説明

色安定性の超吸収剤

フェノール、ホスホン酸(HP(O)(OH)2)、亜リン酸(H3PO3)並びに前記の酸の塩及びエステルから選択される、少なくとも1種の変色に対する安定剤を含有する超吸収剤は、高められた温度又は高められた空気湿度のもとでの貯蔵に際して改善された変色に対する安定性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色安定性の超吸収剤、その製造方法並びにその使用及びそれを含有する衛生用品に関する。色安定性の超吸収剤とは、高められた温度及び空気湿度のもとで貯蔵した場合に変色しないか又は比較的僅かな程度でしか変色しない超吸収剤を表す。
【0002】
超吸収剤は公知である。かかる材料のためには、"高膨潤性ポリマー"、"ヒドロゲル"(しばしば乾燥形でも使用される)、"ヒドロゲル形成性ポリマー"、"吸水性ポリマー"、"吸収性のゲル形成性の材料"、"膨潤性樹脂"、"吸水性樹脂"又はその類型などの名称も一般に使われている。その際、前記材料は、架橋された親水性ポリマー、特に(共)重合された親水性モノマーからなるポリマー、1種以上の親水性モノマーの好適なグラフトベース上でのグラフト(コ)ポリマー、架橋されたセルロースエーテルもしくはデンプンエーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分架橋されたポリアルキレンオキシド又は水性液体中で膨潤可能な天然産物、例えばグアール誘導体であり、その際、部分中和されたアクリル酸をベースとする吸水性ポリマーが最も広く周知されている。超吸収剤の本質的な特性は、その自重の何倍もの水性液体を吸収し、かつ該液体をある程度の圧力下でも再び放出しない能力である。乾燥粉末の形で使用される超吸収剤は、液体を吸収したときにゲルに変わり、通常の水の吸収のときには相応してヒドロゲルに変わる。架橋は、合成超吸収体のためには本質的であり、通常の純粋な増粘剤との重要な相違点である。それというのも、架橋は、水中でのポリマーの不溶性をもたらすからである。可溶性の物質は、超吸収剤としては使用できない。超吸収剤の使用分野のうちずば抜けて最も重要な使用分野は、体液の吸収である。超吸収剤は、例えば乳幼児用おむつ、大人用失禁用品又は生理用衛生用品において使用される。他の利用分野は、例えば農業園芸における水として保留する手段、防火のための貯水物として、食品包装中の液体吸収のために又はまったく一般的に湿分の吸収のために使用する分野である。
【0003】
超吸収剤は、その自重の何倍もの水を吸収でき、ある程度の圧力下でそれを保持しうる。一般に、かかる超吸収剤は、少なくとも5g/gの、好ましくは少なくとも10g/gの、特に好ましくは少なくとも15g/gのCRC("遠心保持能力(Centrifuge Retention Capacity)"、測定方法は下記参照)を有する。"超吸収剤"は、材料上異なる個々の超吸収剤の混合物であってもよく、又は複合作用においてはじめて超吸収特性を示す成分の混合物であってもよい。ここでは、超吸収特性よりも物質的な組成の問題がほとんどない。
【0004】
超吸収剤に重要なことは、その吸収能力のみならず、液体を圧力下で保持する能力(保持、大抵は"負荷下吸収(Absorption under Load)"("AUL")又は"圧力対抗吸収(Absorbtion against Pressure)"("AAP")として表現される、測定法は下記参照)並びに膨潤した状態での液体輸送(大抵は"食塩水の流れ誘導(Saline Flow Conductivity)"("SFC")として表現される、測定法は下記参照)である。膨潤されたゲルは、まだ膨潤されていない超吸収剤に対する液体輸送を遮るないし阻止することができる("ゲルブロッキング(gel blocking)")。液体のための良好な輸送特性は、例えば膨潤した状態で高いゲル強度を有するヒドロゲルが示す。僅かなゲル強度しか有さないゲルは、使用される圧力(体圧)下に変形可能で、超吸収剤/セルロース繊維吸収体中の細孔を塞ぎ、それによって更なる液体吸収を阻止する。高められたゲル強度は、通常は、より高い架橋度によって達成されるが、それによって該製品の吸収能力は低下される。ゲル強度の向上のための洗練された方法は、粒子の内側に対する超吸収粒子の表面の架橋度の向上である。そのためには、大抵は、表面後架橋段階において、乾燥された超吸収剤粒子は、平均的な架橋密度でその粒子の薄い表面層において付加的な架橋に供される。表面後架橋によって、超吸収剤粒子のシェル中の架橋密度が高まり、それによって圧力負荷下での吸収はより高い水準に高められる。超吸収剤粒子の表面層での吸収能力が低下する一方で、そのコアは可動性のポリマー鎖の存在によって、シェルに比して改善した吸収能力を有するので、シェル構造によって、ゲルブロッキングを引き起こすことなく、改善された液体の転送が保証される。同様に、全体的により高く架橋された超吸収剤を作成すること、そして粒子の内側の架橋度を粒子の外側のシェルに対して後から低下させることは知られている。
【0005】
また、超吸収剤の製造方法も公知である。アクリル酸をベースとし、市場で最も流通している超吸収剤は、アクリル酸を架橋剤("内部架橋剤")の存在下にラジカル重合させることによって製造され、その際、アクリル酸は、重合の前、重合の後に又は重合の部分的に前、部分的に後にある程度まで、通常はアルカリの添加によって、大抵は水酸化ナトリウム水溶液の添加によって中和される。こうして得られたポリマーゲルは、粉砕され(使用される重合反応器に応じてそれは重合と同時に行うことができる)、そして乾燥される。こうして得られた乾燥粉末("基礎ポリマー"又は"ベースポリマー")は、通常は、更なる架橋剤、例えば有機架橋剤もしくは多価カチオン、例えばアルミニウム(大抵は硫酸アルミニウムとして使用される)又はその両方と反応させて、粒子の内側に対してより強く架橋された表面層をもたらすことによって粒子の表面で後架橋される。
【0006】
超吸収剤でしばしば生ずる問題は、より高い温度又はより高い空気湿度のもとで貯蔵した場合に生ずる変色である。かかる条件は、しばしば熱帯もしくは亜熱帯の国々において超吸収剤を貯蔵したときに生ずる。かかる条件下では、超吸収剤は黄変する傾向にあり、それどころか超吸収剤は、褐色の呈色又はほぼ黒色の呈色さえも取ることがある。本来無色の超吸収剤粉末の前記の着色は、見映えが良くなく望ましくない。それというのも、その着色は望ましい薄い衛生用品の場合に見られ、消費者は見映えの良くない衛生用品を拒むからである。呈色の原因は、完全に解明されていないが、重合からの残留モノマーなどの反応性化合物、かなりの開始剤の使用、モノマーもしくは中和剤の汚染、表面後架橋剤又は使用されるモノマーの安定剤がその一端を担っていると思われる。
【0007】
Fredric L.Buchholz及びAndrew T.Graham(発行)は、"Modern Superabsorbent Polymer Technology",J.Wiley&Sons,New York,U.S.A./Wiley−VCH,Weinheim,Germany,1997,ISBN 0−471−19411−5において、超吸収剤、その特性並びに超吸収剤の製造方法についての要約した概説を示している。章2.7.2において、そこではまた、カルシウムイオンは超吸収剤のイオン性架橋剤として公知であるが、まずはアルミニウムなどの三価のイオンが使用可能な架橋剤であることが挙げられている。
【0008】
WO2005/073260号A1は、ナトリウムアクリレートモノマーの過飽和溶液の重合による超吸収剤の製造に際して、それをマグネシウムアクリレート、カルシウムアクリレート、ストロンチウムアクリレート又はバリウムアクリレートなどの塩によって完全にもしくは部分的に置き換えることができると開示している。WO2005/011860号は、超吸収剤用の公知の内部架橋剤を、種々の架橋剤クラスに分類しており、一つに多価金属カチオンが括られている。それらの中で、とりわけ二価カチオンとしてマグネシウム、カルシウム及びストロンチウムが挙げられるが、全体として三価のアルミニウムが好ましい。
【0009】
WO2008/055856号A1は、超吸収剤の製造に際してアクリル酸の部分中和のために使用される苛性ソーダ液の高すぎる鉄含有率によって引き起こされる超吸収剤の変色を、リン酸又はリン酸塩の添加によって回避することを教示している。JP05/086251号Aは、リン酸誘導体又はその塩、特に1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)又はそれらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩を、超吸収剤の変色に対する安定剤として用いる使用を教示している。WO03/059962号A1又は対応の特許出願US2005/0085604号A1は、超吸収剤の製造の何らかの段階で金属キレート化剤を使用することと、変色に対する措置として水を含む重合体の乾燥前に還元剤又は酸化剤を添加することを開示している。WO03/014172号A2は、超吸収剤の変色の回避のために、特にアルデヒドが取り除かれた、高純度のアクリル酸からなる超吸収剤の製造に関する。WO00/55245号A1は、無機還元剤で処理することによって、かつ選択的に、例えば重合後に添加されるアルカリ土類金属塩などの金属塩で処理することによって、変色に対して超吸収剤を安定化することを教示している。前記の無機還元剤は、一般に、次亜リン酸塩、亜リン酸塩、重亜硫酸塩又は亜硫酸塩である。前記金属塩は、一般的には無色の("無色"という特性は、しばしば簡単に"白色"とも呼ぶ)リン酸塩、酢酸塩又は乳酸塩であるが、ハロゲン化物ではない。WO2006/058682号の教示によれば、超吸収剤の変色は、乾燥と後架橋反応とを、本質的に酸化性ガスを含まない雰囲気中で実施することによって回避される。
【0010】
EP505163号A1は、表面活性物質と、二重結合で付加する化合物、例えば非置換もしくは置換されたアルキルスルフィン酸もしくはアリールスルフィン酸又はそれらの塩などの化合物との組み合わせを、超吸収剤中の残留モノマーの低減のために用いる使用を開示している。EP668080号A2並びに分割出願EP1570869号A1は、スルフィン酸を含むが、有機酸の塩もしくはスルフィン酸の塩を又はポリアミノ酸もしくはその塩を除く有機酸を、残留する表面後架橋剤の低減のために、特に表面後架橋剤として使用されるエポキシ化合物の低減のために、表面後架橋の後に用いる使用に関する。EP386897号A2、EP441975号A1及びEP605215号A1は、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩又はチオ硫酸塩を、重合からの残留モノマーの低減のために用いる使用を教示している。EP1645596号A1は、無機塩、アミノカルボキシ酸−キレート化剤及び有機酸化防止剤の添加による、超吸収剤の変色に対する安定化を教示している。無機塩としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、三チオン酸塩、四チオン酸塩、チオ硫酸塩又は亜硝酸塩が使用される。EP1577349号A1は、前記塩を同じ目的のために用いる使用を教示しているが、その際、該塩で処理された超吸収剤の鉄の含有率は1質量ppm未満に保持される。
【0011】
WO2009/060062号又は番号PCT/EP2009/059793を有する先の国際特許出願は、超吸収剤を変色に対して安定化するために、超吸収剤にスルフィン酸誘導体を添加することを教示している。WO2008/092842号A1は、とりわけ、変色に対する安定性を高めるために、超吸収剤に二価の金属カチオンの塩基性塩を添加することを教示している。WO2008/092843号A1は、三価の金属カチオンのカルボン酸塩及び/又は塩基性塩を、同じ目的のために用いる使用を開示している。WO2005/054356号A1は、立体障害フェノールを、技術的に慣用のパラメトキシフェノール("メチルヒドロキノン"、"MEHQ")の代わりに、重合体の変色がより少ないという利点を有するアクリル酸のための重合に対する安定剤として用いる使用を教示している。
【0012】
更に、高められた温度及び/又は高められた空気湿度のもとで貯蔵した場合の変色、特に黄変又は褐色着色に対して安定化された別の超吸収剤又はそれどころかより良好に安定化された超吸収剤を見出すという課題がある。超吸収剤の使用特性、特にその液体についての吸収能力(圧力下でも)並びに液体の転送能力は、その際、全く損なわれないか、又は少なくとも本質的に損なわれないべきである。同様に、他の特性、例えば臭い(これは、硫黄含有の還元剤の場合に湿分の存在下に問題となることがある)又は流動性(これは、次亜リン酸ナトリウムの添加に際して問題となることがある)又はダスト形成(これは、不溶性のカルシウム塩の添加に際して問題となることがある)などの特性が損なわれないべきである。本発明の更なる課題は、かかる超吸収剤の製造方法並びに前記超吸収剤の使用を見出すことである。
【0013】
前記課題は、フェノール、ホスホン酸(HP(O)(OH)2)、亜リン酸(H3PO3)並びに前記の酸の塩及びエステルから選択される、少なくとも1種の変色に対する安定剤を含有する超吸収剤によって解決された。更に、前記の超吸収剤の製造方法、前記超吸収剤の使用並びに前記超吸収剤を含有する衛生用品及びその製造方法が見出された。
【0014】
本発明による超吸収剤は、その使用特性、例えばCRC、AUL又はSFCを本質的に損なうことなく、驚くべきことに良好な変色に対する安定性を示す。
【0015】
超吸収剤には、本発明によれば、少なくとも1種の変色に対する安定剤が添加される。
【0016】
前記安定剤は、あらゆる形態で添加することができる。大抵、安定剤は、概ね未溶解の形態で添加することが好ましい。"概ね未溶解の"とは、添加される安定剤量の一般に少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも70質量%、特に好ましい形態では少なくとも90質量%が、添加時点で溶剤中に溶解されていないことを指す。安定剤は、そのために、粉末として乾式でか又は懸濁液として懸濁媒体中のいずれかで導入される。
【0017】
安定剤は、超吸収剤へと、製造のあらゆる時点で添加することができる。好ましくは、安定剤は、重合のためのモノマー混合物又はモノマーに添加せずに、架橋されたポリマーが存在する場合にはじめて、従って重合の間の非常に初期段階で添加される。安定剤は、例えば重合の間に、表面後架橋の間に又は表面後架橋の後に添加することができる。前記安定剤がモノマー混合物又はモノマーへと添加される場合には、該安定剤は、必ず、不所望なあるいは早期の重合に対する任意の安定剤に加えて添加される。特に、当該安定剤が立体障害フェノールである場合、それを、重合の間の非常に初期段階で添加することが好ましい。
【0018】
安定剤は、可溶性又は不溶性である。好ましくは、安定剤は、水中に不溶性である。すなわち25℃での水中での溶解度は、高くても5g/l、好ましくは高くても1g/lである。
【0019】
1種の安定剤(又は複数種の安定剤)は、フェノール、ホスホン酸(HP(O)(OH)2)、亜リン酸(H3PO3)及びこれらの酸の塩及びエステルから選択される。
【0020】
フェノールとは、立体障害フェノールが好ましい。立体障害フェノールとは、フェノールであって、そのフェニル環の少なくとも2位に、かつ選択的に6位にも、一分岐もしくは二分岐した置換基、好ましくは二分岐した置換基を有するフェノールを表す。分岐した置換基とは、前記フェノールのフェニル環に結合した原子であって、それらが結合されているフェニル環の炭素原子以外の原子に、少なくとも2つの水素とは異なる基を有する置換基を表す。しかし、立体障害フェノールは、少なくとも2位に、かつ選択的に6位にも、立体的に要求の高い非分岐の置換基を有するものである。前記置換基とは、少なくとも6個の、好ましくは少なくとも8個の、特に好ましい形態では少なくとも12個の、水素とは異なる原子を含むが、フェノールのフェニル環に結合した原子であって、それらが結合されているフェニル環の炭素原子以外の原子に、1個だけの水素とは異なる基を有する置換基を表す。一分岐した置換基のための最も簡単な例は、第二級アルキル基、例えば2−プロピル、2−ブチル、2−ペンチル、3−ペンチル、エチルヘキシル又はシクロアルキル基、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又は芳香族基、例えばフェニルである。二分岐した置換基のための最も簡単な例は、第三級アルキル基、例えばt−ブチル、t−ペンチル又はノルボルニルである。非分岐の基のための最も簡単な例は、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルであるが、またネオペンチル、ネオヘキシル又はドデシルチオメチルである。しかし、前記の基の全ては、それ自体が置換されているか、又は炭素と水素とは異なる原子を含んでよい。フェノールのフェニル環は、2位の置換基と、選択的に6位の置換基の他にも、選択的に他の置換基を有してよい。好ましい立体障害フェノールの例は、2−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(2,6−ジ−t−ブチル−パラクレゾール又は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンとも呼ぶ)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸並びに前記酸とアルコール及びポリオールとのエステル、例えば前記酸のグリコール、グリセリン、1,2−もしくは1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパンもしくはペンタエリトリットとの一エステル又は多エステル、例えばペンタエリトリット−テトラキス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)もしくはオクタデシル−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、4,4−チオ−ビス(6−t−ブチル−メタクレゾール)、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−オルトクレゾール、3,3′,3′′,5,5′,5′′−ヘキサ−t−ブチル−α;α′,α′′−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−パラクレゾール(2,4,6−トリ[(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メチル]メシチレンの別名、CAS番号1709−70−2、Ciba Specialty Chemicals,Basel,Schweiz AG、商品名Irganox(登録商標)1330として入手できる)、N,N−ヘキサン−1,3−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))、2,2′−エチリデンビス[4,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェノール]及びエチレンビス(オキシエチレン)ビス−3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)(CAS番号36443−68−2、Ciba Specialty Chemicals,Basel,Schweiz AG、商品名Irganox(登録商標)245として入手できる)である。
【0021】
本発明により適した他の安定剤は、ホスホン酸(HP(O)(OH)2)及び亜リン酸(H3PO3)の塩及びエステル並びにホスホン酸自体である。ホスホン酸は、亜リン酸と互変異性の関係にあり、後者は遊離酸として存在しない。亜リン酸の純粋な誘導体は、そのトリエステルだけであり、それらは、通常はホスフィットと呼称される。互変異性のホスホン酸の誘導体は、通常は、ホスホネートとして呼称される。例えば、アルカリ金属(アンモニウムを含む)の及びアルカリ土類金属の全ての第一級ホスホネート並びに第二級ホスホネートが適している。例えばまた、第一級の及び/又は第二級のホスホン酸イオンと、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウムから選択される少なくとも1種のカチオンとを含む、ホスホン酸の水溶液が適している。好適なホスフィット又はホスホネートの例は、カルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィット、3,9−ビス(オクタデシルオキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン及びビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)ペンタエリトリトールジホスフィットである。安定剤は、同時にホスホネート又はホスフィット及び立体障害フェノールであってよい。
【0022】
安定剤は、未溶解であるとすれば、必然的に粒状であり、それらは、加えるときにそれゆえ主に粉末形で存在する。平均粒度は、一般に少なくとも0.001μm、好ましくは少なくとも0.002μm、特に好ましい形態では少なくとも0.005μm、最も好ましくは少なくとも0.01μmで、かつ一般に大きくても500μm、好ましくは大きくても200μm、特に好ましい形態では大きくても100μm、殊に好ましい形態では大きくても50μmの範囲である。前記粒子は、それ自体、より小さい一次粒子のアグリゲート又はアグロメレートであってよい。粒度は、篩分析によって測定できるが、レーザ回折技術による粒度測定がより簡単であり、従ってそれが好ましい。これらの方法は、よく知られており、そのために適した市販の機器で慣例通りに行われる。
【0023】
上述の変色に対する安定剤は、それらが添加される場合には、それぞれ本発明による超吸収剤の全質量に対して、それぞれ一般に少なくとも0.0001質量%、好ましくは少なくとも0.001質量%、特に好ましい形態では少なくとも0.025質量%で、かつ一般に大きくても3質量%、好ましい形態では大きくても2質量%、特に好ましい形態では大きくても0.5質量%の量で添加される。
【0024】
本発明によれば、あらゆる超吸収剤に該安定剤を加えることができる。一般に、かかる超吸収剤は、架橋された親水性ポリマー、特に(共)重合された親水性モノマーからなるポリマー、1種以上の親水性モノマーの好適なグラフトベース上でのグラフト(コ)ポリマー、架橋されたセルロースエーテルもしくはデンプンエーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分架橋されたポリアルキレンオキシド又は水性液体中で膨潤可能な天然産物、例えばグアール誘導体である。好ましくは、部分中和されたアクリル酸をベースとする超吸収剤が使用される。超吸収剤は、とりわけその液体の吸収能力と、その液体の保持能力の点で優れている。
【0025】
本発明による好ましい超吸収剤は、例えば
a)少なくとも1つの酸基を有し、選択的に少なくとも部分的に塩として存在する、少なくとも1種のエチレン性不飽和のモノマーと、
b)少なくとも1種の架橋剤と、
c)少なくとも1種の開始剤と、
d)選択的に、前記a)で挙げたモノマーと共重合可能な1種もしくは複数種のエチレン性不飽和のモノマーと、
e)選択的に、1種もしくは複数種の水溶性ポリマーと
を含有するモノマー混合物の水性溶液重合によって製造される。
【0026】
前記モノマーa)は、好ましくは水溶性である。すなわち、23℃での水中での溶解度は、一般に少なくとも1g/100g(水)、好ましくは少なくとも5g/100g(水)、特に好ましくは少なくとも25g/100g(水)、殊に好ましくは少なくとも35g/100g(水)である。
【0027】
好適なモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和のカルボン酸又はその塩、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はその塩、マレイン酸無水物及びイタコン酸又はその塩である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。殊に、アクリル酸が好ましい。
【0028】
他の好適なモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和のスルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0029】
不純物が、重合に対してかなりの影響を与えることがある。従って、使用される原料は、できるだけ高い純度を有するべきである。従って、しばしば、モノマーa)は特別に精製するべきである。好適な精製法は、例えばWO2002/055469号A1、WO2003/078378号A1及びWO2004/035514号A1に記載されている。好適なモノマーa)は、例えばWO2004/035514号A1に従って精製されたアクリル酸であって、99.8460質量%のアクリル酸と、0.0950質量%の酢酸と、0.0332質量%の水と、0.0203質量%のプロピオン酸と、0.0001質量%のフルフラールと、0.0001質量%の無水マレイン酸と、0.0003質量%のジアクリル酸と、0.0050質量%のヒドロキノンモノメチルエーテルとを有するアクリル酸である。
【0030】
モノマーa)の全量に対するアクリル酸及び/又はそれらの塩の割合は、好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%、殊に好ましくは少なくとも95モル%である。
【0031】
モノマー溶液は、それぞれ中和されていないモノマーa)に対して、好ましくは高くても250質量ppm、有利には高くても130質量ppm、特に有利には高くても70質量ppmで、かつ有利には少なくとも10質量ppm、特に有利には少なくとも30質量ppm、特に約50質量ppmのヒドロキノンヘミエーテルを含有し、その際、中和されたモノマーa)、すなわちモノマーa)の塩は、中和されていないモノマーとして計算して考慮される。例えば、モノマー溶液の製造のために、ヒドロキノンヘミエーテルの相応の含有率を有するエチレン性不飽和の酸基を有するモノマーを使用することができる。
【0032】
好ましいヒドロキノンヘミエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0033】
好適な架橋剤b)は、少なくとも2つの架橋に適した基を有する化合物である。かかる基は、例えばポリマー鎖中にラジカル重合導入できるエチレン性不飽和の基と、モノマーa)の酸基と共有結合を形成しうる官能基である。更にまた、モノマーa)の少なくとも2つの酸基と配位結合を形成しうる多価金属塩が、架橋剤b)として適している。
【0034】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマー網目構造にラジカル重合導入されうる、少なくとも2つの重合可能な基を有する化合物である。好適な架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、例えばEP530438号A1に記載されるジアクリレート及びトリアクリレート、例えばEP547847号A1、EP559476号A1、EP632068号A1、WO93/21237号A1、WO2003/104299号A1、WO2003/104300号A1、WO2003/104301号A1及びDE10331450号A1に記載される混合アクリレートであって、アクリレート基に加えて更なるエチレン性不飽和基を有するもの、例えばDE10331456号A1及びDE10355401号A1に記載されるもの、又は、例えばDE19543368号A1、DE19646484号A1、WO90/15830号A1及びWO2002/32962号A2に記載される架橋剤混合物である。
【0035】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15〜20エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、15〜20エトキシル化グリセリントリアクリレート、4〜45個のCH2CH2O単位を分子鎖中に有するペンタエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0036】
殊に好ましい架橋剤b)は、例えばWO2003/104301号A1に記載される、アクリル酸もしくはメタクリル酸とエステル化してジアクリレートもしくはトリアクリレートとなった多エトキシル化グリセリン及び/又は多プロポキシル化グリセリンである。特に有利には、3〜10エトキシル化グリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートである。殊に、1〜5エトキシル化グリセリン及び/又は1〜5プロポキシル化グリセリンのジアクリレート又はトリアクリレートが好ましい。最も好ましくは、3〜5エトキシル化グリセリン及び/又は3〜5プロポキシル化グリセリンのトリアクリレート、特に3エトキシル化グリセリンのトリアクリレートである。
【0037】
架橋剤b)の量は、それぞれモノマーa)に対して、好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%、殊に好ましくは0.3〜0.6質量%である。架橋剤含有率の増加に伴い、遠心保持能力(CRC)は低下し、そして0.3psiの圧力下吸収(AUL0.3psi)は高まる。
【0038】
開始剤c)としては、重合条件下でラジカルで生ずる全ての化合物、例えば熱的開始剤、レドックス開始剤、光開始剤を使用することができる。好適なレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好ましくは、熱的開始剤とレドックス開始剤からの混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸が使用される。しかし、還元性の成分としては、好ましくは以下により詳細に記載される、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩と、重亜硫酸ナトリウムとからなる混合物が使用される(Brueggolit(登録商標)FF6M又はBrueggolit(登録商標)FF7)。
【0039】
エチレン性不飽和の酸基を有するモノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和のモノマーd)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、マレイン酸又はその塩及び無水マレイン酸である。
【0040】
水溶性ポリマーe)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロースもしくはヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコールもしくはポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースを使用することができる。
【0041】
通常は、水性のモノマー溶液が使用される。モノマー溶液の含水率は、好ましくは40〜75質量%、特に好ましくは45〜70質量%、殊に好ましくは50〜65質量%である。また、モノマー懸濁液を、すなわち過飽和のモノマー溶液を使用することもできる。含水率が高まるにつれて、引き続いての乾燥に際しての所要エネルギーが増大し、そして含水率が低下するにつれて、重合熱は、不十分にしか排出できない。
【0042】
本発明による超吸収剤には、選択的に、カルシウム塩、ストロンチウム塩又はバリウム塩から選択される、水中に可溶性の少なくとも1種のアルカリ土類金属塩が添加される。前記の元素のあらゆる可能な2つの組み合わせの塩からなる混合物又は前記の元素の3つ全てを使用することができる。技術的作用の点では、カルシウム塩、ストロンチウム塩又はバリウム塩の間には本質的な差異はないが、経済的な理由からカルシウム塩が最も好ましい。一般に、アルカリ土類金属塩を含有する超吸収剤では、アルカリ土類金属塩を含まない超吸収剤よりも、少量の本発明による変色に対する安定剤が必要とされる。
【0043】
アルカリ土類金属塩のアニオンは、超吸収剤中で及び/又はその使用に際して悪影響を及ぼしてはならないという条件で、基本的には自由に選択できる。アルカリ土類金属塩の好適なアニオンの例は、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオン、水酸化物イオン、炭酸イオン、カルボン酸イオン、例えばギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオンもしくは乳酸イオン、硝酸イオン又は硫酸イオンである。混合物も使用することができる。
【0044】
より好ましくは、水溶性のアルカリ土類金属塩が使用されるか、又はそれ自体比較的水中での可溶性に乏しいにもかかわらず、超吸収剤もしくはモノマーの酸基と迅速に反応する塩が使用される。かかる塩は、特に、水を含有するモノマー混合物からの通常の超吸収剤の製造に際して、さらに使用される中和剤の当量を削減できるという利点を有する。アルカリ土類金属塩のアニオンは、このために相応して選択され、好ましくは水酸化物イオン、炭酸イオン又は乳酸イオンである。
【0045】
全体的に好ましいアルカリ土類金属塩は、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、乳酸カルシウム、乳酸ストロンチウム、乳酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム又はそれらの混合物である。特に、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム及び硫酸カルシウムが好ましい。
【0046】
アルカリ土類金属塩は、それぞれ、一般に少なくとも1つの酸基を有するエチレン性不飽和のモノマーの全量に対して、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.5質量%、特に好ましい形態では少なくとも1質量%で、かつ一般に高くても20質量%、好ましくは高くても10質量%、特に好ましい形態では高くても5質量%の量で添加される。これらは、その際、遊離酸として計算され、酸基の任意の完全な又は部分的な中和は、計算に際して考慮されなかった。かなりの数のアルカリ土類金属塩は、結晶水を含有することができる。この結晶水は、計算に際して同様に考慮されない。
【0047】
アルカリ土類金属塩(又はアルカリ土類金属塩の混合物)は、モノマー混合物に、重合の前にもしくは重合の間に、又は重合に引き続き別個の乾燥工程が行われる場合には、前記塩は、ポリマーに乾燥前に又は部分的に重合の前もしくは重合の間にかつ部分的にポリマーに乾燥の前に添加される。超吸収剤中でのアルカリ土類金属塩の一様な分布に努められる。基本的に、アルカリ土類金属塩は、方法に従ってかつ時点に応じて、以下に中和剤のところで記載されるように混加される。最も簡単で、従って好ましいのは、重合の前のモノマー混合物中への添加である。しかし、アルカリ土類金属塩は、重合の間にも、又は重合の後にも、生じたポリマーゲル中に導入できるが、必ず乾燥前に導入される。重合の間の添加は、とりわけ、重合させる材料を、例えば重合に際して混練機中で混合する方法では容易に可能である。重合後で乾燥前の添加は、とりわけ、重合された材料が重合から特有の乾燥工程へと導かれる方法で簡単に行うことができ、従って特に重合と乾燥とを別個の装置で行うあらゆる方法で簡単に行うことができる。アルカリ土類金属塩は、この場合に、あらゆる公知の混合法及び混合装置によって該ポリマーゲル中に混加できる。
【0048】
アルカリ土類金属塩は、乾燥物質として又は溶剤中の溶液もしくは分散液として添加される。溶剤としては、好ましくは水が使用される。
【0049】
好ましい重合抑制剤は、最適な作用のために溶解された酸素を必要とする。従って、モノマー溶液からは、重合前に、不活性化によって、すなわち不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素での流過によって、溶解された酸素を除去することができる。好ましくは、モノマー溶液の重合前の酸素含有率は、1質量ppm未満に、特に好ましくは0.5質量ppm未満に、殊に好ましくは0.1質量ppm未満に低下される。
【0050】
モノマー混合物は、更なる成分を含有してよい。かかるモノマー混合物中で使用される更なる成分の例は、例えば、金属イオンを溶解状態で保持するためには、例えばキレート形成剤である。
【0051】
重合から得られるポリマーゲルの酸基は、通常は部分的に中和されている。中和は、好ましくはモノマーの段階で行われる。言い換えると、酸基を有するモノマーの塩又は厳密に言えば酸基を有するモノマーと酸基を有するモノマーの塩の混合物("部分中和された酸")が成分a)として重合に使用される。それは、通常は、中和剤を、水溶液として又は好ましくは固体としても、重合のために予定されるモノマー混合物又は好ましくは酸基を有するモノマーもしくはその溶液中に混加することによって行われる。中和度は、好ましくは25〜95モル%、特に好ましくは50〜80モル%、殊に好ましくは65〜72モル%であり、その際、慣用の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにそれらの混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に好ましいが、殊には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにそれらの混合物が好ましい。
【0052】
しかしながら、中和を、重合の後に、重合時に生ずるポリマーゲルの段階で実施することも可能である。更に、40モル%までの、好ましくは10〜30モル%の、特に好ましくは15〜25モル%の酸基を重合前に、中和剤の一部をモノマー溶液に既に添加し、所望の最終中和度を重合後にはじめてポリマーゲルの段階で調整することによって中和することができる。ポリマーゲルが少なくとも部分的に重合後に中和される場合に、ポリマーゲルは、好ましくは機械的に、例えば押出機によって粉砕され、その際、中和剤を、吹き付けるか、振りかけるか、又は注いで、次いで慎重に混ぜ合わすことができる。それに加えて、得られたゲル材料を、さらに幾度も、均質化のために押出することができる。
【0053】
しかしながら、中和を、モノマーの段階で実施することが好ましい。換言すれば、殊に好ましい一実施態様においては、モノマーa)として、25〜95モル%の、特に好ましくは50〜80モル%の、殊に好ましくは65〜72モル%の酸基を有するモノマーの塩と、100モル%までの残部の酸基を有するモノマーとの混合物が使用される。この混合物は、例えばアクリル酸ナトリウムとアクリル酸とからなる混合物又はアクリル酸カリウムとアクリル酸とからなる混合物である。
【0054】
好ましい一実施態様においては、中和のために、中和剤であって、その鉄含有率が、10質量ppm未満であり、好ましくは2質量ppm未満であり、特に好ましくは1質量ppm未満である中和剤が使用される。同様に、塩化物並びに塩素の酸素酸のアニオンの含有率が低いことが望ましい。好適な中和剤は、例えば、通常"メンブレングレード"として市販されている50質量%の苛性ソーダ液又は苛性カリ液であり、通常"アマルガムグレード"もしくは"水銀プロセス"として市販されている50質量%の苛性ソーダ液又は苛性カリ液は、さらに純度が高く、同様に適しているが、より費用もかかる。
【0055】
本発明の任意の実施形態であってアルカリ土類金属塩が添加されるものにおいて、アルカリ土類金属塩として、水溶性の又は比較的難溶性であるが、それにもかかわらず比較的迅速に反応するアルカリ土類金属塩が使用される場合に、添加されるアルカリ土類金属イオンの量の当量の中和剤を削減することができる。換言すると、アルカリ土類金属塩は、同時に中和剤として用いることもでき、その際、二価のアルカリ土類金属イオンは2つの一価のアルカリ金属イオンを代替する。このために、特にアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び乳酸塩が適している。
【0056】
モノマー混合物から超吸収剤を製造する方法も、例として前記したように公知である。好適な重合反応器は、例えば混練反応器又はベルト反応器である。混練機においては、水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合に際して生ずるポリマーゲルは、WO2001/38402号A1に記載のように、例えば逆回転撹拌シャフトによって連続的に粉砕される。ベルト上での重合は、例えばEP955086号A2、DE3825366号A1及びUS6,241,928号に記載されている。ベルト反応器での重合の場合には、同様に公知のバッチ式での重合又は管形反応器中での重合の場合のように、例えばEP445619号A2及びDE19846413号A1に記載されるように、ポリマーゲルは、例えば肉挽き機、押出機又は混練機中で生じ、前記ゲルは、更なる方法工程で粉砕せねばならない。しかしまた、球状の又は他の形状の超吸収剤粒子は、懸濁重合もしくは乳化重合によって、例えばEP457660号A1に記載されるようにして製造でき、又は噴霧重合法もしくは液滴重合法によって、例えばEP348180号A1、EP816383号A1、WO96/40427号A1、US4020256号、US2002/0193546号A1、DE3519013号A1、DE102005044035号A1、WO2007/093531号A1、WO2008/086976号A1又はWO2009/027356号A1に記載されるように製造することができる。同様に、モノマー混合物を基材、例えば不織布ウェブ(Vliesbahn)上に施与し、重合させる方法は公知であり、例えばWO02/94328号A2及びWO02/94329号A1に記載されている。
【0057】
水性溶液重合と、場合により後の中和とから得られるポリマーゲルは、次いで、好ましくはベルト乾燥機で、残留湿分含有率が、好ましくは0.5〜15質量%となるまで、特に好ましくは1〜10質量%となるまで、殊に好ましくは2〜8質量%となるまで乾燥される(残留湿分含有率又は含水率のための測定方法は下記参照)。残留湿分が高すぎる場合に、乾燥されたポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度Tgを示し、困難を伴ってのみ更なる加工ができる。残留湿分が低すぎる場合に、乾燥されたポリマーゲルは、脆すぎるため、引き続いての微細化工程で、不所望にも大量な粒度が小さすぎるポリマー粒子("微細物")が生ずる。ゲルの固体含有率は、乾燥前に、一般に25〜90質量%、好ましくは30〜80質量%、特に好ましくは35〜70質量%、殊に好ましくは40〜60質量%である。しかし選択的に、乾燥のために、また、流動床乾燥機又は機械的機構を有する加熱可能な混合機、例えばパドル乾燥機又は別の形態の混合工具を有する類似の乾燥機も使用できる。選択的に、前記乾燥機は、酸化的な黄変過程を防ぐために、窒素下でもしくは別の非酸化性の不活性ガス下で又は少なくとも酸素の低減された分圧下で運転してよい。しかし、作動状態で、十分な換気及び水蒸気の排出によっても許容可能な生成物がもたらされる。色及び生成物品質に関して好ましいのは、一般にできる限り短い乾燥時間である。
【0058】
乾燥の間に、ポリマー粒子中の残留モノマー含有率も低下し、開始剤の最後の残分は破壊される。
【0059】
乾燥されたポリマーゲルは、この後で粉砕及び分級される。その際、粉砕のためには、通常、一段階式のもしくは多段階式のローラーミル、好ましくは二段階式のもしくは三段階式のローラーミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルを使用することができる。特大サイズの、しばしば内側がまだ乾燥されていないゲル塊はゴム弾性であり、粉砕に際して問題を引き起こし、粉砕の前に分離除去することが好ましく、これは風力選別又は篩別(ミル用の"保護スクリーン")によって簡単に実施することができる。スクリーンのメッシュ幅は、使用されるミルを考慮に入れて、特大のゴム弾性粒子による閉塞ができる限り発生しないように選択される。
【0060】
大きすぎる十分に細かく粉砕されていない超吸収剤粒子は、その大部分の用途に際して、おむつなどの衛生用品において粗大粒子として認めることができ、それらの粒子は、超吸収剤の平均膨潤速度も下げる。両方は望ましくない。従って、好ましくは、粗粒のポリマー粒子は生成物から分離除去される。それは、通常の分級法、例えば風力選別によって又は大きくても1000μmの、好ましくは大きくても900μmの、特に好ましくは大きくても850μmの、殊に好ましくは大きくても800μmのメッシュ幅を有するスクリーンによる篩別によって行われる。例えば、700μmの、650μmの又は600μmのメッシュ幅を有するスクリーンが使用される。分離除去された粗粒のポリマー粒子("篩上粒(Ueberkorn)")は、コストの最適化のために粉砕サイクルと篩別サイクルに再び供給するか、又は別個に更に加工することができる。
【0061】
低すぎる粒度を有するポリマー粒子は、透過性(SFC)を下げる。従って、好ましくは、前記の分級に際して、細粒のポリマー粒子も分離除去される。それは、篩別される場合に、大きくても300μmの、好ましくは大きくても200μmの、特に好ましくは大きくても150μmの、殊に好ましくは大きくても100μmのメッシュ幅を有するスクリーンによって容易に使用できる。分離除去された細粒のポリマー粒子("篩下粒(Unterkorn)"又は微細物)は、コストの最適化のために、任意にモノマー流に、重合しているゲルに又は重合が完了したゲルに該ゲルの乾燥前に再び供給することができる。
【0062】
生成物フラクションとして分離除去されたポリマー粒子の平均粒度は、一般に、少なくとも200μm、好ましくは少なくとも250μm、好ましい形態では少なくとも300μmであり、かつ一般に大きくても600μm、好ましくは大きくても500μmである。少なくとも150μmの粒度を有する粒子の割合は、一般に、少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、特に好ましくは少なくとも98質量%である。大きくても850μmの粒度を有する粒子の割合は、一般に、少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0063】
超吸収剤について知られる他のかなりの製造方法において、特に懸濁重合、噴霧重合又は滴加重合において、プロセスパラメータの選択により粒度分布が制御される。これらの方法では、直接的に、所望の粒度の粒状の超吸収剤が生ずるので、粉砕工程と篩別工程はしばしば省くことができる。かなりの方法において(特に噴霧重合又は滴加重合では)、しばしば固有の乾燥工程を省くこともできる。
【0064】
こうして製造されたポリマーは、超吸収特性を有していて、概念"超吸収剤"に含まれる。そのCRCは、典型的には比較的高く、それに対してそのAUL又はSFCは比較的低い。表面後架橋されていないかかる超吸収剤は、それから製造された表面後架橋された超吸収剤との区別のためにしばしば、"基礎ポリマー"又は"ベースポリマー"と呼称する。
【0065】
適切な後架橋剤は、超吸収剤粒子の少なくとも2つの官能基と結合を形成しうる基を含む化合物である。
【0066】
市場で主流を占めるアクリル酸/アクリル酸ナトリウムを基礎とする超吸収剤の場合には、好適な表面後架橋剤は、少なくとも2つのカルボキシレート基と結合を形成しうる基を含む化合物である。好ましい後架橋剤は、一般式(I)
【化1】

[式中、
1は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールを意味し、
2は、X又はOR6を意味し、
3は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニルもしくはC6〜C12−アリール又はXを意味し、
4は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールを意味し、
5は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル、C1〜C12−アシル又はC6〜C12−アリールを意味し、
6は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールを意味し、かつ
Xは、基R2及びR3が共同でカルボニル酸素を意味し、その際、R1及びR4及び/又はR5及びR6は、橋かけされたC2〜C6−アルカンジイルであってよく、かつ上述の基R1〜R6は、さらに全体で1〜2個の自由原子価を有してよく、かつこの自由原子価で少なくとも1つの好適な基礎体と結合されていてよい]のアミドアセタール又はカルバメートであるか、又は
多価アルコールであり、その際、前記の多価アルコールは、好ましくは100g/モル未満の、有利には90g/モル未満の、特に有利には80g/モル未満の、殊に有利には70g/モル未満の分子量をヒドロキシル基1つ当たりに有し、かつビシナルな、ジェミナルな、第二級のもしくは第三級のヒドロキシ基を有さず、かつ多価アルコールは、一般式(IIa)
【化2】

[式中、R7は、式−(CH2n−の非分枝のアルキレン基を意味し、nが3〜20の、好ましくは3〜12の整数であり、かつ両方のヒドロキシル基が末端位にあるか、又はR7は、非分枝の、分枝したもしくは環状のアルキレン基を意味する]のジオール、又は一般式(IIb)
【化3】

[式中、基R8、R9、R10、R11は、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルオキシメチル、1−ヒドロキシプロピ−2−イルオキシメチル、2−ヒドロキシプロピルオキシメチル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,2−ジヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル又は4−ヒドロキシブチルを意味し、かつ全体で2、3もしくは4つの、好ましくは2もしくは3つのヒドロキシ基が存在しており、かつ基R8、R9、R10もしくはR11の1つより多くは、ヒドロキシルを意味しない]のポリオールであるか、又は
一般式(III)
【化4】

[式中、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル又はイソブチルであり、かつnは、0又は1である]の環状カーボネートであるか、又は
一般式(IV)
【化5】

[式中、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル又はイソブチルを表し、かつR26は、単結合、直鎖状の、分枝したもしくは環状のC2〜C12−アルキレン基又はポリアルコキシジイル基を表し、前記基は、1〜10個のエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位から構成されており、それらは、例えばポリグリコールジカルボン酸を示す]のビスオキサゾリンである。
【0067】
一般式(I)の好ましい後架橋剤は、2−オキサゾリドン、例えば2−オキサゾリドン及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−アシル−2−オキサゾリドン、例えばN−アセチル−2−オキサゾリドン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、二環式のアミドアセタール、例えば5−メチル−1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタン及び5−イソプロピル−1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビス−2−オキサゾリドン及びポリ−2−オキサゾリドンである。
【0068】
一般式(I)の特に好ましい後架橋剤は、2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン及びN−ヒドロキシプロピル−2−オキサゾリドンである。
【0069】
一般式(IIa)の好ましい後架橋剤は、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,7−ヘプタンジオールである。式(IIa)の後架橋剤のための更なる例は、1,3−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−デカンジオールである。
【0070】
ジオールは、好ましくは水溶性である。その際、一般式(IIa)のジオールは、23℃で、少なくとも30質量%で、好ましくは少なくとも40質量%で、特に好ましくは少なくとも50質量%で、殊に好ましくは少なくとも60質量%で水中に溶解し、例えば1,3−プロパンジオール及び1,7−ヘプタンジオールなどである。さらにより好ましくは、25℃で液状のかかる後架橋剤である。
【0071】
一般式(IIb)の好ましい後架橋剤は、ブタン−1,2,3−トリオール、ブタン−1,2,4−トリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリット、1分子当たり1エトキシル化ないし3エトキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパン及び1分子当たり1プロポキシル化ないし3プロポキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンである。更に好ましくは、2エトキシル化された又はプロポキシル化されたネオペンチルグリコールである。特に好ましくは、2エトキシル化された及び3エトキシル化されたグリセリン、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール及びトリメチロールプロパンである。
【0072】
好ましい多価アルコール(IIa)及び(IIb)は、23℃で、3000mPas未満の、好ましくは1500mPas未満の、有利には1000mPas未満の、特に有利には500mPas未満の、殊に有利には300mPas未満の粘度を有する。
【0073】
一般式(III)の特に好ましい後架橋剤は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートである。
【0074】
一般式(IV)の特に好ましい後架橋剤は、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)である。
【0075】
好ましい後架橋剤は、揮発性の、従って悪臭を放つ化合物をもたらす二次反応及び後続反応を最小限にする。好ましい後架橋剤を用いて製造された超吸収剤は、従って湿らせた状態でも臭いがない。
【0076】
上述の選択肢からの単独の後架橋剤を使用でき、又は異なる後架橋剤の任意の混合物を使用できる。
【0077】
後架橋剤は、一般に、それぞれそれを加えた基礎ポリマー(例えば前述の篩分級物)の質量に対して、少なくとも0.001質量%で、好ましくは少なくとも0.02質量%で、特に好ましい形態では少なくとも0.05質量%で、かつ一般に高くても2質量%の、好ましくは高くても1質量%の、特に好ましい形態では高くても0.3質量%の、例えば高くても0.15質量%もしくは高くても0.095質量%の量で使用される。
【0078】
後架橋は、通常は、後架橋剤の溶液を、乾燥された基礎ポリマー粒子上に噴霧して実施される。噴霧に引き続いて、後架橋剤で被覆されたポリマー粒子は、熱的に乾燥される。その際、該後架橋反応は、乾燥前にも乾燥の間にも行うことができる。重合可能な基を有する表面後架橋剤が使用される場合に、表面後架橋は、かかる基のラジカルにより誘発される重合によって、通常のラジカル形成剤を用いて又は例えばUV光などの高エネルギー放射を用いて行うこともできる。これは、基礎ポリマー粒子の表面上にある官能基に共有結合又はイオン結合を形成する後架橋剤の使用と平行して又はその使用の代わりに行うことができる。
【0079】
後架橋剤溶液の噴霧は、好ましくは、可動の混合工具を有するミキサ中で、例えばスクリューミキサ、ディスクミキサ、パドルミキサもしくは羽根型ミキサなどのミキサ又は他の混合工具を有するミキサ中で行われる。しかしながら、特に好ましいのは、縦型ミキサである。しかし、後架橋剤溶液を流動床中に噴霧することも可能である。好適なミキサは、例えばGebr.Loedige Maschinenbau GmbH(Eisener−Strasse 7−9、33102 Paderborn,ドイツ)からPflugschar(登録商標)ミキサとして、又はHosokawa Micron BV(Gildenstraat 26,7000 AB Doetinchem,オランダ)からSchugi(登録商標)Flexomix(登録商標)ミキサ、Vrieco−Nauta(登録商標)ミキサ又はTurbulizer(登録商標)ミキサとして入手できる。
【0080】
使用できる噴霧ノズルには制限が課されない。好適なノズル及び霧化システムは、例えば以下の文献箇所:Zerstaeuben von Fluessigkeiten,Expert−Verlag,Bd.660,Reihe Kontakt & Studium,Thomas Richter(2004)並びにZerstaeubungstechnik,Springer−Verlag,VDI−Reihe,Guenter Wozniak(2002)に記載されている。単分散の及び多分散の噴霧システムが使用できる。多分散のシステムのうちで、単物質圧力ノズル(ジェット形成もしくは層流形成)、回転噴霧器、二物質噴霧器、超音波噴霧器及びインパクトノズルが適している。二物質噴霧器の場合には、液相と気相との混合は、内側でも外側でも起こりうる。ノズルの噴霧パターンは重要ではなく、あらゆる任意の形態を、例えば円形噴射パターン、平坦噴射パターン、広角円形噴射パターン又は円環噴射パターンをとることができる。二物質噴霧器が使用される場合には、非酸化性のガスの使用が好ましく、窒素、アルゴン又は二酸化炭素が特に好ましい。このようなノズルは噴霧すべき液体を加圧下で供給することができる。この場合、噴霧すべき液体の分散は、該液体が一定の最低速度に達した後にノズル穴中で放圧されることによって行うことができる。さらに本発明による目的にとって一物質ノズル、たとえばスリットノズルまたは旋回ノズル(フルコーンノズル)を使用することができる(たとえばドイツ国在Duesen−Schlick社製、またはドイツ国在Spraying Systems Deutschland社製)。かかるノズルは、EP0534228号A1及びEP1191051号A2にも記載されている。
【0081】
前記後架橋剤は、典型的には、水溶液として使用される。溶剤として水のみが使用される場合に、後架橋剤溶液に又は既に基礎ポリマーに、好ましくは界面活性剤又は解凝集助剤が添加される。それによって、濡れ挙動が改善され、塊状化傾向が低下する。
【0082】
あらゆるアニオン性の、カチオン性の、非イオン性の及び両性の界面活性剤が、解凝集助剤として適しているが、皮膚適合性の理由から非イオン性の及び両性の界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、窒素を含んでもよい。例えば、ソルビタンモノエステル、例えばソルビタンモノココエート及びソルビタンモノラウレート又はそのエトキシル化された別形、例えばPolysorbat 20(登録商標)が添加される。更なる適した解凝集助剤は、2−プロピルヘプタノールのエトキシル化された及びアルコキシル化された誘導体であり、それはLutensol XL(登録商標)及びLutensol XP(登録商標)として市販されている(BASF SE,Carl−Bosch−Strasse 38,67056 Ludwigshafen,ドイツ)。
【0083】
該解凝集助剤は、個別に計量供給されるか、又は後架橋剤溶液に添加することができる。好ましくは、解凝集助剤は、後架橋剤に容易に添加される。
【0084】
基礎ポリマーに対する解凝集助剤の使用量は、例えば0〜0.1質量%、好ましくは0〜0.01質量%、特に好ましくは0〜0.002質量%である。好ましくは、解凝集助剤は、膨潤された基礎ポリマー及び/又は膨潤された後架橋された吸水性ポリマーの水性抽出物の表面張力が23℃で、少なくとも0.060N/m、好ましくは少なくとも0.062N/m、特に好ましくは少なくとも0.065N/mであり、かつ好ましくは高くても0.072N/mである。
【0085】
後架橋剤の水溶液は、少なくとも1種の後架橋剤の他にもさらに助溶剤を含有してよい。非水性溶剤の含分もしくは全溶剤量を介して、ポリマー粒子中への後架橋剤の侵入深さを調整することができる。工業的に非常に適した助溶剤は、C1〜C6−アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノールもしくは2−メチル−1−プロパノール、C2〜C5−ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールもしくは1,4−ブタンジオール、ケトン、例えばアセトン又はカルボン酸エステル、例えば酢酸エチルエステルである。幾つかの前記の助溶剤の欠点は、それが典型的な固有臭を有することである。
【0086】
その助溶剤自体は、反応条件下では理想的には後架橋剤ではない。しかしながら、特殊な場合に、そして滞留時間と温度に依存して、該助溶剤が部分的に架橋に寄与することがある。それは、特に、後架橋剤が比較的不活性であるため、それ自体でもその助溶媒を形成しうる場合である。例えば、一般式(III)の環状カーボネート、一般式(IIa)のジオール又は一般式(IIb)のポリオールが使用される場合である。かかる後架橋剤は、より反応性の高い後架橋剤との混合物で、助溶剤としての機能においても使用できる。それというのも、本来の後架橋反応は、その際、より反応性の高い架橋剤の不在の場合よりも低い温度及び/又は短い滞留時間で実施できるからである。該助溶剤は比較的多量に使用され、かつ部分的に生成物中にも残留するので、それは非毒性でなければならない。
【0087】
本発明による方法においては、一般式(IIa)のジオール、一般式(IIb)のポリオール並びに一般式(III)の環状カーボネートは、助溶剤としても適している。それらは、これらの機能を、一般式(I)及び/又は(IV)の反応性後架橋剤の存在下に及び/又はジグリシジル化合物もしくはトリグリシジル化合物の存在下に満たす。しかしながら、本発明による方法において好ましい助溶剤は、特に、ヒドロキシ基が反応において隣接基によって立体障害される場合に特に一般式(IIa)のジオールである。かかるジオールは、たしかに後架橋剤としても適しているが、そのためには、立体障害されないジオールよりも明らかに高い反応温度又は場合によってはより高い使用量が必要とされる。
【0088】
助溶剤としての反応性が僅かな後架橋剤と反応性の後架橋剤とからなる特に好ましい組み合わせは、好ましい多価アルコールと、一般式(IIa)のジオールと、一般式(IIb)のポリオールと、一般式(I)のアミドアセタールもしくはカルバメートとの組み合わせである。
【0089】
好適な組み合わせは、例えば2−オキサゾリドン/1,2−プロパンジオール及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/1,2−プロパンジオール並びにエチレングリコールジグリシジルエーテル/1,2−プロパンジオールである。
【0090】
殊に好ましい組み合わせは、2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオール及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオールである。
【0091】
更に好ましい組み合わせは、エチレングリコールジグリシジルエーテル又はグリセリンジグリシジルエーテルもしくはグリセリントリグリシジルエーテルと以下の溶剤、助溶剤もしくは助架橋剤:イソプロパノール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコールもしくはそれらの混合物との組み合わせである。
【0092】
更に好ましい組み合わせは、以下の溶剤、助溶剤もしくは助架橋剤:イソプロパノール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートもしくはそれらの混合物中の2−オキサゾリドンもしくは(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンとの組み合わせである。
【0093】
しばしば、後架橋剤水溶液中の助溶剤の濃度は、後架橋剤溶液に対して、15〜50質量%、好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜35質量%である。水と限定的にのみ混和可能な助溶剤の場合に、好ましくは後架橋剤水溶液は、一相だけが存在するように、場合により助溶剤の濃度を低下させることによって調整される。
【0094】
好ましい一実施形態においては、助溶剤は使用されない。後架橋剤は、その際、水中の溶液としてのみ、場合により解凝集助剤を添加しつつ使用される。
【0095】
後架橋剤水溶液中の少なくとも1種の後架橋剤の濃度は、後架橋剤溶液に対して、一般に1〜20質量%、好ましくは1.5〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
【0096】
基礎ポリマーに対する後架橋剤溶液の全量は、通常は、0.3〜15質量%、好ましくは2〜6質量%である。
【0097】
表面後架橋剤と基礎ポリマー粒子の表面上の官能基との反応による本来の表面後架橋は、大抵は、表面後架橋剤溶液で濡らされた基礎ポリマーの加温によって行われる。それは通常は"乾燥"と呼ばれる(しかし、一般に非常に多くのより多くの液体が除去されるべきである重合からのポリマーゲルの上記の乾燥と混同すべきでない)。該乾燥は、ミキサそれ自体において、ジャケットの加熱によって、熱交換面によって、又は熱気の吹き込みによって行なうことができる。同時の、超吸収剤と表面後架橋剤との混合及び乾燥は、例えば流動層乾燥機において行うことができる。しかし、該乾燥は、大抵は、後続に接続された乾燥機、例えばシェルフドライヤー、回転管炉、パドル型乾燥機もしくはディスク型乾燥機又は加熱可能なスクリューにおいて行われる。好適な乾燥機は、例えばBepex International LLC(333 N.E.Taft Street,Minneapolis,MN 55413,米国)からSolidair(登録商標)乾燥機もしくはTorusdics(登録商標)乾燥機として、又はNara Machinery Co.,Ltd.(Zweigniederlassung Europa,Europaallee 46,50226 Frechen,ドイツ)からパドル型乾燥機もしくは羽根型乾燥機又は流動床乾燥機としても入手できる。
【0098】
ポリマー粒子を、乾燥及び表面後架橋の実施のために、後続接続された乾燥機中で接触面を介して加熱することができ、又は供給された熱した不活性ガスを介して、又は1種以上の不活性ガスと水蒸気との混合物を介して、又は水蒸気単独だけをもって加熱することができる。接触面を介して熱の供給に際して、該反応は、軽い負圧でもしくは完全な負圧で不活性ガス下で行うことができる。ポリマー粒子の直接的な加熱のために水蒸気を使用する場合に、本発明によれば、乾燥機を常圧又は過圧で稼働させることが望ましい。この場合に、後架橋工程を、水蒸気での加熱段階と、不活性ガス下であるが水蒸気を用いない反応段階とに分けることが適切なことがある。それは、1つ以上の装置において実現できる。本発明によれば、ポリマー粒子は、既に後架橋ミキサにおいて水蒸気で加熱されてよい。使用される基礎ポリマーは、先のプロセス工程から、なおも10〜120℃の温度を有してよく、後架橋剤溶液は0〜70℃の温度を有してよい。特に、後架橋剤溶液は、粘度の低下のために加温してよい。
【0099】
好ましい乾燥温度は、100〜250℃、有利には120〜220℃、特に有利には130〜210℃、殊に有利には150〜200℃の範囲にある。反応型混合機もしくは乾燥機における前記温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも20分、殊に好ましくは少なくとも30分であり、かつ通常は長くても60分である。典型的には、該乾燥は、超吸収剤が、一般に少なくとも0.1質量%で、好ましくは少なくとも0.2質量%で、特に好ましい形態では少なくとも0.5質量%で、かつ一般に高くても15質量%の、好ましくは高くても10質量%の、特に好ましい形態では高くても8質量%の残留水分含量を有するまで行われる。
【0100】
後架橋は、通常の大気条件下で行うことができる。通常の大気条件は、酸化性のガスの分圧を、例えば大気酸素の分圧を、後架橋反応が主に行われる装置("後架橋反応器"、一般に乾燥機)において下げるために技術的な対策が講じられないことを意味する。しかしながら、後架橋反応は、酸化性のガスの低減された分圧下で行うことが好ましい。酸化性のガスは、23℃で少なくとも1013ミリバールの蒸気圧を有し、かつ燃焼過程で酸化剤として作用する物質、例えば酸素、窒素及び二酸化窒素、特に酸素である。好ましくは、酸化性のガスの分圧は、その際、140ミリバール未満、好ましくは100ミリバール未満、特に好ましくは50ミリバール未満、殊に好ましくは10ミリバール未満である。熱的な後架橋が、周囲圧力で、すなわち1013ミリバール付近の全圧で行われる場合に、酸化性のガスの全分圧は、その容量割合によって定められる。酸化性のガスの割合は、その際、好ましくは14容量%未満、有利には10容量%未満、特に有利には5容量%未満、殊に有利には1容量%未満である。
【0101】
後架橋は、低減された圧力下で、すなわち1013ミリバール未満の全圧で行うことができる。全圧は、一般には、670ミリバール未満、好ましくは480ミリバール未満、特に有利には300ミリバール未満、殊に有利には200ミリバール未満である。乾燥及び後架橋を、20.8容量%の酸素含有率を有する空気下で行う場合に、上述の全圧に相当する酸素分圧は、139ミリバール(670ミリバール)、100ミリバール(480ミリバール)、62ミリバール(300ミリバール)及び42ミリバール(200ミリバール)であり、その際、その都度の全圧は括弧内にある。酸化性のガスの分圧を下げる他の手法は、非酸化性のガス、特に不活性ガスを、後架橋に使用される装置に導入することである。好適な不活性ガスは、後架橋温度及び後架橋乾燥機中の所定の圧力において気体状で存在する物質であって、この条件下で乾燥するポリマー粒子の成分に対して非酸化性に作用する物質、例えば窒素、二酸化炭素、アルゴン、水蒸気であり、その際、窒素が好ましい。不活性ガス量は、1kgの超吸収剤に対して、一般に、0.0001〜10m3、好ましくは0.001〜5m3、特に好ましくは0.005〜1m3、殊に好ましくは0.005〜0.1m3である。
【0102】
本発明による方法において、不活性ガスは、水蒸気を含まない場合には、ノズルを介して後架橋乾燥機に吹き込むことができるが、特に好ましくは不活性ガスは、超吸収剤と表面後架橋剤とを混和することによって、既にミキサ中に又はミキサの直前に、ノズルを介してポリマー粒子流に添加される。
【0103】
もちろん、乾燥機から排出された助溶剤の蒸気は、乾燥機の外側で再び凝縮させ、場合により再循環させることができる。
【0104】
本発明の好ましい一実施形態において、後架橋の前に、その間に又はその後に、後架橋剤に加えて、多価カチオンが粒子表面に加えられる。それは、原則的に、イオン性の非共有結合による更なる表面後架橋であるが、時としては当該金属イオンとの"錯化"とも呼ばれ、又は簡単に当該物質("錯化剤")での"被覆"とも呼ばれる。
【0105】
前記の多価カチオンの付加は、二価以上のカチオンの溶液、大抵は二価の、三価のもしくは四価の金属カチオンの溶液の吹き付けによって行われるが、また多価カチオン、例えば形式上完全にもしくは部分的にビニルアミンモノマーから構成されたポリマー、例えば部分的にもしくは完全に加水分解されたポリビニルアミド(いわゆる"ポリビニルアミン")であって、そのアミン基が常に、非常に高いpH値であっても部分的にプロトン化されてアンモニウム基で存在するポリマーの溶液の吹き付けによっても行われる。使用可能な二価の金属カチオンの例は、特に、元素の周期表の第2族の金属(特にMg、Ca、Sr、Ba)、第7族の金属(特にMn)、第8族の金属(特にFe)、第9族の金属(特にCo)、第10族の金属(特にNi)、第11族の金属(特にCu)及び第12族の金属(特にZn)の二価のカチオンである。使用可能な三価の金属カチオンの例は、特に、元素の周期表の、ランタニドを含む第3族の金属(特にSc、Y、La、Ce)、第8族の金属(特にFe)、第11族の金属(特にAu)及び第13族の金属(特にAl)の三価のカチオンである。使用可能な四価のカチオンの例は、特に、元素の周期表のランタニドの金属(特にCe)並びに第4族の金属(特にTi、Zr、Hf)の四価のカチオンである。金属カチオンは、単独でも互いの混合物でも使用できる。特に、三価の金属カチオンを使用することが好ましい。殊に、アルミニウムカチオンを使用することが好ましい。
【0106】
上述の金属カチオンのうち、使用されるべき溶剤中に十分な溶解性を示すあらゆる金属塩が適している。特に好適なものは、弱錯化性のアニオン、例えば塩化物イオン、硝酸イオン及び硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン又はリン酸二水素イオンなどのアニオンとの金属塩であり、好ましくは、モノカルボン酸の及びジカルボン酸の、ヒドロキシ酸の、ケト酸の並びにアミノ酸の塩又は塩基性の塩である。例は酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩及びコハク酸塩であり、同様に水酸化物の使用も好ましい。特に、2−ヒドロキシカルボン酸塩、例えばクエン酸塩及び乳酸塩の使用が好ましい。特に好ましい金属塩の例は、アルカリ金属アルミン酸塩及びアルカリ土類金属アルミン酸塩並びにそれらの水和物、例えばアルミン酸ナトリウム及びその水和物、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムである。
【0107】
上述のカチオン及び塩は、純粋形で又は異なるカチオンもしくは塩の混合物としても使用できる。二価の及び/又は三価の金属カチオンの使用される塩は、更なる副成分、例えばまだ中和されていないカルボン酸及び/又は中和されたカルボン酸のアルカリ塩を含有してよい。好ましいアルカリ塩は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩である。それらは、典型的には、固体の塩を水に溶かすことによって得られる水溶液として使用されるか又は好ましくは直接的にそのものとして生成され、それにより場合により乾燥工程及び精製工程が回避される。好ましくは、上述の塩の水和物も使用できる。それらは、しばしば無水の塩よりも迅速に水に溶ける。
【0108】
金属塩の使用量は、それぞれ基礎ポリマーの質量に対して、一般に少なくとも0.001質量%で、好ましくは少なくとも0.01質量%で、特に好ましい形態では少なくとも0.1質量%で、例えば少なくとも0.4質量%で、かつ一般に多くても5質量%、好ましくは多くても2.5質量%、特に好まし形態では多くても1質量%、例えば多くても0.7質量%である。
【0109】
三価の金属カチオンの塩は、溶液又は懸濁液として使用することができる。金属塩のための溶剤としては、水、アルコール、DMF、DMSO並びにこれらの成分の混合物を使用することができる。特に好ましくは、水及び水/アルコールの混合物、例えば水/メタノール、水/1,2−プロパンジオール及び水/1,3−プロパンジオールである。
【0110】
基礎ポリマーを、二価以上のカチオンの溶液で行う処理は、乾燥工程を含めて表面後架橋剤での処理と同様にして行われる。表面後架橋剤及び多価カチオンは、一緒の溶液において又は個別の溶液として吹き付けることができる。金属塩溶液の超吸収剤粒子への吹き付けは、表面後架橋の前にもその後にも行うことができる。特に好ましい一方法においては、金属塩溶液の吹き付けは、架橋剤溶液の吹き付けと同じ工程で行われる。その際、両方の溶液は、個別に前後して又は同時に2つのノズルを介して吹き付けることができ、又は架橋剤溶液と金属塩溶液を、まとめて1つのノズルを介して吹き付けることができる。
【0111】
表面後架橋及び/又は錯形成剤での処理に引き続き乾燥工程を行う場合に、生成物を乾燥後に冷却することが好ましいが、絶対に必要というわけではない。その冷却は、連続的に又は断続的に行うことができ、適宜、そのために生成物は連続的に乾燥機の後続に接続された冷却器に送られる。このために、粉末状固体からの熱の排出のために知られるあらゆる装置、特に乾燥装置として上述したあらゆる装置は、該装置には加熱媒体が加えられず、冷却媒体、例えば冷水が加えられ、こうして壁部を介してかつ構造に応じては撹拌機構もしくはその他の熱交換面を介して熱は超吸収剤中に持ち込まれずに、そこから排出される場合に使用される。好ましくは、冷却器であってその中で生成物が移動されるものが使用され、従って冷却されたミキサ、例えば羽根型冷却器、ディスク型冷却器又はパドル型冷却器が使用される。超吸収剤は、流動層中でも冷却されたガス、例えば冷却空気の吹込によって冷却することができる。冷却の条件は、超吸収剤が、再加工に望ましい温度で得られるように調整される。典型的には、冷却器中での平均滞留時間は、一般に少なくとも1分間、好ましくは少なくとも3分間、特に好ましい形態では少なくとも5分間であり、かつ一般に長くても6時間、好ましくは長くても2時間、特に好ましくは長くても1時間で調整され、かつ冷却出力は、得られた生成物が、一般に少なくとも0℃、好ましくは少なくとも10℃、特に好ましい形態では少なくとも20℃であり、かつ一般に高くても100℃、好ましくは高くても80℃、特に好ましい形態では高くても60℃の温度を有するように決める。
【0112】
表面後架橋された超吸収剤は、選択的に通常では粉砕及び/又は篩別される。粉砕は、ここでは典型的には必要とされないが、大抵は生成物の所望の粒度分布の調整のために形成されたアグロメレートもしくは微細粒のふるい分けが付け加えられる。アグロメレート及び微細粒は、排されるか、あるいは好ましくは公知のように好適な箇所で該方法に返送される;微細化後のアグロメレート。表面後架橋された超吸収剤に望ましい粒度は、基礎ポリマーの場合と同じである。
【0113】
選択的には、本発明による超吸収剤は、変色に対して安定化する更なる添加剤と混合される。
【0114】
公知のかかる変色に対する安定剤は、例えばスルフィン酸の誘導体である。スルフィン酸の特に適した誘導体は、例えば以下の式(V):
【化6】

[式中、
Mは、水素原子、アンモニウムイオン、元素の周期表の第1族、第2族、第8族、第9族、第10族、第12族もしくは第14族の一価の金属イオン又は二価の金属イオンの当量を表し;
27は、OH又はNR3031を表し、その際、R30及びR31は、互いに独立してH又はC1〜C6−アルキルを表し;
28は、H又はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基もしくはアリール基を表し、その際、前記基は、選択的に1、2又は3個の置換基を有し、前記置換基は、互いに独立してC1〜C6−アルキル、OH、O−C1〜C6−アルキル、ハロゲン及びCF3から選択され;かつ
29は、COOM、SO3M、COR30、CONR3031又はCOOR30を表し、その際、M、R30及びR31は、上述の意味を有するか、又はR28がアリールを表し、それが選択的に上述のように置換されている場合にはHも表す]の化合物、その塩又はかかる化合物及び/又はその塩の混合物である。
【0115】
上記式(V)において、アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を表し、前記基は、好ましくは1〜6個の、特に1〜4個の炭素原子を有する。アルキル基のための例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシルなどである。相応のことは、O−アルキル中のアルキル基についても言える。アルケニルは、直鎖状又は分枝鎖状のアルケニル基を表し、前記基は、好ましくは3〜8個の炭素原子を、特に3〜6個の炭素原子を有する。好ましいアルケニル基は、アリル基である。シクロアルキルは、特にC1〜C6−シクロアルキルを表し、その際、シクロペンチル及びシクロヘキシルが特に好ましい。アリール(アラルキル中のも)は、好ましくはフェニル又はナフチルを表す。アリール基がフェニル基を表し、かつ置換されている場合には、該基は、好ましくは2個の置換基を有する。これらの置換基は、特に2位及び/又は4位において存在する。
【0116】
ハロゲンは、F、Cl、Br及びIを表し、好ましくはCl及びBrを表す。
【0117】
Mは、好ましくはアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンもしくは亜鉛イオンの当量を表す。好適なアルカリ金属イオンは、特にナトリウムイオン及びカリウムイオンであり、好適なアルカリ土類金属イオンは、とりわけマグネシウムイオン、ストロンチウムイオン及びカルシウムイオンである。
【0118】
27は、好ましくはヒドロキシ基又はアミノ基を表す。R28は、好ましくは水素原子又はアルキル基もしくはアリール基を表し、前記基は、上述のように置換されていてよい。好ましくは、前記基は、1又は2つのヒドロキシ置換基及び/又はアルコキシ置換基を有する。
【0119】
29は、好ましくは、COOM又はCOOR30(M及びR30は、上述の意味を有する)を表すか、又はR27がアリールを表し、それが上記のように置換されていてよい場合には、水素原子をも表す。
【0120】
好ましい一実施形態においては、超吸収剤は、上記式で示され、その式中、Mがアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンもしくは亜鉛イオンの当量を表し、R27がヒドロキシ基又はアミノ基を表し、R28がH又はアルキルを表し、かつR29がCOOM又はCOOR30を表し、その際、R29がCOOMを表す場合に、前記のCOOM基中のMは、H、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンの当量を表し、かつR29がCOOR30を表す場合に、R30は、C1〜C6−アルキルを表す化合物を含有する。
【0121】
更なる好ましい一実施形態においては、超吸収剤は、上記式で示され、その式中、Mがアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンもしくは亜鉛イオンの当量を表し、R27がヒドロキシ基又はアミノ基を表し、R28がアリールを表し、それが選択的に上述のように置換されており、特にヒドロキシフェニル又はC1〜C4−アルコキシフェニルを表し、かつR29が水素原子を表す化合物を含有する。
【0122】
化学の分野での命名法を管轄する国際機関のIUPAC(国際純粋応用化学連合、104 T.W.Alexander Drive,Building 19,Research Triangle Park,NC 27709,米国,www.iupac.org)の現行の番号付けにおける元素の周期表の第1族(H、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、第2族(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、第8族(Fe、Ru、Os)、第9族(Co、Rh、Ir)、第10族(Ni、Pd、Pt)、第12族(Zn、Cd、Hg)及び第14族(C、Si、Ge、Sn、Pb)は、CAS(ケミカルアブストラクツサービス,2540 Olentangy River Road,Columbus,OH 43202,米国,www.cas.org)によって使用される番号付けにおける第Ia族、第IIa族、第IIb族、第IVa族及び第VIIIb族に相当する。
【0123】
上記式のスルフィン酸誘導体は、純粋形で使用できるが、選択的には、かかる化合物の製造から通常の様式で得られる相応の金属イオンのスルフィット及び相応のスルホン酸との混合物でも使用できる。上記式のかかるスルフィン酸誘導体の製造は、公知であり、かつ例えばWO99/18067号A1に記載されている。それらは、また、通常の商品であり、かつ例えば2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩と、重亜硫酸ナトリウムとからなる混合物の形でBrueggemann KG(Salzstrasse 131,74076 Heilbronn,ドイツ,www.brueggemann.com)からBRUEGGOLIT(登録商標)FF6M又はBRUEGGOLIT(登録商標)FF7、選択的にBRUGGOLITE(登録商標)FF6M又はBRUGGOLITE(登録商標)FF7の名称で入手できる。
【0124】
選択的に、本発明による超吸収剤は、少なくとも1種の無機の水不溶性の粒状の固体とも混合される。そのために、基本的にあらゆる無機の水不溶性の粉末が適している。例は、一般に、固体で化学的に不活性な(すなわち超吸収剤中で妨害しない)物質、例えば酸化物、酸化水酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、ゼオライト、無機顔料、無機物又は粘土である。例は、硫酸塩、例えば硫酸マグネシウム又は硫酸バリウム、炭酸塩、例えば炭酸カリウム、炭酸マグネシウム又はドロマイト、ケイ酸塩、例えばケイ酸カルシウムもしくはケイ酸マグネシウム、炭化物、例えばパーライトもしくは炭化ケイ素、珪藻土又はフライアッシュである。
【0125】
好適な酸化物は、ランタニド及びアクチノイドを含む元素の周期表の第2族〜第14族の金属酸化物である。特に好適な酸化物の例は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、二酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化スズ、酸化鉛、ランタン酸化物又は酸化セリウムである。明らかにするために、金属酸化物についての慣用名の使用は、金属の価数及び酸化物の化学量論に関する表現ではないべきである。1つの元素が複数の酸化物を形成する場合に、一般に全てが適している。個々の場合において、酸化物は、個々の場合に特異的な検討により、例えば価格、毒性、安定性又は色により選択される。特に適した酸化物の例は、二酸化チタンであり、特にアナターゼ変態もしくはルチル変態の二酸化チタン、沈降二酸化ケイ素又は熱分解により製造された二酸化ケイ素である。
【0126】
粘土は、ケイ酸塩又はアルミノケイ酸塩であり、前記ケイ酸塩は、通常は、天然堆積物の坑内採掘によって、かつ時としてその更なる加工によって得られる。しかしながら、かなりの粘土は、合成により製造される。
【0127】
これらの物質の混合物も使用することができる。
【0128】
無機の水不溶性の固体は粒子状であり、それは粉末形で存在する。平均粒度は、一般に少なくとも0.001μm、好ましくは少なくとも0.002μm、特に好ましい形態では少なくとも0.005μm、最も好ましくは少なくとも0.01μmで、かつ一般に大きくても500μm、好ましくは大きくても200μm、特に好ましい形態では大きくても100μm、殊に好ましい形態では大きくても50μmの範囲である。前記粒子は、それ自体、より小さい一次粒子のアグリゲート又はアグロメレートであってよい。粒度は、篩分析によって測定できるが、レーザ回折技術による粒度測定がより簡単であり、従ってそれが好ましい。これらの方法は、よく知られており、そのために適した市販の機器で慣例通りに行われる。
【0129】
先に挙げた任意の更なる変色に対する安定剤及び無機の水不溶性の粒状の固体は、それらが添加される場合には、それぞれ本発明による超吸収剤の全質量に対して、それぞれ一般に少なくとも0.0001質量%、好ましくは少なくとも0.001質量%、特に好ましい形態では少なくとも0.025質量%で、かつ一般に大きくても3質量%、好ましい形態では大きくても2質量%、特に好ましい形態では大きくても0.5質量%の量で添加される。一般に、アルカリ土類金属塩を含有する本発明による超吸収剤では、アルカリ土類金属塩を含まない超吸収剤よりも、少量の公知の変色に対する安定剤が必要とされる。
【0130】
超吸収剤と、本発明により使用されるべき変色に対する安定剤、任意の更なる安定剤及び無機の水不溶性の粒状の固体との混合物は、あらゆる公知の混合方法によって行うことができる。本発明により使用されるべき変色に対する安定剤(固体形の場合)及び無機の水不溶性の粒状の固体は、そのままで又は溶剤もしくは懸濁剤中の懸濁液として混加され、本発明により使用されるべき変色に対する安定剤(溶解された形又は液状形の場合)及び任意の更なる安定剤は、選択的に溶液で又は液状形でも混加することができる。好ましくは、安定剤は、均質な分布がより容易であることに基づき、超吸収剤に粉末として又は懸濁液として混加される。その際、機械的措置によって簡単に分離可能な物理的混合物が必ずしも生成されるとは限らない。添加剤は、超吸収剤と十分により強固に結合でき、例えば比較的固く付着する表面層として又は超吸収剤粒子の表面上に固く付着する粒子として結合できる。公知の超吸収剤への添加剤の混加は、十分に"被覆"として表しかつ呼称することもできる。
【0131】
該被覆のために溶液又は懸濁液が使用される場合に、溶剤又は懸濁剤として、超吸収剤とも添加剤とも化学的に適合性であり、従ってそれらと不所望な化学反応を起こさない溶剤又は懸濁剤が使用される。典型的には、水又は有機溶剤、例えばアルコールもしくはポリオール又はそれらの混合物が使用される。好適な溶剤又は懸濁剤の例は、水、イソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水及びプロピレングリコール/水であり、その際、混合物質量比は、好ましくは20:80〜40:60である。本発明により使用されるべき安定剤又は無機の粒状の固体のために懸濁剤が使用される場合に、水が好ましい。該溶液又は懸濁液には、界面活性剤を添加することができる。
【0132】
安定剤及びその他の添加剤は、それらがモノマー混合物に又は重合しているゲルに添加される場合に、一般に、表面後架橋のために超吸収剤上に施与される表面後架橋剤含有の溶液又は懸濁液と全く同様にして、例えば更に以下に記載されるように超吸収剤と混和される。添加剤は、表面後架橋のために施与される溶液の構成成分として又はその構成要素の一つの構成成分として(まだ)後架橋されていない超吸収剤("基礎ポリマー"又は"ベースポリマー")に対して施与でき、従って表面後架橋剤の溶液に又はその構成要素の一つに添加できる。表面後架橋剤及び添加剤で被覆された超吸収剤は、次いで、表面後架橋のために必要な更なる方法工程を、例えば表面後架橋剤と超吸収剤との熱により誘発される反応を経過する。この方法は、比較的簡単であり、かつ経済的である。
【0133】
変色に対する最高の安定性が不可欠な場合に、安定剤及び添加剤は、好ましくは表面後架橋の後に一つの固有の方法工程で施与される。安定剤及び添加剤を溶液又は懸濁液として施与する場合に、その施与は、その場合に、既に表面後架橋された超吸収剤に対して、表面後架橋剤を基礎ポリマーに施与するのと同様にして行われる。しかしながら、大抵は、超吸収剤を再び乾燥させるために、表面後架橋の場合と同様にして必ずしも引き続き加温させるわけではない。この乾燥に際して調整される温度は、しかしながらその際、添加剤の不所望な反応を避けるために、一般に高くても110℃、好ましくは高くても100℃、特に好ましくは高くても90℃である。その温度は、乾燥装置中の滞留時間を考慮して超吸収剤の所望の含水量が達成されるように調整される。また、添加剤が単独で又は他の慣用の助剤、例えばダストバインダー、固着に対する剤又は超吸収剤の再湿のための水(例えばこれらの助剤については以下に記載される)を、例えば表面後架橋の後続に接続された冷却器において添加することは、十分に可能でありかつ適切でもある。ポリマー粒子の温度は、この場合に、0℃〜190℃、好ましくは160℃未満、より好ましくは130℃未満、さらにより好ましくは100℃未満、最も好ましくは70℃未満である。ポリマー粒子は、場合により被覆の後に、添加剤の起こりうる分解の温度を下回る温度へと素早く冷却される。
【0134】
選択的に、超吸収剤粒子の表面上には、後架橋されていなかろうが後架橋されていようが、製造方法において各プロセス工程で必要に応じて、全ての公知の被覆、例えば被膜形成性ポリマー、熱可塑性ポリマー、デンドリマー、ポリカチオン性ポリマー(例えばポリビニルアミン、ポリエチレンイミン又はポリアリルアミンなどのポリマー)又は当業者に公知のあらゆる水溶性の一価又は多価の金属塩、例えば硫酸アルミニウム、ナトリウム塩、カリウム塩、ジルコニウム塩又は鉄塩などの塩を付加的に施与することができる。有用なアルカリ金属塩のための例は、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム、ナトリウム及びカリウムの酢酸塩、クエン酸塩、ソルビン酸塩である。それによって、付加的な効果、例えば最終生成物又は方法工程のその都度のプロセス工程における中間生成物の固着傾向の低下、加工特性の向上又は液体通過性(SFC)の更なる向上を達成できる。添加剤が分散液の形で使用され吹き付けられる場合に、該分散液は、好ましくは水性分散液として使用され、かつ好ましくはなおも更に付加的に添加剤の固定化のためにアンチダスティング剤(Entstaubungsmittel)が超吸収剤の表面上に施与される。アンチダスティング剤は、その際、無機の粉末状添加剤の分散液に直接的に添加されるか、場合により無機の粉末状の添加剤の塗布の前に、その間に又はその後に、別個の溶液として吹き付けにより添加することもできる。後架橋剤、アンチダスティング剤及び粉末状の無機添加剤を後架橋において同時に吹き付けることが最も好ましい。更なる好ましい変法においては、しかしながら、アンチダスティング剤は、個別に冷却器に、例えば吹き付けによって上方から、下方から又は側方から添加される。吸水性のポリマー粒子の表面上に粉末状の無機添加剤を固定化するために用いることもできる特に好適なアンチダスティング剤は、分子量400〜20000g/モルを有するポリエチレングリコール、ポリグリセリン、3エトキシル化ないし100エトキシル化されたポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール及びネオペンチルグリコールである。特に適しているのは、7エトキシル化ないし20エトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、例えばPolyol TP 70(登録商標)(Perstorp,SE)である。それらは、前記剤が吸水性のポリマー粒子の水性抽出物の表面張力をほんの少しだけ下げるに過ぎないという利点を有する。
【0135】
同様に、本発明による超吸収剤を、水の添加によって所望の含水量に調整することが可能である。
【0136】
あらゆる被覆、固体、添加剤及び助剤はそれぞれ個別の方法工程で添加することができるが、大抵はそれらを基礎ポリマーと表面後架橋剤との混合の間に添加しない場合には、それらを超吸収剤へと冷却器中で、例えば溶液の吹き付け又は微細な固体形もしくは液状形での添加によって添加することが、最も適切な方法である。
【0137】
本発明による超吸収剤は、一般に、少なくとも5g/gの、好ましくは少なくとも10g/gの、特に好ましい形態では少なくとも20g/gの遠心保持能力(Zentrifugenretentionskapazitaet)(CRC、測定方法は下記参照)を有する。通常は、遠心保持能力は、40g/gを上回らない。
【0138】
本発明による超吸収剤は、それが表面後架橋されていない場合に、典型的には、少なくとも18g/gの、好ましくは少なくとも20g/gの、有利には少なくとも22g/gの圧力下吸収(Absorption unter Druck)(AUL0.7psi、測定方法は下記参照)を有し、通常は30g/gを上回らない。
【0139】
本発明による超吸収剤は、更に、典型的には、少なくとも10×10-7cm3s/gの、好ましくは少なくとも30×10-7cm3s/gの、有利には少なくとも40×10-7cm3s/gの液体通過性(Fluessigkeitsweiterleitung)(SFC、測定方法は下記参照)を有し、通常は1000×10-7cm3s/gを上回らない。
【0140】
超吸収剤のL値(CIE色数)は、貯蔵されていない状態で、典型的には少なくとも75、好ましくは少なくとも80、特に好ましくは少なくとも85であり、かつ高くても100である。
【0141】
超吸収剤のa値(CIE色数)は、貯蔵されていない状態で、典型的には−2.5〜+2.5であり、好ましくは−2.0〜+2.0であり、特に好ましくは−1.5〜+1.5である。
【0142】
超吸収剤のb値(CIE色数)は、貯蔵されていない状態で、典型的には0〜12であり、好ましくは2〜11である。
【0143】
以下に記載される比較的負荷をかけるエージング試験によれば、本発明による超吸収剤は、測定後に、L値及びa値について、未貯蔵の状態に対して僅かに悪い結果を示すに過ぎない。特に、b値は好ましくは13を上回らず、特に好ましくは12を上回らない。12を上回るb値は、生理用衛生用品及び超薄型のおむつにおいて決定的であり、15を上回るb値は、既に通常のおむつにおいても決定的である。それというのも、この変色は、濡れたときに消費者によって知覚できるからである。
【0144】
本発明の更なる対象は、本発明による超吸収剤を含む衛生用品、好ましくは50〜100質量%、好ましくは60〜100質量%、有利には70〜100質量%、特に有利には80〜100質量%、殊に有利には90〜100質量%の本発明による超吸収剤からなる吸収層含む超薄型のおむつであり、前記吸収層の被覆は当然のように考慮されていない。
【0145】
殊に好ましくは、本発明による超吸収剤は、例えばUS2003/0181115号並びにUS2004/0019342号に記載されているようなラミネート及び複合構造物の製造のためにも適している。両方の文献においてかかる新規の吸収性の構造物の製造のために記載された溶融接着剤及び特にUS2003/0181115号に記載される溶融接着剤からなる繊維であってそこに超吸収剤粒子が結合されているものに加えて、本発明による超吸収剤は、例えばAC樹脂(登録商標)(BASF SE、ドイツ)として販売される紫外線架橋可能な溶融接着剤を使用した完全に類似した構造物の製造のためにも適している。これらの紫外線架橋可能な溶融接着剤は、既に120〜140℃で加工可能であるという利点を有するため、該接着剤は、多くの熱可塑性の基材との適合性についてより良好である。更なる本質的な利点は、紫外線架橋可能な溶融接着剤が毒性学的に非常に懸念がなく、また衛生用品において臭気を引き起こさないという利点にある。本発明による超吸収剤に関連したまさに本質的な利点は、紫外線架橋可能な溶融接着剤が加工及び架橋の間に黄変傾向にないということである。それは、特に、超薄型の又は部分的に透過性の衛生用品が製造されるべき場合に好ましい。従って、本発明による超吸収剤と紫外線架橋可能な溶融接着剤との組み合わせは、特に好ましい。好適な紫外線架橋可能な溶融接着剤は、例えば、EP0377199号A2、EP0445641号A1、US5,026,806号、EP0655465号A1及びEP0377191号A2に記載されている。
【0146】
本発明による超吸収剤は、更に、液体、特に水又は水溶液が吸収される他の技術分野において使用することができる。これらの分野は、例えば貯蔵、包装、輸送(水もしくは湿分に感受性の物品用の包装材の構成成分として、例えば花の輸送のために、また機械的作用に対する保護としても);動物用衛生品(猫用トイレ砂);食品包装(魚、新鮮肉の輸送;水、鮮魚もしくは新鮮肉の包装中の血液の吸収);医学(絆創膏、火傷用包帯もしくは滲出性の創傷のための吸水性材料)、化粧品(医薬化学薬品及び薬剤のためのキャリヤー材料、リウマチ膏薬、超音波ゲル、冷却ゲル、化粧品増粘剤、サンスクリーン);水中油型エマルジョンもしくは油中水型エマルジョンのための増粘剤;テキスタイル(テキスタイル中の湿分調整、靴用パッド、蒸発冷却のため、例えば防護服、手袋、ヘアバンドにおける);化学工学的使用(有機反応用の触媒として、大きな機能的分子、例えば酵素などの固定化のため、アグロメレーションにおける粘着剤として、蓄熱材、濾過助剤、ポリマーラミネート中の親水性成分、分散剤、液化剤);粉末射出成形における助剤として、土木建築及び建築活動において(設置、粘土ベースのプラスターにおいて、制振媒体として、水の豊かな下地におけるトンネル掘削に際して、ケーブル被覆);水処理、ゴミ処理、水分離(防氷剤、再使用可能な砂嚢);浄化;農業(灌漑、雪解け水及び結露の保留、堆肥製造添加剤、キノコ/昆虫被害に対する森林保護、植物の作用物質の放出低下);消防のため又は防火のため;熱可塑性ポリマー中の同時押出剤(例えば多層シートの親水化のため);水を吸収できるシート及び熱可塑性成形体の製造(例えば農業用の雨水及び結露水を貯蔵するシート;果実及び野菜の鮮度保持のための超吸収剤を含むシート、それらは湿ったシートで包装される;超吸収剤−ポリスチレンの同時押出物、例えば肉、魚、鶏肉、果物及び野菜などの食品包装用のもの);又は作用物質製剤化におけるキャリヤー物質として(医薬、植物保護)である。
【0147】
液体の吸収のための本発明による物品は、公知のものとは、該物品が本発明による超吸収剤を含有するという点で異なっている。
【0148】
更に、液体の吸収のための物品、特に衛生用品の製造方法であって、当該物品の製造に際して少なくとも1種の本発明による超吸収剤を使用することを特徴とする前記方法が見出された。その他の点では、超吸収剤を使用したかかる物品の製造方法は知られている。
【0149】
試験方法
超吸収剤を、以下に記載される試験方法で試験する。
【0150】
以下に記載される、"WSP"と呼称される標準的試験方法は、"Worldwide Strategic Partners" EDANA(European Disposables and Nonwovens Association,Avenue Eugene Plasky,157,1030 Bruessels,ベルギー,www.edana.org)とINDA(Association of the Nonwoven Fabrics Industry,1100 Crescent Green,Suite 115,Cary,North Carolina 27518,米国,www.inda.org)との共同編集による2005年度版の"Standard Test Methods for the Nonwovens Industry"に記載されている。前記の出版物は、EDANAからもINDAからも入手できる。
【0151】
全ての以下に記載される測定は、別に記載がない限り、23±2℃の環境温度および50±10%の相対空気湿度で実施されるべきである。超吸収剤は、別に記載がない限り、測定前によく混ぜられる。
【0152】
遠心保持能力(CRC、Centrifuge Retention Capacity)
超吸収剤の遠心保持能力は、標準的試験方法の番号WSP241.5−05の"Centrifuge retention capacity"に従って測定される。
【0153】
圧力下吸収(AUL0.3psi、"0.3psiの負荷下での吸収性(Absorbency Under Load of 0.3psi)")
2068Pa(0.3psi)の圧力下での超吸収剤の吸収は、標準的方法の番号WSP242.2−05の"Absorption under pressure"に従って測定される。
【0154】
圧力下吸収(AUL0.7psi、"0.7psiの負荷下での吸収性(Absorbency Under Load of 0.7psi)")
4826Pa(0.7psi)の圧力下での超吸収剤の吸収は、標準的方法の番号WSP242.2−05の"Absorption under pressure"と同様に測定されるが、その際、49g/cm2を有する重り(0.7psiの圧力をもたらす)を、21g/cm2を有する重り(0.3psiの圧力をもたらす)の代わりに使用する。
【0155】
液体通過性(SFC、"食塩水の流れの誘導(Saline Flow Conductivity)")
0.3psi(2068Pa)の圧力負荷下での液体吸収によって超吸収剤から形成された膨潤されたゲル層の液体通過性は、EP0640330号A1中の記載と同様に、超吸収剤粒子からなる膨潤したゲル層のゲル層透過性として測定され、この場合上記の特許出願明細書第19頁および図8に記載の装置は、ガラスフリット(40)がもはや使用されず、プランジャー(39)が円筒体(37)と同様のプラスチック材料からなり、今や全載置面にわたって均一に分布するように21個の同じ大きさの孔を含むように十分に変更されている。測定の手順並びに評価は、EP0640330号A1に対して変わらずとどまる。流量は自動的に検知される。
【0156】
液体通過性(SFC)は、次のように計算される:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
上記式中、Fg(t=0)は、g/秒でのNaCl溶液の流量であり、これは、流量測定のデータFg(t)の線形の回帰分析に基づいてt=0に対する外挿法によって得られ、L0は、cmでのゲル層の厚さであり、dは、g/cm3でのNaCl溶液の比重であり、Aは、cm2でのゲル層の面積であり、かつWPは、dyn/cm2でのゲル層上の静水圧力である。
【0157】
透過性(FSGBP、"自由膨潤ゲルベッド透過性(Free Swell Gel Bed Permeability)")
該透過性は、US2005/0256757号A1の段落[0061]〜[0075]と同様に測定される。
【0158】
ヒドロゲルの湿分含量(残留湿分、含水量)
吸水性ポリマー粒子の含水量は、標準的な試験方法の番号WSP230.2−05の"Moisture content"に従って測定される。
【0159】
平均粒度
生成物フラクションの平均粒度は、標準的方法の番号WSP220.2−05の"Particle size distribution"に従って測定される。
【0160】
CIE色数(L,a,b)
色測定は、CIELAB法(Hunterlab,第8巻、1996年度、第7号、第1〜4頁)に相応して色度計のモデル"LabScan XE S/N LX17309"(HunterLab,Reston,米国)を用いて実施する。その際、色は、三次元系の座標L、a及びbによって記載される。その際、Lは、明るさを示し、L=0は黒色を意味し、かつL=100は白色を意味する。aとbの値は、赤と緑の色軸もしくは黄色と青の色軸上の色の位置を示し、その際、+aは赤色を表し、−aは緑色を表し、+bは黄色を表し、かつ−bは青色を表す。式HC60=L−3bにより、HC60値が計算される。
【0161】
該色測定は、DIN5033−6による3領域法に相当する。
【0162】
エージング試験
測定1(最初の色):9cmの内径を有するプラスチック皿に超吸収剤粒子を満たし、これを次いでナイフを用いて縁上で平らにならし、CIE色数並びにHC60値を測定する。
【0163】
測定2(エージング後):9cmの内径を有するプラスチック皿に超吸収剤粒子を満たし、これを次いでナイフを用いて縁上で平らにならす。次いで、その皿を、開いたままで60℃に調温された耐候キャビネット中に86%の一定の相対空気湿度で置く。その皿を、21日が経過した後に取り出す。室温に冷却した後に、CIE色数を測定する。
【0164】
実施例
一般的規定I:乾式混合物
混合すべき成分を、ポリエチレン製の試験ビン(500mlの容量)中に入れ、そしてタンブルミキサ(タイプT2C;Willy A.Bachofen AG Maschinenfabrik,Basel;スイス)を用いて15分にわたり完全混和する。
【0165】
一般的規定II:湿式混合物
超吸収剤を、Pflugschar(登録商標)ミキサ(製造元:Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH,Eisener−Strasse 7−9、33102 Paderborn,ドイツ;タイプM5)において室温でかつ1分間当たり250回転のシャフト回転数で二物質噴霧ノズルによって、その都度の溶液のそれぞれ示される量で被覆する。吹き付け後に、さらに15分にわたり、1分間当たり80回転のシャフト回転数で引き続き混合し、生成物を真空乾燥キャビネットにおいて80℃及び250ミリバールの圧力で60分間にわたり乾燥させ、そして850μmのスクリーンによって塊を除去する。
【0166】
例1〜15のための基礎原料としては、市場で得られる超吸収剤であるHysorb(登録商標)B 7055(BASF SE,Ludwigshafen,ドイツ)を使用した。
【0167】
例1
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.050gの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノールと一般的規定Iにより混合した。
【0168】
例2
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.060gのカルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]と一般的規定Iにより混合した。
【0169】
例3
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.075gの3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸と一般的規定Iにより混合した。
【0170】
例4
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.100gの4,4−チオ−ビス(6−t−ブチル−メタ−クレゾール)と一般的規定Iにより混合した。
【0171】
例5
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.040gのペンタエリトリット−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)と一般的規定Iにより混合した。
【0172】
例6
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.130gのオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)と一般的規定Iにより混合した。
【0173】
例7
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.050gの4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−オルト−クレゾールと一般的規定Iにより混合した。
【0174】
例8
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.070gの3,3′,3′,5,5′,5′−ヘキサ−t−ブチル−a,a′,a′−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−パラ−クレゾールと一般的規定Iにより混合した。
【0175】
例9
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.050gのN,N−ヘキサン−1,3−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))と一般的規定Iにより混合した。
【0176】
例10
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.050gのトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィットと一般的規定Iにより混合した。
【0177】
例11
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.060gの3,9−ビス(オクタ−デシルオキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンと一般的規定Iにより混合した。
【0178】
例12
100gのHySorb(登録商標)B 7055を、0.040gのビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)ペンタエリトリット−ジホスフィットと一般的規定Iにより混合した。
【0179】
例13
HySorb(登録商標)B 7055を、一般的規定IIにより、カルシウム−ビス[モノエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]をメタノール中に溶かした4.0質量%の溶液を、超吸収剤の量に対して1.5質量%で用いて被覆した。
【0180】
例14
HySorb(登録商標)B 7055を、一般的規定IIにより、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィットをイソプロパノール中に溶かした2.5質量%の溶液を、超吸収剤の量に対して2.0質量%で用いて被覆した。
【0181】
例15
HySorb(登録商標)B 7055を、一般的規定IIにより、エチレンビス(オキシエチレン)ビス−3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)の40質量%の水性分散液を、超吸収剤の量に対して0.5質量%で用いて被覆した。一般的規定IIとは異なり、生成物の乾燥をせず、混合後に直接篩別した。
【0182】
こうして製造された被覆された超吸収剤を、エージング試験に供した。これらの結果を第1表にまとめる。前記の例は、本発明による超吸収剤がエージングの後に明らかにより淡色で、変色がよりわずかであることを示している。
【0183】
【表1】

【0184】
例V16(比較)
2Lのステンレス鋼ビーカにおいて、326.7gの50質量%の苛性ソーダ液及び675gの凍らせた脱イオン水を装入した。撹拌しながら、392.0gのアクリル酸を添加し、その際、添加の速度は、温度が35℃を超過しないように調整した。該混合物を次いで撹拌しながら冷浴を用いて冷却した。混合物の温度が20℃まで下がったら、3エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレート(Laromer(登録商標)PO9044V、BASF SE;Ludwigshafen,ドイツ)1.08gと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR(登録商標)1173,Ciba Specialty Chemicals Inc.,Basel,スイス)0.041gと、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE(登録商標)651,Ciba Specialty Chemicals Inc.,Basel,スイス)0.014gとを添加した。更に冷却し、15℃に達したら該混合物から、窒素を導通することによりガラスフリットを用いて酸素を除去した。0℃に達したら、過硫酸ナトリウム(5mlの水中に溶解)0.51gと、過酸化水素(6mlの水中に溶解)0.06gとを添加し、そしてモノマー溶液を、ガラス皿に移した。そのガラス皿は、モノマー溶液の5cmの層厚が生ずるようなサイズであった。引き続き、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩と、重亜硫酸ナトリウム(Brueggolit(登録商標)FF6,L.Brueggemann KG,Salzstrasse 131,74076 Heilbronn,ドイツ)とからなり、5mlの水中に溶かされた混合物0.047gを添加し、そしてモノマー混合物をガラス棒を用いて軽くかき回した。モノマー溶液を有するガラス皿を、UVランプ下に置き(UV強度=25mW/cm2)、その際に、重合が開始した。16分後に、得られたゲルを、6mmの有孔板を備えた商慣習の肉挽き機によって細かくし、そして研究室用の乾燥キャビネットにおいて160℃で1時間にわたり乾燥させた。該生成物を、次いで粉砕し、そして150〜850μmの篩分級物を得た。
【0185】
この基礎ポリマーを、表面後架橋のために、加熱ジャケットを備えたPflugschar(登録商標)ミキサ(製造元:Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH,Eisener−Strasse 7−9、33102 Paderborn,ドイツ;タイプM5)中で室温でかつ1分間当たり450回転のシャフト回転数で二物質噴霧ノズルを用いて、エチレングリコールジグリシジルエーテル(Denacol(登録商標)EX−810、Nagase ChemteX Corporation,大阪,日本)0.10質量%と、1,2−プロパンジオール1.50質量%と、水2.8質量%と、硫酸アルミニウム水溶液(26.8質量%濃度)0.4質量%とからなる混合物(それぞれ基礎ポリマーに対して)で被覆した。
【0186】
吹き付けの後に、生成物温度を150℃に高め、そして該反応混合物を60分間にわたりこの温度でかつ1分間当たり80回転のシャフト回転数で保持した。得られた生成物を、再び室温に冷却させて篩にかけた。表面後架橋された超吸収剤は、150μm〜850μmの粒度を有する篩分級物として得られた。
【0187】
例16〜20
例V16の超吸収剤それぞれ150gを、一般的規定Iにより疎水性沈降ケイ酸(Sipernat(登録商標)D−17,Evonik Degussa GmbH,Frankfurt am Main,ドイツ)0.15g並びに以下の第2表に示される量のカルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]と混合した。
【0188】
こうして製造された被覆された超吸収剤を、エージング試験に供した。これらの結果を第2表にまとめる。前記の例は、既に少量の安定剤も、本発明による超吸収剤を、エージングに際して変色から安定化させることを示している。
【0189】
第2表
【表2】

*)量はそれぞれ超吸収剤に対するもの;
**)最初の色はL=88.7;a=−0.4;b=9.0;HC60=61.7
【0190】
例21〜25
例V16の超吸収剤それぞれ150gを、一般的規定Iにより疎水性沈降ケイ酸(Sipernat(登録商標)D−17,Evonik Degussa GmbH,Frankfurt am Main,ドイツ)0.15g並びに以下の第3表に示される量のトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィットと混合した。
【0191】
こうして製造された被覆された超吸収剤を、エージング試験に供した。これらの結果を第3表にまとめる。前記の例は、既に少量の安定剤も、本発明による超吸収剤を、エージングに際して変色から安定化させることを示している。
【0192】
第3表
【表3】

*)量はそれぞれ超吸収剤に対するもの;
**)最初の色はL=88.7;a=−0.4;b=9.0;HC60=61.7
【0193】
例26
例V16を繰り返すが、モノマー溶液を、更に15℃に冷却する前に、なおも追加的に0.59gのカルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]を添加した。
【0194】
例27
例V16を繰り返すが、細かくする際のゲルに、0.59gのカルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]を添加した。
【0195】
こうして製造された超吸収剤を、エージング試験に供した。これらの結果を第4表にまとめる。前記の例は、既に少量の安定剤も、本発明による超吸収剤を、エージングに際して変色から安定化させることを示している。
【0196】
第4表
【表4】

*)量はそれぞれアクリル酸に対するもの;
**)最初の色はL=88.7;a=−0.4;b=9.0;HC60=61.7
【0197】
例V28(比較)
アクリル酸ナトリウム水溶液(脱イオン水中37.5質量%の溶液)14.3kgと、アクリル酸1.4kgと、脱イオン水350gを、3エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレート(Laromer(登録商標)PO 9044V,BASF SE;Ludwigshafen,ドイツ)18.5gと混合した。この溶液を、窒素雰囲気で満たされた加温された滴下塔(Vertropfungsturm)(180℃、高さ12m、直径2m、ガス速度0.1m/s(並流)、直径40mm、内部高さ2mmを有し、各200μmの直径の60個の孔を有する滴下プレート(Vertropferplatte)を備えた滴下装置(Vertropfer))において32kg/hの速度で滴下し、その際その温度は25℃であった。滴下装置の直前に、モノマー溶液を、スタティックミキサを介して2つの開始剤溶液と混合した。開始剤1としては、2,2′−アゾビス−[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩を脱イオン水中に溶かした3質量%の溶液を使用し、開始剤2としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを脱イオン水中に溶かした6.1質量%の溶液を使用した。開始剤溶液1の計量供給速度は1.462kg/hであり、溶液2の計量供給速度は0.629kg/hであった。得られたポリマー粒子を篩にかけて、場合により形成されるアグロメレートを分離除去した。150〜850μmの篩分級物が、生成物として得られた。
【0198】
例28
100gの例V28の超吸収剤を、0.10gのペンタエリトリット−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)と一般的規定Iにより混合した。
【0199】
例29
100gの例V28の超吸収剤を、0.10gのトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィットと一般的規定Iにより混合した。
【0200】
例30
100gの例V28の超吸収剤を、0.05gのペンタエリトリット−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)及び0.05gのトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィットと一般的規定Iにより混合した。
【0201】
こうして製造された超吸収剤を、エージング試験に供した。これらの結果を第5表にまとめる。前記の例は、本発明による超吸収剤がエージングの後に明らかにより淡色で、変色がよりわずかであることを示している。しかしながら、それらの例は、また、混合物が相乗作用しうることも示している。
【0202】
例V31(比較)
アクリル酸ナトリウム水溶液(脱イオン水中37.5質量%の溶液)14.3kgと、アクリル酸1.4kgと、脱イオン水350gを、3エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレート(Laromer(登録商標)PO 9044V,BASF SE;Ludwigshafen,ドイツ)6.6gと混合した。この溶液を、窒素雰囲気で満たされた加温された滴下塔(180℃、高さ12m、直径2m、ガス速度0.1m/s(並流)、直径40mm、内部高さ2mmを有し、各200μmの直径の60個の孔を有する滴下プレートを備えた滴下装置)において32kg/hの速度で滴下し、その際その温度は25℃であった。滴下装置の直前に、モノマー溶液を、スタティックミキサを介して3つの開始剤溶液と混合した。開始剤1としては、2,2′−アゾビス−[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩を脱イオン水中に溶かした3質量%の溶液を使用し、開始剤2としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを脱イオン水中に溶かした6.1質量%の溶液を使用し、かつ開始剤3としては、アスコルビン酸を脱イオン水中に溶かした3質量%の溶液を使用した。開始剤溶液1の計量供給速度は0.548kg/hであり、溶液2の計量供給速度は0.449kg/hであり、かつ溶液3の計量供給速度は0.183kg/hであった。得られたポリマー粒子を篩にかけて、場合により形成されるアグロメレートを分離除去した。150〜850μmの篩分級物が、生成物として得られた。
【0203】
実施例V32(比較)
アクリル酸ナトリウム水溶液(脱イオン水中37.5質量%の溶液)14.3kgと、アクリル酸1.4kgと、脱イオン水350gを、3エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレート(Laromer(登録商標)PO 9044V,BASF SE;Ludwigshafen,ドイツ)6.6gと混合した。この溶液を、窒素雰囲気で満たされた加温された滴下塔(180℃、高さ12m、直径2m、ガス速度0.1m/s(並流)、直径40mm、内部高さ2mmを有し、各200μmの直径の60個の孔を有する滴下プレートを備えた滴下装置)において32kg/hの速度で滴下し、その際その温度は25℃であった。滴下装置の直前に、モノマー溶液を、スタティックミキサを介して3つの開始剤溶液と混合した。開始剤1としては、2,2′−アゾビス−[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩を脱イオン水中に溶かした3質量%の溶液を使用し、開始剤2としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウムを脱イオン水中に溶かした6.1質量%の溶液を使用し、かつ開始剤3としては、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩と、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩と、重亜硫酸ナトリウムとからなる混合物(Brueggolit(登録商標)FF7,L.Brueggemann KG,Salzstrasse 131,74076 Heilbronn,ドイツ)を脱イオン水中に溶かした3質量%の溶液を使用した。開始剤溶液1の計量供給速度は0.548kg/hであり、溶液2の計量供給速度は0.449kg/hであり、かつ溶液3の計量供給速度は0.183kg/hであった。得られたポリマー粒子を篩にかけて、場合により形成されるアグロメレートを分離除去した。150〜850μmの篩分級物が、生成物として得られた。
【0204】
例31
100gの例V31の超吸収剤を、0.10gのカルシウム−ビス[モノエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]と一般的規定Iにより混合した。
【0205】
例32
100gの例V32の超吸収剤を、0.10gのジエチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネートと一般的規定Iにより混合した。
【0206】
こうして製造された超吸収剤を、エージング試験に供した。これらの結果を第6表にまとめる。前記の例は、本発明による超吸収剤がエージングの後に明らかにより淡色で、変色がよりわずかであることを示している。
【0207】
実施例V33(比較)
加熱/冷却ジャケットを備えた5Lの容量を有するPflugschar(登録商標)羽根型乾燥機(製造元:Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH,Eisener−Strasse 7−9,33102 Paderborn,ドイツ;タイプVT 5R−MK)において、水478gと、アクリル酸244.3gと、37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液(100モル%までの中和されたアクリル酸、すなわち遊離のアクリル酸もしくは遊離のナトリウム塩を含まない)1924.9gと、炭酸カルシウム16.0gと、3エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレート(Laromer(登録商標)PO 9044V,BASF SE,Ludwigshafen,ドイツ)2.52gを装入し、窒素を散布しつつ20分間にわたり不活性化した。反応器のシャフトは、連続的に1分間当たり96回転で回転させた。その際、該反応混合物を、外部から、後続の開始剤の添加が約20℃で行えるように冷却した。最後に、混練機中で撹拌しつつ、さらに、過硫酸ナトリウム(12.12gの水中に溶解)2.139gと、アスコルビン酸(9.12gの水中に溶解)0.046gと、30質量%の過酸化水素水溶液(1.15gの水で希釈)0.127gを、続けて添加した。反応が素早く開始し、内部温度が30℃に達したら、反応をできる限り最後まで断熱的に行うために、ジャケットを80℃に熱した伝熱媒体で加熱した。最高温度に達した後に、再び冷却し(−12℃を有する冷却液)、こうして生じたゲルを50℃未満にまで冷やし、次いで取り出した。そのゲルを次いで研究室用の乾燥キャビネットにおいて160℃で1時間にわたり乾燥させた。該生成物を、次いで粉砕し、そして150〜700μmの篩分級物を得た。
【0208】
この基礎ポリマーを、表面後架橋のために、加熱ジャケットを備えたPflugschar(登録商標)ミキサ(製造元:Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH,Eisener−Strasse 7−9、33102 Paderborn,ドイツ;タイプM5)中で室温でかつ1分間当たり450回転のシャフト回転数で二物質噴霧ノズルを用いて、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.125質量%と、水1.5質量%と、1,3−プロパンジオール1.5質量%と、ソルビタンモノココエート("Span(登録商標)20")0.003質量%と、25質量%の乳酸アルミニウム水溶液2.8質量%とからなる混合物(それぞれ基礎ポリマーに対して)で被覆した。吹き付けの後に、生成物温度を175℃に高め、そして該反応混合物を80分間にわたりこの温度でかつ1分間当たり80回転のシャフト回転数で保持した。得られた生成物を、再び室温に冷却させて篩にかけた。表面後架橋された超吸収剤は、150μm〜710μmの粒度を有する篩分級物として得られた。
【0209】
例33
100gの例V26の超吸収剤を、0.050gの2,2′−エチリデンビス[4,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェノール]と一般的規定Iにより混合した。
【0210】
例34
例V33を繰り返したが、表面後架橋に際して基礎ポリマーを、さらに追加で、該基礎ポリマーに対して0.2質量%のトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィットで被覆した。
【0211】
例35
例V33(比較)を繰り返したが、重合に際して内部温度が60℃に達した後に反応混合物にPflugschar(登録商標)羽根型乾燥機において更に1.2gのペンタエリトリット−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を添加した。
【0212】
こうして製造された超吸収剤を、エージング試験に供した。これらの結果を第7表にまとめる。前記の例は、本発明による超吸収剤が、吸収特性を損ねることなく、エージングの後に明らかにより淡色で、変色がよりわずかであることを示している。
【0213】
【表5】

【0214】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール、ホスホン酸(HP(O)(OH)2)、亜リン酸(H3PO3)並びに前記の酸の塩及びエステルから選択される、少なくとも1種の変色に対する安定剤を含有する超吸収剤。
【請求項2】
カルシウム、ストロンチウム又はバリウムを含有することを特徴とする、請求項1に記載の超吸収剤。
【請求項3】
更に、スルフィン酸の誘導体から選択される少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の無機の水不溶性の粒状の固体を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の超吸収剤。
【請求項4】
少なくとも1種のエチレン性不飽和の、少なくとも1つの酸基を有するモノマーの架橋された部分中和されたポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の超吸収剤。
【請求項5】
モノマーがアクリル酸であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の超吸収剤。
【請求項6】
表面後架橋されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の超吸収剤。
【請求項7】
安定剤が概ね未溶解の形態で添加されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の超吸収剤。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に定義される超吸収剤の製造方法であって、超吸収剤に、その製造の間に又はその後に、フェノール、ホスフィン酸(H3PO2)、ホスホン酸(HP(O)(OH)2)、亜リン酸(H3PO3)並びに前記の酸の塩及びエステルから選択される、変色に対する安定剤を添加する前記方法。
【請求項9】
安定剤を概ね未溶解の形態で添加することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか1項で定義された超吸収剤を含有する、液体の吸収のための物品。
【請求項11】
液体の吸収のための物品の製造方法であって、製造に際して請求項1から7までのいずれか1項で定義される超吸収剤を使用することを特徴とする前記方法。

【公表番号】特表2013−504674(P2013−504674A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529215(P2012−529215)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063199
【国際公開番号】WO2011/032876
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】