説明

芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドの製造方法

芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドの調製方法であって、芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物R-Xn [式中、nは1〜6の整数であり、Rは置換または無置換の芳香族またはヘテロ芳香族基であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素原子である]と一酸化炭素および水、アンモニア、アルコールまたはアミンとを、塩基ならびに0価もしくは2価パラジウムおよび二座ジホスファンまたは0価もしくは2価パラジウムと二座ジホスフファンとの錯体の存在下で反応させ、ここで、二座ジホスファン(R1-)(R2-)P-Y-P(-R3)(-R4) [式中、R1〜R4は無置換アリール基、または正の共鳴効果もしくは正の誘起効果を有する少なくとも1個の基により置換されたアリール基、または無置換もしくは置換シクロアルキル基であり;Yは合計で2〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、ここで、炭素原子の少なくとも1個は置換基として1個のみの水素原子を有するか、水素原子を有しない]を使用することによる(ただし、4-ブロモ-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾールと2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)アニリンおよび一酸化炭素からN-[2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)フェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-カルボン酸アミドを形成する反応を除く)、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸、カルボン酸エステルおよびカルボキサミドの調製のための新規の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式I:
R-Xn (I)
[式中、添え字および可変基は以下の意味を有する:
nは1〜4の整数であり、
Rは、置換または無置換の芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
Xは、塩素、臭素またはヨウ素原子、特に塩素原子である]
の芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物と一酸化炭素および水、アンモニア、アルコールまたはアミンとを0価または2価パラジウム化合物、二座ジホスファンおよび塩基の存在下で反応させることによる芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸、カルボン酸エステルおよびカルボキサミドの調製方法は米国特許US 5 344 961または欧州特許出願EP 0 282 266 A2により公知である。
【0003】
米国特許US 5 344 961において、一般式
(R-)2P-R'-P(-R)2
[式中、可変基は以下の意味を有する:
Rは、15個以下の炭素原子を有する芳香族基であり、Rの少なくとも1個の芳香環は電子吸引性を有する基または負の誘起効果を示す基、特にアルキルオキシ基またはジアルキルアミノ基により置換されており、
R'は、10個以下、好ましくは2〜4個の炭素原子を有する炭化水素連結基である]
の二座ジホスファンを使用する。
【0004】
好ましい基Rは、2-メトキシフェニル、2-プロポキシフェニル、2,4-ジエトキシフェニル、2-ジメチルアミノフェニル、2-エチルメチルアミノフェニルおよび2,4,6-トリメトキシフェニル、特に2-メトキシフェニルである。好適なR'は、1,2-エチレン、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレンおよび2,3-ジメチル-1,4-ブチレンである。しかしながら、好ましくは1,3-[ビス(2-メトキシフェニル)ホスファニル]プロパンを使用する。米国特許の実施例から明らかな通り、ブロモベンゼンのみは酢酸パラジウムおよび1,3-[ビス(2-メトキシフェニル)ホスファニル]プロパンの存在下で一酸化炭素およびアルコールと反応して定量的に安息香酸エチルに変換することができたものの、クロロベンゼンは約10%以下しか変換されなかった。さらに、4-メトキシクロロベンゼンは5%以下しか4-メトキシ安息香酸エチルに変換されなかった。1,3-[ビス(2-メトキシフェニル)ホスファニル]プロパンの代わりに1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンを使用した場合には、ブロモベンゼン自体でも、15時間後に痕跡量の安息香酸エチルが得られたのみであった。
【0005】
欧州特許出願EP 0 282 266 A2は、上記の方法に一連のジホスファンを使用することを提案している。しかしながら、実施例1〜21においては、もっぱら1,4-ビス(ジフェニルホスファニル)ブタンのみを使用している。芳香族エステルおよびアミドの収率は確かに米国特許US 5 344 961の方法よりも高いが、ここでも低収率から中程度の収率が達成されているに過ぎない。
【0006】
したがって、欧州特許出願EP 0 282 266 A2および米国特許US 5 344 961は、芳香族塩化物の場合であっても有用な生成物の収率を顕著に増大することができる方法を当業者に提案または示唆しているとはいえない。
【0007】
出願番号EP 07109463.5(2007年6月1日出願)の先の欧州特許出願に、4-ブロモ-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾールと2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)アニリンおよび一酸化炭素とを、
(a) N-メチルピロリドン中、Pd(C6H5CN)2Cl2、2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび炭酸カリウムの存在下で、または
(b) アセトニトリル中、Pd(C6H5CN)2Cl2、3,3-ビス(ジフェニルホスファニルメチレン)ヘプタン、トリエチルアミンおよび炭酸カリウムの存在下で
反応させてN-[2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)フェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミドを得る反応が記載されている。
【0008】
先の欧州特許出願において、2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンをPepstarと記載し、ビス(ジフェニルホスファニルメチレン)ヘプタンをEt,Bu-Pepstarと記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許US 5 344 961
【特許文献2】欧州特許出願EP 0 282 266 A2
【特許文献3】欧州特許出願EP 07109463.5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、芳香族臭化物の場合のみでなく、芳香族およびヘテロ芳香族塩化物の場合にも、芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸エステルおよびカルボキサミドを特に高い収率で、とりわけほぼ定量的または定量的収率で生成する、冒頭に記載したタイプの新規の代替法を利用可能にすることである。さらに、該新規方法は芳香族およびヘテロ芳香族塩化物の場合でさえも、芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸を特に高い収率で、とりわけほぼ定量的または定量的収率で調製することを可能にすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは、芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸、カルボン酸エステルおよびカルボキサミドの調製のための新規の方法が、一般式I:
R-Xn (I)
[式中、添え字および可変基は以下の意味を揺する:
nは1〜6の整数であり、
Rは、置換または無置換の芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
Xは、塩素、臭素またはヨウ素原子である]
の芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物と、一酸化炭素および水、アンモニア、アルコールまたはアミンとを、塩基ならびに0価もしくは2価パラジウム化合物および二座ジホスファンまたは0価もしくは2価パラジウムと二座ジホスフファンとの錯体の存在下で反応させ、該反応において、一般式II:
(R1-)(R2-)P-Y-P(-R3)(-R4) (II)
[式中、可変基は以下の意味を有する:
R1〜R4は互いに独立して、同一であるか異なっており、無置換アリール基または正の共鳴効果もしくは正の誘起効果を示す少なくとも1個の基により置換されたアリール基、または無置換もしくは置換シクロアルキル基であり;
Yは、合計で2〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、ここで、炭素原子の少なくとも1個は置換基として1個のみの水素原子を有するか、水素原子を有しない]
の二座ジホスファンを使用することにより(ただし、4-ブロモ-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾールと2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)アニリンおよび一酸化炭素とを、
(a) N-メチルピロリドン中、Pd(C6H5CN)2Cl2、2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび炭酸カリウムの存在下、または
(b) アセトニトリル中、Pd(C6H5CN)2Cl2、3,3-ビス(ジフェニルホスファニルメチレン)ヘプタン、トリエチルアミンおよび炭酸カリウムの存在下で
反応させてN-[2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)フェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミドを得る反応を除く)、達成されることを見いだした。
【0012】
芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸、カルボン酸エステルおよびカルボキサミドの調製のための新規方法を以下に「本発明の方法」と記載する。
【0013】
本発明の利点
最先端技術を考慮すると、本発明の目的を本発明の方法を用いることにより達成することができたことは驚くべきことであり、当業者に予測不可能であった。
【0014】
特に、本発明の方法が、芳香族臭化物の場合のみでなく、芳香族およびヘテロ芳香族塩化物の場合であっても、芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸エステルおよびカルボキサミドを、特に高い収率で、とりわけほぼ定量的または定量的収率で生成したことは驚くべきことであった。さらに、新規方法により、芳香族およびヘテロ芳香族塩化物の場合でさえも、芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸を、特に高い収率で、とりわけほぼ定量的または定量的収率で調製することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
一般式II:
(R1-)(R2-)P-Y-P(-R3)(-R4)
の二座ジホスファンの使用が本発明の方法に必須である。
【0016】
本発明において二座ジホスファンIIについて記載する際にIUPAC命名法を使用する(Roempp Online 2008, "Phosphanes"を参照されたい)。さらに、本発明において二座ジホスファンIIについて記載する際に、簡潔および明瞭の目的で、基本構造は、これが個々の場合にIUPAC規則と一致しない場合であっても、2位または2,2-位を置換されたプロパン鎖または1,3-プロピレン基に基づくものとする。
【0017】
本発明において、不活性な置換基および連結基、すなわち、本発明の方法の条件下で出発物質およびこれに関連して生成する最終生成物のいずれとも反応せず、および/またはこれらのいずれに対しても分解反応の開始および/または触媒をおこなわない置換基および連結基を使用する。しかしながら、不活性な置換基は誘起効果および/または共鳴効果を引き起こし得る。
【0018】
一般式IIにおいて、基R1〜R4は、互いに独立して、同一であるか異なっており、無置換アリール基または正の共鳴効果(すなわち+M効果)もしくは正の誘起効果(すなわち+I効果)を示す少なくとも1個の基により置換されたアリール基、または無置換もしくは置換シクロアルキル基である。
【0019】
用語「正の共鳴効果」または「+M効果」に関して、Roempp Online 2008, "Resonance"を、用語「正の誘起効果」または「+I効果」に関して、Roempp Online 2008, "Inductive effect"を参照する。
【0020】
正の共鳴効果(すなわち+M効果)、または正の誘起効果(すなわち+I効果)を示す基は、好ましくは上記の意味で不活性である。
【0021】
+M効果を引き起こす好適な基の例は、それらが本発明の方法により使用される条件下で不活性であることを条件として、アミノ基およびヒドロキシ基である。
【0022】
+I効果を引き起こす好適な基の例は、上記の1個の炭素原子または2〜12個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキル基である。
【0023】
置換および無置換アリール基は、好ましくは1個または複数個の環中に6〜20個の炭素原子を有する。
【0024】
基R1〜R4は、好ましくは、無置換フェニルおよびナフチルならびに正の共鳴効果または正の誘起効果を示す少なくとも1個の基により置換された置換フェニルおよびナフチルからなる群より選択される。特に無置換フェニルを使用する。
【0025】
無置換および置換シクロアルキル基R1〜R4は、好ましくは、1個または複数個の環中に5〜16個の炭素原子を有する。好ましくはシクロペンチルおよびシクロヘキシル、特にシクロヘキシルを使用する。
【0026】
置換シクロアルキル基R1〜R4の置換基は、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトリル基、ニトロ基、ならびに少なくとも1個の12個以下の炭素原子を有する非分枝鎖または分枝鎖の非ハロゲン化、部分的ハロゲン化またはペルハロゲン化、特に非フッ化、部分的フッ化またはペルフッ化アルキル基、少なくとも1個の3〜16個の炭素原子を有する非ハロゲン化、部分的ハロゲン化またはペルハロゲン化、特に非フッ化、部分的フッ化またはペルフッ化シクロアルキル基、および/または少なくとも1個の6〜20個の炭素原子を有する非フッ化、部分的フッ化およびペルフッ化アリール基を含むかこれらの基からなる置換基からなる群より選択される。これに関して、置換基はそのままで、炭素-炭素単結合または不活性な2価の官能基を介して、基R1〜R4の少なくとも1個に結合することができる。
【0027】
不活性な2価の官能基は、好ましくは、エーテル、チオエーテル、カルボン酸エステル、チオカルボン酸エステル、カーボネート、チオカーボネート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、ホスホン酸エステル、チオホスホン酸エステル、ホスファイト、チオホスファイト、スルホン酸エステル、アミド、アミン、チオアミド、リン酸アミド、チオリン酸アミド、ホスホン酸アミド、チオホスホン酸アミド、スルホン酸アミド、イミド、ヒドラジド、ウレタン、尿素、チオ尿素、カルボニル、チオカルボニル、スルホンまたはスルホキシド基からなる群より選択される。
【0028】
基R1〜R4は、特に、無置換フェニルおよびシクロヘキシル基である。
【0029】
一般式IIにおいて、可変基Yは合計2〜20個、好ましくは3〜16個、特に3〜10個の炭素原子を有する炭化水素基であり、炭素原子のうち少なくとも1個(好ましくは1個)は置換基として1個のみの水素原子を有するか、水素原子を有しない(好ましくは水素原子を有しない)。
【0030】
炭化水素基Yは炭素原子および水素原子を含む。または炭化水素基Yは炭素原子および水素原子のみからなる。好ましくは、炭化水素基Yは炭素原子および水素原子のみからなる。
【0031】
炭化水素基Yは芳香族基または脂環式基を含み得る。
【0032】
炭化水素基Yは置換されていても置換されていなくてもよい。
【0033】
好適な炭化水素基Yの例は、エチリデン、プロピリデン、ブチリデン、1,2-および1,3-シクロペンチレン、シクロペンチリデン、1,2-、1,3-および1,4-シクロヘキシレン、シクロヘキシリデンまたは下記の構造Ya)〜Yv)で表される2価の炭化水素基である。
【化1】


【0034】
キラル炭化水素基Yを有するジホスファンIIの例、例えば、(+)-ノルホス(NORPHOS)、(R,R)-キラホス(CHIRAPHOS)または(-)-ジオプ(Diop)は、Thieme Roempp Online 2008, "Phosphanes"により公知である。
【0035】
特に好ましくは、一般式III:
-C(-R7)2-C(-R5)(-R6)-C(R7)2- (III)
の炭化水素基Yを使用する。一般式IIIにおいて、可変基R5およびR6は、互いに独立して、同一であるか異なっており、水素原子、置換もしくは無置換および直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、置換もしくは無置換シクロアルキル基もしくはアリール基、またはこれらの基のうち少なくとも2つを含むもしくは少なくとも2つからなる基であり、基R5およびR6のうちの一方のみが水素原子である。
【0036】
置換基R5およびR6の置換基として、上に基R1およびR4に関して記載した置換基を使用し得る。置換基は、共有結合または下記の不活性な2価の連結基を介して基R5およびR6に結合し得る。
【0037】
好ましくは、与えられた二座ジホスファンIIにおいて、基R5およびR6のいずれも水素原子ではない。
【0038】
基R5およびR6のいずれも水素原子でない場合、それらは互いに連結して環を形成し得る。この連結において、結合は炭素-炭素単結合または不活性な2価の連結基を介して起こり得る。好ましくは、前記2価の連結基は、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、エーテル、チオエーテル、カルボン酸エステル、チオカルボン酸エステル、カーボネート、チオカーボネート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、ホスホン酸エステル、チオホスホン酸エステル、ホスファイト、チオホスファイト、スルホン酸エステル、アミド、アミン、チオアミン、リン酸アミド、チオリン酸アミド、ホスホン酸アミド、チオホスホン酸アミド、スルホン酸アミド、イミド、ヒドラジド、ウレタン、尿素、チオ尿素、カルボニル、チオカルボニル、スルホンまたはスルホキシド基からなる群より選択される。
【0039】
基R5およびR6は、好ましくは、
・1個の炭素原子または2〜12個の炭素原子を有する、置換および無置換(好ましくは無置換)の直鎖または分枝鎖アルキル基、特に1個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有する無置換アルキル基;
・1個または複数個の環中に5〜16個の炭素原子を有する置換および無置換シクロアルキル基、特に無置換シクロアルキル基およびアルキル基(好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)により置換されたシクロアルキル基(シクロアルキル基は1個または複数個の環中に5〜16個の炭素原子を有する);
・1個または複数個の環中に6〜20個の炭素原子を有する置換および無置換アリール基、特に無置換アリール基およびアルキル基(好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)により置換されたアリール基(これらのアリール基は1個または複数個の環中に6〜20個の炭素原子を有する);
・シクロアルキル基中に5〜16個の炭素原子を有する置換および無置換x-シクロアルキルアルカン-1-イル基であって、該シクロアルキル基が特に無置換シクロアルキル基およびアルキル基(好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)により置換されたシクロアルキル基であり、該シクロアルキル基がシクロアルキル基中に5〜16個の炭素原子を有し、また、それぞれの場合にx-シクロアルキルアルカン-1-イル基の1,x-アルキレン基中に1個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有するもの(ここで、xは1〜6、好ましくは1〜4の整数である);
・アリール基中に6〜20個の炭素原子を有する置換および無置換x-アリールアルカン-1-イル基であって、該アリール基が特に無置換アリール基およびアルキル基(好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)により置換されたアリール基であり、該アリール基がアリール基中に6〜20個の炭素原子を有し、また、それぞれの場合にx-アリールアルカン-1-イル基の1,x-アルキレン基中に1個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有するもの(ここで、xは1〜6、好ましくは1〜4の整数である);
・アリール基中に6〜20個の炭素原子およびy-アリールシクロアルカン-1-イル基の1,y-シクロアルキレン基中に5〜16個の炭素原子を有する置換および無置換y-アリールシクロアルカン-1-イル基であって、該アリール基が特に無置換アリール基およびアルキル基(好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)により置換されたアリール基であり、これらのアリール基がアリール基中に6〜20個の炭素原子を有し、また、シクロアルキル基がシクロアルキル基中に5〜16個の炭素原子を有するもの(ここで、yは1〜12、好ましくは1〜4の整数である)
からなる群より選択される。
【0040】
直鎖または分枝鎖アルキル基R5およびR6は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2,2-ジメチルヘキシル、3-メチル-2-エチル-ペンチル、ノニル、デシル、5-メチルノニル、ウンデシルおよびドデシルからなる群より選択される。
【0041】
シクロアルキル基R5およびR6は、好ましくは、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、ならびにノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ボルナン、10-ノルボルナン、o-メンタン、m-メンタン、p-メンタン、ツジャン、カラン、ピナン、2-エチルピナン、2,4,7,7-テトラメチルノルカランおよび2,2-ジメチルノルボルナンに由来し、環炭素原子を介して一般式IIの基本構造、すなわち1,3-プロピレン基の2-位または2,2-位に結合する基からなる群より選択される。
【0042】
x-シクロアルキルアルカン-1-イル基R5およびR6は、好ましくは、シクロヘキシルメチル、2-シクロヘキシルエタ-1-イル、3-シクロヘキシルプロパ-1-イルおよび4-シクロヘキシルブタ-1-イル、ならびにボルナン、10-ノルボルナン、o-メンタン、m-メンタン、p-メンタン、ツジャン、カラン、ピナン、2-エチルピナン、2,4,7,7-テトラメチルノルカランおよび2,2-ジメチルノルボルナンに由来し、環の中に存在しない脂肪族炭化水素原子を介して一般式IIの基本構造に結合する基からなる群より選択される。
【0043】
アリール基R5およびR6は、好ましくは、フェニルおよびナフチル、ならびにトルエン、キシレン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼンおよびtert-ブチルベンゼンに由来し、芳香環炭素原子を介して一般式IIの基本構造に結合する基からなる群より選択される。
【0044】
x-アリールアルカン-1-イル基R5およびR6は、好ましくは、トルエン、キシレン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼンおよびtert-ブチルベンゼンに由来し、環の中に存在しない脂肪族炭素原子を介して一般式IIの基本構造に結合する基からなる群より選択される。
【0045】
y-アリールシクロアルカン-1-イル基R5およびR6は、好ましくは、フェニルシクロペンタン、フェニルシクロヘキサン、トリルシクロヘキサンおよびキシリルシクロヘキサンに由来し、シクロアルカン環の中に存在する炭素原子を介して一般式IIの基本構造に結合する基からなる群より選択される。
【0046】
基R5およびR6は、特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、ベンジル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニル、非常に好ましくはメチル、エチル、プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシルおよびフェニル、とりわけメチル、エチルおよびn-ブチルからなる群より選択される。
【0047】
好ましくは、無置換の基R5およびR6を使用する。
【0048】
一般式IIIにおいて、可変基R7は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトリル基、ニトロ基ならびに基R5およびR6からなる群より選択される。
【0049】
基R7が基R5およびR6である場合、それらは、共有結合または上記の不活性な2価の連結基を介して一般式IIIの基本構造、すなわち1,3-プロパン基の炭素原子に結合し得る。
【0050】
一般式IIIの炭化水素基Yは1〜4個の基R7を含み得る。これに関して、基R7の少なくとも2個は互いに同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、基R7のうちの1個、好ましくは2個、好ましくは3個、特に4個すべての基R7が水素原子である。
【0051】
一般式IIの二座ジホスファンは、好ましくは、
・2-メチル-、2-エチル-、2-プロピル-、2-(n-ブチル)-、2-(n-ペンチル)-、2-(n-ヘキシル)-、2-シクロヘキシル-および2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2,2-ジメチル-、2,2-ジエチル-、2,2-ジプロピル-、2,2-ジ(n-ブチル)-、2,2-ジ(n-ペンチル)-、2,2-ジ(n-ヘキシル)-、2,2-ジシクロヘキシル-および2,2-ジフェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-メチル-2-エチル-、-2-プロピル-、-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-エチル-2-プロピル-、-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-プロピル-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-(n-ブチル)-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-(n-ペンチル)-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-(n-ヘキシル)-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパンならびに
・2-シクロヘキシル-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン
からなる群より選択される。
【0052】
特に、2-エチル-2-ブチル-または2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンまたはこれらの混合物を使用する。2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンを以下にPepstarと記載し、2-エチル-2-ブチル-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンを以下にBustarと記載する。
【0053】
ジホスファンIIは従来の公知の有機リン化学の方法を用いて調製され、好ましくは好適なジシクロアルキルフルオロ-、-クロロ-もしくは-ブロモホスファンまたは好適なジシクロアリールアルコキシ-もしくは-アリールオキシホスファンまたはジシクロアルキルアルコキシ-もしくは-アリールオキシホスファン(特に、好適なジシクロアルキルクロロ-もしくは-ブロモホスファン、例えばジシクロヘキシルクロロホスファンもしくは-ブロモホスファン)と、好適な1,3-ジフルオロ-、1,3-ジクロロ-、1,3-ブロモクロロ-、1,3-クロロフルオロ-、1,3-ブロモフルオロ-または1,3-ジブロモプロパン、特に1,3-ジクロロ-、1,3-ブロモクロロ-または1,3-ジブロモプロパン、例えば、
・1,3-ジクロロ-、1,3-ブロモクロロ-または1,3-ジブロモ-2-メチル-、-2-エチル-、-2-プロピル-、-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニルプロパン;
・1,3-ジクロロ-、1,3-ブロモクロロ-または1,3-ジブロモ-2,2-ジメチル-、-2,2-ジエチル-、-2,2-ジプロピル-、-2,2-ジ(n-ブチル)-、-2,2-ジ(n-ペンチル)-、-2,2-ジ(n-ヘキシル)-、-2,2-ジシクロヘキシル-および-2,2-ジフェニルプロパン;
・1,3-ジクロロ-、1,3-ブロモクロロ-または1,3-ジブロモ-2-メチル-2-エチル-、-2-プロピル-、-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニルプロパン;
・1,3-ジクロロ-、1,3-ブロモクロロ-または1,3-ジブロモ-2-エチル-2-プロピル-、-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニルプロパン;
・1,3-ジクロロ-、1,3-ブロモクロロ-または1,3-ジブロモ-2-プロピル-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニルプロパン;
・1,3-ジクロロ-、1,3-ブロモクロロ-または1,3-ジブロモ-2-(n-ブチル)-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-および-2-シクロヘキシルプロパン;-2-(n-ペンチル)-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-1,3および-2-フェニル-1,3-プロパン;-2-(n-ヘキシル)-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-プロパン;ならびに
・1,3-ジクロロ-、1,3-ブロモクロロ-または1,3-ジブロモ-2-シクロヘキシル-2-フェニルプロパン;
特に、1,3-ジクロロ-2,2-ジメチルプロパンとを、金属ナトリウムを用いるハロゲン原子の脱離により反応させることにより調製される。これに関して、好ましくは、国際特許出願WO 2006/084878 A1またはL. Brandsma et al., "Application of Transition Metal Catalysts in Organic Synthesis", Springer-Verlag, Berlin 1997, pages 6 to 9に記載される反応条件を使用する。
【0054】
一本発明の方法において、一般式Iの芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物を反応させる。
【0055】
一般式I R(-X)nにおいて、添え字nは1〜6、好ましくは1〜4、好ましくは1〜3、特に1または2の整数である。
【0056】
可変基Xは、塩素、臭素またはヨウ素原子、好ましくは塩素または臭素原子、特に塩素原子である。
【0057】
可変基Rは、置換または無置換の芳香族またはヘテロ芳香族基である。
【0058】
芳香族基Rは、好ましくはベンゼンおよび多環式芳香族炭化水素に由来する。ヘテロ芳香族基Rは、好ましくは単環式および多環式芳香族複素環に由来する。
【0059】
多環式芳香族炭化水素は、好ましくは
・少なくとも2個のベンゼン核、少なくとも2個の縮合多環式芳香族炭化水素または少なくとも1個のベンゼン核および少なくとも1個の縮合多環式芳香族炭化水素が少なくとも1つの炭素-炭素単結合を介して互いに結合している炭化水素、および
・縮合多環式芳香族炭化水素
からなる群より選択される。
【0060】
多環式芳香族炭化水素は、特に好ましくは、ビフェニル、異性体トリフェニレン類、クオーターフェニレン類、クインクエフェニレン類(quinquephenylenes)、フェニルナフタレン類およびビナフタレン類、ビフェニレン、不斉および非不斉インダセン、フルオレン、ナフタレン、アセナフチレン、アセナフテン、フェナントレン、アントラセン、クリセン、ピレン、フルオランテン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンズ[a:h]アントラセン、ベンゾ[g:h:i]ペリレンおよびインデノ[1,2,3-c:d]ピレン、テトラベンゾナフタレンおよびフェナントロ[3,4-c]フェンからなる群より選択される。
【0061】
芳香族基Rは、特にベンゼンまたはナフタレン、特にベンゼンに由来する。
【0062】
芳香族複素環は、好ましくは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む。
【0063】
芳香族複素環は、好ましくはピロール、イミダゾール、ピラゾール、異性体イソチアゾール類およびイソキサゾール類、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1H-ピロリジン、インドリジン、イソインドール、インドール、1H-インダゾール、プリン、4H-キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、1,8-ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジニン(pteridinine)、カルバゾール、ベータ-カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、1,7-フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、ナフト[2,3-b]チオフェン、チアントレン、フラン、イソベンゾフラン、フェノキサジン、チオフテン、チオファントレン、チアナフテン、クマロン、イソクマロン、インドキサゼン、アントラニルおよびピアズチオールからなる群より選択される。
【0064】
基は少なくとも1個の上記の意味で不活性な置換基により置換されていてもよい。置換基は、好ましくは、フッ素原子、ニトリル基、ニトロ基、ならびに少なくとも1個の非ハロゲン化、部分的ハロゲン化もしくはペルハロゲン化された非分枝鎖もしくは分枝鎖アルキル基(16個以下の炭素原子を有する)、少なくとも1個の非ハロゲン化、部分的ハロゲン化もしくはペルハロゲン化シクロアルキル基(16個以下の炭素原子を有する)および/または少なくとも1個の非フッ化、部分的フッ化もしくはペルフッ化アリール基(6〜20個の炭素原子を有する)を含むまたはこれらからなる置換基からなる群より選択される。これに関して、置換基はそのままで、炭素-炭素単結合または不活性な2価の官能基ならびに/またはアルキル基、シクロアルキル基および/もしくはアリール基を介して基Rに結合することができ、1つの置換基は少なくとも1つの炭素-炭素単結合および/または少なくとも1個の不活性な2価の官能基を介して他の置換基と結合することができる。
【0065】
不活性な2価の官能基は、好ましくは、エーテル、チオエーテル、カルボン酸エステル、チオカルボン酸エステル、カーボネート、チオカーボネート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、ホスホン酸エステル、チオホスホン酸エステル、ホスファイト、チオホスファイト、スルホン酸エステル、アミド、アミン、チオアミド、リン酸アミド、チオリン酸アミド、ホスホン酸アミド、チオホスホン酸アミド、スルホン酸アミド、イミド、ヒドラジド、ウレタン、尿素、チオ尿素、カルボニル、チオカルボニル、スルホンまたはスルホキシド基、特にエーテル、カルボン酸エステル、アミドおよびカルボニル基からなる群より選択される。
【0066】
十分に好適な一般式Iの芳香族およびヘテロ芳香族ハロゲン化物の例は、欧州特許出願EP 0 282 266 A2, page 5, line 40, to page 6, line 5により公知である。ここにこの一節を明示的に参照する。
【0067】
特に好適な一般式Iの芳香族およびヘテロ芳香族ハロゲン化物の例は、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモアセトフェノン、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモ安息香酸メチルおよびエチル、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモベンズアルデヒド、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモアニソール、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモトルエン、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモベンゾニトリル、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモニトロベンゼン、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモフルオルベンゼン、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモトリフルオロメチルベンゼン、1-および2-クロロ-および-ブロモナフタレン、1-クロロ-および-ブロモ-2-、-3-、-4-、-5-、-6-、-7-および-8-メトキシナフタレン、2-クロロ-および-ブロモ-1-、-3-、-4-、-5-、-6-、-7-および-8-メトキシナフタレン、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモビフェニル、9-クロロ-および-ブロモフェナントレン、1,2-、1,3-および1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-、1,2,4-および1,3,5-トリクロロベンゼン、1,2,3,4-、1,2,3,5-および1,2,4,5-テトラクロロベンゼン、3-、4-および5-クロロ-および-ブロモピラゾール、2-、3-および4-クロロ-および-ブロモピリジン、2-および3-クロロ-および-ブロモチオフェン2,3-、2,4-、2,5-および2,6-ジクロロ-および-ジブロモピリジン、2,3-、2,4-および2,5-ジクロロ-および-ジブロモチオフェン、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、2,5-、2,6-、2,7-および2,8-ジクロロ-および-ジブロモキノリン、3,4-、3,5-、3,6-、3,7-および3,8-ジクロロ-および-ジブロモキノリン、4,5-、4,6-、4,7-および4,8-ジクロロ-および-ジブロモキノリン、5,6-、5,7-および5,8-ジクロロ-および-ジブロモキノリン、6,7-および6,8-ジクロロ-および-ジブロモキノリン,および7,8-ジクロロ-および-ジブロモキノリンである。
【0068】
上記の一般式Iの芳香族およびヘテロ芳香族ハロゲン化物は、出発物質および溶媒(使用する反応条件下で液体であることを条件として)の両方として、モル過剰で使用することができる。
【0069】
本発明の方法において、上記の一般式Iの芳香族およびヘテロ芳香族ハロゲン化物を水と反応させるとカルボン酸が得られ、アンモニアと反応させると第一級アミドが得られ、アルコールと反応させるとカルボン酸エステルが得られ、アミンと反応させると第二級および第三級アミドが得られる。
【0070】
アルコールは、好ましくは、分子中に1〜4個のヒドロキシ基を有する脂肪族、脂環式、芳香族およびヘテロ芳香族アルコールからなる群より選択される。
【0071】
脂肪族アルコールは、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-アミルアルコール、2-メチル-2-ブタノール、n-ヘキサノール、異性体ヘプタノール類、4-メチル-3-ヘプタノール、異性体カプリルアルコール類、ノナノール類およびデカノール類、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、3-フェニルプロパノール、4-フェニルブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、異性体ブタンジオール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類およびジエチルオクタンジオール類、N-フェニルジエタノールアミン、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、エリスリトール、トレイトールおよびペンタエリスリトールからなる群より選択される。
【0072】
脂環式アルコールは、好ましくは、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ボルネオール、イソボルネオール、1,1-、1,2-、1,3-および1,4-シクロヘキサンジオール、cis-およびtrans-1,8-テルピンおよび水素化ビスフェノールAおよびFからなる群より選択される。
【0073】
芳香族アルコールは、好ましくは、フェノール、ピロカテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、α-およびβ-ナフトール、ならびにビスフェノールAおよびFからなる群より選択される。
【0074】
ヘテロ芳香族アルコールは、好ましくは、異性体ヒドロキシピリジン類、ヒドロキシピラジン類、ヒドロキシピリミジン類、ヒドロキシピリダジン類、1H-ヒドロキシピロリジン類、4H-ヒドロキシキノリジン類、ヒドロキシイソキノリン類、ヒドロキシキノリン類、ヒドロキシフタラジン類、ヒドロキシ-1,8-ナフチリジン類、ヒドロキシキノキサリン類、ヒドロキシキナゾリン類、ヒドロキシキノリン類、ヒドロキシプテリジン類、ヒドロキシフェナントリジン類、ヒドロキシアクリジン類およびヒドロキシ-1,7-フェナントロリン類ならびにアルプリノールからなる群より選択される。
【0075】
上記のアルコールは、そのままでまたはアルコキシドの形で使用することができ、後者の場合、それらは同時に塩基としての機能を有する。
【0076】
アミンは、好ましくは、分子中に1〜4個のアミノ基を有する脂肪族、脂環式、環式、芳香族およびヘテロ芳香族第一級および第二級アミンからなる群より選択される。
【0077】
脂肪族または脂環式第一級または第二級アミンは、好ましくは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、異性体ブチルアミン類、ペンチルアミン類、ヘキシルアミン類、ヘプチルアミン類、オクチルアミン類、ノニルアミン類およびデシルアミン類、ドデシルアミン、ベンジルアミン、フェニルエタンアミン類、ヒドラジン、1,2-エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、プトレシン、カダベリン、1,6-ジアミノヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、スペルミン、シクロヘキシルアミンおよびジシクロヘキシルアミンからなる群より選択される。
【0078】
環式第二級アミンは、好ましくは、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソインドール、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、イソインドリン、イミダゾリジン、ピラゾリジンおよびピペラジンからなる群より選択される。
【0079】
芳香族およびヘテロ芳香族第一級および第二級アミンは、好ましくは、アニリン、異性体フェニレンジアミン類、ジフェニルアミン、異性体ビフェニルジアミン類、ビフェニルトリアミン類およびビフェニルテトラアミン類、インドール、インドリン、1H-インダゾール、プリン、カルバゾール、β-カルボリン、ペリミジン、フェノチアジン、異性体アミノピリジン類、アミノピラジン類、アミノピリミジン類、アミノピリダジン類、1H-アミノピロリジン類、4H-アミノキノリジン類、アミノイソキノリン類、アミノキノリン類、アミノフタラジン類、アミノ-1,8-ナフチリジン類、アミノキノキサリン類、アミノキナゾリン類、アミノシンノリン類、アミノプテリジン類、アミノフェナントリジン類、アミノアクリジン類およびアミノ-1,7-フェナントロリン類、ベンゾグアナミンおよびメラミンからなる群より選択される。
【0080】
上記のアミンは、出発物質および塩基の両方としてモル過剰で使用することができる。
【0081】
アルコールおよび/またはアミンのそれぞれの親物質を、少なくとも1個の不活性な置換基により置換することができる。不活性な置換基は、好ましくは、上記の置換基からなる群より選択される。
【0082】
本発明の方法は、少なくとも1種の0価または2価パラジウム化合物の存在下で実施する。
【0083】
0価パラジウム化合物は、好ましくは、金属パラジウムおよび有機パラジウム(0)化合物からなる群より選択され、2価パラジウム化合物は、有機パラジウム(II)化合物およびパラジウム(II)塩からなる群より選択される。
【0084】
金属パラジウムは、好ましくは支持されている。上記の意味で不活性な好適な担体の例は、活性炭、酸化アルミニウムおよびアルミン酸塩、二酸化ケイ素およびケイ酸塩、硫酸バリウムならびに炭酸カルシウムである。金属パラジウムを使用する場合には、好ましくは、パラジウム(0)化合物と錯体を形成することが可能な従来の公知の配位子を使用する。
【0085】
有機パラジウム(0)化合物は、好ましくは、トリス(η2-アルケン)パラジウム(0)、ビス(カルベン)パラジウム(0)、パラジウム(0)-ホスファン錯体および混合パラジウム(0)-(η2-アルケン)-ホスファン錯体からなる群より選択される。
【0086】
有機パラジウム(II)化合物は、好ましくは、パラジウム(II)キレート錯体、1価配位子とのドナー付加物または1価配位子とハロゲン化物との錯体およびπ結合配位子からなる群より選択される。
【0087】
パラジウム(II)塩は、好ましくは、パラジウム(II)ハロゲン化物およびカルボン酸塩からなる群より選択される。
【0088】
好適な0価および2価パラジウム化合物の例は、Hollemann-Wiberg, Lehrbuch der Anorganischen Chemie(無機化学の教科書), Nils Wiberg, 102nd edition, 2007, "2.2 Verbindungen des palladiums und Platins(パラジウムおよび白金化合物)", pages 1726 to 1743、特に、"2.2.6 Organische Verbindungen des palladiums und Platins(有機パラジウムおよび白金化合物)", pages 1739 to 1734により公知である。ここにこれらの一節を明示的に参照する。
【0089】
好ましくは、塩化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、アセチルアセトン酸パラジウム(II)、ジクロロビス(シアノフェニル)パラジウム(II)、ジクロロビス(ジフェニルホスファニル)パラジウム(II)および/またはテトラキス(ジフェニルホスファニル)パラジウム(II)、特に酢酸パラジウム(II)を使用する。
【0090】
パラジウム化合物は、本発明の反応においてそのまま使用することができる。しかしながら、それらを公知の方法であらかじめジホスファンIIによりパラジウム(0)またはパラジウム(II)-ジホスファン錯体に変換することも可能である。次に、得られた錯体を本発明の反応に使用することができる。十分に満足できる好適な錯体の例は、
・Pd[2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン]2Cl2またはPd(Pepstar)2Cl2および
・Pd[2-エチル-2-ブチル-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン]2Cl2またはPd(Bustar)2Cl2
である。
【0091】
本発明の反応は、少なくとも1種の、特に1種の塩基の存在下で実施する。
【0092】
塩基は、好ましくは、アルカリ金属塩、アルコキシド、上記の過剰のアミンおよび第三級アミンからなる群より選択される。
【0093】
好適なアルカリ金属塩の例は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムおよび酢酸カリウムである。好ましくは、それらは本発明の方法によるカルボン酸エステルおよびカルボキサミドの調製において無水型で使用する。特に、無水炭酸カリウムを使用する。
【0094】
好適なアルコキシドの例は、上記のアルコールのナトリウムおよびカリウムアルコキシド、特にナトリウムおよびカリウムメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、tert-ブトキシドおよびフェノキシドである。
【0095】
好適な第三級アミンの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルピペリジン、ピリジン、コリジン、ルチジン、4-ジメチルアミノピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、特にトリエチルアミンおよびDBUである。
【0096】
本発明の方法による反応において、一般式Iの芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物は、水、アルコールまたはアミンと、それぞれ個々の求核的酸素原子または窒素原子に基づいて、ハロゲン化物I:水、アルコールまたはアミンのモル比が好ましくは0.5:1〜2:1、特に0.8:1〜1.2:1となるように反応させる。
【0097】
これに関して、好ましくは、0価または2価パラジウム化合物は、それぞれハロゲン化物Iを基準として、0.001〜5 mol%、特に0.01〜1 mol%の量で使用する。
【0098】
二座ジホスファンIIは、特に好ましくは、二座ジホスファンII:パラジウム化合物のモル比が0.01:1〜10,000:1、特に0.1:1〜100:1となるように使用する。
【0099】
塩基は、好ましくは、ハロゲン化物Iのハロゲン原子:塩基の等量比 = 1:1〜1:4となるように使用する。アルカリ金属塩を使用する場合には特に、1:1〜1:4、特に1:2の等量比を使用する。第三級アミンを使用する場合、特に好ましくは、1:0.1〜1:4、特に1:0.2〜1:2の等量比を使用する。
【0100】
本発明の方法による反応は、有機溶媒が存在しない状態で実施することが可能である。しかしながら、上記反応は芳香族溶媒または極性非プロトン性有機溶媒中で実施することも可能である。
【0101】
芳香族溶媒は、好ましくは、過剰な一般式Iの芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物、トルエンおよびキシレンからなる群より選択される。
【0102】
極性非プロトン性有機溶媒は、好ましくは、アミド、エーテル、スルホンおよびニトリルからなる群より選択される。好ましくは、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、1,4-ジオキサン、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリルおよびそれらの混合物を使用する。
【0103】
特に好ましくは、有機溶媒は、ハロゲン化物Iとアルコールまたはアミンとの反応においては本質的に無水または完全に無水である。これは、< 1000 ppm、特に< 100 ppmの水含有量を示すことを意味する。
【0104】
本発明の反応は、さらに有機モノホスファンの存在下で実施することができる。モノホスファンは、少なくとも1個のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を含む。モノホスファンは、好ましくは2個、特に3個の、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基からなる群より選択される基を含む。これらの基は、互いに連結して環を形成していてもよい。特にトリフェニルホスファンを使用する。
【0105】
好ましくは、上記のジホスファンIIのパラジウム錯体は、少なくとも1種の、特に1種のモノホスファンと組み合わせて使用する。
【0106】
好ましくは、本発明の方法による反応は、90〜200℃、好ましくは100〜180℃、特に110〜150℃の間の温度で実施する。
【0107】
本発明の方法による反応は、わずかな減圧、常圧または加圧下で実施することができる。これに関して、適用する圧力は、特に一酸化炭素分圧により決定される。反応は、好ましくは、0.9〜100 bar (90〜10,000 kPa)、特に好ましくは1〜50 bar (100〜5000 kPa)、特に5〜20 bar (500〜2000 kPa)の一酸化炭素分圧で実施する。
【0108】
本発明の方法により得られた反応混合物は、好ましくは、水性条件下で後処理する。この際、反応混合物を水または水溶液と接触させる。水性反応混合物を酸性化した後、本発明の方法で調製されたカルボン酸、カルボン酸エステルおよびカルボキサミドを有機溶媒により抽出した後、有機溶媒を除去することにより単離することができる。適切な場合、特に本発明の方法による反応に水混和性溶媒を使用した場合には、抽出の前に、例えば蒸留により、溶媒の少なくとも一部を除去することが有利であり得る。
【0109】
本発明の方法および得られた反応混合物の後処理は、方法に関して特異な特徴がなく、標準的で公知の有機化学の方法および装置を用いて実施することができる。
【実施例】
【0110】
実施例および比較例
調製例
Pd[2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン]2Cl2、Pd(Pepstar)2Cl2の調製
Pd(Pepstar)2Cl2を、M. R. Mason and J. G. Verkade, Organometallics, 1992, 11, 2212-2220と同様にして調製した。
【0111】
Pd(PhCN)2Cl2 (0.31 mmol)をシュレンク管に入れた。合計50 mlのトルエンを連続的に加えて溶解させた。Pepstar (0.33 mmol)を5 mlのトルエンに溶解させ、橙色のPd溶液に加えた。この過程で、淡黄色の固体が沈殿し、溶液は無色になった。
【0112】
さらに1時間攪拌した後、固体を濾取して、各回3 mlのヘキサンにより3回洗浄した。錯体を重量が一定になるまで減圧乾燥した。PdCl2(Pepstar)2を定量的収率で得た(191.5 mg)。
【0113】
実施例1〜5-4
シクロアセトフェノンのカルボキシメチル化による4-アセチル安息香酸メチルの合成
反応式:
【化2】

【0114】
実施例1:
配位子として2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン(Pepstar)を用いるメトキシカルボニル化(方法A)
触媒Pd(OAc)2 (Ac = アセチル;0.3 mol%)および配位子2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(Pepstar;1.1 mol%)を、グローブボックス中、保護ガス下で量り取り、5 mlの脱ガスしたメタノールに溶解した。次に、20 mlの脱ガスしたトルエン、基質4-アセチルクロロベンゼン(10 mmol)および酢酸ナトリウム(15 mmol)を混合物に加えた。
【0115】
反応混合物をアルゴンでパージしたオートクレーブの中に移し、オートクレーブを一酸化炭素で3回パージした。次に反応溶液を130℃に加熱した。次にCO圧を6 barにした。反応を8 bar、130℃で16時間実施した。オートクレーブを冷却し、開いた。ガスクロマトグラフィー分析により、16時間後に、85%の選択性で定量的な変換が達成されたことが明らかになった。
【0116】
分析:
DB-1、5分、60℃;10℃/分で260℃まで
【表1】

【0117】
実施例2:
配位子として2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン(Pepstar)を用いるメトキシカルボニル化(改変された方法A)
触媒Pd(OAc)2 (0.1 mol%)および配位子2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(Pepstar、1.1 mol%)を、グローブボックス中、保護ガス下で量り取り、5 mlの脱ガスしたメタノールに溶解した。次に、20 mlの脱ガスしたトルエン、基質4-アセチルクロロベンゼン(10 mmol)および酢酸ナトリウム(15 mmol)を混合物に加えた。
【0118】
反応混合物をアルゴンでパージしたオートクレーブの中に移し、オートクレーブを一酸化炭素で3回パージした。次に反応溶液を130℃に加熱した。次にCO圧を6 barにした。反応を8 bar、130℃で16時間実施した。オートクレーブを冷却し、開いた。ガスクロマトグラフィー分析により、16時間後に、82%の選択性で99%の変換が達成されたことが明らかになった。
【0119】
実施例3:
Pd(Pepstar)2Cl2を用いるメトキシカルボニル化(方法B)
触媒Pd(Pepstar)2Cl2 (0.1 mol%;調製例を参照されたい)および配位子2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(Pepstar、0.3 mol%)を、グローブボックス中、保護ガス下で量り取り、5 mlの脱ガスしたメタノールに溶解した。次に、20 mlの脱ガスしたトルエン、基質4-アセチルクロロベンゼン(10 mmol)およびNaOAc (15 mmol)を混合物に加えた。
【0120】
反応混合物をアルゴンでパージしたオートクレーブの中に移し、オートクレーブを一酸化炭素で3回パージした。次に反応溶液を130℃に加熱した。次にCO圧を6 barにした。反応を8 bar、130℃で24時間実施した。オートクレーブを冷却し、開いた。ガスクロマトグラフィー分析により、24時間後に、82.6%の選択性で99%の変換が達成されたことが明らかになった。
【0121】
実施例4:
Pd(Pepstar)2Cl2を用いるメトキシカルボニル化(方法C)
触媒Pd(Pepstar)2Cl2 (0.1 mol%)を、グローブボックス中、保護ガス下で量り取り、5 mlの脱ガスしたメタノールに溶解した。次に、20 mlの脱ガスしたトルエン、基質4-アセチルクロロベンゼン(10 mmol)およびNaOAc (15 mmol)を混合物に加えた。
【0122】
反応混合物をアルゴンでパージしたオートクレーブの中に移し、オートクレーブを一酸化炭素で3回パージした。次に反応溶液を130℃に加熱した。次にCO圧を6 barにした。反応を8 bar、130℃で16時間実施した。オートクレーブを冷却し、開いた。ガスクロマトグラフィー分析により、16時間後に、81.7%の選択性で85%の変換が達成されたことが明らかになった。
【0123】
実施例5-1〜5-4:
Pd(Pepstar)2Cl2およびトリフェニルホスファンを用いるメトキシカルボニル化(方法D)
一般的実験法
触媒Pd(Pepstar)2Cl2 (0.1 mol%)および配位子トリフェニルホスファンを、グローブボックス中、保護ガス下で量り取り、5 mlの脱ガスしたメタノールに溶解した。次に、20 mlの脱ガスしたトルエン、基質4-アセチルクロロベンゼン(10 mmol)およびNaOAc (15 mmol)を混合物に加えた。
【0124】
反応混合物をアルゴンでパージしたオートクレーブの中に移し、オートクレーブを一酸化炭素で3回パージした。次に反応溶液を130℃に加熱した。次にCO圧を6 barにした。反応を8 bar、130℃で16時間実施した。オートクレーブを冷却し、開いた。16時間および24時間後の変換率および選択性を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。Pd(Pepstar)2Cl2:トリフェニルホスフィンのモル比、変換率および選択性を下記の表No.1にまとめる。
【0125】
表No.1
【表2】

【0126】
*これらの実験における反応時間は24時間であった。
【0127】
実施例6-1〜6-3および7
アニリンを用いるクロルアセトフェノンのアミドカルボニル化による4-アセチル-N-フェニルベンズアミドの合成
反応式
【化3】

【0128】
実施例6-1
リガンドとして2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン(Pepstar)を用いるアミドカルボニル化
一般的実験法
触媒Pd(PhCN)2Cl2 (0.5 mol%)および配位子2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン(Pepstar、1.5 mol%)を、グローブボックス中、保護ガス下で量り取り、5 mlの脱ガスしたDMFに溶解した。次に、20 mlの脱ガスしたDMF、基質4-アセチルクロロベンゼン(10 mmol)、アニリン(15 mmol)および塩基(15 mmol)を混合物に加えた。
【0129】
反応混合物をアルゴンでパージしたオートクレーブの中に移し、オートクレーブを一酸化炭素で3回パージした。次に反応溶液を130℃に加熱した。次にCO圧を15 barにした。反応を15 bar、130℃または150℃で24時間実施した。オートクレーブを冷却し、開いた。反応生成物のガスクロマトグラフィー分析を下記の表No.2の通りに実施した。
【0130】
分析:
DB-1、5分、60℃;10℃/分で260℃まで
表No.2:
【表3】

【0131】
異なる塩基を用いた実施例6-1〜6-3において達成された変換率および選択性を下記の表No.3に示す。
【0132】
表No.3:
【表4】

【0133】
*これらの実験における反応温度は150℃であった。
【0134】
a) 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
b) トリエチルアミン
実施例7:
配位子として2-ブチル-2-エチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン(Bustar)を用いるアミドカルボニル化
触媒Pd(PhCN)2Cl2 (0.5 mol%)および配位子2-ブチル-2-エチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン(Bustar;1.5 mol%)を、グローブボックス中、保護ガス下で量り取り、5 mlの脱ガスしたDMFに溶解した。次に、20 mlの脱ガスしたDMF、基質4-アセチルクロロベンゼン(10 mmol)、アニリン(15 mmol)およびDBU (15 mmol)を混合物に加えた。
【0135】
反応混合物をアルゴンでパージしたオートクレーブの中に移し、オートクレーブを一酸化炭素で3回パージした。次に反応溶液を130℃に加熱した。次にCO圧を15 barにした。反応を15 bar、130℃で16時間実施した。オートクレーブを冷却し、開いた。ガスクロマトグラフィー分析により、24時間後に、91.4%の選択性で97.7%の変換が達成されたことが明らかになった。
【0136】
実施例8および9ならびに比較実験C1およびC2
4-ブロモトルエンのカルボキシ化による4-メチル安息香酸の合成
反応式:
【化4】

【0137】
一般的実験法
NaOAc (4.1 mmol)を、4個の同時進行反応器からなる反応器ユニットに入れた。DMF (10 ml)中のPd(OAc)2 (0.028 mmol、1 mol%)および対応する配位子(0.084 mmol、3 mol%)を加えた。得られた反応混合物を室温で30分間攪拌した。次に、4-ブロモトルエン(2.8 mmol)および水(1 ml)を計り入れた。15 barのCO下、室温で10分間置いた後、反応混合物を140℃に加熱した。16時間後、反応器を冷却し、圧力を低下させた。反応器中の生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した(表No.4を参照されたい)。
【0138】
分析:
DB-1、5分、60℃;10℃/分で260℃まで
表No.4:
【表5】

【0139】
実施例8および9ならびに比較実験C1およびC2において使用した量の比および16時間後に達成された変換率および選択性を下記の表No.5に表す。
【0140】
表No.5
【表6】

【0141】
a) 1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン
b) 1,1'-ビス(ジフェニルホスファニル)フェロセン
PepstarおよびBustarを用いて確認された変換率および選択性は、他の配位子と比較して明白に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸、カルボン酸エステルおよびカルボキサミドの調製方法であって、一般式I:
R(-X)n (I)
[式中、添え字および可変基は以下の意味を有する:
nは1〜6の整数であり、
Rは、置換または無置換の芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
Xは、塩素、臭素またはヨウ素原子である]
の芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物と、一酸化炭素および水、アンモニア、アルコールまたはアミンとを、塩基ならびに0価もしくは2価パラジウム化合物および二座ジホスファンまたは0価もしくは2価パラジウムと二座ジホスフファンとの錯体の存在下で反応させ、該反応において、一般式II:
(R1-)(R2-)P-Y-P(-R3)(-R4) (II)
[式中、可変基は以下の意味を有する:
R1〜R4は互いに独立して、同一であるか異なっており、無置換アリール基または正の共鳴効果もしくは正の誘起効果を示す少なくとも1個の基により置換されたアリール基、または無置換もしくは置換シクロアルキル基であり;
Yは、合計で2〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、ここで、炭素原子の少なくとも1個は置換基として1個のみの水素原子を有するか、水素原子を有しない]
の二座ジホスファンを使用する(ただし、4-ブロモ-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾールと2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)アニリンおよび一酸化炭素とを、
(a) N-メチルピロリドン中、Pd(C6H5CN)2Cl2、2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび炭酸カリウムの存在下、または
(b) アセトニトリル中、Pd(C6H5CN)2Cl2、3,3-ビス(ジフェニルホスファニルメチレン)ヘプタン、トリエチルアミンおよび炭酸カリウムの存在下で
反応させて、N-[2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)フェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミドを得る反応を除く)、前記方法。
【請求項2】
基R1〜R4が、1個または複数個の環中に6〜20個の炭素原子を有する無置換アリール基、正の共鳴効果または正の誘起効果を示す1個以上の基により置換された6〜20個の炭素原子を有する置換アリール基、ならびに1個または複数個の環中に5〜16個の炭素原子を有する置換および無置換シクロアルキル基からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一般式IIにおいて、基R1〜R4が同一である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
基R1〜R4が、無置換フェニルおよびナフチル、正の共鳴効果または正の誘起効果を示す1個以上の基により置換された置換フェニルおよびナフチル、ならびに無置換および置換シクロペンチルおよびシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
正の共鳴効果または正の誘起効果を示す基が、1個の炭素原子または2〜12個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
基R1〜R4が、無置換フェニルまたはシクロヘキシル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
炭化水素基Yが合計で3〜15個の炭素原子を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
炭化水素基Yが炭化水素原子および水素原子のみからなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
炭化水素基Yが、一般式III:
-C(-R7)2-C(-R5)(-R6)-C(R7)2- (III)
で表される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
基R5およびR6が、
・1個の炭素原子または2〜12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基;
・1個または複数個の環中に5〜16個の炭素原子を有する置換および無置換シクロアルキル基;
・1個または複数個の環中に6〜20個の炭素原子を有する置換および無置換アリール基;
・シクロアルキル基中に5〜16個の炭素原子を有する、置換および無置換x-シクロアルキルアルカン-1-イル基、またはアリール基中に6〜20個の炭素原子を有する、置換および無置換x-アリールアルカン-1-イル基であって、それぞれの場合に、1,x-アルキレン基中に1個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有するもの(ここで、X = 1〜6の整数である);または
・アリール基中に6〜20個の炭素原子を有し、1,y-シクロアルキレン基中に5〜16個の炭素原子を有する置換および無置換y-アリールシクロアルカン-1-イル基(ここで、y = 1〜12の整数である)
からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
一般式IIIにおいて、基R5およびR6のいずれも水素原子ではない、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
一般式IIIにおいて、基R5およびR6が同一である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
基R5およびR6が互いに連結して環を形成する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
基R5およびR6が、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、フェニル、ベンジル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
基R7が、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトリル基、ニトロ基ならびに基R5およびR6からなる群より選択される、請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
基R7が水素原子である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
一般式IIの二座ジホスファンが、
・2-メチル-、2-エチル-、2-プロピル-、2-(n-ブチル)-、2-(n-ペンチル)-、2-(n-ヘキシル)-、2-シクロヘキシル-および2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2,2-ジメチル-、2,2-ジエチル-、2,2-ジプロピル-、2,2-ジ(n-ブチル)-、2,2-ジ(n-ペンチル)-、2,2-ジ(n-ヘキシル)-、2,2-ジシクロヘキシル-および2,2-ジフェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-メチル-2-エチル-、-2-プロピル-、-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-エチル-2-プロピル-、-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-プロピル-2-(n-ブチル)-、-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-(n-ブチル)-2-(n-ペンチル)-、-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-(n-ペンチル)-2-(n-ヘキシル)-、-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン、
・2-(n-ヘキシル)-2-シクロヘキシル-および-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパンならびに
・2-シクロヘキシル-2-フェニル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンおよび-1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスファニル)プロパン
からなる群より選択される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
一般式IIの二座ジホスファンが、2-エチル-2-ブチル-および2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
一般式Iの芳香族基Rがベンゼンおよび多環式芳香族炭化水素に由来し、ヘテロ芳香族基Rが単環式および多環式芳香族複素環に由来する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
多環式芳香族炭化水素が、
・少なくとも2個のベンゼン核、少なくとも2個の縮合多環式芳香族炭化水素または少なくとも1個のベンゼン核と少なくとも1個の縮合多環式芳香族炭化水素が少なくとも1つの炭素-炭素単結合を介して互いに結合している炭化水素、および
・縮合多環式芳香族炭化水素
からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
芳香族複素環が、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
アルコールが、分子中に1〜4個のヒドロキシ基を有する脂肪族、脂環式、芳香族およびヘテロ芳香族アルコールからなる群より選択される、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
アミンが、分子中に1〜4個のアミノ基を有する脂肪族、脂環式、環式、芳香族およびヘテロ芳香族第一級および第二級アミンからなる群より選択される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
アルコールおよび/またはアミンのそれぞれの親物質が、少なくとも1個の不活性な置換基により置換されている、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
0価パラジウム化合物が金属パラジウムおよび有機パラジウム(0)化合物からなる群より選択され、2価パラジウム化合物が有機パラジウム(II)化合物およびパラジウム(II)塩からなる群より選択される、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
金属パラジウムが支持されている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
有機パラジウム(0)化合物がトリス(η2-アルケン)パラジウム(0)、ビス(カルベン)パラジウム(0)、パラジウム(0)-ホスファン錯体および混合パラジウム(0)-(η2-アルケン)-ホスファン錯体からなる群より選択され、有機パラジウム(II)化合物がパラジウム(II)キレート錯体、1価配位子およびπ結合配位子とのドナー付加物ならびに1価配位子とハロゲン化物との錯体からなる群より選択され、パラジウム(II)塩がパラジウム(II)ハロゲン化物およびカルボン酸塩からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
塩基が、アルカリ金属塩、アルコキシド、請求項23において定義した通りの過剰のアミン、および第三級アミンからなる群より選択される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
一般式Iの芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物と、水、アルコールまたはアミンとを、ハロゲン化物I:水、アルコールまたはアミンのモル比が、それぞれの求核酸素原子または窒素原子に基づいて0.5:1〜2:1となるように反応させる、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
0価または2価パラジウム化合物を、ハロゲン化物Iを基準として0.001〜5 mol%の量で使用する、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
塩基を、ハロゲン化物Iのハロゲン原子:塩基の等量比 = 1:1〜1:4となるように使用する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
反応を芳香族溶媒または極性非プロトン性有機溶媒中で実施する、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
有機溶媒が、過剰の一般式Iの芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物、トルエン、キシレン、アミド、エーテル、スルホンおよびニトリルからなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ハロゲン化物Iとアルコールまたはアミンとの反応における有機溶媒が、本質的に無水または完全に無水である、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
一般式IIのジホスファンまたはその0価または2価パラジウムとの錯体に加えて、少なくとも1種の有機モノホスファンを使用する、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
反応を90〜200℃の間の温度で実施する、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
反応を、0.9〜100 bar (90〜10,000 kPa)の一酸化炭素分圧で実施する、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−521925(P2011−521925A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510972(P2011−510972)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056302
【国際公開番号】WO2009/144197
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】