説明

船舶用イグニッションスイッチ装置

【課題】単一のイグニッションキーで操作可能とされるとともに設置スペースを低減させることができ、且つ、複数の船外機を始動又は停止させる際の操作性を向上させることができる船舶用イグニッションスイッチ装置を提供する。
【解決手段】オフ位置とオン位置との間で回動操作可能なロータ6と、ロータ6がオン位置にあるとき船外機に駆動のためのバッテリ電圧を供給させるとともに、当該ロータ6がオフ位置にあるとき船外機に対するバッテリ電圧の供給を停止させるスイッチ手段7とを有したキーシリンダ1を具備し、当該スイッチ手段7は、複数の船外機のそれぞれに対応した可動接点7ca〜7cc及び固定接点7ea〜7ecが形成され、ロータ6の回動操作で当該可動接点及び固定接点の接触又は離間を一括して行わせて複数の船外機に対するバッテリ電圧の供給又は供給の停止を行わせ得るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に搭載された複数の船外機を始動又は停止させるための船舶用イグニッションスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船外機を複数搭載したプレジャーボート等の船舶は、従来、それぞれの船外機に対応させた複数のキーシリンダを有したイグニッションスイッチ装置を具備していた。例えば、船外機を3台搭載させた所謂3基掛けの船舶においては、それぞれの船外機に対応させたキーシリンダが3つ配設されており、各キーシリンダには、オフ位置、オン位置及び始動位置の間を回動操作可能なロータがそれぞれ配設されていた。各ロータは、オン位置に至ると、それに対応する船外機に対して駆動のためのバッテリ電圧(船舶に搭載されたバッテリの電圧)を供給させ、更に始動位置まで回動操作されると、当該対応する船外機を始動させ得るよう構成されている。
【0003】
そして、イグニッションキーを回動操作して各ロータを順次、オフ位置からオン位置、更には始動位置とすることにより、その船舶が具備する全ての船外機を始動させ得るようになっていた。然るに、従来の船舶用イグニッションスイッチ装置は、各ロータ(3基掛けの場合は、3つのキーシリンダのそれぞれのロータ)にそれぞれイグニッションキーを挿通させた状態としておき、順次オフ位置からオン位置、更には始動位置に回動操作させ、船外機の始動を行わせるものとされていた。また、船舶を停止させる際には、各ロータにそれぞれ挿通させたイグニッションキーを順次オフ位置に回動操作させていた。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の船舶用イグニッションスイッチ装置においては、船外機に対応した複数のキーシリンダを具備していたため、それぞれのロータに挿通状態とさせるための複数のイグニッションキー(搭載された船外機の数分だけのイグニッションキー)が必要とされてしまうともに、比較的広い設置スペースが必要となってしまうという問題があった。また、複数の船外機を始動又は停止させる際、複数のロータに挿通させたそれぞれのイグニッションキーを順次回動操作する必要があり、操作性が悪いという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、単一のイグニッションキーで操作可能とされるとともに設置スペースを低減させることができ、且つ、複数の船外機を始動又は停止させる際の操作性を向上させることができる船舶用イグニッションスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、船舶に搭載された複数の船外機を始動又は停止させるための船舶用イグニッションスイッチ装置において、イグニッションキーを挿通させた状態でオフ位置とオン位置との間で回動操作可能なロータと、該ロータがオン位置にあるとき前記船外機に駆動のためのバッテリ電圧を供給させるとともに、当該ロータがオフ位置にあるとき前記船外機に対する前記バッテリ電圧の供給を停止させるスイッチ手段とを有したキーシリンダを具備し、当該キーシリンダのスイッチ手段は、複数の前記船外機のそれぞれに対応した可動接点及び固定接点が複数形成され、前記ロータの回動操作で当該可動接点及び固定接点の接触又は離間を一括して行わせて複数の前記船外機に対するバッテリ電圧の供給又は供給の停止を行わせ得ることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の船舶用イグニッションスイッチ装置において、複数の前記船外機のそれぞれに対応した複数の操作ノブから成り、当該操作ノブの操作によって、その対応した船外機を始動又は停止させる操作手段が形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の船舶用イグニッションスイッチ装置において、複数の前記船外機に対する共用の操作ノブから成り、当該操作ノブの操作によって、複数の前記船外機を一括して始動又は停止させる共用操作手段が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、キーシリンダのスイッチ手段は、複数の船外機のそれぞれに対応した可動接点及び固定接点が複数形成され、ロータの回動操作で当該可動接点及び固定接点の接触又は離間を一括して行わせて複数の船外機に対するバッテリ電圧の供給又は供給の停止を行わせ得るので、単一のイグニッションキーで操作可能とされるとともに設置スペースを低減させることができ、且つ、複数の船外機を始動又は停止させる際の操作性を向上させることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、複数の船外機のそれぞれに対応した複数の操作ノブから成り、当該操作ノブの操作によって、その対応した船外機を始動又は停止させる操作手段が形成されたので、複数の船外機のうち任意のものを選択して始動又は停止させることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、複数の船外機に対する共用の操作ノブから成り、当該操作ノブの操作によって、複数の船外機を一括して始動又は停止させる共用操作手段が形成されたので、当該共用操作手段の操作によって複数の船外機を一括して始動又は停止させることができ、船外機の始動又は停止時の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る船舶用イグニッションスイッチ装置を示す全体外観図
【図2】同船舶用イグニッションスイッチ装置におけるキーシリンダを示す縦断面図
【図3】同船舶用イグニッションスイッチ装置におけるキーシリンダのロータを示す模式図であって、(a)ロータがオフ位置の状態(b)ロータがオン位置の状態を示す図
【図4】同船舶用イグニッションスイッチ装置におけるスイッチ手段の固定端子を示す模式図であって、(a)平面図(b)A−A断面図
【図5】同スイッチ手段の可動接点と固定接点との位置関係を示す模式図であって、(a)ロータがオフ位置の状態(b)ロータがオン位置の状態を示す図
【図6】同スイッチ手段のスイッチ回路を示す図
【図7】同船舶用イグニッションスイッチ装置における操作ノブ(操作手段及び共用操作手段)を示す平面図及び正面図
【図8】同操作ノブ(操作手段及び共用操作手段)を示す縦断面図
【図9】同船舶用イグニッションスイッチ装置におけるイグニッションキーを示す正面図
【図10】同船舶用イグニッションスイッチ装置が適用される船舶を示す模式図
【図11】本発明の他の実施形態に係る船舶用イグニッションスイッチ装置を示す全体外観図
【図12】本発明の更に他の実施形態に係る船舶用イグニッションスイッチ装置を示す全体外観図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る船舶用イグニッションスイッチ装置は、船舶に搭載された複数の船外機を始動又は停止させるためのもので、図1に示すように、キーシリンダ1と、操作手段2を構成する操作ノブ(2a〜2c)と、共用操作手段を構成する操作ノブ3と、船外機の駆動を強制停止させるキルスイッチノブ4とを有して構成されている。本実施形態に適用される船舶は、図10に示すように、3つの船外機(G1〜G3)を搭載した所謂3基掛けとされている。尚、本実施形態に係る船舶用イグニッションスイッチ装置を構成するキーシリンダ1、操作ノブ(2a〜2c)、共用操作手段を構成する操作ノブ3等は、船舶のキャビン前方に位置するパネルPに配設されている。
【0014】
キーシリンダ1は、図2、3に示すように、イグニッションキーIKを挿通させた状態でオフ位置(図3(a)参照)とオン位置(同図(b)参照)との間で回動操作可能なロータ6と、該ロータ6がオン位置にあるとき船外機(G1〜G3)に駆動のためのバッテリ電圧(船舶に搭載されたバッテリの電圧)を供給させるとともに、当該ロータ6がオフ位置にあるとき船外機(G1〜G3)に対するバッテリ電圧の供給を停止させるスイッチ手段7とを有している。
【0015】
ロータ6は、キーシリンダ1の筐体内において回動可能に配設されたもので、その上端面にイグニッションキーIKのキー部IKa(図9参照)を挿通させ得るキー孔6a(図1参照)が形成されているとともに、当該キー孔6aにイグニッションキーIKのキー部IKaを挿通させると、そのキー山に応じて動作して筐体との係止が解かれるタンブラ6bが形成されている。尚、イグニッションキーIKは、図9に示すように、キー山が形成されたキー部IKaと、該キー部IKaの基端側と連結されて操作者が把持し得る把持部IKbとを有して構成されている。
【0016】
スイッチ手段7は、ロータ6がオン位置にあるとき全ての船外機(G1〜G3)に駆動のためのバッテリ電圧を供給させるとともに、当該ロータ6がオフ位置にあるとき全ての船外機(G1〜G3)に対するバッテリ電圧の供給を停止させるものであり、図4、5に示すように、可動接点(7ca〜7cc)が形成された連動部材7aと、固定接点(7ea〜7ec)が形成された端子板7bとを有して構成されている。
【0017】
連動部材7aは、所謂ローラと称されるもので、ロータ6の下端面と連結されて構成されており、ロータ6の回動に伴って筐体内で回動可能とされたものである。かかる連動部材7aには、中心から外側に向かって放射状に3つの可動接点(7ca〜7cc)がそれぞれ形成されており、例えば可動接点7caが船外機G1、可動接点7cbが船外機G2、可動接点7ccが船外機G3にそれぞれ対応するよう設定されている。
【0018】
更に、可動接点(7ca〜7cc)は、それぞれバネ7dによって端子板7b側に付勢されており、ロータ6と連動して連動部材7aが回動すると、3つの可動接点(7ca〜7cc)が端子板7b側に付勢されつつ同方向に連れ回しされるよう構成されている。尚、連動部材7aには、バネ8bで付勢されたボール8aが形成されており、ロータ6の回動操作に伴う連動部材7aの回動時、節度が付与されるようになっている。
【0019】
端子板7bは、キーシリンダ1の下端側に取り付けられた部品から成り、図4に示すように、可動接点(7ca〜7cc)のそれぞれに対応した固定接点(7ea〜7ec)及びオフ用の固定接点7fが形成されている。より具体的には、ロータ6がオフ位置にあるとき、図5(a)に示すように、可動接点(7ca〜7cc)はオフ用の固定接点7fと接触した状態とされており、固定接点(7ea〜7ec)とは離間した状態とされている。尚、このオフ位置においては、船外機(G1〜G3)に対するバッテリ電圧は供給されない。
【0020】
そして、オフ位置からロータ6をオン位置に回動操作すると、可動接点(7ca〜7cc)が同時に連れ回しされ、同図(b)に示すように、可動接点7caが固定接点7ea、可動接点7cbが固定接点7eb、可動接点7ccが固定接点7ecとそれぞれ接触し、図6に示すように、所定の電気回路を形成する。このように所定の電気回路が形成されると、船外機(G1〜G3)に対するバッテリ電圧の供給が行われることとなる。一方、オン位置からロータ6をオフ位置に回動操作すると、可動接点(7ca〜7cc)が同時に連れ回しされ、同図(a)に示すように、可動接点7caが固定接点7ea、可動接点7cbが固定接点7eb、可動接点7ccが固定接点7ecからそれぞれ離間し、所定の電気回路(ロータ6がオン位置にあるとき形成された電気回路)が遮断される。
【0021】
これにより、ロータ6の回動操作で可動接点(7ca〜7cc)及び固定接点(7ea〜7ec)の接触又は離間を一括して行わせて複数の(本実施形態においては3つの)船外機(G1〜G3)に対するバッテリ電圧の供給又は供給の停止をロータ6に対する操作で行わせることができる。即ち、単一のロータ6に対する回動操作によって、複数の船外機(G1〜G3)に対するバッテリ電圧の供給又は供給の停止を同時に行わせることができ、操作性を向上させることができるのである。
【0022】
操作手段2は、押しボタン式の操作ノブ(2a〜2c)で構成されたもので、例えば操作ノブ2aが船外機G1、操作ノブ2bが船外機G2、操作ノブ2cが船外機G3にそれぞれ対応し、何れかの操作ノブ(2a〜2c)を押圧操作すると、その対応した船外機(G1〜G3)を始動又は停止させ得るよう設定されている。即ち、キーシリンダ1におけるロータ6の回動操作によって、全ての船外機(G1〜G3)をオン状態としてバッテリ電圧を供給するとともに、操作手段2に対する操作によって、船外機(G1〜G3)のうち何れかを選択的に始動させることができるのである。
【0023】
より具体的には、操作手段2(操作ノブ2a〜2c)は、図7、8に示すように、リターンスプリング10によって突出する側に付勢された押しボタン9と、基板12に形成されたタクトスイッチ11と、押しボタン9とタクトスイッチ11との間に配設され、当該押しボタン9の押圧操作に伴って下降してタクトスイッチ11をオンする操作子13とを有しており、船外機(G1〜G3)が停止した状態で且つキーシリンダ1のロータ6がオン位置にあるとき、操作ノブ(2a〜2c)の何れかの押しボタン9を押圧操作すると、タクトスイッチ11からオン信号が発せられ、それに対応した船外機(G1〜G3)が始動するとともに、船外機(G1〜G3)が駆動した状態のとき、操作ノブ(2a〜2c)の何れかの押しボタン9を押圧操作すると、タクトスイッチ11からオフ信号が発せられ、それに対応した船外機(G1〜G3)が停止するよう構成されているのである。尚、図8中符号14は、タクトスイッチ11を覆って防水を図るためのカバーを示している。
【0024】
共用操作手段を構成する操作ノブ3は、複数(本実施形態においては3つ)の船外機(G1〜G3)に対する共用のもの(単一の操作ノブ)から成り、当該操作ノブ3の操作によって、複数の船外機(G1〜G3)を一括して始動又は停止させることができるよう構成されている。かかる操作ノブ3の装置構成は、上述した操作ノブ2と同様のものとされている。而して、船外機(G1〜G3)が停止した状態で且つキーシリンダ1のロータ6がオン位置にあるとき、操作ノブ3の押しボタン9を押圧操作すると、タクトスイッチ11からオン信号が発せられ、全ての船外機(G1〜G3)が始動するとともに、船外機(G1〜G3)が駆動した状態のとき、操作ノブ3の押しボタン9を押圧操作すると、タクトスイッチ11からオフ信号が発せられ、全ての船外機(G1〜G3)が停止するよう構成されているのである。
【0025】
キルスイッチノブ4は、運転者が船舶から脱落したとき、船外機の駆動を強制停止させるためのもので、没入方向に付勢されるとともにプレート5によって突出状態が維持されている。プレート5には、図示しないワイヤが延設されており、そのワイヤの一端が運転者に取り付け可能とされている。そして、通常状態においては、プレート5によってキルスイッチノブ4が突出状態に保持されているが、運転者が船舶から脱落してワイヤが引っ張られ、プレート5がキルスイッチノブ4から外れると、当該キルスイッチノブ4が没入方向に移動し、船外機の駆動を強制停止させ得るようになっている。
【0026】
上記実施形態によれば、キーシリンダ1のスイッチ手段7は、複数の船外機(G1〜G3)のそれぞれに対応した可動接点(7ca〜7cc)及び固定接点(7ea〜7ec)が複数形成され、ロータ6の回動操作で当該可動接点(7ca〜7cc)及び固定接点(7ea〜7ec)の接触又は離間を一括して行わせて複数の船外機(G1〜G3)に対するバッテリ電圧の供給又は供給の停止を行わせ得るので、単一のイグニッションキーIKで操作可能とされるとともに設置スペースを低減させることができ、且つ、複数の船外機(G1〜G3)を始動又は停止させる際の操作性を向上させることができる。
【0027】
即ち、操作手段2としての操作ノブ2a〜2c及び共用操作手段としての操作ノブ3は、ロータ6等を有したキーシリンダ1と比べて小型のものであるため、キーシリンダ1を船外機の数に応じて複数配設させたものに比べ、本実施形態の如く単一のキーシリンダ1と操作ノブ2、3とを具備させたものの方が、全体として小型化を図ることができ、設置スペースを低減させることができるのである。
【0028】
また、複数の船外機(G1〜G3)のそれぞれに対応した複数の操作ノブ(2a〜2c)から成り、当該操作ノブ(2a〜2c)の操作によって、その対応した船外機(G1〜G3)を始動又は停止させる操作手段2が形成されたので、複数の船外機(G1〜G3)のうち任意のものを選択して始動又は停止させることができる。従って、例えば何れかの船外機が故障した際、或いは何れかの船外機を停止させて他の船外機のみで推進力を得ようとした際、駆動させるべき船外機のみを選択的に始動させることができる。
【0029】
更に、複数の船外機(G1〜G3)に対する共用の操作ノブ3から成り、当該操作ノブ3の操作によって、複数の船外機(G1〜G3)を一括して始動又は停止させる共用操作手段が形成されたので、当該共用操作手段の操作によって複数の船外機(G1〜G3)を一括して始動又は停止させることができ、船外機(G1〜G3)の始動又は停止時の操作性を向上させることができる。特に、本実施形態においては、操作手段2を構成する操作ノブ(2a〜2c)に加えて共用の操作ノブ3が配設されているので、同時に全ての船外機(G1〜G3)を始動又は停止させる際には共用の操作ノブ3を操作し、何れかの船外機(G1〜G3)を選択的に始動又は停止させる際には操作ノブ(2a〜2c)の何れかを操作することができる。
【0030】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図11に示すように、単一のキーシリンダ1と、操作手段2を構成する操作ノブ(2a〜2c)と、キルスイッチノブ4とを有した船舶用イグニッションスイッチ装置としてもよく、或いは図12に示すように、単一のキーシリンダ1と、共用操作手段を構成する操作ノブ3と、キルスイッチノブ4とを有した船舶用イグニッションスイッチ装置としてもよい。何れの場合も、キルスイッチノブ4を具備しないものとしてもよい。
【0031】
更に、本実施形態においては、3つの船外機(G1〜G3)を搭載した所謂3基掛けの船舶に適用されているが、船外機を複数搭載した船舶であれば、2つの船外機を搭載したもの(2基掛けの船舶)や4つ以上の船外機を搭載したもの(4基掛け以上の船舶)に適用してもよい。また、本実施形態においては、操作手段2を構成する操作ノブ(2a〜2c)及び共用操作手段を構成する操作ノブ3が押しボタン式のもので構成されているが、これに代えて他の形態の操作手段(シーソー式の操作ノブ等)としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
イグニッションキーを挿通させた状態でオフ位置とオン位置との間で回動操作可能なロータと、ロータがオン位置にあるとき船外機に駆動のためのバッテリ電圧を供給させるとともに、当該ロータがオフ位置にあるとき船外機に対するバッテリ電圧の供給を停止させるスイッチ手段とを有したキーシリンダを具備し、当該キーシリンダのスイッチ手段は、複数の船外機のそれぞれに対応した可動接点及び固定接点が複数形成され、ロータの回動操作で当該可動接点及び固定接点の接触又は離間を一括して行わせて複数の船外機に対するバッテリ電圧の供給又は供給の停止を行わせ得る船舶用イグニッションスイッチ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 キーシリンダ
2 操作手段
2a 操作ノブ
2b 操作ノブ
2c 操作ノブ
3 共用操作手段
4 キルスイッチノブ
5 プレート
6 ロータ
7 スイッチ手段
7a 連動部材
7b 端子板
7ca〜7cc 可動接点
7d バネ
7ea〜7ec 固定接点
7f オフ用の固定接点
8a ボール
8b バネ
9 押しボタン
10 リターンスプリング
11 タクトスイッチ
12 基板
13 操作子
14 カバー
IK イグニッションキー
G1〜G3 船外機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載された複数の船外機を始動又は停止させるための船舶用イグニッションスイッチ装置において、
イグニッションキーを挿通させた状態でオフ位置とオン位置との間で回動操作可能なロータと、
該ロータがオン位置にあるとき前記船外機に駆動のためのバッテリ電圧を供給させるとともに、当該ロータがオフ位置にあるとき前記船外機に対する前記バッテリ電圧の供給を停止させるスイッチ手段と、
を有したキーシリンダを具備し、当該キーシリンダのスイッチ手段は、複数の前記船外機のそれぞれに対応した可動接点及び固定接点が複数形成され、前記ロータの回動操作で当該可動接点及び固定接点の接触又は離間を一括して行わせて複数の前記船外機に対するバッテリ電圧の供給又は供給の停止を行わせ得ることを特徴とする船舶用イグニッションスイッチ装置。
【請求項2】
複数の前記船外機のそれぞれに対応した複数の操作ノブから成り、当該操作ノブの操作によって、その対応した船外機を始動又は停止させる操作手段が形成されたことを特徴とする請求項1記載の船舶用イグニッションスイッチ装置。
【請求項3】
複数の前記船外機に対する共用の操作ノブから成り、当該操作ノブの操作によって、複数の前記船外機を一括して始動又は停止させる共用操作手段が形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の船舶用イグニッションスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−1026(P2012−1026A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135650(P2010−135650)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000213954)朝日電装株式会社 (184)
【Fターム(参考)】