説明

航空機用コンプレッサ洗浄に適用される高圧水洗浄適用及び収集のための自動検出及び制御システム及び方法

【課題】ガスタービンエンジン洗浄手順のより高度の品質を保証できるシステム及び方法を提供する。
【解決手段】1つ以上の管を備えているマニホールド10と、加圧された洗浄液をマニホールドに供給するためのポンプシステムであって、ポンプと1つ以上の弁を備えているポンプシステムと、エンジン1の種類を識別する特定の情報を獲得する情報ユニット110、特定のエンジンに関連する洗浄パラメータに応じてポンプシステムを調整するための制御ユニットとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にタービンエンジンに関する。より詳しくは、本発明は、タービンエンジンを清浄化し、これによって、清浄化されたエンジンの品質、性能及び安全性を確実にするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機エンジンとして取り付けられる従来のガスタービンは、典型的に、周囲空気を圧縮するためのコンプレッサ、燃料を圧縮空気と共に燃焼させるための燃焼器、及びコンプレッサ/燃焼器からの膨張空気を使用可能なパワーに変換するためのタービンとを備えている。操作中、ガスタービンは、燃焼ガスを拡張することによって駆動される。これらの燃焼ガスはまた、例えば航空機を推進させるために使用される推力を生成するために、タービンに接続されるファン構成部品を駆動する。当業者に公知のように、コンプレッサは、典型的に、生成トルク又は推力を生み出すために必要とされるエネルギの約六十パーセント(60%)を消費するので、すべてのガスタービンの重要な構成部品である。この結果、コンプレッサ効率の管理は、すべてのガスタービン操作者にとって重要な関心である。
【0003】
ガスタービンエンジンは大量の空気を消費する。空気は、例えば、エアロゾル及び固体を含む異物粒子を含有する。これらの異物粒子は、ガスタービンエンジンが回転しているときにガスタービンコンプレッサに入る。異物粒子の大部分は、ガス通路に従い、排気ガスと共にタービンエンジンを出る。飛行場の環境で確認されるような他の種類の大気汚染物質は、花粉、昆虫、エンジン排気、漏出するエンジンオイル、産業活動に起因する炭化水素、近くの海から来る塩、航空機除氷から来る化学物質及び塵埃のような空港土壌材料を含む。
【0004】
航空機ガスタービンエンジンの操作期間後、これらの異物粒子及び/又は汚染物質の被覆は、エンジンのコンプレッサに蓄積する傾向がある。この形成はまた、コンプレッサ汚損としても知られている。当業者に公知のように、コンプレッサの汚損は、エンジンの構成部品の境界層mp空気流の特性の変化を引き起こす。さらに、コンプレッサの汚損は、コンプレッサの表面粗さを増す。
【0005】
ターボファンエンジンは、亜音速の速度で動作する航空機に使用するための高い推力レベルを提供するために設計される。この結果、ターボファンエンジンは、商業用の旅客機用途に広く使用されている。典型的に、ターボファンエンジンはファン及びコアエンジンを備えている。ファンは、エンジンのコンプレッサの上流に取り付けられ、またロータブレード、代わりにロータの下流の1組のステータベーンを有する1つのロータディスクから構成されている。ファンは、コアエンジンからのパワーによって駆動される。コアエンジンは、ファンを駆動するためのパワーがコアエンジンシャフトから取られるように設計されたガスタービンエンジンである。エンジンの回転中、主要な空気がファンに入る。
【0006】
ガスタービンコンプレッサについて上述したように、ターボファンエンジンのファンはまた、昆虫、花粉、鳥等のような大気汚染物質/粒子によって引き起こされる汚損に敏感である。このファンの汚損は、典型的に、冷水又は熱水を使用して洗浄することによってのみ除去される。当業者に公知のように、ファン汚損の清浄化は、実行が比較的容易な工程である。
【0007】
上述のように、ターボファンエンジンに、ファンの下流にコアエンジンコンプレッサがある。コンプレッサにとって重要なのは、空気を高い圧力比に圧縮するその能力である。その圧縮仕事を実行する際に、コンプレッサは温度上昇を経験する。高圧コンプレッサの温度上昇は、500℃の高さである可能性がある。これらの高温の結果として、コンプレッサに集まるすべての汚損は、コンプレッサの表面に有効に「焼かれ」、汚損の除去を極めて難しくする。
【0008】
分析によれば、炭化水素、防氷流体からの残渣、塩等を含むコンプレッサの汚損物は、他の種類の汚損よりも除去することがより困難であることが示されている。
【0009】
エンジンコンプレッサの汚損を除去する試みにおいて、いくつかの清浄化又は洗浄技術が開発されている。例えば、このような1つのコンプレッサ清浄化システムが、「ターボファンガスタービンエンジンを清浄化するための方法及び装置」という題の国際公開公報第05077554、及びその対応する米国特許出願第2006/0048796号に開示されている。この文献には、堅固なマニホールドに配置された複数のノズルを備えている清浄化装置が開示されており、このマニホールドは、エンジンの空気入口に解放自在に装着され、またノズルは、エンジンのファンの上流の空気流内の液体を霧化して、直接清浄化するように配置される。
【0010】
国際公開公報第05077554号に開示されているような装置は、第1のノズルから放出された清浄液が略圧力側のブレードの表面に衝突するように、エンジンの中心線に対し第1の位置に配置された第1のノズルと、第2のノズルから放出された清浄液が略吸引側のブレードの表面に衝突するように、エンジンの中心線に対し第2の位置に配置された第2のノズルと、第3のノズルから放射された清浄液が略ブレードとコアエンジンの入口との間を通過するように、エンジンの中心線に対し第3の位置に配置された第3のノズルとを備えている。特定の設計の洗浄構造が、有効な清浄化を達成するように噴霧化位置及びノズル位置が最適化されるように、各々の特定のエンジン及び流量に対し用意される。
【0011】
このように、国際公開公報第05077554号に開示された発明は、エンジン形状及びエンジンの異なる構成部品の汚損の特性が異なる特性を有し、したがって、清浄化のために異なる方法を必要とするという洞察に基づいている。一例として、コアコンプレッサの汚損は、ファンのブレード上に確認された汚損とは異なる特性を有するかもしれない。汚損特性のこの相違の1つの可能な理由には、例えば、コンプレッサにおける温度がファンブレードにおける温度よりもはるかに高いことが含まれるかもしれない。コンプレッサにおける高温の結果、汚損粒子は、コンプレッサの表面で「焼かれる」ことになり、これによって、このような汚損の除去を極めて困難にする。しかし、ファンブレードでは、温度ははるかに低い。この結果、ファンにおける汚損は焼かれず、ファン汚損の清浄化をはるかに容易にする。
【0012】
国際公開公報第05077554号に開示された清浄化の解決方法は、既存の解決方法に対し複数の利点を提供する。1つの利点は、各々のエンジン部分が、その上に収集された汚損の特定の特性に応じて清浄化されることである。例えば、コンプレッサ上に収集された汚損は通常焼かれ、したがって、例えばファンブレードに集まる汚損よりも除去がはるかに困難なので、これらの構成部品の各々の清浄化工程は、それに応じて構成されている。この結果、全体としてのエンジン(すなわち、汚損に露出されるエンジン部分の全体)は、すべてのエンジン部分を清浄化するために均一な清浄化工程を典型的に利用する従来のエンジン清浄化方法と比較して、より有効にかつ効率的に清浄化することが可能である。このため、この装置は、特定の洗浄ノズル設計、構造、及び最適化された洗浄工程を各々のエンジン構成部品に付与し、洗浄工程は、エンジン洗浄手順全体の有効性/効率を最大にするように選択される。
【0013】
航空機エンジンを清浄化する他の形態には、エンジンを清浄化するために使用される洗浄液、及び清浄化工程の間にエンジンから除去される任意の汚染物の適切な収集及び処分が含まれる。環境問題のため、使用済み洗浄液は、「エンジン洗浄からの廃水を収集して処理するためのシステム及び装置」という題の国際公開公報第05120953号に記載されているように、浄化してリサイクルすることが可能である。この文献には、エンジン洗浄のために後部装置に配置された収集器を有する装置が開示されている。エンジンから生じる洗浄廃液は、エンジンの後部でこの収集装置によって収集される。
【0014】
廃水収集装置の他の例は、「エンジン洗浄からの廃水を収集して処理するためのシステム及び装置」という題の国際公開公報第05121509号、及びその対応する米国特許出願第2006/0081521号に記載されている。この文献に開示されているように、収集された廃液はタンクに注入され、ここで、遊離された汚損材料は適切な廃水処理工程によって収集液体から分離される。次に、処理された水は、追加のエンジンを洗浄するために使用されるか、あるいは代わりに下水道に排出される。
【0015】
エンジンを清浄化し及び/又は使用済み洗浄液を収集してリサイクルするための上述のシステムは、移動ユニットに配置できる非常に万能かつ有効な清浄化方法を提供する。しかし、これらの工程のすべては、操作者が手動である調整及び/又はシステム設定を行うことにある程度依存している。
【0016】
例えば、航空機エンジンを洗浄すべき場合、操作者には、エンジン種類に関する情報が提供され、操作者は、保管位置から前記エンジンに合ったマニホールドを収集する。航空機の所定の位置にある場合、マニホールドはエンジンの入口に取り付けられ、洗浄システムに接続される。さらに、操作者には、単位時間当たりの最大水流及び合計の洗浄水量のような前記の特定のエンジン種類を洗浄するための要件に関する情報が提供される。次に、操作者は、適切な圧力及び流れを得るために手動で弁をマニホールドノズルにセットして、洗浄時間を追跡する。
【0017】
洗浄操作のこの部分は手動で行われるので、特に、操作者が完全に目覚めていない夜間に多くのエンジン洗浄操作が実行されるので、人的要因が結果を危険にさらすという危険性が常にある。特定のエンジンに関する要件が守られない場合、エンジンが損傷を受け、これは、非常に高価な航空機の停止をもたらすか、あるいは洗浄手順の結果が劣り、これによって、エンジン洗浄の利点は得られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、人的要因の影響が可能な限り最小にされるならば、このような閉ループ洗浄工程に有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、一実施形態において、1つ以上の管を備えているマニホールドと、加圧された洗浄液をマニホールドに供給するためのポンプシステムであって、ポンプと1つ以上の弁を備えているポンプシステムと、特定のエンジンに関連する洗浄パラメータに応じてポンプシステムを調整するための制御ユニットと、を備えているガスタービンエンジンを洗浄するためのシステム及び方法を開示する。
【0020】
本発明のある実施形態によって達成されるべき一形態は、誤って装置を操作する危険性を最小にするように、また洗浄からの結果を収集して、同様の装置における将来の洗浄を計画するために、エンジンの清潔さを受け入れかつどの材料が汚損を引き起こしているかを記録するように、エンジン洗浄手順のより高度の品質を保証できるシステム及び方法を提供することである。
【0021】
他の形態は、ガスタービンエンジンを洗浄するためのシステムによって特徴付けることが可能であり、システムは、1つ以上のノズルが取り付けられた1つ以上の管を備えているマニホールドを備え、マニホールドは、加圧されかつ方向的に配置された洗浄液を前記マニホールドに供給できる洗浄液タンク及びポンプに接続可能であり、ポンプは、ポンプと、加圧された洗浄液の流れを調整するためのマニホールドとの間に配置された1つ以上の弁手段を有する。制御手段は、加圧された洗浄液の流れを制御するための1つ以上の弁手段に接続され、識別手段が前記マニホールドに配置される。同様に、マニホールド及びエンジン情報を制御ユニットに提供するために、任意の識別ユニット及び検出ユニットが設けられる。
【0022】
他の形態によれば、制御ユニットは、洗浄時間を調整するように、また特定のエンジンの種類に使用するために適切な洗浄液/溶液を選択するように構成されている。
【0023】
さらに他の形態によれば、除去された固体を測定して、洗浄手順が容認可能であるときを決定し、また同様の及び将来の洗浄について洗浄流体の組成及びサイクルを計画するために、溶解度データベースと比較するために除去された汚損材料を分析するためのフィードバックループが設けられる。この後者の形態は、最適化されたガスタービンコンプレッサ清浄化及び性能測定のためのシステム及び方法という題の米国仮特許出願第60/852,041号に略述されている。
【0024】
本発明の実施形態は、洗浄システムが自動化されることによって獲得される洗浄の結果に関し、より高度の安全性及び品質を可能にする。この結果、システムに導入される人為的エラーが大幅に低減される。
【0025】
本発明の1つの形態は、マニホールド、したがってエンジンの種類を識別するためのRFIDチップ及びリーダを含むので、費用効率的かつ信頼性の高いシステムが獲得される。このことは、システムの他の機能を制御するためにも使用可能である洗浄操作を制御するために、洗浄液の温度センサ、洗浄操作等の品質の基準として使用できるTDS(完全溶解固体物質)を測定するための伝導率センサのような他のセンサからのデータを収集するためにPLCの使用にも当てはまる。適用されたマニホールドの使用を記録することによって、マニホールドの使用を追跡することができ、不具合及びタービン内への異物の侵入の前にマニホールドの修理点検を可能にする。洗浄システムが閉ループシステムとして実装された場合、すなわち、洗浄液が収集され、清浄化されて、また洗浄ユニットに送り返される場合、これらの機能を制御、測定、及び調整するために制御ユニット(例えば、PLC)を使用することができる。
【0026】
本発明の様々な実施形態の上記及び他の形態と利点は、次の詳細な説明からまた添付図から明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、ガスタービンエンジンと、特に航空タービンエンジンを洗浄するためのシステム及び方法に関する。本発明の実施形態による洗浄システムは、洗浄液をエンジン内に供給するための洗浄ユニットと、目標パラメータに応じて洗浄ユニットを調整するための制御ユニットとを備えている。一実施形態において、洗浄ユニットは、好ましくは1つ以上の管状構造体を備えているマニホールドと、加圧された洗浄液をマニホールドに供給するためのポンプシステムと、洗浄される特定のエンジンの特定の洗浄要件に応じてシステムの洗浄手順を制御するための制御ユニットとを備えている。
【0028】
次に図1を参照すると、本発明に従って構成された典型的なマニホールド10が、典型的な航空エンジン1に装着されているのが示されている。マニホールド10は、複数の管状構造体102と、マニホールド管102の一方の端部に各々が接続された複数のノズル103と、マニホールド管102の1つ又は複数の他方の端部を結合するための結合装置104と、ポンプシステム(図示せず)によって供給される洗浄液の進入を提供するための結合装置104に接続されたホース105とを備えている。好ましくは、マニホールド10は、現在利用されているマニホールド10の種類を識別するためのマニホールド識別ユニット110のような情報ユニット110をさらに備えていることが可能である。この情報ユニット110は、マニホールド10それ自体の任意の部分に、又は結合装置104のある部分に取り付けてもよい。
【0029】
適切な情報ユニット110は、無線周波数識別(RFID)チップ又はタグを備えていることが好ましい。当業者に公知のように、RFIDチップ又はタグは、トランスポンダとして機能する小さなマイクロチップとして表すことができ、トランシーバ(例えば、RFIDリーダ)によって送られる無線信号を「聞く」ように構成されている。RFIDチップ又はタグが、ある無線の問合せを受信した場合、RFIDチップ又はタグは、応答して、その唯一の識別コード及び他の情報をトランシーバに伝送して返す。RFIDチップ又はタグを使用する1つの利点は、RFIDチップ又はタグが動作用バッテリを必要とせず、その代わりに、トランシーバによって伝送された無線信号によって電力供給を受けることである。
【0030】
RFIDチップ又はタグが好ましいが、任意の適切な情報ユニット110を本発明に従って利用可能であることを理解すべきである。他の適切な情報ユニット110は、例えば、バーコードラベル、バーコードから関連情報を獲得するための光学式リーダ、情報を送受信できる無線周波数装置等を備えてもよい。
【0031】
図2を参照して以下に説明するように、特定のマニホールド10が情報ユニット110を備えている場合、情報ユニット110によって提供される情報を読み取るために、またこの情報を制御ユニット(図2参照、番号112)に提供するために、対応する情報検出器111も望ましい。
【0032】
操作中、エンジン1を洗浄すべきとき、エンジン1の特定の種類のために構成されたマニホールド10が、エンジン1の入口11に解放自在に装着かつ固定される。例えば、ストラップ又は同様の装置のような任意の適切な固定手段を利用して、マニホールド10を適所に固定してもよい。マニホールド10がエンジン入口11に固定されると、エンジン1への洗浄液の進入を提供するための結合装置104に、ホース105が接続される。
【0033】
洗浄システムはまた、洗浄手順の結果エンジンから生じる使用済み洗浄液を収集するための収集器ユニットを有してもよい。ある実施形態において、制御ユニットは、洗浄ユニットを調整するために、エンジンから生じる使用済み洗浄液の特性に反応することが可能である。例えば、使用済み洗浄液内の固体の種類のような様々な特性を決定するために、分析装置を利用して、使用済み洗浄液を評価してもよい。次に、使用済み洗浄液の評価の結果に応じて、制御ユニットは、洗浄ユニットを調整して、洗浄手順のパラメータを変更することが可能である。
【0034】
次に図2を参照すると、本発明の実施形態による洗浄システムの典型的な実装が示されている。典型的な洗浄システムは、図1に示したマニホールド10と、任意の使用済み洗浄液収集器116に接続された車両を備えている任意の移動ユニット32と、タンク31と、洗浄液の流れを調整するためのポンプ(図示せず)とを備えている弁付きポンプシステム113と、洗浄される特定のエンジン1の洗浄工程を制御かつ監視するための制御ユニット112とを備えている。好ましい実施形態において、ポンプシステム113は、4MPa(40bar)〜8MPa(80bar)の加圧された洗浄液をマニホールド10に供給するように構成されている。
【0035】
さらに、図2の典型的な洗浄システムは、使用済み洗浄液を収集するための収集装置114と、洗浄液を貯蔵し、また使用済み洗浄液を処理するために、使用済み洗浄液をタンク31に供給するための導管118とを備えていることが好ましい。
【0036】
このように、ホース105が、洗浄される特定のエンジン種類に応じて上述のように構成されているマニホールド10に接続されると、情報検出器111は、エンジン1の種類を識別する特定の情報を情報ユニット110から獲得する。次に、この識別は制御ユニット112に伝送される。上述のように、典型的な情報ユニット110は、RFIDリーダを備えてもよい。このような場合、対応する情報検出器111は、RFIDリーダを備えていることが好ましい。
【0037】
制御ユニット112は、洗浄工程を制御かつ監視できるようにプログラミングできるプログラム可能なロジック制御器(PLC)を備えていることが好ましい。しかし、制御ユニット112はそれに限定されず、所望の場合、他の適切な制御ユニットを実施してもよいことを理解すべきである。
【0038】
制御ユニット112は、任意の数のエンジン種類を洗浄するための制御データで予めプログラミングされることが好ましい。この制御データは、例えば、マニホールド構造、洗浄要件、洗浄パラメータを含んでもよい。さらに、制御データは、特定の地形及び予想される汚損構造に関するデータを含んでもよい。このような制御データと共に、制御ユニット112は、特定のエンジン種類のための特定の洗浄プログラムをロードすることができる。制御データに基づき、制御ユニット112が複数の洗浄液の組み合わせが好ましいと決定するならば、本発明の洗浄システムは、好ましい洗浄溶液の達成に使用するための異なる種類の洗浄液を収容する複数のタンクを備えていることが好ましい。
【0039】
追加して又は選択的に、制御ユニット112は、特定の使命又は地形に使用される特定のエンジンのために最適化された洗浄工程を予測又は選択するために、特定の洗浄液の溶解能力に関するデータを調べるように構成してもよい。集められて、制御ユニット112に提供される上記情報及び他の情報は、他の洗浄システムによる使用のために統合システム(図示せず)にアップロードすることが好ましい。
【0040】
制御ユニット112が、情報検出器111によって提供された識別情報を受信し、またエンジン1に関連する任意の制御データを受信すると、制御ユニット112は、洗浄されるエンジン1の洗浄要件及び好ましい洗浄パラメータを決定することができる。これらの好ましい洗浄パラメータが確立されると、本発明の洗浄システムは、開始態勢にある。
【0041】
好ましい洗浄手順を開始すると、制御ユニット112は、所望の洗浄流体の流れが獲得されるまで、弁付きのポンプシステム113の1つ以上の弁の開放を指示する。この流体流は、例えば、制御ユニット112に設けられた流量計(図示せず)及びフィードバックを介して測定することが可能である。当業者に公知のように、洗浄流体は、洗浄流体が貯蔵されるタンク(図示せず)の圧力の調整を介して制御することが可能である。好ましくは、制御ユニット112は、このような圧力を調整するように構成されている。さらに、制御ユニットはまた、洗浄される特定のエンジンの洗浄時間を調整するように構成されている。このようにして、制御ユニット112は、好ましい洗浄時間に達すると、ポンプシステム113を遮断するために弁を遮断することが可能である。
【0042】
好ましい実施形態において、制御ユニット112は、エンジン洗浄工程に関連するいくつかのパラメータ及び機能に関する情報を測定して収集するように、さらに構成(又はプログラミング)される。例えば、制御ユニット112は、洗浄流体が所定の洗浄温度に達するまで、洗浄工程の開始を遅らせるために、例えば温度ゲージ(図示せず)からの温度データを処理するように構成してもよい。さらに、制御ユニット112は、異なる制御及び処理情報を使用者に提示できる任意のオペレータインタフェース(図示せず)を備えてもよい。
【0043】
図2に戻って参照すると、任意の移動可能な使用済み流体収集器116は、洗浄工程の結果エンジン1を出る使用済み洗浄液及び任意のエンジン汚染物の収集に使用するために、エンジン1の下に配置されることが好ましい。典型的な流体収集器が、国際公開公報第05121509及び対応する米国特許出願第2006/0081521号に開示されており、それらの内容全体は参考として本出願に組み込まれている。この使用済み流体収集器116は、車輪(可動性のため)を有して示されているが、本発明の使用済み流体収集器116は必ずしも移動可能である必要はないことを理解すべきである。
【0044】
洗浄工程中、使用済み洗浄液はエンジン汚染物と共にエンジン1から生じる。エンジン1の後部に配置された収集装置114、及びエンジン1の下に配置されたトラフ117は、この使用済み洗浄液及びエンジン汚染物を収集するために利用可能である。典型的な収集装置114が、国際公開公報第05120953号に記載されており、それらの内容全体は参考として本出願に組み込まれている。収集装置114は、ここに示したようにエンジン1から間隔を空け分離して、あるいは代わりに、エンジン出口のようにエンジン1の任意の部分と接触して配置することが可能である。さらに、図示していないが、導管をエンジンと収集装置との間に利用してもよい。ある実施形態において、一方の端部に、エンジン出口の直径と少なくとも同じ大きであるように寸法決めされた開口部を有する導管を利用し、次に使用時、エンジン出口から生じる使用済み洗浄液及びエンジン汚染物を捕捉するように、エンジンに隣接して又は接触して配置してもよい。ある実施形態において、導管は、例えば、空気が導管の開口部又は弁を通して逃げることを可能にすることによって、空気を液体から分離するためのミストエリミネータの形態であることが可能である。
【0045】
収集された廃液及び汚染物は、例えば導管115を介して、使用済み流体収集器116のタンク(図示せず)に入ることができる。次に、使用済み洗浄液は、例えば導管118を介して、移動ユニット32に配置された洗浄ユニット31のタンク(図示せず)に圧送できる。洗浄ユニット31は、適切な液体処理工程を介して使用済み洗浄液から任意の汚損材料を分離することによって、使用済み洗浄流体を処理するように構成されていることが好ましい。この液体処理工程は、フィルタ、遠心分離機、分離器等のような装置の使用を含んでもよい。使用済み液が処理されると、引き続くエンジンを洗浄するために液体を再利用できるか、あるいは代わりに、簡単に処分可能である。
【0046】
好ましい実施形態において、制御ユニット112は、流体収集器116によって収集された使用済み洗浄液を分析するようにさらに構成されている。例えば、完全溶解固体物質(TD)は、例えば流体収集器116に配置された測定手段によって測定可能である。当業者に公知のように、TDSは、使用済み洗浄液の伝導率を測定することによって測定される。これらの測定に基づき、使用済み液に含まれる1つ又は複数の固体の種類を決定することが可能である。例えば、TDSを測定するために、センサのような測定手段を使用してもよい。TDSが収集されると、測定値を制御ユニット112に提供することができ、この場合、現在の洗浄工程の時間及び効率を最適化するように、洗浄手順(例えば、洗浄時間、洗浄温度、洗浄流体等)を調整することが可能である。
【0047】
上述及び図面に示した実施形態は、本発明の非限定的実施例に過ぎない見なされるべきこと、及び特許請求の範囲内で修正可能であることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態による航空エンジンの入口に取り付けられた典型的なマニホールドの図面である。
【図2】移動ユニットを備えている本発明の実施形態による典型的な洗浄システムの図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンを洗浄するためのシステムにおいて、
前記タービンエンジンに洗浄液を供給するための洗浄ユニットと、
特定のエンジンに関連する洗浄パラメータに応じて前記洗浄ユニットを調整するための制御ユニットとを備えているシステム。
【請求項2】
前記洗浄ユニットが、
1つ以上の管を備えているマニホールドと、
加圧された洗浄液を前記マニホールドに供給するためのポンプシステムであって、ポンプと1つ以上の弁を備えているポンプシステムと、
前記1つ以上の管の一方の端部に各々が接続される1つ以上のノズルと、を備え、
前記制御ユニットが前記ポンプシステムを調整する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マニホールドを前記ポンプシステムに接続するためのホースをさらに備え、前記ポンプシステムが、4MPa(40bar)〜8MPa(80bar)の加圧洗浄液を供給するように構成され、前記1つ以上の弁が、前記加圧洗浄液の流れの調整に使用するために構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御ユニットが、前記加圧洗浄液の流れを調整するようにさらに構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記マニホールドに関する情報を提供するために、前記マニホールドに接続された情報ユニットをさらに備えている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記情報ユニットによって提供された情報を読み取るための、かつ前記情報を前記制御ユニットに提供するための情報検出器をさらに備えている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記情報ユニットが、前記マニホールドの種類に関する情報を提供するためのマニホールド識別ユニットである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記情報ユニットが無線周波数識別(RFID)ユニットであり、かつ前記情報検出器がRFIDリーダである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記情報ユニットが、洗浄が望まれるエンジンの種類に関する情報をさらに有している、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記情報検出器によって提供された情報が、洗浄時間を調整するために前記制御ユニットによって使用される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記情報検出器によって提供された情報が、洗浄液の種類を選択するために前記制御ユニットによって使用される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットがプログラムロジック制御器(PLC)であり、前記PLCが、洗浄準備、洗浄供給、汚損物収集、使用済み洗浄液の処理、及び将来の洗浄工程の最適化に使用するための全体的な洗浄有効性に対し構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
洗浄液の温度を測定するための前記制御ユニットと通信する温度センサをさらに備え、前記制御ユニットが、洗浄手順を調整するために、測定された温度を使用する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
使用済み洗浄液が洗浄されるエンジンを出るときに前記使用済み洗浄液の伝導率及び微量組成物を測定するための手段をさらに備え、前記測定された伝導率及び微量組成物に関する情報が、洗浄されるエンジンの洗浄手順の調整に使用するための前記制御ユニットに提供される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御ユニットが統合システムと通信し、前記制御ユニットが、既存の洗浄手順を改善するため将来に使用するために、汚損材料の溶解度に関する洗浄結果をアップロードするように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ポンプシステムの輸送に使用するための移動ユニットをさらに備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
洗浄手順の結果エンジンから生じる使用済み洗浄液及びエンジン汚染物を収集するための使用済み液収集器をさらに備えている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記使用済み液収集器が移動できる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
エンジンの後部に配置された収集装置と、使用済み洗浄液を捕捉して、前記使用済み洗浄液を前記使用済み液収集器に供給するためのエンジンの下に配置されたトラフとをさらに備えている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記使用済み液収集器によって供給された使用済み洗浄液を処理するためのタンクをさらに備えている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記タンクが、前記使用済み洗浄液の処理に使用するためのフィルタ、遠心分離機、及び分離器の少なくとも1つを備えている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御ユニットが、制御データを有するように予めプログラミングされる、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記制御データが、マニホールド構造データ、洗浄要件データ、洗浄パラメータデータ、予想される汚損組成物データ、及び特定のエンジンの最適な洗浄手順の決定に使用するための地理的な使用データの少なくとも1つを有している、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
エンジン洗浄からの廃液を収集するためのシステムにおいて、
洗浄手順の結果エンジンから生じる使用済み洗浄液を収集するための液体収集器と、
前記使用済み洗浄液の1つ以上の特性に基づき洗浄手順を調整するための制御ユニットとを備えているシステム。
【請求項25】
前記使用済み洗浄液に含まれる1つ又は複数の固体の種類を含む特性を評価するために使用済み洗浄液を分析することをさらに有している、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記使用済み液収集器によって供給された使用済み洗浄液を処理するためのタンクをさらに備えている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記タンクが、前記使用済み洗浄液の処理に使用するためのフィルタ、遠心分離機、及び分離器の少なくとも1つを備えている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
エンジン洗浄して、前記エンジン洗浄からの廃液を収集するためのシステムにおいて、
洗浄液をエンジン内に供給するための洗浄ユニットと、
洗浄手順の結果エンジンから生じる使用済み洗浄液を収集するための液体収集器ユニットと、
前記エンジンから生じる前記使用済み洗浄液の特性に基づき前記洗浄ユニットを調整するための制御ユニットとを備えているシステム。
【請求項29】
前記使用済み洗浄液を分析して、前記使用済み洗浄液に含まれる1つ又は複数の固体の種類を含む前記使用済み洗浄液の特性を決定するための装置をさらに備え、前記特性が、前記洗浄ユニットを調整するために前記制御ユニットによって評価される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
エンジンを洗浄するための方法において、
洗浄液をエンジン内に供給する段階と、
前記エンジンから生じる前記使用済み洗浄液の特性に基づき前記洗浄ユニットを調整する段階とを有する方法。
【請求項31】
洗浄手順の結果エンジンから生じる使用済み洗浄液を収集する段階をさらに有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記使用済み洗浄液を分析して、前記使用済み洗浄液に含まれる1つ又は複数の固体の種類を含む前記使用済み洗浄液の特性を決定する段階をさらに有し、前記特性が、前記洗浄ユニットを調整するために前記制御ユニットによって評価される、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−169828(P2008−169828A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−306115(P2007−306115)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(507303402)ガス タービン エフィシエンシー スウェーデン アクティエボラーグ (18)
【Fターム(参考)】