色処理装置、画像処理装置、及びプログラム
【課題】複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量を、処理性能に与える影響を抑えつつ低減させる。
【解決手段】画像処理装置のK生成部50において、省トナー変換式記憶部52が、NTSC変換式の係数をKトナーの使用量を低減させるように変更した変換式である省トナー変換式を記憶しておく。そして、モード信号取得部51が、トナーの使用量を低減させるモードが指定されたことを示す省トナーモード信号を取得すると、グレイ化処理部53が、省トナー変換式を省トナー変換式記憶部52から読み込み、NTSC変換式の代わりに省トナー変換式を用いてRGBデータをグレイスケールデータに変換し、濃度算出部54が、グレイスケールデータからKデータを算出する。
【解決手段】画像処理装置のK生成部50において、省トナー変換式記憶部52が、NTSC変換式の係数をKトナーの使用量を低減させるように変更した変換式である省トナー変換式を記憶しておく。そして、モード信号取得部51が、トナーの使用量を低減させるモードが指定されたことを示す省トナーモード信号を取得すると、グレイ化処理部53が、省トナー変換式を省トナー変換式記憶部52から読み込み、NTSC変換式の代わりに省トナー変換式を用いてRGBデータをグレイスケールデータに変換し、濃度算出部54が、グレイスケールデータからKデータを算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色処理装置、画像処理装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
白黒画像領域だけにトナーセーブ処理を実行させたり、白黒画像領域あるいはカラー画像領域の内、操作者の希望する画像領域にトナーセーブ処理を実行させ、しかもそれぞれの領域を所望のトナーセーブ率で実行させたりする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、原稿をCCDでスキャンして得たRGB画像データを、RGB色空間からLab色空間に変換し、省トナーモードの場合は、地色補正や色彩補正等の画像処理において、L(明度)成分を通常より大(明るく)とし、Lab色空間をCMYK色空間に変換し、CMYKに変換した画像データを2値化処理し、プリンタに出力する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−308450号公報
【特許文献2】特開2005−86289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量を、処理性能に与える影響を抑えつつ低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、色材の使用量を低減させる指示がなされた旨の信号を検出する検出手段と、前記検出手段により前記信号が検出された場合に、複数の色成分からなる第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う単色化処理手段とを備えたことを特徴とする色処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の変換式は、前記複数の色成分の各色成分に、当該各色成分に対して予め決められた係数を乗じて加算することにより、前記第1の色信号を輝度信号に変換する式であり、前記第2の変換式は、前記複数の色成分の各色成分に、当該各色成分に対する新たな係数であって、少なくとも1つの色成分に対する新たな係数が当該少なくとも1つの色成分に対する前記予め決められた係数よりも大きい新たな係数を乗じて加算する式であることを特徴とする請求項1に記載の色処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1の色信号の特徴量に基づいて、前記新たな係数を決定する決定手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の色処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、当該複数の色成分の全ての色成分に共通の補正係数を乗ずることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記特徴量は、前記第1の色信号で再現される色の明度及び輝度の何れか一方の値であり、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記値が小さいほど大きい補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3又は4に記載の色処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、当該複数の色成分ごとに異なる補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記特徴量は、前記第1の色信号を構成する前記複数の色成分の値の最大値と当該複数の色成分の各色成分の値との差分であり、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記差分が閾値以下であれば、1より大きな補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3又は6に記載の色処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記差分が小さいほど大きい前記補正係数を乗じることを特徴とする請求項7に記載の色処理装置である。
請求項9に記載の発明は、複数の色成分からなる第1の色信号を取得する取得手段と、色材の使用量を低減させる指示がなされた場合に、前記取得手段により取得された前記第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う単色化処理手段と、前記単色化処理手段による単色化処理で得られた前記第2の色信号を印字機構に出力する出力手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置である。
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、色材の使用量を低減させる指示がなされた旨の信号を検出する機能と、前記信号が検出された場合に、複数の色成分からなる第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量を、処理性能に与える影響を抑えつつ低減させることができる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、単色の色材の使用量を簡単な方法で低減させることができる。
請求項3の発明によれば、複数の色成分からなる色信号の特徴量を反映させて、その色信号を単色化した信号に基づく単色の色材の使用量を低減させることができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、単色の色材の使用量を低減させる変換式を生成するための構成を単純化できる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、明度又は輝度が低い色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量の低減の程度を大きくすることができる。
請求項6の発明によれば、単色の色材の使用量の低減の程度を色領域ごとに変えることができる。
請求項7の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量の低減の程度を細かく制御することができる。
請求項8の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量の低減の程度をより一層細かく制御することができる。
請求項9の発明によれば、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量を、処理性能に与える影響を抑えつつ低減させることができる。
請求項10の発明によれば、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量を、処理性能に与える影響を抑えつつ低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像処理装置の構成例を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるKトナー削減方法について説明するためのグラフである。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるK生成部の機能構成例を示したブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるK生成部の動作例を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるKトナー削減方法について説明するためのグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるKトナー削減方法について説明するためのグラフである。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるK生成部の機能構成例を示したブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるK生成部の動作例を示したフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態におけるKトナー削減方法について説明するための表である。
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるK生成部の機能構成例を示したブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態におけるK生成部の動作例を示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態を実現可能なコンピュータのハードウェア構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における画像処理装置10の構成例を示したものである。
図示するように、この画像処理装置10は、CMY生成部20と、UCR(Under Color Removal)部30と、CMYK階調補正部40とを備えている。また、K生成部50と、K階調補正部60と、セレクタ70とを備えている。
【0009】
CMY生成部20は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色で表現された色データ(以下、「RGBデータ」という)から、3次元ルックアップテーブルを用いて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色で表現された色データ(以下、「CMYデータ」という)を生成し、出力する。ここで、RGBデータは、図示しないPC(Personal Computer)から受信したPDL(Page Description Language)データを解釈することで得られたものであってもよいし、図示しないスキャナで画像を読み取ることで得られたものであってもよい。
UCR部30は、CMY生成部20が出力したCMYデータからUCR処理(下色除去処理)によってK(黒)データを生成し、C、M、Y、Kの各色で表現された色データ(以下、「CMYKデータ」という)を出力する。
CMYK階調補正部40は、UCR部30が出力したCMYKデータに対して、TRC(Tone Reproduction Curve)に関するデータを用いて階調補正を施し、階調補正されたCMYKデータを出力する。
【0010】
K生成部50は、RGBデータからKデータを生成し、出力する。
K階調補正部60は、K生成部50が出力したKデータに対して、TRCに関するデータを用いて階調補正を施し、階調補正されたKデータを出力する。
セレクタ70は、カラーモードが選択された場合には、CMYK階調補正部40が出力したCMYKデータを、白黒モードが選択された場合には、K階調補正部60が出力したKデータを、図示しない印字機構に出力する。また、後者の場合は、C、M、Yの各トナーを使用しない旨の情報も印字機構に送られる。
【0011】
尚、図1では、カラー画像形成装置における画像処理装置10の構成例を示したが、白黒画像形成装置にも本発明は適用可能である。この場合、画像処理装置10は、CMY生成部20、UCR部30、CMYK階調補正部40、セレクタ70を備えず、RGBデータがK生成部50のみに入力されてKデータに変換され、K階調補正部60で階調補正が行われて、セレクタ70を介さずに、図示しない印字機構に出力される構成となる。
【0012】
ところで、図1の画像処理装置10のK生成部50は、一般に、予め決められた変換式を用いて、グレイ化処理、つまり、RGBデータをグレイスケールデータに変換する処理を行っている。ここで、予め決められた変換式の代表例は、NTSC(National Television Standards Committee)方式のグレイ化処理で用いられる変換式(以下、「NTSC変換式」という)であり、次の式1で表される。
Gray=0.299×R+0.58×G+0.11×B (式1)
この式において、R、G、Bは、それぞれRGBデータにおけるR成分、G成分、B成分の値を示しており、Grayは、グレイスケールの値を示している。また、R成分に対する「0.299」、G成分に対する「0.58」、B成分に対する「0.11」を、NTSC係数と呼ぶことにする。
【0013】
しかしながら、このNTSC変換式をそのまま用いてKトナーの量を一律に削減する場合、高濃度領域におけるKトナーの削減量が少ないからといって、高濃度側に合わせてKトナーを削減したのでは、中間調領域やハイライト領域におけるKトナーの削減量も多くなってしまい、画像情報が消失して把握できなくなる等の問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、RGBデータをKデータに変換する変換式を、NTSC変換式から、Kトナーの量を低減させる変換式(以下、「省トナー変換式」という)に変更する。
【0014】
以下、変換式を変更する方法について、第1〜第3の実施の形態として説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態は、グレイ化処理で用いる変換式の係数を変更するものである。
図2は、入力される色データが変化した場合のK量を表すグラフである。
まず、Aは、Kトナーの削減処理を行っていない場合、つまり、上記式1を用いた場合のK量を示したものである。
【0015】
また、B、Cは、変換式を次の式2のように変更した場合のK量を示したものである。
Gray=α1×0.299×R+α2×0.58×G+α3×0.11×B (式2)
このうち、Bでは、NTSC係数に対する補正係数α1、α2、α3は同じ値で、1よりも大きい値であるものとする。これにより、K量は、全体的に削減されているが、ΔKY1で示すイエロー領域の削減量よりも、ΔKB1で示す青領域の削減量が小さくなっている。
【0016】
一方、Cでは、NTSC係数に対する補正係数α1、α2、α3が異なる値で、α3を他の補正係数よりも大きく設定している。これにより、ΔKB2で示す青領域の削減量が大きくなっている。
即ち、NTSC変換式で算出したKの値に対してKトナーの削減処理を行う場合、K量が多い領域に合わせて処理すると、元々明るい色領域のKトナーが削減されすぎてしまう。
そこで、Cでは、NTSC変換式に対する補正係数を色成分ごとに変更することによって、例えば、イエローからシアンまでの領域では、Kトナーの削減量が少なくなるようにし、K量が多い領域(青からマゼンタまでの領域)では、Kトナーの削減量が多くなるようにし、色相領域ごとに削減量を最適化している。
また、B、C共に、NTSC変換式を変更するだけなので、省トナー処理を行ってもパフォーマンスには影響しない。
【0017】
次に、このような方法を実現するためのK生成部50について説明する。
図3は、第1の実施の形態におけるK生成部50の機能構成例を示した図である。
図示するように、第1の実施の形態におけるK生成部50は、モード信号取得部51と、省トナー変換式記憶部52と、グレイ化処理部53と、濃度算出部54とを備えている。
【0018】
モード信号取得部51は、トナーの使用量を低減させるモード(以下、「省トナーモード」という)が指定された場合に、省トナーモードが指定されたことを示す信号(以下、「省トナーモード信号」という)を取得する。本実施の形態では、信号を検出する検出手段の一例として、モード信号取得部51を設けている。
省トナー変換式記憶部52は、省トナー変換式を記憶する。ここで、省トナー変換式としては、式そのものを記憶してもよいし、R、G、B各成分に対する係数を記憶してもよいし、R、G、B各成分に対する係数からNTSC係数を除いた補正係数のみを記憶してもよい。
【0019】
グレイ化処理部53は、モード信号取得部51から省トナーモード信号が与えられなければ、NTSC変換式を用いてRGBデータをグレイスケールデータに変換し、出力する。一方で、モード信号取得部51から省トナーモード信号が与えられれば、省トナー変換式記憶部52から省トナー変換式を読み込み、省トナー変換式を用いてRGBデータをグレイスケールデータに変換し、出力する。本実施の形態では、第1の変換式の一例として、NTSC変換式を、第2の変換式の一例として、省トナー変換式を用いており、第1の変換式の代わりに第2の変換式を用いて単色化処理を行う単色化処理手段との一例として、グレイ化処理部53を設けている。
濃度算出部54は、グレイ化処理部53が出力したグレイスケールデータからKトナー量の元となる濃度を算出する。
【0020】
次いで、第1の実施の形態におけるK生成部50の動作について説明する。
図4は、第1の実施の形態におけるK生成部50の動作例を示したフローチャートである。
K生成部50では、まず、モード信号取得部51が、省トナーモード信号を取得したかどうかを判定する(ステップ201)。
その結果、モード信号取得部51が、省トナーモード信号を取得したと判定した場合、グレイ化処理部53は、省トナー変換式記憶部52から省トナー変換式を読み出す(ステップ202)。そして、自身が保持するNTSC変換式をこの省トナー変換式で置き換え、この省トナー変換式を保持する(ステップ203)。
一方、モード信号取得部51が、省トナーモード信号を取得したと判定しなかった場合、グレイ化処理部53は、自身が保持するNTSC変換式を他の変換式で置き換えることなく、そのまま保持する。
その後、グレイ化処理部53は、その時点で自身が保持する変換式を用いてRGBデータをグレイスケールデータに変換する(ステップ204)。そして、このグレイスケールデータからKデータを生成して出力する(ステップ205)。
【0021】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、グレイ化処理で用いる変換式の係数を、入力された色データに応じて変更するものである。特に、この第2の実施の形態では、入力された色データから得られる明度に応じて変換式の係数を変更する。
図5(a)は、図2で与えられた色データを明度に変換した値を示したグラフである。
図中、Laは、最も明度が低い点の明度である最低明度を表し、Lbは、最も明度が高い点の明度である最高明度を表している。
【0022】
そして、この第2の実施の形態では、図5(b)に示すように、最高明度Lbにおいて最小となり、最低明度Laにおいて最大となる補正係数βLを決定する。また、最高明度Lbと最低明度Laの中間の明度に対する補正係数βLは、明度が低ければ大きくなり、明度が高ければ小さくなるようにする。
この場合、変換式は、次の式3に示したようなものとなる。
Gray=βL×0.299×R+βL×0.58×G+βL×0.11×B (式3)
また、次の式4のように、第1の実施の形態で用いた補正係数と掛け合わせてもよい。
Gray=α1×βL×R+α2×βL×G+α3×βL×B (式4)
【0023】
このように、本実施の形態は、明度が低い、つまり、入力された色データの高濃度の領域で、Kトナーの削減量を増やし、明度が高い領域におけるKトナーの削減量を抑えるものである。
図6は、図2と同様に、Kトナーの削減を示したグラフである。
図中、Aは、低明度の色データについてKトナーの削減処理を行っていない場合のK量を、Bは、Aと同じ色データについて変換式を式3のように変更した場合のK量を、それぞれ示している。また、A’は、入力された色データがAよりも高明度の色データについてKトナーの削減処理を行っていない場合のK量を、B’は、A’と同じ色データについて変換式を式3のように変更した場合のK量を、それぞれ示している。例えば、ΔK1で示す削減量よりもΔK2で示す削減量が小さくなっていることからも分かるように、同じ色相であっても明度が高いほどKトナーの削減量は小さくなる。
また、本実施の形態は、式4のように色成分ごとの補正係数と併せて用いることで、色領域ごとの明度に応じた変換式を提供するものとなる。
【0024】
尚、上記では、補正係数βLを、全色相における最低明度Laと最高明度Lbを用いて決定したが、これには限らない。例えば、予め定めた色相における最低明度と最高明度を用いて補正係数βLを算出してもよい。
また、上記では、明度に応じて変換式の係数を変更したが、輝度に応じて変換式の係数を変更するようにしてもよい。
或いは、色データが高彩度のデータである場合に大きな補正係数を掛け、色データが低彩度のデータである場合に小さな補正係数を掛けることで、高彩度の場合よりも低彩度の場合の方がKトナーの削減量が小さくなるようにしてもよい。
【0025】
次に、このような方法を実現するためのK生成部50について説明する。尚、以下の説明では、明度に応じて式3のような変換式を得る場合を想定する。
図7は、第2の実施の形態におけるK生成部50の機能構成例を示した図である。
図示するように、第2の実施の形態におけるK生成部50は、モード信号取得部51と、省トナー変換式記憶部52と、グレイ化処理部53と、濃度算出部54と、補正係数算出部56と、省トナー変換式生成部57とを備えている。尚、モード信号取得部51、省トナー変換式記憶部52、グレイ化処理部53、濃度算出部54は、第1の実施の形態で述べたものと同様なので、ここでの説明は省略する。
【0026】
補正係数算出部56は、RGBデータに基づいて、補正係数βLを算出する。
省トナー変換式生成部57は、補正係数算出部56が算出した補正係数βLを用いて、省トナー変換式を生成する。尚、省トナー変換式記憶部52に補正係数のみを記憶するのであれば、この省トナー変換式生成部57は設けなくてもよい。本実施の形態では、新たな係数を決定する決定手段との一例として、省トナー変換式生成部57を設けている。
【0027】
次いで、第2の実施の形態におけるK生成部50の動作について説明する。
まず、省トナー変換式を生成して省トナー変換式記憶部52に記憶するときの動作について説明する。
図8は、このときのK生成部50の動作例を示したフローチャートである。
K生成部50では、まず、補正係数算出部56が、RGBデータから公知の計算方法によって明度Lを算出する(ステップ221)。
また、補正係数算出部56は、補正係数βLを決定するための関数f(L)を取得する(ステップ222)。ここで、f(L)は、L=Laのときに最大値を、L=Lbのときに最小値1をとり、「L1<L2ならばf(L1)≧f(L2)」という条件を満たす関数であり、例えば、図5(b)に示したような関数であるものとする。
更に、補正係数算出部56は、ステップ221で算出した明度Lを、ステップ222で取得した関数に代入して、補正係数βLを求める(ステップ223)。
これにより、省トナー変換式生成部57は、自身が保持するNTSC変換式における各NTSC係数に補正係数βLを掛けて、省トナー変換式を生成する(ステップ224)。
そして、省トナー変換式生成部57は、このように生成された省トナー変換式を省トナー変換式記憶部52に記憶する(ステップ225)。
【0028】
このようにして省トナー変換式が省トナー変換式記憶部52に記憶されると、K生成部50は、第1の実施の形態で述べたのと同様の処理により、この省トナー変換式を用いてRGBデータをKデータに変換する。
【0029】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態も、グレイ化処理で用いる変換式の係数を、入力された色データに応じて変更するものである。但し、この第3の実施の形態では、入力された色データにおけるRGB各色成分の値に応じて変換式の係数を変更する。具体的には、RGBの全色成分のうちの最大値とRGBのある色成分の値との差分が予め定めた閾値より小さい場合は、変換式のその色成分に対して1より大きな補正係数を与える。このとき、1より大きな補正係数は、差分に応じて変化させる。一方、差分が閾値以上である場合は、変換式のその色成分に対する補正係数は1とする。つまり、その色成分に対する係数は、初期係数のままとする。
【0030】
図9は、このような補正係数の決定方法を例示したものである。尚、以下では、閾値を50として説明する。
例えば、1行目では、RGBの各色成分の値の最大値は255である。従って、Rの値と最大値との差分は0となり、閾値以下であるので、γ1には1より大きな値である1.5が設定されている。また、Gの値と最大値との差分は255となり、閾値以上であるので、γ2には1が設定されている。更に、Bの値と最大値との差分も255となり、閾値以上であるので、γ3には1が設定されている。
また、2行目では、γ1とγ3には1行目と同様に値が設定されている。これに対し、γ2には、Gの値と最大値との差分が5となり、閾値以下であるので、1より大きな値である1.25が設定されている。
【0031】
更に、19行目でも、RGBの各色成分の値の最大値は255である。従って、Rの値と最大値との差分は255となり、閾値以上であるので、γ1には1が設定されている。また、Gの値と最大値との差分は127となり、閾値以上であるので、γ2には1が設定されている。更に、Bの値と最大値との差分は0となり、閾値以下であるので、γ3には1より大きな値である2.0が設定されている。
また、20行目では、γ1とγ3には19行目と同様に値が設定されている。これに対し、γ2には、Gの値と最大値との差分が15となり、閾値以下であるので、1より大きな値である1.8が設定されている。
尚、図では、Gの値と最大値との差分も、γ2も、2行目の方が20行目よりも小さくなっている。これは、2行目と20行目では、色相が異なっているからである。
【0032】
この場合、変換式は、次の式5に示したようなものとなる。
Gray=γ1×βL×R+γ2×βL×G+γ3×βL×B (式5)
尚、γ1、γ2、γ3をβLに掛けたものを新たな係数とするのではなく、γ1、γ2、γ3をNTSC係数に掛けたものを新たな係数とすることにより、変換式を求めてもよい。
【0033】
次に、このような方法を実現するためのK生成部50について説明する。
図10は、第3の実施の形態におけるK生成部50の機能構成例を示した図である。
図示するように、第3の実施の形態におけるK生成部50は、モード信号取得部51と、省トナー変換式記憶部52と、グレイ化処理部53と、濃度算出部54と、最大値算出部55と、補正係数算出部56r,56g,56bと、省トナー変換式生成部57とを備えている。尚、モード信号取得部51、省トナー変換式記憶部52、グレイ化処理部53、濃度算出部54は、第1の実施の形態で述べたものと同様なので、ここでの説明は省略する。
【0034】
最大値算出部55は、RGBの各色成分の値の最大値を求める。
補正係数算出部56rは、最大値算出部55が算出した最大値とRの値とに基づいて、補正係数γ1を算出する。
補正係数算出部56gは、最大値算出部55が算出した最大値とGの値とに基づいて、補正係数γ2を算出する。
補正係数算出部56bは、最大値算出部55が算出した最大値とBの値とに基づいて、補正係数γ3を算出する。
省トナー変換式生成部57は、補正係数算出部56r,56g,56bがそれぞれ算出した補正係数γ1、γ2、γ3を用いて、省トナー変換式を生成する。尚、省トナー変換式記憶部52に補正係数のみを記憶するのであれば、この省トナー変換式生成部57は設けなくてもよい。本実施の形態では、新たな係数を決定する決定手段との一例として、省トナー変換式生成部57を設けている。
【0035】
次いで、第3の実施の形態におけるK生成部50の動作について説明する。
まず、省トナー変換式を生成して省トナー変換式記憶部52に記憶するときの動作について説明する。
図11は、このときのK生成部50の動作例を示したフローチャートである。
K生成部50では、まず、最大値算出部55が、RGBの各色成分の値のうちの最大値Mを求める(ステップ241)。
次に、補正係数算出部56rは、最大値MとRの値との差分が閾値Thより小さいかどうか判定する(ステップ242)。そして、差分が閾値Thより小さければ、差分の大きさに応じて補正係数γ1を求める(ステップ243)。また、差分が閾値Th以上であれば、補正係数γ1を1とする(ステップ244)。
【0036】
また、補正係数算出部56gは、最大値MとGの値との差分が閾値Thより小さいかどうか判定する(ステップ245)。そして、差分が閾値Thより小さければ、差分の大きさに応じて補正係数γ2を求める(ステップ246)。また、差分が閾値Th以上であれば、補正係数γ2を1とする(ステップ247)。
更に、補正係数算出部56bは、最大値MとBの値との差分が閾値Thより小さいかどうか判定する(ステップ248)。そして、差分が閾値Thより小さければ、差分の大きさに応じて補正係数γ3を求める(ステップ249)。また、差分が閾値Th以上であれば、補正係数γ3を1とする(ステップ250)。
【0037】
これにより、省トナー変換式生成部57は、補正係数算出部56rが算出した補正係数γ1を用いてR成分に対する係数を、補正係数算出部56gが算出した補正係数γ2を用いてG成分に対する係数を、補正係数算出部56bが算出した補正係数γ3を用いてB成分に対する係数をそれぞれ決定し、省トナー変換式を生成する(ステップ251)。
そして、省トナー変換式生成部57は、このように生成された省トナー変換式を省トナー変換式記憶部52に記憶する(ステップ252)。
【0038】
このようにして省トナー変換式が省トナー変換式記憶部52に記憶されると、K生成部50は、第1の実施の形態で述べたのと同様の処理により、この省トナー変換式を用いてRGBデータをKデータに変換する。
【0039】
以上により、本実施の形態の説明を終了する。
尚、本実施の形態では、グレイ化処理で用いる変換式の係数を、入力された色データに応じて変更することを示したが、処理対象の原稿に応じて変更するようにしてもよい。例えば、第1の実施の形態において処理対象の原稿にR成分が多く含まれる場合に補正係数α1を大きくすることが考えられる。
また、本実施の形態では、グレイ化処理を前提として説明したが、入力された色データをグレイ以外の単色の色データに変換する単色化処理にも本発明は適用可能である。
【0040】
ところで、本実施の形態における画像処理装置10は、プリンタ等の画像形成装置内で実現するようにしてもよいが、PC等の汎用のコンピュータ内でも実現可能である。
以下、このような汎用のコンピュータをコンピュータ90として、そのハードウェア構成について説明する。
【0041】
図12は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0042】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
50…K生成部、51…モード信号取得部、52…省トナー変換式記憶部、53…グレイ化処理部、54…濃度算出部、55…最大値算出部、56r,56g,56b…補正係数算出部、57…省トナー変換式生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、色処理装置、画像処理装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
白黒画像領域だけにトナーセーブ処理を実行させたり、白黒画像領域あるいはカラー画像領域の内、操作者の希望する画像領域にトナーセーブ処理を実行させ、しかもそれぞれの領域を所望のトナーセーブ率で実行させたりする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、原稿をCCDでスキャンして得たRGB画像データを、RGB色空間からLab色空間に変換し、省トナーモードの場合は、地色補正や色彩補正等の画像処理において、L(明度)成分を通常より大(明るく)とし、Lab色空間をCMYK色空間に変換し、CMYKに変換した画像データを2値化処理し、プリンタに出力する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−308450号公報
【特許文献2】特開2005−86289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量を、処理性能に与える影響を抑えつつ低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、色材の使用量を低減させる指示がなされた旨の信号を検出する検出手段と、前記検出手段により前記信号が検出された場合に、複数の色成分からなる第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う単色化処理手段とを備えたことを特徴とする色処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の変換式は、前記複数の色成分の各色成分に、当該各色成分に対して予め決められた係数を乗じて加算することにより、前記第1の色信号を輝度信号に変換する式であり、前記第2の変換式は、前記複数の色成分の各色成分に、当該各色成分に対する新たな係数であって、少なくとも1つの色成分に対する新たな係数が当該少なくとも1つの色成分に対する前記予め決められた係数よりも大きい新たな係数を乗じて加算する式であることを特徴とする請求項1に記載の色処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1の色信号の特徴量に基づいて、前記新たな係数を決定する決定手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の色処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、当該複数の色成分の全ての色成分に共通の補正係数を乗ずることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記特徴量は、前記第1の色信号で再現される色の明度及び輝度の何れか一方の値であり、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記値が小さいほど大きい補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3又は4に記載の色処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、当該複数の色成分ごとに異なる補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記特徴量は、前記第1の色信号を構成する前記複数の色成分の値の最大値と当該複数の色成分の各色成分の値との差分であり、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記差分が閾値以下であれば、1より大きな補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3又は6に記載の色処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記差分が小さいほど大きい前記補正係数を乗じることを特徴とする請求項7に記載の色処理装置である。
請求項9に記載の発明は、複数の色成分からなる第1の色信号を取得する取得手段と、色材の使用量を低減させる指示がなされた場合に、前記取得手段により取得された前記第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う単色化処理手段と、前記単色化処理手段による単色化処理で得られた前記第2の色信号を印字機構に出力する出力手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置である。
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、色材の使用量を低減させる指示がなされた旨の信号を検出する機能と、前記信号が検出された場合に、複数の色成分からなる第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量を、処理性能に与える影響を抑えつつ低減させることができる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、単色の色材の使用量を簡単な方法で低減させることができる。
請求項3の発明によれば、複数の色成分からなる色信号の特徴量を反映させて、その色信号を単色化した信号に基づく単色の色材の使用量を低減させることができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、単色の色材の使用量を低減させる変換式を生成するための構成を単純化できる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、明度又は輝度が低い色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量の低減の程度を大きくすることができる。
請求項6の発明によれば、単色の色材の使用量の低減の程度を色領域ごとに変えることができる。
請求項7の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量の低減の程度を細かく制御することができる。
請求項8の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量の低減の程度をより一層細かく制御することができる。
請求項9の発明によれば、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量を、処理性能に与える影響を抑えつつ低減させることができる。
請求項10の発明によれば、複数の色成分からなる色信号を単色化した色信号に基づく単色の色材の使用量を、処理性能に与える影響を抑えつつ低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像処理装置の構成例を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるKトナー削減方法について説明するためのグラフである。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるK生成部の機能構成例を示したブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるK生成部の動作例を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるKトナー削減方法について説明するためのグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるKトナー削減方法について説明するためのグラフである。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるK生成部の機能構成例を示したブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるK生成部の動作例を示したフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態におけるKトナー削減方法について説明するための表である。
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるK生成部の機能構成例を示したブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態におけるK生成部の動作例を示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態を実現可能なコンピュータのハードウェア構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における画像処理装置10の構成例を示したものである。
図示するように、この画像処理装置10は、CMY生成部20と、UCR(Under Color Removal)部30と、CMYK階調補正部40とを備えている。また、K生成部50と、K階調補正部60と、セレクタ70とを備えている。
【0009】
CMY生成部20は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色で表現された色データ(以下、「RGBデータ」という)から、3次元ルックアップテーブルを用いて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色で表現された色データ(以下、「CMYデータ」という)を生成し、出力する。ここで、RGBデータは、図示しないPC(Personal Computer)から受信したPDL(Page Description Language)データを解釈することで得られたものであってもよいし、図示しないスキャナで画像を読み取ることで得られたものであってもよい。
UCR部30は、CMY生成部20が出力したCMYデータからUCR処理(下色除去処理)によってK(黒)データを生成し、C、M、Y、Kの各色で表現された色データ(以下、「CMYKデータ」という)を出力する。
CMYK階調補正部40は、UCR部30が出力したCMYKデータに対して、TRC(Tone Reproduction Curve)に関するデータを用いて階調補正を施し、階調補正されたCMYKデータを出力する。
【0010】
K生成部50は、RGBデータからKデータを生成し、出力する。
K階調補正部60は、K生成部50が出力したKデータに対して、TRCに関するデータを用いて階調補正を施し、階調補正されたKデータを出力する。
セレクタ70は、カラーモードが選択された場合には、CMYK階調補正部40が出力したCMYKデータを、白黒モードが選択された場合には、K階調補正部60が出力したKデータを、図示しない印字機構に出力する。また、後者の場合は、C、M、Yの各トナーを使用しない旨の情報も印字機構に送られる。
【0011】
尚、図1では、カラー画像形成装置における画像処理装置10の構成例を示したが、白黒画像形成装置にも本発明は適用可能である。この場合、画像処理装置10は、CMY生成部20、UCR部30、CMYK階調補正部40、セレクタ70を備えず、RGBデータがK生成部50のみに入力されてKデータに変換され、K階調補正部60で階調補正が行われて、セレクタ70を介さずに、図示しない印字機構に出力される構成となる。
【0012】
ところで、図1の画像処理装置10のK生成部50は、一般に、予め決められた変換式を用いて、グレイ化処理、つまり、RGBデータをグレイスケールデータに変換する処理を行っている。ここで、予め決められた変換式の代表例は、NTSC(National Television Standards Committee)方式のグレイ化処理で用いられる変換式(以下、「NTSC変換式」という)であり、次の式1で表される。
Gray=0.299×R+0.58×G+0.11×B (式1)
この式において、R、G、Bは、それぞれRGBデータにおけるR成分、G成分、B成分の値を示しており、Grayは、グレイスケールの値を示している。また、R成分に対する「0.299」、G成分に対する「0.58」、B成分に対する「0.11」を、NTSC係数と呼ぶことにする。
【0013】
しかしながら、このNTSC変換式をそのまま用いてKトナーの量を一律に削減する場合、高濃度領域におけるKトナーの削減量が少ないからといって、高濃度側に合わせてKトナーを削減したのでは、中間調領域やハイライト領域におけるKトナーの削減量も多くなってしまい、画像情報が消失して把握できなくなる等の問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、RGBデータをKデータに変換する変換式を、NTSC変換式から、Kトナーの量を低減させる変換式(以下、「省トナー変換式」という)に変更する。
【0014】
以下、変換式を変更する方法について、第1〜第3の実施の形態として説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態は、グレイ化処理で用いる変換式の係数を変更するものである。
図2は、入力される色データが変化した場合のK量を表すグラフである。
まず、Aは、Kトナーの削減処理を行っていない場合、つまり、上記式1を用いた場合のK量を示したものである。
【0015】
また、B、Cは、変換式を次の式2のように変更した場合のK量を示したものである。
Gray=α1×0.299×R+α2×0.58×G+α3×0.11×B (式2)
このうち、Bでは、NTSC係数に対する補正係数α1、α2、α3は同じ値で、1よりも大きい値であるものとする。これにより、K量は、全体的に削減されているが、ΔKY1で示すイエロー領域の削減量よりも、ΔKB1で示す青領域の削減量が小さくなっている。
【0016】
一方、Cでは、NTSC係数に対する補正係数α1、α2、α3が異なる値で、α3を他の補正係数よりも大きく設定している。これにより、ΔKB2で示す青領域の削減量が大きくなっている。
即ち、NTSC変換式で算出したKの値に対してKトナーの削減処理を行う場合、K量が多い領域に合わせて処理すると、元々明るい色領域のKトナーが削減されすぎてしまう。
そこで、Cでは、NTSC変換式に対する補正係数を色成分ごとに変更することによって、例えば、イエローからシアンまでの領域では、Kトナーの削減量が少なくなるようにし、K量が多い領域(青からマゼンタまでの領域)では、Kトナーの削減量が多くなるようにし、色相領域ごとに削減量を最適化している。
また、B、C共に、NTSC変換式を変更するだけなので、省トナー処理を行ってもパフォーマンスには影響しない。
【0017】
次に、このような方法を実現するためのK生成部50について説明する。
図3は、第1の実施の形態におけるK生成部50の機能構成例を示した図である。
図示するように、第1の実施の形態におけるK生成部50は、モード信号取得部51と、省トナー変換式記憶部52と、グレイ化処理部53と、濃度算出部54とを備えている。
【0018】
モード信号取得部51は、トナーの使用量を低減させるモード(以下、「省トナーモード」という)が指定された場合に、省トナーモードが指定されたことを示す信号(以下、「省トナーモード信号」という)を取得する。本実施の形態では、信号を検出する検出手段の一例として、モード信号取得部51を設けている。
省トナー変換式記憶部52は、省トナー変換式を記憶する。ここで、省トナー変換式としては、式そのものを記憶してもよいし、R、G、B各成分に対する係数を記憶してもよいし、R、G、B各成分に対する係数からNTSC係数を除いた補正係数のみを記憶してもよい。
【0019】
グレイ化処理部53は、モード信号取得部51から省トナーモード信号が与えられなければ、NTSC変換式を用いてRGBデータをグレイスケールデータに変換し、出力する。一方で、モード信号取得部51から省トナーモード信号が与えられれば、省トナー変換式記憶部52から省トナー変換式を読み込み、省トナー変換式を用いてRGBデータをグレイスケールデータに変換し、出力する。本実施の形態では、第1の変換式の一例として、NTSC変換式を、第2の変換式の一例として、省トナー変換式を用いており、第1の変換式の代わりに第2の変換式を用いて単色化処理を行う単色化処理手段との一例として、グレイ化処理部53を設けている。
濃度算出部54は、グレイ化処理部53が出力したグレイスケールデータからKトナー量の元となる濃度を算出する。
【0020】
次いで、第1の実施の形態におけるK生成部50の動作について説明する。
図4は、第1の実施の形態におけるK生成部50の動作例を示したフローチャートである。
K生成部50では、まず、モード信号取得部51が、省トナーモード信号を取得したかどうかを判定する(ステップ201)。
その結果、モード信号取得部51が、省トナーモード信号を取得したと判定した場合、グレイ化処理部53は、省トナー変換式記憶部52から省トナー変換式を読み出す(ステップ202)。そして、自身が保持するNTSC変換式をこの省トナー変換式で置き換え、この省トナー変換式を保持する(ステップ203)。
一方、モード信号取得部51が、省トナーモード信号を取得したと判定しなかった場合、グレイ化処理部53は、自身が保持するNTSC変換式を他の変換式で置き換えることなく、そのまま保持する。
その後、グレイ化処理部53は、その時点で自身が保持する変換式を用いてRGBデータをグレイスケールデータに変換する(ステップ204)。そして、このグレイスケールデータからKデータを生成して出力する(ステップ205)。
【0021】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、グレイ化処理で用いる変換式の係数を、入力された色データに応じて変更するものである。特に、この第2の実施の形態では、入力された色データから得られる明度に応じて変換式の係数を変更する。
図5(a)は、図2で与えられた色データを明度に変換した値を示したグラフである。
図中、Laは、最も明度が低い点の明度である最低明度を表し、Lbは、最も明度が高い点の明度である最高明度を表している。
【0022】
そして、この第2の実施の形態では、図5(b)に示すように、最高明度Lbにおいて最小となり、最低明度Laにおいて最大となる補正係数βLを決定する。また、最高明度Lbと最低明度Laの中間の明度に対する補正係数βLは、明度が低ければ大きくなり、明度が高ければ小さくなるようにする。
この場合、変換式は、次の式3に示したようなものとなる。
Gray=βL×0.299×R+βL×0.58×G+βL×0.11×B (式3)
また、次の式4のように、第1の実施の形態で用いた補正係数と掛け合わせてもよい。
Gray=α1×βL×R+α2×βL×G+α3×βL×B (式4)
【0023】
このように、本実施の形態は、明度が低い、つまり、入力された色データの高濃度の領域で、Kトナーの削減量を増やし、明度が高い領域におけるKトナーの削減量を抑えるものである。
図6は、図2と同様に、Kトナーの削減を示したグラフである。
図中、Aは、低明度の色データについてKトナーの削減処理を行っていない場合のK量を、Bは、Aと同じ色データについて変換式を式3のように変更した場合のK量を、それぞれ示している。また、A’は、入力された色データがAよりも高明度の色データについてKトナーの削減処理を行っていない場合のK量を、B’は、A’と同じ色データについて変換式を式3のように変更した場合のK量を、それぞれ示している。例えば、ΔK1で示す削減量よりもΔK2で示す削減量が小さくなっていることからも分かるように、同じ色相であっても明度が高いほどKトナーの削減量は小さくなる。
また、本実施の形態は、式4のように色成分ごとの補正係数と併せて用いることで、色領域ごとの明度に応じた変換式を提供するものとなる。
【0024】
尚、上記では、補正係数βLを、全色相における最低明度Laと最高明度Lbを用いて決定したが、これには限らない。例えば、予め定めた色相における最低明度と最高明度を用いて補正係数βLを算出してもよい。
また、上記では、明度に応じて変換式の係数を変更したが、輝度に応じて変換式の係数を変更するようにしてもよい。
或いは、色データが高彩度のデータである場合に大きな補正係数を掛け、色データが低彩度のデータである場合に小さな補正係数を掛けることで、高彩度の場合よりも低彩度の場合の方がKトナーの削減量が小さくなるようにしてもよい。
【0025】
次に、このような方法を実現するためのK生成部50について説明する。尚、以下の説明では、明度に応じて式3のような変換式を得る場合を想定する。
図7は、第2の実施の形態におけるK生成部50の機能構成例を示した図である。
図示するように、第2の実施の形態におけるK生成部50は、モード信号取得部51と、省トナー変換式記憶部52と、グレイ化処理部53と、濃度算出部54と、補正係数算出部56と、省トナー変換式生成部57とを備えている。尚、モード信号取得部51、省トナー変換式記憶部52、グレイ化処理部53、濃度算出部54は、第1の実施の形態で述べたものと同様なので、ここでの説明は省略する。
【0026】
補正係数算出部56は、RGBデータに基づいて、補正係数βLを算出する。
省トナー変換式生成部57は、補正係数算出部56が算出した補正係数βLを用いて、省トナー変換式を生成する。尚、省トナー変換式記憶部52に補正係数のみを記憶するのであれば、この省トナー変換式生成部57は設けなくてもよい。本実施の形態では、新たな係数を決定する決定手段との一例として、省トナー変換式生成部57を設けている。
【0027】
次いで、第2の実施の形態におけるK生成部50の動作について説明する。
まず、省トナー変換式を生成して省トナー変換式記憶部52に記憶するときの動作について説明する。
図8は、このときのK生成部50の動作例を示したフローチャートである。
K生成部50では、まず、補正係数算出部56が、RGBデータから公知の計算方法によって明度Lを算出する(ステップ221)。
また、補正係数算出部56は、補正係数βLを決定するための関数f(L)を取得する(ステップ222)。ここで、f(L)は、L=Laのときに最大値を、L=Lbのときに最小値1をとり、「L1<L2ならばf(L1)≧f(L2)」という条件を満たす関数であり、例えば、図5(b)に示したような関数であるものとする。
更に、補正係数算出部56は、ステップ221で算出した明度Lを、ステップ222で取得した関数に代入して、補正係数βLを求める(ステップ223)。
これにより、省トナー変換式生成部57は、自身が保持するNTSC変換式における各NTSC係数に補正係数βLを掛けて、省トナー変換式を生成する(ステップ224)。
そして、省トナー変換式生成部57は、このように生成された省トナー変換式を省トナー変換式記憶部52に記憶する(ステップ225)。
【0028】
このようにして省トナー変換式が省トナー変換式記憶部52に記憶されると、K生成部50は、第1の実施の形態で述べたのと同様の処理により、この省トナー変換式を用いてRGBデータをKデータに変換する。
【0029】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態も、グレイ化処理で用いる変換式の係数を、入力された色データに応じて変更するものである。但し、この第3の実施の形態では、入力された色データにおけるRGB各色成分の値に応じて変換式の係数を変更する。具体的には、RGBの全色成分のうちの最大値とRGBのある色成分の値との差分が予め定めた閾値より小さい場合は、変換式のその色成分に対して1より大きな補正係数を与える。このとき、1より大きな補正係数は、差分に応じて変化させる。一方、差分が閾値以上である場合は、変換式のその色成分に対する補正係数は1とする。つまり、その色成分に対する係数は、初期係数のままとする。
【0030】
図9は、このような補正係数の決定方法を例示したものである。尚、以下では、閾値を50として説明する。
例えば、1行目では、RGBの各色成分の値の最大値は255である。従って、Rの値と最大値との差分は0となり、閾値以下であるので、γ1には1より大きな値である1.5が設定されている。また、Gの値と最大値との差分は255となり、閾値以上であるので、γ2には1が設定されている。更に、Bの値と最大値との差分も255となり、閾値以上であるので、γ3には1が設定されている。
また、2行目では、γ1とγ3には1行目と同様に値が設定されている。これに対し、γ2には、Gの値と最大値との差分が5となり、閾値以下であるので、1より大きな値である1.25が設定されている。
【0031】
更に、19行目でも、RGBの各色成分の値の最大値は255である。従って、Rの値と最大値との差分は255となり、閾値以上であるので、γ1には1が設定されている。また、Gの値と最大値との差分は127となり、閾値以上であるので、γ2には1が設定されている。更に、Bの値と最大値との差分は0となり、閾値以下であるので、γ3には1より大きな値である2.0が設定されている。
また、20行目では、γ1とγ3には19行目と同様に値が設定されている。これに対し、γ2には、Gの値と最大値との差分が15となり、閾値以下であるので、1より大きな値である1.8が設定されている。
尚、図では、Gの値と最大値との差分も、γ2も、2行目の方が20行目よりも小さくなっている。これは、2行目と20行目では、色相が異なっているからである。
【0032】
この場合、変換式は、次の式5に示したようなものとなる。
Gray=γ1×βL×R+γ2×βL×G+γ3×βL×B (式5)
尚、γ1、γ2、γ3をβLに掛けたものを新たな係数とするのではなく、γ1、γ2、γ3をNTSC係数に掛けたものを新たな係数とすることにより、変換式を求めてもよい。
【0033】
次に、このような方法を実現するためのK生成部50について説明する。
図10は、第3の実施の形態におけるK生成部50の機能構成例を示した図である。
図示するように、第3の実施の形態におけるK生成部50は、モード信号取得部51と、省トナー変換式記憶部52と、グレイ化処理部53と、濃度算出部54と、最大値算出部55と、補正係数算出部56r,56g,56bと、省トナー変換式生成部57とを備えている。尚、モード信号取得部51、省トナー変換式記憶部52、グレイ化処理部53、濃度算出部54は、第1の実施の形態で述べたものと同様なので、ここでの説明は省略する。
【0034】
最大値算出部55は、RGBの各色成分の値の最大値を求める。
補正係数算出部56rは、最大値算出部55が算出した最大値とRの値とに基づいて、補正係数γ1を算出する。
補正係数算出部56gは、最大値算出部55が算出した最大値とGの値とに基づいて、補正係数γ2を算出する。
補正係数算出部56bは、最大値算出部55が算出した最大値とBの値とに基づいて、補正係数γ3を算出する。
省トナー変換式生成部57は、補正係数算出部56r,56g,56bがそれぞれ算出した補正係数γ1、γ2、γ3を用いて、省トナー変換式を生成する。尚、省トナー変換式記憶部52に補正係数のみを記憶するのであれば、この省トナー変換式生成部57は設けなくてもよい。本実施の形態では、新たな係数を決定する決定手段との一例として、省トナー変換式生成部57を設けている。
【0035】
次いで、第3の実施の形態におけるK生成部50の動作について説明する。
まず、省トナー変換式を生成して省トナー変換式記憶部52に記憶するときの動作について説明する。
図11は、このときのK生成部50の動作例を示したフローチャートである。
K生成部50では、まず、最大値算出部55が、RGBの各色成分の値のうちの最大値Mを求める(ステップ241)。
次に、補正係数算出部56rは、最大値MとRの値との差分が閾値Thより小さいかどうか判定する(ステップ242)。そして、差分が閾値Thより小さければ、差分の大きさに応じて補正係数γ1を求める(ステップ243)。また、差分が閾値Th以上であれば、補正係数γ1を1とする(ステップ244)。
【0036】
また、補正係数算出部56gは、最大値MとGの値との差分が閾値Thより小さいかどうか判定する(ステップ245)。そして、差分が閾値Thより小さければ、差分の大きさに応じて補正係数γ2を求める(ステップ246)。また、差分が閾値Th以上であれば、補正係数γ2を1とする(ステップ247)。
更に、補正係数算出部56bは、最大値MとBの値との差分が閾値Thより小さいかどうか判定する(ステップ248)。そして、差分が閾値Thより小さければ、差分の大きさに応じて補正係数γ3を求める(ステップ249)。また、差分が閾値Th以上であれば、補正係数γ3を1とする(ステップ250)。
【0037】
これにより、省トナー変換式生成部57は、補正係数算出部56rが算出した補正係数γ1を用いてR成分に対する係数を、補正係数算出部56gが算出した補正係数γ2を用いてG成分に対する係数を、補正係数算出部56bが算出した補正係数γ3を用いてB成分に対する係数をそれぞれ決定し、省トナー変換式を生成する(ステップ251)。
そして、省トナー変換式生成部57は、このように生成された省トナー変換式を省トナー変換式記憶部52に記憶する(ステップ252)。
【0038】
このようにして省トナー変換式が省トナー変換式記憶部52に記憶されると、K生成部50は、第1の実施の形態で述べたのと同様の処理により、この省トナー変換式を用いてRGBデータをKデータに変換する。
【0039】
以上により、本実施の形態の説明を終了する。
尚、本実施の形態では、グレイ化処理で用いる変換式の係数を、入力された色データに応じて変更することを示したが、処理対象の原稿に応じて変更するようにしてもよい。例えば、第1の実施の形態において処理対象の原稿にR成分が多く含まれる場合に補正係数α1を大きくすることが考えられる。
また、本実施の形態では、グレイ化処理を前提として説明したが、入力された色データをグレイ以外の単色の色データに変換する単色化処理にも本発明は適用可能である。
【0040】
ところで、本実施の形態における画像処理装置10は、プリンタ等の画像形成装置内で実現するようにしてもよいが、PC等の汎用のコンピュータ内でも実現可能である。
以下、このような汎用のコンピュータをコンピュータ90として、そのハードウェア構成について説明する。
【0041】
図12は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0042】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
50…K生成部、51…モード信号取得部、52…省トナー変換式記憶部、53…グレイ化処理部、54…濃度算出部、55…最大値算出部、56r,56g,56b…補正係数算出部、57…省トナー変換式生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材の使用量を低減させる指示がなされた旨の信号を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記信号が検出された場合に、複数の色成分からなる第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う単色化処理手段と
を備えたことを特徴とする色処理装置。
【請求項2】
前記第1の変換式は、前記複数の色成分の各色成分に、当該各色成分に対して予め決められた係数を乗じて加算することにより、前記第1の色信号を輝度信号に変換する式であり、
前記第2の変換式は、前記複数の色成分の各色成分に、当該各色成分に対する新たな係数であって、少なくとも1つの色成分に対する新たな係数が当該少なくとも1つの色成分に対する前記予め決められた係数よりも大きい新たな係数を乗じて加算する式であることを特徴とする請求項1に記載の色処理装置。
【請求項3】
前記第1の色信号の特徴量に基づいて、前記新たな係数を決定する決定手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の色処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、当該複数の色成分の全ての色成分に共通の補正係数を乗ずることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置。
【請求項5】
前記特徴量は、前記第1の色信号で再現される色の明度及び輝度の何れか一方の値であり、
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記値が小さいほど大きい補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3又は4に記載の色処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、当該複数の色成分ごとに異なる補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置。
【請求項7】
前記特徴量は、前記第1の色信号を構成する前記複数の色成分の値の最大値と当該複数の色成分の各色成分の値との差分であり、
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記差分が閾値以下であれば、1より大きな補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3又は6に記載の色処理装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記差分が小さいほど大きい前記補正係数を乗じることを特徴とする請求項7に記載の色処理装置。
【請求項9】
複数の色成分からなる第1の色信号を取得する取得手段と、
色材の使用量を低減させる指示がなされた場合に、前記取得手段により取得された前記第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う単色化処理手段と、
前記単色化処理手段による単色化処理で得られた前記第2の色信号を印字機構に出力する出力手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
色材の使用量を低減させる指示がなされた旨の信号を検出する機能と、
前記信号が検出された場合に、複数の色成分からなる第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う機能と
を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
色材の使用量を低減させる指示がなされた旨の信号を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記信号が検出された場合に、複数の色成分からなる第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う単色化処理手段と
を備えたことを特徴とする色処理装置。
【請求項2】
前記第1の変換式は、前記複数の色成分の各色成分に、当該各色成分に対して予め決められた係数を乗じて加算することにより、前記第1の色信号を輝度信号に変換する式であり、
前記第2の変換式は、前記複数の色成分の各色成分に、当該各色成分に対する新たな係数であって、少なくとも1つの色成分に対する新たな係数が当該少なくとも1つの色成分に対する前記予め決められた係数よりも大きい新たな係数を乗じて加算する式であることを特徴とする請求項1に記載の色処理装置。
【請求項3】
前記第1の色信号の特徴量に基づいて、前記新たな係数を決定する決定手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の色処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、当該複数の色成分の全ての色成分に共通の補正係数を乗ずることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置。
【請求項5】
前記特徴量は、前記第1の色信号で再現される色の明度及び輝度の何れか一方の値であり、
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記値が小さいほど大きい補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3又は4に記載の色処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、当該複数の色成分ごとに異なる補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置。
【請求項7】
前記特徴量は、前記第1の色信号を構成する前記複数の色成分の値の最大値と当該複数の色成分の各色成分の値との差分であり、
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記差分が閾値以下であれば、1より大きな補正係数を乗じることにより、前記新たな係数を決定することを特徴とする請求項3又は6に記載の色処理装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記複数の色成分の各色成分に対する前記予め決められた係数に、前記差分が小さいほど大きい前記補正係数を乗じることを特徴とする請求項7に記載の色処理装置。
【請求項9】
複数の色成分からなる第1の色信号を取得する取得手段と、
色材の使用量を低減させる指示がなされた場合に、前記取得手段により取得された前記第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う単色化処理手段と、
前記単色化処理手段による単色化処理で得られた前記第2の色信号を印字機構に出力する出力手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
色材の使用量を低減させる指示がなされた旨の信号を検出する機能と、
前記信号が検出された場合に、複数の色成分からなる第1の色信号を単色の第2の色信号に変換する単色化処理を、予め決められた第1の変換式の代わりに、当該第1の変換式を用いる場合よりも当該単色の色材の使用量を低減させる第2の変換式を用いて行う機能と
を実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−55357(P2011−55357A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203931(P2009−203931)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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