説明

航空機用ターボジェットエンジン及びかかるターボジェットエンジンを装備した航空機並びにかかるターボジェットエンジンを航空機に取り付ける方法

【課題】航空機の胴体の後方上部位置に後部ターボジェットエンジンを固定する構造において、空気抵抗を小さくする。
【解決手段】本発明が対象とする航空機用ターボジェットエンジン(1)は、前記ターボジェットエンジンの強固な構造体(11)に固定されてモノブロックのアセンブリを形成するようになっている尾翼(7)を少なくとも一つ支えることを特徴とする。また、そのターボジェットエンジンは、前記ターボジェットエンジンの作動に必要な付属装置の一つまたは複数を支えることもできる。本発明は、また、そのようなターボジェットエンジンを装備した航空機、及びそのようなターボジェットエンジンを航空機に取り付ける方法にも関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用ターボジェットエンジンに関するものである。さらに詳細には、本発明は、航空機の胴体の後方位置に取り付けるためのターボジェットエンジンに関するものである。本発明は、また、そのターボジェットエンジンを航空機に取り付ける方法に関するものでもある。
【0002】
本発明は、航空分野一般に応用されるが、さらにとりわけ、胴体の直径の小さい超音速航空機に応用されるものである。
【背景技術】
【0003】
航空機には、前記航空機の胴体の後ろ上部に位置する一つまたは複数の尾翼が備わっているのが一般的である。例えば、航空機には、垂直尾翼が一つと水平尾翼が二つあるか、あるいは、その航空機の長手軸に対して斜めの尾翼が二つだけある。このような尾翼が必要なのは、航空機の軌道の安定性を確保するためである。尾翼は、胴体の後ろ上部に直接、固定されるものである。
【0004】
また、ターボジェットエンジンを少なくとも三つ装備した航空機が知られている。各翼の下面のところに、それぞれ、ターボジェットエンジンが少なくとも一つ装備されている。ところで、一つ補助的なターボジェットエンジンがあり、これは、以下、本文中では後部ターボジェットエンジンと呼ぶことにするが、その航空機の胴体の後部の、前記航空機の後ろの垂直尾翼のところに位置している。その垂直尾翼は、その垂直尾翼の支持構造体を形成する半円形のアーチ型の枠の幾つかを介して、その航空機の構造体に直接、固定されている。さらに詳細には、垂直尾翼は、その左側面が胴体の左側面に、第一の一連のアーチ型の枠を介して連結されており、その右側面が胴体の右側面に、第二の一連のアーチ型の枠を介して連結されている。そのような一連の半円形のアーチ型の枠二つを二つ一組で尾翼の両側に配置し、それにより、後部ターボジェットエンジンを滑り込ませる円筒形の収納部を用意する。つぎに、その後部ターボジェットエンジンそのものを、直接、第二の支持構造体により、その航空機の胴体につなぎ、垂直尾翼のアーチ型の枠にもまたつなぐようにする。
【0005】
そのような複数のアーチ型の枠によって、後部ターボジェットエンジンを直径の中で受け入れるのに十分な収納部が用意されなければならない。後部ターボジェットエンジンが大きければ、収納部もそれだけ一層、大きくなければならず、そのことにより、胴体の後部に大きな空気力学的抵抗、つまり、空気抵抗が生じがちである。そのような空気抵抗は、ターボジェットエンジンの直径が、胴体後部の直径に対して大きければ、それだけ一層、大きくなってしまう。例えば、音速を超えないターボジェットエンジンで直径の大きいものを、胴体の直径、特に胴体後部の直径が小さい超音速航空機の胴体の後部に一体化することは、実際には不可能になっているのは、このとき現行技術水準での固定システムを形成する支持構造体から生じる空気抵抗が余りにも大きすぎるからである。
【0006】
また、垂直尾翼と後部ターボジェットエンジンとは、支持構造体がそれぞれ別々の独立したものであり、それにより、航空機の胴体に互いに個別にそれぞれ連結されている。そのような支持構造体の数が増大すれば、航空機の総質量が相当に大きくなってしまいがちである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、本発明の一つの目的は、空気抵抗への影響の小さな、航空機の胴体の後方上部位置に後部ターボジェットエンジンを固定するシステムを提供することである。本発明のもう一つの目的は、そのような固定システムで、現行技術水準の固定システムと比べて質量の小さいものを提供することである。本発明のさらにもう一つの目的は、後部ターボジェットエンジンと垂直尾翼とを航空機の胴体の後方上部位置に取り付けやすく、組み立てやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのような結果に到達するために、本発明により提案したいのは、航空機の胴体の後ろ上部に取り付けるための一つのエンジンに対して、航空機の一つまたは複数の尾翼を一体化することである。このような手段というのは、これによれば、そのような複数の尾翼を支えるのは、胴体ではなく、エンジンそれ自体であるということなのである。そのエンジンと、そのエンジンの構造体と連結する形で固定された一つまたは複数の尾翼とで、一体化されたシステム、つまり一体構造のシステムにしようということなのである。この一体化システムを、つぎに、その航空機の胴体に、一度に取り付けることができる。そのようにすれば、胴体の後部の上の支持構造体の数を減らすことができるが、というのも胴体に取り付けられるのはエンジンだけで、そのような一つまたは複数の尾翼は、それぞれがエンジンに固定されているから胴体と連結されているというだけのことだからである。エンジンの周囲で尾翼を支える構造体を部分的になくすことで、その箇所での空気抵抗も減らすことができる。事実、以前は、エンジンの周りに、垂直尾翼を航空機につなぐ容積の大きな支持構造体が複数あって、それがあるために、エンジン/尾翼モジュールが全体として、ますます、嵩張るものになっていたのである。
【0009】
好適には、本発明による一体化システムにはまた、エンジンが作動するのに必要で、通常はそのエンジンの付近の胴体の後部に固定される、一つまたは複数の付属装置が備わっている。例えば、本発明による一体化システムには、エンジンの空調装置と、そのエンジンに供給される流体が通過する配管の全部または一部が備わっている。エンジンに有益な機器の大多数を、もはや胴体にではなくエンジン自体に直接固定することで、後部エンジンの周囲の別々の独立した支持構造体の数を、それだけ減らすことができる。また、エンジンや付属装置の取り付けも容易になるが、というのもそれらが一度に胴体に取り付けられて固定されるからである。それゆえ、取り付けの際の間違いのおそれを少なくし、ひいては、その取り付けに必要な時間も少なくすることもできる。
【0010】
本発明の具体的実施例の一つによると、本発明の一体化システムを担うための胴体の後ろ上部の断面は、半円形であって、もはや円形ではない。胴体の後部の上面は、お盆のような形をしており、その上に、本発明による一体化システムを置いてから、胴体に固定し、下面は、胴体の下部の延長部分に沿って半円形である。このようにして、エンジンは、胴体の上部に隆起を形成するようなことはなく、逆に、胴体の直径の中に一体化されており、それにより、前記胴体の断面は、本発明のエンジンが前記胴体の後部に連結されるとき、ほぼ連続的な円形を呈することになるのである。
【0011】
それゆえ、本発明が対象とする航空機用ターボジェットエンジンは、前記ターボジェットエンジンの強固な構造体に固定されてモノブロックのアセンブリを形成するようになっている尾翼を少なくとも一つ支えることを特徴としている。
【0012】
本発明のターボジェットエンジンの幾つかの実施例によれば、以下の補足的特徴の全部または一部を付け加えることも可能である。
−尾翼が、ターボジェットエンジンのジェットノズルに固定されていること。
−モノブロックのアセンブリには、前記ターボジェットエンジンの作動に必要な付属装置が少なくとも一つ備わっており、前記付属装置はそのターボジェットエンジンに固定されていること。
−その尾翼の基礎部が、ターボジェットエンジンに固定されていて、そのターボジェットエンジンの冷却用空気により送風を受けていること。
【0013】
本発明は、また、本発明に係るターボジェットエンジンを胴体後部に備えるような航空機に関するものでもある。
【0014】
本発明の航空機の幾つかの実施例によれば、以下の補足的特徴の全部または一部を想定することも可能である。
−そのターボジェットエンジンは、胴体の後部に張り出して取り付けられ、そのターボジェットエンジンの前部は胴体に固定されていること。
−その胴体の後部は斜めにカットされており、それにより、そのターボジェットエンジンを支えるプラットホームが用意されていること。
【0015】
本発明は、また、以下の過程を備えることを特徴とする、本発明によるターボジェットエンジンを航空機に取り付ける方法に関するものでもある。
−少なくとも一つの尾翼を、そのターボジェットエンジンの構造体に固定し、それにより、モノブロックのアセンブリを形成する過程。
−そのモノブロックのアセンブリを胴体の後部に取り付けて固定する過程。
【0016】
本発明の方法の具体的実施例の一つにおいては、そのモノブロックのアセンブリが、航空機に対して高みの方向からラジアル方向に取り付けられる。
【0017】
本発明の方法を実施する幾つかの例によると、以下の補助的過程の全部または一部を想定することも可能である。
−そのターボジェットエンジンの作動に役立つ付属装置を少なくとも一つ、前記ターボジェットエンジンに固定し、その後で、モノブロックのアセンブリを胴体の後部に取り付けて固定する過程。
−モノブロックのアセンブリのモジュールを取り付けて固定する前に、胴体に空気取り入れ口を取り付けて固定し、それにより、その空気取り入れ口がターボジェットエンジンの上流になるようにする過程。
−モノブロックのアセンブリのモジュールを取り付けて固定した後で、胴体に空気取り入れ口を取り付けて固定し、それにより、その空気取り入れ口がターボジェットエンジンの上流になるようにする過程。
【0018】
本発明は、添付図面を検討しつつ、以下の説明を読むことでよりよく理解される。その添付図面はいずれも例示的なものであり、本発明を限定する趣旨のものでは全くない。以下、各図面を説明する。
図1は、本発明のターボジェットエンジンを一つ装備した胴体の後部の縦断面である。
図2は、本発明のターボジェットエンジンを一つ装備した胴体の後部を概略的に示す。
【0019】
図1に示すターボジェットエンジン1は、航空機の胴体3の後部2に取り付けられている。一般的に、前や後ろと言うのは、そのターボジェットエンジン1を装備した航空機の進行方向に対して言っている。
【0020】
そのターボジェットエンジン1は、胴体3の後部2に張り出して取り付けられている。そのターボジェットエンジン1の前部4は、その胴体3の後部2に連結する形で固定されている一方で、前記ターボジェットエンジン1の後部5は、後部2を越えて、胴体3の延長線上に延びている。そのターボジェットエンジン1の前部4には、そのターボジェットエンジン1の前記前部4を胴体3に連結する接着点が幾つか装備されていてもよい。そのターボジェットエンジン1の後部5、つまりジェットノズルは、胴体3に固定されてはいない。もう一つ別の実施例では、ターボジェットエンジン1を胴体3に取り付け、それにより、前部4と後部5が胴体3の後部2に支えられ、場合によっては、後部5も胴体3に固定されるようにすることも可能である。
【0021】
そのターボジェットエンジン1の後部5で、垂直尾翼7、つまり、そのターボジェットエンジン1の長手軸に対して垂直に延びている尾翼が支えられている。その垂直尾翼7の基礎部15はそのターボジェットエンジン1の後部5に固定されている。その垂直尾翼7と胴体3との間には接着点は全く存在しない。その尾翼7を胴体3の上に維持しているのは、そのターボジェットエンジン1の後部5との連結部だけである。このようにして、ターボジェットエンジン1と尾翼7とは、モノブロックのアセンブリを形成しており、モノブロックのアセンブリ自体を航空機の胴体3に固定しているのは、ターボジェットエンジン1の前部4を胴体3の後部2に連結する幾つかの接着点になるのである。
【0022】
空気取り入れ口8は、ターボジェットエンジン1の前部4の上流に配置されており、それにより、空気をターボジェットエンジン1内に取り込めるようになっている。空気取り入れ口8は、ターボジェットエンジン1からは独立しており、つまり、前記ターボジェットエンジン1とは無関係に、幾つかの定着点9により胴体3に固定されている。空気取り入れ口8により、外部からの空気の流れをターボジェットエンジン1の内部にまで案内することができる。
【0023】
図1に示される例では、胴体3の後部2に装備された後ろの尖った先端部10が胴体3の空気力学的連続性を確保している。後ろの尖った先端部10は、流線型をなすためのもので、胴体3の構造的機能をなんら確実にするものではないが、純粋に空気力学的機能を有するものである。ターボジェットエンジン1は、胴体3の後ろの尖った先端部10とは物理的なつながりは一切ない。
【0024】
図1に見られるように、胴体3の後部2は、斜めにカットされており、それにより、平らなプラットホーム14が形成され、その上に、ターボジェットエンジン1の前部4が置かれている。このようにして、胴体3の後部2は、断面が半円形となり、その一端にある平らな部分はターボジェットエンジン1を受け入れるためのものとなる。さらに詳細には、胴体3の後部2の下部の形は円弧状である一方、上部は平面である。胴体3の直径は、後部2のところでは、厳密に、後部2の前の方の胴体3の直径よりも小さくなっている。それゆえ、ターボジェットエンジン1は、胴体3の後部2の上では、余り大きな隆起を形成しないのであり、というのも、少なくとも部分的には、前記胴体3の直径の中に一体化されているからである。この後部ターボジェットエンジン1が存在することによる空気抵抗は、それゆえ、小さなものである。
【0025】
図2に見られるのは、本発明に係るターボジェットエンジン1の側面図である。
【0026】
ターボジェットエンジン1には斜めの尾翼7が二つ付いている。ここで斜めというのは、ターボジェットエンジン1の長手軸に対して斜めと言っている。各尾翼7は、ターボジェットエンジン1の後部であるジェットノズル5のところで、前記ターボジェットエンジン1の強固な構造体と連結する形で固定されている。図2に示される例では、各尾翼7は、基礎部15のところが、四つの定着点12で、ターボジェットエンジン1の後部であるジェットノズル5に固定されている。さらに詳細には、ターボジェットエンジン1の後部であるジェットノズル5の強固な構造体は、前記後部であるジェットノズル5の円筒形の外縁に沿って四つのアーチ型の枠である構造体11を備えている。アーチ型の枠である構造体11のそれぞれは、尾翼7の(図示されていない)内部縦通材のための定着点12としての役割を果たしている。このようにして、各尾翼7は、ターボジェットエンジン1の後部であるジェットノズル5で幅の部分l一帯に固定されるのである。ここで幅というのは、ターボジェットエンジンの長手軸に平行な尾翼7の寸法のことである。明らかなことに、尾翼7をアーチ型の枠である構造体11に接着する点12の数をもっと増やすのも減らすのも可能である。例えば、一つの尾翼7をターボジェットエンジン1に連結するのに、接続のための定着点12を二つだけ用いることも可能である。この場合には、好ましくは、そのような接続のための定着点12二つの位置は、その尾翼7の幅l(図1の筆記体小文字エル)の両端であることが望ましい。
【0027】
また、ターボジェットエンジン1の前部4にはそれぞれ右カバーと左カバーの二つのカバー13がある。各カバー13は、ターボジェットエンジン1の前部4の右側面と左側面の円弧状の外縁に沿っている。図2に示す例では、カバー13は、ターボジェットエンジン1の内部にアクセスできるようにするために開くことができるという意味で、可動性のカバーである。各カバー13の上方縁部は、ターボジェットエンジン1の前部4の上方と連結されている一方で、下方縁部は自由になっている。ここで下方というのは、胴体3に向かっているという意味である。上方というのは、上の方に向かうということで、下方の反対である。上方縁部は、例えば軸支回動自在に取り付けられ、それにより、各カバー13が、ターボジェットエンジン1の延長線上に延びる閉鎖状態から、ターボジェットエンジン1の長手軸に直角に延びる開放状態になるまで、軸支回動できるようになる。カバー13により、ターボジェットエンジン1の内部と、前記ターボジェットエンジン1の作動に必要な付属装置の幾つかにアクセスすることができる。
【0028】
そのターボジェットエンジン1の作動に必要な一つまたは複数の付属装置を、ターボジェットエンジン1に直接取り付けることもできる。そうすると、そようなものと、ターボジェットエンジン1と、その一つまたは複数の尾翼7とで、モノブロックのアセンブリ1、7が形成されることになる。航空機の胴体3の後部2に固定されるのは、そのモノブロックのアセンブリ1、7である。さらに詳細には、そのモノブロックのアセンブリ1、7のターボジェットエンジン1の前部4のみが胴体3に固定され、その他の部材は、ターボジェットエンジン1を介して前記胴体3に連結されており、それぞれの部材は個別にターボジェットエンジンに固定されている。付属装置の二つまたは複数を互いに連結し、それにより一つのモジュール全体を形成し、つぎに前記モジュール全体を一度にターボジェットエンジン1に固定するというのも可能である。
【0029】
本発明のターボジェットエンジン1により、航空機の胴体3の後部2に前記ターボジェットエンジン1を取り付ける技術は、現行技術水準と比べると、全く違ったものになっている。
【0030】
事実、一つまたは複数の尾翼7を備えた付属部材の全体を、そして場合によっては、そのターボジェットエンジン1の作動に必要な付属装置の全部または一部を、前記ターボジェットエンジン1に取り付けることから始めることになる。付属部材を、そのターボジェットエンジン1の後部5及び/または前部4に連結する形で固定する。ターボジェットエンジン1と一つまたは複数の尾翼7と、場合によっては付属装置とを備えたモノブロックのアセンブリがひとたび形成されると、前記モノブロックのアセンブリ1、7を胴体3のところにもっていく。ターボジェットエンジン1を胴体3に一体化する作業は、もはや、ターボジェットエンジン1の長手軸に平行に、軸方向に行うのではなく、ラジアル方向に、つまり、ターボジェットエンジン1の長手軸に直角に行われる。そのモノブロックのアセンブリ1、7を胴体3の後部2の上に、例えばクレーンを使ってもっていき、つぎに、胴体3の前記後部2の上に落ち着くまで、胴体3の方向に下ろしていく。
【0031】
それゆえ、本発明によるターボジェットエンジン1を航空機の胴体3の後部2に一体化することは、現行の技術水準でやるよりもはるかに楽になっている。事実、現行の技術水準では、尾翼を胴体の構造体につなぐアーチ型の枠によって用意された収納部の中にターボジェットエンジン1を平行移動させることにより導入するのに十分な場所を空ける必要があった。さらに、この平行移動のせいで、現行の技術水準の固定システムでは、ターボジェットエンジンを胴体の直径の中に配置することは不可能であり、ターボジェットエンジンは、どうしても、胴体の後部で隆起を形成してしまう。
【0032】
空気取り入れ口8は、モノブロックのアセンブリ1、7とは別個の独立したものであり、胴体3の上には、そのモノブロックのアセンブリ1、7より先にもっていっても、後にもっていってもよい。空気取り入れ口8は、接近を妨げる障害物がない限りは、ラジアル方向に、平行移動で、あるいはその他のやり方で、胴体3の上にもっていくことができる。
【0033】
尾翼7をターボジェットエンジン1の強固な構造体に直接、固定することで不都合なことの一つは、その尾翼7とターボジェットエンジン1との連結部分のところで、前記尾翼7が過熱し、溶融するおそれがあることである。事実、尾翼7の基礎部15は、ターボジェットエンジン1の後部5に連結されており、800℃近くの温度にまで上昇する可能性のある熱源と直接、常時、接触することになる。また、過熱による不都合を回避するため、特に接続のための定着点12や、尾翼7を形成する材料の溶融を回避するために、尾翼7の基礎部15に風を送ることのできる送風メカニズムを想定することも可能である。有利には、この送風システムはターボジェットエンジン1の冷却用空気を利用する。好ましくは、少なくとも尾翼7の基礎部15とターボジェットエンジン1の後部5での接続のための定着点12とは、例えばチタンのような、高温に耐える材料で製作することが望ましい。また、少なくともターボジェットエンジン1と連結されていない上部については、尾翼7を複合材で製作することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るターボジェットエンジンを装備した胴体の後部縦断面図
【図2】本発明に係るターボジェットエンジンを装備した胴体の後部概略図
【符号の説明】
【0035】
1 ターボジェットエンジン
2 後部
3 胴体
4 前部
5 ジェットノズル
7 尾翼
8 空気取り入れ口
9 定着点
10 先端部
11 構造体
12 定着点
13 カバー
14 プラットホーム
15 基礎部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用ターボジェットエンジン(1)であって、前記ターボジェットエンジンの強固な構造体(11)に固定されてモノブロックのアセンブリを形成するようになっている尾翼(7)を少なくとも一つ支えることを特徴とする、航空機用ターボジェットエンジン。
【請求項2】
前記尾翼が、ターボジェットエンジンのジェットノズル(5)に固定されていることを特徴とする、請求請1に記載のターボジェットエンジン。
【請求項3】
前記モノブロックのアセンブリが、前記ターボジェットエンジンの作動に必要な付属装置を少なくとも一つ備え、前記付属装置がそのターボジェットエンジンに固定されていることを特徴とする、請求請1または請求項2に記載のターボジェットエンジン。
【請求項4】
前記尾翼の基礎部(15)が、ターボジェットエンジンに固定されていて、そのターボジェットエンジンの冷却用空気により送風を受けていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載のターボジェットエンジン。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のターボジェットエンジン(1)を、航空機の胴体(3)の後部(2)に備えることを特徴とする、航空機。
【請求項6】
前記ターボジェットエンジンが、胴体の後部に張り出して取り付けられ、そのターボジェットエンジンの前部(4)は胴体に固定されていることを特徴とする、請求項5に記載の航空機。
【請求項7】
前記胴体の後部が、斜めにカットされており、それにより、そのターボジェットエンジンを支えるプラットホーム(14)が用意されていることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の航空機。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のターボジェットエンジン(1)を航空機に取り付ける方法であって、
−少なくとも一つの尾翼(7)を、そのターボジェットエンジンの構造体(11)に固定し、それにより、モノブロックのアセンブリ(7、1)を形成する過程と、
−そのモノブロックのアセンブリを胴体の後部(2)に取り付けて固定する過程とを備えることを特徴とする、ターボジェットエンジンを航空機に取り付ける方法。
【請求項9】
前記モノブロックのアセンブリが、航空機に対して高みからラジアル方向に取り付けられることを特徴とする、請求項8に記載のターボジェットエンジンを航空機に取り付ける方法。
【請求項10】
そのターボジェットエンジンの作動に役立つ付属装置を少なくとも一つ、前記ターボジェットエンジンに固定することを先行し、その後で、モノブロックのアセンブリを胴体の後部に取り付けて固定する、という補助的過程を備えることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載のターボジェットエンジンを航空機に取り付ける方法。
【請求項11】
モノブロックのアセンブリを取り付けて固定する前に、胴体に空気取り入れ口(8)を取り付けて固定し、それにより、その空気取り入れ口がターボジェットエンジンの上流になるようにする、
という補助的過程を備えることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一つに記載のターボジェットエンジンを航空機に取り付ける方法。
【請求項12】
モノブロックのアセンブリのモジュールを取り付けて固定した後で、胴体に空気取り入れ口(8)を取り付けて固定し、それにより、その空気取り入れ口がターボジェットエンジンの上流になるようにする、という補助的過程を備えることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一つに記載のターボジェットエンジンを航空機に取り付ける方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−508748(P2009−508748A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531743(P2008−531743)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050841
【国際公開番号】WO2007/034094
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(507189703)エアバス フランス (35)
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS FRANCE