説明

船舶内装用化粧金属板及びその化粧金属板からなる船舶内装板

【課題】不燃性(火炎伝播性)、耐疵付き性、意匠性等の特性に優れた船舶内装用化粧金属板、およびそれを用いた船舶内装板を提供する。
【解決手段】金属板を基板として、表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、表面層として顔料を含有したポリエステル樹脂フィルムを積層した船舶内装用化粧金属板。また、その船舶内装用化粧金属板を用いて、加工してなる船舶内装用パネル、壁板、天井板、照明器具反射板、ベッド、クロゼットあるいは机からなる船舶内装板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶内装用化粧金属板及びその化粧金属板からなる船舶内装板に係り、より詳しくは船舶内装用パネル、船舶天井、船舶の壁、船舶ドア等に関し、特に、不燃性(火炎伝播性)、耐疵付き性、加工性、耐薬品性、耐溶剤性、耐汚染性及び意匠性を要求される用途に用いられ、不燃性(火炎伝播性)、耐疵付き性、加工性、耐薬品性、耐溶剤性、耐汚染性及び意匠性に優れた船舶内装用化粧金属板及びその化粧金属板からなる船舶内装板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶内装に使用される化粧金属板としては、ポリ塩化ビニルフィルムの上に通常の方法を用いて印刷を施した後、透明なポリ塩化ビニルフィルムを積層した化粧フィルムを、接着剤を介して亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板等の金属板に積層したものが知られている。
【0003】
金属板に上記塩化ビニルを被覆した化粧金属板は、耐汚染性、低温衝撃性、耐疵付き性等の表面物性が劣り、また焼却して廃棄処理する際あるいは火災時に、塩化水素ガスのような有毒ガスおよびそれに起因する有害物質あるいは揮発性有機化合物が発生して環境を汚染したり、焼却する際に焼却炉を傷めたりするおそれがある等の問題を抱えている。
また、船内の掃除あるいは船が揺れる際、爪あるいは掃除器具が壁等に触れて、壁に疵が付き、見栄えが悪くなるという問題がある。
【0004】
耐疵付き性を改善するために、フィルム表面に硬い皮膜をコーティングする方法が検討されている(例えば、特許文献1〜2参照)が、表面の光沢が変化することもあり、また、加工時や使用時にコーティング層が剥離することもあり、意匠性を損なうことになる。
また、ポリエステル系フィルムを表層に積層しても、不燃性(火炎伝播性)が十分かどうか不明であり、また、不燃性は、従来の酸素消費量ではなく、火炎の伝播性が遅いことが要求されるため、従来とは異なった要求特性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−43215号公報
【特許文献2】特開2001−315105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題を解決することを目的として、不燃性(火炎伝播性)、耐疵付き性、加工性及び意匠性等の特性に優れ、かつエンボス加工性に優れた船舶内装用化粧金属板及びその化粧金属板を用いた船舶内装用パネル、船舶天井、船舶の壁あるいは船舶ドア等の船舶内装板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のポリエステルフィルムの表面の形状が特定の表面荒さを有することにより、耐疵付き性に優れることを見いだした。すなわち、ポリエステルフィルムの表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有することにより耐疵付き性が優れ、爪をこすりつけても疵を目視できないことを見いだし、特定の構成にすると不燃性(火炎伝播性)にも優れることを見いだした。
本発明の船舶内装用化粧金属板は、金属板を基板として、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、顔料を含有したポリエステル樹脂フィルムを積層することを特徴とする(請求項1)。
本発明の船舶内装用化粧金属板は、金属板を基板として、下層としてポリエステル樹脂からなる基材樹脂層と、中間層として印刷層、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、透明なポリエステルフィルムからなる複層フィルムを積層することを特徴とする(請求項2)。
本発明の船舶内装用化粧金属板は、金属板を基板として、下層として接着樹脂層、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、顔料を含有したポリエステル樹脂フィルムからなる複層フィルムを積層することを特徴とする(請求項3)。
本発明の船舶内装用化粧金属板は、金属板を基板として、下層から順次接着樹脂層、ポリエステル樹脂からなる基材樹脂層、印刷層、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、透明なポリエステルフィルムからなる複層フィルムを積層することを特徴とする(請求項4)。
【0008】
前記船舶内装用化粧金属板(請求項2または請求項4)は、前記透明なポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいはポリブチレンテレフタレート樹脂からなることを特徴とする(請求項5)。
前記船舶内装用化粧金属板(請求項1または請求項3)は、ポリエステル樹脂からなる基材樹脂層が、ポリブチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする(請求項6)。
前記船舶内装用化粧金属板(請求項3または請求項4)は、接着樹脂層が、ポリエステル樹脂からなることを特徴とする(請求項7)。
前記船舶内装用化粧金属板(請求項7)は、前記ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートの多価酸成分もしくは多価アルコール成分の一部を他の成分で置き換えた結晶性の共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする(請求項8)。
本発明の船舶内装用パネル、壁板、天井板、照明器具反射板、ベッド、クロゼットあるいは机からなる船舶内装板は、前記船舶内装用化粧金属板(請求項1〜請求項8)を用いて、加工してなることを特徴とする(請求項9)。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧フィルムは、焼却時に有毒ガスおよびそれに起因する有害物質あるいは揮発性有機化合物が発生して環境を汚染するおそれがあるポリ塩化ビニル樹脂フィルムを含まないので、環境に優しいフィルムである。また、本発明の船舶内装用化粧金属板は、金属板を基板として、最表層が特定の表面粗さを有し、顔料を含有するかまたは含有しないポリエステルフィルムからなる表面層を積層しているので、耐疵付き性、エンボス加工性に優れ、さらに、耐薬品性、耐溶剤性、及び耐汚染性にも優れる。また、表面層としての透明なポリエステルフィルムと基板の間に印刷層を設けた場合、意匠性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の船舶内装用化粧金属板の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の船舶内装用化粧金属板の他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の船舶内装用化粧金属板の他の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の船舶内装用化粧金属板の他の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明においては、焼却時に有毒ガスおよびそれに起因する有害物質が発生して環境を汚染するおそれがあるポリ塩化ビニル樹脂フィルムに代わる意匠性や耐汚染性、耐薬品性、耐溶剤性等の表面物性に優れ、さらに埃が付着しにくく、耐疵付き性に優れている複層フィルムを積層した船舶内装用化粧金属板について鋭意検討した結果、金属板を基板として、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、顔料を含有したポリエステル樹脂フィルムを接着剤を介して積層することにより、上記の要求特性、特に不燃性及び耐疵付き性を満足する船舶内装用化粧金属板が得られることが判明した。
【0012】
以下に本発明についてその内容を説明する。図1〜図4は本発明の船舶内装用化粧金属板の例を示す断面図である。1は基板、2は接着樹脂層、3は表面層、4はエンボス凹部、5は印刷層、6は基材樹脂層、7は複層フィルム、10は船舶内装用化粧金属板をそれぞれ表している。本発明の船舶内装用化粧金属板10の1実施形態は、図1に示すように、金属板を基板1として、表面層3として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、顔料を含有したポリエステル樹脂フィルムが接着剤(図示せず)を介して積層されている。
また、本発明の船舶内装用化粧金属板10の他の実施形態は、図2に示すように、金属板を基板1として、下層として基材樹脂層6と、中間層として印刷層5、表面層3として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、透明なポリエステルフィルムからなる複層フィルム7が接着剤(図示せず)を介して積層されている。印刷層5を設けることにより、意匠性を付与することができる。
本発明の船舶内装用化粧金属板10の他の実施形態は、図3に示すように、金属板を基板1として、下層として接着樹脂層2と、表面層3として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、顔料を含有したポリエステル樹脂フィルムとからなる複層フィルム7が積層されている。
【0013】
本発明の船舶内装用化粧金属板10の他の実施形態は、図4に示すように、金属板を基板として、下層から順次接着樹脂層2、基材樹脂層6、印刷層5、表面層3として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、透明なポリエステルフィルムからなる複層フィルム7が積層されている。
この場合、図3〜4において、図示していないが、接着剤を基板1と接着樹脂層2の間に介して接着しても良い。
【0014】
本発明の接着樹脂層2に用いる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることができる。特に、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートの多価酸成分、または多価アルコール成分の一部を他の成分で置き換えた結晶性の共重合ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。より好ましくは共重合のポリエチレンテレフタレート樹脂が好適に用いられる。
接着樹脂層2、基材樹脂層6、印刷層5と表面層3の4層からなる複層フィルム7の場合、接着樹脂層2の厚みは、基板1との接着性およびフィルムの形状を補正するために、少なくとも5μm以上必要である。この場合、厚い方は経済性を損なわない限り厚くても構わない。あえて経済性を考慮すると、厚みの上限は30μmである。なお、接着樹脂層2と表面層3との2層からなる複層フィルム7の場合、接着樹脂層2の厚みは、基板1との接着性およびフィルムの形状を補正する以外に、製膜性及びエンボス加工性のために、少なくとも8μm以上必要である。この場合、厚い方は経済性を損なわない限り厚くても構わない。あえて経済性を考慮すると、厚みの上限は30μmである。
この共重合ポリエステル樹脂を構成する材料の―例としては、以下の組成を有する共重合ポリエステル樹脂等が好適に用いられる。すなわち、樹脂を形成するソフトセグメントとして、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、あるいはポリε−カプロラクトン、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等のHOOC−[CH2]n−COOHの分子構造を有する脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族および/または脂環族ジオールからなる脂肪族ポリエステル等が好適に用いられる。
【0015】
また、樹脂を構成するハードセグメントとしては、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、シクロへキサンジメチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメチレンシクロへキサンジカルボキシレート、ブチレン2,6ナフタレンジカルボキシレート等の芳香族および/または脂環族エステルユニットから選ばれた少なくとも一つから構成されていることが好ましい。
さらに、テレフタル酸の一部をイソフタル酸で置き換えても良い。この場合、イソフタル酸の添加量は、20モル%以下の範囲が好ましい。イソフタル酸を添加することにより、接着温度を下げることができるが、20モル%を超えると、製膜性が困難になる点で問題がある。
【0016】
さらに、アルコール成分として、1,4ブタンジオール残基を含有していることが耐溶剤性の点で好ましく、共重合ポリエステルを形成する全アルコール成分に占める1,4ブタンジオール残基が40モル%以上、65モル%以下であることが好ましい。40モル%未満であると耐溶剤性が悪くなり、65モル%を超えるとアルコール成分が過剰となるからである。
【0017】
最下層が接着樹脂層2である複層フィルム7を直接基板1に積層する際に、基板1との密着力がより強く要求される場合には、樹脂成分の一部にアイオノマー樹脂成分を含有させると好適な密着性が得られる。この場合、アイオノマー樹脂成分を全体樹脂成分の1〜50重量%とすることが密着力維持のために好ましい。その他、基板1との密着力がより強く要求される場合に適用する方法として、接着樹脂層2と基板1の間に接着剤を設ける。
また、添加剤として、顔料を少なくとも1種以上、0.1重量%以上含有させても良い。その場合、顔料の含有率は最大10重量%とする。添加する顔料の種類については、基材樹脂層6を説明する箇所に記載する。
【0018】
接着樹脂層2と表面層3とからなる2層の複層フィルム7を基板1に積層する場合、接着樹脂層2を基板1に接するように行うが、接着樹脂層2と基板1の間に接着剤を介して接着させても良い。なお、表面層3、印刷層5、基材樹脂層6、接着樹脂層2の4層の複層フィルム7を基板1に積層する場合にも、接着樹脂層2と基板1の間に接着剤を介して接着させても良い。
接着剤としては、一般的な接着剤、例えば、ポリエステル系、アクリル系、酢酸ビニル樹脂系、エチレン−ビニルアセテート樹脂系、尿素樹脂系、ウレタン樹脂系等のエマルジョン型接着剤が、火気に対して安全で、臭気もなく、価格的にも安価なため好ましく用いられる。
【0019】
本発明のポリエステル樹脂からなる基材樹脂層6に用いる樹脂としては、0.7〜2.0の固有粘度(IV値)を有するポリブチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましいが、固有粘度は製膜性の面から1.70以下、耐水経時性(耐水劣化性)の面から1.35以上であることがより好ましい。ポリブチレンテレフタレート以外にポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレンテレフタレートあるいは共重合ポリブチレンテレフタレートを用いることができる。
【0020】
また、基材樹脂層6は、押出機を用いて製膜する際に、樹脂中に着色顔料を混練する。ポリエステル樹脂がPET−G(シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエチレンテレフタレート)の場合、押出法以外にカレンダー法によって製膜しても良い。
顔料として、公知の無機顔料または有機顔料を使用することができるが、製膜時、耐熱性が要求される場合は無機顔料が好ましい。無機顔料としては、例えば群青、紺青、酸化コバルト、二酸化チタン、チタンイエロー、チタンブラック、コバルト青、カーボンブラック、弁柄あるいは、モリブデン赤等が適用できる。また、有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、溶性アゾ顔料、フタロシアニンブルー、キナクリドン、ジオキサジンバイオレットあるいは、ペリノン・ペリレン等が適用できる。
顔料は、1〜40重量%の範囲で含有することが好ましい。40重量%を越えると、製膜性、下層の接着樹脂層2との密着性の点で問題がある。1重量%未満では不燃性(火炎伝播性)の点で問題となる。
【0021】
基材樹脂層6の厚みは、薄くしても製膜性及びエンボス性の点で困難となる。すなわち薄すぎる場合、フィルムに成形しにくく、エンボス加工を施しても表面の凹凸のばらつきが大きく、顔料を添加しても顔料の色を忠実に示さない。また、顔料等の添加剤が樹脂の中に入っていると、オリゴマーが形成しやすく、製膜の点で問題となる。
発明者らが鋭意検討した結果、製膜性及びエンボス性を考慮すると、厚みは少なくとも15μm必要である。この厚み未満の場合、製膜性及びエンボス性の点で問題がある。厚みの上限は、経済性を考慮しなければ厚くても構わない。あえて経済性を考慮すると、厚みの上限は80μmである。
【0022】
印刷層5としては、下層となる基材樹脂層6の全面を隠蔽するベタ印刷層、または木目、石目、天然皮革の表面柄、布目、抽象柄等の模様を表現した絵柄印刷層、もしくはベタ印刷層を印刷下地とし、その上に絵柄印刷層を重ねて意匠性を向上させる、いずれの構成としてもよい。
印刷層5は表面層3と基材樹脂層6との熱接着性を付与する層でもある。印刷層5を形成するインキのビヒクルとしては、例えばニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエステルウレタン樹脂等の公知のものが使用できるが、なかでも密着及び熱接着性の両観点からニトロセルロース−アルキド樹脂系インキが好ましい。印刷層5は、2層(接着樹脂層、基材樹脂層)または単層(基材樹脂層)からなる製膜したフィルムで、基材樹脂層6の表面に設け、その後、表面層3を印刷層5の表面に積層して、複層フィルム7を作製する。印刷層5はグラビア印刷等の公知の方法によって行う。
【0023】
表面層3としてはポリブチレンテレフタレートをはじめとするポリエステル樹脂のフィルムを用いることが好ましく、なかでも無延伸ポリエステルフィルムを用いることがより好ましい。ポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートや、ポリエチレンテレフタレートの多価酸成分、または多価アルコール成分の一部を他の成分で置き換えた結晶性の共重合ポリエステル樹脂であることが好ましい。特に、無延伸のポリブチレンテレフタレートを用いた場合、エンボス加工が施しやすい。さらに、基材樹脂層6を同じポリブチレンテレフタレートにすると、基材樹脂層6との接着性およびエンボス加工性等の点でより好ましい。
このポリエステル樹脂フィルムは、可塑剤及びハロゲン属元素を含まないポリエステル樹脂からなることを特徴とする。さらに、表面層3の表面に選択的にエンボス加工を施してエンボス凹部4を形成させてもよい。エンボス加工は、表面層3の単層フィルムあるいは複層フィルム7に製膜し、これらのフィルムを基板上に積層した後に加熱して行う。また、基板上に積層する前において、製膜時あるいは、製膜した後の冷却前に行っても良い。
【0024】
表面層3には、単層の場合あるいは接着樹脂層2との2層の場合、顔料を添加する。顔料の含有率は、1〜30重量%の範囲が良い。30重量%を越えると、製膜性が困難になる点で問題がある。1重量%未満では不燃性(火炎伝播性)の点で問題となる。
顔料は、基材樹脂層6の項で説明したものを用いる。また、表面層3は、下層に印刷層5がある場合、耐薬品性等の点から印刷層5を保護する役割を有する。
なお、透明なポリエステルフィルムを表面層3として用いる場合、ポリエステルフィルムがPET−G(シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエチレンテレフタレート)の場合、押出法以外にカレンダー法によって製膜しても良い。
【0025】
表面層3の厚みは、薄くしても製膜性の点で困難が伴うので、発明者らが鋭意検討した結果、厚みは5〜200μmの範囲が好ましいことが判明した。厚みは10〜150μmの範囲がより好ましい。その場合、表面層3を主に構成する樹脂は、その下層にある基材樹脂層6と同じ組成を持つかまたは組成が似た樹脂フィルムであることが表面層3の薄膜化の点で好ましい。すなわち基材樹脂層6としてポリエステル樹脂フィルムを用いた場合、表面層3はポリエステル樹脂であることが好ましい。樹脂フィルムの代わりに、表面層3に塗料を用いた場合、表面層3の薄膜化は可能であるが、低温衝撃試験による加工を行った場合、塗膜にクラックが入りやすく、また、塗膜剥離が起こり、品質上好ましくない。後述するように、本発明の複層フィルムは樹脂フィルムで構成されているので、このような問題は起こらない。特に、複層フィルムがポリエステル系樹脂フィルムで構成されている場合、低温衝撃試験による加工しても、フィルムの剥離が認められない。
厚みが5μm未満では、製膜が困難であり製膜性の点で問題がある。逆に、厚みが150μmを超えると、顔料を最適濃度添加するには多量の添加量が必要となり、かつ表面層3の皮膜が厚いので製造コストが高くなる。
【0026】
図1に示す表面層3からなる単層フィルムは、次のようにして作製することができる。すなわち、表面層3を融点以上に加熱溶融し、押出しにより、単層フィルムとして製膜する。基板1に積層する前に、エンボス加工を施す場合は、押出後、表面層3の表面をエンボス加工したロールに当接して、単層フィルム表面にエンボス加工を施す。
単層フィルムに製膜した後、単層フィルムまたは基板1の積層面に接着剤を塗布し、単層フィルムを基板1に当接してラミネートロールを用いてラミネートする。基板1にフィルムを積層した後エンボス加工を施す場合、単層フィルムを積層した基板1を、表面層3の融点以上に加熱して、エンボス加工したロールを当接し、フィルムを積層した基板1の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等により急激に冷却する。
その他の積層方法として、表面層3からなる溶融状態の樹脂を、基板1の表面に接するようにして積層し、水冷により急冷する。エンボス加工を施す場合、溶融状態の樹脂を基板1に積層した後、エンボス加工したロールを樹脂の表面に当接して、樹脂の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等により急冷する。この場合、エンボス加工は、溶融状態の樹脂を基板1に積層した直後あるいは、基板1に溶融状態の樹脂を積層し、積層した基板1を再度加熱した後行っても良い。
【0027】
図2に示す表面層3、印刷層5及び基材樹脂層6からなる複層フィルム7は、次のようにして作製することができる。すなわち、顔料を含有した基材樹脂6を押出して単層フィルムとして製膜する。この単層フィルム上に印刷層5を設け、さらに、印刷層5の表面に、表面層3を積層して、複層フィルム7を作製する。
金属板に積層する前に、エンボス加工を施す場合は、複層フィルム7の表面層3の表面をエンボス加工したロールに当接して、フィルム表面にエンボス加工を施す。
複層フィルム7の積層は複層フィルム7に製膜後、予め接着剤をフィルムまたは基板1の積層面に塗布し、加熱した基板1に複層フィルム7をラミネートロールを用いてラミネートする。エンボス加工を施す場合、複層フィルム7を積層した基板1を、表面層3と顔料を含有した基材樹脂層6のうち高い融点を有する方の融点以上に加熱して、エンボス加工したロールを当接し、複層フィルム7を積層した基板1の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等によりフィルム積層基板を急激に冷却する。
【0028】
図3に示す複層フィルム7は、次のようにして作製することができる。すなわち、接着樹脂層2と表面層3とをそれぞれの融点以上に加熱溶融し、共押出しにより、2層フィルムとして製膜する。基板1に積層する前に、エンボス加工を施す場合は、共押出後、表面層3の表面をエンボス加工したロールに当接して、複層フィルム表面にエンボス加工を施す。
また、複層フィルム7に製膜した後、予め基板1を接着樹脂層2の融点以上に加熱後、複層フィルム7の接着樹脂層2の面を基板1に当接し、ラミネートロールを用いて基板1にラミネートする。また、他の方法として、接着剤を基板1またはフィルムにの積層面に塗布し、複層フィルム7の接着樹脂層2の面を基板1に当接してラミネートロールを用いてラミネートする。基板1にフィルムを積層した後エンボス加工を施す場合、複層フィルム7を積層した基板1を、表面層3と接着樹脂層2のうち高い融点を有する方の融点以上に加熱して、エンボス加工したロールを当接し、フィルムを積層した基板1の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等により急激に冷却する。
その他の積層方法として、接着樹脂層2と表面層3との2層からなる溶融状態の複層樹脂を、当該複層樹脂の接着樹脂層面を基板1の表面に接するようにして積層し、水冷により急冷する。
エンボス加工を施す場合、溶融状態の複層樹脂を基板1に積層した後、エンボス加工したロールを複層樹脂の表面に当接して、複層樹脂の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等により急冷する。この場合、エンボス加工は、溶融状態の複層樹脂を基板1に積層した直後あるいは、基板1に溶融状態の複層樹脂を積層し、積層した基板1を再度加熱した後行っても良い。
【0029】
図4に示す複層フィルム7は、次のようにして作製することができる。すなわち、接着樹脂層2と基材樹脂層6とを共押出して2層フィルムとして製膜する。この2層フィルム上に印刷層5を設け、さらに、印刷層5の表面に、表面層3を積層して、複層フィルム7を作製する。
金属板に積層する前に、エンボス加工を施す場合は、複層フィルム7の表面層3の表面をエンボス加工したロールに当接して、フィルム表面にエンボス加工を施す。
複層フィルム7の積層は、複層フィルム7に製膜後、予め接着剤をフィルムまたは基板1の積層面に塗布するかまたは塗布しないで、加熱した基板1に複層フィルム7の接着樹脂層2の面を基板1に当接し、ラミネートロールを用いてラミネートする。エンボス加工を施す場合、複層フィルム7を積層した基板1を、表面層3と基材樹脂層6のうち高い融点を有する方の融点以上に加熱して、エンボス加工したロールを当接し、複層フィルム7を積層した基板1の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等によりフィルムを積層した基板を急激に冷却する。
【0030】
上記のようにして製膜して得られた複層フィルム7を、基板1と貼合わせることによって、船舶内装用化粧金属板10が得られる。
また、基板1にラミネートによりフィルムを積層する前後、エンボスロールによって、表面層3の表面にエンボス凹部4を形成させ、立体感のある高意匠性を付与することができる。
上記に説明したように、接着樹脂層2、基材樹脂層6、印刷層5と表面層3との4層フィルム、基材樹脂層6、印刷層5と表面層3との3層フィルム、接着樹脂層2と表面層3との2層フィルムからなる複層フィルム7あるいは、表面層3からなる単層フィルムは、厚みが20.5〜45μmと薄膜であるにもかかわらず、製膜性及びエンボス加工性に優れたフィルムである。
上記フィルムは、基板1の片面または両面に積層する。基板1の片面にフィルムを積層する場合、フィルムを積層しない面には、ウレタン系、アクリル系あるいはポリエステル系等の塗料を塗布するか、または、単層のポリエステル樹脂フィルムを積層しても良い。単層の表面層3を積層する場合、表面層3を積層すると同時に、表面層3の非積層面に積層すると経済的である。
また、フィルムを溶融状態の樹脂で積層する際に、フィルムの非積層面に溶融状態のポリエステル樹脂を同時に積層しても経済的である。
このようにして作製した複層フィルム7を、接着樹脂層2が基板1に接するように基板に積層して、船舶内装用化粧金属板10を作製する。この場合、複層フィルム7あるいは表面層3の単層からなるフィルムにおいては、基板1との界面に接着剤を介して積層しても良い。
【0031】
基板1としては、例えば、鋼板、ティンフリースチール、アルミニウム合金板、亜鉛めっき鋼板、亜鉛―コバルトーモリブデン複合めっき鋼板、亜鉛―ニッケル合金めっき鋼板、亜鉛―鉄合金めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、銅めっき鋼板あるいはステンレス鋼板等の金属板が適用できる。これらの金属板の表面にクロメート処理、リン酸塩処理等の公知の化成処理を施したものも適用できる。
【実施例】
【0032】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
二酸化チタン(99重量%)、及び弁柄、チタンイエロー、群青、カーボンブラック等を含む色付顔料(1重量%)からなる顔料を18重量%含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)からなる表面層3(厚み:90μm)を融点以上に加熱溶融し、押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して単層フィルムを作製した。
次に、厚さ0.8mmの溶融Znめっき(目付け量:120/120g/m)にポリエステル系接着剤を5g/mの乾燥後の塗布量で塗布し、単層フィルムの表面が溶融Znめっきの接着剤塗布面に当接するようにして、加熱温度:235℃、接着圧力:15kgf/cm、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着した。圧着後、表面層3のPBT樹脂の融点以上に表面層3のPBT樹脂を加熱した後、凹状に加工したエンボス加工ロールで表面層3の表面を圧下してエンボス加工を施し、船舶内装用化粧金属板10を得た。
【0033】
(実施例2)
二酸化チタン(99重量%)、及び弁柄、チタンイエロー、群青、カーボンブラック等を含む色付顔料(1重量%)からなる顔料を18重量%含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)からなる基材樹脂層6(厚み:50μm)を融点以上に加熱溶融し、押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して単層フィルムを作製した。
次いで、単層フィルムの表面に絵柄印刷を施し、印刷層5を設け、更に印刷層5の表面に、透明な無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)からなる表面層3(厚み:40μm)を積層し、複層フィルム7を得た。
次に、厚さ0.8mmの溶融Znめっき(目付け量:120/120g/m)にポリエステル系接着剤を5g/mの乾燥後の塗布量で塗布し、基材樹脂層6の表面が溶融Znめっきの接着剤塗布面に当接するようにして、加熱温度:235℃、接着圧力:15kgf/cm、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着した。圧着後、表面層3のPBT樹脂の融点以上に表面層3のPBT樹脂を加熱した後、凹状に加工したエンボス加工ロールで表面層3の表面を圧下してエンボス加工を施し、船舶内装用化粧金属板10を得た。
【0034】
(比較例1)
厚み100μm、顔料TiOを20%含んだ塩化ビニル樹脂フィルム表面に絵柄印刷を施し、更に絵柄印刷の表面に、厚み60μmの透明な塩化ビニル樹脂フィルムを積層し、複層フィルム7を得た。
次いで、厚さ0.5mm のZnめっき鋼板(めっき量:20g/m、クロメート処理:有(Cr量として40mg/m))に、ポリエステル系接着剤を5g/mの乾燥後の塗布量で塗布し、接着樹脂層2の表面が、厚み100μm、顔料を含んだ塩化ビニル樹脂フィルム面が当接するようにして、加熱温度:200℃、接着圧力:15kgf/cm、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着して、フィルム積層金属板を得た。圧着後、塩化ビニル樹脂フィルムの融点以上にフィルム積層金属板を加熱した後、凹状に加工したエンボス加工ロールで表面層3の表面を圧下してエンボス加工を施した。
【0035】
[特性評価]
実施例1、2で作製した船舶内装用化粧金属板を、下記の特性について評価した。特性の評価結果を下記に示す。
【0036】
(表面形状)
JIS B0601による表面形状(RaとRmax)を蝕針式粗度計を用いて測定した。
【0037】
(不燃性)
船舶内装材の不燃試験は、燃焼時の炎の広がりが遅い性質を調べる火炎伝播性試験(表面燃焼性試験)で行う。具体的には、板厚0.5mmで、幅155mm、長さ800mmの板状の船舶内装用化粧金属板を用いて、国際海事機関(IMO)海上安全委員会決議61(67)「火災試験方法の適用に関する国際コード」のパート5「表面燃焼性試験」及びIMO総会決議A653(16)「隔壁、天井及び甲板仕上げ材の表面燃焼試験方法に従って実施した。
評価は、燃焼持続に必要な熱平均値Qsb(MJ/m)が1.5を超えた場合を合格(○で示す)とし、1.5以下を不合格(×で示す)とした。
【0038】
(耐疵付き性)
各船舶内装用化粧金属板の表面を、爪を当ててこすり、こすった箇所が肉眼で明確に判る場合を×、ほとんど周辺と見分けが付かない場合を○として評価した。
【0039】
(加工性)
試験片を折り曲げ加工し、曲げ加工部の樹脂層のクラックの発生程度を肉眼観察した。
【0040】
(低温衝撃性)
各船舶内装用化粧金属板から60×60mmの試験片を10枚ずつ採取し、試験片を−10℃の冷蔵庫に24時間放置後、デュポン衝撃試験(1/2インチ、1,000g、高さ:50cm)を行い、樹脂フィルムの密着性を評価した。
【0041】
(硬度)
JIS K 5401に基づく鉛筆引掻試験機を使用し、鉛筆(JIS S 6006)の芯の硬さを代えて表面層に引掻試験を実施し、表面層に引掻疵が生じた芯の硬さの直前の芯の硬さを表面層の硬さとした。
【0042】
(耐薬品性)
各船舶内装用化粧金属板から60×60mmの試験片を10枚ずつ採取し、試験片を温度20℃の10体積%塩酸溶液、10体積%水酸化ナトリウム溶液中に24時間浸漬し、複層フィルム層の外観変化で評価した。
【0043】
(耐溶剤性)
各船舶内装用化粧金属板から60×60mmの試験片を10枚ずつ採取し、試験片を温度20℃のエタノール、メチルエチルケトン、石油ベンジン中に24時間浸漬し、複層フィルム層の外観変化で評価した。
【0044】
(耐汚染性)
各船舶内装用化粧金属板から60×60mmの試験片を10枚ずつ採取し、試験片に黒の油性インキを塗りつけ、24時間放置した。24時間放置後、中性洗剤及びエタノールを含んだガーゼで試験片の黒の油性インキを拭き取り、表面層の外観変化で評価した。
【0045】
[特性評価結果]
実施例1、2で作製した船舶内装用化粧金属板の特性の評価結果は下記の通りである。実施例1、2共に同様の評価結果を示した。
【0046】
【表1】

【0047】
比較例1は、耐疵付き性が×、加工性(−10℃デュポン衝撃)が×、耐汚染性が△であり問題があったが、それ以外は実施例1と同程度の評価であった。なお、比較例1のRaは6.8μmで、Rmaxは49μmであった。
上記に示すように、本発明の船舶内装用化粧金属板は、船舶用材料として必要不可欠な不燃性(火炎伝播性試験)に優れる。また、表面形状が表面粗さRa5〜9μm、かつRmax35〜60μmの範囲であるので、爪に対する耐疵付き性に優れる。
さらに、上記機能性の他に、加工性(低温衝撃性)、複層フィルムの密着性、耐薬品性、耐溶剤性、および耐汚染性にも優れ、加工を施しても樹脂層間や樹脂層と基板の接着界面で剥離を生じることがない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の船舶内装用化粧金属板は、金属板を基板として、表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、顔料を含有したPBT樹脂フィルムを積層するか、金属板を基板として、下層として基材樹脂層と、中間層として印刷層、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、透明なPBTからなる複層フィルムを積層するので、船舶用材料として必要不可欠な不燃性(火炎伝播性試験)に優れる。
また、表面形状が表面粗さRa5〜9μm、かつRmax35〜60μmの範囲であるので、爪に対する耐疵付き性に優れる。
複層フィルムを接着剤を介在あるいは介在させないで金属板等の基板に積層した本発明の船舶内装用化粧金属板は、上記機能性の他に、加工性(低温衝撃性)、複層フィルムの密着性、耐薬品性、耐溶剤性、および耐汚染性にも優れ、加工を施しても樹脂層間や樹脂層と基板の接着界面で剥離を生じることがない。
本発明の船舶内装用化粧金属板は、上記のような多機能を有するので、船舶内装用パネル、壁板あるいは天井板として広く適用できる。また、船舶に使われる照明器具反射板、机、ベッド、クロゼットあるいは机等の家具類にも適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 : 基板
2 : 接着樹脂層
3 : 表面層
4 : エンボス凹部
5 : 印刷層
6 : 基材樹脂層
7 : 複層フィルム
10 : 船舶内装用化粧金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を基板として、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、顔料を含有したポリエステル樹脂フィルムを積層した船舶内装用化粧金属板。
【請求項2】
金属板を基板として、下層としてポリエステル樹脂からなる基材樹脂層と、中間層として印刷層、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、透明なポリエステルフィルムからなる複層フィルムを積層した船舶内装用化粧金属板。
【請求項3】
金属板を基板として、下層として接着樹脂層、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、顔料を含有したポリエステル樹脂フィルムからなる複層フィルムを積層した船舶内装用化粧金属板。
【請求項4】
金属板を基板として、下層から順次接着樹脂層、ポリエステル樹脂から成る基材樹脂層、印刷層、表面層として表面粗さRaが5〜9μm、かつRmaxが35〜60μmの範囲の表面形状を有し、透明なポリエステルフィルムからなる複層フィルムを積層した船舶内装用化粧金属板。
【請求項5】
前記透明なポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいはポリブチレンテレフタレート樹脂からなることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の船舶内装用化粧金属板。
【請求項6】
ポリエステル樹脂からなる基材樹脂層が、ポリブチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の船舶内装用化粧金属板。
【請求項7】
接着樹脂層が、ポリエステル樹脂からなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の船舶内装用化粧金属板。
【請求項8】
前記ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートの多価酸成分もしくは多価アルコール成分の一部を他の成分で置き換えた結晶性の共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の船舶内装用化粧金属板。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の船舶内装用化粧金属板を用いて、加工してなる船舶内装用パネル、壁板、天井板、照明器具反射板、ベッド、クロゼットあるいは机からなる船舶内装板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−178134(P2011−178134A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47124(P2010−47124)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(390003193)東洋鋼鈑株式会社 (265)
【Fターム(参考)】