説明

自転車用モータ制御システム

【課題】自転車のモータ制御システムにおいて、駆動力伝達部体の歯数が変更されても、所望のアシスト比でモータを駆動することできるようにする。
【解決手段】モータ制御システム117は、複数のスプロケット歯が形成されたスプロケットを有する自転車に搭載可能な駆動補助用のモータ10を制御するシステムである。モータ制御システム117、記憶部95と、トルクセンサ17と、推力算出部76と、出力制御部77と、を備えている。記憶部95は、スプロケット歯の歯数を記憶可能である。トルクセンサ17は、例えばライダーがペダルをこいだときの踏力を検出可能である。推力算出部76は、踏力検出手段によって検出される踏力と、記憶部95に記憶されているスプロケット歯の歯数と、に基づいて推力を算出する。出力制御部77は、推力に基づいてモータ10を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御システム、特に、複数の伝達歯が形成された駆動力伝達体を有する自転車に搭載可能な駆動補助用のモータを制御する自転車用モータ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車の踏力をモータにより補助するアシスト自転車において、変速装置が設けられ、変速段に応じてモータの補助比率を制御するモータ制御システムが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。従来のモータ制御システムでは、変速段を検出するための変速位置センサの検出結果により補助比率を変更し、いずれの変速段においても、人力によって生じる駆動輪出力トルクに対するモータの駆動輪出力トルクの比率(アシスト比)を一定にできるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−245876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の構成では、変速段に対して補助比率が決定されているため、フロントスプロケット及び/又はリアスプロケットが歯数の異なるものに交換されるとギア比が変化する。したがって従来の構成では、ライダーが同じ踏力でペダルを動かしても推力が変化してしまうため、アシスト比が変化してしまう。このため、変速段に応じて補助比率を変更しても各変速段においてアシスト比を一定とすることができなくなる。なお、フロントスプロケット及びリアスプロケットは、駆動力伝達体の一例である。
【0005】
本発明の課題は、自転車のモータ制御システムにおいて、駆動力伝達部体の歯数が変更されても、所望のアシスト比でモータを駆動することできるようにすることにある。
【0006】
本発明の別の課題は、変速装置を有する自転車のモータ制御システムにおいて、駆動力伝達部体の歯数が変更されても、各変速段においてアシスト比を一定にすることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る自転車用モータ制御システムは、複数の伝達歯が形成された駆動力伝達体を有する自転車に搭載可能な駆動補助用のモータを制御するシステムである。自転車用モータ制御システムは、記憶手段と、踏力検出手段と、推力算出手段と、モータ制御手段と、を備えている。記憶手段は、伝達歯の歯数を記憶可能である。踏力検出手段は、例えばライダーがペダルをこいだときの踏力を検出可能である。推力算出手段は、踏力検出手段によって検出される踏力と、記憶手段に記憶されている伝達歯の歯数と、に基づいて推力を算出する。モータ制御手段は、推力に基づいてモータを制御する。
【0008】
このモータ制御システムでは、駆動力伝達体に形成された伝達歯の歯数が記憶手段に記憶されている。この記憶された歯数と踏力とにより推力が算出され、この推力に基づいてモータが制御される。例えば、モータ制御手段では、推力に対して同じ比率でモータが制御される。ここでは、伝達歯の歯数が記憶手段に記憶されている。このため、駆動力伝達体が歯数の異なるものに変更されても、記憶手段の歯数を変更後の歯数に書き換えることにより、書き換えられた伝達歯の歯数に基づいて推力を正確に算出できる。したがって、駆動力伝達体の伝達歯の歯数が変更されても、推力に対して所望の補助力を発生する、すなわち所望のアシスト比でモータを駆動することができる。
【0009】
発明2に係る自転車用モータ制御システムは、発明1に記載の自転車用モータ制御システムにおいて、駆動力伝達体はスプロケットであり、自転車に搭載される外装変速装置の変速段を検出可能な変速段検出手段をさらに備えている。記憶手段は、外装変速装置の変速段と、変速段に対応するスプロケットの歯数を記憶する。推力算出手段は、踏力検出手段によって検出される踏力と、変速段検出手段によって検出された変速段に対応して記憶手段に記憶されているスプロケットの歯数と、に基づいて推力を算出する。
【0010】
ここでは、スプロケットの歯数が各変速段に対応して記憶手段に記憶されている。このため、外装変速装置のスプロケットが歯数の異なるものに交換されても、記憶手段に記憶された歯数を変更後の歯数に書き換えることにより、書き換えられたスプロケットの歯数に基づいて推力を正確に算出できる。したがって、スプロケットの歯数が変更されても、推力に対する補助力の比率を各変速段において等しくすることができ、一定のアシスト比でモータを駆動することができる。
【0011】
発明3に係る自転車用モータ制御システムは、発明2に記載の自転車用モータ制御システムにおいて、外装変速装置は、複数のフロントスプロケットとフロントディレーラとを有するフロント変速装置を備えている。記憶手段は、フロント変速装置の変速段と、変速段に対応する複数のフロントスプロケットの歯数と、が記憶される。この場合には、フロントスプロケットの歯数が変更されても、各変速段において推力に対して同じ比率の補助力を発生することができる。
【0012】
発明4に係る自転車用モータ制御システムは、発明2に記載の自転車用モータ制御システムにおいて、外装変速装置は、複数のリアスプロケットとリアディレーラとを有するリア変速装置を備えている。記憶手段は、リア変速装置の変速段と、変速段に対応する複数のリアスプロケットの歯数と、が記憶される。この場合には、リアスプロケットの歯数が変更されても、各変速段において推力に対して同じ比率の補助力を発生することができる。
【0013】
発明5に係る自転車用モータ制御システムは、発明2に記載の自転車用モータ制御システムにおいて、外装変速装置は、複数のフロントスプロケットとフロントディレーラとを有するフロント変速装置と、複数のリアスプロケットとリアディレーラとを有するリア変速装置と、を備えている。記憶手段は、フロント変速装置の変速段と変速段に対応する複数の前記フロントスプロケットの歯数、及びリア変速装置の変速段と変速段に対応する複数のリアスプロケットの歯数、が記憶される。この場合には、フロントスプロケット及び/又はリアスプロケットの歯数が変更されても、各変速段において推力に対して同じ比率の補助力を発生することができる。
【0014】
発明6に係る自転車用モータ制御システムは、発明2から5のいずれかに記載の自転車用モータ制御システムにおいて、段数検出手段は、外装変速装置に設けられている。この場合には、変速動作が行われる場所で変速段の段数を検出するので、段数検出が容易になる。
【0015】
発明7に係る自転車用モータ制御システムは、発明2から6のいずれかに記載の自転車用モータ制御システムにおいて、自転車は、フロントスプロケット及びリアスプロケットを有する。推力算出手段は、リアスプロケットの歯数をフロントスプロケットの歯数で除算した値に、踏力を乗算して推力を求める。これにより、実際に装着されているフロントスプロケットの歯数及びリアスプロケットの歯数に基づいて推力を高精度に算出できる。
【0016】
発明8に係る自転車用モータ制御システムは、発明1に記載の自転車用モータ制御システムにおいて、自転車に搭載される内装変速装置の変速段を検出可能な変速段検出手段をさらに備えている。記憶手段は、内装変速装置の変速段と、変速段に対応するギア比とをさらに記憶する。推力算出手段は、踏力と変速段検出手段によって検出された変速段に対応に対応して、記憶手段に記憶されているギア比と、駆動力伝達体の伝達歯の歯数とに基づいて推力を算出する。
【0017】
ここでは、内装変速装置のギア比が変速段に対応して記憶されるとともに、駆動力伝達体の伝達歯の歯数が記憶手段に記憶されている。このため、駆動力伝達体(例えば、フロントスプロケット及び/又はリアスプロケット)が歯数の異なるものに交換されても、記憶手段に記憶された歯数を変更後の歯数に書き換えることにより、書き換えられた駆動力伝達体の歯数に基づいて推力を算出できる。したがって、駆動力伝達体の歯数が変更されても、推力に対する補助力の比率を各変速段において等しくすることができ、一定のアシスト比でモータを駆動することができる。
【0018】
発明9に係る自転車用モータ制御システムは、発明1又は8に記載の自転車用モータ制御システムにおいて、駆動力伝達体は、スプロケット、歯付きプーリ及び傘歯車のいずれか一つを含む。駆動力伝達体がスプロケット、歯付きプーリ及び傘歯車のいずれかであっても、本発明を適用することができる。
【0019】
発明10に係る自転車用モータ制御システムは、発明1から9のいずれかに記載の自転車用モータ制御システムにおいて、インターフェース部をさらに備えている。記憶手段の記憶内容は、インターフェース部を介して書換可能である。これにより、インターフェース部を介して接続された、例えばパーソナルコンピュータ等の外部装置により、駆動力伝達体の伝達歯の歯数を含む記憶手段の記憶内容を書き換えできる。
【0020】
発明11に係る自転車用モータ制御システムは、発明10に記載の自転車用モータ制御システムにおいて、インターフェース部に接続される入力装置をさらに備える。この場合には、入力装置を用いて、歯数を含む記憶手段の記憶内容を書き換えできる。
【0021】
発明12に係る自転車用モータ制御システムは、発明11に記載の自転車用モータ制御システムにおいて、インターフェース部は、電力線通信を用いて通信可能である。この場合には、電力線通信を用いて記憶手段の記憶内容を書き換えできるので、通信線を減らすことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、伝達歯の歯数が記憶手段に記憶されている。このため、駆動力伝達体が歯数の異なるものに変更されても、記憶手段の歯数を変更後の歯数に書き換えることにより、書き換えられた伝達歯の歯数に基づいて推力を算出できる。したがって、駆動力伝達体の伝達歯の歯数が変更されても、推力に対して所望の補助力を発生する、すなわち所望のアシスト比でモータを駆動することができる。
【0023】
本発明の別の態様によれば、スプロケットの歯数が各変速段に対応して記憶手段に記憶されている。このため、外装変速装置のスプロケットが歯数の異なるものに交換されても、記憶手段に記憶された歯数を変更後の歯数に書き換えることにより、書き換えられたスプロケットの歯数に基づいて推力を算出できる。したがって、スプロケットの歯数が変更されても、推力に対する補助力の比率を各変速段において等しくすることができ、一定のアシスト比でモータを駆動することができる。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、内装変速装置のギア比が変速段に対応して記憶されるとともに、駆動力伝達体の伝達歯の歯数が記憶手段に記憶されている。このため、駆動力伝達体(例えば、フロントスプロケット及び/又はリアスプロケット)が歯数の異なるものに交換されても、記憶手段に記憶された歯数を変更後の歯数に書き換えることにより、書き換えられた駆動力伝達体の歯数に基づいて推力を算出できる。したがって、駆動力伝達体の歯数が変更されても、推力に対する補助力の比率を各変速段において等しくすることができ、一定のアシスト比でモータを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態が採用された自転車の側面図。
【図2】第1実施形態に外装変速装置を示す側面図。
【図3】電力線通信部の構成を示すブロック図。
【図4】入力装置の接続形態を示すブロック図。
【図5】全体制御部の機能構成を示すブロック図。
【図6】全体制御部のアシスト動作を示すフローチャート。
【図7】第2実施形態が採用された自転車の側面図。
【図8】第2実施形態の図5に相当するブロック図。
【図9】第2実施形態の図7に相当するフローチャート。
【図10】他の実施形態による駆動力伝達体を示す模式図。
【図11】さらに他の実施形態による駆動力伝達体を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
図1において、本発明の第1実施形態を採用する自転車は人力よる駆動をモータユニット10により補助するアシスト自転車である。なお、以下の説明では、自転車の左右は、通常、自転車を後方から見たときに右にあるのを右とし、左にあるのを左と規定している。
【0027】
自転車は、フレーム体102及びフロントフォーク103を有するフレーム101と、ハンドル部104と、駆動部105と、前輪106fと、後輪106rと、フロントブレーキ装置107f及びリアブレーキ装置107rと、前照灯23と、尾灯24と、を備えている。フロントフォーク103は、フレーム体102の前部に斜めの軸回りに揺動自在に装着されている。フロントブレーキ装置107f及びリアブレーキ装置107rは、前輪106f及び後輪106rを制動する。
【0028】
フレーム101には、ハンドル部104を含む各部が取り付けられている。駆動部105は、フレーム体102のハンガー部に回転自在に支持されたクランク軸116と、クランク軸116の両端に固定されたギアクランク118a及び左クランク(図示せず)と、ギアクランク118aに掛け渡されたチェーン119と、外装変速装置111と、を有している。外装変速装置111は、フロント外装変速装置111fと、リア外装変速装置111rと、を有している。
【0029】
フロント外装変速装置111fは、図2に示すように、フロントディレーラ108fと、ギアクランク118aに装着された、異なる数のスプロケット歯FS1a〜FS3aを有する複数、本実施の形態では3枚のフロントスプロケットFS1〜FS3と、を有している。スプロケット歯FS1a〜FS3aは、伝達歯の一例である。フロントディレーラ108fは、図1に示すように、フレーム体102の中央部に装着可能であり、例えばシートスティに装着可能である。フロントディレーラ108fは、3枚のフロントスプロケットFS1〜FS3のいずれかにチェーン119を架け渡すものである。フロントスプロケットFS1は、スプロケット歯FS1aの歯数FTが例えば「44」である。フロントスプロケットFS2は、スプロケット歯FS2aの歯数FTが例えば「32」である。フロントスプロケットFS3は、スプロケット歯FS3aの歯数FTが例えば「22」である。
【0030】
リア外装変速装置111rは、図2に示すように、リアディレーラ108rと、後輪106rのリアハブ110に装着されたカセットスプロケット109の複数、本実施の形態では9枚のリアスプロケットRS1〜RS9と、を有している。リアディレーラ108rは、フレーム体102の後部に装着可能である。リアディレーラ108rは、9枚のスプロケットRS1〜RS9のいずれかにチェーン119を架け渡すものである。リアスプロケットRS1からリアスプロケットRS9に向かうに連れて歯数RTが多くなる。リアスプロケットRS1〜RS9のスプロケット歯RS1a〜RS9aの歯数RTは、例えば「11,13,15,17,20,23,26,30,34」である。スプロケット歯RS1a〜RS9aは、伝達歯の一例である。本実施の形態では、フロントディレーラ108f及びリアディレーラ108rは、いずれも電動駆動されるものである。リアディレーラ108rは、図1に示すように、フレーム体102の後部に装着可能である。
【0031】
図1に示すように、フレーム体102の後上部には、リアキャリア112が取り付けられている。リアキャリア112には、全体制御部12を含むリアキャリアユニット13が装着されている。リアキャリアユニット13は、後述するモータユニット10、全体制御部12及び前照灯23等の電源となる蓄電部14を着脱可能に搭載している。蓄電部14は、例えばニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等の蓄電池を含んでいる。蓄電部14に尾灯24が一体で取り付けられている。
【0032】
前輪106fの中心には、前輪106fの駆動補助用のモータユニット10が装着されている。モータユニット10の内部には、図5に示すように、モータ60と、インバータ61と、速度センサ62とが設けられている。モータ60は、たとえば3相ブラシレスDCモータ又は交流モータである。インバータ61は、蓄電部14から直流出力された電流をモータ60のアシストモードに応じたアシスト力を発生する交流電流に変換する。また、インバータ61は、モータ60の回生制動力を変化させる。速度センサ62は、モータ60の回転速度つまり、自転車の速度を検出する。
【0033】
ハンガー部122には、クランク軸116に作用する踏力を検出可能なトルクセンサ17(図5参照)及びクランク軸116の回転角度を検出する角度センサ(図示せず)が設けられている。
【0034】
リアキャリアユニット13は、全体制御部12を内部に有している。全体制御部12は、マイクロコンピュータを有し、接続された電装品を制御する。全体制御部12は、アシストモードのとき、ライダーが駆動部105を駆動することによって発生する推力の最大でN1倍のアシスト力が発生するようにモータユニット10を制御可能である。全体制御部12は、複数の回生制動モードと複数のアシストモードとでモータ60を制御する。具体的には、全体制御部12は、アシストモードでは、推力のN1倍のアシスト力で補助する強アシストモード、N2倍のアシスト力で補助する中アシストモード、及びN3倍のアシスト力で補助する弱アシストモードの3つのアシストモードを有している。N1、N2及びN3は、予め定める補助比率ARの数字を表し、N1>N2>N3に選ばれる。N1は例えば2に選ばれ、N2は例えば1.5に選ばれ、N3は例えば1に選ばれる。
【0035】
また、回生制動モードは、常時回生モードと、後述する右ブレーキレバー16f及び/又は左ブレーキレバー16rのレバー部材31の移動位置に応じて制動力を変化させるブレーキ回生モードとの2つの制動モードを含んでいる。
【0036】
また、モータユニット10の動作モードには、アシスト及び回生制動を両方とも行わないオフモードも含まれている。
【0037】
ハンドル部104は、図1に示すように、フロントフォーク103の上部に固定されたハンドルステム114と、ハンドルステム114に固定されたバーハンドル型のハンドルバー115とを有している。ハンドルバー115の両端には、右ブレーキレバー16f及び左ブレーキレバー16rと、グリップ15と、が装着されている。ハンドルバー115の中央部には、表示装置18が固定されている。右ハンドルレバー16f及び左ハンドルレバー16rには、フロントディレーラ108f及びリアディレーラ108rの変速操作を行うための変速操作スイッチを含む種々の操作スイッチが設けられている。フロント変速用及びリア変速用の変速操作スイッチは、それぞれシフトアップスイッチ及びシフトダウンスイッチを有している。
【0038】
フロントディレーラ108fは、フロント変速モータ(図示せず)及びフロント段数センサ21f(図5に示す)を有し、リアディレーラ108rは、リア変速モータ(図示せず)及びリア段数センサ21r(図5に示す)を有している。フロント段数センサ21f及びリア段数センサ21rは、変速段検出手段の一例である。フロント段数センサ21fは、フロントディレーラ108fの変速段を検出し、リア段数センサ21rは、リアディレーラ108rの変速段を検出する。また、フロントディレーラ108fはフロント変速モータを制御する図示しないフロント制御部を有し、リアディレーラ108rは、変速モータを制御する図示しないリア制御部を有している。このフロント段数センサ21f及びリア段数センサ21rの出力に基づいて表示装置18にフロントディレーラ108f及びリアディレーラ108rの現在の変速段が各別に表示される。
【0039】
表示装置18には、右ブレーキレバー16f及び左ブレーキレバー16rが別々の電力線70を介して接続されている。
【0040】
各電装品は、電力線通信により接続されかつシリアルバス構造で接続されている。これにより、全体制御部12が搭載される電装品を除いて、いずれの電装品を接続又は離脱しても、電装システムは動作可能である。また、後述する電力線通信部90を有する外部機器を、リアキャリアユニット13を含むいずれの電装品にも接続できる。
【0041】
全体制御部12が搭載された電装品を含む各電装品には、図3に示すように、電力線通信部90と、電装品を制御する電装品制御部92とが設けられている。電力線通信部90は、PLC(Power Line Communications)によって通信を行う。すなわち電力線を介して双方向の通信を行う。電力線通信部90は、1又は複数の電力線接続部90aを有している。電力線接続部90aは、電力線70の両端に設けられたプラグ部65が着脱可能な形状を有し、プラグ部65を係止する。
【0042】
電力線通信部90は、電力に重畳された制御信号を復号及び変調する信号処理部90bを有している。信号処理部90bは、例えば、OFDM方式(直交周波数分割多重方式)により制御信号を復号及び変調する。
【0043】
電装品制御部92は、マイクロコンピュータを有し、個別の電装品を制御するためのものである。電装品制御部92には、電装品固有の識別情報が格納された識別情報記憶部93が接続されている。全体制御部12は、電装品が接続されると、この識別情報を電装品から受け取り、接続された電装品を認識する。これにより、全体制御部12は、接続された電装品に向けて制御信号を送信する。また、接続された電装品から制御信号を受信する。なお、全体制御部12は、リアキャリアユニット13の電装品制御部92の機能を有している。
【0044】
前述したように、各電装品は、シリアルバス構造に接続されている。すなわち、電力線通信部90と電力線70とでシリアルバスが構成される。
【0045】
本実施形態では、電装品を電力線通信により接続しているため、図4に示すように、電力線通信機能と、外部機器接続機能とを有する変換部98を設けると、外部機器との間での間でデータをやり取りできる。たとえば、いずれかの電装品の電力線通信部90に、変換部98を接続することにより、後述する記憶部95の記憶内容を外部機器により書換可能になる。電装品に設けられた電力線通信部90は、インターフェース部の一例である。具体的には、図4では、外部機器である入力装置として、例えばパーソナルコンピュータ125(以下、PC125という)を用いている。変換部98は上述した電力線通信部90を有していると共に、外部機器接続機能としてPC125と例えばUSB(Universal Serial Bus)規格で通信可能なUSB通信部99を有しており、PC125とUSBケーブル78を介して接続可能である。
【0046】
<モータ制御システムの機能構成>
図5に示すように、本発明の第1実施形態によるモータ制御システム117は、全体制御部12を有している。全体制御部12は、ソフトウェアで実現される機能構成として、変速制御部72と、アシスト制御部73と、回生制動制御部74と、を有している。また、全体制御部12には、蓄電部14と、インバータ61と、トルクセンサ17と、リア段数センサ21rと、フロント段数センサ21fと、記憶部95と、が接続されている。トルクセンサ17は、踏力検出手段の一例であり、記憶部95は、記憶手段の一例である。記憶部95は、例えば、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)又はフラッシュメモリ等の書換可能な不揮発メモリ素子で構成されており、フロント歯数記憶部96と、リア歯数記憶部97と、を有している。記憶部95は、全体制御部12とともにリアキャリアユニット13に設けられている。
【0047】
フロント歯数記憶部96には、フロント外装変速装置111fの変速段と、この変速段に対応するフロントスプロケットRS1〜RS3の歯数RTが記憶されている。たとえば高速の変速段1のフロントスプロケットFS1、中速の変速段2のフロントスプロケットFS2及び低速の変速段3のフロントスプロケットFS3の歯数FTが、それぞれ「44」,「32」,「22」としてフロント歯数記憶部96に記憶されている。
【0048】
リア歯数記憶部97には、リア外装変速装置111rの変速段と、この変速段に対応するリアスプロケットRS1〜RS9の歯数RTが記憶されている。リア外装変速装置111rのリアスプロケットRS1〜RS9の歯数RTが変速段1〜9の順に、たとえば「11,13,15,17,20,23,26,30,34」としてリア歯数記憶部97に記憶されている。この記憶内容は、前述したように、記憶部95が設けられている電装品に変換部98を接続し、さらに変換部98にPC125を接続することにより、PC内にロードされたソフトウェアにより書換可能である。したがって、フロントスプロケットFS1〜FS3及びリアスプロケットRS1〜RS9のいずれかを歯数の異なるものに交換した場合には、変換部98を介して電装品にPC125を接続することにより歯数FT及び歯数RTの少なくとも一方を書き換えることができる。
【0049】
変速制御部72は、フロント変速用及びリア変速用の変速操作スイッチのシフトアップスイッチ及びシフトダウンスイッチの操作に応じてフロントディレーラ108f及びリアディレーラ108rの段数を制御する。アシスト制御部73は、スイッチ操作で選択されたアシストモードでインバータ61を介してモータ60を制御する。回生制動制御部74は、スイッチ操作で選択された回生制動モードでインバータ61を介してモータ60を制御する。
【0050】
アシスト制御部73は、機能構成として、ギア比算出部75と、推力算出部76と、出力制御部77と、を有している。推力算出部76は、推力算出手段の一例であり、出力制御部77はモータ制御手段の一例である。ギア比算出部75は、アシストモード処理のときに、記憶部95のフロント歯数記憶部96及びリア歯数記憶部97から現在のフロント外装変速装置111f及びリア外装変速装置111rの変速段に対応するフロント歯数FT及びリア歯数RTを読み込み、ギア比R(R=FT/RT)を算出する。推力算出部76は、トルクセンサ17からライダーの現在の踏力のトルクTを表す情報を読み込み、読み込んだ情報が表すトルクTと算出されたギア比Rとに基づいて現在の推力DF(df=(1/R)×T)を算出する。推力DFは、人力によって駆動される駆動輪の出力トルク、すなわち後輪の出力トルクを表す。出力制御部77は、算出された推力DFにアシストモードに応じた補助比率ARを乗算して補助力AF(AF=AR×DF)を求める。そして算出された補助力AFに応じてモータ60の出力を制御する。
【0051】
<アシスト制御部の制御動作>
次に、全体制御部12及びアシスト制御部73の制御動作を、図6に示す制御フローチャートに基づいて説明する。なお、図6に示す処理は本発明の制御動作の一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0052】
蓄電部14からの電力が全体制御部12に供給されると、全体制御部12が制御動作を開始する。
【0053】
アシストモード処理では、図6のステップS21でリア段数センサ21r及びフロント段数センサ21fから現在の変速段に関する情報を取り込む。ステップS22では、ステップS21fで取り込んだ現在の変速段に関する情報に基づいて、記憶部95のフロント歯数記憶部96及びリア歯数記憶部97から現在の変速段に対応するフロント歯数FT及びリア歯数RTを読み込む。ステップS23では、読み込んだフロント歯数FTとリア歯数RTとからフロント外装変速装置111fとリア外装変速装置111rとのギア比Rを算出する。具体的には、フロント歯数FTをリア歯数RTで除算してギア比R(R=FT/RT)を算出する。ステップS24では、トルクセンサ17からライダーの踏力を表すトルクTを取り込む。ステップS25では、取り込んだトルクTと算出した変速比Rとから自転車の推力DFを算出する。推力DFは、変速比Rの逆数(1/R)にトルクTを乗算(DF=(1/R)×T)することにより得られる。ステップS26では、補助力AFを算出する。補助力AFは、算出された推力DFにアシストモードに応じた補助比率ARを乗算(AF=AR×DF)することにより求められる。ステップS27では、得られた補助力ARを出力するようにモータユニット10のインバータ61を介してモータ60の出力を制御する。具体的には、インバータ61によりモータ60を補助比率に応じてパルス幅変調を用いて駆動する。図6のアシストモード処理は、変速が行われる度にスタートしてもよく、予め定める間隔で繰り返し実行されてもよい。
【0054】
このように第1実施形態では、フロント外装変速装置111fのフロントスプロケット機FS1〜FS3のフロント歯数FTとリア外装変速装置111rのリアスプロケットRS1〜RS9のリア歯数RTとをそれぞれの変速段に対応して記憶部95のフロント歯数記憶部96とリア歯数記憶部97とに書換可能に記憶している。このため、フロントスプロケットFS1〜FS3及びリアスプロケットRS1〜RS9のいずれかを交換しても、各変速段において、推力に対する補助力の比率を各変速段において等しくすることができ、一定のアシスト比でモータを駆動することができる。
【0055】
<第2実施形態>
第1実施形態では、外装変速装置111を有する自転車に対して本発明を適用したが、本発明は、変速装置の有無に関わらず駆動力伝達体を有する全ての自転車に適用できる。
【0056】
図7において、第2実施形態を採用する自転車は、人力よる駆動をモータユニット210により補助するアシスト自転車である。なお、第2実施形態の各構成要素の符号については、第1実施形態の各構成要素と同一又は類似するものについて、第1実施形態の符号に200を加算して図面に記載し、一部の構成を除いて明細書で説明している。
【0057】
自転車は、第1実施形態と同様に、フレーム体302及びフロントフォーク303を有するフレーム301と、ハンドル部304と、駆動部305と、前輪306fと、後輪306rと、フロントブレーキ装置307f及びリアブレーキ装置307rと、前照灯223と、尾灯224と、を備えている。後輪306rには、電動駆動される内装変速ハブ311が装着されている。内装変速ハブ311は、内装変速装置の一例である。内装変速ハブ311は、例えば8段変速のものである。内装変速ハブ311の各変速段のギア比は、高速段から低速段に向かって徐々に小さくなる。内側変速ハブ311のハブギア比RIは、高速段から低速段に向かって、例えば「1.61,1.42,1.22,1.00,0.85,0.75,0.64,0.53」である。内装変速ハブ311には、変速モータ(図示せず)と段数センサ221(図8に示す)とが設けられている。ギアクランク318aは、1枚のフロントスプロケットFSを有し、内装変速ハブ311には、1枚のリアスプロケットRSが装着されている。フロントスプロケットFSの歯数は、例えば「32」であり、リアスプロケットRSの歯数は、例えば「14」である。
【0058】
フレーム体302の後上部には、第1実施形態と同様にリアキャリア312が取り付けられている。リアキャリア312には、全体制御部212を含むリアキャリアユニット213が装着されている。リアキャリアユニット313は、後述するモータユニット210、全体制御部212及び前照灯223等の電源となる蓄電部214を着脱可能に搭載している。蓄電部214は、例えばニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等の蓄電池を含んでいる。蓄電部214に尾灯224が一体で取り付けられている。リアキャリアユニットに代えてフレーム体302の中央部分に全体制御部及び蓄電部を配置してもよい。
【0059】
表示装置218は、概ね第1実施形態と同じであるが、サイクルコンピュータ画面では、8段の変速段のいずれかが表示される点が第1実施形態と異なる。変速操作部(図示せず)は、ハンドルバー315に配置されたシフトアップ及びシフトダウンスイッチを有している。
【0060】
右ブレーキレバー216f及び左ブレーキレバー216rの構成は、第1実施形態と同様である。
【0061】
電装品については、フロントディレーラ用のものがなく、また、リアディレーラ用の電装品が内装変速ハブ311用の電装品となっている点が異なり、その他の点は第1実施形態と同じである。電装品は、第1実施形態と同様に電力線通信により接続されている。
【0062】
<全体制御部の機能構成>
図8に示すように、モータ制御システム317は、全体制御部212を有している。全体制御部212は、ソフトウェアで実現される機能構成として、変速制御部272と、アシスト制御部273と、回生制動制御部274と、を有している。アシスト制御部273は、モータ制御システムの一例である。また、全体制御部212には、蓄電部214と、インバータ261と、ハンガー部322に設けられたトルクセンサ217と、段数センサ221と、記憶部295と、が接続されている。
【0063】
記憶部295は、例えば、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)又はフラッシュメモリ等の書換可能な不揮発メモリ素子で構成されており、フロント歯数記憶部296と、リア歯数記憶部297と、ハブギア比記憶部294と、を有している。フロント歯数記憶部296には、フロントスプロケットFSのフロント歯数FTが記憶されている。リア歯数記憶部297には、リアスプロケットRSのリア歯数RTが記憶されている。ここでは、第1実施形態と異なり、フロントとリアでそれぞれ一つの歯数が記憶されている。また、ハブギア比記憶部294には、内装変速ハブ311の各変速段に対応してギア比が記憶されている。このギア比の数値は前述したものである。このハブギア比記憶部294がある点が第2実施形態と異なる。なお、ハブギア比記憶部294は、通常は書き換えする必要がないため、記憶部295とは別に読出専用の記憶部に記憶させてもよい。この場合、内装変速ハブ内に読出専用の記憶部を設けてもよい。
【0064】
変速制御部272は、シフトアップスイッチ及びのシフトダウンスイッチの操作に応じて内装変速ハブ311の段数を制御する。アシスト制御部273は、スイッチ操作で選択されたアシストモードでインバータ261を介してモータ260を制御する。回生制動制御部274は、スイッチ操作で選択された回生制動モードでインバータ261を介してモータ260を制御する。
【0065】
アシスト制御部273は、機能構成としてギア比算出部275と、推力算出部276と、出力制御部277と、を有している。ギア比算出部275は、アシストモード処理のときに、記憶部295のフロント歯数記憶部296及びリア歯数記憶部297から現在のフロント歯数FT及びリア歯数RTを読み込むとともに、ハブギア比記憶部294から現在の内装変速ハブ311のハブギア比RIを読み込み、ギア比R(R=RI×(FT/RT))を算出する。推力算出部276は、トルクセンサ217からライダーの現在の踏力のトルクTを表す情報を読み込み、読み込んだ情報が表すトルクTと算出されたギア比Rとに基づいて現在の推力DF(df=(1/R)×T)を算出する。出力制御部77は、算出された推力DFにアシストモードに応じた補助比率ARを乗算して補助力AF(AF=AR×DF)を求める。そして算出された補助力AFに応じてモータ260の出力を制御する。
【0066】
<アシスト制御部の制御動作>
次に、アシスト制御部273の制御動作を、図9に示す制御フローチャートに基づいて説明する。なお、図9に示す処理は本発明の制御動作の一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0067】
アシストモードを実行するステップS31において、記憶部295のフロント歯数記憶部296及びリア歯数記憶部297から現在のフロント歯数FT及びリア歯数RTを読み込むとともに、ハブギア比記憶部294から現在の内装変速ハブ311のハブギア比RIを読み込む。ステップS33では、読み込んだフロント歯数FTとリア歯数RTとハブギア比RIとからギアクランク318aから内装変速ハブ311までのギア比Rを算出する。具体的には、フロント歯数FTをリア歯数RTで除算した値にハブギア比を乗算してギア比R(R=RI×(FT/RT))を算出する。ステップS34では、トルクセンサ217からライダーの踏力を表すトルクTを取り込む。ステップS35では、取り込んだトルクTと算出した変速比Rとから自転車の推力DFを算出する。推力DFは、変速比Rの逆数(1/R)にトルクTを乗算(DF=(1/R)×T)することにより得られる。推力DFは、人力によって駆動される駆動輪の出力トルク、すなわち後輪の出力トルクを表す。ステップS36では、補助力AFを算出する。補助力AFは、算出された推力DFにアシストモードに応じた補助比率ARを乗算(AF=AR×DF)することにより求められる。ステップS37では、得られた補助力ARを出力するようにモータユニット210のインバータ261を介してモータ260の出力を制御する。具体的には、インバータ261によりモータ260を補助比率に応じてパルス幅変調を用いて駆動する。
【0068】
このように、内装変速ハブ311を有する自転車に本発明を適用して第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0069】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0070】
(a)前記実施形態では、フロントディレーラ108f、リアディレーラ108r及び内装変速ハブ311は、いずれも電動駆動されるものであるが、これらは変速操作部と変速ケーブルによって接続されて駆動される構成としてもよい。
【0071】
(b)前記実施形態では、変速段検出手段としてのフロント段数センサ21f、リア段数センサ21r、及び段数センサ221を変速装置に設けたが、変速操作部に設けてもよい。特に、変速装置が電動駆動ではなく、変速ケーブルで変速操作部と連結されている手動駆動の場合、変速操作部の操作位置により変速段を検出するようにしてもよい。
【0072】
(c)前記実施形態では、伝達歯を有する駆動力伝達体としてスプロケットを開示したが、本発明はこれに限定されない。図10に示すように、伝達歯を有する駆動力伝達体としてフロント歯付きプーリFPとリア歯付きプーリRPとを歯付きベルト419で連結したベルト駆動の自転車にも本発明を適用できる。また、図11に示すように、フロント傘歯車FBとリア傘歯車RBとを連結シャフト519で連結したシャフト駆動の自転車にも本発明を適用できる。この場合、歯付きプーリ又は傘歯車の歯数を記憶部に書換可能に記憶すればよい。
【0073】
(d)前記実施形態では、電装品が電力線通信により接続されているが、通常の制御線及び電力線を別々に配線したシステムにも本発明を適用することができる。
【0074】
(e)前記実施形態では、入力装置としてPC125を用い、変換部98を介して電装品と接続したが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示装置に入力装置としての数値入力用のテンキー等の入力キーを配置し、表示装置上で記憶部の記憶内容を書き換えるようにしてもよい。この場合、表示装置の画面をアシスト画面とサイクルコンピュータ画面に加えて入力画面に切り換えられるようにしてもよい。
【0075】
(f)前記実施形態では、リアキャリアユニット13に変換部98を介して入力装置としてのPC125を接続したが、電力線通信部90を有する全ての電装品のいずれか一つに入力装置を接続できる。
【0076】
(g)前記実施形態では、記憶部25に記憶される歯数のみを書き換えているが、歯数のみはなく、変速段の数についても書き換えてもよい。たとえば、リアスプロケットの数を9枚から10枚に増やす、又は9枚から8枚に減らしたときに、記憶部に記憶される変速段の数についても9段から10段に増やす、又は9段から8段に減らし、これらに対応する歯数を記憶させてもよい。
【符号の説明】
【0077】
12,212 全体制御部
17,217 トルクセンサ
21f フロント段数センサ
21r リア段数センサ
60,260 モータ
73,273 アシスト制御部
75,275 ギア比算出部
76,276 推力算出部
77,277 出力制御部
90 電力線通信部
92 電装品制御部
95,295 記憶部
96,296 フロント歯数記憶部
97,297 リア歯数記憶部
108f フロントディレーラ
108r リアディレーラ
109 カセットスプロケット
111 外装変速装置
111f フロント外装変速装置
111r リア外装変速装置
117,317 モータ制御システム
125 パーソナルコンピュータ(PC)
221 段数センサ
294 ハブギア比記憶部
311 内装変速ハブ
419 歯付きベルト
519 連結シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝達歯が形成された駆動力伝達体を有する自転車に搭載可能な駆動補助用のモータを制御する自転車用モータ制御システムであって、
前記伝達歯の歯数を記憶可能な記憶手段と、
踏力を検出可能な踏力検出手段と、
前記踏力検出手段によって検出される踏力と、前記記憶手段に記憶されている伝達歯の歯数と、に基づいて推力を算出する推力算出手段と、
前記推力に基づいて前記モータを制御するモータ制御手段と、
を備える自転車用モータ制御システム。
【請求項2】
前記駆動力伝達体はスプロケットであり、
前記自転車に搭載される外装変速装置の変速段を検出可能な変速段検出手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記外装変速装置の変速段と、前記変速段に対応する前記スプロケットの歯数と、を記憶し、
前記推力算出手段は、前記踏力検出手段によって検出される踏力と、前記変速段検出手段によって検出された変速段に対応して前記記憶手段に記憶されている前記スプロケットの歯数と、に基づいて推力を算出する、請求項1に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項3】
前記外装変速装置は、複数のフロントスプロケットとフロントディレーラとを有するフロント変速装置を備え、
前記記憶手段は、前記フロント変速装置の変速段と、前記変速段に対応する複数の前記フロントスプロケットの歯数と、を記憶する、請求項2に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項4】
前記外装変速装置は、複数のリアスプロケットとリアディレーラとを有するリア変速装置を備え、
前記記憶手段は、前記リア変速装置の変速段と、前記変速段に対応する複数の前記リアスプロケットの歯数と、を記憶する、請求項2に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項5】
前記外装変速装置は、複数のフロントスプロケットとフロントディレーラとを有するフロント変速装置と、複数のリアスプロケットとリアディレーラとを有するリア変速装置と、を備え、
前記記憶手段は、前記フロント変速装置の変速段と前記変速段に対応する複数の前記フロントスプロケットの歯数、及び前記リア変速装置の変速段と前記変速段に対応する複数の前記リアスプロケットの歯数、を記憶する、請求項2に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項6】
前記変速段検出手段は、前記外装変速装置に設けられている、請求項2から5のいずれか1項に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項7】
前記自転車は、フロントスプロケット及びリアスプロケットを有し、
前記推力算出手段は、フロントスプロケットの歯数をリアスプロケットの歯数で除算した値の逆数に、前記踏力を乗算して前記推力を求める、請求項2から6のいずれか1項に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項8】
前記自転車に搭載される内装変速装置の変速段を検出可能な変速段検出手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記内装変速装置の変速段と、前記変速段に対応するギア比をさらに記憶し、
前記推力算出手段は、前記踏力と前記変速段検出手段によって検出された変速段に対応に対応して前記記憶手段に記憶されているギア比と、前記記憶手段に記憶されている前記駆動力伝達体の前記伝達歯の歯数と、に基づいて前記推力を算出する、請求項1に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項9】
前記駆動力伝達体は、スプロケット、歯付きプーリ及び傘歯車のいずれか一つを含む、請求項1又は8に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項10】
インタフェース部をさらに備え、
前記記憶手段の記憶内容は、インタフェース部を介して書換可能である、請求項1から9のいずれか1項に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項11】
前記インタフェース部に接続される入力装置をさらに備える、請求項10に記載の自転車用モータ制御システム。
【請求項12】
前記インタフェース部は、電力線通信を用いて通信可能である、請求項10又は11に記載の自転車用モータ制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−96614(P2012−96614A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244337(P2010−244337)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)