説明

艶消仕上げポリイミドフィルムおよびそれに関連する方法

本開示は、8〜152マイクロメートルの厚さ、2〜35の60度光沢値、2以上の光学密度および1400V/ミル超の絶縁耐力を有するベースフィルムを指向する。ベースフィルムは、ベースフィルムの71〜96重量パーセントの量で化学的に転化された(部分または全芳香族)ポリイミドを含む。ベースフィルムは顔料および艶消剤をさらに含む。艶消剤は、ベースフィルムの1.6〜10重量パーセントの量で存在し、1.3〜10マイクロメートルの中央粒径を有し、そして2〜4.5g/ccの密度を有する。顔料は、ベースフィルムの2〜9重量パーセントの量で存在する。本開示はまた、接着層と組み合わせてベースフィルムを含むカバーレイフィルムを指向する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、カバーレイ用途に有用であり、そして有利な誘電特性および光学特性を有する艶消仕上げベースフィルムに関する。より具体的には、本開示の艶消仕上げベースフィルムは、(熱転化プロセスとは対照的に)化学転化プロセスによってイミド化されたポリイミドフィルム中に比較的低濃度の顔料および艶消剤を含む。
【背景技術】
【0002】
大まかに言って、カバーレイは、電子材料を保護するための、たとえば、フレキシブルプリント回路基板、電子部品、集積回路パッケージのリードフレームなどを保護するためのバリアフィルムとして公知である。しかし、許容される電気的特性(たとえば、絶縁耐力)を有するのみならず、カバーレイによって保護された電子部品の望まれない目視検査と不正使用とに対する安全性を提供するための許容される構造特性および光学特性をまた持ちながら、カバーレイが益々薄く、かつ低コストであることが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示はベースフィルムを指向する。このベースフィルムは、ベースフィルムの71〜96重量パーセントの量で化学的に転化されたポリイミドを含む。化学的に転化されたポリイミドは、i.ポリイミドの全体二酸無水物含量を基準として、少なくとも50モルパーセントの芳香族二酸無水物と、ii.ポリイミドの全体ジアミン含量を基準として少なくとも50モルパーセントの芳香族ジアミンとから誘導される。ベースフィルムは、ベースフィルムの2〜9重量パーセントの量で存在する低導電率カーボンブラック;および
a.ベースフィルムの1.6〜10重量パーセントの量で存在し、
b.1.3〜10マイクロメートルのメジアン粒径を有し、そして
c.2〜4.5g/ccの密度を有する
艶消剤をさらに含む。
【0004】
一実施形態においては、ベースフィルムは、i.8〜152マイクロメートルの厚さ;ii.2〜35の60度光沢値;iii.2以上の光学密度;およびiv.1400V/ミル超の絶縁耐力を有する。本開示はまた、接着層と組み合わせてベースフィルムを含むカバーレイフィルムを指向する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義
本明細書において使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらのあらゆるその他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。たとえば、要素のリストを含む方法、プロセス、物品、もしくは装置は、必ずしもそれらの要素にのみ限定されず、明確にリストされないか、またはこのような方法、プロセス、物品、もしくは装置に固有のその他の要素を含んでもよい。さらに、それとは反対であることを明記しない限り、「または(or)」は、包括的なまたはを意味し、排他的なまたはを意味しない。たとえば、条件AまたはBは次のいずれか1つで満たされる:Aは真であり(または存在し)かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在せず)かつBは真である(または存在する)、そしてAおよびBの両方とも真である(または存在する)。
【0006】
また、「a」または「an」の使用は、本発明の要素および成分を記載するために用いられる。これは、便宜上および本発明の一般的な意味を与えるために行われるにすぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを包含すると読まれるべきであり、単数は、それがそうではないと意味することが明白ではない限り、複数もまた包含する。
【0007】
「二酸無水物」は本明細書において使用される場合、形の上では二酸無水物でなくてもよいが、それにもかかわらずジアミンと反応して、ポリイミドに順繰りに転化することができるポリアミック酸を形成する、その前駆体または誘導体を包含することを意図する。
【0008】
「ジアミン」は本明細書において使用される場合、形の上ではジアミンでなくてもよいが、それにもかかわらず二酸無水物と反応して、ポリイミドに順繰りに転化することができるポリアミック酸を形成する、その前駆体または誘導体を包含することを意図する。
【0009】
「ポリアミック酸」は本明細書において使用される場合、二酸無水物およびジアミンモノマーまたはそれらの機能性等価物の化合から誘導される、そして化学転化プロセスによってポリイミドへ転化することができる、あらゆるポリイミド前駆体材料を包含することを意図する。
【0010】
「プレポリマー」は本明細書において使用される場合、約50〜100ポアズの溶液粘度を与えるために化学量論的過剰のジアミンを使用することによって製造される比較的低分子量のポリアミック酸溶液を意味することを意図する。
【0011】
「化学転化」または「化学的に転化された」は本明細書において使用される場合、ポリアミック酸をポリイミドに転化するために触媒(促進剤)もしくは脱水剤(または両方)の使用を意味し、次に高められた温度で98%超の固形分レベルまで乾燥される、部分的に化学的に転化されたポリイミドを包含することを意図する。
【0012】
「仕上げ液」は本明細書においては、分子量および粘度を高めるためにプレポリマー溶液に加えられる、極性の非プロトン性溶媒中の二酸無水物を意味する。使用される二酸無水物は典型的には、プレポリマーを製造するために使用された同じ二酸無水物(または2つ以上が使用されるときには同じ二酸無水物の1つ)である。
【0013】
量、濃度、またはその他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または好ましい上方値および好ましい下方値のリストのいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されてもされなくても、あらゆる上方範囲限界または好ましい値とあらゆる下方範囲限界または好ましい値とのあらゆるペアから形成されるすべての範囲を具体的に開示するとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書において列挙される場合、特にそうではないと明記しない限り、この範囲は、その終点、ならびにその範囲内のすべての整数および分数を包含することを意図する。本発明の範囲が範囲を定義するときに列挙される具体的な値に限定されることは意図しない。
【0014】
ある種のポリマーを記載する際に、時々出願人らがポリマーを、それらを製造するために使用されたモノマーまたはそれらを製造するために使用されたモノマーの量によって言及することは理解されるべきである。このような記載は、最終ポリマーを記載するために用いられる特有の命名を包含しないかもしれず、またはプロダクト・バイ・プロセス専門用語を含有しないかもしれないが、モノマーおよび量についてのあらゆるこのような言及は、文脈がそうではないことを示さない限りまたは暗示しない限り、ポリマーがそれらのモノマーから製造されることを意味すると解釈されるべきである。
【0015】
材料、方法、および本明細書における実施例は、例示的であるにすぎず、具体的に述べる場合を除いて、限定的であることを意図しない。本明細書に記載されるものに類似のまたは均等な方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は本明細書に記載される。
【0016】
ベースフィルム
本開示のベースフィルムは、ポリイミドが化学転化プロセスによって生み出される、充填剤入りポリイミドマトリクスを含む。(熱転化のみであるプロセスよりも優れた)化学転化プロセスの一利点は、十分低い光沢を達成するために必要な艶消剤の量が、熱転化プロセスが用いられる場合より、少なくとも10、20、30、40または50パーセント少ないことである。60度光沢値について一般に認められている範囲は、
<10 光沢のない
10〜70 艶のない、繻子のような、半光沢の(様々な用語が用いられる)
>70 光沢のある
である。
【0017】
ある実施形態においては、ベースフィルムは、次の:2、3、4、5、10、15、20、25、30および35のうち、任意の2つの間、および任意選択的に当該の2つの値を包含する60度光沢値を有する。ある実施形態においては、ベースフィルムは2〜35の60度光沢値を有する。ある実施形態においては、ベースフィルムは10〜35の60度光沢値を有する。60度光沢値は、Micro−TRI−Gloss光沢計を用いて測定される。艶消剤のより低いローディング(化学転化によって可能にされる)は、それが、i.全体コストを低くする;ii.ポリアミック酸(もしくはその他のポリイミド前駆体材料)中への艶消剤の分散を簡単にする;およびiii.生じたベースフィルムにより良好な機械的特性(たとえば、より少ない輝度)を提供するので、有利である。(熱転化のみであるプロセスよりも優れた)化学転化プロセスの別の利点は、化学的に転化されたベースフィルムの絶縁耐力がより高いことである。ある実施形態においては、ベースフィルム絶縁耐力は1400V/ミル(55V/マイクロメートル)より大きい。
【0018】
化学転化プロセスにおいて、ポリアミック酸溶液は、転化(イミド化)化学薬品中に浸漬されるかそれらと混合されるかのどちらかである。一実施形態においては、転化化学薬品は、第三級アミン触媒(促進剤)および酸無水物脱水材である。一実施形態においては、酸無水物脱水材は無水酢酸であり、それは多くの場合、ポリアミック酸中のアミック酸(アミド酸)基の量に対してモル過剰で、典型的にはポリアミック酸の1当量当たり約1.2〜2.4モルで使用される。一実施形態においては、匹敵する量の第三級アミン触媒が使用される。
【0019】
酸無水物脱水材としての無水酢酸の代替品としては、i.プロピオン酸、酪酸、吉草酸無水物、およびそれらの混合物などの、その他の脂肪族酸無水物;ii.芳香族モノカルボン酸の酸無水物;iii.脂肪族酸無水物と芳香族酸無水物との混合物;iv.カルボジイミド;ならびにv.脂肪族ケテン(ケテンは、酸の徹底的な脱水から誘導されるカルボン酸の無水物と見なすことができる)が挙げられる。
【0020】
一実施形態においては、第三級アミン触媒は、ピリジンおよびベータ−ピコリンであり、典型的には酸無水物脱水材のモルに類似の量で使用される。より低いまたはより高い量が、所望の転化速度および使用される触媒に依存して用いられてもよい。ピリジン、およびベータ−ピコリンとほぼ同じ活性を有する第三級アミンがまた使用されてもよい。これらには、アルファピコリン;3,4−ルチジン;3,5−ルチジン;4−メチルピリジン;4−イソプロピルピリジン;N,N−ジメチルベンジルアミン;イソキノリン;4−ベンジルピリジン、N,N−ジメチルドデシルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。イミダゾール類などの、イミド化のための様々なその他の触媒が当該技術分野において公知であり、本開示に従って有用であり得る。
【0021】
転化化学薬品は一般に、ほぼ室温またはそれより上で反応してポリアミック酸をポリイミドに転化することができる。一実施形態においては、化学転化反応は15℃〜120℃の温度で起こり、反応はより高い温度で非常に速く、より低い温度では比較的より遅い。
【0022】
一実施形態においては、化学的に処理されたポリアミック酸溶液は、加熱された転化表面または基材上へキャストするまたは押し出すことができる。一実施形態においては、化学的に処理されたポリアミック酸溶液は、ベルトまたはドラム上へキャストすることができる。溶媒は溶液から蒸発させることができ、ポリアミック酸は、ポリイミドへ部分的に化学的に転化することができる。生じた溶液はそのとき、ポリアミック酸−ポリイミドゲルの形態を取る。あるいは、ポリアミック酸溶液は、希釈溶媒ありもしくはなしで、酸無水物成分(脱水剤)、または第三級アミン成分(触媒)、または両方からなる転化化学薬品の浴中へ押し出すことができる。いずれにしても、ゲルフィルムが形成され、ゲルフィルム中のイミド基へのアミック酸基のパーセント転化は、接触時間および温度に依存するが、通常は約10〜75パーセント完了である。98%超の固形分レベルまで硬化させるために、ゲルフィルムは典型的には、高温(約200℃から約550℃まで)で乾燥させなければならず、それはイミド化を完了に向かわせる傾向があろう。ある実施形態においては、脱水剤および触媒の両方の使用が、ゲルフィルムの形成を促進するために好ましく、所望の転化速度を達成する。
【0023】
ゲルフィルムは、その高い溶媒含有率にもかかわらず自立する傾向がある。典型的には、ゲルフィルムは、水、残存溶媒、および残っている転化化学薬品を除去するためにその後乾燥され、このプロセスでポリアミック酸は本質的に完全にポリイミドへ転化される(すなわち、98%超イミド化される)。乾燥は、その時にポリアミック酸のポリイミドへの完全な転化なしに比較的穏和な条件で行うことができ、または乾燥および転化は、より高い温度を用いて同時に行うことができる。
【0024】
ゲルは、乾燥および転化工程中に除去されなければならない多くの液体を有するので、ゲルは一般に、望ましくない収縮を回避するために乾燥中ずっと拘束されなければならない。連続的製造においては、ベースフィルムは、テンターフレームなどで、拘束用のテンタークリップまたはピンを用いて、端を保持することができる。
【0025】
高温は、同一工程でベースフィルムを乾燥させ、さらなるイミド化を誘導してゲルフィルムをポリイミドベースフィルムへ転化するために、短時間用いることができる。一実施形態においては、ベースフィルムは200℃〜550℃の温度に加熱される。一般に、より薄いフィルムのために必要とされる熱と時間は、より厚いフィルムよりも少ない。
【0026】
このような乾燥および(ポリアミック酸からポリイミドへの)転化中に、ベースフィルムが過度に収縮するのを抑えることができ、事実、その最初の寸法の150パーセントほどに延伸することができる。フィルム製造において、延伸は、縦方向か横方向かのどちらか、または両方であることができる。必要ならば、ある限定された程度の収縮を可能にするために、拘束を調節することもできる。
【0027】
別の利点は、本開示の化学的に転化されたベースフィルムが、平滑な表面上へキャストされた場合でさえ、両面上で艶がないことである。ベースフィルムの両面が艶のない場合、あらゆる追加の層が、ベースフィルムのいずれの面に付けられてもよい。対照的に、同様に充填剤入りのポリイミド前駆体フィルムが熱的にのみ転化され、そして平滑な表面上にキャストされるとき、キャストされた側は、光沢がある傾向があり、空気側は艶がない傾向がある。
【0028】
さらに別の利点は、化学的に転化されたベースフィルムが単に熱的に転化されたベースフィルムと比較してより高い絶縁耐力を有することである。典型的には、絶縁耐力は、艶消剤の量が増えるにつれて低下する。そのため、艶消剤の量を増やすことによって、熱的のみのプロセスでは、低い60度光沢値を(空気側のみで)達成することができるが、絶縁耐力は低下するであろう。
【0029】
一実施形態においては、ポリアミック酸は、ほぼ等モル量の二酸無水物とジアミンとを溶媒に溶解させ、二酸無水物とジアミンとの重合が完了するまで、生じた溶液を制御された温度条件下に撹拌することによって製造される。分子量および粘度の当初の調節のために、典型的にはモノマーの1つ(通常はジアミン)がわずかに過剰な量で使用され、それらは次に、不足モノマーの少量の追加によって後で高めることができる。本開示のポリイミドに使用するための好適な二酸無水物の例としては、芳香族二酸無水物、脂肪族二酸無水物およびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態においては、芳香族二酸無水物は、
ピロメリット酸二無水物;
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物;
4,4’−オキシジフタル酸無水物;
3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物;
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン;
ビスフェノールA二酸無水物;ならびに
それらの混合物および誘導体
からなる群から選択される。
【0030】
別の実施形態においては、芳香族二酸無水物は、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;
1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;
2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物;
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物;
3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物;
1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物;
1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物;
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物;
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物;
オキシジフタル酸二無水物;
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物;
それらの混合物および誘導体
からなる群から選択される。
【0031】
脂肪族二酸無水物の例としては、
シクロブタン二酸無水物;
[1S*,5R*,6S*]−3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3−(テトラヒドロフラン−2,5−ジオン;
それらの混合物
が挙げられる。
【0032】
本開示のポリイミドに使用するための好適なジアミンの例としては、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミンおよびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態においては、芳香族ジアミンは、
3,4’−オキシジアニリン;
1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン;
4,4’−オキシジアニリン;
1,4−ジアミノベンゼン;
1,3−ジアミノベンゼン;
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(benzidene);
4,4’−ジアミノビフェニル;
4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド;
9,9’−ビス(4−アミノ)フルオレン(fluorine);
それらの混合物および誘導体
からなる群から選択される。
【0033】
別の実施形態においては、芳香族ジアミンは、
4,4’−ジアミノジフェニルプロパン;
4,4’−ジアミノジフェニルメタン;
ベンジジン;
3,3’−ジクロロベンジジン;
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン;
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン;
1,5−ジアミノナフタレン;
4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン;
4,4’−ジアミノジフェニルシラン(diphenysilane);
4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド;
4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン;
4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン;
1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン);
1,2−ジアミノベンゼン;
それらの混合物および誘導体
からなる群から選択される。
【0034】
好適な脂肪族ジアミンの例としては、
ヘキサメチレンジアミン、
ドデカンジアミン、
シクロヘキサンジアミン、
およびそれらの混合物
が挙げられる。
【0035】
一実施形態においては、化学的に転化されたポリイミドは、ピロメリット酸二無水物(「PMDA」)と4,4’−オキシジアニリン(「4,4’ODA」)とから誘導される。一実施形態においては、本開示のポリイミドは、上記のジアミンおよび二酸無水物のいずれかから誘導されるコポリイミドである。一実施形態においては、コポリイミドは、15〜85モル%のビフェニルテトラカルボン酸二無水物、15〜85モル%のピロメリット酸二無水物、30〜100モル%のp−フェニレンジアミンならびに任意選択的に0〜70モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび/または4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどから誘導される。このようなコポリイミドは、米国特許第4,778,872号明細書および米国特許第5,166,308号明細書にさらに記載されている。
【0036】
一実施形態においては、ポリイミド二酸無水物成分はピロメリット酸二無水物(「PMDA」)であり、ポリイミドジアミン成分は4,4’−オキシジアニリン(「4,4’ODA」)とp−フェニレンジアミン(「PPD」)との組み合わせである。一実施形態においてはポリイミド二酸無水物成分はピロメリット酸二無水物(「PMDA」)であり、ポリイミドジアミン成分は4,4’−オキシジアニリン(「4,4’ODA」)とp−フェニレンジアミン(「PPD」)との組み合わせであり、ここで、ODA対PPDの比(ODA:PPD)は、次のモル比:i.20〜80:80〜20;ii.50〜70:50〜30;またはiii.55〜65:45〜35のいずれかである。一実施形態においてはポリイミド二酸無水物成分はPMDAであり、ジアミン成分は、約60:40のODA対PPDのモル比(ODA:PPD)である。
【0037】
一実施形態においては、ポリイミド二酸無水物成分は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(「BPDA」)であり、ポリイミドジアミン成分は、4,4’−オキシジアニリン(「4,4’ODA」)とp−フェニレンジアミン(「PPD」)との組み合わせである。一実施形態においてはポリイミド二酸無水物成分はBPDAであり、ポリイミドジアミン成分は、4,4’ODAとPPDとの組み合わせであり、ここで、ODA対PPDの比(ODA:PPD)は、次のモル比:i.20〜80:80〜20;ii.50〜70:50〜30;またはiii.55〜65:45〜35のいずれかである。一実施形態においてはポリイミド二酸無水物成分はBPDAであり、ジアミン成分は、約60:40のODA対PPD(ODA:PPD)のモル比である。
【0038】
一実施形態においては、ポリアミック酸溶媒は、重合反応剤の1つまたは両方を溶解させなければならず、一実施形態においては、ポリアミック酸重合生成物を溶解させるであろう。溶媒は、重合反応剤のすべてと、ポリアミック酸重合生成物とに実質的に非反応性であるべきである。
【0039】
一実施形態においてはポリアミック酸溶媒は、より低分子量のカルボキシルアミド、特にN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジエチルアセトアミドなどの、液体のN,N−ジアルキルカルボキシルアミドである。このクラスの溶媒のその他の有用な化合物は、N,N−ジエチルホルムアミドおよびN,N−ジエチルアセトアミドである。使用されてもよいその他の溶媒は、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチルウレア、ジメチルスルホンなどである。溶媒は、単独でまたは互いに組み合わせて使用することができる。使用される溶媒の量は好ましくは、ポリアミック酸の75〜90重量%の範囲である。
【0040】
ポリアミック酸溶液は一般に、不活性雰囲気中で撹拌および制御された温度の条件下にジアミンを乾燥溶媒に溶解させ、二酸無水物をゆっくり加えることによって製造される。
【0041】
顔料
実質的にあらゆる顔料(または顔料の組み合わせ)を、本発明の遂行において使用することができる。ある実施形態においては、有用な顔料としては、次のもの:Barium Lemon Yellow、Cadmium Yellow Lemon、Cadmium Yellow Lemon、Cadmium Yellow Light、Cadmium Yellow Middle、Cadmium Yellow Orange、Scarlet Lake、Cadmium Red、Cadmium Vermilion、Alizarin Crimson、Permanent Magenta、Van Dyke brown、Raw Umber Greenish、またはBurnt Umberが挙げられるが、それらに限定されない。ある実施形態においては、有用なブラック顔料としては、酸化コバルト、Fe−Mn−Biブラック、Fe−Mn酸化物スピネルブラック、(Fe,Mn)2O3ブラック、銅クロマイトブラックスピネル、ランプブラック、骨炭、骨灰、ボーンチャー、ヘマタイト、ブラック酸化鉄、雲母状酸化鉄、ブラック錯体無機カラー顔料(CICP)、CuCr2O4ブラック、(Ni,Mn,Co)(Cr,Fe)2O4ブラック、アニリンブラック、ペリレンブラック、アントラキノンブラック、Chromium Green−Black Hematite、酸化クロム鉄、Pigment Green 17、Pigment Black 26、Pigment Black 27、Pigment Black 28、Pigment Brown 29、Pigment Black 30、Pigment Black 32、Pigment Black 33またはそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
ある実施形態においては、低導電性カーボンブラックが使用される。低導電性カーボンブラックの量およびベースフィルムの厚さが一般に、光学密度に影響を及ぼすであろう。低導電性カーボンブラックローディングレベルが過度に高い場合、ベースフィルムは、低導電性カーボンブラックが使用されるときでさえ導電性であろう。余りにも低い場合、ベースフィルムは、所望の光学密度および色を達成しない可能性がある。低導電性カーボンブラックは、本開示の目的のために、次の:8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140および152マイクロメートルのうち、任意の2つの間、および任意選択的に当該の2つの値を包含する厚さを有するベースフィルムの所望の光学密度を達成するためだけでなく、黒色をベースフィルムに付与するために使用される。ある実施形態においては、ベースフィルム厚さは8〜152マイクロメートルである。ある実施形態においては、ベースフィルム厚さは8〜127マイクロメートルである。さらに別の実施形態においては、ベースフィルム厚さは10〜40マイクロメートルである。低導電性カーボンブラックは、チャネル型ブラックまたはファーネスブラックを意味することを意図する。ある実施形態においては、骨炭が黒色を付与するために使用されてもよい。一実施形態においては、低導電性カーボンブラックは、次の:ベースフィルムの2、3、4、5、6、7、8および9重量パーセントのうち、任意の2つの間、および任意選択的に当該の2つの値を含有する量で存在する。ある実施形態においては、望ましい光学密度(不透明度)(たとえば、フレックス回路における導体痕跡を視界から隠すための)は2以上である。2の光学密度は、光の1×10-2または1%がベースフィルムを通って透過することを意味することを意図する。
【0043】
ある実施形態においては、低導電性カーボンブラックは、表面酸化されたカーボンブラックである。(カーボンブラックの)表面酸化の程度を評価するための一方法は、カーボンブラックの揮発分を測定することである。揮発分は、950℃で7分間カ焼されたときの減量を計算することによって測定することができる。一般的に言えば、高度に表面酸化されたカーボンブラック(高い揮発分)は、ポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体)中へ容易に分散させることができ、それは順繰りにイミド化して本開示の(十分に分散された)充填剤入りポリイミドベースポリマーにすることができる。カーボンブラック粒子(凝集体)が互いに接触していない場合、電子トンネル、電子ホッピングまたはその他の電子流れメカニズムは一般に抑えられ、より低い導電性をもたらす。ある実施形態においては、低導電性カーボンブラックは、1%以上の揮発分を有する。ある実施形態においては、低導電性カーボンブラックは、5、9、または13%以上の揮発分を有する。ある実施形態においては、ファーネスブラックは、揮発分を増やすために表面処理されてもよい。
【0044】
単離された、個々の粒子(凝集体)の一様な分散系は、導電性を低下させるのみならず、さらに一様な色の強さを生み出す傾向がある。ある実施形態においては、低導電性カーボンブラックは粉砕される。ある実施形態においては、低導電性カーボンブラックの平均粒径は、次のサイズ:0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9および1.0マイクロメートルのうち、任意の2つの間である(および任意選択的に当該の2つの値を含有する)。ベースフィルムの厚さは、具体的な用途に合わせることができる。
【0045】
ある実施形態においては、染料が使用されてもよい。有用な染料の例は、ニグロシンブラック、モノアゾクロム錯体ブラック、またはそれらの混合物であるが、それらに限定されない。ある実施形態においては、染料と顔料との混合物が使用されてもよい。
【0046】
艶消剤
ポリマー材料は典型的には固有の表面光沢を有する。光沢を制御する(およびそれによって艶のない表面特性を生み出す)ための様々な添加剤アプローチが、光沢のないおよび低光沢の表面特性を達成するために可能である。大まかに言って、添加剤アプローチはすべて、(微小規模で)粗い、そして不規則な形状である、それ故、離れた(たとえば、50センチメートル超の)観察者に反射される光がより少ないことを可能にする修正表面を生み出すための――同じ基礎物理に基づいている。光の多重線が光沢のある表面に衝突するとき、光のほとんどは類似の角度で反射され、それ故比較的高いレベルの光反射を観察することができる。同じ光源が艶のない(すなわち不規則な)表面に衝突するとき、光は多くの異なる方向に散乱されそしてまた、はるかにより高い画分が吸収される。それ故に粗い表面上では、光はすべての方向に拡散的に散乱される傾向があり、画像形成品質は大きく低下する(反射物体はもはや光り輝いて見えず、不鮮明に見える)。
【0047】
光沢レベルについて具体的な表面を特性化するために用いられる光沢計は、この同じ原理に基づくものである。典型的には、光源は固定角度で表面に衝突し、反射後に反射光の量がフォトセルによって読み取られる。反射は、多数の角度で読み取ることができる。完全に光沢のある表面についての最大光沢性能は100%反射を示す傾向があるが、まったく光沢のない表面は0%反射を示す傾向がある。
【0048】
シリカは、すり潰し、フィルタにかけて特有の粒径範囲にすることができる無機粒子である。シリカ粒子の非常に不規則な形状および気孔率ならびに低コストは、それを人気のある艶消剤にする。その他の潜在的な艶消剤としては、i.ホウ化物、窒化物、炭化物およびその他の酸化物(たとえば、アルミナ、チタニアなど)などの、その他のセラミックス;ならびにii.有機粒子が化学的に転化されたポリイミドの加工温度(選択される特定のポリイミド加工に依存して、約250℃〜約550℃の加工温度)に耐えることができるという条件で、有機粒子を挙げることができる。ポリイミド用途に有用であり得る(ポリイミド合成の熱的条件に耐えることができる)一つの艶消剤はポリイミド粒子である。
【0049】
艶消剤の量、メジアン粒径および密度は、所望の60度光沢値を生み出すのに十分でなければならない。ある実施形態においては、ベースフィルム60度光沢値は、次の:2、5、10、15、20、25、30および35のうち、任意の2つの間、および任意選択的に当該の2つの値を包含する。ある実施形態においては、ベースフィルム60度光沢値は10〜35である。
【0050】
ある実施形態においては、艶消剤は、次の:ベースフィルムの1.6、2、3、4、5、6、7、8、9および10重量パーセントのうち、任意の2つの間、および任意選択的に当該の2つの値を包含する量で存在する。ある実施形態においては、艶消剤は、次の:1.3、2、3、4、5、6、7、8、9および10マイクロメートルのうち、任意の2つの間、および任意選択的に当該の2つの値を含有するメジアン粒径を有する。艶消剤粒子は、約10マイクロメートル未満の(またはそれに等しい)および約1.3マイクロメートルより大きい(またはそれに等しい)平均粒径を有するべきである。より大きい艶消剤粒子は、最終ベースフィルムの機械的特性に負の影響を及ぼす可能性がある。ある実施形態においては、艶消剤は、次の:2、3、4および4.5g/ccのうち、任意の2つの間、および任意選択的に当該のの2つの値を包含する密度を有する。ある実施形態においては、艶消剤の量がベースフィルムの1.6重量パーセントより下である場合には、所望の60度光沢値は、艶消剤メジアン粒径および密度が所望の範囲にあるときでさえ達成されない。ある実施形態においては、メジアン粒径が1.3マイクロメートル未満である場合には、所望の60度光沢値は、艶消剤の量および密度が所望の範囲にあるときでさえ達成されない。ある実施形態においては、艶消剤は、シリカ、アルミナ、硫酸バリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0051】
ベースフィルムは、化学的に転化された、充填剤入りポリイミド層を製造するための当該技術分野において周知のあらゆる方法によって製造することができる。このような一実施形態においては、低導電性カーボンブラックを含むスラリーが調製され、艶消剤スラリーが調製される。スラリーは、所望の粒径に達するためにボールミルを用いて粉砕されてもされなくてもよい。スラリーは、あらゆる残存する大きい粒子を除去するために濾過されてもされなくてもよい。ポリアミック酸溶液は、当該技術分野において周知の方法によって製造することができる。ポリアミック酸溶液は濾過されてもされなくてもよい。ある実施形態においては、この溶液は、低導電性カーボンブラックスラリーおよび艶消剤スラリーと高剪断ミキサーで混合される。ポリアミック酸溶液がわずかに過剰のジアミンを使って製造されるとき、追加の二酸無水物溶液が、混合物の粘度をフィルムキャスティングのための望ましいレベルまで高めるために加えられても加えられなくてもよい。ポリアミック酸溶液、低導電性カーボンブラックスラリー、および艶消剤スラリーの量は、硬化ベースフィルム中で所望のローディングレベルを達成するために調節することができる。ある実施形態においては、混合物は0℃より下に冷却され、部分的にイミド化されたゲルフィルムを生成するために加熱された回転ドラムまたはベルト上へキャストする前に転化化学薬品と混合される。ゲルフィルムは、ドラムまたはベルトから剥離され、テンターフレームに入れられ、溶媒を除去しそして98%超の固形分レベルまでイミド化を完了するために、対流加熱および放射加熱を用いて、オーブン中で硬化させられてもよい。
【0052】
接着剤
ある実施形態においては、ベースフィルムは、ベースフィルムおよび接着層を含む多層フィルムである。本開示のベースフィルムは、いったん付けられた、ベースフィルムを所定の位置に維持するための接着層を含むことができる。一実施形態においては、接着剤は、エポキシ樹脂と硬化剤とからなり、任意選択的に、エラストマー、硬化促進剤(触媒)、硬化剤、充填剤および難燃剤などの、追加の成分をさらに含有する。
【0053】
ある実施形態においては、接着剤はエポキシ樹脂である。ある実施形態においては、エポキシ樹脂は、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
ビスフェノールS型エポキシ樹脂、
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、
ビフェニル型エポキシ樹脂、
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、
アラルキル型エポキシ樹脂、
ジシクロペンタジエン(petadiene)型エポキシ樹脂、
多機能型エポキシ樹脂、
ナフタレン型エポキシ樹脂、
ゴム変性エポキシ樹脂、および
それらの混合物
からなる群から選択される。
【0054】
別の実施形態においては、接着剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂である。ある実施形態においては、接着剤は2つ以上のエポキシ樹脂の混合物である。ある実施形態においては、接着剤は、異なる分子量を有する同じエポキシ樹脂の混合物である。
【0055】
ある実施形態においては、エポキシ接着剤は硬化剤を含有する。一実施形態においては、硬化剤はフェノール系化合物である。ある実施形態においては、フェノール系化合物は、
ノボラック型フェノール樹脂、
アラルキル型フェノール樹脂、
ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、
多機能型フェノール樹脂、
窒素含有フェノール樹脂、
ジシクロペンタジエン(petadiene)型フェノール樹脂、
リン含有フェノール樹脂、および
トリアジン含有フェノールノボラック樹脂
からなる群から選択される。
【0056】
別の実施形態においては、硬化剤は芳香族ジアミン化合物である。ある実施形態においては、芳香族ジアミン化合物はジアミノビフェニル化合物である。ある実施形態においては、ジアミノビフェニル化合物は、4,4’−ジアミノビフェニルまたは4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルである。ある実施形態においては、芳香族ジアミン化合物はジアミノジフェニルアルカン化合物である。ある実施形態においては、ジアミノジフェニルアルカン化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルメタンまたは4,4’−ジアミノジフェニルエタンである。ある実施形態においては、芳香族ジアミン化合物はジアミノジフェニルエーテル化合物である。ある実施形態においては、ジアミノジフェニルエーテル化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルまたはジ(4−アミノ−3−エチルフェニル)エーテルである。ある実施形態においては、芳香族ジアミン化合物はジアミノジフェニルチオエーテル化合物である。ある実施形態においては、ジアミノジフェニルチオエーテル化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテルまたはジ(4−アミノ−3−プロピルフェニル)チオエーテルである。ある実施形態においては、芳香族ジアミン化合物はジアミノジフェニルスルホン化合物である。ある実施形態においては、ジアミノジフェニルスルホン化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンまたはジ(4−アミノ−3−イソプロピルフェニル)スルホンである。ある実施形態においては、芳香族ジアミン化合物はフェニレンジアミンである。一実施形態においては、硬化剤はアミン化合物である。ある実施形態においては、アミン化合物はグアニジンである。ある実施形態においては、グアニジンはジシアンジアミド(DICY)である。別の実施形態においては、アミン化合物は脂肪族ジアミンである。ある実施形態においては、脂肪族ジアミンは、エチレンジアミンまたはジエチレンジアミンである。
【0057】
ある実施形態においては、エポキシ接着剤は触媒を含有する。ある実施形態においては、触媒は、イミダゾール型、トリアジン型、2−エチル−4−メチル−イミダゾール、トリアジン含有フェノールノボラック型およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0058】
ある実施形態においては、エポキシ接着剤はエラストマー強化剤を含有する。ある実施形態においては、弾性強化剤は、エチレン−アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシ末端アクリロニトリル−ブタジエンゴムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0059】
ある実施形態においては、エポキシ接着剤は難燃剤を含有する。ある実施形態においては、難燃剤は、三水酸化アルミニウム、メラミンポリホスフェート、縮合ポリホスフェートエステル、その他のリン含有難燃剤およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0060】
ある実施形態においては、接着層は、
ポリイミド、
ブチラールフェノール系、
ポリシロキサン、
ポリイミドシロキサン、
フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、
パーフルオロアルコキシコポリマー、
エチレン酢酸ビニルコポリマー、
エチレン酢酸ビニルグリシジルアクリレートターポリマー、
エチレン酢酸ビニルグリシジルメタクリレートターポリマー、
接着促進剤入りエチレンアルキルアクリレートコポリマー、
接着促進剤入りエチレンアルキルメタクリレートコポリマー、
エチレングリシジルアクリレート、
エチレングリシジルメタクリレート、
エチレンアルキルアクリレートグリシジルアクリレートターポリマー、
エチレンアルキルメタクリレートグリシジルアクリレートターポリマー、
エチレンアルキルアクリレート無水マレイン酸ターポリマー、
エチレンアルキルメタクリレート無水マレイン酸ターポリマー、
エチレンアルキルアクリレートグリシジルメタクリレートターポリマー、
エチレンアルキルメタクリレートグリシジルメタクリレートターポリマー、
アルキルアクリレートアクリロニトリルアクリル酸ターポリマー、
アルキルアクリレートアクリロニトリルメタクリル酸ターポリマー、
その塩を含むエチレンアクリル酸コポリマー、
その塩を含むエチレンメタクリル酸コポリマー、
アルキルアクリレートアクリロニトリルグリシジルメタクリレートターポリマー、
アルキルメタクリレートアクリロニトリルグリシジルメタクリレートターポリマー、
アルキルアクリレートアクリロニトリルグリシジルアクリレートターポリマー、
アルキルメタクリレートアクリロニトリルグリシジルアクリレートターポリマー、
ポリビニルブチラール、
エチレンアルキルアクリレートメタクリル酸ターポリマーおよびその塩、
エチレンアルキルメタクリレートメタクリル酸ターポリマーおよびその塩,
エチレンアルキルアクリレートアクリル酸ターポリマーおよびその塩、
エチレンアルキルメタクリレートアクリル酸ターポリマーおよびその塩、
エチレンマレイン酸エチル水素、
エチレンアルキルアクリレートマレイン酸エチル水素、
エチレンアルキルメタクリレートマレイン酸エチル水素、
およびそれらの混合物
からなる群から選択される。
【0061】
ある実施形態においては、多層フィルムはカバーレイフィルムである。
【0062】
以下の実施例において、すべての部および百分率は、特に明記しない限り重量による。
【実施例】
【0063】
本発明は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することを意図しない、以下の実施例でさらに説明される。
【0064】
光学密度は、Macbeth TD904光学式濃度計で測定した。5〜10の個々の測定値の平均を記録した。
【0065】
60度光沢値は、Micro−TRI−Gloss光沢計,Gardner USA,Columbia,MDで測定した。5〜10の個々の測定値の平均を記録した。
【0066】
表面抵抗率は、UR型同心リングプローブのAdvantest Model R8340超高抵抗計を用いて測定し、1000ボルトで測定した。3〜5の個々の測定値の平均を記録した。
【0067】
絶縁耐力は、ASTM D149に従って、Beckman Industrial AC Dielectric Breakdown Testerを用いて測定した。5〜10の個々の測定値の平均を記録した。
【0068】
メジアン粒径は、Horiba LA−930粒径分析計、Horiba,Instruments,Inc.,Irvine CAを用いて測定した。DMAC(ジメチルアセトアミド)をキャリア流体として使用した。
【0069】
連続フィルムキャスティングプロセスを用いてサンプルを製造したとき、灰化処理を用いてフィルム中の艶消剤の量を確認した。フィルムを、炉中900℃で加熱することによって灰化させてポリマーおよび低導電性カーボンブラックのすべてを焼き払い、白色の艶消剤残渣のみを残した。灰化前後の重量の比較は、フィルムが含有する艶消剤の量を示す。
【0070】
ポリアミック酸粘度測定は、RV/HA/HB #7スピンドルかLV #5スピンドルかのどちらかを用いるBrookfield Programmable DV−II+粘度計で行った。粘度計速度を、許容されるパーセントトルク値を提供するために5〜100rpmで変えた。読取り値を25℃に温度補正した。
【0071】
実施例1〜5は、低い量の艶消剤で高い絶縁耐力だけでなくベースフィルムの両面上での低い60度光沢値(艶のない外観)を達成することを実証する。
【0072】
実施例1
80重量%DMAC、10重量%ポリアミック酸プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)、および10重量%低導電性カーボンブラック粉末(Evonik Degussa製の、Special Black 4)からなる、カーボンブラックスラリーを調製した。原料をロータステータ高速分散ミルで十分に混合した。スラリーを次に、あらゆる大きい凝集塊を分散させるためにおよび所望の粒径を達成するためにボールミルで処理した。スラリーのメジアン粒径は0.3マイクロメートルであった。
【0073】
75.4重量%DMAC、9.6重量%ポリアミック酸プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)、および15.0重量%シリカ粉末(W.R.Grace Co.製の、Syloid(登録商標)C 803)からなる、シリカスラリーを調製した。原料を高剪断ロータ−ステータ型ミキサーで十分に混合した。メジアン粒径は3.3〜3.6マイクロメートルであった。
【0074】
16.4kgのカーボンブラックスラリーを、50ガロン(189.3リットル)タンク中で158kgのPMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)に混ぜ込んだ。タンクに、3つの独立して制御される攪拌機シャフト:低速アンカーミキサー、高速ディスク分散機、および高剪断ロータ−ステータ乳化機を備え付けた。混合物を、分子量および粘度を約3000ポアズに高めるために、DMAC中5.8重量%PMDA溶液の約7kgを徐々に加え、混合することによって「仕上げ」た。混合物を過度に加熱することなく、アンカー、分散機、および乳化機の速度を必要に応じて調節して効率的な混合および分散を確実にした。混合物の温度を、冷却したエチレングリコールを混合タンク外套に流すことによってさらに調節した。仕上がった溶液を、20マイクロメートルフィルタを通して濾過し、同伴空気を除去するために真空脱気した。
【0075】
シリカスラリーを、仕上がったポリマー/カーボンブラック混合物の定量供給流れ中へ計量供給し、高剪断ロータ−スタータミキサーを用いて十分に混合した。組み合わせた流れを約6℃に冷却し、転化化学薬品無水酢酸(ポリマー溶液の1cm3当たり0.14cm3)および3−ピコリン(ポリマー溶液の1cm3当たり0.15cm3)を定量供給して混合し、そしてフィルムを、スロットダイを用いて90℃の熱い回転ドラム上へキャストした。生じたゲルフィルムをドラムから剥離し、テンタオーブン中へ供給し、そこで、対流加熱および放射加熱を用いて、それを乾燥させ、98%超の固形分レベルまで硬化させた。ベースフィルムは、5重量%カーボンブラックおよび3.5重量%シリカを含有した。
結果を表1に示す。
【0076】
実施例2
41.7重量%DMAC、23.3重量%ポリアミック酸プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)、および約2.2マイクロメートルのメジアン粒径の35.0重量%アルファアルミナ粉末からなるアルミナスラリーを調製した。原料をロータステータ高速分散ミルで十分に混合した。
【0077】
アルミナスラリーを、転化化学薬品と一緒に、実施例1の仕上がったポリマー/カーボンブラック混合物の冷却された(−7℃)定量供給流れ中へ計量供給し、ポリイミドフィルムを、本質的に実施例1と同じ方法を用いてキャストし、硬化させた。生じたベースフィルムは、5重量%カーボンブラックおよび7重量%アルミナを含有する。
結果を表1に示す。
【0078】
実施例3
カーボンブラックおよびシリカスラリーを実施例1におけるように調製した。スラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックおよび2重量%シリカをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、約2250ポアズの最終粘度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ステンレススチールキャスティング棒を用いて、ポリマー混合物を、ガラス板に取り付けられたMylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートシート上へ手動でキャストした。湿潤キャストフィルムを含有するMylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートシートを、3−ピコリンと無水酢酸との50/50混合物からなる浴に浸漬した。この浴を、イミド化およびフィルムのゲル化を達成するために3〜4分間穏やかに撹拌した。ゲルフィルムをMylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートシートから剥離し、フィルムを拘束し、そして収縮を防ぐためにピンフレーム上に置いた。残存溶媒をフィルムからはけさせた後、フィルムを含有するピンフレームを120℃オーブンに入れた。オーブン温度を、60〜75分間にわたって320℃に上げ、320℃に10分間保持し、次に400℃オーブンに移し、5分間保持し、次にオーブンから取り出し、放冷した。
結果を表1に示す。
【0079】
実施例4
ベースフィルムを、硬化フィルム基準で3重量%シリカで実施例3におけるように製造した。
結果を表1に示す。
【0080】
実施例5
カーボンブラックスラリーを実施例1におけるように調製した。51.7重量%DMAC、24.1重量%プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)および24.1重量%硫酸バリウム粉末からなる、合成硫酸バリウム(Sachtleben Chemie GmbH製の、Blanc Fixe F)スラリーを調製した。原料を高剪断ロータ−ステータ型ミキサーで十分に混合した。メジアン粒径は1.3マイクロメートルであった。
【0081】
スラリーを、硬化フィルム基準で7重量%カーボンブラックおよび10重量%硫酸バリウムをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAポリアミック酸溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、2400ポアズの最終粘度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ポリマー混合物を、実施例3に記載されるようにMylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートシート上へキャストし、化学的にイミド化し、硬化させた。
結果を表1に示す。
【0082】
比較例1
比較例1は、実施例5におけると同じ量の艶消剤での熱転化がベースフィルムの両面上での高い(望ましくない)60度光沢値および低い絶縁耐力を生み出すことを実証する。
【0083】
カーボンブラックスラリーを実施例1におけるように調製した。51.7重量%DMAC、24.1重量%ポリアミック酸プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)、および24.1重量%硫酸バリウム粉末からなる、合成硫酸バリウム(Sachtleben Chemie GmbH製の、Blanc Fixe F)スラリーを調製した。原料を高剪断ロータ−ステータ型ミキサーで十分に混合した。メジアン粒径は1.3マイクロメートルであった。
【0084】
スラリーを、硬化フィルム基準で7重量%カーボンブラックおよび10重量%硫酸バリウムをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、1500ポアズの最終粘度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ステンレススチールキャスティング棒を用いて、フィルムをガラス板上へ手動でキャストした。湿潤キャストフィルムを含有するガラス板を、80〜100℃で30〜45分間ホットプレート上に置いて、部分乾燥した、部分イミド化した「未乾燥」フィルムを形成した。未乾燥フィルムをガラスから剥離し、ピンフレーム上に置いた。未乾燥フィルムを含有するピンフレームを120℃オーブンに入れた。オーブン温度を、60〜75分間にわたって320℃に上げ、320℃に10分間保持し、次に400℃オーブンに移し、5分間保持し、次にオーブンから取り出し、放冷した。
結果を表1に示す。
【0085】
比較例2
比較例2は、4重量%艶消剤での熱転化がベースフィルムの両面上で高い(望ましくない)60度光沢値を生み出し、そして低い絶縁耐力を有することを実証する。
【0086】
カーボンブラックおよびシリカスラリーを実施例1におけるように調製した。スラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックおよび4重量%シリカをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、2250ポアズの最終粘度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ステンレススチールキャスティング棒を用いて、フィルムをガラス板上へ手動でキャストした。湿潤キャストフィルムを含有するガラス板を、80〜100℃で30〜45分間ホットプレート上に置いて、部分乾燥した、部分イミド化した「未乾燥」フィルムを形成した。未乾燥フィルムをガラスから剥離し、ピンフレーム上に置いた。未乾燥フィルムを含有するピンフレームを120℃オーブンに入れた。オーブン温度を、60〜75分間にわたって320℃に上げ、320℃に10分間保持し、次に400℃オーブンに移し、5分間保持し、次にオーブンから取り出し、放冷した。
結果を表1に示す。
【0087】
比較例3
比較例3は、熱転化が、空気側上で低い60度光沢値(艶のない外観)を生み出すためにより高い量の艶消剤を必要とし、それにもかかわらず他方の(非空気)側上で望ましくない60度光沢値を有することを実証する。
【0088】
カーボンブラックスラリーを実施例1におけるように調製した。51.72重量%DMAC、24.14重量%ポリアミック酸プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)、および2.3マイクロメートルのメジアン粒径の24.14重量%アルファアルミナ粉末からなる、アルミナスラリーを調製した。原料をロータステータ高速分散ミルで十分に混合した。スラリーを次に、大きい凝集塊を壊すためにボールミルで粉砕した。カーボンブラックおよびアルミナスラリーを、あらゆる残存する大きい粒子または凝集塊を除去するために濾過した。
【0089】
PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)を、分子量および粘度を約1500ポアズに高めるために、DMAC中5.8重量%PMDA溶液と高剪断ミキサーで混合することによって「仕上げ」た。仕上がった溶液を濾過し、追加のPMDA仕上げ溶液、および少量のベルト剥離剤(キャストされた未乾燥フィルムがキャスティングベルトから容易に剥離されることを可能にする)と一緒に、低導電性カーボンブラックおよびアルミナスラリーと高剪断ミキサーで混合した。PMDA仕上げ溶液の量を、1200ポアズの粘度を達成するために調節した。ポリマー、スラリー、および仕上げ溶液の相対量を、カーボンブラックおよびアルミナの所望のローディングレベル、ならびにキャスティングダイでの圧力を達成するために調節した。仕上がったポリマー/スラリー混合物を、フィルタを通してスロットダイにポンプ送液し、そこで流れは、3層共押出フィルムの外層を形成するようなやり方で分けられる。
【0090】
PMDA/4,4’ODAプレポリマーポリマー溶液の第2流れを、1500ポアズ粘度に高剪断ミキサーで仕上げ、フィルタを通してキャスティングダイにポンプ送液して3層共押出フィルムの中間の、充填剤なしのポリイミドコア層を形成した。充填剤なしのポリイミドコア層溶液だけでなく外層の流量を、所望の層厚さを達成するために調節した。
【0091】
3層共押出フィルムを、スロットダイから移動ステンレススチールベルト上へキャストすることによって上記の構成要素から製造した。ベルトを対流オーブン中へ通して、溶媒を蒸発させ、ポリマーを部分イミド化して「未乾燥」フィルムを製造した。(300℃への加熱時の減量によって測定されるような)未乾燥フィルム固形分は72.6%であった。未乾燥フィルムをキャスティングベルトから剥離し、巻き取った。未乾燥フィルムを次にテンタオーブンを通過させて硬化ポリイミドフィルムを製造した。テンタリング中に、収縮を、エッジに沿ってフィルムを束縛することによって制御した。(300℃への加熱時の減量によって測定されるような)硬化フィルム固形分レベルは98.8%であった。
【0092】
中間の充填剤なし層は、多層フィルムの全体厚さの33%または1/3を占め、外層は、等しい厚さのアルミナおよび低導電性カーボンブラックを含有した。外層は、7重量%低導電性カーボンブラックおよび30重量%アルミナを含有した。全体フィルム厚さは0.49ミルであった。
結果を表1に示す。
【0093】
比較例4および5は、ある量の艶消剤がベースフィルムの両面上で低い60度光沢値(艶のない外観)を達成するために必要とされることを実証し、1.3マイクロメートルより下の粒径の艶消剤が光沢のあるベースフィルムを与えることをさらに実証する。
【0094】
比較例4
0.3マイクロメートルのメジアン粒径を有するカーボンブラックスラリーを、実施例1におけるように調製した。このスラリーを、硬化フィルム基準で7重量%カーボンブラックをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、1900ポアズの最終粘度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ポリマー混合物を、実施例3に記載されるようにMylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートシート上へキャストし、化学的にイミド化し、硬化させた。
結果を表1に示す。
【0095】
比較例5
実施例1の仕上がったポリアミック酸/カーボンブラック混合物の定量供給流れに、硬化フィルム基準で7重量%にカーボンブラック含有率を上げるように、追加のカーボンブラックスラリーを定量供給し、2つの流れを、高剪断ロータ−ステータミキサーを用いて十分に混合した。化学的にイミド化したベースフィルムを実施例1に記載されるように製造した。
結果を表1に示す。
【0096】
比較例6
比較例6は、30重量%のBaSO4での化学転化が10重量%BaSO4を有する実施例5化学転化と比較して絶縁耐力の予期される低下を示すことを実証する。しかし意外にも30重量%のBaSO4での化学転化は、10重量%BaSO4を有する比較例熱転化と比較してより高い絶縁耐力を有する。
【0097】
カーボンブラックスラリーを実施例1におけるように調製した。51.7重量%DMAC、24.1重量%プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)および24.1重量%硫酸バリウム粉末からなる、合成硫酸バリウム(Sachtleben Chemie GmbH製の、Blanc Fixe F)スラリー調製した。原料を高剪断ロータ−ステータ型ミキサーで十分に混合した。メジアン粒径は1.3マイクロメートルであった。
【0098】
スラリーを、硬化フィルム基準で7重量%カーボンブラックおよび30重量%硫酸バリウムをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAポリアミック酸溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、2400ポアズの最終粘度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ポリマー混合物を、実施例3に記載されるようにMylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートシート上へキャストし、化学的にイミド化し、硬化させた。
結果を表1に示す。
【0099】
実施例6〜7は、より低い量の艶消剤が化学転化で高い絶縁耐力だけでなくベースフィルムの両面上での低い60度光沢値(艶のない外観)を依然として達成することを実証する。
【0100】
実施例6
シリカスラリーの定量供給速度を37%だけ低下させたことを除いて、実施例1におけるように化学的にイミド化したブラックポリイミドベースフィルムを製造した。灰分分析に基づいてベースフィルムは2.2重量%シリカを含有した。
結果を表1に示す。
【0101】
実施例7
カーボンブラックおよびシリカスラリーを実施例1におけるように調製した。PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)を、分子量および粘度を約2500ポアズに高めるために、DMAC中5.8重量%PMDA溶液と高剪断ミキサーで混合することによって「仕上げ」た。仕上がったポリアミック酸溶液の定量供給流れを約−10℃に冷却した。カーボンブラックスラリー(ポリマー溶液の1cm3当たり0.095cm3)およびシリカスラリー(ポリマー溶液の1cm3当たり0.029cm3)の定量供給流れと一緒に、転化化学薬品無水酢酸(ポリマー溶液の1cm3当たり0.18cm3)および3−ピコリン(ポリマー溶液の1cm3当たり0.17cm3)の同様に冷却された定量供給流れを、ポリアミック酸溶液に高剪断ミキサーで混ぜ込んだ。冷却された混合物を濾過し、105℃の熱い回転ドラム上へ、スロットダイを用いて、直ちにキャストしてフィルムにした。生じたゲルフィルムをドラムから剥離し、テンタオーブン中へ供給し、そこで、対流加熱および放射加熱を用いて、それを乾燥させ、98%超の固形分レベルまで硬化させた。ベースフィルムは約5.5重量%カーボンブラックを含有した。灰分分析に基づきフィルムは1.8重量%シリカを含有した。
結果を表1に示す。
【0102】
実施例8
カーボンブラックスラリーを実施例1におけるように調製した。アルミナスラリーを比較例3におけるように調製した。これらのスラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックおよび10重量%アルミナをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、1900ポアズの最終濃度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ポリマー混合物を、実施例3に記載されるようにMylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートシート上へキャストし、化学的にイミド化し、硬化させた。
結果を表1に示す。
【0103】
比較例7
比較例7は、実施例8で使用されたものと同じ量の艶消剤を使用する熱転化が、ベースフィルムの両面上で高い(望ましくない)60度光沢値を生み出し、低い絶縁耐力を有することを実証する。
【0104】
カーボンブラックスラリーを実施例1におけるように調製した。アルミナスラリーを比較例3におけるように調製した。これらのスラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックおよび10重量%アルミナをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、1900ポアズの最終濃度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。フィルムを、比較例2に記載されるようにキャストし、熱的にイミド化した。
結果を表1に示す。
【0105】
比較例8および9は、1.5重量%より上の艶消剤の量が、ベースフィルムの両面上で低い60度光沢値(艶のない外観)を達成するために必要とされたことを実証する。
【0106】
比較例8
ベースフィルムを、硬化フィルム基準で1重量%シリカで実施例3におけるように製造した。
【0107】
結果を表1に示す。
【0108】
比較例9
ベースフィルムを、硬化フィルム基準で1.5重量%シリカで実施例3におけるように製造した。
結果を表1に示す。
【0109】
比較例10および11は、低い60度光沢値を達成するために艶消剤メジアン粒径に下限があることを実証する。
【0110】
比較例10
カーボンブラックスラリーを実施例1におけるように調製した。81.4重量%DMAC、8.3重量%PMDA/BPDA//4,4’−ODA/PPDプレポリマー溶液(DMA中14.5重量%ポリアミック酸固形分)、0.1重量%の分散剤および10.2重量%溶融アルミナ粉末からなる、アルミナスラリーを調製した。原料をロータステータ高速分散ミルで十分に混合した。スラリーを次に、大きい凝集塊を壊して約0.35μmのメジアン粒径を達成するために媒体ミルで粉砕した。これらのスラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックおよび2重量%アルミナをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、2150ポアズの最終濃度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ポリマー混合物を、実施例3に記載されるようにMylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートシート上へキャストし、化学的にイミド化し、硬化させた。
結果を表1に示す。
【0111】
比較例11
11.5重量%リン酸二カルシウム、64.7重量%ポリアミック酸プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)、および23.8重量%DMACからなる、無水リン酸二カルシウム(CaHPO4)スラリーを調製した。原料を高剪断ロータ−ステータ型ミキサーで十分に混合した。メジアン粒径は1.25マイクロメートルであった。
【0112】
リン酸二カルシウムスラリーを、転化化学薬品と一緒に、実施例1の仕上がったポリマー/カーボンブラック混合物の冷却された(−8℃)定量供給流れ中へ定量供給し、この流れと混合し、ポリイミドフィルムを本質的に実施例1と同じ方法を用いてキャストし、硬化させた。生じたベースフィルムは、5重量%カーボンブラックおよび2.8重量%リン酸二カルシウムを含有した。
結果を表1に示す。
【0113】
比較例12
比較例12は、高密度艶消剤がベースフィルムの両面上で高い(望ましくない)60度光沢値を生み出すことを実証する。
【0114】
カーボンブラックスラリーを実施例1におけるように調製した。75重量%DMAC、10重量%ポリアミック酸プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)、および15重量%チタン酸バリウム粉末からなる、チタン酸バリウム(堺化学工業株式会社、BT−05)スラリーを調製した。原料を、1.5マイクロメートルのメジアン粒径を達成するために高剪断ロータ−ステータ型ミキサーで十分に混合し、次に超音波分解した。
【0115】
これらのスラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックおよび2重量%チタン酸バリウムをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、1500ポアズの最終粘度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ポリマー混合物を、実施例3に記載されるようにMylar(登録商標)ポリエチレンテレフタレートシート上へキャストし、化学的にイミド化し、硬化させた。
結果を表1に示す。
【0116】
実施例9、10および11
シリカスラリーの量を、硬化フィルム基準でそれぞれ、5重量%、7.5重量%、および10重量%シリカをもたらすために調節したことを除いて、実施例3におけるようにベースフィルムを製造した。
結果を表1に示す。
【0117】
実施例12および13
フィルムを実施例1におけるように製造した。スラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックおよび2.2重量%シリカをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、実施例1に記載されるように仕上げ、キャストしてフィルムにし、化学的にイミド化し、硬化させた。条件を、2ミルおよび5ミル厚さのベースフィルムを製造するために調節した。
結果を表1に示す。
【0118】
実施例14および15
シリカ粉末(Syloid(登録商標)C 803)を、最大粒子の一部を除去するために空気分級機で処理した。スラリーを、空気分級したシリカから実施例1に記載されるように調製した。メジアン粒径は2.1マイクロメートルであった。カーボンブラックスラリーを実施例1におけるように調製した。カーボンブラックスラリーおよびシリカスラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックならびに2重量%および4重量%シリカをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を実施例3におけるように仕上げ、ベースフィルムを製造した。
結果を表1に示す。
【0119】
実施例16
実施例16は、異なる低導電性カーボンブラックを使用する化学転化が、高い絶縁耐力だけでなくベースフィルムの両面上での低い60度光沢値(艶のない外観)を依然として達成することを実証する。
【0120】
80重量%DMAC、10重量%プレポリマー溶液(DMAC中20.6重量%ポリアミック酸固形分)、および6%揮発性物質含有率の10重量%チャネル−タイプカーボンブラック(Evonik Degussa製の、Printex U)からなる、カーボンブラックスラリーを調製した。原料を、ロータステータ分散機で十分に混合した。スラリーを次に、カーボンブラックを解凝集するために超音波処理機(Sonics & Materials,Inc.,Model VCX−500)で処理した。シリカスラリーを実施例1におけるように調製した。スラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックおよび2重量%シリカをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約50ポアズ粘度)と混合した。混合物を、2250ポアズの最終粘度を達成するために、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって仕上げた。
【0121】
実施例3に記載される手順を用いて化学的にイミド化したベースフィルムを製造した。
結果を表1に示す。
【0122】
比較例13
比較例13は、実施例16におけるものと同じ量の艶消剤での熱転化が、ベースフィルムの両面上での高い(望ましくない)60度光沢値および低い絶縁耐力を生み出すことを実証する。
【0123】
スラリーを実施例16におけるように調製した。仕上がったポリマー混合物を、ステンレススチール棒を用いてガラス板上へ手動でキャストした。湿潤キャストフィルムを含有するガラス板を、80〜100℃で30〜45分間ホットプレート上に置いて部分乾燥した、部分イミド化した「未乾燥」フィルムを形成した。未乾燥フィルムをガラスから剥離し、ピンフレーム上に置いた。未乾燥フィルムを含有するピンフレームを120℃オーブンに入れた。オーブン温度を、60〜75分間にわたって320℃に上げ、320℃に10分間保持し、次に400℃オーブンに移し、5分間保持し、次にオーブンから取り出し、放冷した。
結果を表1に示す。
【0124】
実施例17
実施例17は、異なる低導電性カーボンブラックを使用する化学転化が、高い絶縁耐力だけでなくベースフィルムの両面上での低い60度光沢値(艶のない外観)を依然として達成することを実証する。
【0125】
カーボンブラックスラリーを3.5%揮発性物質含有率のファーネスブラック(Evonik Degussa製の、Special Black 550)から調製したことを除いて、実施例16におけるようにベースフィルムを製造した。
結果を表1に示す。
【0126】
比較例14
比較例14は、実施例17におけるものと同じ量の艶消剤での熱転化が、ベースフィルムの両面上での高い(望ましくない)60度光沢値および低い絶縁耐力を生み出すことを実証する。
【0127】
カーボンブラックスラリーを3.5%揮発性物質含有率のファーネスブラック(Evonik Degussa製の、Special Black 550)から調製したことを除いて比較例13におけるようにベースフィルムを製造した。
結果を表1に示す。
【0128】
実施例18
実施例18は、異なる低導電性カーボンブラックを使用する化学転化が、高い絶縁耐力だけでなくベースフィルムの両面上での低い60度光沢値(艶のない外観)を依然として達成することを実証する。
【0129】
カーボンブラックスラリーを1.2%揮発性物質含有率のファーネスブラック(Evonik Degussa製の、Printex 55)から調製したことを除いて実施例16におけるようにベースフィルムを製造した。
結果を表1に示す。
【0130】
比較例15
比較例15は、実施例18におけるものと同じ量の艶消剤での熱転化が、ベースフィルムの両面上での高い(望ましくない)60度光沢値および低い絶縁耐力を生み出すことを実証する。
【0131】
カーボンブラックスラリーを1.2%揮発性物質含有率のファーネスブラック(Evonik Degussa製の、Printex 55)から調製したことを除いて比較例13におけるようにベースフィルムを製造した。
結果を表1に示す。
【0132】
比較例16
比較例16は、ベースフィルムの空気側上での望ましい60度光沢値が、高いローディング(30重量%)の艶消剤を使用することによって熱転化で達成され得るが、ベースフィルムの他の側が高い(望ましくない)60度光沢値を有すること、および絶縁耐力が低いことを実証する。
【0133】
カーボンブラックおよびシリカスラリーを実施例1におけるように調製した。これらのスラリーを、硬化フィルム基準で5重量%カーボンブラックおよび30重量%シリカをもたらす量で、PMDA/4,4’ODAプレポリマー溶液(20.6%ポリアミック酸固形分、約4500ポアズ粘度)と混合した。混合物を、混合しながら、DMAC中PMDAの6重量%溶液を徐々に加えることによって300ポアズの粘度に調整した。仕上がったポリマー混合物を真空脱気した。ステンレススチールキャスティング棒を用いて、フィルムをガラス板上へ手動でキャストした。湿潤キャストフィルムを含有するガラス板を、80〜100℃で30〜45分間ホットプレート上に置いて、部分乾燥した、部分イミド化した「未乾燥」フィルムを形成した。未乾燥フィルムをガラスから剥離し、ピンフレーム上に置いた。未乾燥フィルムを含有するピンフレームを120℃オーブンに入れた。オーブン温度を、60〜75分間にわたって320℃に上げ、320℃に10分間保持し、次に400℃オーブンに移し、5分間保持し、次にオーブンから取り出し、放冷した。
結果を表1に示す。
【0134】
【表1】

【0135】
【表2】

【0136】
概要において上に記載された活動、または実施例のすべてが必要とされるわけではないこと、具体的な活動の一部が必要とされない場合があること、およびさらなる活動が記載されたものに加えて行われる場合があることに留意されたい。もっとさらに、活動のそれぞれがリストされる順番は必ずしも、それらが行われなければならない順番ではない。この明細書を読んだ後に、当業者は、どの活動を彼らの具体的なニーズまたは欲求のために用いることができるかを決定することができるであろう。
【0137】
前述の明細書において、本発明は具体的な実施形態に関して記載されている。しかし、当業者は、様々な修正および変更が以下のクレームに明記されるような本発明の範囲から逸脱することなしに行われ得ることを十分理解する。本明細書において開示されるすべての特徴は、同じ、均等のまたは類似の目的に役立つ代わりの特徴で置き換えられてもよい。
【0138】
したがって、規格および数字は限定的意味でよりもむしろ例示的意味で見られるべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムであって、
A.前記ベースフィルムの71〜96重量パーセントの量の化学的に転化されたポリイミドであって、前記化学的に添加されたポリイミドは、
a.前記ポリイミドの二酸無水物の全含量を基準として、少なくとも50モルパーセントの芳香族二酸無水物と、
b.前記ポリイミドのジアミンの全含量を基準として少なくとも50モルパーセントの芳香族ジアミンと
から誘導されている化学的に転化されたポリイミド;
B.前記ベースフィルムの2〜9重量パーセントの量で存在する低導電率カーボンブラック;および
C.艶消剤であって、
a.前記ベースフィルムの1.6〜10重量パーセントの量で存在し、
b.1.3〜10マイクロメートルのメジアン粒径を有し、そして
c.2〜4.5g/ccの密度を有する
艶消剤
を含む、ベースフィルム。
【請求項2】
a.前記芳香族二酸無水物が、
ピロメリット酸二無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
4,4’−オキシジフタル酸無水物、
3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビスフェノールA二酸無水物、および
それらの混合物
からなる群から選択され;および
b.前記芳香族ジアミンが、
3,4’−オキシジアニリン、
1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
4,4’−オキシジアニリン、
1,4−ジアミノベンゼン、
1,3−ジアミノベンゼン、
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、
4,4’−ジアミノビフェニル、
4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
9,9’−ビス(4−アミノ)フルオレンおよび
それらの混合物
からなる群から選択される、
請求項1に記載のベースフィルム。
【請求項3】
前記化学的に転化されたポリイミドが、ピロメリット酸二無水物と4,4’−オキシジアニリンとから誘導されている、請求項1に記載のベースフィルム。
【請求項4】
前記艶消剤が、シリカ、アルミナ、硫酸バリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のベースフィルム。
【請求項5】
請求項1に記載のベースフィルムと接着層とを含む多層フィルム。
【請求項6】
前記接着層が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂である、請求項5に記載の多層フィルム。
【請求項7】
カバーレイフィルムである、請求項5に記載の多層フィルム。
【請求項8】
8〜152マイクロメートルの厚さを有する、請求項1に記載のベースフィルム。

【公表番号】特表2013−501130(P2013−501130A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523689(P2012−523689)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044202
【国際公開番号】WO2011/017291
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】