説明

航空管制装置、航空管制システムおよび航空管制方法

【課題】
本発明は、航空機の航空管制におけるシステムハンドオフを実施する際、引き継ぎ先の航空交通管制部が当該航空機の最新の飛行計画情報を保持していない場合でも、適切にシステムハンドオフを実施することが可能な航空管制装置、航空管制システムおよび航空管制方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る航空管制システム10は、移管元の航空管制装置30から引継対象航空機の航空機情報を含んだ業務引継依頼を受信した場合、該業務引継依頼から航空機情報を読み出して飛行計画情報管理装置40へ送信し、飛行計画情報が返信された場合、該返信された飛行計画情報に基づいて引継対象航空機の航空管制を引き継ぐ移管先の航空管制装置20と、航空機の飛行計画情報を管理すると共に、航空機情報を受信した場合、該受信した航空機情報に対応する飛行計画情報を返信する飛行計画情報管理装置40と、を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の航空管制に関し、特に、隣接する空域を管轄する航空管制装置から航空機の航空管制の引き継ぎを依頼された時の航空管制に関する。
【背景技術】
【0002】
日本の航空管制は、札幌、東京、福岡および那覇の4つの航空交通管制部において行われている。そして、例えば、東京から札幌へ飛行する航空機の航空管制は、途中、東京航空交通管制部から札幌航空交通管制部へ引き継がれる。なお、航空管制については、特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0003】
各航空交通管制部はさらに、空域ごとに配置された複数の航空管制装置を備え、各航空管制装置において、航空路監視レーダー(ARSR:air route surveillance radar)や二次監視レーダー(SSR:secondary surveillance radar)から受信したレーダー情報や、飛行計画情報管理システム(FDMS:Flight plan Data Management System)から受信した飛行計画情報等に基づいて、航空管制が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−170893号公報
【特許文献2】特開平11−014745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、航空機の飛行計画情報は航空機の航路に基づいて、飛行計画情報管理システムから航路が含まれる空域を管轄する各航空管制装置へ予め送信されている。しかし、トラブル等によって航行途中で飛行計画情報が変更された場合、最新の飛行計画情報が管轄航空管制装置へ送信されていない場合がある。
【0006】
さらに、航空機の飛行計画情報は、飛行計画情報管理システムから、予め設定されたパラメータを用いて特定された航空交通管制部の航空管制装置へ送信されるため、パラメータの条件等によっては引き継ぎ先の航空管制装置に当該飛行計画情報が送信されていない場合がある。
【0007】
これらの場合、航空機の航空管制の引き継ぎを適切に実施することができない。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、航空機の航空管制を引き継ぐ際、引き継ぎ先の航空交通管制部が当該航空機の最新の飛行計画情報を保持していない場合でも、適切に航空管制を引き継ぐことが可能な航空管制装置、航空管制システムおよび航空管制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る航空管制装置は、航空機の飛行計画情報を管理している飛行計画情報管理装置と通信する通信手段と、引継対象航空機の航空機情報を含んだ業務引継依頼を受信した場合、該業務引継依頼から航空機情報を読み出し、該読み出した航空機情報に対応する飛行計画情報を通信手段を介して飛行計画情報管理装置から受信し、該受信した飛行計画情報に基づいて引継対象航空機の航空管制を引き継ぐ引継実行手段と、を備える。
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る航空管制システムは、引継対象航空機の航空機情報を含んだ業務引継依頼を受信した場合、該業務引継依頼から航空機情報を読み出して飛行計画情報管理装置へ送信し、飛行計画情報が返信された場合、該返信された飛行計画情報に基づいて引継対象航空機の航空管制を引き継ぐ航空管制装置と、航空機の飛行計画情報を管理すると共に、航空機情報を受信した場合、該受信した航空機情報に対応する飛行計画情報を返信する飛行計画情報管理装置と、を備える。
【0011】
上記目的を達成するために本発明に係る航空管制方法は、引継対象航空機の航空機情報を含んだ業務引継依頼を受信した場合、該業務引継依頼から航空機情報を読み出し、該読み出した航空機情報に対応する飛行計画情報を航空機の飛行計画情報を管理している飛行計画情報管理装置から受信し、該受信した飛行計画情報に基づいて引継対象航空機の航空管制を引き継ぐ。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る航空管制装置、航空管制システムおよび航空管制方法において、航空管制装置は、航空管制の引き継ぎが依頼された場合、対象航空機の飛行計画情報を飛行計画情報管理装置から取得し、該取得した飛行計画情報に基づいて航空管制の引き継ぎを行う。従って、引き継ぎ先の航空交通管制部が対象航空機の最新の飛行計画情報を保持していない場合でも、適切に航空管制の引き継ぎを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る航空管制システム10のシステム構成図の一例である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る第1の航空管制装置20のブロック図の一例である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る航空管制システム10の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る航空管制システム100のシステム構成図の一例である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る航空管制装置200の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る航空管制システムのシステム構成図の一例を図1に示す。図1おいて、本実施形態に係る航空管制システム10は、複数の航空管制装置(互いに隣接する第1の航空管制装置20と第2の航空管制装置30とを含む)および飛行計画情報管理装置40を備える。
【0015】
図1において、複数の航空管制装置は、所定の図示しない航空交通管制部にそれぞれ属し、自装置が管轄する空域を通過する航空機の航空管制を行う。ここで、第1の航空管制装置20と第2の航空管制装置30とは同じ航空交通管制部に属し、互いに隣接する管制空域を管轄している。本実施形態では、航空機が第2の航空管制装置30の管制空域から第1の航空管制装置20の管制空域へ移動するのに伴い、当該航空機の航空管制を第2の航空管制装置30から第1の航空管制装置20へ引き継ぐ場合について説明する。なお、管制空域の変更に伴って航空管制を引き継ぐことを、システムハンドオフ(半自動管制移管)と記載する。
【0016】
飛行計画情報管理装置40は、航空機の飛行計画情報を一元的に管理する。該飛行計画情報管理装置40は、航空交通管制部における航空管制に関するシステムとは独立に形成されている。なお、本実施形態では、便宜上、飛行計画情報管理装置40を含めて、「航空管制システム10」と称する。飛行計画情報管理装置40は、各航空機の飛行計画情報を、予め設定されたパラメータを用いて特定された航空交通管制部の航空管制装置へ送信する。本実施形態において、飛行計画情報管理装置40はさらに、第1の航空管制装置20から飛行計画情報の送信を要求された場合、要求された飛行計画情報を第1の航空管制装置20へ返信する。
【0017】
航空管制装置について詳細に説明する。各航空管制装置は同様の構成であるため、以下、第1の航空管制装置20について説明する。図2に、第1の航空管制装置20のブロック構成図の一例を示す。
【0018】
図2において、航空管制装置20は、通信手段21およびハンドオフ実行手段22を備える。通信手段21は、ハンドオフ実行手段22からシステムハンドオフ対象航空機の飛行計画情報の取得が指示された場合、飛行計画情報管理装置40へアクセスし、飛行計画情報管理装置40からシステムハンドオフ対象航空機の飛行計画情報を取得する。
【0019】
ハンドオフ実行手段22は、隣接する管制空域を管轄している航空管制装置のハンドオフ実行手段と接続され、各種情報を送受信する。本実施形態において、ハンドオフ実行手段22は、隣接する管制空域を管轄している航空管制装置からシステムハンドオフ要求を受信した場合、該システムハンドオフ対象航空機の飛行計画情報の取得を通信手段21に指示する。そして、通信手段21を介して飛行計画情報管理装置40から飛行計画情報を受信した場合、ハンドオフ実行手段22は、該受信した飛行計画情報に基づいてシステムハンドオフを実施する。
【0020】
なお、ハンドオフ実行手段22が請求項の引継実行手段に、システムハンドオフ要求が請求項の業務引継依頼に相当する。
【0021】
以下、第2の航空管制装置30の管制空域を飛行中であって、第2の航空管制装置30から航空管制を受けている航空機が、該管制空域を抜けて第1の航空管制装置20が管轄している管制空域へ移動する場合について説明する。航空機が第2の航空管制装置30の管制空域から第1の航空管制装置20の管制空域へ移動するのに伴い、該航空機の航空管制が第2の航空管制装置30から第1の航空管制装置20へ引き継がれる(システムハンドオフされる)。
【0022】
図3に、本実施形態に係る航空管制システム10のシステムハンドオフの動作手順の一例を示す。図3において、第2の航空管制装置30は、航空機が第2の航空管制装置30の管制空域から第1の航空管制装置20の管制空域へ移動するのに伴い、第1の航空管制装置20へシステムハンドオフ要求を送信する(S1)。本実施形態において、システムハンドオフ要求にはシステムハンドオフ対象航空機の識別情報が含まれている。
【0023】
第1の航空管制装置20のハンドオフ実行手段22は、隣接する第2の航空管制装置30からシステムハンドオフ要求を受信した場合(S2)、受信したシステムハンドオフ要求から対象航空機の識別情報を読み出す(S3)。さらに、ハンドオフ実行手段22は、通信手段21を用いて飛行計画情報管理装置40へアクセスし、該読み出した識別情報に対応する飛行計画情報の送信を要求する(S4)。
【0024】
飛行計画情報管理装置40は、第1の航空管制装置20から飛行計画情報送信要求と識別情報とを受信した場合(S5)、受信した識別情報に対応する飛行計画情報を記憶領域から抽出し(S6)、該抽出した飛行計画情報を第1の航空管制装置20へ返信する(S7)。
【0025】
第1の航空管制装置20のハンドオフ実行手段22は、飛行計画情報管理装置40から飛行計画情報を受信した場合(S8)、該受信した飛行計画情報に基づいてシステムハンドオフを実施する(S9)。
【0026】
ここで、一般的に、航空機が通過する予定の航空管制装置には、予め、航空機の飛行計画情報に基づいて飛行計画情報管理装置40から当該航空機の飛行計画情報が送信される。そして、航空管制装置は、飛行計画情報管理装置40から送信された飛行計画情報を、自装置内またはアクセス可能なサーバ等に保持する。この場合、隣接した航空管制装置からシステムハンドオフ要求を受信した場合、航空管制装置は、先ず、自装置またはサーバ等からシステムハンドオフ対象航空機の飛行計画情報を取得する。自装置またはサーバ等から飛行計画情報を取得できた場合、再度、飛行計画情報管理装置40へアクセスして飛行計画情報を取得する必要は必ずしもない。しかし、システムハンドオフ要求時に改めて飛行計画情報管理装置40へアクセスして飛行計画情報を取得する場合、常に、最新の飛行計画情報を取得することができる。
【0027】
以上のように、本実施形態に係る航空管制システム10において、第1の航空管制装置20は隣接する管制空域を管轄している第2の航空管制装置30からシステムハンドオフ要求を受信した場合、通信手段21を用いて飛行計画情報管理装置40へアクセスし、該システムハンドオフ要求に対応する最新の飛行計画情報を飛行計画情報管理装置40から自動的に取得する。従って、第1の航空管制装置20は、引継対象航空機の飛行計画情報が更新されている場合や飛行計画情報を保持していない場合でも、引継対象航空機のシステムハンドオフを適切に実行することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る航空管制システムのシステム構成図の一例を図4に示す。図4において、航空管制システム100は、移管先の航空管制装置200と、移管元の航空管制装置300と、飛行計画情報管理装置400とを備える。
【0029】
移管先の航空管制装置200と移管元の航空管制装置300とは、航空管制や航空機に関する情報等を送受信している。飛行計画情報管理装置400は、航空管制システムとは独立したシステムに組み込まれ、航空機の飛行計画情報を一元的に管理している。
【0030】
図4において、移管先の航空管制装置200は、システムハンドオフ処理部210と、飛行計画保持部220と、飛行計画識別部230と、飛行計画取得部240とを備える。なお、移管元の航空管制装置300も同様に構成されており、詳細な説明は省略する。
【0031】
システムハンドオフ処理部210は、隣接する航空管制装置のシステムハンドオフ処理部からシステムハンドオフメッセージを受信した場合、該システムハンドオフメッセージから航空機情報を読み出し、飛行計画識別部230へ対応付要求を出力する。そして、飛行計画識別部230から対応付情報を受け取った場合、該対応付情報に基づいてシステムハンドオフを実施する。ここで、隣接する航空管制装置のシステムハンドオフ処理部は、航空管制を引き継ぐ場合、引継対象航空機のコールサイン等の航空機情報を含むシステムハンドオフメッセージ生成し、システムハンドオフ処理部210へ送信する。さらに、本実施形態において、システムハンドオフ処理部210は、飛行計画識別部230から取得不可メッセージを受け取った場合、システムハンドオフメッセージから読み出した航空機情報を用いて、システムハンドオフに最低限必要な情報のみを含んだ簡易飛行計画情報を生成し、飛行計画識別部230へ出力する。
【0032】
飛行計画保持部220には、飛行計画情報管理装置400から送信された飛行計画情報が、航空機の航空機情報と関連付けられて保持される。
【0033】
飛行計画識別部230は、システムハンドオフ処理部210から対応付要求と航空機情報とを受け取った場合、該航空機情報に対応する飛行計画情報を飛行計画保持部220や飛行計画取得部240から取得する。そして、飛行計画識別部230は、受け取った航空機情報と取得した飛行計画情報との対応付けを行い、その結果を対応付情報としてシステムハンドオフ処理部210へ出力する。また、本実施形態において、飛行計画識別部230は、システムハンドオフ処理部210から簡易飛行計画情報を受け取った場合、簡易飛行計画情報と航空機情報との対応付けを行い、対応付情報をシステムハンドオフ処理部210へ出力する。
【0034】
飛行計画取得部240は、飛行計画情報管理装置400と接続され、飛行計画情報管理装置400から送信されてきた飛行計画情報を飛行計画保持部220へ保存する。さらに、本実施形態において、飛行計画取得部240は、飛行計画識別部230から取得依頼メッセージを受け取った場合、飛行計画取得部240へ必要な飛行計画情報の送信を要求し、返信された飛行計画情報を飛行計画保持部220へ保存する。
【0035】
次に、本実施形態に係る航空管制装置200の動作フローについて、図5を用いて説明する。図5において、航空管制装置200のシステムハンドオフ処理部210は、隣接する空域を管制している航空管制装置300のシステムハンドオフ処理部310からシステムハンドオフメッセージを受信した場合(S101)、受信したシステムハンドオフメッセージから飛行計画情報の特定に必要なコールサイン等の航空機情報を読み出す(S102)。さらに、システムハンドオフ処理部210は、読み出した航空機情報を添付して、飛行計画識別部230へ対応付要求を出力する(S103)。ここで、対応付要求とは、システムハンドオフを行う対象航空機の飛行計画情報を要求するためのメッセージである。
【0036】
飛行計画識別部230は、対応付要求と航空機情報とを受け取った場合、受け取った航空機情報に対応する飛行計画情報が飛行計画保持部220に保持されているか確認する(S104)。
【0037】
飛行計画識別部230は、飛行計画保持部220に受け取った航空機情報に対応する飛行計画情報が保持されていなかった場合(S104のNO)、飛行計画情報の取得を依頼する取得依頼メッセージを作成し、受け取った航空機情報を添付して飛行計画取得部240へ出力する(S105)。
【0038】
飛行計画取得部240は、飛行計画識別部230から取得依頼メッセージと航空機情報とを受け取った場合、飛行計画情報管理装置400にアクセスして、受け取った航空機情報に対応する飛行計画情報の送信を要求する(S106)。そして、飛行計画情報管理装置400から飛行計画情報を受信した場合(S107のYES)、飛行計画取得部240は、受信した飛行計画情報を飛行計画保持部220に保存し(S112)、さらに、飛行計画情報を飛行計画識別部230へ出力する(S113)。
【0039】
一方、飛行計画取得部240は、飛行計画情報管理装置400から飛行計画情報を受信できなかった場合(S107のNO)、飛行計画情報を受信できなかった事を示す取得不可メッセージを飛行計画識別部230へ出力する(S108)。飛行計画取得部240は、例えば、飛行計画情報管理装置400から該当する飛行計画情報がないことを示すメッセージや、所定時間経過時に飛行計画情報管理装置400から応答がない場合、飛行計画情報を受信できなかったと判断する。
【0040】
飛行計画識別部230は、飛行計画取得部240から取得不可メッセージを受け取った場合、システムハンドオフ処理部210に、当該航空機の飛行計画情報が取得できなかった事を示す取得不可メッセージを出力する(S109)。
【0041】
システムハンドオフ処理部210は、飛行計画識別部230から取得不可メッセージを受け取った場合、管制官に飛行計画情報が取得できない旨を報知する(S110)。本実施形態において、システムハンドオフ処理部210は、飛行計画情報が取得できない旨のメッセージを図示しない表示部に表示する。さらに、システムハンドオフ処理部210は、S102において受け取ったシステムハンドオフメッセージから読み出したコールサイン等の航空機情報を用いて、システムハンドオフに最低限必要な情報のみを含んだ簡易飛行計画情報を自動的に生成し、飛行計画識別部230へ出力する(S111)。
【0042】
飛行計画識別部230は、S104において飛行計画保持部220に対応する飛行計画情報が保持されていた場合(S104のYES)、S107において飛行計画情報管理装置400から飛行計画情報を受信した場合(S107のYES)、さらに、S111においてシステムハンドオフ処理部210から簡易飛行計画情報を受け取った場合、システムハンドオフ処理部210から受け取った航空機情報と、飛行計画情報または簡易飛行計画情報と、を対応付ける(S114)。そして、飛行計画識別部230は、対応付けした結果を対応付情報としてシステムハンドオフ処理部210に出力する(S115)。システムハンドオフ処理部210は、飛行計画識別部230から対応付情報を受け取った場合、受け取った対応付情報に基づいてシステムハンドオフを実施する(S116)。
【0043】
なお、S110において、飛行計画情報が取得できない旨のメッセージを確認した管制官は、航空機のシステムハンドオフを実施した後、別の手段を用いて当該航空機の飛行計画情報を取得する。航空管制装置200は、管制官が図示しない入力部を用いて当該航空機の飛行計画情報を入力した場合、入力された飛行計画情報を飛行計画保持部220に保存する。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る航空管制装置200は、移管元の航空管制装置300からシステムハンドオフが要求された時に飛行計画取得部240を用いて飛行計画情報管理装置400から対象航空機の飛行計画情報を自動的に取得することができる。この場合、システムハンドオフ対象航空機の最新の飛行計画情報を取得することができ、交通管制官の航空管制を大きくサポートすることができる。従って、管制官は航空管制をより安全に、且つ、より円滑に行なうことができる。
【0045】
さらに、航空管制装置200は、システムハンドオフが要求された対象航空機の飛行計画情報を取得できない場合、システムハンドオフ処理部210が自動的にシステムハンドオフに最低限必要な情報のみを含んだ簡易飛行計画情報を生成し、該簡易飛行計画情報を用いてシステムハンドオフを実施する。従って、航空管制装置200は、飛行計画情報が取得できない場合でも、システムハンドオフを適切に実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
10、100 航空管制システム
20、30、200、300 航空管制装置
40、400 飛行計画情報管理装置
21 通信手段
22 ハンドオフ実行手段
210 システムハンドオフ処理部
220 飛行計画保持部
230 飛行計画識別部
240 飛行計画取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の飛行計画情報を管理している飛行計画情報管理装置と通信する通信手段と、
引継対象航空機の航空機情報を含んだ業務引継依頼を受信した場合、該業務引継依頼から前記航空機情報を読み出し、該読み出した航空機情報に対応する飛行計画情報を前記通信手段を介して前記飛行計画情報管理装置から受信し、該受信した飛行計画情報に基づいて前記引継対象航空機の航空管制を引き継ぐ引継実行手段と、
を備える航空管制装置。
【請求項2】
前記航空機情報には、少なくとも前記引継対象航空機のコールサインが含まれる、請求項1記載の航空管制装置。
【請求項3】
前記通信手段が受信した飛行計画情報を保持する記憶手段をさらに備え、
前記引継実行手段は、業務引継依頼を受信した場合、前記読み出した航空機情報に対応する飛行計画情報が前記記憶手段に保持されているか否か確認し、保持されている場合は該保持されている飛行計画情報に基づいて航空管制を引き継ぎ、保持されていない場合は前記受信した飛行計画情報に基づいて航空管制を引き継ぐ、
請求項1または2記載の航空管制装置。
【請求項4】
各種情報の入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記引継実行手段は、前記読み出した航空機情報に対応する飛行計画情報を受信できなかった場合、前記読み出した航空機情報に基づいて航空管制を引き継ぐと共に飛行計画情報の入力を要求し、前記入力手段が前記飛行計画情報の入力を受け付けた場合、該受け付けた飛行計画情報を前記記憶手段に保存する、
請求項3記載の航空管制装置。
【請求項5】
引継対象航空機の航空機情報を含んだ業務引継依頼を受信した場合、該業務引継依頼から前記航空機情報を読み出して飛行計画情報管理装置へ送信し、飛行計画情報が返信された場合、該返信された飛行計画情報に基づいて前記引継対象航空機の航空管制を引き継ぐ航空管制装置と、
航空機の飛行計画情報を管理すると共に、前記航空機情報を受信した場合、該受信した航空機情報に対応する飛行計画情報を返信する飛行計画情報管理装置と、
を備える航空管制システム。
【請求項6】
引継対象航空機の航空機情報を含んだ業務引継依頼を受信した場合、該業務引継依頼から前記航空機情報を読み出し、
該読み出した航空機情報に対応する飛行計画情報を航空機の飛行計画情報を管理している飛行計画情報管理装置から受信し、
該受信した飛行計画情報に基づいて前記引継対象航空機の航空管制を引き継ぐ、
航空管制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−122913(P2012−122913A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275252(P2010−275252)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】