説明

自走式破砕機及びその過負荷保護装置

【課題】ジョークラッシャの過負荷保護を長期にわたって安定して行うことができる自走式破砕機及びその過負荷保護装置を提供する。
【解決手段】破砕装置フレーム61、この破砕装置フレーム61に固定された固定歯71、破砕装置フレーム61に揺動可能に支持された動歯72、破砕装置フレーム61における動歯72の前方側に固定された支持部材64、この支持部材64により形成された空間内を所定の方向に摺動可能なように設けた摺動部材66及び制動板67、制動板67を狭持するようにこの制動板67の摺動方向に対して垂直な方向から摩擦板68を介して押圧力を与える制動ピストン69、摺動部材66と動歯72の下端部との間に狭持されたトグルプレート70、及び動歯72と支持部材64とを近接する方向へ付勢する油圧シリンダ75を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョークラッシャ等の被破砕物を破砕する破砕装置を備えた自走式破砕機及びその過負荷保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、破砕機は、例えば建設現場で発生する大小さまざまな岩石・建設廃材等の被破砕物を所定の大きさに破砕することにより、廃材の再利用、工事の円滑化、コスト削減等を図るために用いられる。
【0003】
このような破砕機のうち、例えば自走式破砕機は、一般に、本体フレームと、この本体フレームに設けられた走行手段と、被破砕物が投入されるホッパと、このホッパに投入された被破砕物を破砕装置へ搬送する搬送手段と、この搬送手段で搬送した被破砕物を所定の大きさに破砕する破砕装置と、この破砕装置で破砕した破砕物を機外へ搬送する排出コンベアとを備えている。
【0004】
上記破砕装置には、固定歯に対して動歯を揺動させ、これらの間に被破砕物を導入して破砕を行ういわゆるジョークラッシャと呼ばれるものがある。このジョークラッシャの従来技術としては、固定歯(固定ジョープレート)と、固定歯に対して揺動可能に設けられた動歯(可動ジョープレート)と、この動歯に被破砕物から作用する破砕反力をシリンダとロッドとの間に作用する摩擦力により受けるロックシリンダ(油圧式メカニカルロック装置)と、このロックシリンダのロッド側先端に設けられシリンダの軸方向に滑動可能なスライド部材(トグルブロック)と、このスライド部材と動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレートとを有したものがある(例えば、特許文献1参照。)。このジョークラッシャでは、通常の破砕時に被破砕物から動歯に作用する破砕反力が、トグルプレート及びスライドプレートを介してロックシリンダに伝達され、ロックシリンダの摩擦力により受けられる。そして、例えば固定歯と動歯との間の破砕室における異物の噛み込み等により破砕装置に過負荷が発生した場合には、その際にロックシリンダに作用する過大な荷重によりロッドがシリンダとの摩擦力に抗して摺動してシリンダが縮み、動歯が固定歯から退避して過負荷が解消される。これにより、過負荷時にトグルプレート等の部材が過大な荷重により損傷するのを防止でき、過負荷時の部材の保護を可能としている。
【0005】
【特許文献1】実開昭63−141638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、上述したようにロックシリンダを用いて動歯側からの荷重を受けるようにしているが、このロックシリンダはシリンダとロッドとの機械的摩擦力により軸方向の荷重を受ける構造であるため、その構造上、過負荷時にロッドがシリンダとの摩擦力に抗して摺動するにつれシリンダとロッドとの間に働く摩擦力が低下し、長期にわたって摩擦力を一定に保持することが困難であった。その結果、動歯を固定歯から退避させる際の負荷荷重の大きさにばらつきが生じ、安定してジョークラッシャの過負荷保護を行うことができなかった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ジョークラッシャの過負荷保護を長期にわたって安定して行うことができる自走式破砕機及びその過負荷保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本願第1発明は、本体フレームと、この本体フレームに設けた走行手段と、前記本体フレーム上に設けられ被破砕物を受け入れるホッパと、前記本体フレーム上に設けられ、破砕装置フレーム、この破砕装置フレームに固定された固定歯、この固定歯に対向配置され、偏心軸により前記破砕装置フレームに揺動可能に支持された動歯、前記破砕装置フレームにおける前記動歯の前方側に固定された支持部材、この支持部材により形成された空間内を所定の方向に摺動可能なように設けたスライド部材、先端に摩擦部材を有し、前記スライド部材を狭持するように前記スライド部材の摺動方向に対して垂直な方向から押圧力を与える第1押圧手段、前記スライド部材と前記動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレート、及び前記動歯と前記支持部材とを近接する方向へ付勢する付勢手段を有し、前記ホッパで受け入れた被破砕物の破砕を行う破砕装置と、この破砕装置で破砕した破砕物を機外へ搬送する排出コンベアとを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明においては、破砕時には、第1押圧手段でスライド部材に対して押圧力を与えてスライド部材の摺動を制動(ロック)する。これにより、通常の負荷の際には、被破砕物から動歯及びトグルプレートを介して伝達される破砕反力を、第1押圧手段の摩擦部材とスライド部材との摩擦力により受けることができる。一方、例えば固定歯と動歯との間の破砕室における異物の噛み込み等により破砕装置に過負荷が発生した場合には、動歯からトグルプレートを介してスライド部材に作用する過大な荷重によりスライド部材が第1押圧手段の摩擦部材との摩擦力に抗して前方側(トグルプレートと反対側)に摺動する。これにより、動歯が固定歯から後退して過負荷が解消される。
【0010】
本発明によれば、このような過負荷が繰り返し発生し、スライド部材が何度も摩擦力に抗して摺動した場合であっても、第1押圧手段によりスライド部材に対してほぼ一定の押圧力を与えることが可能である。これにより、第1押圧手段の摩擦部材とスライド部材との間の摩擦力をほぼ一定に保持することができる。その結果、動歯を固定歯から退避させる際の負荷荷重をばらつきなくほぼ一定にすることができるので、破砕装置の過負荷保護を長期にわたって安定して行うことができる。
【0011】
(2)本願第2発明は、上記第1の発明において、前記第1押圧手段は、油圧によりピストンを駆動させて前記摩擦部材に押圧力を与えるピストン装置を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ピストン装置に供給する圧油を一定圧力に保持することにより、このピストン装置によって摩擦部材をスライド部材に一定荷重で押しつけることが可能となる。これにより、摩擦部材とスライド部材との間の摩擦力をほぼ一定に保持することができる。
【0013】
(3)本願第3発明は、上記第2の発明において、前記ピストン装置を駆動するための圧油をほぼ一定圧力に保持するように制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【0014】
(4)本願第4発明は、上記第3の発明において、前記スライド部材はその摺動を制止させるための制動部を有し、前記摩擦部材及び前記ピストン装置を前記制動部の両側にそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0015】
これにより、第1押圧手段の摩擦部材で制動部を両側から挟むようにして押圧することができ、摩擦部材と制動部との間に安定した摩擦力を発生させることができる。
【0016】
(5)本願第5発明は、上記第1乃至第4の発明のいずれか1つにおいて、前記付勢手段は油圧シリンダであることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、破砕作業時には油圧シリンダのロッド側油圧室に一定圧の圧油を供給することにより、油圧シリンダが縮短しようとして動歯と支持部材とを所定の圧縮荷重で近接する方向へ付勢する。また、固定歯と動歯との隙間調整(セット調整)時には、第1押圧手段(又はピストン装置)の摩擦部材によるスライド部材に対する押しつけを停止してスライド部材を開放し、その状態で油圧シリンダを伸縮させることにより、固定歯と動歯との隙間を容易に調整できる。このようにして、1つの油圧シリンダで付勢手段とセット調整用のシリンダを兼ねることができる。
【0018】
(6)本願第6発明は、上記第5の発明において、前記スライド部材及び前記トグルプレートを前記動歯側に押圧する第2押圧手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
これにより、固定歯と動歯とのセット調整において油圧シリンダを伸長させて隙間を小さくする場合に、固定歯側に移動する動歯の動きに追従するようにトグルプレート及びスライド部材を移動させることができる。したがって、トグルプレートの脱落を防止することができる。
【0020】
(7)上記目的を達成するために、本願第7発明は、固定歯に対して動歯を揺動させ、これらの間に被破砕物を導入して破砕を行う破砕装置の過負荷を解消して部材を保護する自走式破砕機の過負荷保護装置において、前記破砕装置の破砕装置フレームにおける前記動歯の前方側に固定された支持部材と、この支持部材により形成された空間内を所定の方向に摺動可能なように設けたスライド部材と、先端に摩擦部材を有し、前記スライド部材を狭持するように前記スライド部材の摺動方向に対して垂直な方向から押圧力を与える第1押圧手段と、前記スライド部材と前記動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレートとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ジョークラッシャの過負荷保護を長期にわたって安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の自走式破砕機及びその過負荷保護装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の自走式破砕機の一実施形態の全体構造を表す側面図、図2はその上面図、図3は図1中左側から見た正面図である。以下の説明において、図1中の左・右を、それぞれ本破砕機における後・前又は本体フレーム長手方向の一方側・他方側とする。
【0023】
本実施形態における自走式破砕機は、例えばビル解体時に搬出されるコンクリート塊や道路補修時に排出されるアスファルト塊等の建設現場で発生する大小様々な建設廃材、産業廃棄物、若しくは岩石採掘現場や切羽で採掘される岩石・自然石等を処理対象とし、これらを上記被破砕物として受け入れ破砕処理するものである。
【0024】
図1乃至図3において、1は走行体(走行手段)で、この走行体1は、走行装置2と、この走行装置2の上部にほぼ水平に延設した本体フレーム3とで構成されている。4は走行装置2のトラックフレームで、このトラックフレーム4は、本体フレーム3の下部に連設されている。5,6はそれぞれトラックフレーム4の両端に設けた従動輪及び駆動輪、7は従動輪5及び駆動輪6に掛け回した履帯、8は駆動輪6に直結した走行用油圧モータである。
【0025】
9,10は本体フレーム3の長手方向一方側に立設した支持ポスト、11はこれら支持ポスト9,10上に設けた支持バーである。12は破砕対象となる被破砕物を受け入れるホッパで、このホッパ12は、上方に向かって拡開するように形成されており、上記支持バー11上に複数の支持部材13を介して支持されている。
【0026】
15はホッパ12の下方に位置するグリズリフィーダで、このグリズリフィーダ15は、ホッパ12とは別個にスプリング18を介して支持バー11に支持されており、ホッパ12に受け入れた被破砕物をその粒度に応じて選別しつつ後述の破砕装置20に搬送するものである。15Aはグリズリフィーダ15の本体で、このグリズリフィーダ本体15A内には、本体フレーム3の幅方向(図2中上下方向)に並設した櫛歯16を有する複数(本実施形態では2つ)のグリズリバー17が前方に向かって下る階段状に固定されている。19はグリズリフィーダ本体15Aに振動を与えるフィーダ用油圧モータで、グリズリフィーダ本体15Aは、このフィーダ用油圧モータ19により加振され、投入されたグリズリバー17上の被破砕物が前方に搬送される。
【0027】
14はグリズリバー17の櫛歯16の下方に設けたシュートで、このシュート14は、グリズリバー17の各櫛歯16間の隙間から落下する被破砕物中に含まれた細粒(いわゆるズリ)等を、後述する排出コンベア40上に導く。なお、23はオプション装備されるサイドコンベア(図示せず)の設置用スペースである(図1参照)。
【0028】
20は被破砕物を破砕する破砕装置(ジョークラッシャ)で、この破砕装置20は、ホッパ12及びグリズリフィーダ15よりも前方側に位置し、図1に示すように、本体フレーム3の長手方向中央付近に搭載されている。詳細は後の図4等に図示するが、この破砕装置20には、互いの間隙空間が下方に向かって縮径するよう対向配置した一対の固定歯71及び動歯72が設けられている。21は破砕装置用油圧モータ(図2参照)で、この破砕装置用油圧モータ21はフライホイール22(後述の図4参照)を回転駆動させる。後でも述べるが、このフライホイール22の回転運動は、動歯72の揺動運動に変換され、これにより固定歯71に対して概ね前後方向に動歯72が揺動するようになっている。なお、本実施形態では、破砕装置用油圧モータ21からフライホイール22への駆動伝達構造はベルト(図示せず)を介した構成となっているが、これに限るものではなく、例えばチェーンを介する構成等、他の構成であっても構わない。
【0029】
25は各油圧アクチュエータの動力源を内蔵した動力装置(パワーユニット)で、この動力装置25は、破砕装置20より更に前方側に位置し、支持部材26を介し本体フレーム3の長手方向他方側端部に支持されている。特に図示していないが、動力装置25内には、本破砕機の動力源となるエンジンや油圧ポンプ82,93(後述の図5参照)等が備えられている。なお、30,31はそれぞれ動力装置25に内蔵した燃料タンク及び作動油タンク(共に図示せず)の給油口、32はプレクリーナ、35は動力装置25の後方側の区画に設けた運転席、36は走行用油圧モータ8を操作するための走行用操作レバーである。
【0030】
40は破砕装置20で破砕した破砕物等を搬送し機外に排出する排出コンベアで、この排出コンベア40は、破砕装置20の下方位置から搬送方向下流側(前方側)に向かって斜めに立ち上がるよう、支持部材41,42等を介し、動力装置25に取り付けたアーム部材43や本体フレーム3から吊り下げ支持されている。45は排出コンベア40のコンベアフレーム、46,47はコンベアフレーム45の両端に設けた従動輪(アイドラ)及び駆動輪、48は駆動輪47に直結した排出コンベア用油圧モータ(図2参照)である。50は従動輪46及び駆動輪47に巻回した搬送ベルトで、この搬送ベルト50は、排出コンベア用油圧モータ48によって駆動輪47が回転駆動されることで循環駆動される。
【0031】
55は排出する破砕物中の鉄筋等といった異物(磁性物)を除去する磁選機で、この磁選機55は、支持部材56を介し上記アーム部材43に吊り下げ支持されている。磁選機55は、その駆動輪57及び従動輪58に巻回した磁選機ベルト59が排出コンベア40に対しほぼ直交するよう配置されている。60は駆動輪57に直結した磁選機用油圧モータである。磁選機ベルト59の循環軌跡の内側には、図示しない磁力発生手段が設けられており、搬送ベルト50上の鉄筋等の異物は、磁選機ベルト59越しに作用する磁力発生手段からの磁力により磁選機ベルト59に吸着され、排出コンベア40の側方に搬送され落下する。
【0032】
図4は破砕装置20の内部構造を一部断面で示す側面図である。
この図4において、61は破砕装置20の破砕装置フレームで、この破砕装置フレーム61は本体フレーム3上の幅方向両側に一対固定または搭載されている。これら両破砕装置フレーム61,61の間に固定歯71が固定して設置され、この固定歯71に対向するように動歯72が破砕装置フレーム61に回動自在に設けられた偏心駆動軸62によって揺動自在に取り付けられている。このとき、固定歯71と動歯72とにより形成される空間が破砕室63であり、被破砕物はこの破砕室63の下側における固定歯71と動歯72との隙間により規定される所定の大きさに噛み砕くようにして破砕される。
【0033】
動歯72の前方側(図4中右側)には、例えば破砕室63で異物の噛み込み等が起こり過負荷が生じた場合に、後述のトグルプレート70等の部材を過大な荷重から保護する過負荷保護装置79が設置されている。この過負荷保護装置79は、両破砕装置フレーム61,61の間に固設された支持部材64と、この支持部材64の後方側(図4中左側)に設けられたガイド部材65と、上記支持部材64により形成された空間内にガイド部材65のガイド方向に沿って摺動可能に設けられた摺動部材(スライド部材)66と、この摺動部材66の前方側(図4中右側)に一体的に連設され、支持部材64に対して摺動部材66と共に摺動可能な略板状の制動板(スライド部材、制動部)67と、この制動板67を狭持するように制動板67(及び摺動部材66)の摺動方向に対して略垂直な方向から押圧力を与える摩擦板(第1押圧手段、摩擦部材)68と、この摩擦板68を制動板67に対して所定の荷重で押しつける制動ピストン(第1押圧手段、ピストン装置)69と、両端を動歯72の下側前方に設けたトグルシート73及び上記摺動部材66に設けたトグルシート74により挟持され、破砕作業中に動歯72が被破砕物から受ける破砕反力を摺動部材66に伝達するトグルプレー70と、このトグルプレート70、摺動部材66及び制動板67を動歯72側に適宜の荷重で押圧するエアシリンダ(第2押圧手段)76とを備えている。なお、ここでは制動板67等を動歯72側に押圧する押圧手段としてエアシリンダ76を用いているが、その代わりにばね等を用いて押圧してもよい。また、必ずしもこの押圧手段を設ける必要はなく、省略してもよい。
【0034】
75はトグルプレート70の脱落を防止するべく過負荷保護装置79の下方に設けられた油圧シリンダ(付勢手段)であり、この油圧シリンダ75によって破砕作業時には動歯72と支持部材64とが適宜の圧縮荷重で近接する方向に付勢される(詳細は後述)。また、セット調整時にはこの油圧シリンダ75が伸縮することにより固定歯71と動歯72との隙間が調整される(詳細は後述)。
【0035】
上記の制動ピストン69は、油供給口77より油圧室78に圧油が供給されることにより摩擦板68を制動板67に対して押しつけ、摺動部材66の摺動を制動(ロック)する。この制動ピストン69を駆動する油圧駆動装置を上記油圧シリンダ75を駆動する油圧駆動装置と共に以下に説明する。
【0036】
図5は本実施形態の自走式破砕機に備えられる油圧駆動装置のうち、制動ピストン69及び油圧シリンダ75の駆動に係わる部分を抽出して示す油圧回路図である。
【0037】
この図5において、第1切換弁80は、摺動部材66の摺動動作のロック・アンロックを切り換える切換弁である。すなわち、コントローラ81からの指令信号により第1切換弁80がロック位置80Aに切り換えられた場合には、第1油圧ポンプ82から吐出された圧油が第1切換弁80のロック位置80A及び管路83を介して支持部材64に設けた油圧室78に導かれる。これにより、制動ピストン69が摩擦板68を制動板67に対して押しつけ、摺動部材66の摺動動作が制動される(すなわちロック状態となる)。
【0038】
一方、コントローラ81からの指令信号により第1切換弁80がアンロック位置80Bに切り換えられた場合には、上記管路83とタンク84とが連通されて油圧室78内の圧力がタンク圧と等しくなり、制動ピストン69による摩擦板68の制動板67に対する押しつけ力が開放されて、摺動部材66の摺動動作が許容される(すなわちアンロック状態になる)。
【0039】
他方、コントローラ81からの指令信号が第1切換弁80に出力されない場合には、第1切換弁80は両端のばねの付勢力により中立位置80Cに復帰され、油圧室78及び管路83内の圧油が封入される。この管路83とタンク84との間には、摺動部材66のロックを任意的に開放可能とする開閉弁85、及び油圧室78及び管路83内のリリーフ圧を設定するリリーフ弁86が設けられている。また、管路83にはアキュムレータ87及び油圧室78及び管路83内の圧力を検出するための圧力センサ88が設けられている。この圧力センサ88で検出された圧力値はコントローラ81に出力されるようになっており、コントローラ81はその検出値に応じて第1油圧ポンプ82駆動用の第1モータ89に指令信号を出力し、第1油圧ポンプ82を適宜の間駆動して油圧室78及び管路83内の圧力をほぼ一定に保持するようになっている。
【0040】
図6はこのコントローラ81によって行われる油圧室78及び管路83内の圧力一定保持制御に係わる制御内容を表すフローチャートである。
【0041】
この図6において、まずステップ10では、圧力センサ88によって検出された油圧室78及び管路83内の圧力Pを入力する。
【0042】
次のステップ20では、上記ステップ10で入力した圧力PがPo−X以下であるかどうかを判定する。ここで、Poは油圧室78の設定圧力、Xはこの分圧力が低下しても設定圧力Poとほぼ同等とみなせる許容値(圧力低下の許容範囲)であり、例えばコントローラ81に予め記憶(又は適宜の外部端末により設定入力してもよい)されている。なお、設定圧力Poは、油圧室78内の圧力がこの設定圧Poであるときに制動板67と摩擦板68との間に発生する摩擦力が、トグルプレート70の座屈荷重より小さくなるように設定されている。圧力PがPo−Xより大きい場合には判定が満たされず、ステップ10に戻る。一方、圧力PがPo−X以下である場合には判定が満たされ、次のステップ30に移る。
【0043】
ステップ30では、圧力PがPo−X以下である状態が時間T継続したかどうかを判定する。ここで、時間Tは、圧力PがPo−X以下である状態がこの時間T以上継続した場合には油圧室78及び管路83内の圧力が低下したとみなせるように定められた時間であり、例えばコントローラ81に予め記憶(又は適宜の外部端末により設定入力してもよい)されている。この判定により、例えば破砕時の衝撃による瞬間的な圧力変動により第1油圧ポンプ82が誤駆動されるのを防止できる。判定が満たされない場合には、ステップ10に戻る。一方、判定が満たされた場合には次のステップ40に移る。
【0044】
ステップ40では、第1モータ89に指令信号を出力して第1油圧ポンプ82を駆動すると共に、第1切換弁80に指令信号を出力してロック位置80Aに切り換え、第1油圧ポンプ82から吐出された圧油を管路83及び油圧室78に導入する。
【0045】
次のステップ50では、圧力センサ88によって検出された油圧室78及び管路83内の圧力Pを再び入力する。
【0046】
次のステップ60では、上記ステップ50で入力した圧力Pが設定圧力Po以上であるかどうかを判定する。圧力Pが設定圧力Poに達していない場合には、判定が満たされずにステップ50に戻る。圧力Pが設定圧力Poに達した場合には、判定が満たされて次のステップ70に移る。
【0047】
次のステップ70では、第1モータ89に指令信号を出力して第1油圧ポンプ82を停止すると共に、第1切換弁80への指令信号をOFFとして中立位置80Cに復帰させ、油圧室78及び管路83内の圧油を封入する。その後、ステップ10に戻る。
【0048】
以上のような制御フローがコントローラ81によって実行されることにより、油圧室78及び管路83内の圧力をほぼ一定に保持することができるようになっている。
【0049】
図5に戻り、次に、油圧シリンダ75を駆動する油圧回路を説明する。
第2切換弁90は、油圧シリンダ75の伸縮方向及び伸縮量を制御するための切換弁である。すなわち、固定歯71と動歯72とのセット調整において、例えば隙間を小さくする場合には、コントローラ81からの指令信号により第2切換弁90が伸長位置90Aに切り換えられると共に、第3切換弁91が連通位置91Aに、第4切換弁92が遮断位置92Aに切り換えられ、第2油圧ポンプ93から吐出された圧油が第3切換弁91の連通位置91A及び第2切換弁90の伸長位置90Aを介し、管路95を経て油圧シリンダ75のヘッド側油圧室(図示せず)に導かれる。これにより、油圧シリンダ75が伸長し、動歯72が固定歯方向に移動して固定歯71と動歯72との隙間が小さくなる。
【0050】
一方、隙間を大きくする場合には、コントローラ81からの指令信号により第2切換弁90が縮短位置90Bに切り換えられ(第3切換弁91及び第4切換弁92は上記と同様の切換位置である)、第2油圧ポンプ93からの圧油が第2切換弁90の縮短位置90Bを介し、管路96を経て油圧シリンダ75のロッド側油圧室(図示せず)に導かれる。これにより、油圧シリンダ75が縮短し、動歯72が固定歯と反対方向に移動して固定歯71と動歯72との隙間が大きくなる。なお、以上の油圧シリンダ75の伸縮動作は摺動部材66をアンロック状態とした上で行われる。
【0051】
また、破砕作業時には、コントローラ81から第2切換弁90への指令信号がOFFとなり第2切換弁90がばねの付勢力により中立位置90Cに復帰されると共に、第3切換弁91が遮断位置91Bに、第4切換弁92が連通位置92Bに復帰され、ロッド側油圧室、管路96及びこの管路96と第4切換弁92の連通位置92Bを介して接続される管路97内に圧油が封入される(図5に示す状態)。この管路97とタンク84との間には、封入圧を任意的に開放可能な開閉弁98、及びロッド側油圧室及び管路96,97内のリリーフ圧を設定するリリーフ弁99が設けられている。また、管路97にはアキュムレータ100及びロッド側油圧室及び管路96,97内の圧力を検出するための圧力センサ101が設けられている。この圧力センサ101で検出された圧力値は、前記の圧力センサ88と同様にコントローラ81に出力されるようになっており、前述した油圧室78及び管路83内の圧力一定保持制御と同様にして、コントローラ81によってこのロッド側油圧室及び管路96,97内の圧力もほぼ一定に保持されるようになっている。なお、この制御については前述の図6に示すフローチャートと同様であるので、説明を省略する。
【0052】
以上において、摺動部材66と制動板67とが特許請求の範囲各項記載の支持部材に所定の方向に摺動可能なように設けたスライド部材を構成し、摩擦板68と制動ピストン69とが特許請求の範囲各項記載のスライド部材の摺動方向に対して垂直な方向から押圧力を与える第1押圧手段を構成する。
【0053】
次に、上記構成の本発明の自走式破砕機及びその過負荷保護装置の一実施形態の動作を以下に説明する。
破砕作業を行う前に、所望の粒度の破砕物を得るために、まず固定歯71と動歯72との隙間調整(セット調整)を行う。まず、図7に示すように、コントローラ81からの指令信号により第1切換弁80がアンロック位置80Bに切り換えられ、制動ピストン69による摩擦板68の制動板67に対する押しつけ力が開放される。これにより、摺動部材66がアンロック状態になる。
【0054】
この状態で、セット調整を行う。例えば隙間を小さくする場合には、図8に示すように、コントローラ81からの指令信号により第2切換弁90が伸長位置90Aに切り換えられると共に、第3切換弁91が連通位置91Aに、第4切換弁92が遮断位置92Aに切り換えられ、第2油圧ポンプ93からの圧油が管路95を経て油圧シリンダ75のヘッド側油圧室に導かれる。これにより、油圧シリンダ75が伸長し、動歯72が固定歯方向(図8中矢印方向)に移動して固定歯71と動歯72との隙間が小さくなる。なおこのとき、前述したようにエアシリンダ76によりトグルプレート70、摺動部材66及び制動板67を動歯72側に付勢しているため、このように動歯72を固定歯方向に移動する場合におけるトグルプレート70の脱落防止が図られている。
【0055】
反対に、例えば隙間を大きくする場合には、図9に示すように、コントローラ81からの指令信号により第2切換弁90が縮短位置90Bに切り換えられ(第3切換弁91及び第4切換弁92については上記と同様の切換位置である)、第2油圧ポンプ93からの圧油が管路96を経て油圧シリンダ75のロッド側油圧室(図示せず)に導かれる。これにより、油圧シリンダ75が縮短し、動歯72が固定歯と反対方向(図9中矢印方向)に移動して固定歯71と動歯72との隙間が大きくなる。
【0056】
このようにしてセット調整を終了したら、次に、コントローラ81からの指令信号により第1切換弁80がロック位置80Aに切り換えられ、第1油圧ポンプ82からの圧油が管路83を介して油圧室78に導かれる。これにより、制動ピストン69が摩擦板68を制動板67に対して押しつけ、摺動部材66の摺動動作がロックされる。そして、図5に示すように、コントローラ81からの指令信号がOFFとなって第1切換弁80が中立位置80Cに復帰され、油圧室78及び管路83内の圧油が上記摺動部材66をロックしたときの圧力(すなわち前記の設定圧力Po)で封入される。
【0057】
また、図5に示すように、コントローラ81から第2切換弁90への指令信号がOFFとなり、第2切換弁90が中立位置90Cに切り換えられると共に、第3切換弁91及び第4切換弁92への指令信号もOFFとなってそれぞれが遮断位置91B及び連通位置92Bに復帰され、ロッド側油圧室及び管路96,97内の圧油が適宜の圧力で封入される。これにより、油圧シリンダ75に縮短しようとする力が働き、動歯72と支持部材64とが適宜の圧縮荷重で近接する方向に付勢される。
【0058】
このような状態として、破砕作業を行う。すなわち、油圧ショベル等によりホッパ12に被破砕物を投入すると、投入された被破砕物はグリズリフィーダ15に導入され、振動により破砕装置20に向かって搬送される。その際、グリズリバー17の各櫛歯16間の隙間よりも小さな細粒(ズリ等)は、その隙間から排出コンベア用シュート14を介して排出コンベア40上に導かれ、それより大きな被破砕物(大塊)が破砕装置20へと搬送される。破砕装置20に導入された被破砕物は、固定歯71と動歯72との出口隙間に応じた所定の粒度に破砕処理され下方の排出コンベア40上に導入される。排出コンベア40上に導かれた破砕物は、グリズリフィーダ15で選別され排出コンベア用シュート14を介して導かれた細粒と合流して前方(図1中右側)に搬送され、その途中で磁選機55により鉄筋等の異物を吸着除去された上で機外に排出される。
【0059】
上記破砕作業中においては、動歯72が被破砕物より受ける破砕反力がトグルプレート70を介して摺動部材66に伝達される。このとき、通常の負荷である場合には、伝達された反力はピストン69の押圧力により摺動動作をロックされた摺動部材66によって受けられる。一方、例えば破砕室63における異物噛み込み等により過負荷が発生し、過大な負荷荷重が摺動部材66に作用した場合には、摺動部材66の制動板67が摩擦板68との摩擦力に抗して滑り、摺動部材66が前方側に摺動する。これにより、トグルプレート70を介して動歯72が前方側に移動して固定歯71から退避し、過負荷が解消される。なお、前述したように制動板67と摩擦板68との間に発生する摩擦力はトグルプレート70の座屈荷重より小さい値に設定されているので、このように過負荷が発生してもトグルプレート70等の部材を損傷から保護することができる。
【0060】
以上のようにして破砕作業を行ううちに、例えば油圧室78及び管路83内に封入された圧油の漏れ等により、この油圧室78及び管路83内の圧力が低下した場合には、その圧力低下が圧力センサ88で検出され、コントローラ81の制御により第1油圧ポンプ82が駆動されると共に第1切換弁80がロック位置80Aに切り換えられ、油圧室78及び管路83内の圧力が設定圧力Poにまで高められる。そして、第1切換弁80が中立位置80Cに復帰され、設定圧力Poにまで高められた圧油は再び封入される。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような種々の効果が得られる。以下、その項目ごとに説明する。
【0062】
(1)破砕装置の過負荷保護の長期安定化
本実施形態によれば、以上説明してきたように油圧室78に供給される圧油を自動的にほぼ一定圧力に制御することができるので、制動ピストン69による摩擦板68の制動板67に対する押圧力を長期的にほぼ一定に保持することが可能である。これにより、たとえ過負荷が繰り返し発生し、摺動部材66が何度も摩擦力に抗して摺動した場合であっても、制動板67と摩擦板68との間に作用する摩擦力をほぼ一定に保持することができる。その結果、動歯72を固定歯71から退避させる際の負荷荷重をばらつきなくほぼ一定にすることができるので、破砕装置20の過負荷保護を長期にわたって安定して行うことができる。
【0063】
(2)設定摩擦力の精度向上
本実施形態では、前述したように圧力センサ88で油圧室78及び管路83内の圧力を検出し、その検出圧に応じてコントローラ81により油圧室78及び管路83内の圧力が一定となるように制御するので、保持圧力を高精度に設定することができる。これにより、制動ピストン69による押圧力を精度よく設定することが可能であるので、制動板67と摩擦板68との間に働く摩擦力を高精度に設定することができる。
【0064】
(3)過負荷保護装置の小型化
本実施形態では、ストロークの小さい制動ピストン69を用いて制動板67を押さえ込む構造とすることにより、例えばシリンダ等を用いて制動板67を押圧する構造に比べてストローク方向の寸法(本実施形態では上下方向寸法)を大幅に減少させることができる。したがって、過負荷保護装置79を小型化することができる。
【0065】
(4)メンテナンス作業の手間軽減及びコスト低減効果
例えば、機械的摩擦力により軸方向の荷重を受ける構造であるロックシリンダを用いて動歯側からの荷重を受ける前述の従来技術のような構造のジョークラッシャの場合、劣化等によりシリンダとロッド(又はピストン)との間に働く摩擦力が低下した場合には、ロックシリンダごと交換する必要がある。このロックシリンダは一般に大型で且つコストも高いため、交換作業には手間がかかると共にそのコストも増大する。
【0066】
これに対し、本実施形態によれば、制動板67を摩擦板69で挟みこんで摺動部材66を制動させる構造であるので、摩耗等により主に劣化するのは摩擦板69であり、メンテナンス時には主としてこの摩擦板69を交換すれば足りる。したがって、交換作業の手間が軽減され、またコストも大幅に低減することができる。
【0067】
(5)固定歯と動歯とのセット調整代の増大効果
本実施形態では、動歯72と支持部材64とを近接する方向に付勢する付勢手段として油圧シリンダ75を用い、さらにこの油圧シリンダ75を用いてセット調整を行う構造としている。その結果、例えばこの付勢手段としてばね構造のテンション機構を用い、セット調整用に別途独立したシリンダを装備した構造に比べ、そのセット調整用のシリンダを不要とできる分、破砕装置の小型化及びコスト低減を図ることができる。また、例えばセット調整用シリンダによりトグルプレートを介して動歯を移動させる構造と比べて、本実施形態の構造では油圧シリンダ75のストロークがそのまま固定歯71と動歯72とのセット調整代となるので、セット調整代を拡大することができる。
【0068】
なお、以上の実施形態では、摩擦板68を制動板67に押しつける押圧手段として油圧により駆動される制動ピストン69を用いたが、これに限らず、油圧シリンダを用いてもよいし、例えば操作者が手動で操作する手動ジャッキ等を用いてもよい。すなわち、摩擦板68を長期的にほぼ一定の荷重で押圧できるものであればよい。
【0069】
また、以上の実施形態では、油圧ポンプ82,93の駆動源をモータとしたが、これに限らず、自走式破砕機のエンジンの駆動力を利用して駆動する構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の自走式破砕機の一実施形態の全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の自走式破砕機の一実施形態の全体構造を表す上面図である。
【図3】本発明の自走式破砕機の一実施形態の全体構造を表す正面図である。
【図4】本発明の自走式破砕機の一実施形態に搭載される破砕装置の内部構造を一部断面で示す側面図である。
【図5】本発明の自走式破砕機の一実施形態に備えられる油圧駆動装置のうち、制動ピストン及び油圧シリンダの駆動に係わる部分を抽出して示す油圧回路図である。
【図6】本発明の自走式破砕機の一実施形態に備えられるコントローラによって行われる油圧室及び管路内の圧力一定保持制御に係わる制御内容を表すフローチャートである。
【図7】スライド部材のロックを解除した状態における、制動ピストン及び油圧シリンダの駆動に係わる部分の油圧回路図である。
【図8】固定歯と動歯との隙間を小さくする場合における、制動ピストン及び油圧シリンダの駆動に係わる部分の油圧回路図である。
【図9】固定歯と動歯との隙間を大きくする場合における、制動ピストン及び油圧シリンダの駆動に係わる部分の油圧回路図である。
【符号の説明】
【0071】
1 走行体(走行手段)
3 本体フレーム
12 ホッパ
20 破砕装置
40 排出コンベア
61 破砕装置フレーム
62 偏心軸
64 支持部材
66 摺動部材(スライド部材)
67 制動板(制動部、スライド部材)
68 摩擦板(摩擦部材、第1押圧手段)
69 制動ピストン(ピストン装置、第1押圧手段)
70 トグルプレート
71 固定歯
72 動歯
75 油圧シリンダ(付勢手段)
76 エアシリンダ(第2押圧手段)
79 過負荷保護装置
81 コントローラ(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、
この本体フレームに設けた走行手段と、
前記本体フレーム上に設けられ被破砕物を受け入れるホッパと、
前記本体フレーム上に設けられ、破砕装置フレーム、この破砕装置フレームに固定された固定歯、この固定歯に対向配置され、偏心軸により前記破砕装置フレームに揺動可能に支持された動歯、前記破砕装置フレームにおける前記動歯の前方側に固定された支持部材、この支持部材により形成された空間内を所定の方向に摺動可能なように設けたスライド部材、先端に摩擦部材を有し、前記スライド部材を狭持するように前記スライド部材の摺動方向に対して垂直な方向から押圧力を与える第1押圧手段、前記スライド部材と前記動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレート、及び前記動歯と前記支持部材とを近接する方向へ付勢する付勢手段を有し、前記ホッパで受け入れた被破砕物の破砕を行う破砕装置と、
この破砕装置で破砕した破砕物を機外へ搬送する排出コンベアと
を備えたことを特徴とする自走式破砕機。
【請求項2】
前記第1押圧手段は、油圧によりピストンを駆動させて前記摩擦部材に押圧力を与えるピストン装置を有することを特徴とする請求項1記載の自走式破砕機。
【請求項3】
前記ピストン装置を駆動するための圧油をほぼ一定圧力に保持するように制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項2記載の自走式破砕機。
【請求項4】
前記スライド部材はその摺動を制止させるための制動部を有し、前記摩擦部材及び前記ピストン装置を前記制動部の両側にそれぞれ配置したことを特徴とする請求項3記載の自走式破砕機。
【請求項5】
前記付勢手段は油圧シリンダであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自走式破砕機。
【請求項6】
前記スライド部材及び前記トグルプレートを前記動歯側に押圧する第2押圧手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の自走式破砕機。
【請求項7】
固定歯に対して動歯を揺動させ、これらの間に被破砕物を導入して破砕を行う破砕装置の過負荷を解消して部材を保護する自走式破砕機の過負荷保護装置において、
前記破砕装置の破砕装置フレームにおける前記動歯の前方側に固定された支持部材と、
この支持部材により形成された空間内を所定の方向に摺動可能なように設けたスライド部材と、
先端に摩擦部材を有し、前記スライド部材を狭持するように前記スライド部材の摺動方向に対して垂直な方向から押圧力を与える第1押圧手段と、
前記スライド部材と前記動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレートと
を備えたことを特徴とする自走式破砕機の過負荷保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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