説明

航空機における燃料電池用空気の供給システムおよび供給方法

【課題】航空機における機内空気の圧力エネルギと燃料電池から放出される熱エネルギを有効活用することで、航空機に搭載される燃料電池に、飛行高度に関わらず適正な圧力と流量の空気を無理なく供給する。
【解決手段】航空機に搭載される燃料電池1の発電反応に必要な空気として、圧縮装置10により圧縮された機外空気を、燃料電池1の空気極1a側に供給する。キャビン14から排気される機内空気が第1タービン11の作動流体として用いられる。空気極1a側から流出する排気ガスが第2タービン12の作動流体として用いられる。各タービン11、12の排気口は機外空間に連通される。第1タービン11の発生動力と第2タービン12の発生動力が、圧縮装置10による機外空気の圧縮動力として利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機に搭載された燃料電池において発電反応に必要な空気を、その燃料電池の空気極側に供給するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機においては、補助動力装置(APU)により機内で必要とされる電力の供給が行われている。従来の補助動力装置はガスタービンにより動力を発生させているため、燃料の燃焼エネルギの有効活用割合であるエネルギ利用率が低い。そのため、エネルギ効率が改善された補助動力源が求められている。また、航空機におけるメインエンジンのスタータは補助動力装置からの抽気により作動し、空調装置は補助動力装置やメインエンジンからの抽気によって作動するのが一般的であるが、抽気による作動はエネルギロスが多いことから、電動モータによる作動に変わる方向にある。さらに、航空機に搭載されるアクチュエータについても、従来は主動力源であるメインエンジンを動力源とする油圧式のものが主流であったが、不必要に作動油を昇圧するためエネルギ消費が多い。そのため、エネルギ消費の削減や油圧配管の保守の煩雑さをなくす目的と、最近の電動モータ技術の進歩により、小型軽量の電動モータをアクチュエータとして利用する動向にある。
【0003】
そのような電動化による電力需要の増加とエネルギ利用効率改善のため、燃料のエネルギへの変換効率が高く、容易に電力を供給できる燃料電池を補助動力源として利用することが図られている。航空機に搭載される燃料電池としては、例えば固体電解質(SOFC)型燃料電池のようにエネルギ変換効率が例えば60%〜65%と高いものが望ましい。しかし、固体電解質型燃料電池のようにセルを例えば600℃〜1000℃程度の高温に維持する必要がある燃料電池においては、セルに供給された空気が排気される際にエネルギが熱として放出されることから、その熱エネルギの回収が要求される。また、電解質でのエネルギ密度を上げるため、セルに供給される空気の圧力を、燃料電池の耐圧強度を過度に高める必要がない程度に大気圧より高くすることが望まれる。
【0004】
そこで、コンプレッサと、このコンプレッサに接続されたタービンと、このタービンに接続された発電機とを備え、コンプレッサによる圧縮空気を燃料電池の空気極側に供給し、且つ、空気極側からの排気ガスをタービンに作動流体として導入するシステムを、航空機において用いることが考えられる(非特許文献1、特許文献1参照)。これにより、燃料電池からの排気ガスによりタービンが駆動され、タービンの発生動力がコンプレッサによる空気の圧縮に利用され、さらにタービン発生動力に余剰があれば発電機により発電されるので、燃料電池から放出される熱エネルギを回収できる。
【非特許文献1】君島真仁、木村泰康、笠木伸英「マイクロガスタービン・燃料電池ハイブリッドシステムの部分負荷特性」2002年6月、第21回エネルギ・資源学会研究発表会講演論文
【特許文献1】特開2004−211706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記非特許文献1に示されたシステムは、航空機ではなく地上に設置された燃料電池に空気を供給するために構成されたものである。そのため、非特許文献1に示されたシステムを航空機において使用した場合、機外空気をコンプレッサにより圧縮した後に燃料電池に供給することになる。しかし、機外空気の圧力は航空機の高度上昇に伴って低下するため、燃料電池への適正な空気供給圧力と機外空気との比が非常に高くなり、コンプレッサの圧縮に要する動力が増加する。そのため、燃料電池からの排気ガスを利用したタービンの発生動力のみでは、機外空気の圧縮に要する動力を賄うことが困難になるおそれがある。
【0006】
上記特許文献1は、航空機に搭載された燃料電池に供給される空気として、客室用の機内空気を用いることを提案している。客室用の機内空気は上空では空調装置によって機外空気よりも昇圧されていることから、機外空気を圧縮する場合に比べてコンプレッサの圧縮に要する動力を低減できる。しかし、通常キャビンから換気のために排気される機内空気の流量に比べて、燃料電池に必要とされる空気の流量は少ないことから、客室用機内空気の多くは燃料電池のために利用されることなく機外に排気される。すなわち、機内空気を圧縮する際に機内空気の圧力エネルギを十分に有効活用できない。そのため、燃料電池からの排気ガスを利用したタービンの性能を高めても、客室用機内空気が機外に排出される際には、回収できないエネルギが多く存在することになる。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を解決できる航空機における燃料電池用空気の供給システムおよび供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、航空機に搭載された燃料電池において発電反応に必要な空気を、前記燃料電池の空気極側に供給するためのシステムであって、圧縮装置と、第1タービンと、第2タービンとを備え、前記圧縮装置により機外空気が圧縮されるように、前記圧縮装置の吸気口に前記航空機の機外空気導入口が接続され、前記圧縮装置による圧縮空気が前記空気極側に供給されるように、前記圧縮装置の排気口に前記空気極の吸気口が接続され、前記航空機のキャビンから排気される機内空気が前記第1タービンの作動流体として用いられるように、前記第1タービンの吸気口に前記キャビンの機内空気排気口が接続され、前記第1タービンの排気口は機外空間に連通され、前記空気極側から流出する排気ガスが前記第2タービンの作動流体として用いられるように、前記第2タービンの吸気口に前記空気極の排気口が接続され、前記第2タービンの排気口は機外空間に連通され、前記第1タービンの発生動力と前記第2タービンの発生動力が前記圧縮装置による機外空気の圧縮動力として利用されるように、前記前記第1タービンの出力と前記第2タービンの出力を前記圧縮装置に伝達する出力伝達手段を備える。
本発明によれば、第1タービンの吸気口に導入される機内空気の圧力と、第1タービンの排気口に通じる機外空気の圧力との差により、キャビンから排気される機内空気を作動流体として第1タービンが駆動される。この第1タービンの発生動力が圧縮装置による機外空気の圧縮動力として用いられる。これにより、機内空気が有する圧力エネルギを、上空における低圧の機外空気を圧縮する際に無駄なく有効活用できるので、その機内空気が有する圧力エネルギと、燃料電池からの排気ガスを利用した第2タービンの発生動力により、機外空気を圧縮するのに要する動力を賄うことができる。
なお、第2タービンの作動流体は、空気極側から流出する排気ガスを含んでいれば、それ以外の例えば燃料電池の燃料極側から流出する排気ガスが混合されていてもよい。さらに、第2タービンの作動流体に燃料電池の燃料極側から流出する排気ガスが混合される場合、その燃料極側の排気ガスに含まれる未燃ガスを空気極側の排気ガスとの混合時に燃焼させる燃焼器を備えているのが好ましい。
【0009】
前記圧縮装置は、第1ターボ圧縮機と第2ターボ圧縮機を有し、前記出力伝達手段として、前記第1タービンの羽根車と前記第1ターボ圧縮機の羽根車を同軸に一体回転するように連結する第1回転シャフトと、前記第2タービンの羽根車と前記第2ターボ圧縮機の羽根車を同軸に一体回転するように連結する第2回転シャフトとを有し、両回転シャフトは互いに独立して回転するものとされ、前記第1ターボ圧縮機による圧縮後の機外空気が前記第2ターボ圧縮機により圧縮されるように、両ターボ圧縮機は互いに直列に接続されるのが好ましい。
第1ターボ圧縮機をキャビンからの機内空気を作動流体とする第1タービンにより駆動し、第2ターボ圧縮機を燃料電池の排気ガスを作動流体とする第2タービンにより駆動できる。これにより、キャビンから排気される機内空気流量や、燃料電池による必要電力量は、キャビンの大きさや搭載電子機器の数等の航空機の仕様に応じて定まるが、第1ターボ圧縮機と第2ターボ圧縮機を個別に駆動できることで、設計の自由度が大きくなり、そのような仕様の相異に柔軟に対応できる。この場合、第1ターボ圧縮機の数と第2ターボ圧縮機の数は限定されず、機体仕様に応じて第1ターボ圧縮機の数と第2ターボ圧縮機の数とが相異してもよく、例えば、3台の第1ターボ圧縮機が互いに並列に接続され、2台の第2ターボ圧縮機が互いに並列に接続されてもよい。
あるいは、前記圧縮装置は少なくとも一つのターボ圧縮機を有し、前記ターボ圧縮機の羽根車、前記第1タービンの羽根車、および前記第2タービンの羽根車は、同軸中心に同行回転するように一体化されていてもよい。例えば、圧縮装置を構成する1〜2個の羽根車、第1タービンを構成する1個の羽根車、第2タービンを構成する1個の羽根車の合計3〜4個の羽根車を、1本のシャフトにより結合することで、圧縮および膨張のための機構を小型化し、比較的小型の航空機に適したものにできる。これにより、本発明を適用可能な機体規模の範囲を広げることができる。
前記第2回転シャフトに同軸かつ一体的に接続されるロータを有する発電機を備えるのが好ましい。これにより、第2タービンでの空気の膨張仕事が第2ターボ圧縮機での空気の圧縮動力よりも大きい場合、発電機において発電がなされ、燃料電池から放出される熱エネルギを電力として回収できる。
【0010】
前記航空機の翼に気体流路が、この気体流路を通過する気体の熱により前記翼の氷着防止必要箇所が加熱される位置に形成され、前記第2タービンの排気ガス、または、前記第2タービンの排気ガスにより加熱された気体が、前記気体流路に導入されるのが好ましい。
これにより、燃料電池からの排気ガスは第2タービンにおける膨張後も200℃以上となっていることが多く、十分に高温であることから、燃料電池から放出される熱エネルギを第2タービンの発生動力として回収するだけでなく、第2タービンの排気ガスが有する熱により翼を加熱することで、翼の前縁外表面等の氷着防止必要箇所に氷が付着するのを防止できる。よって、着氷防止のために別途エネルギを消費する必要がなくなり、エネルギ消費を削減できる。
【0011】
本発明方法は、航空機のキャビンから排気される機内空気を、排気口が機外空間に連通された第1タービンの作動流体として用い、前記航空機に搭載される燃料電池の空気極側から流出される排気ガスを、排気口が機外空間に連通された第2タービンの作動流体として用い、前記第1タービンの発生動力と前記第2タービンの発生動力を、圧縮装置による機外空気の圧縮動力として利用し、前記圧縮装置により圧縮された圧縮空気を、前記燃料電池の発電反応に必要な空気として前記空気極側に供給するものである。本発明システムは本発明方法を実施するために用いることができる。
【0012】
本発明のシステムを用いて前記燃料電池の空気極側に発電反応に必要な空気を供給する際に、前記キャビンから排気される機内空気を、前記航空機に搭載される機器の発生熱により加熱した後に前記第1タービンに導入するのが好ましい。
通常、キャビンから換気のために排出される機内空気は、航空機に搭載される電子機器等の冷却に用いられた後に機外に排出される。そのため、従来技術のように機内空気を圧縮する場合、その圧縮前に機内空気は電子機器等の熱により昇温されていることから、圧縮に要する動力が機内空気の絶対温度に比例して増大することになる。例えば、圧縮前の機内空気が20℃(293K)から電子機器等の熱により70℃(343K)に昇温された場合、機内空気の圧縮に要する動力は17%増加することになる。
これに対し本発明により、機内キャビンから換気のために排出される機内空気を航空機に搭載される機器の発生熱により加熱し、機内空気により駆動される第1タービンの発生動力を圧縮装置による機外空気の圧縮動力に利用することで、機内空気により機器を冷却でき、しかも第1タービンの発生動力を増大できる。この場合、前記キャビンから排気された機内空気を、前記第1タービンへの導入前に前記第2タービンの排気ガスにより加熱する加熱部を有するのが好ましい。これにより、第2タービンの排気ガスに残存している熱エネルギを機内空気に付与し、その機内空気の膨張により得られる第1タービンの発生動力を増大でき、より多くの熱エネルギ回収に貢献できる。また、第2タービンの排気ガスは、圧縮装置による圧縮空気を加熱することで低下した後でも、例えば150℃以上の高温が維持されることから、電子機器を冷却することで昇温したキャビンからの機内空気をさらに加熱するのに用いることができる。これにより、燃料電池による電力供給によって冷却対象となる電子機器が多くなったり、燃料電池での反応温度が高く設定されることで第2タービンの排気ガス温度が高くなる場合は、機外空気の圧縮のために用いられる第1タービンの発生動力が増大する。
さらに、前記キャビンから排気された機内空気が前記第1タービンへの導入前に前記発電機を冷却するように、前記ロータに機内空気の通過流路が形成され、前記通過流路を介して前記第1タービンの前記吸気口に前記キャビンの前記機内空気排気口が接続されているのが好ましい。これにより、発電機は機内空気により冷却されるので、放熱のために寸法を大きくする必要がなく、小型化できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、航空機における機内空気の圧力エネルギと燃料電池から放出される熱エネルギを有効活用することで、航空機に搭載される燃料電池に、飛行高度に関わらず適正な圧力と流量の空気を無理なく供給でき、さらに、燃料電池から放出される熱エネルギを有効活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、航空機に搭載された燃料電池1において発電反応に必要な空気を供給する本発明によるシステムAの構成を示す。燃料電池1は、空気極(カソード極)1a、燃料極(アノード極)1b、及び両極1a、1bの間に配置される電解質1cを備え、空気極1a側に反応用空気がシステムAを介して供給される。燃料電池1の種類は特に限定されず公知のものを用いることができる。燃料極1b側に燃料ガスが燃料源1dから改質器1eを介して供給される。本実施形態では天然ガス等が燃料ガスとして改質器1eに供給され、改質器1eにおいて水素と一酸化炭素等に分割された後に、燃料極1bの導入口1b′に導かれる。燃料ガスの種類は水素を供給できれば特に限定されず、水素そのものを供給してもよい。電解質1cの種類は特に限定されないが、航空機に搭載する上では液体よりも固体が好ましく、例えばSOFC型燃料電池の電解質1cは酸化ジルコニウム等により形成される。燃料電池1は制御装置1fに接続され、発電反応により発生する電力は電圧や周波数を制御されて取り出される。
【0015】
空気供給システムAは、圧縮装置10、第1ラジアルタービン(第1タービン)11、第2ラジアルタービン(第2タービン)12を備える。なお、タービンの種類は特に限定されない。
【0016】
圧縮装置10は、第1ラジアルコンプレッサ(第1ターボ圧縮機)10aと第2ラジアルコンプレッサ(第2ターボ圧縮機)10bを有する。各ラジアルコンプレッサ10a、10bは公知の構成を有し、吸気口10a′、10b′から吸引された気体は、高速回転する羽根車によりデフューザに押し出され、デフューザにて減速することで圧力回復され、スクロールによって圧縮され、排気口10a″、10b″から高温の圧縮空気として流出される。第1ラジアルコンプレッサ10aの排気口10a″に第2ラジアルコンプレッサ10bの吸気口10b′が接続されることで、両ラジアルコンプレッサ10a、10bは互いに直列に接続されている。第1ラジアルコンプレッサ10aと第2ラジアルコンプレッサ10bは、それぞれ複数の羽根車を有する多段式でもよい。
【0017】
各ラジアルタービン11、12は公知の構成を有し、吸気口11a、12aに供給された気体は、スクロールからノズルに至り、ノズルで高速流とされた後に羽根車の外周面に至り、羽根車に羽根を介して力を作用させつつほぼ断熱膨張し、排気口11b、12bから流出する。これにより、各ラジアルタービン11、12の羽根車は気体の膨張エネルギーを付与されることで回転する。第1ラジアルタービン11と第2ラジアルタービン12は、それぞれ多段式でもよい。
【0018】
圧縮装置10により機外空気が圧縮されるように、圧縮装置10の吸気口10a′に航空機の機外空気導入口13が接続される。すなわち、第1ラジアルコンプレッサ10aの吸気口10a′に機外空気導入口13が接続され、その導入された機外空気が第1ラジアルコンプレッサ10aによる圧縮後に第2ラジアルコンプレッサ10bにより圧縮される。圧縮装置10による圧縮空気が空気極1a側に供給されるように、圧縮装置10の排気口である第2ラジアルコンプレッサ10bの排気口10b″に、空気極1a側の吸気口1a′が再生熱交換器16を介して接続されている。空気極1a側への供給空気の圧力は、例えば400kPa(絶対圧)程度に設定される。
【0019】
第1ラジアルタービン11の吸気口11aに、航空機のキャビン14の機内空気排気口14aが、発電機18に形成された空気の通過流路を介して接続される。これにより、キャビン14から換気のために排気される機内空気が第1ラジアルタービン11の作動流体として用いられる。第1ラジアルタービン11の排気口11bは機外空間に連通される。航空機は、キャビン14内の機内空気の温度および圧力の調整機能を有する空調装置15を備え、高度上昇による機外空気圧力の上昇時に機内空気の圧力低下が規制される。例えば、キャビン14の内圧が高度約2438m(8000ft)での気圧77.3kPa(絶対圧)よりも低下せず、キャビン14内の温度が設定温度になるように、空調装置15は機内空気の圧力および温度を調整する。これにより、キャビン14内の空気は乗員に適した圧力および温度に調整され、その圧力および温度が調整された機内空気が第1ラジアルタービン11の作動流体として用いられる。なお、空調装置15は公知のものを用いることができ、例えば航空機のメインエンジンからの抽出空気や機外空気導入口から導入された機外空気を昇温昇圧させるコンプレッサ、その昇温昇圧させた空気を膨張させることで冷気とするタービン、圧力調整バルブ等を備えるものを用いることができる。
【0020】
第2ラジアルタービン12の吸気口12aに、空気極1aの排気口1a″と燃料極1bの排気口1b″が燃焼器21を介して接続される。これにより、空気極1aの排気ガスが第2ラジアルタービン12のタービンの作動流体として用いられる。燃料電池1からは、発電反応により生成された水蒸気等と共に、発電反応に供さなかった残りの空気や燃焼ガスが排気ガスとして排出される。その空気極1a側から排出される空気に含まれる酸素と、燃料極1bから排出されるガスが燃焼器21において反応し、その燃焼ガスが第2ラジアルタービン12に供給される。燃料極1bからの排気ガスの一部は改質器1eに戻されることで再利用される。また、燃料電池1における反応熱を改質器1eにおける改質反応に利用してもよい。なお、燃焼器21は必須ではなく、空気極1aの排気ガスが第2ラジアルタービン12に直接に導入されてもよい。
【0021】
第2ラジアルタービン12の排気口12bは、再生熱交換器16、航空機の翼17に形成された気体流路を介して機外空間に連通される。再生熱交換器16において、第2ラジアルタービン12の排気ガスが有する熱により、空気極1a側に供給される空気が昇温される。これにより、第2ラジアルタービン12の排気ガスの熱エネルギが、空気極1a側への供給空気を予熱するために回収される。図2に示すように、翼17に形成された気体流路17aは、この気体流路17aを通過する気体の熱により翼17の氷着防止必要箇所が加熱される位置に配置され、本実施形態では翼17の前縁の内部に形成されている。第2ラジアルタービン12の排気ガスは、再生熱交換器16における熱交換後も高温であり、例えば燃料電池1がSOFC型である場合は250℃程度になる。これにより、第2ラジアルタービン12の排気ガスが気体流路17aに導入されることで翼17への氷着が防止される。なお、気体流路17aに、第2ラジアルタービン12の排気ガスに代えて、第2タービンの排気ガスにより例えば熱交換器を介して加熱された機内空気等が導入されてもよい。
【0022】
第1ラジアルタービン11の発生動力と第2ラジアルタービン12の発生動力が機外空気の圧縮動力として利用されるように、第1ラジアルタービン11の出力と第2ラジアルタービン12の出力が出力伝達手段により圧縮装置10に伝達される。本実施形態においては、出力伝達手段として、第1ラジアルタービン11の羽根車と第1ラジアルコンプレッサ10aの羽根車を同軸に一体回転するように連結する第1回転シャフト20aと、第2ラジアルタービン12の羽根車と第2ラジアルコンプレッサ10bの羽根車を同軸に一体回転するように連結する第2回転シャフト20bとを有し、両回転シャフト20a、20bは互いに独立して回転するものとされている。
【0023】
発電機18は例えば同機器とされ、図3、図4に示すようなロータ18aと、ロータ18aを囲むステータを有し、ステータに巻き付けられた捲線が制御装置18bに接続される。ロータ18aに第2回転シャフト20bが同軸に一体的に接続される。これにより、第2ラジアルタービン12での空気の膨張仕事が第2ラジアルコンプレッサ10bの空気の圧縮動力より大きい場合、発電機18において発電がなされる。ロータ18aの回転により発生する電力を取り出す際に、制御装置18bにおいて電圧や周波数が制御される。また、第2ラジアルコンプレッサ10bの機外空気の圧縮動力が第2ラジアルタービン12の発生動力よりも大きい時、制御装置18bは発電機18を第2ラジアルコンプレッサ10bを駆動する電動機として機能させる。これにより、発電機18はシステムAの起動時等は電動機として機能し、制御装置18bから送られる電力により第2ラジアルコンプレッサ10bを回転させる。なお、第2回転シャフト20b、ロータ18a、第2ラジアルコンプレッサ10bの羽根車、第2ラジアルタービン12の羽根車により構成される一体的な回転体は、例えば第2回転シャフト20bをジャーナルフォイル軸受とスラストフォイル軸受によって支持することで、高速回転時に非接触で支持されるのが好ましい。
【0024】
キャビン14から排気された機内空気が第1ラジアルタービン11への導入前に発電機18を冷却するように、ロータ18aに機内空気の通過流路18dが形成され、通過流路18dを介して第1ラジアルタービン11の吸気口11aにキャビン14の機内空気排気口14aが接続されている。すなわち、ロータ18aは、円筒状の磁性材製ロータ本体18e、ロータ本体18eの外周に間隔おいて配置される一対の永久磁石18f、永久磁石18fの間に配置される一対のスペーサ18g、永久磁石18fとスペーサ18gを覆う円筒形保護チューブ18h、ロータ本体18eの両端面の外周近傍から突出する円筒状ガイド18i、18j、一方の円筒状ガイド18iの先端開口を覆う環状部材18kを有する。ロータ本体18eの中心孔18e′と環状部材18kの中心孔18k′に、第2回転シャフト20bが挿通される。第2回転シャフト20bの先端の雄ねじ部20b′にナット25がねじ合わされ、第2回転シャフト20bの外周に形成された段差20b″がロータ本体18eの端面に押し付けられることで、ロータ18aと第2回転シャフト20bは一体化される。ロータ本体18eの中心孔18e′の周囲部に、軸方向に沿って一対の通孔18e″が形成され、環状部材18kに複数の開口18k″が形成される。図1に示すように、環状部材18kを覆うカバー26に、ロータリージョイント等を有する配管部材を介して機内空気排気口14aが接続され、他方の円筒状ガイド18jの先端開口を覆うカバー27に、ロータリージョイント等を有する配管部材を介して第1ラジアルタービン11の吸気口11aが接続される。これにより、各通孔18e″、各開口18k″、各円筒状ガイド18i、18jの内部空間が通過流路18dを構成する。通過流路18dを通過する空気はロータ18aの軸方向に沿って流れ、図4において2点鎖線で示すロータ18aを通過する磁束Mはロータ18aの軸に垂直な面に沿う。そのため、ロータ本体18eに形成される各通孔18e″は、ロータ18aの周方向において互いに間隔をおいて配置され、空気流が磁束Mを分断することなく流れるようにしている。また、各通孔18e″の形状をロータ18aの軸方向から見て弧形にすることで、空気流からロータ本体18eへの伝熱面積を大きくし、発電機18の冷却効果を高めている。さらに、ロータ18aの回転により通過流路18dを流れる空気流は旋回するので、空気流からロータ本体18eへの熱伝達係数を高めて発電機18の冷却効果を高めることができる。これにより、燃料電池1の空気極1a側に空気を供給する際に、キャビン14から排気される機内空気は、航空機に搭載される機器である発電機18の発生熱により加熱された後に第1ラジアルタービン11に導入される。なお、キャビン14から排気される機内空気を加熱するのは発電機18に限定されず、発電機18の発生熱に代えて、あるいは発電機18の発生熱と共に、電子機器、モータ、燃料電池1、第2ラジアルタービン12等の、航空機に搭載される他の機器の少なくも一つの発生熱により加熱した後に、第1ラジアルタービン11に導入してもよい。
【0025】
上記実施形態によれば、第1ラジアルタービン11の吸気口11aに導入される機内空気の圧力と、第1ラジアルタービン11の排気口11bに通じる機外空気の圧力との差により、キャビン14から排気される機内空気を作動流体として第1ラジアルタービン11が駆動される。第1ラジアルタービン11の発生動力が圧縮装置10による機外空気の圧縮動力として用いられる。これにより、機内空気が有する圧力エネルギを、上空における低圧の機外空気を圧縮する際に無駄なく有効活用できるので、その機内空気が有する圧力エネルギと、燃料電池1からの排気ガスを利用した第2ラジアルタービン12の発生動力により、機外空気を圧縮するのに要する動力を賄うことができる。例えば、キャビン14から換気のために排気される最小機内空気流量は、搭乗者数で定まる規定の換気流量から、上限値が規定されている機体からの空気漏れ流量を差し引いた値以上が確保される。一方、燃料電池1での必要空気量はその発電量から定まる。その最小機内空気流量は燃料電池1での必要空気量流量よりも多く、通常は2倍程度となるため、第1ラジアルタービン11の発生動力を第1ラジアルコンプレッサ10aによる機外空気の圧縮動力として用い、第1ラジアルコンプレッサ10aでの圧縮比を大きくできる。これにより、キャビン14での機内空気の圧力は高高度で地上よりも低くなるが、第2ラジアルコンプレッサ10bに導入される空気圧力を地上での圧力と同等とすることができ、飛行高度に関わらず適正な圧力と流量の空気を無理なく供給することが実現できる。しかも、第2ラジアルタービン12の発生動力を第2ラジアルコンプレッサ10bの空気圧縮動力よりも大きくし、燃料電池1の排気ガスが有する熱エネルギを発電機18により電力として回収できる。
【0026】
さらに、キャビン14から換気のために排出される機内空気を航空機に搭載される機器の発生熱により加熱することで、機内空気により機器を冷却でき、しかも、圧縮装置10により機内空気を圧縮するために用いられる第1ラジアルタービン11の発生動力を増大できる。例えば、第1ラジアルタービン11の吸気口11aでの機内空気温度が発電機18を冷却することで100℃(375K)になり、機外空気温度が−40℃(233K)である場合、第1ラジアルタービン11の発生動力は第1ラジアルコンプレッサ10aの圧縮動力に対して、空気流量が同一であれば約1.6倍になる。また、上記のように第1ラジアルタービン11に導入される機内空気流量は第1ラジアルコンプレッサ10aに導入される機外空気流量よりも多くなる。よって、第1ラジアルコンプレッサ10aでの圧縮比をより大きくできる。
【0027】
圧縮装置10は第1ラジアルコンプレッサ10aと第2ラジアルコンプレッサ10bにより構成され、第1ラジアルコンプレッサ10aはキャビン14からの機内空気を作動流体とする第2ラジアルタービン12により駆動され、第2ラジアルコンプレッサ10bは燃料電池1の排気ガスを作動流体とする第2ラジアルタービン12により駆動される。このように第1ラジアルコンプレッサ10aと第2ラジアルコンプレッサ10bを個別に駆動できることで、設計の自由度が大きくなる。これにより、キャビン14から排気される機内空気流量や、燃料電池1による必要電力量が、キャビン14の大きさや搭載電子機器の数等の航空機の仕様に応じて変化しても、そのような仕様の相異に柔軟に対応することができる。
【0028】
燃料電池1からの排気ガスは第2ラジアルタービン12における膨張後も高温であることから、燃料電池1から放出される熱エネルギを第2ラジアルタービン12の発生動力や発電機18の発生電力として回収するだけでなく、第2ラジアルタービン12の排気ガスが有する熱により翼17を加熱することで、翼17の前縁外表面等の氷着防止必要箇所に氷が付着するのを防止できる。よって、着氷防止のために別途エネルギを消費する必要がなくなり、エネルギ消費を削減できる。
【0029】
また、機内空気により発電機18を冷却することで、放熱のために寸法を大きくする必要がなく、発電機18を小型化できる。特に、発電機18を機内空気により冷却することで、発電機18を構成する永久磁石18fの減磁や保護チューブ18hの強度低下等を防止できる。さらに、第1ラジアルタービン11の発生動力の増大により第2ラジアルコンプレッサ10bの負担を低減できるので、第2回転シャフト20bと一体回転するロータ18aの回転速度も低減できる。これにより、永久磁石18f等に作用する遠心力を低減し、保護チューブ18h等の安全余裕を小さくでき、発電機18の設計の自由度を大きくできる。
【0030】
以下の表1は、航空機の地上駐機時と2438m上空巡行時における、第2ラジアルコンプレッサ10bと第2ラジアルタービン12の吸気口10b′、12aと排気口10b″、12bでの圧力(kPa、絶対圧)、第2ラジアルコンプレッサ10bの吸気口10b′と排気口10b″での温度(絶対温度)、第2ラジアルコンプレッサ10bの圧縮空気流量(kg/min)、燃焼器21の出口での空気温度(絶対温度)、第2ラジアルタービン12の膨張比、第2ラジアルタービン12の膨張ガス流量(kg/min)、第2ラジアルコンプレッサ10bの圧縮仕事(kW)、第2ラジアルタービン12での空気の膨張仕事(kW)、発電機18の発電量(kW)の一例を示す。地上での大気圧は101.3kPa(絶対圧)、上空での機外圧は77.3kPa(絶対圧)、第2ラジアルコンプレッサ10bの圧縮比は4.0とし、第2ラジアルタービン12での膨張後のガス圧力を機外圧力とした。この表1から、地上駐機時よりも上空飛行時に発電機18の発電量が大幅に増加することを確認できる。
【0031】
【表1】

【0032】
図5、図6は第1変形例に係り、発電機18は上記実施形態と異なるロータ181を有する。ロータ181は、磁性材製ロータ本体181e、ロータ本体181eの外周に間隔おいて配置される一対の永久磁石181f、永久磁石181fの間に配置される一対のスペーサ181g、永久磁石181fとスペーサ181gを覆う円筒形保護チューブ181hを備える。ロータ本体181eは、内側部材181mと、内側部材181mを覆う円筒形の外側部材181nを有する。ロータ181に第2回転シャフト20bが一体化され、その一体化のための構成は特に限定されず、例えば上記実施形態と同様に、外側部材181nの両端面の外周近傍から円筒状ガイドが突出するものとされ、一方の円筒状ガイドの先端開口を覆う環状部材の中心孔と内側部材181mの中心孔181m′に挿通される第2回転シャフト20bの先端の雄ねじ部20b′にナット25がねじ合わされ、第2回転シャフト20bの外周に形成された段差20b″が内側部材181mに押し付けられることで、ロータ181と第2回転シャフト20bが一体化されてもよい。外側部材181nの内周に雌ねじ181n′が形成されている。内側部材181mは、中心孔181m′の周囲部と、この周囲部から放射方向へ延びる複数の延出部を有する形状とされ、延出部の外周に雄ねじ181m″が形成されている。内側部材181mと外側部材181nは、ねじ181m″、181n′を介して互いにねじ合わされることで一体化されている。これにより、外側部材181nと内側部材181mとで囲まれる複数の空間181e″が通過流路18dを構成する。通過流路18dを通過する空気はロータ181の軸方向に沿って流れ、図6において2点鎖線で示すロータ181を通過する磁束Mはロータ181の軸に垂直な面に沿う。そのため、ロータ本体181eに形成される各空間18e″は、ロータ181の周方向において互いに間隔をおいて配置され、空気流が磁束Mを分断することなく流れるようにしている。また、通過流路18dを流れる図5において矢印で示す空気流は、ロータ181の回転により旋回すると共に雌ねじ181n′により攪拌されるので、空気流からロータ本体181eへの熱伝達係数を高めて発電機18の冷却効果を高めることができる。他は上記実施形態と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0033】
図7は第2変形例に係り、第1ラジアルコンプレッサ10a、第2ラジアルコンプレッサ10b、第1ラジアルタービン11、および第2ラジアルタービン12の羽根車は、回転シャフト25を介して連結されることで、同軸中心に同行回転するように一体化されている。また、第2ラジアルタービン12の排気口12bから排出される排気ガスは、再生熱交換器16を通過した後に、上記実施形態の翼17に形成された気体流路に代えて、熱交換器により構成される加熱部30を通過後に機外に排出される。キャビン14から排気された機内空気は、加熱部30を通過し、しかる後に第1ラジアルタービン11に導入される。これにより加熱部30は、キャビン14から排気された機内空気を、第1ラジアルタービン11への導入前に第2ラジアルタービン12の排気ガスにより加熱する。他は上記実施形態と同様とされる。なお、第2変形例において、第2ラジアルタービン12の排気ガスの一部を再生熱交換器16を通過する前に加熱部30に導き、その排気ガスの残部を再生熱交換器16の通過後に上記実施形態と同様に翼17に形成された気体流路に導いてもよい。
【0034】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、圧縮機を単一のターボ圧縮機により構成し、そのターボ圧縮機と第1、第2のタービンが、同軸に一体的に回転する羽根車を有するものとしてもよい。さらに圧縮機の種類は特に限定されず、各タービンの出力を圧縮機に伝達する手段も特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る空気供給システムの構成説明用ブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る翼の構成説明用斜視図
【図3】本発明の実施形態に係る発電機のロータの部分破断分解斜視図
【図4】本発明の実施形態に係る発電機のロータの断面図
【図5】本発明の第1変形例に係る発電機のロータの部分破断斜視図
【図6】本発明の第1変形例に係る発電機のロータの断面図
【図7】本発明の第2変形例に係る空気供給システムの要部の説明用ブロック図
【符号の説明】
【0036】
A…空気供給システム、1…燃料電池、1a…空気極、10…圧縮装置、10a…第1ラジアルコンプレッサ(第1ターボ圧縮機)、10b…第2ラジアルコンプレッサ(第2ターボ圧縮機)、11…第1ラジアルタービン(第1タービン)、12…第2ラジアルタービン(第2タービン)、14…キャビン、17…翼、17a…気体流路、18…発電機、18a、181…ロータ、18d…通過流路、20a…第1回転シャフト、20b…第2回転シャフト、30…加熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機に搭載された燃料電池において発電反応に必要な空気を、前記燃料電池の空気極側に供給するためのシステムであって、
圧縮装置と、
第1タービンと、
第2タービンとを備え、
前記圧縮装置により機外空気が圧縮されるように、前記圧縮装置の吸気口に前記航空機の機外空気導入口が接続され、
前記圧縮装置による圧縮空気が前記空気極側に供給されるように、前記圧縮装置の排気口に前記空気極の吸気口が接続され、
前記航空機のキャビンから排気される機内空気が前記第1タービンの作動流体として用いられるように、前記第1タービンの吸気口に前記キャビンの機内空気排気口が接続され、
前記第1タービンの排気口は機外空間に連通され、
前記空気極側から流出する排気ガスが前記第2タービンの作動流体として用いられるように、前記第2タービンの吸気口に前記空気極の排気口が接続され、
前記第2タービンの排気口は機外空間に連通され、
前記第1タービンの発生動力と前記第2タービンの発生動力が前記圧縮装置による機外空気の圧縮動力として利用されるように、前記前記第1タービンの出力と前記第2タービンの出力を前記圧縮装置に伝達する出力伝達手段を備える航空機における燃料電池用空気の供給システム。
【請求項2】
前記圧縮装置は、第1ターボ圧縮機と第2ターボ圧縮機を有し、
前記出力伝達手段として、前記第1タービンの羽根車と前記第1ターボ圧縮機の羽根車を同軸に一体回転するように連結する第1回転シャフトと、前記第2タービンの羽根車と前記第2ターボ圧縮機の羽根車を同軸に一体回転するように連結する第2回転シャフトとを有し、両回転シャフトは互いに独立して回転するものとされ、
前記第1ターボ圧縮機による圧縮後の機外空気が前記第2ターボ圧縮機により圧縮されるように、両ターボ圧縮機は互いに直列に接続される請求項1に記載の航空機における燃料電池用空気の供給システム。
【請求項3】
前記圧縮装置は少なくとも一つのターボ圧縮機を有し、
前記ターボ圧縮機の羽根車、前記第1タービンの羽根車、および前記第2タービンの羽根車は、同軸中心に同行回転するように一体化されている請求項1に記載の航空機における燃料電池用空気の供給システム。
【請求項4】
前記航空機の翼に気体流路が、この気体流路を通過する気体の熱により前記翼の氷着防止必要箇所が加熱される位置に形成され、
前記第2タービンの排気ガス、または、前記第2タービンの排気ガスにより加熱された気体が、前記気体流路に導入される請求項1〜3の中の何れか1項に記載の航空機における燃料電池用空気の供給システム。
【請求項5】
前記キャビンから排気された機内空気を、前記第1タービンへの導入前に前記第2タービンの排気ガスにより加熱する加熱部を有する請求項1〜4の中の何れか1項に記載の航空機における燃料電池用空気の供給システム。
【請求項6】
航空機のキャビンから排気される機内空気を、排気口が機外空間に連通された第1タービンの作動流体として用い、
前記航空機に搭載される燃料電池の空気極側から流出される排気ガスを、排気口が機外空間に連通された第2タービンの作動流体として用い、
前記第1タービンの発生動力と前記第2タービンの発生動力を、圧縮装置による機外空気の圧縮動力として利用し、
前記圧縮装置により圧縮された圧縮空気を、前記燃料電池の発電反応に必要な空気として前記空気極側に供給する航空機における燃料電池用空気の供給方法。
【請求項7】
請求項1〜4の中の何れか1項に記載のシステムを用いて前記燃料電池の空気極側に発電反応に必要な空気を供給する際に、前記キャビンから排気される機内空気を、前記航空機に搭載される機器の発生熱により加熱した後に前記第1タービンに導入する航空機における燃料電池用空気の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−292368(P2009−292368A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149222(P2008−149222)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】