説明

船外機におけるアイドル排気構造

【課題】船外機のエンジンに円滑なアイドリングが確保されるようにする。
【解決手段】船外機5は、縦方向に延びて船体3に支持可能とされるケース10と、このケース10の上面側に支持されるエンジン12と、ケース10の上端部に支持され、エンジン12をその外方から覆うカウリング14とを備える。エンジン12のアイドリング時の排気32をケース10の内側から大気側に排出させるアイドル排気通路33を形成する。このアイドル排気通路33の中途部に膨張室34を形成する。アイドル排気通路33の下流端を大気側に向かって開くアイドル排気口35とする。アイドル排気口35を複数形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのアイドリング時の排気を大気側に排出させるアイドル排気通路が形成された船外機におけるアイドル排気構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船外機には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、船外機は、縦方向に延びて船の船体に支持可能とされ、その下部が水中に没入可能とされるケースと、このケースの下端部に支持されるプロペラと、上記ケースの上面側に支持され、上記プロペラを連動連結させるエンジンとを備えている。
【0003】
上記ケースには、上記エンジンの運転時の排気を上記ケースの内側に導入させる一方、このケースの内側から水中に排出させる主排気通路と、この主排気通路から分岐して、上記排気の一部を大気側に排出させるアイドル排気通路とが形成されている。また、上記アイドル排気通路の中途部に膨張室が形成され、上記アイドル排気通路の下流端が上記大気側に向かって開くアイドル排気口とされている。
【0004】
上記エンジンの運転時に、このエンジンに上記プロペラを連動させると、船が推進可能とされる。このエンジンの運転時の排気のほとんどは、上記主排気通路を通り水中に排出される。そして、この水中への排気の排出により、排気騒音の発生が防止される。
【0005】
一方、エンジンのアイドリング時の排気は、その排気圧が低いため、上記主排気通路を通って水中に排出させることは困難である。このため、このアイドリング時の排気は上記アイドル排気通路を通り大気側に排出される。この場合、この排気は上記アイドル排気通路の中途部の膨張室を通ることにより消音される。これにより、アイドリング時の排気騒音の発生も防止される。
【特許文献1】特開2000−303818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記アイドル排気口は、上記ケースの縦方向の中途部に形成されている。このため、波が高い場合などには、上記アイドル排気口が水を被ることにより塞がれがちになるおそれがある。また、上記アイドル排気口を通りアイドル排気通路内に外部の異物が侵入するおそれもある。そして、このようなことが生じると、円滑なアイドリングが阻害されるという不都合が生じる。
【0007】
また、排気脈動などにより、上記アイドル排気口を通りアイドル排気通路内に特に海水が入り込んだ場合には、上記各排気通路内が早期に腐食させられる、という寿命上の不都合が船外機に生じることともなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、船外機のエンジンに円滑なアイドリングが確保されるようにすることである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、船外機に良好な寿命が維持されるようにすることである。
【0010】
請求項1の発明は、エンジン12をその外方から覆うカウリング14を備え、エンジン12のアイドリング時の排気32大気側に排出させるアイドル排気通路33を形成し、このアイドル排気通路33の中途部に膨張室34を形成し、上記アイドル排気通路33の下流端を大気側に向かって開くアイドル排気口35とした船外機において、
上記アイドル排気口35を複数形成したものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記各アイドル排気口35を船外機5の幅方向で互いに離間させて配置したものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明に加えて、上記各アイドル排気口35を上記カウリング14に形成したものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から3のうちいずれか1つの発明に加えて、縦方向に延びて船体3に支持可能とされ、その上面側に上記エンジン12を支持するケース10を備え、上記膨張室34を膨張室ケース38により形成し、上記ケース10の水平方向の外方域、かつ、上記カウリング14のうち、上記ケース10よりも上側に位置する部分の下方域の空間に、上記膨張室ケース38を配設したものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4の発明に加えて、上記カウリング14が、上記ケース10の上端部に支持されるボトムカウリング24と、このボトムカウリング24に支持されるカウリング本体25とを備え、上記ケース10の上部の後方域、かつ、上記ボトムカウリング24の後部の下方域の空間に、上記膨張室ケース38を配設したものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項4、もしくは5の発明に加えて、上記膨張室ケース38を、上記カウリング14に直接取り付けたものである。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1から6のうちいずれか1つの発明に加えて、上記膨張室34とアイドル排気口35との間における上記アイドル排気通路33の部分に他の膨張室43を形成したものである。
【0017】
請求項8の発明は、請求項7の発明に加えて、上記他の膨張室43を、上記各アイドル排気口35毎に独立して形成したものである。
【0018】
請求項9の発明は、請求項7、もしくは8の発明に加えて、上記他の膨張室43を、上記膨張室34よりも上方に配置したものである。
【0019】
請求項10の発明は、請求項7から9のうちいずれか1つの発明に加えて、上記他の膨張室43の少なくとも一部分を上記カウリング14に形成したものである。
【0020】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0021】
本発明による効果は、次の如くである。
【0022】
請求項1の発明は、エンジンをその外方から覆うカウリングを備え、エンジンのアイドリング時の排気を大気側に排出させるアイドル排気通路を形成し、このアイドル排気通路の中途部に膨張室を形成し、上記アイドル排気通路の下流端を大気側に向かって開くアイドル排気口とした船外機において、
上記アイドル排気口を複数形成している。
【0023】
このため、第1の点として、波が高い場合などにおいて、上記各アイドル排気口がそれぞれ水を被って塞がれがちになるとしても、上記のように複数形成した各アイドル排気口が同時に塞がれる、ということは少なく抑制される。つまり、各アイドル排気口のうち、いずれかのアイドル排気口を通すことによりアイドリング時の排気を排出させることができる。
【0024】
また、第2の点として、上記各アイドル排気口の全体的な開口面積には、所定の大きさが要求されるが、上記のようにアイドル排気口を複数形成したため、これら各アイドル排気口の個々の開口面積はそれぞれ小さくできる。このため、これらアイドル排気口を通りアイドル排気通路内に形状の大きい外部の異物が侵入する、ということは抑制される。つまり、このような異物に邪魔されることなく、上記各アイドル排気口を通しアイドリング時の排気を排出させることができる。
【0025】
よって、上記第1、第2の点により、船外機のエンジンには、より円滑なアイドリングが確保される。
【0026】
請求項2の発明は、上記各アイドル排気口を船外機の幅方向で互いに離間させて配置している。
【0027】
このため、波が高い場合などにおいて、上記したように互いに離間した各アイドル排気口がそれぞれ水を被って同時に塞がれる、ということは、より確実に抑制される。よって、船外機のエンジンには、更に円滑なアイドリングが確保される。
【0028】
請求項3の発明は、上記各アイドル排気口を上記カウリングに形成している。
【0029】
このため、上記各アイドル排気口は、アイドル排気口がケースに形成されていた従来の技術に比べて、より上方に配置されることとなる。よって、第1に、上記各アイドル排気口が水によって塞がれる、ということはより確実に抑制される。この結果、船外機のエンジンには、更に円滑なアイドリングが確保される。
【0030】
また、第2に、排気脈動などにより、上記アイドル排気口を通りアイドル排気通路内に水が入り込むということも、より確実に抑制され、上記各排気通路内が上記水により早期に腐食させられる、ということが防止される。この結果、船外機に良好な寿命が維持される。
【0031】
請求項4の発明は、縦方向に延びて船体に支持可能とされ、その上面側に上記エンジンを支持するケースを備え、上記膨張室を膨張室ケースにより形成し、上記ケースの水平方向の外方域、かつ、上記カウリングのうち、上記ケースよりも上側に位置する部分の下方域の空間に、上記膨張室ケースを配設している。
【0032】
ここで、上記空間が存在する場合、この空間はデッドスペースになりがちである。そこで、上記のようにこの空間に膨張室ケースを配設したのである。よって、上記空間が膨張室ケースの配設に有効利用されたことから、その分、船外機をコンパクトにできる。
【0033】
請求項5の発明は、上記カウリングが、上記ケースの上端部に支持されるボトムカウリングと、このボトムカウリングに支持されるカウリング本体とを備え、上記ケースの上部の後方域、かつ、上記ボトムカウリングの後部の下方域の空間に、上記膨張室ケースを配設している。
【0034】
このため、上記膨張室ケースは、上記ケースとボトムカウリングとの各外部に配設されることから、上記膨張室の掃除など保守点検作業が容易にできる。
【0035】
ここで、一般的に、上記ボトムカウリングの後部は、上記ケースの上部よりも後方に向けて突出していて、上記空間はデッドスペースとなりがちである。そこで、上記のようにこの空間に膨張室ケースを配設したのである。よって、上記空間が膨張室ケースの配設に有効利用されたことから、その分、船外機をコンパクトにできる。
【0036】
請求項6の発明は、上記膨張室ケースを、上記カウリングに直接取り付けている。
【0037】
このため、上記カウリングと膨張室ケースとが互いに十分に接近する。よって、第1に、上記カウリングと膨張室ケースとの間に無用な空間が生じることが防止される。よって、上記空間の利用により、上記膨張室ケースの膨張室の容量を大きくすることができ、この膨張室による消音効果を、より向上させることができる。
【0038】
また、第2に、特に、上記カウリングに各アイドル排気口を形成した場合に、上記カウリングの各アイドル排気口と膨張室ケースの膨張室とを連通させるための連通管を短くでき、もしくは、この連通管を不要にできて、船外機の構成を、より簡単にできる。
【0039】
請求項7の発明は、上記膨張室とアイドル排気口との間における上記アイドル排気通路の部分に他の膨張室を形成している。
【0040】
このため、上記各膨張室の合計容量を大きくできて、その消音効果をより向上させることができる。
【0041】
また、船外機はできるだけコンパクトにすることが求められるものであって、余剰空間は限られた狭いものである。そこで、上記のように膨張室とは別に、他の膨張室を形成したのであり、これにより、余剰空間の各部の利用がし易くなる。
【0042】
請求項8の発明は、上記他の膨張室を、上記各アイドル排気口毎に独立して形成している。
【0043】
このため、特に、上記各アイドル排気口が互いに大きく離れている場合に、上記各他の膨張室を互いに一体的に成形することに比べて、これら各他の膨張室の成形は容易にできる。
【0044】
請求項9の発明は、上記他の膨張室を、上記膨張室よりも上方に配置している。
【0045】
ここで、上記船外機は、船体の幅方向に並設されて、この船体の船尾板に支持されることがある。このため、これら両船外機同士の干渉を避ける上で、船外機は、その平面視で、よりコンパクトであることが好ましい。
【0046】
そこで、上記したように、上記他の膨張室を、上記膨張室よりも上方に配置したのであり、このため、上記膨張室と他の膨張室とを水平方向に並設することに比べて、上記船外機を、よりコンパクトにできる。
【0047】
請求項10の発明は、上記他の膨張室の少なくとも一部分を上記カウリングに形成している。
【0048】
このため、上記他の膨張室の形成のために、上記カウリングが利用されたのであり、その分、エンジンの構成を、より簡単にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明の船外機におけるアイドル排気構造に関し、船外機のエンジンに円滑なアイドリングが確保されるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0050】
即ち、船外機は、縦方向に延びて船体に支持可能とされるケースと、このケースの上面側に支持されるエンジンと、上記ケースの上端部に支持され、上記エンジンをその外方から覆うカウリングとを備えている。エンジンのアイドリング時の排気を上記ケースの内側から大気側に排出させるアイドル排気通路が形成される。また、このアイドル排気通路の中途部に膨張室が形成される。上記アイドル排気通路の下流端が上記大気側に向かって開くアイドル排気口とされている。上記アイドル排気口が複数形成されている。
【実施例】
【0051】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0052】
図2において、符号1は海水などの水2の表面に浮かべられる船である。また、矢印Frは、この船1の推進方向の前方を示している。
【0053】
上記船1は、船体3と、この船体3の船尾板4に支持可能とされる船外機5とを備えている。上記船尾板4は船体3の船底の後端側から後上方に向かって延出している。上記船外機5は、上記船体3の後方に配置され、推進力を生じて上記船体3を推進可能とさせる船外機本体7と、上記船尾板4に対し、上記船外機本体7を着脱可能に支持させ、かつ、この船外機本体7の下部側が後上方に向かってチルトアップA(図2中一点鎖線)し、また、これとは逆にチルトダウンB(図2中実線)するようこの船外機本体7を枢支させる支持装置8とを備えている。
【0054】
上記船外機本体7は、縦方向に延びて、その上部が上記支持装置8により船尾板4に支持され、下部が水2に没入されるケース10と、このケース10の下端部に支持されるプロペラ11と、上記ケース10の上面側に支持される内燃機関であるエンジン12と、上記ケース10の内部に収容され、上記プロペラ11をエンジン12に連動連結させる動力伝達機構13と、上記ケース10の上端部に支持され、エンジン12を全体的にその外方から開閉可能に覆うカウリング14とを備えている。
【0055】
上記エンジン12は、上記ケース10の上面側に支持されるクランクケース16と、縦方向に延びる軸心17回りに回転可能となるよう上記クランクケース16に支持されるクランク軸18とを備えている。上記動力伝達機構13は、上記軸心17回りに回転可能となるよう上記ケース10に支持され、その上端部が上記クランク軸18に連動連結される動力伝達軸19と、この動力伝達軸19の下端部に上記プロペラ11を連動連結させるギヤ組20とを備えている。上記軸心17は、上記船外機5の幅方向のほぼ中心線21上に位置している。
【0056】
上記カウリング14は、上記ケース10の上端部の上面側に支持され、上記エンジン12の下部を全体的にその外方から覆うボトムカウリング24と、上記エンジン12の上部を全体的にその上方から開閉可能に覆うカウリング本体25とを備えている。このカウリング本体25の下縁部は、上記ボトムカウリング24の上縁部に不図示の係止具により係脱可能とされ、この係止により、上記ボトムカウリング24にカウリング本体25が支持されている。
【0057】
上記カウリング14の平面視での外縁部は、上記ボトムカウリング24とカウリング本体25との互いの接合部に相当し、上記ケース10の上端部よりも上側に位置している。上記カウリング14の外縁部は、上記ケース10の上端部よりも水平方向の外方に突出している。上記ケース10の外方域、かつ、上記カウリング14の外縁部の下方域のクランクケース16はデッドスペースとされている。より具体的には、上記ボトムカウリング24の上記外縁部を形成する後部は、ケース10の上部の後面よりも水平方向の外方(後方)に突出している。このケース10の上部の後方域、かつ、上記ボトムカウリング24の後部の下方域の空間26はデッドスペースとされている。この空間26をその後方から開閉可能に覆って、上記ケース10に着脱可能に固着されるエプロン27が設けられている。
【0058】
図1−5において、上記エンジン12の運転時の排気30を上記ケース10の内部に導入させる一方、このケース10の内部から水2中に排出させる主排気通路31が、上記ケース10の内側に形成されている。また、上記エンジン12のアイドリング時の排気32を上記ケース10の内側である上記主排気通路31の中途部から大気側に排出させるアイドル排気通路33が形成されている。上記アイドル排気通路33の中途部には膨張室34が形成され、上記アイドル排気通路33の下流端は、大気側に向かって開く複数(2つ)のアイドル排気口35とされている。
【0059】
上記アイドル排気通路33について、より詳しく説明する。
【0060】
上記膨張室34を形成する膨張室ケース38が上記空間26の上部に配置されている。この膨張室ケース38は上記ボトムカウリング24の後部下面に対し締結具39により、直接取り付けられている。上記膨張室ケース38よりも下方近傍のケース10後面に、上記主排気通路31の中途部を上記空間26に向けて分岐させ開口させる分岐開口40が形成されている。この分岐開口40を上記膨張室ケース38の底部の入口部41に連通させる連通管42が設けられている。
【0061】
上記膨張室34とアイドル排気口35との間における上記アイドル排気通路33の部分に、他の膨張室43が形成されている。具体的には、上記ケース10よりも後方におけるボトムカウリング24の後部に、上方に向かって開く複数(左右一対)の凹部が形成されている。これら各凹部をそれぞれその上方から閉じるカバー44が設けられ、これらカバー44は、上記凹部の開口縁部に締結具45により着脱可能に固着されている。
【0062】
そして、上記カバー44で閉じられた上記各凹部内が上記他の膨張室43とされている。上記膨張室ケース38の上部に形成された複数(左右一対)の出口部46と、上記各他の膨張室43の底部にそれぞれ形成された各入口部47とをそれぞれ連通させる複数(左右一対)の他の連通管48が設けられている。
【0063】
上記各他の膨張室43を、上記ボトムカウリング24の後方の大気側に向かって連通させる複数(左右一対)の連通孔49が上記ボトムカウリング24の後部に形成されている。前記アイドル排気口35を形成した排気口部材50が上記連通孔49にそれぞれ嵌入されて、上記ボトムカウリング24の後部に係脱可能に係止されている。上記各アイドル排気口35は、船外機5の幅方向で互いに離間するよう配置されている。
【0064】
上記他の膨張室43は、上記各アイドル排気口35毎に独立して形成されている。また、上記他の膨張室43は上記膨張室34よりも上方近傍に配置され、これら34,43は、船外機5の平面視(図3)で、互いに接近させられている。また、上記他の膨張室43の少なくとも一部(図例では、ほぼ全部)が上記カウリング14のボトムカウリング24の後部に形成されている。
【0065】
上記船外機5の平面視(図3)で、上記ケース10の上部後面は、後方に凸の円弧形状をなしている。上記膨張室ケース38は、上記ケース10の上部後面に沿うよう円弧形状をなして船外機5の幅方向に長く延び、上記中心線21を基準として左右対称形状とされている。また、それぞれ左右に配置される上記アイドル排気口35、連通管42、他の膨張室43、他の連通管48、排気口部材50も、上記中心線21を基準として左右対称位置に配置され、かつ、対称形状とされている。そして、上記各アイドル排気口35、膨張室ケース38、分岐開口40、各連通管42、各他の膨張室43、および各連通管48の各内部は互いに連通させられて、これが上記アイドル排気通路33とされている。
【0066】
上記エンジン12の運転時に、このエンジン12に上記プロペラ11を上記動力伝達機構13を介し連動させると、船1が推進可能とされる。このエンジン12の運転時の排気30のほとんどは、上記主排気通路31を通り水2中に排出される。そして、この水2中への排気30の排出により、排気騒音の発生が防止される。
【0067】
一方、エンジン12のアイドリング時の排気32は、その排気圧が低いため、上記主排気通路31を通って水2中に排出させることは困難である。このため、このアイドリング時の排気32は上記アイドル排気通路33を通り大気側に排出される。この場合、この排気32は上記アイドル排気通路33の中途部の膨張室34を通ることにより消音される。これにより、アイドリング時の排気騒音の発生も防止される。
【0068】
上記構成によれば、アイドル排気口35を複数形成している。
【0069】
このため、第1の点として、波が高い場合などにおいて、上記各アイドル排気口35がそれぞれ水2を被って塞がれがちになるとしても、上記のように複数形成した各アイドル排気口35が同時に塞がれる、ということは少なく抑制される。つまり、各アイドル排気口35のうち、いずれかのアイドル排気口35を通すことによりアイドリング時の排気32を排出させることができる。
【0070】
また、第2の点として、上記各アイドル排気口35の全体的な開口面積には、所定の大きさが要求されるが、上記のようにアイドル排気口35を複数形成したため、これら各アイドル排気口35の個々の開口面積はそれぞれ小さくできる。このため、これらアイドル排気口35を通りアイドル排気通路33内に形状の大きい外部の異物が侵入する、ということは抑制される。つまり、このような異物に邪魔されることなく、上記各アイドル排気口35を通しアイドリング時の排気32を排出させることができる。
【0071】
よって、上記第1、第2の点により、船外機5のエンジン12には、より円滑なアイドリングが確保される。
【0072】
また、上記第2の点におけるように、各アイドル排気口35の個々の開口面積を小さくできるため、消音効果が向上して、排気騒音の低減が可能となる。
【0073】
また、前記したように、各アイドル排気口35を船外機5の幅方向で互いに離間させて配置している。
【0074】
このため、波が高い場合などにおいて、上記したように互いに離間した各アイドル排気口35がそれぞれ水2を被って同時に塞がれる、ということは、より確実に抑制される。よって、船外機5のエンジン12には、更に円滑なアイドリングが確保される。
【0075】
また、前記したように、各アイドル排気口35を上記カウリング14のボトムカウリング24に形成している。
【0076】
このため、上記各アイドル排気口35は、アイドル排気口がケースに形成されていた従来の技術に比べて、より上方に配置されることとなる。よって、第1に、上記各アイドル排気口35が水2によって塞がれる、ということはより確実に抑制される。この結果、船外機5のエンジン12には、更に円滑なアイドリングが確保される。
【0077】
また、第2に、排気脈動などにより、上記アイドル排気口35を通りアイドル排気通路33内に水2が入り込むということも、より確実に抑制され、上記各排気通路31,33内が上記水2により早期に腐食させられる、ということが防止される。この結果、船外機5に良好な寿命が維持される。
【0078】
また、前記したように、縦方向に延びて船体3に支持可能とされ、その上面側に上記エンジン12を支持するケース10を備え、上記膨張室34を膨張室ケース38により形成し、上記ケース10の水平方向の外方域、かつ、上記カウリング14のうち、上記ケース10よりも上側に位置する部分(前記カウリング14の外縁部)の下方域の空間に、上記膨張室ケース38を配設している。
【0079】
ここで、上記空間が存在する場合、この空間はデッドスペースになりがちである。そこで、上記のようにこの空間に膨張室ケース38を配設したのである。よって、上記空間が膨張室ケース38の配設に有効利用されたことから、その分、船外機5をコンパクトにできる。
【0080】
また、前記したように、上記カウリング14が、上記ケース10の上端部に支持されるボトムカウリング24と、このボトムカウリング24に支持されるカウリング本体25とを備え、上記ケース10の上部の後方域、かつ、上記ボトムカウリング24の後部の下方域の空間に、上記膨張室ケース38を配設している。
【0081】
このため、上記膨張室ケース38は、上記ケース10とボトムカウリング24との各外部に配設されることから、上記膨張室34の掃除など保守点検作業が容易にできる。
【0082】
ここで、前記したように、上記ボトムカウリング24の後部は、上記ケース10の上部よりも後方に向けて突出していて、上記空間26はデッドスペースとなりがちである。そこで、上記のようにこの空間26に膨張室ケース38を配設したのである。よって、上記空間26が膨張室ケース38の配設に有効利用されたことから、その分、船外機5をコンパクトにできる。
【0083】
また、前記したように、膨張室ケース38を、上記カウリング14のボトムカウリング24に直接取り付けている。
【0084】
このため、上記カウリング14のボトムカウリング24と膨張室ケース38とが互いに十分に接近する。よって、第1に、上記カウリング14と膨張室ケース38との間に無用な空間が生じることが防止される。よって、上記空間の利用により、上記膨張室ケース38の膨張室34の容量を大きくすることができ、この膨張室34による消音効果を、より向上させることができる。
【0085】
また、第2に、特に、上記カウリング14のボトムカウリング24に各アイドル排気口35を形成した場合に、上記カウリング14のボトムカウリング24の各アイドル排気口35と膨張室ケース38の膨張室34とを連通させるための連通管48を短くでき、もしくは、この連通管48を不要にできて、船外機5の構成を、より簡単にできる。
【0086】
また、前記したように、膨張室34とアイドル排気口35との間における上記アイドル排気通路33の部分に他の膨張室43を形成している。
【0087】
このため、上記各膨張室34,43の合計容量を大きくできて、その消音効果をより向上させることができる。
【0088】
また、船外機5はできるだけコンパクトにすることが求められるものであって、余剰空間は限られた狭いものである。そこで、上記のように膨張室34とは別に、他の膨張室43を形成したのであり、これにより、余剰空間の各部の利用がし易くなる。
【0089】
また、前記したように、他の膨張室43を、上記各アイドル排気口35毎に独立して形成している。
【0090】
このため、特に、上記各アイドル排気口35が互いに大きく離れている場合に、上記各他の膨張室43を互いに一体的に成形することに比べて、これら各他の膨張室43の成形は容易にできる。
【0091】
また、前記したように、他の膨張室43を、上記膨張室34よりも上方に配置している。
【0092】
ここで、上記船外機5は、船体3の幅方向に並設されて、この船体3の船尾板4に支持されることがある。このため、これら両船外機5同士の干渉を避ける上で、船外機5は、その平面視で、よりコンパクトであることが好ましい。
【0093】
そこで、上記したように、上記他の膨張室43を、上記膨張室34よりも上方に配置したのであり、このため、上記膨張室34と他の膨張室43とを水平方向に並設することに比べて、上記船外機5を、よりコンパクトにできる。
【0094】
また、前記したように、他の膨張室43の少なくとも一部分を上記カウリング14に形成している。
【0095】
このため、上記他の膨張室43の形成のために、上記カウリング14が利用されたのであり、その分、エンジン12の構成を、より簡単にできる。
【0096】
また、前記したように、船外機5の平面視(図3)で、ケース10の上部後面に沿うよう上記膨張室ケース38を円弧形状となるよう形成している。
【0097】
このため、上記空間26が有効利用されて、上記膨張室ケース38の膨張室34の容量を、より大きくすることができる。よって、この膨張室34による消音効果を更に向上させることができる。
【0098】
図2,6−8において、前記支持装置8は、上記船尾板4に着脱可能に支持されるブラケット53と、軸心54が船外機5の幅方向に延び、この軸心54回りに上記船外機本体7がチルトアップA(図2中一点鎖線、図8)、チルトダウンB(図2中実線、図6,7)可能となるようこの船外機本体7を上記ブラケット53に枢支させる枢支軸55と、上記船外機本体7とブラケット53とに跨るようこれらに各端部が上、下枢支ピン56,57によって枢支される油圧シリンダ58とを備えている。この油圧シリンダ58の伸長、収縮動作により、上記船外機本体7は上記軸心54回りにチルトアップA、チルトダウンB可能とされる。
【0099】
上記ブラケット53は、上記船尾板4の後面に面接合されて不図示の締結具によりこの船尾板4に着脱可能に固着される基板61と、この基板61の各外側縁部から後方に向かって一体的に延出する左右側板62,63と、これら各側板62,63の上端部からそれぞれ前方に向かって一体的に突出し、上記船尾板4の上縁部の上面に載置可能とされる左、右突出部64とを備えている。上記各枢支ピン56,57の各軸心59は、上記枢支軸55の軸心54と平行である。
【0100】
上記船外機本体7を構成し、上記ケース10側から前方に突出する枢支アーム66が、上記左、右突出部64に対し上記枢支軸55により枢支される。また、上記船外機本体7の枢支アーム66と左、右側板62,63との間に、上記枢支ピン56,57により油圧シリンダ58が架設される。
【0101】
上記ブラケット53の各突出部64の前下端部には、それぞれ締結具68によりストッパ69が着脱可能に固着されている。これら各ストッパ69は上記船尾板4の上縁部の前面に当接している。
【0102】
ここで、上記船外機5の生産現場では、上記船尾板4の上縁部と同形同大の掛け台に対し、船外機5の一部を構成しているブラケット53、もしくはブラケット53の単体を仮掛けすることが行われている。この仮掛けをした際、上記ストッパ69が掛け台の前面に当接することにより、安定した仮掛けが確実に行われることとされている。そして、これにより、船外機5の生産現場における作業性の向上が図られている。
【0103】
一方、上記船外機5を船体3の船尾板4に支持させようとして、まず、上記ブラケット53を船尾板4に仮掛けする場合、この船尾板4の厚さが上記掛け台のもの以下であれば、この船尾板4への仮掛けは容易にでき、つまり、この船尾板4への船外機5の支持は容易にできる。
【0104】
しかし、上記船尾板4の強度向上のためなどの理由で、その厚さが予定していたものより大きくされている場合がある。この場合には、上記仮掛けの際、上記ストッパ69が邪魔になって、上記船尾板4へのブラケット53の支持はし難くなる。そこで、このような場合には、上記締結具68を弛めることにより、上記ブラケット53の各突出部64から各ストッパ69を取り外す。すると、上記船尾板4へのブラケット53の支持が可能となる。
【0105】
即ち、上記したように、ブラケット53の各突出部64に対しストッパ69を着脱可能に固着している。
【0106】
このため、上記ストッパ69を上記突出部64に一体的に形成していた従来の技術に比べ、上記ストッパ69の着脱により、船外機5の生産現場と実際の船体3とへの上記ブラケット53の適用が共に可能とされる。
【0107】
図6−8において、上記油圧シリンダ58の伸長動作により、船外機本体7をチルトアップAした状態で、この船外機本体7を高姿勢(図8中実線)、もしくは低姿勢(図8中二点鎖線)のいずれかの姿勢に維持可能とするチルトアップ姿勢維持装置71が設けられている。つまり、このチルトアップ姿勢維持装置71によれば、上記船外機本体7のチルトアップA時において、油圧シリンダ58の自然収縮による船外機本体7の自然降下を、上記のように船外機本体7を所望姿勢に維持することにより防止可能とされている。
【0108】
上記チルトアップ姿勢維持装置71は、上記上側の枢支ピン56の近傍で、この枢支ピン56の軸心59と平行な軸心72回りに回動可能となるよう上記船外機本体7の枢支アーム66に支持される左、右回動軸73,74と、これら各回動軸73,74の上記枢支アーム66の各外側方への突出端部に、それぞれ突設される左、右係止アーム75,76と、これら係止アーム75,76を上記軸心72回りの第1回動姿勢(図6−8中実線)、第2回動姿勢(図8中一点鎖線)、および第3回動姿勢(図8中二点鎖線)の複数回動姿勢で弾性的に位置決めするディテント装置77とを備えている。
【0109】
上記ディテント装置77は、上記軸心72上に位置して、上記左、右回動軸73,74の互いの対向端部をスナップリングにより互いに連結すると共にこれら73,74と共に回動する歯車80と、上記枢支アーム66に締結具81により取り付けられ、上記歯車80の外周面に圧接して、その各歯溝に弾性的に嵌入し、上記した複数の第1−第3回動姿勢に上記各係止アーム75,76をそれぞれ位置決め可能とする板形状のばね82とを備えている。
【0110】
上記チルトアップ姿勢維持装置71は、上記第2回動姿勢の係止アーム75,76(図8中一点鎖線)を係止させて、上記船外機本体7を上記高姿勢(図8中実線)に維持させる左、右高姿勢維持部84と、上記第3回動姿勢の係止アーム75,76(図8中二点鎖線)を係止させて、上記船外機本体7を上記低姿勢(図8中二点鎖線)に維持させる左、右低姿勢維持部85とを備えている。
【0111】
より具体的には、上記第1回動姿勢の係止アーム75,76は、上記船外機本体7のチルトアップA、チルトダウンB時に、上記高姿勢維持部84と低姿勢維持部85とには何ら係合しない。
【0112】
上記各高姿勢維持部84は、上記ブラケット53の各側板62,63の上端部にそれぞれ一体的に形成された突起とされている。上記船外機本体7をチルトアップAした後、上記各係止アーム75,76を第2回動姿勢にさせて、チルトダウンBを開始すると、上記各係止アーム75,76は上記各高姿勢維持部84に係止される。これにより、上記船外機本体7は高姿勢に維持される(図8中実線、一点鎖線)。
【0113】
上記各低姿勢維持部85はボルトとされている。これら各低姿勢維持部85は、上記ブラケット53の各側板62,63の内面側に形成された複数(2つ)の上、下ねじ孔87,88のうち、上ねじ孔87にねじ込まれて上記側板62,63に支持されている。上記船外機本体7をチルトアップAした後、上記各係止アーム75,76を第3回動姿勢(図8中二点鎖線)にさせて、チルトダウンBを開始すると、上記各係止アーム75,76は上記各高姿勢維持部84に係止されることなく、上記各低姿勢維持部85に係止される。これにより、上記船外機本体7は、上記高姿勢よりも低い低姿勢に維持される(図8中二点鎖線)。
【0114】
上記低姿勢維持部85は、上記上、下ねじ孔87,88のいずれかに対し選択的にねじ込み可能とされている。上記低姿勢維持部85は、下ねじ孔88へのねじ込みによっても、上記側板62,63に支持される(図8中二点鎖線)。図示しないが、上記低姿勢維持部85に対し、第3回動姿勢の各係止アーム75,76を係止させれば、上記船外機本体7は、上記低姿勢よりも更に低い他の低姿勢に維持される。
【0115】
ここで、近時、船外機5は大型化の傾向にあり、その船外機本体7を従来通りにチルトアップAすると、この船外機本体7の上部側のカウリング14が船体3に当接するなど船体3側と干渉して、所望角度にまでチルトアップAができないおそれがある。
【0116】
そこで、船外機5に上記構成のチルトアップ姿勢維持装置71を適用したのであり、これによれば、船外機本体7のチルトアップA時に、船体3側との干渉が生じない範囲で、上記船外機本体7を所望姿勢に維持させることができる。
【0117】
上記左右係止アーム75,76の一方の係止アーム(係止アーム75)には貫通孔90が形成されている。上記係止アーム75,76を第2回動姿勢(図8中一点鎖線)にさせたとき、前記上側の枢支ピン56の軸心59上に上記貫通孔90が位置することとされている。そして、この貫通孔90を通し、上記船外機本体7の枢支アーム66に対し上記枢支ピン56の着脱が可能とされている。
【0118】
なお、以上は図示の例によるが、上記各膨張室34,43はケース10内に形成してもよい。また、上記アイドル排気口35は、上記ケース10に形成してもよく、3つ以上形成してもよい。また、上記排気口部材50は、上記ボトムカウリング24に一体的に形成してもよい。また、上記カウリング14が、上記ケース10の上端部よりも下側に位置する部分を有している場合には、この部分内に上記膨張室ケース38を配設してもよい。
【0119】
また、上記他の連通管48はなくてもよく、この場合、上記膨張室ケース38内の膨張室34を上記他の膨張室43内に直接連通させればよい。
【0120】
また、上記チルトアップ姿勢維持装置71の高姿勢維持部84は、上記低姿勢維持部85と同形同大のボルトであってもよく、ねじ孔87,88は3つ以上設けてもよい。また、上記低姿勢維持部85は、上記各側板62,63に一体的に形成される突起であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】船外機の部分背面図である。
【図2】船の後部側面図である。
【図3】図1で示したものの平面部分断面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】図3のV−V線矢視断面図である。
【図6】図2の部分拡大図である。
【図7】図6のVII−VII線矢視部分断面図である。
【図8】作用説明図で図6に相当する図である。
【符号の説明】
【0122】
1 船
2 水
3 船体
4 船尾板
5 船外機
7 船外機本体
8 支持装置
10 ケース
11 プロペラ
12 エンジン
14 カウリング
21 中心線
24 ボトムカウリング
26 空間
31 主排気通路
32 排気
33 アイドル排気通路
34 膨張室
35 アイドル排気口
38 膨張室ケース
43 他の膨張室
53 ブラケット
54 軸心
55 枢支軸
58 油圧シリンダ
66 枢支アーム
68 締結具
69 ストッパ
71 チルトアップ姿勢維持装置
75 係止アーム
76 係止アーム
84 高姿勢維持部
85 低姿勢維持部
A チルトアップ
B チルトダウン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンをその外方から覆うカウリングを備え、エンジンのアイドリング時の排気を大気側に排出させるアイドル排気通路を形成し、このアイドル排気通路の中途部に膨張室を形成し、上記アイドル排気通路の下流端を大気側に向かって開くアイドル排気口とした船外機において、
上記アイドル排気口を複数形成したことを特徴とする船外機におけるアイドル排気構造。
【請求項2】
上記各アイドル排気口を船外機の幅方向で互いに離間させて配置したことを特徴とする請求項1に記載の船外機におけるアイドル排気構造。
【請求項3】
上記各アイドル排気口を上記カウリングに形成したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の船外機におけるアイドル排気構造。
【請求項4】
縦方向に延びて船体に支持可能とされ、その上面側に上記エンジンを支持するケースを備え、上記膨張室を膨張室ケースにより形成し、上記ケースの水平方向の外方域、かつ、上記カウリングのうち、上記ケースよりも上側に位置する部分の下方域の空間に、上記膨張室ケースを配設したことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の船外機におけるアイドル排気構造。
【請求項5】
上記カウリングが、上記ケースの上端部に支持されるボトムカウリングと、このボトムカウリングに支持されるカウリング本体とを備え、上記ケースの上部の後方域、かつ、上記ボトムカウリングの後部の下方域の空間に、上記膨張室ケースを配設したことを特徴とする請求項4に記載の船外機におけるアイドル排気構造。
【請求項6】
上記膨張室ケースを、上記カウリングに直接取り付けたことを特徴とする請求項4、もしくは5に記載の船外機におけるアイドル排気構造。
【請求項7】
上記膨張室とアイドル排気口との間における上記アイドル排気通路の部分に他の膨張室を形成したことを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1つに記載の船外機におけるアイドル排気構造。
【請求項8】
上記他の膨張室を、上記各アイドル排気口毎に独立して形成したことを特徴とする請求項7に記載の船外機におけるアイドル排気構造。
【請求項9】
上記他の膨張室を、上記膨張室よりも上方に配置したことを特徴とする請求項7、もしくは8に記載の船外機におけるアイドル排気構造。
【請求項10】
上記他の膨張室の少なくとも一部分を上記カウリングに形成したことを特徴とする請求項7から9のうちいずれか1つに記載の船外機におけるアイドル排気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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