説明

色調変化防止剤

【課題】効果の優れた色調変化防止剤の提供。
【解決手段】カルボキシメチルセルロースを含む、色物繊維製品の色調変化防止剤であって、(A) ノニオン界面活性剤、及び、(B) 長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミンを含む液体洗浄剤組成物に添加するための、色調変化防止剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色物繊維製品の色調変化防止剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
染料や顔料によって着色されたオシャレ着などの色物繊維製品は、通常の洗濯において色調が変化して外観を損ねる場合がある。これは、水道水中の残留遊離塩素の作用により、着色剤が褐色を起こすことが原因として知られている。
洗濯時におけるこのような衣類の色調変化を防止するための検討が様々なされてきた。例えば、特開2003−206495号公報には、水道水中の残留遊離塩素の補足効果を有するアミドアミン化合物を含む洗濯用洗剤組成物が開示されている。しかし、前記公報に記載される洗濯用洗剤組成物は色調変化防止効果が十分ではなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−206495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、効果の優れた色調変化防止剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、長鎖脂肪族アルキルアミン及び/またはアミドアミンと共にカルボキシメチルセルロースを液体洗浄剤組成物に加えることによって色物繊維製品のさらに優れた色調変化防止効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、カルボキシメチルセルロースを含む、色物繊維製品の色調変化防止剤であって、(A) ノニオン界面活性剤、及び、(B) 長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミンを含む液体洗浄剤組成物に添加するための色調変化防止剤を提供する。
また、本発明は、
(A) ノニオン界面活性剤、
(B) 長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミン、及び、
(C) 前記色調変化防止剤
を含む液体洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の色調変化防止剤を使用することにより、色物繊維製品を洗浄する際に、黄色変化防止効果と共に優れた色調変化防止効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の色物繊維製品の色調変化防止剤は、カルボキシメチルセルロースを含み、かつ、(A) ノニオン界面活性剤、及び、(B) 長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミンを含む液体洗浄剤組成物に添加される。
本発明において、「色物繊維製品」とは、繊維製品で、白以外の彩色のあるものを意味し、例えばオシャレ着などの衣料が挙げられる。前記の彩色としては特に限定されず、例えば、赤、青、黄、緑及びこれらの混合色が挙げられる。これらの彩色のうち、青が好ましい。また、繊維製品に使用される繊維は天然繊維又は合成繊維のいずれでもよく、天然繊維としては例えば綿、羊毛、麻など、合成繊維としては例えばナイロン、ポリエステル、アクリル繊維などが挙げられる。また、キュプラやレーヨン等の再生繊維であってもよく、また上記繊維の混合物であってもよい。上記繊維のうち、天然繊維、特に綿が好ましい。
【0008】
(A)ノニオン界面活性剤
本発明の色調変化防止剤が添加される液体洗浄剤組成物は、(A) ノニオン界面活性剤、及び、(B) 長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミンを含む。
ノニオン界面活性剤(A)は、液体洗浄剤組成物の主に洗浄機能を担う成分であり、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
本発明で用いるノニオン界面活性剤(A)としては特に限定されないが、例えば、下記式(III)で表されるポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好適に用いられる。
【0009】
【化1】

【0010】
但し、上記式(III)中、R2は炭素数8〜22、好ましくは10〜16の炭化水素基である。
炭化水素基として好ましくはアルキル基又はアルケニル基を挙げることができ、これらは直鎖であっても分岐鎖であっても良い。この疎水基の導入に用いられる原料としては、例えば、1級もしくは2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
3は、水素原子又は炭素数1〜6、好ましくは1〜3の直鎖又は分岐したアルキル基もしくはアルケニル基であり、中でも水素原子がより好ましい。
−Y−は連結基であって、−O−、−COO−、−CONH−が好ましく、−O−がより好ましい。
EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドである。s及びtは平均付加モル数を表す。sは3〜20、好ましくは5〜18であり、より好ましくは5〜15の整数である。tは0〜6、好ましくは0〜3である。
EOの平均付加モル数sを20以下にすることにより、HLB値が高くなりすぎて皮脂洗浄が不利になることによる洗浄機能の低下を抑制することができ、EOの平均付加モル数sを3以上にし、POの平均付加モル数tを6以下にすることにより、組成物の高温下での保存安定性の低下を抑制することができる。
【0011】
EO又はPOの付加モル数分布は、ノニオン界面活性剤(A)製造時の反応方法によって変動し、特に限定されない。
例えば、EO又はPOの付加モル数分布は、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いて酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水基原料に付加させた際には、比較的広い分布となり、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水基原料に付加させた際には、比較的狭い分布となる傾向にある。
【0012】
上記式(III)で表されるノニオン界面活性剤(A)の具体例としては、(i)三菱化学(株)製:商品名Diadol(C13(炭素数13を示す。以下、同様に「Cn」(nは整数)と示す場合、炭素数がnであることを示す。))、Sasol製:商品名Safol23(C12/C13混合物)等のオキソ法により得られた合成アルコール、もしくはP&G(株)製:商品名CO−1214(C12/C14混合物)、エコグリーン オレオケミカルズ製:商品名Ecorol(C12/C14混合物)等の天然アルコールに対して、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの、(ii)新日本理化(株)製:商品名Conol(C12)等の天然アルコールに対して、9モル相当の酸化エチレンを付加したもの、(iii)ブテンを3量化して得られるC12アルケンをオキソ法に供して得られるC13アルコール1モルに対して、7モルあるいは10モル相当の酸化エチレンを付加したもの(BASF社製:商品名Lutensol TO7、Lutensol TO10)、(iv)ラウリン酸メチルエステルに対して、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの、(v)ヘキサノールをガーベット反応に供して得られるC12アルコール1モルに対して、10モル相当の酸化エチレンを付加したもの(CONDEA製:商品名ISOFOL12−10EO)、(vi)C12〜14の第2級アルコールに対して、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの(日本触媒(株)製:商品名ソフタノール150)、(vii)ラウリン酸メチルに対して、アルコキシル化触媒を用いて15モル相当の酸化エチレンと3モル相当の酸化プロピレンを付加したもの等が挙げられる。
【0013】
また、ノニオン界面活性剤(A)としては、上記式(III)で表されるノニオン界面活性剤以外のノニオン界面活性剤を用いることもできる。
他の好適なノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(EO付加モル数1〜20)ソルビタン脂肪酸(C10〜22)エステル、ポリオキシエチレン(EO付加モル数1〜20)ソルビット脂肪酸(C10〜22)エステル、ポリオキシエチレン(EO付加モル数1〜20)グリコール脂肪酸(C10〜22)エステル、グリセリン脂肪酸(C10〜22)エステル、アルキル(C10〜22)グリコシド等が挙げられる。
【0014】
これらのノニオン界面活性剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
本発明において、ノニオン界面活性剤(A)の配合量(2種以上を併用する場合は合計量を意味するものとする。なお、後記する他の成分についても同様である。)は、色調変化防止剤添加後の洗浄剤組成物中10〜50質量%が好ましく、10〜40質量%が色物繊維製品の色調変化防止の点から特に好ましい。ノニオン界面活性剤(A)の配合量を10質量%以上とすることにより洗浄力が向上し、50質量%以下にすることにより組成物の粘度が増加しすぎることを防ぎ、取り扱い易くなる。
【0015】
(B)長鎖脂肪族アルキルアミン及びアミドアミン
本発明の色調変化防止剤が添加される洗浄剤組成物含まれる長鎖脂肪族アルキルアミン及びアミドアミンは、直鎖であっても分岐鎖であっても良く、飽和であっても不飽和であっても良く、さらには置換基を有しても良く、連結基を鎖中に有するものであっても良い炭素数7〜28(ここでの炭素数には、置換基及び連結基中の炭素数は含まない)の炭化水素基を1〜3個含む3級アミン及び/又はその塩を配合する。特に、炭素数7〜25の炭化水素基を1〜3個、好ましくは1〜2個含む3級アミン及び/又はその塩を配合する。
ここで、「置換基」としては、ヒドロキシ基、アミノ基等が具体的に挙げられる。また、「連結基」としては、アミド基、エステル基、エーテル基等が具体的に挙げられる。
3級アミン及び/又はその塩としては、3級アミンをそのまま使用するもの、3級アミンを酸で中和した酸塩等が具体的に挙げられる。
中和に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、ポリアクリル酸、パラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0016】
長鎖脂肪族アルキルアミン及びアミドアミンとしては、特に、下記式(IV)で表される3級アミン及び/又はその塩が好適である。
【0017】
【化2】

【0018】
上記式(IV)中、R4は炭素数7〜27(ここでの炭素数には、置換基及び連結基中の炭素数は含まない)の炭化水素基であり、直鎖であっても分岐鎖であっても良く、飽和であっても不飽和であっても良く、さらには置換基を含むものであっても良い。また、R4はアミド基、エステル基又はエーテル基等の連結基をその鎖中に有するものであっても良く、連結基としてはアミド基、エステル基が好ましく用いられる。
中でも、R4としては「−R7−W」(但し、R7は炭素数1〜4の直鎖または分岐したアルキレン基である。Wは、−NHCO−R8又は−OOC−R9であり、R8は炭素数7〜23、好ましくは7〜21の炭化水素基であり、R9は炭素数11〜23、好ましくは12〜20の炭化水素基であり、R8およびR9は直鎖であっても分岐鎖であっても良く、飽和であっても不飽和であっても良い。)が好ましく用いられる。
【0019】
5は炭素数1〜25の炭化水素基である。R5は直鎖であっても分岐鎖であっても良く、飽和であっても不飽和であっても良く、さらには置換基を含むものであっても良い。また、R5はアミド基、エステル基又はエーテル基等の連結基をその鎖中に有するものであっても良い。
中でも、炭素数1〜4の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数1〜4の直鎖または分岐したヒドロキシアルキル基が好ましく用いられる。
【0020】
6は炭素数1〜4の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数1〜4の直鎖または分岐したヒドロキシアルキル基、EO付加モル数1〜3のポリオキシエチレン基のうちいずれかの基であり、炭素数1〜4の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数1〜4の直鎖または分岐したヒドロキシアルキル基が好ましく用いられる。
【0021】
上記式(IV)の中でも、下記式(V)で表される3級アミン及び/又はその塩がさらに好適である。
【0022】
【化3】

【0023】
但し、上記式(V)中、R10、R11は、それぞれ炭素数1〜4の直鎖または分岐したアルキル基、もしくは炭素数1〜4の直鎖または分岐したヒドロキシアルキル基である。
12は炭素数1〜4の直鎖または分岐したアルキレン基である。
Zは、下記式(VI)又は(VII)で表される基である。
【0024】
【化4】

【0025】
【化5】

【0026】
但し、上記式(VI)中、R13の炭素数は7〜23、好ましくは7〜21の炭化水素基であり、上記式(VII)中、R14の炭素数は11〜23、好ましくは12〜20の炭化水素基であり、R13およびR14は直鎖であっても分岐鎖であっても良く、飽和であっても不飽和であっても良い。
【0027】
長鎖脂肪族アルキルアミン又はアミドアミン(B)の好適な具体例としては、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミン、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミン、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ベヘニン酸アミドプロピルジメチルアミン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンなどの長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸アミドプロピルジエタノールアミン、ステアリン酸アミドプロピルジエタノールアミン等が挙げられる。
中でも、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミン、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミン、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ベヘニン酸アミドプロピルジメチルアミン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミン又はその塩が特に好ましい。
【0028】
なお、上記例中の「長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン」は、例えば、脂肪酸あるいは脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体と、ジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンとを縮合反応させ、その後、未反応のジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンを減圧又は窒素ブローにて留去することにより得られる。
他方、「脂肪族エステルアルキル3級アミン」は、例えば、脂肪酸あるいは脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体と、ジアルキルアミノアルコールとを縮合させるエステル化反応により得られる。
【0029】
ここで、脂肪酸又は脂肪酸誘導体としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等の植物油又は動物油脂肪酸等、又は、これらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライド等が具体的に挙げられ、中でも、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等が特に好ましい。
これら脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0030】
「ジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミン」としては、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン等が具体的に挙げられ、中でも、ジメチルアミノプロピルアミンが特に好ましい。
「ジアルキルアミノアルコール」としては、例えばジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノアルコール等が挙げられる。ジエチルアミノアルコールとしては、ジエチルアミノエタノールが好ましい。これらの中でも、ジメチルアミノエタノールが特に好ましい。
【0031】
なお、長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミンを製造する際のジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対し、0.9〜2.0倍モルが好ましく、1.0〜1.5倍モルが特に好ましい。
反応温度は、通常100〜220℃であり、好ましくは150〜200℃である。反応温度が100℃未満では反応が遅くなりすぎ、220℃超では得られる3級アミンの着色が顕著となる恐れがあり、好ましくない。
【0032】
脂肪族エステルアルキル3級アミンを製造する際のエステル化反応におけるジアルキルアミノアルコールの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対して、0.1〜5.0倍モルが好ましく、0.3〜3.0倍モルがより好ましく、0.9〜2.0倍モルがさらに好ましく、1.0〜1.5倍モルが特に好ましい。
反応温度は、通常100〜220℃であり、好ましくは120〜180℃である。この範囲においては、適度な反応速度を保ち、かつ、得られる3級アミンの過度の着色を防ぐことができる。
【0033】
長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン、脂肪族エステルアルキル3級アミンの上記以外の製造条件は同様であり、反応時の圧力は常圧でも減圧でも良く、反応時に窒素等の不活性ガスを吹き込むことにより導入することも可能である。
また、脂肪酸を用いる場合は、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒、脂肪酸誘導体を用いる場合は、ナトリウムメチラート、苛性カリ、苛性ソーダ等のアルカリ触媒を用いることで、低い反応温度で短時間により効率良く反応を進行させることができる。
また、得られる3級アミンが、融点が高い長鎖アミンの場合には、ハンドリング性を向上させるため、反応後、フレーク状又はペレット状に成形することが好ましく、又は、エタノール等の有機溶媒に溶解し液状にすることが好ましい。
【0034】
長鎖脂肪族アルキルアミン又はアミドアミン(B)のその他の好適な具体例としては、ラウリルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、椰子アルキルジメチルアミン、パルミチルジメチルアミン、牛脂アルキルジメチルアミン、硬化牛脂アルキルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ステアリルジエタノールアミン、ポリオキシエチレン硬化牛脂アルキルアミン(ライオンアクゾ(株)製 商品名:ETHOMEEN HT/14等)、又はこれらの塩が挙げられる。
【0035】
上記の長鎖脂肪族アルキルアミン及びアミドアミン(B)は、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
本発明において、長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミン(B)の配合量は、色調防止剤添加後の洗浄剤組成物中0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。成分(B)の配合量を0.1質量%以上とすることにより良好な色物の色調変化防止効果が得られる。他方、成分(B)の配合量を10質量%以下とすることにより良好な白物衣料の黄ばみ防止効果が得られ、組成物の安定性が向上するとともに、経済的にも有利となる。
【0036】
(C)色調変化防止剤
本発明の色調変化防止剤はカルボキシメチルセルロースを含む。前記カルボキシメチルセルロースとしては特に限定はされず、一般に、セルロースに苛性ソーダを作用させてアルカリセルロースを作り、これにモノクロール酢酸が反応し、セルロースの水酸基にカルボキシメチル基が導入されて生成されるものである。単位セルロース当たり3個の水酸基があり、全てにカルボキシメチル基を導入すると、エーテル化度3のものになる。本発明で使用されるものは、製造が容易で液安定性の良好な、エーテル化度0.5〜1.5のものである。
通常調製されるカルボキシメチルセルロースの重量平均分子量は数万Mw〜数百万Mwであり、本発明においては色物繊維製品の色調変化防止効果の観点から、100万Mw以下、好ましくは60万Mw/万Mw以下のカルボキシメチルセルロースを使用することが好ましい。
具体的としては、例えばダイセル化学工業(株)の、CMCダイセル1105(重量平均分子量6万Mw)、1110(重量平均分子量25万Mw)、1130(重量平均分子量30万Mw)、1140(重量平均分子量62万Mw)、1170(重量平均分子量68万Mw)、1190(重量平均分子量82万Mw)、1205(重量平均分子量9万Mw)、1210(重量平均分子量16万Mw)、1240(重量平均分子量38万Mw)、1250(重量平均分子量44万Mw)、1270(重量平均分子量62万Mw)、1290(重量平均分子量99万Mw)、1330(重量平均分子量52万Mw)、1350(重量平均分子量76万Mw)、1380(重量平均分子量111万Mw)等が挙げられる。重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィ)により高重合度ポリエチレングリコールを基準物質として測定したものである。
本発明の色調変化防止剤はカルボキシメチルセルロース単独であってもよいし、後述するように、必要に応じて他の任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
【0037】
(D)pH
本発明の色調変化防止剤添加後の洗浄剤組成物では、色調変化防止効果を良好に保つ点と組成物を長期保存した際における良好な安定性を保つ点からpH4以上が好ましく。色調変化防止効果を良好に保つ点から8以下とすることが好ましい。
pHを8以下に調整するには、pH調整剤を適宜配合すれば良い。pH調整剤としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて随意であるが、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等が配合安定性の面から好ましい。
【0038】
また、本発明は、上記の(A) ノニオン界面活性剤、(B) 長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミン、及び、(C) 色調変化防止剤を含む、液体洗浄剤組成物に関する。
本発明の洗浄剤組成物には、必要に応じて他の任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で含まれていてもよい。前記の任意成分は、最終的に色調変化防止剤を添加した後の液体洗浄剤組成物の中に含まれていればよく、即ち、カルボキシメチルセルロースと共に色調変化防止剤に含まれていてもよいし、色調変化防止剤添加前の(A) ノニオン界面活性剤、及び、(B) 長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミンを含む液体洗浄剤組成物に当初より含まれていてもよい。
配合可能な他の成分としては、例えば、洗浄性能向上や配合安定性向上等を目的として、酵素(プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)、安定化剤(安息香酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、多価アルコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレン(プロピレン)グリコールフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールフェニルエーテル等)、風合い向上剤、pH調整剤、防腐剤、ハイドロトロープ剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤、ソイルリリース剤等を配合することができる。
【0039】
その他、商品の付加価値向上等を目的として、着色剤や着香剤、乳濁化剤等を配合することもできる。着色剤としては、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青1号、青色205号、ターコイズP−GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料が使用でき、好ましい配合量としては、0.00005〜0.0005質量%程度である。
着香剤は、例えば特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A、B、C、Dが使用でき、好ましい配合量としては、0.1〜1質量%である。
乳濁化剤は、ポリスチレンエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30〜50質量%のエマルジョンが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルジョン(サイデン化学社製(商品名)サイビノールRPX−196 PE−3、固形分40質量%)等が使用でき、好ましい配合量としては、0.01〜0.5質量%である。
【0040】
本発明の色調変化防止剤を加えた液体洗浄剤組成物は、その調製方法が特に制限されるものではなく、通常の液体洗浄剤組成物と同様、常法に準じて成分(A)〜(C)、上記任意成分、更に適宜水を配合し、これらを混合することによって調製することができる。
また、本発明の色調変化防止剤を加えた液体洗浄剤組成物は、樹脂製等の容器に充填して使用に供することができる。前記液体洗浄剤組成物の使用方法は特に限定されず、手による洗浄でも洗濯機による洗浄でもよい。例えば、通常の洗濯機による洗浄の場合、洗濯機内に被洗物を投入した後、洗濯機槽内に水を充満させ、さらに適当な濃度になるように本発明の組成物を添加し、溶解させて洗濯液を得、これによって被洗物を洗浄することができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の表1〜3のように、色調変化防止剤等の成分を混合して、液体洗浄剤組成物として実施例1〜19及び比較例1〜5を作製し、色物衣料および白物衣料について色調変化の評価を行った。試験の評価基準及び結果は以下の通りである。
【0042】
●洗浄処理の方法
市販色物(青色)衣料(綿100%、(株)ビッグジョン製)及び市販白物衣料(綿100%、グンゼ産業(株))1kgを東芝製、全自動洗濯機(AW-F80HVP)に入れ、各液体洗浄剤組成物を水道水30Lに40mlの割合で用い、弱水流で洗浄時間6分、脱水1分、その後ためすすぎ(2回繰り返し、各4分)、脱水1分を1工程とした洗濯操作を行った。用いた水道水は温度25℃になるよう調整を行った。
●色調変化の評価
洗浄処理を10工程処理した衣料を陰干しして25℃で24時間乾燥させた後、専門パネラー10名による目視観察にて洗浄前衣類との色調変化の度合を比較した。下記評価基準に従って評価を下し、10名の合計点を評点とした。
<色物衣料の評価基準>
洗浄前衣料とほぼ同等の色調を有していた: 5点
洗浄前衣料よりわずかに色調の変化が認められたが、実質的に問題がない: 4点
洗浄前衣料よりやや色調の変化が認められたが、実質的に問題がない: 3点
洗浄前衣料より色調の変化が認められた: 2点
洗浄前衣料より著しく色調の変化が認められた: 1点
10人の合計点が45以上のとき◎◎、44〜40のとき◎、39〜30のとき○、29以下の時には△とした。○以上であれば色調変化防止効果があるものとする。
<白物衣料の評価基準>
黄ばみは認められなかった: 5点
洗浄前衣料よりわずかに黄ばみの変化が認められたが、実質的に問題がない: 4点
洗浄前衣料よりやや黄ばみの変化が認められたが、実質的に問題がない: 3点
洗浄前衣料より黄ばみの変化が認められた: 2点
洗浄前衣料より著しく黄ばみの変化が認められた: 1点
10人の合計点が45以上のとき◎◎、44〜40のとき◎、39〜30のとき○、29以下の時には△とした。○以上であれば黄ばみ変化防止効果があるものとする。
なお、表中の数字は各成分の含有量を質量%で表したものである。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
表中、成分(A)として、
(a-1):Cn2n+1O(EO)15H(n=12/13混合物(質量比55/45))、合成品。
(a-2):C1327O(EO)7H(C鎖長:分岐型)、BASF社製(商品名)Lutensol TO7
を使用した。
【0047】
なお、(a-1)の製造方法は以下の通りである。
Sasol製(商品名)Safol23アルコール(分岐率50%)224.4g、30質量%NaOH水溶液2.0gを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。
次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを攪拌しながら、酸化エチレン(ガス状)763.6gをアルコール液中に徐々に加えた。このとき、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら加えた。
酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応の酸化エチレンを留去した。
次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、(a-1)を得た。
【0048】
表中、成分(B)としては、
(b-1):Cn2n+1CONH(CH23N(CH32(n=15/17混合物(質量比3/7))、東邦化学(株)製(商品名)カチナールMPAS−R
(b-2):C1633N(CH32、ライオンアクゾ(株)製(商品名)アーミンDM16D。
(b-3):C1123CONH(CH23N(CH32、合成品。
を使用した。
なお、(b-3)の製造方法は以下の通りである。
1リットルの四つ口フラスコに、ラウリン酸261gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを2時間で滴下した。
滴下終了後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したラウリン酸の転化率は98%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、(b-3)を得た。
【0049】
表中、成分(C)としては、
(c-1):ダイセル化学工業株式会社製、CMCダイセル1330 重量平均分子量52万Mw
(c-2):ダイセル化学工業株式会社製、CMCダイセル1105 重量平均分子量6万Mw
(c-3):ダイセル化学工業株式会社製、CMCダイセル1290 重量平均分子量99万Mw
(c-4):ダイセル化学工業株式会社製、CMCダイセル1190 重量平均分子量82万Mw
を使用した。
【0050】
また、共通成分において、各成分の詳細は以下の通りである。
POE変性シリコーン:ポリエーテル変性シリコーン、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製(商品名)SH3775M。
ソカランCP9:オレフィン・マレイン酸共重合体ナトリウム塩、BASF社製(商品名)Sokalan CP9。
安息香酸ナトリウム:東亞合成製(商品名)安息香酸ナトリウム。
クエン酸3ナトリウム:マイルス社(米国)製(商品名)クエン酸ソーダ。
パラトルエンスルホン酸:協和発酵工業(株)製(商品名)PTS酸。
ジブチルヒドロキシトルエン:住友化学工業製(商品名)SUMILIZER BHT−R。
イソチアゾロン液:ローム・アンド・ハース社製(商品名)ケーソンCG(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/マグネシウム塩/水混合液)。
色素(アシッドレッド138):住友化学工業製(商品名)スミノールミーリングブリリアントレッドBS。
香料:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシメチルセルロースを含む、色物繊維製品の色調変化防止剤であって、(A) ノニオン界面活性剤、及び、(B) 長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミンを含む液体洗浄剤組成物に添加するための、色調変化防止剤。
【請求項2】
色調変化防止剤添加後の液体洗浄剤組成物のpHが4〜8となる、請求項1記載の色調変化防止剤。
【請求項3】
カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量が100万Mw以下である、請求項1又は2記載の色調変化防止剤。
【請求項4】
(A) ノニオン界面活性剤、
(B) 長鎖脂肪族アルキルアミン及び/又はアミドアミン、及び、
(C) 請求項1から3のいずれか1項記載の色調変化防止剤
を含む液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
さらに、(D) pH4〜8である、請求項4記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
ノニオン界面活性剤を10〜50質量%含む、請求項4又は5記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
アルキルアミン及び/又はアミドアミンを0.1〜10質量%含む、請求項4から6のいずれか1項記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
カルボキシメチルセルロースを0.1〜2質量%含む、請求項4から7のいずれか1項記載の液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−13336(P2009−13336A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178477(P2007−178477)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】