説明

色変換方法、色変換装置及び画像形成システム

【課題】特色に対して適切な色変換を行う。
【解決手段】プリンタコントローラ20の記憶部24には、特色を複数のカテゴリに分類したカテゴリ毎に、蛍光色用色変換テーブル241、メタリック色用色変換テーブル242、一般特色用色変換テーブル243が記憶されている。プリンタコントローラ20は、特色毎に、ネットワークIF部25を介してクライアントPCから特色名と特色のカテゴリを取得し、測色器IF部26を介して測色器40から特色の色彩値を取得する。そして、記憶部24に記憶されている複数の色変換テーブルの中から特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択し、選択された色変換テーブルに基づいて特色の色彩値をデバイス値に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換方法、色変換装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、画像形成装置の出力色(シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)等)に色変換された後のデータに基づいて画像形成が行われる。
【0003】
印刷業界においては、DICカラーガイド(登録商標)等の色見本により、特色が指定される場合があるが、特色に対して通常の色変換を行ってしまうと、目的とする色に近付けるのが困難な場合がある。
【0004】
そこで、プリンタの色再現範囲外の特色については、色再現範囲外のプロセスカラーとは異なる色変換を行う色調整方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、通常色と特色とを、異なる色変換テーブルにより色変換するカラーマッチング方法が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−88217号公報
【特許文献2】特開2010−10862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特色には、蛍光色(一般的に、紫外線を可視光に変換して放出する成分を含む)、メタリック色(一般的に、金属様の反射をもつ微粒子を含む)等、質感、見た目が特徴的なものがあるため、特色を画像形成装置の出力色であるCMYK値に変換する際に、特色の色彩値を基準にして、特色全般に対して一つの色変換テーブルで色変換を行うと、発光や反射光の影響等により、見た目と異なる結果になる場合があった。
【0007】
画像形成装置により形成される色を、特色の見た目に近付けるためには、調整・修正が必要であるが、特色のCMYK値を個別に調整・修正するのは熟練を要し、手間がかかる。また、特定の色のみを調整すると、近い色の特色間の明暗、濃淡、色相等の関係が逆転する場合があり、問題であった。
【0008】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、特色に対して適切な色変換を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、特色を画像形成装置の出力色に対応する複数の色の値の組み合わせに変換する色変換方法であって、特色毎に、特色名、特色を複数のカテゴリに分類したカテゴリ及び当該特色の色彩値を取得する工程と、前記カテゴリ毎に予め記憶部に記憶されている、色彩値に対応する前記複数の色の値の組み合わせを示す複数の色変換テーブルの中から前記取得された特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択する工程と、当該選択された色変換テーブルに基づいて前記取得された特色の色彩値を前記複数の色の値の組み合わせに変換する工程と、を含む。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の色変換方法において、前記カテゴリは、蛍光色からなるカテゴリ又はメタリック色からなるカテゴリを含む。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の色変換方法において、前記複数の色変換テーブルは、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られる前記複数の色の値の組み合わせに基づいて前記画像形成装置により形成される色の明度又は色相が異なるものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の色変換方法において、前記カテゴリは、蛍光色からなるカテゴリと所定の特色からなるカテゴリとを含み、前記蛍光色に対応する色変換テーブルは、前記所定の特色に対応する色変換テーブルと比較して、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られる前記複数の色の値の組み合わせに基づいて前記画像形成装置により形成される色の明度がより高くなるように変換するものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の色変換方法において、前記カテゴリは、蛍光色からなるカテゴリと所定の特色からなるカテゴリとを含み、前記蛍光色に対応する色変換テーブルは、前記所定の特色に対応する色変換テーブルと比較して、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られる前記複数の色の値の組み合わせに基づいて前記画像形成装置により形成される色の色相角がより大きくなるように変換するものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の色変換方法において、前記カテゴリは、メタリック色からなるカテゴリと所定の特色からなるカテゴリとを含み、前記メタリック色に対応する色変換テーブルは、前記所定の特色に対応する色変換テーブルと比較して、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られる前記複数の色の値の組み合わせに基づいて前記画像形成装置により形成される色の明度がより高くなるように変換するものである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の色変換方法において、前記画像形成装置の出力色は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、特色を画像形成装置の出力色に対応する複数の色の値の組み合わせに変換する色変換装置であって、特色を複数のカテゴリに分類したカテゴリ毎に、色彩値に対応する前記複数の色の値の組み合わせを示す複数の色変換テーブルを記憶する記憶部と、特色毎に、特色名、当該特色のカテゴリ及び当該特色の色彩値を取得し、前記記憶部に記憶されている複数の色変換テーブルの中から前記取得された特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択し、当該選択された色変換テーブルに基づいて前記取得された特色の色彩値を前記複数の色の値の組み合わせに変換する制御部と、を備える。
【0017】
請求項9に記載の発明は、画像形成装置と、特色を前記画像形成装置の出力色に対応する複数の色の値の組み合わせに変換する色変換装置と、を備える画像形成システムであって、前記色変換装置は、特色を複数のカテゴリに分類したカテゴリ毎に、色彩値に対応する前記複数の色の値の組み合わせを示す複数の色変換テーブルを記憶する記憶部と、特色毎に、特色名、当該特色のカテゴリ及び当該特色の色彩値を取得し、前記記憶部に記憶されている複数の色変換テーブルの中から前記取得された特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択し、当該選択された色変換テーブルに基づいて前記取得された特色の色彩値を前記複数の色の値の組み合わせに変換する制御部と、前記変換された複数の色の値の組み合わせを前記画像形成装置に送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特色に対して適切な色変換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成システムのシステム構成図である。
【図2】クライアントPCの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタコントローラの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は、蛍光色用色変換テーブルの例である。(b)は、メタリック色用色変換テーブルの例である。(c)は、一般特色用色変換テーブルの例である。
【図5】蛍光色用の明度の変更値を示す図である。
【図6】蛍光色用の色相角の変更値を示す図である。
【図7】メタリック色用の明度の変更値を示す図である。
【図8】色分解テーブルの例である。
【図9】第1の実施の形態における第1の色分解テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態における第2の色分解テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態における第1の色変換処理を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施の形態における第2の色変換処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る色変換方法の第1の実施の形態について説明する。
図1に、画像形成システム1のシステム構成を示す。図1に示すように、画像形成システム1は、クライアントPC(Personal Computer)10、色変換装置としてのプリンタコントローラ20、画像形成装置としてのプリンタ30を備えて構成されている。クライアントPC10とプリンタコントローラ20とは、通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。プリンタコントローラ20とプリンタ30とは、専用インターフェース用バスを介して接続されている。また、プリンタコントローラ20は、プリンタ30に内蔵されていてもよい。
【0021】
図2に、クライアントPC10の機能的構成を示す。図2に示すように、クライアントPC10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶部14、操作部15、表示部16、ネットワークIF(InterFace)部17等を備えて構成され、各部はバス18により接続されている。
【0022】
CPU11は、クライアントPC10の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU11は、操作部15から入力される操作信号又はネットワークIF部17により受信した指示信号に応じて、ROM12又は記憶部14に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM13に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0023】
ROM12は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0024】
RAM13は、CPU11により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0025】
記憶部14は、ハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。
【0026】
操作部15は、カーソルキー、文字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザによる操作入力を受け付ける。操作部15は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU11に出力する。
【0027】
表示部16は、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、CPU11からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。
【0028】
ネットワークIF部17は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、ネットワークIF部17は、プリンタコントローラ20に特色に関するデータ(特色名、カテゴリ等)や画像データを送信する。
【0029】
図3に、プリンタコントローラ20の機能的構成を示す。図3に示すように、プリンタコントローラ20は、CPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、ネットワークIF部25、測色器IF部26、プリンタIF部27等を備えて構成され、各部はバス28により接続されている。
【0030】
CPU21は、プリンタコントローラ20の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU21は、ネットワークIF部25により受信した指示信号に応じて、ROM22に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM23に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0031】
ROM22は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0032】
RAM23は、CPU21により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0033】
記憶部24は、ハードディスク等の記憶装置からなり、各種データを記憶する。記憶部24には、特色を複数のカテゴリに分類したカテゴリ毎に、蛍光色用色変換テーブル241、メタリック色用色変換テーブル242、一般特色用色変換テーブル243が記憶されている。特色のカテゴリとして、蛍光色からなるカテゴリ、メタリック色からなるカテゴリ、一般特色からなるカテゴリの3種を用いる。ここで、一般特色は、蛍光色及びメタリック色以外の特色を指す。また、蛍光色用色変換テーブル241及びメタリック色用色変換テーブル242を作成する際の比較基準となる「所定の特色」として、この一般特色を用いる。なお、記憶部24には、特色以外の通常のプロセスカラー用の色変換テーブルも記憶されている。
【0034】
図4(a)〜(c)は、それぞれ、蛍光色用色変換テーブル241、メタリック色用色変換テーブル242、一般特色用色変換テーブル243の例である。これらの色変換テーブル241,242,243は、ICCデバイスプロファイルのBtoAテーブルと実質的に同様であり、色彩値(L*a*b*)に対してプリンタ30の出力色に対応する複数の色の値の組み合わせ(以下、デバイス値という。)(CMYK値)が対応付けられている。各色変換テーブル241,242,243には、色彩値及びデバイス値が離散的に格納されているが、補間計算により、色空間全体の色彩値に対して対応するデバイス値を求めることができる。
【0035】
蛍光色用色変換テーブル241は、蛍光色素を含むインキの色をプリンタ30にて出力する場合に用いる色変換テーブルである。蛍光色は、電子写真により表現可能な色域との差が大きく、蛍光物質による反射光の波長変化もあるため、通常の色変換テーブルでは色変換結果が暗すぎ、色によっては色相の印象も異なることを考慮して、蛍光色用色変換テーブル241が用意されている。
【0036】
メタリック色用色変換テーブル242は、金属粉末を含むインキの色をプリンタ30にて出力する場合に用いる色変換テーブルである。メタリック色は、反射光が目視に与える影響のため、通常の色変換テーブルでは色変換結果が暗すぎることを考慮して、メタリック色用色変換テーブル242が用意されている。
【0037】
一般特色用色変換テーブル243は、入力された色彩値と、プリンタ30により形成される色の測色値と、が実質的に色相角を変えない範囲で色差を最小とするような変換を行うものである。一般特色用色変換テーブル243の作成には、公知のプリンタプロファイル作成におけるBtoAテーブル作成方法を用いることができ、特に測色レンダリングインテントのBtoAテーブル作成方法を用いることが好ましい。
【0038】
各色変換テーブル241,242,243は、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られるデバイス値に基づいてプリンタ30により形成される色の明度又は色相が異なるものである。すなわち、各色変換テーブル241,242,243は、全ての色に対して色変換結果が異なる必要はなく、色変換結果が部分的に異なるものであればよい。
明度を異ならせる場合には、例えば、同一の色彩値が入力された場合に、変換後のデバイス値に基づいてプリンタ30により形成される色の明度L*が2〜15(より好ましくは2〜6)異なるように変換される範囲を、入力色彩値の明度L*が5以上の幅にわたって設ける。
色相を異ならせる場合には、例えば、同一の色彩値が入力された場合に、変換後のデバイス値に基づいてプリンタ30により形成される色のa*b*平面上の色相角hが3〜25度(より好ましくは3〜15度)異なるように変換される範囲を、入力色彩値の色相角hが3度以上の幅にわたって設ける。
【0039】
蛍光色用色変換テーブル241は、一般特色用色変換テーブル243と比較して、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られるデバイス値に基づいてプリンタ30により形成される色の明度がより高くなるように変換するものであることが好ましい。例えば、同一の色彩値が入力された場合に、変換後のデバイス値により形成される色の明度L*が2〜15(より好ましくは2〜6)高くなるように変換される範囲を、入力色彩値の明度L*が5以上の幅にわたって設ける。特に、色域外の色において、明度L*がより高くなるようにする。
【0040】
より具体的には、蛍光色用色変換テーブル241による色変換の結果は、入力された色彩値の明度L*の値を、LK0以下において±0、LK1(>LK0)においてLK2、LK3(又はデバイス白色点のL*からLK4を引いた値のいずれか小さい方)(>LK1)においてLK4、デバイス白色点において±0(各明度の間は線形補間する)だけ変更した後に、一般特色用色変換テーブル243により色変換を行った結果に相当する。デバイス白色点は、プリンタ30で用いる用紙の色(紙白)を示す。ただし、LK0=40〜54、LK1=55〜65、LK2=+2〜+6、LK3=70〜90、LK4=+2〜+6である。
【0041】
ここで、LK0〜LK4の最適値の検討方法について説明する。
まず、入力された色彩値の明度L*の値をどのくらい上げるかを決める。東洋インキ製造株式会社(登録商標)の「カラーファインダー(登録商標)」の蛍光特色10色について、測定器X-Rite(登録商標)社eye-oneで測定した色彩値を元に、プリンタ30としてbizhub(登録商標) PRO C6500を用い、LK0=デバイス最暗色、LK1=デバイス最暗色+LK2、LK3=デバイス白色−LK4(実質的に範囲が全明度域にわたることになる)、LK2=LK4とし、これを変化させて色変換し、出力を行った。出力物をカラーファインダーのパッチと見比べ、色再現の好ましさを1〜5の5段階で評価した。なお、5が最良、1が最悪、3以上が実用上許容できるレベルの近似とし、色調整経験者5名の平均値(小数第二位を四捨五入)を算出した。この結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
次に、明度L*のどの範囲を上げるかを決める。上記条件と同様の条件下において、LK2=LK4=4とし、LK1とLK3を変化させて、蛍光特色10色と、白〜黒のグラデーションチャート(CKYKデータで作成)を色変換し、出力を行った。グラデーションチャートについては、色の変化の滑らかさを5段階で評価した(一般的な蛍光特色とは異なる色彩値が入力された場合にも全体的に適切な階調のつながりを持った変換が可能か否かの確認)。この結果を表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
上記条件と同様の条件下において、更に、LK1=60、LK3=78とし、LK0を変化させて、同様に評価を行った。この結果を表3に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
以上の結果から、効果があり、かつ、不具合のない範囲として、上記記載の数値範囲を決定した。
【0048】
図5に、蛍光色用色変換テーブル241を明度L*の変更と一般特色用色変換テーブル243とに分けた場合の明度L*の変更値を示す。図5は、LK0=50、LK1=60、LK2=+3、LK3(又はデバイス白色点のL*から3を引いた値のいずれか小さい方)=85、LK4=+3の場合の例である。
【0049】
また、蛍光色用色変換テーブル241は、一般特色用色変換テーブル243と比較して、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られるデバイス値に基づいてプリンタ30により形成される色の色相角がより大きくなるように変換するものであることが好ましい。例えば、同一の色彩値が入力された場合に、変換後のデバイス値により形成される色のa*b*平面上の色相角hが、+a*方向を0度、+b*方向を+90度、−b*方向を−90度としたときの−50〜10度の領域において、色相角hが3〜25度(より好ましくは3〜15度)大きくなるように変換される範囲を、入力色彩値の色相角hが3度以上の幅にわたって設ける。特に、色域外の色において、色相角hがより大きくなるようにする。
【0050】
より具体的には、蛍光色用色変換テーブル241による色変換の結果は、入力された色彩値のa*b*平面上の色相角hの値を、+a*方向を0度、+b*方向を+90度、−b*方向を−90度としたときのh0度において±0、h1(>h0)度においてh2度、h3(>h1)度においてh4度、h5(>h3)度において±0(各色相角の間は線形補間する)だけ変更した後に、一般特色用色変換テーブル243により色変換を行った結果に相当する。ただし、h0=−55〜−45、h1=−40〜−20、h2=+3〜+15、h3=−20〜0、h4=+3〜+15、h5=+5〜+15である。
【0051】
ここで、h0〜h5の最適値の検討方法について説明する。
まず、入力された色彩値の色相角hの値をどのくらい上げるかを決める。東洋インキ製造株式会社の「カラーファインダー」の蛍光特色10色について、測定器X-Rite社eye-oneで測定した色彩値を元に、プリンタ30としてbizhub PRO C6500を用い、LK2=LK4=4、LK1=60、LK3=78、LK0=45とし、また、h0=−90、h1=h0+(2*h2)、h3=h5−(2*h2)、h5=+90、更に、h2=h4とし、これを変化させて色変換し、出力を行った。出力物をカラーファインダーのパッチと見比べ、色再現の好ましさを1〜5の5段階で評価した。なお、5が最良、1が最悪、3以上が実用上許容できるレベルの近似とし、色調整経験者5名の平均値(小数第二位を四捨五入)を算出した。この結果を表4に示す。
【0052】
【表4】

【0053】
次に、色相角hのどの範囲を上げるかを決める。上記条件と同様の条件下において、上記条件同様、ただし、h2=h4=4とし、h0=h1−12、h5=h3+12とし、h1とh3を変化させて、蛍光特色10色と、色相変化のグラデーションチャートを色変換し、出力を行った。グラデーションチャートはC〜B〜M〜R〜Y〜G〜Cと変化するものであり、CKYKデータで作成した。B(ブルー)はC+M、R(レッド)はM+Y、G(グリーン)はY+Cである。グラデーションチャートについては、色の変化の滑らかさを5段階で評価した(一般的な蛍光特色とは異なる色彩値が入力された場合にも全体的に適切な階調のつながりを持った変換が可能か否かの確認)。この結果を表5に示す。
【0054】
【表5】

【0055】
上記条件と同様の条件下において、更にh1=−30、h3=−5とし、h0とh5をそれぞれ変化させて、同様に評価を行った。この結果を表6に示す。
【0056】
【表6】

【0057】
以上の結果から、効果があり、かつ、不具合のない範囲として、上記記載の数値範囲を決定した。
【0058】
図6に、蛍光色用色変換テーブル241を色相角hの変更と一般特色用色変換テーブル243とに分けた場合の色相角hの変更値を示す。図6は、h0=−50、h1=−30、h2=+15、h3=−10、h4=+15、h5=10の場合の例である。
【0059】
また、メタリック色用色変換テーブル242は、一般特色用色変換テーブル243と比較して、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られるデバイス値に基づいてプリンタ30により形成される色の明度がより高くなるように変換するものであることが好ましい。例えば、同一の色彩値が入力された場合に、変換後のデバイス値により形成される色の明度L*が2〜15(より好ましくは2〜6)高くなるように変換される範囲を、入力色彩値の明度L*が5以上の幅にわたって設ける。特に、色域内の色において、明度L*がより高くなるようにする。
【0060】
より具体的には、メタリック色用色変換テーブル242による色変換の結果は、入力された色彩値の明度L*の値を、LM0以下において±0、LM1(>LM0)においてLM2、LM3(又はデバイス白色点のL*からLM4を引いた値のいずれか小さい方)(>LM1)においてLM4、デバイス白色点において±0(各明度の間は線形補間する)だけ変更した後に、一般特色用色変換テーブル243により色変換を行った結果に相当する。ただし、LM0=25〜35、LM1=40〜60、LM2=+2〜+6、LM3=65〜85、LM4=+2〜+6である。
【0061】
ここで、LM0〜LM4の最適値の検討方法について説明する。
まず、入力された色彩値の明度L*の値をどのくらい上げるかを決める。東洋インキ製造株式会社の「カラーファインダー」のメタリック特色24色について、測定器X-Rite社eye-oneで測定した色彩値を元に、プリンタ30としてbizhub PRO C6500を用い、LM0=デバイス最暗色、LM1=デバイス最暗色+LM2、LM3=デバイス白色−LM4(実質的に範囲が全明度域にわたることになる)、LM2=LM4とし、これを変化させて色変換し、出力を行った。出力物をカラーファインダーのパッチと見比べ、色再現の好ましさを1〜5の5段階で評価した。なお、5が最良、1が最悪、3以上が実用上許容できるレベルの近似とし、色調整経験者5名の平均値(小数第二位を四捨五入)を算出した。この結果を表7に示す。
【0062】
【表7】

【0063】
次に、明度L*のどの範囲を上げるかを決める。上記条件と同様の条件下において、LM2=LM4=4とし、LM1とLM3を変化させて、メタリック特色24色と、白〜黒のグラデーションチャート(CKYKデータで作成)を色変換し、出力を行った。グラデーションチャートについては、色の変化の滑らかさを5段階で評価した(一般的なメタリック特色とは異なる色彩値が入力された場合にも全体的に適切な階調のつながりを持った変換が可能か否かの確認)。この結果を表8に示す。
【0064】
【表8】

【0065】
上記条件と同様の条件下において、更に、LM1=50、LM3=73とし、LM0を変化させて、同様に評価を行った。この結果を表9に示す。
【0066】
【表9】

【0067】
以上の結果から、効果があり、かつ、不具合のない範囲として、上記記載の数値範囲を決定した。
【0068】
図7に、メタリック色用色変換テーブル242を明度L*の変更と一般特色用色変換テーブル243とに分けた場合の明度L*の変更値を示す。図7は、LM0=30、LM1=45、LM2=+6、LM3(又はデバイス白色点のL*から3を引いた値のいずれか小さい方)=75、LM4=+3の場合の例である。
【0069】
ネットワークIF部25は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、ネットワークIF部25は、クライアントPC10から特色に関するデータ(特色名、カテゴリ等)や画像データを受信する。
【0070】
測色器IF部26は、測色器40から測色データ(色彩値)を受信する。測色データは、L*a*b*、XYZ等のデバイスに依存しない表色系で表される。
【0071】
プリンタIF部27は、プリンタ30との間でデータの入出力を行う。プリンタIF部27は、プリンタ30に対して色変換後の画像データ(CMYK値)を送信する。
【0072】
CPU21は、ROM22に記憶されているプログラムとの協働により、特色毎に、特色名、特色のカテゴリ及び特色の色彩値を取得し、記憶部24に記憶されている複数の色変換テーブルの中から特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択し、選択された色変換テーブルに基づいて特色の色彩値をデバイス値に変換する。そして、CPU21は、特色名と特色に対応するデバイス値とを対応付ける色分解テーブルを作成する。図8に、色分解テーブルの例を示す。色分解テーブルは、特色テーブル、特色ライブラリ、スポットカラーテーブル等とも呼ばれる。一般的には、色見本シリーズ別(DICカラーガイド等)、インキメーカー別、ユーザのオリジナル等、複数のリストに分けて用意される。
【0073】
プリンタ30は、プリンタコントローラ20から受信した色変換後の画像データ(CMYK値)に基づいて、用紙上に画像形成を行う画像形成装置である。例えば、プリンタ30は、電子写真方式の画像形成を行うものであり、感光ドラム、感光ドラムの帯電を行う帯電部、画像データに基づいて感光ドラム表面を露光走査する露光部、感光ドラムにトナーを付着させる現像部、感光ドラム上に形成されたトナー像を印刷用紙に転写する転写部、印刷用紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部等から構成される。
【0074】
次に、第1の実施の形態における動作について説明する。
図9は、プリンタコントローラ20により実行される第1の色分解テーブル作成処理を示すフローチャートである。この処理は、ユーザが入力した特色名、色彩値、カテゴリに基づいて色分解テーブルを作成する場合の例であり、CPU21と、ROM22に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0075】
まず、ユーザがクライアントPC10において、操作部15から登録すべき特色の特色名と特色のカテゴリを入力する。入力された特色名と特色のカテゴリは、CPU11により、ネットワークIF部17を介してプリンタコントローラ20に送信される。プリンタコントローラ20では、CPU21により、ネットワークIF部25を介してクライアントPC10から特色名と特色のカテゴリが取得される(ステップS1)。取得された特色名と特色のカテゴリは、CPU21により、RAM23に格納される。
【0076】
次に、測色器40により特色インキの印刷見本の色彩値が測定され、CPU21により、測色器IF部26を介して特色の色彩値が取得される(ステップS2)。本実施の形態では、色彩値としてL*a*b*表色系で表された値を用いるが、他の表色系で表された値であってもよい。取得された特色の色彩値は、CPU21により、RAM23に格納される。なお、ユーザがクライアントPC10の操作部15から色彩値を入力してもよい。
【0077】
次に、CPU21により、記憶部24に記憶されている複数の色変換テーブル(蛍光色用色変換テーブル241、メタリック色用色変換テーブル242、一般特色用色変換テーブル243)の中から、ステップS1で取得された特色のカテゴリに応じた色変換テーブルが選択される(ステップS3)。
【0078】
次に、CPU21により、ステップS3で選択された色変換テーブルに基づいて、ステップS2で取得された特色の色彩値(L*a*b*)がデバイス値(CMYK値)に変換される(ステップS4)。
【0079】
次に、CPU21により、ステップS1で取得された特色名と、ステップS4で求められた特色に対応するデバイス値とが対応付けられ、色分解テーブル(図8参照)が作成される(ステップS5)。
【0080】
次に、色分解すべき他の特色がある場合には(ステップS6;YES)、ステップS1に戻り、ステップS1〜ステップS5の処理が繰り返される。ステップS6において、色分解すべき他の特色がない場合には(ステップS6;NO)、CPU21により、作成された色分解テーブルが記憶部24に登録される(ステップS7)。
以上で、第1の色分解テーブル作成処理が終了する。
【0081】
登録された色分解テーブルは、特色を含む画像データを出力する際に、画像データ内の特色名と照合され、一致した場合に特色名から対応するデバイス値に変換するために用いられる。なお、色分解テーブルを複数記憶しておき、色分解テーブル間の優先順位を設定可能としてもよい。
【0082】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、特色用の色変換テーブルをプロセスカラー用の色変換テーブルと変えるだけでなく、特色を更にカテゴリ分けしてカテゴリ毎に色変換テーブルを変えるので、特色に対してカテゴリ毎に適切な色変換を行うことができる。
また、従来の方法では、調整・修正が必要であった蛍光色やメタリック色等についても、インキ成分等による特徴の違いが反映された色変換テーブルを用いることにより、見た目の感覚に近い好ましい色変換が可能となる。また、カテゴリ毎に色変換テーブルが用意されているので、同カテゴリで近い色の特色間の関係(明暗、濃淡、色相等)が逆転することもなくなる。
【0083】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における画像形成システムは、第1の実施の形態に示した画像形成システム1と同様の構成によってなるため、図1〜図3を援用し、同一の構成部分については説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0084】
記憶部24には、更に、色彩値参照テーブルと、カテゴリ判別テーブルと、が記憶されている。色彩値参照テーブルは、“特色名”に対して“色彩値”が対応付けられているテーブルである。カテゴリ判別テーブルは、“特色名”に対して“カテゴリ”が対応付けられているテーブルである。色彩値参照テーブル及びカテゴリ判別テーブルには、代表的なインキメーカーの代表的な特色名を記載しておくことが好ましい。
【0085】
次に、第2の実施の形態における動作について説明する。
図10は、プリンタコントローラ20により実行される第2の色分解テーブル作成処理を示すフローチャートである。この処理は、ユーザが入力した特色名に基づいて、該当する色彩値とカテゴリを色彩値参照テーブル及びカテゴリ判別テーブルから取得して色分解テーブルを作成する場合の例であり、CPU21と、ROM22に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0086】
まず、ユーザがクライアントPC10において、操作部15から登録すべき特色の特色名を入力する。入力された特色名は、CPU11により、ネットワークIF部17を介してプリンタコントローラ20に送信される。プリンタコントローラ20では、CPU21により、ネットワークIF部25を介してクライアントPC10から特色名が取得される(ステップS11)。取得された特色名は、CPU21により、RAM23に格納される。
【0087】
次に、CPU11により、記憶部24に記憶されている色彩値参照テーブルが参照され、ステップS11で取得された特色名に対応する色彩値が取得される(ステップS12)。取得された色彩値は、CPU21により、RAM23に格納される。
【0088】
次に、CPU11により、記憶部24に記憶されているカテゴリ判別テーブルが参照され、ステップS11で取得された特色名に対応するカテゴリが取得される(ステップS13)。取得された色彩値は、CPU21により、RAM23に格納される。
【0089】
次に、CPU21により、記憶部24に記憶されている複数の色変換テーブル(蛍光色用色変換テーブル241、メタリック色用色変換テーブル242、一般特色用色変換テーブル243)の中から、ステップS13で取得された特色のカテゴリに応じた色変換テーブルが選択される(ステップS14)。
【0090】
次に、CPU21により、ステップS14で選択された色変換テーブルに基づいて、ステップS12で取得された特色の色彩値(L*a*b*)がデバイス値(CMYK値)に変換される(ステップS15)。
【0091】
次に、CPU21により、ステップS11で取得された特色名と、ステップS15で求められた特色に対応するデバイス値とが対応付けられ、色分解テーブル(図8参照)が作成される(ステップS16)。
【0092】
次に、色分解すべき他の特色がある場合には(ステップS17;YES)、ステップS11に戻り、ステップS11〜ステップS16の処理が繰り返される。ステップS17において、色分解すべき他の特色がない場合には(ステップS17;NO)、CPU21により、作成された色分解テーブルが記憶部24に登録される(ステップS18)。
以上で、第2の色分解テーブル作成処理が終了する。
【0093】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、カテゴリ毎に色変換テーブルを変えるので、特色に対してカテゴリ毎に適切な色変換を行うことができる。
【0094】
なお、色彩値参照テーブル及びカテゴリ判別テーブルに記載されていない特色名については、第1の実施の形態と同様に、クライアントPC10や測色器40から特色のカテゴリ及び色彩値を取得すればよい。
【0095】
[第3の実施の形態]
次に、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態における画像形成システムは、第1の実施の形態に示した画像形成システム1と同様の構成によってなるため、図1〜図3を援用し、同一の構成部分については説明を省略する。以下、第3の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0096】
CPU21は、ネットワークIF部25を介して特色名、特色のカテゴリ及び特色の色彩値が含まれる画像データを取得し、記憶部24に記憶されている複数の色変換テーブルの中から特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択し、選択された色変換テーブルに基づいて特色の色彩値をデバイス値に変換する。
プリンタIF部27は、変換されたデバイス値をプリンタ30に送信する。
【0097】
次に、第3の実施の形態における動作について説明する。
図11は、プリンタコントローラ20により実行される第1の色変換処理を示すフローチャートである。この処理は、画像データに特色の特色名、色彩値、カテゴリが含まれている場合の例であり、CPU21と、ROM22に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0098】
まず、ユーザがクライアントPC10において、操作部15から印刷指示操作を行うと、CPU11により、画像データがネットワークIF部17を介してプリンタコントローラ20に送信される。この画像データには、画像データ中で使用されている特色の特色名、色彩値(L*a*b*とする。他の表色系で表された値でもよい。)、カテゴリ(蛍光色、メタリック色、一般特色の3種とする。)が含まれている。プリンタコントローラ20では、CPU21により、ネットワークIF部25を介してクライアントPC10から特色名、色彩値、カテゴリを含む画像データが取得される(ステップS21)。取得された画像データは、CPU21により、RAM23に格納される。
【0099】
次に、CPU21により、記憶部24に記憶されている複数の色変換テーブル(蛍光色用色変換テーブル241、メタリック色用色変換テーブル242、一般特色用色変換テーブル243)の中から、ステップS21で取得された画像データに含まれるカテゴリに応じた色変換テーブルが選択される(ステップS22)。
【0100】
次に、CPU21により、ステップS22で選択された色変換テーブルに基づいて、ステップS21で取得された画像データに含まれる特色の色彩値(L*a*b*)がデバイス値(CMYK値)に変換される(ステップS23)。
【0101】
次に、CPU21により、ステップS23で求められた特色に対応するデバイス値に従って、ステップS21で取得された画像データ内の特色部分がデバイス値に変換され、出力用データが作成される(ステップS24)。
【0102】
次に、CPU21により、プリンタIF部27を介して出力用データがプリンタ30に対して送信される(ステップS25)。
以上で、第1の色変換処理が終了する。
【0103】
プリンタ30では、出力用データが受信され、出力用データに基づいて特色を含む画像が形成される。
【0104】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、カテゴリ毎に色変換テーブルを変えるので、特色に対してカテゴリ毎に適切な色変換を行うことができる。
【0105】
[第4の実施の形態]
次に、本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態における画像形成システムは、第1の実施の形態に示した画像形成システム1と同様の構成によってなるため、図1〜図3を援用し、同一の構成部分については説明を省略する。以下、第4の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0106】
第2の実施の形態と同様に、記憶部24には、色彩値参照テーブルと、カテゴリ判別テーブルと、が記憶されている。
CPU21は、ネットワークIF部25を介して特色名が含まれる画像データを取得し、記憶部24の色彩値参照テーブルを参照して特色名に対応する色彩値を取得し、記憶部24のカテゴリ判別テーブルを参照して特色名に対応するカテゴリを取得する。そして、CPU21は、記憶部24に記憶されている複数の色変換テーブルの中から特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択し、選択された色変換テーブルに基づいて特色の色彩値をデバイス値に変換する。
プリンタIF部27は、変換されたデバイス値をプリンタ30に送信する。
【0107】
次に、第4の実施の形態における動作について説明する。
図12は、プリンタコントローラ20により実行される第2の色変換処理を示すフローチャートである。この処理は、画像データに特色の特色名が含まれている場合の例であり、CPU21と、ROM22に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0108】
まず、ユーザがクライアントPC10において、操作部15から印刷指示操作を行うと、CPU11により、画像データがネットワークIF部17を介してプリンタコントローラ20に送信される。この画像データには、画像データ中で使用されている特色の特色名が含まれている。プリンタコントローラ20では、CPU21により、ネットワークIF部25を介してクライアントPC10から特色名を含む画像データが取得される(ステップS31)。取得された画像データは、CPU21により、RAM23に格納される。
【0109】
次に、CPU11により、記憶部24に記憶されている色彩値参照テーブルが参照され、ステップS31で取得された画像データに含まれる特色名に対応する色彩値が取得される(ステップS32)。取得された色彩値は、CPU21により、RAM23に格納される。
【0110】
次に、CPU11により、記憶部24に記憶されているカテゴリ判別テーブルが参照され、ステップS31で取得された画像データに含まれる特色名に対応するカテゴリが取得される(ステップS33)。取得された色彩値は、CPU21により、RAM23に格納される。
【0111】
次に、CPU21により、記憶部24に記憶されている複数の色変換テーブル(蛍光色用色変換テーブル241、メタリック色用色変換テーブル242、一般特色用色変換テーブル243)の中から、ステップS33で取得されたカテゴリに応じた色変換テーブルが選択される(ステップS34)。
【0112】
次に、CPU21により、ステップS34で選択された色変換テーブルに基づいて、ステップS32で取得された特色の色彩値(L*a*b*)がデバイス値(CMYK値)に変換される(ステップS35)。
【0113】
次に、CPU21により、ステップS35で求められた特色に対応するデバイス値に従って、ステップS31で取得された画像データ内の特色部分がデバイス値に変換され、出力用データが作成される(ステップS36)。
【0114】
次に、CPU21により、プリンタIF部27を介して出力用データがプリンタ30に対して送信される(ステップS37)。
以上で、第2の色変換処理が終了する。
【0115】
プリンタ30では、出力用データが受信され、出力用データに基づいて特色を含む画像が形成される。
【0116】
以上説明したように、第4の実施の形態によれば、カテゴリ毎に色変換テーブルを変えるので、特色に対してカテゴリ毎に適切な色変換を行うことができる。
【0117】
なお、上記各実施の形態において、各装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0118】
例えば、上記各実施の形態では、「所定の特色」として一般特色(蛍光色及びメタリック色以外の特色)を用いた場合について説明したが、どのような色を「所定の特色」とするかは設計事項であり、ユーザが任意に設定可能である。
【符号の説明】
【0119】
1 画像形成システム
10 クライアントPC
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 記憶部
15 操作部
16 表示部
17 ネットワークIF部
18 バス
20 プリンタコントローラ
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 記憶部
25 ネットワークIF部
26 測色器IF部
27 プリンタIF部
28 バス
30 プリンタ
241 蛍光色用色変換テーブル
242 メタリック色用色変換テーブル
243 一般特色用色変換テーブル
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特色を画像形成装置の出力色に対応する複数の色の値の組み合わせに変換する色変換方法であって、
特色毎に、特色名、特色を複数のカテゴリに分類したカテゴリ及び当該特色の色彩値を取得する工程と、
前記カテゴリ毎に予め記憶部に記憶されている、色彩値に対応する前記複数の色の値の組み合わせを示す複数の色変換テーブルの中から前記取得された特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択する工程と、
当該選択された色変換テーブルに基づいて前記取得された特色の色彩値を前記複数の色の値の組み合わせに変換する工程と、
を含む色変換方法。
【請求項2】
前記カテゴリは、蛍光色からなるカテゴリ又はメタリック色からなるカテゴリを含む、
請求項1に記載の色変換方法。
【請求項3】
前記複数の色変換テーブルは、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られる前記複数の色の値の組み合わせに基づいて前記画像形成装置により形成される色の明度又は色相が異なるものである、
請求項1又は2に記載の色変換方法。
【請求項4】
前記カテゴリは、蛍光色からなるカテゴリと所定の特色からなるカテゴリとを含み、
前記蛍光色に対応する色変換テーブルは、前記所定の特色に対応する色変換テーブルと比較して、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られる前記複数の色の値の組み合わせに基づいて前記画像形成装置により形成される色の明度がより高くなるように変換するものである、
請求項1に記載の色変換方法。
【請求項5】
前記カテゴリは、蛍光色からなるカテゴリと所定の特色からなるカテゴリとを含み、
前記蛍光色に対応する色変換テーブルは、前記所定の特色に対応する色変換テーブルと比較して、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られる前記複数の色の値の組み合わせに基づいて前記画像形成装置により形成される色の色相角がより大きくなるように変換するものである、
請求項1に記載の色変換方法。
【請求項6】
前記カテゴリは、メタリック色からなるカテゴリと所定の特色からなるカテゴリとを含み、
前記メタリック色に対応する色変換テーブルは、前記所定の特色に対応する色変換テーブルと比較して、予め定められた色の範囲に対して、同一の色彩値をそれぞれ変換して得られる前記複数の色の値の組み合わせに基づいて前記画像形成装置により形成される色の明度がより高くなるように変換するものである、
請求項1に記載の色変換方法。
【請求項7】
前記画像形成装置の出力色は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックである、
請求項1から6のいずれか一項に記載の色変換方法。
【請求項8】
特色を画像形成装置の出力色に対応する複数の色の値の組み合わせに変換する色変換装置であって、
特色を複数のカテゴリに分類したカテゴリ毎に、色彩値に対応する前記複数の色の値の組み合わせを示す複数の色変換テーブルを記憶する記憶部と、
特色毎に、特色名、当該特色のカテゴリ及び当該特色の色彩値を取得し、前記記憶部に記憶されている複数の色変換テーブルの中から前記取得された特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択し、当該選択された色変換テーブルに基づいて前記取得された特色の色彩値を前記複数の色の値の組み合わせに変換する制御部と、
を備える色変換装置。
【請求項9】
画像形成装置と、特色を前記画像形成装置の出力色に対応する複数の色の値の組み合わせに変換する色変換装置と、を備える画像形成システムであって、
前記色変換装置は、
特色を複数のカテゴリに分類したカテゴリ毎に、色彩値に対応する前記複数の色の値の組み合わせを示す複数の色変換テーブルを記憶する記憶部と、
特色毎に、特色名、当該特色のカテゴリ及び当該特色の色彩値を取得し、前記記憶部に記憶されている複数の色変換テーブルの中から前記取得された特色のカテゴリに応じた色変換テーブルを選択し、当該選択された色変換テーブルに基づいて前記取得された特色の色彩値を前記複数の色の値の組み合わせに変換する制御部と、
前記変換された複数の色の値の組み合わせを前記画像形成装置に送信する送信部と、
を備える画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−105233(P2012−105233A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254484(P2010−254484)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】