説明

色変換のための集積層を有する有機エレクトロルミネッセンスデバイス

本発明は、特に、少なくとも2つの電極(10、15)と、該電極(10、15)間に配置されており、第1の波長スペクトルを有する光を発するエレクトロルミネッセンス有機材料を含む少なくとも1つの発光層(EML)(12)とを有する光電子デバイスであって、少なくとも1種の光変換体を含む少なくとも1つの層(1、2、5、6)が前記少なくとも1つの発光層(EML)の少なくとも1つと少なくとも1つの電極との間に配置されているデバイスに関する。さらに、本発明は、このタイプの高電子デバイスの製造方法と、このタイプの光電子デバイスのランプとしてまたはディスプレーにおける使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの電極と電極間に配置されたエレクトロルミネッセンス有機材料を含む少なくとも1つの発光層とを有する光電子デバイスに関する。
【0002】
有機半導体に基づく電子素子は、無機半導体に基づく素子と比較して製造が容易であり、それゆえにコスト節減の可能性がある。しかしながら、有機材料に基づく素子は、対応する無機相当物の性能を未だ持たず、特により短い寿命を示す。しかしながら、例えば、有機発光ダイオードは、携帯電話のディスプレーにおいて既に大工業規模で使用されている。
【0003】
有機発光ダイオードまたは有機発光デバイス(OLED)は、互いに上下に重ねた薄い層として配置された有機半導性材料から構築された電子素子であり、それらは電場の影響下において発光することができる。無機発光ダイオード(LED)とは対照的に、OLEDは単結晶材料を必要としない。それゆえに、それらは、比較的簡単におよびそのゆえに安く製造することができる。発光有機材料または適切なフィルタとの組合せの適切な選択により、種々の色を発生することが可能になる。それゆえに、OLEDは、例えば、コンピュータまたは携帯電話のためのディスプレースクリーンにおける使用に適する。さらに可能な使用分野は大面積の室内照明である。
【0004】
OLEDは、適切な基材へと適用された薄い層のスタックを備える。普通の配置では、第1に透明なアノードが透明な基材へと適用される。適切な透明な基材は、例えば、ガラスシートまたは薄いプラスチック膜である。アノードとして使用する材料は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)であってよい。しかしながら、例えば、アノードとして金を備える薄い金属層を使用することも可能である。その場合、層厚さはアノードが可視光には透明なように十分薄く選択される。通常、正孔注入層がアノードへと適用される。この層は一方で正孔のために注入バリアを低下させるのに役立ち、他方、例えば、インジウムの発光層中への拡散を防止するのに役立つ。典型的な正孔注入層は、例えば、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホナート)からなる。次に正孔輸送層(HTL)が正孔注入層へと適用される。正孔輸送層として一般的な材料は、例えば、US4539507に記載された芳香族第三級アミンであり、またはテトラアリールジアミンである。次に発光有機材料を含む層が正孔輸送層へと適用される。マトリックスの他に、この層は、エレクトロルミネッセンス色素を、通常約5〜10重量%の比率で備えてもよいし、または幾つかの場合には完全に該色素からなることもある。適切な色素は、例えば、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)、Alq3である。例えば、発光層がエレクトロルミネッセンス基を担持するポリマーから本質的になる有機発光ダイオードが開発されている。したがって、その場合、ポリマーは、マトリックスとさらにエレクトロルミネッセンス色素との両方の機能を担う。もう1つの実施形態によれば、マトリックスおよびエレクトロルミネッセンス色素は、2種の異なる分子から形成される。その場合、マトリックスは、半導体の性質を有するポリマーにより、または低分子量でより小さいが、エレクトロルミネッセンスを示さない分子、例えばカルバゾールによっても形成することができる。次に、エレクトロルミネッセンス色素が、この半導体マトリックスに組み込まれる。発光層は、単一のエレクトロルミネッセンス色素を備えてもよく、その場合本質的に単色光を発生する。しかしながら、例えば、白色光を発生するために、異なる波長の光を発する種々のエレクトロルミネッセンス色素で発光層をドープすることも可能である。
【0005】
電子輸送層(ETL)は発光層へと適用される。電子注入層も、保護層として、および電子のための注入バリアを低下させるために電子輸送層へと適用することができる。この層のための典型的な材料は、フッ化リチウム、フッ化セシウムまたはLiQ(8−ヒドロキシキノリナトリチウム)である。次に、カソードが電子注入層へと適用される。カソードは、通常、電子仕事関数が低い金属または合金、例えば、カルシウム、アルミニウム、バリウム、ルテニウムまたはマグネシウム/銀合金などからなる。
【0006】
既に概略を説明した層に加えて、発光ダイオードは、さらなる層、例えば緩衝層またはさらに電子もしくは正孔のためのバリア層を備えることもある。
【0007】
電子は、電場をかけた後にカソードにより電子輸送層中に注入されてアノードの方向へ移動する。正孔は、アノードにより正孔輸送層中に注入されてカソードの方向へ移動する。正孔と電子とは発光層中で出合い、再結合して励起子を形成する。励起子は色素分子の励起状態を既に示す場合もあるし、または励起子の崩壊は色素分子の励起のためのエネルギーを提供する。色素分子は、光子を放って基底状態に戻る。発せられた光の色は、励起状態と基底状態との間のエネルギー間隔に依存する。それゆえに、有機発光ダイオードが発する光の色は、色素分子を変えることにより特異的に改変することができる。
【0008】
OLEDは、従来の照明材料と比較して多数の利点を示す。したがって、例えば、それらは、低いエネルギー消費、均一な照明、広い視角範囲、非常に短い応答時間および有利な製造コストにより特徴づけられる。加えて、OLEDをベースとして透明な且つ可撓性のディスプレーを製造することができる。
【0009】
さらなる有機発光素子として、有機発光電気化学的電池(OLEC)が開発されつつある。これらは2つの電極を備え、それらの間に有機発光物質とイオン性化合物との混合物を含む層が配列される。その場合、該イオンは電極に移動することができる。最初のOLECは、PeiおよびHeegerによりScience (95)、269、pp. 1086 - 1088において説明されている。それは、共役ポリマー(MEH−PPV)とポリエチレンオキシド(PEO)と固体電解質としてのリチウムトリフルオロメタンスルホナートとの混合物を含んでいた。さらに、電解質としてイオン性液体を備えるOLECが知られている。このタイプのOLECは、例えば、Nobuyuki ItohzによりJ. Electrochem. Soc. 156 (2) J37 - J40 (2009)において説明されている。さらに、平面状のOLECがG. Yu、Q. Pei、A. J. Heeger、Appl. Phys. Lett. 70 (1997) 934により説明されている。
【0010】
本出願において、用語ポリマーは、ポリマー性化合物、オリゴマー性化合物、およびデンドリマーのいずれをも意味するものとする。本発明によるポリマー性化合物は、好ましくは10〜10,000、特に好ましくは20〜5000および特に50〜2000の構造単位を有する。本発明によるオリゴマー性化合物は、好ましくは3〜9の構造単位を有する。その場合、ポリマーの分枝係数は、0(直鎖ポリマー、分枝点なし)と1(完全に分枝したデンドリマー)との間にある。
【0011】
本出願における用語「デンドリマー」は、多官能性のコアであって、分枝モノマーが規則的に結合して樹状構造を生じるコアから構築された高度に分枝した化合物を意味すると取られることを意図している。ここで、コアおよびモノマーの両方とも、任意の所望の分枝構造を採ることができて、それらは純粋な有機単位とさらには有機金属化合物または配位化合物との両方からなる。ここで、「デンドリマー」は、例えば、M. FischerおよびF. Voegtle(Angew. Chem.,Int. Ed. 1999, 38, 885)によって説明されたように理解されることを一般的に意図される。
【0012】
本発明によるポリマーの重量平均分子量と数平均分子量とは、両方とも、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定される。
【0013】
最後に、有機発光電界効果トランジスタ(OLEFT)も、さらなる発光素子として挙げることができる。このタイプの電界効果トランジスタの構造は、例えば、C. Costら、Appl. Phys. Lett. 85、 p1613 (2004)によって説明されている。このタイプの電界効果トランジスタは、ゲート電極を備え、それには誘電体層と発光層とが配置されている。さらに、ソース電極およびドレイン電極が設置され、それらは、誘電体層のゲート電極とは反対側に配置される。誘電体(絶縁体または非導電体としても知られる)は、電流を伝えないか、または少ししか伝えない固体、液体または気体状物質である。それらは1010Ωcmを超える高い比抵抗を有する。
【0014】
ゲートがソース電極およびドレイン電極より下に配置される場合には、用語「ボトムゲート」構造が使用され、一方で、ゲートがソース電極およびドレイン電極の上に配置されている構造は「トップゲート」構造と呼ばれ、但し、基材は最低層を形成する。発光層は、好ましくは、同時二極性化合物を備える。これは、例えば、nドープ材料とpドープ材料との混合物またはさらには本来的に同時二極性の化合物、例えば正孔伝導体としても電子伝導体としても機能することができる共役ポリマーでありうる。
【0015】
しかしながら、ディスプレースクリーンの製造または例えば、室内照明としてのOLEDの使用に際にて、エレクトロルミネッセンス有機素子として利用可能な種々の色素が互いに異なる光度と互いに異なる寿命とを有することが問題となる。可視波長スペクトルの色は、それ自体、三原色の赤と緑と青とを混合することにより生じさせることができる。対応する色素が電極間の予め定められた電圧で互いに異なる輝度の光を発するので、個々の色の輝度を、例えば電極電圧の調節により補正しなければならない。しかしながら、これは、例えば色素の寿命にも影響する。エレクトロルミネッセンス色素の光度は、OLEDまたは他のエレクトロルミネッセンス素子の寿命を通して連続的に低下する。そこで、低下の程度は、色素のタイプとOLEDの作動条件とに依存する。それゆえに、例えば、室内照明における白色光を三原色の赤と緑と青とを混合することにより生じさせる場合、3種の色素が異なる速度で老化し、そのためにそれらの光度が途中で互いに異なる程度に低下するので、長期作動の過程でカラーシフトが起こる。
【0016】
US2005/0253506 A1は、最初に制御要素、例えば、個々の画素の面積範囲を規定する薄膜トランジスタが基材上に配置される有機発光ダイオードを記載している。カラーフィルタとして機能する層が最初に制御要素へと適用される。この層は平坦化されており、そのため、さらなる素子の構築のために平面状の表面を提供する目的で中間層を適用させる必要がない。次に、制御要素により制御することができる電極が平坦化されたカラーフィルタへと適用される。電子注入層と電子輸送層と発光層と正孔輸送層と正孔注入層とを備える層のスタックが、順番に電極へと適用される。最後に、第2の電極が正孔注入層に付けられる。発光層は白色光を発する。OLEDが発する所望の色相、例えば赤、緑または青はカラーフィルタにより作り出される。
【0017】
US2005/0260439A1には、白色光を発する有機発光ダイオードが記載されている。発光ダイオードは少なくとも2つの電極を備え、その間に少なくとも2種の有機エレクトロルミネッセンス材料が配置される。2種のエレクトロルミネッセンス材料は、各場合に異なる波長のスペクトルを有する光を発する。有機発光ダイオードは透明基材上に配置され、透明基材上に配置された有機発光ダイオードの電極は同様に透明である。フォトルミネッセンス化合物を含む層が、基材の発光ダイオードに対して反対側に配置される。フォトルミネッセンス化合物は、発光ダイオードの発光層が発した光を吸収することができる。次に、フォトルミネッセンス化合物は、第1の波長スペクトルの極大値に対してさらに長波長に極大値がシフトした第2の波長スペクトルを有する光を発する。第2の波長スペクトルは、素子が全体として白色光を発するように選択される。
【0018】
US2005/0206312 A1には、白色光を発生する発光素子が記載されている。該素子は、第1の波長スペクトルの光を発する能動層と、能動層が発した光の一部を吸収して、より長波長側にシフトした第2の波長スペクトルの光を発する受動層とを備える。能動層と受動層は素子が白色光を発するように互いに適合している。能動層は2つの電極間に配置されていて、ここで電極の1つは透明である。受動層は、透明電極と透明基材との間に配置される。LEDは無機材料から作られる。
【0019】
US 6,696,177 B1には、白色光を発する有機発光ダイオードが記載されている。有機発光ダイオードは、最初に透明アノードが透明基材上に配置された層スタックを備える。透明アノードは、正孔注入層により補完することができる。正孔輸送層がアノード上に配置されて、青色光を発する色素をドープした発光層が正孔輸送層上に直接配置される。次に、電子輸送層が発光層上に配置されて、カソードが電子輸送層の上に配置される。正孔輸送層、電子輸送層、または電子輸送層と正孔輸送層の両方を、黄色光を発する色素でドープすることができる。ドープされていない輸送層が、青色光を発する層と黄色光を発する色素でドープした輸送層との間に配置されると、発せられる黄色光の強度はドープされていない輸送層の膜厚の増大とともに大きく低下して、その結果、発光ダイオードは青色光のみを発する。したがって、この配置における黄色色素は、電子と正孔との再結合により励起される。
【0020】
US 2004/0185300 A1には、白色光を発する有機発光ダイオードが記載されている。それは正孔輸送層が上に配置されたアノードを備える。青色光を発する層が正孔輸送層上に直接配置されている。この層は、青色光を発する色素でドープされたマトリックスを備える。さらに、光収率と発光ダイオードの安定性とを改善するために、発光層が、電子輸送材料または正孔輸送材料またはこれらの材料の混合物でドープされている。カソードは、青色光を発する層上に配置されている。正孔輸送層または電子輸送層または両層は、スペクトルの黄色領域で発光する化合物でドープされている。ドープされていない層が青色光を発する層と電子輸送層または正孔輸送層との間に配列されると、白色光の収率はドープされていない膜厚の増大とともに大きく低下して、その結果発光ダイオードは青色光のみを発する。この配置においても、したがって、黄色色素は正孔と電子との再結合により励起される。有機発光ダイオードが発する白色光は、全色スペクトルを表示することができるディスプレースクリーンなどのデバイスを提供するのに利用することができる。この目的のために、有機発光ダイオードは、赤色と緑色と青色とのカラーフィルタを備える。カラーフィルタは、この場合には光に対して透明でなければならない基材上に配置して基材中に組み込むか、または上部の電極上に配置することができ、その場合電極は光に対して透明でなければならない。
【0021】
US 2005/048311 A1には、白色光を発する有機発光ダイオードが記載されている。該有機発光ダイオードは、正孔輸送層がその上に配置されたアノードを備える。青色光を発する層は正孔輸送層の直ぐ後に配置されている。青色光を発する層に続いて電子輸送層があり、次にそれにカソードが続く。正孔輸送層は、マトリックスと黄色光を発する色素と赤色光を発する色素とを含む。赤色色素または黄色色素でドープされた正孔輸送層はドープされた区域とドープされていない区域を含む場合があり、そこではドープされた区域に直ぐに青色光を発する層が続く。赤色フィルタとの組合せで、発光ダイオードは、強い赤色光を発生することができる。したがって、黄色色素と赤色色素とは、この配置において、電子と正孔との再結合により励起される。
【0022】
発光ダイオードは、ある波長の、またはある波長スペクトルの光を発生する。例えば、ディスプレー上に画像を表示することができるために、または混合色を生じさせるために、または白色光を提供するために、様々な色、例えば赤色、緑色および青色を発する発光ダイオードを、マトリックス中に配置することができて、その結果、様々な波長の光を発する発光ダイオードを対応する回路により組み合わせることができる。それから、様々な波長範囲の組合せにより、例えば、白色光を生じさせることが可能である。しかしながら、この場合には、所望の色相、例えば白色光を得るために、個々の発光ダイオードを互いに非常に注意深く合わせなければならない。しかしながら、有機発光ダイオードに利用可能な材料は異なる光収率を示し、それは、補正のために、マトリックスの個々の要素に対してそれらの光収率に応じて異なる電圧を指定しなければならないことを意味する。それに加えて、有機材料は老化が進行し易く、すなわちダイオードの光度はその寿命期間にわたって低下するので、光度の低下を補償しなければならず、それはそうしなければ発光スペクトルのカラーシフトが生ずるからである。
【0023】
様々な色の発光ダイオードの組合せの代わりに、白色光を発する発光ダイオードを、発光ダイオードが発する光を部分的に吸収して他の波長の光を再放出するカラーフィルタと組み合わせることも可能である。この目的のために、発光ダイオードを、例えば、色変換のための媒体の薄い層、例えば蛍光体または他の蛍光色素および/またはリン光色素で被覆することもでき、ここでは、色変換の程度、すなわち発光ダイオードによる発光の色を色素の量により調整することができる。この方法で、発光ダイオードにより提供される光とカラーフィルタにより発生される光とから混合色を生じさせることが可能である。先行技術から知られたこの配置では、これらのカラーフィルタは発光ダイオード配列の外側に適用される。
【0024】
この手順においては、カラーフィルタ層を発光ダイオードへと適用するという少なくとも1つの追加の作業ステップが必要であることが不利である。保護層をカラーフィルタ層へと適用することも通常必要であり、それは複雑さをおよびひいては製造コストさらに増加させる。蛍光色素は、これまで、有機発光ダイオードを、例えば室内照明のための光源として、または液晶ディスプレースクリーンのためのバックライトとして使用する場合に、有機発光ダイオードのために使用されるだけであった。これは、この場合に基材を構造化する必要がないからである。例えば、ディスプレースクリーンのための使用においては、その中の個々の画素が異なる色、例えば赤、緑および青を発するので、このタイプの基材構造化が必要である。
【0025】
それゆえに、本発明は、製造が簡単で且つ発光の色を大した努力をせずに調整することができる有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供するという目的に基づく。実施形態において、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、ディスプレースクリーンにおける使用にも適するはずである。
【0026】
この目的は、特許請求項1の特徴を有する光電子デバイスにより達成される。従属特許請求項は、本発明による光電子デバイスの有利な実施形態に関する。
【0027】
現在までに知られている有機光電子デバイス、特に有機発光ダイオードとは対照的に、本発明による有機光電子デバイスの場合には、色変換体は有機光電子デバイスの外側へは適用されず、その代わりに電極間に配置された層において有機光電子デバイスへと一体化される。したがって、本発明による有機光電子デバイスの場合、色変換体は電極間に位置する領域に配置される。有機光電子デバイスの能動層は第1の波長の光を発し、それは色変換体により完全にまたは部分的に吸収されて、その結果、色変換体により第2の波長の発光が生ずる。それゆえに、能動層が発する光のうち色変換体によって吸収される割合に応じて、混合色を生じさせることができるし、または発っせられる光の輝度を調整することができる。
【0028】
それゆえに、本発明によれば、少なくとも2つの電極と、電極間に配置され、第1の波長の光または第1の波長スペクトルを有する光を発するエレクトロルミネッセンス有機材料を含む少なくとも1つの発光層とを有する有機光電子デバイスであって、少なくとも1種の色変換体を含む少なくとも1つの層が、少なくとも1つの発光層のうちの少なくとも1つと少なくとも1つの電極との間に配置されている有機光電子デバイスが提供される。
【0029】
本発明による有機光電子デバイスは、それ自体が、このタイプの知られている有機光電子デバイスの構造を示す。それゆえに、該有機光電子デバイスを構築および製造のために、当業者は知られているデバイスと工程に頼ることができる。しかしながら、知られている有機光電子デバイスとは対照的に、本発明による有機光電子デバイスは、発光層の他に、1種または複数種の色変換体を含む少なくとも1つのさらなる層を備える。ここでは、該層は完全に色変換体から構築されてもよいし、または該層は色変換体でドープされてもよい。
【0030】
本発明による光電子デバイスは、ある実施形態によれば、例えば、有機発光電気化学的電池(OLEC)のカソードとアノードを形成する2つの電極を備えることができる。それから、本発明によれば、色変換体を含む少なくとも1つのさらなる層は、発光層とカソードまたはアノードとの間に配置される。OLEDと類似して、OLECは、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)および電子注入層(EIL)の群から選択されるさらなる層を備えることができる。これらはOLECの性能を向上させることができる。したがって、例えば、Shaoらは、Advanced Materials (2009)、21(19)、1972-1975において、架橋した正孔輸送層(HTL)を備える長寿命のポリマー性OLECを報告している。本発明の好ましい実施形態において、色変換体はOLECの少なくとも1つの層中にドープすることができる。この目的にとって特に好ましい層は、HIL、HTL、EILおよびETLからなる群から選択される。色変換体を含む特に非常に好ましい層はHILおよびHTLからなる群から選択され、HTLが特に好ましい。
【0031】
さらなる実施形態によれば、色変換体は、特にOLECの発光層中に直接ドープすることができる。OLECの発光の位置は、典型的には、2つの電極の1つの近隣の非常に小さい範囲に限定されるが、この範囲は発光層の色変換体による上記のドーピングにより広げることができる。
【0032】
OLECは、とりわけ、それらがイオン性材料を含むことを特徴とする。ここで、イオン性材料は、低分子、ポリマー、オリゴマー、ポリマー性ブレンドまたはそれらの混合物であってよい。
【0033】
ここで、低分子の分子量は、好ましくは4000g/mol未満、非常に好ましくは3000g/mol未満および特に非常に好ましくは2000g/mol未満である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、OLECは、好ましくは、例えば、ペルフルオロスルホン酸、ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ナフタレンポリイミドおよびポリエチレンオキシド(PEO)をベースにした調合物などのポリマー性材料の群から選択されるイオン伝導体を含む。本発明の意味において特に非常に好ましいイオン伝導体はポリエチレンオキシド(PEO)である。
【0035】
OLECは一般式K+-の少なくとも1種のイオン性有機エレクトロルミネッセンス化合物をさらに含むことができ、ここで、K+またはA-のいずれかは有機発光成分である。本発明の好ましい実施形態において、OLECは3種、非常に好ましくは2種、特に非常に好ましくは1種の式Kの化合物を含む。
【0036】
イオン性材料からの典型的な化合物は、イオン性遷移金属錯体(iTMC)である(Rudmannら、J. Am. Chem. Soc. 2002、124、4918-4921およびRotheら、Adv. Func. Mater. 2009, 19, 2038 - 2044)。
【0037】
しかしながら、さらなる実施形態によれば、本発明による光電子デバイスは、3つの電極をさらに備えることができ、それらは、この場合、例えば、有機発光電界効果トランジスタのゲート電極とソース電極とドレイン電極とを形成する。この場合には、色変換体を含む層は、例えば、発光層を形成する誘電体層上に配置されうる。それから、ゲート電極またはソース電極およびドレイン電極を発光層上に配置される。
【0038】
さらなる実施形態によれば、ボトムゲートOLEFTの場合について図14に図示したように、色変換体を含む層をドレイン電極とゲート電極の間に適用することができる
さらなる実施形態によれば、色変換体は、OLEFTの発光層中に直接ドープすることができる。OLEFTの発光部位は、典型的には、ソース電極またはゲート電極間の非常に小さい範囲に限定されるが、この範囲は、発光層の色変換体による説明したドーピングにより拡大させることができる。
【0039】
好ましい実施形態によれば、光電子デバイスは有機発光ダイオード(OLED)の形態にある。
【0040】
本発明による有機発光ダイオードは、従来の材料から作製されるカソードとアノードとを備える。カソードは、好ましくは、仕事関数の低い金属、金属合金、金属錯体または多層構造体を含み、これは、例えば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、典型金属またはランタノイド(例えばCa、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Smなど)などの種々の金属を含む。多層構造の場合には、例えば、Agなどの仕事関数の比較的高いさらなる金属を、前記金属に加えてさらに使用することができ、この場合、例えば、Ca/AgまたはBa/Agなどの金属の組合せが、一般的に使用される。
【0041】
アノードは、好ましくは仕事関数の高い材料を含む。アノードは、真空に対して4.5eVを超える電位を有することが好ましい。一方、この目的に適するものは、酸化還元電位の高い金属、例えば、Ag、PtまたはAuなどである。他方、金属/金属酸化物の組合せ(例えばAl/Ni/NiOx、Al/PtOx)も好ましいことがある。さらに、導電性の、ドープされた有機材料、特に導電性のドープされたポリマー、例えばポリアニリンが好ましい。
【0042】
光のアウトカップリングを容易にするためには、少なくとも1つの電極が透明でなければならない。好ましい構造では透明なアノードが使用される。ここで、好ましいアノード材料は、導電性の混合金属酸化物である。酸化インジウムスズ(ITO)またはインジウム酸化亜鉛(IZOが)特に好ましい。
【0043】
有機半導体材料を含み且つエレクトロルミネッセンス有機材料を含む発光層は、電極間に配置される。エレクトロルミネッセンス有機材料とは、励起子、すなわち電子/正孔対の形成により励起状態に変換されて、電子と正孔の再結合により、波長スペクトルの好ましくは可視領域にある、特に380から780nmの波長範囲にある電磁放射線を発する色素のことを意味するものとする。ここで、エレクトロルミネッセンス材料は、より低いエネルギー状態に変換される。発光は、スピン保持でもスピン反転でもそれぞれ蛍光または燐光として起こり得る。燐光の場合には、三重項状態からもさらに高い多重項(例えば五重項)状態からもより低い多重項のエネルギー的に低い電子状態に電子遷移が起こり得る。これらの色素は、炭化水素にさかのぼることができる骨格を有する。色素は、個々の炭素もしくは水素原子がヘテロ原子もしくはヘテロ原子団によって置き換えられていてもよい炭化水素にさかのぼることができる骨格だけから構築することもでき、または有機基が配位した1つもしくは複数の金属原子を備えることもできる。
【0044】
したがって、発光層は、高いルミネッセンス収率を示す有機材料または有機金属材料だけから構築することができる。このタイプの材料は、例えば、緑色光を発するAlqである。しかしながら、発光層は、電子と正孔の両方を輸送することができるがそれ自体は発光しないマトリックスから構築することもできる。その場合、このマトリックスは、少量の1種または複数種のエレクトロルミネッセンス色素でドープされる。発光層は、エレクトロルミネッセンス色素で任意により誘導体化された、この場合にはエレクトロルミネッセンス有機材料を直接形成するポリマーから形成することができる。例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)の誘導体は、このタイプのポリマー性LED(PLED)において使用することができる。しかしながら、より小さい分子をマトリックスとして発光層で使用することも可能である。発光層においてマトリックスとして使用することができる例になるより小さい分子は、炭化水素基により9位および10位が置換されたアントラセン誘導体、例えば9,10−ジフェニルアントラセンおよびこれら化合物の誘導体などである。適切な化合物は例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセンであり、ここで、この骨格は、さらなる置換基、例えば1から24個の炭素原子を有するアルキル基または5から20個の炭素原子を有するアリール基を担持することができる。このクラスの例示的化合物は、2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセンである。さらなる好適な誘導体は、例えばUS5,935,721 Aに記載されている。
【0045】
発光層は、第1の波長スペクトルまたは第1の波長を有する光を発するエレクトロルミネッセンス有機材料を含む。使用するエレクトロルミネッセンス有機材料は、それ自体全て、OLEDにおける使用から既に知られているエレクトロルミネッセンス色素でありうるし、または他の有機発光電子デバイスをそれ自体で使用することができる。エレクトロルミネッセンス色素はそれ自体で任意の所望の波長の光を発することができ、ここで、可視光領域および可視領域の短波長側に隣接する紫外領域が好ましい。可視光の青色領域(380nmから490nm)の光を発するエレクトロルミネッセンス有機材料の使用が特に好ましい。適切な青色色素は、例えば、ペリレンおよびペリレン骨格が例えば、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子などの1つもしくは複数の置換基により置換されたペリレン誘導体である。適切な誘導体は、例えば2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレンである。青色光を発する他のクラスの色素は、ジスチリルアレーンの誘導体、例えば、US5,121,029に記載されているジスチリルベンゼンおよびジスチリルビフェニルなどである。このタイプの適切な化合物は、例えば、[2−[4−[N,N−ジアリールアミノ]−フェニル]−ビニル]ベンゼンおよびビス[2−[4−[N,N−ジアリールアミノ]フェニル]ビニル]ビフェニルおよびそれらの誘導体である。青色光を発するさらなる適切な色素がUS2005/0048311 A1に記載されている。
【0046】
好ましい色素は、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテルおよびアリールアミンのクラスから選択される。
【0047】
モノスチリルアミンとは、1つの置換または非置換のスチリル基と少なくとも1つの、好ましくは芳香族のアミンとを含有する化合物のことを意味するものとする。ジスチリルアミンとは、2つの置換または非置換のスチリル基と少なくとも1つの好ましくは芳香族のアミンとを含有する化合物のことを意味するものとする。トリスチリルアミンとは、3つの置換または非置換のスチリル基と少なくとも1つの好ましくは芳香族アミンとを含有する化合物のことを意味するものとする。テトラスチリルアミンとは、4つの置換または非置換のスチリル基と少なくとも1つの好ましくは芳香族のアミンとを含有する化合物のことを意味するものとする。スチリル基は、特に好ましくはスチルベンであり、それはさらに置換されていてもよい。対応するホスフィンおよびエーテルは、アミンと同様に定義される。本発明の意味におけるアリールアミンすなわち芳香族アミンは、窒素に直接結合した3つの置換もしくは非置換芳香族またはヘテロ芳香族環系を含有する化合物を意味するものとする。これら芳香族またはヘテロ芳香族環系の少なくとも1種は、好ましくは少なくとも14個の芳香族環原子を有する縮合環系であることが好ましい。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンまたは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンとは、1つのジアリールアミノ基がアントラセン基に、好ましくは9位で直接結合した化合物のことを意味するものとする。芳香族アントラセンジアミンとは、2つのジアリールアミノ基が好ましくは9、10位でアントラセン基に直接結合した化合物のことを意味するものとする。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、それらと同様に定義され、その場合ピレンのジアリールアミノ基は、好ましくは1位または1、6位に結合している。
【0048】
さらなる好ましい蛍光性色素またはドーパントは、例えばWO06/122630によりインデノフルオレンアミンまたはインデノフルオレンジアミンから、例えばWO2008/006449によりベンゾインデノフルオレンアミンまたはベンゾインデノフルオレンジアミンから、および例えばWO2007/140847によりジベンゾインデノフルオレンアミンまたはジベンゾインデノフルオレンジアミンから選択される。
【0049】
スチリルアミンのクラスからのエレクトロルミネッセンス色素の例は、WO2006/000388、WO2006/058737、WO2006/000389、WO2007/065549およびWO2007/115610に記載されている置換または非置換のトリスチルベンアミンまたはドーパントである。ジスチリルベンゼンおよびジスチリルビフェニル誘導体はUS5121029に記載されている。さらにスチリルアミンがUS 2007/0122656 A1に見出される。
【0050】
特に好ましいスチリルアミン色素は、
【化1】

【化2】

【0051】
である。
【0052】
特に好ましいトリアリールアミン色素は、
【化3】

【化4】

【0053】
JP 08-053397AおよびUS 6251531 B1、EP 1957606 A1およびUS 2008 0113101 A1の誘導体
【化5】

【0054】
である。
【0055】
さらなる好ましいエレクトロルミネッセンス色素は、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペリフランテン、インデノペリレン、フェナントレン、ペリレン(US2007/0252517 A1)、ピレン、クリセン、デカシクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、フルオレン、スピロフルオレン、ルブレン、クマリン(US 4769292、US 6020078、US 2007/0252517 A1)、ピラン、オキサゾン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、ピラジン、シンナミド酸エステル、ジケトピロロピロール、アクリドンおよびキナクリドン(US 2007/0252517 A1)の誘導体から選択される。
【0056】
アントラセン化合物の中で、例えば、9,10−ジフェニルアントラセンおよび9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセンなどの9,10−置換アントラセンが特に好ましい。1,4−ビス(9'−エチニルアントラセニル)ベンゼンも好ましいエレクトロルミネッセンス色素である。
【0057】
青色エレクトロルミネッセンス色素は、好ましくはポリ芳香族化合物、例えば、9,10−ジ(2−ナフチルアントラセン)および他のアントラセン誘導体など、テトラセン、キサンテン、ペリレンの誘導体、例えば、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、フェニレン、例えば4,4'−(ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1'−ビフェニル、フルオレン、アリールピレン、アリーレンビニレン(US5121029、US5130603)など、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドンの誘導体、例えば、DMQAなど、ジシアノメチレンピラン、例えば、DCMなど、チオピラン、ポリメチン、ピリリウムおよびチアピリリウム塩、ペリフランテン、インデノペリレン、ビス(アジニル)イミン−ホウ素化合物(US 2007/0092753 A1)、ビス(アジニル)メテン化合物およびカルボスチリル化合物である。
【0058】
さらなる好ましい青エレクトロルミネッセンス色素は、C. H. Chenら:「Recent developments in organic electroluminescent materials」 Macromol.Symp. 125、(1997) 1 - 48および「Recent progress of molecular organic electroluminescent materials and devices」 Mat. Sci. およびEng. R、39 (2002)、143 - 222に記載されている。
【0059】
発光層は単一層から構築することができる。しかしながら、発光層が、異なる組成を有することもできる複数の層を備えることも可能である。
【0060】
本発明によれば、少なくとも1つの色変換体を含む少なくとも1つのさらなる層が、エレクトロルミネッセンス有機材料と少なくとも1つの電極を備える発光層との間に配置される。
【0061】
OLEDとしての光電子デバイスの実施形態において、この少なくとも1つの層は、好ましくは、OLED中に通常存在する層、すなわち、例えば、電子輸送層、電子注入層、正孔注入層または正孔輸送層に相当する。しかしながら、該層は、緩衝層またはバリア層の形態を採用することもできる。このタイプのバリア層は、例えば、電子遮断層、正孔遮断層またはさらに励起子遮断層の形態をとることもできる。本発明によれば、このタイプの層は少なくとも1種の色変換体を含む。
【0062】
ある実施形態によれば、少なくとも1種の色変換体を含む層は、少なくとも1つの発光層のカソードに面する側に配置される。そして、該色変換体は、好ましくは電子注入層および/または電子輸送層に配置される。
【0063】
ある実施形態によれば、電子輸送層の材料は、正孔遮断層および/または電子遮断層としても作用する。これにより非常に狭い発光領域が生ずる。
【0064】
ある実施形態によれば、少なくとも1つのバリア層が、少なくとも1つの発光層と少なくとも1種の色変換体を含む少なくとも1つの層との間に配置される。
【0065】
ある実施形態によれば、バリア層は正孔遮断層の形態にある。ここで、正孔遮断層は、好ましくは、発光層と色変換体を含む層との間に配置される。この実施形態における色変換体は、好ましくは、電子輸送層および/または電子注入層に配置される。
【0066】
ある実施形態によれば、正孔輸送層の材料が、電子遮断層および/または励起子遮断層として同時に作用することができる。
【0067】
さらなる実施形態によれば、電子遮断層または励起子遮断層の形態にあるバリア層が提供される。したがって、この実施形態においては、電子遮断層および/または励起子遮断層が発光層と色変換体を含む層との間に配置される。この実施形態における色変換体は、正孔輸送層および/または正孔注入層中に設けられる。
【0068】
この実施形態において、バリア層は好ましくは色変換体を含まない。
【0069】
色変換体とは、第1の波長の光または第1の波長範囲からの光を吸収して、第1の波長または第1の波長範囲に対してシフトした第2の波長の光または第2の波長範囲内の光を発する化合物のことを意味するものとする。第2の波長または第2の波長範囲は、第1の波長または第1の波長範囲と比較して長波長側にシフトしている。しかしながら、いわゆる「アップコンバージョン」を実現することも可能である。この場合には、比較的高エネルギーの光子が、比較的低エネルギーの2個以上光子の同時または逐次吸収により発生する。このことを説明する機構は大きな2光子吸収断面積を有する分子による2光子吸収、非線形光学的効果または多段励起過程である。
【0070】
このタイプの蛍光性色素は、例えば、フォトルミネッセンスに対して通常高い量子収率を有するレーザ色素として知られている。好ましい実施形態において、色変換体は電子的に中性であり、それは、発光層へ向かう電子または正孔の輸送が妨げられないことを意味する。さらに、色変換体は、発光層が発する光の最も重要な部分が他の波長範囲にある色変換体により再放出されるように、高いフォトルミネッセンスを示すべきである。
【0071】
本発明による有機発光ダイオードにおいて色変換体として使用することができる適切な蛍光性色素は、例えば、青色から緑〜黄色のスペクトル領域で発光するためのクマリンおよびクマリン誘導体、黄色から橙赤色のスペクトル領域で発光するためのローダミンおよびローダミン誘導体、青色スペクトル領域で発光するためのスチルベンおよびスチルベン誘導体;ピラン誘導体、例えば、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)など、発光有機塩、例えば、3,3'−ジエチルオキサカルボシアニンヨウ化物(DOIC)または3,3'−ジエチル−4,4',5,5'−ジベンゾチアトリカルボシアニンヨウ化物(DDTTCI)などである。さらなる適切なレーザ色素が、例えば、Lambda Physik AG、(D37079 Gouttingen、ドイツ)により出版されたUlrich Brackmann(編集)「Lambdachrome(登録商標) Laser Dyes」ハンドブックに記載されている。しかしながら、例えば、陰極線管、発光性ディスプレーまたはランプにおいて使用される無機色変換体を使用することも可能である。ある実施形態によれば、無機色変換体は、酸化イットリウム、イットリウムタンタリット、フッ化バリウム、フッ化セシウム、ビスマスゲルミナート、亜鉛ガラート、カルシウムマグネシウムピロシリカート、カルシウムモリブダート、カルシウムクロロバナダート、バリウムチタンピロホスファート、金属タングスタート、セリウムまたはビスマスでドープしたリン、タリウムでドープしたナトリウムヨウ化物、ドープしたヨウ化セシウム、希土類金属をドープしたピロシリカート、およびランタニドのハロゲン化物の群から選択される。
【0072】
好ましい実施形態によれば、使用する色変換体は狭い発光スペクトルを有する燐光物質である。この実施形態は、ディスプレースクリーンにおいて本発明によるOLEDを使用するのに特に適する。このタイプの燐光物質は、例えば、希土類金属を含む化合物であることができる。帯ではなく、これら化合物は、5dおよび6s電子により非常に強く遮蔽された4fn殻における遷移により引き起こされた特性ルミネッセンススペクトルを示す。これらのリン光物質は、好ましくは380nmを超える波長で吸収を示し、例えば、Chem. Rev. Vol 103 pp3836(2003)およびその中で挙げられた参考文献でLyuji OzawaおよびMinoru Itohにより記載されたY23:Sm、Y23:Eu、Y23:DyおよびY23:Hoの群から選択することができる。さらに好ましい燐光物質は、例えば、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al、Y22S:Eu、Y22S:Eu、Zn2SiO4:Mn、(KF,MgF2):Mn、(KF,MgF2):Mn、MgF2:Mn、(Zn,Mg)F2:Mn、Zn2SiO4:Mn,As、Gd22S:Tb、Y22S:Tb、Y3Al512:Tb、Y3(Al,Ga)512:Tb、Y23:Eu、InBO3:Tb、InBO3:Eu、Y2SiO5:Tbの群から選択することができる。
【0073】
さらに好ましい実施形態によれば、色変換体は、広い発光スペクトルを有するリン光化合物である。この実施形態は特に照明用途に適する。この目的のために、色変換体は、例えば、YAG:Ce、ZnS:Ag+(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:(Cu,Cl)、ZnS:Ag+(Zn,Cd)S:Cu、Y22S:Tb、(Zn,Cd)S:Cu,Cl+(Zn,Cd)S:Ag,Cl、ZnS:Ag+ZnS:Cu(またはZnS:Cu,Au)+Y2)2S:Eu、InBO3:Tb+InBO3:Eu+ZnS:Ag、InBO3:Tb+InBO3:Euの群から選択することができる。
【0074】
好ましい実施形態によれば、色変換体はナノ粒子の形態にある。ナノ粒子として使用することができる材料は、例えば、上記の無機化合物である。該ナノ粒子は、好ましくは、直径が100nm未満、好ましくは50nm未満、さらに好ましくは30nm未満および特に好ましくは20nm未満である。該ナノ粒子は、標準的な化学的方法により、例えばコロイドとして、クラスター形成により、ゾルゲル法により、または電気化学的方法により、ならびに、分子ビームエピタクシー、スパッタリングまたは気相におけるモノマー凝集などの物理的方法により製造することができる。化学的方法によるナノ粒子の製造は、例えば、阻害化合物の存在下における沈殿により実施することができる。ゾルゲル法およびミクロエマルション中の反応は蛍光性ナノ粒子の製造のために好ましいプロセスである。個々のプロセスに関して、Materials Science Engineering R49(2005) 113 - 155におけるHarish Chanderによる総説を参照することができる。さらなる色変換体として使用することができるナノ材料の例は、Ogataらにより、Kidorui(09)、54、pp56〜57に記載された湿式化学的工程により調製することができるYVO4:Bi3+,Eu3+;、Er3+/Yb3+イオンを共ドープした、JoschiらによりJ. Appl. Phys. (09)、105、pp.123103/1〜123103/7に記載されたようにして、燃焼合成により調製することができるCa12Al1433(Ca1217)ナノ材料;N. Y. RajuらによりJ. Alloys Compd. (09)、481、pp. 730〜734およびOpt. Mater. (Amsterdam、Neth.)(09)、31、pp. 1210〜1214に記載されたソルボサーマル法により製造することができるDy3+:GAGナノ粒子である。希土類金属を主要成分とするナノ粒子は、例えば、無機塩とナノ材料の前駆体化合物の混合物をUS2009/140203に説明されたようにマイクロ波の作用で焼結することにより製造することができる。Ba1-xxAl1219:Eu(M=CaおよびSr)(x=0.1〜0.5)の組成を有するナノ材料は、J. Lumin.(09)、129、pp. 691〜695おいて説明された燃焼法により製造することができる。Eu活性化ZnMgAl1017ナノ粒子は、J. Alloys Compd.(09)、475、pp343〜346に説明されたようにテンプレートとして尿素を使用して熱的プロセスにより製造することができる。式Y23:Eu3+のナノ粒子は、J. Appl. Phys. (09)、105、pp. 064302/1−064302/6に記載されたように改良熱的プロセスにより製造することができる。
【0075】
アップコンバージョンにより活性化することができる色変換体を使用する実施形態によれば、式NaYF4:Yb、Lnのナノ材料は、例えば、WO2009/046392に記載されているように、LnがEr、HoおよびTmの群から選択される場合に使用することができる。有機材料を使用するアップコンバージョンもWO2006/008068に記載されているように可能である。
【0076】
本発明による光電子デバイスでは、色変換体は、発光層と電極間に配置される層に設けられる。使用される層は、好ましくは対応するデバイスに先行技術から既に提供されている層であり、それは、このタイプのデバイスは、層の1つに色変換体を追加して供給することによってのみ改良されることを意味する。
【0077】
色変換体は、例えば、有機発光ダイオードの層の1つに組み込まれるので、このタイプの発光ダイオードの製造は大いに簡単になるが、それは、この最も簡単な実施形態においては、有機発光ダイオードの製造中に、関連する層の材料に色変換体を追加する必要があるだけだからである。それゆえに、有機ダイオードの製造は、追加の層を適用することも環境の影響から保護するために色変換体を含む層を特に封じることも必要なく、従来の製造プロセスに従う。
【0078】
有機発光ダイオードは、従来の基材、すなわち、例えば、ガラス、プラスチック膜、半導体材料、例えばシリコンウェファーなど、セラミック材料または研磨した金属表面にも付けることができる。
【0079】
基材は堅牢でも柔軟でもよい。それは、透明、半透明、不透明、または反射性であってよい。使用する材料は、ガラス、プラスチック、セラミックまたは金属箔であってよく、その場合、プラスチックと金属箔は、柔軟な基材のために好ましく使用される。しかしながら、伝導体トラックの生成を簡単にするために、半導体材料、例えば、シリコーンウェハなどまたは回路基板材料を使用することも可能である。他の基材も使用することができる。
【0080】
使用するガラスは、例えば、重炭酸ナトリウム石灰ガラス、BaまたはSr含有ガラス、鉛ガラス、アルミニウムケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、Baホウケイ酸ガラスまたは石英であってよい。
【0081】
プラスチック板は、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール性樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルスルフィド樹脂またはポリスルホン樹脂から構成されうる。
【0082】
透明な膜としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、PVC、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ−プロピレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリウレタン、ポリイミドまたはポリエーテル−イミドが使用される。
【0083】
ある実施形態によれば、基材には、疎水性層を設けることができる。
【0084】
基材は好ましくは透明である。ここで挙げたもの以外の材料を使用することも可能である。適切な材料は当業者に知られている。
【0085】
有機発光デバイス、特にOLEDは、従来の電子素子中に統合することができ、または照明手段として大面積で使用することもできる。この目的のために、有機発光デバイスには、電圧電源と場合により制御エレクトロニクスを設けることができる。その場合2つの電極の電圧電源は従来の電源ラインによる。
【0086】
ある実施形態によれば、色変換体は、色変換体がエレクトロルミネッセンス有機材料により発光された第1の波長スペクトルの光を吸収し、第2の波長スペクトルを有する可視光を発するように選択される。ある実施形態によれば、この第2の波長スペクトルは、第1の波長スペクトルと比較して長波長側にシフトしうる。この実施形態における色変換体は、エレクトロルミネッセンス有機材料の発光スペクトル内にあるかまたは実質的にそれに対応する吸収極大を示し、その結果、最高の可能な光収率が得られるように選択される。そのため、色変換体は、発光層に直接隣接する層に存在しなければならないとは限らない。したがって、エレクトロルミネッセンス有機材料を備える発光層と色変換体を含む層との間にさらなる層、例えば緩衝層または好ましくはバリア層を配置することも可能である。
【0087】
したがって、ある実施形態によれば、色変換体を含まない少なくとも1つの正孔バリア層が、少なくとも1つの発光層と色変換体を含む電子輸送層との間に配置される。
【0088】
さらなる実施形態によれば、電子バリア層が、少なくとも1つの発光層と色変換体を含む正孔輸送層との間に配置される。
【0089】
さらなる層が発光層と色変換体を含む層との間に配列される場合には、これらは、エレクトロルミネッセンス材料により発光される波長スペクトルに透明であるべきである。したがって、色変換体を、電子と正孔との再結合によりエネルギーが遊離する有機発光ダイオードの領域に集中する必要はない。それゆえに、色変換体は比較的厚い層に均一に分布することもできて、色変換体により吸収される、またはエレクトロルミネッセンス有機材料が発する光の量子収率が増大することを可能にする。
【0090】
エレクトロルミネッセンス有機材料は、好ましくは、第1の波長スペクトルに対応する発光が、本発明の意味で、青色領域、特に380〜490nmの波長範囲にあるように選択される。青色光または隣接する紫外領域は、比較的高いエネルギーを有し、それは適切な色変換体の選定により可視光の全領域を利用可能にすることができることを意味する。それに加えて、可視光の青色領域で発光し、且つ一方で高い光収率および他方では同時に許容されなければならない光度における有意の低下がない、電子素子の実際的用途に適した寿命を有するエレクトロルミネッセンス有機化合物が現在知られている。
【0091】
既に説明したように、色変換体は、それ自体任意の所望の様式で選択することができるので、エレクトロルミネッセンス有機材料による発光は、選択する色変換体および色変換体の濃度の選択により、所望の色と強度の光に変換され得る。それ故、色変換体が発する光の波長は、それ自体所望のように選択することができ、究極的には色変換体として使用する化合物または物質に依存する。
【0092】
第1の実施形態によれば、色変換体は赤外領域、すなわち780nmから1mmの範囲内の光を発する。
【0093】
特にディスプレーで使用するためには、ある実施形態によれば、色変換体により発光される第2の波長スペクトルまたは第2の波長が可視光の赤色領域、好ましくは780から650nmの範囲内で選択されることが好ましい。
【0094】
さらなる実施形態によれば、色変換体により発光される第2の波長スペクトルは、可視光の緑色領域、好ましくは560から490nmの範囲内で選択されることが提供される。
【0095】
三原色の赤色、緑色および青色の組合せにより、可視領域の全ての色を表示することができる。青色光の構成要素は、エレクトロルミネッセンス有機材料が発する青色光により直接形成することができる。しかしながら、可視光の青色領域、例えば490から380nmの範囲内で発光する色変換体を提供することも可能である。
【0096】
色変換体は、それ自体エレクトロルミネッセンス有機材料を備える発光層と従来の有機発光ダイオード中の電極の1つとの間に配列された任意の層に存在することができる。色変換体は、ただ1つの層に存在することもできる。しかしながら、有機発光ダイオードの複数の層が色変換体を備えることも可能である。種々の層に存在する色変換体が同じであってもよい。しかしながら、異なる色変換体が有機発光ダイオードの異なる層に提供されることも可能である。このようにして、例えば、有機発光ダイオードの前と後ろが異なる色を発光する有機発光ダイオードを提供することが可能である。
【0097】
本発明による有機発光ダイオードの一実施形態によれば、有機発光ダイオードが色変換体を備える正孔輸送層を備えることが提供される。
【0098】
それ自体従来のものである材料を、正孔輸送層の材料として使用することができる。
【0099】
正孔輸送層に適した材料は、例えば、US3,112,197に記載されたトリアゾール誘導体、US3,257,203から知られたオキサゾール誘導体、例えば、US3,189,447において示されたオキサジアゾール誘導体、JP-B-37-16096に記載されたイミダゾール誘導体ならびにUS3,180,729に記載されたピラゾリンおよびピラゾロン誘導体である。例えばUS3,615,404からのフェニレンジアミン誘導体、US3,567,450からのアリールアミン誘導体、US3,526,501からのアミノ置換カルコン誘導体、または、さらにJP-A-56-46234から知られたスチリルアントラセン誘導体も適切である。EP1009041号に記載された多環式芳香族化合物またはさらに、例えば、US3,615,402に記載されたポリアリールアルカン誘導体も適切である。さらなる適切な材料は、例えば、JP-A-54-110837から知られたフルオレノン誘導体、US3,717,462から知られたヒドラゾン誘導体、およびJP-A-61-210363から知られたスチレン(stilene)誘導体である。さらなる適切な化合物は、例えば、US4,950,950からのシラザン誘導体、JP-A-2-204996からのポリシラン、JP-A-2-282263からのアニリンコポリマー;チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリピロール、ポリアニリンおよびさらに例えば、PEDOT/PSSなどのコポリマーである。適切な正孔輸送材料は、さらに例えば、JP-A-63-2956965に記載されたポルフィリン化合物;芳香族ジメチリデン−タイプの化合物、またはさらに、例えば、CDBP、CBP、mCPなどのカルバゾール化合物である。
【0100】
p型Siおよびp型SiCなどの無機化合物も、正孔輸送材料として使用することができる。
【0101】
適切な化合物は、さらに例えば、芳香族第三級アミンである。芳香族第三級アミンとは、炭素原子にだけ結合している少なくとも1個の3価窒素原子を含有し、少なくとも1個の炭素原子は芳香族環の一部である化合物のことを意味するものとする。適切な芳香族第三級アミンは、さらに例えば、モノアリールアミン、ジアリールアミンまたはトリアリールアミンなどのアリールアミン、またはさらにポリマー性アリールアミンであってもよい。アリール基は、さらに置換されていてもよく、および、置換基として例えば、ビニル基を有することもできる。適切なトリアリールアミンは、例えば、US3,180,730に記載されている。他の適切な材料は、例えば、米国特許第3,567,450号および第3,658,520号から知られている。
【0102】
少なくとも2単位の芳香族第三級アミンを含む芳香族第三級アミンが、正孔輸送層で好ましく使用される。このタイプの化合物は、例えば、米国特許第4,720,432号および第5,061,569号に記載されている。正孔輸送層は、ただ1種の化合物から構築することもできる。しかしながら、異なる化合物の混合物、例えば芳香族第三級アミンの混合物から正孔輸送層を製造することも可能である。適切な化合物は、例えば、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、N,N,N',N'−テトラ−p−トリル−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N,N',N'−テトラ−2−ナフチル−4,4'−ジアミノビフェニルまたはNフェニルカルバゾールである。
【0103】
下記のトリアリールアミン化合物が特に好ましく、それらは置換されていてもよい。
【化6】

【化7】

【0104】
正孔輸送層はそのまま(ドープされていない)であってもドープされていてもよい。ドーピングは導電性を改善することができる。そのままの材料の例はα−NPBおよびTPDである。ドープされた層の例はUS2003-0230980によるF4−TCNQでドープされたm−MTDATAである。
【0105】
正孔輸送層は架橋されていてもよく、例えばN4,N4'−ジ(ナフタレン−1−イル)−N4,N4'−ビス(4−ビニルフェニル)ビフェニル−4,4'−ジアミンは、低温で架橋反応が起こる。使用されるドーパントは、フラーレン誘導体、例えばUS 2008/0054783 A1による{6}−1−(3−(メトキシカルボニル)プロピル)−{5}−1−フェニル−[6,6]−C61であってもよい。さらなるフラーレン誘導体は、Wangら、Applied Physics Lett. 80(20)、(2002)、3847〜3849に記載されている。
【0106】
前記化合物では、可能な化合物として非常に狭い選択範囲しか示されない。しかしながら、前記化合物の他に、正孔伝導体として当業者に知られた全ての他の化合物も使用することができる。
【0107】
さらなる実施形態によれば、有機発光ダイオードは、色変換体を含む正孔注入層を備える。正孔注入層は、有機発光ダイオードにおける正孔注入層として使用するために当業者に知られた全ての材料から同様に製造することができる。したがって、例えば、US3,112,197からトリアゾール誘導体、例えばUS3,257,203からオキサゾール誘導体、US3,189,447などからオキサジアゾール誘導体、JP 37-16096におけるようなイミダゾール誘導体;イミダゾロン、イミダゾールチオンを、またはテトラヒドロイミダゾールも使用することが可能である。正孔注入層として、さらに、US3,615,402などからポリアリールアルカン誘導体、US3,180,729およびUS4,278,746に記載されたピラゾリンおよびピラゾロン誘導体、US3,615,404などからフェニレンジアミン誘導体、US3,567,450などからアリールアミン誘導体、US3,526,501などからアミノ置換カルコン誘導体、またはさらにJP 54-110837に記載されたスチリルアントラセン誘導体も、適当である。例えば、US3,717,462に記載されたヒドラゾン誘導体、US4,950,950に記載されたアシルヒドラゾン、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、またはさらにポリシラン化合物、PVKおよび他の導電性高分子も適当である。例えばJP 2-282263からアニリン系コポリマー、JP 1-211399などから導電性で高分子量のチオフェンオリゴマー、US6,127,004、US6,208,075およびUS6,208,077に記載されたPEDOT:PSS(スピンコートポリマー)、プラズマ蒸着フルオロカーボンポリマー、例えば、US4,720,432から知られたポルフィリン化合物;芳香族第三級アミンおよびスチリルアミン、ベンジジンタイプのトリフェニルアミン、スチリルアミンタイプのトリフェニルアミン、ジアミンタイプのトリフェニルアミンも適当である。フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、またはブタジエン誘導体であってよいアリールアミンデンドリマーも使用することができる。キノリン誘導体、例えば、ジピラジノ[2,3−f:2',3'−h]キノキサリンヘキサカルボニトリルなども適当である。
【0108】
p型Siおよびp型SiCなどの無機化合物も使用することができ、例えば、酸化バナジウム(VOx)、酸化モリブデン(MoOx)または酸化ニッケル(NiOx)などの無機酸化物も同様である。
【0109】
例えばUS2008/0102311A1に記載された第三級芳香族アミン、US5,061,569からの例えばNPD、JP 4-308688からのTPD232およびMTDATAが特に好ましい。さらに、例えば、H2Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPcなどのフタロシアニン誘導体が特に好ましい。
【化8】

【0110】
例えば、
【化9】

【0111】
などの第三級アミンを含む複数の単位を含む化合物が特に好ましい。
【0112】
色変換体が正孔輸送層または正孔注入層に存在する場合に、その濃度は、好ましくは、対応する層の重量に基づいて1から30重量%、好ましくは3から20重量%および特に好ましくは3から10重量%の範囲内で選択される。
【0113】
既に説明したように、色変換体を好ましくは備えないバリア層は、実施形態に従って、正孔輸送層と発光層との間に設けられる。バリア層は、電子遮断層または励起子遮断層の形態であってよい。電子遮断層に使用する材料は、例えば、遷移金属錯体、US2003/0175553に記載された、例えばIrppzであってよい。励起子遮断層として使用することができる材料は、例えば、MTDATAまたはTDATAなどの置換されたトリアリールアミンである。置換されたトリアリールアミンは、例えば、US2007-0134514A1に記載されている。
【0114】
例えば、TCTAなどのN置換されたカルバゾール化合物、または例えばBCPなどの複素環も適切である。
【0115】
さらなる実施形態によれば、有機発光ダイオードは、色変換体を含む電子輸送層を備える。
【0116】
電子輸送層は、そのままの材料からなるかまたは層の電導性を生じさせるドーパントを含むことができる。電子輸送層に使用することができる材料は、それ自体、電子伝導体として当業者に知られた全ての材料である。適切な化合物は、例えば、US4,885,211に記載されたキノリンオキシドの金属錯体である。例になる化合物は、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)、マグネシウムビス(8−ヒドロキシキノリン)、酸化ガリウムまたは三酸化インジウムである。例えば、US4,356,429に記載されたブタジエン誘導体、またはベンゾオキサゾール、トリアジン、アントラセン、テトラセン、フルオレン、スピロフルオレン、デンドリマー、テトラセン、例えばルブレン誘導体、および1,10−フェナントロリン誘導体も適当である。このタイプの化合物は、例えば、JP 2003-115387、JP 2004-311184、JP 2001-267080およびWO2002/043449に記載されている。EP1480280、EP1478032およびEP1469533に記載されたシルアシル−シクロペンタジエン誘導体、例えば、JP 2004-200162で知られたピリジン誘導体;フェナントロリン、例えばBCPおよびBphenも適当である。US2007/0252517A1に記載されたビフェニルまたは他の芳香族基を通して結合した複数のフェナントロリン、またはUS2007-0122656A1から知られたアントラセンに結合したフェナントロリンも、電子輸送層のための材料として使用することができる。
【0117】
2,9,10−置換アントラセン(1−もしくは2−ナフチルおよび4−もしくは3−ビフェニルで)または2つのアントラセン単位を含む分子が好ましい。このタイプの化合物は、例えばUS2008/0193796A1に記載されている。
【0118】
例えば、
【化10】

【0119】
などのアントラセン−ベンズイミダゾール誘導体は同様に好ましい。
【0120】
さらなる実施形態によれば、有機発光ダイオードは、電子注入層を備え、電子注入層中に色変換体が配置されている。当業者に知られた従来の材料を電子注入層として同様に使用することができる。これら材料は、高い誘電率を有する。この目的に適したものは、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属フッ化物であるが、例えばLiF、Li2O、CaF2、MgO、NaF、その他も適する。アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属(Sc、Y、Ce、Th、Yb)、希土類金属錯体、希土類金属化合物(好ましくはYbF3、ScF3、TbF3)等を使用することも同様に可能である。
【0121】
例えば、1,10−フェナントロリン誘導体、ベンズイミダゾール、チオピランジオキシド、オキサゾール、トリアゾール、イミダゾールまたはオキサジアゾールなどのヘテロシクロ有機化合物も同様に適当である。Nを含む5員環、例えば、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾールなどの使用については、とりわけ、US2008/0102311A1を参照されたい。好ましい化合物は以下のものである。
【化11】

【0122】
フルオレノン、フルオレニリジンメタン、ペリレンテトラカルボン酸、アントラキノンジメタン、ジフェノキノン、アントロンおよびアントラキノンジエチレンジアミンなどの有機化合物、例えば
【化12】

【0123】
を使用することも可能である。このタイプの層の層厚さは、好ましくは1nmと10nmとの間である。
【0124】
アノードとして好ましい材料は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO、「NESA」)、ZnO、InO、酸化アルミニウム亜鉛(AlZnO)などの金属酸化物または、例えば、AlまたはInドープ酸化亜鉛、酸化マグネシウムインジウムまたは酸化ニッケルタングステンなどの他の金属酸化物である。例えば、窒化ガリウムなどの金属窒化物、および、例えば、セレン化亜鉛などの金属セレン化物、および例えば、硫化亜鉛などの金属硫化物も使用することが可能である。例えば、ポリチオフェンまたはポリピロールなどの導電性ポリマーも同様に適切である。
【0125】
アノードが透明でなくてもよい場合は、例えば、Au、Ir、Mo、Pd、Pt、Cu、Ag、Sn、C、Al、V、Fe、Co、Ni、Wなどの導電体材料を使用することが可能であり、2つ以上の元素の混合物または化合物として、例えばIn/Cuとしても使用できる。
【0126】
カソードは、透明でも、不透明でも反射性でもよい。4.0eV未満の仕事関数を有する金属、合金または導電性化合物、例えば、Ba、Ca、Sr、Yb、Ga、Cd、Si、Ta、Sb、Zn、Mg、Al、In、Li、Na、Cs、Agなどだけでなく、2種以上の元素の混合物、例えばMg/AlまたはAl/LiまたはAl/Sc/LiまたはMg/Ag合金も、または例えば、ITOまたはIZOなどの金属酸化物も、普通に使用される。
【0127】
上部にITO層を有するMg:Alカソードが、US5703436、US5707745、US6548956B2、US6576134B2に記載されている。Mg:Ag合金はUS4885221に記載されている。
【0128】
ここで挙げたもの以外の材料を使用することも可能である。適切な材料は当業者に知られている。
【0129】
ある実施形態によれば、少なくとも1つの電極は反射性に設計される。発光層により反射性電極の方向に発せられた光は次に反射されて次に光電子デバイスを再び通過して、次にそれの反対側から出る。反射光は、発光層が発した光と直接一致してもよい。しかしながら、反射光は、色変換体が発した光に少なくとも一部が一致することも可能である。
【0130】
好ましい実施形態によれば、光電子デバイス、特にOLEDは、カソード側に鏡を取り付け、すなわちエレクトロルミネッセンス層が発した光はカソード側で反射されて光電子デバイス、特にOLEDからアノード側に出る。
【0131】
この実施形態は、光電子デバイスがOLEDの形態にある場合に特に好ましい。次に色変換体は、好ましくは、電子輸送層または電子注入層またはこれらの層の両方中に配置される。発光層が発した光は次に電子輸送層を、または、電子注入層が設けられているならばそれを通って、カソード方向に進む。色変換体は、これらの層の少なくとも1つに提供される。発光層が発した第1の波長の光または第1の波長範囲からの光は、第2の波長の光または第2の波長範囲内の光の発射を生じさせる。色変換体が発したこの光は、カソードにより反射されてそれ故OLEDからアノード側に出る。したがって、発光層が発した光は、アノード側で直ちにカソードにより反射された光と混合する。発光層が発した光が、例えば、青色領域で選択され且つ色変換体により発せられてカソードにより反射された光が橙色領域で選択された場合には、その2色が合わさって白色光になることができる。エレクトロルミネッセンス有機材料と色変換体の選定により、それ自体任意の所望の色の発生が可能になり、それがOLEDによりアノード側で発せられる。
【0132】
既に説明したように、本発明による有機発光ダイオードは、例えば、室内照明のための照明要素として使用することができる。さらなる実施形態によれば、例えば、ロゴまたは記号が異なる色の背景で表示される場合にディスプレー要素としての使用も可能である。このタイプの表示は、例えば、避難経路または出口を目立たせることができる。本発明による有機発光ダイオードのそのような実施形態は、発光ダイオードが少なくとも2つの面積区域に分けられて、その場合少なくとも2つの面積区域は異なる波長スペクトルを有する光を発するという事実により区別される。その場合、例えば、背景がエレクトロルミネッセンス有機材料を備える発光層が発した光により形成され、一方背景上に配列された記述または記号は色変換体が発した光により表示されることが考えられる。しかしながら、反対の場合も考えられ、すなわち背景が、色変換体が発した光によって形成され、一方背景上に配列された記号または記述は発光層に配置されたエレクトロルミネッセンス有機材料が発した光により表示される。最後に、背景と背景上に配列された記号または記述の両方が色変換体により発生する光により発生するが、異なる波長の光を発する異なった色変換体が背景と背景上に表示された記号または記述に対して選択され、その結果背景と背景上に配列された記号または記述との間にコントラストが発生することも考えられる。発光層は、その場合種々の区域に分割することができ、その結果、例えば、第1の区域は背景のディスプレーのために利用される光を発し、一方第2の区域は記号または記述のディスプレーのために利用される光を発する。この方法で、例えば、区域の明るさは、かけられる電圧の助けで個別に調節することができる。
【0133】
好ましい実施形態によれば、少なくとも2つの面積区域の少なくとも一部の面積が共通の発光層を有し、エレクトロルミネッセンス有機材料を備える該発光層は、次に発光層の構造化が必要でない単一の作業ステップで製造することができる。この連続的な発光層が、次に実質的に均質な光強度の光をその全面積にわたって発し、その場合、光強度は、有機発光ダイオードの寿命を通して全面積にわたり実質的に均質で低下する。色変換体を備える層が、次に連続的な共通の発光層に、区域を分けて、直接または間接に付けられ、その場合色変換体は、異なる面積区域に対して異なるように選択することができる。
【0134】
本発明による有機発光ダイオードは、例えば、ディスプレーで使用することができるような方式で設計することもできる。この目的に対して、有機発光ダイオードは、それを個々に指定することができて、例えば、スイッチをオンオフできるような方式で設計される。この目的のために、ある実施形態によれば、発光ダイオードが基材として活性マトリックスを備えることを提供することができる。このタイプの基材は、当業者に知られた従来の様式で、例えば、シリコンウェファー上で対応するトランジスタと導電トラックを構築することにより製造することができる。このタイプの例えば薄膜トランジスタの形態にあるスイッチ要素をガラスシートまたはプラスチック膜に付けることも同様に可能である。特に最後に挙げた実施形態で、ディスプレーを比較的費用をかけずにこの方式で製造することが可能であり、それは、例えば、プラスチック膜を使用する場合には柔軟であるように設計することもできる。
【0135】
本発明は、好ましくは、OLEDの形態にある上記の光電子デバイスを製造する方法にさらに関する。手順は、このタイプの光電子デバイス、特に有機発光ダイオードの製造においては本質的に通常と同じであってよいが、この場合、エレクトロルミネッセンス有機材料を備える発光層以外に存在する層の少なくとも1つに色変換体を加える。色変換体の濃度は、その場合、所望の結果に従って選択される。色変換体の濃度は、発光層が発した光が完全に吸収されるほど十分高く選択することができて、その結果、本質的に色変換体が発した光だけが外部から可視である。しかしながら、発光層が発した光の一部のみが色変換体に吸収されて、その結果発光層が発した光と色変換体が発した光との間の混合色が発生する方式で濃度を選択することも可能である。
【0136】
光電子デバイスの製造は、従来の様式で実施することができる。例えば、第1に、場合により給電と放電の配線および個々の画素を指定するスイッチ要素を設けることができる基材を提供することが可能である。上で既に記載したように、このタイプの基材は、例えば、半導体材料、例えばシリコンウェファーであってよい。しかしながら、それは、電極の電流供給のための給電と放電の配線が基材上に配列された、電気的に不活性な材料、例えばセラミック材料、ガラスまたはプラスチック膜であってもよい。本発明による有機発光ダイオードを使用する用途に応じて、基材は不透明または透明にすることができる。次に、伝導体トラックと場合により有機発光ダイオードを指定するためのスイッチ要素が、基材上に配置される。この目的に対して、マイクロエレクトロニクス素子製造から知られた従来技法を使用することが可能である。発光ダイオードの電極は、任意に、給電および放電の配線の設置と同時に基材へと適用することができる。この目的のために、例えば、対応する区域をシャドーマスクにより限定することができ、そこに、後で例えば金属を蒸着により適用し、その結果、電極の形状とサイズがシャドーマスクにより決定される。最初に金属層を適用し、次にそれを感光層で覆い、それを区域の位置で露光した後現像することも同様に可能である。現像後の覆いを除いた金属層の区域を次に、例えばプラズマを使用してエッチングすることができる。しかしながら、例えばプリントにより電極を適用することも可能である。その後、有機発光ダイオードの個々の層を従来の様式で付け、その目的にはこのタイプの電子素子製造から当業者に知られた従来の技法を使用する。個々の層は、蒸着により適用することができて、場合によりプリント技法により構造化、または境界画定もできる。その場合、知られた製造方法自体の特別の限定は必要ない。従来の清浄化ステップまたは平坦化ステップも必要であれば、個々の製造ステップ間で実施することができる。
【0137】
好ましい実施形態によれば、発光ダイオードの少なくとも個々の層を、溶媒系プロセスを使用して製造し、その場合、さらなる実施形態によれば、水が溶媒として使用される。層の問題の素子を、適切な溶媒、例えば水、アルコールまたは他の有機溶媒中に溶解または分散して、次にスピンコーティングにより基材に適用する。この目的には、基材を垂直な軸の周りに回転するようにセットして、問題の層素子の溶液を回転する基材上にのせる。過剰の溶液を基材の表面から遠心力により振り落とし、所定層厚さの薄膜を得る。溶媒は回収することができて、問題の層は固化する。実施形態によれば、該層は、例えば重合反応により架橋することもできて、その結果固化する。
【0138】
光電子デバイスを製造するための好ましい方法は、プリントプロセスである。スピンコーティング、インクジェットプリント、スクリーンプリント、フレキソプリント、グラビアプリントおよびドクターブレードプリントからなる群から選択されるプリントプロセスが特に好ましい。インクジェットプリントが特に非常に好ましい。
【0139】
本発明のさらなる実施形態によれば、光電子デバイスを製造するためのさらなる好ましいプリント技法は、浸漬コーティング、凸版プリント、ローラープリント、反転ローラープリント、オフセットリソグラフィープリント、ウェブプリント、スプレーコーティング、ブラシコーティングまたはパッドプリントおよびスロットダイコーティングである。
【0140】
実施形態によっては、連続する層を異なる溶媒を使用して製造する。これは、層間の非常にはっきりとした分離を可能にして、それがまた、例えばOLEDの領域全体にわたる一様な光度の発生に役立つ。
【0141】
さらなる実施形態によれば、正孔輸送層が、例えばPSSHなどの酸でドープされたPEDOTまたはPANIから作製され、ここで、ある実施形態によれば、層を基材に付けるために水性プロセスが使用される。
【0142】
本発明は、さらに、本発明による光電子デバイスの、特にこれらがOLEDの形態にある場合の、照明デバイスまたはディスプレーにおける使用に関する。ここで、用語「照明デバイス」は、例えば、一般的照明を、さらには例えばLCDのバックライトを包含する。ディスプレーにおいて使用する場合には、発光ダイオードが原色の赤、緑および青で提供されることが好ましい。
【0143】
本発明を、下で実施例を参照しながらおいび添付図面を参照しながらさらに詳細に説明するが、本発明はそれにより限定されない。
【0144】
ここにそれぞれの図面を示す。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】従来技術によるSMOLEDの構造を示す図。
【図2】本発明によるOLEDの第1の実施形態の構造を示す図。
【図3】本発明によるSMOLEDの第2の実施形態の構造を示す図。
【図4】従来技術によるPLEDの構造を示す図。
【図5】本発明によるPLEDの第3の実施形態の構造を示す図。
【図6】本発明によるPLEDの第4の実施形態の構造を示す図。
【図7】本発明によるSMOLEDの第5の実施形態の構造を示す図。
【図8】本発明によるSMOLEDの第6の実施形態の構造を示す図。
【図9】本発明によるOLEDの第7の実施形態の構造を示す図。
【図10】OLED1のエレクトロルミネッセンスをDCMによる吸収と比較した図。
【図11】OLED1とOLED2とのエレクトロルミネッセンスを比較した図。
【図12】OLED1のエレクトロルミネッセンスをPEDOT中に分散したDOCIによる吸収と比較した図。
【図13】OLED1とOLED3とのエレクトロルミネッセンスを比較した図。
【図14】少なくとも1種の色変換体を備える層がドレイン電極とソース電極との間に位置する、本発明によるOLEFTの実施形態の構造を示す図。
【図15】色変換体が発光層(EML)中に直接ドープされた、本発明によるOLEFTの実施形態の構造を示す図。
【0146】
図1は、従来技術から知られたOLEDの構造を通る断面を示す。まず、カソード10に接して電子輸送層(ETL)11が配置され、発光層(EML)12が続く。発光層の反対側に正孔輸送層(HTL)13が配置されて、正孔注入層(HIL)14が続く。正孔注入層14にアノード15が続く。
【0147】
図2は、本発明によるSMOLED(低分子有機発光デバイス)のスタックを通る断面を示す。この実施形態においては、カソード10に、電子輸送材料と色変換体との混合物から構築された電子輸送層1が続く。この層1に発光層(EML)12、正孔輸送層(HTL)13、正孔注入層14およびアノードが続く。発光層(EML)12が発した光は、層1に存在する色変換体により、発光層(EML)12が発した光よりも長波長の光に少なくとも部分的に変換される。電子輸送層(ETM)1は、好ましくは、発光層(EML)12に関して、正孔遮断層として、特に好ましくは正孔遮断層とさらには励起子遮断層の両方としての働く。
【0148】
このデバイスにおいては、カソード10が好ましくは反射性であるように設計されている。発光層12が発した光の一部が透明なアノード15を通ってデバイスを出る。他の一部は層1を通過して層1中に存在する色変換体を励起し、それが次により長波長の光を発する。色変換体が発した光の一部はデバイスを透明なアノード15の方向に出る。他の部分は反射性カソード10により反射され、透明なアノード15を通って同様にOLEDを出る。エレクトロルミネッセンス層12が発したが色変換体が吸収しなかった光は、カソード10により反射されて層1を再び通過し、そこで色変換体を再び励起することができて、より長波長の発光を誘起し、その結果、色変換体の量子収率を向上させる。この実施形態において、SMOLEDは、エレクトロルミネッセンス層12が直接発した光と色変換体が発した光とから構成される混合光を発する。
【0149】
図3は、本発明によるSMOLEDのさらに好ましい実施形態の構造を示す。この場合には、透明なアノード15に直接隣接する層2中に色変換体が配置されている。この実施形態においては、反射性カソード10に、電子輸送層(ETL)11、発光層(EML)12、および正孔輸送層(HTL)13が続く。HTL13とアノード15の間に、正孔注入材料と色変換体とを含む層2が配置される。色変換体は、発光層(EML)12が発した光の少なくとも一部を吸収してより長い波長の光を発する。反射性カソード10の方向に発せられたエレクトロルミネッセンス層12からの光は、カソード10により反射されて、次に色変換体を備える層2を通過する。色変換体の対応する選択を考慮すれば、この実施形態におけるSMOLEDは、本質的に色変換体が発した光のみを発するように設計することができる。正孔輸送層HTL13の正孔輸送材料は、好ましくは、発光層(EML)12に関して、電子遮断材料として、さらに好ましくは励起子遮断材料として働く。
【0150】
図4は、従来技術において実現されているPLED(ポリマー有機発光デバイス)の構造を示す。カソード10に発光ポリマーを備える発光層(LEP)16が続く。カソード10と反対側で、発光層16に中間層17が続き、次に正孔注入層(HIL)14が続く。正孔注入層(HIL)14にアノード15が続く。
【0151】
図5は本発明によるPLEDの構造を示す。カソード10に、電子輸送材料とそさらに色変換体との両方を含む層3が続く。この層3に発光ポリマーを備える発光層(LEP)16が続く。図4と類似して、これに中間層17、正孔注入層(HIL)14および透明アノード15が続く。発光層(LEP)16が発した光の少なくとも一部は、色変換体によってより長波長の光に変換される。電子輸送層は、発光層(LEP)16に関して、好ましくは正孔遮断層として、さらに好ましくは励起子遮断層として働く。
【0152】
図6は本発明によるPLEDのさらなる実施形態を示す。発光ポリマーを備える発光層LEP16がカソード10に接して配置されている。これに最初に中間層17が、次に正孔注入材料と色変換体とを含む層4が続く。色変換体は、発光層(LEP)16が発した光の少なくとも一部をより長波長の光に変換する。中間層17は、好ましくは、発光層に関して電子遮断層として、さらに好ましくは励起子遮断層として働く。
【0153】
図7は、本発明によるSMOLEDのさらなる実施形態の構造を示す。カソード10には最初に電子輸送層(ETL)11、次に層5が続く。層5は、電子輸送材料と色変換体との混合物を備える。層5に発光層(EML)12、正孔輸送層(HTL)13、正孔注入層(HIL)14およびアノード15が続く。層5中に存在する電子輸送材料は、発光層に関して好ましくは正孔遮断層として、さらに好ましくは励起子遮断層として働く。
【0154】
図8は、本発明によるSMOLEDのさらなる好ましい実施形態を通る断面を示す。カソード10に最初に電子輸送層(ETL)11が続き、発光層(EML)12と正孔輸送層(HTL)13とが続く。正孔輸送層(HTL)13に、色変換体と正孔注入材料または正孔輸送材料との混合物またはこれら3つの素子全ての混合物を備える層6が続く。正孔輸送層(HTL)13は、発光層(EML)12に関して好ましくは電子遮断層として、さらに好ましくは励起子遮断層として働く。
【0155】
図9は、例えば、白色光を発するのに適した本発明によるデバイスを通る断面を示す。カソード10に最初に普通の電子輸送層(ETL)11と、例えば青色光を発する普通の発光層(EML)12とが続く。発光層(EML)12に普通の正孔輸送層(HTL)13が続く。普通の正孔輸送層(HTL)13に接して正孔注入材料を含む区域7が配列される。発光層(EML)12が発した青色光は、この区域7を通って変化せずにアノード15の側に出る。区域8においては、正孔注入材料と発光層12からの青色光を吸収して緑色光を発する第1の色変換体とが混合されている。正孔注入材料の他に第2の色変換体をさらに含む層が区域9に配置されている。第2の色変換体は、発光層12が発した青色光を吸収して赤色光を発する。OLEDが発する合計色は区域7と8と9との面積の調節により調色することができる。
【0156】
図14は、本発明によるデバイスを通る断面を示し、それは、ドレイン18と、ソース19と、ゲート20と、色変換体21を含む層と、発光層(EML)22と、基材23を備えるOLEFTを示す。
【0157】
図15は、図14と類似で、OLEFTを表す本発明によるデバイスを通る断面を示す。図14に図式的に描いたOLEFTと対照的に、この場合、色変換体が発光層24中に直接ドープされている。
【0158】
本発明において記載した実施形態の変形が、本発明の範囲内にあることは指摘されるべきである。本発明において開示した各特徴は、明示的に除外されない限り、同じ、同等のまたは同様な目的に資する代替的特徴により置き換えることができる。したがって、本発明において開示した各特徴は、別段断らない限り、包括的な系列または同等のまたは同様な特徴の例とみなすべきである。
【0159】
本発明の全ての特徴は、ある特徴および/またはステップが互いに排他的でない限り、互いに任意の様式で組み合わせることができる。これは、特に、本発明の好ましい特徴に当てはまる。それと同時に、本質的でない組合せの特徴は、別々に(組合せでなく)使用することができる。
【0160】
本発明の特徴の多く、特に好ましい実施形態の特徴は、それ自体発明であり、単に本発明の実施形態の一部とみなすべきでないことはさらに指摘されるべきである。これらの特徴に対して、独立の保護を、現在特許請求している各発明に追加的にまたは選択的に要求することもできる。
【0161】
本発明で開示した技術的行為に関する教示は、抽象して他の例と組み合わせることができる。
【0162】
以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、それにより本発明を限定することは望まない。
【0163】
(実施例)
以下のポリマーを、WO03/048225に記載されたプロセスによりSuzukiカップリングによって調製した。
【0164】
IL1:
ポリマーIL1は、中間層の材料として使用されるものであり、以下のモノマーM1とM2とを含む。
【化13】

【0165】
得られたポリマーIL1の分子量Mは200,000g/molと300,000g/molとの間である。
【0166】
LEP1
ポリマーLEP1は発光ポリマーとして使用した。コポリマーは、以下のモノマーM3からM6を含む。
【化14】

【0167】
モノマーM6は材料を架橋するためにオキセタン基を含有する。
【0168】
ETM1
使用した電子輸送材料は以下の化合物であった。
【化15】

【0169】
レーザ色素
使用したレーザ色素は、トルエンに可溶なDCMおよび水に可溶なDOCIであった。両色素は、Lambda Physik(ドイツ)から購入してそのまま使用した。化合物の式を下に示す。
【化16】

【0170】
IL1、LEP1およびETM1の電子的構造
IL1の電子遮断性および励起子遮断性をLEP1と比較し且つETM1の正孔遮断性および励起子遮断性をLEP1と比較して調べるために、IL1、LEP1およびETM1の電子的構造を量子化学的シミュレーションの助けで調べた。有機化合物のHOMO/LUMOは、WO2008/011953に記載された方法を使用して計算することができ、結果はサイクリックボルタンメトリー測定とよく一致する。
【0171】
HOMOおよびLUMOの計算は、同じ補正関数B3PW91と同じ基底関数6−31G(d)を使用して時間依存性DFT(密度関数理論)の助けを借りてGaussian 03Wで実行した。次に計算値を多数の選択された分子の測定値と計算値の比較により決定した較正係数の助けで較正した。トリマーM2−M1−M3をIL1の計算に使用し、トリマーM3−M4−M3をLEP1のポリマー骨格の計算に使用し、トリマーM3−M5−M3を発光子の計算に使用した。
【表1】

【0172】
表1から、IL1、LEP1およびETM1についての電子的構造、すなわちHOMOまたはLUMOが分かる。中間層IL1はLEP1の骨格より高いLUMOを有するので、それは電子遮断層として働く。LEP1においては、発光子M5もポリマー骨格中の正孔トラップとして働き、発光層近くに配列された狭い発光領域を生ずる。LEP1と比較して、ETM1はかなり低いHOMOを有し、それゆえに正孔遮断層として働く。さらに、それはLEP1骨格およびLEP1発光子より有意に大きいバンドギャップを有し、それゆえに励起子遮断層として働く。この知識を計算に入れれば、ETM1中の色変換体は、光学的にのみ励起することができ、すなわち換言すれば、電子的に励起することも励起子拡散によりLEP1から励起子を引き取ることもできない。同じことが色変換体が緩衝層に配列される場合にも当てはまる。
【0173】
(実施例1)
OLEDの製造
OLED1(従来技術)
従来技術から知られた構造を有する、図4に示したOLED1を、以下のステップを有するプロセスにより製造した。
【0174】
1.第1に、厚さ80nmのPEDOT(Baytron PAl4083)の層をITOコートガラス基材へとスピンコーティングによって適用する。この層は正孔注入層として働く。
【0175】
2.グローブボックス内で、厚さ20nmのIL1の層をスピンコーティングにより適用する。この目的のために、トルエン中で濃度が0.5重量%の溶液を使用する。
【0176】
3.次に、層IL1をグローブボックス内で180℃で1時間硬化処理する。
【0177】
4.LEP層を製造するために、第1に濃度が1重量%のLEP1の第1の溶液をトルエン中で調製する。第1の溶液を使用して、65nmの膜厚を生ずる回転速度を決定する。さらに、光開始剤4−[(2−ヒドロキシテトラデシル)オキシル]フェニル}−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート)(OPPI)の1重量%の第2の溶液をトルエン中で調製する。次に第1の溶液と第2の溶液とを10ml対0.05mlの比で混合して、混合物をスピンコーティングにより前に決定した回転速度で基材に塗布し、その結果65nmの膜厚を得る。硬化処理のために、膜を最初にUV光(360nm)で5秒間照射して次に100℃で1分間加熱する。該プロセスはDE102004009355A1において一般的表現で説明されている。
【0178】
5.該デバイスを180℃でさらに10分間加熱する。
【0179】
6.次にBa/Alカソードを蒸着によって層に適用し、ここで膜厚は3nmおよび150nmである。
【0180】
7.最後に、層スタックを封止する。
【0181】
(実施例2)
OLED2(本発明による)
図5に示した本発明によるOLEDは、以下のステップを有するプロセスにより製造される。
【0182】
OLED1の製造の場合に説明したステップを繰り返すが、LEP1層の膜厚を35nmに減少させる。
【0183】
5.次に、厚さが30nmのDCM/ETM1の層を、スピンコーティングによりトルエン中2.5重量%のDCM/ETM1(1:4)混合物溶液を塗布することにより適用する。
【0184】
6.次に、デバイスを180℃で10分間硬化処理する。
【0185】
7.次に、Ba/Alカソードを蒸着により発光層へと適用し、ここで膜厚は3nmおよび150nmである。
【0186】
8.最後に、層スタックを封止する。
【0187】
(実施例3)
OLED3
図6に示した本発明によるOLEDを以下のステップを有するプロセスにより製造する。
【0188】
PEDOT(Baytron Pal4083)とDOCI(0.1〜0.5重量%)の80nmの混合物を正孔注入層としてITOコートガラス基材にスピンコーティングにより塗布する。
【0189】
次にステップ2から7を実施例1で説明したように実施する。
【0190】
(実施例4)
OLEDのキャラクタリゼーションおよび比較
上記のようにして製造したOLEDのエレクトロルミネッセンススペクトルを記録して外部量子収率を決定した。
【0191】
図10にOLED1のエレクトロルミネッセンススペクトルとLambda Physikにより提供された、エタノール中のDCMの吸収スペクトルとの比較を示す。2つのスペクトルの非常に良好な重なりが明白である。色変換体DCMの吸収極大は発光層の発光極大に近い。DCMは、それ故、発光層が発した光を吸収してより長波長の光に変換することができるはずである。
【0192】
図11においては、OLED1のエレクトロルミネッセンススペクトルをOLED2の対応するスペクトルと比較している。約612nmの波長における第2のピークは、DCMの蛍光発光に対応する。これは発光層が発した光の、色変換体DCMにより長波長の光に変換された部分に対応する。
【0193】
図12においては、OLED1のエレクトロルミネッセンススペクトルをPEDOT中のDOCI(0.2重量%)の分散液の吸収スペクトルと比較している。スペクトルの非常に良好な重なりが明白である。DOCIの吸収極大は発光層の発光極大に近い。DOCIは、それ故、発光層が発した光を吸収してより長波長の光に変換することができるはずである。
【0194】
図13に、OLED1とOLED3のエレクトロルミネッセンススペクトルの比較を示す。約620nmの波長における第2のピークは、DOCIの蛍光発光に対応する。このピークは、発光層が発した光のDOCIによる吸収と、より長波長における対応する発光とにより生ずる。DOCIはPEDOT中で限られた溶解性しか有しないので、発光層が発した光の小部分しかより長波長の光に変換されない。
【0195】
実施例は、本発明による光電子デバイスを使用して、OLEDの発光層が発した光を、色変換体により、より長波長を有する光に変換できることを示す。本発明による光電子デバイスが発した光の調光は、例えば、色変換体を含む層の厚さの調節により達成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの電極と、前記電極間に配置され、第1の波長の光または第1の波長スペクトルを有する光を発するエレクトロルミネッセンス有機材料を含む少なくとも1つの発光層とを有する光電子デバイスであって、少なくとも1種の色変換体を含む層が、前記少なくとも1つの発光層のうちの少なくとも1つと少なくとも1つの電極との間に配置されていることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項2】
前記色変換体が、前記第1の波長スペクトルの光を吸収し、第2の波長スペクトルを有する光を発する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの電極が反射性であるように設計されていることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも2つの電極がカソードとアノードとを形成し、前記少なくとも1種の色変換体を含む前記少なくとも1つの層がカソードと発光層との間に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のうちの一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記光電子デバイスが有機発光ダイオード(OLED)であることを特徴とする請求項1〜4のうちの一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1種の色変換体を含む前記OLEDの前記少なくとも1つの層が、電子注入層、電子輸送層、電子遮断層および励起子遮断層の群から選択される請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記光電子デバイスが有機発光電気化学的電池(OLEC)であることを特徴とする請求項1〜4のうちの一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1種の色変換体を含む前記OLECの少なくとも1つの層が、正孔注入層および電子注入層の群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記OLECの前記発光層が少なくとも1種の色変換体を含むことを特徴とする、請求項7または8のうちの一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記光電子デバイスが有機発光電界効果トランジスタ(OLEFT)であることを特徴とする、請求項1〜4のうちの一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1種の色変換体を含む前記OLEFTの少なくとも1つの層が誘電体層であることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記OLEFTの前記発光層が少なくとも1種の色変換体を含むことを特徴とする請求項10または11のうちの一項に記載のデバイス。
【請求項13】
請求項1〜12のうちの一項に記載の光電子デバイスを製造する方法であって、少なくとも2つの電極と、前記少なくとも2つの電極間に配置された少なくとも1つの発光層とを有する光電子デバイスを従来の方法で製造することを特徴とし、色変換体を含む少なくとも1つのさらなる層を前記少なくとも1つの電極と前記少なくとも1つの発光層との間に配置することを特徴とする方法。
【請求項14】
少なくとも1つの層を液相として適用することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの層を水性相として適用することを特徴とする請求項13または14のうちの一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのさらなる層が正孔輸送層または正孔注入層であることを特徴とする請求項13〜15のうちの一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのさらなる層がPEDOTおよび/またはPANIを含む、正孔輸送層または正孔注入層であることを特徴とする請求項13〜16のうちの一項に記載の方法。
【請求項18】
照明手段としての請求項1〜12のうちの一項に記載の光電子デバイスの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−518373(P2013−518373A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550357(P2012−550357)
【出願日】平成23年1月3日(2011.1.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000003
【国際公開番号】WO2011/091946
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】