説明

花袋

【課題】花材を生け花としていける直前まで花材を保存することができると共に、この保存中に花袋が倒れることが防止された花袋を提供する。
【解決手段】本発明の花袋100は、上端に開閉可能な開口部12を有する第1の袋10と、前記第1の袋10の下部に設けられた貯水部20と、前記第1の袋10の外の上端部に取り付けられ該第1の袋10を他の物につなぎ止めるための止め具50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生け花に用いる花材を持ち運びするための花袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生け花の稽古の行き帰りに花材を持ち運びするため、種々の花袋が用いられている。しかし、従来の花袋には水入れが付いていなかったので、持ち運びの際に花材が水切れを起こし傷むおそれがあった。そこで、花袋の底部に給水スポンジが配設された花袋が開示されている(特許文献1参照)。このような花袋を用いると、花材が給水スポンジから水を吸収することができるため、持ち運びの際に花材を長持ちさせることができる。
【特許文献1】実開昭62−161685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の構成においては、花材を保存しているときに花袋が倒れる可能性があり、この場合には花材を傷めるという問題を有していた。特に、迅速に花材をいけなければならない研究会等においては、花材をいける作業を急ぐため、花袋を倒してしまう場合が頻繁に起こる。
【0004】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、花材を長持ちさせることができると共に、花材を保存しているときに倒れることが防止された花袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の花袋は、上端に開閉可能な開口部を有する第1の袋と、前記第1の袋の下部に設けられた貯水部と、前記第1の袋の外の上端部に取り付けられ該第1の袋を他の物につなぎ止めるための止め具と、を備える。
【0006】
このような構成とすると、止め具により花袋を他の物につなぎ止めることにより、生け花をいける直前まで作業者のそばで花材を保存することができと共に、花袋が倒れることが防止され、花袋に入れられた花材の損傷が抑制される。
【0007】
前記第1の袋の開口部が該開口部に設けられたファスナーにより開閉可能に構成されていてもよい。
【0008】
このような構成とすると、花袋の中に花材を出し入れすることが容易になる。
【0009】
前記第1の袋の下部の内部に、該第1の袋と共に二重袋を形成するように、上端が開口した非透水性の第2の袋が配設され、該第2の袋が前記貯水部を構成していてもよい。
【0010】
このような構成とすると、簡単に貯水部を構成することができる。
【0011】
前記第2の袋が前記第1の袋に取り付けられていてもよい。
【0012】
このような構成とすると、第2の袋が第1の袋の内部で位置決めされるため、貯水部から水がこぼれることが防止される。
【0013】
前記止め具が延長部材を介して前記第1の袋に取り付けられていてもよい。
【0014】
このような構成とすると、花袋を他の物につなぎ止めることが便利になる。
【0015】
前記延長部材が伸縮自在な材料で構成されていてもよい。
【0016】
このような構成とすると、花袋と他の物とが離れている場合においても、止め具を介して花袋を立てることができる。
【0017】
前記第1の袋の上端部に取手が設けられていてもよい。
【0018】
このような構成とすると、取手を持つことにより花袋の持ち運びが容易になる。
【0019】
前記第1の袋に、前記止め具を収容するためのポケットが形成されていてもよい。
【0020】
このような構成とすると、止め具が邪魔にならず、花袋の持ち運びが容易になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の花袋は、花材を生け花としていける直前まで花材を保存することができると共に、この保存中に花袋が倒れることが防止されるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、全図面を通じて同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の花袋の概略構成を示す図であって、(a)は正面図、(b)は背面図である。図2は、図1の花袋に用いる第2の袋を示す図であって、(a)は開いた状態を示す正面図、(b)は閉じた状態を示す正面図である。図3は、図1の花袋の使用状態を示す概略図である。以下、図1乃至図3を参照しながら、本実施形態の花袋について説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態の花袋100は、第1の袋(外袋)10と、該第1の袋10の下部に設けられた第2の袋(内袋、貯水部)20と、前記第1の袋10の外の上端部に取り付けられた止め具50とを含んで構成される。
【0025】
第1の袋10は、本実施形態では、縦長に形成されている。第1の袋10の上端には、開口(開口部)14が形成されている。第1の袋10の側部には、ファスナー12が設けられている。ファスナー12は、第1の袋10の側部における上端部から略中央にかけて設けられている。このファスナー12を開/閉することにより、開口14が開度を調整できるよう構成されている。開口14は、第1の袋10の高さ方向のほぼ中央まで開度を調整できるように構成されている。これにより、ファスナー12を開けて花袋100の内部に花材80を入れやすくなる。第1の袋10は、非透水性の材料で構成することが好ましい。第1の袋10を構成する材料としては、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、防水処理を施した織布等が用いられる。第1の袋10の上端部には開口14を囲むように筒部10aが形成されており、この筒部10aに紐状部材11が通されている。この紐状部材11を引っ張ることにより、開口14がすぼめられる。これにより、第1の袋10に入れられた花材80のぐらつきが防止される。
【0026】
また、第1の袋10は、第2の袋20に水を入れたときに自立するように所定の剛性と形状とを備えるように形成されている。第1の袋10の所定の剛性としては、第2の袋20に水を入れた状態で、第2の袋20を第1の袋10の内部に収容したときに略柱状の形状を維持することのでき、かつ、折りたたむことのできる程度の剛性を備えていることが好ましい。また、第1の袋10の所定の形状としては、第2の袋20に水を入れた状態で、第2の袋20を第1の袋10の内部に収容したときに、第1の袋10の底が平たくなるように形成され、かつ、全体として略柱状の形状を備えていることが好ましい。
【0027】
第1の袋10の内部には、第2の袋20が設けられている。第2の袋20は、第1の袋10の高さ方向における中央部よりも下側の部分に設けられている。第2の袋20は、その開口24と第1の袋10の開口14とが上面視においてほぼ一致するよう、第1の袋10の内部に設けられている。すなわち、第2の袋20は、第1の袋10に対して二重袋を形成するように構成されている。第2の袋20は、ここでは、第1の袋10に取り出し可能に収容されている。なお、第2の袋20は、第1の袋10に取り付けられていてもよい。例えば、第1の袋10と第2の袋20とを溶着させたり、接着剤を用いて接着させたり等することにより、第1の袋10に第2の袋20を取り付ける。このようにすると、第2の袋20が第1の袋10の内部において位置決めされ、第2の袋20から水がこぼれることが防止される。第2の袋20は、非透水性の材料で構成されている。第2の袋20を構成する材料としては、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、防水処理を施した織布等が用いられる。これにより、第2の袋20の内部から漏れることなく水25が貯められる。この水25に花材80の切り口をつけることにより、花材80を長持ちさせることができる。第2の袋20の上端部には開口24を囲むように筒部20aが設けられており、この筒部20aに紐状部材21が通されている。紐状部材21には、止め部材22が設けられている。紐状部材21を両端から引っ張り、その状態で止め部材22によって止めることにより、第2の袋20の開口24がすぼめられる(図2(b)参照)。このように、第2の袋20の開口24から花材80を挿入した後に紐状部材24を引っ張ると、花材80が第2の袋20の開口24から抜けにくくなり、花材80の切り口が水25の表面から離れることが防止される。
【0028】
第1の袋10の上端には、一対の取手30が設けられている。一対の取手30は、それぞれ輪状に形成されている。この取手30を持つことにより、花袋100の持ち運びが容易になる。
【0029】
第1の袋10の上端部の近傍には、ポケット40が形成されている。ポケット40の開口の近傍には、延長部材60を介して止め具50が取り付けられている。止め具50は公知のクリップで構成されており、このようなクリップとしては、例えば、金属製のものや樹脂製のものを用いることができる。延長部材60は、紐状の部材で構成されている。なお、延長部材60は、伸縮自在な材料で構成してもよい。このような構成とすると、止め具50と他の物との間に多少の距離がある場合においても、止め具50を用いてつなぎ止めることができ、花袋100を立てておくことができる。なお、止め具50は、ポケット40に収納することが可能である。したがって、止め具50を他の物につなぎ止める場合以外、例えば、花袋100を持ち運びする際においても、止め具50が邪魔にならない。
【0030】
以上のように構成された花袋100の使用方法について、図3を参照しながら説明する。
【0031】
まず、花材80を持ち運びする際の使用方法について説明する。この場合には、ファスナー12を開き、第1の袋10の開口14を開くと共に、第1の袋10の内部の第2の袋20の開口24を開く。この状態で、第2の袋20の内部に水25を補給する。次に、第2の袋20の開口24から花材80を、その切り口を先にして入れる。花材80の切り口が第2の袋20内の水25の水面よりも低い位置になるようにし、紐状部材24を引っ張って、第2の袋20の開口24を適宜閉める。その後、第1の袋10のファスナー12を閉じ、略垂直になった状態で取手30を持って、持ち運びする。
【0032】
次に、花材80を花器81にいける場合の使用方法について説明する。この場合には、止め具50でテーブル85を挟むようにして、花袋100をテーブル85につなぎ止める。これにより、花袋100が、その開口14を上にした状態で立てられる(図3参照)。したがって、作業者が花材80を花器81にいけている最中に、あやまって花袋100を倒すことが防止される。
【0033】
前述の事項を総括すると、本発明の花袋100は、以上のような構成としたため、生け花をいける直前まで作業者のそばに花袋100をおくことができる。また、花袋100が倒れることが防止され、花袋100に入れられた花材80の損傷が抑制される。さらに、狭いスペースで急いで花材80をいける場合でも、あやまって花袋100を倒すことが防止される。
【0034】
また、ポケット40に止め具50を収容することができるので、花袋100の持ち運びが容易になる。
【0035】
なお、上記止め具50としてのクリップにマグネットが取り付けられていてもよい。また、上記止め具50としてのクリップを、磁性を帯びた材料で構成してもよい。このような構成とすると、他の物がテーブル等の場合には、クリップでテーブル等を挟むことにより花袋100を立てておくことができる。一方、他の物が金属材料で構成されている場合には、マグネット又はクリップを介して花袋100を立てておくことができる。
【0036】
[第1変形例]
図4は、図1の花袋の第1変形例を示す概略図である。以下、図4を参照しながら、本変形例の花袋について説明する。
【0037】
本変形例の花袋100では、第1実施形態における止め具50の構成が変更されている。すなわち、本変形例においては、図4に示すように、止め具50は延長部材60の一端とこの延長部材60の所定の位置に取り付けられた一対の面ファスナー51で構成されている。一対の面ファスナー51を接合することにより、延長部材60がリング状に形成される。このリング状に形成された部分に、他の物を通すことができるようになる。それ以外の構成については、上記第1実施形態の花袋と同様である。
【0038】
このような構成とすると、例えば、テーブル85等の脚86や骨組み87等に面ファスナー51を介して花袋100をつなぎ止めることができ、花袋100を立てておくことができる。したがって、本変形例の花袋100においても、上記第1実施形態の花袋と同様の効果を奏する。
【0039】
[第2変形例]
図5は、図1の花袋の第2変形例を示す概略図である。以下、図5を参照しながら、本変形例の花袋について説明する。
【0040】
本変形例の花袋100では、第1実施形態における止め具50の構成が変更されている。すなわち、本変形例においては、図5に示すように、止め具50は延長部材60の先端近傍に取り付けられたマグネット52で構成されている。それ以外の構成については、上記第1実施形態の花袋と同様である。
【0041】
このような構成とすると、例えば、テーブル85、テーブル85の脚86、テーブル85の骨組み87等が金属材料で構成されている場合においても、マグネット52をテーブル85、テーブル85の脚86、テーブル85の骨組み87等に付けることにより、花袋100を立てておくことができる。したがって、本変形例の花袋100においても、上記第1実施形態の花袋と同様の効果を奏する。
【0042】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第1実施形態の花袋の概略構成を示す斜視図である。図7は、図6の花袋における止め具の構成を示す正面図である。図8は、図6の花袋における第2の袋の概略構成を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図である。なお、図6においては、Aの方向から見た矢視図を引き出し線を用いて記載している。以下、図6乃至図8を参照しながら、第2実施形態の花袋について説明する。
【0043】
本実施形態の花袋100においては、第1の袋10の一方の側面に第1のマチ部15Aが設けられ、他方の側面に第2のマチ部15Bが設けられている。第1のマチ部15Aの谷になる部分には、ファスナー12が取り付けられている。ファスナー12は、第1の袋10の開口14から、第1の袋10の高さ方向における略半分の位置に至るように形成されている。第2のマチ部15Bの谷になる部分であって、第1の袋10の高さ方向における略半分の位置には、紐70が取り付けられている。紐70は、ここでは、2本、取り付けられている。花袋100の内部に花材を入れた状態で紐70を結ぶことにより、花材のぐらつきを抑制することができる。第2のマチ部15Bの谷になる部分の上部には、延長部材61が取り付けられている。延長部材61は、ここでは、2つの輪61A,61Bが連結された形状に構成されている。これにより、後述する止め具53を取り付ける位置を調整することができる。
【0044】
延長部材61には、止め具53(50)が取り外し可能なように取り付けられている。止め具53は、図7に示すように、公知のテーブルクロスストッパー(朝日プラスチック(株)社製)で構成される。止め具53は、金属(ここでは、鉄にニッケルメッキを施したもの)で構成されたコの字状部材54と、金属(ここでは、ステンレス)で構成されたM字状の板ばね55と、を主要な構成要素として備えている。コの字状部材54と板ばね55とは、樹脂製の円筒状の取付部材56を介して取り付けられている。取付部材56は、コの字状部材54の一方の端部を含む一辺に、板ばね55の一方の端部を含む一辺を添わせた状態で、該コの字状部材54の一方の端部を含む一辺に嵌入されるようにして、コの字状部材54に板ばね55を取り付けている。コの字状部材54の他方の端部を含む一辺には、樹脂製の扁平な中空状の第1保護部材58が挿通されている。板ばね55の他方の端部を含む一辺には、樹脂製の円筒状の第2保護部材57が挿通されている。以上の構成により、板ばね55を収縮させた状態で、第1保護部材58と第2保護部材57との間に他の物、例えば、テーブルの角等を挟むと、板ばね55の弾性力により第1保護部材58と第2保護部材57との間にテーブルの角等が強固に固定され、ひいては、花袋100をテーブルの角等に取り付けることができる。その際、第1保護部材58及び第2保護部材57が設けられているため、テーブルの角等を傷つけることが抑制される。
【0045】
第1の袋10の正面には、収容部材41が取り付けられている。これにより、上端が開口したポケット42が形成される。収容部材41の内側には、環状部材71が取り付けられている(図6のA方向からの矢視図を参照)。環状部材71の輪になった部分には、面ファスナー73が挿通されている。この面ファスナー73を接合することにより、花袋100を他の物につなぎとめることが可能になる。すなわち、他の物の形状及び位置に応じて、止め具53(50)と面ファスナー73とを選択することが可能になる。さらに、止め具53(50)を延長部材61から取り外した場合には、この止め具53(50)をポケット42内に収容することができる。
【0046】
第1の袋10の内部かつ下部には、上部が開口した円筒状の第2の袋20が配設されている。第2の袋20は、第1の袋10の高さ方向における中央部よりも下側の部分に設けられている。第2の袋20は、その開口24と第1の袋10の開口14とが上面視においてほぼ一致するよう、第1の袋10の内部に設けられている。すなわち、第2の袋20は、第1の袋10に対して二重袋を形成するように構成されている。第2の袋20は、ここでは、第1の袋10に取り出し可能に収容されている。なお、第2の袋20は、第1の袋10に取り付けられていてもよい。第2の袋20の底は、ここでは略円形状に形成されている。そして、第2の袋20を第1の袋10の内部に収容したときに、第1の袋10の底の形状が第2の袋20の底の形状に依存して変形される。これにより、花袋100が自立しやすくなる。第2の袋20は、非透水性の材料で構成され、ここでは、EVA樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)で構成されている。もちろん、第2の袋20は、非透水性のその他の材料で構成されていてもよい。なお、第2の袋20は、その内部24に水を入れた場合において、折りぐせがつかずその形状を維持できる程度の剛性を備えていてもよい。このような構成により、第2の袋20の内部に水を入れた状態で第1の袋10に収容した際に、水がこぼれることが抑制される。一方、第2の袋20は、その内部24から水を出した場合においては、持ち帰りの際に折りたためて鞄等に収納できる程度の剛性を備えていてもよい。このような構成により、第2の袋20をコンパクトにすることができ、持ち帰りの際に収納することが容易になる。さらに、第2の袋20の内側は、撥水加工されていてもよい。
【0047】
図8(a),(b)に示すように、第2の袋20の上部には、周方向に間隔を置いて複数(ここでは8個)の穴が設けられていて、各穴には金属製のリング27が嵌め込まれている。リング27の開口には、紐状部材21が通されている。紐状部材21における、リング27から外側に取り出された部分には、公知の摺動式の止め部材22が設けられている。このような構成とすると、第2の袋20の内部24に水を入れた後、紐状部材21を引っ張って第2の袋20の開口24を収縮させた後、紐状部材21を止め部材22でとめることにより、第2の袋20から水がこぼれることが抑制される。紐状部材21の端部には、結び目が形成されている。これにより、止め部材22が紐状部材21から抜けて脱落することが防止される。
【0048】
本実施形態の花袋100においても、第1実施形態の花袋と同様の効果を奏する。
【0049】
また、本実施形態の花袋100は、上記のような構成としたため、花袋100が止め具50(テーブルクロスストッパー53)によって他の物に強固に固定され、作業をする際に花袋100を倒してしまうことがより抑制される。これにより、花袋100に入れられた花材の損傷がさらに抑制される。
【0050】
また、ポケット42に、取り外した止め具53(50)を収容することができるので、花袋100の持ち運びがさらに容易になる。
【0051】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態の花袋の概略構成を示す斜視図である。以下、図9を参照しながら、本実施形態の花袋について説明する。
【0052】
図9に示すように、本実施形態の花袋100においては、第2実施形態の花袋における第1の袋10の構成を変更している。本実施形態の花袋100における第1の袋10は、第2実施形態の花袋における第2の袋20の高さを略2倍に延ばした縦長の形状に形成されている。第1の袋10は、縦長の円筒状に形成されている。第1の袋10の底は、ここでは略円形状に形成されている。第1の袋10は、ここでは、EVA樹脂で構成されている。もちろん、第1の袋10は、その他の材料、例えば、ナイロン、塩化ビニル等で構成されていてもよい。すなわち、第1の袋10は、第2の袋20に水を入れた状態で第2の袋20を第1の袋10の内部に収容した場合において、略柱状の形状を維持することができ、かつ、折りたたむことのできる程度の剛性を備えた材料で構成すればよい。なお、第1の袋10は、止め具53(50)を他の物に固定して立てたときに自立する程度の剛性を備えていることが好ましい。
【0053】
第1の袋10の上部には、第2の袋20と同様に、周方向に間隔を置いて複数(ここでは8個)の穴が設けられていて、各穴には金属製のリング17が嵌め込まれている。ここでは、リング17は、8個、取り付けられている。リング17の開口には、紐状部材11が挿通されている。紐状部材11におけるリング17の開口から外側に延出した部分には、公知の摺動式の止め部材16が設けられている。紐状部材11におけるリング17の開口から外側に延出した部分の端部には、結び目が形成されている。これにより、紐状部材11から止め部材16が抜けて脱落することが防止される。なお、本実施形態では、紐状部材11の端部同士を結ぶことにより、他の物に取り付けることができる(紐状部材11の端部が止め具53(50)の役割を果たす。)。この場合には、延長部材61及び止め具53(50)を設けない構成とすることが可能である。それ以外の構成については、第2実施形態の花袋の構成と同じである。
【0054】
本実施形態の花袋100においても、第1実施形態及び第2実施形態の花袋と同様の効果を奏する。
【0055】
また、本実施形態の花袋100は、第1の袋10の構成を簡易にしたため、その製造が容易になる。
【0056】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態の花袋の概略構成を示す斜視図である。以下、図10を参照しながら、本実施形態の花袋について説明する。
【0057】
図10に示すように、本実施形態の花袋100においては、第3実施形態の花袋における第2の袋20の構成を変更している。本実施形態の花袋100における第2の袋20は、その本体が円柱状に形成されている。第2の袋20は、ここでは、EVA樹脂で構成されている。もちろん、第2の袋20は、その他の材料で構成されていてもよい。第2の袋20の上端には、一対の取手31が設けられている。一対の取手31は、それぞれ輪状に形成されている。この取手31を持って引っ張ることにより、第1の袋10から第2の袋20を取り出すことができる。それ以外の構成については、第3実施形態の花袋との構成と同じである。
【0058】
なお、本実施形態の花袋100では、第1の袋10をナイロン、ポリ塩化ビニル等で構成してもよい。その中でも、特に、透明な材料を用いることで、持ち運びの際の美感を保つことができる。
【0059】
また、本実施形態の花袋100では、第3実施形態の花袋と同様に、紐状部材11の端部同士を結ぶことにより、他の物に取り付けることができる(紐状部材11の端部が止め具53(50)の役割を果たす。)。この場合には、延長部材61及び止め具53(50)を設けない構成とすることが可能である。
【0060】
本実施形態の花袋100においても、第1実施形態乃至第3実施形態の花袋と同様の効果を奏する。
【0061】
また、本実施形態の花袋100は、第1の袋10及び第2の袋20の構成を簡易にしたため、その製造がさらに容易になる。
【0062】
なお、本発明の各実施形態および各変形例に示した花袋100を、生け花以外の用途、例えば、切り花の輸送用に用いることも可能である。この場合には、輸送時において、止め具50を適宜の箇所につなぎ止めることにより、花袋100を立てておくことができる。これにより、切り花の保存ができると共に、花袋100が倒れることが防止され、切り花を傷めることが抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の花袋は、花材を生け花としていける直前まで花材を保存することができると共に、この保存中に花袋が倒れることが防止された花袋として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態の花袋の概略構成を示す図であって、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図2】図1の花袋に用いる第2の袋を示す図であって、(a)は開いた状態を示す正面図、(b)は閉じた状態を示す正面図である。
【図3】図1の花袋の使用状態を示す概略図である。
【図4】図1の花袋の第1変形例を示す概略図である。
【図5】図1の花袋の第2変形例を示す概略図である。
【図6】本発明の第1実施形態の花袋の概略構成を示す斜視図である。
【図7】図6の花袋における止め具の構成を示す正面図である。
【図8】図6の花袋における第2の袋の概略構成を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の花袋の概略構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4実施形態の花袋の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
10 第1の袋(外袋)
10a,20a 筒部
11,21 紐状部材
12 ファスナー
14,24 開口
15A 第1のマチ部
15B 第2のマチ部
16,22 止め部材
17,27 リング
20 貯水部(第2の袋(内袋))
25 水
30,31 取手
40,42 ポケット
41 収容部材
50 止め具
51 面ファスナー
52 マグネット
53 テーブルクロスストッパー(止め具)
54 コの字状部材
55 板ばね
56 取付部材
57,58 保護部材
60,61 延長部材
61A,61B 輪
70 紐
71 環状部材
73 面ファスナー
80 花材
81 花器
85 テーブル
86 テーブルの脚
87 テーブルの骨組み
100 花袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開閉可能な開口部を有する第1の袋と、前記第1の袋の下部に設けられた貯水部と、前記第1の袋の外の上端部に取り付けられ該第1の袋を他の物につなぎ止めるための止め具と、を備えた花袋。
【請求項2】
前記第1の袋の開口部が該開口部に設けられたファスナーにより開閉可能に構成されている、請求項1に記載の花袋。
【請求項3】
前記第1の袋の下部の内部に、該第1の袋と共に二重袋を形成するように、上端が開口した非透水性の第2の袋が配設され、該第2の袋が前記貯水部を構成している、請求項1に記載の花袋。
【請求項4】
前記第2の袋が前記第1の袋に取り付けられている、請求項3に記載の花袋。
【請求項5】
前記止め具が延長部材を介して前記第1の袋に取り付けられている、請求項1に記載の花袋。
【請求項6】
前記延長部材が伸縮自在な材料で構成されている、請求項5に記載の花袋。
【請求項7】
前記第1の袋の上端部に取手が設けられている、請求項1に記載の花袋。
【請求項8】
前記第1の袋に、前記止め具を収容するためのポケットが形成されている、請求項1に記載の花袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−133047(P2008−133047A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176603(P2007−176603)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(506365407)
【Fターム(参考)】