説明

色安定性を向上させるトリウムフリー電極

本発明は、微量成分としてトリウムを有する、高圧放電ランプ用の電極、高圧放電ランプ、およびそれらの製作方法に関する。本発明の電極は、高圧放電ランプに使用することができる。電極棒は、トリウム、好ましくは酸化トリウムを含まず、またはトリウム、好ましくは酸化トリウムを微量成分として含み、高融点金属で構成された、トリウム、好ましくは酸化トリウムを含まない被覆材は、前記電極の放電側近傍の周囲に設置され、被覆材が設置された領域では、電極棒の全表面が完全に被覆され、前記電極棒の電極棒先端は、全く前記被覆材で覆われず、または少なくとも一部が、前記被覆材で覆われ、前記電極棒の電極先端の少なくとも一部は、前記トリウム、好ましくは酸化トリウムを含まない被覆材によって被覆されず、電極先端は、任意で球状または半球状の電極先端として形成され、被覆材は、前記形成された電極先端の外周に隙間のない状態で接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量成分としてトリウムを有する電極、前記電極を有する高圧放電ランプおよびそれらを製作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HIDランプに用いられる市販の電極は、コイル状のトリウム化タングステン電極を有する。電極構造の改良のため、各種対策がなされているが、さらなる改良が必要である。
【0003】
欧州特許出願第1 148 534A1号には、少なくとも3000時間の長寿命を示し、ランプ特性の劣化の少ない高圧水銀放電ランプが示されている。この高圧放電ランプは、高融点金属製のコイル状の電極を有する。高融点金属は、電極棒の放電側先端に設置され、電極棒の放電側先端近傍の周囲が被覆される。被覆材が設置される放電側先端は、例えばアーク放電またはレーザー照射による放電側先端の断続加熱溶融によって、半球状に溶融される。しかしながら、本発明とは異なり、コイル状被覆材は、実質的に内部孔が視認されないように、または少なくとも電極棒とコイルの間に、未溶融領域が残留しない状態で、電極棒上にレーザー溶融されることはない。コイルは、電極棒と一部のみが接続されており、個々のコイルの巻線は、相互に隙間のない状態で溶融することはできないからである。従って、欧州特許出願第1 148 534 A1号の方法では、熱伝導性が悪く、前記電極のバック燃焼または溶融侵食の危険性が高まり、例えばトリウムの放出量が増大する。また、欧州特許出願第1 148 534 A1号明細書には、少なくともコイル状被覆材および電極先端が、トリウムを含まないようにすることに関しては示されていない。
【0004】
第GB2 031 645 A2号には、アルカリ土類電子放射材料を含まない、1ccを越えない容積の、放電電流が1Aを超えない小型高圧金属ハロゲン化物水銀ランプ用の電極が示されている。この電極は、心棒のない二重コイルが何回か巻き回された巻き回し部を有する、細長のタングステン柄部を有し、球状の遠心端を有することが好ましい。柄部の径は、5から15ミルの範囲に選定され、この寸法を超えると、定格ランプ電流で溶融侵食が生じる。巻き回し部は、3ミルを越えない一次ワイヤで構成され、最初に3から7ミルの一次心棒に巻き回されから、取り外される。本発明とは異なり、コイル状被覆材は、実質的に内部孔が存在しない状態、または未溶融領域が残留しない状態で、電極棒上にレーザー溶融することはできない。コイルは、部分的にしか電極棒に接触していないためである。また個々のコイルの巻線は、相互に隙間のない状態で溶融することはできない。従って、第GB2 031 645 A2号に記載の電極は、熱伝導性が悪く、前記電極のバック燃焼または溶融侵食の危険性が増大し、例えばトリウムの放出量が増大する。
【0005】
一般に、高圧無水銀キセノン放電ランプの起動状態および定常作動状態における熱応力は、高圧水銀含有放電ランプに比べて大きい。電極を構成するタングステンおよび/またはレニウムは、溶融および分解され、電極先端の温度が著しく増大するため、電極先端は、変形および摩耗する。分解したタングステンおよび/またはレニウムは、発光管の内表面に堆積し、黒色化が生じる。発光管のこの内表面の黒色化は、光束の早期劣化につながる。
【0006】
最新のHIDランプ(特に無水銀HIDランプ)では、使用期間中に大きな色シフトが生じる危険性がある。これは特に、ランプの色シフトが生じる以下の反応により、酸化トリウムを含むランプにおいて生じ易い。
【0007】
【数1】

しかしながら今日のHIDランプでは、安定な色の持続は、品質上重要な特性である。
【0008】
微量成分としてトリウムを含む、例えば厚さ250μmの電極棒は、熱応力によって、電極のバック燃焼または溶融侵食が増大するという問題を有し、これにより結晶化が助長され、光束(ルーメン)持続性および色安定性が悪くなり、寿命が著しく短くなる。微量成分としてトリウムを含む電極棒は、厚さを増すことによって使用時の熱応力に耐えるようにできるが、そのような電極では、熱負荷が大きくなり、電極が気密シールされている放電電球の位置でクラックが生じるという欠点がある。
【特許文献1】欧州特許出願第1 148 534 A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、前述の問題を解消し、微量のトリウムを含む、あるいはトリウムを含まないタングステンおよび/またはレニウム電極、高圧放電ランプ、さらには製造方法を提供することである。これにより、少なくとも1500時間の寿命が得られ、高圧放電ランプは、特に改善された光束(ルーメン)持続性を示し、スカンジウム損失が少なく、色安定性が高く、結晶化が生じにくく、電極のバック燃焼または溶融侵食が生じにくい高圧放電ランプが得られる。
【0010】
本発明の別の主要な課題は、この分野の需要に合致した、トリウムを含まない、好ましくは酸化トリウムを含まない、電極を提供することであり、これによりランプの色シフトが著しく抑制される。これは、特に車両用HIDランプに好適である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題は、
高圧放電ランプ用の電極であって、
当該電極および/または電極先端は、トリウムを含まず、特に酸化トリウムを含まないことが好ましく、あるいはトリウムを微量成分として含み、特に酸化トリウムを微量成分として含むことが好ましく、
前記ランプは、500時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または500時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または1000時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または750時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または1750時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または2000時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または2250時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または2500時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|2|であることがさらに好ましい、高圧放電ランプ用の電極によって達成される。
【0012】
ΔXとΔYの値を測定する方法、および他のランプ特性を測定する方法は、DIN R99から得られ、これは本願の参照文献として取り入れられる。
【0013】
前述の課題は、さらに、
少なくとも高圧放電ランプ用の電極上の少なくとも一つの電極棒は、高融点金属を主要成分に含む材料で構成され、
前記電極棒は、トリウムを含まず、特に酸化トリウムを含まないことが好ましく、あるいはトリウムを微量成分として含み、特に酸化トリウムを微量成分として含むことが好ましく、
被覆材は、トリウムを含まず、特に好ましくは酸化トリウムを含まない高融点金属で構成され、前記電極棒の放電側先端近傍の周囲に設置され、前記被覆材が設置される前記電極棒の表面は、完全に被覆され、
前記電極棒の前記電極棒先端は、前記被覆材で全くあるいは少なくとも一部しか被覆されず、
前記被覆材で被覆されていない、前記電極棒の前記電極先端の少なくとも一部は、トリウムを含まず、特に酸化トリウムを含まないことが好ましく、
前記電極先端は、球状または半球状の電極先端となるように形成され、
前記被覆材は、前記形成された電極先端の周囲に隙間のない状態で接合されることを特徴とする電極によって達成される。
【0014】
前述のランプは、500時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、および/または500時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または1000時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または750時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または1750時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または2000時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または2250時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|1|であることがさらに好ましく、および/または2500時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)であって、≦|12|であることが好ましく、≦|10|であることがより好ましく、≦|8|であることがより好ましく、≦|5|であることがより好ましく、≦|3|であることがより好ましく、≦|2|であることがさらに好ましい。
【0015】
前記被覆材は、例えば加熱によって昇温されることが好ましく、次に電極棒に熱被覆される。本発明の好適実施例では、被覆材は、軟化点または融点以上に加熱されてから、電極棒上に設置される。より好ましくは、前記被覆材は、電極棒上にレーザー溶融法で設置される。
【0016】
前記電極先端は、球状または半球状の電極先端に加熱形成されることが好ましく、電極先端は、軟化点または融点以上に加熱されてから形成されることが好ましい。電極先端は、レーザー溶融法によって、球状または半球状に形成されることがより好ましい。
【0017】
被覆材が微量のトリウムを有し、および/または電極が、被覆材で完全には被覆されていない場合、加熱処理時に、被覆材および/または電極先端の熱負荷が十分に高く調整され、被覆材および/または電極先端に含まれる全てのまたはほとんどのトリウムが、熱的に除去される。
【0018】
前記電極棒は、主成分として、タングステンおよび/またはレニウムを有することが好ましく、トリウム、好ましくは酸化トリウムを含まない、カリウム(K)、シリコン(Si)および/またはアルミニウム(Al)でドープされたタングステン棒とすることがさらに好ましい。
【0019】
前記被覆材は、タングステンならびに/またはカリウム(K)、シリコン(Si)および/もしくはアルミニウム(Al)でドープされたタングステンならびに/またはレニウムならびに/またはカリウム(K)、シリコン(Si)および/もしくはアルミニウム(Al)でドープされたレニウムからなる群から選定される高融点金属で構成することができる。
【0020】
本発明のある実施例では、トリウムを含まない、またはトリウムをThO2等の微量元素として含む電極棒の電極先端が、レーザー溶融法で球状または半球状に形成され、球状または半球状の電極先端に、トリウムを含まない電極を製作することができる。前記球状または半球状の電極先端のバルク部は、電極先端をバック燃焼または溶融侵食から保護する。実質的に電極棒の周囲は、レーザー溶融法によって被覆材で被覆される。ただし被覆材は、電極先端がレーザー溶融法で球状または半球状の電極先端として形成される前または形成中に、放電側先端の周囲をレーザー溶融することによって、前記電極棒の放電側先端近傍に形成することができる。
【0021】
本発明の別の実施例では、電極先端は、球状または半球状の電極先端となるようにレーザー溶融させず、トリウムを含まない、またはトリウムを放電側先端近傍に微量成分として含む電極棒の放電側先端近傍の周囲で被覆材をレーザー溶融することによって、電極を製作することができる。この場合、電極棒先端にトリウムが含まれないとき、電極先端は、少なくとも一部がレーザー溶融被覆材で被覆される。電極棒先端は、レーザー溶融被覆材で完全に被覆されることがより好ましい。
【0022】
本発明に使用される「トリウム」という表現は、ThO2等の酸化物を含む。「トリウムを含まない」という表現は、トリウムを元素として含まないこと、および酸化トリウムのような成分として含まないことの両方を意味する。ただし、検出限界に近い微量トリウムが存在する場合がある。
【0023】
本発明の別の主課題は、充填材ScJ3がトリウムと反応して減少することを防止することである。これにより、ランプの色シフトが顕著に抑制される。
【0024】
本発明の電極は、電極先端および被覆材を有する電極棒を有し、前記被覆材は、前記電極棒を覆い、バック燃焼または溶融侵食を防止する。本発明の電極の製作に用いられる、電極先端を有する電極棒は、トリウム化タングステンおよび/またはレニウムを有することが好ましい。電極棒は、トリウムを含まないタングステンおよび/またはドープされたタングステンを有しても良く、タングステンに、カリウム(K)、シリコン(Si)および/またはアルミニウム(Al)をドープすることができる。
【0025】
電極棒は、0ppm≧から5ppmのトリウムを有し、好ましくは≦1ppm、より好ましくは≦0.1ppmのトリウムを有する。
【0026】
そのようなほとんど酸化トリウムを含まない電極を使用することによって、反応
【0027】
【数2】

を停止または顕著に抑制することができ、ランプの色シフトを抑制することが可能となる。
【0028】
表1には、ThO2を含む電極棒と含まない電極棒を用いた、本発明によるランプを含む、いくつかのランプの色シフトを示す。
【0029】
【表1】

表2には、ThO2を含む電極棒と含まない電極棒を用いた、本発明によるランプを含む、いくつかのランプの色シフトを示す。
【0030】
【表2】

ThO2を除去することによって、ΔXおよびΔYの色値を十分に大きくすることができることは明らかである。
【0031】
本発明のレーザー溶融電極先端は、酸化トリウム等のトリウムが0ppmであること、またはトリウムがほとんど含まれないことが好ましい。
【0032】
しかしながら、前記被覆材が設置される電極棒の電極領域には、層の深さ10μmから150μmまでトリウムが含まれないことが好ましく、層の深さは、20μmから130μmまでであることが好ましく、層の深さは、30μmから120μmまでであることが好ましく、層の深さは、40μmから110μmまでであることがより好ましい。被覆される電極棒領域の径に応じて、トリウムを含まない層の深さは、50μmから250μmまで、好ましくは60μmから225μmまで、より好ましくは70μmから200μmまで、さらに好ましくは、80μmから170μmまでとすることができる。
【0033】
層の深さは、被覆電極棒領域に沿って、電極先端から50μm乃至500μmまでの範囲において、被覆電極領域の上部外表面から電極軸に向かって測定される。
【0034】
ThO2の放出は、充填材のスカンジウム(Sc)およびナトリウム(Na)の圧力低下につながる。従って光束(ルーメン)維持性、色安定性および寿命が大きな影響を受ける。
【0035】
この問題を避けるため、本発明では、電極を製作する第1の代替方法が提案され、当該方法は、
a)レーザー溶融法によって、ThO2等のトリウムを微量含む電極棒の電極先端を形成するステップであって、球状または半球状の電極先端には、トリウムが含まれない、ステップと、
b)レーザー溶融法によって、前記球状または半球状の電極先端の周囲に、トリウム(Th)を含まない高融点金属で構成された被覆材を接触させるステップであって、レーザー溶融被覆材は、隙間のない状態で、球状または半球状の電極先端に完全に接触し、実質的に目視できる内部孔または未溶融領域を含まない、ステップと、
c)レーザー溶融法によって、前記電極棒の全周に沿って、前記被覆材を設置するステップであって、レーザー溶融被覆材と前記電極ロッドの間に、実質的に目視できる内部孔または未溶融領域が存在しない、ステップと、を有する。
【0036】
電極を製作する第2の代替方法は、
a)球状または半球状の電極先端に、レーザー溶融法によって、トリウムを含まない電極棒の電極先端を形成するステップと、
b)レーザー溶融法によって、前記球状または半球状の電極先端の周囲に、トリウム(Th)を含まない高融点金属で構成された被覆材を接触させるステップであって、レーザー溶融被覆材は、隙間のない状態で、球状または半球状の電極先端に完全に接触し、実質的に目視できる内部孔または未溶融領域を含まない、ステップと、
c)レーザー溶融法によって、前記電極棒の全周に沿って、前記被覆材を設置するステップであって、レーザー溶融被覆材と前記電極ロッドの間に、実質的に目視できる内部孔または未溶融領域が存在しない、ステップと、を有する。
【0037】
電極を製作する第3の代替方法は、
a)トリウム(Th)を含まない電極棒の電極棒先端に、トリウムを含まない高融点金属で構成された被覆材を設置するステップと、
b)レーザー溶融法によって、前記電極棒の全周に沿って、前記被覆材を設置するステップであって、レーザー溶融被覆材と前記電極ロッドの間に、実質的に目視できる内部孔または未溶融領域を含まない、ステップと、を有する
レーザー溶融処理による、電極先端を形成するステップおよび/または電極棒の外周に被覆材を設置するステップの間、電極棒を回転し、および/またはレーザーを電極の周りに回転させても良い。
【0038】
1以上のレーザー、例えば少なくとも2つまたは3つのレーザーを用いることも可能である。多数のレーザーを電極棒周囲の固定位置に配置した場合、レーザー溶融処理の間、電極棒を回転させる必要はなくなる。
【0039】
被覆材は、レーザー溶融法によって、電極の全長に沿って、電極棒の放電側先端の近傍の外周全体に設置されたコイルであることが好ましく、完全に溶融された被覆材は、実質的に隙間を有さず、平滑な上部表面を有し、実質的に内部孔または未溶融領域を有さない。
【0040】
レーザー溶融処理の間、コイル等の被覆材は、レーザー溶融されて均一なコーティング分布を有することが好ましく、被覆材の原形は、完全に消失する。
【0041】
本発明に用いられる電極棒は、主要成分としてタングステンおよび/またはレニウムを、また微量成分として酸化トリウム(ThO2)等のトリウムを含むことが好ましい。特に、本発明に使用される電極棒は、
トリウムを含まないタングステン、または、
カリウム(K)、シリコン(Si)および/またはアルミニウム(Al)でドープされた、トリウムを含まないタングステン
を有し、カリウムドープされたトリウムを含まないタングステンが最も好適である。
【0042】
電極棒は、電極棒の総重量に対して、0wt%から5wt%のトリウムであって、好ましくは>0 wt%から≦2wt%のトリウム、より好ましくは、≧0.001 wt%から≦1wt%のトリウムを含む。また電極棒は、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Ni、Si、Sn、Na、K、Mo、および/またはUの群から選定される補助成分を有しても良い。電極棒は、カリウム(K)シリコン(Si)および/またはアルミニウム(Al)でドープされることが最も好ましく、前記電極棒のカリウム量は、電極棒の全重量に対して、≧0ppmから≦500ppmであって、好ましくは≧50ppmから≦100ppmである。前記電極棒のシリコン含有量は、前記電極棒の全重量に対して、0ppm≧から≦300ppmであって、好ましくは≧50ppmから≦100ppmである。前記電極棒のアルミニウム含有量は、前記電極棒の全重量に対して、0ppm≧から≦100ppmであって、好ましくは≧10ppmから≦50ppmである。
【0043】
全ての定量データは、特に記載がない限り、重量%または重量ppm単位である。
【0044】
高圧放電ランプ、特に高圧無水銀キセノン放電ランプの寿命を延伸する方法として、本願では、トリウム(Th)を含まない高融点金属で構成される被覆材で、電極棒を被覆することを提案する。この場合、被覆材は、コイル、両端部に開口を有する管もしくは一端が封止された管および/またはリングからなる群から選定されるが、特にワイヤコイルが好ましい。
【0045】
電極棒のレーザー溶融被覆材が設置される領域は、電極ヘッドを構成する。
【0046】
電極棒の電極ヘッドが構成される領域は、電極先端にトリウムが含まれない場合、トリウム化タングステンを有する。タングステンは、カリウム(K)シリコン(Si)および/またはアルミニウム(Al)でドープすることができ、特にカリウムが好ましい。
【0047】
電極ヘッドの径は、250μmから550μmであり、300μmから500μmであることが好ましく、350μmから450μmであることがより好ましい。
【0048】
これにより、電極のバック燃焼または溶融侵食を有意に抑制することができ、トリウムが自己分解する可能性が低減する。
【0049】
トリウム化タングステン電極を用いた場合、レーザー溶融被覆材に被覆された電極棒は、電極コアにThO2が存在しても、ある層の深さまでThO2を含まない。このため、被覆された電極のバック燃焼または溶融侵食が回避され、またはThO2等のトリウムの放出が有意に抑制される。
【0050】
一方、電極は十分に加熱され、安定な電気放電を行うことができる。
【0051】
また本発明の電極構造では、寿命までの電極のバック燃焼または溶融侵食が有意に抑制され、電極の劣化が防止され、または有意に抑制され、寿命までのアークの安定性が向上することに留意する必要がある。換言すると、アークの不安定性を回避し、または不安定アークの発生時期を前記高圧放電ランプの寿命を越えるまで、延伸させることができる。
【0052】
放電電球への大きな熱輸送およびこれに関連した大きな熱応力を避けるため、電極の長さは、気密接合される電極領域、または放電電球に挟まれる電極領域が、150μmから400μm、好ましくは200μmから350μm、より好ましくは250μmから320μmとなるように調整することができる。
【0053】
被覆材で被覆される電極領域の一部は、放電電球と気密接合することができる。ただし、被覆材で被覆される電極領域(電極ヘッド)は、放電電球に接合されず、あるいは放電電球に挟まれないように、バーナーの内方に伸びることが好ましい。被覆材で被覆されていない電極部分が、放電電球の開口端に気密式に挟まれ、あるいは気密接合されることが好ましい。
【0054】
本発明の放電ランプの放電電球は、石英ガラスまたはセラミックで構成されることが好ましい。
【0055】
タングステンは、レニウムに比べて高い熱伝導性を示す。タングステンの熱伝導率は、低温(〜500℃)では、レニウムに比べて約2.9倍大きく、タングステンレニウム合金(75%/25%)に比べて約2.6倍大きい。
【0056】
少なくとも、電極が放電電球によってシールまたは封止された領域では、各電極の径は、150μmから400μmであることが好ましく、200μmから350μmであることがより好ましく、250μmから320μmであることがさらに好ましい。
【0057】
被覆材で被覆されていない電極棒位置から、電極がバーナーの放電電球の内側に接合または挟まれている位置までの距離は、0μmから5000μmであって、10μmから3000μmであることが好ましく、50μmから2000μmであることがより好ましく、60μmから1500μmであることがより好ましい。
【0058】
被覆材は、電極棒の放電側先端近傍の周囲にレーザー溶融される。被覆材は、実質的に、内部孔または未溶融領域等の欠陥が残留しないように電極棒上にレーザー溶融される必要がある。使用被覆材がコイルの場合、このコイルをレーザー溶融させると、コイルのリング全体が溶融されるため、上部表面、および被覆された電極とレーザー溶融されたコイルの間は、平滑になり、内部孔または未溶融領域は、実質的に残留しない。ただし、レーザー溶融された被覆材の上部表面は、波打った表面となる場合がある。
【0059】
またレーザー溶融された被覆材、特に溶融被覆材と、これに被覆された電極棒の領域の間に、内部孔が全くまたは実質的に視認できないこと、あるいは未溶融領域が残留しないことが好ましい。ただし、微細な内部孔が形成される場合、これらの内部孔は、径が≧0μmから≦100μmであって、≦10μmであることが好ましく、≦1μmであることがより好ましい。
【0060】
電極ヘッドのバック燃焼または溶融侵食を回避するため、電極棒のレーザー溶融被覆材が設置された電極領域は、厚さが少なくとも、250μmから約550μmであって、300μmから約500μmの間であることが好ましく、350μmから約450μmの間であることがより好ましい。
【0061】
溶融被覆材は、電極に沿って電極先端まで平行に延びることが好ましい。電極先端は、全く溶融被覆材で被覆されなくても、少なくとも一部が、あるいは完全に溶融被覆材で被覆されても良い。
【0062】
また、ThO2が放出される可能性のある、電極棒のバック燃焼または溶融侵食を回避するため、レーザー溶融被覆材または電極ヘッドの長さは、少なくとも300μmから約1500μmであることが好ましく、少なくとも500μmから約1300μmであることがより好ましく、800μmから約1100μmの間であることがより好ましい。
【0063】
トリウムを含まない電極先端が、球状または半球状の場合、そのような電極先端の長さは、少なくとも250μmから約550μmであることが好ましく、少なくとも300μmから約500μmであることがより好ましく、350μmから約450μmであることがより好ましい。
【0064】
本発明の別の課題は、シールされた放電電球を有する高圧放電ランプに関し、この放電電球は、不活性開始ガスを含むイオン化充填材と、本発明による2つの対向電極を収容する。
【0065】
2つの対向電極先端の距離は、少なくとも2.0mmから約5.0 mmであることが好ましく、3.0mmから約4.5 mmであることがより好ましく、3.5mmから約4.0 mmの間であることがさらに好ましい。
【0066】
高圧放電ランプは、高圧無水銀放電ランプであることが特に好ましく、前記不活性開始ガスは、キセノンであることが好ましい。
【0067】
本発明の高圧放電ランプの気密シールされた放電電球は、2.0mmから3.0 mm範囲の内径を有することが好ましく、および/または内部体積は、15μlから40μlの範囲であることが好ましく、および/または充填圧は、室温で、5barから20barの範囲にあることが好ましい。
【0068】
放電電球は、いかなる適当な形状であっても良い。放電電球の内面形状は、円筒状、楕円状または非対称であっても良い。
【0069】
放電電球のバーナー内のイオン化充填材は、ScI3、NaI、InJ、ZnJ2、TlJ、ThJ4、AlBr3、InBr、HfBr4、AlJ3、MgJ2、CeJ3、CsJおよび/またはDyI3の群から選定される少なくとも一つの成分を有する。イオン化充填材は、水銀を含まないことが好ましい。
【0070】
本発明のある実施例では、水銀を含まないイオン化充填材は、イオン化充填材の全重量に対して、
0乃至4wt%のThJ4と、
10乃至60wt%のScI3であって、好ましくは10乃至40wt%のScI3と、
40乃至80wt%のNaIと、
0乃至5wt%のInJと、
0乃至20wt%のZnJ2と、を有する。
【0071】
イオン化充填材の成分は、全重量が100wt%を越えないように選定される。
【0072】
本発明の別の実施例では、水銀を含まないイオン化充填材は、イオン化充填材の全重量に対して、少なくとも、
0乃至4wt%のThJ4と、
10乃至60wt%のScI3であって、好ましくは10乃至40wt%のScI3と、を有する。
【0073】
本発明による高圧放電ランプ、特に高圧無水銀キセノン放電ランプは、
200時間の使用で、≧92%の光束(ルーメン)維持率、および/または
500時間の使用で、≧90%の光束(ルーメン)維持率、および/または
1000時間の使用で、≧85%の光束(ルーメン)維持率、を示す。
【0074】
本発明のこれらのおよび他の目的、利点および特徴は、本発明の実施例を示す添付図面から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
図1には、電極棒(1)の放電側先端(3)近傍に巻きつけられたコイル(2)を有する、高圧放電ランプ用の電極棒(1)を示す。図1に示すように、コイル(2)は、前記電極棒(1)の電極先端(3)を越えては存在しない。
【0076】
図2には、前記電極棒(1)の放電側先端(3)の近傍の周囲にレーザー溶融されたコイル(5)を有する、図1の高圧放電ランプ用の電極(4)を示す。図2に示すように、コイル部材のリング(2)は全て溶融され(5)、実質上、上部表面に内部孔は認められない。レーザー溶融コイル(5)は、均一溶融形態を有し、実質的に、未溶融領域は存在しない。溶融被覆材(5)の上部表面は、平滑な表面である。図2には、さらにレーザー溶融コイル(5)(=溶融被覆材)によって完全に被覆された、前記電極棒(1)の電極先端(3)が示されている。
【0077】
図3には、本発明の2つの対向電極(4)を有する、気密シールされた放電電球(6)の構造を示す部分透視図を示す。図3に示すように、前記電極棒(1)の電極先端(3)は、被覆材(5)で被覆されておらず、レーザー溶融法によって球状に形成されている。また図3において、電極棒(1)は、電極軸(7)に沿った、放電電球の内表面(8)までの部分が完全には被覆されていない。
【0078】
図4には、本発明の好適な電極構造の一例を示す。図4に示すように、電極棒は、全長が6mmであって、電極棒の径は300μmである。レーザー溶融被覆材でコーティングされた電極棒のシャフト径は、390μmであって、レーザー溶融被覆材の全長は、1.1mmである。
【0079】
図5には、本発明の高圧無水銀キセノン放電ランプの使用時間における、光束(ルーメン)維持率の変化を示す。図には比較のため、トリウム化タングステン電極を有する、同じ高圧放電ランプであって、電極が被覆材で被覆されていない高圧放電ランプの結果も示す。この図5から明らかなように、本発明のランプの寿命、色安定性および光束(ルーメン)維持率等は、電極がトリウムを含まない被覆材で被覆されている場合、トリウムの単体分離が抑制されるため、改善される。トリウムを含まない電極先端は、例えば、トリウムを含まない被覆材を電極棒上にレーザー溶融することによって得られる。レーザー溶融処理中の電極先端の熱負荷は、十分に高く、電極先端に含まれる全ての、またはほとんどのトリウムが熱的に除去される。
【0080】
本発明のランプは、車両用のヘッドランプ等の分野に用いられることが好ましい。
【0081】
さらに本発明を、本発明の特定の実施例1で説明する。
(実施例1)
高圧無水銀キセノン放電ランプには、放電電球と、2つの電球が設置され、該2つの電極は、電極間距離が3.7mmとなるように対向して設置される。1wt%ThO2のトリウム化タングステンの電極棒は、全長が6mmであって、電極径は300μmである。レーザー溶融被覆材で被覆された電極棒のシャフト径は、390μmであり、レーザー溶融被覆材の全長は、1.1mmである。被覆材で被覆された電極範囲(電極ヘッド部)は、バーナーの内方に伸び、放電電球と結合されたり、挟まれたりはしない。放電ランプの放電電球の容積は、22μlであり、内圧は、室温で9.5barである。電極は、レーザー溶融コイルで被覆される。コイルは、カリウムドープされたタングステン製であって、トリウムは含まない。レーザー溶融コイルは、平滑な上部表面を有する溶融形態であって、溶融コイルは、実質的に未溶融領域を有さない。電極ヘッドは、電極棒の溶融コイルで被覆された領域(電極ヘッド部)に構成され、径は390μmであって、全長は1.1mmである。
【0082】
実施例1の高圧放電ランプの寿命期間における、光束(ルーメン)維持率の変化を、図5に示す。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】電極棒の放電側先端近傍に巻き付けられたコイルを有する、高圧放電ランプの電極例を示す図である。
【図2】電極棒の放電側先端近傍の周囲にレーザー溶融されたコイルを有する、本発明の電極例を示す図である。
【図3】本発明の2つの対向電極を有する、気密シールされた放電電球の構造を示す部分透視図であって、前記電極棒の電極先端が被覆材で被覆されていないことを示す図である。
【図4】本発明の電極構造を示す図である。
【図5】本発明の高圧放電ランプの使用時間に対する光束(ルーメン)維持率の変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧放電ランプ用の電極であって、
当該電極および/または電極先端は、トリウムを含まず、特に酸化トリウムを含まないことが好ましく、あるいはトリウムを微量成分として含み、特に酸化トリウムを微量成分として含むことが好ましく、
前記ランプは、500時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または1000時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または750時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または1750時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または2000時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または2250時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)を有することを特徴とする電極。
【請求項2】
高圧放電ランプ用の電極であって、
電極棒は、トリウムを含まず、特に酸化トリウムを含まないことが好ましく、あるいはトリウムを微量成分として含み、特に酸化トリウムを微量成分として含むことが好ましく、
被覆材は、トリウムを含まず、特に好ましくは酸化トリウムを含まない高融点金属で構成され、前記電極棒の放電側先端近傍の周囲に設置され、前記被覆材が設置される前記電極棒の表面は、完全に被覆され、
前記電極棒の前記電極棒先端は、前記被覆材で全くあるいは少なくとも一部しか被覆されず、
前記被覆材で被覆されていない、前記電極棒の前記電極先端の少なくとも一部は、トリウムを含まず、特に酸化トリウムを含まないことが好ましく、
前記電極先端は、球状または半球状の電極先端となるように形成され、
前記被覆材は、前記形成された電極先端の周囲に隙間のない状態で接合されることを特徴とする電極。
【請求項3】
前記ランプは、500時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または1000時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または750時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または1750時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または2000時間でΔYが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)、および/または2250時間でΔXが≦|15|の色シフト(15時間での色点との差)を有することを特徴とする請求項2に記載の電極。
【請求項4】
前記電極棒は、タングステンを含み、好ましくはカリウム(K)、シリコン(Si)および/またはアルミニウム(Al)でドープされた材料で構成され、
前記電極棒のカリウム含有量は、前記電極棒の全重量に対して、0ppm≧から≦500ppmであって、好ましくは≧50ppmから≦100ppmであり、および/または前記電極棒のシリコン含有量は、前記電極棒の全重量に対して、0ppm≧から≦300ppmであって、好ましくは≧50ppmから≦100ppmであり、および/または前記電極棒のアルミニウム含有量は、前記電極棒の全重量に対して、0ppm≧から≦100ppmであって、好ましくは≧10ppmから≦50ppmであり、および/またはレニウムを主要成分とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電極。
【請求項5】
前記被覆材で被覆された前記電極棒の領域は、トリウムを含まず、特にトリウム酸化物を含まないことが好ましく、上部外表面からの被覆層の深さは、10μm乃至250μmであって、20μm乃至130μmであることが好ましく、30μm乃至120μmであることがより好ましく、さらに好ましくは40μm乃至110μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の電極。
【請求項6】
前記電極棒の前記電極範囲は、レーザー溶融被覆材で被覆され、厚さが少なくとも250μmから約550μmであって、300μmから500μmの間にあることが好ましく、より好ましくは350μmから450μmの間にあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の電極。
【請求項7】
前記レーザー溶融被覆材または電極ヘッドは、全長が少なくとも300μmから約1500μmであって、500μmから1300μmの間にあることが好ましく、より好ましくは800μmから1100μmの間にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の電極。
【請求項8】
前記トリウムを含まない、球状または半球状の前記電極先端は、全長が少なくとも250μmから約550μmであって、300μmから500μmの間にあることが好ましく、より好ましくは350μmから450μmの間にあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の電極。
【請求項9】
前記被覆材は、コイル、管、両端部に2つの開口を有する管もしくは一端が封止された管、および/またはリングを有する群から選定され、特に好ましくはワイヤコイルであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の電極。
【請求項10】
前記被覆材は、熱処理によって設置され、特に前記被覆材は、軟化点以上の温度に加熱または溶融されてから前記電極棒に設置され、より好ましくは前記被覆材は、レーザー溶融法によって前記電極棒に設置され、および/または前記電極先端は、熱処理によって形成され、特に前記電極先端は、軟化点以上の温度に加熱または溶融されてから形成され、前記電極先端は、より好ましくはレーザー溶融法によって形成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の電極。
【請求項11】
不活性開始ガスを含むイオン化充填材と、請求項1乃至10のいずれか一つに記載の少なくとも2つの電極と、を有する密閉放電電球を有する高圧放電ランプであって、
当該高圧放電ランプは、高圧無水銀放電ランプであることが最も好ましく、前記不活性開始ガスは、好ましくはキセノンであることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項12】
請求項11に記載の、少なくとも一つの高圧無水銀放電ランプを有する照明装置であって、特に反射ヘッドライト、投射ヘッドライト、プロジェクタおよび/または一般照明用のランプであることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−515750(P2007−515750A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530894(P2006−530894)
【出願日】平成16年5月25日(2004.5.25)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050769
【国際公開番号】WO2004/105082
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】