説明

色変換発光シート及びその製造方法

【課題】色変換発光シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一面に複数の凹凸構造が形成された光学シートと、光学シートの他面に形成された伝導性膜と、伝導性膜の上面に形成され、バインダ樹脂及び色変換発光物質を含有するナノファイバ及びナノビーズの混合物を含む色変換発光層と、色変換発光層の上面に形成され、有機高分子保護層及び無機薄膜保護層の積層構造を有する保護層と、を含む色変換発光シート及びその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換発光シート及びその製造方法に係り、さらに詳細には、光源から発光された光を吸収し、異なる波長の光に変換させてカラー光を発光したり、または白色光を発光する色変換発光シート、及びその製造方法に関する。
【0002】
本発明は、韓国科学技術研究院が、教育科学技術研究部の国家研究開発事業である「21世紀フロンティア研究開発事業ナノ素材技術開発事業団」の一環として遂行した研究から導き出されたものである[課題固有番号:2010K000345、研究課題名:高効率光放出用ナノ素材技術、研究期間:2010.04.01.−2011.03.31.]。
【背景技術】
【0003】
光を提供したり、物体を照明するための多種の照明灯が利用されている。しかし、使われているほとんどの照明は、電気エネルギーを光エネルギーに変化させて光を提供する方法を使用し、現在、白熱電球、水銀灯及び蛍光灯が一般的に使われている。しかし、前記光源は、消費電力が大きくて寿命が短いために、頻繁に交換しなければならないという短所を有している。
【0004】
また、環境問題に係わる重要性の認識が大きくなりつつ、発ガン物質である水銀を使用する蛍光灯と水銀灯は、環境を脅かす規制物質に含まれ、かつ広い設置空間が必要であり、設置方法に困難さが伴うだけではなく、色調節が困難であり、点光源及び線光源の特性を有しており、多様な分野への適用が非常に制限的であるという問題点がある。
【0005】
最近、既存の照明装置の問題点を解決するために、さまざまな種類の代替光源が開発されている。その中で代表的なものが、LED(light emitting diode)とOLED(organic light emitting diode)の光源を利用した照明である。前記光源は、人体に無害であって寿命が長く、環境的な部分でも制裁を受けず、またLCD(liquid crystal display)バックライト、室内灯を始めとして多様な光源に活用が可能である。
【0006】
しかし、白色LEDと白色OLEDは、製造工程が複雑であって製造コストが高価であるために、その使用が非常に制限的である。最近多用されているLED照明の場合には、青色LEDを白色面光源として具現するために、導光板を利用して製作しているが、価格が高く、駆動時に高熱が発生し、完全な面発光を具現し難いという問題が生じている。白色OLEDの場合、面光源という長所と広い色座標とを有し、人体の視覚に適当な光源として脚光を浴びているが、これもまた、材料開発と寿命とに係わる問題点を抱いている。
【0007】
従来の色変換発光シートの製造では、溶液内に発光体の均一な分散及び混合のために、超音波分散法、機械的分散法(スターラ(stirrer)、ホモゲナイザなどを使用)、静電気的分散法(分散剤、電荷調節剤、界面活性剤などを使用)などの方法が利用されているが、一時的な分散及び混合が可能であるだけである。また、分散及び混合が可能であっても、スピン・キャスティング法、スクリーン・プリンティング法、バーコーティング法、ドクターブレード法などを利用したシート製作時に、密度と表面エネルギーとの差、溶媒の局部的な揮発などによって不均一な膜が形成され、それによって、最終的に製造される発光シートの局部的な厚み差によって、輝度及び色座標のバラツキが激しく、商用化の問題点として浮かび上がっている。それだけではなく、前記不均一な膜形成によって、組成比による白色及びカラー光源の色座標再現性が低くて色調節が容易ではなく、耐熱性が低く、高温で容易に変形されるという性質があり、その適用に限界があった。また、色を変換させる色変換物質の効率が低く、光効率がかなり低いという問題点があり、素子に適用するのが容易ではないという短所を抱いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためのものであり、本発明の一側面は、光源から発光された光を異なる波長の光に変換させてカラー光を発光させたり、白色光を具現することができ、光拡散、耐熱性、脆性に対する耐久性、及び耐湿性に強い色変換発光シートを提供することである。
【0009】
また、本発明の他の側面は、前記色変換発光シートの製造方法を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の側面は、前記色変換発光シートを含む発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の一側面は、下面に複数の凹凸構造が形成された光学シートと、前記光学シートの上面に形成された伝導性膜と、前記伝導性膜の上面に形成され、バインダ樹脂及び色変換発光物質を含有するナノファイバ及びナノビーズの混合物を含む色変換発光層と、を含む色変換発光シートを提供することである。
【0012】
本発明の他の側面は、一面に複数の凹凸構造が形成された光学シートの他面に、伝導性膜を形成する段階と、前記伝導性膜の上面に、バインダ樹脂、色変換発光物質及び溶媒を混合して製造された色変換発光組成物をスピニングさせ、ナノファイバ及びナノビーズの混合物層を形成する段階と、前記ナノファイバ及びナノビーズの混合物層を熱圧着し、色変換発光層を形成する段階と、を含む色変換発光シートの製造方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の側面は、前記色変換発光シートを含む発光素子を提供することである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、紫外線光源、青色光源及びさまざまな単一波長の光源の一部を透過、吸収させ、白色光と、カラー光のうち3種の色である青色、赤色、緑色のいずれも、あるいはそれらのうち2種の色とに変換させる色変換発光物質の組み合わせを利用することによって、輝度及び色座標調節が容易であり、かつ再現性にすぐれる色変換発光シートを容易に提供することができる。また、一面に複数の凹凸構造が形成された光学シートを利用して光拡散効果を示すことにより、光源から出る光の効率を極大化させることができ、色変換発光層の上面に保護層を形成し、色変換発光層内の有機物層を、水分と酸素とから効果的に保護することによって、色変換発光シートの安定性及び信頼性の確保に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例による色変換発光シートの模式図である。
【図2】本発明の一実施例に適用されたマイクロレンズ面を示すイメージである。
【図3】本発明の一実施例に使われる電気スピニング装置の模式図である。
【図4】本発明の一実施例による色変換発光層の表面を観察したイメージである。
【図5】本発明の一実施例による色変換発光シートの光発光スペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明の一実施例による色変換発光シートの色座標を示す座標である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の一具現例による色変換発光シート及びその製造方法について具体的に説明するが、それらは、本発明の理解を助けるためのものであり、いかなる方式によっても、本発明の範囲を限定しようという意図ではない。
【0017】
本発明の色変換発光シートは、光源から発光された光の一部分を吸収し、前記発光された光の波長とは異なる波長の光として発光し、発光された光の残りの部分は透過させ、白色または所望の他の色の光に色変換発光させる原理を利用する。
【0018】
本発明において色変換発光シートは、光源の波長を変換させて光効率を極大化させ、光の均一度を向上させる発光層を意味する。
【0019】
前記色変換発光シートの色変換発光物質は、光源から光がシートに照射されれば、青色励起物質を経た光は、青色光の波長を、赤色励起物質を経た光は、赤色光の波長を、緑色励起物質を経た光は、緑色光の波長を示し、励起されていない光は、本光源の光をそのまま透過させ、それぞれの波長と光度とが適合して組み合わさるとき、白色及び多様なカラー光が具現される。
【0020】
以下、本発明の色変換発光シートについて、図面を参考にしつつ、さらに詳細に説明する。
【0021】
図1によれば、本発明の一具現例による色変換発光シートは、下面に複数の凹凸構造が形成された光学シート10と、前記光学シート10の上面に形成された伝導性膜20と、前記伝導性膜20の上面に形成された色変換発光層30と、からなり、前記色変換発光層30は、ナノビーズ31及びナノファイバ32を含む。
【0022】
前記光学シート10の凹凸構造は、三角形、多角形(四角形、六角形など)、半円形または半楕円形である柱状;四面体;円錐;マイクロレンズ状;のうちから選択された形状の断面を有することができる。
【0023】
前記凹凸構造は、ハニカム構造、直六角形を含んだ六角形、ダイアモンド状の菱形、長方形、三角形の形態に配列されうる。
【0024】
また、前記マイクロレンズは、平面−凸レンズによって形成され、前記マイクロレンズの形状は、方向によって光出射角を異ならせて制御することができるように、水平と垂直との曲率が異なる形態を有することができる。
【0025】
また、前記光学シートの一面に形成されるマイクロレンズは、それらの間の間隔がほとんどない、すなわち、充填率が100%に近いものであり、光源から発光され、色変換発光シートを通過していく光の効率を極大化させることができる。このとき、光特性を決定するマイクロレンズの断面形状は、用途によって球面または非球面になりうる。
【0026】
また、前記マイクロレンズの光出射角の範囲は、レンズ平面の法線に対して、横軸への左右出射角は、30°以上に、縦軸に上下出射角は、10°以上に形成されたことが望ましい。このとき、光出射角は、正面利得(gain)値を基準に、半分を得る角度をいう。
【0027】
前記マイクロレンズ形態は、2ないし150μm、望ましくは3ないし100μm、さらに望ましくは4ないし80μmの高さを有し、2ないし150μm、望ましくは3ないし100μm、さらに望ましくは4ないし80μmの曲面半径を有することができる。
【0028】
前記マイクロレンズ形態の高さ及び曲面半径の範囲を満足すれば、外観上、光学シート面10の透明性が改善され、光干渉が減ってモアレ(moire)現象がなくなり、透光性がさらに向上しうる。
【0029】
前記光学シート10としては、凹凸構造が形成され、優秀な透光性を示す高分子であるならば、制限なしに使われ、非制限的な例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレン(PS)及びポリエチレンスルホン(PES)からなる群から選択される高分子を含む。
【0030】
前記光学シート10の厚みは、100ないし500μm、望ましくは120ないし400μm、さらに望ましくは150ないし300μmでありうる。このとき、前記光学シートの厚みがかような範囲を満足する場合、光透過効率が改善され、形態安定性を維持することができる。
【0031】
前記伝導性膜20は、無機酸化物のような無機系伝導性物質、または伝導性高分子のような有機系伝導性物質などを、光学シート上にコーティングすることによって形成され、具体的には、前記伝導性膜20は、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、炭素ナノチューブ、グラフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリチオフェンからなる群から選択された伝導性物質を含むことができる。
【0032】
前記伝導性膜20の上面に形成される色変換発光層30は、バインダ樹脂及び色変換発光物質を含有するナノファイバ及びナノビーズの混合物を含む。
【0033】
すなわち、色変換発光層30は、バインダ樹脂、色変換発光物質及び溶媒を含む色変換発光組成物を、伝導性膜20の上面にスピニングさせて得られるナノファイバ及びナノビーズの混合物層を熱圧着して製造することができる。
【0034】
前記バインダ樹脂としては、ポリウレタン(PU)、ポリエーテルウレタン、ポリウレタン共重合体、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリル共重合体、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフルフリルアルコール(PPFA)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレン共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド共重合体、ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン共重合体及びポリアミドから構成された群から選択される1種以上が使われうる。
【0035】
前記色変換発光物質としては、無機蛍光物質、有機蛍光物質、有機発光高分子、リン光物質、量子点、及びそれらの混合物から構成された群から選択されうる。このとき、前記無機蛍光物質としては、青色、緑色、赤色、オレンジ色の波長及び多様な波長を示すことができるものであり、例えば、金属酸化物系(YAG:Ce+3)、シリケート系(CaScSi12:Ce)、金属スルフィド系及び金属ナイトライドなどがあり、有機蛍光物質としては、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)ジフェニル(DPVBi)、トリス(8−キノリナト)アルミニウム(III)(Alq3)及び4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル−4H−フィタン(DCM2)などがあり、有機発光高分子としては、ポリ(4,4’−ジフェニレンジフェニルビニレン)(PDPV)、ポリp−フェニレン(PPP)、ポリフルオレン(PF)、ポリチオフェンなどがあり、リン光物質としては、金属錯体であって、白金(Pt)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、ユウロピウム(Eu)、バナジウム(V)などのイオンが有機物と結合された、PtOEP、Ir(PPy)、Ir(ThPy)acac、及びEu(TTFA)Phenなどがあり、量子点としては、カドミウムセレナイド(CdSe)、カドミウムスルフィド(CdS)、亜鉛セレナイド(ZnSe)、亜鉛スルフィド(ZnS)、亜鉛オキシド(ZnO)などの複合体を含む。
【0036】
前記色変換発光物質が、2種以上使われる場合、それらそれぞれの含量比を介して、色座標が制御されうる。例えば、色変換発光物質として、青色発光高分子、緑色波長量子点及びオレンジ色波長量子点を使用する場合、それらの望ましい質量比は、1:0.1:0.1ないし1:10:10であり、さらに望ましくは1:0.6:0.6ないし1:5:5である。前記質量比がかような条件を満足する場合、エネルギーギャップの大きい物質から小さい物質へのエネルギー伝達が調節され、発光される色座標を調節することができる。
【0037】
前記色変換発光物質の含有量は、バインダ樹脂100重量部に対し、0.01ないし20重量部、望ましくは0.1ないし15重量部、さらに望ましくは0.5ないし10重量部である。このとき、前記色変換発光物質の含有量が、かような範囲を満足する場合、光励起及び拡散が十分になされ、色変換発光層の全体輝度が上昇し、発光物質間エネルギー伝達調節効果がさらに良好に示される。
【0038】
前記色変換発光層30の厚みは、0.5ないし200μm、望ましくは1ないし150μm、さらに望ましくは10ないし100μmでありうる。このとき、前記色変換発光層の厚みがかような範囲を満足する場合、光源から発せられる光を十分に吸収し、発光層内でのエネルギー不完全伝達を行うことができ、色座標を調節することができる。
【0039】
前記色変換発光層30の上面に保護層(図示せず)がさらに形成され、このとき前記保護層は、基板、有機高分子保護層及び無機薄膜保護層の積層構造を有する。前記保護層は、色変換発光層30に対する酸素と水分との透過を効果的に遮断し、色変換発光シートの安定性及び信頼性を確保する役割を行うことができる。
【0040】
前記基板は、プラスチック基板またはガラス基板であって、前記プラスチック基板としては、ディスプレイ用基板として汎用的に使用されているプラスチック基板であるならば、特別の制約を要することなしに、いずれも適用が可能である。特に、その非制限的な例としては、非晶質であり、耐熱性及び耐化学性にすぐれる高分子フィルムであり、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドのような高分子フィルムを使用することができる。また、ポリエーテルスルホン・フィルムの場合、透明度にすぐれるという長所がある。このとき、前記基板の厚みは、100ないし1,000μm、望ましくは150ないし500μmである。前記基板の厚みがかような範囲を満足する場合、ディスプレイで要求する透光度である90%以上を確保することができる。
【0041】
前記有機高分子保護層は、光硬化性高分子の硬化物を含み、前記光硬化性高分子としては、光(UV(ultraviolet))によって硬化されうるものであるならば、特別に限定されずに、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂及びポリエチレン樹脂から構成された群から選択された高分子を含む。
【0042】
前記有機高分子保護層の厚みは、0.1ないし10μm、望ましくは0.3ないし7μm、さらに望ましくは0.5ないし5μmである。前記有機高分子保護層の厚みが、前記範囲を満足する場合、色変換発光層30の表面粗度を緩和させつつ、酸素及び水分の遮断特性にすぐれる無機薄膜保護層の積層を容易にすることができる。
【0043】
前記無機薄膜保護層は、2種以上の無機物を蒸着することによって形成され、かような無機物としては、金属及び非金属の酸化物、窒化物、フッ化物などから選択され、具体的には、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、マグネシウム酸化物、インジウム酸化物及びマグネシウムフッ化物から構成された群から選択される2種以上が含まれうる。
【0044】
前記無機薄膜保護層の厚みは、10nmないし1μmである。前記無機薄膜保護層の厚みが、前記範囲を満足する場合、有機高分子保護層の微細孔、グレイン境界、クラック(crack)のような欠陥によって形成されうる水分及び酸素の透過通路を遮断することができ、さらに根源的な水分と酸素との透過を遮断することができる。
【0045】
前記保護層の基板下面に、接着層を付加し、これを媒介にして、色変換発光層30の上面に接着させることによって、色変換発光シートに保護層を具備させることができる。
【0046】
前記接着層は、光、熱、水分または酸素によって、接着特性を示す樹脂であるならば、制限なしに使用し、塗布などの方法で形成されうる。前記接着層の厚みは、1μmないし5cm、望ましくは1ないし10μmであり、前記接着層の厚みが、かような範囲を満足する場合、光透過効率を維持しつつ、色変換発光シートに保護層を耐久性あるように付着させることができる。
【0047】
前記光学シートと伝導性膜との間に、保護層をさらに含むことができる。これは、本発明の一側面による色変換発光シートにおいて、色変換発光層30の上面側だけではなく、色変換発光層30の下面、すなわち伝導性膜側に流入する水分や酸素を遮断し、さらに安定した色変換発光シートを具現するためである。
【0048】
また、前記色変換発光シートを、最終的に、光源、例えば、紫外線、青色及び単一波長の光源を放出する有機発光素子(OLED)と無機発光素子(LED)とを含む発光素子またはランプなどに付着させる。このとき、色変換発光シートの水分及び酸素に対する劣化を防止するために、付着が容易になるように、前記保護層の上面に形成された接着層をさらに含むことができる。
【0049】
本発明の他の側面によれば、一面に複数の凹凸構造が形成された光学シートの他面に伝導性膜を形成する段階と、前記伝導性膜の上面に、バインダ樹脂、色変換発光物質及び溶媒を混合して製造された色変換発光組成物をスピニングし、ナノファイバ及びナノビーズの混合物層を形成する段階と、前記ナノファイバ及びナノビーズの混合物層を熱圧着し、色変換発光層を形成する段階と、を含む色変換発光シートの製造方法が提供される。
【0050】
前記伝導性膜を形成する段階は、伝導性膜の原料として使われる伝導性物質の種類によって変わりうる。すなわち、伝導性物質がITO、FTO、ATO、IZO、炭素ナノチューブ、グラフェンのような無機系伝導性物質の場合には、電子ビーム蒸着機、スパッタ(sputter)、物理的気相蒸着法(PVD:physical vapor deposition)、化学的気相蒸着法(CVD:chemical vapor deposition)、原子層蒸着法(ALD:atomic layer deposition)などを利用し、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンのような有機系伝導性物質の場合には、スピンコーティング法、スクリーンプリンティング法、バーコーティング法、インクジェット法、ディピング法などを利用して伝導性膜を形成することができる。
【0051】
その後、前記伝導性膜の上面に、バインダ樹脂、色変換発光物質及び溶媒を混合して製造された色変換発光組成物をスピニングし、ナノファイバ層を形成する。
【0052】
前記バインダ樹脂としては、ポリウレタン(PU)、ポリエーテルウレタン、ポリウレタン共重合体、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリル共重合体、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフルフリルアルコール(PPFA)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレン共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド共重合体、ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン共重合体及びポリアミドから構成された群から選択される1種以上が使われうる。
【0053】
前記色変換発光物質としては、無機蛍光物質、有機蛍光物質、有機発光高分子、リン光物質、量子点、及びそれらの混合物から構成された群から選択されうる。このとき、前記無機蛍光物質としては、例えば、金属酸化物系(YAG:Ce+3)、シリケート系(CaScSi12:Ce)、金属スルフィド系及び金属ナイトライドなどがあり、有機蛍光物質としては、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)ジフェニル(DPVBi)、トリス(8−キノリナト)アルミニウム(III)(Alq3)及び4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル−4H−フィタン(DCM2)などがあり、有機発光高分子としては、ポリ(4,4’−ジフェニレンジフェニルビニレン)(PDPV)、ポリp−フェニレン(PPP)、ポリフルオレン(PF)及びポリチオフェンなどがあり、リン光物質としては、金属錯体であって、白金(Pt)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、ユウロピウム(Eu)、バナジウム(V)などのイオンなどが有機物と結合されたPtOEP、Ir(PPy)、Ir(ThPy)acac、及びEu(TTFA)Phenなどがあり、量子点としては、カドミウムセレナイド(CdSe)、カドミウムスルフィド(CdS)、亜鉛セレナイド(ZnSe)、亜鉛スルフィド(ZnS)、亜鉛オキシド(ZnO)などの複合体を含む。
【0054】
前記色変換発光物質の含有量は、バインダ樹脂100重量部に対し、0.01ないし20重量部、望ましくは0.1ないし20重量部、さらに望ましくは0.5ないし10重量部である。このとき、前記色変換発光物質の含有量がかような範囲を満足する場合、光励起及び拡散が十分になされて色変換発光層の全体輝度が上昇し、発光物質間エネルギー伝達調節効果がさらに望ましく示される。
【0055】
前記溶媒としては、水、アセトン、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、エチルアセト酸、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、トリフルオロエチレン、トリクロロエチレンのような極性溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサン、クロロホルム、テトラクロロエチレン(PCE)、四塩化炭素、ケロセンのような非極性溶媒;のうち1種以上を使用することができる。
【0056】
前記色変換発光物質として有機系物質が使われる場合には、それらは、非極性溶媒で溶解性が良好であり、その後、色変換発光組成物をスピニングするにあたっては、極性溶媒を使用することが、効果的なファイバ相を得るという点で有利でありえる。
【0057】
従って、本発明の一具現例によれば、かような極性溶媒及び非極性溶媒の有利な点を適切に反映させるために、前記溶媒として、極性溶媒及び非極性溶媒をいずれも含むことができる。
【0058】
この場合、前記極性溶媒及び非極性溶媒の重量比は、2:98ないし60:40、望ましくは5:95ないし50:50、さらに望ましくは10:90ないし40:60である。
【0059】
前記極性溶媒及び非極性溶媒の重量比が前記範囲を満足する場合には、非極性溶媒が過量に含まれることによって、所定の纎度を有するファイバがスピニングされずに、球形のビーズのみが形成される問題を防止でき、また極性溶媒が過量に含まれることによって、色変換発光物質が均一に溶解されず、色変換発光組成物のスピニング自体が円滑ではなくなるという問題を防止でき、ナノファイバとナノビーズとがいずれも混合された形態の色変換発光層を得ることができ、ビーズ相が共に形成されることにより、光散乱効果を上昇させることができる。
【0060】
前記溶媒の含有量は、バインダ樹脂100重量部に対し、200ないし10,000重量部、望ましくは300ないし3,000重量部、さらに望ましくは400ないし2,000重量部である。
【0061】
このとき、前記溶媒の含有量がかような範囲を満足する場合、色変換発光組成物の製造が容易であり、スピニングに適した粘度が調節され、効果的なファイバ相を得ることができる。
【0062】
前記スピニングは、電気スピニング(electro-spinning)法、メルトブローン(melt-blown)法、エレクトロブローン(electro-blown)法、フラッシュスピニング(flash spinning)法または静電メルトブローン(electrostatic melt-blown)法によって行われるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
前記伝導性膜の面抵抗は、10ないし2,000Ω/sq、望ましくは10ないし1000Ω/sq、望ましくは10ないし500Ω/sqである。このとき、前記伝導性膜の面抵抗がかような範囲を満足する場合、均一な色変換層を製造することができる。
【0064】
このとき、ナノファイバは、10ないし10,000nm、望ましくは30ないし4,000nm、さらに望ましくは50ないし2,000nmの平均直径を有し、前記ナノビーズは、30ないし10,000nm、望ましくは40ないし4,000nm、さらに望ましくは50ないし2,000nmの平均直径を有することができる。
【0065】
前記ナノファイバ及びナノビーズの平均直径がかような範囲を満足することができない場合、ファイバとビーズとの中の単一発光物質の直径が大きすぎれば、発光物質の濃度が低くなって発光強度が弱くなり、2種以上の発光物質である場合、前述のような場合も生じることがあるだけではなく、発光物質間の距離が遠くなり、エネルギー伝達が円滑になされずに、色調節と発光強度向上とを期待することができない。
【0066】
前記熱圧着は、前記バインダ樹脂のガラス転移温度(Tg)以上であり、溶融温度(Tm)以下である範囲の温度で行われ、例えば、25℃ないし150℃、望ましくは30ないし120℃、さらに望ましくは40ないし100℃の温度で行われる。このとき、熱圧着時間は、30秒ないし10分間、望ましくは1分ないし5分であり、熱圧着率は、100cm当たり0.1ないし20トン、望ましくは1ないし10トンである。
【0067】
前記熱圧着の温度、時間、熱圧着率がかような範囲を満足する場合、色変換発光層の厚み及び気孔度が適切に制御され、光源から発せられる光を十分に吸収して透過させることができ、改善された輝度と所定の色座標とを有する光を発光させることができる。
【0068】
また、前記色変換発光層の上面に、保護層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0069】
前記保護層は、基板の上に光硬化性高分子を塗布し、前記塗布された光硬化性高分子を硬化させて有機高分子保護層を形成し、その後、前記形成された有機高分子保護層の上面に2種以上の無機物を蒸着させて無機薄膜保護層を形成することによって製造することができる。
【0070】
その後、前記基板の下面に接着層を付加させた後、前記接着層を媒介にして、前記色変換発光層の上面に保護層を形成することができる。
【0071】
具体的には、前記光硬化性高分子の塗布は、当分野に公知の一般的な方法、例えば、スピンコーティング法、スクリーンプリンティング法、バーコーティング法、インクジェット法、ディピング法などに行われる。本発明の望ましい実施形態では、スピンコータ(spin coater)を利用して、基板上に具現された有機電子素子、またはプラスチック基板の前面または前面/背面を覆うほどに光硬化性高分子を塗布する。このとき、光硬化性高分子は、一般的な厚みに塗布されるが、例えば、0.1ないし10μmが望ましい。
【0072】
本発明に使用するのに適した光硬化性高分子としては、光(UV)によって硬化されうるものであるならば、特別に限定されるものではなく、その代表的な例としては、エポキシ系樹脂(epoxy resin)、アクリル系樹脂(acrylate resin)、熱硬化性ポリイミドまたはポリエチレンなどを使用することができる。
【0073】
その後、基板上面に塗布された光硬化性高分子を短波長の紫外線/オゾン(UV/O)照射で硬化させて有機高分子保護層を形成する。
【0074】
前記紫外線/オゾン硬化工程は、細部的には、予備硬化→紫外線/オゾン照射→熱硬化によって構成されるが、まず先に塗布された光硬化性高分子を、ホットプレートまたはオーブンを利用し、70ないし90℃で、2ないし5分間予備硬化をさせつつ、アクリル系樹脂などの光硬化性高分子に含まれていた添加物または不純物を徐々に除去する。
【0075】
前記の通りに一次的に硬化された光硬化性高分子に、紫外線/オゾンを照射させて光硬化工程を遂行する。具体的には、紫外線/オゾン照射による光硬化過程は、170ないし200nm波長の光源を、1ないし7分間照射すれば、酸素(O)分子が原子状態に分解され、このように生成された酸素原子に、240ないし260nm波長の光源を、1ないし7分間照射し、オゾンを生成させつつなされる。このとき、硬化に直接的な影響を及ぼす主な光源の波長帯は、240ないし260nmであり、照射された光源のエネルギーは、2,400ないし3,000mJ/cmである。最後に、光硬化性高分子をオーブンを利用し、100ないし120℃で、1ないし2時間熱硬化を行い、有機高分子保護層を形成する。前記のような紫外線/オゾン硬化工程は、紫外線だけを利用した硬化工程に比べて、硬化度を上昇させることができ、界面間の接着力を増大させ、保護層としての機能を大幅に向上させることができる。
【0076】
本発明の一実施例では、ホットプレートを利用し、80℃の低温で、3分間予備硬化を行った後、184.9nm波長の光源を5分間照射し、酸素(O)分子を分解させて酸素原子を生成させ、このように生成された酸素原子からオゾンが生成されるように、253.7nm波長の光源を5分間照射し、紫外線/オゾン硬化を行う。このとき、硬化に影響を及ぼす主な光源の波長は、オゾン生成波長である253.7nmであり、照射された光源のエネルギーは、2,800mJ/cmである。紫外線/オゾン硬化後、最後にオーブンを利用し、120℃で2時間熱硬化を行う。
【0077】
次に、前記形成された有機高分子保護層上に、2種以上の無機物を蒸着させ、無機薄膜保護層を形成する。
【0078】
紫外線/オゾン硬化工程によって、色変換発光層の上面に形成された有機高分子保護層上に、電子ビーム蒸着機、スパッタ、物理的気相蒸着法(PVD)、化学的気相蒸着法(CVD)、原子層蒸着法(ALD)などを利用し、2種以上の無機物が混合されたナノ複合物質を蒸着させて無機薄膜保護層を形成することによって、有機/無機複合薄膜保護層を製造する。このとき、無機薄膜保護層は、一般的な厚みに蒸着されるが、例えば、0.1ないし0.5μmであることが望ましい。
【0079】
前記無機薄膜保護層に使われる無機物は、金属及び非金属の酸化物、窒化物、フッ化物などから選択され、具体的には、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、マグネシウム酸化物、インジウム酸化物、及びマグネシウムフッ化物から構成された群から選択される2種以上が含まれうる。
【0080】
このとき、形成された無機薄膜保護層は、先に形成された有機高分子保護層の微細孔(pinhole)、グレイン境界(grain boundary)、クラックのような欠陥によって形成されうる水分及び酸素の透過通路を遮断することによって、それらに対する抵抗特性を向上させることができる。
【0081】
前記の通りに形成された有機高分子保護層と無機薄膜保護層とを反復的に形成し、1対以上の有機高分子保護層と無機薄膜保護層とを反復的に含む多層積層構造の有機/無機複合薄膜保護層を形成することができる。
【0082】
また、有機高分子保護層を形成する前に、無機薄膜保護層を形成し、その上に、有機高分子保護層を蒸着させて無機/有機複合保護層を形成することもでき、かような順序で形成された1対以上の無機薄膜保護層と有機高分子保護層とが反復的に積層された多層積層構造の無機/有機複合保護層を形成することもできる。
【0083】
前記の通り、本発明による有機/無機複合薄膜保護層は、有機高分子保護層と無機薄膜保護層との上下積層関係が入れ替わったり、1対の有機高分子保護層と無機薄膜保護層とが多数層に積層される構造を有することができ、それらはいずれも、水分及び酸素の透過を効果的に遮断することができる。
【0084】
本発明による有機/無機複合薄膜保護層の製造方法は、次のような特徴を有する。
【0085】
第一に、紫外線/オゾン硬化方式を利用し、既存の紫外線硬化方式に比べて、水分と酸素との透過を効果的に遮断することができる高分子薄膜の有機高分子保護層を形成する。紫外線/オゾン硬化方式は、有機高分子保護層の表面エネルギーを向上させ、親水性化を誘導し、上部保護層との接着力を向上させる。また、有機電子素子上に、全面的な保護層の形成だけではなく、当該素子の面積以上の全面的な保護層及び反復的な保護層の形成も可能にし、大面積有機電界発光素子の垂直方向及び/または水平方向に浸透しうる水分と酸素との透過経路を効果的に遮断することによって、素子の安定性及び信頼性を向上させることができる。
【0086】
第二に、紫外線/オゾン硬化方式によって、極表面が親水性化された有機高分子保護層は、水分に対する吸湿特性を有し、残存している水分を表面に吸着することによって、水分による素子損傷を最小化させることができる。
【0087】
第三に、紫外線/オゾン硬化方式によって製造された有機高分子保護層は、高密度硬化効果(highly crosslinking effect)を期待することができ、垂直方向に浸透しうる水分と酸素との透過経路を遮断し、透湿特性及び透酸素特性を効果的に低下させることができる。
【0088】
第四に、前記の通りに製造された有機高分子保護層に、2種類以上の無機物が混合されたナノ複合物質を利用し、無機物混合保護層を積層することによって、水分と酸素との透過を効果的に遮断できる有機/無機複合薄膜保護層を製造することができる。
【0089】
前記のような特性を有する本発明の有機/無機複合薄膜保護層は、外部からの酸素と水分との透過を効果的に遮断し、発光素子の安定性及び信頼性を確保し、色変換発光層のガスバリア特性を向上させるのに非常に有用に使われうる。
【0090】
前記伝導性膜を形成する前に、前記光学シートの上面に、保護層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0091】
これは、前述のように、色変換発光層の上面側だけではなく、色変換発光層の下面、すなわち、伝導性膜側から流入する水分や酸素を遮断し、さらに安定した色変換発光シートを具現するためである。
【0092】
本発明の一具現例によれば、前記保護層の上面に接着層を形成する段階をさらに含むことができる。前記接着層は、光、熱、水分または酸素によって接着特性を示す樹脂、例えば、アクリレート系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂などを使用し、スピンコーティング法、スクリーンプリンティング法、バーコーティング法、インクジェット法、ディピング法などの通常の塗布方法で形成することができる。
【0093】
本発明の他の側面によれば、前記色変換発光シートを含む発光素子が提供される。
【0094】
すなわち、前記色変換発光シートが、紫外線、青色及び単一波長を放出する光源、例えば、有機発光素子(OLED)、無機発光素子(LED)またはランプなどに一体型で付着された発光素子が提供される。
【0095】
かような色変換発光シートを含む発光素子は、光源から色変換発光シートに照射された光を、色変換発光シート内の色変換発光物質の種類によって、青色光、赤色光、緑色光の波長に変換させ、また一部はそのまま透過させ、それぞれの波長と光度とが適するように組み合わせわせた結果、白色及び多様なカラー光を提供することができる。
【0096】
以下、実施例を介して、本発明について具体的に説明するが、かような実施例は、本発明をさらに明確に理解するために提示されるものであり、本発明の範囲を制限する目的で提示するものではなく、本発明は、特許請求の範囲の技術的思想範囲内で決まるものである。
【実施例】
【0097】
〔実施例1〕
マイクロレンズ・シート(製品名:UTE12−7B、韓国・未来ナノテック製)の背面に、伝導性物質として、ITOを利用してスパッタリング法で伝導性膜を形成した。図2では、使われたマイクロレンズ・シートのレンズ面を示している。
【0098】
その後、ポリメチルメタクリレート(PMMA;Mw 1,000,000、Aldrich社製)0.4gを、トルエン6ml及びジメチルホルムアミド2mlの混合溶媒に添加し、常温で十分に溶解させてバインダ樹脂溶液を製造した。色変換発光物質として、緑色量子点(CeSe/ZnS)(韓国・ナノスクエア社製)と赤色量子点とを7:3の重量比で、0.09gを前記バインダ樹脂溶液に添加し、マグネチックバーで、常温で十分に混合して溶解させた後、超音波発生器で1時間分散させ、色変換発光組成物を製造した。前記色変換発光組成物を、先に得られた光学シート背面の伝導性膜上に電気スピニングさせ、ポリメチルメタクリレート/色変換発光物質のナノファイバ及びナノビーズの複合層を形成した。
【0099】
前記電気スピニングは、図3に示されているような電気スピニング装置を利用し、伝導性膜(5cm×5cmサイズ)を接地受信部(grounded receiver)とし、吐出速度を調節することができるポンプが付着された金属ニードルを正極とし、2つの電極間に15KVの電圧を印加した。このとき、伝導性膜の面抵抗は、20Ω/sqであり、チップ(tip)間の距離は、10cmとした。スピニング液の吐出速度を20μl/分に調節し、総吐出量が1,000μlになるまで電気スピニングし、伝導性膜上に、3μm厚のポリメチルメタクリレート/色変換発光物質のナノファイバ及びナノビーズの複合層を形成させ、50℃で10分間、100cm当たり2トンの圧着率で圧着させ、1μm厚の色変換発光層を形成することによって、色変換発光シートを製造した。このように具現された色変換発光層の表面を観察し、図4に示した。
【0100】
実施例1で製造された色変換発光シートに、470nmの波長で励起させたときの光発光スペクトルを分析し、図5に示した。その結果、約550nm及び610nmで、2つのピークを確認することができ、このときの色座標は、(0.515,0.482)と確認された。
【0101】
また、実施例1で製造された色変換発光シートに、470nmの青色光源を発光する青色有機発光素子を適用したときの色座標を図6に示した。一般的に、照明及び光源で許容される白色の範囲は、図面でのように広く許容される。実施例1の色変換発光シートが適用された青色有機発光素子は、(0.30,0.34)の色座標でもって白色発光を示した。
【0102】
〔比較例1〕
ポリエチレンテレフタレート(PET)(韓国・SKC社製)の背面に、伝導性物質としてITOを利用し、スパッタリング法で伝導性膜を形成した点を除いては、実施例1と同じ方法で色変換発光シートを製造した。そして、PETの上面に実施例1で使用したマイクロレンズを付着させた。
【0103】
〔比較例2〕
ITOガラス基板(三星コーニング精密ガラス社製、20Ω/sq)を利用した点を除いては、実施例1と同じ方法で色変換発光シートを製造した。
【0104】
そして、色変換層上に、実施例1で使用したマイクロレンズを付着させた。
【0105】
<色変換発光シートの評価>
実施例1、比較例1及び比較例2で製造された色変換発光シートの発光強度を、Luminance Meter LS−110(MINOLTA)を利用して測定した。
【0106】
実施例1の色変換発光シートは、800cd/mの発光強度を示し、比較例1の色変換発光シートで、マイクロレンズを付着させていない場合には、500cd/m、マイクロレンズを付着させた場合には、630cd/mを示した。そして、比較例2の色変換発光シートで、マイクロレンズを付着させていない場合には、510cd/m、マイクロレンズを付着させた場合には、640cd/mを示した。このとき、ベース光源として使用した青色光源(発光波長470nm)の発光強度は、300cd/mであった。
【0107】
従って、前記色変換発光シートの発光強度評価結果を参照すれば、一面に複数の凹凸構造が形成された光学シートに、直接伝導性膜が形成された実施例1の色変換発光シートが、比較例1及び2に比べて、光源から発せられる光の効率を極大化させることができるということが分かる。
【0108】
以上、本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、当業界の当業者であるならば、かような具体的記述は、単に望ましい実施例であるだけであり、それによって、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。よって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義されるものである。
【符号の説明】
【0109】
10 光学シート
20 伝導性膜
30 色変換発光層
31 ナノビーズ
32 ナノファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に複数の凹凸構造が形成された光学シートと、
前記光学シートの上面に形成された伝導性膜と、
前記伝導性膜の上面に形成され、バインダ樹脂及び色変換発光物質を含有するナノファイバ及びナノビーズの混合物を含む色変換発光層と、を含む色変換発光シート。
【請求項2】
前記凹凸構造が、三角形、多角形、半円形または半楕円形の柱状;四面体;円錐;マイクロレンズ形態;のうちから選択された形状の断面を有することを特徴とする請求項1に記載の色変換発光シート。
【請求項3】
前記マイクロレンズ形態が、2ないし150μmの高さ及び2ないし150μmの曲面半径を有することを特徴とする請求項2に記載の色変換発光シート。
【請求項4】
前記光学シートが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレン(PS)及びポリエチレンスルホン(PES)からなる群から選択されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シート。
【請求項5】
前記光学シートの厚みが、100ないし500μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シート。
【請求項6】
前記伝導性膜が、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)及び酸化インジウム亜鉛(IZO)、炭素ナノチューブ、グラフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリチオフェンからなる群から選択された1種以上の伝導性物質を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シート。
【請求項7】
前記色変換発光物質が、無機蛍光物質、有機蛍光物質、有機発光高分子、リン光物質、量子点、及びそれらの混合物から構成された群から選択されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シート。
【請求項8】
前記色変換発光層の厚みが、0.5ないし200μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シート。
【請求項9】
前記色変換発光層の上面に、基板、有機高分子保護層及び無機薄膜保護層の積層構造を有する保護層をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし請求項8のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シート。
【請求項10】
前記有機高分子保護層が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド及びポリエチレンから構成された群から選択された光硬化性高分子の硬化物を含むことを特徴とする請求項9に記載の色変換発光シート。
【請求項11】
前記無機薄膜保護層が、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、マグネシウム酸化物、インジウム酸化物、及びマグネシウムフッ化物から構成された群から選択される2種以上の無機物を含むことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の色変換発光シート。
【請求項12】
前記有機高分子保護層の厚みが、0.1μmないし10μmであり、前記無機薄膜保護層の厚みが、10nmないし1μmであることを特徴とする請求項9ないし請求項11のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シート。
【請求項13】
前記光学シートと伝導性膜との間に保護層をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし請求項12のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シート。
【請求項14】
一面に複数の凹凸構造が形成された光学シートの他面に、伝導性膜を形成する段階と、
前記伝導性膜の上面に、バインダ樹脂、色変換発光物質及び溶媒を混合して製造された色変換発光組成物をスピニングし、ナノファイバ及びナノビーズの混合物層を形成する段階と、
前記ナノファイバ及びナノビーズの混合物層を熱圧着し、色変換発光層を形成する段階と、を含む色変換発光シートの製造方法。
【請求項15】
前記色変換発光組成物が、バインダ樹脂100重量部、色変換発光物質0.01ないし20重量部、溶媒200ないし10,000重量部を含むことを特徴とする請求項14に記載の色変換発光シートの製造方法。
【請求項16】
前記溶媒が極性溶媒及び非極性溶媒を含み、前記極性溶媒及び非極性溶媒の重量比が、2:98ないし60:40であることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の色変換発光シートの製造方法。
【請求項17】
前記伝導性膜の面抵抗が、10ないし2,000Ω/sqであることを特徴とする請求項14ないし請求項16のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シートの製造方法。
【請求項18】
前記スピニングが、電気スピニング法、メルトブローン(melt-blown)法、エレクトロブローン法、フラッシュスピニング法または静電メルトブローン法によって行われることを特徴とする請求項14ないし請求項17のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シートの製造方法。
【請求項19】
前記ナノファイバが、10ないし10,000nmの直径を有し、前記ナノビーズが、30ないし10,000nmの直径を有することを特徴とする請求項14ないし請求項18のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シートの製造方法。
【請求項20】
前記熱圧着が、25ないし150℃の温度で行われることを特徴とする請求項14ないし請求項19のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シートの製造方法。
【請求項21】
前記色変換発光層の上面に、保護層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項14ないし請求項20のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シートの製造方法。
【請求項22】
前記伝導性膜を形成する前に、前記光学シートの上面に、保護層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項14ないし請求項21のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シートの製造方法。
【請求項23】
請求項1ないし請求項13のうち、いずれか1項に記載の色変換発光シートを含む発光素子。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−129195(P2012−129195A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229871(P2011−229871)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(304039548)コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー (36)
【Fターム(参考)】