説明

色安定性が改善された吸水性ポリマー粒子の製造方法

脂肪族アルデヒドを少なくとも1種、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、亜リン酸塩との反応生成物を少なくとも1種、添加する、吸水性ポリマー粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪族アルデヒドを少なくとも1種、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を少なくとも1種、添加する吸水性ポリマー粒子の製造方法、並びに本発明による方法により得られる吸水性ポリマー粒子に関する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子は、おむつ、タンポン、ナプキン及びその他の衛生物品を製造するために使用され、また農業園芸における保水剤としても使用される。この吸水性ポリマー粒子は、超吸収体とも呼ばれる。
【0003】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフィー"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz及びA.T.Graham,Wiley−VCH,1998,第71頁〜第103頁に記載されている。
【0004】
この吸水性ポリマー粒子の特性は、例えば、使用する架橋剤の量によって調整することができる。架橋剤の含有量が増加するにつれて、この遠心保持容量(CRC)は減少し、その吸収性は、21.0g/cm2(AUL0.3psi)という圧力下で最大値に達する。
【0005】
適用特性、例えばおむつ中での膨潤したゲルベッドの透過性(SFC)、及び49.2g/cm2(AUL0.7psi)の加圧下での吸収量を改善するために、一般的に吸水性ポリマー粒子は表面後架橋される。それによって粒子表面の架橋度は高まり、これにより49.2g/cm2(AUL0.7psi)の加圧下での吸収量と遠心保持容量(CRC)とのつながりを少なくとも部分的に切り離すことができる。この表面後架橋は、水性ゲル相中で実施できる。しかしながら、乾燥、粉砕、及び篩分されたポリマー粒子(ベースポリマー)は好ましくは、表面で表面後架橋剤によりコーティングされ、熱によって表面後架橋され、乾燥される。このために適切な架橋剤は、吸水性ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成可能な化合物である。
【0006】
吸水性ポリマー粒子にしばしば現れる問題は、高温下、又は比較的高い湿度下で貯蔵する際に生じる変色である。このような条件はしばしば、熱帯地方又は亜熱帯地方で貯蔵する際に起こる。このような条件では、吸水性ポリマー粒子は黄変する傾向があり、それどころか茶色に、又はほとんど黒色になることがある。本来無色の吸水性ポリマー粒子のこうした変色は見た目が悪く、望ましくない。というのも、所望の薄い衛生用品では特に、この変色が目に見え、消費者は見た目の悪い衛生用品を拒絶するからである。この変色の原因は完全には解明されていないが、反応性化合物(例えば重合からの残留モノマー)、幾つかの開始剤の使用、モノマー若しくは中和剤の不純物、表面後架橋剤、又は使用するモノマーの安定剤が重要な役割を果たすようである。
【0007】
WO 00/55245 A1によれば、吸水性ポリマー粒子の色安定性は、無機還元剤の添加により改善できる。無機還元剤は例えば、重合後にポリマーゲルに、又は熱による表面後架橋後に添加できる。
【0008】
WO 2006/058682 A1は、熱による表面後架橋の際に酸素が存在しないことが、変色につながることを教示している。
【0009】
WO 2004/084962 A1によれば、スルフィン酸を重合開始剤として用いると、得られる吸水性ポリマー粒子の色安定性に有利な作用をもたらす。
【0010】
WO 2008/092842 A1、及びWO 2008/092843 A1は、同じ目的のために、塩基性塩による被覆を開示している。
【0011】
WO 2009/060062 A1によれば、吸水性ポリマー粒子の色安定性は、スルホン酸及びスルホン酸塩によって向上でき、ここでスルホン酸又はスルホン酸塩は好適には、表面後架橋の直前に添加される。
【0012】
WO 03/014172 A2は、吸水性ポリマー粒子の製造方法を記載しており、ここで使用されるアクリル酸は事前に、アルデヒド捕捉剤で処理されている。その理由は、特にアルデヒドの存在が変色につながるためとのことである。
【0013】
本発明の課題は、色安定性が改善された吸水性ポリマー粒子の製造方法を提供することであった。この吸水性ポリマー粒子は同時に、特に温かく湿潤な環境で比較的長く貯蔵した場合でも、不快な匂いを発しないことが望ましかった。
【0014】
この課題は、以下の工程a)〜e):
a)酸基を含有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、当該モノマーは少なくとも部分的に中和されていてよく、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意で、上記a)で挙げたモノマーと共重合可能な1種若しくは複数種のエチレン性不飽和モノマー、及び
e)任意で、1種若しくは複数種の水溶性ポリマー、
を有する、モノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合による吸水性ポリマー粒子の製造方法によって解決され、当該製造方法は、
以下の工程i)〜v):
i)モノマー溶液を重合させてポリマーゲルにする工程、
ii)得られたポリマーゲルを微粉砕する任意の工程、
iii)ポリマーゲルを乾燥させる工程、
iv)乾燥させたポリマーゲルを粉砕及び分級し、ポリマー粒子にする工程、及び
v)分級されたポリマー粒子を熱により表面後架橋する任意の工程、
を有しており、
工程i)〜v)の前、その間、又はその後に、脂肪族アルデヒドを少なくとも1種、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を少なくとも1種、添加することを特徴とする。
【0015】
好適には、脂肪族アルデヒド又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を、工程iv)の後であって、かつ工程v)の前、その間、又はその後に添加する。極めて特に好ましくは、脂肪族アルデヒド又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を、工程v)の後に添加する。
【0016】
本発明の意味合いにおいて脂肪族のアルデヒド、アルコール、又はアミンとは、その構造中に芳香族環又は芳香族環系を有さない化合物である。本発明により使用されるアルデヒドには、二官能性及び多官能性のアルデヒドも含まれる。
【0017】
脂肪族アルデヒドとして好適には、C1〜C5アルデヒド、好ましくはC1〜C4アルデヒド、特に好ましくはC1〜C3アルデヒド、極めて特に好ましくはC2〜C3アルデヒドを用いる。
【0018】
適切な脂肪族アルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリコールアルデヒド、グリセリンアルデヒド、及びグリオキシル酸である。
【0019】
極めて特に好ましい脂肪族アルデヒドは、グリオキシル酸、及びグリオキシル酸の塩、例えばグリオキシル酸ナトリウム、及びグリオキシル酸カリウムである。
【0020】
脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコールとの適切な反応生成物は、ヘミアセタール(Halbacetale)及びアセタールである。
【0021】
適切なヘミアセタールは、二量体のα−ヒドロキシアルデヒド、例えば2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、3,6−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシメチル−1,4−ジオキサンである。ここでヘミアセタールは、α−ヒドロキシアルデヒドのヒドロキシ基を、別のα−ヒドロキシアルデヒドのアルデヒド基に付加させることによって生じる。つまり、このα−ヒドロキシアルデヒドは同時に、脂肪族アルデヒドであり、かつ脂肪族アルコールである。
【0022】
適切なアセタールは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリコールアルデヒド、グリセリンアルデヒド、及びグリオキシル酸のアセタールである。
【0023】
極めて特に好ましいアセタールは、グリオキシル酸のアセタールと、グリオキシル酸塩のアセタール、例えばナトリウム−2,2−ジメトキシアセテート、カリウム−2,2−ジメトキシアセテート、ナトリウム−2,2−ジエトキシアセテート、及びカリウム−2,2−ジエトキシアセテートである。
【0024】
脂肪族アルデヒドと、脂肪族アミンとの適切な反応生成物は、アゾメチン、エナミン、及びアミナールである。脂肪族アルデヒドと脂肪族アミンとから得られるアゾメチンは容易に重合し、また重合した形態でも使用できる。
【0025】
脂肪族アルデヒドとアンモニアとの反応生成物も、同様に重合可能である。このためアセトアルデヒドとアンモニアとから得られる反応生成物は、三量体として存在する。ホルムアルデヒドとアンモニアとから得られる、対応する反応生成物は、さらなるホルムアルデヒドと反応してヘキサメチレンテトラミンになる。
【0026】
脂肪族アルデヒドと、次亜リン酸塩及び亜リン酸塩との適切な反応生成物は、ホスフィン酸及び/又はホスホン酸である。
【0027】
極めて特に好ましいホスフィン酸とホスホン酸は、2−ヒドロキシ−2−ホスフィノ酢酸、及び2−ヒドロキシ−2−ホスホノ酢酸、またこれらの塩である。
【0028】
脂肪族アルデヒドの使用量、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物の使用量は、吸水性ポリマー粒子に対して、好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.005〜1質量%、極めて特に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0029】
本発明は、脂肪族アルデヒド、つまり芳香族の環又は環系を有さないアルデヒドが、温かく湿潤な貯蔵時における吸水性ポリマー粒子の変色傾向を明らかに低減させるという知見に基づく。この際に、脂肪族アルデヒドそのものを用いる必要は、必ずしもない。所望の脂肪族アルデヒドを容易に放出可能な化合物を用いることも可能である。このような化合物は例えば、脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、又は亜リン酸塩との反応生成物である。
【0030】
糖類、二糖類、多糖類は、確かにヘミアセタールとして存在するものの、本発明による方法にはあまり適していない。と言うのもこれらの糖類は、特に熱による負荷時に、自身が変色する傾向があるからである。
【0031】
WO 2004/058682 A1に記載されたスルフィン酸は、確かに黄変を抑制可能だが、不快な臭いを形成する傾向がある。
【0032】
本発明の好ましい実施態様では、さらに亜硫酸塩を添加する。亜硫酸塩は同様に、工程i)〜v)の前、その間、又はその後に添加することができ、しかも脂肪族アルデヒド、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、又は亜リン酸塩との反応生成物の添加に拘わらず添加できる。
【0033】
好適には亜硫酸塩は、工程iv)の後であって、かつ工程v)の前、その間、又はその後に添加する。極めて特に好ましくは、脂肪族アルデヒド又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を、工程v)の後に添加する。
【0034】
適切な亜硫酸塩は、亜硫酸水素ナトリウム、及び亜硫酸水素カリウムである。亜硫酸塩の使用量は、吸水性ポリマー粒子に対して、好適には0.001〜5質量%、特に好適には0.005〜2質量%、極めて特に好ましくは0.01〜1質量%である。
【0035】
亜硫酸塩の添加により、吸水性ポリマー粒子の変色傾向が、さらに抑制できる。
【0036】
以下、吸水ポリマー粒子の製造をより詳しく説明する。
【0037】
吸水性ポリマー粒子は、モノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合によって製造され、かつ通常は水不溶性である。
【0038】
モノマーa)は、好ましくは水溶性である。すなわち、23℃における水中での溶解度は、概して水100gあたり少なくとも1g、好ましくは水100gあたり少なくとも5g、特に有利には水100gあたり少なくとも25g、極めて有利には水100gあたり少なくとも35gである。
【0039】
適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。さらにアクリル酸が特に有利である。
【0040】
更なる適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0041】
不純物は、重合に重大な影響を与えかねない。それゆえ、使用される原料は、可能な限り高い純度を有していることが望ましい。それゆえ、多くの場合、モノマーa)を特別に精製することが好ましい。適した精製法は、例えばWO2002/055469A1、WO2003/078378A1及びWO2004/035514A1に記載されている。適したモノマーa)は、例えばWO2004/035514A1による精製アクリル酸である(アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%)。
【0042】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、有利に少なくとも50モル%、特に有利に少なくとも90モル%、とりわけ有利に少なくとも95モル%である。
【0043】
モノマーa)は、通常は重合禁止剤、好ましくはヒドロキノン半エーテルを、貯蔵安定剤として含有する。
【0044】
モノマー溶液は、それぞれ中和されていないモノマーa)に対して、ヒドロキノン半エーテルを、好ましくは最大250質量ppm、有利には最大130質量ppm、特に有利には最大70質量ppm、好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、殊に50質量ppm含有する。例えば、モノマー溶液の製造のために、相応するヒドロキノン半エーテル含量を有するエチレン性不飽和の酸基含有モノマーを使用してよい。
【0045】
有利なヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0046】
適した架橋剤b)は、架橋に適した基を少なくとも2つ有する化合物である。かかる基は、例えば、ポリマー鎖中にラジカル重合導入されることができるエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0047】
架橋剤b)は、有利には、ポリマー網目にラジカル重合導入できる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(例えばEP0530438A1に記載)、ジアクリレート及びトリアクリレート(例えばEP0547847A1、EP0559476A1、EP0632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリレート基の他に更なるエチレン性不飽和基を有する混合アクリレート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/032962A2に記載)である。
【0048】
有利な架橋剤b)は、ペンタエリトリトリアリルエーテル、テトラアルコキシエタン、メチレンビス−メタクリルアミド、15箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0049】
極めて有利な架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、アクリル酸又はメタクリル酸でジアクリレート又はトリアクリレートへとエステル化された多重エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンである。3〜10箇所エトキシル化されたグリセリンのジアクリラート及び/又はトリアクリラートが特に有利である。さらに、1〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジアクリラート又はトリアクリラートが特に有利である。最も有利なのは、3〜5箇所エトキシル化された及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレート、殊に、3箇所エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレートである。
【0050】
架橋剤b)の量は、それぞれモノマーa)に対して、有利には0.05〜1.5質量%、特に有利には0.1〜1質量%、特にとりわけ有利には0.3〜0.6質量%である。架橋剤含量が増えるにつれて、遠心保持容量(CRC)は低下し、21.0g/cm2の加圧下での吸収量は最大値に達する。
【0051】
開始剤c)としては、重合条件下でラジカルを生じる化合物全体が使用されることができ、これは例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤である。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム、及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好ましくは、熱開始剤とレドックス開始剤からなる混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸を使用する。しかしながら還元性成分として好適には、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸を、又は2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸のジナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸のジナトリウム塩、及び重亜硫酸ナトリウムとの混合物を使用する。このような混合物は、Brueggolite(R)FF6及びBrueggolite(R)FF7(Brueggeman Chemicals;Heilbronn;Germany)として入手可能である。
【0052】
エチレン性不飽和の酸基含有モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0053】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースを使用することができる。
【0054】
通常、モノマー水溶液が使用される。モノマー溶液の含水率は、好ましくは40〜75質量%、特に有利には45〜70質量%、極めて有利には50〜65質量%である。モノマー懸濁液、すなわち、過剰のモノマーa)を有するモノマー溶液、例えばアクリル酸ナトリウムを使用することもできる。含水量が増えるにつれて、引き続く乾燥に際してのエネルギー消費量が増大し、含水量が下がるにつれて、重合熱は不十分にしか除去することができない。
【0055】
好ましい重合抑制剤は、最適な作用のために溶解された酸素を必要とする。それゆえ、モノマー溶液から、重合前に、不活性化によって、すなわち、不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素による流過によって、溶存酸素を取り除いてよい。好ましくは、重合前のモノマー溶液の酸素含有率は、1質量ppm未満に、特に有利には0.5質量ppm未満に、極めて有利には0.1質量ppm未満に低下される。
【0056】
方法工程i)では、モノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させる。適した反応器は、例えば混練反応器又はベルト反応器である。混練機中では、モノマー水溶液又はモノマー懸濁液の重合に際して生ずるポリマーゲルが、WO2001/038402A1に記載されるように、例えば反転撹拌シャフトによって連続的に微粉砕される。ベルト上での重合は、例えばDE3825366A1及びUS6,241,928に記載されている。ベルト反応器中での重合に際してポリマーゲルが生じ、このポリマーゲルはさらなる方法工程ii)において、例えば押出機中又は混練機中で微粉砕しなければならない。
【0057】
乾燥特性を改善させるために、混練機を用いて得られる微粉砕されたポリマーゲルを、さらに押出成形することができる。
【0058】
またモノマー水溶液を液滴化し、生成されたこの液滴を、加熱されたキャリアーガス流中で重合させることもできる。この場合、WO2008/040715A2及びWO2008/052971A1に記載されるように、方法工程i)の重合とiii)の乾燥は1つにまとめることができる。
【0059】
この得られたポリマーゲルの酸基は、通常は部分的に中和されている。この中和は、有利には、前記モノマーの工程で実施される。通常、これは、中和剤を水溶液として、それに又は有利には固体として混入することによって行われる。中和度は、好ましくは25〜95mol%、特に好ましくは30〜80mol%、極めて好ましくは40〜75mol%であり、ここで通常の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩、又はアルカリ金属炭酸水素塩、並びにこれらの混合物が使用できる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に有利であるが、しかしながら、極めて有利なのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにこれらの混合物である。
【0060】
しかし、重合後の中和を、重合に際して発生するポリマーゲルの段階で実施することも可能である。更に、重合前に酸基を最大40mol%、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%、中和剤の一部をモノマー溶液にあらかじめ添加して中和すること、及び所望の最終中和度を重合の後にすぐにヒドロゲルの段階で調節することも可能である。ポリマーゲルが少なくとも部分的に重合後に中和される場合、ポリマーゲルは、好ましくは機械的に、例えば押出機を用いて微粉砕され、その際、中和剤を吹き付けるか、振りかけるか、又は注ぎ込み、次いで入念に相互に混合することができる。そのため、得られたゲル組成物をなお繰り返し均質化のために押出すことができる。
【0061】
方法工程iii)では、得られたポリマーゲルを乾燥させる。乾燥機は、全く制限されない。ポリマーゲルの乾燥はまた、好ましくはベルト乾燥機により、残留湿分含有率が、好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%、極めて好ましくは2〜8質量%になるまで乾燥し、ここで残留湿分含有率は、EDANAより推奨される試験法No.WSP 230.2−05 "Moisture Content"に従って測定する。残留湿分が高すぎる場合、乾燥されたポリマーゲルはガラス転移温度Tgが低すぎ、さらに加工を行うのが困難である。低過ぎる残留湿分では、この乾燥されたポリマーゲルは脆すぎ、そして、この引き続く破砕工程において、粒径が小さ過ぎる不所望なポリマー粒子(「fines」)を多量に生じる。ゲルの固体含有率は、乾燥前に、好ましくは25〜90質量%、特に有利には35〜70質量%、極めて有利には40〜60質量%である。しかしながら選択的には、乾燥のため、流動床乾燥機又はパドル乾燥機も使用できる。
【0062】
方法工程iv)では、乾燥されたポリマーゲルが粉砕、分級され、その際、粉砕のために通常は単段式若しくは多段式のロールミル、好ましくは二段式又は三段式のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルが使用できる。
【0063】
生成物画分として分離されたポリマー粒子の平均粒度は、好ましくは少なくとも200μm、とりわけ有利には250〜600μm、極めて有利には300〜500μmである。生成物画分の平均粒径は、EDANAより推奨される試験法No.WSP 220.2−05 "Partikel Size Distribution"によって算出することができ、ここで篩画分の質量割合は累積的にプロットされ、平均粒径はグラフにより定まる。この場合、平均粒径は、累積して50質量%となる目開きの値である。
【0064】
少なくとも150μmの粒度を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に有利には少なくとも95質量%、極めて有利には少なくとも98質量%である。
【0065】
過度に低い粒径を有するポリマー粒子は、透過性(SFC)を低下させる。それゆえ、小さすぎるポリマー粒子("微粉")の割合は低いことが望ましい。
【0066】
小さすぎるポリマー粒子は、それゆえ通常は分離され、かつ処理に返送される。これは、好ましくは、重合前、重合中又は重合直後に、すなわち、ポリマーゲルの乾燥前に行われる。小さすぎるポリマー粒子は、この返送の前、又はその間に、水及び/又は水性界面活性剤で湿らせてよい。
【0067】
過度に小さいポリマー粒子を、後の方法工程で、例えば表面後架橋の後又は他のコーティング工程後に分離することも可能である。この場合、返送された過度に小さいポリマー粒子は、表面後架橋されているか、もしくは他の方法で、例えば熱分解法シリカによりコーティングされている。
【0068】
重合のために混練反応器が使用される場合、小さすぎるポリマー粒子は、好ましくは、重合の最後の3分の1の間に添加される。
【0069】
小さすぎるポリマー粒子を非常に早く、例えばすでにモノマー溶液に添加する場合、それによって、得られた吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)は低下する。しかしながら、これは例えば架橋剤b)の使用量を適合させることによって補うことができる。
【0070】
過度に小さいポリマー粒子が、非常に遅く、例えば、重合反応器に後接続された装置中で、例えば押出機中で初めて添加される場合、過度に小さい該ポリマー粒子を、得られたポリマーゲル中に組み込むのは非常に困難である。しかしながら不十分に組み込まれた小さすぎるポリマー粒子は、乾燥されたポリマーゲルから粉砕中に再び離れ、それゆえ分級に際して新たに分離され、返送されるべき小さすぎるポリマー粒子の量を高める。
【0071】
最大850μmの粒度を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に有利には少なくとも95質量%、極めて有利には少なくとも98質量%である。
【0072】
最大600μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、特にとりわけ好ましくは少なくとも98質量%である。
【0073】
過度に大きい粒径を有するポリマー粒子は、膨潤速度を低下させる。それゆえ大きすぎるポリマー粒子の割合も同様に低いことが望ましい。
【0074】
それゆえ、過度に大きいポリマー粒子は、通常は分離され、かつ乾燥されたポリマーゲルの粉砕に返送される。
【0075】
ポリマー粒子は、特性を改善させるために、さらなる方法工程v)で熱により表面後架橋することができる。適した表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成可能な基を有する化合物である。適した化合物は、例えば多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(例えばEP0083022A2、EP0543303A1及びEP0937736A2に記載)、二官能性又は多官能性のアルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP0450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。
【0076】
加えて、DE4020780C1の中で環状カーボネートが、DE19807502A1の中で2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1の中でビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1の中で2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE19854574A1の中でN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1の中で環状尿素が、DE10334584A1の中で二環状アミドアセタールが、EP1199327A2の中でオキセタン及び環状尿素が、またWO2003/31482A1の中でモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が適した後架橋剤として記載されている。
【0077】
好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物及びプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールとからの混合物である。
【0078】
極めて好ましい表面後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。
【0079】
さらに、DE3713601A1に記載されているように、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を有する表面後架橋剤も使用することができる。
【0080】
表面後架橋剤の量は、そのつどポリマー粒子に対して、好ましくは0.001〜2質量%、特に有利には0.02〜1質量%、極めて有利には0.05〜0.2質量%である。
【0081】
本発明の好ましい一実施態様では、表面後架橋の前、その間、又はその後に、表面後架橋剤に加えて、多価カチオンを粒子表面に施与する。
【0082】
本発明による方法において使用することができる多価カチオンは例えば二価のカチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、四価のカチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムが有利である。金属塩以外に、ポリアミンも多価カチオンとして使用することができる。
【0083】
多価カチオンの使用量は、それぞれポリマー粒子に対して、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、特に好ましくは0.02〜0.8質量%である。
【0084】
表面後架橋は通常、表面後架橋剤の溶液を、乾燥されたポリマー粒子上に吹き付けて実施する。吹き付けに引き続き、表面後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子を熱により乾燥し、ここで表面後架橋反応は、乾燥前でも乾燥中でも行うことができる。
【0085】
表面後架橋剤の溶液の吹き付けは、好ましくは、可動式混合ツールを有するミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー及びパドルミキサー中で行う。特に好ましいは横型ミキサー、例えばパドルミキサーであり、極めて好ましいのは縦型ミキサーである。横型ミキサーと縦型ミキサーは、ミキシングシャフトの設置法により区別される。すなわち、横型ミキサーは、水平に取り付けられたミキシングシャフトを有し、縦型ミキサーは、鉛直に取り付けられたミキシングシャフトを有する。適したミキサーは、例えば横型Pflugschar(R)ミキサー(Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH;Paderborn;Germany)、Vrieco−Nauta連続ミキサー(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;the Netherlands)、Processall Mixmillミキサー(Processall Incorporated;Cincinnati;US)及びSchugi Flexomix(R)(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;the Netherlands)である。また、表面後架橋剤溶液を、流動床中で吹き付けることも可能である。
【0086】
表面後架橋剤は、概して水溶液として使用される。非水性溶媒の含量若しくは全体の溶媒量により、ポリマー粒子中への表面後架橋剤の侵入深さを調整することができる。
【0087】
溶媒として主に水を用いる場合、界面活性剤を添加することが有利である。それによって濡れ挙動が改善され、かつ凝塊形成傾向が減少する。しかしながら好ましくは、溶媒混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水、及びプロピレングリコール/水を使用し、ここで当該混合物の質量比は、好ましくは20:80〜40:60である。
【0088】
熱による表面後架橋は、好ましくは接触型乾燥機、特に好ましくはパドル型乾燥機、殊に好ましくはディスク型乾燥機中で実施する。適した乾燥機は、例えばHosokawa Bepex(R)横型パドルドライヤー(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;Germany)、Hosokawa Bepex(R)ディスクドライヤー(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;Germany)及びNaraパドルドライヤー(Nara Machinery Europe;Frechen;Germany)である。さらに、流動床乾燥機も使用することができる。
【0089】
熱による表面後架橋は、ミキサー自体中で、ジャケットの加熱又は温風の送り込みによって行うことができる。後接続された乾燥機(例えば箱形乾燥機)、回転管炉、又は加熱可能なスクリューは、同様に好適である。とりわけ好ましくは、流動層乾燥機中で混合及び乾燥する。
【0090】
有利な表面後架橋温度は、100〜250℃、有利には120〜220℃、特に有利には130〜210℃、極めて有利には150〜200℃の範囲にある。反応ミキサー又は乾燥機中におけるこの温度での有利な滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、特に有利には少なくとも20分、極めて有利には少なくとも30分であり、かつ通常はせいぜい60分である。
【0091】
引き続き、表面後架橋されたポリマー粒子を再度分級してよく、その際、小さすぎるポリマー粒子及び/又は大きすぎるポリマー粒子が分離され、かつ処理に返送される。
【0092】
表面後架橋されたポリマー粒子は、特性のさらなる改善のためにコーティングするか、又は後に湿らせることができる。
【0093】
後湿潤化は、好ましくは、30〜80℃、特に有利には35〜70℃、極めて有利には40〜60℃で実施される。過度に低い温度では、吸水ポリマー粒子は凝塊形成する傾向にあり、かつ比較的高い温度では、すでに水が顕著に蒸発する。後湿潤化に使用される水量は、好ましくは1〜10質量%、特に有利には2〜8質量%、極めて有利には3〜5質量%である。後湿潤化によって、ポリマー粒子の機械的安定性が高められ、かつ静電帯電する傾向が減少する。
【0094】
膨潤速度並びに透過性(SFC)を改善するための適したコーティングは、例えば無機不活性物質、例えば水不溶性の金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー並びに二価又は多価の金属カチオンである。粉塵結合のための適したコーティングは例えばポリオールである。ポリマー粒子の不所望な凝結傾向(Verbackungsneigung)に対する適切なコーティングは、例えば熱分解シリカ、例えばAerosil(R) 200及び界面活性剤、例えばSpan(R) 20である。
【0095】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法によって得られる吸水性ポリマー粒子である。
【0096】
以下のa’)〜d’):
a’)酸基を含有する少なくとも1種の重合されたエチレン性不飽和モノマーa)、当該モノマーは少なくとも部分的に中和されていてよく、
b’)少なくとも1種の重合された架橋剤b)、
c’)任意で、a)で挙げたモノマーと共重合された1種若しくは複数種のエチレン性不飽和モノマーd)、及び
d’)任意で、1種又は複数種の水溶性ポリマーe)
を含有する吸水性ポリマー粒子であって、
ここで、前記吸水性ポリマー粒子は、脂肪族アルデヒドを少なくとも1種、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を少なくとも1種含有し、上記脂肪族アルデヒド、又は当該脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物は、上述の量で使用できる。
【0097】
好ましい態様では、本発明によるポリマー粒子を、少なくとも1種の脂肪族アルデヒドで、又は当該脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物で被覆する。
【0098】
被覆の際に、脂肪族アルデヒド、又は当該脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物は、例えばポリマーゲルと工程i)の後に、好適にはポリマー粒子と工程iv)の後に、かつ工程v)の前、その間、又はその後に混合し、これにより吸水性ポリマー粒子中で濃度勾配が得られる。
【0099】
本発明による吸水性ポリマー粒子はさらに、亜硫酸塩を含有するか、又は亜硫酸塩で被覆されていてよく、ここで上記亜硫酸塩が上述の量で使用できる。
【0100】
本発明による方法により製造された吸水ポリマー粒子は、概して少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、有利には少なくとも22g/g、特に有利には少なくとも24g/g、極めて有利には少なくとも26g/gの遠心保持容量(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)は通常は60g/g未満である。この遠心保持容量(CRC)は、EDANAによって推奨された試験法Nr. WSP 241.2-05 "Centrifuge Retention Capacity"に従って測定される。
【0101】
本発明による方法により製造された吸水ポリマー粒子は、49.2g/cm2の加圧下で、概して少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、有利には少なくとも22g/g、特に有利には少なくとも24g/g、極めて有利には少なくとも26g/gの吸収量を有する。吸水性ポリマー粒子の49.2g/cm2の加圧下での吸収量は、通常は35g/g未満である。49.2g/cm2の加圧下での吸収量は、EDANAによって推奨される試験法Nr.WSP 242.2−05 "Absorption under pressure"と同様に測定され、その際、21.0g/cm2の圧力の代わりに、49.2g/cm2の圧力に調整する。
【0102】
本発明のさらなる対象は、本発明による吸水ポリマー粒子を含む衛生用品、とりわけ女性生理用衛生用品、軽度及び重度の失禁用衛生用品、又は小動物の敷き床用の衛生用品である。
【0103】
衛生用品は通常、水不透性の裏側、水透過性の表側、並びにその間に、本発明による吸水性ポリマー粒子と、繊維(好適にはセルロース)からできている吸収性芯材を有する。吸収性芯材における本発明による吸水性ポリマー粒子の割合は、好適には20〜100質量%、好ましくは50〜100質量%である。
【0104】
吸水性ポリマー粒子は、以下で記載された試験法によって試験される。
【0105】
"WSP"と呼ばれる標準試験法は、"Worldwide Strategie Partners" EDANA,Avenue Eugene Plasky,157,1030 Brussels,Belgium,www.edana.org)及びINDA,1100 Crescent Green,Suite 115,Cary,North Carolina 27518,U.S.A.,www.inda.org)から共同発行された"Standard Test Methods for the Nonwovens Industry",2005 editionに記載されている。これらの開示内容については、EDANAからも、INDAからも得られる。
【0106】
方法:
この測定は、別に記載がない限り、23±2℃の環境温度及び50±10%の相対空気湿度で実施する。吸水性ポリマー粒子は、測定前に十分に混合する。
【0107】
遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity)
遠心保持容量(CRC)は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP 241.2−05 "Centrifuge Retention Capacity"に従って測定する。
【0108】
49.2g/cm2の圧力下での吸収量(Absorption under Pressure)
49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力下における吸収量は、EDANAによって推奨される試験法No.WSP 242.2−05 "Absorption under Pressure"と同様に測定され、その際、21.0g/cm2(AUL0.3psi)の圧力の代わりに、49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力に調整する。
【0109】
液体移送性(生理食塩水通過性(Saline Flow Conductivity))
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤されたゲル層の液体移送性(SFC)は、EP 0 640 330 A1中の記載と同様に、吸水性ポリマー粒子からなる膨潤したゲル層のゲル層浸透性(Gel-Layer-Permeability)として測定し、この場合、上記の特許出願明細書第19頁及び図8に記載の装置のうち、ガラスフリット(40)はもはや使用せず、プランジャー(39)が円筒体(37)と同様のプラスチック材料からなり、今や全載置面にわたって均一に分布するように21個の同じ大きさの孔を含むように充分に変更した。この測定の手順と評価は、EP0640330A1と変わっていない。供給量は、自動的に把握される。
【0110】
液体通過性(SFC)は、次のように計算される:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
ここで、Fg(t=0)は、g/秒でのNaCl溶液の流量であり、これは、流量測定のデータFg(t)の線形の回帰分析につきt=0に対する外挿法によって得られ、L0は、cmでのゲル層の厚さであり、dは、g/cm3でのNaCl溶液の密度であり、Aは、cm2でのゲル層の面積であり、WPは、dyn/cm2でのゲル層上の静水圧力である。
【0111】
ゲルベッド透過性(Gel Bed Permeability)
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤されたゲル層のゲルベッド透過性(GBP)を、US2005/02567575に記載される通り(段落[0061]及び[0075])、吸水性ポリマー粒子からの膨潤されたゲル層のゲルベッド透過性として測定する。
【0112】
CIE色数(L、a、b)
この色測定は、CIELAB法(Hunterlab, Band 8, 1996年, Heft 7, p1〜4)に相応して、「LabScan XE S/N LX17309」という色測定計(HunterLab社製、米国Reston在)を用いて行う。この場合、色は三次元系の座標L、a、及びbにより記載される。そして、Lは明度を表し、ここでL=0は黒を意味し、L=100は白を意味する。a及びbについての値は、色彩軸の赤/緑若しくは黄/青上での色の位置を示し、その際、+aは赤色、−aは緑色、+bは黄色、かつ−bは青色を表す。HC60=L−3bという式に従って、HC60値を算出する。
【0113】
この色測定は、DIN5033−6による3領域法に相応する。
【0114】
エージング試験
測定1(当初の色):内径が9cmのプラスチックシャーレを超吸収性粒子で満たし、それからこれをナイフで縁に沿って平らにならし、CIE色数と、HC60値を測定する。
【0115】
測定2(エージング後):内径が9cmのプラスチックシャーレを超吸収性粒子で満たし、それからこれをナイフで縁に沿って平らにならす。それからこれを60℃に温度調整した温度調節器で一定の相対湿度(86%)に置く。このシャーレを、21日経過後に取り出す。室温に冷却後、CIE色数と、HC60値を再度測定する。
【0116】
実施例
実施例1:
HySorb(登録商標)B 7055(ドイツ国Ludwigshafen在のBASF SE製)を、Pflugschar(登録商標)のM5型ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たりシャフト回転数250回転で、2成分系スプレーノズルを用いて、脱塩水中で10質量%のグリオキシル酸ナトリウム溶液1.0質量%で被覆した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物を、850μm未満の粒径にふるい分けした。
【0117】
実施例2:
HySorb(登録商標)B 7055(ドイツ国Ludwigshafen在のBASF SE製)を、M5型のPflugschar(登録商標)ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たり歯車回転数250で、2成分系スプレーノズルを用いて、脱塩水中で10質量%のグリオキシル酸溶液1.0質量%で被覆した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物を、850μm未満の粒径にふるい分けした。
【0118】
実施例3:
HySorb(登録商標)B 7055(ドイツ国Ludwigshafen在のBASF SE製)を、M5型のPflugschar(登録商標)ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たりシャフト回転数250回転で、2成分系スプレーノズルを用いて、2,5−ジヒドロキシ1,4−ジオキサン5質量%と、脱塩水70質量%と、イソプロパノール25質量%とから成る混合物2質量%で被覆した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物は、真空乾燥機で、80℃、250mbarで60分間乾燥させ、粒径を850μm未満にふるい分けした。
【0119】
実施例4:
HySorb(登録商標)B 7055(ドイツ国Ludwigshafen在のBASF SE製)を、M5型のPflugschar(登録商標)ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たりシャフト回転数250回転で、2成分系スプレーノズルを用いて、3,6−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン−2,5−ジメタノール5質量%と、脱塩水60質量%と、エタノール35質量%とから成る混合物2質量%で被覆した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物は、真空乾燥機で、80℃、250mbarで60分間乾燥させ、粒径を850μm未満にふるい分けした。
【0120】
実施例5:
HySorb(登録商標)B 7055(ドイツ国Ludwigshafen在のBASF SE製)を、M5型のPflugschar(登録商標)ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たり歯車回転数250で、2成分系スプレーノズルを用いて、脱塩水中で10質量%のヘキサメチレンテトラミン溶液1質量%で被覆した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物を、850μm未満の粒径にふるい分けした。
【0121】
実施例1〜5で被覆した吸水性ポリマー粒子を、エージング試験した。この結果は表1にまとめてある。これらの実施例は、本発明による吸水性ポリマー粒子がエージング後に明らかに明度が高く、ほとんど変色されていないことを示している。
【0122】
実施例1〜5で使用した吸水性ポリマー粒子(HySorb(登録商標)B 7055)は、CIE色数がL=93.4、a=3.7、b=4.8であり、HC=60値は79.1である。HySorb(登録商標)B 7055は、表面後架橋された市販の吸水性ポリマー粒子である。
【0123】
表1:表面後架橋後の添加
L a b HC 60
HySorb(登録商標)B 7055 64,8 4,8 17,8 11,5
実施例1 82,1 1,2 11,1 48,8
実施例2 82,6 0,9 10,8 50,2
実施例3 79,6 1,4 11,6 44,8
実施例4 80,2 1,3 11,9 44,5
実施例5 78,4 1,7 12,1 42,1
【0124】
実施例6:吸水性ポリマー粒子の製造
2Lの特殊鋼製コップに水酸化ナトリウム溶液(50質量%のもの)326.7gと、凍結させた脱塩水675gを装入した。撹拌しながらアクリル酸392.0gを添加し、この際に添加速度は、温度が35℃を超えないように調整した。それからこの混合物を撹拌しながら、冷浴で冷却した。混合物の温度が20℃に低下した時に、三回エトキシ化されたグリセリントリアクリレート1.08g、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR(登録商標)1173、スイス国Basel在、Ciba Specialty Chemicals Inc.)0.041g、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE(登録商標)651、スイス国Basel在、Ciba Specialty Chemicals Inc.)0.014gを添加した。さらに冷却して15℃になったら、ガラスフリットを用いて窒素を通すことによって、この混合物から酸素を取り除く。0℃になったら、過硫酸ナトリウム0.51g(脱塩水5mlに溶解させたもの)と、30質量%過酸化水素溶液0.2g(脱塩水6mlに溶解させたもの)を添加し、モノマー溶液をガラスシャーレに移した。ガラスシャーレの寸法は、モノマー溶液の層厚が5cmになるように調節した。引き続き、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸のジナトリウム塩、及び重亜硫酸ナトリウム(Brueggolite(登録商標)FF6;ドイツ国Heilbronn在、Brueggemann Chemicals)から得られる混合物0.047gを、脱塩水5mlに溶解させて添加し、モノマー溶液をガラス棒で短時間撹拌した。モノマー溶液の入ったガラスシャーレをUVランプの下に置き(UV強度=25mW/cm2)、ここで重合が始まった。16分後に、得られたポリマーゲルを、6mmの穴付き盤が付いた市販のミンチャーで三回押出成形し、空気式乾燥機で160℃で1時間、乾燥させた。それから、乾燥させたポリマーゲルを粉砕し、150〜850μmの粒径画分にふるい分けした。
【0125】
このベースポリマーを表面後架橋のために、加熱ジャケット付きのPflugscharのM5型ミキサー(ドイツ国Paderborn在、Loedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たりシャフト回転数450回転で2成分スプレーノズルを用いて、エチレングリコールグリシジルエーテル(Denacol(登録商標)EX-810、大阪在、Nagase ChemteX Corporation)0.10質量%、1,2−プロパンジオール1.50質量%、脱塩水2.8質量%、及び硫酸アルミニウム水溶液(26.8質量%のもの)0.4質量%とから得られる混合物で被覆した(それぞれベースポリマーに対して)。
【0126】
スプレー後に、生成物温度は150℃に上昇し、反応混合物を60分間、この温度で、シャフト回転数(1分当たり80回転)を維持した。得られた生成物は、再度周辺温度に冷却し、ふるい分けした。表面後架橋された吸水性ポリマー粒子は、粒径が150μm〜850μmにふるい分けし、以下の特性を有していた:
CRC=31,6 g/g
AUL0.7psi=22,9 g/g
SFC=25 x 10-7 cm3s/g
GBP=15 ダルシー
【0127】
得られる吸水性ポリマー粒子は、CIE色数がL=88.7、a=−0.4、b=9.0であり、HC60値は、61.7であった。
【0128】
実施例7:
実施例6と同様に実施した。ポリマーゲルの押出前に、グリオキシル酸0.20gを添加した。
【0129】
実施例8
実施例6と同様に実施した。ポリマーゲルの押出前に、グリオキシル酸カリウム0.30gを添加した。
【0130】
実施例9
実施例6と同様に実施した。ポリマーゲルの押出前に、グリセリンアルデヒド1.2gを添加した。
【0131】
実施例6〜9で製造した吸水性ポリマー粒子を、エージング試験した。この結果は表2にまとめてある。これらの実施例は、僅かな量のアルデヒドでも、本発明による吸水性ポリマー粒子を、エージングの際に変色に対して安定化できることを示している。
【0132】
表2:重合後の添加
L a b HC 60
実施例6(比較例) 68,1 3,0 13,2 28,5
実施例7 81,5 1,4 11,2 47,9
実施例8 82,4 0,8 10,4 51,2
実施例9 79,7 1,3 11,0 46,7
【0133】
実施例10:吸水性ポリマー粒子の製造
ナトリウムアクリレート水溶液14.3kg(37.5質量%のもの)、アクリル酸1.4kg、及び脱塩水350gを、三回エトキシ化されたグリセリントリアクリレート8.5gと混合した。この溶液を、加熱され、窒素雰囲気で満たされた滴下塔(Vertropfungsturm)(180℃、高さ12m、直径2m、ガス速度0.1m/秒、並流、滴下装置は直径40mm、内部高さ2mmであり、それぞれ直径が200μmの孔が60個空いた滴下プレートを有する)で、32kg/hの供給速度で滴下した。溶液の温度は25℃であった。滴下器の直前で、モノマー溶液をスタチックミキサで2つの開始剤溶液と混合した。開始剤1として、2,2’−アゾビス−[2−(2−イミダゾリン−2−イル)−プロパン]−ジヒドロクロリドの脱塩水溶液(3質量%のもの)を、そして開始剤2として、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの脱塩水溶液(6.1質量%のもの)を用いた。開始剤溶液1の供給速度は、0.932kg/hであり、開始剤溶液2の供給速度は、0.629kg/hであった。得られたポリマー粒子を、150〜850μmの粒径にふるい分けし、場合により形成されるアグロメレートを除去した。これは、以下の特性を有していた:
CRC = 30,4 g/g
AUL0.7psi = 22,9 g/g
SFC = 24 x 10-7 cm3s/g
GBP = 8ダルシー
【0134】
得られる吸水性ポリマー粒子は、CIE色数がL=93.1、a=0.5、b=3.2であり、HC60値は、83.5であった。
【0135】
実施例11:吸水性ポリマー粒子の製造
ナトリウムアクリレート水溶液14.3kg(37.5質量%のもの)、アクリル酸1.4kg、及び脱塩水350gを、三回エトキシ化されたグリセリントリアクリレート8.5gと混合した。この溶液を、加熱され、窒素雰囲気で満たされた滴下塔(180℃、高さ12m、直径2m、ガス速度0.1m/秒、並流、滴下装置は直径40mm、内部高さ2mmであり、それぞれ直径が200μmの孔が60個空いた滴下プレートを有する)で、32kg/hの供給速度で滴下した。溶液の温度は25℃であった。滴下器の直前で、モノマー溶液をスタチックミキサで3つの開始剤溶液と混合した。開始剤1としては、2,2’−アゾビス−[2−(2−イミダゾリン−2−イル)−プロパン]−ジヒドロクロリドの脱塩水溶液(3質量%のもの)を、開始剤2としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの脱塩水溶液(6.1質量%のもの)を、開始剤3としては、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸のジナトリウムを脱塩水に入れた溶液(3質量%のもの)を用いた。開始剤溶液1の供給速度は0.548kg/hであり、溶液2の供給速度は0.449kg/hであり、溶液3の供給速度は0.183kg/hであった。得られたポリマー粒子を、150〜850μmの粒径にふるい分けし、場合により形成されるアグロメレートを除去した。これは、以下の特性を有していた:
CRC = 31 ,8 g/g
AUL0.7psi = 22,5 g/g
SFC = 19 x 10-7 cm3s/g
GBP = 7ダルシー
【0136】
得られる吸水性ポリマー粒子は、CIE色数がL=93.6、a=0.4、b=2.7であり、HC60値は、85.5であった。
【0137】
実施例12:
実施例10の吸水性ポリマー粒子1000gを、Pflugschar(登録商標)のM5型ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たりシャフト回転数250回転で、2成分系スプレーノズルを用いて、15gの脱塩水にグリオキシル酸ナトリウムを1.5g溶かした溶液と、15gの脱塩水に重亜硫酸ナトリウム1.9gを溶かした溶液で同時に被覆した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物を、850μm未満の粒径にふるい分けした。
【0138】
実施例13
実施例10の吸水性ポリマー粒子1000gを、Pflugschar(登録商標)のM5型ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たりシャフト回転数250回転で、2成分系スプレーノズルを用いて、15gの脱塩水にグリオキシル酸ナトリウムを1.5g溶かした溶液と、20gの脱塩水に重亜硫酸ナトリウム4.5gを溶かした溶液で同時に被覆した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物を、850μm未満の粒径にふるい分けした。
【0139】
実施例14
実施例10の吸水性ポリマー粒子1000gを、Pflugschar(登録商標)のM5型ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たりシャフト回転数250回転で、2成分系スプレーノズルを用いて、15gの脱塩水にグリオキシル酸ナトリウムを1.5g溶かした溶液と、10gの脱塩水に重亜硫酸ナトリウム0.8gを溶かした溶液で同時に被覆した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物を、850μm未満の粒径にふるい分けした。
【0140】
実施例15
実施例11の吸水性ポリマー粒子1000gを、Pflugschar(登録商標)のM5型ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たりシャフト回転数80回転で、疎水性沈降ケイ酸1.5g(Sipernat(登録商標)D-17、ドイツ国Frankfurt am Main在、Evonik Degussa GmbH)と混合した。5分間混合した後、シャフト回転数を1分当たり250回転に上げ、二成分ノズルを用いて、脱塩水20gにグリオキシル酸0.4gを溶かした溶液を施与した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物を、850μm未満の粒径にふるい分けした。
【0141】
実施例10〜15で製造した吸水性ポリマー粒子を、エージング試験した。この結果は表3にまとめてある。これらの実施例は、本発明による吸水性ポリマー粒子がエージング後に明らかに明度が高く、ほとんど変色されていないことを示している。
【0142】
表3:乾燥後の添加
L a b HC 60
実施例10(比較例) 70,4 3,9 18,5 14,9
実施例11(比較例) 75,2 2,8 14,0 33,2
実施例12 79,6 1,2 11,9 43,9
実施例13 80,2 1,4 11,6 45,4
実施例14 80,0 1,3 11,9 44,3
実施例15 85,7 0,4 8,7 59,6
【0143】
実施例16:吸水性ポリマー粒子の製造
Pflugschar(登録商標)シャベル型乾燥機VT 5R-MK(容積5L、加熱/冷却ジャケット付き、ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、脱塩水459g、アクリル酸213.9g、アクリル酸ナトリウム水溶液(37.3質量%)1924.9g、及び三回エトキシ化されたグリセリントリアクリレート2.52gを装入し、窒素を20分間多孔ノズルで通して不活性化した。反応器のシャフトは、1分あたり96回転で一定に回転させた。この際に反応混合物を、後続の開始剤添加が約20℃で行われるように外部から冷却した。最後に、Pflugschar(登録商標)シャベル型乾燥機で、さらに過硫酸ナトリウム(脱塩水12.12gに溶解させたもの)2.139g、アスコルビン酸0.046g(脱塩水9.12gに溶解させたもの)、及び過酸化水素水溶液(脱塩水1.15gで希釈した30質量%のもの)0.127gを、撹拌しながら、急いで次々に添加した。この反応は急激に生じ、そして内部温度が30℃に達した際にジャケットを80℃の高温熱媒で加熱して、この反応を可能な限り断熱的に完了させた。最大温度に達した後、再度冷却し(−12℃の冷却液体)、生じたポリマーゲルを50℃未満に冷却し、それから排出した。それからこのポリマーゲルを空気式乾燥機で160℃で1時間にわたり乾燥させた。それから、乾燥させたポリマーゲルを粉砕し、150〜710μmの粒径にふるい分けした。
【0144】
このベースポリマーを表面後架橋のために、加熱ジャケット付きのPflugscharのM5型ミキサー(ドイツ国Paderborn在、Loedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たりシャフト回転数450回転で2成分スプレーノズルを用いて、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.125質量%、脱塩水1.5質量%、1,3−プロパンジオール1.5質量%、ソルビタンモノココエート(Span(登録商標)20)0.003質量%、及び乳酸アルミニウム水溶液(25質量%のもの)2.8質量%から得られる混合物で被覆した(それぞれベースポリマーに対して)。スプレー後に、生成物温度は175℃に上昇し、反応混合物を80分間、この温度で、シャフト回転数(1分当たり80回転)を維持した。得られた生成物は、再度周辺温度に冷却し、ふるい分けした。この表面後架橋されたポリマー粒子を、150〜710μmの粒径にふるい分けした。
【0145】
得られる吸水性ポリマー粒子は、CIE色数がL=92.2、a=−0.4、b=6.5であり、HC60値は、72.2であった。
【0146】
実施例17:
実施例16と同様に実施した。重合前に、ナトリウム−2,2−ジメトキシアセテートを1.2g、Pflugschar(登録商標)シャベル型乾燥機に装入した。
【0147】
実施例18:
実施例16と同様に実施した。このベースポリマーを、当該ベースポリマーに対して0.10質量%のグリオキシル酸でさらに被覆した。
【0148】
実施例19
実施例16と同様に実施した。このベースポリマーを、当該ベースポリマーに対して0.15質量%のグリオキシル酸ナトリウムでさらに被覆した。
【0149】
実施例20
実施例16で製造したポリマーを、M5型のPflugschar(登録商標)ミキサー(ドイツ国、Paderborn在のLoedige Maschinenbau GmbHから得られる)で、23℃、1分当たり歯車回転数250で、2成分系スプレーノズルを用いて、脱塩水中で10質量%の2−ヒドロキシ−2−ホスホノ酢酸溶液1.5質量%で被覆した。吹き付け後さらに15分間、1分あたりシャフト回転数80回転で追加混合した。得られた生成物を、850μm未満の粒径にふるい分けした。
【0150】
実施例16〜20で製造した吸水性ポリマー粒子を、エージング試験した。この結果は表4と表5にまとめてある。これらの実施例は、本発明による吸水性ポリマー粒子がエージング後に明らかに明度が高く、吸収特性を損なうことなく、ほとんど変色されていないことを示している。
【0151】
表4:吸収特性
CRC AUL0.7psi SFC GBP
[g/g] [g/g] [10-7 cm3s/g] [ダルシー]
実施例16(比較例) 28,7 23,9 125 15
実施例17 29,2 23,3 110 14
実施例18 28,9 23,5 123 16
実施例19 28,5 24,1 129 14
実施例20 28,4 23,8 116 17
【0152】
表5:重合前、及び/又は熱による表面後架橋前、若しくはその後の添加
L a b HC 60
実施例16(比較例) 65,1 4,9 17,3 13,2
実施例17 79,7 2,1 12,1 43,4
実施例18 81,4 1,0 11,4 47,2
実施例19 82,3 0,9 10,2 51,7
実施例20 82,0 1,2 10,8 49,6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程a)〜e):
a)酸基を含有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、当該モノマーは少なくとも部分的に中和されていてよく、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意で、上記a)で挙げたモノマーと共重合可能な1種若しくは複数種のエチレン性不飽和モノマー、及び
e)任意で、1種若しくは複数種の水溶性ポリマー、
を有する、モノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合による吸水性ポリマー粒子の製造方法であって、
以下の工程i)〜v):
i)モノマー溶液を重合させてポリマーゲルにする工程、
ii)得られたポリマーゲルを微粉砕する任意の工程、
iii)ポリマーゲルを乾燥させる工程、
iv)乾燥させたポリマーゲルを粉砕及び分級し、ポリマー粒子にする工程、及び
v)分級されたポリマー粒子を熱により表面後架橋する任意の工程、
を有する、前記製造方法において、
工程i)〜v)の前、その間、又はその後に、脂肪族アルデヒドを少なくとも1種、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を少なくとも1種、添加することを特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
脂肪族アルデヒド、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を、前記工程ivの後であって、かつ前記工程v)の前、その間、又はその後に添加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脂肪族アルデヒド、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を、工程v)の後に添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
脂肪族アルデヒド、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物が、グリオキシル酸、グリオキシル酸ナトリウム、グリオキシル酸カリウム、グリセリンアルデヒド、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、3,6−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシメチル−1,4−ジオキサン、ナトリウム−2,2−ジメトキシアセテート、ヘキサメチレンテトラミン、及び2−ヒドロキシ−2−ホスホノ酢酸から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
脂肪族アルデヒド、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物が、グリオキシル酸、グリオキシル酸ナトリウム、及びグリオキシル酸カリウムから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
脂肪族アルデヒド、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を、吸水性ポリマー粒子に対して0.01〜0.5質量%添加することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
さらに亜硫酸塩を添加することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記亜硫酸塩が、亜硫酸水素ナトリウム、及び亜硫酸水素カリウムからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記亜硫酸塩を、吸水性ポリマー粒子に対して0.01〜1質量%添加することを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法により得られる、吸水性ポリマー粒子。
【請求項11】
以下のa’)〜d’):
a’)酸基を含有する少なくとも1種の重合されたエチレン性不飽和モノマー、当該モノマーは少なくとも部分的に中和されていてよく、
b’)少なくとも1種の重合された架橋剤、
c’)任意で、上記a’)で挙げたモノマーと共重合された1種若しくは複数種のエチレン性不飽和モノマー、及び
d’)任意で、1種又は複数種の水溶性ポリマー
を含有する吸水性ポリマー粒子であって、
前記吸水性ポリマー粒子が、脂肪族アルデヒドを少なくとも1種、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、若しくは亜リン酸塩との反応生成物を少なくとも1種含有する、前記吸水性ポリマー粒子。
【請求項12】
前記吸水性ポリマー粒子が、少なくとも1種の脂肪族アルデヒドで、又は脂肪族アルデヒドと、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アンモニア、次亜リン酸塩、亜リン酸塩との少なくとも1種の反応生成物で被覆されている、請求項11に記載のポリマー粒子。
【請求項13】
前記吸水性ポリマー粒子がさらに亜硫酸塩を含むか、又は亜硫酸塩で被覆されている、請求項11又は12に記載のポリマー粒子。
【請求項14】
前記吸水性ポリマー粒子が少なくとも15g/gの遠心保持容量を有する、請求項10から13までのいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項15】
請求項10から14までのいずれか1項に記載の吸水性ポリマー粒子を含有する、衛生用品。

【公表番号】特表2013−511608(P2013−511608A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540357(P2012−540357)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067382
【国際公開番号】WO2011/061125
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】