舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法
【課題】舗装の内部損傷箇所を非破壊で迅速に定量調査できる方法を提供する。
【解決手段】上記課題は、舗装路面Rにおける検出対象領域の全体にわたり所定の間隔で、電磁波レーダーkによる探査を行い、各反射波検出位置40における反射波データ50を取得し、この反射波データ50に基づき、各反射波検出位置40の所定深さにおける反射波強度55を取得し、この反射波強度50が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置40を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置40を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、ことを特徴とする舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法により解決される。
【解決手段】上記課題は、舗装路面Rにおける検出対象領域の全体にわたり所定の間隔で、電磁波レーダーkによる探査を行い、各反射波検出位置40における反射波データ50を取得し、この反射波データ50に基づき、各反射波検出位置40の所定深さにおける反射波強度55を取得し、この反射波強度50が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置40を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置40を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、ことを特徴とする舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法により解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は 舗装の内部損傷箇所、例えば表面からは確認できない又は確認し難いひび割れ、層間剥離、滞水箇所等を、非破壊で調査する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舗装の性能はその供用に伴い低下するものである。よって、一般的な舗装管理においては、舗装の現況を適時に調査し、路面性能や舗装自体の強度がある程度まで低下したならば、舗装の維持(路面性能の回復及び舗装の構造的強度低下の遅延)又は修繕を行うといったことが実施されている。
【0003】
このような舗装管理において、舗装の現況調査はその後の維持・修繕計画の指標となるため極めて重要であり、既設舗装の状態を正確に把握する必要がある。我が国における調査の種類には、簡易調査、路面の定量調査、破損原因の調査、及び利用者等の意見調査等があり、中でも定量調査は、管理目標値の設定により数値的且つ客観的な管理を行うことができるため、現在の舗装管理では欠かせないものとなっている。ここで、路面の定量調査では、次の(a)〜(e)の調査を行うことが一般的となっている。
(a)ひび割れ率・ひび割れ度:スケッチ又は路面性状測定車により行う。
(b)わだち掘れ量:横断プロフィルメータや路面性状測定車により行う。
(c)平坦性:3メートルプロフィルメータまたは同等の結果が得られる方法により行う。
(d)浸透水量:現場透水量試験により行う。
(e)その他:すべり抵抗値、騒音値、ポットホール(長径、短径、個数)。
【0004】
これらの測定結果をそのまま用いて路面性能を評価しても良いが、いくつかの項目に基づく評価式を用いて性能評価を行うことが行われており、代表的なものとして、下記のMCI(維持管理指数)やPSI(供用性指数)、空港舗装におけるPRI(空港舗装供用性指数)がある。
MCI = 10 - 1.48C0.3 - 0.29D0.7 - 0.47σ0.2 …(1)
MCI0 = 10 - 1.51C0.3 - 0.30D0.7 …(2)
MCI1 = 10 - 2.23C0.3 …(3)
MCI2 = 10 - 0.54D0.7 …(4)
PSI = 4.53 - 0.518logσC0.9 - 0.371C0.5 - 0.174D2 …(5)
ただし、
C:ひび割れ率(%)
D:わだち掘れ量の平均(MCI:mm,PSI:cm)
σ:平坦性(mm)
〔注〕MCIは、式(1)(平坦性が未測定の場合は式(2))、式(3)及び式(4)の算出結果のうち最小値をもってMCIの値とする。
【0005】
また、MCI値と補修の必要性との関係、並びにPSI値と補修工法との関係は次のとおりである。
MCI値 ≧ 5 :望ましい管理水準(補修不要)
MCI値 ≦ 4 :補修の必要あり
MCI値 ≦ 3 :早急に補修の必要あり
PSI値 = 3〜2.1 :表面処理
PSI値 = 2〜1.1 :オーバーレイ
PSI値 = 1〜0 :打換え工
【0006】
通常の場合、定量調査と同時に又は必要に応じて単独での、破損原因の調査を行う。破損原因の調査としては、採取コアの観察調査、コアからのアスファルトの抽出及び性状試験調査、舗装構造の非破壊調査(FWDやベンケルマンビーム等を用いたたわみ量測定等)や開削調査などがあり、舗装構造の非破壊調査や開削調査は、下表に示すように、路面のひび割れの進行速度やひび割れの状態等に応じて実施される。そして、その調査結果に基づき、路面の破損状況、支持力、疲労抵抗性等により舗装構造の評価が行われる。舗装構造の評価方法としては、路面の破損状況にもとづく残存等値換算厚、FWDなどのたわみ測定装置で測定される表面たわみ、疲労度等の指標を用いて行う方法がある。
【0007】
【表1】
【0008】
他方、これらの現況調査の結果、既設舗装の性能が管理上の目標値を下回っている場合や、近い将来に下回ることが予想される場合などには、舗装の維持、修繕が行われる。舗装の維持は局部的で軽度な修理を行うものであり、下表のとおり、日常的維持と予防的維持とがある。
【0009】
【表2】
【0010】
予防的維持は、舗装構造の性能に大きな変状が現れる前に路面の性能回復を図るものであり、例えば下表のとおりである。
【0011】
【表3】
【0012】
これらに対して、舗装の修繕は、維持では不経済もしくは十分な回復が期待できない場合に、建設時の性能程度に復旧することを目的として行うものであり、例えば下表のとおりである。
【0013】
【表4】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「2−4.舗装の維持・修繕」、舗装設計施工指針(平成18年版)、社団法人日本道路協会、平成18年2月、32〜45ページ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の舗装評価の定量調査においては、ひび割れ等の損傷箇所に重きを置いているにもかかわらず、舗装の表面に露見したひび割れ等の損傷箇所しか定量化していなかったため、調査精度の点で改善の余地があった。
【0016】
すなわち、例えば図16に順を追って示したように、舗装はその供用に伴い疲労し、平坦性、わだち掘れ量、ひび割れの増加により構造の健全性が低下し、また路面性能が低下していく。また、随時、舗装の日常的な維持は行われる。そして、ひび割れの進行により、路盤に水が浸入し、路盤損傷が進行する段階になると、オーバーレイ工法等の表層補修が実施され、路面の定量調査においてはひび割れの無い新設時と同じ評価となる。
【0017】
しかし、このような表層補修が実施され、表面から内部への水の浸入が防止されたとしても、内部のひび割れが補修されていないと、内部のひび割れが増殖し、路面に到達したり、路盤の損傷が進行したりすることにより、内部の損傷は進行しており、それにもかかわらず、従来の路面の定量調査を実施すると、ひび割れの無い新設時からの疲労と同じ評価となってしまう。もちろん、内部構造の詳細調査も実施できなくはないが、前述の表1に示す通り、表面のひび割れ率が低い場合には詳細調査の必要性が低いと判断され、内部構造の詳細調査は実施されないことが普通であった。
【0018】
また、近年増加傾向にある排水性舗装は表層が多孔質であるため、表面のひび割れが発見され難く、対応が遅れ易い。よって、このような排水性舗装に従来の定量調査を適用した場合にも、調査精度の点で改善の余地があった。
【0019】
そして、これらの問題の原因を探ると、定量調査においては非破壊で広範囲を迅速に調査できることが望まれるのに対して、従来、舗装の内部構造に対してそのような調査を行いうるものが存在していないことが知見された。
【0020】
そこで、本発明の主たる課題は、舗装内部の損傷箇所を非破壊で迅速に定量調査できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
舗装の内部損傷箇所を非破壊で定量調査する方法であって、
電磁波レーダーを用い、舗装路面における検出対象領域の全体にわたり、路面に沿う方向に所定の間隔を空けて、舗装上から舗装内へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を舗装上で検出することにより、各反射波検出位置における反射波データを取得し、
この取得した反射波データに基づき、前記各反射波検出位置の所定深さにおける反射波強度を取得し、
この取得した各反射波検出位置の反射波強度に基づき、反射波強度が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、
ことを特徴とする舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0022】
(作用効果)
本発明者らは、いわゆる電磁波レーダーを利用することにより、舗装の内部損傷箇所を定量化できるとの知見を得て本発明をなすに至った。すなわち、舗装内部のひび割れ、層間剥離、滞水箇所、補修箇所等の内部損傷に電磁波が入射しようとすると、その一部は反射し、反射波として検出することができ、これらの損傷の無い部分からは反射波は検出されない。本発明では、この原理を利用して、舗装路面における検出対象領域の全体にわたり、路面に沿う方向に所定の間隔を空けて、舗装上から舗装内へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を舗装上で検出することにより、各反射波検出位置における反射波データを取得し、反射波強度が所定の強度しきい値以上であるか、未満であるかにより内部損傷箇所・非内部損傷箇所を判別し、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する。よって、舗装の広範囲な検出対象領域における内部損傷箇所を非破壊で迅速に調査できるようになる。なお、「各反射波検出位置の所定深さ」とは、後述の代表値からも判るように反射波検出位置毎に異なっていても良く、また反射波検出位置一か所あたり一つであっても、複数であっても良い。
【0023】
<請求項2記載の発明>
前記取得した反射波データに基づき、前記各反射波検出位置の反射波データにおける舗装表面の反射波ピークと路盤被覆層下面の反射波ピークとの間の部分から、反射波強度の最大値を当該反射波検出位置の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得し、
この取得した各反射波検出位置の反射波強度の代表値に基づき、反射波強度の代表値が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度の代表値が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、
請求項1記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0024】
(作用効果)
このように、各反射波検出位置の反射波データにおける舗装表面の反射波ピークと路盤被覆層下面の反射波ピークとの間の部分(つまり路盤被覆層の内部損傷によりピークが発生する可能性がある部分)から、反射波強度の最大値を当該反射波検出位置の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得し、この代表値が所定の強度しきい値以上であるか、未満であるかにより内部損傷箇所・非内部損傷箇所を判別することにより、ある反射波検出位置に存在する内部損傷の深さと、他の反射波検出位置に存在する内部損傷の深さとが異なっていても、いずれか一方だけではなく、両方を加味して検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化することができる。
【0025】
<請求項3記載の発明>
前記取得した反射波データに基づき、舗装表面における反射波ピークより下側における反射波の総エネルギーを前記各反射波検出位置について算出し、この総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下となる反射波検出位置を内部損傷箇所とするとともに、
総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置であって、且つ前記反射波強度の代表値が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、
総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置であって、且つ反射波強度の代表値が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、
前記検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、請求項2記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0026】
(作用効果)
アスファルト層又はコンクリート層のような均質な路盤被覆層内に、粒状に崩れた損傷部分が存在していると、その損傷部分に上方から入射した電磁波だけでなく、被覆層の下面から反射して戻ってくる電磁波も散乱し、結果的には舗装上では舗装内からの反射波を殆ど検出できない状態が発生する。よって、ひび割れ等のように単に反射波強度が強い部分を有する箇所を内部損傷箇所とするだけでは、このような損傷箇所は検出することができない。
【0027】
これに対して、上述のように舗装表面よりも下側における反射波の総エネルギーを利用し、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下となるか否かを見れば、散乱により反射波が消失するような内部損傷があるか否かを精度良く判別することができる。そして、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える条件の下で、反射波強度に基づく内部損傷箇所の判別を行うことにより、より多くの種類の内部損傷を定量化することができるようになる。
【0028】
<請求項4記載の発明>
前記各反射波検出位置の反射波強度を、路面の多孔性及び湿潤状態の影響を排除するための補正係数を乗じて補正する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0029】
(作用効果)
電磁波を舗装に向かって照射した場合、舗装表面における反射波強度は、舗装の材質及びその湿潤状態(天候)によって変化し、一般に水分量が多いと反射波強度が高くなり、水を含まない排水性舗装のように多孔質で空隙が多いと弱くなる。よって、取得した反射波データの強度をそのまま用いると、調査結果が舗装の湿潤状態、舗装の多孔性により変化してしまい、調査結果の客観性や汎用性が損なわれ、他の調査結果との対比も困難となる。よって、上述のように補正係数を乗じて反射波強度を補正するのが好ましい。
【0030】
<請求項5記載の発明>
前記各反射波検出位置の反射波強度の違いが現された前記検出対象領域の平面可視化画像を作成し、この可視化画像に現れた、反射波強度が所定の強度しきい値以上となる領域の連続性の程度により、前記内部損傷箇所及び非内部損傷箇所を判別する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0031】
(作用効果)
このような平面可視化画像を作成することにより、内部損傷箇所及び非内部損傷箇所をより高精度に判別できるようになる。
【0032】
<請求項6記載の発明>
前記舗装が、排水性舗装、オーバーレイ補修された舗装、表層打換えされた舗装である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0033】
(作用効果)
排水性舗装は、表層が多孔質であるため、表面のひび割れが発見され難いという特徴がある。また、補修された舗装は、表面が綺麗でも内部損傷が増殖していることもある。よって、本発明はこれらの舗装の内部損傷箇所の調査に好適である。
【発明の効果】
【0034】
以上のとおり、本発明によれば、舗装の内部損傷箇所を非破壊で迅速に定量調査できるようになる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】電磁波レーダーの概略図である。
【図2】レーダーシステムのブロック図である。
【図3】レーダーシステムのセンサ配列例を示す平面図である。
【図4】レーダーシステムのセンサ配列例を示す平面図である。
【図5】探査車の概略図である。
【図6】レーダーシステムの処理プロセスを示す概略図である。
【図7】反射波データの取得概要を示す概略図である。
【図8】分析処理のフローチャートである。
【図9】舗装表面の状態による反射波強度の違いを示す、舗装断面及び波形の対比図である。
【図10】内部散乱の有無による反射波の違いを示す波形図である。
【図11】反射波強度の代表値の取得概要を示す波形図である。
【図12】健全箇所と損傷箇所との違いを示す、舗装断面及び波形の対比図である。
【図13】反射波強度の違いが濃淡で現された検出対象領域の平面可視化画像である。
【図14】反射波強度が所定の強度しきい値以上である箇所が強調表示された検出対象領域の平面可視化画像である。
【図15】ひび割れ率の算出概要を示す概略図である。
【図16】舗装の経年変化を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。なお、「深さ方向」とは路面と直交する方向を意味する。
【0037】
<計測>
本発明は電磁波レーダーを用いて舗装の内部探査を行う。電磁波レーダーとしては、GSSI社(米国)製の各種電磁波レーダーシステム(例えばSIR3000等)、日本無線社製RCレーダー(例えばハンディサーチNJJ-95B等)、アイレック技建社製のコンクリート構造物の鉄筋探査装置(例えばライトエスパー)、コマツエンジニアリング社製のレーダ探査機(例えばアイアンシーカ)等、公知のものを特に限定無く用いることができるが、送受信センサを多数並設したレーダーシステムが高効率・高精度であるため好ましい。以下、具体例について説明する。
【0038】
図1は電磁波レーダーの概略図である。符号aは電磁波の送受信アンテナおよび送受信回路を一体的にケースに組み込んだセンサa、符号cはn個のセンサaを並列に連結してアレイ状としたアレイアンテナ、符号bはアレイアンテナcを構成する各センサaに対して夫々スイッチングにより機能の切り替えを行い、個々に送受信および信号処理を行うようにするコントロールユニットをそれぞれ示している。なお、アレイアンテナcとコントロールユニットbとによりレーダーシステムkを構成している。
【0039】
レーダーシステムに用いられるセンサaとしては、ステップ波形によるインパルス発信を用いたものであって、周波数が0.5〜3GHzの中心帯域を持つものが好適であり、特に周波数を1GHz以上として探査を行うと、波長が短いことから深さ方向の分解能が向上する。深さ方向の分解能は特に限定されないが、5cm未満であるのが好ましい。一方、電磁波は周波数が高くなるにつれて、物体中での減衰が激しくなるが、2GHz以下で探査を行えば、ある程度の深度(40cm以上)まで十分な探査を行うことができる。
【0040】
コントロールユニットbによりコントロールされた各センサaからは、舗装の表面Rから内部に向けて略垂直に電磁波が発振される。そして、舗装内からの反射波は各センサaに受信される。各センサaで受信された反射波は、コントロールユニットbを介してアナログ信号からデジタル信号に変換されたデータとしてデータ処理装置に出力される。
【0041】
レーダーシステムkは、より具体的には図2に示すように構成することができる。すなわち、レーダーシステムkにおけるセンサaは送信部Txと受信部Rxとにより構成され、n個のセンサaへの給電は、例えばコントロールユニットbに設けられた電源電池31により供給され、また該電源電池はコントロールユニットb内の各回路に給電される。
【0042】
n個のセンサaの送信部への送信指令は、スイッチ切り替え制御回路34が第1切り替えスイッチ34aを順次切り替えることにより、順次送信を行うようになっており、この切替のタイミングはタイミング源発振回路33bで発生した数十MHzのクロックパルスにより行われ、例えばタイミングクロックパルスの周期毎に順次スイッチングされ、数μs後にはアレイアンテナのn個のセンサaを一巡する。
【0043】
各センサaの送信部Txで発信された電磁波は、測定対象物に対して反射と透過を繰り返し、その内部状況を反射信号としてセンサaの受信部Rxで受信する。受信された反射信号は、同期信号発生回路33からの同期信号に従ってサンプリングされ、低周波の受信信号1〜nに変換されて各センサから出力される。各センサから出力された受信信号は、スイッチ切り替え回路34にて、A/D変換回路35およびバッファ36により信号の処理が行われ、第2切り替えスイッチ34bの切り替えにより順次データ処理装置へ出力される。
【0044】
図3の(a)は、レーダーシステムkが図1に示す単配列状態を示しており、副走査方向におけるセンサaの間隔をdとすると、この単配列状態の分解能はdとなる。これに対し、図3の(b)に示すように、n列の単配列のアレイアンテナc1を千鳥状にm行配列することにより、このアレイアンテナc2は、m倍の分解能を得ることができ、これにより水平解像度が決定される。そして、単配列時におけるアレイアンテナc1の分解能dに対し、m行配列するアレイアンテナc2は、d/mの分解能となる。また、図4に示すように、センサaをm行×n列に配列したアレイアンテナc3としても良い。この構成では、アレイアンテナc3を移動させることなく一度にm行×n列の範囲で探査を行える。
【0045】
探査に際しては、作業員がアンテナを逐次移動させながら測定を行っても良いが、図5に示すように、レーダーシステムkを搭載した自動車等の探査車10で舗装路面Rを走行しながら、舗装路面Rにおける検出対象領域の全体にわたり、路面Rに沿う方向に所定の間隔を空けて探査を行うのが望ましい。図5に示す探査車10は、レーダーシステムkの他に、光学式距離計(回転式距離計でも良い)11、路面状況を撮像するためのカメラ12、GPS装置13を搭載しており、これらの出力信号がデータ処理装置14に入力されるように構成されている。データ収録装置14としては、汎用のコンピュータを用いることができる。図示例では、データ処理装置14等の機器を牽引する構造となっているため、データ処理装置14等の機器を制御するための制御装置15を車両に搭載している。
【0046】
レーダーシステムkにおけるセンサaの配列方向を副走査方向とし、副走査方向および電磁波の発信方向に対して直交する方向を主走査方向とすると、レーダーシステムkの主走査方向は探査車10の走行方向となっており、走行に伴う移動距離は距離計11からデータ処理装置14に対して入力されるようになっている。
【0047】
図6は、レーダーシステムkを主走査方向に移動させて得られた情報を処理するプロセスを示している。レーダーシステムkは検査対象である舗装路面R上に支持され、主走査方向に沿って移動される。その際、コントロールユニットbは、例えばn個のセンサa(1,2,・・・・n)を順に駆動し、副走査方向の各位置における反射波データが主走査方向について時々刻々と出力する。つまり、図7に示すように、反射波データ(強度(振幅)及び深度(時間))42は、主走査方向に所定の反射波検出間隔(移動方向の位置間隔)で、且つ副走査方向に所定の反射波検出間隔(センサ配列間隔)で定まる各検出位置41で取得される。これらの検出間隔は適宜定めることができるが、10cm未満であることが望ましい。
【0048】
取得される各検出位置40の反射波データ50は、各検出位置40の位置情報と関連付けて、データ処理装置14に内蔵又は接続された図示しない記憶装置に記録される。この際、各検出位置40の位置情報の生データは、主走査方向移動距離及び副走査方向のセンサ配列間隔であるが、必要に応じて三次元座標に変換し、生データと併せて記録することができ、また、反射波データ50は波形データであるが、必要に応じて後述する総エネルギーや反射波強度の最大値を求めて、波形データとともに記録することができる。
【0049】
<分析>
上述の計測により舗装路面Rにおける検出対象領域の全体にわたり反射波データ50を取得したならば、次いで取得データ50の分析を行い、検出対象領域に占める内部損傷61を有する箇所(内部損傷箇所)の割合を定量化する。この定量化の手順の一例が図8に示されている。まず、好適には取得した反射波データ50の強度補正を行う。図9に示すように、電磁波の反射波50のうち舗装表面Rからの反射波強度51は、舗装の材質及びその湿潤状態(天候)によって変化し、一般に水分量が多いと反射波強度が高くなり、水を含まない排水性舗装のように多孔質で空隙が多いと弱くなる。よって、この影響を排除するため、例えば図9に示すように補正係数を乗じて反射波データ50の強度を深さ方向全体にわたり補正する。なお、図9中の符号65は路盤層を、また符号60は路盤65上を被覆する被覆層(アスファルト舗装における表層及び基層。ただし、上層路盤がアスファルト安定処理されたアスファルト混合物層の場合のみ、表層から上層路盤までを被覆層という)を示している。補正係数は、例えば乾燥状態の密粒度アスファルト表面における反射波強度を予め又は後に計測して標準データとし、この標準データと本計測における舗装表面Rにおける反射波強度との比をとることにより設定することができ、例えば下表のように設定することができる。なお、雨の日であって路面表面に滞水が見られる場合は、補正できるレベルに無いため、調査を避けるのが望ましい。
【0050】
【表5】
【0051】
次に、舗装表面Rより下側における反射波53の総エネルギーを各反射波検出位置40について算出し、この総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下となる反射波検出位置40を内部損傷箇所と判別する。すなわち、通常の場合、図10(a)に示すように、反射波は舗装表面Rで最も強く且つ一定のピーク51が現れ、路盤被覆層60(アスファルト舗装ではアスファルト層又はコンクリート舗装ではコンクリート層)の下面(路盤層との境界)でも比較的強いピーク52が現れる。しかし、被覆層60内に粒状に崩れた損傷部分が存在していると、その損傷部分において入射波及び反射波が散乱してしまうため、図10(b)に示すように、舗装表面Rより下側における反射波53にピークが殆ど現れなくなる。そこで、舗装表面Rにおける反射波ピーク51を基準としてそれよりも下側の反射波53の総エネルギーを算出し、この総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下であるか否かを基準に区別すれば、被覆層60内に粒状に崩れた損傷部分が存在しているか否かを検出することができる。このエネルギーしきい値は適宜定めることができるが、通常の場合は舗装表面Rの反射波ピーク51の強度に対して(以下、単に対舗装表面という)5〜20%、特に5〜15%とするのが好ましい。ここで、エネルギーしきい値を定める基準となる舗装表面Rの反射波ピーク51の強度は、各検出位置毎に求めたり、任意の検出位置における値を代表的に用いたりしても良いが、複数の検出位置(例えば、一度に計測が行われた道路区間若しくはその一部の区間)の平均値を用いるのがより好ましい。
【0052】
なお、内部損傷は、舗装表面Rに沿う方向にある程度の広がりを有している場合が多く、通常レベルのレーダーの分解能を有していれば、局所的(例えば一つの検出位置だけ)に総エネルギーが低くなるようなことは殆ど無い。よって、局所的に総エネルギーが低くなった場合は、誤検出の可能性が高いため排除するのが望ましい。具体的には、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下である検出位置40の数や面積を算出し、所定しきい値以下である場合は誤検出として内部損傷が無かったものとしても良いが、このような微妙な判断は自動化するよりも作業員が行った方が良いため、各反射波検出位置40の総エネルギー値の違いが濃淡、色分け、これらの組み合わせ等で現された検出対象領域の平面可視化画像を作成し、作業員がこの画像に基づいて、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下の部分の連続性を見て、連続性が十分にあると認められる場合に内部損傷があり、連続性が無いと認められる場合に内部損傷が無いものと識別するのが望ましい。この場合に作成する平面可視化画像としては、総エネルギーの違いが一様に現された画像よりも、総エネルギーが所定の強度しきい値以下である箇所を他の箇所と異なる色で表示すること(又は線で囲む等でも良い)により強調表示した画像が好ましい。この画像の表示については、リアルタイムに表示させてもよく、またデータの取得後に表示領域の指定により表示させるようにしてもよい。これらの画像処理については、後述の反射強度の場合と基本は同様であるため、反射強度の画像例を参照されたい。
【0053】
一方、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置40については、図11に示すように、各反射波検出位置40の反射波データ50における舗装表面の反射波ピーク51と路盤被覆層下面の反射波ピーク52との間の部分54(つまり路盤被覆層の内部損傷によりピークが発生する可能性がある部分)から、反射波強度の最大値55を当該反射波検出位置40の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得し、図12に示すように、この代表値55が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置40を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度の代表値55が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として判別する。代表値としては、最大値55が好適であるが、平均値や総和値等を用いることもできる。また、基準となる強度しきい値は適宜定めることができるが、通常の場合は対舗装表面で5〜15%とするのが好ましい。ここで、強度しきい値を定める基準となる舗装表面Rの反射波ピーク51の強度は、エネルギーしきい値の場合と同様であり、各検出位置毎に求めたり、任意の検出位置における値を代表的に用いたりしても良いが、複数の検出位置(例えば、一度に計測が行われた道路区間若しくはその一部の区間)の平均値を用いるのがより好ましい。
【0054】
前述のとおり、内部損傷は、路面に沿う方向にある程度の広がりを有している場合が多いため、通常レベルのレーダーの分解能を有していれば、局所的(例えば一つの検出位置だけ)に反射波強度が高くなるようなことは殆ど無い。よって、前述の総エネルギー値の場合と同様に、局所的に反射波強度が高くなった場合は、誤検出の可能性が高いため排除するのが望ましい。具体的には、反射波強度が所定の強度しきい値以上である検出位置40の数や面積を算出し、所定しきい値以下である場合は誤検出として内部損傷が無かったものとしても良いが、このような微妙な判断は自動化するよりも作業員が行った方が良いため、図13に示すように各反射波検出位置40の反射波強度の違いが濃淡、色分け、これらの組み合わせ等で現された検出対象領域の平面可視化画像70を作成し、作業員がこの画像70に基づいて、反射波強度が所定の強度しきい値以上の部分71(図示例では色の濃い部分)の連続性を見て、連続性が十分にあると認められる場合に内部損傷があり、連続性が無いと認められる場合に内部損傷が無いものと識別するのが望ましい。この場合に作成する平面可視化画像としては、図13に示すように、反射波強度の違いが濃淡で一様に現された画像70よりも、図14に示すように反射波強度が所定の強度しきい値以上である箇所81が他の箇所と極端に異なる色で表示すること(又は線で囲む等でも良い)により強調表示された画像80が好ましい。なお、図14の(a)図及び(b)図は、それぞれ図13の(a)図及び(b)図と同じ部分を強調表示したものである。この画像の表示については、リアルタイムに表示させてもよく、またデータの取得後に表示領域の指定により表示させるようにしてもよい。
【0055】
これらの結果が得られたならば、検出対象領域に占める内部損傷箇所71,81の割合、つまり内部損傷率(内部ひび割れ率)を求める。この算出方法は適宜定めることができるが、例えば、我が国の道路管理において標準的となっているひび割れ率(表面に現れたひび割れ等の表面露見損傷に基づくもの)を応用することができる。図15は、この算出方法の概要を示しており、この方法は、検出対象領域を0.5m×0.5m程度の矩形の単位領域(以下、グリッドという)に分割し、グリッド内の損傷の種類、数、面積に応じて定まる所定の式により各グリッドの損傷面積を算出し、これを全グリッドの面積で除算してひび割れ率を算出するというものである。そして、このひび割れ率は、前述のMCI値又はPSI値の算出式におけるC値(ひび割れ率)としてそのまま代入することができ、これにより求まるMCI値又はPSI値は従来のものと同様に舗装の評価に用いることができる。
【0056】
ひび割れ率が高い場合等、必要に応じて、次のような詳細な分析を更に行い、内部損傷の位置や種類を特定することができる。すなわち、内部損傷の位置は、舗装上面から下面まで深さ方向に所定の間隔(分解能以下)で、各深さにおける各反射波検出位置40の反射波強度をそれぞれ取得し、所定の強度しきい値以上の反射波検出位置40を当該深さにおける内部損傷箇所として、平面位置及び深さ方向位置を求めることができる。また、舗装上面Rから深さ方向に所定の間隔(分解能以下)で、各深さにおける各反射波検出位置40の反射波強度の違いが濃淡、色分け、これらの組み合わせ等で現された検出対象領域の平面可視化画像をそれぞれ作成し、各深さの平面可視化画像に基づいて内部損傷箇所の平面位置及び深さ方向位置を求めることもできる。
【0057】
また、内部損傷の種類は、下表に示すように、内部損傷箇所(内部損傷を有する検出位置40)の反射波強度、周波数分析、及び平面形状を単独又は適宜組み合わせることにより識別することができる。
【0058】
【表6】
【0059】
もちろん、この詳細分析とともに又はこれに代えて、従来の「破損原因の調査」を行っても良い。
【0060】
<その他>
(イ)評価対象の舗装は、特に限定されないが、路盤上にアスファルト合材からなる路盤被覆層(基層・表層)が設けられたアスファルト舗装、路盤被覆層がセメントコンクリートからなるコンクリート舗装が好適であり、特に排水性舗装、オーバーレイ補修された舗装、表層打換えされた舗装が好適である。
(ロ)上記分析では、反射波の総エネルギーに基づいて内部損傷を検出するプロセスを含んでいるが、このプロセスは省略することもできる。また、反射波強度に基づく内部損傷の検出の後に行うこともできる。
(ハ)内部損傷とは、内部にのみ存在し、表面に露出していないひび割れ、層間剥離、滞水部分の他、表面に露出しているが内部まで延在しているひび割れや、ポットホール、パッチング、局部打ち換え部分等を含む。
(ニ)上記分析では、路盤被覆層60内の深さ方向全体に含まれる内部損傷を検出するため、各反射波検出位置40の反射波データにおける路盤被覆層内部分54から、反射波強度の最大値55を当該反射波検出位置の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得しているが、一つの深さ又は複数の深さの各々における反射波強度をそれぞれ強度しきい値と比較して内部損傷の有無を判別しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、道路の維持・管理等に際して、アスファルト舗装等の舗装におけるひび割れ等の内部損傷箇所を、非破壊で定量調査するために利用できるものである。
【符号の説明】
【0062】
k…電磁波レーダーシステム、a…センサ、10…探査車、11…光学式距離計、12…カメラ、13…GPS装置、14…データ処理装置、15…制御装置、R…舗装表面(路面)、40…反射波検出位置、50…反射波、51…舗装表面におけるピーク、52…被覆層底面におけるピーク、52…反射波強度の代表値、60…被覆層、61…内部損傷、65…路盤、70…反射波強度の平面可視化画像、71…内部損傷箇所、80…強調表示された反射波強度の平面可視化画像、81…内部損傷箇所。
【技術分野】
【0001】
本発明は 舗装の内部損傷箇所、例えば表面からは確認できない又は確認し難いひび割れ、層間剥離、滞水箇所等を、非破壊で調査する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舗装の性能はその供用に伴い低下するものである。よって、一般的な舗装管理においては、舗装の現況を適時に調査し、路面性能や舗装自体の強度がある程度まで低下したならば、舗装の維持(路面性能の回復及び舗装の構造的強度低下の遅延)又は修繕を行うといったことが実施されている。
【0003】
このような舗装管理において、舗装の現況調査はその後の維持・修繕計画の指標となるため極めて重要であり、既設舗装の状態を正確に把握する必要がある。我が国における調査の種類には、簡易調査、路面の定量調査、破損原因の調査、及び利用者等の意見調査等があり、中でも定量調査は、管理目標値の設定により数値的且つ客観的な管理を行うことができるため、現在の舗装管理では欠かせないものとなっている。ここで、路面の定量調査では、次の(a)〜(e)の調査を行うことが一般的となっている。
(a)ひび割れ率・ひび割れ度:スケッチ又は路面性状測定車により行う。
(b)わだち掘れ量:横断プロフィルメータや路面性状測定車により行う。
(c)平坦性:3メートルプロフィルメータまたは同等の結果が得られる方法により行う。
(d)浸透水量:現場透水量試験により行う。
(e)その他:すべり抵抗値、騒音値、ポットホール(長径、短径、個数)。
【0004】
これらの測定結果をそのまま用いて路面性能を評価しても良いが、いくつかの項目に基づく評価式を用いて性能評価を行うことが行われており、代表的なものとして、下記のMCI(維持管理指数)やPSI(供用性指数)、空港舗装におけるPRI(空港舗装供用性指数)がある。
MCI = 10 - 1.48C0.3 - 0.29D0.7 - 0.47σ0.2 …(1)
MCI0 = 10 - 1.51C0.3 - 0.30D0.7 …(2)
MCI1 = 10 - 2.23C0.3 …(3)
MCI2 = 10 - 0.54D0.7 …(4)
PSI = 4.53 - 0.518logσC0.9 - 0.371C0.5 - 0.174D2 …(5)
ただし、
C:ひび割れ率(%)
D:わだち掘れ量の平均(MCI:mm,PSI:cm)
σ:平坦性(mm)
〔注〕MCIは、式(1)(平坦性が未測定の場合は式(2))、式(3)及び式(4)の算出結果のうち最小値をもってMCIの値とする。
【0005】
また、MCI値と補修の必要性との関係、並びにPSI値と補修工法との関係は次のとおりである。
MCI値 ≧ 5 :望ましい管理水準(補修不要)
MCI値 ≦ 4 :補修の必要あり
MCI値 ≦ 3 :早急に補修の必要あり
PSI値 = 3〜2.1 :表面処理
PSI値 = 2〜1.1 :オーバーレイ
PSI値 = 1〜0 :打換え工
【0006】
通常の場合、定量調査と同時に又は必要に応じて単独での、破損原因の調査を行う。破損原因の調査としては、採取コアの観察調査、コアからのアスファルトの抽出及び性状試験調査、舗装構造の非破壊調査(FWDやベンケルマンビーム等を用いたたわみ量測定等)や開削調査などがあり、舗装構造の非破壊調査や開削調査は、下表に示すように、路面のひび割れの進行速度やひび割れの状態等に応じて実施される。そして、その調査結果に基づき、路面の破損状況、支持力、疲労抵抗性等により舗装構造の評価が行われる。舗装構造の評価方法としては、路面の破損状況にもとづく残存等値換算厚、FWDなどのたわみ測定装置で測定される表面たわみ、疲労度等の指標を用いて行う方法がある。
【0007】
【表1】
【0008】
他方、これらの現況調査の結果、既設舗装の性能が管理上の目標値を下回っている場合や、近い将来に下回ることが予想される場合などには、舗装の維持、修繕が行われる。舗装の維持は局部的で軽度な修理を行うものであり、下表のとおり、日常的維持と予防的維持とがある。
【0009】
【表2】
【0010】
予防的維持は、舗装構造の性能に大きな変状が現れる前に路面の性能回復を図るものであり、例えば下表のとおりである。
【0011】
【表3】
【0012】
これらに対して、舗装の修繕は、維持では不経済もしくは十分な回復が期待できない場合に、建設時の性能程度に復旧することを目的として行うものであり、例えば下表のとおりである。
【0013】
【表4】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「2−4.舗装の維持・修繕」、舗装設計施工指針(平成18年版)、社団法人日本道路協会、平成18年2月、32〜45ページ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の舗装評価の定量調査においては、ひび割れ等の損傷箇所に重きを置いているにもかかわらず、舗装の表面に露見したひび割れ等の損傷箇所しか定量化していなかったため、調査精度の点で改善の余地があった。
【0016】
すなわち、例えば図16に順を追って示したように、舗装はその供用に伴い疲労し、平坦性、わだち掘れ量、ひび割れの増加により構造の健全性が低下し、また路面性能が低下していく。また、随時、舗装の日常的な維持は行われる。そして、ひび割れの進行により、路盤に水が浸入し、路盤損傷が進行する段階になると、オーバーレイ工法等の表層補修が実施され、路面の定量調査においてはひび割れの無い新設時と同じ評価となる。
【0017】
しかし、このような表層補修が実施され、表面から内部への水の浸入が防止されたとしても、内部のひび割れが補修されていないと、内部のひび割れが増殖し、路面に到達したり、路盤の損傷が進行したりすることにより、内部の損傷は進行しており、それにもかかわらず、従来の路面の定量調査を実施すると、ひび割れの無い新設時からの疲労と同じ評価となってしまう。もちろん、内部構造の詳細調査も実施できなくはないが、前述の表1に示す通り、表面のひび割れ率が低い場合には詳細調査の必要性が低いと判断され、内部構造の詳細調査は実施されないことが普通であった。
【0018】
また、近年増加傾向にある排水性舗装は表層が多孔質であるため、表面のひび割れが発見され難く、対応が遅れ易い。よって、このような排水性舗装に従来の定量調査を適用した場合にも、調査精度の点で改善の余地があった。
【0019】
そして、これらの問題の原因を探ると、定量調査においては非破壊で広範囲を迅速に調査できることが望まれるのに対して、従来、舗装の内部構造に対してそのような調査を行いうるものが存在していないことが知見された。
【0020】
そこで、本発明の主たる課題は、舗装内部の損傷箇所を非破壊で迅速に定量調査できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
舗装の内部損傷箇所を非破壊で定量調査する方法であって、
電磁波レーダーを用い、舗装路面における検出対象領域の全体にわたり、路面に沿う方向に所定の間隔を空けて、舗装上から舗装内へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を舗装上で検出することにより、各反射波検出位置における反射波データを取得し、
この取得した反射波データに基づき、前記各反射波検出位置の所定深さにおける反射波強度を取得し、
この取得した各反射波検出位置の反射波強度に基づき、反射波強度が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、
ことを特徴とする舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0022】
(作用効果)
本発明者らは、いわゆる電磁波レーダーを利用することにより、舗装の内部損傷箇所を定量化できるとの知見を得て本発明をなすに至った。すなわち、舗装内部のひび割れ、層間剥離、滞水箇所、補修箇所等の内部損傷に電磁波が入射しようとすると、その一部は反射し、反射波として検出することができ、これらの損傷の無い部分からは反射波は検出されない。本発明では、この原理を利用して、舗装路面における検出対象領域の全体にわたり、路面に沿う方向に所定の間隔を空けて、舗装上から舗装内へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を舗装上で検出することにより、各反射波検出位置における反射波データを取得し、反射波強度が所定の強度しきい値以上であるか、未満であるかにより内部損傷箇所・非内部損傷箇所を判別し、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する。よって、舗装の広範囲な検出対象領域における内部損傷箇所を非破壊で迅速に調査できるようになる。なお、「各反射波検出位置の所定深さ」とは、後述の代表値からも判るように反射波検出位置毎に異なっていても良く、また反射波検出位置一か所あたり一つであっても、複数であっても良い。
【0023】
<請求項2記載の発明>
前記取得した反射波データに基づき、前記各反射波検出位置の反射波データにおける舗装表面の反射波ピークと路盤被覆層下面の反射波ピークとの間の部分から、反射波強度の最大値を当該反射波検出位置の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得し、
この取得した各反射波検出位置の反射波強度の代表値に基づき、反射波強度の代表値が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度の代表値が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、
請求項1記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0024】
(作用効果)
このように、各反射波検出位置の反射波データにおける舗装表面の反射波ピークと路盤被覆層下面の反射波ピークとの間の部分(つまり路盤被覆層の内部損傷によりピークが発生する可能性がある部分)から、反射波強度の最大値を当該反射波検出位置の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得し、この代表値が所定の強度しきい値以上であるか、未満であるかにより内部損傷箇所・非内部損傷箇所を判別することにより、ある反射波検出位置に存在する内部損傷の深さと、他の反射波検出位置に存在する内部損傷の深さとが異なっていても、いずれか一方だけではなく、両方を加味して検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化することができる。
【0025】
<請求項3記載の発明>
前記取得した反射波データに基づき、舗装表面における反射波ピークより下側における反射波の総エネルギーを前記各反射波検出位置について算出し、この総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下となる反射波検出位置を内部損傷箇所とするとともに、
総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置であって、且つ前記反射波強度の代表値が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、
総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置であって、且つ反射波強度の代表値が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、
前記検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、請求項2記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0026】
(作用効果)
アスファルト層又はコンクリート層のような均質な路盤被覆層内に、粒状に崩れた損傷部分が存在していると、その損傷部分に上方から入射した電磁波だけでなく、被覆層の下面から反射して戻ってくる電磁波も散乱し、結果的には舗装上では舗装内からの反射波を殆ど検出できない状態が発生する。よって、ひび割れ等のように単に反射波強度が強い部分を有する箇所を内部損傷箇所とするだけでは、このような損傷箇所は検出することができない。
【0027】
これに対して、上述のように舗装表面よりも下側における反射波の総エネルギーを利用し、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下となるか否かを見れば、散乱により反射波が消失するような内部損傷があるか否かを精度良く判別することができる。そして、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える条件の下で、反射波強度に基づく内部損傷箇所の判別を行うことにより、より多くの種類の内部損傷を定量化することができるようになる。
【0028】
<請求項4記載の発明>
前記各反射波検出位置の反射波強度を、路面の多孔性及び湿潤状態の影響を排除するための補正係数を乗じて補正する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0029】
(作用効果)
電磁波を舗装に向かって照射した場合、舗装表面における反射波強度は、舗装の材質及びその湿潤状態(天候)によって変化し、一般に水分量が多いと反射波強度が高くなり、水を含まない排水性舗装のように多孔質で空隙が多いと弱くなる。よって、取得した反射波データの強度をそのまま用いると、調査結果が舗装の湿潤状態、舗装の多孔性により変化してしまい、調査結果の客観性や汎用性が損なわれ、他の調査結果との対比も困難となる。よって、上述のように補正係数を乗じて反射波強度を補正するのが好ましい。
【0030】
<請求項5記載の発明>
前記各反射波検出位置の反射波強度の違いが現された前記検出対象領域の平面可視化画像を作成し、この可視化画像に現れた、反射波強度が所定の強度しきい値以上となる領域の連続性の程度により、前記内部損傷箇所及び非内部損傷箇所を判別する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0031】
(作用効果)
このような平面可視化画像を作成することにより、内部損傷箇所及び非内部損傷箇所をより高精度に判別できるようになる。
【0032】
<請求項6記載の発明>
前記舗装が、排水性舗装、オーバーレイ補修された舗装、表層打換えされた舗装である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【0033】
(作用効果)
排水性舗装は、表層が多孔質であるため、表面のひび割れが発見され難いという特徴がある。また、補修された舗装は、表面が綺麗でも内部損傷が増殖していることもある。よって、本発明はこれらの舗装の内部損傷箇所の調査に好適である。
【発明の効果】
【0034】
以上のとおり、本発明によれば、舗装の内部損傷箇所を非破壊で迅速に定量調査できるようになる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】電磁波レーダーの概略図である。
【図2】レーダーシステムのブロック図である。
【図3】レーダーシステムのセンサ配列例を示す平面図である。
【図4】レーダーシステムのセンサ配列例を示す平面図である。
【図5】探査車の概略図である。
【図6】レーダーシステムの処理プロセスを示す概略図である。
【図7】反射波データの取得概要を示す概略図である。
【図8】分析処理のフローチャートである。
【図9】舗装表面の状態による反射波強度の違いを示す、舗装断面及び波形の対比図である。
【図10】内部散乱の有無による反射波の違いを示す波形図である。
【図11】反射波強度の代表値の取得概要を示す波形図である。
【図12】健全箇所と損傷箇所との違いを示す、舗装断面及び波形の対比図である。
【図13】反射波強度の違いが濃淡で現された検出対象領域の平面可視化画像である。
【図14】反射波強度が所定の強度しきい値以上である箇所が強調表示された検出対象領域の平面可視化画像である。
【図15】ひび割れ率の算出概要を示す概略図である。
【図16】舗装の経年変化を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。なお、「深さ方向」とは路面と直交する方向を意味する。
【0037】
<計測>
本発明は電磁波レーダーを用いて舗装の内部探査を行う。電磁波レーダーとしては、GSSI社(米国)製の各種電磁波レーダーシステム(例えばSIR3000等)、日本無線社製RCレーダー(例えばハンディサーチNJJ-95B等)、アイレック技建社製のコンクリート構造物の鉄筋探査装置(例えばライトエスパー)、コマツエンジニアリング社製のレーダ探査機(例えばアイアンシーカ)等、公知のものを特に限定無く用いることができるが、送受信センサを多数並設したレーダーシステムが高効率・高精度であるため好ましい。以下、具体例について説明する。
【0038】
図1は電磁波レーダーの概略図である。符号aは電磁波の送受信アンテナおよび送受信回路を一体的にケースに組み込んだセンサa、符号cはn個のセンサaを並列に連結してアレイ状としたアレイアンテナ、符号bはアレイアンテナcを構成する各センサaに対して夫々スイッチングにより機能の切り替えを行い、個々に送受信および信号処理を行うようにするコントロールユニットをそれぞれ示している。なお、アレイアンテナcとコントロールユニットbとによりレーダーシステムkを構成している。
【0039】
レーダーシステムに用いられるセンサaとしては、ステップ波形によるインパルス発信を用いたものであって、周波数が0.5〜3GHzの中心帯域を持つものが好適であり、特に周波数を1GHz以上として探査を行うと、波長が短いことから深さ方向の分解能が向上する。深さ方向の分解能は特に限定されないが、5cm未満であるのが好ましい。一方、電磁波は周波数が高くなるにつれて、物体中での減衰が激しくなるが、2GHz以下で探査を行えば、ある程度の深度(40cm以上)まで十分な探査を行うことができる。
【0040】
コントロールユニットbによりコントロールされた各センサaからは、舗装の表面Rから内部に向けて略垂直に電磁波が発振される。そして、舗装内からの反射波は各センサaに受信される。各センサaで受信された反射波は、コントロールユニットbを介してアナログ信号からデジタル信号に変換されたデータとしてデータ処理装置に出力される。
【0041】
レーダーシステムkは、より具体的には図2に示すように構成することができる。すなわち、レーダーシステムkにおけるセンサaは送信部Txと受信部Rxとにより構成され、n個のセンサaへの給電は、例えばコントロールユニットbに設けられた電源電池31により供給され、また該電源電池はコントロールユニットb内の各回路に給電される。
【0042】
n個のセンサaの送信部への送信指令は、スイッチ切り替え制御回路34が第1切り替えスイッチ34aを順次切り替えることにより、順次送信を行うようになっており、この切替のタイミングはタイミング源発振回路33bで発生した数十MHzのクロックパルスにより行われ、例えばタイミングクロックパルスの周期毎に順次スイッチングされ、数μs後にはアレイアンテナのn個のセンサaを一巡する。
【0043】
各センサaの送信部Txで発信された電磁波は、測定対象物に対して反射と透過を繰り返し、その内部状況を反射信号としてセンサaの受信部Rxで受信する。受信された反射信号は、同期信号発生回路33からの同期信号に従ってサンプリングされ、低周波の受信信号1〜nに変換されて各センサから出力される。各センサから出力された受信信号は、スイッチ切り替え回路34にて、A/D変換回路35およびバッファ36により信号の処理が行われ、第2切り替えスイッチ34bの切り替えにより順次データ処理装置へ出力される。
【0044】
図3の(a)は、レーダーシステムkが図1に示す単配列状態を示しており、副走査方向におけるセンサaの間隔をdとすると、この単配列状態の分解能はdとなる。これに対し、図3の(b)に示すように、n列の単配列のアレイアンテナc1を千鳥状にm行配列することにより、このアレイアンテナc2は、m倍の分解能を得ることができ、これにより水平解像度が決定される。そして、単配列時におけるアレイアンテナc1の分解能dに対し、m行配列するアレイアンテナc2は、d/mの分解能となる。また、図4に示すように、センサaをm行×n列に配列したアレイアンテナc3としても良い。この構成では、アレイアンテナc3を移動させることなく一度にm行×n列の範囲で探査を行える。
【0045】
探査に際しては、作業員がアンテナを逐次移動させながら測定を行っても良いが、図5に示すように、レーダーシステムkを搭載した自動車等の探査車10で舗装路面Rを走行しながら、舗装路面Rにおける検出対象領域の全体にわたり、路面Rに沿う方向に所定の間隔を空けて探査を行うのが望ましい。図5に示す探査車10は、レーダーシステムkの他に、光学式距離計(回転式距離計でも良い)11、路面状況を撮像するためのカメラ12、GPS装置13を搭載しており、これらの出力信号がデータ処理装置14に入力されるように構成されている。データ収録装置14としては、汎用のコンピュータを用いることができる。図示例では、データ処理装置14等の機器を牽引する構造となっているため、データ処理装置14等の機器を制御するための制御装置15を車両に搭載している。
【0046】
レーダーシステムkにおけるセンサaの配列方向を副走査方向とし、副走査方向および電磁波の発信方向に対して直交する方向を主走査方向とすると、レーダーシステムkの主走査方向は探査車10の走行方向となっており、走行に伴う移動距離は距離計11からデータ処理装置14に対して入力されるようになっている。
【0047】
図6は、レーダーシステムkを主走査方向に移動させて得られた情報を処理するプロセスを示している。レーダーシステムkは検査対象である舗装路面R上に支持され、主走査方向に沿って移動される。その際、コントロールユニットbは、例えばn個のセンサa(1,2,・・・・n)を順に駆動し、副走査方向の各位置における反射波データが主走査方向について時々刻々と出力する。つまり、図7に示すように、反射波データ(強度(振幅)及び深度(時間))42は、主走査方向に所定の反射波検出間隔(移動方向の位置間隔)で、且つ副走査方向に所定の反射波検出間隔(センサ配列間隔)で定まる各検出位置41で取得される。これらの検出間隔は適宜定めることができるが、10cm未満であることが望ましい。
【0048】
取得される各検出位置40の反射波データ50は、各検出位置40の位置情報と関連付けて、データ処理装置14に内蔵又は接続された図示しない記憶装置に記録される。この際、各検出位置40の位置情報の生データは、主走査方向移動距離及び副走査方向のセンサ配列間隔であるが、必要に応じて三次元座標に変換し、生データと併せて記録することができ、また、反射波データ50は波形データであるが、必要に応じて後述する総エネルギーや反射波強度の最大値を求めて、波形データとともに記録することができる。
【0049】
<分析>
上述の計測により舗装路面Rにおける検出対象領域の全体にわたり反射波データ50を取得したならば、次いで取得データ50の分析を行い、検出対象領域に占める内部損傷61を有する箇所(内部損傷箇所)の割合を定量化する。この定量化の手順の一例が図8に示されている。まず、好適には取得した反射波データ50の強度補正を行う。図9に示すように、電磁波の反射波50のうち舗装表面Rからの反射波強度51は、舗装の材質及びその湿潤状態(天候)によって変化し、一般に水分量が多いと反射波強度が高くなり、水を含まない排水性舗装のように多孔質で空隙が多いと弱くなる。よって、この影響を排除するため、例えば図9に示すように補正係数を乗じて反射波データ50の強度を深さ方向全体にわたり補正する。なお、図9中の符号65は路盤層を、また符号60は路盤65上を被覆する被覆層(アスファルト舗装における表層及び基層。ただし、上層路盤がアスファルト安定処理されたアスファルト混合物層の場合のみ、表層から上層路盤までを被覆層という)を示している。補正係数は、例えば乾燥状態の密粒度アスファルト表面における反射波強度を予め又は後に計測して標準データとし、この標準データと本計測における舗装表面Rにおける反射波強度との比をとることにより設定することができ、例えば下表のように設定することができる。なお、雨の日であって路面表面に滞水が見られる場合は、補正できるレベルに無いため、調査を避けるのが望ましい。
【0050】
【表5】
【0051】
次に、舗装表面Rより下側における反射波53の総エネルギーを各反射波検出位置40について算出し、この総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下となる反射波検出位置40を内部損傷箇所と判別する。すなわち、通常の場合、図10(a)に示すように、反射波は舗装表面Rで最も強く且つ一定のピーク51が現れ、路盤被覆層60(アスファルト舗装ではアスファルト層又はコンクリート舗装ではコンクリート層)の下面(路盤層との境界)でも比較的強いピーク52が現れる。しかし、被覆層60内に粒状に崩れた損傷部分が存在していると、その損傷部分において入射波及び反射波が散乱してしまうため、図10(b)に示すように、舗装表面Rより下側における反射波53にピークが殆ど現れなくなる。そこで、舗装表面Rにおける反射波ピーク51を基準としてそれよりも下側の反射波53の総エネルギーを算出し、この総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下であるか否かを基準に区別すれば、被覆層60内に粒状に崩れた損傷部分が存在しているか否かを検出することができる。このエネルギーしきい値は適宜定めることができるが、通常の場合は舗装表面Rの反射波ピーク51の強度に対して(以下、単に対舗装表面という)5〜20%、特に5〜15%とするのが好ましい。ここで、エネルギーしきい値を定める基準となる舗装表面Rの反射波ピーク51の強度は、各検出位置毎に求めたり、任意の検出位置における値を代表的に用いたりしても良いが、複数の検出位置(例えば、一度に計測が行われた道路区間若しくはその一部の区間)の平均値を用いるのがより好ましい。
【0052】
なお、内部損傷は、舗装表面Rに沿う方向にある程度の広がりを有している場合が多く、通常レベルのレーダーの分解能を有していれば、局所的(例えば一つの検出位置だけ)に総エネルギーが低くなるようなことは殆ど無い。よって、局所的に総エネルギーが低くなった場合は、誤検出の可能性が高いため排除するのが望ましい。具体的には、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下である検出位置40の数や面積を算出し、所定しきい値以下である場合は誤検出として内部損傷が無かったものとしても良いが、このような微妙な判断は自動化するよりも作業員が行った方が良いため、各反射波検出位置40の総エネルギー値の違いが濃淡、色分け、これらの組み合わせ等で現された検出対象領域の平面可視化画像を作成し、作業員がこの画像に基づいて、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下の部分の連続性を見て、連続性が十分にあると認められる場合に内部損傷があり、連続性が無いと認められる場合に内部損傷が無いものと識別するのが望ましい。この場合に作成する平面可視化画像としては、総エネルギーの違いが一様に現された画像よりも、総エネルギーが所定の強度しきい値以下である箇所を他の箇所と異なる色で表示すること(又は線で囲む等でも良い)により強調表示した画像が好ましい。この画像の表示については、リアルタイムに表示させてもよく、またデータの取得後に表示領域の指定により表示させるようにしてもよい。これらの画像処理については、後述の反射強度の場合と基本は同様であるため、反射強度の画像例を参照されたい。
【0053】
一方、総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置40については、図11に示すように、各反射波検出位置40の反射波データ50における舗装表面の反射波ピーク51と路盤被覆層下面の反射波ピーク52との間の部分54(つまり路盤被覆層の内部損傷によりピークが発生する可能性がある部分)から、反射波強度の最大値55を当該反射波検出位置40の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得し、図12に示すように、この代表値55が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置40を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度の代表値55が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として判別する。代表値としては、最大値55が好適であるが、平均値や総和値等を用いることもできる。また、基準となる強度しきい値は適宜定めることができるが、通常の場合は対舗装表面で5〜15%とするのが好ましい。ここで、強度しきい値を定める基準となる舗装表面Rの反射波ピーク51の強度は、エネルギーしきい値の場合と同様であり、各検出位置毎に求めたり、任意の検出位置における値を代表的に用いたりしても良いが、複数の検出位置(例えば、一度に計測が行われた道路区間若しくはその一部の区間)の平均値を用いるのがより好ましい。
【0054】
前述のとおり、内部損傷は、路面に沿う方向にある程度の広がりを有している場合が多いため、通常レベルのレーダーの分解能を有していれば、局所的(例えば一つの検出位置だけ)に反射波強度が高くなるようなことは殆ど無い。よって、前述の総エネルギー値の場合と同様に、局所的に反射波強度が高くなった場合は、誤検出の可能性が高いため排除するのが望ましい。具体的には、反射波強度が所定の強度しきい値以上である検出位置40の数や面積を算出し、所定しきい値以下である場合は誤検出として内部損傷が無かったものとしても良いが、このような微妙な判断は自動化するよりも作業員が行った方が良いため、図13に示すように各反射波検出位置40の反射波強度の違いが濃淡、色分け、これらの組み合わせ等で現された検出対象領域の平面可視化画像70を作成し、作業員がこの画像70に基づいて、反射波強度が所定の強度しきい値以上の部分71(図示例では色の濃い部分)の連続性を見て、連続性が十分にあると認められる場合に内部損傷があり、連続性が無いと認められる場合に内部損傷が無いものと識別するのが望ましい。この場合に作成する平面可視化画像としては、図13に示すように、反射波強度の違いが濃淡で一様に現された画像70よりも、図14に示すように反射波強度が所定の強度しきい値以上である箇所81が他の箇所と極端に異なる色で表示すること(又は線で囲む等でも良い)により強調表示された画像80が好ましい。なお、図14の(a)図及び(b)図は、それぞれ図13の(a)図及び(b)図と同じ部分を強調表示したものである。この画像の表示については、リアルタイムに表示させてもよく、またデータの取得後に表示領域の指定により表示させるようにしてもよい。
【0055】
これらの結果が得られたならば、検出対象領域に占める内部損傷箇所71,81の割合、つまり内部損傷率(内部ひび割れ率)を求める。この算出方法は適宜定めることができるが、例えば、我が国の道路管理において標準的となっているひび割れ率(表面に現れたひび割れ等の表面露見損傷に基づくもの)を応用することができる。図15は、この算出方法の概要を示しており、この方法は、検出対象領域を0.5m×0.5m程度の矩形の単位領域(以下、グリッドという)に分割し、グリッド内の損傷の種類、数、面積に応じて定まる所定の式により各グリッドの損傷面積を算出し、これを全グリッドの面積で除算してひび割れ率を算出するというものである。そして、このひび割れ率は、前述のMCI値又はPSI値の算出式におけるC値(ひび割れ率)としてそのまま代入することができ、これにより求まるMCI値又はPSI値は従来のものと同様に舗装の評価に用いることができる。
【0056】
ひび割れ率が高い場合等、必要に応じて、次のような詳細な分析を更に行い、内部損傷の位置や種類を特定することができる。すなわち、内部損傷の位置は、舗装上面から下面まで深さ方向に所定の間隔(分解能以下)で、各深さにおける各反射波検出位置40の反射波強度をそれぞれ取得し、所定の強度しきい値以上の反射波検出位置40を当該深さにおける内部損傷箇所として、平面位置及び深さ方向位置を求めることができる。また、舗装上面Rから深さ方向に所定の間隔(分解能以下)で、各深さにおける各反射波検出位置40の反射波強度の違いが濃淡、色分け、これらの組み合わせ等で現された検出対象領域の平面可視化画像をそれぞれ作成し、各深さの平面可視化画像に基づいて内部損傷箇所の平面位置及び深さ方向位置を求めることもできる。
【0057】
また、内部損傷の種類は、下表に示すように、内部損傷箇所(内部損傷を有する検出位置40)の反射波強度、周波数分析、及び平面形状を単独又は適宜組み合わせることにより識別することができる。
【0058】
【表6】
【0059】
もちろん、この詳細分析とともに又はこれに代えて、従来の「破損原因の調査」を行っても良い。
【0060】
<その他>
(イ)評価対象の舗装は、特に限定されないが、路盤上にアスファルト合材からなる路盤被覆層(基層・表層)が設けられたアスファルト舗装、路盤被覆層がセメントコンクリートからなるコンクリート舗装が好適であり、特に排水性舗装、オーバーレイ補修された舗装、表層打換えされた舗装が好適である。
(ロ)上記分析では、反射波の総エネルギーに基づいて内部損傷を検出するプロセスを含んでいるが、このプロセスは省略することもできる。また、反射波強度に基づく内部損傷の検出の後に行うこともできる。
(ハ)内部損傷とは、内部にのみ存在し、表面に露出していないひび割れ、層間剥離、滞水部分の他、表面に露出しているが内部まで延在しているひび割れや、ポットホール、パッチング、局部打ち換え部分等を含む。
(ニ)上記分析では、路盤被覆層60内の深さ方向全体に含まれる内部損傷を検出するため、各反射波検出位置40の反射波データにおける路盤被覆層内部分54から、反射波強度の最大値55を当該反射波検出位置の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得しているが、一つの深さ又は複数の深さの各々における反射波強度をそれぞれ強度しきい値と比較して内部損傷の有無を判別しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、道路の維持・管理等に際して、アスファルト舗装等の舗装におけるひび割れ等の内部損傷箇所を、非破壊で定量調査するために利用できるものである。
【符号の説明】
【0062】
k…電磁波レーダーシステム、a…センサ、10…探査車、11…光学式距離計、12…カメラ、13…GPS装置、14…データ処理装置、15…制御装置、R…舗装表面(路面)、40…反射波検出位置、50…反射波、51…舗装表面におけるピーク、52…被覆層底面におけるピーク、52…反射波強度の代表値、60…被覆層、61…内部損傷、65…路盤、70…反射波強度の平面可視化画像、71…内部損傷箇所、80…強調表示された反射波強度の平面可視化画像、81…内部損傷箇所。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装の内部損傷箇所を非破壊で定量調査する方法であって、
電磁波レーダーを用い、舗装路面における検出対象領域の全体にわたり、路面に沿う方向に所定の間隔を空けて、舗装上から舗装内へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を舗装上で検出することにより、各反射波検出位置における反射波データを取得し、
この取得した反射波データに基づき、前記各反射波検出位置の所定深さにおける反射波強度を取得し、
この取得した各反射波検出位置の反射波強度に基づき、反射波強度が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、
ことを特徴とする舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項2】
前記取得した反射波データに基づき、前記各反射波検出位置の反射波データにおける舗装表面の反射波ピークと路盤被覆層下面の反射波ピークとの間の部分から、反射波強度の最大値を当該反射波検出位置の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得し、
この取得した各反射波検出位置の反射波強度の代表値に基づき、反射波強度の代表値が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度の代表値が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、
請求項1記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項3】
前記取得した反射波データに基づき、舗装表面における反射波ピークより下側における反射波の総エネルギーを前記各反射波検出位置について算出し、この総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下となる反射波検出位置を内部損傷箇所とするとともに、
総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置であって、且つ前記反射波強度の代表値が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、
総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置であって、且つ反射波強度の代表値が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、
前記検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、請求項2記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項4】
前記各反射波検出位置の反射波強度を、路面の多孔性及び湿潤状態の影響を排除するための補正係数を乗じて補正する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項5】
前記各反射波検出位置の反射波強度の違いが現された前記検出対象領域の平面可視化画像を作成し、この可視化画像に現れた、反射波強度が所定の強度しきい値以上となる領域の連続性の程度により、前記内部損傷箇所及び非内部損傷箇所を判別する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項6】
前記舗装が、排水性舗装、オーバーレイ補修された舗装、表層打換えされた舗装である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項1】
舗装の内部損傷箇所を非破壊で定量調査する方法であって、
電磁波レーダーを用い、舗装路面における検出対象領域の全体にわたり、路面に沿う方向に所定の間隔を空けて、舗装上から舗装内へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を舗装上で検出することにより、各反射波検出位置における反射波データを取得し、
この取得した反射波データに基づき、前記各反射波検出位置の所定深さにおける反射波強度を取得し、
この取得した各反射波検出位置の反射波強度に基づき、反射波強度が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、
ことを特徴とする舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項2】
前記取得した反射波データに基づき、前記各反射波検出位置の反射波データにおける舗装表面の反射波ピークと路盤被覆層下面の反射波ピークとの間の部分から、反射波強度の最大値を当該反射波検出位置の反射波強度の代表値としてそれぞれ取得し、
この取得した各反射波検出位置の反射波強度の代表値に基づき、反射波強度の代表値が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、且つ反射波強度の代表値が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、
請求項1記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項3】
前記取得した反射波データに基づき、舗装表面における反射波ピークより下側における反射波の総エネルギーを前記各反射波検出位置について算出し、この総エネルギーが所定のエネルギーしきい値以下となる反射波検出位置を内部損傷箇所とするとともに、
総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置であって、且つ前記反射波強度の代表値が所定の強度しきい値以上となる反射波検出位置を内部損傷箇所とし、
総エネルギーが所定のエネルギーしきい値を超える反射波検出位置であって、且つ反射波強度の代表値が所定の強度しきい値未満となる反射波検出位置を非内部損傷箇所として、
前記検出対象領域に占める内部損傷箇所の割合を定量化する、請求項2記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項4】
前記各反射波検出位置の反射波強度を、路面の多孔性及び湿潤状態の影響を排除するための補正係数を乗じて補正する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項5】
前記各反射波検出位置の反射波強度の違いが現された前記検出対象領域の平面可視化画像を作成し、この可視化画像に現れた、反射波強度が所定の強度しきい値以上となる領域の連続性の程度により、前記内部損傷箇所及び非内部損傷箇所を判別する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【請求項6】
前記舗装が、排水性舗装、オーバーレイ補修された舗装、表層打換えされた舗装である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の舗装の内部損傷箇所の非破壊調査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−32678(P2011−32678A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178061(P2009−178061)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【特許番号】特許第4442914号(P4442914)
【特許公報発行日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(391024825)ジオ・サーチ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【特許番号】特許第4442914号(P4442914)
【特許公報発行日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(391024825)ジオ・サーチ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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