自走搬送車システム
【課題】電気二重層キャパシタの使用数量を減らすことができ、かつ、電力不足によって自走搬送車が停止してしまうような事態を避けることが可能な自走搬送車システムを提供にする。
【解決手段】自走搬送車300対して電力を供給する給電ステーション200とからなる自走搬送車システムであって、キャパシタ蓄電電源320と、走行のための駆動源となる動力部330と、前記キャパシタ蓄電電源320から前記動力部330に放電を行う放電制御部311と、を有する自走搬送車300と、前記キャパシタ蓄電電源320に充電を行う充電制御部220を有する給電ステーション200と、からなり、前記キャパシタ蓄電電源320には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、前記自走搬送車300が所定仕事量以上の仕事量を行うと判断されたときには、前記充電制御部220は前記キャパシタ蓄電電源320を前記尖頭電圧まで充電する。
【解決手段】自走搬送車300対して電力を供給する給電ステーション200とからなる自走搬送車システムであって、キャパシタ蓄電電源320と、走行のための駆動源となる動力部330と、前記キャパシタ蓄電電源320から前記動力部330に放電を行う放電制御部311と、を有する自走搬送車300と、前記キャパシタ蓄電電源320に充電を行う充電制御部220を有する給電ステーション200と、からなり、前記キャパシタ蓄電電源320には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、前記自走搬送車300が所定仕事量以上の仕事量を行うと判断されたときには、前記充電制御部220は前記キャパシタ蓄電電源320を前記尖頭電圧まで充電する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場や倉庫などで物品の搬送に用いられる自走搬送車システムに関し、さらに詳しく言えば、自走搬送車(AGV)に搭載される電気二重層キャパシタなどを利用したキャパシタ蓄電電源に適切な給電を行うことができる自走搬送車システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動化や省力化を目的として、工場や倉庫などで物品の搬送に用いられ無人で運行される自走搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)は、走行用電動モータの動力部およびこの動力部の電力源としての蓄電部を搭載し、工場や倉庫などの床面に粘着された誘導テープなどによる誘導ラインに沿って、種々の走行経路を自動走行するように制御される。このような
従来、自走搬送車(AGV)では、蓄電部としてバッテリが用いられ、バッテリに対する充電の必要が生じた場合や、運行管理ステーションからの物品の搬送要求が無い場合に、走行経路の内側等に設けられた充電ステーションを目的地として移動し、充電ステーションにおいて、充電器と接続されてバッテリが充電される。
【0003】
このような自走搬送車(AGV)に搭載されるバッテリとしては、従来では鉛バッテリが用いられていた。しかしながら、鉛バッテリでは、充電に要する時間が長く、またこのためバッテリを充電するための充電設備が多数必要となり、また寿命が比較的短い関係上バッテリを頻繁に交換する必要があるなどの問題があった。このようなバッテリ搭載型の自走搬送車(AGV)のシステムについては、特許文献1(特開2006−48365号公報)に開示されたものなどがある。
【0004】
ところで上記のような問題があるために、近年では、鉛バッテリに代わって、給電ステーションにおいて短時間の急速充電が可能で、長寿命で保守を必要としない電気二重層キャパシタなどのキャパシタを自走搬送車(AGV)の蓄電部として用いることが提案されている。電気二重層キャパシタは、鉛バッテリに比べて急速な充放電が可能であるとともに、サイクル寿命がはるかに長いため、近年その用途が拡大している。
【特許文献1】特開2006−48365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自走搬送車(AGV)の蓄電部として、電気二重層キャパシタを用いただけでは、電気二重層キャパシタを効率的に利用しているとは言い難い。すなわち、自走搬送車(AGV)においては積載物用のスペースを十分に確保する必要があり、そのために、蓄電部の小型化が求められており、これに伴い、蓄電部として電気二重層キャパシタを実装する場合には、キャパシタが占めるスペースをなるべく狭くする必要があるが、従来のものはこのようなことが考慮されていない。上記のようにキャパシタのスペース効率を向上させたい一方で、給電ステーション外の走行経路において、電力不足によって自走搬送車(AGV)が停止してしまうような事態は避けなくてはならない。
【0006】
この発明は、自走搬送車(AGV)を用いた自走搬送車システムにおいて、電気二重層キャパシタなどを利用したキャパシタ電源の利用可能な実エネルギー密度を高め、もってキャパシタ電源のスペースパフォーマンスの向上を図ると共に、自走搬送車(AGV)の予測される負荷に合わせてキャパシタ電源を効率よく充電し、キャパシタを無駄なく効率的に利用できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記のような種々の課題を解決するものであって、そのために請求項1に係る発明は、自走搬送車と、前記自走搬送車に対して電力を供給する給電ステーションとからなる自走搬送車システムであって、キャパシタ蓄電電源と、走行のための駆動源となる動力部と、前記キャパシタ蓄電電源から前記動力部に放電を行う放電制御部と、を有する自走搬送車と、前記自走搬送車の前記キャパシタ蓄電電源に充電を行う充電制御部を有する給電ステーションと、からなり、前記キャパシタ蓄電電源には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、前記自走搬送車が所定仕事量以上の仕事量を行うと判断されたときには、前記充電制御部は前記キャパシタ蓄電電源を前記尖頭電圧まで充電することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、自走搬送車と、前記自走搬送車に対して電力を供給する給電ステーションとからなる自走搬送車システムであって、キャパシタ蓄電電源と、走行のための駆動源となる動力部と、前記キャパシタ蓄電電源から前記動力部に放電を行う放電制御部と、を有する自走搬送車と、前記自走搬送車の前記キャパシタ蓄電電源に充電を行う充電制御部を有する給電ステーションと、からなり、前記キャパシタ蓄電電源には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、前記自走搬送車が次の給電ステーション到達までに、システムが停止されると判断されたときには、前記充電制御部は前記キャパシタ蓄電電源を前記尖頭電圧まで充電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自走搬送車システムによれば、自走搬送車の蓄電部であるキャパシタ蓄電電源を構成する電気二重層キャパシタなどの使用数量を減らすことができ、より蓄電密度、エネルギー密度を高め、自走搬送車の蓄電部スペースのコンパクト化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の自走搬送車システムによれば、電気二重層キャパシタなどの使用数量が削減されたキャパシタ蓄電電源を用いても、自走搬送車(AGV)の予測される負荷などに合わせて、待機電圧より高い尖頭電圧まで充電することによって、給電ステーション外の走行経路において、電力不足によって自走搬送車(AGV)が停止してしまうような事態を避けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムのブロック構成例を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの走行経路レイアウト例を示す図であり、図3は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける給電ステーションによる自走搬送車の給電状況を説明する図である。
【0012】
本実施形態に係る自走搬送車システムの構成例を図1乃至図3に基づいて説明するが、本発明の自走搬送車システムにおける給電ステーションの設置数や、自走搬送車の台数などがこれに限定されるものではない。また、本実施形態では、ホストコントローラを用いて、中央で制御を管理する方式について説明するが、このような方式によらず、各給電ステーションや各自走搬送車においてシーケンスの管理などを行うように構成することも可能である。
【0013】
図1乃至図3において、10は搬送経路、20は商用電源、100はホストコントローラ、110は管理データ記憶部、120は通信部、200、200A、200B、200C、200Dは給電ステーション、210は主制御部、220は充電制御回路、221は計時部、250は電気接続部、251は第1端子、252は第2端子、253は第3端子
、300、300A、300B、300Cは自走搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)、310は主制御部、311は放電制御部、320はキャパシタ蓄電電源、321はキャパシタモニタ部、330は動力部、340は通信部、350は電気接続部、351は第1端子、352は第2端子、353は第3端子をそれぞれ示している。
【0014】
本実施形態の自走搬送車システムにおける運行管理は、図1に示す管理データ記憶部110に記憶されている管理データに基づいて、ホストコントローラ100が行うようになっている。本実施形態は、3台の自走搬送車300A、300B、300Cが、搬送経路10上を走行するものであり、これらの自走搬送車300A、300B、300Cは、通信部120から無線によって送信されるホストコントローラ100からの指令信号を受信し、これに基づき走行・停止を繰り返す。
【0015】
また、本実施形態では、搬送経路10中に4台の給電ステーション200A、200B、200C、200Dが設けられており、いずれの給電ステーションも自走搬送車300A、300B、300Cに対して給電を行うことができるようになっている。
【0016】
なお、本実施形態では、給電ステーション200A、200B、200C、200Dと自走搬送車の積載物の積み卸しを行う移載ステーションとが同一箇所に設けられているものである。この移載ステーションの詳細については図示省略している。したがって、本実施形態では、給電ステーション200A、200B、200C、200Dにおいて、自走搬送車が停止し給電しつつ、物品の積み卸しを行うことが想定されている。
【0017】
また、自走搬送車300A、300B、300Cのそれぞれには、積載物の積み卸しを行うためのクレーンなどを設けることも可能であるが、このような構成についても図示省略してある。ここでは、簡単のために自走搬送車のキャパシタ蓄電電源からは主として自走搬送車の走行のための電力が供給されるものとしている。各自走搬送車に設けられるクレーンを、キャパシタ蓄電電源からの給電で動作させるような場合には、その動作をさせるための電力量分も考慮するようにすればよい。
【0018】
自走搬送車300A、300B、300Cのそれぞれには、固有のID(ここでは、それぞれのIDはAGV001、AGV002、AGV003であるとする)が設けられており、ホストコントローラ100やステーションはこれらIDを識別することによって、それぞれへの制御や給電などを行うようにしている。
【0019】
次に、図3を参照しつつ、給電ステーション200から自走搬送車300への給電についてより詳細に説明する。ステーションにて給電を行うときにおいては、給電ステーション200の電気接続部250と、自走搬送車300の電気接続部350とが電気接続することによって給電を行う。電気接続部250の第1端子251及び第2端子252は、電気接続部350の第1端子251及び第2端子252は、電力給電用途の電気接続部であり、第3端子253及び第3端子353は制御信号の送受のための電気接続部である。当該制御信号の送受については、図中に示されるような信号や検出値などのやりとりがその内容である。
【0020】
上記のようにそれぞれの電気接続部が導通することによって、商用電源20から供給される交流電力は、充電制御部220によって整流され、自走搬送車300の蓄電部であるキャパシタ蓄電電源320に給電されるようになっている。主制御部210はホストコントローラ100から送信される信号や、自走搬送車(AGV)300側から送信される信号に基づいて、充電制御部220を制御することによって、キャパシタ蓄電電源320をシチュエーションに応じた最適な状態に充電することができるようになっている。また、
充電制御回路220は、現在時刻を計時する計時部221を備えており、制御動作に供している。また、充電制御回路220は、キャパシタ蓄電電源320の充電が完了した際には、自走搬送車(AGV)300側の主制御部310に対して充電完了信号を送信する。
【0021】
自走搬送車(AGV)300におけるキャパシタ蓄電電源320は、複数個のキャパシタを直並列に接続することによって、主負荷である動力部330の要求に応じた定格容量の構成とし、充電して蓄電し動力部330に給電するものである。また、キャパシタ蓄電電源320は、例えば電気二重層キャパシタ、又は電気二重層キャパシタの一種であるナノゲートキャパシタ、又はこれらキャパシタを任意に組み合わせて構成したものなどを用いて構成するものであり、短時間の大電流放電、大電力の供給を可能にするものである。充電制御回路220は、商用電源20を電源として、これらの電源からキャパシタ蓄電電源320を充電する回路であり、放電制御部311は、動力部330に対する給電要求に応じて、キャパシタ蓄電電源320から蓄電された電力を放電するものである。
【0022】
キャパシタモニタ部321はキャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vc、温度などのキ
ャパシタの状態を検出して、主制御部310に送信する。
【0023】
主制御部310は、動力部330の運転開始や給電要求の指令信号が通信部340を介してホストコントローラ100から入力され、放電制御部311を制御することによって、動力部330の動作状態を変更し、自走搬送車300の走行をコントロールする。
【0024】
主制御部310は、キャパシタモニタ部321でモニタされたキャパシタ状態を示す各検出信号を、第3端子を介して給電ステーション200側の主制御部210に送信する。また、主制御部310は不図示の記憶手段に格納される自車両のID情報を第3端子を介して給電ステーション200側の主制御部210に送信する。
【0025】
主制御部310は、キャパシタ蓄電電源320、動力部330の構成、要求される制御の内容によって、適宜キャパシタ蓄電電源320の充放電電流、充電電圧、温度などの検出信号、動力部330の端子電圧、負荷電流(放電電流)などの検出信号、その他制御に必要な検出信号を入力する。これによって、例えば、キャパシタ蓄電電源320を構成する複数個の電気二重層キャパシタのバンク切換などを行いつつ、キャパシタ蓄電電源320の充電放電制御を行う。このようなキャパシタ蓄電電源320の制御には従来周知の方法を適宜用いることができる。
【0026】
本実施形態において特筆すべきであることは、待機電圧Vchと、それより高い尖頭電圧Vcpとを設定して、自走搬送車300の将来の状態を予測、判断した上で、給電ステーション200側の充電制御回路220はキャパシタ蓄電電源320を尖頭電圧Vcpまで充電したりするものである。
【0027】
次に、本実施形態の自走搬送車システムにおいて、キャパシタ蓄電電源320の充電制御を行うために、ホストコントローラ100が参照する管理データ記憶部110の記憶データについて説明する。図4は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの管理データ記憶部が記憶するデータ構造例を示す図である。なお管理データ記憶部110の記憶データは、自走搬送車の運行管理全般に係る記憶データが含まれるものであるが、図4に示す管理データ記憶部110の記憶データは、キャパシタ蓄電電源320の充電制御を行うためのもののみに限定されて示めしている。
【0028】
図4(A)に示す管理データ記憶部110の記憶データは、自走搬送車(AGV)300が走行する搬送経路10に係るデータである。図4(A)のデータは経路データであり、搬送経路10中の4台の給電ステーション200A、200B、200C、200Dの
間の距離に係るデータが記憶されているものである。
【0029】
図4(B)に示す管理データ記憶部110の記憶データは、自走搬送車システムの運行時間に係るものである。図4(B)のデータは稼働/停止時間データであり、1日のうちの「稼働時間」、「停止時間」が記憶されている。また、一日の稼働時間の最後は、自走搬送車(AGV)300を待機電圧に設定する「待機電圧設定時間」として記憶される。
【0030】
図4(C)乃至図4(E)に示す管理データ記憶部110における記憶データは、3台の自走搬送車300A、300B、300Cそれぞれの仕事量に係るものである。図4(C)乃至図4(E)のデータはIDがAGV001〜AGV003の仕事量データであり、それぞれの自走搬送車の積載量及び移動区間(距離)による仕事量が記憶される。なお、図4(C)乃至図4(E)に示すデータは、自走搬送車の運行における全ての周回で同じ仕事を行うような場合のものが示されていが、図4(C)乃至図4(E)のデータで、自走搬送車300A、300B、300Cの仕事を周回毎に異なったものとするなど、より詳細に規定すること可能である。
【0031】
ここで、本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるキャパシタ蓄電電源320の充電制御の概要について説明する。図8は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるキャパシタ蓄電電源の使用方法を説明する図である。
【0032】
自走搬送車(AGV)300の蓄電部であるキャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vc
は、一日の稼働時間の最後においては、待機電圧Vch以下の電圧の充電状態に維持される。この状態は、待機電圧Vch或いはそれ以下の電圧を設定電圧として、充電制御回路220を通して商用電源20からキャパシタ蓄電電源320を充電されることにより維持される。その後は、自己放電により充電電圧の低下があっても充電を停止したまま放置してもよいし、充電制御回路220を通して商用電源2からフロートモードでキャパシタ蓄電電源320を充電して設定電圧に維持するようにしてもよい。
【0033】
自走搬送車300においては、通信部340を介してホストコントローラ100から入力される走行指令に基づき、放電制御部311がキャパシタ蓄電電源320を放電し、動力部330を駆動させることにより自走搬送車300を走行させる。そして、自走搬送車300が次の給電ステーション200に到着し互いに電気接続を行う時刻tstにおいて、キャパシタ蓄電電源320の給電が開始される。通常の給電ステーション200における給電の場合、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcが所定の電圧Vaに到達したら、
充電を停止し、給電ステーション200から発進するように制御される。
【0034】
次に、給電ステーション200における尖頭電圧Vcpまで充電を行う充電について説明する。ここで、待機電圧Vchより高い尖頭電圧Vcpまでキャパシタ蓄電電源320を充電することをスイングバック充電と称する。
【0035】
時刻thrにおいて、自走搬送車300が給電ステーション200に停止し、主制御部210が、図8に示すようにスイングバック充電を行うように制御すると、充電制御部220を通して商用電源20からキャパシタ蓄電電源320を尖頭電圧Vcpまで充電する。そして、キャパシタ蓄電電源320が尖頭電圧Vcpまで充電された時点tosから、ホストコントローラ100からの運転要求に基づきキャパシタ蓄電電源320から放電制御部311を通して動力部330に放電を開始する。
【0036】
このように本実施形態の自走搬送車システムでは、必要に応じて自走搬送車(AGV)300のキャパシタ蓄電電源320に対し、尖頭電圧Vcpをスイングバック定格として負荷5の運転開始時に充電電圧Vcを尖頭電圧Vcpまで急速充電してから動力部330に放
電を開始する。
【0037】
このことにより、キャパシタ蓄電電源320が最大出力時の尖頭電圧Vcpに充電されたまま長時間保持されることがなくなる。つまり、動力部330が起動するまでの長時間放置される準備状態では、尖頭電圧Vcpより低い電圧でキャパシタ蓄電電源320の充電電圧が保持される。したがって、キャパシタ蓄電電源320が準備状態で高い充電電圧に放置されることにより性能劣化が進むのを防ぐことができる。しかも、動力部330に給電を開始する時には、完全な放電状態ではなく、待機電圧Vchの近傍から急速充電するので、起動時間を短縮することができる。また、尖頭電圧Vcpまで充電電圧を高めることにより、待機電圧Vchに比べ蓄電量を大幅に増大させることができ、構成するキャパシタの使用数量を減らすことができる。そのことは、より蓄電密度、エネルギー密度を高め電源の小型、軽量、コンパクト化を図ることができ、キャパシタ蓄電電源320の利用効率の大幅な向上を図ることができる。
【0038】
次に、以上のように構成される本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの給電時の制御について説明する。図5は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける充電制御処理のフローチャートを示す図である。なお、本フローチャートは、自走搬送車(AGV)300が給電ステーション200に停止し、端子による電気接続が完了し、キャパシタ蓄電電源320の充電を受けるときの流れを示したものである。
【0039】
図5において、ステップS100で充電制御処理が開始されると、次にステップS101に進み、充電制御処理部220はキャパシタ蓄電電源320の充電を開始する。
【0040】
続くステップS102では主制御部210は、自走搬送車300から当該自走搬送車のIDデータを取得する。
【0041】
ステップS103では、当該自走搬送車のIDデータに基づいて、ホストコントローラ100から当該IDの自走搬送車の仕事量データを読み込む。また、同時に、ホストコントローラ100から停止時間データ、待機電圧設定時間データ読み込みを行う。
【0042】
ステップS104では、計時部211を参照して、現在時刻が待機電圧設定時間であるか否かを判定する。ステップS104の判定結果がYESであるときにはステップS112に進み、ステップS112において待機電圧設定処理のサブルーチンを実行する。この待機電圧設定処理のサブルーチンについては後に説明する。ステップS113で充電制御処理を終了する。
【0043】
ステップS104の判定結果がNOであるときにはステップS105に進む。ステップS105では、当該自走搬送車の次の仕事量が所定仕事量以上であるか否かが判定される。ステップS105の判定結果がYESであるときには、スイングバック充電を行うために、ステップS110に進む。ステップS105の判定結果がNOであるときには、ステップS106に進む。
【0044】
ステップS106では、次の給電ステーション到達までに停止時間が到来するか否かが判定される。ステップS106の判定結果がYESであるときには、スイングバック充電を行うために、ステップS110に進む。ステップS106の判定結果がNOであるときにはステップS107に進み、キャパシタ蓄電電源320に通常の充電を行う。
【0045】
ステップS107では、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcを読み込み、ステッ
プS108では、充電電圧Vcが所定電圧Vaか否かが判定される。ステップS108の判定結果がNOであるときにはステップS107に戻り、判定結果がYESであるときには
ループを抜けて、ステップS109に進む。ステップS109では、自走搬送車に対して充電完了信号を送信し、ステップS113で充電制御処理を終了する。
【0046】
ステップS1110では、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcを読み込み、ステ
ップS111では、充電電圧Vcが尖頭電圧Vcpか否かが判定される。ステップS111
の判定結果がNOであるときにはステップS110に戻り、判定結果がYESであるときにはループを抜けて、ステップS109に進む。ステップS109では、自走搬送車に対して充電完了信号を送信し、ステップS113で充電制御処理を終了する。
【0047】
このように本発明の自走搬送車システムでは、予測される仕事量、システムが停止する時間に合わせて、待機電圧Vchより高い尖頭電圧Vcpまでスイングバック充電することによって、給電ステーション外の走行経路において、電力不足によって自走搬送車(AGV)が停止してしまうような事態を避けることが可能となる。
【0048】
次に、自走搬送車(AGV)300が給電ステーション200に停止しキャパシタ蓄電電源320の充電を受けるときにおける給電ステーション200、ホストコントローラ100及び自走搬送車300の間の信号のやりとについて説明する。図6は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるホストコントローラ100、給電ステーション200、自走搬送車300間の信号の送受の流れについて説明する。
【0049】
自走搬送車(AGV)300が給電ステーション200に停止し、電気接続が完了すると、ステップS200においては、給電ステーション200から自走搬送車300に対して、そのIDの問い合わせが実行される。
【0050】
ステップS201では、自走搬送車300が給電ステーション200に対し自らのIDを回答する。
【0051】
ステップS202では、給電ステーション200がホストコントローラ100に対して、次の給電ステーションまでの仕事量データ、停止時間データ、待機電圧設定時間データが問い合わせられる。
【0052】
これに対して、ホストコントローラ100は、ステップS203で、仕事量データ、停止時間データ、待機電圧設定時間データを回答する。
【0053】
自走搬送車300の充電が完了すると、ステップS204では、自走搬送車300に対して充電完了信号が送信される。
【0054】
また、不図示のクレーンなどによる積載物品の移載作業が完了すると、ステップS205において、給電ステーション200がホストコントローラ100に対して、作業完了報告を送信する。
【0055】
また、ステップS206では、自走搬送車300がホストコントローラ100に対して充電完了を報告する。
【0056】
給電ステーション200から作業完了報告を、そして、自走搬送車300から充電完了報告を受信したホストコントローラ100は、ステップS207において、自走搬送車300に対して走行指令を送出し、次の自走搬送車300を次の給電ステーションに向けて走行させる。
【0057】
次に、ステップS112における待機電圧設定処理のサブルーチンについて説明する。
図7は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける待機電圧設定処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0058】
図7において、ステップS300で調整処理のサブルーチンが開始されると、次にステップS301に進み、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcが読み込まれる。
【0059】
次のステップS302では、VcとVchとの値が比較され、VcとVchとの関係が「Vc
=Vch」、「Vc<Vch」、「Vc>Vch」のいずれであるかが判定される。ステップS302にける判定結果が「Vc=Vch」であるときにはステップS311に進みリターンし
、ステップS302にける判定結果が「Vc<Vch」であるときにはステップS303に
進み、ステップS302にける判定結果が「Vc>Vch」であるときにはステップS30
7に進む。
【0060】
ステップS303では、キャパシタ蓄電電源320の充電を開始し、ステップS304で、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcを読み込む。ステップS305では、当該
充電電圧Vcが待機電圧Vchに相当するか否かが判定される。
【0061】
ステップS305における判定結果がYESであるときにはステップS306に進み、ステップS305における判定結果がNOであるときにはステップS305をループする。
【0062】
ステップS306では、キャパシタ蓄電電源320の充電を停止する。ステップS311でリターンし、メインルーチン処理に戻る。
【0063】
ステップS307では、キャパシタ蓄電電源320の放電を開始し、ステップS308で、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcを読み込む。なお、放電電流は不図示の抵
抗で熱などに変換するようにするとよい。
ステップS309では、当該充電電圧Vcが待機電圧Vchに相当するか否かが判定される
。
【0064】
ステップS309における判定結果がYESであるときにはステップS310に進み、ステップS309における判定結果がNOであるときにはステップS309をループする。
【0065】
ステップS310では、キャパシタ蓄電電源320の放電を停止する。ステップS311でリターンし、メインルーチン処理に戻る。
【0066】
本発明の自走搬送車システムが待機電圧設定処理を行うことにより、キャパシタ蓄電電源320は、最大出力時の尖頭電圧Vcpに充電されたまま長時間保持されることがなく待機電圧Vchに維持されるようになる。つまり、自走搬送車が長時間放置される状態では、尖頭電圧Vcpより低い待機電圧Vch以下でキャパシタ蓄電電源320の充電電圧を保持される。これにより、キャパシタ蓄電電源320を構成するEDLCなどが準備状態で高い充電電圧に放置されることにより性能劣化が進むのを防ぐことができる。
【0067】
また、自走搬送車300の仕事量が大きいときや、或いは、停止時間が到来すると予想されるときは、尖頭電圧Vcpまで充電電圧を高めることにより、待機電圧Vchに比べ蓄電量を大幅に増大させることができる。これにより、構成する電気二重層キャパシタの使用数量を減らすことができ、より蓄電密度、エネルギー密度を高め電源の小型、軽量、コンパクト化を図ることができ、キャパシタ蓄電電源320の利用効率の大幅な向上を図ることができる。また、システムの停止時間中に、自走搬送車300の蓄電量が消失し、給電
ステーション外で自走搬送車300が停止してしまう事態を避けることができる。
【0068】
さらに、本実施形態におけるキャパシタ蓄電電源320の具体的な事例に基づき説明する。まず、キャパシタ蓄電電源の一般的な設計仕様、特性について説明する。図9はキャパシタ設計仕様データの構成例を示す図であり、図10は電圧と劣化特性との関係を説明する図である。
【0069】
キャパシタ設計仕様データは、例えば図9に示すモジュール電圧vM、セル直列数NS、モジュール静電容量CM、モジュール内部抵抗rM、モジュール直列数NMS、並列数NMP、バンク電圧vB(満充電時の電圧vBf)、バンク静電容量CB、バンク内部抵抗rB、モジ
ュール数NM等の定格仕様を含む、所謂キャパシタ蓄電電源の設計仕様データである。モ
ジュールは、所定数のセルを直列接続したキャパシタ蓄電電源の基本構成単位であり、バンクは、複数個のモジュールを直列接続し、さらにそれらを並列接続してキャパシタ蓄電電源を構成するものである。
【0070】
例えば2.5(V)のセルを20個直列接続してモジュール電圧vMが50(V)のモ
ジュールが構成される。このモジュールを基本構成単位とすると、負荷の使用(開始)電圧vLが650(V)である場合には、13個のモジュールを直列接続するものとして並
列数1のバンクが選択、設定される。つまり、モジュール直列数NMSが13、満充電時のバンク電圧(vBf)が650(V)のバンク構成にすることで、バンク静電容量CBはCM/13、バンク内部抵抗rBは13×rMにより求められる。並列数NMPが1から2になれば、それに応じて新たなバンク静電容量CBが2倍、バンク内部抵抗rBが2分の1、モジュール数NMが2倍になる。このようにバンクに関する定格仕様の値は、バンク電圧が決
まると共に他の値も決まる。
【0071】
キャパシタの容量Cを少しでも大きく、利用できる蓄電量w(=CV2/2)を多く、
自己放電を最小にすることが求められている。しかし、これらはキャパシタに本質的なものとして、その性能向上を待つほかにないとのいうのが通常の認識である。キャパシタは、静電容量Cが使用により当初の100%から経時的に何%の劣化があるか、その劣化度Dを指標にすると、劣化度Dは、図10に示すように時間tの平方根√tに比例する。しかも、その劣化の程度は、電圧Vch、Vcp(>Vch)によって変化し、同じ劣化度Dの劣化に要する時間tは電圧差ΔVに比例して電圧が低くなるほど長くなる(例えば、特許第3969736号公報参照)。
【0072】
キャパシタの電圧Vchにおける劣化度DVhは時間tVhの平方根に比例することから、劣化係数αVhは、
【0073】
【数1】
により求められる。ここで、劣化係数αVhは、電圧Vchにおいて劣化度DVhの劣化に時間tVhを要するという係数になる。いま、劣化度Drを固定値に設定すると、それぞれの電
圧Vs、Vrにおいてその劣化度Drの劣化に要する時間tVsr、tVrrより電圧Vxに関する値が求められる。すなわち、同じ劣化度の劣化に要する時間は電圧差の関数になることから、電圧Vxにおける劣化度Drの劣化に要する時間tVxrは、
【0074】
【数2】
ここで、λVr=tVsr /tVrr :劣化時間の倍率
Vint=Vr−Vs :電圧差
となる。その結果、電圧Vxにおける劣化係数αVxは、
【0075】
【数3】
により求められる。
【0076】
従来のキャパシタ蓄電電源は、負荷の使用(開始)電圧vLに対応する満充電時のバン
ク電圧(vBf)のバンク構成が選定される。この満充電時のバンク電圧(vBf)は、その充電状態で所定の劣化度、例えば80%の劣化に要する時間以上の寿命を有する、つまりフロート定格電圧である。尖頭電圧Vcpは、負荷の使用(開始)電圧vLに相当するので
、従来のキャパシタ蓄電電源では、満充電時のバンク電圧(vBf)が尖頭電圧Vcpとなるキャパシタ蓄電電源が選定される。しかし、本実施形態では、待機電圧Vchを設定して放電開始直前に尖頭電圧Vcpまでスイングバック充電(プリチャージ)することにより、満充電時のバンク電圧(vBf)が待機電圧Vchとなるキャパシタ蓄電電源を選定することができる。それは、尖頭電圧Vcpの充電状態が短時間となるため、その間の充電状態によるキャパシタ蓄電電源の性能劣化、影響を低く抑えることができるからである。
【0077】
本実施形態において、設計仕様である満充電時のバンク電圧(vBf)を待機電圧Vchとして、尖頭電圧Vcpまでスイングバック充電する場合、尖頭電圧Vcpの劣化特性は、図10により説明した電圧と劣化特性との関係には当てはまらない。それは、図10に示す特性は、その電圧の充電状態が維持されたフロートモードにおける劣化であり、すぐ放電される一時的な電圧の充電状態に対する特性ではないからである。本実施形態のスイングバック充電される、所謂スイングバック定格電圧としての尖頭電圧Vcpは、例えば次のようにして選定される。
【0078】
尖頭電圧Vcpを選定するための試験では、サイクルモード寿命試験により、例えば負荷5の運転インターバルに相当する所定の繰り返し周期でキャパシタ蓄電電源の充電電圧をパルス状に急速充放電したとき、性能劣化が所定の範囲内となる電圧を求める。このパルス状の急速充放電試験を待機電圧Vchから徐々に電圧を上げながら繰り返し行うと、性能劣化の進行が大きくなる電圧を見出すことができる。この変化点となる電圧以下の電圧を尖頭電圧Vcpとして選定することができる。これは、キャパシタ内の不純物が電気分解により蓄積して劣化を始める電圧に相当し、キャパシタに依存する値である。例えば2.7Vのフロート定格電圧の電気二重層キャパシタでは、2.7Vの待機電圧Vchに対して3V程度を尖頭電圧Vcpとすることができる。これに対し、2.9Vのフロート定格電圧のナノゲートキャパシタでは、2.9Vの待機電圧Vchに対して3.7V程度を尖頭電圧Vcpとすることができる。勿論これ以下の電圧で待機電圧Vchより高い電圧であれば本実施形態の発明の効果は得られる。
【0079】
図11はキャパシタの充放電特性と電圧との関係を説明する図である。キャパシタは、充電電圧を高電圧まで上げることにより静電容量に増す傾向が観られる。それは、例えば図11に示すように待機電圧Vchから電圧0Vまでの放電時間ΔtとΔt′(>Δt)に差によって観察できる。図11に示す充放電特性は、キャパシタを待機電圧Vchまで定電
流充電し、緩和充電(フロートモード)の後、定電流放電をした特性と同様に尖頭電圧Vcpまで定電流充電したときのものである。
【0080】
また、エネルギー密度を試算すると、2.9Vの待機電圧Vch、つまり満充電時のバンク電圧(vBf)を3.7Vまでスイングバック充電して蓄電すると、約1.3倍に電圧を上げることによりエネルギー密度を1.6倍まで上げることができる。充電時間では、0Vから3.7Vまでの定電流による標準充電時間を60秒とすると、2.9Vから3.7Vまでの充電時間は約13秒になり、大幅な充電時間の短縮となる。
【0081】
このように本実施形態では、使用の直前に充電し直ちに放電するので、比較的高電圧まで上げてもキャパシタの寿命への影響を少なくして実効蓄電出力を増大させることができる。また、高電圧まで充電すれば、キャパシタの漏れ電流による自己放電が増大するのは当然であるが、待機時は尖頭電圧Vcpより低い待機電圧Vchにとどめるので、自己放電をむしろ減少させることができる。しかも、自己放電により減少した電荷は使用の直前にスイングバック充電により埋め戻されるで、実質的に自己放電の影響は無視できる。したがって、小型、コンパクトにして大容量化したキャパシタ蓄電電源が実現でき、必要以上の設計仕様の容量に選定することによる無駄をなくすことができる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、電気二重層キャパシタ、ナノゲートキャパシタを具体的な数値で示したが、設計仕様の異なる各種のキャパシタにも同様に適用できることは勿論である。また、待機電圧Vchは、満充電時のバンク電圧(vBf)に相当する電圧として説明したが、公称定格電圧や最高充電電圧、使用電圧などに相当する電圧或いはそれ以下の電圧とし、尖頭電圧Vcpは、それより高い電圧として性能劣化が著しくならない電圧を適宜選定することができる。
【0083】
以上、本発明の自走搬送車システムによれば、自走搬送車の蓄電部であるキャパシタ蓄電電源を構成する電気二重層キャパシタなどの使用数量を減らすことができ、より蓄電密度、エネルギー密度を高め、自走搬送車の蓄電部スペースのコンパクト化を図ることができる。
【0084】
また、本発明の自走搬送車システムによれば、電気二重層キャパシタなどの使用数量が削減されたキャパシタ蓄電電源を用いても、自走搬送車(AGV)の予測される負荷、停止時間などに合わせて、待機電圧より高い尖頭電圧までスイングバック充電することによって、給電ステーション外の走行経路において、電力不足によって自走搬送車(AGV)が停止してしまうような事態を避けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムのブロック構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの走行経路レイアウト例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける給電ステーションによる自走搬送車の給電状況を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの管理データ記憶部が記憶するデータ構造例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける充電制御処理のフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるホストコントローラ、給電ステーション、自走搬送車間の信号の送受の流れについて説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける待機電圧設定処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるキャパシタ蓄電電源の使用方法を説明する図である。
【図9】キャパシタ設計仕様データの構成例を示す図である。
【図10】電圧と劣化特性との関係を説明する図である。
【図11】キャパシタの充放電特性と電圧との関係を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
10・・・搬送経路、20・・・商用電源、100・・・ホストコントローラ、110・・・管理データ記憶部、120・・・通信部、200、200A、200B、200C、200D・・・給電ステーション、210・・・主制御部、220・・・充電制御回路、221・・・計時部、250・・・電気接続部、251・・・第1端子、252・・・第2端子、253・・・第3端子、300、300A、300B、300C・・・自走搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)、310・・・主制御部、311・・・放電制御部、320・・・キャパシタ蓄電電源、321・・・キャパシタモニタ部、330・・・動力部、340・・・通信部、350・・・電気接続部、351・・・第1端子、352・・・第2端子、353・・・第3端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場や倉庫などで物品の搬送に用いられる自走搬送車システムに関し、さらに詳しく言えば、自走搬送車(AGV)に搭載される電気二重層キャパシタなどを利用したキャパシタ蓄電電源に適切な給電を行うことができる自走搬送車システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動化や省力化を目的として、工場や倉庫などで物品の搬送に用いられ無人で運行される自走搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)は、走行用電動モータの動力部およびこの動力部の電力源としての蓄電部を搭載し、工場や倉庫などの床面に粘着された誘導テープなどによる誘導ラインに沿って、種々の走行経路を自動走行するように制御される。このような
従来、自走搬送車(AGV)では、蓄電部としてバッテリが用いられ、バッテリに対する充電の必要が生じた場合や、運行管理ステーションからの物品の搬送要求が無い場合に、走行経路の内側等に設けられた充電ステーションを目的地として移動し、充電ステーションにおいて、充電器と接続されてバッテリが充電される。
【0003】
このような自走搬送車(AGV)に搭載されるバッテリとしては、従来では鉛バッテリが用いられていた。しかしながら、鉛バッテリでは、充電に要する時間が長く、またこのためバッテリを充電するための充電設備が多数必要となり、また寿命が比較的短い関係上バッテリを頻繁に交換する必要があるなどの問題があった。このようなバッテリ搭載型の自走搬送車(AGV)のシステムについては、特許文献1(特開2006−48365号公報)に開示されたものなどがある。
【0004】
ところで上記のような問題があるために、近年では、鉛バッテリに代わって、給電ステーションにおいて短時間の急速充電が可能で、長寿命で保守を必要としない電気二重層キャパシタなどのキャパシタを自走搬送車(AGV)の蓄電部として用いることが提案されている。電気二重層キャパシタは、鉛バッテリに比べて急速な充放電が可能であるとともに、サイクル寿命がはるかに長いため、近年その用途が拡大している。
【特許文献1】特開2006−48365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自走搬送車(AGV)の蓄電部として、電気二重層キャパシタを用いただけでは、電気二重層キャパシタを効率的に利用しているとは言い難い。すなわち、自走搬送車(AGV)においては積載物用のスペースを十分に確保する必要があり、そのために、蓄電部の小型化が求められており、これに伴い、蓄電部として電気二重層キャパシタを実装する場合には、キャパシタが占めるスペースをなるべく狭くする必要があるが、従来のものはこのようなことが考慮されていない。上記のようにキャパシタのスペース効率を向上させたい一方で、給電ステーション外の走行経路において、電力不足によって自走搬送車(AGV)が停止してしまうような事態は避けなくてはならない。
【0006】
この発明は、自走搬送車(AGV)を用いた自走搬送車システムにおいて、電気二重層キャパシタなどを利用したキャパシタ電源の利用可能な実エネルギー密度を高め、もってキャパシタ電源のスペースパフォーマンスの向上を図ると共に、自走搬送車(AGV)の予測される負荷に合わせてキャパシタ電源を効率よく充電し、キャパシタを無駄なく効率的に利用できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記のような種々の課題を解決するものであって、そのために請求項1に係る発明は、自走搬送車と、前記自走搬送車に対して電力を供給する給電ステーションとからなる自走搬送車システムであって、キャパシタ蓄電電源と、走行のための駆動源となる動力部と、前記キャパシタ蓄電電源から前記動力部に放電を行う放電制御部と、を有する自走搬送車と、前記自走搬送車の前記キャパシタ蓄電電源に充電を行う充電制御部を有する給電ステーションと、からなり、前記キャパシタ蓄電電源には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、前記自走搬送車が所定仕事量以上の仕事量を行うと判断されたときには、前記充電制御部は前記キャパシタ蓄電電源を前記尖頭電圧まで充電することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、自走搬送車と、前記自走搬送車に対して電力を供給する給電ステーションとからなる自走搬送車システムであって、キャパシタ蓄電電源と、走行のための駆動源となる動力部と、前記キャパシタ蓄電電源から前記動力部に放電を行う放電制御部と、を有する自走搬送車と、前記自走搬送車の前記キャパシタ蓄電電源に充電を行う充電制御部を有する給電ステーションと、からなり、前記キャパシタ蓄電電源には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、前記自走搬送車が次の給電ステーション到達までに、システムが停止されると判断されたときには、前記充電制御部は前記キャパシタ蓄電電源を前記尖頭電圧まで充電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自走搬送車システムによれば、自走搬送車の蓄電部であるキャパシタ蓄電電源を構成する電気二重層キャパシタなどの使用数量を減らすことができ、より蓄電密度、エネルギー密度を高め、自走搬送車の蓄電部スペースのコンパクト化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の自走搬送車システムによれば、電気二重層キャパシタなどの使用数量が削減されたキャパシタ蓄電電源を用いても、自走搬送車(AGV)の予測される負荷などに合わせて、待機電圧より高い尖頭電圧まで充電することによって、給電ステーション外の走行経路において、電力不足によって自走搬送車(AGV)が停止してしまうような事態を避けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムのブロック構成例を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの走行経路レイアウト例を示す図であり、図3は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける給電ステーションによる自走搬送車の給電状況を説明する図である。
【0012】
本実施形態に係る自走搬送車システムの構成例を図1乃至図3に基づいて説明するが、本発明の自走搬送車システムにおける給電ステーションの設置数や、自走搬送車の台数などがこれに限定されるものではない。また、本実施形態では、ホストコントローラを用いて、中央で制御を管理する方式について説明するが、このような方式によらず、各給電ステーションや各自走搬送車においてシーケンスの管理などを行うように構成することも可能である。
【0013】
図1乃至図3において、10は搬送経路、20は商用電源、100はホストコントローラ、110は管理データ記憶部、120は通信部、200、200A、200B、200C、200Dは給電ステーション、210は主制御部、220は充電制御回路、221は計時部、250は電気接続部、251は第1端子、252は第2端子、253は第3端子
、300、300A、300B、300Cは自走搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)、310は主制御部、311は放電制御部、320はキャパシタ蓄電電源、321はキャパシタモニタ部、330は動力部、340は通信部、350は電気接続部、351は第1端子、352は第2端子、353は第3端子をそれぞれ示している。
【0014】
本実施形態の自走搬送車システムにおける運行管理は、図1に示す管理データ記憶部110に記憶されている管理データに基づいて、ホストコントローラ100が行うようになっている。本実施形態は、3台の自走搬送車300A、300B、300Cが、搬送経路10上を走行するものであり、これらの自走搬送車300A、300B、300Cは、通信部120から無線によって送信されるホストコントローラ100からの指令信号を受信し、これに基づき走行・停止を繰り返す。
【0015】
また、本実施形態では、搬送経路10中に4台の給電ステーション200A、200B、200C、200Dが設けられており、いずれの給電ステーションも自走搬送車300A、300B、300Cに対して給電を行うことができるようになっている。
【0016】
なお、本実施形態では、給電ステーション200A、200B、200C、200Dと自走搬送車の積載物の積み卸しを行う移載ステーションとが同一箇所に設けられているものである。この移載ステーションの詳細については図示省略している。したがって、本実施形態では、給電ステーション200A、200B、200C、200Dにおいて、自走搬送車が停止し給電しつつ、物品の積み卸しを行うことが想定されている。
【0017】
また、自走搬送車300A、300B、300Cのそれぞれには、積載物の積み卸しを行うためのクレーンなどを設けることも可能であるが、このような構成についても図示省略してある。ここでは、簡単のために自走搬送車のキャパシタ蓄電電源からは主として自走搬送車の走行のための電力が供給されるものとしている。各自走搬送車に設けられるクレーンを、キャパシタ蓄電電源からの給電で動作させるような場合には、その動作をさせるための電力量分も考慮するようにすればよい。
【0018】
自走搬送車300A、300B、300Cのそれぞれには、固有のID(ここでは、それぞれのIDはAGV001、AGV002、AGV003であるとする)が設けられており、ホストコントローラ100やステーションはこれらIDを識別することによって、それぞれへの制御や給電などを行うようにしている。
【0019】
次に、図3を参照しつつ、給電ステーション200から自走搬送車300への給電についてより詳細に説明する。ステーションにて給電を行うときにおいては、給電ステーション200の電気接続部250と、自走搬送車300の電気接続部350とが電気接続することによって給電を行う。電気接続部250の第1端子251及び第2端子252は、電気接続部350の第1端子251及び第2端子252は、電力給電用途の電気接続部であり、第3端子253及び第3端子353は制御信号の送受のための電気接続部である。当該制御信号の送受については、図中に示されるような信号や検出値などのやりとりがその内容である。
【0020】
上記のようにそれぞれの電気接続部が導通することによって、商用電源20から供給される交流電力は、充電制御部220によって整流され、自走搬送車300の蓄電部であるキャパシタ蓄電電源320に給電されるようになっている。主制御部210はホストコントローラ100から送信される信号や、自走搬送車(AGV)300側から送信される信号に基づいて、充電制御部220を制御することによって、キャパシタ蓄電電源320をシチュエーションに応じた最適な状態に充電することができるようになっている。また、
充電制御回路220は、現在時刻を計時する計時部221を備えており、制御動作に供している。また、充電制御回路220は、キャパシタ蓄電電源320の充電が完了した際には、自走搬送車(AGV)300側の主制御部310に対して充電完了信号を送信する。
【0021】
自走搬送車(AGV)300におけるキャパシタ蓄電電源320は、複数個のキャパシタを直並列に接続することによって、主負荷である動力部330の要求に応じた定格容量の構成とし、充電して蓄電し動力部330に給電するものである。また、キャパシタ蓄電電源320は、例えば電気二重層キャパシタ、又は電気二重層キャパシタの一種であるナノゲートキャパシタ、又はこれらキャパシタを任意に組み合わせて構成したものなどを用いて構成するものであり、短時間の大電流放電、大電力の供給を可能にするものである。充電制御回路220は、商用電源20を電源として、これらの電源からキャパシタ蓄電電源320を充電する回路であり、放電制御部311は、動力部330に対する給電要求に応じて、キャパシタ蓄電電源320から蓄電された電力を放電するものである。
【0022】
キャパシタモニタ部321はキャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vc、温度などのキ
ャパシタの状態を検出して、主制御部310に送信する。
【0023】
主制御部310は、動力部330の運転開始や給電要求の指令信号が通信部340を介してホストコントローラ100から入力され、放電制御部311を制御することによって、動力部330の動作状態を変更し、自走搬送車300の走行をコントロールする。
【0024】
主制御部310は、キャパシタモニタ部321でモニタされたキャパシタ状態を示す各検出信号を、第3端子を介して給電ステーション200側の主制御部210に送信する。また、主制御部310は不図示の記憶手段に格納される自車両のID情報を第3端子を介して給電ステーション200側の主制御部210に送信する。
【0025】
主制御部310は、キャパシタ蓄電電源320、動力部330の構成、要求される制御の内容によって、適宜キャパシタ蓄電電源320の充放電電流、充電電圧、温度などの検出信号、動力部330の端子電圧、負荷電流(放電電流)などの検出信号、その他制御に必要な検出信号を入力する。これによって、例えば、キャパシタ蓄電電源320を構成する複数個の電気二重層キャパシタのバンク切換などを行いつつ、キャパシタ蓄電電源320の充電放電制御を行う。このようなキャパシタ蓄電電源320の制御には従来周知の方法を適宜用いることができる。
【0026】
本実施形態において特筆すべきであることは、待機電圧Vchと、それより高い尖頭電圧Vcpとを設定して、自走搬送車300の将来の状態を予測、判断した上で、給電ステーション200側の充電制御回路220はキャパシタ蓄電電源320を尖頭電圧Vcpまで充電したりするものである。
【0027】
次に、本実施形態の自走搬送車システムにおいて、キャパシタ蓄電電源320の充電制御を行うために、ホストコントローラ100が参照する管理データ記憶部110の記憶データについて説明する。図4は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの管理データ記憶部が記憶するデータ構造例を示す図である。なお管理データ記憶部110の記憶データは、自走搬送車の運行管理全般に係る記憶データが含まれるものであるが、図4に示す管理データ記憶部110の記憶データは、キャパシタ蓄電電源320の充電制御を行うためのもののみに限定されて示めしている。
【0028】
図4(A)に示す管理データ記憶部110の記憶データは、自走搬送車(AGV)300が走行する搬送経路10に係るデータである。図4(A)のデータは経路データであり、搬送経路10中の4台の給電ステーション200A、200B、200C、200Dの
間の距離に係るデータが記憶されているものである。
【0029】
図4(B)に示す管理データ記憶部110の記憶データは、自走搬送車システムの運行時間に係るものである。図4(B)のデータは稼働/停止時間データであり、1日のうちの「稼働時間」、「停止時間」が記憶されている。また、一日の稼働時間の最後は、自走搬送車(AGV)300を待機電圧に設定する「待機電圧設定時間」として記憶される。
【0030】
図4(C)乃至図4(E)に示す管理データ記憶部110における記憶データは、3台の自走搬送車300A、300B、300Cそれぞれの仕事量に係るものである。図4(C)乃至図4(E)のデータはIDがAGV001〜AGV003の仕事量データであり、それぞれの自走搬送車の積載量及び移動区間(距離)による仕事量が記憶される。なお、図4(C)乃至図4(E)に示すデータは、自走搬送車の運行における全ての周回で同じ仕事を行うような場合のものが示されていが、図4(C)乃至図4(E)のデータで、自走搬送車300A、300B、300Cの仕事を周回毎に異なったものとするなど、より詳細に規定すること可能である。
【0031】
ここで、本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるキャパシタ蓄電電源320の充電制御の概要について説明する。図8は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるキャパシタ蓄電電源の使用方法を説明する図である。
【0032】
自走搬送車(AGV)300の蓄電部であるキャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vc
は、一日の稼働時間の最後においては、待機電圧Vch以下の電圧の充電状態に維持される。この状態は、待機電圧Vch或いはそれ以下の電圧を設定電圧として、充電制御回路220を通して商用電源20からキャパシタ蓄電電源320を充電されることにより維持される。その後は、自己放電により充電電圧の低下があっても充電を停止したまま放置してもよいし、充電制御回路220を通して商用電源2からフロートモードでキャパシタ蓄電電源320を充電して設定電圧に維持するようにしてもよい。
【0033】
自走搬送車300においては、通信部340を介してホストコントローラ100から入力される走行指令に基づき、放電制御部311がキャパシタ蓄電電源320を放電し、動力部330を駆動させることにより自走搬送車300を走行させる。そして、自走搬送車300が次の給電ステーション200に到着し互いに電気接続を行う時刻tstにおいて、キャパシタ蓄電電源320の給電が開始される。通常の給電ステーション200における給電の場合、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcが所定の電圧Vaに到達したら、
充電を停止し、給電ステーション200から発進するように制御される。
【0034】
次に、給電ステーション200における尖頭電圧Vcpまで充電を行う充電について説明する。ここで、待機電圧Vchより高い尖頭電圧Vcpまでキャパシタ蓄電電源320を充電することをスイングバック充電と称する。
【0035】
時刻thrにおいて、自走搬送車300が給電ステーション200に停止し、主制御部210が、図8に示すようにスイングバック充電を行うように制御すると、充電制御部220を通して商用電源20からキャパシタ蓄電電源320を尖頭電圧Vcpまで充電する。そして、キャパシタ蓄電電源320が尖頭電圧Vcpまで充電された時点tosから、ホストコントローラ100からの運転要求に基づきキャパシタ蓄電電源320から放電制御部311を通して動力部330に放電を開始する。
【0036】
このように本実施形態の自走搬送車システムでは、必要に応じて自走搬送車(AGV)300のキャパシタ蓄電電源320に対し、尖頭電圧Vcpをスイングバック定格として負荷5の運転開始時に充電電圧Vcを尖頭電圧Vcpまで急速充電してから動力部330に放
電を開始する。
【0037】
このことにより、キャパシタ蓄電電源320が最大出力時の尖頭電圧Vcpに充電されたまま長時間保持されることがなくなる。つまり、動力部330が起動するまでの長時間放置される準備状態では、尖頭電圧Vcpより低い電圧でキャパシタ蓄電電源320の充電電圧が保持される。したがって、キャパシタ蓄電電源320が準備状態で高い充電電圧に放置されることにより性能劣化が進むのを防ぐことができる。しかも、動力部330に給電を開始する時には、完全な放電状態ではなく、待機電圧Vchの近傍から急速充電するので、起動時間を短縮することができる。また、尖頭電圧Vcpまで充電電圧を高めることにより、待機電圧Vchに比べ蓄電量を大幅に増大させることができ、構成するキャパシタの使用数量を減らすことができる。そのことは、より蓄電密度、エネルギー密度を高め電源の小型、軽量、コンパクト化を図ることができ、キャパシタ蓄電電源320の利用効率の大幅な向上を図ることができる。
【0038】
次に、以上のように構成される本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの給電時の制御について説明する。図5は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける充電制御処理のフローチャートを示す図である。なお、本フローチャートは、自走搬送車(AGV)300が給電ステーション200に停止し、端子による電気接続が完了し、キャパシタ蓄電電源320の充電を受けるときの流れを示したものである。
【0039】
図5において、ステップS100で充電制御処理が開始されると、次にステップS101に進み、充電制御処理部220はキャパシタ蓄電電源320の充電を開始する。
【0040】
続くステップS102では主制御部210は、自走搬送車300から当該自走搬送車のIDデータを取得する。
【0041】
ステップS103では、当該自走搬送車のIDデータに基づいて、ホストコントローラ100から当該IDの自走搬送車の仕事量データを読み込む。また、同時に、ホストコントローラ100から停止時間データ、待機電圧設定時間データ読み込みを行う。
【0042】
ステップS104では、計時部211を参照して、現在時刻が待機電圧設定時間であるか否かを判定する。ステップS104の判定結果がYESであるときにはステップS112に進み、ステップS112において待機電圧設定処理のサブルーチンを実行する。この待機電圧設定処理のサブルーチンについては後に説明する。ステップS113で充電制御処理を終了する。
【0043】
ステップS104の判定結果がNOであるときにはステップS105に進む。ステップS105では、当該自走搬送車の次の仕事量が所定仕事量以上であるか否かが判定される。ステップS105の判定結果がYESであるときには、スイングバック充電を行うために、ステップS110に進む。ステップS105の判定結果がNOであるときには、ステップS106に進む。
【0044】
ステップS106では、次の給電ステーション到達までに停止時間が到来するか否かが判定される。ステップS106の判定結果がYESであるときには、スイングバック充電を行うために、ステップS110に進む。ステップS106の判定結果がNOであるときにはステップS107に進み、キャパシタ蓄電電源320に通常の充電を行う。
【0045】
ステップS107では、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcを読み込み、ステッ
プS108では、充電電圧Vcが所定電圧Vaか否かが判定される。ステップS108の判定結果がNOであるときにはステップS107に戻り、判定結果がYESであるときには
ループを抜けて、ステップS109に進む。ステップS109では、自走搬送車に対して充電完了信号を送信し、ステップS113で充電制御処理を終了する。
【0046】
ステップS1110では、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcを読み込み、ステ
ップS111では、充電電圧Vcが尖頭電圧Vcpか否かが判定される。ステップS111
の判定結果がNOであるときにはステップS110に戻り、判定結果がYESであるときにはループを抜けて、ステップS109に進む。ステップS109では、自走搬送車に対して充電完了信号を送信し、ステップS113で充電制御処理を終了する。
【0047】
このように本発明の自走搬送車システムでは、予測される仕事量、システムが停止する時間に合わせて、待機電圧Vchより高い尖頭電圧Vcpまでスイングバック充電することによって、給電ステーション外の走行経路において、電力不足によって自走搬送車(AGV)が停止してしまうような事態を避けることが可能となる。
【0048】
次に、自走搬送車(AGV)300が給電ステーション200に停止しキャパシタ蓄電電源320の充電を受けるときにおける給電ステーション200、ホストコントローラ100及び自走搬送車300の間の信号のやりとについて説明する。図6は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるホストコントローラ100、給電ステーション200、自走搬送車300間の信号の送受の流れについて説明する。
【0049】
自走搬送車(AGV)300が給電ステーション200に停止し、電気接続が完了すると、ステップS200においては、給電ステーション200から自走搬送車300に対して、そのIDの問い合わせが実行される。
【0050】
ステップS201では、自走搬送車300が給電ステーション200に対し自らのIDを回答する。
【0051】
ステップS202では、給電ステーション200がホストコントローラ100に対して、次の給電ステーションまでの仕事量データ、停止時間データ、待機電圧設定時間データが問い合わせられる。
【0052】
これに対して、ホストコントローラ100は、ステップS203で、仕事量データ、停止時間データ、待機電圧設定時間データを回答する。
【0053】
自走搬送車300の充電が完了すると、ステップS204では、自走搬送車300に対して充電完了信号が送信される。
【0054】
また、不図示のクレーンなどによる積載物品の移載作業が完了すると、ステップS205において、給電ステーション200がホストコントローラ100に対して、作業完了報告を送信する。
【0055】
また、ステップS206では、自走搬送車300がホストコントローラ100に対して充電完了を報告する。
【0056】
給電ステーション200から作業完了報告を、そして、自走搬送車300から充電完了報告を受信したホストコントローラ100は、ステップS207において、自走搬送車300に対して走行指令を送出し、次の自走搬送車300を次の給電ステーションに向けて走行させる。
【0057】
次に、ステップS112における待機電圧設定処理のサブルーチンについて説明する。
図7は本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける待機電圧設定処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0058】
図7において、ステップS300で調整処理のサブルーチンが開始されると、次にステップS301に進み、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcが読み込まれる。
【0059】
次のステップS302では、VcとVchとの値が比較され、VcとVchとの関係が「Vc
=Vch」、「Vc<Vch」、「Vc>Vch」のいずれであるかが判定される。ステップS302にける判定結果が「Vc=Vch」であるときにはステップS311に進みリターンし
、ステップS302にける判定結果が「Vc<Vch」であるときにはステップS303に
進み、ステップS302にける判定結果が「Vc>Vch」であるときにはステップS30
7に進む。
【0060】
ステップS303では、キャパシタ蓄電電源320の充電を開始し、ステップS304で、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcを読み込む。ステップS305では、当該
充電電圧Vcが待機電圧Vchに相当するか否かが判定される。
【0061】
ステップS305における判定結果がYESであるときにはステップS306に進み、ステップS305における判定結果がNOであるときにはステップS305をループする。
【0062】
ステップS306では、キャパシタ蓄電電源320の充電を停止する。ステップS311でリターンし、メインルーチン処理に戻る。
【0063】
ステップS307では、キャパシタ蓄電電源320の放電を開始し、ステップS308で、キャパシタ蓄電電源320の充電電圧Vcを読み込む。なお、放電電流は不図示の抵
抗で熱などに変換するようにするとよい。
ステップS309では、当該充電電圧Vcが待機電圧Vchに相当するか否かが判定される
。
【0064】
ステップS309における判定結果がYESであるときにはステップS310に進み、ステップS309における判定結果がNOであるときにはステップS309をループする。
【0065】
ステップS310では、キャパシタ蓄電電源320の放電を停止する。ステップS311でリターンし、メインルーチン処理に戻る。
【0066】
本発明の自走搬送車システムが待機電圧設定処理を行うことにより、キャパシタ蓄電電源320は、最大出力時の尖頭電圧Vcpに充電されたまま長時間保持されることがなく待機電圧Vchに維持されるようになる。つまり、自走搬送車が長時間放置される状態では、尖頭電圧Vcpより低い待機電圧Vch以下でキャパシタ蓄電電源320の充電電圧を保持される。これにより、キャパシタ蓄電電源320を構成するEDLCなどが準備状態で高い充電電圧に放置されることにより性能劣化が進むのを防ぐことができる。
【0067】
また、自走搬送車300の仕事量が大きいときや、或いは、停止時間が到来すると予想されるときは、尖頭電圧Vcpまで充電電圧を高めることにより、待機電圧Vchに比べ蓄電量を大幅に増大させることができる。これにより、構成する電気二重層キャパシタの使用数量を減らすことができ、より蓄電密度、エネルギー密度を高め電源の小型、軽量、コンパクト化を図ることができ、キャパシタ蓄電電源320の利用効率の大幅な向上を図ることができる。また、システムの停止時間中に、自走搬送車300の蓄電量が消失し、給電
ステーション外で自走搬送車300が停止してしまう事態を避けることができる。
【0068】
さらに、本実施形態におけるキャパシタ蓄電電源320の具体的な事例に基づき説明する。まず、キャパシタ蓄電電源の一般的な設計仕様、特性について説明する。図9はキャパシタ設計仕様データの構成例を示す図であり、図10は電圧と劣化特性との関係を説明する図である。
【0069】
キャパシタ設計仕様データは、例えば図9に示すモジュール電圧vM、セル直列数NS、モジュール静電容量CM、モジュール内部抵抗rM、モジュール直列数NMS、並列数NMP、バンク電圧vB(満充電時の電圧vBf)、バンク静電容量CB、バンク内部抵抗rB、モジ
ュール数NM等の定格仕様を含む、所謂キャパシタ蓄電電源の設計仕様データである。モ
ジュールは、所定数のセルを直列接続したキャパシタ蓄電電源の基本構成単位であり、バンクは、複数個のモジュールを直列接続し、さらにそれらを並列接続してキャパシタ蓄電電源を構成するものである。
【0070】
例えば2.5(V)のセルを20個直列接続してモジュール電圧vMが50(V)のモ
ジュールが構成される。このモジュールを基本構成単位とすると、負荷の使用(開始)電圧vLが650(V)である場合には、13個のモジュールを直列接続するものとして並
列数1のバンクが選択、設定される。つまり、モジュール直列数NMSが13、満充電時のバンク電圧(vBf)が650(V)のバンク構成にすることで、バンク静電容量CBはCM/13、バンク内部抵抗rBは13×rMにより求められる。並列数NMPが1から2になれば、それに応じて新たなバンク静電容量CBが2倍、バンク内部抵抗rBが2分の1、モジュール数NMが2倍になる。このようにバンクに関する定格仕様の値は、バンク電圧が決
まると共に他の値も決まる。
【0071】
キャパシタの容量Cを少しでも大きく、利用できる蓄電量w(=CV2/2)を多く、
自己放電を最小にすることが求められている。しかし、これらはキャパシタに本質的なものとして、その性能向上を待つほかにないとのいうのが通常の認識である。キャパシタは、静電容量Cが使用により当初の100%から経時的に何%の劣化があるか、その劣化度Dを指標にすると、劣化度Dは、図10に示すように時間tの平方根√tに比例する。しかも、その劣化の程度は、電圧Vch、Vcp(>Vch)によって変化し、同じ劣化度Dの劣化に要する時間tは電圧差ΔVに比例して電圧が低くなるほど長くなる(例えば、特許第3969736号公報参照)。
【0072】
キャパシタの電圧Vchにおける劣化度DVhは時間tVhの平方根に比例することから、劣化係数αVhは、
【0073】
【数1】
により求められる。ここで、劣化係数αVhは、電圧Vchにおいて劣化度DVhの劣化に時間tVhを要するという係数になる。いま、劣化度Drを固定値に設定すると、それぞれの電
圧Vs、Vrにおいてその劣化度Drの劣化に要する時間tVsr、tVrrより電圧Vxに関する値が求められる。すなわち、同じ劣化度の劣化に要する時間は電圧差の関数になることから、電圧Vxにおける劣化度Drの劣化に要する時間tVxrは、
【0074】
【数2】
ここで、λVr=tVsr /tVrr :劣化時間の倍率
Vint=Vr−Vs :電圧差
となる。その結果、電圧Vxにおける劣化係数αVxは、
【0075】
【数3】
により求められる。
【0076】
従来のキャパシタ蓄電電源は、負荷の使用(開始)電圧vLに対応する満充電時のバン
ク電圧(vBf)のバンク構成が選定される。この満充電時のバンク電圧(vBf)は、その充電状態で所定の劣化度、例えば80%の劣化に要する時間以上の寿命を有する、つまりフロート定格電圧である。尖頭電圧Vcpは、負荷の使用(開始)電圧vLに相当するので
、従来のキャパシタ蓄電電源では、満充電時のバンク電圧(vBf)が尖頭電圧Vcpとなるキャパシタ蓄電電源が選定される。しかし、本実施形態では、待機電圧Vchを設定して放電開始直前に尖頭電圧Vcpまでスイングバック充電(プリチャージ)することにより、満充電時のバンク電圧(vBf)が待機電圧Vchとなるキャパシタ蓄電電源を選定することができる。それは、尖頭電圧Vcpの充電状態が短時間となるため、その間の充電状態によるキャパシタ蓄電電源の性能劣化、影響を低く抑えることができるからである。
【0077】
本実施形態において、設計仕様である満充電時のバンク電圧(vBf)を待機電圧Vchとして、尖頭電圧Vcpまでスイングバック充電する場合、尖頭電圧Vcpの劣化特性は、図10により説明した電圧と劣化特性との関係には当てはまらない。それは、図10に示す特性は、その電圧の充電状態が維持されたフロートモードにおける劣化であり、すぐ放電される一時的な電圧の充電状態に対する特性ではないからである。本実施形態のスイングバック充電される、所謂スイングバック定格電圧としての尖頭電圧Vcpは、例えば次のようにして選定される。
【0078】
尖頭電圧Vcpを選定するための試験では、サイクルモード寿命試験により、例えば負荷5の運転インターバルに相当する所定の繰り返し周期でキャパシタ蓄電電源の充電電圧をパルス状に急速充放電したとき、性能劣化が所定の範囲内となる電圧を求める。このパルス状の急速充放電試験を待機電圧Vchから徐々に電圧を上げながら繰り返し行うと、性能劣化の進行が大きくなる電圧を見出すことができる。この変化点となる電圧以下の電圧を尖頭電圧Vcpとして選定することができる。これは、キャパシタ内の不純物が電気分解により蓄積して劣化を始める電圧に相当し、キャパシタに依存する値である。例えば2.7Vのフロート定格電圧の電気二重層キャパシタでは、2.7Vの待機電圧Vchに対して3V程度を尖頭電圧Vcpとすることができる。これに対し、2.9Vのフロート定格電圧のナノゲートキャパシタでは、2.9Vの待機電圧Vchに対して3.7V程度を尖頭電圧Vcpとすることができる。勿論これ以下の電圧で待機電圧Vchより高い電圧であれば本実施形態の発明の効果は得られる。
【0079】
図11はキャパシタの充放電特性と電圧との関係を説明する図である。キャパシタは、充電電圧を高電圧まで上げることにより静電容量に増す傾向が観られる。それは、例えば図11に示すように待機電圧Vchから電圧0Vまでの放電時間ΔtとΔt′(>Δt)に差によって観察できる。図11に示す充放電特性は、キャパシタを待機電圧Vchまで定電
流充電し、緩和充電(フロートモード)の後、定電流放電をした特性と同様に尖頭電圧Vcpまで定電流充電したときのものである。
【0080】
また、エネルギー密度を試算すると、2.9Vの待機電圧Vch、つまり満充電時のバンク電圧(vBf)を3.7Vまでスイングバック充電して蓄電すると、約1.3倍に電圧を上げることによりエネルギー密度を1.6倍まで上げることができる。充電時間では、0Vから3.7Vまでの定電流による標準充電時間を60秒とすると、2.9Vから3.7Vまでの充電時間は約13秒になり、大幅な充電時間の短縮となる。
【0081】
このように本実施形態では、使用の直前に充電し直ちに放電するので、比較的高電圧まで上げてもキャパシタの寿命への影響を少なくして実効蓄電出力を増大させることができる。また、高電圧まで充電すれば、キャパシタの漏れ電流による自己放電が増大するのは当然であるが、待機時は尖頭電圧Vcpより低い待機電圧Vchにとどめるので、自己放電をむしろ減少させることができる。しかも、自己放電により減少した電荷は使用の直前にスイングバック充電により埋め戻されるで、実質的に自己放電の影響は無視できる。したがって、小型、コンパクトにして大容量化したキャパシタ蓄電電源が実現でき、必要以上の設計仕様の容量に選定することによる無駄をなくすことができる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、電気二重層キャパシタ、ナノゲートキャパシタを具体的な数値で示したが、設計仕様の異なる各種のキャパシタにも同様に適用できることは勿論である。また、待機電圧Vchは、満充電時のバンク電圧(vBf)に相当する電圧として説明したが、公称定格電圧や最高充電電圧、使用電圧などに相当する電圧或いはそれ以下の電圧とし、尖頭電圧Vcpは、それより高い電圧として性能劣化が著しくならない電圧を適宜選定することができる。
【0083】
以上、本発明の自走搬送車システムによれば、自走搬送車の蓄電部であるキャパシタ蓄電電源を構成する電気二重層キャパシタなどの使用数量を減らすことができ、より蓄電密度、エネルギー密度を高め、自走搬送車の蓄電部スペースのコンパクト化を図ることができる。
【0084】
また、本発明の自走搬送車システムによれば、電気二重層キャパシタなどの使用数量が削減されたキャパシタ蓄電電源を用いても、自走搬送車(AGV)の予測される負荷、停止時間などに合わせて、待機電圧より高い尖頭電圧までスイングバック充電することによって、給電ステーション外の走行経路において、電力不足によって自走搬送車(AGV)が停止してしまうような事態を避けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムのブロック構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの走行経路レイアウト例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける給電ステーションによる自走搬送車の給電状況を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムの管理データ記憶部が記憶するデータ構造例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける充電制御処理のフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるホストコントローラ、給電ステーション、自走搬送車間の信号の送受の流れについて説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおける待機電圧設定処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る自走搬送車システムにおけるキャパシタ蓄電電源の使用方法を説明する図である。
【図9】キャパシタ設計仕様データの構成例を示す図である。
【図10】電圧と劣化特性との関係を説明する図である。
【図11】キャパシタの充放電特性と電圧との関係を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
10・・・搬送経路、20・・・商用電源、100・・・ホストコントローラ、110・・・管理データ記憶部、120・・・通信部、200、200A、200B、200C、200D・・・給電ステーション、210・・・主制御部、220・・・充電制御回路、221・・・計時部、250・・・電気接続部、251・・・第1端子、252・・・第2端子、253・・・第3端子、300、300A、300B、300C・・・自走搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)、310・・・主制御部、311・・・放電制御部、320・・・キャパシタ蓄電電源、321・・・キャパシタモニタ部、330・・・動力部、340・・・通信部、350・・・電気接続部、351・・・第1端子、352・・・第2端子、353・・・第3端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走搬送車と、前記自走搬送車に対して電力を供給する給電ステーションとからなる自走搬送車システムであって、
キャパシタ蓄電電源と、
走行のための駆動源となる動力部と、
前記キャパシタ蓄電電源から前記動力部に放電を行う放電制御部と、を有する自走搬送車と、
前記自走搬送車の前記キャパシタ蓄電電源に充電を行う充電制御部を有する給電ステーションと、からなり、
前記キャパシタ蓄電電源には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、
前記自走搬送車が所定仕事量以上の仕事量を行うと判断されたときには、前記充電制御部は前記キャパシタ蓄電電源を前記尖頭電圧まで充電することを特徴とする自走搬送車システム。
【請求項2】
自走搬送車と、前記自走搬送車に対して電力を供給する給電ステーションとからなる自走搬送車システムであって、
キャパシタ蓄電電源と、
走行のための駆動源となる動力部と、
前記キャパシタ蓄電電源から前記動力部に放電を行う放電制御部と、を有する自走搬送車と、
前記自走搬送車の前記キャパシタ蓄電電源に充電を行う充電制御部を有する給電ステーションと、からなり、
前記キャパシタ蓄電電源には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、
前記自走搬送車が次の給電ステーション到達までに、システムが停止されると判断されたときには、前記充電制御部は前記キャパシタ蓄電電源を前記尖頭電圧まで充電することを特徴とする自走搬送車システム。
【請求項1】
自走搬送車と、前記自走搬送車に対して電力を供給する給電ステーションとからなる自走搬送車システムであって、
キャパシタ蓄電電源と、
走行のための駆動源となる動力部と、
前記キャパシタ蓄電電源から前記動力部に放電を行う放電制御部と、を有する自走搬送車と、
前記自走搬送車の前記キャパシタ蓄電電源に充電を行う充電制御部を有する給電ステーションと、からなり、
前記キャパシタ蓄電電源には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、
前記自走搬送車が所定仕事量以上の仕事量を行うと判断されたときには、前記充電制御部は前記キャパシタ蓄電電源を前記尖頭電圧まで充電することを特徴とする自走搬送車システム。
【請求項2】
自走搬送車と、前記自走搬送車に対して電力を供給する給電ステーションとからなる自走搬送車システムであって、
キャパシタ蓄電電源と、
走行のための駆動源となる動力部と、
前記キャパシタ蓄電電源から前記動力部に放電を行う放電制御部と、を有する自走搬送車と、
前記自走搬送車の前記キャパシタ蓄電電源に充電を行う充電制御部を有する給電ステーションと、からなり、
前記キャパシタ蓄電電源には待機電圧と前記待機電圧より高い尖頭電圧とが設定されており、
前記自走搬送車が次の給電ステーション到達までに、システムが停止されると判断されたときには、前記充電制御部は前記キャパシタ蓄電電源を前記尖頭電圧まで充電することを特徴とする自走搬送車システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−268205(P2009−268205A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112888(P2008−112888)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(393013560)株式会社パワーシステム (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(393013560)株式会社パワーシステム (127)
【Fターム(参考)】
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