説明

花卉陳列棚

【課題】花卉を見栄え良く陳列することが可能な花卉陳列棚を提供する。
【解決手段】花卉陳列棚10は、キャスター11が取り付けられるベース構造体12と、このベース構造体12に取り付けられる複数の柱部材13b〜16bとを有している。また、柱部材13b〜15bには、高さ位置を相互にずらした棒状部材21a〜21h,24a〜24h,27a〜27hが設けられており、これらの棒状部材21a〜21h,24a〜24h,27a〜27hに対して受け棚31が着脱自在に取り付けられている。これにより、水揚げバケツBの高さ寸法に応じて受け棚31の取付位置を変更することができるため、高さ寸法の異なる水揚げバケツBを並べる場合であっても、水揚げバケツBの突き出し量をほぼ一定に保つことができ、様々な切花等を見栄え良く陳列することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花卉を陳列する花卉陳列棚に関する。
【背景技術】
【0002】
卸売業者から販売店に配送された切花は、水揚げバケツ等の陳列容器に収容した状態で販売されている。このような切花は贈り物として購入されることも多いため、フラワースタンド等の陳列棚を用いて切花を見栄え良く陳列することが重要となっている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−230380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、用途に応じて様々な寸法の水揚げバケツが用いられるため、寸法の異なる水揚げバケツを陳列棚に対して単に並べるだけでは、購入者に対して乱雑な印象を与えてしまうおそれがある。また、黒色や深緑色の水揚げバケツを露出させて店頭に並べることは、陳列された花卉の見栄えを損なう要因となっていた。
【0004】
本発明の目的は、様々な花卉を見栄え良く陳列することが可能な花卉陳列棚を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の花卉陳列棚は、基部から伸びる複数の柱部材と、高さ位置を相互にずらして前記柱部材間に掛け渡される複数の棒状部材とを備える陳列棚本体と、前記棒状部材に係合自在となるフック部を備え、花卉が収容される花卉容器を支持する棚部材とを有することを特徴とする。
【0006】
本発明の花卉陳列棚は、前記棒状部材に係合自在となるフック部を備え、前記花卉容器の開口部を仕切る仕切部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高さ位置を相互にずらした複数の棒状部材に対して棚部材を係合自在に取り付けるようにしたので、花卉容器の寸法に応じて棚部材の取付位置を変更することができ、様々な寸法の花卉容器を見栄え良く陳列することが可能となる。また、花卉容器の開口部を仕切る仕切部材を設けることにより、複数種類の花卉や少量の花卉を見栄え良く陳列することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である花卉陳列棚10を示す斜視図であり、図2は図1のA−A線に沿って花卉陳列棚10を示す断面図である。
【0009】
図1および図2に示すように、水揚げバケツ(花卉容器)Bに収容された切花等を陳列する花卉陳列棚10は、略コ字状に形成されるとともにキャスター11が取り付けられる基部としてのベース構造体12と、このベース構造体12に取り付けられる複数の柱部材13a〜16a,13b〜16bとを有している。上下方向に伸びる柱部材13a〜16a,13b〜16bは、ベース構造体12の側部を構成する長尺部材12aに対してほぼ直角に取り付けられており、花卉陳列棚10の前方から後方にかけて段階的に高くなるように設定されている。
【0010】
また、1列目に設けられる一対の柱部材13a,13bは、水平方向に伸びる2本の連結部材20a,20bを介して互いに連結されるとともに、水平方向に伸びる複数の棒状部材21a〜21hを介して互いに連結されている。さらに、連結部材20a,20b間には2本の縦材22a,22bが掛け渡されており、これらの縦材22a,22bによって複数の棒状部材21a〜21hが保持されている。同様に、2列目に設けられる一対の柱部材14a,14bは、水平方向に伸びる2本の連結部材23a,23bおよび複数の棒状部材24a〜24hを介して互いに連結されており、連結部材23a,23b間に掛け渡される2本の縦材25a,25bによって複数の棒状部材24a〜24hが保持されている。同様に、3列目に設けられる一対の柱部材15a,15bは、水平方向に伸びる2本の連結部材26a,26bおよび複数の棒状部材27a〜27hを介して互いに連結されており、連結部材26a,26b間に掛け渡される2本の縦材28a,28bによって複数の棒状部材27a〜27hが保持されている。
【0011】
このように、ベース構造体12、柱部材13a〜16a,13b〜16b、連結部材20a,20b,23a,23b,26a,26bおよび棒状部材21a〜21h,24a〜24h,27a〜27h等によって構成される陳列棚本体30には、水揚げバケツBを支持する棚部材として複数の受け棚31が取り付けられている。ここで、図3(A)は受け棚31を示す平面図であり、図3(B)は受け棚31を示す側面図であり、図4(A)〜(C)は受け棚31の取付状態を示す説明図である。図3(A)および(B)に示すように、受け棚31は、略正方形状の支持板部31aと、支持板部31aの外周を囲むように設けられる壁部31bとを有しており、受け棚31の前端には2つのフック部31cが設けられている。これらのフック部31cは高さ位置が相互に異なる棒状部材21a〜21h,24a〜24h,27a〜27hに対して係合自在となっており、受け棚31を取り付けるための棒状部材21a〜21h,24a〜24h,27a〜27hを、水揚げバケツBの大きさに応じて適宜選択することが可能となっている。
【0012】
つまり、図4(A)に示すように、高さ寸法H1を備える水揚げバケツB1を陳列する場合には、下段部に配置される棒状部材24bに対して受け棚31が取り付けられ、水揚げバケツB1を底上げしない状態で並べることが可能となる。また、図4(B)に示すように、水揚げバケツB1よりも低い高さ寸法H2を備える水揚げバケツB2を陳列する場合には、中段部に配置される棒状部材24fに対して受け棚31が取り付けられ、水揚げバケツB2を底上げした状態(高さ寸法Ha)で並べることが可能となる。さらに、図4(C)に示すように、水揚げバケツB2よりも低い高さ寸法H3を備える植木鉢(花卉容器)B3を陳列する場合には、上段部に配置される棒状部材24hに対して受け棚31が取り付けられ、植木鉢B3を底上げした状態(高さ寸法Hb)で並べることが可能となる。なお、受け棚31のフック部31cを棒状部材24a〜24hに係合させたときには、受け棚31の前端が他の棒状部材24a〜24gに突き当たるため、受け棚31の取付状態は安定するようになっている。
【0013】
このように、水揚げバケツB1,B2や植木鉢B3の高さ寸法に応じて受け棚31の取付位置を変更することができるため、水揚げバケツB1,B2や植木鉢B3の突き出し量をほぼ一定に保つことができ、様々な切花等を見栄え良く陳列することが可能となる。また、図示する花卉陳列棚10は雛壇状に構成されているが、前述したように、水揚げバケツB1,B2や植木鉢B3の突き出し量をほぼ一定に保つことにより、前方に陳列される切花等によって後方の水揚げバケツを覆うことが可能となる。さらに、最前列の柱部材13a,13bには販売情報が表示される広告板32が取り付けられており、この広告板32によっても最前列の水揚げバケツを覆うことが可能となる。このように、水揚げバケツを覆い隠しながら切花等を全面に押し出すことができるため、切花等を見栄え良く陳列することが可能となっている。
【0014】
また、陳列棚本体30に取り付けられた受け棚31は、水平方向に対して所定角度で傾斜するようになっており、水揚げバケツB1,B2や植木鉢B3を前傾させた状態で切花等を美しく陳列することが可能となる。さらに、図1に示すように、最後列の柱部材16a,16bには広告板33が取り付けられており、この広告板32,33に所望の販売情報を表示することによって、人目を引くように切花等を陳列することが可能となる。さらに、陳列棚本体30を構成しているベース構造体12、柱部材13a〜16a,13b〜16b、連結部材20a,20b,23a,23b,26a,26b、棒状部材21a〜21h,24a〜24h,27a〜27hは、ボルト部材等を介して互いに結合されており、陳列棚本体30を各部品に分解することが容易となっている。これにより、未使用時には花卉陳列棚10の省スペース化を図ることができ、運搬時には花卉陳列棚10を容易に運搬することが可能となっている。
【0015】
続いて、図5(A)は陳列棚本体30に取り付けられる仕切網(仕切部材)40を示す平面図であり、図5(B)は仕切網40を示す側面図であり、図6は仕切網40の取付状態を示す説明図である。まず、図5(A)および(B)に示すように、仕切網40は線材を用いて構成されており、格子状に形成される仕切部40aと、この仕切部40aの一端に回動自在に取り付けられる2つのフック部40bとを有している。また、2つのフック部40bは連結部材40cを介して互いに連結されており、フック部40bの剛性が高められている。図6に示すように、仕切網40は最上段の棒状部材24hにフック部40bを介して取り付けられており、水揚げバケツBの開口部を覆うように取り付けられている。
【0016】
ここで、図7(A)は仕切網40を取り付ける前の陳列状態を示す斜視図であり、図7(B)は仕切網40を取り付けた後の陳列状態を示す斜視図である。図7(A)に示すように、販売が進むことによって切花Fが少なくなると、切花Fを美しく陳列することが困難となるため、図7(B)に示すように、水揚げバケツBの開口部を覆うように仕切網40が取り付けられる。このように、水揚げバケツBの開口部を仕切網40によって仕切ることにより、少ない切花Fをまとめて配置することができ、切花Fを見栄え良く陳列することが可能となる。さらに、図示する場合には、花卉陳列棚10に対して仕切網40を取り付けることにより、水揚げバケツBの開口部を4つに仕切ることができるため、異なる種類の切花を1つの水揚げバケツBに綺麗に収容して販売することも可能となる。
【0017】
また、前述したように、仕切網40のフック部40bに対して仕切部40aは回動自在に設けられるため、陳列棚本体30に対して仕切網40を取り付けた場合であっても、水揚げバケツBを容易に出し入れすることが可能である。ここで、図8は水揚げバケツBの出し入れ状態を示す説明図である。図8に示すように、水揚げバケツBを出し入れする際には、仕切網40の仕切部40aを引き起こして開口状態を確保することにより、棒状部材24hに対する仕切網40の取付状態を保ちながら、水揚げバケツBを容易に出し入れすることが可能となる。
【0018】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する花卉陳列棚10にあっては9つの受け棚31を備えているが、受け棚31の数量を増減させるようにしても良い。また、受け棚31のフック部31cを係合する棒状部材21a〜21h,24a〜24h,27a〜27hは、図示する本数に限られることなく、想定される水揚げバケツBの大きさに応じて適宜変更することが可能である。さらに、図示する仕切網40にあっては、矩形状の枠体に十字状の線材を組み合わせることにより、水揚げバケツBの開口部を4つに仕切る構造となっているが、水揚げバケツBの開口部を更に多くの区画に仕切っても良く、線材を略U字状に折り曲げることにより、水揚げバケツBの開口部を3つに仕切るようにしても良い。なお、図示する花卉陳列棚10は、ステンレスやスチール等の金属材料を用いて形成されているが、金属材料に限られることはなく、木材やプラスチックを用いて花卉陳列棚を形成するようにしても良いことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態である花卉陳列棚を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿って花卉陳列棚を示す断面図である。
【図3】(A)は受け棚を示す平面図であり、(B)は受け棚を示す側面図である。
【図4】(A)〜(C)は受け棚の取付状態を示す説明図である。
【図5】(A)は陳列棚本体に取り付けられる仕切網を示す平面図であり、(B)は仕切網を示す側面図である。
【図6】仕切網の取付状態を示す説明図である。
【図7】(A)は仕切網を取り付ける前の陳列状態を示す斜視図であり、(B)は仕切網を取り付けた後の陳列状態を示す斜視図である。
【図8】水揚げバケツの出し入れ状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
10 花卉陳列棚
11 キャスター
12 ベース構造体(基部)
13a,13b 柱部材
14a,14b 柱部材
15a,15b 柱部材
16a,16b 柱部材
20a,20b 連結部材
21a〜21h 棒状部材
22a,22b 縦材
23a,23b 連結部材
24a〜24h 棒状部材
25a,25b 縦材
26a,26b 連結部材
27a〜27h 棒状部材
28a,28b 縦材
30 陳列棚本体
31 受け棚(棚部材)
31a 支持板部
31b 壁部
31c フック部
32,33 広告板
40 仕切網(仕切部材)
40a 仕切部
40b フック部
40c 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部から伸びる複数の柱部材と、高さ位置を相互にずらして前記柱部材間に掛け渡される複数の棒状部材とを備える陳列棚本体と、
前記棒状部材に係合自在となるフック部を備え、花卉が収容される花卉容器を支持する棚部材とを有することを特徴とする花卉陳列棚。
【請求項2】
請求項1記載の花卉陳列棚において、
前記棒状部材に係合自在となるフック部を備え、前記花卉容器の開口部を仕切る仕切部材を有することを特徴とする花卉陳列棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−99589(P2008−99589A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284238(P2006−284238)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(593038930)インパック株式会社 (7)
【Fターム(参考)】