自重曲げ板ガラス
板ガラスを曲げる自重曲げモールドは、周縁整形レールであって、少なくとも1個端部区域および周縁整形レールに取り付けた少なくとも1個の補助レールを備え、補助レールを対応する端部区域の少なくとも一部にそれぞれ隣接して少なくとも1個のマウントによって取り付け、このマウントは、補助レールの対応する端部区域に対する相対的な垂直移動を可能にする構成とした、該周縁整形レールと、補助レールを上昇した位置に選択的かつ一時的に配置するトリップ機構と、およびこのトリップ機構に連結したラッチ機構とを備え、このラッチ機構は、外部アクチュエータが係合して、トリップ機構の作動により対応の端部区域に対する補助レールの相対的垂直方向移動を生じ、これにより、を後段階で補助レールが端部区域に対して下降した位置へ配置することができるよう構成する。このモールドを用いた板ガラス曲げ方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自重曲げモールド、ならびに板ガラスの自重曲げ装置および方法に関する。特に、本発明は、とくに、垂れ曲げとしても知られる板ガラスの自重(重力作用下での)曲げに関し、板ガラスを自重曲げモールドで支持するとともに、ガラス曲げ炉の加熱ガラス焼きなまし炉に搬送する。
【背景技術】
【0002】
板ガラスに自重曲げを施し、車両用窓、例えば自動車の窓を形成するための板ガラスを整形することはよく知られている。単独の板ガラスを自重曲げモールド上で曲げる、または2枚の板ガラスをその後一緒に積層して積層フロントガラスを形成するとき、2枚の板ガラスを積層体として自重曲げモールド上で曲げることができる。多くの最新自動車の窓は、1つ以上の端縁またはコーナーで高度の(大きな)曲率にすることを要する。このような大きな曲率を1枚または複数の板ガラスに導入(付与)するとき、板ガラスに目に見える欠陥を発生し、板ガラスの光学的品質を低下させる恐れがある。また、曲げ操作を一貫して制御するのが難しい。さらに、ある用途によっては、湾曲ガラス表面が意匠表面に適合するよう高度な表面制御を必要とする。これはまた、現行のフロントガラスワイパーシステムに対するフロントガラスの適合性を確保することもできる。
【0003】
さらに、板ガラスの上面を下方へ押圧するよう構成したプレス曲げ金型を用いるような、重力以外の他の力を用いて高い曲率を達成することが可能であるが、板ガラスが軟らかく、ガラス焼きなまし炉を通るにつれてモールドによって画成された所望の形状に垂れるので、該板ガラスに作用する重力のみを用いることにより所望の曲率を達成するのが望ましい。なぜなら、付加的なプレス曲げ金型を使用すると、曲げ工程中に板ガラスの上面と接触し、金型による上面に対する不慮のマーク付けの結果として板ガラスの表面品質の低下を招き、また設備コストを増加するからである。その上、付加的なプレス曲げ工程を用いることに比べ、自重曲げを単独で用いることにより、生産率を上げることができる。
【0004】
1枚以上の板ガラスを曲げて車両用の窓を形成する従来の自重曲げモールドとしては2タイプが知られている。
【0005】
第1のタイプにおいて、自重曲げモールドは周縁リムを有する固定モールドであって、周縁リムにより1枚または複数の板ガラスをガラス下面の周端縁に沿って支持する。周縁リムは板ガラスの望ましい曲げ形状を形成する。
【0006】
まず、1枚または複数の板ガラスを曲げモールド上に配置し、板ガラスを周縁リムの最も高い部分によりほぼ水平に支持する。次いで、1枚または複数の板ガラスと自重曲げモールドとの組立体を加熱レア(ガラス焼きなまし炉)に通過させる。ガラスは熱くなるにつれ軟化し、板ガラスが周縁リムの全周で支持されるまで、自重(重力作用)により徐々に下方に垂れる。
【0007】
このような固定自重曲げモールドは、通常比較的低い(小さい)曲率を1枚または複数の板ガラスに与えるのに使用する。これは一般に車両の横窓(サイドウインドウ)に用いる。
【0008】
第2のタイプにおいて、自重曲げモールドは関節型である。1枚または複数の板ガラスを曲げて車両のフロントガラスを形成するための従来の関節型自重曲げモールドについては、曲げモールドの中央部が固定であり、2個の関節型ウィングを中央部の両側の端部に回動可能に取り付ける。中央部と2個の関節型ウィングが、1枚または複数の板ガラスをガラス下面の周端縁に沿って支持する周縁リムを画定する。ウィングに回転力を付与する釣り合いおもりにウィングを連結し、各ウィングをそれぞれの回動軸線のまわりでほぼ水平な開いた初期位置から、リムが板ガラスの望ましい曲げ形状を形成する閉じた曲げ位置まで上方に回動させる。
【0009】
まず、ウィングをほぼ水平の開いた初期位置まで下方へ押し、1枚または複数の板ガラスを曲げモールド上に配置し、これにより板ガラスを周縁リムのウィング部分により水平に支持する。次いで、自重曲げモールド上の板ガラス組立体を加熱レア(ガラス焼きなまし炉)に通過させる。ガラスは熱くなるにつれ軟化し、自重により徐々に下方へ垂れ、関節型ウィングが各回動軸線のまわりで釣り合いおもりの作用の下に少しずつ上方へ回動してモールドを閉じる。最終完全閉鎖位置において、1枚または複数の板ガラスはウィング部分および中央部両方の周縁リム部分により全周に渡って支持される。
【0010】
このような関節型自重曲げモールドは、通常比較的高い曲率を1枚または複数の板ガラスに導入(付与)するのに使用する。一般に車両のフロントガラスに使用する。
【0011】
ときには、高度の(大きな)曲率を板ガラスの端縁またはコーナーに導入(付与)するのが望ましい場合がある。関節型ウィングにおいてリムに隣接して設けた補助リムを使用することが知られている。この補助リムは、関節型ウィングに取り付ける、または中央部用の支持体に取り付けた補助ウィングの一部とする。
【0012】
例えば、特許文献1(欧州特許出願公開第0885851号)は、このような補助リムを内蔵する関節型重力曲げモールドを開示する。補助リムはモールドの端部に配置し、曲げ工程中に釈放する。補助リムは、隣接する端部レールよりも大きな曲率半径を有し、これにより少量の横方向(クロス方向)曲率を初期的に導入(付与)し、ついで大量の横方向(クロス方向)曲率を導入(付与)する。これら2つの曲げ工程は、時間的に重なり合い、縦方向曲げおよび横方向曲げを同時に導入する2つの曲げ工程間の移行フェーズを生ずる。このことは、少なくとも部分的であり、これは、すなわち補助レールが内部作動により落下するからであり、このことは補助レールの落下により横方向曲率付与開始するため、縦方向曲げ工程中にウィングの連続する動的運動を要するからである。このことは、曲げ工程を正確に制御するのを困難にするという技術的な問題をもたらす。このことは、所要の仕様にかなう板ガラスの曲率および光学特性に関する品質管理問題をも引き起こす。また、モールドの構造も比較的複雑である。
【0013】
特許文献2(米国特許第3235350号)は、中央部の各端部に1対の隣接ウィング部を組み込んだ自重曲げモールドを開示する。第1ウィング部は初期的曲げ工程において作動し、次に第2ウィング部が曲げ工程完了するように引き継ぐ。このモールドは構造が複雑で、板ガラスの端部または端縁に位置する領域に高曲率を有する最新の車両フロントガラスを作成するには適さない。
【0014】
本発明は、少なくとも部分的にはこれら既知の自重曲げモールドの問題を克服することを目的とする。
【0015】
近年、いくつかの自動車は、パノラマルーフまたはムーンルーフを車両デザインに組み込むようになった。これらは、自動車のルーフほぼ全体にわたって延在する、補強したまたはラミネートした窓ガラスの単体からなり、また車両の車体に滑らかに融合するよう整形することを要する。通常、パノラマまたはムーンルーフは、そのコーナー、もっとも一般的には車両フロントガラスの上側コーナーにぴったりはまることが求められるフロントコーナーを除いて、縦方向曲率および横方向曲率の双方とも比較的低度の曲率を有する。
【0016】
これら高曲率のフロントコーナーを正確に曲げるのは困難である。一つの問題は、ガラス整形処理中に、例えば自重曲げモールドの使用中に、平坦部または均一な反転曲率が高曲率部分の端縁内に形成されることがある。パノラマまたはムーンルーフの周端縁には遮蔽帯を設けるため、これら端縁は可視光線を透過せず、むしろ反射する。このような反射特性は、周端縁における不正確な曲率による視覚的悪影響を増長する傾向がある。さらに、フロントガラスの上側コーナーの上方に位置する、パノラマまたはムーンルーフの最も湾曲した部分は、ほぼ目の高さあたりにあり、光がよく当たるため、極めて極めて目に入る。このことは、また、これら領域における不正確に整形された窓ガラスによる視覚的悪影響を増幅させる。これに対し、車両フロントガラス用の著しく湾曲したコーナーは、一般に車両の車体によって通常少なくとも部分的に覆い隠された下側コーナーである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許公開第0885851号明細書
【特許文献2】米国特許第3235350号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、既知のパノラマまたはムーンルーフのこれらの問題を少なくとも部分的に克服すること、および特に自重曲げモールドを用いて製造して、優れたパノラマまたはムーンルーフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は板ガラスを曲げる自重曲げモールドを提供するものであり、本発明自重曲げモールドは、周縁整形レールであって、少なくとも1個の端部区域および周縁整形レールに取り付けた少なくとも1個の補助レールを有し、この補助レールを、対応する端部区域の少なくとも一部にそれぞれ隣接して少なくとも1個のマウントによって取り付け、このマウントは、補助レールの端部区域に対する相対的な垂直移動を可能にする構成とした、該周縁整形レールと、補助レールを上昇位置に選択的かつ一時的に配置するトリップ機構と、およびこのトリップ機構に連結したラッチ機構とを備え、このラッチ機構は、外部アクチュエータが係合して、トリップ機構の作動により対応の端部区域に対する補助レールの相対的垂直移動を生じ、これにより、後段階で補助レールが端部区域に対する下降位置へ配置されるよう構成する。
【発明の効果】
【0020】
本発明はまた板ガラス曲げ装置を提供するものであって、装置は本発明による自重曲げモールドを複数個備え、またこれら複数個の自重曲げモールドを順次に加熱炉に通過させるよう運搬するコンベヤシステムを備え、加熱炉内には炉の長さに沿って所定位置に少なくとも1つのラッチ作動機構を設け、このラッチ作動機構は、各自重曲げモールドがラッチ作動機構を通過するときラッチ作動機構が作動するよう構成する。
【0021】
本発明はさらに板ガラスの自重曲げ方法を提供するものであり、その方法は、
(a)少なくとも1つの端部区域を有する周縁整形レールを備える自重曲げモールドを用意するステップと、
(b)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを自重曲げモールドに配置するステップと、および
(c)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、加熱炉に通過させる運搬中に加熱することにより自重曲げするステップであって、加熱により板ガラスを軟化し、周縁整形レール上で所望の曲げ形状に相当する最終位置まで自重曲げし、自重曲げする自重曲げステップと、
を有し、前記自重曲げステップは、
(i)板ガラスを自重曲げすることにより少なくとも1枚の板ガラスにほぼ全ての縦方向曲率を加え、また少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも1つの側方向端縁を支持し、かつ自重曲げによる横方向曲率の展開をほぼ回避する第1段階、および
(ii)第1段階の後に、少なくとも1枚の板ガラスにおける少なくとも1つの側方端縁に重力曲げによる最終横方向曲率を付与する展開を可能にする第2段階、
の2つの段階を有するものとする。
【0022】
本発明はまた自動車のパノラマルーフ製造用に板ガラスを曲げる自重曲げモールドを提供し、この自重曲げモールドは、固定周縁整形レールであって、少なくとも1個のコーナーおよび固定周縁整形レールに取り付けた少なくとも1個の補助レールを有し、この補助レールを、コーナーの少なくとも一部に隣接して少なくとも1個のマウントにより取り付け、このマウントは、補助レールのコーナーに対する相対的な垂直移動を可能にする構成とした、該固定周縁整形レールと、補助レールを上昇位置に選択的かつ一時的に配置するトリップ機構と、およびこのトリップ機構に連結したラッチ機構とを備え、このラッチ機構は、外部アクチュエータが係合して、ちトリップ機構の作動により対応のコーナーに対する補助レールの相対的垂直方向移動を生じ、これにより、後段階で補助レールがコーナーに対する下降位置に配置されるよう構成する。
【0023】
本発明はさらに自動車のパノラマルーフ製造用に板ガラスを自重曲げする方法を提供し、その方法は、
(a)固定周縁整形レールであって、少なくとも1つのコーナーおよび固定周縁整形レールに取り付けた補助レールを有し、この補助レールを、コーナーの少なくとも一部に隣接して少なくとも1個のマウントにより取り付け、このマウントは、補助レールのコーナーに対する上昇位置と下降位置の間で、コーナーに対して相対的垂直方向移動を可能にするよう構成した該固定周縁整形レールを備える自重曲げモールドを用意するステップと、
(b)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを補助レールが上昇位置にある自重曲げモールドに配置するステップと、および
(c)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、加熱炉に通過させる運搬中に加熱することにより自重曲げするステップであって、加熱により板ガラスを軟化し、これにより、少なくとも1枚の板ガラスの周端縁は垂れ下がって、少なくとも1枚の板ガラスの最終曲げ形状に相当する固定周縁整形レールに接触させる該自重曲げするステップと、
を有し、前記自重曲げステップは、
(i)補助レールが上昇位置にあり、少なくとも1枚の板ガラスを自重曲げして固定周縁整形レールおよび補助レールに接触させることにより、補助レールを有するコーナー以外で、最終曲げ形状の曲率を加える第1段階、および
(ii)この第1段階後に、補助レールが下降位置にあり、少なくとも1枚の板ガラスを自重曲げして固定周縁整形レールに対してその全周にわたり接触させることにより、最終曲げ形状の全ての曲率付与を完了する第2段階、
の2つの段階を有するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による、板ガラスを曲げる自重曲げモールドにおける閉じた最終曲げ形態を示す線図的側方斜視図である。
【図2】図1に示す自重曲げモールドの線図的平面図である。
【図3】図1の自重曲げモールドの関節型ウィングの一方における、関節型ウィングの端部レールに取り付けた補助端部レールを示し、関節型ウィングおよび補助端部レールの双方がともに曲げ工程前の初期位置にある状態を示す線図的斜視図である。
【図4】図3の端面図である。
【図5】図3および4の関節型ウィングにおける関節型ウィングおよび補助端部レールの、曲げ工程中であって2つの連続した段階のうち第1段階完了後の中間位置を示す線図的斜視図である。
【図6】図5の端面図である。
【図7】図3および4の関節型ウィング、における関節型ウィングおよび補助端部レールの、曲げ工程の終了時での最終位置を示す線図的斜視図である。
【図8】図7の端面図である。
【図9】自重曲げモールドの関節型ウィングに補助端部レールを取り付ける別の実施形態の線図的側面図である。
【図10】本発明による図1に示す自重曲げモールドを複数個、加熱炉に通過させて板ガラスを曲げる状況を示す線図的平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態によりパノラマまたはムーンルーフを形成する、板ガラスを曲げる自重曲げモールドの開いた初期形態を示す線図的側方斜視図である。
【図12】図11の自重曲げモールドの閉じた最終曲げ形態を示す線図的側方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面は、本発明の実施形態による、板ガラスを曲げる自重(重力)曲げモールド2を示す。自重曲げモールド2は、中央部4および2個のウィング部6,8を備える。自重曲げモールド2の中央部4は、支持体10に取り付ける。中央部4は、2個の互いに対向する整形または曲げ加工用のサイドレールとしての曲げレール11,12を有し、これら曲げレール11,12はほぼ平行であり、ほぼ水平であり、また支持体10に対して固定状態である。一方の曲げレール11は、車両フロントガラスの上側長手方向端縁を整形するよう構成し、他方のサイドレール12は下側長手方向端縁を整形するよ構成する。
【0026】
図示の実施形態においては、関節型自重曲げモールドを使用する。しかし、本発明は、代案として、固定リング(非関節型)状の自重曲げモールドを使用することもできる。この代替実施形態の場合、単独の固定した周縁曲げレールを有する。
【0027】
ウィング部6,8は、中央部4の両側の端部に対して関節型として回動可能に取り付ける。各ウィング部6,8は、それぞれ整形または曲げ加工用の曲げレール14,16を有し、これら曲げレール14,16はほぼU字形状であり、また端部区域18および2個のサイド区域20,22を有する。端部区域18は湾曲した上側整形面19によって車両フロントガラスの長手方向(以下「縦方向」と称する)に交差する方向(以下「クロス方向」または「横方向」と称する)の横方向端縁を整形するよう構成し、2つのサイド区域20,22は車両フロントガラスの上側および下側の縦方向端縁をそれぞれ整形する構成する。
【0028】
中央部4の曲げレール11,12および2つの関節型ウィング部6,8の曲げレール14,16は、板ガラス下面28の周端縁26に沿って板ガラス24を支持する周縁リム21を画定する(板ガラス24は図4,6および8に示す)。ウィング部6,8に釣り合いおもり30,32を連結し、これら釣り合いおもりはウィング部6,8に回動力を与え、支持体10におけるピボットマウント34,36により画定される回動軸線X−Xの周りを上方に回動させるようとする。曲げ工程において、ウィング部6,8は、図3および4に示すほぼ水平に開いた初期下降位置から、閉じて最終的に湾曲した上昇位置(図1参照)まで回動し、この上昇位置で周縁リム21が板ガラス24の望ましい湾曲形状を形成する。中央部4の曲げレール11,12および2個の関節型ウィング部6,8の曲げレール14,16は、板ガラス24の周縁の望ましい形状に相当する湾曲上面を有し、したがって、周縁リム21全体の湾曲形状はモールド2の閉じた形態においてフロントガラスの周縁26の最終的な望ましい形状を画定する。
【0029】
本発明によれば、補助端部レール38,40を各ウィング部6,8に設ける。この補助端部レール38,40は、それぞれが対応するウィング部6,8の端部区域18に隣接させかつほぼ平行に取り付ける。図1〜8に示す実施形態によれば、互いに離れた一連のスライダマウント42,44によって、補助端部レール38,40を端部区域18の内側方だ端部区域18に取り付け、これらスライドマウント42,44は、端部区域18に対して補助端部レール38,40全体をほぼ垂直方向の摺動移動を可能にするよう構成する。各補助端部レール38,40は、端部区域18に対して、上昇支持位置と下降不支持位置との間を移動できる。各スライダマウント42,44は、端部区域18に固着し、またそれぞれの補助端部レール38,40におけるほぼ垂直な溝孔45に摺動自在に収容したほぼ水平なピン43を備える。
【0030】
このような相対的な摺動は、機械的干渉、例えば補助端部レール38,40と端部区域18との間で一方または両方の部分における絶縁材料による不慮のひっかかりまたはこすれにより阻害されることがあり、このことは端部区域18に対する補助端部レール38,40の自由落下動作を妨げ、このことを以下に詳細に説明する。
【0031】
したがって、このような機械的干渉を回避するために、図9に示すように、補助端部レール138,140を自重曲げモールド2の関節型ウィング部6,8に取り付ける別の実施形態の線図的側面図を示す。この実施形態において、補助端部レール138,140を、互いに離れる一連のピボットマウント142によって、端部18の内側面で端部区域18に取り付け、これらピボットマウント142は端部18に対する補助端部レール138,140全体のほぼ弧状運動を可能にするよう構成する。ピボットマウント142は、第1実施形態のマウント42,44と同様に端部区域18/補助端レール138,140各対に沿って間隔をあけて配置する。各補助端部レール138,140は端部区域18に対し上昇支持位置と下降不支持位置との間を移動することができる。各ピボットマウント142は互いに平行な上側および下側のピボットアーム146a,146bを備え、対応するウィング部6,8に対して第1枢着部148a,148bで、また補助端部レール138,140に対して第2枢着部150a,150bでそれぞれ回動自在に取り付ける。第1枢着部148a,148bおよび第2枢着部150a,150bはほぼ水平な回動軸線を有する。互いに平行なピボットアームを設けることにより、補助端部レール138,140は弧を描きながら滑らかに動き、弧状運動により垂直な形態を維持する。これにより弧状降下運動中に補助端部レール138,140が不慮にウィング部と係合することはない。
【0032】
図9において実線で示す上昇支持位置から図9において仮想線で示す下降不支持位置に移動するとき、各ピボットアーム146a,146bは第1回転方向(例えば図9の時計回り)に第1ピボット148a,148bを中心にして下方へ回動し、補助端部レール138,140は反対の第2回転方向(例えば図9の反時計回り)に第2ピボット150a,150bを中心にして回動する。これにより、降下運動中に補助端部レール138,140は端部区域18から側方に離れるよう移動する。このような側方移動は、補助端部レール138,140と端部18との間でのいかなる機械的干渉、例えば不慮に一方または両方の部分に設けた絶縁材料のひっかかりまたはこすれを生ずることによる、自由降下動作を妨げる可能性を削減する。
【0033】
トリップ式の支持機構46は端部区域18に対して上昇位置で補助端部レール38,40を選択的かつ一時的に支持する。支持機構46は、支持機構に連結したラッチ機構48によって支持位置で一時的にロックされ、またその後釈放される。ラッチ機構48は補助端部レール38,40の支持を釈放するよう構成し、したがって、補助端部レール38,40は端部区域18に対して上昇位置から下降位置に自重(重力作用の下)で落下する。
【0034】
図示の実施形態において、平坦な板ガラス24の装填工程前にウィング部6,8が開いているとき、各補助端部レール38,40は端部区域18に対し上昇位置に自動的に押し上げられ、トリップ支持機構46は自動的に支持位置にロックされる。
【0035】
図示の実施形態において、補助端部レール38,40の上面50は平坦、または少なくともほぼ平坦であり、したがって、曲げ工程中に補助端レール38,40が板ガラス24に横方向に曲率を加えることは全く、または少なくともほとんどない。しかし、補助端部レール38,40の上面50に比較的小さい曲率を設けることもできる。
【0036】
上昇位置(図3および4参照)において、補助端部レール38,40の上面50はその中央部において端部18の上面よりも高いが、補助端部レール38,40の両側の縦方向端部において上面50は、端部区域18とサイド区域20,22との間の接合部におけるウィング部6,8の上面と同じ高さある。一方、下降位置では補助端部レール38,40の上面50は端部18の上面より低い。
【0037】
従来既知のとおり、一連の曲げモールド2を設け、各曲げモールド2をそれぞれに対応するキャリッジ52に取り付け、これらキャリッジ52はコンベヤシステム58により順に運び、ガラス曲げ炉56の加熱リア(ガラス焼きなまし炉)54に移送する。
【0038】
本発明によれば、図10に示すように、炉56に炉の長手方向に沿う所定位置に作動機構60を設ける。作動機構60は、各曲げモールド2が通過するときラッチ機構48を作動させるよう構成する。一般的に、作動機構60は、細長部材62、例えば一方の端部にフランジ66を担持する金属バー64を有し、このフランジ66は内向きの湾曲カム面68を有する。作動機構60は、曲げモールド2が運ばれ作動機構60を通過するとき、ラッチ機構48を炉56の中央に向かって内側に押す。これにより支持機構46をガラス曲げ工程における特定の時点で釈放し、順に、補助端部レール38,40は重力作用の下で端部区域18に対して上昇位置から下降位置に降下する。
【0039】
なお、図10で模式的に示すように、炉入口70の上流に作動準備アクチュエータ72を配置する。いくつかの実施形態において、板ガラスを曲げモールドに装填する前または後に、作動準備アクチュエータ72は曲げモールド2に係合し、曲げモールド2が炉を通過する前に補助端部レール38,40を上昇位置に配置する。この作動準備機構72は曲げ工程の第1段階のため曲げモールド2の準備を整え、一方作動機構60は曲げ工程の第2段階を始動させる。
【0040】
ここでガラス曲げ工程について説明する。
【0041】
まず、補助端部レール38,40を上昇位置に配置し、支持機構46によりその位置で支持する。これは作動準備アクチュエータ72によって行うことができる。図3および4に示すように、ウィング部6,8を、ほぼ水平に開いた初期位置まで押し下げ、初期の平面状板ガラス24を曲げモールド2に配置し、それにより板ガラス24をウィング部6,8における周縁リム18の一部で水平に支持する。特に、板ガラス24の両側の縦方向端部を補助端部レール38,40上に支持する。さらに、板ガラス24の縦方向内側部分をサイド区域20,22によりピボットマウント34,36のほぼ上方にあるポイントで支持する。板ガラス24の重さは釣り合いおもり30,32の重さに対抗して作用し、ウィング部6,8をほぼ水平に開いた初期位置に維持する。
【0042】
自重曲げモールド2上の板ガラス組立体24は、その後加熱レア(焼きなまし炉)54を通過する。板ガラスは熱くなると軟化し、重力作用の下で徐々に垂れ下がり、それにより関節型ウィング6,8は釣り合いおもり30,32の作用で回動軸線を周りに徐々に上方へ回動し、その結果板ガラス24を徐々に曲げ、モールド2を閉じる。
【0043】
ガラス曲げ工程の第1段階中、板ガラス24の端部を補助端部レール38,40上で支持する。補助端部レール38,40の上面50は、側方には、直線、またはほぼ直線であり、ガラス曲げ工程の第1段階中に板ガラス24に横方向曲率を与えることは全くまたはほとんどない。図1に示すように、ガラス曲げ工程の第1段階中に、2つのウィング部6,8は完全に閉じた位置まで上方に回動し、端部区域18に対する補助端部レール38,40の移動前に必要な長手方向曲率を与える。板ガラス24は重力作用の下に垂れ、板ガラス24周縁全体のまわりの周縁リム21に接触し支持される。ガラス曲げ工程の第1段階において、図5および6に示すとおり、板ガラス24の端部は、真っ直ぐで水平な補助端部レール38,40上に支持されるので、横方向曲率を付与するほど曲がらない。むしろ、板ガラス24の端部は第1段階を通して常にほぼ平面状態のままである。この第1段階は、通常、炉の曲げ区域終了位置および炉の焼きなまし区域開始位置で完了する。
【0044】
関節型曲げモールド2が完全に閉じることによって所望の縦方向曲率が完全に導入された後、図7および8に示すように、ガラス曲げ工程の第2段階において補助端部レール38,40が、作動機構60の作動により釈放され、この作動機構60は、炉56において炉の長さ方向に沿う所定位置に位置し、曲げモールドの外部および曲げモールドから離れて位置する。作動機構60は、曲げモールド2が通過するときラッチ機構48を作動し、支持機構46を釈放し、これにより、重力作用の下で各補助端部レール38,40を端部区域18に対して上昇位置から下降位置まで降下させる。これにより、縦方向整形が完了した後にのみ、板ガラス端部を、端部区域18の形状により決まる所望の横方向曲率まで曲げることができる。板ガラス端部は垂れ下がって、端部区域18に接触する。これにより曲げ工程は完了する。モールド2およびその上方の湾曲したガラスは炉の残りの部分を通り、通常お焼きなましおよび冷却工程を行う。曲げモールド2が炉を抜け出た後、湾曲した板ガラス24を曲げモールド2から取り外し、冷却する。曲げモールド2は炉入口に戻し、例えば作動準備アクチュエータによって準備し、次のガラス曲げサイクルにおいて平坦な板ガラスを装填する。
【0045】
図示の実施形態において、フロントガラスを成形するため板ガラスを曲げる自重曲げモールドは、中央部の両側端部に対称的なウィング部を有するものとして示すが、本発明により他の自重曲げモールドの形態を用いてもよいことは、当業者には明らかであろう。例えば、単独のウィングのみを設けることができ、または代案として、両側のウィングを非対称にすることもできる。さらに、各ウィングは、図示の実施形態が3側面を有する(U字形状を形成する)のに対して、2側面のみ有してもよい。さらにまた、補助レールおよびその隣接するウィング部の端部レールは、自重曲げモールドの縦方向に傾いてもよい。また、補助端部レールは端部区域の外部側方で端部区域に取り付けることもできる。
【0046】
図示の実施形態において、補助レールは、釈放されて重力作用の下で落下し、曲げ工程の第2段階を開始する。しかし、本発明は、代案として、固定した垂直位置を有する補助レールを用いてもよく、代わりに最終リング(またはその関節型ウィング)を補助レールに対し上方に移動よう構成することができる。どちらの場合においても、曲げ工程の第1段階から第2段階まで移動する補助レールと隣接する周縁レールとの間での相対的垂直方向移動があり、上昇した隣接周縁レールが下降した補助レールから曲げ工程を引き継ぐ。
【0047】
本発明によれば、いかなる(ほぼいかなる)横方向曲率を与える前にすべての縦方向曲率を板ガラスに与える。縦方向曲げおよび横方向曲げという2つの曲げ工程に区分する。この区分、および第2段階の始動は、モールド外部のアクチュエータを用いてラッチ機構を作動し、補助端部レールを曲げ工程内の的確な時点で釈放することにより、炉内で容易に制御する。このことは、曲げ工程をよりよく制御するという技術的利点をもたらすが、依然として単純な曲げモールド構造を使用する。
【0048】
本発明は、とくに車両フロントガラス製造に適用するものであって、板ガラスの縁部またはコーナーに高曲率を与えることが望ましい用途に適用する。
【0049】
本発明の実施形態は、ガラス曲げを縦(長手)方向および横(長手方向に対して交差する)方向に区分する技術的利点をもたらす。このことは、湾曲板ガラスおよびこれにより製造された車両窓ガラスの光学的品質を向上させる。特に、横方向曲げを開始する前に縦方向曲げを完了することで、特に高曲率の領域から、歪みおよび反転曲げによる逆曲率をほぼ解消できる。さらに、ガラス下面が周縁リムから不慮に持ち上がるという問題を回避できる。要約すると、これらの利点は、より向上した特性を有する高曲率板ガラス製造を可能にする。
【0050】
その上さらに、これらより向上した特性は、低コストのモールドを用い、容易に制御可能であり、および高い生産効率な製造において達成することができる。
【0051】
図11および12につき説明すると、本発明の他の実施形態による板ガラスを曲げる自重曲げモールド202を示す。自重曲げモールド202は、支持体206に取り付けらた周縁固定整形レール204を備える。周縁固定整形レール204は2個の互いに対向する整形サイドレール208,210を有し、それらはほぼ平行かつほぼ水平であり、自動車のパノラマまたはムーンルーフの2つの縦(長手)方向端縁を整形するよう構成する。周縁固定整形レール204は、さらに、2個の互いに対向する整形端部レール212,214を有する。2個の整形端部レール212,214は、それぞれ自動車のパノラマまたはムーンルーフの前方および後方の横方向端縁を整形するよう構成する。
【0052】
整形レール208,210,212,および214は、板ガラス下面の周端縁に沿って板ガラス(図示せず)を支持する周縁リム216を画定する。周縁リム216は板ガラスの所望の最終曲げ形状を形成する。
【0053】
本発明によれば、少なくとも1個の補助レール226を周縁固定整形レール204に設ける。補助レール226は端部整形レール212に隣接しかつほぼ平行に取り付け、自動車のパノラマまたはムーンルーフの前方横方向縁を整形するよう構成し、整形端部レール212と各整形サイドレール208,210との間の接合部にそれぞれ位置する整形端部レール212の2個の両側のコーナー230まで延在する。
【0054】
図11および12に示す実施形態によれば、互いに離れた一連のスライダマウント(図示せず)を用い、補助レール226を周縁固定整形レール204の内側面に沿ってこの周縁固定整形レール204に取り付け、スライダマウントは、上述の実施形態におけるように、整形端部レール212に対して補助レール226全体がほぼ垂直方向に摺動できるよう構成する。補助レール226は上昇支持位置と下降不支持位置との間で移動することができる。
【0055】
上述の実施形態におけるように、支持機構は上昇位置で選択的かつ一時的に補助レール226を支持し、この支持位置で一時的にロックすることができ、また後段階で、補助レール226の支持を釈放するよう構成し、支持機構に連結したラッチ機構により釈放し、これにより、補助レール226は重力作用の下で上昇位置から下降位置に落下する。代案として、モールドの残りの部分を補助レール226に対して上昇するようにすることもできる。
【0056】
図示の実施形態において、補助レール226の上面264は平坦、または少なくともほぼ平坦であり、補助レール226が曲げ工程中に板ガラスに曲率を加えることは全くまたは少なくともほとんどない。しかし、補助レール226の上面264に比較的僅かな曲率を設けることもできる。
【0057】
上昇位置(図11参照)において、補助レール226の上面264は、補助レール226の両側の長手方向端部における上面264が周縁固定整形レール204の上面268と同じ高さであるコーナー230を除き、整形端部レール212の上面266より高い。一方、下降位置(図12参照)において、補助レール226の上面264は整形端部レール212の上面266より低い。
【0058】
モールド上の板ガラスに対して、第1実施形態について説明したように、2段階の曲げ工程を行う。
【0059】
ガラス曲げ工程の第1段階の後、板ガラスの前方横方向端縁は、少なくとも1個の直線的な補助レール226上に支持されているので、曲率を持つほど曲がっていない。
【0060】
ガラス曲げ工程の第2段階において、補助レール226を釈放し、重力作用の下で整形端部レール212に対して上昇位置から下降位置へ落下する。これにより、板ガラスの残り部分の低曲率整形を完了した後にのみ、板ガラスの前方横方向縁は、特にコーナーで、周縁リム216の形状により決まる、所望のより高曲率まで曲げることができる。このことにより曲げ工程を完了する。
【0061】
図示の実施形態は、板ガラスを曲げてパノラマまたはムーンルーフを形成するよう、端部に補助レールを設けた自重曲げモールドを示すが、本発明によれば自重曲げモールドの他の形態を使用し得ることは当業者には明らかであろう。例えば、補助レールを両側のモールド端部に配置してもよい。さらにまた、補助レールおよびその隣接するウィング部の端部レールを自重曲げモールドの一方の側面のみまたは1つ以上のコーナーに配置することもできる。また、補助レールは、周縁固定整形レールの外側面に沿って周縁固定整形レールに取り付けてもよい。
【0062】
本発明の好ましい実施形態によれば、窓ガラスのコーナーにいかなる(ほぼいかなる)高曲率(小半径)を加える前に、全ての低曲率(大半径)を板ガラスのほぼ全ての領域および縁部に加え、パノラマまたはムーンルーフを成形する。2つの曲げ段階、本体の大半径およびコーナーの小半径に区分けする。この区分け、および第2段階の始動は、モールド外部のアクチュエータを用いてラッチ装置を作動し、曲げ工程内の的確な時点で補助レールを釈放することにより炉内で容易に制御する。このことは、曲げ工程のよりよい制御という技術的利点をもたらすが、依然として単純な固定曲げモールド構造を使用する。
【0063】
本発明は、とくに車両パノラマまたはムーンルーフ製造に適用するものであって、板ガラスのコーナーに高曲率を正確に加えることが望ましい用途に適用する。
【0064】
本発明の実施形態は、ガラス曲げを、板ガラス本体およびコーナーで区分けする技術的利点を提示する。このことは湾曲ガラスおよびこれにより製造された車両窓ガラスの光学的性質を高めることができる。特に、コーナーにおける小半径の曲げを開始する前に大部分の大半径の曲げを完了することで、高曲率のコーナーにおける歪みおよび反転曲げによる逆曲率はほぼ解消できる。パノラマまたはムーンルーフの周縁に遮蔽帯を設けるため、これら縁部は可視光を透過せずむしろ反射する。このような反射特性は、周縁部での不正確な曲率のマイナスの視覚的影響を強める。また、パノラマまたはムーンルーフのほとんどの湾曲部分は、フロントガラスの上側コーナーの上方に位置し、だいたい目の高さにあり光がよく当たるため、よく目立つ。このことは、また、これら領域において不正確に成形した窓ガラスのマイナスの視覚的影響を増幅する。本発明によれば、これらの問題は、パノラマまたはムーンルーフのコーナー付近における不正確に湾曲した、平坦な、または逆に湾曲した領域の形成を回避することで、克服する。
【0065】
さらに、ガラス下面が周縁リムから不慮に持ち上がるという問題も回避できる。要約すると、これらの利点はより向上した特性を有する高曲率板ガラス製造を可能にする。
【0066】
さらにまた、これらのより向上した特性は、製造工程で低コストなモールドを用い、容易に制御可能であり、および高い生産効率で達成することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自重曲げモールド、ならびに板ガラスの自重曲げ装置および方法に関する。特に、本発明は、とくに、垂れ曲げとしても知られる板ガラスの自重(重力作用下での)曲げに関し、板ガラスを自重曲げモールドで支持するとともに、ガラス曲げ炉の加熱ガラス焼きなまし炉に搬送する。
【背景技術】
【0002】
板ガラスに自重曲げを施し、車両用窓、例えば自動車の窓を形成するための板ガラスを整形することはよく知られている。単独の板ガラスを自重曲げモールド上で曲げる、または2枚の板ガラスをその後一緒に積層して積層フロントガラスを形成するとき、2枚の板ガラスを積層体として自重曲げモールド上で曲げることができる。多くの最新自動車の窓は、1つ以上の端縁またはコーナーで高度の(大きな)曲率にすることを要する。このような大きな曲率を1枚または複数の板ガラスに導入(付与)するとき、板ガラスに目に見える欠陥を発生し、板ガラスの光学的品質を低下させる恐れがある。また、曲げ操作を一貫して制御するのが難しい。さらに、ある用途によっては、湾曲ガラス表面が意匠表面に適合するよう高度な表面制御を必要とする。これはまた、現行のフロントガラスワイパーシステムに対するフロントガラスの適合性を確保することもできる。
【0003】
さらに、板ガラスの上面を下方へ押圧するよう構成したプレス曲げ金型を用いるような、重力以外の他の力を用いて高い曲率を達成することが可能であるが、板ガラスが軟らかく、ガラス焼きなまし炉を通るにつれてモールドによって画成された所望の形状に垂れるので、該板ガラスに作用する重力のみを用いることにより所望の曲率を達成するのが望ましい。なぜなら、付加的なプレス曲げ金型を使用すると、曲げ工程中に板ガラスの上面と接触し、金型による上面に対する不慮のマーク付けの結果として板ガラスの表面品質の低下を招き、また設備コストを増加するからである。その上、付加的なプレス曲げ工程を用いることに比べ、自重曲げを単独で用いることにより、生産率を上げることができる。
【0004】
1枚以上の板ガラスを曲げて車両用の窓を形成する従来の自重曲げモールドとしては2タイプが知られている。
【0005】
第1のタイプにおいて、自重曲げモールドは周縁リムを有する固定モールドであって、周縁リムにより1枚または複数の板ガラスをガラス下面の周端縁に沿って支持する。周縁リムは板ガラスの望ましい曲げ形状を形成する。
【0006】
まず、1枚または複数の板ガラスを曲げモールド上に配置し、板ガラスを周縁リムの最も高い部分によりほぼ水平に支持する。次いで、1枚または複数の板ガラスと自重曲げモールドとの組立体を加熱レア(ガラス焼きなまし炉)に通過させる。ガラスは熱くなるにつれ軟化し、板ガラスが周縁リムの全周で支持されるまで、自重(重力作用)により徐々に下方に垂れる。
【0007】
このような固定自重曲げモールドは、通常比較的低い(小さい)曲率を1枚または複数の板ガラスに与えるのに使用する。これは一般に車両の横窓(サイドウインドウ)に用いる。
【0008】
第2のタイプにおいて、自重曲げモールドは関節型である。1枚または複数の板ガラスを曲げて車両のフロントガラスを形成するための従来の関節型自重曲げモールドについては、曲げモールドの中央部が固定であり、2個の関節型ウィングを中央部の両側の端部に回動可能に取り付ける。中央部と2個の関節型ウィングが、1枚または複数の板ガラスをガラス下面の周端縁に沿って支持する周縁リムを画定する。ウィングに回転力を付与する釣り合いおもりにウィングを連結し、各ウィングをそれぞれの回動軸線のまわりでほぼ水平な開いた初期位置から、リムが板ガラスの望ましい曲げ形状を形成する閉じた曲げ位置まで上方に回動させる。
【0009】
まず、ウィングをほぼ水平の開いた初期位置まで下方へ押し、1枚または複数の板ガラスを曲げモールド上に配置し、これにより板ガラスを周縁リムのウィング部分により水平に支持する。次いで、自重曲げモールド上の板ガラス組立体を加熱レア(ガラス焼きなまし炉)に通過させる。ガラスは熱くなるにつれ軟化し、自重により徐々に下方へ垂れ、関節型ウィングが各回動軸線のまわりで釣り合いおもりの作用の下に少しずつ上方へ回動してモールドを閉じる。最終完全閉鎖位置において、1枚または複数の板ガラスはウィング部分および中央部両方の周縁リム部分により全周に渡って支持される。
【0010】
このような関節型自重曲げモールドは、通常比較的高い曲率を1枚または複数の板ガラスに導入(付与)するのに使用する。一般に車両のフロントガラスに使用する。
【0011】
ときには、高度の(大きな)曲率を板ガラスの端縁またはコーナーに導入(付与)するのが望ましい場合がある。関節型ウィングにおいてリムに隣接して設けた補助リムを使用することが知られている。この補助リムは、関節型ウィングに取り付ける、または中央部用の支持体に取り付けた補助ウィングの一部とする。
【0012】
例えば、特許文献1(欧州特許出願公開第0885851号)は、このような補助リムを内蔵する関節型重力曲げモールドを開示する。補助リムはモールドの端部に配置し、曲げ工程中に釈放する。補助リムは、隣接する端部レールよりも大きな曲率半径を有し、これにより少量の横方向(クロス方向)曲率を初期的に導入(付与)し、ついで大量の横方向(クロス方向)曲率を導入(付与)する。これら2つの曲げ工程は、時間的に重なり合い、縦方向曲げおよび横方向曲げを同時に導入する2つの曲げ工程間の移行フェーズを生ずる。このことは、少なくとも部分的であり、これは、すなわち補助レールが内部作動により落下するからであり、このことは補助レールの落下により横方向曲率付与開始するため、縦方向曲げ工程中にウィングの連続する動的運動を要するからである。このことは、曲げ工程を正確に制御するのを困難にするという技術的な問題をもたらす。このことは、所要の仕様にかなう板ガラスの曲率および光学特性に関する品質管理問題をも引き起こす。また、モールドの構造も比較的複雑である。
【0013】
特許文献2(米国特許第3235350号)は、中央部の各端部に1対の隣接ウィング部を組み込んだ自重曲げモールドを開示する。第1ウィング部は初期的曲げ工程において作動し、次に第2ウィング部が曲げ工程完了するように引き継ぐ。このモールドは構造が複雑で、板ガラスの端部または端縁に位置する領域に高曲率を有する最新の車両フロントガラスを作成するには適さない。
【0014】
本発明は、少なくとも部分的にはこれら既知の自重曲げモールドの問題を克服することを目的とする。
【0015】
近年、いくつかの自動車は、パノラマルーフまたはムーンルーフを車両デザインに組み込むようになった。これらは、自動車のルーフほぼ全体にわたって延在する、補強したまたはラミネートした窓ガラスの単体からなり、また車両の車体に滑らかに融合するよう整形することを要する。通常、パノラマまたはムーンルーフは、そのコーナー、もっとも一般的には車両フロントガラスの上側コーナーにぴったりはまることが求められるフロントコーナーを除いて、縦方向曲率および横方向曲率の双方とも比較的低度の曲率を有する。
【0016】
これら高曲率のフロントコーナーを正確に曲げるのは困難である。一つの問題は、ガラス整形処理中に、例えば自重曲げモールドの使用中に、平坦部または均一な反転曲率が高曲率部分の端縁内に形成されることがある。パノラマまたはムーンルーフの周端縁には遮蔽帯を設けるため、これら端縁は可視光線を透過せず、むしろ反射する。このような反射特性は、周端縁における不正確な曲率による視覚的悪影響を増長する傾向がある。さらに、フロントガラスの上側コーナーの上方に位置する、パノラマまたはムーンルーフの最も湾曲した部分は、ほぼ目の高さあたりにあり、光がよく当たるため、極めて極めて目に入る。このことは、また、これら領域における不正確に整形された窓ガラスによる視覚的悪影響を増幅させる。これに対し、車両フロントガラス用の著しく湾曲したコーナーは、一般に車両の車体によって通常少なくとも部分的に覆い隠された下側コーナーである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許公開第0885851号明細書
【特許文献2】米国特許第3235350号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、既知のパノラマまたはムーンルーフのこれらの問題を少なくとも部分的に克服すること、および特に自重曲げモールドを用いて製造して、優れたパノラマまたはムーンルーフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は板ガラスを曲げる自重曲げモールドを提供するものであり、本発明自重曲げモールドは、周縁整形レールであって、少なくとも1個の端部区域および周縁整形レールに取り付けた少なくとも1個の補助レールを有し、この補助レールを、対応する端部区域の少なくとも一部にそれぞれ隣接して少なくとも1個のマウントによって取り付け、このマウントは、補助レールの端部区域に対する相対的な垂直移動を可能にする構成とした、該周縁整形レールと、補助レールを上昇位置に選択的かつ一時的に配置するトリップ機構と、およびこのトリップ機構に連結したラッチ機構とを備え、このラッチ機構は、外部アクチュエータが係合して、トリップ機構の作動により対応の端部区域に対する補助レールの相対的垂直移動を生じ、これにより、後段階で補助レールが端部区域に対する下降位置へ配置されるよう構成する。
【発明の効果】
【0020】
本発明はまた板ガラス曲げ装置を提供するものであって、装置は本発明による自重曲げモールドを複数個備え、またこれら複数個の自重曲げモールドを順次に加熱炉に通過させるよう運搬するコンベヤシステムを備え、加熱炉内には炉の長さに沿って所定位置に少なくとも1つのラッチ作動機構を設け、このラッチ作動機構は、各自重曲げモールドがラッチ作動機構を通過するときラッチ作動機構が作動するよう構成する。
【0021】
本発明はさらに板ガラスの自重曲げ方法を提供するものであり、その方法は、
(a)少なくとも1つの端部区域を有する周縁整形レールを備える自重曲げモールドを用意するステップと、
(b)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを自重曲げモールドに配置するステップと、および
(c)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、加熱炉に通過させる運搬中に加熱することにより自重曲げするステップであって、加熱により板ガラスを軟化し、周縁整形レール上で所望の曲げ形状に相当する最終位置まで自重曲げし、自重曲げする自重曲げステップと、
を有し、前記自重曲げステップは、
(i)板ガラスを自重曲げすることにより少なくとも1枚の板ガラスにほぼ全ての縦方向曲率を加え、また少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも1つの側方向端縁を支持し、かつ自重曲げによる横方向曲率の展開をほぼ回避する第1段階、および
(ii)第1段階の後に、少なくとも1枚の板ガラスにおける少なくとも1つの側方端縁に重力曲げによる最終横方向曲率を付与する展開を可能にする第2段階、
の2つの段階を有するものとする。
【0022】
本発明はまた自動車のパノラマルーフ製造用に板ガラスを曲げる自重曲げモールドを提供し、この自重曲げモールドは、固定周縁整形レールであって、少なくとも1個のコーナーおよび固定周縁整形レールに取り付けた少なくとも1個の補助レールを有し、この補助レールを、コーナーの少なくとも一部に隣接して少なくとも1個のマウントにより取り付け、このマウントは、補助レールのコーナーに対する相対的な垂直移動を可能にする構成とした、該固定周縁整形レールと、補助レールを上昇位置に選択的かつ一時的に配置するトリップ機構と、およびこのトリップ機構に連結したラッチ機構とを備え、このラッチ機構は、外部アクチュエータが係合して、ちトリップ機構の作動により対応のコーナーに対する補助レールの相対的垂直方向移動を生じ、これにより、後段階で補助レールがコーナーに対する下降位置に配置されるよう構成する。
【0023】
本発明はさらに自動車のパノラマルーフ製造用に板ガラスを自重曲げする方法を提供し、その方法は、
(a)固定周縁整形レールであって、少なくとも1つのコーナーおよび固定周縁整形レールに取り付けた補助レールを有し、この補助レールを、コーナーの少なくとも一部に隣接して少なくとも1個のマウントにより取り付け、このマウントは、補助レールのコーナーに対する上昇位置と下降位置の間で、コーナーに対して相対的垂直方向移動を可能にするよう構成した該固定周縁整形レールを備える自重曲げモールドを用意するステップと、
(b)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを補助レールが上昇位置にある自重曲げモールドに配置するステップと、および
(c)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、加熱炉に通過させる運搬中に加熱することにより自重曲げするステップであって、加熱により板ガラスを軟化し、これにより、少なくとも1枚の板ガラスの周端縁は垂れ下がって、少なくとも1枚の板ガラスの最終曲げ形状に相当する固定周縁整形レールに接触させる該自重曲げするステップと、
を有し、前記自重曲げステップは、
(i)補助レールが上昇位置にあり、少なくとも1枚の板ガラスを自重曲げして固定周縁整形レールおよび補助レールに接触させることにより、補助レールを有するコーナー以外で、最終曲げ形状の曲率を加える第1段階、および
(ii)この第1段階後に、補助レールが下降位置にあり、少なくとも1枚の板ガラスを自重曲げして固定周縁整形レールに対してその全周にわたり接触させることにより、最終曲げ形状の全ての曲率付与を完了する第2段階、
の2つの段階を有するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による、板ガラスを曲げる自重曲げモールドにおける閉じた最終曲げ形態を示す線図的側方斜視図である。
【図2】図1に示す自重曲げモールドの線図的平面図である。
【図3】図1の自重曲げモールドの関節型ウィングの一方における、関節型ウィングの端部レールに取り付けた補助端部レールを示し、関節型ウィングおよび補助端部レールの双方がともに曲げ工程前の初期位置にある状態を示す線図的斜視図である。
【図4】図3の端面図である。
【図5】図3および4の関節型ウィングにおける関節型ウィングおよび補助端部レールの、曲げ工程中であって2つの連続した段階のうち第1段階完了後の中間位置を示す線図的斜視図である。
【図6】図5の端面図である。
【図7】図3および4の関節型ウィング、における関節型ウィングおよび補助端部レールの、曲げ工程の終了時での最終位置を示す線図的斜視図である。
【図8】図7の端面図である。
【図9】自重曲げモールドの関節型ウィングに補助端部レールを取り付ける別の実施形態の線図的側面図である。
【図10】本発明による図1に示す自重曲げモールドを複数個、加熱炉に通過させて板ガラスを曲げる状況を示す線図的平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態によりパノラマまたはムーンルーフを形成する、板ガラスを曲げる自重曲げモールドの開いた初期形態を示す線図的側方斜視図である。
【図12】図11の自重曲げモールドの閉じた最終曲げ形態を示す線図的側方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面は、本発明の実施形態による、板ガラスを曲げる自重(重力)曲げモールド2を示す。自重曲げモールド2は、中央部4および2個のウィング部6,8を備える。自重曲げモールド2の中央部4は、支持体10に取り付ける。中央部4は、2個の互いに対向する整形または曲げ加工用のサイドレールとしての曲げレール11,12を有し、これら曲げレール11,12はほぼ平行であり、ほぼ水平であり、また支持体10に対して固定状態である。一方の曲げレール11は、車両フロントガラスの上側長手方向端縁を整形するよう構成し、他方のサイドレール12は下側長手方向端縁を整形するよ構成する。
【0026】
図示の実施形態においては、関節型自重曲げモールドを使用する。しかし、本発明は、代案として、固定リング(非関節型)状の自重曲げモールドを使用することもできる。この代替実施形態の場合、単独の固定した周縁曲げレールを有する。
【0027】
ウィング部6,8は、中央部4の両側の端部に対して関節型として回動可能に取り付ける。各ウィング部6,8は、それぞれ整形または曲げ加工用の曲げレール14,16を有し、これら曲げレール14,16はほぼU字形状であり、また端部区域18および2個のサイド区域20,22を有する。端部区域18は湾曲した上側整形面19によって車両フロントガラスの長手方向(以下「縦方向」と称する)に交差する方向(以下「クロス方向」または「横方向」と称する)の横方向端縁を整形するよう構成し、2つのサイド区域20,22は車両フロントガラスの上側および下側の縦方向端縁をそれぞれ整形する構成する。
【0028】
中央部4の曲げレール11,12および2つの関節型ウィング部6,8の曲げレール14,16は、板ガラス下面28の周端縁26に沿って板ガラス24を支持する周縁リム21を画定する(板ガラス24は図4,6および8に示す)。ウィング部6,8に釣り合いおもり30,32を連結し、これら釣り合いおもりはウィング部6,8に回動力を与え、支持体10におけるピボットマウント34,36により画定される回動軸線X−Xの周りを上方に回動させるようとする。曲げ工程において、ウィング部6,8は、図3および4に示すほぼ水平に開いた初期下降位置から、閉じて最終的に湾曲した上昇位置(図1参照)まで回動し、この上昇位置で周縁リム21が板ガラス24の望ましい湾曲形状を形成する。中央部4の曲げレール11,12および2個の関節型ウィング部6,8の曲げレール14,16は、板ガラス24の周縁の望ましい形状に相当する湾曲上面を有し、したがって、周縁リム21全体の湾曲形状はモールド2の閉じた形態においてフロントガラスの周縁26の最終的な望ましい形状を画定する。
【0029】
本発明によれば、補助端部レール38,40を各ウィング部6,8に設ける。この補助端部レール38,40は、それぞれが対応するウィング部6,8の端部区域18に隣接させかつほぼ平行に取り付ける。図1〜8に示す実施形態によれば、互いに離れた一連のスライダマウント42,44によって、補助端部レール38,40を端部区域18の内側方だ端部区域18に取り付け、これらスライドマウント42,44は、端部区域18に対して補助端部レール38,40全体をほぼ垂直方向の摺動移動を可能にするよう構成する。各補助端部レール38,40は、端部区域18に対して、上昇支持位置と下降不支持位置との間を移動できる。各スライダマウント42,44は、端部区域18に固着し、またそれぞれの補助端部レール38,40におけるほぼ垂直な溝孔45に摺動自在に収容したほぼ水平なピン43を備える。
【0030】
このような相対的な摺動は、機械的干渉、例えば補助端部レール38,40と端部区域18との間で一方または両方の部分における絶縁材料による不慮のひっかかりまたはこすれにより阻害されることがあり、このことは端部区域18に対する補助端部レール38,40の自由落下動作を妨げ、このことを以下に詳細に説明する。
【0031】
したがって、このような機械的干渉を回避するために、図9に示すように、補助端部レール138,140を自重曲げモールド2の関節型ウィング部6,8に取り付ける別の実施形態の線図的側面図を示す。この実施形態において、補助端部レール138,140を、互いに離れる一連のピボットマウント142によって、端部18の内側面で端部区域18に取り付け、これらピボットマウント142は端部18に対する補助端部レール138,140全体のほぼ弧状運動を可能にするよう構成する。ピボットマウント142は、第1実施形態のマウント42,44と同様に端部区域18/補助端レール138,140各対に沿って間隔をあけて配置する。各補助端部レール138,140は端部区域18に対し上昇支持位置と下降不支持位置との間を移動することができる。各ピボットマウント142は互いに平行な上側および下側のピボットアーム146a,146bを備え、対応するウィング部6,8に対して第1枢着部148a,148bで、また補助端部レール138,140に対して第2枢着部150a,150bでそれぞれ回動自在に取り付ける。第1枢着部148a,148bおよび第2枢着部150a,150bはほぼ水平な回動軸線を有する。互いに平行なピボットアームを設けることにより、補助端部レール138,140は弧を描きながら滑らかに動き、弧状運動により垂直な形態を維持する。これにより弧状降下運動中に補助端部レール138,140が不慮にウィング部と係合することはない。
【0032】
図9において実線で示す上昇支持位置から図9において仮想線で示す下降不支持位置に移動するとき、各ピボットアーム146a,146bは第1回転方向(例えば図9の時計回り)に第1ピボット148a,148bを中心にして下方へ回動し、補助端部レール138,140は反対の第2回転方向(例えば図9の反時計回り)に第2ピボット150a,150bを中心にして回動する。これにより、降下運動中に補助端部レール138,140は端部区域18から側方に離れるよう移動する。このような側方移動は、補助端部レール138,140と端部18との間でのいかなる機械的干渉、例えば不慮に一方または両方の部分に設けた絶縁材料のひっかかりまたはこすれを生ずることによる、自由降下動作を妨げる可能性を削減する。
【0033】
トリップ式の支持機構46は端部区域18に対して上昇位置で補助端部レール38,40を選択的かつ一時的に支持する。支持機構46は、支持機構に連結したラッチ機構48によって支持位置で一時的にロックされ、またその後釈放される。ラッチ機構48は補助端部レール38,40の支持を釈放するよう構成し、したがって、補助端部レール38,40は端部区域18に対して上昇位置から下降位置に自重(重力作用の下)で落下する。
【0034】
図示の実施形態において、平坦な板ガラス24の装填工程前にウィング部6,8が開いているとき、各補助端部レール38,40は端部区域18に対し上昇位置に自動的に押し上げられ、トリップ支持機構46は自動的に支持位置にロックされる。
【0035】
図示の実施形態において、補助端部レール38,40の上面50は平坦、または少なくともほぼ平坦であり、したがって、曲げ工程中に補助端レール38,40が板ガラス24に横方向に曲率を加えることは全く、または少なくともほとんどない。しかし、補助端部レール38,40の上面50に比較的小さい曲率を設けることもできる。
【0036】
上昇位置(図3および4参照)において、補助端部レール38,40の上面50はその中央部において端部18の上面よりも高いが、補助端部レール38,40の両側の縦方向端部において上面50は、端部区域18とサイド区域20,22との間の接合部におけるウィング部6,8の上面と同じ高さある。一方、下降位置では補助端部レール38,40の上面50は端部18の上面より低い。
【0037】
従来既知のとおり、一連の曲げモールド2を設け、各曲げモールド2をそれぞれに対応するキャリッジ52に取り付け、これらキャリッジ52はコンベヤシステム58により順に運び、ガラス曲げ炉56の加熱リア(ガラス焼きなまし炉)54に移送する。
【0038】
本発明によれば、図10に示すように、炉56に炉の長手方向に沿う所定位置に作動機構60を設ける。作動機構60は、各曲げモールド2が通過するときラッチ機構48を作動させるよう構成する。一般的に、作動機構60は、細長部材62、例えば一方の端部にフランジ66を担持する金属バー64を有し、このフランジ66は内向きの湾曲カム面68を有する。作動機構60は、曲げモールド2が運ばれ作動機構60を通過するとき、ラッチ機構48を炉56の中央に向かって内側に押す。これにより支持機構46をガラス曲げ工程における特定の時点で釈放し、順に、補助端部レール38,40は重力作用の下で端部区域18に対して上昇位置から下降位置に降下する。
【0039】
なお、図10で模式的に示すように、炉入口70の上流に作動準備アクチュエータ72を配置する。いくつかの実施形態において、板ガラスを曲げモールドに装填する前または後に、作動準備アクチュエータ72は曲げモールド2に係合し、曲げモールド2が炉を通過する前に補助端部レール38,40を上昇位置に配置する。この作動準備機構72は曲げ工程の第1段階のため曲げモールド2の準備を整え、一方作動機構60は曲げ工程の第2段階を始動させる。
【0040】
ここでガラス曲げ工程について説明する。
【0041】
まず、補助端部レール38,40を上昇位置に配置し、支持機構46によりその位置で支持する。これは作動準備アクチュエータ72によって行うことができる。図3および4に示すように、ウィング部6,8を、ほぼ水平に開いた初期位置まで押し下げ、初期の平面状板ガラス24を曲げモールド2に配置し、それにより板ガラス24をウィング部6,8における周縁リム18の一部で水平に支持する。特に、板ガラス24の両側の縦方向端部を補助端部レール38,40上に支持する。さらに、板ガラス24の縦方向内側部分をサイド区域20,22によりピボットマウント34,36のほぼ上方にあるポイントで支持する。板ガラス24の重さは釣り合いおもり30,32の重さに対抗して作用し、ウィング部6,8をほぼ水平に開いた初期位置に維持する。
【0042】
自重曲げモールド2上の板ガラス組立体24は、その後加熱レア(焼きなまし炉)54を通過する。板ガラスは熱くなると軟化し、重力作用の下で徐々に垂れ下がり、それにより関節型ウィング6,8は釣り合いおもり30,32の作用で回動軸線を周りに徐々に上方へ回動し、その結果板ガラス24を徐々に曲げ、モールド2を閉じる。
【0043】
ガラス曲げ工程の第1段階中、板ガラス24の端部を補助端部レール38,40上で支持する。補助端部レール38,40の上面50は、側方には、直線、またはほぼ直線であり、ガラス曲げ工程の第1段階中に板ガラス24に横方向曲率を与えることは全くまたはほとんどない。図1に示すように、ガラス曲げ工程の第1段階中に、2つのウィング部6,8は完全に閉じた位置まで上方に回動し、端部区域18に対する補助端部レール38,40の移動前に必要な長手方向曲率を与える。板ガラス24は重力作用の下に垂れ、板ガラス24周縁全体のまわりの周縁リム21に接触し支持される。ガラス曲げ工程の第1段階において、図5および6に示すとおり、板ガラス24の端部は、真っ直ぐで水平な補助端部レール38,40上に支持されるので、横方向曲率を付与するほど曲がらない。むしろ、板ガラス24の端部は第1段階を通して常にほぼ平面状態のままである。この第1段階は、通常、炉の曲げ区域終了位置および炉の焼きなまし区域開始位置で完了する。
【0044】
関節型曲げモールド2が完全に閉じることによって所望の縦方向曲率が完全に導入された後、図7および8に示すように、ガラス曲げ工程の第2段階において補助端部レール38,40が、作動機構60の作動により釈放され、この作動機構60は、炉56において炉の長さ方向に沿う所定位置に位置し、曲げモールドの外部および曲げモールドから離れて位置する。作動機構60は、曲げモールド2が通過するときラッチ機構48を作動し、支持機構46を釈放し、これにより、重力作用の下で各補助端部レール38,40を端部区域18に対して上昇位置から下降位置まで降下させる。これにより、縦方向整形が完了した後にのみ、板ガラス端部を、端部区域18の形状により決まる所望の横方向曲率まで曲げることができる。板ガラス端部は垂れ下がって、端部区域18に接触する。これにより曲げ工程は完了する。モールド2およびその上方の湾曲したガラスは炉の残りの部分を通り、通常お焼きなましおよび冷却工程を行う。曲げモールド2が炉を抜け出た後、湾曲した板ガラス24を曲げモールド2から取り外し、冷却する。曲げモールド2は炉入口に戻し、例えば作動準備アクチュエータによって準備し、次のガラス曲げサイクルにおいて平坦な板ガラスを装填する。
【0045】
図示の実施形態において、フロントガラスを成形するため板ガラスを曲げる自重曲げモールドは、中央部の両側端部に対称的なウィング部を有するものとして示すが、本発明により他の自重曲げモールドの形態を用いてもよいことは、当業者には明らかであろう。例えば、単独のウィングのみを設けることができ、または代案として、両側のウィングを非対称にすることもできる。さらに、各ウィングは、図示の実施形態が3側面を有する(U字形状を形成する)のに対して、2側面のみ有してもよい。さらにまた、補助レールおよびその隣接するウィング部の端部レールは、自重曲げモールドの縦方向に傾いてもよい。また、補助端部レールは端部区域の外部側方で端部区域に取り付けることもできる。
【0046】
図示の実施形態において、補助レールは、釈放されて重力作用の下で落下し、曲げ工程の第2段階を開始する。しかし、本発明は、代案として、固定した垂直位置を有する補助レールを用いてもよく、代わりに最終リング(またはその関節型ウィング)を補助レールに対し上方に移動よう構成することができる。どちらの場合においても、曲げ工程の第1段階から第2段階まで移動する補助レールと隣接する周縁レールとの間での相対的垂直方向移動があり、上昇した隣接周縁レールが下降した補助レールから曲げ工程を引き継ぐ。
【0047】
本発明によれば、いかなる(ほぼいかなる)横方向曲率を与える前にすべての縦方向曲率を板ガラスに与える。縦方向曲げおよび横方向曲げという2つの曲げ工程に区分する。この区分、および第2段階の始動は、モールド外部のアクチュエータを用いてラッチ機構を作動し、補助端部レールを曲げ工程内の的確な時点で釈放することにより、炉内で容易に制御する。このことは、曲げ工程をよりよく制御するという技術的利点をもたらすが、依然として単純な曲げモールド構造を使用する。
【0048】
本発明は、とくに車両フロントガラス製造に適用するものであって、板ガラスの縁部またはコーナーに高曲率を与えることが望ましい用途に適用する。
【0049】
本発明の実施形態は、ガラス曲げを縦(長手)方向および横(長手方向に対して交差する)方向に区分する技術的利点をもたらす。このことは、湾曲板ガラスおよびこれにより製造された車両窓ガラスの光学的品質を向上させる。特に、横方向曲げを開始する前に縦方向曲げを完了することで、特に高曲率の領域から、歪みおよび反転曲げによる逆曲率をほぼ解消できる。さらに、ガラス下面が周縁リムから不慮に持ち上がるという問題を回避できる。要約すると、これらの利点は、より向上した特性を有する高曲率板ガラス製造を可能にする。
【0050】
その上さらに、これらより向上した特性は、低コストのモールドを用い、容易に制御可能であり、および高い生産効率な製造において達成することができる。
【0051】
図11および12につき説明すると、本発明の他の実施形態による板ガラスを曲げる自重曲げモールド202を示す。自重曲げモールド202は、支持体206に取り付けらた周縁固定整形レール204を備える。周縁固定整形レール204は2個の互いに対向する整形サイドレール208,210を有し、それらはほぼ平行かつほぼ水平であり、自動車のパノラマまたはムーンルーフの2つの縦(長手)方向端縁を整形するよう構成する。周縁固定整形レール204は、さらに、2個の互いに対向する整形端部レール212,214を有する。2個の整形端部レール212,214は、それぞれ自動車のパノラマまたはムーンルーフの前方および後方の横方向端縁を整形するよう構成する。
【0052】
整形レール208,210,212,および214は、板ガラス下面の周端縁に沿って板ガラス(図示せず)を支持する周縁リム216を画定する。周縁リム216は板ガラスの所望の最終曲げ形状を形成する。
【0053】
本発明によれば、少なくとも1個の補助レール226を周縁固定整形レール204に設ける。補助レール226は端部整形レール212に隣接しかつほぼ平行に取り付け、自動車のパノラマまたはムーンルーフの前方横方向縁を整形するよう構成し、整形端部レール212と各整形サイドレール208,210との間の接合部にそれぞれ位置する整形端部レール212の2個の両側のコーナー230まで延在する。
【0054】
図11および12に示す実施形態によれば、互いに離れた一連のスライダマウント(図示せず)を用い、補助レール226を周縁固定整形レール204の内側面に沿ってこの周縁固定整形レール204に取り付け、スライダマウントは、上述の実施形態におけるように、整形端部レール212に対して補助レール226全体がほぼ垂直方向に摺動できるよう構成する。補助レール226は上昇支持位置と下降不支持位置との間で移動することができる。
【0055】
上述の実施形態におけるように、支持機構は上昇位置で選択的かつ一時的に補助レール226を支持し、この支持位置で一時的にロックすることができ、また後段階で、補助レール226の支持を釈放するよう構成し、支持機構に連結したラッチ機構により釈放し、これにより、補助レール226は重力作用の下で上昇位置から下降位置に落下する。代案として、モールドの残りの部分を補助レール226に対して上昇するようにすることもできる。
【0056】
図示の実施形態において、補助レール226の上面264は平坦、または少なくともほぼ平坦であり、補助レール226が曲げ工程中に板ガラスに曲率を加えることは全くまたは少なくともほとんどない。しかし、補助レール226の上面264に比較的僅かな曲率を設けることもできる。
【0057】
上昇位置(図11参照)において、補助レール226の上面264は、補助レール226の両側の長手方向端部における上面264が周縁固定整形レール204の上面268と同じ高さであるコーナー230を除き、整形端部レール212の上面266より高い。一方、下降位置(図12参照)において、補助レール226の上面264は整形端部レール212の上面266より低い。
【0058】
モールド上の板ガラスに対して、第1実施形態について説明したように、2段階の曲げ工程を行う。
【0059】
ガラス曲げ工程の第1段階の後、板ガラスの前方横方向端縁は、少なくとも1個の直線的な補助レール226上に支持されているので、曲率を持つほど曲がっていない。
【0060】
ガラス曲げ工程の第2段階において、補助レール226を釈放し、重力作用の下で整形端部レール212に対して上昇位置から下降位置へ落下する。これにより、板ガラスの残り部分の低曲率整形を完了した後にのみ、板ガラスの前方横方向縁は、特にコーナーで、周縁リム216の形状により決まる、所望のより高曲率まで曲げることができる。このことにより曲げ工程を完了する。
【0061】
図示の実施形態は、板ガラスを曲げてパノラマまたはムーンルーフを形成するよう、端部に補助レールを設けた自重曲げモールドを示すが、本発明によれば自重曲げモールドの他の形態を使用し得ることは当業者には明らかであろう。例えば、補助レールを両側のモールド端部に配置してもよい。さらにまた、補助レールおよびその隣接するウィング部の端部レールを自重曲げモールドの一方の側面のみまたは1つ以上のコーナーに配置することもできる。また、補助レールは、周縁固定整形レールの外側面に沿って周縁固定整形レールに取り付けてもよい。
【0062】
本発明の好ましい実施形態によれば、窓ガラスのコーナーにいかなる(ほぼいかなる)高曲率(小半径)を加える前に、全ての低曲率(大半径)を板ガラスのほぼ全ての領域および縁部に加え、パノラマまたはムーンルーフを成形する。2つの曲げ段階、本体の大半径およびコーナーの小半径に区分けする。この区分け、および第2段階の始動は、モールド外部のアクチュエータを用いてラッチ装置を作動し、曲げ工程内の的確な時点で補助レールを釈放することにより炉内で容易に制御する。このことは、曲げ工程のよりよい制御という技術的利点をもたらすが、依然として単純な固定曲げモールド構造を使用する。
【0063】
本発明は、とくに車両パノラマまたはムーンルーフ製造に適用するものであって、板ガラスのコーナーに高曲率を正確に加えることが望ましい用途に適用する。
【0064】
本発明の実施形態は、ガラス曲げを、板ガラス本体およびコーナーで区分けする技術的利点を提示する。このことは湾曲ガラスおよびこれにより製造された車両窓ガラスの光学的性質を高めることができる。特に、コーナーにおける小半径の曲げを開始する前に大部分の大半径の曲げを完了することで、高曲率のコーナーにおける歪みおよび反転曲げによる逆曲率はほぼ解消できる。パノラマまたはムーンルーフの周縁に遮蔽帯を設けるため、これら縁部は可視光を透過せずむしろ反射する。このような反射特性は、周縁部での不正確な曲率のマイナスの視覚的影響を強める。また、パノラマまたはムーンルーフのほとんどの湾曲部分は、フロントガラスの上側コーナーの上方に位置し、だいたい目の高さにあり光がよく当たるため、よく目立つ。このことは、また、これら領域において不正確に成形した窓ガラスのマイナスの視覚的影響を増幅する。本発明によれば、これらの問題は、パノラマまたはムーンルーフのコーナー付近における不正確に湾曲した、平坦な、または逆に湾曲した領域の形成を回避することで、克服する。
【0065】
さらに、ガラス下面が周縁リムから不慮に持ち上がるという問題も回避できる。要約すると、これらの利点はより向上した特性を有する高曲率板ガラス製造を可能にする。
【0066】
さらにまた、これらのより向上した特性は、製造工程で低コストなモールドを用い、容易に制御可能であり、および高い生産効率で達成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板ガラスを曲げる自重曲げモールドにおいて、周縁整形レールであって、少なくとも1個端部区域および前記周縁整形レールに取り付けた少なくとも1個の補助レールを有し、この補助レールを、対応する端部区域の少なくとも一部にそれぞれ隣接して少なくとも1個のマウントによって取り付け、このマウントは、前記補助レールの端部区域に対する相対的な垂直移動を可能にする構成とした、該周縁整形レールと、前記補助レールを上昇位置に選択的かつ一時的に配置するトリップ機構と、およびこのトリップ機構に連結したラッチ機構とを備え、このラッチ機構は、外部アクチュエータが係合して、前記トリップ機構の作動により対応の端部区域に対する前記補助レールの相対的垂直移動を生じ、これにより、後段階で前記補助レールが端部区域に対する下降位置へ配置されるよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項2】
請求項1に記載の自重曲げモールドにおいて、周縁整形レールは、少なくとも1個の固定整形レールを有する固定部分、およびこの固定部分の各端部に取り付けた少なくとも1個の関節型の端部部分を有し、この関節型の端部部分は対応する端部区域をそれぞれ有する可動整形レールを備えた、自重曲げモールド。
【請求項3】
請求項1に記載の自重曲げモールドにおいて、前記周縁整形レールは、少なくとも1個の固定整形レールを有する固定部分、およびこの固定部分の各端部に取り付けた少なくとも1個の固定端部部分を有し、この固定端部部分は対応する端部区域をそれぞれ有する固定整形レールを備えた、自重曲げモールド。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールは、ラッチ機構に外部アクチュエータが係合することにより対応する端部区域に対する前記補助レールの相対的垂直方向移動を生ずるとき、重力作用の下で対応する整形レールの端部区域に対し上昇位置から下降位置に落下するよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、周縁整形レールの少なくとも端部区域は、下降位置から上昇位置へ移動するよう構成し、ラッチ機構に外部アクチュエータが係合することにより対応する端部区域に対する前記補助レールの相対的垂直方向移動を生ずるとき、前記端部区域が対応する前記補助レールより上昇するよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、さらに、前記トリップ機構に作用して補助レールを選択的かつ一時的に対応する端部区域に対する上昇位置に配置させる準備機構を備え、この準備機構は、外部アクチュエータが係合して前記トリップ機構の作動により、対応する端部区域に対する前記補助レールの相対的垂直方向移動を生じ、これにより、前記補助レールが対応する前記端部区域に対して上昇位置に配置されるよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールの整形上面をほぼ平坦にした、自重曲げモールド。
【請求項8】
請求項7に記載の自重曲げモールドにおいて、前記上昇位置では前記補助レールの上面は、その中央部分では端部区域の上面より高く、前記補助レールの両側の縦方向端部では補助レールの上面は隣接する周縁整形レール上面とほぼ同じ高さとなるようにした、自重曲げモールド。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールを、対応する隣接の周縁整形レールの内側に取り付けた、自重曲げモールド。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記マウントは、前記補助レールの長さに沿って互いに間隔をあけて配置した一連のマウントにより構成した、自重曲げモールド。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールおよび前記マウントは、前記補助レール全体が上昇位置と下降位置の間で垂直方向に摺動するよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールおよび前記マウントは、前記補助レールおよび対応する隣接の周縁整形レールが前記上昇位置と下降位置との間での相対的垂直方向移動中に、互いに側方に移動するよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項13】
請求項4に記載の自重曲げモールドにおいて、前記トリップ機構および前記ラッチ機構は、モールドの端部部分がほぼ水平方向に開いた形態のとき、前記補助レールを自動的に隣接する周縁整形レールに対し上昇位置に押し上げ、またトリップ機構を自動的に補助レールの支持位置にロックするよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項14】
板ガラス曲げ装置において、請求項1〜13のいずれか一項に記載の自重曲げモールドを複数個備え、またこれら複数個の自重曲げモールドを順次に加熱炉に通過させるよう運搬するコンベヤシステムを備え、前記炉内には炉の長さに沿って所定位置に少なくとも1つのラッチ作動機構を設け、このラッチ作動機構は、各自重曲げモールドがラッチ作動機構を通過するときラッチ作動機構が作動するよう構成した、板ガラス曲げ装置。
【請求項15】
請求項14に記載の板ガラス曲げ装置において、ラッチ作動機構は、内側方向に湾曲するカム面を有する細長部材を備え、前記カム面は、自重曲げモールドが作動機構を通過するとき前記ラッチ機構を押圧するよう構成した、板ガラス曲げ装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の板ガラス曲げ装置において、前記炉は、さらに、前記炉の外側の所定位置に設けた少なくとも1個の準備作動機構を備え、前記準備作動機構は、各自重曲げモールドが準備作動機構を通過するとき前記トリップ機構を作動させるよう構成した、板ガラス曲げ装置。
【請求項17】
板ガラスの自重曲げ方法において、
(a)少なくとも1つの端部区域を有する周縁整形レールを備える自重曲げモールドを用意するステップと、
(b)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを前記自重曲げモールドに配置するステップと、および
(c)前記少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、加熱炉に通過させる運搬中に加熱することにより自重曲げするステップであって、前記加熱により板ガラスを軟化し、前記周縁整形レール上で所望の曲げ形状に相当する最終位置まで自重曲げする自重曲げステップと、
を有し、前記自重曲げステップは、
(i)板ガラスを自重曲げすることにより少なくとも1枚の板ガラスにほぼすべての縦方向曲率を加え、また少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも1つの側方端縁を支持し、かつ自重曲げによる横方向曲率の展開をほぼ回避する第1段階、および
(ii)この第1段階後に、少なくとも1枚の板ガラスにおける少なくとも1つの側方端縁に重力曲げによる最終横方向曲率を付与する展開を可能にする第2段階、
の2つの段階を有するものとした、
方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記第1段階において、少なくとも1枚の板ガラスにおける少なくとも1つの側方端縁を、周縁整形レールの端部区域に取り付けた補助レールにより支持し、この補助レールの上面を隣接する周縁整形レールの上面の上方に支持し、第2段階において、前記補助レールを周縁整形レールの下方に配置し、少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも1つの側方端縁を重力曲げして隣接する周縁整形レールの上面に接触することを可能にするようにした、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記第1段階において、少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも1つの側方端縁を、前記補助レールによりほぼ平坦に支持し、前記補助レールの上面はほぼ平坦とした、方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載の方法において、前記第2段階において、前記補助レール全体が対応する隣接の周縁整形レールの下方に配置されるよう構成した、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記第2段階において、前記第1段階と比べ、前記補助レールおよび対応する隣接の周縁整形レールが互いに側方に離間するよう移動するようにした、方法。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか一項に記載の方法において、トリップ機構により、選択的かつ一時的に補助レールを周縁成形レールに対する上昇位置に配置し、また前記トリップ機構に連結したラッチ機構は、外部トリップ作動装置が係合することにより第1段階から第2段階に移行する周縁整形レールに対して前記補助レールに相対的垂直方向移動を行わせる構成とした、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記モールドを自重曲げステップ中にコンベヤシステムにより運搬し、炉に通過させ、自重曲げを行わせ、また外部トリップ作動装置を炉の特定位置に配置する、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記外部トリップ作動装置は、カム作動によりラッチ機構に係合するものとした、方法。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法において、準備機構により前記トリップ機構に作用して前記補助レールを前記端部区域に対して上昇位置に選択的かつ一時的に配置させ、前記準備機構は、前記炉の外側に位置する外部準備アクチュエータが係合して、トリップ機構を作動することにより、前記補助レールを前記端部区域に対し相対的な垂直方向移動させ、これにより、前記補助レールを前記端部区域に対し上昇位置に配置するよう構成した、方法。
【請求項26】
請求項17〜25のいずれか一項に記載の方法において、前記第1段階は、ほぼ炉の曲げ区域の終了位置かつ炉の焼きなまし区域の開始位置で完了するものとした、方法。
【請求項27】
自動車のパノラマルーフ製造用に板ガラスを曲げる自重曲げモールドにおいて、固定周縁整形レールであって、少なくとも1個のコーナーおよび前記固定周縁整形レールに取り付けた少なくとも1個の補助レールを有し、この補助レールを、前記コーナーの少なくとも一部にそれぞれ隣接して少なくとも1個のマウントにより取り付け、このマウントは、前記補助レールの前記コーナーに対する相対的な垂直移動を可能にする構成とした、該固定周縁整形レールと、前記補助レールを上昇位置に選択的かつ一時的に配置するトリップ機構と、およびこのトリップ機構に連結したラッチ機構とを備え、このラッチ機構は、外部アクチュエータが係合して、トリップ機構の作動により対応のコーナーに対する前記補助レールの相対的垂直方向移動を生じ、これにより、後段階で前記補助レールがコーナーに対する下降位置に配置されるよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項28】
自動車のパノラマルーフ製造用に板ガラスを自重曲げする方法において、
(a)固定周縁整形レールであって、少なくとも1個のコーナーおよび前記固定周縁整形レールに取り付けた補助レールを有し、この補助レールを、前記コーナーの少なくとも一部に隣接して少なくとも1個のマウントにより取り付け、このマウントは、前記補助レールの前記コーナーに対する上昇位置と下降位置の間で前記コーナーに対して相対的垂直方向移動を可能にするよう構成した、該固定周縁整形レールを備える自重曲げモールドを用意するステップと、
(b)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、前記補助レールが上昇位置にある前記自重曲げモールドに配置するステップと、および
(c)前記少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、加熱炉に通過させる運搬中に加熱することにより自重曲げするステップであって、前記加熱により板ガラスを軟化し、これにより、少なくとも1枚の板ガラスの周端縁が垂れ下がって、前記少なくとも1枚の板ガラスの最終曲げ形状に相当する前記固定周縁整形レールに接触させる該自重曲げするステップと、
を有し、前記自重曲げステップは、
(i)前記補助レールが上昇位置にあり、前記少なくとも1枚の板ガラスを自重曲げして前記固定周縁整形レールおよび補助レールに接触させることにより、補助レールを有するコーナー以外で、最終曲げ形状の曲率を加える第1段階、および
(ii)この第1段階後に、前記補助レールが下降位置にあり、前記少なくとも1枚の板ガラスを自重曲げして前記固定周縁整形レールに対してその全周にわたり接触させることにより、最終曲げ形状の全ての曲率付与を完了する第2段階、
の2つの段階を有するものとした、
方法。
【請求項1】
板ガラスを曲げる自重曲げモールドにおいて、周縁整形レールであって、少なくとも1個端部区域および前記周縁整形レールに取り付けた少なくとも1個の補助レールを有し、この補助レールを、対応する端部区域の少なくとも一部にそれぞれ隣接して少なくとも1個のマウントによって取り付け、このマウントは、前記補助レールの端部区域に対する相対的な垂直移動を可能にする構成とした、該周縁整形レールと、前記補助レールを上昇位置に選択的かつ一時的に配置するトリップ機構と、およびこのトリップ機構に連結したラッチ機構とを備え、このラッチ機構は、外部アクチュエータが係合して、前記トリップ機構の作動により対応の端部区域に対する前記補助レールの相対的垂直移動を生じ、これにより、後段階で前記補助レールが端部区域に対する下降位置へ配置されるよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項2】
請求項1に記載の自重曲げモールドにおいて、周縁整形レールは、少なくとも1個の固定整形レールを有する固定部分、およびこの固定部分の各端部に取り付けた少なくとも1個の関節型の端部部分を有し、この関節型の端部部分は対応する端部区域をそれぞれ有する可動整形レールを備えた、自重曲げモールド。
【請求項3】
請求項1に記載の自重曲げモールドにおいて、前記周縁整形レールは、少なくとも1個の固定整形レールを有する固定部分、およびこの固定部分の各端部に取り付けた少なくとも1個の固定端部部分を有し、この固定端部部分は対応する端部区域をそれぞれ有する固定整形レールを備えた、自重曲げモールド。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールは、ラッチ機構に外部アクチュエータが係合することにより対応する端部区域に対する前記補助レールの相対的垂直方向移動を生ずるとき、重力作用の下で対応する整形レールの端部区域に対し上昇位置から下降位置に落下するよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、周縁整形レールの少なくとも端部区域は、下降位置から上昇位置へ移動するよう構成し、ラッチ機構に外部アクチュエータが係合することにより対応する端部区域に対する前記補助レールの相対的垂直方向移動を生ずるとき、前記端部区域が対応する前記補助レールより上昇するよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、さらに、前記トリップ機構に作用して補助レールを選択的かつ一時的に対応する端部区域に対する上昇位置に配置させる準備機構を備え、この準備機構は、外部アクチュエータが係合して前記トリップ機構の作動により、対応する端部区域に対する前記補助レールの相対的垂直方向移動を生じ、これにより、前記補助レールが対応する前記端部区域に対して上昇位置に配置されるよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールの整形上面をほぼ平坦にした、自重曲げモールド。
【請求項8】
請求項7に記載の自重曲げモールドにおいて、前記上昇位置では前記補助レールの上面は、その中央部分では端部区域の上面より高く、前記補助レールの両側の縦方向端部では補助レールの上面は隣接する周縁整形レール上面とほぼ同じ高さとなるようにした、自重曲げモールド。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールを、対応する隣接の周縁整形レールの内側に取り付けた、自重曲げモールド。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記マウントは、前記補助レールの長さに沿って互いに間隔をあけて配置した一連のマウントにより構成した、自重曲げモールド。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールおよび前記マウントは、前記補助レール全体が上昇位置と下降位置の間で垂直方向に摺動するよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の自重曲げモールドにおいて、前記補助レールおよび前記マウントは、前記補助レールおよび対応する隣接の周縁整形レールが前記上昇位置と下降位置との間での相対的垂直方向移動中に、互いに側方に移動するよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項13】
請求項4に記載の自重曲げモールドにおいて、前記トリップ機構および前記ラッチ機構は、モールドの端部部分がほぼ水平方向に開いた形態のとき、前記補助レールを自動的に隣接する周縁整形レールに対し上昇位置に押し上げ、またトリップ機構を自動的に補助レールの支持位置にロックするよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項14】
板ガラス曲げ装置において、請求項1〜13のいずれか一項に記載の自重曲げモールドを複数個備え、またこれら複数個の自重曲げモールドを順次に加熱炉に通過させるよう運搬するコンベヤシステムを備え、前記炉内には炉の長さに沿って所定位置に少なくとも1つのラッチ作動機構を設け、このラッチ作動機構は、各自重曲げモールドがラッチ作動機構を通過するときラッチ作動機構が作動するよう構成した、板ガラス曲げ装置。
【請求項15】
請求項14に記載の板ガラス曲げ装置において、ラッチ作動機構は、内側方向に湾曲するカム面を有する細長部材を備え、前記カム面は、自重曲げモールドが作動機構を通過するとき前記ラッチ機構を押圧するよう構成した、板ガラス曲げ装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の板ガラス曲げ装置において、前記炉は、さらに、前記炉の外側の所定位置に設けた少なくとも1個の準備作動機構を備え、前記準備作動機構は、各自重曲げモールドが準備作動機構を通過するとき前記トリップ機構を作動させるよう構成した、板ガラス曲げ装置。
【請求項17】
板ガラスの自重曲げ方法において、
(a)少なくとも1つの端部区域を有する周縁整形レールを備える自重曲げモールドを用意するステップと、
(b)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを前記自重曲げモールドに配置するステップと、および
(c)前記少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、加熱炉に通過させる運搬中に加熱することにより自重曲げするステップであって、前記加熱により板ガラスを軟化し、前記周縁整形レール上で所望の曲げ形状に相当する最終位置まで自重曲げする自重曲げステップと、
を有し、前記自重曲げステップは、
(i)板ガラスを自重曲げすることにより少なくとも1枚の板ガラスにほぼすべての縦方向曲率を加え、また少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも1つの側方端縁を支持し、かつ自重曲げによる横方向曲率の展開をほぼ回避する第1段階、および
(ii)この第1段階後に、少なくとも1枚の板ガラスにおける少なくとも1つの側方端縁に重力曲げによる最終横方向曲率を付与する展開を可能にする第2段階、
の2つの段階を有するものとした、
方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記第1段階において、少なくとも1枚の板ガラスにおける少なくとも1つの側方端縁を、周縁整形レールの端部区域に取り付けた補助レールにより支持し、この補助レールの上面を隣接する周縁整形レールの上面の上方に支持し、第2段階において、前記補助レールを周縁整形レールの下方に配置し、少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも1つの側方端縁を重力曲げして隣接する周縁整形レールの上面に接触することを可能にするようにした、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記第1段階において、少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも1つの側方端縁を、前記補助レールによりほぼ平坦に支持し、前記補助レールの上面はほぼ平坦とした、方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載の方法において、前記第2段階において、前記補助レール全体が対応する隣接の周縁整形レールの下方に配置されるよう構成した、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記第2段階において、前記第1段階と比べ、前記補助レールおよび対応する隣接の周縁整形レールが互いに側方に離間するよう移動するようにした、方法。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか一項に記載の方法において、トリップ機構により、選択的かつ一時的に補助レールを周縁成形レールに対する上昇位置に配置し、また前記トリップ機構に連結したラッチ機構は、外部トリップ作動装置が係合することにより第1段階から第2段階に移行する周縁整形レールに対して前記補助レールに相対的垂直方向移動を行わせる構成とした、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記モールドを自重曲げステップ中にコンベヤシステムにより運搬し、炉に通過させ、自重曲げを行わせ、また外部トリップ作動装置を炉の特定位置に配置する、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記外部トリップ作動装置は、カム作動によりラッチ機構に係合するものとした、方法。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法において、準備機構により前記トリップ機構に作用して前記補助レールを前記端部区域に対して上昇位置に選択的かつ一時的に配置させ、前記準備機構は、前記炉の外側に位置する外部準備アクチュエータが係合して、トリップ機構を作動することにより、前記補助レールを前記端部区域に対し相対的な垂直方向移動させ、これにより、前記補助レールを前記端部区域に対し上昇位置に配置するよう構成した、方法。
【請求項26】
請求項17〜25のいずれか一項に記載の方法において、前記第1段階は、ほぼ炉の曲げ区域の終了位置かつ炉の焼きなまし区域の開始位置で完了するものとした、方法。
【請求項27】
自動車のパノラマルーフ製造用に板ガラスを曲げる自重曲げモールドにおいて、固定周縁整形レールであって、少なくとも1個のコーナーおよび前記固定周縁整形レールに取り付けた少なくとも1個の補助レールを有し、この補助レールを、前記コーナーの少なくとも一部にそれぞれ隣接して少なくとも1個のマウントにより取り付け、このマウントは、前記補助レールの前記コーナーに対する相対的な垂直移動を可能にする構成とした、該固定周縁整形レールと、前記補助レールを上昇位置に選択的かつ一時的に配置するトリップ機構と、およびこのトリップ機構に連結したラッチ機構とを備え、このラッチ機構は、外部アクチュエータが係合して、トリップ機構の作動により対応のコーナーに対する前記補助レールの相対的垂直方向移動を生じ、これにより、後段階で前記補助レールがコーナーに対する下降位置に配置されるよう構成した、自重曲げモールド。
【請求項28】
自動車のパノラマルーフ製造用に板ガラスを自重曲げする方法において、
(a)固定周縁整形レールであって、少なくとも1個のコーナーおよび前記固定周縁整形レールに取り付けた補助レールを有し、この補助レールを、前記コーナーの少なくとも一部に隣接して少なくとも1個のマウントにより取り付け、このマウントは、前記補助レールの前記コーナーに対する上昇位置と下降位置の間で前記コーナーに対して相対的垂直方向移動を可能にするよう構成した、該固定周縁整形レールを備える自重曲げモールドを用意するステップと、
(b)少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、前記補助レールが上昇位置にある前記自重曲げモールドに配置するステップと、および
(c)前記少なくとも1枚の平坦な板ガラスを、加熱炉に通過させる運搬中に加熱することにより自重曲げするステップであって、前記加熱により板ガラスを軟化し、これにより、少なくとも1枚の板ガラスの周端縁が垂れ下がって、前記少なくとも1枚の板ガラスの最終曲げ形状に相当する前記固定周縁整形レールに接触させる該自重曲げするステップと、
を有し、前記自重曲げステップは、
(i)前記補助レールが上昇位置にあり、前記少なくとも1枚の板ガラスを自重曲げして前記固定周縁整形レールおよび補助レールに接触させることにより、補助レールを有するコーナー以外で、最終曲げ形状の曲率を加える第1段階、および
(ii)この第1段階後に、前記補助レールが下降位置にあり、前記少なくとも1枚の板ガラスを自重曲げして前記固定周縁整形レールに対してその全周にわたり接触させることにより、最終曲げ形状の全ての曲率付与を完了する第2段階、
の2つの段階を有するものとした、
方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−511590(P2010−511590A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539811(P2009−539811)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050721
【国際公開番号】WO2008/068526
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(591229107)ピルキントン グループ リミテッド (82)
【出願人】(509156413)ピルキントン ブラジル リミターダ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050721
【国際公開番号】WO2008/068526
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(591229107)ピルキントン グループ リミテッド (82)
【出願人】(509156413)ピルキントン ブラジル リミターダ (1)
【Fターム(参考)】
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