説明

船のデッキ上の水を検出するための方法と装置

本発明は、船のデッキの上の水素を含む物質を検出するための装置であって、船のデッキの表面の下に位置して、高速/高エネルギー中性子を放射する中性子源と、前記船のデッキの表面の下に位置して、熱中性子を検出するための検出器デバイスとを含む装置に関する。本発明はさらに、船のデッキの上の水素を含む物質を検出するための対応する方法にも関する。これによって、船のデッキの上における水の出現を検出するための装置と方法が提供される。このような水の出現は特に荒天条件下の航行の際に発生する。この装置は船のデッキの下に位置し、この結果、これは荒天条件による摩耗にさらされることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船のデッキ上の水を検出するための装置に関する。本発明はまた、船のデッキ上の水を検出するための方法にも関する。最後に本発明は、船のデッキ上の水を検出するための本発明による装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
荒天条件下で、例えば高波および/または強風の中を航行するとき、船のデッキは水浸しになる可能性があり、この浸水は一般的に「青波」と称されている。これは船およびデッキの貨物に損害を与えることがあり、人に対して危険なこともある。さらにまた、デッキ上の青波の出現は、操船方法に問題がありしたがって検討され随意に訂正すべきであるという好都合な指標になることもある。したがって、青波がデッキ上に見られるときは、これが貨物に対して大きな損害のリスクを必然的に伴うことはないかもしれないが、やはりデッキ上に青波が存在することは、船が不都合に操舵されることによる貨物に対する損害のリスクを減らすために、操船方法に関して変更を実施すべきであるという指標になり得る。したがって、船のデッキ上の水の存在を検出できることは有利になる。特に、このような検出を連続的に、および/もしくは僅かな水量の場合でも行うことにして、これにより青波の出現が遅滞なく検出されることが可能になるならば有利である。
【0003】
例えばコンテナ船などの大型貨物船のブリッジから、船のデッキ上のもしあれば水の出現を視覚的に検出することは必ずしも可能ではない。それは、一方ではブリッジから船尾まで200mを超える可能性もあること、また他方では視線が貨物に遮られることもあり、さらにまた船のデッキ上における水の存在/浸水が静的状況ではなく、連続的に変化するからである。デッキの上に乗組員を配置することは、このような処置は荒天条件では致命的でありまた航行は夜間にも行われるので、不可能である。
一般に浸水および天候によって行使される強い力によって、デッキ上のビデオ・カメラなどの計装品は摩耗と比較的高い損害リスクをこうむると思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、船が荒天条件下にあるときに実質的な摩耗および/または損害を蒙らない、船のデッキ上における水の出現を検出するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、
船のデッキの表面の下に位置して、高速/高エネルギー中性子を放射する中性子源と、
船のデッキの表面の下に位置して、熱中性子を検出するための検出器デバイスと
を備える船のデッキの上の水を検出するための装置によって準備される。
【0006】
これによって、改変されていない、また穴あけされていないデッキ板さえも通して水を検出することができる装置が完成する。本発明による装置は、水の一元素である水素があらゆる元素物質の中で最も効果的に、高い運動エネルギーを有する中性子を制動することができる、という既知の知識を利用する。この効果は非常に著しく、これによって水素はそれ自体、中性子の制動すなわち中性子熱化に関して他のあらゆる元素物質から定性的に区別される。水素は水の少なからぬ一元素であり、水は一般的に船のデッキの上に存在する単なる水素を含む物質であり、限られた厚さの鋼鉄製のデッキは本質的に中性子を吸収しないので、本装置はデッキ板を通じて水を検出することができよう。さらにまた、熱中性子を検出するための検出器デバイスは、急速な反応を提供することができ、これによって、大型船舶を操る方法は、船のデッキの浸水の結果として直接検討および随意に修正の対象となり得る。
【0007】
したがって、本発明による装置は、船のデッキの上に存在する水を検出するために中性子源を使用する。この目的の中性子源は、中性子がある一定の障壁を貫通することができるという例証的な利点に関連している。例えば、本発明によってデッキ板を通過する水の量を推測することが可能である。これによって、例えばデッキ板またはその部分を改変するか穴あけの必要なしに、および水の影響にさらされるかもしれないデッキの上に装置を位置付ける必要なしに、船のデッキの上に水が存在するか、およびどれだけの量の水があるかを監視することができる。
【0008】
高速中性子源は高速/高エネルギー中性子、すなわち高い運動エネルギーを有する中性子を放射する。本発明は、原子核(および特に水素)が中性子を、一般的に「弾性散乱/衝突」と呼ばれる衝突によって制動する(これによって速度が低下して、方向は衝突を受けた中性子のために変化する)という既知の発見を利用する。本発明は、比較的低速/低エネルギー中性子、すなわち熱中性子を検出する検出器デバイスを使用する。中性子が十分に低速化された後、これを検出器デバイスによって検出することもできる。
【0009】
好ましい一実施形態によれば、本装置は、既知の環境における熱中性子の強度を較正値として記録することによって装置を較正するための手段をさらに含む。これは例えば、デッキが塗装されたか、または周期的な制御装置に連結しているときに実施してもよい。
【0010】
本発明の別の目的は、連続的におよび/または少量の水の場合でも検出を達成し、これによってたとえあるにしても船のデッキ上の「青波」を素早く検出することができる、船のデッキ上における水の出現を検出するための装置を提供することである。
【0011】
これは、本発明による装置がさらに、船のデッキの表面の下に位置して、衝突によって中性子を制動し反射する減速体をさらに含む、という好ましい実施形態によって達成される。
【0012】
中性子を制動減速する方法は通常「減速」と呼ばれ、対応する物理的構造物は「減速体」と呼ばれる。最も頻繁には、中性子を検出するために、中性子に数回水素原子を衝突させなければならない。検出装置に、減速体、ある量の水素、または減速材料を備えて、感度の向上を達成することが知られており、減速体は、弾性散乱/衝突によって中性子を制動し、反射/散乱させ、来入するある量の中性子が検出器と検出しようとする水素とに対して反射するように配置されている。概略的に言えば、さらなる量の水素/減速材料は、中性子を減速もする(部分的)中性子反射体として働き、これは制動された/熱中性子の増加した量が検出されることを意味する。これはしばしば中性子「後方散乱」と呼ばれる。
【0013】
さらなる好ましい実施形態によれば、本装置は、
熱中性子との核事象/反応によって光を放射する発光ユニットと、
閃光の整合によって電気パルス/電気信号を発信する光記録ユニットと
をさらに含み、減速体は発光ユニットと光記録ユニットとの間に備えられた導光ユニットである。
【0014】
これによって、感度が向上した水検出器が完成し、導光ユニットは発光ユニットから光記録ユニットへの導光/集光を行い、これは効率/感度をさらに向上させ、これによって閃光を引き起こす核事象はすべて、非常に改良された信頼性を伴って、光記録ユニットによって記録されることになる。
【0015】
したがって、導光ユニットは、導光/集光の他に上に述べた後方散乱効果を達成するための水素/減速体材料を含むので減速効果も提供し、このため二重機能を実施する。導光ユニットのこの二重機能は、本発明による装置をコンパクトな様式に構成することができるというさらなる効果を有する。
【0016】
改善された感度は、使用された中性子源が、これが健康上の危険性を構成して操作者のために設備を安全にする要件とこの厄介な取り扱いが続くほど強力である必要はないことを意味し、同時に、デッキ板を通じて、すなわちデッキ板に変更、穴あけ、またはその他の変化を加えて信頼性の高い検出を提供することができる。さらに、熱化するため、したがって検出器デバイスで検出可能になるために中性子が6〜8回の衝突をしなければならないために、水素を含む物質/水の少量の出現を検出することは別の方法では困難であるために別の方法で可能であるようにした量と比較して、増加した感度と補助減速体のさらなる効果によって、より少ない量の水素、したがって少ない水量が検出される。
【0017】
例えば、発光ユニットはシンチレータでもよく、光記録ユニットは光電子倍増管(PM)であってもよい。代替案として、光記録ユニットはフォトダイオードであってもよい。
中性子源が本質的に、発光ユニットに隣接する前記減速体の前面の中心の近傍および/または周りに配置されていることは非常に有利である。この位置は、大量の中性子が反射されて減速され、したがって検出されるという、さらに強化された感度が達成される効果に好都合であることが証明されている。
【0018】
発光ユニットが本質的に、発光ユニットに隣接する面と、光記録ユニットの検出面と境をなす相対的に小さな面とを伴って構成されていることも特に有利である。これにより、発光ユニットの相対的に大きな面を、光記録ユニットのより小さな検出面に光学的に結合することができ、この小さな検出面は経済的には有利性を生み出し、前記光記録ユニットのコストは比較的高く、記録面積に非常に大きく依存する。
例えば、導光ユニットを本質的に頂部が欠けた円錐(すなわち、円錐の中心線を通る断面では2次元的に台形形状で示される)として構成してもよい。
【0019】
本装置の導光ユニットが、前記発光ユニットから検出面に実質的に直角な光記録ユニットに導かれる光を放射するために構成されたときには、これによって、検出すべき水が存在するデッキ板に本質的に直角のより大きな広がりを有する検出装置が容易に得られるので、特に有利な実施形態が達成される。これによって、本発明による検出装置を主として深さ方向に動作させる場合には特に、有利な構成が達成される。
【0020】
代りの一実施形態によれば、導光ユニットは、発光ユニットから光記録ユニットへ、装置の検出面と本質的に平行に導かれる光を放射するために構成されている。この方式では、水が検出されるべき対象物の検出面に本質的に平行により大きな広がりを有する検出装置が容易に得られる。平易な言葉で言えば、検出装置はその高さよりも長さが大きい。これによって、特に、検出装置が比較的平坦であることが望まれる場合、例えば検出装置がデッキ板の下側に取り付けられる場合、およびデッキ板の下方に過度に突出しないことが望まれる場合には、特に有利な実施形態が達成される。
【0021】
本装置のさらに別の好ましい実施形態によれば、これは検出器デバイスに接続された電気回路をさらに含み、この電気回路は水の推定量を表す信号を発生させるために構成され、信号の発生は、光記録ユニットからの電気信号に基づいて実施される。
【0022】
本発明はさらに、船のデッキの上の水を検出するための方法であって、
船のデッキの表面の下に位置する中性子源から高エネルギー中性子を放射するステップと、
船のデッキの表面の下に位置する検出器デバイスによって熱中性子を検出するステップと
を含む方法に関する。
【0023】
この方法の一実施形態によれば、既知の状況における熱中性子の強度が較正値として記録される。これは特にこの装置の取付け中に実施される。
さらに別の実施形態によれば、本方法は、船のデッキの表面の下に位置する減速体による衝突によって中性子を制動し反射するステップを含む。
【0024】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明は、
熱中性子との核事象/反応によって発光ユニットから光を放射するステップと、
減速体が導光ユニットであり、発光ユニットから光記録ユニットへ、発光ユニットと光記録ユニットとの間に配置された導光ユニットによって光を伝導するステップと
を含む。
【0025】
導光ユニットが、前記発光ユニットから導かれた光を、検出面に本質的に直角な光記録ユニットに放射するために構成されていることは好ましい。代替案として、導光ユニットを、前記発光ユニットから導かれた光を、検出面に本質的に平行な光記録ユニットに放射するために構成することもできる。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本方法はさらに、前記検出器デバイスに接続された電気回路において、水の推定量を表す信号を発生させ、前記信号の発生は光記録ユニットからの電気信号に基づいて実施されるステップを含む。
本発明による方法とその実施形態は、本発明による装置とその実施形態に対応し、同じ原因のために同じ効果を有する。
以下に、本発明の例示的な実施形態を図示する図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、水の出現が船のデッキのデッキ板(110)上に見られることがある、船のデッキ表面下に置かれた本発明の装置を示す図である。この図面にはデッキ板(110)が示され、検出しようとする水は船のデッキのデッキ板(110)の上にあり、船のデッキの上に位置する水(101)を検出するための検出装置(100)は、船のデッキの表面の下に配置されている。検出装置(100)は船のデッキの表面の下に配置されているので、この検出装置(100)は、風や雨やみぞれなどの天候条件にさらされないという結果になる。この検出装置(100)は、熱中性子を検出する検出器デバイス(102)と、高速/高エネルギー中性子(111)を放射する中性子源(103)とを含む。この図では、検出装置(100)はそれ自体デッキ板(110)の下に位置されて示され、もちろん、デッキ板(110)の下面からの突出ができるだけ小さくなるように、デッキ板における凹所の中に検出装置(100)をそれ自体配置することも任意選択である。重要なことは、検出装置(100)全体が船のデッキの上面下に置かれることである。
【0028】
中性子源(103)から放射された中性子(111)は、本質的にすべての方向に行き、これらの中性子の一部は、あるとすれば船のデッキ上の水(101)の構成物である水素と衝突し、これによって中性子は方向を変えて速度を失う。中性子の一部は、熱中性子を検出するための検出器デバイス(102)に対して反射し、十分な回数だけ衝突すると、熱くなり(すなわち一般的には約0.025eVの運動エネルギーを有し)、これによって検出器はこれらを記録し、水(101)の量を検出することができる。中性子の一部は他の方向に連続し、および/または吸収される。一般的に中性子は、検出器が検出できるエネルギーを持つためには、水素原子と平均して約6〜8回衝突しなければならない(中性子はエネルギー・レベルで6〜8値低下しなければならない)。
【0029】
検出装置が減速材(図示せず)を含む場合には、減速材は、中性子の運動エネルギーを低下させるために水(101)だけが存在したという筋書きと比較して、適当なエネルギーを有するさらに多くの中性子が検出されるという効果をもたらす。これによって、検出装置(100)の感度が向上する。
【0030】
図2aは、本発明による装置(100)の実施形態を概略的に示す。この図では、中性子源(103)と中性子制動および反射材(104’)、すなわち例えば水素を含む減速材を備えた検出装置(100)が示されている。検出装置(100)は、ここでは検出しようとするあらゆる水の出現である対象物(101)に対する方向に面するようになった検出面(109)を有する。すなわち、検出装置(100)の検出面(109)を、例えば船のデッキのデッキ板(110)の下面に隣接するように配置することができる。
【0031】
その上、検出装置(100)はさらに、発光ユニット(102b)と光記録ユニット(102a)とを備えた本発明による熱中性子検出器(102a、102b)を含み、光記録ユニット(102a)は電気回路(105)に接続されている。発光ユニット(102b)は、熱中性子による核事象/反応の場合に光を放射するが、光記録ユニット(102a)は、閃光の整合に応じて電気パルス/電気信号(106)を発信し、発信された電気パルス/電気信号は、続く解釈、処理などのための電気回路(105)において受信される。電気回路(105)はさらに、下記のように装置を較正するためのある一定の手段を含むこともある。
【0032】
本発明によれば、減速体材料は導光ユニットまたは導光材料(104’)である。この方式で、導光ユニット(104’)は二重機能を提供する。そのわけは、上に述べたように、発光ユニット(102b)から光記録ユニット(102a)の検出面(107)への導光/集光に加えて、既に述べた後方散乱効果を達成するために水素/減速体材料を含むので減速効果をもたらすためである。この導光/集光効果は、効率/感度を向上させる。そのわけは、閃光を引き起こす核事象が極めて高い信頼性をもって光記録ユニット(102a)によって記録され、これによって、中性子源の強度を増加する必要なしに、より少ない量の水素を検出することもできるからである。
【0033】
発光ユニット(102b)から光記録ユニット(102a)への光の移動は、図においては点線矢印で概略的に示されている。
さらにまた、導光ユニット/減速体(104’)の二重機能によって、検出装置(100)がコンパクトに、少なくとも、中性子後方散乱を達成するために補助減速体を既に備えた解決策よりも大きくならないように構成される。
【0034】
図示の実施形態では、導光ユニット(104’)は本質的に、発光ユニット(102b)の上に境をする面を有し、光記録ユニット(102a)の検出面(107)の上に境を接する比較的小さな面を有して構成されている。これによって、発光ユニット(102b)の相対的に大きな面を光記録ユニット(102a)によってより小さな検出面(107)に光学的に結合することができ、これは、前記光記録ユニット(102a)のコストが比較的高くて、記録面積に大きく依存するので、財政的な有利性を生み出す。例えば、導光ユニットを本質的に頂部が切り取られた円錐(すなわち、円錐の中心線を通る断面では2次元的に示される台形形状)として構成することができる。
【0035】
導光ユニット/導光材料(104’)は例えば、水素および/またはその他の減速体材料を含む光導体(光ガイド)(GB用語)であってもよい。好ましい一実施形態によれば、導光ユニット/導光材料(104’)はプレキシガラスである。
【0036】
中性子源(103)が減速体(104’)によって減速材の中に埋め込まれて構成され、本質的に、発光ユニット(102b)に当接する減速体(104’)の面の周りまたは中心に配置されている。この配置は、さらに強化された感度が達成されて、より多くの中性子が反射され減速され、したがって検出されるという点で好都合であることを証明している。
【0037】
ある実施形態によれば、発光ユニット(102b)はシンチレータであり、これは、例えば熱中性子がシンチレータ(102b)に当ると核事象を記録して閃光を発する既知の標準的ユニットである。実際には、光子が放出される。シンチレータ(102b)の1つの例は、リチウム同位元素Li−6を多く含むガラスである。
【0038】
ある実施形態によれば、光記録ユニット(102a)は光電子倍増管であり、これもまた、非常に弱い閃光/光子でも記録してこの1つまたは複数に基づいて電気パルスを発生する既知の標準的ユニットである。代替案としては、光記録ユニット(102a)はフォトダイオードである。
【0039】
電気回路(105)は、光記録ユニット/光電子倍増管(102a)からの電気パルス/信号を受信し、こうして、例えば水(101)の出現を推測するため、またはその他の適用のために、現在の使用に応じてこれらの信号を記録および/または処理することができる。例えば、電気回路(105)からの1つまたは複数の電気出力信号(108)を使用して、例えば推定量および/またはその他の機能を表示/計量(図示せず)することができる。
【0040】
さらにまた、検出装置(100)は他の形式の導光材料(104’)(随意にガラスなどの水素を含まない材料)を含んでもよい。他の形式の導光材料は中性子減速効果を有することもあるが、検出装置が少量の水を検出できることが重要ではないかぎり、要件は存在しない。
【0041】
光記録ユニット/光電子倍増管(102a)および光導体(104)が、光記録ユニット/光電子倍増管(102a)の検出面(107)において互いに相対して、光学的適応材料、ここでは例えばシリコン・グリース、透明なシリコン密封材料などを伴って衝突し、遷移部においてできるだけ少ない光学的損失を確証することは好ましい。
中性子源(103)は例えば同位元素ベースの中性子源であってもよい。
代替案として、中性子源(103)はまた、光導体(104’)の中心以外の他の個所/中心の周りに置かれてもよい。
【0042】
電気回路(105)は多くの機能を果たすことができ、本発明の関連する使用に応じて多くの構成を有することもできる。例えば、簡単な電気回路は、簡単な方法で水素/水の量を推定することができるように、ある時間だけ光電子倍増管/光記録ユニット(102a)からの多くの電気パルスを記録することだけを必要とする。あるいは、より進んだ電気回路を使用してもよい。
【0043】
さらに、装置(100)は、材料ディスク、プレート、要素など(図示せず)を含み、中性子源(103)がこれと検出面(109)との間に位置するようにすることもできる。前記ディスク、プレート、要素などは、エネルギーを著しく損失することなく中性子の反射にすぐれた性質を有する材料、例えば鉄またはモリブデンで作られたものでなければならない。さらにまた、装置(100)は、中性子源(103)を囲むように配置された環、管、円筒などを含み、これによって、もしあれば発光ユニット(102b)との反応によって誤った指示をもたらすこともあるガンマ放射線を除去することもできる。この環、管、円筒などは、なければ発光ユニット(102b)との反応によって誤った指示をもたらすこともある。この環、管、円筒などは、例えば鉛またはタングステンといった、特にガンマ放射線を吸収する性質を有する材料で作られたものでなければならない。
【0044】
図2bは、本発明による装置の代替実施形態を概略的に示す。この図は、図2aに示しこれに関連して説明したものと同じ要素/ユニットを備えているが、配置や随意の構成が異なっている、本発明による検出装置(100)を示す。さらに特定すれば、組み合わせた減速器導光ユニット(104”)は、光を本質的に検出装置(100)の検出面(109)と平行に光記録ユニット(102a)に(光が本質的に検出面(109)に直角に導かれる図2aに示す実施形態とは逆に)導くように構成され、これは、検出装置(100)のむしろ細長い構成を可能にする。導光ユニット(104”)を、例えば図に示すように、発光ユニット(102)からの入光が入り方向に対して本質的に直角に、すなわち検出面(109)に本質的に平行に反射される、三角形などの2次元断面を伴って構成してもよい。
【0045】
代替案として、導光ユニット(104”)は、光を主要入射方向に対して側方に、すなわち検出面(109)に本質的に平行に曲げる/方向変換させる/偏向させる光ファイバ群/光ファイバ・ケーブルであってもよい。
発光ユニット(102b)から光記録ユニット(102a)への光の移動は、この図において点線矢印で概略的に示されている。
【0046】
図示の実施形態では、導光ユニット(104”)は本質的に、発光ユニット(102b)の上に境をする面を有し、光記録ユニット(102a)の検出面(107)に隣接する比較的小さな面を有して構成されている。
【0047】
これによって細長い構成が達成され、これは、比較的平坦な検出装置(100)を備えることが望まれる場合、例えばこれをデッキ板(110)の下側に取り付けて、デッキ板から下に突出し過ぎないことが望まれる場合、特に有利である。
【0048】
図2cは、本発明による装置の一代替実施形態を概略的に示す。図示された実施形態は、図2aに示すものに対応するが、中性子源(103)の位置が異なっている。この図示された実施形態では、中性子源(103)は、さらに減速体(104’)の中心に向かって構成されており、すなわち発光ユニット(102b)に境を接する減速体(104’)の面にはない。代替案として、中性子源(103)を、例えば、さらに減速体(104’)の側部の1つの方向に配置することができる。
【0049】
1つだけの検出装置を使用する場合には、明らかに前方デッキにこれを置くことが選択されよう。しかし船のデッキ(200)上の水を検出する場合には、もちろん、各々が船のデッキ(200)の上面の下に配置されて船のデッキの両端間に配分された、いくつかの検出装置を、同時にいくつかの個所で使用することが可能である。図3は、貨物(210)、ブリッジ(220)、および本発明によるいくつかの検出装置(100)を搭載した船のデッキ(200)を有する、上から見た船の一実施例を概略的に示す。図3は2つの検出装置を示しているが、例えば船の寸法と形状や、青波の出現による以前の経験などに応じて、任意の望みの数の検出装置を使用できることが理解されよう。しかし一般的には、検出装置はほとんど船のデッキの上に配置される。
【0050】
本発明による検出装置は、既知の状況における熱中性子の強度を、検出値との比較で使用するために後の検索のために適当なメモリ・ユニットの中に記憶される較正値として記録することによって、装置を較正するための手段(105)を伴って構成されることが好ましい。この較正値を、水物質の量を推定する信号から差し引くことができ、この目的は、これによって船のデッキ上の水に由来する水素の量のさらに正確な推定を達成できることである。この手段は、例えば検出装置の上にボタンを含んでもよく、このボタンは例えば船の貨物が搭載されたときに作動できるようにしてもよく、これによって、あらゆる誤差の源泉を考慮する。このような誤差の源泉は、もしあれば、貨物の中にある大量の水素を含む材料か、検出装置の近傍にある放射性物質である可能性がある。さらにまた、デッキ板に本質的に水、雪、および氷がないときの較正の実施を大事にすることができ、この状態の較正された値が水の出現の場合における水素を含む材料の量の計算に使用するために記録されるという効果に至る。装置の取付けに応じて較正を実施することは特に好都合である。
【0051】
一般的に、本発明による検出装置は、ハウジング(図示せず)を伴って構成されることになる。このハウジングを、中性子を反射する効果を有するように、例えば鉄を使用して構成できることは有利である。もちろん、これは他のより軽い材料と比較して重量を増す。しかし、船のデッキの下側に取り付けられるべき装置の増加した重量の重要性は小さいので、鉄がもたらす後に続く利点を伴って鉄を有利に使用することができる。
【0052】
次に、船のデッキ上の水量を記録するために、検出装置をどのように使用することができるかを説明する。デッキの上に水が存在しないときには、検出装置は、本質的に中性子源からのガンマ放射線の結果である読取り値を有する。したがって、この読取り値は一定である。青波すなわち、例えば高波の中を航行するときの船のデッキの浸水からの水は、より高い読取り値を有するより短い時限として表示されることになる。デッキの上に積もる着氷または雪は、もしあればこれも検出され、氷/雪層の厚さで増加した読取り値として、さもなければ一定の読取り値として表示される。したがって氷層の上面の青波を、増加した値以下にはならない所定値の検出値として検出することができるかもしれないが、むしろ短い時限だけ、この増加した値に対して増加する。本装置は着氷を検出することができ、少なくとも80mmまで氷または雪の層の上面における青波を検出できることがわかっている。
【0053】
本質的に限られた厚さの鋼製のデッキ板は中性子を吸収しないと言われている。したがって、本装置は船のデッキを通して水を検出することができる。本発明の装置と方法は、鋼製のデッキ板に関しては使用の制限がないことを指摘すべきであり、むしろこれは例えばグラスファイバ強化ポリエステルなどの、他のデッキ材料に関して使用するために適していると言える。しかしグラスファイバ強化ポリエステルにおける水素の含有量は、検出装置の感度を低下させることになる。
【0054】
検出装置の電気回路は、周知でかつ簡単な中性子源の減衰を修正する必要がある。例えばカリフォルニウム源が使用される場合には、適当な間隔での、例えば4年ごとの取替えを予期しなければならない。放射性源を含む装置はほとんどの国の法律によって(例えば2年間隔で)周期的な管理を必要とするので、中性子源の取替えをこのような周期的な管理と組み合わせることができよう。さらにまた、検出装置の電子的動作のために完全な修正を行うことができると思われ、これによって検出装置の読取り値は非常に信頼性の高いものになろう。
【0055】
「デッキ板」という用語は、船のデッキを、すなわちデッキ板の上に位置するレベルを、例えば船のデッキの下に位置する貨物保持デッキまたは中間デッキから分離する板自体を指す意図がある。「船のデッキの上面」という用語は、デッキ板の上向きの表面を指す意図があるが、「船のデッキの上」という用語は、「デッキ板の上表面の上方」という意味と同じであると理解されたい。船のデッキの表面下に何かあるということは、それがデッキ板の上面の下に含まれていること、すなわちデッキ板を通って上向きに突出せず、反対に完全にデッキ板の下にあるか、または随意にデッキ板の中に、例えばデッキ板の下向きの面における凹所の中に部分的に埋め込まれていることであると理解されたい。暗黙のうちに、用語「水」は「真水」と「海水」の両方を網羅し、船のデッキの上における水の存在の検出は、水が真水であるか海水であるかには無関係であり、もしあれば水の中の汚染物にも無関係である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】水の出現が船のデッキのデッキ板上に見られることがある、船のデッキ表面下に置かれた本発明の装置を示す図である。
【図2a】本発明による装置の一実施形態を概略的に示す図である。
【図2b】本発明による装置の第2実施形態を概略的に示す図である。
【図2c】本発明による装置の第3実施形態を概略的に示す図である。
【図3】貨物と、ブリッジと、本発明による多くの装置の配置を有する大型船舶の上から見た概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船のデッキ(110)の上の水を検出するための装置(100)であって、
船のデッキ(110)の表面の下に位置して、高速/高エネルギー中性子(111)を放射する中性子源(103)と、
前記船のデッキ(110)の表面の下に位置して、熱中性子を検出するための検出器デバイス(102、102a、102b)と
を備えることを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
既知の環境における熱中性子の強度を較正値として記録することによって装置を較正するための手段(108)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記船のデッキ(110)の表面の下に位置して、衝突によって中性子を制動し反射する減速体(104’、104”)をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(100)。
【請求項4】
熱中性子との核事象/反応によって光を放射する発光ユニット(102b)と、
閃光の整合によって電気パルス/電気信号(106)を発信する光記録ユニット(102a)と
をさらに含み、
前記減速体(104’、104”)は前記発光ユニットと前記光記録ユニットとの間に備えられた導光ユニットであること
を特徴とする、請求項1または3に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記導光ユニット(104”)が、前記発光ユニット(102b)から導かれる光を、検出面(109)に本質的に直角な前記光記録ユニット(102a)へ放射するために構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記導光ユニット(104”)が、前記発光ユニット(102b)から導かれる光を、前記光記録ユニット(102a)へ検出面(109)に本質的に平行に放射するために構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記検出器デバイス(102、102a)に接続された電気回路(105)をさらに含み、前記電気回路(105)は水の推定量を表す信号(108)を発生させるために構成されており、前記信号の発生は前記光記録ユニット(102a)からの前記電気信号(106)に基づいて実施されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項8】
船のデッキ(110)の上の水を検出するための方法であって、
船のデッキ(110)の表面の下に位置する中性子源(103)から高エネルギー中性子(111)を放射するステップと、
前記船のデッキ(110)の表面の下に位置する検出器デバイス(102、102a、102b)によって、熱中性子を検出するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
既知の環境における熱中性子の強度が較正値として記録されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記船のデッキ(110)の表面の下に位置する減速体(104’、104”)による衝突によって中性子を制動し反射するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
熱中性子との核事象/反応によって発光ユニット(102b)から光を放射するステップと、
閃光の整合によって光記録ユニット(102a)により電気パルス/電気信号(106)を発信するステップと、
前記減速体(104’、104”)が導光ユニットであり、前記発光ユニット(102b)から前記光記録ユニット(102a)へ、前記発光ユニット(102b)と前記光記録ユニット(102a)との間に配置された導光ユニットによって光を伝導するステップと
を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記導光ユニット(104”)が、前記発光ユニット(102b)から導かれる光を、検出面(109)に本質的に直角な前記光記録ユニット(102a)へ放射するために構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記導光ユニット(104”)が、前記発光ユニット(102b)から導かれる光を、前記光記録ユニット(102a)へ検出面(109)に本質的に平行に放射するために構成されていることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記検出器デバイス(102、102a)に接続された電気回路(105)において、水の推定量を表す信号(108)を発生させ、前記信号の発生は前記光記録ユニット(102a)からの前記電気信号(106)に基づいて実施されるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
船のデッキの上にある水を検出するための請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船のデッキ(110)の上の水を検出するための装置(100)であって、
船のデッキ(110)の表面の下に位置して、高速/高エネルギー中性子(111)を放射する中性子源(103)と、
前記船のデッキ(110)の表面の下に位置して、熱中性子を検出するための検出器デバイス(102、102a、102b)と、
熱中性子との核事象/反応によって光を放射する発光ユニット(102b)と、
閃光の整合によって電気パルス/電気信号(106)を発信する光記録ユニット(102a)と、
前記船のデッキ(110)の表面の下に位置して、衝突によって中性子を制動し反射する減速体(104’、104”)とを備え、
前記減速体(104’、104”)は前記発光ユニットと前記光記録ユニットとの間に備えられた導光ユニットであることを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
既知の環境における熱中性子の強度を較正値として記録することによって装置を較正するための手段(108)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記導光ユニット(104”)が、前記発光ユニット(102b)から導かれる光を、検出面(109)に本質的に直角な前記光記録ユニット(102a)へ放射するために構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記導光ユニット(104”)が、前記発光ユニット(102b)から導かれる光を、前記光記録ユニット(102a)へ検出面(109)に本質的に平行に放射するために構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記検出器デバイス(102、102a)に接続された電気回路(105)をさらに含み、前記電気回路(105)は水の推定量を表す信号(108)を発生させるために構成されており、前記信号の発生は前記光記録ユニット(102a)からの前記電気信号(106)に基づいて実施されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項6】
船のデッキ(110)の上の水を検出するための方法であって、
船のデッキ(110)の表面の下に位置する中性子源(103)から高エネルギー中性子(111)を放射するステップと、
前記船のデッキ(110)の表面の下に位置する検出器デバイス(102、102a、102b)によって、熱中性子を検出するステップと、
熱中性子との核事象/反応によって発光ユニット(102b)から光を放射するステップと、
閃光の整合によって光記録ユニット(102a)により電気パルス/電気信号(106)を発信するステップと、
前記減速体(104’、104”)が導光ユニットであり、前記発光ユニット(102b)から前記光記録ユニット(102a)へ、前記発光ユニット(102b)と前記光記録ユニット(102a)との間に配置された導光ユニットによって光を伝導するステップと、
前記船のデッキ(110)の表面の下に位置する減速体(104’、104”)により、衝突によって中性子を制動し反射するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記既知の環境における熱中性子の強度を較正値として記録することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記導光ユニット(104”)が、前記発光ユニット(102b)から導かれる光を、検出面(109)に本質的に直角な前記光記録ユニット(102a)へ放射するために構成されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記導光ユニット(104”)が、前記発光ユニット(102b)から導かれる光を、前記光記録ユニット(102a)へ検出面(109)に本質的に平行に放射するために構成されていることを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記検出器デバイス(102、102a)に接続された電気回路(105)において、水の推定量を表す信号(108)を発生させ、前記信号の発生は前記光記録ユニット(102a)からの前記電気信号(106)に基づいて実施されるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
船のデッキの上にある水を検出するための請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置の使用。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−520889(P2006−520889A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504322(P2006−504322)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000161
【国際公開番号】WO2004/081551
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(503348962)フォース テクノロジー (3)
【出願人】(505347569)リュングセ マリン エー/エス (1)
【Fターム(参考)】