ストロークセンサ39のストロークLと、図3に示される固定歯32及び可動歯33の下端部の出口隙間Sの大きさとを対応させたテーブル951が格納され、出口隙間Sの状態に応じて、可動歯33に作用している負荷状態が通常であるか(○)、閾値を超えているか(△)、過負荷状態となっているか(×)が格納されている。
【0031】
回避動作判定手段913は、このメモリ95内のテーブル951を参照しながら、図7に示されるように、出口隙間Sの大きさに応じて過負荷状態となっているかどうかを判定する。
具体的には、回避動作判定手段913は、ストロークセンサ39で検出されたストロークLの変化がL2であり、これに応じた出口隙間Sが閾値S2を超えていると判定されても、ただちに過負荷状態にあるとは判定しない。すなわち、図7のグラフG1に示されるように、一定時間T1の間、過負荷状態が連続したことを条件として過負荷状態にあると判定している。これは、外乱等による誤検出を防止するために行っている。
【0032】
回避動作判定手段913で過負荷状態にあると判定され、締り嵌め機構付油圧シリンダ38が動作したと判定されたら、回避動作判定手段913は、動作指令手段912に対してのその旨の信号を出力し、動作指令手段912は、この信号に基づいて、コントロールバルブ104のポジションを変更して、油圧モータ31の駆動を停止させる。
また、回避動作判定手段913は、回避動作結果を稼働情報送受信ユニット94に出力し、稼働情報送受信ユニット94は、その旨の回避動作情報を無線出力する。
【0033】
稼働情報送受信ユニット94による回避動作情報の無線出力は、種々のタイミングで設定することができる。
例えば、締り嵌め機構付油圧シリンダ38による回避動作が行われたタイミングで回避動作情報を無線出力してもよいし、コントローラ91に付設されるメモリ95等に回避動作情報を蓄積しておき、回避動作のインターバル時間が所定の閾値以下(頻度大)となった場合に、無線出力してもよい。
警報情報受信手段914は、稼働情報送受信ユニット94を介して警報情報を受信する部分であり、警報情報を受信すると、警報発呼手段としての警報装置92に制御指令を出力し、警報装置92に画像、音声等の警報を発呼させる。
【0034】
4.管理システムの構成
(4-1)管理システムの全体構成
前述された自走式破砕機1の稼働情報送受信ユニット94から無線出力された回避動作情報は、管理サーバで集約され処理される。すなわち、図8に示されるように、稼働情報送受信ユニット94から無線出力された回避動作情報は、通信衛星121で受信され、通信衛星121から衛星地球局122、ネットワーク管制局123に転送され、ネットワーク124を介して、管理サーバ130に集約される。
尚、本実施形態においては、通信衛星121、衛星地球局122、ネットワーク管制局123間は、専用通信回線による通信を行っているが、ネットワーク管制局123から管理サーバ130間を接続するネットワーク124は、インターネット等の汎用回線を介して接続される。
また、このネットワーク124には、自走式破砕機1が設置された建設現場事務所に設置される現場端末コンピュータ140、自走式破砕機1のメンテナンス等を行うサービス会社に設置されるサービス端末コンピュータ150が接続されている。
【0035】
(4-2)管理サーバ130の構成
管理サーバ130は、図9に示されるように、前述した稼働情報送受信ユニット94から送信出力された自走式破砕機1の稼働情報、回避動作情報を受信し、蓄積して管理を行い、必要に応じて稼働情報送受信ユニット94、現場端末コンピュータ140、及びサービス端末コンピュータ150に情報を配信するものである。具体的には、管理サーバ130は、演算処理装置130A及び記憶装置130Bを備えたコンピュータとして構成される。
この管理サーバ130は、演算処理装置130A上で実行されるプログラムとしての、送受信手段131、稼働情報取得手段132、回避動作情報取得手段133、回避動作回数判定手段134、及び報知手段135を備え、記憶装置130Bの記憶領域には、稼働情報データベース136及び回避動作情報データベース137が確保されている。
【0036】
送受信手段131は、自走式破砕機1に設けられる稼働情報送受信ユニット94、現場端末コンピュータ140、サービス端末コンピュータ150との通信を通じて稼働情報を含む種々のデータのやりとりを行う部分である。
稼働情報取得手段132は、自走式破砕機1の各部位に設けられた検出手段110で検出された情報に基づいて、コントローラ91が動作判定を行った結果を取得する部分である。取得された情報は、自走式破砕機1の号機番号等の識別情報とともに、稼働情報データベース136に蓄積される。
【0037】
回避動作情報取得手段133は、コントローラ91の回避動作判定手段913により判定された回避動作情報を取得する部分であり、取得された回避動作情報は、回避動作情報データベース137に蓄積される。
回避動作情報データベース137は、回避動作情報取得手段133で取得された回避動作情報を蓄積保存する部分であり、各回避動作情報を1つのレコードに記録するテーブル構造を備えている。
この回避動作情報データベース137は、例えば、図10に示されるテーブル137Tのように、自走式破砕機1の識別情報、現在位置、受信日時からなるレコードを回避動作情報として蓄積したテーブル構造のデータベースを採用することができる。
【0038】
回避動作回数判定手段134は、前述した回避動作情報データベース137に蓄積された回避動作情報に基づいて、管理下にある自走式破砕機1がどのような状態で運転されているのかを判定する部分である。この回避動作回数判定手段134による判定は、例えば、一定時間又は一定期間内で何回の回避動作が実施されているかに基づいて行うことができ、期間内に回避動作の回数が多いと、回避動作回数判定手段134は、その自走式破砕機1が過負荷状態で運転されていると判定する。
【0039】
報知手段135は、回避動作回数判定手段134における判定結果に基づいて、ネットワーク124を介して現場端末コンピュータ140、サービス端末コンピュータ150に対して過負荷状態で運転されている状況を報知し、さらに、通信衛星121を介して稼働情報送受信ユニット94に対して過負荷状態である旨の警報情報を送信出力する部分である。
この報知手段135による稼働情報送受信ユニット94に対する警報情報は、自走式破砕機1の警報装置92を発呼させる旨の指令信号とされる。この警報情報を受信したコントローラ91の警報情報受信手段914は、この指令信号に基づいて、警報装置92を発呼させ、車両モニタ93にもその旨を表示させる。
一方、この報知手段135による現場端末コンピュータ140及びサービス端末コンピュータ150への情報の配信に際しては、単に自走式破砕機1が過負荷状態で運転される旨の情報のみならず、どのような状態で運転させるのが望ましいか、また、どのようにすれば過負荷状態を回避できるのか、に関するリコメンド情報を付帯させて配信するのが好ましい。
【0040】
5.管理システムの作用
次に、前述した自走式破砕機1の管理システムの作用を、図11に示されるフローチャートに基づいて説明する。
(1)自走式破砕機1の運転中、コントローラ91の回避動作判定手段913は、破砕機30が作動しているか否かを監視する(処理ST1)。回避動作判定手段913は、破砕機30が作動していると判定されたら、ストロークセンサ39からの検出信号により、破砕機30が過負荷状態にあるかどうかを判定する(処理ST2)。
【0041】
(2)ストロークセンサ39のストロークLが変化し、これに伴って算出される出口隙間Sが所定の閾値S2を超え、かつその状態が一定時間T1を超えている場合、回避動作判定手段913は、過負荷状態にあると判定し、これに伴い、締り嵌め機構付油圧シリンダ38が動作したと判定し、動作指令手段912にその旨の信号を出力する。動作指令手段912は、この信号に基づいて、破砕機30を停止させる(処理ST3)。
(3)続けて回避動作判定手段913は、回避動作が実施された日時を回避動作情報としてメモリ95にストアし(処理ST4)、回避動作情報を稼働情報送受信ユニット94に出力する。稼働情報送受信ユニット94は、入力された回避動作情報を、自走式破砕機1の識別情報、現在位置情報等の稼働情報とともに、通信衛星121に送信する(処理ST5)。
【0042】
(4)管理サーバ130の回避動作情報取得手段133は、送受信手段131で回避動作情報が受信入力されたか否かを判定し(処理ST6)、回避動作情報が入力されたと判定されたら、回避動作情報を取得し(処理ST7)、同時に入力される稼働情報の自走式破砕機1の識別情報、現在位置情報とともに、回避動作情報データベース137に蓄積する(処理ST8)。
(5)上記処理による回避動作情報の蓄積が行われている間、回避動作回数判定手段134は、定期的に回避動作情報データベース137に蓄積された自走式破砕機1の識別情報に応じた回避動作情報を取得し、破砕機30の回避動作のインターバルがどの程度であるかを演算し、回避動作の発生頻度が高いかどうかを判定する(処理ST9)。
【0043】
(6)発生頻度が高いと判定されたら、回避動作回数判定手段134は、その旨の信号を報知手段135に出力し、報知手段135は、これに基づいて、警報情報を生成し、該当する自走式破砕機1の稼働情報送受信ユニット94に送信出力する(処理ST10)。
(7)警報情報受信手段914は、稼働情報送受信ユニット94で警報情報の受信入力があるか否かを監視し(処理ST11)、警報情報が受信されたら、警報装置92を作動させる(処理ST12)。
(8)一方、報知手段135は、前記の警報情報の送信出力とともに、回避動作情報に、適切な破砕機30の運転状態や、過負荷状態の回避策等のリコメンド情報を付帯して、現場端末コンピュータ140、サービス端末コンピュータ150にネットワーク124を介して配信する(処理ST13)。
【0044】
本実施形態においては、図3に示されるように、ストロークセンサ39により締り嵌め機構付油圧シリンダ38のピストンロッド381のストロークLの変化を検出し、出口隙間Sの算出を行っていたが、要するに、締り嵌め機構付油圧シリンダ38のピストン383の動きを検出できる方法であれば、このような方法に限られない。
例えば、図12に示されるように、可動歯負荷受部37のレバー372の鉛直方向に対する角度Aを角度センサ39Aで計測し、この角度Aの変化と出口隙間Sとの対応をメモリ95に格納して、出口隙間Sを算出するようにしてもよい。角度センサ39Aとしては、ロータリポテンショメータを用いることが可能である。
【0045】
この場合、ロータリポテンショメータの固定電極をピン371上に固定し、可動電極をレバー372上に固定する。そして、固定電極には基準電圧を掛け、可動電極の電圧の変化を測定することにより、固定電極に対する可動電極の回転位置を検出することが可能となる。
過負荷状態の回避により、締り嵌め機構付油圧シリンダ38のピストンロッド381がシリンダ382側に後退すると、これに伴い、レバー372が揺動するため、レバー372の角度を角度センサ39Aによって計測することが可能となる。
【0046】
コントロールユニット90には、回転角度Aと、固定歯32及び可動歯33の下端部の出口隙間Sの大きさとを対応させたテーブルが格納され、出口隙間Sの状態に応じた回転角度Aの閾値に基づいて、可動歯33に作用している負荷状態が、通常であるか、閾値を超えているか、過負荷状態となっているかの判定を行うことができる。
このような角度センサ39Aによる角度Aを計測する方法によれば、出口隙間Sがリンク機構の姿勢を与える角度Aに変換されているため、出口隙間Sの変化を角度Aに拡大して検出することができ、回避動作検出における分解能を向上させることができ、回避動作を高精度に検出できる。
【0047】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分等については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述の第1実施形態では、過負荷状態回避手段としては、締り嵌め機構付油圧シリンダ38を採用し、ストロークセンサ39からの検出信号に基づいて、締り嵌め機構付油圧シリンダ38による回避動作が実施されたか否かを判定していた。
【0048】
これに対して、第2実施形態に係る破砕機230は、図13に示されるように、可動歯33の背面とフレーム34との間がトグルプレート236によって連結されている。
そして、可動歯33が過負荷状態となった際には、トグルプレート236が優先的に座屈することにより、過負荷状態の回避動作が実施されるように構成されている。
回避動作が実施されたか否かの判定は、トグルプレート236上に応力ゲージ240を設けておき、この応力ゲージ240からの検出信号をコントローラで処理することにより、回避動作が行われたか否かを判定する。
ここで、本実施形態における回避動作が行われたか否かを判定する方法としては、次の2つの方法が考えられる。
【0049】
1.トグルプレート236として通常仕様のものを使用する場合
図14に示されるように、トグルプレート236は、板状の略中央に孔236Aが1つ又は複数形成されている。図15に示されるように、このようなトグルプレート236で応力σ1に至ると座屈が生じる場合、回避動作の判定は、安全係数k(0<k<1)を見て、応力σ1よりも小さな応力kσ1で回避動作が行われたと判定する。尚、トグルプレート236の座屈応力をσ1とした場合、回避動作と判定する際の応力kσ1は、0.6〜0.8σ1と設定することができる。
【0050】
このようにすれば、トグルプレート236が実際に座屈しなくても回避動作が行われたと判定して破砕機230の作動が停止されるため、回避動作によってトグルプレート236を交換することなく、破砕機230を復帰させて作動させることができる。
但し、この場合、トグルプレート236の座屈応力σ1未満で座屈が生じたと判定しているため、その分作業量が減少することとなる。
【0051】
2.トグルプレート236として通常仕様のものよりも強いものを使用する場合
そこで、図14に示される通常のトグルプレート236よりも、座屈する部分の座屈応力σ2が大きなトグルプレート236を採用してもよい。そして、回避動作が行われたか否かの判定は、図15に示されるように、応力ゲージ240で検出される応力が、回避動作を行わせる破砕機230の設計上の許容応力σ1に達したときに行えばよい。
この場合、トグルプレート236は、例えば、従来のものが、孔236Aが3つ形成されたものであれば、孔236Aの個数を減らしたり、孔を開けないものとすればよい。
【0052】
このようにすることにより、設計上の許容応力σ1となって初めて回避動作と判定されるため、前述の場合のような作業量の減少が生じることはなく、前述と同様の効果を得ることができる。
本実施形態における上記構成以外の構成は、第1実施形態の場合と同様であり、上記判定は、応力ゲージ240からの信号を、コントローラ内の回避動作判定手段で取得することによって行われることとなるので、その説明は省略する。
【0053】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
前述した第2実施形態では、応力ゲージ240は、トグルプレート236上に設けられており、このトグルプレート236に作用した応力を応力ゲージ240によって検出し、信号出力することにより、コントローラの回避動作判定手段による回避動作判定を行っていた。
これに対して、第3実施形態に係る破砕機250では、図17に示されるように、トグルプレート236ではなく、トグルプレート236を介して可動歯33に作用した力を支持する反力支持機構としてのトグルピン251に応力ゲージ240を設けておき、この応力ゲージ240で検出された検出信号に基づいて、コントローラの回避動作判定手段により回避動作が行われたか否かを判定する。
【0054】
この場合、予め可動歯33を過負荷状態としてトグルプレート236を意図的に座屈させ、その際のトグルピン251に作用した応力を測定し、測定された応力に基づいて、回避動作を判定する応力を設定すればよい。
このような反力支持機構に応力ゲージ240を設ける方法は、前記のトグルプレート236のみならず、例えば、図18に示されるように、偏心駆動軸35に応力ゲージ240に設けてもよい。
このように偏心駆動軸35に応力ゲージ240を設けた場合、破砕機250に大きな岩塊F等が投入されて破砕機250の上流側で過負荷状態が生じても、応力ゲージ240で確実に過負荷状態を検出することができるという効果がある。
【0055】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、次に示されるような変形をも含むものである。
前記第1実施形態では、破砕機30としてジョークラッシャを採用していたが、本発明はこれに限られず、インパクトクラッシャ等であっても、過負荷状態を回避する装置が設けられたものであれば本発明を採用することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、自走式破砕機、自走式木材破砕機に利用できる他、土質改良機、他の破砕方法による自走式破砕機にも利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…自走式破砕機、11…下部走行体、134…回避動作回数判定手段、30…破砕機、38…締り嵌め機構付油圧シリンダ、32…固定歯、33…可動歯、35…偏心駆動軸、39…ストロークセンサ、39A…角度センサ、91…コントローラ、92…警報装置、94…稼働情報送受信ユニット、130…管理サーバ、131…送受信手段、135…報知手段、137…回避動作情報データベース、236…トグルプレート、240…応力ゲージ、251…トグルピン、913…回避動作判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、この走行装置上に設けられ、供給される被破砕物を破砕する破砕装置と、前記破砕装置の過負荷状態を回避する過負荷状態回避手段と、前記破砕装置を制御する制御装置とを備えた自走式破砕機と、
この自走式破砕機と通信可能に接続されるサーバとを含んで構成される自走式破砕機の管理システムであって、
前記破砕装置は、固定歯及び可動歯により形成されるV字状空間内に被破砕物が供給され、前記可動歯が前記固定歯に対して揺動運動することで前記被破砕物が破砕されるジョークラッシャであり、
前記過負荷状態回避手段は、前記固定歯が固定される破砕装置本体と一端が接続され、他端が前記可動歯と接続され、前記可動歯に過負荷が生じるとストロークが変化する締り嵌め機構付油圧シリンダであり、
前記制御装置は、
前記締り嵌め機構付油圧シリンダのストローク変化に基づいて、前記締り嵌め機構付油圧シリンダが回避動作したか否かを判定する回避動作判定手段と、
前記回避動作判定手段により回避動作したと判定されると、回避動作情報を外部に送信出力する情報出力手段とを備え、
前記サーバは、
この情報出力手段から送信出力された回避動作情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段で受信された回避動作情報を、当該回避動作情報が送信出力された自走式破砕機に応じて蓄積する回避動作情報蓄積手段とを備えている
ことを特徴とする自走式破砕機の管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自走式破砕機の管理システムにおいて、
前記締り嵌め機構付油圧シリンダは、前記破砕装置本体とリンクを介して接続され、
前記締り嵌め機構付油圧シリンダのストローク変化は、前記リンクの角度変化を検出する角度センサからの検出信号に基づいて検出される
ことを特徴とする自走式破砕機の管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自走式破砕機の管理システムにおいて、
前記サーバは、
前記回避動作情報蓄積手段に蓄積された回避動作情報の回数が、予め設定された一定の閾値以上となっているか否かを判定する回避動作回数判定手段と、
この回避動作回数判定手段により、一定の閾値以上となったと判定されたら、その旨を報知する報知手段とを備えている
ことを特徴とする自走式破砕機の管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の自走式破砕機の管理システムにおいて、
前記報知手段は、報知対象となる自走式破砕機に対して、警報情報を送信出力する警報情報送信出力部を備え、
前記自走式破砕機の制御装置は、この警報情報が受信されると、警報を発呼する警報発呼手段を備えている
ことを特徴とする自走式破砕機の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−86224(P2012−86224A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−26618(P2012−26618)
【出願日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【分割の表示】特願2008−514509(P2008−514509)の分割
【原出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】