説明

航空機の胴体を強化するための構造要素

【課題】本発明は、航空機の胴体を強化するための構造要素(1,12,30)に関し、該構造要素は、一体成形物として、金属材料、とりわけ、アルミニウム合金材料又はチタン合金材料で形成された強化プロファイル(2,13)を備える。本発明によれば、該強化プロファイルは、少なくとも幾つかの領域でタブ(5,14,24)を備える。繊維強化層材料(7)又は繊維金属積層体で形成され、少なくとも幾つかの領域で強化プロファイルのフランジ(20,32)に接着される、タブの結果として、構造要素が高い損傷許容性及び有利な疲労特性を有する;繊維金属積層体又は層材料は、交互に積み重ねられた複数の金属層(8,34,43)及び繊維強化プラスチック層(9,35,41)を備え、該層は、領域全体に亘って互いに接着されている。強化プロファイルは、接合層(6,15,36)を介してタブに接合されている。接合層は、好ましくは、2つのプリプレグ層(20,23,37,38)及び繊維強化されていない接着層(21)で形成されている。強化プロファイルは、例えば、曲線状のリブセグメント(31)又は直線状のビームであり、それらは共に、高翼輸送機の中央及び高負荷の胴体部を補強するために特に使用されることができる。リブセグメント又は強化プロファイルの内側フランジ又は外側フランジの領域に形成するクラック(16)は、タブの効果によって架橋されるため、さらなる伝搬は、完全に防止されなくても、少なくとも大いに低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の胴体を強化するための構造要素、金属材料、とりわけ、アルミニウム合金材料又はチタン合金材料から一体成形で製造される強化プロファイルを含む構造要素に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、航空機の胴体セルは、縦に配置され、横方向の継ぎ目によって接続された複数の樽型胴体部から製造されている。各胴体部は、複数の環状フォーマによって強化され、その外面は、胴体セル外板で板張りされている。胴体部の安定性をさらに高めるために、複数の強化プロファイルが胴体セル外板の内面上に配置され、胴体部の縦方向の何れにおいても互いに平行に延出している。また、強化プロファイルは、通常、互いから一様の間隔を有して胴体部の周辺に亘って配置分布されている。
【0003】
エアロフォイルが胴体セル構造に接続されるフォーマの領域において、過度の負荷が胴体セルの中央部分に生じる。特殊なタイプの航空機、例えば、高翼輸送機の場合、さらに高い負荷が生じ、着陸装置が胴体の中央部分の領域における胴体セルの下部に配置されている。このタイプの航空機では、胴体の中央部分の強い座屈が、各着陸方式中に生じ、とりわけ、前記中央部分に存在する環状フォーマにおいて、極端に高い最大負荷に通じる。そのような航空機タイプにおける胴体の中央部分を特に強化するために使用されるフォーマ及び他の強化プロファイルは、その結果として、複数の負荷サイクルに亘って高い疲労抵抗を有するとともに、クラックが生じる際の損傷許容性を有する必要がある。これに関連して、用語「損傷許容性」は、クラックの発生が構造要素の即時の故障に通じず、クラックの増加が、完全に停止されない場合でも、少なくとも緩やかになることを意味する。
【0004】
高い機械的応力に晒される構造要素におけるクラック増加の速度を減少させるための基本的な可能性は、材料厚を増加させることである。しかしながら、これは、フォーマ及び支持体等の強化プロファイルの通常受け入れ難い重量の増加に通じる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、強化プロファイル、とりわけ、高い機械的応力に晒される航空機胴体セルの領域における胴体セル構造を強化するためのフォーマ又は支持体であって、強化プロファイルは、また、複数の負荷サイクルに亘って緩やかなクラック増加のみを示し、それによって、高い損傷許容性を有する強化プロファイルを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する構造要素によって達成される。
強化プロファイルに、少なくとも幾つかの領域に、ストラップを提供することで、
高い損傷許容性及び有利な疲労挙動を生じる。例えば、高い機械的応力に起因して生じる任意のクラックの増加は、付加的に適用されたストラップによって、完全に停止されなくても、少なくとも有意に減少される。とりわけ、強化プロファイルは、フォーマ又はフォーマセグメント、或いは支持体であって、高い機械的応力に晒される胴体セルの前記領域において特に使用される。
【0007】
構造要素の有利な発展は、ストラップが接合層によって強化プロファイルに接着接合されることを提供する。これによって、全面に亘ってストラップと強化プロファイルとの間に接着接合が生じ、その結果、高い損傷許容性を有することが好ましい。
【0008】
構造要素のさらに有利な発展によれば、ストラップは、少なくとも幾つかの領域において、強化プロファイルにリベット留め及び/又はネジ留めされる。このような構成の結果、ストラップが強化プロファイルから離れることを防止される。ストラップが強化プロファイルから離れるような場合、例え幾つかの領域のみであっても、強化プロファイルの損傷許容性は急激に低下するであろう。
【0009】
構造要素のさらに有利な構成は、ストラップが、層材料、とりわけ、重ねて配置された複数の金属層及びプラスチック材料層を備える、繊維金属積層体で形成されることを提供する。
【0010】
アルミニウム合金材料で形成された強化プロファイルの場合、ストラップは、高力アルミニウム合金、チタン合金、或いは、例えば、Glare(登録商標)等の繊維金属積層体で基本的に形成されることができる。このタイプの繊維金属積層体又は層材料は、厚さの小さいガラス繊維強化エポキシ樹脂層によって何れの場合にも表面全体に亘って積み重ねられて、互いに接着接合されたアルミニウム合金材料で形成された複数の薄い金属板又は金属箔から製造される。チタン合金材料で形成された強化プロファイルの場合、ストラップは、また、交互に重ねられ、炭素繊維強化エポキシ樹脂層によって接着接合された
「TiGR」又は「TiGra」(「「タン グラファイト」繊維金属積層体」)等のチタン板及びチタン箔から構成される繊維金属積層体で形成されることができる。
【0011】
しかしながら、ストラップを備えた強化プロファイルに関して出願人によって行われた詳細な負荷試験は、Glare(登録商標)等の繊維金属積層体で形成された接着接合のストラップを用いて達成されることができる損傷許容性が、アルミニウム又はチタンで形成されたストラップを適用することで達成されることができないことを示した。また、チタン合金材料で形成された強化プロファイルの場合、損傷許容性は、前記強化プロファイルに、上述の繊維金属積層体「TiGR」又は「TiGra」で形成されたストラップを接着接合することによって有意に改良されることができる。
【0012】
構造要素のさらに有利な構成によれば、金属層がアルミニウム合金で形成され、プラスチック材料層がガラス繊維強化された熱硬化性プラスチック材料で形成される。
【0013】
交互に重ねられたアルミニウム合金で形成された層及びガラス繊維強化された熱硬化性プラスチック材料の結果として、層材料又は繊維金属積層体は、優れた疲労挙動及び高い損傷許容性を示す。ガラス繊維の添加は、とりわけ、アルミニウム層間の腐食問題を防止する。
【0014】
構造要素のさらに有利な発展は、金属層がチタン合金で形成され、プラスチック材料層が炭素繊維強化された熱硬化性プラスチック材料、とりわけ、エポキシ樹脂で形成されることを提供する。
【0015】
例えば、チタン合金材料から製造されるフォーマセグメント又は支持体等の強化プロファイルは、熱硬化性プラスチック材料、とりわけ、エポキシ樹脂の炭素繊維強化層によって表面全体に亘って何れの場合にも重ねられて接着接合されるチタン合金材料で形成された複数の層から構成されるストラップに接着接合することによって強化されることができる。
【0016】
構造要素のさらに有利な発展は、ストラップの材料厚が、少なくともストラップの一端に向かって減少することを提供する。これによって、ノッチ応力がストラップのテーパ領域又は接続領域に生じることを防止される。
【0017】
強化プロファイルのさらに有利な構成は、接合層が少なくとも一つの接着層及び少なくとも一つのプリプレグ層で形成されることを提供する。これによって、強化プロファイルと該強化プロファイルに接着接合されるストラップとの間に特に密接な接合を生じる。一般的に、ストラップは、圧力及び温度を併用する付加的な製造工程において、加圧滅菌器内で強化プロファイルに接着接合される。
【0018】
さらなる構成によれば、少なくとも一つの接着層が熱硬化性プラスチック材料、とりわけ、エポキシ樹脂で形成され、少なくとも一つのプリプレグ層が繊維強化熱硬化性プラスチック材料、とりわけ、ガラス繊維強化及び/又は炭素繊維強化エポキシ樹脂で形成される。
【0019】
接合層の質は、小型の接着層と少なくとも一つのプリプレグ層とを結合することによってさらに改良される。
【0020】
このような構成の接着層の結果として、まず、制御された適度の層間剥離が、フォーマ内のクラック形成の場合に達成される。また、ストラップ内のクラックの開始が遅延される。これらの有利な効果を達成するために、ガラス繊維がクラックの経路まで横に延びるとともに、主要な負荷方向まで平行に延びることが好ましい。層間剥離の発生が少なくなれば、フォーマの過重負担能力の残りがより多くなる。
【0021】
構造要素のさらに有利な構成は、以下の特許請求の範囲に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る構造要素内の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る損傷許容性構造要素の動作モードの基本的表示である。
【図3】ストラップの一実施形態を示す。
【図4】フォーマセグメントの形態であって、その内側フランジに図3に示すストラップが接着接合されている強化プロファイルを示す。
【図5】図3に示すストラップの2つの末端領域内の詳細な断面図である。
【図6】原則として3つの異なるストラップ材料の損傷許容性効果を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面中で、同じ参照符号は、各図面において同じ構造要素を示す。
【0024】
図1は、本実施形態に係る構造要素内の概略断面図である、構造要素1は、とりわけ、航空機の胴体セル(図示せず)を強化するためのフォーマセグメント3として、図1に一例として構成された強化プロファイル2を備える。フォーマセグメント3は、適切な高力アルミニウム合金材料から形成され、二重のT型断面形状を有する。或いは、フォーマセグメント3は、U型又はL型断面形状を有することができる。例えば、フォーマセグメント3は、切削、鍛造又は押出加工によって一体成形の固体アルミニウム合金材料から形成されることができる。本実施形態において、フォーマセグメント3の内側フランジ4は、表面全体に亘ってストラップ5に結合されている。本実施形態において、ストラップ5は、内側フランジ4内部のクラックの伝搬を殆ど停止することが理想である。ストラップ5は、接合層6によってフォーマセグメント3の内側フランジ4に表面全体に亘って接着接合されている。アルミニウム合金で形成されたフォーマセグメント3の場合、ストラップ5自体は、層材料7、又は、例えば、Glare(登録商標)等の繊維金属積層体で形成されることが好ましい。
【0025】
チタン合金で形成されたフォーマ3又はフォーマセグメントの場合、ストラップ5は、代わりに、チタン箔及びチタン板の一連の層から構成される「TiGr」又は「TiGra」等の繊維金属積層体で形成されることができ、炭素繊維強化エポキシ樹脂によって何れの場合も表面全体に亘って互いに接着接合されている。
【0026】
例示されるように、層材料7は、何れの場合も表面全体に亘って互いに接着接合される3つの薄い金属層及び3つの薄いプラスチック材料層を供える。層間の一つの金属層8及び一つのプラスチック材料層9に参照符号を付し、残りの金属層8及びプラスチック材料層9を代表している。金属層及びプラスチック材料層は、層材料7内部で交互に積層され、層材料の上面及び下面は、金属層で終わることが好ましい。この場合、プラスチック材料層の数は、金属層の数より常に一つ少ない。材料厚の低い箔様金属層は、例えば、アルミニウム合金で形成されるのに対して、薄いプラスチック材料層は、ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック材料から形成される。例えば、エポキシ樹脂は、適切な熱硬化性プラスチック材料であることが示された。図1に示すように、プラスチック材料層内部のガラス繊維は、本構成によって決定された関連負荷がこの方向に生じるため、図面の平面、すなわち、フォーマセグメント3の周方向に垂直に延びている。
【0027】
層材料7は、圧力及び温度を併用する加圧滅菌器内で形成され、切削によって所定の特定サイズにされる。このようにして形成された層材料7は、必要に応じて、例えば、曲線状の環状フォーマセグメントに対して応力のない接着接合を可能とするために、少なくとも表面的に曲線である表面形状を有することができる。さらに、ストラップ5は、テーパを提供し、フォーマセグメント3の内側フランジ4への接続領域内のノッチ応力の発生を低減するために、その端部に連続的に減少する材料厚を有することができる。また、ストラップ5は、圧力及び/又は温度を併用する加圧滅菌器内でフォーマセグメント3に接着接合されることが好ましいため、少なくともストラップ5の材料厚が高すぎることがなければ、ストラップ5は、加圧滅菌器内の接合工程中の曲げによって適合されることができる。
【0028】
ストラップ5が内側フランジ4から離れることを防ぐために、接続要素10,11、とりわけ、リベット又はネジが、幾つかの領域に提供されている。
【0029】
図2は、本実施形態に係る構造要素の動作原理の略図である。
【0030】
構造要素12は、ストラップ14が接合層15によって表面全体に亘って接着接合される強化プロファイル13で形成されている。図1に示すストラップ5と同様に、ストラップ14もまた、層材料又は繊維金属積層体から形成される。力束17は、クラック16が干渉し、接合層15を介して強化プロファイル13からストラップ14内に誘導され、クラック16を越えて、ストラップ14によって構造要素13内に戻される。クラック16は、強化プロファイル13をまだ完全に貫通していない。その結果、ストラップ14は、力束17のためのクラック16に対するブリッジとして作用し、それによって、クラック16の増加は、完全に停止されなくても、少なくとも緩やかになる。クラック16の両側の反対方向を示す2つの黒い小矢印は、両側においてクラック16に隣接する強化プロファイル13の部分におけるクラック16によって生じる動作傾向を示す。ストラップ14の材料厚18は、強化プロファイル13の材料厚19又は強化プロファイル13の内側フランジ20の約0.5倍〜3倍に相当することが好ましい。
【0031】
接合層15は、純粋接着層21と、少なくとも2つのプリプレグ層22,23と、強化プロファイル13に直接接触する接着層21と、ストラップ14に接続されるより低いプリプレグ層23からなることが好ましい。接着層21は、例えば、繊維強化のないエポキシ樹脂から形成されるのに対して、2つのプリプレグ層22,23は、炭素繊維及び/又はガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂から形成される。
【0032】
図3は、本実施形態に係る構造要素を提供するためのストラップの技術的形態を示す。
【0033】
層材料又は繊維金属積層体から形成される本実施形態に係るストラップ24が、その第一端部25にテーパ26を有するのに対して、反対方向の端部であるストラップ24の第二端部27は、平滑末端を有する。すなわち、ストラップ24の材料厚28は、第一端部25、複数のステップを備えるテーパ26に向かって段階的に減少し、そのうちの一つのステップ29に参照符号が付され、残りの全てのステップを代表している。ステップ高さは、ストラップ24の層材料を形成するために使用されるプラスチック材料層及び金属層の各々の厚みに略相当している。
【0034】
図4は、強化プロファイルとして曲線状のフォーマセグメント31で形成され、ストラップ24の内側フランジ32に対して表面全体に亘って接着接合される構造要素30を示す。フォーマセグメント31は、略二重T型断面形状を有する。
【0035】
図5は、図4に示すストラップ24の2つの末端領域Vの詳細断面図である。ストラップ24は、交互に積み重ねられ、表面全体に亘って互いに接着接合される金属層及びプラスチック材料層で形成される層材料33又は繊維金属積層体から上述のストラップに従って形成される。金属層及びプラスチック材料層の中から、連続的により低い金属層34及び該金属層34上に位置するプラスチック材料層35に参照符号を付し、他の全ての層を代表している。プラスチック材料層の全ては、何れの場合でも、合成樹脂基体に埋め込まれたガラス繊維が同方向又は異なる方向に延出可能な2つの層(採番せず)から成る。
【0036】
原則的には、少なくとも曲線状のフォーマセグメント31の場合、プラスチック材料層を強化するために使用されるガラス繊維は、最大の機械的応力がこの空間的定位に生じるため、その周方向に平行に延出する。一般的に、層材料中のガラス繊維は、力束を最適化するように配置される。
【0037】
2つのプリプレグ層37,38及び接着層39を構成する接合層36は、金属層34の下部に延出する。フォーマセグメント31の内側フランジ32は、接着層39の下部に配置される。
【0038】
2つのプリプレグ層37,38の両端(採番せず)間に、小さなオフセット40を有する、すなわち、プリプレグ層37,38は、僅かに異なる長さを有する。このオフセット40は、プリプレグ層37,38の端部が先細りされたままではなく、純粋な、すなわち、繊維強化されていない合成樹脂、又は接着層39を形成するために使用される合成樹脂で形成される末端部で終了するように、接着層39によって取り囲まれている。金属層34は、図面の概観を単に改善すべく、垂直方向に接合層36からオフセットして示されているが、実際には、該接合層は、表面全体に亘って前記金属層に接着接合されている。さらなるプラスチック材料層41もまた、小さなオフセット42を有する。さらなる金属層43は、プラスチック材料層41に接着接合され、金属層は、接合工程中の加圧滅菌圧の結果として、その端部(採番しない)において僅かに、水平位置から下方に僅かに湾曲しているか、又は曲線状をなしている。金属層43の下方に湾曲した端部は、小突出長44によって、オフセット42を含めて、プラスチック材料層41の端部を越えて突出している。小突出長44の直下及び金属層43の(末端)縁46に隣接して位置する領域45は、取囲みを形成するための合成樹脂材料で充填されている。この合成樹脂材料もまた、接合層36内部の接着層39のために使用されることが好ましい。このように金属層43及びプラスチック材料層41の縁を取り囲むことは、金属層43の縁46及びプラスチック材料層41の端部もまた合成樹脂材料に完全に埋め込まれており、途切れたり先細りしたままになっておらず、その結果、ストラップ24が内側フランジ32に最適に接合していることを意味する。その結果、有利なクラック開始挙動を有する「金属‐金属結合」が、テーパ26の領域、及び、ストラップ24とフォーマ31との間の移行、並びに、ストラップ24の層材料又は繊維金属積層体内部において達成されている。
【0039】
図6は、3つの曲線からなるグラフである。アルミニウムフォーマにおける各々のクラックのミリメータ長をY軸上に表示され、全ての場合において考慮される構造要素に作用する負荷サイクル数がX軸上に表示されている。構造要素は、同様に、強化プロファイルとして使用されるアルミニウムフォーマである。アルミニウムフォーマ中の機械的往応力は、3つの全ての曲線において同じである。
【0040】
説明のために、約4ミリメータ長の(開始)クラックを、試しに構造要素の強化プロファイル内に誘導し、クラックに作用する負荷サイクル数の関数として、その拡大を測定して算出した。
【0041】
鎖線47は、ストラップのないアルミニウムフォーマの場合におけるクラックの長さの(算出された)拡大を示し、点線48は、アルミニウムフォーマにリベット留めされるチタンストラップが使用される時に生じる(算出された)進行を示す。アルミニウムフォーマに接着接合されるストラップが、例えば、Glare(登録商標)等の層材料で形成される時に、実線によって示される(測定された)曲線49が生じる。本実施形態に従って使用される層材料で形成されるストラップを使用することによって、クラックの拡大又は増大が、大いに低減され、極めて多数の負荷サイクルが作用した場合でも、臨界値に到達しないことが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
このように、層材料又は繊維金属積層体で形成された付加的に適用されるストラップを用いて本実施形態に従って形成される構造要素は、極めて高レベルの損傷許容性を達成し、胴体セル構造の高応力領域、例えば、高翼輸送機の胴体セルの中央部分において特に使用されるために有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 構造要素
2 強化プロファイル
3 フォーマセグメント
4 内側フランジ(フォーマセグメント)
5 ストラップ
6 接合層
7 層材料(既製の繊維金属積層体)
8 金属層
9 プラスチック材料層
10 リベット
11 リベット
12 構造要素
13 強化プロファイル
14 ストラップ
15 接合層
16 クラック
17 力束
18 材料厚(ストラップ)
19 材料厚(強化プロファイル及びフランジ)
20 フランジ(強化プロファイル)
21 接着層
22 プリプレグ層
23 プリプレグ層
24 ストラップ
25 第一端部(ストラップ)
26 テーパ
27 第二端部(ストラップ)
28 材料厚(ストラップ)
29 ステップ
30 構造要素
31 フォーマセグメント
32 内側フランジ
33 層材料
34 金属層
35 プラスチック材料層
36 接合層
37 プリプレグ層
38 プリプレグ層
39 接着層
40 オフセット
41 プラスチック材料層
42 オフセット
43 金属層
44 突出長
45 領域
46 縁
47 曲線(ストラップのないアルミニウムフォーマ)
48 曲線(チタンストラップの付きのアルミニウムフォーマ)
49 曲線(繊維金属積層体ストラップの付きのアルミニウムフォーマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の胴体セルを強化するための構造要素(1,12,30)であって、金属材料、とりわけ、アルミニウム合金材料又はチタン合金材料から一体成形で形成される強化プロファイル(2,13)を備え、前記強化プロファイル(2,13)は、少なくとも幾つかの領域にストラップ(5,14,24)を備えることを特徴とする構造要素(1,12,30)。
【請求項2】
前記ストラップ(5,14,24)は、接合層(6,15,36)によって前記強化プロファイル(2,13)に接着接合されていることを特徴とする請求項1に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項3】
前記ストラップ(5,14,24)は、少なくとも幾つかの領域において前記強化プロファイル(2,13)にリベット留め及び/又はネジ留めされることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項4】
前記ストラップ(5,14,24)は、層材料(7,33)、とりわけ、繊維金属積層体で形成されており、順に重ねて配置される複数の金属層(8,34,43)及びプラスチック材料層(9.35.41)を備え、該複数の金属層(8,34,43)及びプラスチック材料層(9.35.41)は、全ての場合において交互になっていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項5】
前記金属層(8,34,43)は、アルミニウム合金で形成され、前記プラスチック材料層(9.35.41)は、ガラス繊維強化された熱硬化性プラスチック材料で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項6】
前記金属層(8,34,43)は、チタン合金で形成され、前記プラスチック材料層(9.35.41)は、炭素繊維強化された熱硬化性プラスチック材料、とりわけ、エポキシ樹脂で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項7】
前記ストラップ(5,14,24)の材料厚(18)は、少なくとも前記ストラップ(5,14,24)の一端(25,27)に向かって減少することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項8】
前記接合層(6,15,36)は少なくとも一つの接着層(21,39)及び少なくとも一つのプリプレグ層(22,23,37,38)で形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項9】
前記少なくとも一つの接着層(21,39)は、熱硬化性プラスチック材料、とりわけ、エポキシ樹脂で形成され、前記少なくとも一つのプリプレグ層(22,23,37,38)は、繊維強化された熱硬化性プラスチック材料、とりわけ、ガラス繊維強化及び/又は炭素繊維強化されたエポキシ樹脂で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項10】
前記強化プロファイル(2,13)は、フォーマセグメント(31)であり、前記ストラップ(24)は、前記フォーマセグメント(31)の内側フランジ(32)及び/又は外側フランジに、少なくとも幾つかの領域において接着接合されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項11】
前記ストラップ(24)の前記プラスチック材料層(9,35,41)中のガラス繊維は、前記フォーマセグメント(31)の周方向に実質的に平行に延出することを特徴とする請求項10に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項12】
前記強化プロファイル(2,13)は、支持体であり、前記ストラップ(5,14,24)は、前記支持体のフランジに、少なくとも幾つかの領域において接着接合されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の構造要素(1,12,30)。
【請求項13】
前記ストラップ(5,14,24)の前記プラスチック材料層(9,35,41)中のガラス繊維は、力束の方向に実質的に延出することを特徴とする請求項12に記載の構造要素(1,12,30)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−505120(P2012−505120A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531441(P2011−531441)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062979
【国際公開番号】WO2010/043516
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(311014956)エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー (54)
【氏名又は名称原語表記】Airbus Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10,21129 Hamburg,Germany
【Fターム(参考)】